221: 2009/02/15(日) 22:32:24 ID:3fekq++g
「ふぅ、やっと全員に配れたね」
「うん、みんな喜んでくれてよかったね!」

今日はバレンタインデー。芳佳ちゃんと一緒にチョコレートを作り、
ウィッチーズのみんなに配り終えたところだ。
みんなとても喜んでくれて、私たちもとても嬉しい。でも……
芳佳ちゃんはきっと深く考えず、お世話になったみんなへのお礼として
腕を振るったのだろうけど、私の手元には、1つ特別なものが残っている。
特別な人に、特別な思いを込めたチョコレート。
いくら普段仲良く接しているからといって、ううん、普段仲良くしているからこそ、
これを渡すのはとても勇気がいる。
だけど、これを渡さないことには私の2月14日は終わらない。勇気を出さなくちゃ……

222: 2009/02/15(日) 22:33:24 ID:3fekq++g
「あ、あのっよしかちゃ……」
「ふふふ~ん、リーネちゃん、はいこれ!」

出鼻をくじくように芳佳ちゃんが私の胸の前に突き出してきたのは綺麗にラッピングされたもの。

「えへへ、勿論チョコレートだよ!昨日のうちにリーネちゃんに内緒で作っておいたんだ~」
「……」

二人で一緒に作ったものとは明らかに形の異なるハート型のチョコレート。

「リーネちゃんは特別なお友達だからね、頑張っちゃった!……ど、どうしたの?なんで泣いてるの?」
「……えっ?」

無意識のうちに涙を流していた。どんなに頑張っても止められそうに無い。
でも、笑顔で誤魔化すことなら出来る。

「ううん、なんでもないの。ありがとう!芳佳ちゃん、私からもはい!」
「わあ、ありがとう!綺麗だね、食べるのもったいないくらい!」
「わ、私も……芳佳ちゃんは特別な人だから、頑張ったんだ……」
「そうなんだ、嬉しいな。私たち特別同士だね!」
「特別同士……」

223: 2009/02/15(日) 22:34:40 ID:3fekq++g
きっと私と芳佳ちゃんの抱く『特別』の意味には温度差がある。
それをこのチョコレートで埋められたなら……ううん、埋められなくてもいい。
せめてこうして一緒にいられる間だけでも芳佳ちゃんの特別でいられたらいいな……

「これからも仲良くしてね、リーネちゃん!」
「こちらこそ、芳佳ちゃん!」

私は大切にチョコレートを抱きしめた。温もりで溶けないよう気をつけないと……

224: 2009/02/15(日) 22:36:22 ID:3fekq++g
以上です。最後のくだりが大好きな同人サークルの新刊とややかぶってます
ごめんなさい。では職人さん方これからも頑張ってください。

引用: ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart21