449: 2014/02/07(金) 01:52:52.09 ID:EVonoKYro


前回:泣き虫雪風と釣り人提督【その5】
最初から:泣き虫雪風と釣り人提督


鈴谷は我が鎮守府に来た最後の重巡だったなぁということで鈴谷編

450: 2014/02/07(金) 01:53:58.38 ID:EVonoKYro


工廠。それは艦娘の降り立つところ。
工廠。それは艦これのギャンブル場。

提督「……戦艦レシピだ。狙うは鈴谷ただ一人」

妖精A「はいよー」
妖精B「ねばーぎぶあっぷせいしんです?」
妖精C「やっちゃえやっちゃえ」

提督「……しかし1時間半は航巡枠だよなぁ。利根や筑摩も改二で航巡になるのかなぁ。木曾の雷巡みたく」

>1:30:00<

提督「きたk「わたくしが重巡「筑摩と申します「我輩が艦隊に加わればもう索敵「したりしないって」 (もがみん楽しそう…三隈も加わりたいですわ…)

提督「性懲りもなくまた来たのかよ!! というか索敵はしろよ!!」

最上「あまりに暇だからこうなんか盛り上がるようなことをしないと」

利根「出撃の機会がないから我輩のカタパルトも錆付いてしまってのぅ」

提督「毎日故障してるし水上機積んでないから別にいいだろ! ともかくバーナー使うから全員下がって」

「「「「はーい」」」」

ジュワァァァ

「鈴谷だよ!」

提督「うおおおお!!」

出現した鈴谷に駆け寄り、手首をつかむ!!

鈴谷「賑やかな艦tちょ、いきなり何すんの」

提督「おおおおおおお!!」

その勢いでそのままハンマー投げの如く弧を描くように振り回し始める!!

鈴谷「ちょ、ちょっと、ちょっと止めてよ!?」

提督「おおおおおああああああ!!」

そして投げ上げる!!

提督「これで日本国海軍重巡コンプリート!!」

そして落ちてくる鈴谷を受け止めるように両腕を掲げる!!

ところで、艦娘の質量は少女のぶんと艤装のぶんの和である。少女の体重についてはあえて言うまいが、艤装は当然重い。

もちろん鈴谷も割と軽装に見えるとはいえ、例外ではない。重力で加速してくる高質量物体を両腕を伸ばして支えようとすればどうなるか。

鈴谷「ちょ、ちょっと提督危ないどいてー!!」


グキャ


この後無茶苦茶包帯巻いた
海の画集 -「艦これ」公式イラスト集-

452: 2014/02/07(金) 01:58:09.01 ID:EVonoKYro
(どうしてこうなった……。どうしてこうなった……!)

俺は今、工廠に立っている。隣にはウェディングドレス姿の雪風。

周りにはうちの鎮守府にいる艦娘が総出で俺たちを取り囲んでいる。

その様子はさながら生贄か供物を祭壇へ捧げられるのを見守る蛮族の如し。

そして真正面に立つは……

「汝、健やかなる時も病める時も~」

いつもの顔で全く似合わないお決まりの定型文を滔々と喋繰り続ける猫吊るしの姿。

手には聖書という名のカンペではなくいつもの猫を吊るしている。

どうやら完全に暗記しているらしく、その言葉は全く淀みがない。

猫吊るしの問いに反射的に「はい」と答えた気がする。

あまりの急な展開に思考が追いつかない。

いつの間にやら指輪も交換していた気がする

「それでは誓いの口付けを」

さらりと言ってのける猫吊るし。何で人前でやらにゃならんのだ。しかも100を越える知り合いの前で。

ちらりと猫吊るしの顔を見ると、口元がニヤニヤ笑っている。嫌がらせか。

雪風のほうを見ると、期待に満ちた眼差しでこちらを見上げている。

意を決して、俺は雪風を抱き上げ――


泣き虫雪風と釣り人提督 Extra Episode ~花嫁雪風と生贄提督~

近日公開!?

460: 2014/02/07(金) 23:54:16.15 ID:EVonoKYro
ある日の工廠

球磨「クマー。よろしくだクマ」

提督「……」

球磨「その目、クマの実力を疑ってるクマね。まるで『こんな軽巡で本当に大丈夫か』と言ってるみたいだクマ」

提督「だいたいあってる」

提督(本当は『あ艦これ』だと思ったのは口にしないでおこう)

球磨「これでも『意外と優秀な球磨ちゃん』と呼ばれてるクマ」フフン

提督「よろしい、ならば特別演習だ」


屋外の演習場に場所を移す。
沖まで伸びている二本のロープ。左右に並べられている的。一番奥には旗の付いたブイが浮いている。

提督「ルールは簡単だ。岸から向こうのGと書いてある旗まで全速で進む。旗を掴めば演習終了」

提督「コース左右に的があるので砲撃で破壊しながら進むことでポイント倍点」

提督「速さと砲撃の正確さを同時に問う訓練だ」

球磨「わかったクマ」

提督(まぁ的を破壊するごとに最後の的が加速しながら動くんだがな)

提督(止まった的に慣れきっているところで動く的、しかも離れていく標的を狙うのは難しい。初見頃しのギミックだ)

提督(自他共に認める優秀さ、見せてもらおう!!)

※参考図 ○:的: ●:動く的 G:ゴール旗

  | ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○
  |――――――――――――――――――――
  |→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→G
  |――――――――――――――――――――
  |   ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ●←斜線の方向へ動く
                             /

461: 2014/02/07(金) 23:55:44.88 ID:EVonoKYro
提督「んじゃ、準備はいいかね」

球磨「いつでも大丈夫クマ」

提督「おんゆあまーく、げっとせっと」

球磨「……」

提督「ごー!!」

提督の掛け声をトリガーに、球磨は飛び出した。

そのまま左へ、右へと砲弾を撃ち込みながら突き進んでいく。その様子はまさに荒れ狂う羆の如し。

提督「やるねぇ」

そして最後から二つ目の的を壊した直後、水面を軽く跳ね、スケート選手のごとくくるりと回転しながら、遠ざかる的に向けて砲撃を行った。

提督「おお?」

最後の的へ着弾する音と、球磨が旗を掴み、演習終了を告げるブザーが鳴ったのはほぼ同時だった。


提督「うん、疑って悪かった。すまん」

球磨「わかればいいクマ」

提督「頑張ったことだしなんか奢ろう。間宮印の羊羹とかどうだ?」

球磨「それもいいけど球磨は蜂蜜がいいクマ」

提督(やっぱりこいつ熊じゃねーか!!)

球磨「何か言ったクマ?」

提督「いや。蜂蜜だな。まぁ間宮さんに聞いてみようか」

466: 2014/02/08(土) 23:58:42.44 ID:nT9ajFGpo
イク「んふー、提督は何をしても怒らないから好きなのね!」

提督「いやー、俺だって怒るときは怒るよ? あとなんで俺の頭の上に乗ってんの?」

イク「提督の忍耐力を試すのね!」

提督「すっ転んで後頭部打っても知らねーぞ。えーとペーパーナイフ……ないな。包丁でいいか」

イク「なんでそんなの持ってるの?」

提督「深海棲艦の解体用だ。どっかに放っておくと危ないから持ってる。いや本来紙切るのに使っちゃダメだけど」ヂョキ

イク「ふーん…。提督? 肩凝ってるなの? ほらっ、こうするとどーお? 痛い? いっひひひ!」

提督「んあー、もうちょい右。右」

イク「むー、意外と忍耐強いのね……」

提督「次の改二は……探照灯を使って奮戦した、軽巡か……。おー、そこそこ。いいねぇ」

イク「ふふーん」

提督「一息ついたらまたオリョールかねぇ」

イク「イクにおまかせ! なのね!」

提督「まぁ気楽にやればいいさね」

470: 2014/02/09(日) 00:36:46.59 ID:jShBzKIWo
そういえば雪風のぱんつには名前が書いてあるそうですね。なんてこった!
ついでにリク取りの参考用に既出・筆者未所持艦娘……未所持のは大和が出次第取りに行くから(震え声)

戦艦・航戦
大和・武蔵・扶桑・金剛・比叡

正規空母・軽空母・水母・揚陸艦
蒼龍・祥鳳・鳳翔

重巡・航巡
鳥海・鈴谷・高雄

軽巡・雷巡
北上・龍田・球磨

駆逐艦
雷・響

潜水艦・潜母
伊19・伊168

未実装のためどうなるかわからんぞ
大和(済)・矢矧・卯月・弥生・初風

472: 2014/02/10(月) 00:33:25.61 ID:lJUu4EVMo
キス島攻略より前ぐらい

イムヤ「伊168よ。何よ、言いにくいの? じゃ、イムヤでいいわ…よろしくねっ!」

提督「潜水艦か……。敵潜水艦見た時は駆逐軽巡が前世の仇みたいに爆雷投げまくってたからよくわからなかったが」

イムヤ「前世の仇の娘多いしそれはしょうがないんじゃないかな……」

提督「で、実際強いの?」

イムヤ「そうね……雷撃戦の時に密かに近づいて魚雷を発射できるわ」

イムヤ「あとレベル10以上あったり甲標的つけたりすれば先制雷撃もできるし、夜戦もできるわ」

提督「でも耐久力10って…よわそう」

イムヤ「そ、そんなことないし!! 改になれば1.5倍になるし!!」

提督「それでもよわそう」

イムヤ「……伊号潜水艦の力、見ててよね! 実際強いんだから!」


(中略)ドゴーンドゴーン >中破< ミズギガヤブケチャウジャナイ!!


提督「よわい(確信)」

イムヤ「れ、練度が上がって仲間も揃えば……」


時は下って今現在……

チュドドドーン

>完全勝利<


提督「うっひょう潜水艦つぇー、オリョールがほとんどノーダメだぜ」

イムヤ「だから強いって言ったでしょう?」

479: 2014/02/12(水) 01:07:29.22 ID:gahzycgNo
提督「いやー……またここに来ることになるとはねぇ」

弥生「ここは……」

提督「北方海域、キス島沖。最近は節約のためにここへの出撃は控えてたんだが……」

望月「遠征でもないのにあたしが呼ばれるなんてどういうことだよ~」

提督「お上からの任務があってな。『第三十駆逐隊(第一次)を含む艦隊を出撃させ、キス島沖の敵主力と交戦せよ』とな」

如月「それで如月たちの出番、ってわけですね」

提督「で、随伴艦だが菊月と三日月を充てることにした」

菊月「司令官、一つ質問してもよいだろうか」

提督「どーぞ」

菊月「何故私達なんだ?」

提督「独断と偏見……だがその実、今活躍しなかったらいつ活躍することになるかわからなくなりそうだから!!」

三日月「身も蓋もないですよ!?」

睦月「まぁとにかく行ってみましょー!!」


泣き虫雪風と釣り人提督 番外編 第三十駆逐隊、キス島攻略!


提督「で、渦巻きから北に送られた、と」

菊月「一応全艦沈めてきたが……」

睦月「ふぇぇ」(中破)

望月「うあぁー、マジめんどくせぇ~。寝るよー」

提督「というか電探つけるの忘れてた。酸素魚雷外してつけとこうね…」

480: 2014/02/12(水) 01:09:16.99 ID:gahzycgNo
一度キス島を突破したという事実は、南にいるル級Eliteには全く関係のない話である

提督「やっぱ一筋縄では行かんなぁ……」

三日月「私の努力が足りなくて…ごめんなさい」

提督「努力とかでどうにかなる問題じゃないよねこれ」

中破でも沈まないと判明しても単縦のル級Eliteを抜くことは困難である


ゴスッ

如月「私を……どうする気!?」

ボゴン

菊月「ぐっ……この菊月、この程度では沈まぬ……!」

チュドン

睦月「にゃっ!? こ、この程度ならまだっ……!」


さらに言えば睦月型は耐久力が低い。一般的な駆逐艦の3/4である。
それはすなわち同じダメージでも大破しやすいということである。
ついでに装甲も低い。駆逐艦の場合、戦艦から直撃貰ったら大して変わらない気もするが

提督「といってもなぁ。対空以外の改修は済んでるし防御力上げようがないんだよなぁ」

弥生「あの……司令官」

提督「どうした。うまくいかなくて怒ってるのか」

弥生「怒ってないです……」

提督「まぁ冗談はともかく、なんだ?」

弥生「相手の攻撃力が低くなるような陣形の時に行けばいいのでは」

提督「とはいってもそれこそ運だしなぁ…」

如月「敵陣形梯形陣、T字不利で突入します」

提督「…とか言ってる間に本当に最低火力で来ちゃったよ」

481: 2014/02/12(水) 01:09:46.79 ID:gahzycgNo
睦月「ふにゃ~…」プスプス(中破)

望月「だるいー…」プスプス(中破)

提督「大変だろうがもうひと頑張りだ」

弥生「羅針盤は……東」

提督「よっしゃ! あとはウィニングロードだ! 第三十駆逐隊、敵を撃滅してこい!」

弥生「いい…? 睦月、望月、いくよ…弥生、出撃します!」

如月「あ、あの、私は……?」

弥生「あ、その……ごめんね」


ともあれ中破2とは言えキス島前のボスに苦労するはずもなく。


弥生「第三十駆逐隊を……なめないで!」

ワ級「ウボァー」

如月「こちら如月、敵艦隊撃滅完了です。望月大破、睦月・菊月中破です」

提督「よっしゃ、皆お疲れ様。元気な三人で中大破三人曳航だ。皆の無事確認したら帰港だ。帰ってご馳走食べよう」


望月「うぅ~、ほんとだるい~」

提督「船室のベッド使って横になってろ。ボロボロだろ」

望月「あ~い…」

睦月「睦月も休むのね…」

提督「……菊月も休んでいいんだぞ?」

菊月「そ、そうか。お言葉に甘えさせてもらおう」

三日月「そういえばこの任務って何か意味あったのでしょうか……?」

提督「新規に実装された弥生の力を見定めるってのがあるんじゃないかなーと思うけどお上の考えは俺にはよくわかんねーや」

弥生「……」

提督「しかしあれだな。勝ったんだからちょっとは笑ってもいいんだぞ」グニグニ

弥生「すみません、表情、硬くって……」

482: 2014/02/12(水) 01:12:31.42 ID:gahzycgNo
おまけ

雪風「雪風は沈みません!」

ヴェル「Урааааа!!」

島風「おっそーい!」

綾波「殺ーりまーしたー!」

夕立「ソロモンの悪夢、見せてあげる!」

時雨「君達には失望したよ」

エリル「」ゴボゴボ

提督「うっわまじひどい」

雪風「沈むわけにはいきません!」

提督「あまつさえ魚雷カットインでこの威力。何回沈めるつもりだ……」



490: 2014/02/17(月) 00:12:39.35 ID:nhNJDljQo
提督「ケッコンカッコカリ、ねぇ…」

資料を見ながらブツブツぼやく。

ケッコンカッコカリ。それは提督と艦娘をより強い絆で結びつけ、更なる力を手に入れるシステム。

提督「他のとこはともかくこの世界で艦娘運用してるのここだけじゃん! 俺だけじゃん!」

提督「……あの猫吊るしが隠して無ければ、だが」

そう言って提督は資料を折りたたみ始める

提督「まぁ俺には結婚とか関係ないしーYayYay♪ 気楽なアラサー独身貴族だしーWowWow♪」

歌いながら資料を折っていく。そして出来上がったのは…

提督「はい、艦載機紙飛行機一号完成ー。そーれゴミ箱まで飛んでけー」

提督の投げた紙飛行機は、狙いから大きく外れ、窓の外へ飛び出していった。

提督「……まぁいっか。海に溶けて消えてなくなるでしょ」

491: 2014/02/17(月) 00:13:56.98 ID:nhNJDljQo
鎮守府、桟橋。

雪風は桟橋に座ってぼんやりと水平線を眺めていた。

雪風「最近しれぇは雪風を出撃させてくれません…。ちょっと寂しいです……」

そんな雪風の後頭部に何かがこつん、と当たる。

雪風「? 何でしょう?」

振り向くとそこには紙飛行機が。広げてみると……

雪風「ケッコン……?」

ウェディングドレスを着て提督に抱きつく姿を想像する雪風。

雪風「…えへへ」

艦娘である以上、雪風も女の子である。こういうことへの憧れがないわけでもない。

雪風「でも、しれぇってこういうの疎そうだからなぁ……。雪風もだけど。誰かに相談しようかな」

492: 2014/02/17(月) 00:14:52.41 ID:nhNJDljQo
しかし、資料の片隅にある文言を発見してしまった。


『先着一名』


なんだかんだで提督を好いている艦娘は多い。

金剛のように積極的にアプローチを仕掛けたり、雷のように尽くしに来たり。

手作り弁当を作ったりなんだかんだと提督のハートを狙っている艦娘は多い……ように見える。

ツンツンだったり姉妹のほうに興味がありそうでも実際はそうでもないかもしれない。

つまりは姉妹含め全員ライバルになる可能性があるということである。

誰かにしれぇを取られるかもしれない。しれぇが雪風のことを捨ててしまうかもしれない。そう思うだけで自然と涙がこぼれてくる。

雪風「そんなの……いやです……」

くしゃり、と資料を握る。

雪風「手遅れになる前に何とかしないと……でも他のみんなには相談できないし……」

もう一度資料を広げ、目を通す。『提督と艦娘を強い絆で結ぶ』。

間宮さんも大淀さんも明石さんも艦娘には違いないはずなのでアウトである。

……となると残るは…。

??「おやおや何してんですか雪風さん」

雪風「ひっ!?」

??「そこまで大げさに驚かなくてもいいじゃないですか」

雪風「あなたは……」

そこに立つは、頭をすっぽり覆う帽子にセーラー服、手に吊り下げるは猫。

猫吊「ドーモ、ユキカゼ=サン。ネコツルシデス。何かお悩みでも?」

猫吊るし。いったい何者かはわからないが艦娘に絶大な影響を及ぼす謎の人物。
妖精かもしれないといわれているが正体を解き明かしたものはいない。少なくとも艦娘ではない……らしい。

雪風「……猫吊るしさんなら、大丈夫ですね。実は…」

猫吊「その資料見ればわかりますよ。あの提督を自分のものにしたいんでしょう? 策ならありますよ」

雪風「!?」

497: 2014/03/02(日) 18:01:57.37 ID:sgAcz5pio
提督「近所よし、南西よし、北方よし、西方よし。あとは南方か…」

??「マイクチェックの時間だオラァ!!」

ドアはたやすく吹っ飛び、提督の机に直撃して粉々に砕け散る。

猫吊「深海棲艦は南方海域から出て行けー!! というわけで熱々ホットな資料と指令書をお持ちしました」

提督「うん、それはいいけどいちいち俺の部屋のドア壊すのやめてくんない?」

猫吊「お断りします。あ、これが資料でこっちが指令書です。任務については大淀さんに一任してるのでそっちで聞いてくださいね」

提督「りょーかいっと…! 熱ッ!? 物理的に熱ッ!! 何だこの紙!?」

資料を触ったと思ったら手が耳たぶを触っていた。それほどの熱さであった。
猫吊るしの手のあたりをよく見ると厚手のミトンをつけている。

猫吊「熱々ホットだといったじゃないですか。私が熱しましたけど」

提督「その面にこれ押し付けてやろうか。で、指令書が何だって…? 東京急行? 電車にでも乗るのか?」

猫吊「もとは鼠輸送の連合国側のコードネームなんですがこのたび今回の作戦につけられました」

提督「鼠輸送って南西諸島あたりでいつもやってることじゃねーか」

猫吊「このたび北方と南方にも拡大することになりまして。で、ここからが本題です」

提督「何かシリアスな顔つきになったな」

猫吊「敵が最新鋭の艦を開発したらしく、ちょうど泊地がこの東京急行作戦の主航路……ここにたむろしています」

提督「主任務は輸送なんだから避けろよ」

猫吊「そういうわけにも行かないのですよ。このポイントを抑えられるかどうかが分水嶺となるレベルですし。そしてこれが敵主力の艦影です」

提督「どう見てもワ級です本当にありがとうございました」

498: 2014/03/02(日) 18:03:22.74 ID:sgAcz5pio
提督「…でもまぁ随伴艦の艦影かもしれないし。サブ島みたく」

猫吊「なんでも最新鋭艦は霧の艦隊の大戦艦クラスと同等以上の耐久を誇るとか」

提督「ふん、つまりは鬼や姫のような名有りクラスか…。面白い。叩き潰してくれよう!!」


サーモン海

提督「というわけで神通と那珂の改二実戦投入兼ねて出撃させたが普通に強いな」

雪風「頼りになりますね、しれぇ」

提督「あとは甲標的を積めれば文句ないんだが」

雪風「それじゃもう雷巡です、しれぇ!!」


そんなこんなで敵主力遭遇ポイント

神通「敵艦発見、接近中!」

提督「よーし、新鋭艦のツラを拝ませてもらおうか!」

北上「……んぁ? 提督、敵艦から通信入ってますよ」

提督「遺言かな? 聞くだけ聞いて沈めようか」

PPP PPP チューン

ル級フラ『キタナ カンムス ドモノ シュリョウメ』

提督「日本語でおk」

ル級フラ『日本語でしょうが!!』

提督「普通に喋れるなら普通に喋れまだるっこしい。魚雷ぶつけんぞ。大井が」

大井「私が!?」

ル級フラ『ククク……この深海棲艦の技術を結集した最新鋭艦を見ても動揺せずにいられるかな…!?』


ズゴゴゴゴ


金色に輝く船体、流線型状のヘッド、大量積載可能なボディ、それはまさしく…!!

499: 2014/03/02(日) 18:06:42.36 ID:sgAcz5pio
ワ級FlagShip!!


ワ級フラ『実は5回刺されたら氏ぬぞー』

提督「WHAT THE FUCK 何で輸送艦なんだよ」

ル級フラ『予算不足なもので』

提督「てめーらに予算とかあったのかよ」

ル級フラ『その原因の半分てめーらじゃねーかクソがっ!!』

提督「自分のミスを人に押し付けるのはよくないなぁ」

ル級フラ『飛行場姫の完全破壊と戦艦棲姫の完全撃沈とオリョールの強襲揚陸部隊の壊滅が馬鹿にならないんだよ!!』

提督「知らんなぁ? で、後の半分は?」

ル級フラ『……霧艦の雇用費』

提督「あー……。そうね。(うちの精鋭が)介錯してあげるからおとなしく沈もうね?」

ル級フラ『お断りします』

提督「よし会話による停戦交渉は決裂。全艦出撃、敵を撃滅せよ!!」

那珂「今の話、停戦交渉のての字もなかったよね!?」

雪風「雪風はッ! 沈みませんッ!!」2Hit!!

ワ級フラ「ウボァー」

ル級フラ「あぁもうあとで修理しなきゃ」

北上「一人ぼっちは寂しいもんね」2Hit!!

ル級フラ「ギャワー」

雪風「敵艦隊の撃滅を確認! 艦隊帰投いたします!」


提督「……おかしい。ここは本当に最終海域なのか?」

木曾「なんだ? 不安なのか?」

提督「そりゃニコニコ通り越して不安にもなるよ! ぬるすぎるもん!!」

木曾「まぁビギナーズラックかもしれないしな。油断はしない方がいい」

提督「そうだなー…」

果たして南方海域最深部は牙を剥くのか!? ワ級フラグシップは一体どうなってしまうのか!? 後編へ続く!!

504: 2014/03/03(月) 01:42:14.88 ID:CgRELIHFo
雪風「策?」

猫吊「えぇ。皆に知られるより先にすべてを済ませてしまえばいいのです」

雪風「でも、書類一式もないし……」

猫吊「在処は知ってますよ」

雪風「あってもしれぇがサインしてくれるなんて思えません…」

猫吊「そこらへんもちゃーんと考えてありますって。まずは書類一式の入手です!」

雪風「でもどこに…」

猫吊「ケッコンに必要な書類一式をオリョール海に置いてきた! 探せぇ!」

どこぞの海賊王みたいなことを言いながら猫吊るしはオリョール海の地図を広げる。

雪風「何言ってるんですか」

猫吊「世は大ケッコン時代ですからね。えーと、大体このへんですね。敵主力がいる辺り」

雪風「雪風一人じゃ危ないと思うんですが……」

猫吊「そこでオリョールの達人たる潜水艦ズの神霊をちょちょいといじって作成したミニ潜水艦ズ!!」

猫吊るしが取り出したるは妖精サイズの伊号潜水艦の艦娘たち。

「ワァオ!!」「デチ!デチ!」「イク!イクノー!」「アハトアハト!!」「セイランマイフレンド」

雪風「しおいさんのが何かおかしいような」

猫吊「イムヤ以外は魚雷だけじゃなく艦載機も飛ばしますよ!」

雪風「スルーなの!?」

猫吊「ほらほらつべこべ言わずいってらっしゃいこの果報者め」

ミニ潜水艦を押し付け、桟橋から雪風を押し出す。

雪風「あわわ、っと。雪風、出撃します!」

505: 2014/03/03(月) 01:45:09.97 ID:CgRELIHFo
しばらくして、雪風が指輪が入った箱と書類一式を持ってオリョール海から戻ってきた。

服はボロボロ、体も所々煤けている。

雪風「てにいれ…ました……」

猫吊「首尾よく手に入れましたね。じゃ、ちょっと書類は預かりますんでその指輪持って工廠まで行ってください」

雪風「先に…入渠しちゃだめですか…?」

猫吊「どうせ着替えて身綺麗にするんだからだいじょぶだいじょぶ。じゃ、こっちの仕上げはお任せー」

そう言うと猫吊るしは雪風から書類をひったくって全速力でどこかへ行ってしまった。

雪風「工廠に何が……」

工廠まで行き、扉を開けるとそこには、見事な結婚式場が!!

鎮守府の艦娘もみんな揃ってる!!

大和「雪風、ケッコンするんですってね。おめでとう。雪風のためにみんなで協力して準備したのよ。大半は妖精さんだけど」

雪風「え、え、え?」

大和「提督は貴方が一番のお気に入りだし、貴方が提督のことを好いていることもみんな承知よ。それに……」

雪風「それに?」

大和「この鎮守府内でケッコンカッコカリできる練度を持ってるのは貴方だけよ?」

そういって大和は雪風の頭を優しく撫でる。

大和「じゃあ、あっちでドレスの着付けしましょうか。和風か洋風か提督に聞いたら洋風と答えてましたし」

雪風「はい!」

506: 2014/03/03(月) 01:46:04.80 ID:CgRELIHFo
鎮守府執務室

提督「はー、肉くいてー。今晩は大和がステーキ作ってくれるのかねー。洋風と答えたし。和風と答えたら魚料理出そうだったしなー」

サラサラペッタンとルーチンワークの如く書類にサインやらはんこやらしていく。

ガチャ

猫吊「はーいみんな大好き追加の書類だよどんどんサインしてね。ちなみにこっちのほうが優先度高いから先やってください」

提督「へいへい」

サラサラペッタンサラサラペッタンサラサ…

提督「……今サインしたらまずい書類にサインをした気がするぞ」

それは雪風とケッコンカッコカリする契約書。

猫吊「はい犠牲者一名確保ー!!」

どこに潜んでいたのか猫吊るしの姉妹たちが現れ、提督を手早く拘束する。

提督「あ、おいコラちょっと待て雪風とケッコンカッコカリってどういうことだテメーら!!」

猫吊「違法性? 大丈夫です! 全員艦齢70オーバーですから!!」

提督「そうじゃねーよおい!!」

提督の文句はことごとくスルーされ、引きずられるように連れ去られていった。

507: 2014/03/03(月) 01:48:55.38 ID:CgRELIHFo
ドサッ、とどこかの部屋に放り込まれる。

四方の壁と床と天井が白い他は何の変哲もない部屋である。

提督「どこだよここ……」

??「新郎の待機室よ~」

仰向けのまま顔を上向かせるとそこには龍田の姿。

提督「うん、いろいろ突っ込みたいことはあるが……何故ここにいる?」

龍田「それは新郎の付き人ですもの」

平然と答えを返す龍田。

提督「普通、そういうのは同性の友人か何かがやるものだと思っていたが」

龍田「この鎮守府で男性って提督一人だけでしょ?」

提督「木曾とか最上とかじゃなくてなんで龍田なんだよ」

龍田「皆で話し合った結果間違いは起こさないだろうということで決まったのよ」

提督「そうか。まぁ…確かに雪風のことは好きだがこういうのはまだ早いだろ。仕事もあるし俺は戻るぞ」

言いながら体を起こし、扉へ向かう。

龍田「『私は』止めないわよ~」

何か後ろから気になる言葉が飛んできたが無視して扉を開ける。

ガチャリ

目の前には艤装を背負った山城が!!

508: 2014/03/03(月) 01:49:26.88 ID:CgRELIHFo
ドサッ、とどこかの部屋に放り込まれる。

四方の壁と床と天井が白い他は何の変哲もない部屋である。

提督「どこだよここ……」

??「新郎の待機室よ~」

仰向けのまま顔を上向かせるとそこには龍田の姿。

提督「うん、いろいろ突っ込みたいことはあるが……何故ここにいる?」

龍田「それは新郎の付き人ですもの」

平然と答えを返す龍田。

提督「普通、そういうのは同性の友人か何かがやるものだと思っていたが」

龍田「この鎮守府で男性って提督一人だけでしょ?」

提督「木曾とか最上とかじゃなくてなんで龍田なんだよ」

龍田「皆で話し合った結果間違いは起こさないだろうということで決まったのよ」

提督「そうか。まぁ…確かに雪風のことは好きだがこういうのはまだ早いだろ。仕事もあるし俺は戻るぞ」

言いながら体を起こし、扉へ向かう。

龍田「『私は』止めないわよ~」

何か後ろから気になる言葉が飛んできたが無視して扉を開ける。

ガチャリ

目の前には艤装を背負った山城が!!

509: 2014/03/03(月) 01:51:11.47 ID:CgRELIHFo
提督「……どいて、といってもどかないんだろうな」

山城「はい。この任務こなせば姉さまから褒めてもらえるので」

提督「……もし、体と艤装の隙間から無理やり抜けようとしたらどうなる?」

山城「突然スクワットがしたくなってその結果不幸な事故が起こるかもしれません。不幸だわ…」

提督「……うまく抜けてもまだ他に誰かいるんだろうな」

山城「千代田さんと比叡さんが手ぐすね引いて待ち構えてます。大丈夫。氏なない程度には手加減してくれるわ。多分」

提督「つまり、逃がす気は」

山城「ありません」

無言でそっとドアを閉じる。

提督「逃げ場なし、か……」

龍田「雪風ちゃんとケッコンするの嫌なのぉ?」

提督「そーじゃねーけど柄じゃないっつーか一線越えちまうのもなーと」

龍田「まぁまぁ私たち艦娘からの日ごろからの御礼だと思って。実際そうだし」

提督「お前ら全員グルかよ」

龍田「上は大和さんから下はまるゆちゃんまで全員ね。発案者は猫吊るしちゃんだけどねぇ」

提督「あん畜生めいっぺんあのドヤ顔に拳型のへこみつけたろか」


こうして冒頭に戻る。

510: 2014/03/03(月) 01:52:33.81 ID:CgRELIHFo
抱えあげてキスした後のことはよく覚えていない。

呑めや食えやの大騒ぎをした後、気づけば寝巻き姿で執務室にいた。

ベッドには艤装を外した雪風が座っている。

雪風「えへへ……」

提督「そうだよなぁ……結婚したら初夜だよなぁ……」

もはやツッコむ気力もない。雪風と一緒に布団に潜り込む。

雪風「これでしれぇとずっと一緒ですね……」

提督「さぁな? もしかしたら明日俺が氏ぬかもしれないぞ?」

雪風「そ、そんなのダメです! 雪風が守りますから…! 氏なせはしませんから…! うあぁぁぁん!!」

提督「すまんすまん、今のはちょっと意地悪だったな。ともかく俺は氏ぬつもりはないし雪風も他のみんなも沈めさせはしない」

雪風「ぐすっ、ぐすっ……」

提督「お前が昔見た悪夢の再現なんて、俺の目が黒いうちはさせやしねぇよ」

ぎゅっ、と雪風の小さな体を抱き寄せる。

雪風「しれぇ……大好きですっ!」

腕を回して抱きつき返す雪風。

511: 2014/03/03(月) 01:54:15.43 ID:CgRELIHFo
提督「……うん?」

下半身あたりへの違和感を覚える。具体的に言えばズボンが脱げてる。

どうも雪風が足で脱がせたっぽい? 器用なやつである。いやそれはともかく

提督「雪風? 一体何を」

雪風「しれぇ、ケッコン初夜は夫婦で愛の営みするんですよね?」

提督「まぁよくある話だが一応聞いとく。誰から聞いた?」

雪風「猫吊るしさんです!」

提督「顔面陥没どころか顔面貫通レベルだな…ブツブツ」

雪風「しれぇは雪風のこと…嫌いなんですか?」

提督「いや、そうじゃないけど」

雪風「雪風も駆逐艦です! 駆逐艦の夜戦は凄いんですよ!」

提督「いやそれ夜戦違いだろおい早まるな」

512: 2014/03/03(月) 01:55:00.83 ID:CgRELIHFo
通信エラーが発生しました。南方海域での夜戦の様子をお楽しみください。

TawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawi

                キラキラつけたか?ヘ(^o^)ヘ シャッ
                               |∧ 22inch魚雷後期型
                           /  /
           陣形変えたか?  (^o^)/ シャッ
                      /(  )  22inch魚雷後期型
祈りは済んだか? (^o^) 三  / / >
             (\\ 三 シャッ
            < \ 三 8inch三連装砲
       \
       (/o^) ドドーン
       ( /   残念wwwまた来てねwww
       / く

TawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawiTawi

514: 2014/03/03(月) 01:57:20.89 ID:CgRELIHFo
窓から朝日が差し込む。

提督「……どうしてこうなった」

昨晩のことを思い返す。彼にとって雪風は嫁や恋人というより目の離せない、危なっかしい相棒みたいな感じであった。

それが一晩にしてこれである。

提督「……まぁ、いっかな」

だいしゅきホールドをしたまま眠っている雪風の頭を撫でる。

提督「二度寝しよ……」

殺伐とした海戦の毎日。そんな中、一時の平和を味わってもいいじゃないか。
そう考え布団を被り、再び夢の世界へと落ちていく……。

515: 2014/03/03(月) 01:57:59.99 ID:CgRELIHFo
後日、鎮守府酒保にて

提督「何か家具でも買うかな……ベッドじゃ二人で寝るには少々手狭だし新しい布団がいいかな」

雪風「あんまり大きいのは嫌です。しれぇと密着できなくなっちゃいます」

明石「おや、提督さん。新しい品物が入荷しましたよ」

提督「ほう?」

明石「ケッコンカッコカリ用書類一式アーンド、ケッコンユビワ! セットでたったの700円!」

提督「ケッコン費用とは思えないぐらい安いな」

明石「まぁ実際、絆の力でパワーアップさせるだけですし」

提督「そういえばいろんな面でパワーアップするんだよな……強くなるためにも条件整ったら片っ端からケッコンもありか……」

雪風「……し゛れ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛」(涙ドバドバ

提督「いやいやお前の思ってるようなことはないって」

明石「そうそう、大本営からお二人のために特注の布団を用意したそうですが」

提督「が?」

明石「間違えてリランカ島に送られてしまったそうで自分で取りに行ってくださいとのことです」

提督「!?」

ハネムーンカッコカリ編へ続く……!?

516: 2014/03/03(月) 01:58:54.01 ID:CgRELIHFo
ケッコンカッコカリ編、完!!

本当に通信エラーが発生して二重投稿になってしまったが問題ありません(震え声)

517: 2014/03/03(月) 02:55:48.76 ID:lGfbaZI4o

引用: 【艦これ】泣き虫雪風と釣り人提督