524: 2014/03/06(木) 00:37:23.82 ID:pAJJwVsfo


前回:泣き虫雪風と釣り人提督【その6】
最初から:泣き虫雪風と釣り人提督

というわけで東京急行編後編兼安価の霧島さん消化いっきますよー

525: 2014/03/06(木) 00:37:51.82 ID:pAJJwVsfo
ぷかぷか丸内、作戦室

出撃を前に提督は唸っていた。机上に広がるはサーモン海の海図。今作戦の海域と航路が示されている。

提督「うーん、夜戦が問題だな…。サブ島ほどではないにしろ痛いことは変わりない。道中一部に輪形陣張ってるから潜水艦も辛いしなぁ」

提督「第一、分岐条件:ドラム缶って何だよ!! そんな装備聞いたこともねーよ!!」


ガチャリ、とドアが開く。


霧島「あら司令、こんなところで何をやってるんですか?」

提督「執務室戻るのだるいからここで航路考えてたんだがどうしたもんかねぇ」

霧島「この北ルートとかどうですか?」

提督「それも考えたんだが装甲空母鬼や姫を配置してるらしくてなぁ」

霧島「艦載機に枠割いてる上、たいてい輪形陣張ってきますから見た目より火力出ませんよ?」

提督「あとここだ。ドラム缶とやらが4つあれば真南に航路を取れるらしいんだがそんなもんはうちにはない」

霧島「ありますよ?」

提督「えっ」

霧島「先ほど私に装備の破棄任務依頼したじゃないですか。報告しに行ったら大淀さんからもらいました」

提督「鉄資源の再利用ってそういうことか…」

霧島「ちょうど4つ有りますね」

提督「よーし、編成組んで装備整えて出発するか」
海の画集 -「艦これ」公式イラスト集-

526: 2014/03/06(木) 00:38:36.77 ID:pAJJwVsfo
サーモン海、深海棲艦泊地付近

提督「敵がぬるい、道中2戦で済む、あまつさえ給油まで出来る……。もしや楽園なのでは」

大鳳「さすがに敵陣真っ只中を楽園というのはおかしいと思います」

提督「そうだな」

加賀「敵主力発見。タ級フラグシップを2隻確認」

提督「ふん、ル級じゃ手に負えないと判断したか…」

霧島「高速戦艦同士の殴り合いになりますね」

提督「だが、第一目標はあくまであのワ級だ。輸送用の癖に火力まで有りやがって」

最上「でも火力と輸送力を両立させるといってもこっちも似たようなものだよね」

三隈「こちらは巡洋艦に輸送用ドラム缶を積載して、あちらは輸送艦に砲を積んでますもの」

提督「まぁどうであろうと大して変わらん。向こうも艦載機飛ばしてきたようだし…全艦出撃!!」

榛名「榛名! 全力で参ります!!」


少女戦闘中……


提督「タ級は火力がル級の8割しかないそうだからな……。下手するとこっちのほうが弱いんじゃ……」

大鳳『敵残存戦力、タ級フラ2、ワ級フラ1です!』

提督「おーけい、そろそろ日が沈む。全艦夜戦用意! 連中に引導を渡してやれ!!」

527: 2014/03/06(木) 00:39:43.48 ID:pAJJwVsfo
榛名「勝手は! 榛名が! 許しません!」

霧島「距離、速度よし! 全門…斉射ぁ!!」

ワ級フラ「ウボァー」

大鳳 ザザーッ『旗艦、撃沈! 残存戦力も沈黙しました!』

提督「よっしゃ、皆よくやった!! 全艦帰投せよ!」


ぷかぷか丸、甲板上

榛名「これで南方海域も平和になりますね!」

提督「あぁ、だが……」

霧島「だが?」

提督「ここで卯月のドロップが手に入るらしいしワ級出ること確定なんで毎日三回はここに来ることになると思う。大変だが頑張って欲しい」

ワ級「ちょっと待ってよ休めると思ったのに」

提督「お前がいうな、と言うか沈んでろよ!!」

534: 2014/03/06(木) 22:34:50.57 ID:pAJJwVsfo
ある日の鎮守府執務室。

提督「元の世界とは別の世界に飛ばされる……そういうのもあるのか!!」

読んでた文庫本を閉じ、黒電話の受話器をとり、ダイヤルを回す。

ピーンポーンパーンポーン

提督『今から呼ぶ六名は出撃ブリーフィングするんで執務室へ集合するように。
   翔鶴、瑞鶴、飛鷹、妙高、羽黒、ひb…ヴェールヌイ』

ピーンポーンパーンポーン

数分後

提督「今回呼んだのは他でもない。この6人で東オリョールの主力を撃滅し、通商破壊を行ってもらう!」

翔鶴「と言われましても…」

飛鷹「潜水艦の皆が毎日のようにボコボコ輸送艦沈めてなかった?」

提督「疑問はもっともだ。猫吊るしが密林で発見したというこの本。別世界の艦娘の話が」

瑞鶴「前に似たようなことしてなかった?」

提督「うん。で、なんだかんだで瑞鶴の初陣は東オリョールの通商破壊作戦に決まり、出撃することになりましたどっとはらい」

ヴェル「それで私たちが呼ばれたと」

提督「中盤の山場の再現だ。機動部隊が出撃して敵主力を撃滅する。いいねぇ、痺れるねぇ」

瑞鶴(また提督のミーハー癖が頭をもたげたのね…)

提督「というわけで旗艦は翔鶴なー」

瑞鶴「あれ、主人公私なのに?」

提督「まぁそういう編成だったので」

535: 2014/03/06(木) 22:36:21.15 ID:pAJJwVsfo
東オリョール海、海上

提督「さてさて、北回りのルートか…」

妙高「提督」

提督「なんだい」

妙高「何故私と羽黒に水上偵察機を?」

提督「小説内で使用してて、たまたま手元に二つあったから搭載してみました」

羽黒「あ、あの、敵艦発見しました!」

提督「よーし全艦出撃準備ー」


この後無茶苦茶敵艦が沈んだ


飛鷹「戦闘描写すらなし!?」

提督「空母3隻もいるから対空に劣る無印水上艦隊は瞬殺だし…」

536: 2014/03/06(木) 22:39:55.98 ID:pAJJwVsfo
オリョール海最奥部

飛鷹「敵主力発見! ル級2、ヲ級1を確認!」

羽黒「残りは重巡1、軽巡2です!」

提督「空母2構成がよかったんだがまぁ仕方ない。よーし、敵は雑魚だが油断するなよー。」

翔鶴『はい、了解しま(メコッ

提督「……今なんか変な音がしたな? 瑞鶴、どうした?」

瑞鶴『翔鶴姉が! 翔鶴姉の顔面に弾丸が!!』

翔鶴『前が見えません…』

ヴェル『司令官、翔鶴さんにル級の弾が直撃して中破した』

提督「さすが被害担当艦と言うかなんと言うか……。速やかに敵を撃滅して手当てしよう」

結局翔鶴抜きでも負けるはずもなかった


ぷかぷか丸、甲板上

提督「どれどれ……これはひどい」

翔鶴の顔面ど真ん中にくっきり残る砲弾の跡

翔鶴「うう……すみません」

瑞鶴「翔鶴姉、大丈夫……?」

提督「まぁ応急手当はしたし次の出撃までゆっくり休めば大丈夫」

瑞鶴「次?」

提督「今回は中盤の山場だといったろう。そう、クライマックスたる沖ノ島海域戦があるのだ!!」

瑞鶴「!?」


気が向いて成功したら続く

540: 2014/03/07(金) 00:04:35.37 ID:Y0eRdE0Ko
提督「ふー今日の東京急行おーしまいっと。艦隊帰投しましたー」

日向「あぁ、提督か。おかえり」

提督「ただいま。ここで待ってるとは珍しいな。何か相談か?」

日向「装備のことでちょっと話g「晴嵐なら水母ちとちよ固定だから無理」

日向の表情がみるみるうちに曇っていく

提督「まぁ……開発できたら優先的に配備するから」

日向「そうか…」

提督(あ、表情戻った)

日向「ところで、最上のヤツは頑張ってるか?」

提督「頑張ってるな。さっきもフラヲを大破させてたし」

日向「そうか……。やはり航空火力艦の時代だな」
提督「よくやってるよ。 輸送火力艦の時代だな」

日向「……ん?」

提督「輸送火力艦」

日向「……んん?」

提督「輸送火力艦。敵もワ級フラグシップなんての出してきたし対抗するならドラム缶積んだ航巡だなーと」

日向「瑞雲とかは」

提督「主砲・副砲・缶・缶で積む余裕ない」

日向「まるで北号の再現じゃないか。後部甲板は盾でもないし資材置き場でもないのだが…。いっそグレてしまおうか」

提督「非行甲板ってか?」

日向「誰がうまいことを言えと」ゴスッ

提督「オウフ」バタリ

日向「後部甲板は鈍器でもないのだが…うっかりツッ込んでしまった」

547: 2014/03/12(水) 01:54:57.77 ID:ytRjyOJJo
矢矧「軽巡矢矧、着任したわ!」

提督「まさか大型の1h一回目で出るとはな…ともあれ、よろしく」

矢矧「ところで提督」

提督「なんだい」

矢矧「提督の左袖に縋ってぐずってるのは…」

雪風「ぐすっ、ぐすっ…」

提督「まー、その、あれだ。矢矧が来て嬉しくはあるんだが、
   前世で守れなかった罪悪感とか申し訳なさとかそういうのが先立ってどんな顔して会えばいいかわからないの状態」

雪風「ごめんなさい……ごめんなさい…ぐしゅ…」

矢矧「そっか……そうだ」

矢矧は何か思いついたのか雪風の肩をぽんぽんと叩く。

矢矧「雪風」

雪風「ふぁい…?」

矢矧「えいっ☆」

振り向いたところに打ち込まれるでこぴん。

雪風「ひうっ!?」

提督「!?」

矢矧「前はダメだったけど、今度は守りきりましょうね。私も協力するから。ね?」

雪風「は、はい!」

雪風を抱き寄せながら矢矧は提督に耳打ちする。

矢矧(こういう時はかるーく罰を与えてさっと水に流してしまったほうがいいのよ)

提督(うーん、そういうのもありか…)

555: 2014/03/15(土) 01:28:05.32 ID:NKcVsytoo
提督「なぁ、ゴーヤよ」

ゴーヤ「なんでちか?」

提督「俺の記憶が正しければ潜水艦遠征は1泊2日の大旅行だったはずだ」

ゴーヤ「そうでち」

提督「今回着任したレーベレなんちゃらは」

Z1「レーベレヒト・マース」

提督「そうそうそれだそれだ。長すぎるからマースでいいよないや話がそれた、ドイツ艦だよな」

ゴーヤ「そうでち」

提督「今回の遠征、ゴーヤが旗艦だった」

ゴーヤ「頑張ったでしょ?」

提督「往復二時間で接触とかどういうことだ!! 言え!!」(ユサユサガクガク

ゴーヤ「今回は向こうから来るから迎えに行っただけでちー!!」

565: 2014/03/18(火) 01:16:29.03 ID:BKw7Kge1o
夕立改二実装前後辺りのお話

提督「ほー、夕立が改二ねぇ……。来るんじゃないかと噂はされていたが」

夕立「もっと強くなれるっぽい?」

提督「発言がことごとく曖昧すぎて超心配だがとりあえず練度条件は満たしたしやってみよう」


タッポイタッポイタッポイタッポイタッポイタッポイタッポイタッポイ

少女改装中……

タッポイタッポイタッポイタッポイタッポイタッポイタッポイタッポイ


夕立改二「ソロモンの悪夢、見せてあげる!」

提督「おぉ……なんか目が危険色だし顔つきも強そうになったそ魚雷も凶悪そうだしすごく強化されたっぽい!?」

夕立「っぽい?」

提督「さっそく試してみるか!!」

出撃中……

夕立「よりどりみどりっぽい?」(ドグチァ

提督「何あの威力」

夕立「夕立ったら、結構頑張ったっぽい? 提督さん、褒めて褒めてー!」

提督「うん、これは凄いわ…。駆逐艦とは思えんレベルだ」(ぼふぼふ

帰投……

夕立「艦隊が戻ってきたっぽい?」

提督「よーし補給だー」

夕立「お腹いっぱいっぽい!」

提督「……見かけは変わっても中身はいつもの夕立だなぁ…」

566: 2014/03/18(火) 01:21:48.23 ID:BKw7Kge1o
なおレーベレヒト・マースは着任時セリフで「レーベと呼んでよ」と言ってることが判明しました。てへぺろ
既出・未所持艦娘置いときますねあと小ネタ艦娘とか安価下

戦艦・航戦
大和・武蔵・扶桑・日向・金剛・比叡・霧島

正規空母・軽空母・水母・揚陸艦
蒼龍・祥鳳・鳳翔

重巡・航巡
鳥海・鈴谷・高雄

軽巡・雷巡
北上・龍田・球磨・矢矧

駆逐艦
雷・響・如月・夕立

潜水艦・潜母
伊168・伊19・伊58

未所持だからどうなるかわからんぞ
Z1・ビスマルク・卯月・初風

571: 2014/03/20(木) 00:12:13.39 ID:qKhJSR75o
あ、卯月は未所持から消していいです。というわけで鶴翼の絆編、後編

572: 2014/03/20(木) 00:13:29.32 ID:qKhJSR75o

別の日、ぷかぷか丸甲板

提督「そうだ、沖ノ島海域行こう」

集められたのは翔鶴、瑞鶴、飛鷹、隼鷹、ヴェールヌイ、雪風。

瑞鶴「この前言ってた小説の話?」

提督「そうだ。一回目攻略したときは戦艦・空母でごり押しだったしなぁ。空母機動部隊でいけるかどうか」

提督「……まぁ平均的に練度高いし彩雲やら烈風やら流星改やら潤沢に使えるし何とかなるでしょ」

翔鶴「楽観的過ぎませんか?」

提督「むしろ羅針盤のほうが心配なぐらいだな」

隼鷹「南西諸島の羅針盤は荒れ狂うからねぇ」

提督「ちなみに小説だと引き続き翔鶴が旗艦だったがせっかくの主人公だし瑞鶴旗艦ね。練度的には遜色ないし」

瑞鶴「理由付けが酷い気がするけどわかったわ」

提督「じゃ、しゅっつげーき!!」


少女戦闘中……


提督「ククク……1回目にして北ルート中間地点遭遇なしで敵主力と交戦……勝ったな(慢心)」


少女戦闘中……


敗北"D"

提督「これはひどい」

瑞鶴(中破)「まぁ、私だってたまには怪我するし…」
雪風(大破)「みんな、みんな雪風のせいで…グスッ」
ヴェル(大破)「これは少し、恥ずかしいな…」
翔鶴(中破)「私って、怪我しやすいのかしら…ねぇ、瑞鶴?」
飛鷹(中破)「消火ポンプが故障って…どういうことよ…」
隼鷹(中破)「まぁ~、装甲だきゃぁ薄いからなぁ、あたしと飛鷹ってば。仕方ないねぇ~。

提督「うん、まぁ全部単縦でやってくるル級のせいだから泣くなほれ」

雪風(ぐしゅぐしゅ)

瑞鶴「これって結構無茶振りなんじゃ……」

提督「まぁそうかもしれないが加賀ならこう言うだろうな」

加賀『私たちはあの激戦区を戦い抜きました。五航戦の子達とは違って』

提督「とか」

瑞鶴「……もう一度チャレンジするわ」

提督「おーけい。そういうと思って補給用の弾薬燃料と、修復用のバケツ鋼鉄燃料は用意してある」

瑞鶴「みんな、今度こそいくわよ!!」

みんな「おー!!」

提督(にしても「五航戦の子」って鶴姉妹本人なのか彼女らの艦載機妖精なのかどっちなんだろうなぁ)

573: 2014/03/20(木) 00:14:41.99 ID:qKhJSR75o
少女戦闘中……

提督「南ルートで主力と交戦……羅針盤が従順だな……」


瑞鶴『敵主力発見! ル級三隻、黄、赤、青!』

提督「まるで信号機だな」

瑞鶴『第一次攻撃隊、発艦始め! 敵艦隊と交s(ドグチァ

提督「んぁ、瑞鶴どうした!?」

翔鶴『瑞鶴!? 瑞鶴大丈夫!?』

隼鷹『あー、砲弾が顔面に直撃してるねぇ』

瑞鶴『前が見えないわ…』

提督「お前もかよ!!」

雪風『や、やっぱり雪風がいるから……』

飛鷹『そんなの貴方のせいじゃないわ! それより、瑞鶴が動けなくなったぶんをカバーしないと!』

雪風『……はい!』

ヴェル『行くよ!』

雪風『艦隊を! お守りします!』 二級*2「ウボァー」(撃沈)

ヴェル『さて、やりますか』 リ級「グアァ」(中破)

提督「お、うまいこと進んでるな?」


飛鷹『これで……最後よ!』

ル級フラ「アンギャー」


翔鶴『敵艦隊、完全に沈黙しました。これより帰投します』

提督「おつかれさまー。帰ったらうまいもん食いに行くぞー」


瑞鶴「うぅ~……せっかくの見せ場なのに活躍できなかった…」

提督「まぁ、そういうこともあるさね。……しかしほんと似たもの姉妹だよなぁ。旗艦してたら敵主力の戦艦で顔面凹まされるとか」

瑞鶴「こんなことになるなんて…」

提督「まぁ精進だな精進」


後日……

提督「んん……? この本だと敵構成フラ1のエリ3じゃん! 一番無慈悲な構成じゃん! こっちは一番甘い構成じゃん!」

提督「……まぁ敵の戦力が欠けたところを突く時の運も大事よねー…」

576: 2014/03/23(日) 21:24:32.69 ID:pbC0P1zro
卯月手に入れたんで卯月について調べようとWiki見てたらちょうと良いネタが有ったので加古編


工廠にて

卯月「ぷっぷくぷぅ~! うーちゃん、感激ぃ!」

提督「これで改造完了、と」

ガチャコ

提督「んん?」

加古「やほー」

提督「加古じゃないか、珍しいな。どうした」

加古「卯月が改になったと聞いてね、ちょっとプレゼントをね」

卯月「うれしいぴょーん!」

加古「まぁこれくらいしかないけど」

そう言うと加古は自分の付けてたヘアピンを卯月の襟につける。

卯月「ありがとぴょん!」(トテトテトテ

加古「……まぁ本当ならこっちがお礼言わなきゃいけないとこだけどね」

提督「なんかあったっけか?」

加古「昔の話でね。うっかりやられちゃったあと皆を救助してくれたのが卯月なんだよ。彼女には頭が上がらないね」

提督「そうか……。ところでヘアピン渡しちゃったけどいいのかね」

加古「予備あるし」

提督「あるんかい」

584: 2014/03/26(水) 00:47:12.53 ID:j1nelIkoo


提督「あ~、海を眺めるのもいいもんだなぁ」

ザバァ

応急修理女神「貴方が落としたのはどのむっちゃんですか?」

「なんですかなんですかぁー?」
「あらあら」
「えらいぞ!」

提督「唐突だしそもそも落としてないのだが」

女神「出番そのものが来ないコッチの身にもなってみろよオラッ!!」

提督「気をつければ轟沈なんて有り得ないからなぁ…」

588: 2014/03/29(土) 22:38:41.93 ID:rL76KNz3o
サブタイトルはあったほうがいいよねと思うようになってきたのでつけよう。綾波編はもうちょい待って(震え声)

――180万――

提督「180万ねぇ」

猫吊「あなたの他にも提督はたくさんいるんですよ。別世界だけど」

提督「二水戦…神…神!? 神が書いたというのか!?」

猫吊「神通ですが」

提督「……あぁだから探照灯が。で、この探照灯意味あんの?」

猫吊「神通っぽいでしょう?」

提督「無駄に電気を使うな」(パチン

591: 2014/04/02(水) 00:33:49.08 ID:6yY6vHGqo
ある人は守るべきものがあるから人は強く成れると言い、
ある人は守るべきものがないから人は強く在れると言う。
どちらも正しいのかもしれない。
どちらも間違っているのかもしれない。

命あっての物種とはいうが、守るべきもののために命を捨てる真似は莫迦なのか。

これはそんなある莫迦の、莫迦どもの話。

592: 2014/04/02(水) 00:35:56.81 ID:6yY6vHGqo
「いやぁ、全く俺もたいした人間になったもんだ。しがない漁師が今じゃお上と会食する仲だもんなー」

例によっていつもの提督。両手に土産物を下げてご機嫌気分で鎮守府への道を歩む。

「あいつらに土産も大量に買ったし。今日も鎮守府は平和ですってな」

荷物を降ろし、鎮守府の扉を開く。

「たっだいま~っと。みんな元気に留守番してたか~?」

帰宅への返事は痛烈な一言だった。

「遅いのよクソ提督! 今まで何やってたのよ!」

廊下に飛び出して提督を罵りながらやってくる曙。

「お偉いさんと会食に行くって言ったろう。慌てなくても土産はたくさん…」

曙の姿をよく見ると髪は解け、服と艤装はボロッボロである。

「ん、どうした。機雷原に突っ込んだ後みたいにボロボロじゃねーか」

「留守中に深海棲艦の敵襲があったのよこのバカ!!」

「はっは~ん、それで被弾して機嫌が悪いのかなるほどなるほど」

「そうじゃないわよ!!」

「まぁ落ち着け。撃退は出来たんだろう?」

曙を宥めるように頭をぽふぽふと軽く撫でながら問う。

593: 2014/04/02(水) 00:37:30.78 ID:6yY6vHGqo
「撃退は…できたといっていいのか、その……」

言いよどむ曙。

「ん? どうした?」

「や、大和に聞きなさいよ!」

そういって曙は提督から逃げるように去っていった。

「うーむ? まぁ留守の間の指揮は大和に任せてたからどっちにしろ彼女に訊いた方が早いな」

そう一人ごち、奥へと進む。

途中、食堂をちょっと覗くと艦娘たちが集まっていた。

いや、集まっていたというのは正しくない。全員激戦帰りといわんばかりのズタボロで、

机に突っ伏しているか、椅子に座って項垂れているか、あるいは床に転がっているかのいずれかである。

その数ざっと百人以上。この鎮守府のほぼ全員といっても過言ではない。

「入渠ドック狭すぎるんだよな。状況報告聞いたらバケツを配布しないと……」

594: 2014/04/02(水) 00:39:22.76 ID:6yY6vHGqo
執務室のドアを開け放つ。

「おかえりなさい、提督」

そこには大和がいた。多少艤装に傷はあるものの大きなダメージはなさそうだ。

だが、顔色が悪い。何かとてつもなく悪いことがあったかのように。

「どうした、何か悪い物でも食ったか?」

軽口を叩くも、深刻な表情は変わらない。

「そういえば雪風を見かけないな。俺が帰ってくるといの一番に駆け込んでくるのに今日は曙のほうが先だった」

「……それを、今から話します」

「何か、あったのか……?」

「鹵獲されました。私が不甲斐ないばかりに…すみません!」

「……詳しく話してくれ」

「はい…それは…」

要約すると、俺が出かけた後、深海棲艦の群れが鎮守府に乗り込んできて、
雪風が孤立するように弾幕を浴びせかけ、完全に切り離したところで雪風に集中砲火を仕掛けて、
大破したところでこっそり忍び寄った深海棲艦が彼女を捕まえ、それを盾に撤退していった、ということらしい。

「追撃しようとはしたんですが、伏兵にしてやられました…。倒しきった頃には遥か遠くに逃げていてこちらもボロボロでした」

「偵察機か何かは出しているか?」

「赤城が彩雲を飛ばしています。南のほうへ向かって行ったそうです」

「ふむ…」

595: 2014/04/02(水) 00:41:12.44 ID:6yY6vHGqo
ジリリリリン、と古式ゆかしい黒電話が鳴る。全館放送や通信室との内線に使われているやつだ。受話器をとる。

「こちら提督。赤城か? 何かを発見したか?」

『敵は南のほうへ進んで行き、鉄底海峡の奥地まで撤退しました。あと、深海棲艦から電文が入っています』

「奴らはなんと言っている?」

『ユキカゼハ コチラガ アズカッタ カエシテ ホシクバ サーモンカイ サイシンブ マデ テイトク ヒトリデ コイ』

それを聞いて、己の胸に言いようの知れぬどす黒い感情が沸き上がるのを感じた。

(そうかそうか最初から雪風が目当てだったか。
 あいつが俺にとてもよく懐いていて俺もあいつの事を憎からず想っていることを知っての狼藉だよな。
 あいつら一匹残らず塵一つ残さず殲滅してやろうか)

「……オーケイわかった。彩雲の燃料が切れる前に帰還させとけ。以上」

チン、と受話器を下ろす。

「あの……気を、確かに…」

大和が後に語ったところによると、振り向いた俺の顔は不自然なまでに口の端が吊りあがった、恐ろしい笑顔だったという。

「なぁ、大和よ」

「は、はい」

「入渠ドックは満杯だろ。バケツ保管庫の鍵を渡すから全員補修するよう伝えてくれ。赤城とおまえ自身もな。俺はちょっと救出作戦を練る」

「い、行ってまいります!」

鍵を受け取り、そそくさと出て行く大和。

「……まぁ既に作戦は出来てるんだけどな」

そういうと俺は机に書置きを残して、窓から身を翻し、飛び降りた。

非常用に設置したクッションが衝撃を和らげる。

「あいつらにばれる前に出ることが肝要だ」

向かうは工廠。その地下室。

596: 2014/04/02(水) 00:44:09.31 ID:6yY6vHGqo
「妖精、秘密兵器の開発の進捗はどうだ?」

「さきほど、試作品が仕上がりました!」

「見せてもらうぞ」

「どうぞ」

奥の扉を開け放つ。

そこには、大和や武蔵の装備しているものより一回り大きい三連装砲と、七つの魚雷を装填した魚雷発射管が置かれていた。

51cm三連装砲と七連装酸素魚雷。どちらも史実では計画のみで終わった武装。秘密裏に開発していたのだが。

「どちらも腕に装備するタイプです」

「じゃあ早速つけるか」

「えっ、正気ですか? 酸素魚雷はともかく51cm、それも三連装砲とかただの人がつけるなんて正気の沙汰じゃないですよ?」

「46cmより一回りでかいだけだろ。演習場で撃った事あるし問題ない」

「これほどのものになると体への負担が危険で危ないデンジャラスなんですが」

「雪風を救うためならこの身がぶっ壊れようと構うもんか」

そう呟きながら伊勢型や朝潮型の艤装を参考に装備を行う。初めてつけたにもかかわらず、妙に馴染む。

「何か、あったんですか?」

開発妖精が心配そうに声をかける。

開発にかかりきりだったので外の騒ぎについては妖精たちは一切気づかなかったのだろう。知らぬが仏である。

「……俺は何も言わなかったし、お前らは何も聞かなかった。いいね?」

「アッハイ」

597: 2014/04/02(水) 00:46:10.70 ID:6yY6vHGqo
外に出て、ぷかぷか丸に乗りこむ。三式爆雷ソナーセット、30連装噴進砲、51cm艦首魚雷、探照灯。
万一の時のために載せた装備。妖精たちがメンテをしているのでいつでも準備は万全である。
燃料、弾薬も全てそろっている事を確認する。

「おーい、全員集合ー」

『はーい』

一声かけると妖精たちが皆集まって甲板上に整列する。

「よーし皆お疲れ様だ。整備も出来てるようだし、今日は全員両舷上陸…えーとこれでいいんだっけまぁ全員休んでいいぞー」

『わーい』

ぷかぷか丸からぞろぞろ降りる妖精たち。全員降りたことを確認してこっそり錨をあげ、エンジンを始動させる。

「俺の私的な復讐にあいつらを巻き込むわけにはいかないしな」

妖精たちは何も知らずに今後の予定を話し合っている。

「……抜錨!!」

提督の一声とともに、ぷかぷか丸は雪風を取り戻すために進み始めた。

598: 2014/04/02(水) 00:47:54.41 ID:6yY6vHGqo
「あれ? ぷかぷか丸動いてない?」

「あ、ホントだ」

「しれーかん乗ってなかったっけ」

「やばくね?」

「あ、ポータルのほう向かったから暴走じゃなさそう」

「そういう問題じゃなくね?」

「そういえばひとり足りなくない?」

                  ヒ ト
「ひーふーみー…あ。あの妖精がいない」

「……まぁ、あの妖精なら何があっても大丈夫でしょ」

「そだね」

「それより休暇だー」

「わー」

599: 2014/04/02(水) 00:53:21.00 ID:6yY6vHGqo
鎮守府、執務室。バケツをひと通り配布し終え、戻ってきた大和が見たものは、

「提督、作戦かいぎ…を…」

もぬけの殻となった執務室と、机上に置いてある一枚の紙。

『俺はサーモン海へ行く。後のことは頼んだ』

「まさか提督一人で行ってしまうなんて……なんて無茶を」

他にあるのは仕事の書類と、緊急招集用ブザー。
ボタンを押すことで各艦種の代表に執務室集合のアラート通知がなされる代物である。
代表は基本、各ネームシップ内で持ち回りである。

「……招集、しましょう!」

大和は机上のブザーに手を掛け、そっとボタンを押し込んだ。

600: 2014/04/02(水) 00:56:16.28 ID:6yY6vHGqo
招集。
実のところ、会議という名のお茶会としてしか使用されていなかった。
だが、今は違う。

航戦代表、伊勢。
巡洋戦艦代表、金剛。
正規空母代表、赤城。
軽空母・揚陸艦代表、龍驤。
重巡・航巡代表兼書記、青葉。
軽巡・雷巡代表、夕張。
駆逐艦代表、陽炎。
潜水艦代表、伊168。

そして、超弩級戦艦代表、大和。

大和以外『提督が、行方不明!?』

大和「サーモン海へ行く、と書置きを残してね。赤城さん、あの電文を」


赤城は電文の写しを取り出し、一人ひとりに回していく。


赤城「内容自体はありきたりな脅迫文ですね」

龍驤「これ、ヤバイんちゃう!? これ見て提督一人で行ってしもたんやろ!?」

大和「えぇ。これがその書置きよ」


ひらひらと、全員に見えるよう書置きを見せる。


金剛「テートクから目を離さないでって言ったのにー!!」

大和「言ってませんしものの五分で遁走するなんて思いませんよ普通……」

夕張「それにしても、こんな見え見えの煽りに乗るなんて……」

伊勢「まぁ提督は事あることに叫ぶし。今回もそんな感じだったでしょ?」

601: 2014/04/02(水) 00:57:35.30 ID:6yY6vHGqo

大和「…いえ、報告を聞いても奇声一つ上げず、電文を聞いても妙に落ち着いていました」

赤城「罵り声上げるの想定してヘッドフォンを取り外す準備はしてたんですけど」

青葉「そのときの提督の表情はどんな感じでした?」

大和「笑ってました」

イムヤ「笑ってた?」

大和「こう口の端を吊り上げ、歯をむき出しにして……。この私でも、見ただけで背筋がゾクッとする笑みでした」

青葉「……その表情一度だけ見たことあるけど、完全に怒ってると思うなー」

陽炎「どんな感じだったの?」

青葉「…黙秘権を行使させていただきます」トオイメ

大和「ともあれ、提督一人で敵中に突っ込むなんて自殺行為もいいところです。
   提督の安全を確保し、雪風を救出する。両方行わなければなりません」

夕張「しつもーん」

大和「はい、夕張さん」

夕張「質問というよりは確認なんだけど……。提督はぷかぷか丸に乗ってサーモン海へ出航したのよね」

大和「そうですね」

夕張「確かカタログスペックでは全速で30ノット…。30ノット台後半出せる駆逐艦隊を送り込めば晩までには追いつけるかと」

赤城「こちらも艦載機を飛ばして捜索および、駆逐隊が敵と遭遇した時の援護に回ります」

大和「ではその方針で行きましょう。艦隊の選定は陽炎、お願いできる?」

陽炎「任せてください、というかもう皆聞き耳立ててると思うけどね」

大和「後は……強行突破用の艦隊を編成します。全艦、艤装を整え出撃準備。編成完了し次第出撃します!」

602: 2014/04/02(水) 00:58:30.53 ID:6yY6vHGqo
ところ変わってアイアンボトムサウンド、ヘンダーソン飛行場のあったあたり。
国際空港は占拠され、今は深海棲艦の泊地の一つとなっている。

「偵察機より報告。標的A、サーモン海近海に侵入したわ」

そう報告するのは飛行場姫。備え付けのモニタにぷかぷか丸と甲板に立つ提督の姿が見える。

「うふふ、莫迦ねぇ。こんな見え透いた罠に一人でノコノコと。」

嗤うは戦艦棲姫。そしてモニタの中の提督をを不安げに見つめる雪風。

「しれぇ…来ちゃ……来ちゃ駄目です…」

「さぁ、どこまで耐えられるかしらね? 前衛部隊に攻撃指示を。じわじわと、甚振るように追い詰めていってね。この子に、無残な氏に様を見せるようにね…」

「やぁ…やめて……やめて、ください……」

涙を流しながら懇願する雪風。

「前衛部隊、標的Aに攻撃せよ!」

雪風の願いは聞き入れられることなく、攻撃指令は無慈悲に下された。

「さぁ、苦しみなさい、絶望しなさい。そうすれば…」

603: 2014/04/02(水) 00:59:37.24 ID:6yY6vHGqo
甲板に出て海の向こうを見据える提督。

「あいつらには、うちの娘達を傷つけた罪、鎮守府に攻め入った罪、俺に喧嘩を売った罪、そして何より、雪風を攫った罪を贖ってもらわないとな」

敵の近づく波音が感じられる。

「おそらく、敵は拳銃持ったパンピー程度と見做しているだろう」

右に砲を、左に魚雷を、それぞれ構える。

「だが俺は見てきた。艦娘達の戦いを。彼女達の生き様を。そんな彼女たちがやられて俺が黙って見てるだけ? ふ ざ け ん な」

両手のトリガに指を掛ける。

「全世界を敵に回しても、俺が、俺たちが! 雪風を、助け出す!!」

51cm三連装砲の砲撃音とともに、元漁師の提督と深海棲艦達との戦争が、今始まった。

604: 2014/04/02(水) 01:04:16.39 ID:6yY6vHGqo
ひとまずここまで。
綾波編はこれが終わったら書くから(震え声)


泣き虫雪風と釣り人提督【その8】

引用: 【艦これ】泣き虫雪風と釣り人提督