65: 2013/11/06(水) 01:08:57.66 ID:11x3x7O+o
前回:泣き虫雪風と釣り人提督
4だったのでE-1編。
注:深海棲艦はイベントボスを見る限りカタカナの台詞ばっかですが読みにくいなどの理由により通常の台詞でお送りいたします。
サーモン諸島海域にて
ル級エリ「いやー、苦労の甲斐あってサーモン諸島海域警備の総旗艦だよ。すごくない?」
駆逐ニ級「でもここ最前線ですよね氏ねってことですよね」
ル級エリ「大丈夫大丈夫、この先は鉄底海峡。艦娘のトラウマをえぐるために忠実に再現した地獄。
こんなところまで来る物好きはいないって。その名を聞くだけで排水口からドバドバよ」
駆逐ニ級「仮にも旗艦なんですからそういう下品な例えは慎んでください」
ル級エリ「はいはい、おや前線のカ級の部隊から通信だ。なんだい。漁船でも発見したかい」
カ級エリ『敵部隊、接近中です! 敵構成、巡洋戦艦1、正規空母3、重雷装巡洋艦2!』
ル級エリ「…え? マヂ?」
カ級エリ『現在交戦中dあべし! 痛い!』
ル級エリ「……仕方ないわね」
通信機の周波数を全隊共通のものにあわせる
ル級エリ『全艦隊、敵勢力を迎撃せよ!!』
66: 2013/11/06(水) 01:11:46.06 ID:11x3x7O+o
無論、迎撃できるわけもなく。
ル級エリ「こ、この先はアイアンボトムサウンドだぞ!? 恐ろしくないのか!?」
赤城「アイアンボトム…? 知らない子ですね」
蒼龍「なにそれ、おいしいの?」
北上「あー、もうやっちゃいましょ」
加賀「鎧袖一触よ。心配いらないわ」
大井「海の藻屑となりなさいな!!」
金剛(アイアンボトムサウンドと言われてもソロモン海海戦に参加してない子ばっかりデース…)
ル級エリ「こうなったら私達で止めるしか…! って…あれ、他のみんなは?」
金剛「…大変残念ですが、貴方がラストデース」
ル級エリ「え、ちょ、ちょっとまっ」
向けられる砲。響く轟音。
ル級エリ「アバッ、アババーッ!?」
提督「ミンチよりひでぇや」
ル級エリ「こ、この先はアイアンボトムサウンドだぞ!? 恐ろしくないのか!?」
赤城「アイアンボトム…? 知らない子ですね」
蒼龍「なにそれ、おいしいの?」
北上「あー、もうやっちゃいましょ」
加賀「鎧袖一触よ。心配いらないわ」
大井「海の藻屑となりなさいな!!」
金剛(アイアンボトムサウンドと言われてもソロモン海海戦に参加してない子ばっかりデース…)
ル級エリ「こうなったら私達で止めるしか…! って…あれ、他のみんなは?」
金剛「…大変残念ですが、貴方がラストデース」
ル級エリ「え、ちょ、ちょっとまっ」
向けられる砲。響く轟音。
ル級エリ「アバッ、アババーッ!?」
提督「ミンチよりひでぇや」
67: 2013/11/06(水) 01:15:55.47 ID:11x3x7O+o
雪風「しれぇ」
提督「なんだ?」
雪風「何で雪風出撃させてくれなかったんですか?」
提督「あ、いや、まぁ、強行偵察のつもりだったんだが普通に突破しちゃったし…」
雪風「雪風もしれぇのお役に立ちたいのにひどいです!」(ポカポカ
提督「それに練度極まってるしなぁ…。経験は金剛に回したいし」
雪風「ぐすっ、ぐすっ」
提督「次は夜戦だから出番あるって」
雪風「ほんとですか?」
提督「ほんとほんと。…しかし夜戦って嫌な思い出しかないんだよなぁ。大丈夫かなぁ」
雪風「雪風、頑張ります!」
提督「ま、よろしく頼むぜ」
提督「なんだ?」
雪風「何で雪風出撃させてくれなかったんですか?」
提督「あ、いや、まぁ、強行偵察のつもりだったんだが普通に突破しちゃったし…」
雪風「雪風もしれぇのお役に立ちたいのにひどいです!」(ポカポカ
提督「それに練度極まってるしなぁ…。経験は金剛に回したいし」
雪風「ぐすっ、ぐすっ」
提督「次は夜戦だから出番あるって」
雪風「ほんとですか?」
提督「ほんとほんと。…しかし夜戦って嫌な思い出しかないんだよなぁ。大丈夫かなぁ」
雪風「雪風、頑張ります!」
提督「ま、よろしく頼むぜ」
72: 2013/11/08(金) 01:17:05.20 ID:4xkjuwZho
決意を新たにしたところで何が変わるわけでもない。
そう思っていた時代が俺にもありました。
「はーい鎮守府の準備できましたよー!」
倉庫の扉をバンと開け、唐突なことを言い放つ猫吊るし。
「鎮守府だぁ?」
「えぇ、執務室に入渠ドック、艦娘のための寮にお店までついてなんとタダ! タダで使えちゃいます!」
「税金か?」
「はい。というわけで無駄遣いはしないでくださいね。あと店の品物は有料なのでその辺もよろしくね」
「何それしょっぱい」
「最低限のものは政府から支給されますから。タダで」
「税金か?」
「はい。防衛費の1%を組み込んだ一大プロジェクトですから」
「そんなもん一介の漁師に任せんな馬鹿」
「見込みがありそうだったので」
「ありそうで済ますな。全く。今日は家帰って寝るか」
「では鎮守府へご案内」
「だから家へ帰るって」
「だから改築して鎮守府にしました」
「あ?」
「貴方の家を、鎮守府に」
「おいぃ!? ちょっと待ておい!?」
提督の抗議の言葉を無視して艦娘たちに話しかける猫吊るし。
「貴方たちは寮生活になるからね。本来艦種ごととかに分かれてるけど、まぁ今は艦も少ないし、適当な部屋で寝ればいいと思うよ」
そう言いながら猫吊るしは寮と思しき大きな建物のほうへ向かう。
「わかりました。ほら、雪風…って寝てるわ…」
いつの間にやら雪風は初霜にもたれかかって眠っていた。
「しかたねーな。俺が運ぶか」
「あ、魚雷発射管は私がお持ちします」
提督と初霜で分担して雪風を運び、猫吊るしの後を追った。
そう思っていた時代が俺にもありました。
「はーい鎮守府の準備できましたよー!」
倉庫の扉をバンと開け、唐突なことを言い放つ猫吊るし。
「鎮守府だぁ?」
「えぇ、執務室に入渠ドック、艦娘のための寮にお店までついてなんとタダ! タダで使えちゃいます!」
「税金か?」
「はい。というわけで無駄遣いはしないでくださいね。あと店の品物は有料なのでその辺もよろしくね」
「何それしょっぱい」
「最低限のものは政府から支給されますから。タダで」
「税金か?」
「はい。防衛費の1%を組み込んだ一大プロジェクトですから」
「そんなもん一介の漁師に任せんな馬鹿」
「見込みがありそうだったので」
「ありそうで済ますな。全く。今日は家帰って寝るか」
「では鎮守府へご案内」
「だから家へ帰るって」
「だから改築して鎮守府にしました」
「あ?」
「貴方の家を、鎮守府に」
「おいぃ!? ちょっと待ておい!?」
提督の抗議の言葉を無視して艦娘たちに話しかける猫吊るし。
「貴方たちは寮生活になるからね。本来艦種ごととかに分かれてるけど、まぁ今は艦も少ないし、適当な部屋で寝ればいいと思うよ」
そう言いながら猫吊るしは寮と思しき大きな建物のほうへ向かう。
「わかりました。ほら、雪風…って寝てるわ…」
いつの間にやら雪風は初霜にもたれかかって眠っていた。
「しかたねーな。俺が運ぶか」
「あ、魚雷発射管は私がお持ちします」
提督と初霜で分担して雪風を運び、猫吊るしの後を追った。
73: 2013/11/08(金) 01:20:14.34 ID:4xkjuwZho
「これが寮、ねぇ」
コンクリづくりの急造されたとしか思えない建屋。とはいえこれが半日で造れるようなものでないことはわかる。
とりあえず寮に入り、手近な部屋のベッドに雪風を寝かせ、初霜に後のことを頼む。
部屋を出ると猫吊るしが待っていた。
「どうですかこの寮」
「なんというか殺風景だな」
「艦娘も女の子です。人が増えれば飾りつけとかも為されていくでしょう」
「そういうもんかね」
「じゃ、鎮守府本館行きましょうか」
そう言うと猫吊るしは廊下を歩き出す。後を付いていくと、そこは自分の家だった。
…居間がめちゃくちゃ広い食堂になっていることを除けば。
「…おい?」
「あ、居間と台所は狭すぎるんで勝手に拡張しておきました。風呂については、艦娘たちは入渠ドックのほう使うので改造してません」
「今朝はこんな風にはなってなかっただろ!?」
「それで紹介したい娘が三人います」
「スルーすんな!!」
やはり提督の抗議は聞き入れられず。
猫吊るしは『関係者以外立入禁止』の札が貼られている戸を開ける。出てきたのは三人の女性。
割烹着を着た優しそうな女性。
「間宮です。食事については私にお任せください」
眼鏡をかけた黒髪ロングの秘書っぽい女性。
「大淀(仮)です。日々の任務の管理について担当しています。よろしくお願いします」
クレーンを背負った姉御肌の女性。
「明石(仮)だ。入用なものがあったら言ってくれ」
「よろしく…って(仮)って何だよ(仮)って!?」
「まだ公式には名前を秘されてるので…」
大淀と名乗った女性が代わりに答える
「任務娘やアイテム屋娘だとちょっと語呂が悪いし呼ぶのに不便だからねー。うん」
明石が付け加える。
「あと……、任務って何だ?」
「目標の見えない戦いは空虚です。目標を設定してそれをこなすことでモチベーションの向上を図ります。
もちろん達成したあかつきには報酬も出ます。政府から出てますのでごあんしんください」
「税金か?」
「はい。資材等の現物支給ですが」
「現金でくれよ!?」
そこに割って入ってくる間宮。
「まぁまぁ提督さん。落ち着いてくださいな。お腹も空いてきたでしょう?」
「それは…、まぁそうだな」
「では、夕食作りますからちょっと待っててくださいねぇ」
そういって鼻歌を歌いながら台所に向かう間宮。
「じゃあ私たちも一緒に頂きましょう」
そういって椅子に腰掛ける猫吊るし。明石と大淀も席に着く。
「全く何がなにやら…」
ぶつくさ言いながら提督も座る。
提督食事中…
「うめぇ!!」
「でしょう?」
コンクリづくりの急造されたとしか思えない建屋。とはいえこれが半日で造れるようなものでないことはわかる。
とりあえず寮に入り、手近な部屋のベッドに雪風を寝かせ、初霜に後のことを頼む。
部屋を出ると猫吊るしが待っていた。
「どうですかこの寮」
「なんというか殺風景だな」
「艦娘も女の子です。人が増えれば飾りつけとかも為されていくでしょう」
「そういうもんかね」
「じゃ、鎮守府本館行きましょうか」
そう言うと猫吊るしは廊下を歩き出す。後を付いていくと、そこは自分の家だった。
…居間がめちゃくちゃ広い食堂になっていることを除けば。
「…おい?」
「あ、居間と台所は狭すぎるんで勝手に拡張しておきました。風呂については、艦娘たちは入渠ドックのほう使うので改造してません」
「今朝はこんな風にはなってなかっただろ!?」
「それで紹介したい娘が三人います」
「スルーすんな!!」
やはり提督の抗議は聞き入れられず。
猫吊るしは『関係者以外立入禁止』の札が貼られている戸を開ける。出てきたのは三人の女性。
割烹着を着た優しそうな女性。
「間宮です。食事については私にお任せください」
眼鏡をかけた黒髪ロングの秘書っぽい女性。
「大淀(仮)です。日々の任務の管理について担当しています。よろしくお願いします」
クレーンを背負った姉御肌の女性。
「明石(仮)だ。入用なものがあったら言ってくれ」
「よろしく…って(仮)って何だよ(仮)って!?」
「まだ公式には名前を秘されてるので…」
大淀と名乗った女性が代わりに答える
「任務娘やアイテム屋娘だとちょっと語呂が悪いし呼ぶのに不便だからねー。うん」
明石が付け加える。
「あと……、任務って何だ?」
「目標の見えない戦いは空虚です。目標を設定してそれをこなすことでモチベーションの向上を図ります。
もちろん達成したあかつきには報酬も出ます。政府から出てますのでごあんしんください」
「税金か?」
「はい。資材等の現物支給ですが」
「現金でくれよ!?」
そこに割って入ってくる間宮。
「まぁまぁ提督さん。落ち着いてくださいな。お腹も空いてきたでしょう?」
「それは…、まぁそうだな」
「では、夕食作りますからちょっと待っててくださいねぇ」
そういって鼻歌を歌いながら台所に向かう間宮。
「じゃあ私たちも一緒に頂きましょう」
そういって椅子に腰掛ける猫吊るし。明石と大淀も席に着く。
「全く何がなにやら…」
ぶつくさ言いながら提督も座る。
提督食事中…
「うめぇ!!」
「でしょう?」
74: 2013/11/08(金) 01:21:14.47 ID:4xkjuwZho
「では、お腹いっぱいになったところで執務室行きましょうか」
猫をぶん回しながら階段を上っていく猫吊るし。
「これ俺んちの二階じゃねーの?」
「えぇ、丁度おあつらえ向きの部屋がありましたのでそこを改築して執務室に」
「嫌な予感しかしないが」
などと雑談してるうちに両開きの立派な扉の前までたどり着く。
「もしかして」
「もしかしなくても執務室です」
「いやそうじゃない。ここ俺の部屋のはずだったろ。こんなでかい扉はなかったけど!」
「開けますよー」
例によって例のごとく提督の慟哭は無視される。
中には山と積まれたダンボール。提督の私物は一つもない。
「……あのー」
「猫吊るしに、何か落ち度でも?」
「ここにあった俺の物は?」
「全部倉庫に入れて錠前かけておきました」
「返せよ!!」
もはや今日一日で何度叫んだかわからない。
「留守の間に盗まれたら大変じゃないですか」
「留守の間に押し入って家を丸ごと改造するヤツの台詞じゃねーだろそれ!」
「でもご安心ください」
「なんだよ」
「ベッドは用意してあります!」
猫吊るしの指差すほうを見ると確かに簡素なベッドがある。
「そうじゃなくて」
「風呂は一階です!」
「自分の家だし知ってるよ!!」
突っ込みどころが多すぎて頭を抱えるしかない。
「あー、もういい。これは全部夢だったんだ。艦娘なんていないし家も改造されてない。風呂入って寝て目覚めればいつも通りの生活だ」
「これが現実です。現実って残酷ですね」
「徹頭徹尾お前のせいだろうが」
「そもそも深海棲艦がいなければこんなことをする必要もなかったのであいつらのせいです」
「もっと別のやり方もあっただろ!?」
「防衛費の1%しか割当たっていない弱小プロジェクトなので、費用は節約したいのです」
「さっき一大プロジェクトって言ってたでしょぉ!?」
「さぁさぁ今日は忙しかったことだし風呂入って寝ましょう。明日は今日より忙しいですよ!!」
「俺の話を聞けよぉぉぉぉぉ!?」
猫をぶん回しながら階段を上っていく猫吊るし。
「これ俺んちの二階じゃねーの?」
「えぇ、丁度おあつらえ向きの部屋がありましたのでそこを改築して執務室に」
「嫌な予感しかしないが」
などと雑談してるうちに両開きの立派な扉の前までたどり着く。
「もしかして」
「もしかしなくても執務室です」
「いやそうじゃない。ここ俺の部屋のはずだったろ。こんなでかい扉はなかったけど!」
「開けますよー」
例によって例のごとく提督の慟哭は無視される。
中には山と積まれたダンボール。提督の私物は一つもない。
「……あのー」
「猫吊るしに、何か落ち度でも?」
「ここにあった俺の物は?」
「全部倉庫に入れて錠前かけておきました」
「返せよ!!」
もはや今日一日で何度叫んだかわからない。
「留守の間に盗まれたら大変じゃないですか」
「留守の間に押し入って家を丸ごと改造するヤツの台詞じゃねーだろそれ!」
「でもご安心ください」
「なんだよ」
「ベッドは用意してあります!」
猫吊るしの指差すほうを見ると確かに簡素なベッドがある。
「そうじゃなくて」
「風呂は一階です!」
「自分の家だし知ってるよ!!」
突っ込みどころが多すぎて頭を抱えるしかない。
「あー、もういい。これは全部夢だったんだ。艦娘なんていないし家も改造されてない。風呂入って寝て目覚めればいつも通りの生活だ」
「これが現実です。現実って残酷ですね」
「徹頭徹尾お前のせいだろうが」
「そもそも深海棲艦がいなければこんなことをする必要もなかったのであいつらのせいです」
「もっと別のやり方もあっただろ!?」
「防衛費の1%しか割当たっていない弱小プロジェクトなので、費用は節約したいのです」
「さっき一大プロジェクトって言ってたでしょぉ!?」
「さぁさぁ今日は忙しかったことだし風呂入って寝ましょう。明日は今日より忙しいですよ!!」
「俺の話を聞けよぉぉぉぉぉ!?」
75: 2013/11/08(金) 01:23:00.38 ID:4xkjuwZho
実際疲れたので(主に突っ込みによる疲労)風呂に入った後は泥のように眠った。
そして日はまた昇る。
「しれぇ、しれぇ」
「んあ…、雪風か?」
自分を揺り起こす雪風の存在が、昨日のことは夢ではなかったと認識させる。
「おはよう、雪風」
「おはようございます、しれぇかん!」
屈託のない笑顔とともに挨拶を返す雪風。
「……つーかなんで雪風が俺の部屋にいるんだ?」
「『提督を起こすのも秘書艦の勤め』って猫持ってる人が言ってました!」
「秘書艦という概念はまぁわかりそうだからいいとして猫吊るしェ…余計な入れ知恵しやがって」
ベッドから起き上がる。机の上に白い軍服が昨日かぶっていた帽子と一緒に置かれている。これを着ろということなのだろう。
…見た目子供とはいえ女性の前で着替えるのはどう考えてもまずい。
「あー、雪風。着替えるからちょっと外出てろ」
「あのぅ…」
「なんだよ」
「『着替えを手伝うのも秘書艦の勤め』って猫持ってる人が」
頬をほんのり染めながら雪風が返答する。
「猫吊るし、出てこいやゴルァ!!!」
…前途多難な提督が鎮守府に着任しました。
そして日はまた昇る。
「しれぇ、しれぇ」
「んあ…、雪風か?」
自分を揺り起こす雪風の存在が、昨日のことは夢ではなかったと認識させる。
「おはよう、雪風」
「おはようございます、しれぇかん!」
屈託のない笑顔とともに挨拶を返す雪風。
「……つーかなんで雪風が俺の部屋にいるんだ?」
「『提督を起こすのも秘書艦の勤め』って猫持ってる人が言ってました!」
「秘書艦という概念はまぁわかりそうだからいいとして猫吊るしェ…余計な入れ知恵しやがって」
ベッドから起き上がる。机の上に白い軍服が昨日かぶっていた帽子と一緒に置かれている。これを着ろということなのだろう。
…見た目子供とはいえ女性の前で着替えるのはどう考えてもまずい。
「あー、雪風。着替えるからちょっと外出てろ」
「あのぅ…」
「なんだよ」
「『着替えを手伝うのも秘書艦の勤め』って猫持ってる人が」
頬をほんのり染めながら雪風が返答する。
「猫吊るし、出てこいやゴルァ!!!」
…前途多難な提督が鎮守府に着任しました。
82: 2013/11/10(日) 00:08:26.04 ID:H6zIQwDRo
ある日の鎮守府。夜も更けた頃。
提督「ふー、今日の仕事おっしまーい。書類の6割が陸軍への反対サインを書く仕事って言うことを除けば上々だな」
提督「あまりにも多すぎるから『断固反対』の芋版作ってしまったが全く文句でないな」
提督「…というかなんで陸軍への書類を俺が署名しなきゃならねーんだよ!! 俺は漁師だろ!?」
コン、コン。
提督「開いてるよ」
扉を開けて入ってきたのは泣き顔の雪風。
雪風「しれぇ……、よかっ、た…いました…」
そのまま提督の胸元に飛び込み、泣きつく。
提督「どうした、雪風?」
雪風「うぁぁぁぁぁん!!」
泣き続ける雪風。
提督(収まるまで待つか…)
提督「ふー、今日の仕事おっしまーい。書類の6割が陸軍への反対サインを書く仕事って言うことを除けば上々だな」
提督「あまりにも多すぎるから『断固反対』の芋版作ってしまったが全く文句でないな」
提督「…というかなんで陸軍への書類を俺が署名しなきゃならねーんだよ!! 俺は漁師だろ!?」
コン、コン。
提督「開いてるよ」
扉を開けて入ってきたのは泣き顔の雪風。
雪風「しれぇ……、よかっ、た…いました…」
そのまま提督の胸元に飛び込み、泣きつく。
提督「どうした、雪風?」
雪風「うぁぁぁぁぁん!!」
泣き続ける雪風。
提督(収まるまで待つか…)
83: 2013/11/10(日) 00:09:54.71 ID:H6zIQwDRo
しばらくして…
雪風「やらぁ……いっちゃ、やだぁ…ぐすっ」
提督「落ち着いたか?」
雪風「うっ…ぐすっ……」
提督「で、どうした? 何か嫌な夢でも見たか?」
雪風「はい…。みんな、みんな氏んでいって、最後にはしれぇも…」
提督「OKわかったそれ以上思い出さなくていい。辛いだろ」
雪風「しれぇは……しれぇは、いなくならないですよね……?」
提督「当たり前だろ。まだまだやることがあるのに氏ねるかってんだ」ナデナデ
提督「さて、ちょいと外出て新鮮な空気でも吸ってくるか。雪風も来るか?」
雪風「はい……!」
雪風「やらぁ……いっちゃ、やだぁ…ぐすっ」
提督「落ち着いたか?」
雪風「うっ…ぐすっ……」
提督「で、どうした? 何か嫌な夢でも見たか?」
雪風「はい…。みんな、みんな氏んでいって、最後にはしれぇも…」
提督「OKわかったそれ以上思い出さなくていい。辛いだろ」
雪風「しれぇは……しれぇは、いなくならないですよね……?」
提督「当たり前だろ。まだまだやることがあるのに氏ねるかってんだ」ナデナデ
提督「さて、ちょいと外出て新鮮な空気でも吸ってくるか。雪風も来るか?」
雪風「はい……!」
84: 2013/11/10(日) 00:12:09.36 ID:H6zIQwDRo
提督「川内を夜の間に長期遠征に送りつけるようにしてから静かになったもんだ……まぁちょっと寂しくはあるな」
ドゥーン
提督「ん? 爆発音?」
雪風「訓練場の方からですね」
提督「こんな夜中に訓練するヤツがいるのか。ちょっと見てくるか。それにもし弾薬の爆発だったら困るし」
北上「よし、全弾命中、っと」
提督「おー、北上じゃないか。一人で雷撃の訓練か?」
北上「まー、そんなところですね」
雪風「こんばんは、北上さん」
北上「こんばんは、って涙の跡ついてるじゃん。提督に泣かされたの?」フキフキ
雪風「うにゅぅ」
提督「本人がここにいるってのに酷いなお前」
北上「ジョークですよ、ジョーク」
雪風「みんなが氏んじゃう夢を見ちゃって…それで…グスッ」
北上「あー、そういうこと、あるよねー…」
提督「お前もか」
北上「長く生き延びるって言うのは何もいいことばかりってわけじゃないんですよ。特に戦争中は」
ドゥーン
提督「ん? 爆発音?」
雪風「訓練場の方からですね」
提督「こんな夜中に訓練するヤツがいるのか。ちょっと見てくるか。それにもし弾薬の爆発だったら困るし」
北上「よし、全弾命中、っと」
提督「おー、北上じゃないか。一人で雷撃の訓練か?」
北上「まー、そんなところですね」
雪風「こんばんは、北上さん」
北上「こんばんは、って涙の跡ついてるじゃん。提督に泣かされたの?」フキフキ
雪風「うにゅぅ」
提督「本人がここにいるってのに酷いなお前」
北上「ジョークですよ、ジョーク」
雪風「みんなが氏んじゃう夢を見ちゃって…それで…グスッ」
北上「あー、そういうこと、あるよねー…」
提督「お前もか」
北上「長く生き延びるって言うのは何もいいことばかりってわけじゃないんですよ。特に戦争中は」
85: 2013/11/10(日) 00:15:30.43 ID:H6zIQwDRo
北上「あたしが生き延びたとしても他のみんなも生き延びるわけじゃない。友人や知り合いの氏を知るのは辛いもんだよ」
北上「あたしも時々、大井っちが氏ぬ夢を見たり、乗員がアレに……いや、やめよう、この話は」
提督「そういう時、お前はどうしてるんだ?」
北上「そうですねー。気分転換にこう、訓練とかしてますね」
提督「よく大井が許したもんだな。べったりひっついて離れなさそうだが」
北上「等身大抱き枕用意してそれ身代わりにしました」
提督「Oh...」
北上「で、まぁこうやって、と」
北上がボタンを押すと的となる船が流れてくる。
魚雷発射管を構えて、撃つ。容易く的が吹っ飛ぶ。
北上「こんな感じですね」
北上「あたしも時々、大井っちが氏ぬ夢を見たり、乗員がアレに……いや、やめよう、この話は」
提督「そういう時、お前はどうしてるんだ?」
北上「そうですねー。気分転換にこう、訓練とかしてますね」
提督「よく大井が許したもんだな。べったりひっついて離れなさそうだが」
北上「等身大抱き枕用意してそれ身代わりにしました」
提督「Oh...」
北上「で、まぁこうやって、と」
北上がボタンを押すと的となる船が流れてくる。
魚雷発射管を構えて、撃つ。容易く的が吹っ飛ぶ。
北上「こんな感じですね」
86: 2013/11/10(日) 00:18:34.50 ID:H6zIQwDRo
北上「雪風もやってみる? 気が紛れるかもよ」
雪風「…やってみます」
北上「はい、演習用の模擬魚雷発射管。五連装式だけど大丈夫だよね」
手渡された魚雷発射管を構える雪風
雪風「……いつでも行けます!」
北上「じゃ、的を流すよ~」
北上が合図すると同時に備え付けのボタンを押す。
流れてくる的。その数5つ。
雪風(これ以上皆が沈むのを見たくない……)
雪風(そのためには、もっと、もっと強くならなくちゃ……!)
雪風(皆を、守れるくらいに……!)
雪風「……艦隊を、お守りします!」
雪風「…やってみます」
北上「はい、演習用の模擬魚雷発射管。五連装式だけど大丈夫だよね」
手渡された魚雷発射管を構える雪風
雪風「……いつでも行けます!」
北上「じゃ、的を流すよ~」
北上が合図すると同時に備え付けのボタンを押す。
流れてくる的。その数5つ。
雪風(これ以上皆が沈むのを見たくない……)
雪風(そのためには、もっと、もっと強くならなくちゃ……!)
雪風(皆を、守れるくらいに……!)
雪風「……艦隊を、お守りします!」
87: 2013/11/10(日) 00:21:10.50 ID:H6zIQwDRo
続けざまに放たれる魚雷。次々直撃し撃沈判定を出す的。
北上「いいねぇ、痺れるねぇ」パチパチ
雪風「…雪風、もうちょっと特訓しようと思います!」
北上「そうかい、なら付き合うよ」
提督「なんだかんだで駆逐艦娘への面倒見いいよなぁ。うざったがってる割に」
北上「んー…まぁ、ついつい面倒見ちゃって。で懐かれちゃって」
北上「ベタベタされすぎるのもちょっと、ね」
提督「そうか……」
ちらりと雪風の方を見る。一所懸命に的を撃っている。
提督「俺もいっちょ撃ってみっか。射的みたいなもんだろ?」
北上「いいですけど……雷撃は中近距離での砲撃より難しいですよ?」
提督「やってみなきゃわからんだろう? 雪風、俺にもちょっとやらしてくれ」
雪風「しれぇ、頑張ってください!」
雪風から魚雷発射管を受け取り、構える。
北上「いいねぇ、痺れるねぇ」パチパチ
雪風「…雪風、もうちょっと特訓しようと思います!」
北上「そうかい、なら付き合うよ」
提督「なんだかんだで駆逐艦娘への面倒見いいよなぁ。うざったがってる割に」
北上「んー…まぁ、ついつい面倒見ちゃって。で懐かれちゃって」
北上「ベタベタされすぎるのもちょっと、ね」
提督「そうか……」
ちらりと雪風の方を見る。一所懸命に的を撃っている。
提督「俺もいっちょ撃ってみっか。射的みたいなもんだろ?」
北上「いいですけど……雷撃は中近距離での砲撃より難しいですよ?」
提督「やってみなきゃわからんだろう? 雪風、俺にもちょっとやらしてくれ」
雪風「しれぇ、頑張ってください!」
雪風から魚雷発射管を受け取り、構える。
88: 2013/11/10(日) 00:21:42.22 ID:H6zIQwDRo
北上「いっきますよー」
提督「かもーんべいべー……そこだっ!!」
スカッ スカッスカッ
提督「(・ε・)<アルェー」
雪風「しれぇ…」
北上「基本、魚雷は砲弾より遅いですからねー。動きを予測して、偏差射撃で狙わないと」
北上「あるいは、相手に肉薄して撃つとか」
提督「難しいもんだな……」
北上「でしょう?」
提督「俺も練習するかねー」
北上「提督がー?」
提督「なぁに、書類仕事ばかりやってると体が鈍るし、深海棲艦がうろついてる現状漁もできん。別に訓練したところで害があるわけでもなし」
提督「それに雪風が頑張ってるのに俺が何もしないってのもね。ま、今後はちょくちょく訓練場へ様子見に行くかね」
そう言って雪風に魚雷発射管を返す。
提督「んじゃ、ふたりとも頑張るのはいいがあんまり遅くならないようにな~。俺は寝る!」
北上「ん、おやすみー」
雪風「しれぇ、おやすみなさい!」
提督「かもーんべいべー……そこだっ!!」
スカッ スカッスカッ
提督「(・ε・)<アルェー」
雪風「しれぇ…」
北上「基本、魚雷は砲弾より遅いですからねー。動きを予測して、偏差射撃で狙わないと」
北上「あるいは、相手に肉薄して撃つとか」
提督「難しいもんだな……」
北上「でしょう?」
提督「俺も練習するかねー」
北上「提督がー?」
提督「なぁに、書類仕事ばかりやってると体が鈍るし、深海棲艦がうろついてる現状漁もできん。別に訓練したところで害があるわけでもなし」
提督「それに雪風が頑張ってるのに俺が何もしないってのもね。ま、今後はちょくちょく訓練場へ様子見に行くかね」
そう言って雪風に魚雷発射管を返す。
提督「んじゃ、ふたりとも頑張るのはいいがあんまり遅くならないようにな~。俺は寝る!」
北上「ん、おやすみー」
雪風「しれぇ、おやすみなさい!」
92: 2013/11/12(火) 02:02:25.90 ID:7D8fxUzBo
深夜。川内も夜戦に飽きて寝静まる頃。
鎮守府に戻る者一人。
提督「…ただいま」
勝手知ったる我が家、暗い廊下を歩き、自室に戻る。
もはや着替える気力もなく、椅子に深く腰掛けもたれかかる。
提督「……はぁ、俺って何やってるんだろうなぁ」
コンコン、とノックの音。
提督「雪風か?」
雪風「しれぇ、失礼します…」
しずしずと入ってくる雪風
提督「まぁ礼とかこだわるタチでもないけどな……どうした?」
雪風「なんだか、しれぇが元気無さそうだったので心配になって…」
提督「雪風こそなんで起きてんだ」
雪風「ちょっと眠れなくって、それで、廊下を歩いてたらしれぇが帰ってきたのを見て…」
提督「そうか……。ちょっとおいで」
雪風「なんでしょう?」トコtコ
近づいてきた雪風を膝に載せ、そのまま抱きしめる。
雪風「わわっ、しれぇ!?」
提督「……。」
雪風「しれぇ、泣いてるのですか……?」
提督「……あぁ」
雪風「辛いの、ですか…?」
提督「そんな日もある」
雪風「雪風に、なにか役に立てることがあれば…」
提督「何か寂しい気分でな。こう、そばに居てくれるだけでいい……」
雪風「しれぇ……」
しばし後…
提督「雪風……Zzz……」
雪風「……眠っちゃったみたいですね」
雪風「風邪引いちゃったら困るので毛布を掛けて…」
雪風「雪風が潜って密着すれば大丈夫」
雪風「雪風がお守り…しま…Zzz…」
鎮守府に戻る者一人。
提督「…ただいま」
勝手知ったる我が家、暗い廊下を歩き、自室に戻る。
もはや着替える気力もなく、椅子に深く腰掛けもたれかかる。
提督「……はぁ、俺って何やってるんだろうなぁ」
コンコン、とノックの音。
提督「雪風か?」
雪風「しれぇ、失礼します…」
しずしずと入ってくる雪風
提督「まぁ礼とかこだわるタチでもないけどな……どうした?」
雪風「なんだか、しれぇが元気無さそうだったので心配になって…」
提督「雪風こそなんで起きてんだ」
雪風「ちょっと眠れなくって、それで、廊下を歩いてたらしれぇが帰ってきたのを見て…」
提督「そうか……。ちょっとおいで」
雪風「なんでしょう?」トコtコ
近づいてきた雪風を膝に載せ、そのまま抱きしめる。
雪風「わわっ、しれぇ!?」
提督「……。」
雪風「しれぇ、泣いてるのですか……?」
提督「……あぁ」
雪風「辛いの、ですか…?」
提督「そんな日もある」
雪風「雪風に、なにか役に立てることがあれば…」
提督「何か寂しい気分でな。こう、そばに居てくれるだけでいい……」
雪風「しれぇ……」
しばし後…
提督「雪風……Zzz……」
雪風「……眠っちゃったみたいですね」
雪風「風邪引いちゃったら困るので毛布を掛けて…」
雪風「雪風が潜って密着すれば大丈夫」
雪風「雪風がお守り…しま…Zzz…」
104: 2013/11/18(月) 01:33:19.03 ID:bs6DsjMno
提督「着替えぐらい自分で出来るに決まってるだろ畜生めブツブツ」
何はともあれ着替えを終える。
(雪風には一時的に外に出てもらった)
提督「とはいえ、提督って何するんだ? 陸軍に反対すればいいのか?」
大淀「お答えしましょう」
いつの間にやら提督の横に現れる大淀。
大淀「まず、提督には艦娘達の指揮を取ってこの鎮守府近辺の制海権を握ってもらいます」
提督「めちゃくちゃ曖昧だな」
大淀「偵察部隊を撃破して、南西諸島方面から来る部隊を撃退して、
製油所近辺の敵を一掃し、敵主力を完膚なきまでに叩きのめすだけの簡単な作業ですよ」
割と大変そうなことをさらりと言ってのける大淀。
提督「それを雪風と初霜の二人にやらせろと?」
大淀「もちろん戦力不足です」
提督「駄目じゃん!」
大淀「そこで、建造などを行って戦力増強を図ります。では昨日の元倉庫へいらしてください。
私は他の仕事があるのでいけませんが猫吊るしさんや雪風さんたちもそこで待っていますよ」
そう言って執務室を出て行く大淀。
提督「……『元』? おいちょっと待てどういうことだ……?」
疑問に思いながらも昨日の倉庫へ足を運ぶ。
何はともあれ着替えを終える。
(雪風には一時的に外に出てもらった)
提督「とはいえ、提督って何するんだ? 陸軍に反対すればいいのか?」
大淀「お答えしましょう」
いつの間にやら提督の横に現れる大淀。
大淀「まず、提督には艦娘達の指揮を取ってこの鎮守府近辺の制海権を握ってもらいます」
提督「めちゃくちゃ曖昧だな」
大淀「偵察部隊を撃破して、南西諸島方面から来る部隊を撃退して、
製油所近辺の敵を一掃し、敵主力を完膚なきまでに叩きのめすだけの簡単な作業ですよ」
割と大変そうなことをさらりと言ってのける大淀。
提督「それを雪風と初霜の二人にやらせろと?」
大淀「もちろん戦力不足です」
提督「駄目じゃん!」
大淀「そこで、建造などを行って戦力増強を図ります。では昨日の元倉庫へいらしてください。
私は他の仕事があるのでいけませんが猫吊るしさんや雪風さんたちもそこで待っていますよ」
そう言って執務室を出て行く大淀。
提督「……『元』? おいちょっと待てどういうことだ……?」
疑問に思いながらも昨日の倉庫へ足を運ぶ。
105: 2013/11/18(月) 01:35:02.79 ID:bs6DsjMno
昨日の元倉庫前。そこには猫吊るしが猫を吊るして待っていた。
提督「おはようの前に言いたい事があるんだが。お前いったい雪風に何吹き込んだんだ。
朝起こしたり着替えを手伝ったりするのは秘書の仕事じゃねーから!!」
猫吊「軽いジョークですよ」
提督「本気にしてたぞ。全くブツブツ」
ぶつくさ言いながら倉庫のシャッターを開ける。
昨日のがらんとした広間に資材が積まれている、といった光景はなく、これは…
提督「まるで、工廠じゃねーか…!!」
猫吊「そうです。妖精さんたちが一晩でやってくれました」
提督「こんなの絶対おかしいよ!?」
奥にある製造装置の前では三人の艦娘が待っていた。
……三人?
提督「あの栗毛の短めおさげセーラー服誰だよ」
猫吊「白雪といいます。政府からの支給です」
提督「大量生産してんのか」
猫吊「いえ、艦娘計画のプレゼンテーション時に最低資材で造った娘をそのまま流用しただけですが」
提督「とことん低コストだな」
猫吊「実力を見せれば政府から支給される資材も増えてくるので頑張ってくださいね」
提督「実力見せろといわれてもねぇ…」
はぁ、とため息をつく。
提督「とりあえず大淀から戦力整えろといわれたんだがどのくらい造ればいいんだよ」
猫吊「一艦隊六隻なんであと三隻要りますね。配分は最低限でかまいません」
提督「何か一発どでかいの当てたほうがよくないか?」
猫吊「当たるとは限りませんし、戦艦や正規空母当たっても今の資材量じゃ極貧生活強いられますよ」
提督「妙に現実的なこと言いやがって」
ぶつくさ言いながら艦娘たちのところへ向かう。
提督「おはようの前に言いたい事があるんだが。お前いったい雪風に何吹き込んだんだ。
朝起こしたり着替えを手伝ったりするのは秘書の仕事じゃねーから!!」
猫吊「軽いジョークですよ」
提督「本気にしてたぞ。全くブツブツ」
ぶつくさ言いながら倉庫のシャッターを開ける。
昨日のがらんとした広間に資材が積まれている、といった光景はなく、これは…
提督「まるで、工廠じゃねーか…!!」
猫吊「そうです。妖精さんたちが一晩でやってくれました」
提督「こんなの絶対おかしいよ!?」
奥にある製造装置の前では三人の艦娘が待っていた。
……三人?
提督「あの栗毛の短めおさげセーラー服誰だよ」
猫吊「白雪といいます。政府からの支給です」
提督「大量生産してんのか」
猫吊「いえ、艦娘計画のプレゼンテーション時に最低資材で造った娘をそのまま流用しただけですが」
提督「とことん低コストだな」
猫吊「実力を見せれば政府から支給される資材も増えてくるので頑張ってくださいね」
提督「実力見せろといわれてもねぇ…」
はぁ、とため息をつく。
提督「とりあえず大淀から戦力整えろといわれたんだがどのくらい造ればいいんだよ」
猫吊「一艦隊六隻なんであと三隻要りますね。配分は最低限でかまいません」
提督「何か一発どでかいの当てたほうがよくないか?」
猫吊「当たるとは限りませんし、戦艦や正規空母当たっても今の資材量じゃ極貧生活強いられますよ」
提督「妙に現実的なこと言いやがって」
ぶつくさ言いながら艦娘たちのところへ向かう。
106: 2013/11/18(月) 01:37:03.67 ID:bs6DsjMno
製造装置前。妙に物々しい4つのドラム。
(妖精が造るんだったらこれいらないんじゃねーの?)などと思うが口には出さない。
雪風「しれぇ、おはようございます!」
初霜「おはようございます、提督」
白雪「白雪です。よろしくお願いします」
提督「あー、そうかしこまらなくっていいぞ。ここに集まってるって事は既に話は聞いているのか」
初霜「はい、六隻揃えて演習に行くとか」
提督「あ? 演習? 出撃じゃなくて?」
猫吊「海でいきなり泳いでも足攣って沈むのがオチです。準備運動ってヤツですよ」
提督「……まぁ、筋は通っているが相手は誰だよ。3対3の模擬戦か?」
猫吊「防衛費の1%を使った一大プロジェクトを舐めてはいけませんよ」
提督「何度やるつもりだよそのネタ」
猫吊「とりあえず造ってください。その後演習場に行きましょう」
提督「へいへい」
(妖精が造るんだったらこれいらないんじゃねーの?)などと思うが口には出さない。
雪風「しれぇ、おはようございます!」
初霜「おはようございます、提督」
白雪「白雪です。よろしくお願いします」
提督「あー、そうかしこまらなくっていいぞ。ここに集まってるって事は既に話は聞いているのか」
初霜「はい、六隻揃えて演習に行くとか」
提督「あ? 演習? 出撃じゃなくて?」
猫吊「海でいきなり泳いでも足攣って沈むのがオチです。準備運動ってヤツですよ」
提督「……まぁ、筋は通っているが相手は誰だよ。3対3の模擬戦か?」
猫吊「防衛費の1%を使った一大プロジェクトを舐めてはいけませんよ」
提督「何度やるつもりだよそのネタ」
猫吊「とりあえず造ってください。その後演習場に行きましょう」
提督「へいへい」
107: 2013/11/18(月) 01:38:26.99 ID:bs6DsjMno
艦娘建造中……
提督「何でバーナーで炙るとすぐ完成するんだよ」
猫吊「焼きチョコは美味しいですから」
提督「資材…チョコ…うっ、頭が」
(時間軸がおかしいことについては追求してはいけない。いいね?)
提督「何でバーナーで炙るとすぐ完成するんだよ」
猫吊「焼きチョコは美味しいですから」
提督「資材…チョコ…うっ、頭が」
(時間軸がおかしいことについては追求してはいけない。いいね?)
108: 2013/11/18(月) 01:39:34.64 ID:bs6DsjMno
「電です」「皐月だよっ」「如月と申します」
提督「あぁ、よろしくな」
猫吊「見事に駆逐艦ばっかりですねー」
提督「何か孤児院の院長になった気分がするよ」
猫吊「かわいいでしょう?」
提督「いや強くなけりゃ駄目だと思うが」
猫吊「では、早速演習場にいきましょう」
演習場。どでかい敷地の8~9割をプールが占める屋内訓練場である。
提督「で、相手はどこだよ」
猫吊「別の平行世界の鎮守府から艦隊のデータを取り出してホログラフィー表示した相手と戦っていただきます」
提督「今ものすごくサイエンスフィクションでオーパーツな単語が聞こえた気がするんだが」
猫吊「かがくのちからってすげー」
提督「というか別世界にも艦娘がいるのかよ!? どんだけだよ!?」
猫吊「では、準備できたら行きますよー」
雪風「連合艦隊、出撃します!」
駆逐艦s「「「「「おー!!」」」」」
提督「あぁ、よろしくな」
猫吊「見事に駆逐艦ばっかりですねー」
提督「何か孤児院の院長になった気分がするよ」
猫吊「かわいいでしょう?」
提督「いや強くなけりゃ駄目だと思うが」
猫吊「では、早速演習場にいきましょう」
演習場。どでかい敷地の8~9割をプールが占める屋内訓練場である。
提督「で、相手はどこだよ」
猫吊「別の平行世界の鎮守府から艦隊のデータを取り出してホログラフィー表示した相手と戦っていただきます」
提督「今ものすごくサイエンスフィクションでオーパーツな単語が聞こえた気がするんだが」
猫吊「かがくのちからってすげー」
提督「というか別世界にも艦娘がいるのかよ!? どんだけだよ!?」
猫吊「では、準備できたら行きますよー」
雪風「連合艦隊、出撃します!」
駆逐艦s「「「「「おー!!」」」」」
110: 2013/11/18(月) 01:43:31.79 ID:bs6DsjMno
対戦相手
金剛、瑞鶴、響、榛名、大和、翔鶴
提督「あー、猫吊るしよ」
猫吊「なんでしょう?」
提督「……どう見ても強そうに見えるんだが?」
猫吊「まぁ相手は元帥クラスですしね」
提督「明らかに格が違いすぎでしょぉ!? こっち新米のぺーぺーよ!?」
猫吊「元帥クラスなので仕方ないです」
提督「こっちの強さにあった奴と戦うべきじゃないの!?」
猫吊「演習の場合強い相手と戦ったほうが成長しますよ。それに駆逐だってワンチャンありますよ」
提督「そんなもんかね……って雪風どうした。目に涙浮かべて」
雪風「あ……あの……大和、さん…が…」
初霜「落ち着いて。あくまで大和さんの姿したホログラフィーらしいから」
雪風「で、でも…ぐすっ」
初霜「ほら、泣いてたら大和さんに笑われちゃいますよ? ここで頑張ってる姿見せないと!」
雪風「……はい! 頑張ります!」
提督(初霜、ナイスカバー)グッ
金剛、瑞鶴、響、榛名、大和、翔鶴
提督「あー、猫吊るしよ」
猫吊「なんでしょう?」
提督「……どう見ても強そうに見えるんだが?」
猫吊「まぁ相手は元帥クラスですしね」
提督「明らかに格が違いすぎでしょぉ!? こっち新米のぺーぺーよ!?」
猫吊「元帥クラスなので仕方ないです」
提督「こっちの強さにあった奴と戦うべきじゃないの!?」
猫吊「演習の場合強い相手と戦ったほうが成長しますよ。それに駆逐だってワンチャンありますよ」
提督「そんなもんかね……って雪風どうした。目に涙浮かべて」
雪風「あ……あの……大和、さん…が…」
初霜「落ち着いて。あくまで大和さんの姿したホログラフィーらしいから」
雪風「で、でも…ぐすっ」
初霜「ほら、泣いてたら大和さんに笑われちゃいますよ? ここで頑張ってる姿見せないと!」
雪風「……はい! 頑張ります!」
提督(初霜、ナイスカバー)グッ
112: 2013/11/18(月) 01:46:50.84 ID:bs6DsjMno
そんなこんなで戦闘開始
皐月「ボクとやり合う気なの? かわい(ドクチァ」>大破<
提督「おもいっきり顔面に弾が当たってるように見えるんだが」
猫吊「大丈夫ですよ。轟沈はしませんし終了後に直しますし。弾と燃料代は自腹ですが」
提督「そのくらい出してよ!?」
猫吊「不景気なもので」
電「電の本気を見るのです!」
ドゥーン
提督「お、相手の翔鶴が中破したか!? これで相手の手数が」
ブーン ドグチァ
如月「私を…どうする気!?」>大破<
提督「昨日寝る前にちょっと読んだ艦娘説明書には『中大破した空母は交戦中艦載機を飛ばせません』とあったでしょぉ!?」
猫吊「敵の空母には適用されないのでそこらへん再現してあります。敵は深海棲艦であることをお忘れなく」
提督「ちょっと理不尽すぎやしませんかね!?」
猫吊「私が深海棲艦作ったわけじゃないですし」
皐月「ボクとやり合う気なの? かわい(ドクチァ」>大破<
提督「おもいっきり顔面に弾が当たってるように見えるんだが」
猫吊「大丈夫ですよ。轟沈はしませんし終了後に直しますし。弾と燃料代は自腹ですが」
提督「そのくらい出してよ!?」
猫吊「不景気なもので」
電「電の本気を見るのです!」
ドゥーン
提督「お、相手の翔鶴が中破したか!? これで相手の手数が」
ブーン ドグチァ
如月「私を…どうする気!?」>大破<
提督「昨日寝る前にちょっと読んだ艦娘説明書には『中大破した空母は交戦中艦載機を飛ばせません』とあったでしょぉ!?」
猫吊「敵の空母には適用されないのでそこらへん再現してあります。敵は深海棲艦であることをお忘れなく」
提督「ちょっと理不尽すぎやしませんかね!?」
猫吊「私が深海棲艦作ったわけじゃないですし」
113: 2013/11/18(月) 01:48:44.99 ID:bs6DsjMno
昼戦終了
提督「どう見ても全員大破です本当にありがとうございました」
猫吊「夜戦します? 大破してなければワンチャンありますよ」
提督「全員大破だって言ったじゃないですかー! やだー!! 撤退撤退!」
雪風「しれぇ、ごめんなさい…」グスッ
提督「いや謝ることはねーって」ポフポフ
提督「…しかしこんな強いのと戦い続けるのが演習なのか?」
猫吊「いえ、他の相手は艦隊の実力相応ですが」
提督「そっち先に出せよ!!」
艦娘演習中……
提督「あー、普通に戦えてるなー…」
猫吊「でしょう?」
提督「だからなんでお前がドヤ顔してんの?」
提督「どう見ても全員大破です本当にありがとうございました」
猫吊「夜戦します? 大破してなければワンチャンありますよ」
提督「全員大破だって言ったじゃないですかー! やだー!! 撤退撤退!」
雪風「しれぇ、ごめんなさい…」グスッ
提督「いや謝ることはねーって」ポフポフ
提督「…しかしこんな強いのと戦い続けるのが演習なのか?」
猫吊「いえ、他の相手は艦隊の実力相応ですが」
提督「そっち先に出せよ!!」
艦娘演習中……
提督「あー、普通に戦えてるなー…」
猫吊「でしょう?」
提督「だからなんでお前がドヤ顔してんの?」
114: 2013/11/18(月) 01:50:12.06 ID:bs6DsjMno
提督「よし、皆よく頑張ったな」
演習と補給を終えた皆の頭を撫でる。こころなしか皆嬉しそうである。
提督「さて、出撃するぞ! 全員ついてこい!」
雪風「はい! 頑張ります!」
初霜「初霜、出撃します!
白雪「頑張っていきましょう!」
皐月「皐月、出るよ!」
如月「如月…出撃します!」
電「なのです!」
猫吊「……まぁここから地獄の道が始まるんですけどね」
第四話、おしまい
演習と補給を終えた皆の頭を撫でる。こころなしか皆嬉しそうである。
提督「さて、出撃するぞ! 全員ついてこい!」
雪風「はい! 頑張ります!」
初霜「初霜、出撃します!
白雪「頑張っていきましょう!」
皐月「皐月、出るよ!」
如月「如月…出撃します!」
電「なのです!」
猫吊「……まぁここから地獄の道が始まるんですけどね」
第四話、おしまい
118: 2013/11/20(水) 00:18:21.90 ID:12EhByDvo
提督「あー、鉄が余ってきたな……。たまにはまともに建造するか。狙いは改最上型!」ビシッ
開発妖精「お? やるのやるの?」
提督「いくぜいくぜ。どんと戦艦レシピやってこい!」
開発妖精「あいあいさー!」
>1:20:00<
提督「違うな」
>1:25:00<
提督「これも違う」
>5:00:00<
提督「あら、あらあら」
提督「……念のためバーナーを」指パッチン
開発妖精「ふぉいあー!!」
ジュワァ
>0:00:00<
雪風「新しい仲間がシンスイしました!」
提督「毎度思うが浸水しちゃ駄目だろ」
雪風「進水ですよ! しれぇ!!」
提督「冗談はともかく陸奥であることを確認して誰に合成するか…」
??「戦艦長門だ。殴り合いなら任せておけ」
提督「( ゚3゚)<嘘っ!?」
長門「何でもアイアンボトムサウンドとやらで艦隊決戦が行われると聞いてな。急いで駆けつけてきたぞ」
提督「あー、その事なんだが…」
長門「?」
提督「もう終わっちゃった」
長門「えっ」
武蔵「よろしくな」
ながもん「ええっ」
提督「終わってなくても支援艦隊行きだったんじゃないかなーとは思うけどね」
ながもん「ナンデ!? 主力艦隊ジャナイナンデ!?」
提督「だって低速水上打撃部隊で速度統一すると資材がものすごい勢いで吹っ飛ぶし…」
ながもん「そ、そんな…待ちに待った艦隊決戦が……」
提督「……まぁいつかチャンスはめぐってくるさ。たぶん。そのときはよろしく頼むよ」
ながもん「そうだな。来る艦隊決戦に向けて鍛錬だ!」タッタッタッ
提督(……もう陸奥はLv70あるんだよなぁ……追いつけるのかなぁ。武蔵も改装済みだし…)
提督(……というか鈴谷と熊野ェ…)
開発妖精「お? やるのやるの?」
提督「いくぜいくぜ。どんと戦艦レシピやってこい!」
開発妖精「あいあいさー!」
>1:20:00<
提督「違うな」
>1:25:00<
提督「これも違う」
>5:00:00<
提督「あら、あらあら」
提督「……念のためバーナーを」指パッチン
開発妖精「ふぉいあー!!」
ジュワァ
>0:00:00<
雪風「新しい仲間がシンスイしました!」
提督「毎度思うが浸水しちゃ駄目だろ」
雪風「進水ですよ! しれぇ!!」
提督「冗談はともかく陸奥であることを確認して誰に合成するか…」
??「戦艦長門だ。殴り合いなら任せておけ」
提督「( ゚3゚)<嘘っ!?」
長門「何でもアイアンボトムサウンドとやらで艦隊決戦が行われると聞いてな。急いで駆けつけてきたぞ」
提督「あー、その事なんだが…」
長門「?」
提督「もう終わっちゃった」
長門「えっ」
武蔵「よろしくな」
ながもん「ええっ」
提督「終わってなくても支援艦隊行きだったんじゃないかなーとは思うけどね」
ながもん「ナンデ!? 主力艦隊ジャナイナンデ!?」
提督「だって低速水上打撃部隊で速度統一すると資材がものすごい勢いで吹っ飛ぶし…」
ながもん「そ、そんな…待ちに待った艦隊決戦が……」
提督「……まぁいつかチャンスはめぐってくるさ。たぶん。そのときはよろしく頼むよ」
ながもん「そうだな。来る艦隊決戦に向けて鍛錬だ!」タッタッタッ
提督(……もう陸奥はLv70あるんだよなぁ……追いつけるのかなぁ。武蔵も改装済みだし…)
提督(……というか鈴谷と熊野ェ…)
125: 2013/11/20(水) 01:20:17.96 ID:12EhByDvo
次回予告:提督と三時のおやつと鳳翔さん
提督「な、なんだこのチョコチップクッキーの山は!!」
鳳翔「さすがにそのネタは旬の時期が過ぎてると思います」
という展開ではないと思いますのでお楽しみに!!
提督「な、なんだこのチョコチップクッキーの山は!!」
鳳翔「さすがにそのネタは旬の時期が過ぎてると思います」
という展開ではないと思いますのでお楽しみに!!
127: 2013/11/21(木) 00:11:49.99 ID:fJh/oVWro
提督「潜水艦か…潜水艦かぁ……潜水艦ねぇ……ブツブツ」
コン、コン
提督「開いてるよ」
鳳翔「失礼します」
提督「鳳翔か、珍しいな。どうした?」
鳳翔「おかきが焼けましたので、ここら辺で一つ休憩して、お茶にいたしませんか?」
提督「そうだな……、ここらで一息入れるか。鳳翔も一緒にどうだ?」
鳳翔「はい、ご一緒させていただきます」
……提督こたつに移動中
コン、コン
提督「開いてるよ」
鳳翔「失礼します」
提督「鳳翔か、珍しいな。どうした?」
鳳翔「おかきが焼けましたので、ここら辺で一つ休憩して、お茶にいたしませんか?」
提督「そうだな……、ここらで一息入れるか。鳳翔も一緒にどうだ?」
鳳翔「はい、ご一緒させていただきます」
……提督こたつに移動中
128: 2013/11/21(木) 00:12:57.77 ID:fJh/oVWro
ボリボリボリボリ
提督「はふー。うめぇ」
鳳翔「まだたくさんありますから、慌てなくても大丈夫ですよ」
提督「それもそうだな」
そういいながら先ほどまで検分していた資料を改めてぱらぱらとめくる。
鳳翔「その資料は…?」
提督「西方海域の資料だ。潜水艦だらけでヨーロッパ方面の通商がとても危険だそうな」
提督「それはそうとキス島攻略部隊の育成はどうなってる?」
鳳翔「第六駆逐隊の皆さんは全員改造が終了しています。逐次近代化改装中です」
提督「よしよし」ズズー
鳳翔「島風ちゃんと雪風ちゃんは改装も完了していて後はこつこつ練度をあげるだけです」
提督「鳳翔も育成の護衛お疲れ様だ」
鳳翔「ありがとうございます…。あと、少し気になることが二点」
提督「なんだ?」ボリボリ
鳳翔「一つは雪風ちゃんがたまに浮かない表情してるんです」
提督「雪風も女の子だからなー。俺にはいえない悩みもあるだろうて」
鳳翔「放っといていいんですか?」
提督「こういうのは向こうから悩みを持ち込んでくるのを待つのが肝要だ。こっちでいじくっても大体ろくな事にならん」ズズー
提督「で、もう一つは?」
鳳翔「ここ数日、バケツと資材が夜の間に減ってるんですよ」
提督「ふーん? 艦娘以外には特段使い道ないから泥棒が入るとは考えにくいが。相当間抜けな泥棒でも1日で金にならん上足が付くと気づくはずだ」
提督「あ、でもボーキが減ってると困るな。何か政府はボーキ出すの渋ってるし」
鳳翔「ボーキは減ってないようなんですよねぇ。資材はそこまで減ってはいないんですが、バケツは一晩6個から8個ぐらいなくなってますね」
提督「……よし。わかった。まぁ川内のせいだろ。うん。夜戦してひとっ風呂浴びて夜戦してひとっ風呂浴びてるんだろ」
鳳翔「なるほど……。っていいんですか放っといて?」
提督「彼女は夜戦中毒だからね。仕方ないね」ボリボリ
鳳翔「はぁ」
提督「ごちそうさま、っと。ま、何か手は打つさ」
鳳翔「お粗末さまでした。それでは失礼いたします」
提督「じゃ、また何かあったら相談に乗るぜー」
バタム
提督「……まぁ、真犯人のあては付いてるけどねー」
果たして、真犯人は!? そして雪風の浮かない顔の原因は!? 次回、キス島撤退攻略編へ続く!!
提督「はふー。うめぇ」
鳳翔「まだたくさんありますから、慌てなくても大丈夫ですよ」
提督「それもそうだな」
そういいながら先ほどまで検分していた資料を改めてぱらぱらとめくる。
鳳翔「その資料は…?」
提督「西方海域の資料だ。潜水艦だらけでヨーロッパ方面の通商がとても危険だそうな」
提督「それはそうとキス島攻略部隊の育成はどうなってる?」
鳳翔「第六駆逐隊の皆さんは全員改造が終了しています。逐次近代化改装中です」
提督「よしよし」ズズー
鳳翔「島風ちゃんと雪風ちゃんは改装も完了していて後はこつこつ練度をあげるだけです」
提督「鳳翔も育成の護衛お疲れ様だ」
鳳翔「ありがとうございます…。あと、少し気になることが二点」
提督「なんだ?」ボリボリ
鳳翔「一つは雪風ちゃんがたまに浮かない表情してるんです」
提督「雪風も女の子だからなー。俺にはいえない悩みもあるだろうて」
鳳翔「放っといていいんですか?」
提督「こういうのは向こうから悩みを持ち込んでくるのを待つのが肝要だ。こっちでいじくっても大体ろくな事にならん」ズズー
提督「で、もう一つは?」
鳳翔「ここ数日、バケツと資材が夜の間に減ってるんですよ」
提督「ふーん? 艦娘以外には特段使い道ないから泥棒が入るとは考えにくいが。相当間抜けな泥棒でも1日で金にならん上足が付くと気づくはずだ」
提督「あ、でもボーキが減ってると困るな。何か政府はボーキ出すの渋ってるし」
鳳翔「ボーキは減ってないようなんですよねぇ。資材はそこまで減ってはいないんですが、バケツは一晩6個から8個ぐらいなくなってますね」
提督「……よし。わかった。まぁ川内のせいだろ。うん。夜戦してひとっ風呂浴びて夜戦してひとっ風呂浴びてるんだろ」
鳳翔「なるほど……。っていいんですか放っといて?」
提督「彼女は夜戦中毒だからね。仕方ないね」ボリボリ
鳳翔「はぁ」
提督「ごちそうさま、っと。ま、何か手は打つさ」
鳳翔「お粗末さまでした。それでは失礼いたします」
提督「じゃ、また何かあったら相談に乗るぜー」
バタム
提督「……まぁ、真犯人のあては付いてるけどねー」
果たして、真犯人は!? そして雪風の浮かない顔の原因は!? 次回、キス島撤退攻略編へ続く!!
134: 2013/11/22(金) 23:33:27.13 ID:jGSFJNXEo
~犯人はどのお姉さん? 問題編~
提督「正規空母諸君。今回君たちに集まってもらった理由は他でもない」
提督「昨晩と比べてボーキが減っていた! 具体的には自然回復分除いて25Kぐらい!!」クワッ
提督「さらに鋼鉄も大体25Kぐらい減ってた!!」
提督「さらにさらに弾薬も1.1Kぐらい減ってた!!!」
提督「さらにさらにさらに燃料も1Kぐらい減ってた!!!!」
提督「あまつさえ開発資材までも100個なくなってた!!!!!」
提督「というわけで正規空母諸君、心当たりのあるものは手を上げよ」
*正規空母の部屋割は一航戦、二航戦、五航戦の二人一部屋となっている。
*昨晩の秘書艦は陸奥
*電探のレシピは10/11/251/250
*以上の補足事項と提督の台詞から犯人を当てよ。なお共犯は有りうるものとする
1.赤城 2.加賀 3.蒼龍 4.飛龍 5.翔鶴 6.瑞鶴 7.その他
~解答編は正解が出るか数名外したら~
138: 2013/11/23(土) 15:58:56.20 ID:fD84/Xyio
~犯人はどのお姉さん? 解答編~
雪風「しれぇ」
提督「何だ雪風」
雪風「昨晩、しれぇは『電探作るぞうっひょぉぉぉぉぉ!』とか奇声上げながら工廠に飛び込んでいきましたよね」
提督「あー、あの時はテンションあがってたんだけど32号・14号が100回やって1個も出なかったんだよなぁ。あまりに酷いんで忘れてたてへぺろ(>ω・)」
正規空母一同「「「「「「……」」」」」」
提督「すまん。俺だって、一発博打をうちたくなる事ぐらい……ある」
「第一次攻撃隊、発「鎧袖一触よ、心「よし、友永隊、頼ん「アウトレンジで「直援隊も「攻撃隊、発艦始め!」」」」」」
提督「ぎにゃぁぁぁぁぁぁ!!」
雪風「自業自得ですよ、しれぇ……」
雪風「しれぇ」
提督「何だ雪風」
雪風「昨晩、しれぇは『電探作るぞうっひょぉぉぉぉぉ!』とか奇声上げながら工廠に飛び込んでいきましたよね」
提督「あー、あの時はテンションあがってたんだけど32号・14号が100回やって1個も出なかったんだよなぁ。あまりに酷いんで忘れてたてへぺろ(>ω・)」
正規空母一同「「「「「「……」」」」」」
提督「すまん。俺だって、一発博打をうちたくなる事ぐらい……ある」
「第一次攻撃隊、発「鎧袖一触よ、心「よし、友永隊、頼ん「アウトレンジで「直援隊も「攻撃隊、発艦始め!」」」」」」
提督「ぎにゃぁぁぁぁぁぁ!!」
雪風「自業自得ですよ、しれぇ……」
140: 2013/11/25(月) 01:42:04.64 ID:TPKR1WCko
「キス島ねぇ…」
上層部から新たな指示を受けた提督。
それは、駆逐艦のみで構成された水雷戦隊で以ってキス島に取り残された兵たちを撤退させよというものだった。
「ダルい!」
書面を机に叩き付ける。
「そもそもうちで改造レベルまでこぎつけてる駆逐艦、雪風だけじゃねーか」
提督は目を瞑り、こめかみを指でつつき始めた。
「……よし決まりだ。水雷戦隊を構成しろって命令は無視。結果を出して対処する」
「しれぇ、いいんですか?」
心配そうに雪風が問いかける。
「漁師に突然提督業やらせるような連中の話なんてまともに相手してられっか。
雪風。全力出撃の用意だ。旗艦陸奥、他は日向、山城、扶桑、赤城、加賀。この6人で行く」
上層部から新たな指示を受けた提督。
それは、駆逐艦のみで構成された水雷戦隊で以ってキス島に取り残された兵たちを撤退させよというものだった。
「ダルい!」
書面を机に叩き付ける。
「そもそもうちで改造レベルまでこぎつけてる駆逐艦、雪風だけじゃねーか」
提督は目を瞑り、こめかみを指でつつき始めた。
「……よし決まりだ。水雷戦隊を構成しろって命令は無視。結果を出して対処する」
「しれぇ、いいんですか?」
心配そうに雪風が問いかける。
「漁師に突然提督業やらせるような連中の話なんてまともに相手してられっか。
雪風。全力出撃の用意だ。旗艦陸奥、他は日向、山城、扶桑、赤城、加賀。この6人で行く」
141: 2013/11/25(月) 01:42:55.96 ID:TPKR1WCko
そしてキス島沖。
「何だよこの海流…」
露骨に操作されているとしか思えないほどの激しい渦。
「確かキス島の南東部、このあたりが合流地点よね?」
陸奥が地図を指差し確認する。
「そして海流は北向き、と。あっちのほうには空母や戦艦が見えるんだが?」
「はい、あの部隊と戦うのは得策ではないと思われます」
提督の問いに、飛ばしていた彩雲を回収しながら赤城が答える。
「まるで流砂だな。足を下ろしただけで流されるのがわかる」
一足先に海面に降りた日向がつぶやく。
「…どんな無理ゲーだよ」
「艦隊の構成によって、羅針盤を操作し海流の流れを変えることも可能らしいわ」
そう答えたのは加賀。
「まさか駆逐艦のみで構成しろっていうのは」
「知っていたのでしょうね。この海域のことを」
「畜生!! あいつらめ!! そういうことは先に言えってんだ!!」
加賀の言を遮るように提督が叫ぶ。
「不幸だわ…」
「くっそ、もうヤケだ。そこの海流の先にいる前衛部隊ボコして帰るぞ。索敵は?」
「完了しています」
「いつでも発艦できるわ」
提督の問いに応える赤城と加賀。
「オーケイ。航戦組はどうだ?」
「準備万端だ」
「こちらも問題ありません」
「いつでもいけます」
「よーし、陸奥。爆撃がすんだら一発残存兵力にお見舞いしてやれ」
「任せて」
「では…出撃だ!!」
「何だよこの海流…」
露骨に操作されているとしか思えないほどの激しい渦。
「確かキス島の南東部、このあたりが合流地点よね?」
陸奥が地図を指差し確認する。
「そして海流は北向き、と。あっちのほうには空母や戦艦が見えるんだが?」
「はい、あの部隊と戦うのは得策ではないと思われます」
提督の問いに、飛ばしていた彩雲を回収しながら赤城が答える。
「まるで流砂だな。足を下ろしただけで流されるのがわかる」
一足先に海面に降りた日向がつぶやく。
「…どんな無理ゲーだよ」
「艦隊の構成によって、羅針盤を操作し海流の流れを変えることも可能らしいわ」
そう答えたのは加賀。
「まさか駆逐艦のみで構成しろっていうのは」
「知っていたのでしょうね。この海域のことを」
「畜生!! あいつらめ!! そういうことは先に言えってんだ!!」
加賀の言を遮るように提督が叫ぶ。
「不幸だわ…」
「くっそ、もうヤケだ。そこの海流の先にいる前衛部隊ボコして帰るぞ。索敵は?」
「完了しています」
「いつでも発艦できるわ」
提督の問いに応える赤城と加賀。
「オーケイ。航戦組はどうだ?」
「準備万端だ」
「こちらも問題ありません」
「いつでもいけます」
「よーし、陸奥。爆撃がすんだら一発残存兵力にお見舞いしてやれ」
「任せて」
「では…出撃だ!!」
142: 2013/11/25(月) 01:44:23.66 ID:TPKR1WCko
「意外とあっけなかったな」
帰りの船の中で、机上の海図を見ながら提督がつぶやく。
「えぇ、そうね。半分は普通の艦でしたし」
向かいに座っている赤城が答える。
「…深海棲艦は大体同じ構成を同じ場所に張ってくる。もう何度か調べてみよう」
「何か、お考えが?」
「沖ノ島海域を大艦巨砲主義ですりつぶすことを決断して以来、重巡以下の皆の実戦経験が少なくなってきたからな。
まともに動く的を狙えないようでは話にならん」
「駆逐隊が必須ですからね」
「それに相手は見たところ水雷戦隊だ。潜水艦を出せば優先的に狙ってくるだろう」
「イムヤさんとゴーヤさんですね。…危険な気もしますが」
「まぁ回避訓練だと思えば。それに彼女らも最近入ったばっかで経験が足らん。ここらでひとつ育ってもらおう」
帰りの船の中で、机上の海図を見ながら提督がつぶやく。
「えぇ、そうね。半分は普通の艦でしたし」
向かいに座っている赤城が答える。
「…深海棲艦は大体同じ構成を同じ場所に張ってくる。もう何度か調べてみよう」
「何か、お考えが?」
「沖ノ島海域を大艦巨砲主義ですりつぶすことを決断して以来、重巡以下の皆の実戦経験が少なくなってきたからな。
まともに動く的を狙えないようでは話にならん」
「駆逐隊が必須ですからね」
「それに相手は見たところ水雷戦隊だ。潜水艦を出せば優先的に狙ってくるだろう」
「イムヤさんとゴーヤさんですね。…危険な気もしますが」
「まぁ回避訓練だと思えば。それに彼女らも最近入ったばっかで経験が足らん。ここらでひとつ育ってもらおう」
143: 2013/11/25(月) 01:45:05.72 ID:TPKR1WCko
「というわけで、しばらくキス島攻略準備シフトに移る。
キス島の近海の水雷戦隊を相手に駆逐艦たちに実戦経験を積んでもらう。
潜水コンビを囮に、空母2、戦艦で敵を殲滅、二人育成枠をローテーションで回す。
育成枠は雪風、島風、暁、響、雷、電の6人だ。
すでに改造済みの雪風を除く5人は改造できるまで練度があがったら報告すること。改造と近代化改修を行う。
疲れたら休憩、補修や補給は適当にやってくれ。補修に時間がかかりそうならバケツを使ってもいい。
遠征については暁たちが抜けた穴を初春、子日、初霜、若葉で埋める。…何か質問は?」
「はーい」
「島風か。なんだ?」
「私たちが選ばれた理由って?」
駆逐艦娘たちのほうから、私も知りたい、といった同意の呟きが漏れる。
「あぁ、簡単なことだ。島風と雪風は回避力に優れるし、
第六駆逐隊の4人は前から遠征を続けてて、練度自体はそこそこある。
…それとももっと突拍子もない理由をでっち上げてほしかったか?」
「いえ、いいです…」
「何はともあれ、今回は包囲網を突破して撤退するのが目的だ。さくっと育ってさくっと救出しよう」
キス島の近海の水雷戦隊を相手に駆逐艦たちに実戦経験を積んでもらう。
潜水コンビを囮に、空母2、戦艦で敵を殲滅、二人育成枠をローテーションで回す。
育成枠は雪風、島風、暁、響、雷、電の6人だ。
すでに改造済みの雪風を除く5人は改造できるまで練度があがったら報告すること。改造と近代化改修を行う。
疲れたら休憩、補修や補給は適当にやってくれ。補修に時間がかかりそうならバケツを使ってもいい。
遠征については暁たちが抜けた穴を初春、子日、初霜、若葉で埋める。…何か質問は?」
「はーい」
「島風か。なんだ?」
「私たちが選ばれた理由って?」
駆逐艦娘たちのほうから、私も知りたい、といった同意の呟きが漏れる。
「あぁ、簡単なことだ。島風と雪風は回避力に優れるし、
第六駆逐隊の4人は前から遠征を続けてて、練度自体はそこそこある。
…それとももっと突拍子もない理由をでっち上げてほしかったか?」
「いえ、いいです…」
「何はともあれ、今回は包囲網を突破して撤退するのが目的だ。さくっと育ってさくっと救出しよう」
144: 2013/11/25(月) 01:47:34.14 ID:TPKR1WCko
場面は変わって北方海域に向かうぷかぷか丸の上。
乗り込むは提督の他、雪風、島風、第六駆逐隊カルテット。
「とはいえ、相手がどのくらいの強さかわからないとどこまで育てればいいかわからないよなー」
「そこで威力偵察というわけだね、司令官」
「正解だ、響。もしかしたら改造や改修行わなくてもいけるんじゃないかなーという甘い考えもあるぞ」
などと言っている間に作戦海域に到着する。
「羅針盤は…南東か。明らかに流れが変わってるな。よし、出撃だ!」
「「「「「「おー!」」」」」」
艦娘戦闘中……
「一戦目は難なく突破、と。次いってみよう!!」
「私には誰も追いつけないよ!」
調子に乗って高速で突き進む島風。
遠くから響く砲撃音。
「……!? 島風、一時方向から砲撃!!」
「お"う"っ!?」
間一髪避けたものの、今の砲撃は直撃したら大破は免れ得ないものだった。
嫌な予感がする。
「島風ちゃん、大丈夫ですか!?」
「へーきへーき。だって速いもん!」
雪風が島風の安否を心配する。
とりあえず島風はおじげづく様子はなさそうである。
他の四人も追いついてくる。
「敵艦見ゆ! ……ってあれは……!!」
暁が指差した先。そこには……
乗り込むは提督の他、雪風、島風、第六駆逐隊カルテット。
「とはいえ、相手がどのくらいの強さかわからないとどこまで育てればいいかわからないよなー」
「そこで威力偵察というわけだね、司令官」
「正解だ、響。もしかしたら改造や改修行わなくてもいけるんじゃないかなーという甘い考えもあるぞ」
などと言っている間に作戦海域に到着する。
「羅針盤は…南東か。明らかに流れが変わってるな。よし、出撃だ!」
「「「「「「おー!」」」」」」
艦娘戦闘中……
「一戦目は難なく突破、と。次いってみよう!!」
「私には誰も追いつけないよ!」
調子に乗って高速で突き進む島風。
遠くから響く砲撃音。
「……!? 島風、一時方向から砲撃!!」
「お"う"っ!?」
間一髪避けたものの、今の砲撃は直撃したら大破は免れ得ないものだった。
嫌な予感がする。
「島風ちゃん、大丈夫ですか!?」
「へーきへーき。だって速いもん!」
雪風が島風の安否を心配する。
とりあえず島風はおじげづく様子はなさそうである。
他の四人も追いついてくる。
「敵艦見ゆ! ……ってあれは……!!」
暁が指差した先。そこには……
145: 2013/11/25(月) 01:49:01.23 ID:TPKR1WCko
「ル級の、エリート……だと……!?」
禍々しい赤いオーラを纏った、巨砲を両手に構える人型。
「おいおいおいおい、冗談じゃないぜ……!?」
それも、二隻。背後には重巡リ級も見える。どう考えても駆逐艦たちの相手には荷が勝ちすぎる。
「艦隊、単横陣を取れ! とにかく回避して粘る!」
もちろん、無理、無茶、無謀であった。
「ふにゃぁぁ!?」
駆逐艦達に浴びせられる砲弾の嵐。
「何よもう!雷は大丈夫なん「大丈夫じゃねーよ!! 退くぞ!!」
その圧倒的な火力は、
「暁が囮になるわ! 皆は早く逃げ…きゃん!」
そこに高い壁があると思わせるに十二分だった。
「これは少し恥ずか「恥も外聞もねーよ逃げろよ!!」
一方で雪風は…
「あ……みんな…みんな……やられちゃう…沈んじゃう……」
「雪風ちゃん、おっそーい! ほら、手握って! 急ぐよ!」
涙目になっている雪風を島風が引っ張っていく。
「雪風、島風! 後ろからもう一発来るぞ!」
「えっ!?」
「雪風ちゃん! 危ない!!」
前に突き飛ばされる雪風。着弾音。くずおれる島風の体。
「あの一瞬で後ろに回ったのか…ってそんなこと言ってる場合じゃねぇ! 急いで回収だ!」
禍々しい赤いオーラを纏った、巨砲を両手に構える人型。
「おいおいおいおい、冗談じゃないぜ……!?」
それも、二隻。背後には重巡リ級も見える。どう考えても駆逐艦たちの相手には荷が勝ちすぎる。
「艦隊、単横陣を取れ! とにかく回避して粘る!」
もちろん、無理、無茶、無謀であった。
「ふにゃぁぁ!?」
駆逐艦達に浴びせられる砲弾の嵐。
「何よもう!雷は大丈夫なん「大丈夫じゃねーよ!! 退くぞ!!」
その圧倒的な火力は、
「暁が囮になるわ! 皆は早く逃げ…きゃん!」
そこに高い壁があると思わせるに十二分だった。
「これは少し恥ずか「恥も外聞もねーよ逃げろよ!!」
一方で雪風は…
「あ……みんな…みんな……やられちゃう…沈んじゃう……」
「雪風ちゃん、おっそーい! ほら、手握って! 急ぐよ!」
涙目になっている雪風を島風が引っ張っていく。
「雪風、島風! 後ろからもう一発来るぞ!」
「えっ!?」
「雪風ちゃん! 危ない!!」
前に突き飛ばされる雪風。着弾音。くずおれる島風の体。
「あの一瞬で後ろに回ったのか…ってそんなこと言ってる場合じゃねぇ! 急いで回収だ!」
146: 2013/11/25(月) 01:51:18.76 ID:TPKR1WCko
艦娘撤退中……
「しれぇ、島風ちゃんが……雪風をかばって…!!」
雪風が悲痛な声で叫ぶ。
魚雷発射管をおろして甲板に横たわる島風の手をとって脈を計る。
「……脈はあるし呼吸もある。ちょっとばかり気を失ってるだけだ。あ、紐パン切れてやがるナンデキレルンダ」
暁たちの様子も見る。気絶はしていないものの全員ぼろぼろである。
「暁たちも…ダメっぽいな。とりあえず艤装おろして船室のベッドで休んどけ。いったん帰ろう」
「うぅ……」
「頑張ったがダメって時もあるさ。強くなってからまた来よう」
舵輪を握り提督はひとりごちる。
「しっかし、あんなのが守ってちゃ無理ゲーだな……。いやホント島に残された人は大丈夫なのかね」
「しれぇ、島風ちゃんが……雪風をかばって…!!」
雪風が悲痛な声で叫ぶ。
魚雷発射管をおろして甲板に横たわる島風の手をとって脈を計る。
「……脈はあるし呼吸もある。ちょっとばかり気を失ってるだけだ。あ、紐パン切れてやがるナンデキレルンダ」
暁たちの様子も見る。気絶はしていないものの全員ぼろぼろである。
「暁たちも…ダメっぽいな。とりあえず艤装おろして船室のベッドで休んどけ。いったん帰ろう」
「うぅ……」
「頑張ったがダメって時もあるさ。強くなってからまた来よう」
舵輪を握り提督はひとりごちる。
「しっかし、あんなのが守ってちゃ無理ゲーだな……。いやホント島に残された人は大丈夫なのかね」
147: 2013/11/25(月) 01:52:23.32 ID:TPKR1WCko
鎮守府に戻り、風呂を浴びて、寝床について。
ベッドの中で、雪風は泣いていた。
「みんな……、雪風が、雪風が悪いんです……」
「雪風が一緒にいると……。みんな……」
「今日だって……みんな、危険な目に、あって…」
「島風ちゃんも……雪風をかばって……」
「雪風は……皆が沈むところなんて……見たく…な…グスッ」
ベッドの中で、雪風は泣いていた。
「みんな……、雪風が、雪風が悪いんです……」
「雪風が一緒にいると……。みんな……」
「今日だって……みんな、危険な目に、あって…」
「島風ちゃんも……雪風をかばって……」
「雪風は……皆が沈むところなんて……見たく…な…グスッ」
148: 2013/11/25(月) 01:55:35.31 ID:TPKR1WCko
キス島編前編おわり
欲望に任せると雪風が泣いて提督がそれを慰める話ばっかになりそうなので
>突然の安価<
前回は2レスになってしまったが1レスで終わるようなるべく努力する提督と艦娘の小話書くよ!!
↓1以降有効艦娘で(既出なら安価下)
欲望に任せると雪風が泣いて提督がそれを慰める話ばっかになりそうなので
>突然の安価<
前回は2レスになってしまったが1レスで終わるようなるべく努力する提督と艦娘の小話書くよ!!
↓1以降有効艦娘で(既出なら安価下)
154: 2013/11/26(火) 01:41:16.47 ID:IEp8JSaoo
それはキス島攻略のための訓練中のことであった。
毎度のごとく深海棲艦を鹵獲しては解体するいつものこと…。
提督「さーて、今回の雫(ドロップ)はー?」ドスッ
チ級エリ「ウボァー」
開けた穴に手を突っ込む。…掴んだ感触がいつもと違う。
提督「これは、ヌルリ、と来たぜぇ……!!」
金剛「誰をGet!!しましたカー?」
提督「こいつぁ間違いなく金剛型の感触……!! だが、金剛・榛名・霧島、既にいるどの三名とも違う……!!」
金剛「Oh... ということは…」
提督「訓練中断! 鎮守府に帰投するぞ!!」
工廠
提督「ククク……これで大淀と猫吊るしの鼻をあかしてやれるぜ…!!」
ドサッ、と妖精の前に置かれる雫…とチ級の遺体。
開発妖精「はいはーい、んじゃ艦娘にするよー」
提督「しかし慣れって怖いなー。人型の深海棲艦解体しても何も思わなくなってきた」
開発妖精「『これ解体するのはちょっと』とか言いながらヲ級をそのまま持ち込んだこともあったっけ」
提督「今じゃあいい思い出だ」
開発妖精「はーい出来ましたー」
比叡「比叡です!」
提督「よろしくな。他の姉妹はとっくに着任してるぜ」
比叡「お姉さまも!?」
提督「もちろんだ。金剛なら榛名や霧島と一緒に食堂で待機してるんじゃね?」
比叡「会いに行ってもかまいませんか!?」
提督「いいぞ」
比叡「気合! 入れて!! 行きます!!!」ピューン
提督「姉妹揃えろって大淀から言われてるし一緒に居てm……もう行っちまいやがった」
提督「というかよく艤装背負ってあんな速度で走れるな……」
毎度のごとく深海棲艦を鹵獲しては解体するいつものこと…。
提督「さーて、今回の雫(ドロップ)はー?」ドスッ
チ級エリ「ウボァー」
開けた穴に手を突っ込む。…掴んだ感触がいつもと違う。
提督「これは、ヌルリ、と来たぜぇ……!!」
金剛「誰をGet!!しましたカー?」
提督「こいつぁ間違いなく金剛型の感触……!! だが、金剛・榛名・霧島、既にいるどの三名とも違う……!!」
金剛「Oh... ということは…」
提督「訓練中断! 鎮守府に帰投するぞ!!」
工廠
提督「ククク……これで大淀と猫吊るしの鼻をあかしてやれるぜ…!!」
ドサッ、と妖精の前に置かれる雫…とチ級の遺体。
開発妖精「はいはーい、んじゃ艦娘にするよー」
提督「しかし慣れって怖いなー。人型の深海棲艦解体しても何も思わなくなってきた」
開発妖精「『これ解体するのはちょっと』とか言いながらヲ級をそのまま持ち込んだこともあったっけ」
提督「今じゃあいい思い出だ」
開発妖精「はーい出来ましたー」
比叡「比叡です!」
提督「よろしくな。他の姉妹はとっくに着任してるぜ」
比叡「お姉さまも!?」
提督「もちろんだ。金剛なら榛名や霧島と一緒に食堂で待機してるんじゃね?」
比叡「会いに行ってもかまいませんか!?」
提督「いいぞ」
比叡「気合! 入れて!! 行きます!!!」ピューン
提督「姉妹揃えろって大淀から言われてるし一緒に居てm……もう行っちまいやがった」
提督「というかよく艤装背負ってあんな速度で走れるな……」
155: 2013/11/26(火) 01:42:20.86 ID:IEp8JSaoo
鎮守府玄関付近
比叡「ここが鎮守府ですね! お姉さま! 比叡が今行きますよー!!」ダッ
意気込んで駆け出した比叡。だが横から雪風が!!
雪風「……」トボトボ
比叡「わっ、と、と、と!」
ドン!
しりもちを付く雪風。
比叡「あっ、ご、ごめん、大丈夫?」
手を貸し、雪風を助け起こす比叡。
雪風「こちらこそごめんな…さ……あ……」
比叡「ん? どうしました?」
雪風「ひえ、い、さん……」
比叡「はい、比叡ですよ?」
雪風「……ぅ…う"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ん!! ごべんなざいごべんなざい"ぃ"ぃ"ぃ"!!」ギュムッ
比叡「え、ちょ、ちょっと。怒ってないから落ち着いて」
雪風「ひえ"-ざんごべんなざい"、ごべんなざい"……グシュグシュ」
提督「ふー、追いついた、ってなにやってんの」
比叡「あー、その、司令、この子とぶつかったら突然泣き出しちゃって何言っても謝るばかりで……」
提督「……雪風と聞いて心当たりは」
比叡「……あ! まさか……」
提督「雷撃処分の件だろうよ。確か猫吊るしが言ってた」
比叡「あー……あのことかぁ……」
雪風「ひぐっ……ひぐっ…許じで……ぐだざい…」
比叡「もう、しょうがないなぁ……。よいしょっ、と」
そう言って雪風を抱き上げる比叡
比叡「伝達の齟齬があったとはいえやってしまったことはしょうがないですからねぇ」ホッペブニュブニュ
雪風「うにゅぅ……」グスッ
比叡「そうですねぇ…。今すぐ泣き止んでお姉さま達のお茶会に一緒に参加するなら、許してあげますよ?」
雪風「!!」
目をパチクリさせ、目元の涙を袖で拭う雪風。
雪風「はい! ご一緒します!」
提督「よかったな、雪風」ポフポフ
雪風「えへへ」
提督「じゃ、あいつらも待ちくたびれてることだろうしとっとと食堂行こうぜ」
比叡・雪風「「はい!!」」
比叡「ここが鎮守府ですね! お姉さま! 比叡が今行きますよー!!」ダッ
意気込んで駆け出した比叡。だが横から雪風が!!
雪風「……」トボトボ
比叡「わっ、と、と、と!」
ドン!
しりもちを付く雪風。
比叡「あっ、ご、ごめん、大丈夫?」
手を貸し、雪風を助け起こす比叡。
雪風「こちらこそごめんな…さ……あ……」
比叡「ん? どうしました?」
雪風「ひえ、い、さん……」
比叡「はい、比叡ですよ?」
雪風「……ぅ…う"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ん!! ごべんなざいごべんなざい"ぃ"ぃ"ぃ"!!」ギュムッ
比叡「え、ちょ、ちょっと。怒ってないから落ち着いて」
雪風「ひえ"-ざんごべんなざい"、ごべんなざい"……グシュグシュ」
提督「ふー、追いついた、ってなにやってんの」
比叡「あー、その、司令、この子とぶつかったら突然泣き出しちゃって何言っても謝るばかりで……」
提督「……雪風と聞いて心当たりは」
比叡「……あ! まさか……」
提督「雷撃処分の件だろうよ。確か猫吊るしが言ってた」
比叡「あー……あのことかぁ……」
雪風「ひぐっ……ひぐっ…許じで……ぐだざい…」
比叡「もう、しょうがないなぁ……。よいしょっ、と」
そう言って雪風を抱き上げる比叡
比叡「伝達の齟齬があったとはいえやってしまったことはしょうがないですからねぇ」ホッペブニュブニュ
雪風「うにゅぅ……」グスッ
比叡「そうですねぇ…。今すぐ泣き止んでお姉さま達のお茶会に一緒に参加するなら、許してあげますよ?」
雪風「!!」
目をパチクリさせ、目元の涙を袖で拭う雪風。
雪風「はい! ご一緒します!」
提督「よかったな、雪風」ポフポフ
雪風「えへへ」
提督「じゃ、あいつらも待ちくたびれてることだろうしとっとと食堂行こうぜ」
比叡・雪風「「はい!!」」
156: 2013/11/26(火) 01:45:36.67 ID:IEp8JSaoo
おしまい
スレタイ、泣き虫雪風と変人提督のほうが良かったかなぁとか微妙に思い始めている。
更に原題たどると泣き虫雪風とキチOイ提督だったがそこまでイカれてないしなぁというわけで今のようになったんだけど
泣き虫雪風と釣り人提督【その3】
スレタイ、泣き虫雪風と変人提督のほうが良かったかなぁとか微妙に思い始めている。
更に原題たどると泣き虫雪風とキチOイ提督だったがそこまでイカれてないしなぁというわけで今のようになったんだけど
泣き虫雪風と釣り人提督【その3】
引用: 【艦これ】泣き虫雪風と釣り人提督
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