239: 2009/02/16(月) 02:39:23 ID:FcmkEnDs
「それじゃあシャーリーさん、片付けは私達がしますから」
「そうか、何から何までありがとな、みんな。最高の誕生日だったよ。おやすみ」
「おやすみシャーリー!」
あいつは・・・もう部屋で寝てる、かな
・・・つまんないの
-----------------------------
ちょっとした失意と寂しさを胸に、あたしは自室へ歩を進めた
さっきまで大騒ぎだったパーティがお開きになったから寂しいわけじゃない
そりゃみんなが喜ばせてくれたし、楽しかったからいいんだけどさ・・・
バルクホルンは、あたしに一言だけしか言ってくれなかったんだ
『17歳の自覚と責任をもて』
両腕に抱えたプレゼントの中に、あいつからのものはない
誕生日に気付いてた素振りも見せてなかったし、本当に知らなかったのかな
お祝いするほど脳天気じゃないからな・・・
・・・言っておけばよかったな。2月13日のこと
「はぁ・・・」
もしもあいつがパーティであたしを独り占めしようものなら、二人の関係をみんなに知らしめたかったのに
実際はハルトマン中尉とこそこそしてたし・・・結局最後まで何もなかったな
もーいいや、とドアノブに手をかけると、ふと小さな異変に気付いた。ドアの隙間から光が漏れている
まさか・・・いや、そんな・・・嘘だろ・・・
ゆっくり扉を押し込むと、いた。あいつが・・・バルクホルンが
「遅いぞ」
・・・なんでさも当然のように座ってんだよ
ああ、なんかもやもやする
「あんたがいるとは思わなくて」
「今日ぐらいは、な・・・」
バルクホルンはそう言うと恥ずかしそうに顔を伏せた
よく見る仕草のはずなのに、今日に限って随分いじらしく目に映ってしまう
こっちまで赤くなった頬を見せないように、早足で部屋の隅に逃げ込んだ
なんだよ、はじめからそのつもりだったのかよ。なんか損した気分
240: 2009/02/16(月) 02:41:24 ID:FcmkEnDs
「あー・・・なんだ、どんなプレゼントを貰ったんだ?」
緊張してるんだろうか、話題を探すような口ぶりに違和感を覚えてしまう
けどその質問はないんじゃない?デリカシーって言葉・・・知らないよな、こいつは
あたしはみんなからのプレゼントを作業台に置いて、一つずつ包みを開いていった
懐中時計、サングラス・・・おっ、工具セットもあるじゃん
「その封筒はなんだ?」
なんでこいつは人のプレゼントに興味津々なんだ?まぁいいけど・・・
封筒というのは大きいものと小さいもの、あわせて二つあった
大きい方は中佐に、小さい方はハルトマン中尉に貰ったものなんだけど
まさか誕生日に処分・・・なんてことはないよな。中佐ならやりそうだけど笑えないジョークだよ
大きいほうの封を切ると、見慣れたサイズの紙が二枚
報告書や辞令なんかに使われるサイズの・・・それ
「なんだよこれー・・・何かしでかした覚えないぞ。えーっと・・・外出許可証と休暇申請書・・・?」
そこに記されていたのは辞令なんかじゃなく、既にあたしと中佐のサインがしてある二つの書類
え?いつ書いたっけこんなの?サインした覚えはないんだけど・・・
外出期間は明日の朝から夜まで?休みも申請してないし、明日だって訓練はあるはず・・・
首を捻っていると、後ろにいたバルクホルンに呼び掛けられる
眉間に皺をよせたまま振り返ると、こいつも同じような書類を持っていた
「お前の外出許可がミーナからのプレゼントだ。有休にはカウントしないそうだぞ」
ゆ、有休にカウントしない、なんてできるのか?
ってことはこのサインは中佐が書いたのかな
そっか、休みか・・・不意をつかれちゃったな、うん
「へぇ、ちょっと驚いちゃったよ」
「それで、だな・・・」
さっきよりもじもじしながら、バルクホルンは書類を二枚突き出した
「これが私の、休暇申請書と外出許可証だ・・・一緒にロンドンへ行くぞ」
「・・・へ?」
緊張してるんだろうか、話題を探すような口ぶりに違和感を覚えてしまう
けどその質問はないんじゃない?デリカシーって言葉・・・知らないよな、こいつは
あたしはみんなからのプレゼントを作業台に置いて、一つずつ包みを開いていった
懐中時計、サングラス・・・おっ、工具セットもあるじゃん
「その封筒はなんだ?」
なんでこいつは人のプレゼントに興味津々なんだ?まぁいいけど・・・
封筒というのは大きいものと小さいもの、あわせて二つあった
大きい方は中佐に、小さい方はハルトマン中尉に貰ったものなんだけど
まさか誕生日に処分・・・なんてことはないよな。中佐ならやりそうだけど笑えないジョークだよ
大きいほうの封を切ると、見慣れたサイズの紙が二枚
報告書や辞令なんかに使われるサイズの・・・それ
「なんだよこれー・・・何かしでかした覚えないぞ。えーっと・・・外出許可証と休暇申請書・・・?」
そこに記されていたのは辞令なんかじゃなく、既にあたしと中佐のサインがしてある二つの書類
え?いつ書いたっけこんなの?サインした覚えはないんだけど・・・
外出期間は明日の朝から夜まで?休みも申請してないし、明日だって訓練はあるはず・・・
首を捻っていると、後ろにいたバルクホルンに呼び掛けられる
眉間に皺をよせたまま振り返ると、こいつも同じような書類を持っていた
「お前の外出許可がミーナからのプレゼントだ。有休にはカウントしないそうだぞ」
ゆ、有休にカウントしない、なんてできるのか?
ってことはこのサインは中佐が書いたのかな
そっか、休みか・・・不意をつかれちゃったな、うん
「へぇ、ちょっと驚いちゃったよ」
「それで、だな・・・」
さっきよりもじもじしながら、バルクホルンは書類を二枚突き出した
「これが私の、休暇申請書と外出許可証だ・・・一緒にロンドンへ行くぞ」
「・・・へ?」
241: 2009/02/16(月) 02:42:44 ID:FcmkEnDs
なんつった?休暇?ロンドン?一緒に?
「ええ・・・えええー!!??」
「な、なんだそれは!嫌か・・・?」
「いやじゃない!けど、その、ほ・・・ほんとに?」
「ミーナからの好意を無下にはできん、だろう?」
そりゃそうだけどさ、いや、悪くないしむしろ嬉しいけどさ・・・
だって・・・二人でロンドンってことはさ・・・それは・・・
「デート・・・ってこと?」
「・・・それ以外に何がある、大馬鹿者」
その瞬間、信じられないくらい耳が熱くなって、こっちまで俯くハメになった
馬鹿はどっちだ、人をこんなに動揺させておいてさ
何か嫌味の一つでも言ってやりたい、けどそんな余裕はかけらもなかった
嬉しくて、嬉しくて、本当に言葉にならないくらい嬉しいから・・・
二人して顔を見せないまま押し黙っていると、向こうが顔を上げかけたから
ぐいと腕を引き寄せて、身体を押し付けてやった
こんな顔、見せられるわけない・・・
「シャーロッ、ト・・・?」
「なんで、なんで早く言わないんだよ、ばか」
「それは、驚かせてやろうと・・・」
「パーティの時は中尉にべったりだった」
「あ、あれは!その・・・皆の前で何て言えばいいか分からなくて・・・」
「中佐にこんなプレゼント貰ったってことは、あたしらの関係バレてるじゃん」
「う・・・」
「ばか、ばかばかばか!ほんとあんたってばか。ホントに・・・」
「すまない・・・それとな、ハルトマンのプレゼントなのだが・・・」
中尉のプレゼント・・・ってこの封筒か
「これが何?っていうか何が入って・・・」
「あ!ちょっと待て!」
バルクホルンの制止も聞かず、ビリビリと封を破ると・・・また紙が入っているようだ
「カールスラントでは紙でプレゼントするのが習慣なのか?」
「違う、それはハルトマンが・・・」
「ええ・・・えええー!!??」
「な、なんだそれは!嫌か・・・?」
「いやじゃない!けど、その、ほ・・・ほんとに?」
「ミーナからの好意を無下にはできん、だろう?」
そりゃそうだけどさ、いや、悪くないしむしろ嬉しいけどさ・・・
だって・・・二人でロンドンってことはさ・・・それは・・・
「デート・・・ってこと?」
「・・・それ以外に何がある、大馬鹿者」
その瞬間、信じられないくらい耳が熱くなって、こっちまで俯くハメになった
馬鹿はどっちだ、人をこんなに動揺させておいてさ
何か嫌味の一つでも言ってやりたい、けどそんな余裕はかけらもなかった
嬉しくて、嬉しくて、本当に言葉にならないくらい嬉しいから・・・
二人して顔を見せないまま押し黙っていると、向こうが顔を上げかけたから
ぐいと腕を引き寄せて、身体を押し付けてやった
こんな顔、見せられるわけない・・・
「シャーロッ、ト・・・?」
「なんで、なんで早く言わないんだよ、ばか」
「それは、驚かせてやろうと・・・」
「パーティの時は中尉にべったりだった」
「あ、あれは!その・・・皆の前で何て言えばいいか分からなくて・・・」
「中佐にこんなプレゼント貰ったってことは、あたしらの関係バレてるじゃん」
「う・・・」
「ばか、ばかばかばか!ほんとあんたってばか。ホントに・・・」
「すまない・・・それとな、ハルトマンのプレゼントなのだが・・・」
中尉のプレゼント・・・ってこの封筒か
「これが何?っていうか何が入って・・・」
「あ!ちょっと待て!」
バルクホルンの制止も聞かず、ビリビリと封を破ると・・・また紙が入っているようだ
「カールスラントでは紙でプレゼントするのが習慣なのか?」
「違う、それはハルトマンが・・・」
242: 2009/02/16(月) 02:44:14 ID:FcmkEnDs
中の紙を取り出してみると、手作り感漂う3枚綴りのチケットが出てきた
丁寧にミシン目まで打ってあるけど何のチケットだ?えーと・・・
『トゥルーデを一日好きなようにしていい券』
「・・・・・・」
「だから、待てと・・・」
「・・・ぷっ、あはははは!なんだよこれ!」
ちゃっちい、質の悪い紙にそう書いてあるだけのチケット!
これはプレゼントでいいのか?ハルトマン中尉は何もしないんだろ?
有効期限は・・・『シャーリーかトゥルーデが氏ぬまで』だと
あいついくつのつもりなんだよ、まったく!
「ふんふん、いつ使おうかなー」
「できれば使わないで欲しいんだかな」
「えー・・・・・・あ、こうすればいいのか」
「え?」
鈍い堅物の細い腰を抱えて、深く、深く、深くキスを重ねた
舌を絡めて、唇を吸い上げて、唾液を舐め取って・・・
「ん、ん・・・っ・・・ふ・・・」
「・・・んぅ・・・ぷは、こうすれば何時でも好きにできるからなぁ」
「こっ、こここ、これに限ったことじゃないっ!」
「あはは・・・」
幸せだ、あたし
仲間に誕生日祝ってもらって、好きな奴と一緒にいられて
もう、なんだろう。今にも氏んじゃうかもしれないや
嫉妬すんなよ、神様。まだ生きていたいんだよ
こいつと、一緒にさ・・・
「ねぇ、二人きりの時だけさ、トゥルーデって呼んでも・・・いい?」
「え、あ・・・・・・そのかわり、私は、し、シャーリーと呼ばせてもらうぞ・・・」
「いいよ・・・トゥルーデ、愛してるよ」
「ひ、卑怯だぞ、そんな・・・あっ・・・」
丁寧にミシン目まで打ってあるけど何のチケットだ?えーと・・・
『トゥルーデを一日好きなようにしていい券』
「・・・・・・」
「だから、待てと・・・」
「・・・ぷっ、あはははは!なんだよこれ!」
ちゃっちい、質の悪い紙にそう書いてあるだけのチケット!
これはプレゼントでいいのか?ハルトマン中尉は何もしないんだろ?
有効期限は・・・『シャーリーかトゥルーデが氏ぬまで』だと
あいついくつのつもりなんだよ、まったく!
「ふんふん、いつ使おうかなー」
「できれば使わないで欲しいんだかな」
「えー・・・・・・あ、こうすればいいのか」
「え?」
鈍い堅物の細い腰を抱えて、深く、深く、深くキスを重ねた
舌を絡めて、唇を吸い上げて、唾液を舐め取って・・・
「ん、ん・・・っ・・・ふ・・・」
「・・・んぅ・・・ぷは、こうすれば何時でも好きにできるからなぁ」
「こっ、こここ、これに限ったことじゃないっ!」
「あはは・・・」
幸せだ、あたし
仲間に誕生日祝ってもらって、好きな奴と一緒にいられて
もう、なんだろう。今にも氏んじゃうかもしれないや
嫉妬すんなよ、神様。まだ生きていたいんだよ
こいつと、一緒にさ・・・
「ねぇ、二人きりの時だけさ、トゥルーデって呼んでも・・・いい?」
「え、あ・・・・・・そのかわり、私は、し、シャーリーと呼ばせてもらうぞ・・・」
「いいよ・・・トゥルーデ、愛してるよ」
「ひ、卑怯だぞ、そんな・・・あっ・・・」
243: 2009/02/16(月) 02:46:43 ID:FcmkEnDs
-----------------------------
基地に戻る頃には、食欲をそそる匂いが廊下に漂っていた
二人で選んだバレンタインのプレゼントを持って、手を繋いでここまでやってきた
「なぁ・・・本当にやるのか?」
当たり前だろ、一度決めたんだから
今までこの関係は秘密のはずだった、だけどそれも今日でおしまい
ルッキーニの笑い声が聞こえる、食堂はもうすぐそこだ
「忘れられないバレンタインにするんだろ?」
「確かにそうは言ったが・・・」
今日は本当に色んなことがあった。色んなことを話した
ほとんどはドキドキするような、ワクワクするようなことだった
けど、それだけは二人の秘密なんだ
絶対に誰にも教えない、二人だけの・・・
「手、はなすなよ」
宮藤とリーネが出迎えてくれる
ペリーヌがこっちを見て、フォークを手から滑らせていた
今日から、あたしらの秘密は一つ無くなる
そのかわり、一つだけ皆に打ち明けることがある
あたし達は、こんな仲なんだ
初めてする、皆の前でのキス
恥ずかしいけど、一歩だけ先に進んだ気がした
二人で、一緒に
おしまい
基地に戻る頃には、食欲をそそる匂いが廊下に漂っていた
二人で選んだバレンタインのプレゼントを持って、手を繋いでここまでやってきた
「なぁ・・・本当にやるのか?」
当たり前だろ、一度決めたんだから
今までこの関係は秘密のはずだった、だけどそれも今日でおしまい
ルッキーニの笑い声が聞こえる、食堂はもうすぐそこだ
「忘れられないバレンタインにするんだろ?」
「確かにそうは言ったが・・・」
今日は本当に色んなことがあった。色んなことを話した
ほとんどはドキドキするような、ワクワクするようなことだった
けど、それだけは二人の秘密なんだ
絶対に誰にも教えない、二人だけの・・・
「手、はなすなよ」
宮藤とリーネが出迎えてくれる
ペリーヌがこっちを見て、フォークを手から滑らせていた
今日から、あたしらの秘密は一つ無くなる
そのかわり、一つだけ皆に打ち明けることがある
あたし達は、こんな仲なんだ
初めてする、皆の前でのキス
恥ずかしいけど、一歩だけ先に進んだ気がした
二人で、一緒に
おしまい
250: 2009/02/16(月) 07:54:43 ID:OJOKHHx0
シャーゲル諦めてかけてたからすごい嬉しい!ありがとう!
ニヤニヤが止まらない!
これ読んでたらエーリカが二人の恋のキューピットってのまで妄想した!
だが文章には出来なかった…
ニヤニヤが止まらない!
これ読んでたらエーリカが二人の恋のキューピットってのまで妄想した!
だが文章には出来なかった…
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