161: 2013/11/27(水) 00:38:09.64 ID:enRgX6xko


前回:泣き虫雪風と釣り人提督【その2】
最初から:泣き虫雪風と釣り人提督

この優しくも理不尽で残酷な世界で釣りをしたらどうなるか

鎮守府の堤防。ここだけは昔と変わらず政府も手をつけていない。つける必要がなかっただけとも言うが。
そこに立つ男が一人。

提督「やはり釣りというのは一人で静かにやるもんだよなぁ。そーれっと」

針に餌をつけ、釣竿を振るう。
程なくして、竿が引っ張られる感触が伝わってくる。

提督「こいつは当たりだな。大物だぞ……!!」

引きにあわせて時に慎重に、時に大胆にリールを巻き戻す。
そして……!!

提督「うぉぉぉぉぉらっしゃぁぁぁぁ!!」

海面から飛び出す黒い影!! それは……!!

駆逐ロ級「やぁ」

提督「……」

ザクッザクッザクッ

猫吊るし「おおっと、提督、横にあった銛で容赦なくロ級を突き刺したぁ!!」
猫土下座「ロ級が砲を構えるより早いです! これは抵抗できません!!」
猫パンチ「さらに抜いては刺し抜いては刺しの滅多刺しです! これはR-18ものですね! Gのほうだけど」
猫ガード「これは茶の間にはお見せできませんね」

駆逐ロ級「」ビクンビクン
提督「実況すんな、というか猫吊るしよ、そいつら誰だよ」

猫吊るし「妹ですが」

提督「お前に負けず劣らずタチ悪いな。そもそも何しに来たんだよ俺は一人で釣りがしたいんだよ」

猫吊るし「冷やかしです。それに海産資源は大体深海棲艦に取られてて釣りしても引っかかりませんよ」
猫土下座「むしろ駆逐あたりがわざと引っかかって釣り人を狙う事故が急増」
猫パンチ「危ないので今現在釣りは全面的に禁止されてます」
猫ガード「深海棲艦を釣りたいなら止めはしませんが」

提督「というか鎮守府の目の前まで深海棲艦来てるほうがおかしいでしょぉぉぉぉ!?」

猫吊るし「どこでボロ竿振ってもコイキ○グが釣れるのと一緒です」

提督「もうやだ平和な時代に帰りたい」

猫吊るし「というわけで深海棲艦の撃滅頑張ってください。平和になれば元通りですよ」

提督「やればいいんだろやれば!! 畜生!!」


なお、出撃した海域で敵を蹴散らした後しばらくは釣りに最適と気づいたため、
提督はぷかぷか丸に釣り用具一式をを用意するようになりました。
海の画集 -「艦これ」公式イラスト集-

168: 2013/11/28(木) 01:29:50.70 ID:TfYY+Bp6o
提督「ふー、布団かぶってコタツでみかん食うのは最高だねぇ」

コンコン

提督「どーぞ」

如月「失礼いたします。書類をお持ちしました」

提督「ほいほい。書類は執務机に置いといて」

如月「わかりましたわ」

提督「お疲れ様。ついでだし、こたつで暖まってけ。みかんはもう全部食っちまったが」

如月「いいんですの?」

提督「俺も休憩中だ。構わん構わん」

如月「それでは失礼しますね」モゾモゾ

提督「うん。ところで」

如月「なんでしょうか、司令官?」

提督「何で対面でも横側でもなくて俺と同じほうに入ってるんですかね」

如月「ほら、密着したほうがあったかいでしょう?」モゾモゾ

提督「それはそうだが、っておい普通に布団の中までくるのかよ」

如月「密着するには近づかなければなりませんもの」

提督「全く、しょうがないヤツだな」

ひょい、と如月をひざの上に座らせる。

如月「うふふ、特等席ですわね」

提督「そうか」

如月「あったかくて、信頼できる人に守られてる感じで、なんかこう…幸せ、って感じかしら…?」

提督「かもなぁ」アタマナデナデ

如月「あふ…安心したら……眠く…なっ…て…」Zzz...

提督「眠っちゃったか……って、これ、動くに動けねぇ状況じゃねぇの!?」

提督「……まぁいっか」

結局、如月が起きるまで本を読むなどして座って過ごした提督であった。

171: 2013/11/28(木) 23:30:23.55 ID:TfYY+Bp6o
小ネタを振り続けると主人公が雪風だということを忘れそう


提督「初めて会った時から気になってたんだが…」

雪風「なんでしょう?」

提督「その頭頂部のそれと側頭部のラッパみたいなのなんなんだよ」

雪風「この頭頂部のは九四式3型方位盤照準装置と言って、射撃管制に使うものです!」

提督「ほうほう」

雪風「側頭部のは22号対水上電探です! ほら装備図鑑見てください」

提督「ほんとだ。形同じだわ」

雪風「えっへん!」

提督「その割には索敵は並程度(*)だな」

雪風(じわっ)


*雪風の素の索敵は最大39(一般の駆逐艦と同様)、夕雲型42、時雨改二43、ヴェールヌイ・夕立改二49。
ま、まぁ改二で丹陽になれば多分上がるし(震え声)

181: 2013/11/30(土) 22:55:01.92 ID:5MaEJtzgo
キス島沖、ぷかぷか丸の上。
撤収しようにもエリ戦を五体満足でかわさねばならないので駆逐艦を中心に訓練中であった。
訓練の様子を見ている少女が一人。

雪風「……」ポケー

むしろ訓練の様子すら見えていないかもしれない。虚ろな瞳で海の向こうを眺めているというべきか。

雷「元気ないわね。そんなんじゃダメよ!」

雪風「雷……さん…?」

雷「雪風ちゃん、この前の威力偵察以来なんだかポケーっとして元気ないから様子見に来ちゃった!」

雪風「……そんな、こと…」

雷「悩みごとがあるなら私が聞いてあげるわ!」

雪風「……」首フルフル

雷「あ、言いにくいことなら別にいいのよ? 代わりにこうやって…」ギュッ

雪風「……う…ぐすっ……うぁぁぁぁん……」

雷「そうそう、もっと私を頼ってもいいのよ? 辛かったらいつでも言ってね?」

雪風「ぐすっ、ぐすっ…」

雷「よしよし、いっぱい泣いて、いっぱい寝ましょ。訓練のことは司令官になんとか言ってごまかしておくから」

雪風「うん…」


提督「ん? 雪風の訓練? しないよ? 改造済みだし練度の差付きすぎてるから実際必要なのは改修だけなんだよなー」

雷(あれー、ごまかす必要とかなかった?)

187: 2013/12/04(水) 22:43:04.75 ID:drkR4n3Eo
高雄「こんにちは、高雄です。貴方のような素敵な提督でよかったわ」

提督「こちらこそよろs……んん? 何かがおかしい。ちょっとさっきの台詞をもう一度、ゆっくり繰り返してみてくれ」

高雄「こんにちは」

提督「今は昼だし問題ない」

高雄「高雄です」

提督「カカオデスに聞こえたが問題はそこじゃない」

高雄「貴方のような素敵な提督で」

提督「そこだ!! 何で初対面なのに素敵かどうかわかるんだよ!? 初着任だろ!?」

高雄「社交辞令です」

提督「それならいいや」

高雄「というのは冗談で妹から提督について聞いてたので」

提督「え、社交辞令のほうが冗談なのっていうかいつ連絡取ったの!?」

高雄「私たちが艦船の魂から作られているというのはご存知ですよね」

提督「万物に神宿る日本的アニミズムだなーとは思ってるが」

高雄「同型艦ぐらい近しければ互いに意思疎通できるんですよ。霊魂パワーで」

提督「マジで」

高雄「姉妹艦が居ないのに姉妹に言及する子這いませんでしたか?」

提督「あー……」

~~~

伊勢「どうなのさー日向ー」
扶桑「山城、大丈夫? 砲撃よ」
翔鶴「瑞鶴、出撃よ」

~~~

提督「……あぁ、納得した。別にイマジナリーフレンドならぬイマジナリーシスターに話しかけてるわけじゃなかったんだ」

高雄「そういうことです」

提督「でも傍目電波なのは変わらないが」

高雄「それはいいっこ無しです」

提督「で、誰から…って妹といってたし愛宕か」

高雄「摩耶ですが」

提督「えっ」

高雄「摩耶と鳥海も妹ですよ? あまり似てないって言われますけど」

提督「あいつ等が同じ高雄型というのもびっくりだが…摩耶がねぇ(図鑑ペラペラ)お、マジだ、高雄型だ」

高雄「ちょっとつっけんどんな所もありますけど、割としっかり貴方のこと見てますよ」

提督「そうか…」


その後、提督の摩耶を見る目が優しくなったことに摩耶本人が気味悪がったことはまた別の話。

188: 2013/12/04(水) 22:43:56.36 ID:drkR4n3Eo
高雄「こんにちは、高雄です。貴方のような素敵な提督でよかったわ」

提督「こちらこそよろs……んん? 何かがおかしい。ちょっとさっきの台詞をもう一度、ゆっくり繰り返してみてくれ」

高雄「こんにちは」

提督「今は昼だし問題ない」

高雄「高雄です」

提督「カカオデスに聞こえたが問題はそこじゃない」

高雄「貴方のような素敵な提督で」

提督「そこだ!! 何で初対面なのに素敵かどうかわかるんだよ!? 初着任だろ!?」

高雄「社交辞令です」

提督「それならいいや」

高雄「というのは冗談で妹から提督について聞いてたので」

提督「え、社交辞令のほうが冗談なのっていうかいつ連絡取ったの!?」

高雄「私たちが艦船の魂から作られているというのはご存知ですよね」

提督「万物に神宿る日本的アニミズムだなーとは思ってるが」

高雄「同型艦ぐらい近しければ互いに意思疎通できるんですよ。霊魂パワーで」

提督「マジで」

高雄「姉妹艦が居ないのに姉妹に言及する子這いませんでしたか?」

提督「あー……」

~~~

伊勢「どうなのさー日向ー」
扶桑「山城、大丈夫? 砲撃よ」
翔鶴「瑞鶴、出撃よ」

~~~

提督「……あぁ、納得した。別にイマジナリーフレンドならぬイマジナリーシスターに話しかけてるわけじゃなかったんだ」

高雄「そういうことです」

提督「でも傍目電波なのは変わらないが」

高雄「それはいいっこ無しです」

提督「で、誰から…って妹といってたし愛宕か」

高雄「摩耶ですが」

提督「えっ」

高雄「摩耶と鳥海も妹ですよ? あまり似てないって言われますけど」

提督「あいつ等が同じ高雄型というのもびっくりだが…摩耶がねぇ(図鑑ペラペラ)お、マジだ、高雄型だ」

高雄「ちょっとつっけんどんな所もありますけど、割としっかり貴方のこと見てますよ」

提督「そうか…」


その後、提督の摩耶を見る目が優しくなったことに摩耶本人が気味悪がったことはまた別の話。

198: 2013/12/06(金) 23:11:39.96 ID:AlQQG2bjo
提督「戦艦レシピよーし」

建造妖精「あいよー」

>1:30:00<

提督「来たか…。バーナーを」

ザザザッ

提督「背後に気配!?」クルッ

「我輩が利根である!!」
「僕が最上さ!」
「筑摩と申します」

提督「やめろ!!」

シュボボボボ

建造妖精「できたよー」

熊野「ごきげんよう。わたくしが重巡熊野ですわ」

提督「よしよし」ドヤァ


別の日

提督「鈴谷さえくれば戦艦レシピとはおさらばだ。いくぞ!」

建造妖精「あいよー」

>1:30:00<
>1:30:00<

ザザザザッ

提督「背後に気配!? しかも一人増えてる!?」クルッ

「我輩が利根である!!」
「僕が最上さ!」
「筑摩と申します」
「わたくしが重巡熊野ですわ」

提督「やめろよ!!!」


なお利根と最上だった模様(ギリッ

203: 2013/12/09(月) 01:05:40.56 ID:i9xTfOs5o
「……ぐすっ、目が、覚めちゃいました…」

「雪風がいるから……皆が…傷つく…」

「……皆が居なければ、誰も傷つかない…」

「そっか……そうだよね……こんな簡単なこと……」


泣き虫雪風と釣り人提督・キス島編:後編


雪風は体を起こし、もう一つのベッドを見る。
そこには島風がぐっすり眠っている。
「ひとりぼっちは寂しいもんな」という提督の考えで雪風と相部屋になっている。

大きな音を出さないよう自分の艤装を装備し、そっと部屋を出る。

「……傷つくのは雪風一人だけでいいんです…」

204: 2013/12/09(月) 01:08:03.65 ID:i9xTfOs5o
キス島沖にある小島。猫吊るしが作った(と自称している)転移装置によりあっという間に移動できるため、遠方の海域へも行き帰りが容易である。

「……よいしょ、っと」

資材置き場から持ってきた高速修復材、燃料、鋼鉄、弾薬を下ろす。一人で持ち運ぶには限度があるのでそう多くはない。
ダメなら出来るまで何度でも。作戦を終わらせてしまえば誰も苦しまない。

「雪風……出撃します!!」


気合や精神論でどうにかなるなら戦争はとっくに終わっている。
それに雪風一人である。一人であっさりどうにかなるほど甘いところでもない。

「やっぱり一度じゃ無理ですね…」

雪風は満身創痍で小島に帰還した。

無言で高速修復材と鋼鉄、燃料を使い自らの傷を治していく。

そして、燃料と弾薬を詰め込み、再び沖へと向かう。

「でも、雪風は…沈みませんから…」


「うぅ~……」

傷つく、修復する、補給する、沖へ向かう。

「……」

傷つく、修復する、補給する、沖へ向かう。

そうこうしているうちに修復材がなくなる。

「……また明日、ですね」

205: 2013/12/09(月) 01:11:40.82 ID:i9xTfOs5o
数日後、資材庫にて。

「ん~、バケツの数があわんなぁ。資材も少々なくなっている。政府からの支給分とトントンだが」

ぶつぶつぼやきながら資材の量を勘定する提督。

「まぁバケツや資材は艦娘が補修とかに使ってるならいいけどねぇ。泥棒だとちょっと困る」

白墨で壁に数字を書きつけながらなおもつぶやく。

「なくなったバケツの数に対し、持っていかれてる資材の量が少ない。
 軽巡以上の修復ならもっと鋼鉄を持っていかれているはず。潜水艦は本当に微々たる物だがそれよりは多いので除外」

さらに式を書き連ねる。

「それに加えて、減っている弾薬と燃料の比と予測される鋼鉄減少量からの燃料の消費、そしてその他もろもろを考えると…」

カッ、カッ、カッ ポキッ

「……そういうことか。まぁ打てる手を打って、しばらく様子を見るか」

折れた白墨を適当に投げ捨てながら、提督は資材庫を後にした。

206: 2013/12/09(月) 01:13:32.76 ID:i9xTfOs5o
「…雪風が…雪風がやらなくちゃ…」

その日の夜も、雪風はキス島に挑んでいた。

戦艦の砲撃を浴び、重巡の砲撃を浴び、時には駆逐艦の魚雷を浴び。

そのたびに引き返しては補充を繰り返す。

それを何度も繰り返し、修復材がなくなったのを確認して鎮守府に帰還する。

「今日もダメでした……」

そっと部屋に戻り、艤装を解除して布団に潜る。

「ぐすっ……ぐすっ……」

207: 2013/12/09(月) 01:14:55.90 ID:i9xTfOs5o
キス島攻略開始から一週間後…

その夜もまた、雪風はキス島へ出かけるために艤装をつけ、部屋を出た。

パタン、と戸の閉まる音。そのかすかな音は寝たふりをしていた島風の耳に届いた。

(……ホントだ。提督の言ってた通り、雪風ちゃんが夜中出歩いてる…)

ベッドのそばにいつも置いてある艤装はない。
トイレに行くのにいちいち装備する必要はもちろんないので用を足しに行ったとは考えづらい。

(もしかして、どっかに出撃してる?)

ベッドを降り、手早く艤装を装備し、連装砲ちゃんたちに合図をする。

「私たちはこれから雪風ちゃんを追います。みんな眠ってるから静かに、迅速にね」

そっとドアを開け、島風も雪風の後を追った。


「出撃してるなら転移装置の先かなぁ…」

鎮守府、港湾部分。遠方への作戦のために転移装置が設置されている。
そして、その行き先は北方海域を指している。

「ま、行けばわかるよね!」

そういって島風は海面をすべり、勢いよく転移装置に飛び込んだ。

208: 2013/12/09(月) 01:16:05.34 ID:i9xTfOs5o
(……あれは、雪風ちゃん?)

転移地点のそばにある島に上陸し、島風は木陰から様子を伺っていた。
丁度、雪風が出撃から戻ってきて補修を行っているところだった。
補修が終わったのか雪風は立ち上がり、再び沖へ向かっていった。

(一人で、頑張ってるのかな……)

沖へ出て、ボロボロになっては戻って、補修して。
沖へ出て、ボロボロになっては戻って、補修して、の繰り返し…。

(なんだか、辛くて苦しそう。何が雪風ちゃんをそうさせるんだろう)

沖へ出て、ボロボロになっては戻って、補修して。
沖へ出て、ボロボロになっては戻って、沖へ出て…。

(……あ、もうバケツが無くなったんだ。だからそのまま沖に)

「……ダメでしょ!?」

209: 2013/12/09(月) 01:17:24.11 ID:i9xTfOs5o
何度も何度も挑んでも、いっぺんたりとて抜けられない。幸運艦でも無茶がある。

擦り傷切り傷打ち身に焦げ跡。治すそばから出来ていく。

艤装はボロボロ、服はズタズタ、瞳に光は灯らない。

「ゆきかぜが……ゆきかぜが、やらないと…」

フラフラになりながら小島へ戻る。
弾と燃料を補給し、修復材を掴もうとする。がその手は空を切る。

「……なくなっちゃった」

明日はキス島出撃の日。今夜のうちになんとかしないと、また皆が傷つく。
雪風はくたくたの体を無理やり動かして、キス島へ足を向ける。

「……ゆきかぜが、いなければ……いいの、かな……」

艦娘は基本沈むことはないが、大破した状態で出撃を続けた場合は例外で、沈むときは存外あっさり沈む。
もちろん、不沈艦と呼ばれた雪風も例外ではない。そもそも前世では中破以上したことがない。

暗い考えに思いをめぐらせながら戦闘海域へ入る。
紅いオーラを纏った戦艦の巨砲が、雪風を狙う。
雪風の虚ろな瞳に涙が浮かぶ。

「しれぇ……みんな……さようなら…」

そう雪風がつぶやくと同時に響く砲撃音。砲弾は過たず雪風の居るところに落下していく。

210: 2013/12/09(月) 01:19:05.47 ID:i9xTfOs5o
その刹那、思いっきり腕を引っ張られた。
まるで、あの世に逝く魂を無理やり引き戻すように。

「何やってんの雪風ちゃん!!」
「島風…ちゃん…?」
「話は後! 今は逃げるよ!! 連装砲ちゃん、援護して!!」

転びそうになるくらいの無茶な速さで、降り注ぐ砲弾の嵐の中、島風は雪風を曳航していった。

追手は連装砲達の砲撃で牽制し、それ以上の追撃を許さない。

「全速で離脱するよ!」


転移装置を抜け、鎮守府に戻っても島風の足は止まらない。

艦娘用ドックに入り手早く雪風の艤装と服(もう殆ど着てないも同然だったが)を脱がせ、浴槽に投げ込んだ!

上がる水柱。目を回したまま仰向けに浮かぶ雪風。幸いにして入浴している艦娘は他にいなかった。

ちなみに入渠ドックの湯に使われている入浴剤は艦娘に対して薬効効果があるため、怪我した状態で入っても安心である。

「はぁ……はぁ……。汗かいちゃった」

そう言うと島風も服を脱ぎ、雪風を追って浴槽に飛び込んだ。

211: 2013/12/09(月) 01:22:03.71 ID:i9xTfOs5o
「う……あ…うみのそこ…? あったかい……」
「何寝ぼけてるのよ」
「へぶっ」

意識を取り戻した雪風の顔にぱしゃり、と島風がお湯を浴びせる。

「ここは……」
「入渠ドックよ。煤だらけになっちゃったからよく洗わないとね。……それより」

雪風の額に指を突きつける。

「私が救助間に合ったからいいけどもう少しで沈んじゃうところだったじゃない! あんなボロボロの状態で出撃するなんて何考えてんの!?」

ぐりぐりと人差し指を雪風の額に押し込む

「あぅぅ……、だ、だって……。雪風と一緒に出撃したら……みんな沈んじゃうんじゃないかと思うと、怖くて…」
「怖くて?」
「雪風がいなければそんな心配をしな」

ペシッ。
言い終わる前に島風のデコピンが雪風に叩きこまれていた。

「なーにバカなこと言っちゃってんのよ」
「あぅぅぅ……」

ふくれっ面の島風に涙目の雪風。

「私達は艦娘なんだから、そうそう簡単に沈んだりしないって! それに…」
「それに……?」
「雪風ちゃんが沈んだらわたs皆が悲しむんだからっ!!」
「島風ちゃん……」
「そ、それに提督だって悲しむはずだし! 多分!!」
「……うん……グスッ」
「ほらほら泣いてたらもう一回顔洗わなきゃなんないし、ね? さっと洗って傷の手当して寝ましょ?」
「そうだね…」

212: 2013/12/09(月) 01:24:16.04 ID:i9xTfOs5o
風呂から上がり、着替えて自室に戻る二人。雪風は服がボロボロなので補修を妖精さんに任せ、備え付けの浴衣に着替えた。

棚から救急箱を取り出し、雪風の手当を行う島風。

「島風ちゃん、しみるよぉ~…」
「このくらい我慢我慢。ガーゼを当てて、包帯巻いて、っと。あとは一晩寝れば大丈夫」
「ん……ありがと」

艦娘の治癒力は高い。特に駆逐艦や潜水艦などは適切な治療を施して数時間休めば元気いっぱいである。

「はいはい、お布団入って寝ようね。明日は強行偵察という名の出撃の日なんだから」
「うん……ところで」
「何?」
「なんで雪風の布団に一緒に入ってきてるんですか?」
「また抜け出さないように見張るためだから!」

島風はそう言うと抱きまくらにするかのように雪風を抱きしめた。

「あぅ~」
「抜けだしたっていいよ? 私から逃げ切れる自信があるなら、だけどね」
「さすがにそれは無理だよ…」

それ以上の反論もなく二人は深い眠りに落ちていった……。

213: 2013/12/09(月) 01:26:12.95 ID:i9xTfOs5o
翌日……

「おっしゃー、強行偵察の名目で突破しに来たぞー! 一週間前とは違うってことを奴らに見せつけてやるぞ!」
「やる気だね、司令官」
「まぁ俺がやる気出しても仕方ないがな」

再びキス島南部。全員の改造が終わり、改修もだいたい済ませての再挑戦。

「戦艦は倒そうと思うな。牽制しながら逃げ切れ。では……全艦、抜錨、出撃!!」


「敵艦見ゆ! 戦1重1軽2駆2、いずれもエリートクラス、なのです!」

電の索敵報告。以前より相手の構成が甘めである。

『よし、とにかく避けて避けて避けまくれ!! 落とせるなら軽巡や駆逐は落とせ! 雷撃戦で魚雷を撃たせるな!』
「了解よ、司令官!」

飛び交う砲弾、上がる水柱。
狂気の沙汰としか思えない海の上を少女たちは突き進む。

214: 2013/12/09(月) 01:27:47.20 ID:i9xTfOs5o
「敵駆逐ハ級、1隻撃沈!」
『よっしゃ、よくやった暁…左舷からくるぞ!』
「わっ、とと! …ありがと、司令官」

「そんな攻撃、当たんないわよ!」
「敵軽巡ト級大破、なのです!」
『よし、押し通れ!』

「私には誰も追いつけないよ!」
『島風、ル級の砲撃来るぞ!』
「島風ちゃん、危ない!」
『雪風!?』

雪風が島風を庇うように体当りする。盛大に上がる水柱。

『雪風、島風、大丈夫か!?』
「雪風は大丈夫です!」
「私も雪風ちゃんが庇ってくれたので大丈夫です!」
『おーけー。敵陣に突っ込め! 魚雷発射後、即離脱だ!!』

6隻分の魚雷発射音。そして上がる爆音。

「こちら響。敵軽巡ト級撃沈」
『深追いの必要はない、離脱だ』
「こちら雪風。全員航行に支障なしです!」
『よし、舵を東北東に取れ! 島の包囲艦隊を撃破せよ!』

215: 2013/12/09(月) 01:29:14.73 ID:i9xTfOs5o
結論から言うと、包囲艦隊はやる気のないレベルだった。

「拍子抜けね」

そんな暁の言葉通りの強さでしかなかった。

「さてさてここで、えーと(パラパラ)守備隊を回収して帰るわけだが」
「お、ひとだひとだー」

わらわら現れたのは迷彩服にヘルメットをかぶった妖精たち。

「え、守備隊って」
「我々ですよ~。基地作って自給自足できるよう設備整えたはいいんだけど不要だとわかった直後に島を包囲されちゃってねぇ」
「うんうん。食糧とかの心配はなかったんだけどずーっと居座られて、なんかこう、うざったい?」

世間話でもするような軽い調子で話す守備隊妖精たち。
正直脱力ものである。

「まぁともかく、撤収するから荷物まとめて船に乗り込んでね……」
「あいあいさー」

216: 2013/12/09(月) 01:32:19.67 ID:i9xTfOs5o
そんなこんなで鎮守府に帰投。

「今日はお前らよく頑張ったな」

暁の頭を撫でる。

「もう子供じゃないって言ってるでしょ!」
「俺に比べりゃ戦艦空母の艦娘含め全員外見年齢的に子供だよ」

続いて響の頭を撫でる。

「響もこういうのは好きじゃないか?」
「……嫌いじゃない」

雷の頭も撫でる

「司令官、も~っと私を頼ってもいいのよ?」
「そうだなー。考えておくよ」

電の頭も撫でる

「よしよし」
「あ、あの…ありがとう…」

島風の頭も撫でる

「お疲れ様、だな」
「えへへ~」

そして雪風の頭の照準装置を外し、手を彼女の頭に載せ…

力いっぱい、五指を内側へ折り曲げる!!

217: 2013/12/09(月) 01:35:23.73 ID:i9xTfOs5o
「あだだだあだ!? しれぇ!?」
「俺が何も知らんと思ったか?」
「ごめんなさいごめんなさい資材くすねてごめんなさい!!」
「俺は資材は自由に使っていいといったから別にそっちで謝る必要はないんだがな」
「じ、じゃあ…」
「島風に見張らせて正解だったわー。なーんで大破状態で島風に曳航されて帰還してたのかなー執務室から見てたよー」
「ご、ごめんなさい…ひっく、ひっく…」
「俺を苦しめたい、ってんでもなければ二度とすんなよー」

ぽふ、と頭を軽く叩き、照準装置を元に戻す。そして持ち上げぎゅっと抱きしめる。

「お前は俺の大事な相棒なんだからよ」
「しれぇ…」

ゆっくりと雪風を下ろす。

「よし、説教おしまい! 皆で間宮のアイス食いに行くぞ!」
「「「「「「わーい!」」」」」」


こうしてキス島撤退作戦は無事に完了した。

218: 2013/12/09(月) 01:36:28.54 ID:i9xTfOs5o
その翌日…。

「アルフォンシーノ方面進出だぁ? だるい! 陸奥・伊勢・日向・扶桑・赤城・加賀! 全力出撃だ!!」

艦娘出撃中……

「敵前衛艦隊突破しました」

「敵護衛空母群、撃滅しました」

「敵泊地艦隊壊滅させてきました」

「うっそーん!?」

キス島編:おしまい

224: 2013/12/10(火) 00:59:17.05 ID:8phyaMeJo
執務室。提督は働いて…はいなかった。文庫本を読んでいた。
読み終えたのか本を閉じ、机に置いた。

提督「……なかなか面白い話だった。よし、こっちも負けてられん」

深海棲艦生息域報告書を開き、目当ての情報に目を通した後、得心したように頷く。

提督「よしよし、後は面子だが……」

>第二・第三艦隊が遠征から帰投しました<

提督「丁度いい。鎮守府内放送のスイッチは、っと…」

ピーン↑ポーン↑パーン↑ポーン↑

提督『今から呼ぶ六名は直ちに執務室に来るように。陽炎、皐月、長月、霰、曙、潮。
   また、第二・第三艦隊の入れ替えを行う。第二・第三の睦月型全員外れて第二に吹雪、白雪、初雪、深雪。
   第三に朝潮、大潮、満潮、荒潮。軽巡4名はそのまま。準備が完了したらタンカー護衛と鼠輸送任務に付くこと。以上』

ピーン↓ポーン↓パーン↓ポーン↓

提督「さてさて…」


しばし後…


提督「よしよし、全員揃ったようだな」

曙「いったい何の用なのよクソ提督」

提督「簡単に言うと諸君らには出撃してもらう」

六人「!?」

提督「なぁにそんなに大したことではない。製油所近辺の敵主力を撃滅するだけだ」

陽炎「いったいどういう風の吹き回しで…」

潮「それに私たちが選ばれた理由は…」

提督「そうだな。猫吊るしが密林で発見したというこの本。なんでも別の世界の艦娘の話だそうだ」

そういいながら先ほど読んでた本を手に取る。

提督「陽炎主人公で他五名が僚艦なわけだが、この話のハイライトがル級率いる敵艦隊との決戦だ」

だいぶ話の筋がゆがんでいる気はするがまぁそれはそれである。

提督「ネタバレなんで戦闘結果の詳細は避けるがともかくうちでもやってみようということで」

鎮守府周辺の海図をびしりと指差す。

提督「ちょうど製油所近辺敵主力が似たような構成だしな」

皐月「そんなミーハーな理由でいいの…?」

提督「無思考だとオリョールかキス島沖かサブ島になるし…。それにたまには出撃しないと錆付いちまうし」

長月「そうだな。駆逐艦だと侮ってもらっては困る」

提督「というわけで艦隊名は第十四駆逐隊! 旗艦は陽炎! 旗艦バッチ付けるぜ」

陽炎「了解! 陽炎、抜錨します!」

225: 2013/12/10(火) 01:00:05.87 ID:8phyaMeJo
艦娘戦闘中……

提督「さすがに駆逐改ともなると軽巡ぐらいは余裕で食えるな」

羅針盤妖精「海流、南東よーし」

提督「よーし、敵主力に接近中。単縦で突撃、敵艦隊を撃滅せよ!!」


ル級「いらっしゃい、子猫ちゃん達。沈めてあげ(バスンバスン)ちょ、痛い、普通に痛い!!」

霰「効いてる…」

曙「ふふ~ん、まだまだ行くわよ!」

ル級「チ級! ヘ級! 何やってんの!?」

皐月「あそこで沈んでるのがそうだと思うけど?」

チ級「」(ゴボゴボ

ホ級「」(ブクブク

長月「よーし、敵駆逐撃沈」

イ級「あべし」

潮「やりすぎじゃないかなぁ」

ル級「くそ、一人でも道連れに!(ドン」

皐月「当たらないよ!」

陽炎「全艦、魚雷有効射程圏内! 魚雷発射用意!!」

ル級「えっ、ちょ、ちょっと待って」

陽炎「撃てー!!」

ル級「たわばっ!!」チュドーン


陽炎「第十四駆逐隊、帰投しました!」

提督「おつかれさーん。しかし全く危なげなさ過ぎるぞ。ドラマもミラクルもクソもねぇ」

霰「苦戦はしないほうが良いと思う…」

提督「まー実際そうだけどさー。曙が大破するぐらいの意気込みは見せてもらわないと」

曙「何名指しでさらりと酷い事いってるのよこのクソ提督!!」

提督「この話でも曙が大破して危うくおっとこれ以上はネタバレだ。ともかく今日はお疲れ様だ。帰ったら皆に間宮のアイスおごろう」

みんな「やったー!!」


ちなみにこの後提督が曙に脛蹴られて悶絶してたがそれはまた別の話。

232: 2013/12/13(金) 01:38:17.35 ID:1+792Iqpo
鎮守府の訓練所。ボタン一つで標的を流したり、各種模擬弾や模擬魚雷などが取り揃えてあったりするやたら設備の整った屋外施設である。

艦娘のみならず最近は提督も利用している。

ドムッ ドムドムッ

提督「46サンチも良いけどやっぱ15.5副だなー。この感覚は病み付きになるね。うん」

提督「しかし、副砲といえば一つ気になることがあるんだが…」

祥鳳「どうしましたか?」

提督「おをぅ!? っと祥鳳か。丁度よかった。聞きたいことがある」

祥鳳「私に答えられることなら」

提督「何で空母って中射程副砲装備で第二次攻撃が早まるんだ?」 *ここでの第二次攻撃とは砲撃戦一巡目のことである。

祥鳳「それはですね。発艦に副砲を利用するからなんですよ」

提督「なんと」

祥鳳「普通は弓や式を使っていますが、砲を利用すると再装填が早まり、発射速度も速くなるので威力が高まります」

提督「もう全員に採用しろよ」

祥鳳「では実際に試して見ましょう。その副砲お貸し願えますか?」

提督「ほいさ」

祥鳳「まず矢羽を取り外して箆(の)…軸部分を砲に差し込みます」

提督「ほほー」

祥鳳「奥までしっかり差し込んだら構えます」

提督「案外さまになってるな」

祥鳳「では……艦載機、発進!」

ドヒュ ドヒュドヒュ

ボチャ ボチャボチャ

提督「……」

祥鳳「……という説を考えてみましたが」

提督「説とかそういうこと以前に失敗してるじゃねーか!!」

祥鳳「いや、なんか期待に満ちた目だったのでこれは何とか応えなきゃ、と」

提督「わからんならわからんでいいのよ!?」

祥鳳「実際どういう理由かわからないんですけどねー」

そういいながら副砲を腰に下げる。

祥鳳「でも装備してると……」

矢を数本取り出し、続けざまに空へ放つ。矢は艦載機となり、的を次々と吹き飛ばす。

祥鳳「実際発艦準備も早くなるし威力も高くなるんですよね。原理は不明ですけど」

提督「まぁ効果があるなら何でも良いか。ただ、15.5副って微妙にレアだからなー。金剛シスターズの養殖をしようかと考えるぐらいには」

祥鳳「軽空母の私が言うのもなんですけど砲の開発をしてみては…?」

提督「微妙にレシピ重いからなー。ま、考えとくよ」


特にオチもないまま終了。

247: 2013/12/14(土) 21:38:11.33 ID:ENuJa5tTo
電波はとんでもないところから飛んでくるのだ

提督「大和が15万馬力で、翔鶴型が16万馬力…?」

提督「46サンチを翔鶴・瑞鶴に積めば超長射程で超火力の上がった艦載機を放てる…!?」

~~~

提督「翔鶴ーちょっとこっちきてー」

翔鶴「なんでしょう?」

提督「はいぷれぜーんつ」ドサッ

翔鶴「ちょ、これって46cm砲じゃ…」

提督「これで超射程で超火力な艦載機を飛ばせるはず!!」

翔鶴「こんな状態では弓を引けませんよ……あっ」グラッ バタリ グシャ

提督「アルェー」

加賀「提督、なにしてるんですか…」

提督「あぁ、ちょっと空母の火力増強作戦をな。『五航戦の』翔鶴には荷が重かったようだが加賀は…無理かな」

加賀「……ここは譲れません」

提督「んじゃこれ持って艦載機飛ばしましょう」ドサッ

加賀「う…ぐぐ…g」グシャッ

提督「アルェー」


この後提督は赤城と瑞鶴にこってり絞られました

257: 2013/12/17(火) 01:29:32.73 ID:G+LvnaWzo
ワ級エリ「私は五回刺されないと氏なないぞー」チュドーン
南方棲戦姫「はいはいふざけてないで帰りますよ」ズルズル


雪風「艦隊、帰投いたしましたぁ…」

ぷかぷか丸、船上。艦隊を回収してサブ島沖海域からの帰途に着くところである。

提督「お疲れ様。……しっかしまぁ、派手にやられたもんだな」

雪風、響改めヴェールヌイ、愛宕、三隈、衣笠。全員煤だらけの服が襤褸切れ状態である。
摩耶だけ無傷だがそういうことはまれによくある話である。

提督「今回は摩耶が敵旗艦を沈めたからよかったものの、このままだと間違いなく攻略前に資源が尽きるぞ…」

摩耶「でもどうすんだよ? 2戦で4~5隻も出る夜戦フラ重を全員無傷でしのぐのは困難じゃねーか?」

愛宕「それにフラ戦もいるしねぇ」

衣笠「おまけに敵主力は潜水艦で駆逐の攻撃を退ける、と」

提督「ぐぬぬ」

ヴェル「だから重巡系統4隻連れてきたんだろうけど」

提督「被害が少なくなるよう祈って、突然北東に行かないように祈って、向こうが庇い損ねるのを祈る…畜生!!」

三隈「そういえば、青葉さんを育成していたのでは」

提督「残念なこと(>>55)があって残念なことになったので急遽妹に出てもらいました。改二来たし」

三隈「残念な……いったいどのようなことが…」

衣笠「何か昨晩顔青くして氏んだ目をしたまま布団に倒れこんでたけど。ゴメンナサイゴメンナサイとか言いながら」

提督「まぁちょっときつーいお灸をね。というわけで青葉については残念なことになって出られなかった。いいね?」

三隈「アッハイ」

提督「ともかく今日はお疲れ様だ。帰ってぐっすり休もう」

258: 2013/12/17(火) 01:31:04.40 ID:G+LvnaWzo
所変わって執務室。机には太平洋戦争のドキュメンタリー番組のブルーレイなどが無造作に置かれている。

提督「雷巡入れてワンチャンかな…でもフラ潜が生き残ってると夜戦で吸われるし道中大破のリスクは大して変わらない……」

??「お困りのようね、司令官!!」

提督「その声は…!」

「イムヤ!」「ゴーヤ!」「イク!」「はっちゃん!」ザバザバザバザバァ

「潜水艦カルテッ「おいコラちょっと待て」

ゴーヤ「なんでちか?」

提督「何で執務室備え付けの風呂に入ってるんだよ。『風呂のためだけに下降りるのめんどくせー』といったらつけちゃう明石も大概だが」

イク「イクとはちの改造完了報告のために待ってたなの!」

提督「それはよかった。お疲れ様…ってそっちじゃねーよ! 風呂の中で待ってる理由だよ!!」

イムヤ「私たちの服ってスク水じゃない?」

提督「そうだな」

イムヤ「だから冬場は寒くて寒くて」

提督「現場じゃねーんだから普通の服着ろよ!!」

はち「でも事務連絡だし制服のほうがいいかなと」

提督「形式ばった事にはこだわらないからそこは別に良いよ!! てか風呂に潜ってる時点で台無しだよ!!」

259: 2013/12/17(火) 01:32:50.57 ID:G+LvnaWzo
提督「……あ゛~…で、何か案がありそうだったな」

ゴーヤ「サブ島海域の攻略はゴーヤたちに任せるでち!」

イク「イクたちならこんなところ楽勝なの!」

提督「あんなフラグシップだらけの海域をどうするつもりだ」

イムヤ「論より証拠よ! 伊号潜水艦の力、見ててよね!」

提督「……まぁ燃料とか修繕費とか安いし試しても良いか。今晩決行だ。今のうちに睡眠とっとけ。俺も寝る」


というわけで再びサブ島沖海域


チュドーン

ワ級エリ「私は五回刺さ(ry」
南方棲戦姫「あと二回やられたらおしまいなんですから馬鹿やってないで帰りますよ」ズルズル

提督「ワァオ…」

はち「シュトーレン食べたいなぁ」

提督「これはすごい。帰ったら即刻シュトーレンを間宮さんに頼もう。うん」

イムヤ「正規空母だって仕留めちゃうんだから!」

提督「空母ははずれルートにしかいねぇからよ!!」

260: 2013/12/17(火) 01:34:31.83 ID:G+LvnaWzo
で、なんだかんだでフラ軽に大破させられたり北東行ったり南西行ったり投錨中の輸送船団を撃沈したりして…


チュドーン

ワ級エリ「私は五(ry」
南方棲戦姫「後一回…こうなったら護衛を強化するしか。暇してるタ級はと…」ズルズルピポパポ

提督「まぁタ級が増えたところで潜水艦には関係ないけど」

はち「でも硬い分小破に出来なくて庇われる確率が上がりますよ?」

提督「ぐぬぬ……」

イク「こういうときこそ支援艦隊を使うなの!」

提督「そういえばそんなのがあったな。珊瑚海が簡単すぎて忘れていたが。でも消費がなぁ」

イムヤ「後一回だしケチることはないんじゃない?」

ゴーヤ「資材もたっぷりあるでち」

提督「そうだな…。帰ったらちょっと準備するか」

261: 2013/12/17(火) 01:37:51.11 ID:G+LvnaWzo
鎮守府工廠・改装室にて

提督「おばあちゃんが言ってた。『んんwwwwwwww46cm三連装砲ガン積み以外ありえないwwwwww』って」

霧島「本当ですか、司令?」

提督「\ウソです/ まぁでも霧島と榛名の二人に46cm三連装砲をガン積みするのは本当だ」ガッチャガッチャ

榛名「武蔵さんや長門さんのほうがいいのでは…」

提督「どうせ目標はワ級エリだしねー。戦姫叩き落すならともかくある程度は節約したい」ガッチャガッチャ

霧島「そう言いながら一航戦のお二人を連れてきてるのは」

提督「烈風から一二甲に変えればとりあえず火力出るような構成だったから仕方ないね。素の火力も一回り高いし」ガッチャガッチャ

榛名「そんな適当でいいんですか…?」

提督「まぁちょっとばかしオーバーキル気味かもしれないけど倒せればいいのよ。倒せれば。よしセット完了」

夕立「こっちは準備完了したっぽい!」

加賀「こちらも準備完了よ」

赤城「いつでも出撃できます」

提督「OK。というわけで支援艦隊の旗艦は雪風! 以下夕立、榛名、霧島、赤城、加賀!
    こっちが交戦域に入ったら砲弾の雨を降らせてやれ! 以上! 出撃!」

雪風「はい! 頑張ります!」

262: 2013/12/17(火) 01:40:58.72 ID:G+LvnaWzo
何度か肝心なところで羅針盤が南西を向くという酷いトラブルに見舞われたがなんだかんだで目的地に到達した。

提督「よーし、支援砲撃開始。その後に先制魚雷を叩き込んでやれ」

雪風『了解です! 撃ち方、はじめー!』

降り注ぐ砲弾。上がる水柱。
提督は遠眼鏡を取り出し、敵の状況を確認する。

提督「敵被害確認! 軽巡中破! 以上!! ってなんでだよ!! あの火力でこんだけかよ!!」

遠眼鏡を甲板に叩きつけるがもちろんそれでフラタが轟沈するわけでもない。

提督「あ、魚雷で軽巡沈んだ。しかもオーバーキルっぽい。支援砲撃とはなんだったのか」

その後の雷撃も旗艦に届かず。

提督「夜戦ワンチャンだな……。敵艦隊を追撃せよ!」


夜戦。イク・はっちゃんの攻撃は護衛艦に阻まれた。

南方棲戦姫「ふふーん、輪形陣相手に旗艦に攻撃を通そうなんて無駄無駄ァ!」

イムヤ「それはどうかしら、ねっ!」

ワ級エリ「ウボァー」チュドーン

南方棲戦姫「!!」

直撃!! と思われたが…

ワ級エリ「氏ななければ安い」>大破<

南方棲戦姫「あっぶなあぶな寿命が三年縮んだわー」

提督「……こりゃダメかもなぁ(ボソ」

ゴーヤ(……伊号潜水艦の意地、見せてやるでち!)

ワ級エリ「帰ったら治療よろwww」

南方棲戦姫「何でこんなヤツ護衛してたのかちょっと疑問に思えてきた」

ゴーヤ「ゴーヤの!(シャッ)魚雷は!(シャッ)おりこうさんでち!!」(シュバーッ

ワ級エリ「ウボァー(10秒ぶり二度目)」チュドーン ボンボンボーン(ゲージ破壊音)

南方棲戦姫「!?」

提督「や、やりやがった…!! よっしゃ、全艦帰投せよ! 帰ったら祝勝会だ!!」

ゴーヤ「やったでち!」

南方棲戦姫「ば、バカなぁぁぁ!!」

ワ級エリ「」チーン

263: 2013/12/17(火) 01:46:10.98 ID:G+LvnaWzo
祝勝会後、鎮守府執務室。

提督「ゆ・き・か・ぜぇ~……」ギュムー

雪風「ほっへふねらないでくらふぁい~」

提督「お前というやつはまったくもう~」ブニブニグニグニ

雪風「ふぇぇん…」


提督は雪風へのおしおきと称して雪風のほっぺの柔らかさを存分に楽しんだそうな

サブ島海域攻略編 おしまい

264: 2013/12/17(火) 01:50:44.59 ID:G+LvnaWzo
こんな提督で大丈夫か微妙に心配になってきた

まぁいいか軍人じゃなくて一般人だし

265: 2013/12/17(火) 17:14:58.70 ID:vwBaUAxU0
【悲報】海軍の人材不足が深刻な状況


泣き虫雪風と釣り人提督【その4】

引用: 【艦これ】泣き虫雪風と釣り人提督