1: 2010/10/13(水) 22:37:24.91 ID:aZMWKK500
とある魔術の禁書目録の安価ssです

十数年後の未来パラレル
王道マイナーほのぼのシリアスごちゃまぜ
安価によって内容が決まるため、結構なんでもアリな展開になっています

前スレ
御坂「よーっす」インデックス「おはよーなんだよ」

とある魔術の禁書目録 外典書庫(3) (電撃文庫)
9: 2010/10/13(水) 22:54:20.14 ID:aZMWKK500
――――御坂家


滝壺「インデックスさん――だっけ? まだ来ないね」

美琴「そうね。そろそろ来ても良い頃あいだと思うんだけど……」


ピンポーン


滝壺「あ、噂をすれば」

美琴「はーいっ! 今行きまーす」(パタパタ


ガチャ


禁書「みこと、久しぶり」

アクアリウム「こんにちは」(ペコ

美琴「久しぶりね、インデックス、アクアリウムちゃん。ローマから遠路はるばるお疲れさま」

禁書「それじゃあ、今晩、アクアリウムのことお願い出来るかな?」

美琴「ええ、安心して。なにせ、『超電磁砲』と『AIM追跡』が居るのよ?」

禁書「とっても心強いね」

11: 2010/10/13(水) 23:00:14.11 ID:aZMWKK500
美琴「アクアリウムちゃんのことは心配しないで、いってらっしゃい」

禁書「…………」

美琴「……インデックス?」

禁書「うん、いってくるんだよ」

黄泉川「そろそろ時間になるじゃんよ、シスターさん」

禁書「……アクアリウム、いい子でお留守番しててね?」

  「おかーさま、ちゃんと帰ってくるから」

アクアリウム「…………」

      「うん、待ってる」

美琴「さぁ、アクアリウムちゃん。おいで」

アクアリウム「お世話になります、美琴さん」

美琴「広い家じゃないけど、ゆっくりしていってね」

アクアリウム「……はい」

禁書「―――いってくるね」

アクアリウム「―――うん、いってらっしゃい。おかーさま」

12: 2010/10/13(水) 23:10:01.64 ID:aZMWKK500
滝壺「あ、アナタがアクアリウムちゃんね。
   はじめまして、わたしは滝壺理后っていうの。よろしくね」

アクアリウム「こんにちは滝壺さん。アクアリウム・ブゾーニです」

滝壺「あら、とってもお行儀がいいんだね」

美琴「アクアリウムちゃんは昔からそうなのよ。
   ほんと、ウチの子どもたちにもに見習わせたいモンだわ」

滝壺「麻琴くんも美子ちゃんもいい子たちじゃない」

美琴「うーん、麻琴は最近反抗期に入り気味だし、美子は美子であまえたがりだし……」

滝壺「そんなもの?」

美琴「そんなモンよ」

13: 2010/10/13(水) 23:12:14.09 ID:aZMWKK500
アクアリウム「…………あれ?」(キョロキョロ

美琴「アクアリウムちゃん? どうしの?」

アクアリウム「あの、美子ちゃんと麻琴くんは……?」

美琴「ウチの子たちいまおじいちゃんの家に遊びに行ってて……」

アクアリウム「――――そっか」

美琴「その、ごめんなさいね」

アクアリム「ううん、いいの」

滝壺「アクアリウムちゃん、滝壺おばちゃんが絵本呼んであけようか?」

アクアリウム「……本当?」

滝壺「本当だよ」

アクアリウム「…………」

       「…………」(ガサゴソ

      「この絵本、よんでもらえたら嬉しいな」(スッ

滝壺「ええ、もちろん構わないわ」(ニコ

16: 2010/10/13(水) 23:15:33.49 ID:aZMWKK500
滝壺「―――昔々あるところに、王子様とお姫さまが暮らしておりました……」

アクアリウム「……………」




美琴(…………)

  (なんか、アクアリウムちゃんの様子がおかしいのよねぇ)

  (確かに家の美子よりは大人しい子だけど……)

  (あまりにも、静かすぎる)

  (…………)


美琴「ちょっとごめんなさい。電話してくるわね」

滝壺「? うん、いってらっしゃい」

19: 2010/10/13(水) 23:22:51.70 ID:aZMWKK500
Prrrrrrrrrrrr、prrrrrrrrrr


当麻『はいはい、上条さんの携帯ですよー?』

美琴「上条って……、アンタは御坂当麻でしょうが」

当麻『口癖みたいなもんだよ』

美琴「一人称が上条さんってどうよ?」

当麻『ま、いいだろ別に。それより電話してきたってことは何か俺に用事でもあるのか?』

美琴「…………うん。ちょっと、ね」

当麻『うん? やっぱオマエもこっちにくるのか?』

美琴「違うわよ。あのね、当麻」

当麻『なんだよ』



美琴『――――今から、大至急、学園都市まっで戻ってきてくれない?』

21: 2010/10/13(水) 23:35:19.54 ID:aZMWKK500
――――窓のないビル、周辺


ブロロロロロロ…、キキッ。ガチャ。


黄泉川「さぁて、木原から頼まれた案内だけど、警備員である私にできるのはここまでじゃんよ?」

禁書「……? 窓のないビルは何処にもないんだよ?」

黄泉川「見えないけど、確かに近くに存在しているじゃん」

禁書「防護結界でも張っているのかな。……でも、それなら私が解析できない訳がないし……」

淡希「AIM拡散力場やらなんやら色んなものが絡んでから、説明するのも面倒だからそこは省いてもいいでしょう」

禁書「え、えーあいあむかくさん……??」

黄泉川「やけに不機嫌じゃんよ『案内人』。オマエも休日返上で統括理事長に借りだされた口か?」

淡希「ええ、そうよ。せっかくの御休みが、急な来客がきたせいでおジャンになったわ」

禁書「そ、その。ごめんなさいなんだよ……」

淡希「別にいいわ。昔からこういうことには馴れているから」


22: 2010/10/13(水) 23:45:27.96 ID:aZMWKK500
淡希「まったく、昨日の夜から何度ビルを往復すればいいのかしらね」(……ハァ

黄泉川「さっきから引っ切り無しに誰かかしら出たり入ったりしてるからな」

淡希「そこのちっこいシスターさんと、どこぞの司教さんと『案内』すればひと段落だけどね」

黄泉川「また警備員の配置等の仕事が終わってないからわたしは一旦戻るけど、全て完了したら私の『案内』も頼むじゃん」

淡希「―――なるべく早くしてよね。何度も何度も『案内』に能力使うのは疲れるのよ」

黄泉川「了解。それじゃ、シスターさん。わたしはココで一旦失礼するよ」

禁書「うん。ここまでありがとうなんだよ」

黄泉川「いえいえ」(スタスタスタ

25: 2010/10/13(水) 23:59:57.26 ID:aZMWKK500
――――窓のないビル、室内


アレイスター「……………」(メルメル

――

to ハナちゃん
from ハニー

tilte 君を想う

---

広大な空に、君の清い心を
飛び立つ鳥に、君の可憐な奔放さを
そよぐ風に、君の柔らかな優しさを
静かな大地に、君のまっすぐな正義を

世界のすべてに君を当てはめ、君を想うよ

心からあふれ出てくるさまざまな感情を詩にのせよう
君に伝えたいと願う全てをこの詩にのせよう

詩が声となり音となり言葉となtt←

―――
 

26: 2010/10/14(木) 00:01:53.85 ID:Kg4QpKut0
アレイスター「―――声となり音となり言葉となって響くだろう」(メルメルメル


――――ヒュンッ


淡希「ますは『里帰り』してきたシスターを連れて来たわよ」

禁書「ひさしぶりだね、アレイスター――って」


淡希・禁書「「なにしてるの?」」


アレイスター「ッ!!」(ビクゥ!!!

30: 2010/10/14(木) 00:11:28.66 ID:Kg4QpKut0
淡希「…………」(ヒュン

アレイスター「あっ! 私の携帯電話が……!!!」

淡希「 『広大な空に、君の清い心を
    飛び立つ鳥に、君の可憐な奔放さを
    そよぐ風に、君の柔らかな優しさを
    静かな大地に、君のまっすぐな正義を』 」

アレイスター「『案内人』! 私の携帯を返せ! あと朗読するなぁああああ!!!」

禁書「どれどれ、わたしにも見せてほしいんだよ」

アレイスター「まて、禁書目録!!」

禁書「 『世界のすべてに君を当てはめ、君を想うよ
     心からあふれ出てくるさまざまな感情を詩にのせよう
     君に伝えたいと願う全てをこの詩にのせよう
     詩が声となり音となり言葉となtt』        」

アレイスター「オマエも朗読するなぁぁぁああああああああ!!!」

35: 2010/10/14(木) 00:17:47.74 ID:Kg4QpKut0
淡希「…………フッ」

アレイスター「い、いま鼻で笑ったな! 私のハナちゃんへの恋唄を見て鼻で笑ったであろう!?」

淡希「ベっつにー(笑)」

アレイスター「…………」(クスン


禁書「………………いんだよ」(ボソ


淡希「……シスター?」

アレイスター「……?」


禁書「とっても素晴らしい詩なんだよ、アレイスター! わたし感動したんだよ!!」

アレイスター「禁書目録……っ!」


淡希「…………うっそぉ」



36: 2010/10/14(木) 00:27:46.40 ID:Kg4QpKut0
禁書「詩にのせてってところが一番いいなって思ったんだよ!」

アレイスター「そ、そうだろう! オマエはこの恋詩に隠されたハナちゃんへの深い愛がわかるんだな!」

禁書「もちろんだよ! 第一節も素晴らしいとしか言いようがないかも!!
   『世界に存在するものそれぞれに、恋しい相手の面影が浮かびます』ってことでしょ? とってもロマンチック!!」


淡希「…………」

  「あんな、くっさくて砂糖吐きそうになるポエムの何処がいいのかしら……」

  「駄目だ、私にはさっぱり理解できないわ……」


アレイスター「禁書目録……っ!! 君は私が思っていたより話のわかる女性ではないか…っ!!」

禁書「アレイスター、アナタとは一度、文学についてじっくりと討論を交わしてみたいものなんだよっ……!!」


淡希「他の人の『案内』もあるから私はもう戻るわ……てコイツらまったく聞いてないわ」

  「まぁ。いいけど」(―――ヒュン

40: 2010/10/14(木) 00:41:17.64 ID:Kg4QpKut0
禁書「―――それにしても意外だったかも。アナタにも、愛する人ができていたんだね」

アレイスター「私自身も、今でも信じられないさ。わたしがこれほど夢中になれる人と出会えたことを」

禁書「羨ましいな。こんなにも素敵な詩をつむげるほど、素敵な恋をしているをしているなんて」

アレイスター「…………魔術師として統括理事長として長い間生きて、私はある意味『完璧な世界』を求めていたように思う」

禁書「完璧な、世界」

アレイスター「そうだ。だからこそ、世界の裏で暗躍し謀略を巡らせた。
       しかし、もがいて足掻いて他者を蹴散らし続けた私が最終的にたどり着いた『完璧な世界』は―――彼女だった」

禁書「……アナタの世界は、その人によって完成したんだね」

アレイスター「ああ、ようやく手に入れた私の至高の宝だよ」


禁書「――――私の世界は、どうやったら完成するんだろう」


アレイスター「…………」

禁書「あの人と結婚して、娘を授かって」
  
  「小さいけれど、ありふれたもの形かもしれないけど」
   
  「確かに、わたしも自分の世界が―――幸せが、形づくられたと、信じてたんだけどなぁ」


41: 2010/10/14(木) 00:47:17.11 ID:Kg4QpKut0
アレイスター「……不躾かもしれないが、ひとつ、尋ねてもいいだろうか」

禁書「遠慮なんてアナタらしくないね。はっきり聞けばいいのに」

アレイスター「では、遠慮くなく聞くが」

       「君は何故」

       「なぜ、夫と――ローマ正教司教ビアージオ・ブゾーニと結婚しよう、と思ったんだ?」

禁書「……確かに、不躾な質問かも」

アレイスター「だから最初に断りを入れたではないか」

禁書「別に、責めている訳じゃないよ。わたしが遠慮するなって言ったんだし」

43: 2010/10/14(木) 00:54:43.02 ID:Kg4QpKut0
禁書「……そうだね、少し、長くなるかもしれないよ?」

アレイスター「君の物語に出てくるお相手がココに到着するまで、しばらく時間がある」

禁書「そうなの? まあ、それまで時間潰しも兼ねて話そうか」

アレイスター「では、しばし私は君の話に耳を傾けるとしようか」

禁書「つまらない話だけどね」

アレイスター「つまらないかどうかを決めるのは、私さ」

禁書「そうかもしれないね。
   駄目な男にひっかかた女の、そこらへんに五万と転がっているありふれた話だよ」

46: 2010/10/14(木) 01:05:20.64 ID:Kg4QpKut0
―――――
――――
―――
――


ステイル「駄目だ、禁書目録。君が行くようなところじゃないよ」

禁書「どうして?」

ステイル「どうしてって言われても。穢れを知らない君には不釣り合いな場所だからさ」

禁書「……穢れた魔術を扱う部署『必要悪の教会』」

ステイル「……」

禁書「私だって、ソコに所属している1人のシスターなんだよ」

ステイル「……どうして、君はそこまで強情なんだ」

禁書「アナタだって強情かも!」

48: 2010/10/14(木) 01:14:11.08 ID:Kg4QpKut0
ステイル「第三次世界大戦だって終結した。
     上条当麻だって帰って来た。
     表面上とはいえ、科学と魔術の対立は終ったんだ――これ以上、君が傷つくことはない」

禁書「闘いはまだ終わってないんだよ、ステイル」

ステイル「……禁書目録?」

禁書「わたし、自分なりに一生懸命考えたんだよ。
   どうして、世界規模の闘いなんてものが起きてしまったのか。
   どうして、世界は当麻だけに全てを背負わせてしまったのか―――わたしが、何もできなかったのか」

ステイル「…………」

禁書「それは、多分。
   私も、みんなも。ちょっとお互いのことを理解できなかったから、だと思うんだ」

ステイル「それが、どうして『闘いは終わっていない』になるんだ」

禁書「……そうだね、これは私の個人的な『闘い』って言ったほうが正しいね」

  「私はね、ただ、守られてるだけじゃ、駄目だと思うの」

  「自分でも、出来ることから、はじめないといけないって思うの」

  「だから」

  「まずは、争いの原因となった「お互いにできた小さな亀裂」を正そうと、思ったんだよ」

50: 2010/10/14(木) 01:21:09.22 ID:Kg4QpKut0
ステイル「…………だから、上条当麻や君たちが対立してきた相手と、話し合いをしたい、と」

禁書「どうして、私たちは対立したのか
   あの時、どうしたら対立せずにすんだのか、―――根気よく話し合えば、多少の答えはでると思うんだ」

ステイル「そういう考え嫌いじゃないけど、あまりにも理想論すぎやしないかい?」

禁書「理想論だよ?」

ステイル「なんだ、わかっているんじゃないか。
     そんな単純なことで人々の亀裂が修復冴えるなら、世界規模の大戦なんて三度もおきやしないよ」

禁書「でも、理想論だって実行しなければ意味がないじゃない」

ステイル「……禁書目録」

禁書「世界にそんあ理想論を掲げるシスターが居たって構わないんじゃないかな?」

  「たとえ、子供が夢見るような愚かな願いでも」

  「私は、そうやって世界は少しずつ救われるって信じるよ、ステイル」

51: 2010/10/14(木) 01:25:02.64 ID:Kg4QpKut0
ステイル「…………」

    「…………君の頑固には負けたよ、禁書目録」

インデックス「――ッ!! じゃあ!!」

ステイル「ただし、僕だけの意見じゃ駄目だ。最大主教のお許しがもらえたら――、」


    
     「君を、処刑塔へと案内しよう」

54: 2010/10/14(木) 01:34:38.04 ID:Kg4QpKut0
――――

ローラ「―――処刑塔へ? またモノ好きなことよな。
    大戦も終結し、十字教各宗派及び科学側との和平が一応成立した今、捕虜の解放も時間の問題」
    
   「あの子の好きにさせてやれ」

――――

禁書「―――て、感じで許可がおりたから、私はこうしてアナタと対面しているわけだね」

ビアージオ「……あの女狐も変な気まぐれをしよる」

禁書「わたしは、アナタとじっくりお話したいんだけど――、アナタはそうじゃなさそうなんだよ」

ビアージオ「当たり前だ。何故、本来なら司教たる立場にいる私が、一介のシスター風情である貴様なんぞと会話をしなければならぬ」

禁書「……むむ。一介のシスター風情っていうのは聞き捨てならないかも!」

ビアージオ「―――フン、事実ではないか」

56: 2010/10/14(木) 01:50:15.69 ID:Kg4QpKut0
ビアージオ「そもそも、貴様の生ぬるい思想が気に食わん」

禁書「生ぬるいってのは認めるけど」

ビアージオ「自覚しているのなら、更に達が悪いぞ、小猿」

禁書「こ、こざる……っ!!?」

ビアージオ「やはり猿は低脳なことしか考えつかないようだな。
      もっと理想は高く持ちたまえよ。
      ――――と、小猿の貴様に言って仕方がないことだ」

57: 2010/10/14(木) 01:50:55.56 ID:Kg4QpKut0
禁書「小猿ってわたしのこと!!?」

ビアージオ「鉄格子を挟んで私が対面しているのは貴様しか居らんが」

禁書「ムキーーーーーッ!! 私は小猿じゃないんだよ!」

ビアージオ「騒がしいな、小猿。鼓膜が破れたらどう責任をとるつもりだね」

禁書「私にはインデックスって名前があるんだよ!!!」

ビアージオ「私が知ったことでは―――、」

禁書「イ ン デ ッ ク ス ッ ! ! !」


(キーンッ!!!!


ビアージオ「―――ッ!! 超音波みたいな声をだすな!!」

禁書「アナタが私の名前を呼ぶまで止めないんだよ!!」(フンッ!!

60: 2010/10/14(木) 01:58:36.73 ID:Kg4QpKut0
ビアージオ「……そもそも、何故、私なんだ」

禁書「え?」

ビアージオ「処刑塔には『告解の火曜』も居るだろうに」

禁書「リドヴィア=ロレンツェッティのことかな? 彼女とは昨日話たんだよ」

ビアージオ「……チッ」

禁書「とても、純粋な人だったよ」

ビアージオ「あの大喰らいの祭りと揶揄される女が純粋だと? 笑わせるな」

62: 2010/10/14(木) 02:09:03.39 ID:Kg4QpKut0
禁書「どうしてそんなことを言うの?」

ビアージオ「あの女もまた女狐よ。話さずとも分る。
      例え、我らが主を尊び崇めていたとて、きゃつらの心根には悪性が隠れておる」

禁書「…………私には、そうは見えなかったけどね」

ビアージオ「貴様が理解の足りないこざ――、」

禁書「イ ン デ ッ ク ス ッ ! ! !」 (キーンッ!!!!

ビアージオ「~~~~~ッ理解が足りない一介のシスターだからだ!!」

禁書「……そうだね、私はアナタほど生きていないから、未熟なんだよ」

   「悔しいことに、ね」

   「未熟だから、救えなかった人たちもいるし、逆に傷つけた人もいるんだよ」

ビアージオ「…………救うとか傷つけるとか。おこがましいな、貴様。全ては主が決めることであろうに」


63: 2010/10/14(木) 02:18:46.43 ID:Kg4QpKut0
禁書「神さまが?」

ビアージオ「そうだ。貴様も十字架を背負うたるシスターであろう?
      何故、主による救いを求めようとない。
      『告解の火曜』ですら、その点においては、貴様より軸がぶれては居らんぞ」

禁書「…………、神さまの救いを決して軽んじている訳じゃないよ」

ビアージオ「なにを戯言を。貴様は先ほどから、一度たりとて主の存在すら口にしなかったではないか」

禁書「神さまの救いはぜったいにある」

  「どんな人にだって救いがなければ、世界はあまりにも非常だから」

ビアージオ「なら――、」

禁書「けど」

   「『主がお助けくださる』まで、ただ何もせずに立ちつくしているなんて、嫌なんだよ」

ビアージオ「…………ッ!!」

禁書「アナタだって、そうだったんじゃないの?」

65: 2010/10/14(木) 02:23:19.22 ID:Kg4QpKut0
禁書「アナタも、かつては主への誓いを果たすために行動に出た」

   「たとえ、上層部からの命令があったからといえ」

   「神による世界の救済の片鱗を、望んだから」

   「わたしやとーまが望んだ世界の救済とは別の形だったけれど」

   「自分の行動が、少しでも神による世界の、人々の救済につながると願ったから」

   「――――わたしやとーまと、対立したんじゃないの?」

67: 2010/10/14(木) 02:27:59.45 ID:Kg4QpKut0
禁書「人種」

  「国籍」

  「年齢」

  「地位」

  「宗派」

  「わたしとアナタは、なにもかも違うし、なにかも相容れないように見えるけど――、」

  「それでも、」

  「心の根底で、無意識に願ったことは」

  「誰かの救いになりたいっていう、同じ気持ちがあったんじゃないかな」

68: 2010/10/14(木) 02:33:17.84 ID:Kg4QpKut0
ビアージオ「…………」

禁書「わたしは、そこから、アナタとの理解を深められたら、と思うんだよ」

ビアージオ「…………」

     「…………」

     「…………やはり、そんなのは戯言にすぎんさ」

禁書「戯言でも構わないんだよ。
   こうやってアナタがわたしの話に耳を傾けてくれているだけで、相互理解への道は開かれているからね」

ビアージオ「わたしは貴様なんぞとの『相互理解』など望まないがね」

禁書「わたしは望むけどね。アナタとも、リドヴィア=ロレンツェッティとも、世界のあらゆる人々と、ね」

70: 2010/10/14(木) 02:42:37.44 ID:Kg4QpKut0
ビアージオ「貴様の思想にも、論理にも、掲げる目標にも、虫酸が走る」

禁書「本当に容赦なくバッサバッサときりかかるね、アナタ」

ビアージオ「――――貴様の話を聞いた上での感想だ。文句はあるまい」

禁書「うん。まぁ、もう少し好意的な反応がほしかったかも、だけど」

ビアージオ「つい最近まで敵対していた勢力相手に、好意的もクソも無いわ」

禁書「そう言われてしまうと、何も言えないんだよッ」(ガクリ

71: 2010/10/14(木) 02:46:47.36 ID:Kg4QpKut0
禁書「―――それじゃあ、また来るよ、ビアージオ・ブゾーニ司教」

ビアージオ「勘弁しろ。貴様の相手は疲れる」

禁書「来るな、とは言わないんだね」

ビアージオ「…………」
 
     「…………」

     「…………生憎と、捕虜の身なんでね」

     「何を言っても、無駄だと思っているだけだ」

禁書「――――そういうことに、しておくんだよっ」

ビアージオ「勝手にいってろ」

禁書「勝手にいってる」

72: 2010/10/14(木) 02:50:35.70 ID:Kg4QpKut0
禁書「――――じゃあね、司教」

   「今度会うときは、アナタの話が聞きたいんだよ」

ビアージオ「…………」








     「…………フン、私は何も話す気はないぞ」

     「―――――禁書目録(インデックス)」

76: 2010/10/14(木) 02:57:26.24 ID:Kg4QpKut0

――
―――
――――
―――――

禁書「―――とまあ、そんな感じでわたしたちの出会いははじまった訳だね」

アレイスター「出会い? お前たちの初めて相まみえたは、イタリアであろう?」

禁書「いいんだよ。そこはつっこまなくて。あえて省略したんだから」

アレイスター「何故」

禁書「これは恋愛劇だからね。愛し合ってる男女が命のやり取りしている場面なんて萎えるだけなんだよ」

アレイスター「そういうものなのか……?」

禁書「そういうものなんだよ」

79: 2010/10/14(木) 03:08:26.09 ID:Kg4QpKut0
アレイスター「しかし、アレだな」

禁書「なに?」

アレイスター「わたしの個人的な感想だが、オマエ、最後の『―――――禁書目録』に攻落した口だろう」

禁書「…………いやぁ、そんなことは」(ギクリ

アレイスター「目が泳いでいるぞ。あれか、ぎゃっぷというヤツにくらっときたわけだな」

禁書「…………だってさ、100%敵意むき出しの相手がふと素直になってくれた瞬間って、こう、不覚にもキュンってならない?」

アレイスター「オマエはキュンとしたわけだ」

禁書「なんか、こう、可愛く見えたというか、母性本能をくすぐられたというか」

アレイスター「『駄目な男に引っかかる女』のまさしく代表例だな、禁書目録」

禁書「……うっ」(グサッ

アレイスター「しかも、自分で『駄目な男にひっかかた女』と言っているあたり自覚もしているし」

禁書「…………ぅうっ」(グサグサッ



禁書「~~~~、これは、詩を朗読した仕返しなのかな!?」

アレイスター「さあな」

82: 2010/10/14(木) 03:19:56.67 ID:Kg4QpKut0
――――そして、時刻は深夜。


木原「猟犬部隊の配置等すべて完了だ。ったく、人にこき使わせやがって」

アレイスター「そうか」

土御門「いやいやどうも、ご両人。こっちの準備も終わったんで加勢にきたぜい」

黄泉川「―――警備員の配備完了じゃんよ。
    しっかし、こんなに警備員が増員されるのなんて何時ぶりだって話だ」

服部「さぁな。俺が入隊してからは一度もねぇっすね」

アレイスター「皆、御苦労だった」

木原「さぁて、アレイスター。今世紀最大の夫婦喧嘩の舞台の準備は整ったぞ?」

アレイスター「後は役者達のが揃うのみ、だな」

木原「さて、この舞台。喜劇か? それとも悲劇か?」

アレイスター「さぁ、私も分りかねるよ。―――私だって、観客の一人にすぎないのだから」

淡希「それじゃあ、私はお客さんが待っている特等席(部屋)へと迎えに行くわよ」

83: 2010/10/14(木) 03:22:49.45 ID:Kg4QpKut0
アレイスター「禁書目録」

      「君の恋愛劇の続きはいったいどっちに転ぶのか、もうしばし、耳を傾けさせてもらうよ」



禁書「――――悲劇になるか、喜劇になるか」

  「そんなの」

  「わたしにだって、本当のところは、物語の終焉は見えていないんだけどなぁ」




84: 2010/10/14(木) 03:30:43.13 ID:Kg4QpKut0
――――同時刻、御坂家。


滝壺「アクアリウムちゃん、もうこんな時間だけど、寝なくていいのかな?」

美琴「本人が眠たくないって言ってるんだから、仕方ないわよ」

滝壺「でも……」

美琴「うん。本当なら無理にでも寝かしつけた方がいいんだろうけど……、」

  「やっぱり、何か感じ取るものがあるんじゃないかな?」

滝壺「感じとるもの?」

美琴「うん。子どもは大人が思っている以上にその背中を見つめているものよ」

  「電話の時も直接会った時も思ったけど、やっぱり、あの子どこか寂しそうな雰囲気だったから」

滝壺「…………あの子って、インデックスさん?」

美琴「――――まぁ、だからアイツを呼び戻したんだけど、さ」

85: 2010/10/14(木) 03:37:22.21 ID:Kg4QpKut0
アクアリウム「………………」


  ビアージオ『…………。普段のオマエの行いに、主が答えて下さったのだろう』

  アクアリウム『……? わたしのおこない?』

  禁書『「アクアリウムがいい子にしてたから、サンタさんが願いを叶えてくれたんだ」ってことだよ』
   
 
アクアリウム「……………」

      「…………、サンタさん」

      「どうしてわたしの願いを叶えてくれないの?」

      「わたし、ずっと、ずっと、お願いしているのに……」

      「おもちゃも、お菓子も、いらないってっ」
    
      「お勉強だってするし、お手伝いだってするし、お行儀よくするって……っ!」

      「…………いいこにするから、」

      「わたしと、おかーさまと、おとーさまが一緒に入れますようにって………!!!」 

      「ずっと、ずっと、ずっと、お願いしているのに……!!」

86: 2010/10/14(木) 03:39:35.54 ID:Kg4QpKut0




――――――「アクアリウムがいい子にしてたから、サンタさんが願いを叶えてくれたんだ」―――――






88: 2010/10/14(木) 03:43:41.15 ID:Kg4QpKut0
アクアリウム「………ひっ……ひっく」

      「…………わ、」

      「……わたしが、悪い子だから、サンタさんはっ、っく、叶えてくれないの……っ?」

      「ぐず、………っは、わたしが悪いこ、だからっ」

      「み、んな、…バラバラになっちゃうのっ…………!!?」

89: 2010/10/14(木) 03:45:22.79 ID:Kg4QpKut0





――――――「いいや、アクアリウムはいい子にしてたから絶対に願いは願うさ」―――――





90: 2010/10/14(木) 03:46:42.85 ID:Kg4QpKut0





――――――「いいや、アクアリウムはいい子にしてんだから、絶対に願いは叶うさ」―――――






92: 2010/10/14(木) 03:50:04.67 ID:Kg4QpKut0
アクアリウム「―――――えっ?」

      「な、に?」

      「わ、たしの…願いが叶うって……っ?」

      「どういう、こと―――?」

当麻「よ、アクアリウム。しばらく見たいうちに、大きくなったな」

アクアリウム「当麻、さん…?」

当麻「おう!」

   

   「―――――上条サンタさんがようやく登場しましたよ、ってか?」

93: 2010/10/14(木) 04:10:19.03 ID:Kg4QpKut0
―――――窓のないビル周辺にある、とあるVIPのための部屋


ビアージオ「……ああ、いったいどうすれば怒り狂った禁書目録の目を欺けるのだろうな」

     「出会ったころは、ただただ、純粋無垢な娘であったというのに」

     「……時の流れとは、恐ろしいものであるな」(ブツブツ


――――ヒュン


淡希「迎えに来たわよ、ローマ正教ビアージオ・ブゾーニ司教。窓のないビルにて、統括理事長アレイスターがお待ちです」

ビアージオ「相分かった。『案内』を頼む」

淡希「…………」(ジーッ

ビアージオ「なんだ? 私の顔に汚れでも付いているのか?」

淡希「いえ、別に……」

   (――――こんなジジイの何処がいいんだか。やっぱり、私にはさっぱり理解が出来ないわ)


淡希「では、アナタを『案内』するわ」


―――――ヒュンッ

95: 2010/10/14(木) 04:26:25.58 ID:Kg4QpKut0
――――窓のないビル、室内


――――ヒュンッ


アレイスター「遠路はるばる学園都市までようこそ、ビアージオ司教」

ビアージオ「ああ、アレイスター殿。子度の会談の許可、心より感謝する」

アレイスター「なに。ローマ正教派は学園都市の大切な和平相手の1つだ」

ビアージオ「さすがは至上最大の魔術師と謳われたお方。御心が広くあらせられる」


96: 2010/10/14(木) 04:29:57.37 ID:Kg4QpKut0
アレイスター「しかし、ここに辿りつくまでに色々とまわっていたらしいな?」

ビアージオ「……ええまぁ」

     「我が上司たるローマ教皇には―――、」

―――――

アックア「若き頃、聖母の慈悲の恩恵を受けていた私に、
     不倫を繰り返したオマエが助けを乞うのであるか?
     貴殿の失態は私の失態でもある。責任はもちろん取るが、それでも貴澱を匿わねばならぬ言われは無い。
     
     それに、処遇は禁書目録に一任しようと思っている」

―――――

97: 2010/10/14(木) 04:30:45.39 ID:Kg4QpKut0
ビアージオ「十字教徒三大派閥の一角、英国清教派の最大主教には―――、」

―――――

ローラ「匿えだと? ―――ッは、馬鹿も休み休み言いなや、下衆野郎。
    本当なら、今すぐにでも腕の一本や二本折ってやりとうところよ?
    しかし、貴様の妻、禁書目録が長いこと静観を貫きとおしてきた故、今まで黙っていただけのこと。

    まず、オマエがすべきは、禁書目録への謝罪だろうに」

―――――

ビアージオ「ロシア成教、最大主教の後見人には―――、」

―――――

ワシリーサ「自・業・自・得・だ・ZE☆」

―――――

ビアージオ「――――と、あっけなくかわされてしまいましたな……」

99: 2010/10/14(木) 04:54:40.37 ID:Kg4QpKut0
アレイスター「――――どれもこれも、反論はできぬのではないか? 司教よ」

ビアージオ「……ええ、また。私にも多少の非はあることは認めます」

アレイスター「多少、なのかね?」

ビアージオ「…………いえ、かなりの配分で」(ダラダラ

アレイスター「ほう? 配分、ということは、奥方の方にも何割かの責務がある、と?」

ビアージオ「……………………、ほぼ十割非は、私かもしれませんな」(ダラダラダラダラ

100: 2010/10/14(木) 05:03:12.83 ID:Kg4QpKut0
アレイスター「……………」

      「ふむ」

      「小物小物と揶揄していたが、根底のところで、罪悪を感じる心はあったか」

      「不倫とはすなわち、性欲」

      「性欲とはすなわち、十字教徒の神が言うところの七つ大罪が一つ」

      「神への冒涜と、同義に近い行動、かもれんしな」

ビアージオ「…………………、アナタは全てお見通し、ということですな」

アレイスター「いやいや、私が理解しているのはほんの一面にすぎない」

      「司教は、十字架―――つまるところ、主への信仰心は熱い男である、と奥方から聞いていたから」

      「なんとなく、推測できただけの話さ」

ビアージオ「…………私のことを、禁書目録から聞いた?」

アレイスター「ああ。君たちの恋愛劇はなかなか愉快だったぞ? ビアージオ・ブゾーニ司教。
      
      「さて、舞台の上にようやく役者がそろったようだし、そろそろ私は観客席へと戻らせてもらうよ、禁書目録」



禁書目録「――――うん、色々とありがとうなんだよ、アレイスター」

103: 2010/10/14(木) 05:10:56.07 ID:Kg4QpKut0
ビアージオ「………な、あ………っ!?」

禁書目録「ひさしぶりだね、ビアージオ」

ビアージオ「え、いや、どうして、ここが……っ!?」

禁書目録「アナタは忘れているようだけど、こう見えても、
     私は十字教最大派閥が一つ英国清教派の重鎮にして、次期最大主教なんだよ?」

     「それに加えて」

     「英国清教第零聖堂区、『必要悪の教会』に所属する十万三○○○冊の『魔導図書館』」

     「人脈にしたって、情報にしたって、魔術関連の探索だって」

     「アナタを見つけ出す方法なんて、いくらでも有しているんだよ?」

104: 2010/10/14(木) 05:16:36.04 ID:Kg4QpKut0
ビアージオ「―――――ッ!!」

禁書目録「あまり、『禁書目録』を甘く見ないでほしいんだよ」

ビアージオ「…………」

     「…………」

     「…………そうであったな、オマエは『禁書目録(インデックス)』だ」

     「――――わたしが処刑塔でオマエと出会ったあの日から」

     「オマエは、『闘い』を辞めずに、突き進んだのだからな」

禁書目録「……私はただ、「人々の間にある亀裂を少しでも修復したい」と願って走りまわっただけだよ」

     「次期最大主教だって、いつの間にかついてきた称号に過ぎないんだよ」

105: 2010/10/14(木) 05:21:05.28 ID:Kg4QpKut0
禁書「…………ううん」

  「違う」

  「『禁書目録』とか、『英国清教派』とか」

  「そんなのはどうでもいいんだよ」

  「確かにこの場に立つ為に利用したものたちだけど、この場に立ってしまえば、関係ないんだよ」

ビアージオ「…………インデックス?」

禁書「…………」

  「…………わたしは、ただ、もう一度、アナタと話し合いに来たんだよ」
  
  「ただの、インデックスとして」

  「もう一度」

106: 2010/10/14(木) 05:31:13.84 ID:Kg4QpKut0
禁書「ビアージオ」

ビアージオ「な、んだ」

禁書「わたしたちは、今夜、もう一度処刑塔のあの夜にもどろう?」

ビアージオ「…………処刑塔の、夜…?」

禁書「そう」

   「わたしがただのインデックスで」
    
   「あなたも、ただのビアージオで」

   「お互いに、本音をぶつけたあの夜に」

   「もう一度戻ろう……?」

ビアージオ「…………」

禁書「わたしも、……ビアージオも、ちゃんとお互いの話を聞いて」

  「その上で、納得して」

  

  「―――――決着を、つけよう。ね?」

108: 2010/10/14(木) 05:36:52.65 ID:Kg4QpKut0
ビアージオ「…………私の話を聞いて、オマエは納得できるのか?」

禁書「…………」

  「…………正直いうと、わからないんだよ」

  「だって、わたしとアナタはいつの間にか、遠くの道を歩んでしまったもの」

ビアージオ「…………もう幾年も」

     「あの、処刑塔の夜のような会話はかわしていなかったであろう」

     「オマエと出会い、結ばれ」

     「アクアリウムが生まれて」

     「それから、幾年も」

     「……………それを、今さら」

109: 2010/10/14(木) 05:39:51.04 ID:Kg4QpKut0
ビアージオ「理解しあえるなど」


     「――――――不可能では、ないのか?」


禁書「ど、して……?」

  「どうして、そんなことを言うの……?」

  「だって、話さなければ、わからないんだよ…」

  「お互いに、伝え合わないと、何も、変わらないんだよ……っ!!?」

  

  「――――どうして、そういうことを言うの!!!??」

110: 2010/10/14(木) 05:43:41.86 ID:Kg4QpKut0
ビアージオ「――――今更、私は変われんのだッ!!」

     「…………もう、変われないところまで、来てしまったんだ」

禁書「―――ッ!!」

  「いつから、アナタはそんな弱音をはく男になったの!!?」

  「主への誓いを立て、十字架を背負いっていた敬虔な司教でしょう、アナタは!!?」

  「それなのに」

  「―――――――それなのにッ!!!」


112: 2010/10/14(木) 05:47:29.08 ID:Kg4QpKut0
ビアージオ「…………」

     「…………老い、だ」

     「私は老いたんだ、インデックスっ!!」

     「―――――オマエに、置いていかれてしまうほど、わが身は既に朽ち果て始めているのだ!!!」

インデックス「…………わたしに、置いて行かれる……?」

ビアージオ「……そうだ」

     「わたしは、お前に置いていかれているんだよ、インデックス!!」

113: 2010/10/14(木) 05:54:09.55 ID:Kg4QpKut0
ビアージオ「わたしは、既に人生の過渡期を超えてしまった!」

     「我が身、ただの皺くちゃの翁にすぎんッ!!」

     「――――オマエも、アクアリウムも、ただ前に進んでいく」
   
     「わたしがただ一人、置いて行かれるのだ……ッ!!!」

禁書「そ、んな。わたしは、アナタを置いて行ったことなんて一度たりとだって……ッ!」

ビアージオ「ない、と言えるか……?」

禁書「…………」

114: 2010/10/14(木) 06:00:13.64 ID:Kg4QpKut0
禁書「…………確かに、私はアナタより一回りも二回りも若い」

  「若さをバネに、気が付いたら最大主教までの道をひた走っていた、かもしれない」

  「けど……っ!」

  「それでも!!」

  「だからと言って、家庭も、アクアリウムも、アナタだって、忘れたことなんてなかったじゃない!!!」

ビアージオ「…………ああ、そうだ!!」

     「オマエが何かに手をぬいたことなんて、一度たりとて無かった」

     「けれど、」

     「オマエが完璧であればある程」

     「ただ、枯れ果てていくだけのこの身が感じる、孤独や絶望は、増す一方だった!!!!」

115: 2010/10/14(木) 06:13:04.35 ID:Kg4QpKut0
禁書「―――――ッ!!!!」

  「孤独……?」

  「絶望……?」

  「…………わたしが、アナタにそんな思いをさせてたなら、謝るんだよ」

  「一言、寂しいと言ってくれたのなら、私だって、アナタに歩調を合わせて生きる人生を選択したんだよッ……!!」

  「けど、アナタは! その寂しさ逃げるために!」

   「そのためだけに!!!」

   「他の女で、心の傷を紛らわせていたんでしょう!!!!???」

117: 2010/10/14(木) 06:19:30.62 ID:Kg4QpKut0
禁書「……ふざけないで」

  「――――馬鹿にしないで」

  「寂しかったから不倫した?」

  「…………」

  「わたしだって、さびしかったっ……!」

  「わたしだって、寂しかったっんだよ!!??」

  「アナタのその声が別の女の名を呼び」

  「アナタのその手が別の女の頭を撫で」

  「アナタのその心が別の女の心に触れていると考える度にッ!!」

  「悲しくて」

  「悔しくて」

  「それでも、諦めきれなくて」


  「――――――氏にたくなるくらいに、寂しかったッ!!!!!!!!!!」

118: 2010/10/14(木) 06:25:09.32 ID:Kg4QpKut0
禁書「アナタが好きだから、」

  「アナタを愛していたから、」

  「…………いずれ、戻ってきて来ると」

  「いずれ、また三人で笑える日が来ると信じて!!」

  「ただただ、耐えていたのに!!!!!」

  「わたしも!!!!」
  
  「アクアリウムも!!!!!!」

  「ずっと、ずっと、アナタが帰って来てくれることを、信じて!!!!」

  「待っていたのに!!!!!!!」



   

  「―――――待って、いたのに…………ッ!!」

119: 2010/10/14(木) 06:26:18.58 ID:Kg4QpKut0




―――――――プツン―――――――――






122: 2010/10/14(木) 06:45:07.35 ID:Kg4QpKut0
禁書「――――――もう、やだ」

   
  「なにかも、いやになっちゃったんだよ……」


  「――――――疲れたよ」

 
  「わたし、疲れちゃったよ、ビアージオ」


  「…………もう、全部おわらせちゃおうか………?」


126: 2010/10/14(木) 06:54:41.33 ID:Kg4QpKut0



禁書目録「過去の記憶を検索、検索、検索、確認。
     第二二章第一節。炎の魔術の術式を逆算し、
     対十字教用に組み込んだ術式をにて発動可能。
     術式名、『神よ、何故私を見捨てたのですか』完全発動まで十二秒」

     「十一」

     「十」

     「九」

     「八」

     「七」

      ・
      ・
      ・



127: 2010/10/14(木) 06:56:34.14 ID:Kg4QpKut0
アレイスター「…………さて、物語はどうやら当人たちは悲劇のほうへと傾かせつつ動いているな」

土御門「何を呑気に構えているアレイスター、もっとも回避したかった事態が目の前で起きようとしているんだぞ!!」

アレイスター「ふむ、そうだな」

土御門「なんでアンタはそう緊張感がないんだッ!!」



服部「――――黄泉川せんせ!!」

黄泉川「分っているじゃんよ!!」

   『――――聞こえるか、私だ。黄泉川愛穂だ!!
    全警備員へ、警備員総責任者の黄泉川が伝える!!
    警備強度を第一報まであげろ!! 
    絶対に生徒たちを外に一歩も出すな!!
    広範域での主要路、各施設への被害が予測される!!―――全員、気を抜くなよ!!』

木原『―――猟犬部隊のクソ野郎どもに告げる!!
   ココの警備は一旦放棄していい!!
   氏にたくなかったら、まずは自分の身を守ることを優先しやがれ!!』

土御門「――――チィッ!! 防御結界の成立が間に合わない!! おい、結標ェええ!!」

淡希「――――ッ!! 駄目、座標軸の計算がぶれ始めている!!」

  「外への空間移動できないッ!!!!」

128: 2010/10/14(木) 07:01:03.23 ID:Kg4QpKut0


アレイスター「落ちつきたまえよ、諸君」

       「確かに当人たちは悲劇の演技をしている」

       「しかし」

       「思わぬところで喜劇がもたられそうだぞ?」



ダダダダダダダダッ―――



アレイスター「―――――ほら、騒ぎの中心に駆けつけるのが大好きな、はた迷惑なヒーローの登場だ」





130: 2010/10/14(木) 07:06:53.80 ID:Kg4QpKut0
     ・
     ・
     ・
     ・
禁書  「五」

    「四」

    「三」

    「二」

    「一」



「待って!! おかーさまあああああ!!!」

「チキショー!!ちょっと遅かったかっ!!?だああああ、間にあええええええ!!!!!!」



禁書  「――――零」

131: 2010/10/14(木) 07:09:14.85 ID:Kg4QpKut0




――――――――――轟ッッッ!!!!!!!!!





134: 2010/10/14(木) 07:22:52.01 ID:Kg4QpKut0
ビアージオ「なにが、おこったのだ………?」

当麻「だああああ痛い!! コレ痛いってっ!! 
   何時だった受けた一方通行の黒翼より痛いって!!
   上条さん、軌道を捻じ曲げるだけで精いっぱいだっつーの!!!」

土御門「……へ? 上やん……?」

当麻「おい、インデックス。少しは手加減ってもんをしやがれ!!」

アレイスター「ふむ、どうやら幻想頃しは間に合ったみたいだな」

当麻「つーか、こんな街中でこんな危なっかしい術式を発動すんじゃねえ!!
   オマエの火力をもってしたら、学園都市の大部分が吹っ飛ぶだろ!? 素人の上条さんにだってそれくらいわかります!!」

淡希「えっと、一応、わたしたちは助かったのかしら……?」

当麻「――――ったく、アクアリウムが『おとーさんとおかーさんに会いたいっていうから』
   御坂が電子ハッキングしてお前たちがココにいることを突き止めた情報を元に、ここまできて見たのはいいけど
   いったい、なんなんですか、この現状は!!!??」

黄泉川「―――なんだ、アイツもたまにはやるじゃんよ」

服部「たまにはってレベルですか? コレ」

木原「―――――とりあえず、この場にいるヤツは全員生きてんじゃねーか?」

当麻「おい、聞いてるのかインデックス!!??」

禁書「――――」

135: 2010/10/14(木) 07:28:18.67 ID:Kg4QpKut0
禁書「―――――」

  「―――――」

  「―――――」

当麻「…………インデックス?」

禁書「―――――」

  「―――――」


アクアリウム「…………おかーさま。おとーさま」


ビアージオ「アクアリウム、か……?」

禁書「―――――アクア、リウム……?」


アクアリウム「うん、私だよ」

      「アクアリウム・ブゾーニだよ……っ!」

      
      「おかーさまと、おとーさまの、アクアリウムだよっ!!」

136: 2010/10/14(木) 07:33:27.65 ID:Kg4QpKut0
アクアリウム「おかーさま、もうだいじょうぶだよ」

      「もう、だいじゅぶ、だよ」

      「ここには、」

      「わたしも、」

      「おとーさまも、いるよ」

      「三人、みんな居るよ」

      「ちゃんと『三人一緒』だよ」
   
      「だから、もう、だいじょうぶなんだよ、おかーさま」



      「もう、誰も、寂しくなんかないよね?」

138: 2010/10/14(木) 07:39:00.44 ID:Kg4QpKut0
禁書「――――あ、」

  「あ、あ、ああああ……ッ!!」

  「わたし、わたし……いま………ッ!! いまッ!!!」




当麻「――――安心しろインデックス。
       
            げ  ん  そ  う
   俺がオマエの『神よ、何故私を見捨てたのですか』を、ちゃんとぶち壊したよ」

  「オマエは、誰ひとり、失っちゃいないよ」

  「――――誰もが居なくなる後味の悪い幻想なんて、綺麗さっぱり消えちまったさ」



禁書「とー、ま……」

ビアージオ「―――――何時ぞやの、幻想頃しの少年、か」

142: 2010/10/14(木) 07:46:23.34 ID:Kg4QpKut0
トタタタタタタタ。ギュウ。


アクアリウム「おとーさま、おかーさま」

      「二人とも、泣くのを我慢しなくてもいいんだよ……?」(グスッ

      「わたしがいいこいいこ、してあげるからっ」(ヒックヒック

       「だからっ! …だからっ!!」(ゥエ

       「お願い、だからッ!」

       「…………お願いだから」

       「わたしを、ひとりにしないでぇええええええ」(ウワァアアアアアアアア


禁書「あ、くあ、りうむっ……っ!!!」

ビアージオ「……アクアリウム」


アクアリウム「っ、く、うぇ、ぉ、お願いいいいいいいいいっ……!!!!」(ビェエエエエエエエエン

144: 2010/10/14(木) 07:56:29.36 ID:Kg4QpKut0
禁書「…………ごめんなさい、アクアリウム」

  「おかーさまも、おとーさまも」
 
  「こんな夜遅くに、アナタを、一人にしてしまったんだよっ……!」

  「ごめんなさい……アクアリウム」


……ギュウ


ビアージオ「―――――アクアリウム」

     「しばらく見ない間に、また一段と、心根の優しい娘に成長した」

     「……わたしは、そのオマエの成長すらも、目をそむけていたのだな……」

     「アクアリウム」

     「不甲斐ない父を許せ………ッ!」


……ギュウ


アクアリウム「おとーさま……っ! おかーさまっ……!」(ギュウウウウウ

150: 2010/10/14(木) 08:12:32.54 ID:Kg4QpKut0

木原「…………さて、アレイスター。終始客席に居たオマエの感想を聞こうか?」

アレイスター「ふむ、色々と面白い恋愛劇の第二幕であったよ」

土御門「てめっ、かみやんがここに向かうって知ってやがったにゃー?」

アレイスター「――――そもそも、滞空回線を通じて超電磁砲にデータを提供したのはわたしだ。
       危ない橋はなんて、誰が好き好んで渡ろうとする?」

淡希「―――ほんと、コイツも狸よね」

黄泉川「――――、部下からの連絡だ。
    上空へ舞い上がった高エネルギー体の衝撃はで、多大な爆音と揺れが観測されたが、
    周囲のビル群の窓ガラスが割れた程度で、それほどひどい二次被害の報告はいまのところ上がっていないじゃんよ♪」

服部「冥土帰しの病人に複数人、衝撃波で吹き飛ばされてしまった警備員等が搬送されたが、いずれも軽症だ」

アレイスター「そうか」

152: 2010/10/14(木) 08:14:30.11 ID:Kg4QpKut0
木原「――――グットニュースの次はバットニュースだ
   上空に捻じ曲げられた高エネルギー体が二代目『樹形図の設計者』にぶつかって、ぶっこわれたそうだ」

アレイスター「………………え?」

木原「アレだな、『樹形図の設計者』てのは禁書目録にとって格好の的なのかもしれねーな」

アレイスター「……………」

淡希「……どうしたの? 突然暗い顔になって」

土御門・木原「「ハナちゃんに自慢しようと思って作った機械がぶっこわれて落ち込んでるだけだろ」」

アレイスター「な、なぜそれを……!?」

土御門・木原「「やっぱりそのパターンかよ!!!」」

153: 2010/10/14(木) 08:18:28.66 ID:Kg4QpKut0
アレイスター「…………」

      「ハナちゃんに『すごーいっ』って言われたかったんだけどなぁ……」

      「…………」(ホロリ



      「しかしまぁ、本当に楽しい楽しい第二幕であったよ禁書目録」

      「さあて」

      「第三幕の物語はいったいどうなるのかな」

      「なに、私は一人の観客。陰ながら、その続きを待つことにしよう」

      

      「きみの恋愛劇、まだまだ終らないでくれよ? 禁書目録」

154: 2010/10/14(木) 08:25:39.97 ID:Kg4QpKut0
―――――
――――
―――
――


禁書「…………落ちついた? アクアリウム」

アクアリウム「……うんっ」

禁書「ああ、髪がぐちゃぐちゃだ」

アクアリウム「……えっ!?」

禁書「髪の毛、結び直してあげるからこちらにいらっしゃい」

アクアリウム「うん!!」



当麻「――――んで、要約すると、だ。
   アンタが浮気をしまくって、我慢しきれなくなったインデックスがキレて暴走。
   学園都市に教皇級魔術がぶっこまれそうになったのを、俺が幻想頃しでなんとかした、ってことか?」

ビアージオ「ああ。まぁもっと色々あるのだが―――、概ねその通りだ」

当麻「…………あんたら、これからどうするんだよ」

ビアージオ「わたしはインデックスが望む通り、それに従うまでだ」

157: 2010/10/14(木) 08:35:03.89 ID:Kg4QpKut0
当麻「インデックスが望む通りに……?」

ビアージオ「ああ。あの子が最初から望んでいた通り――――離婚することになるな」

当麻「はああ!!? なんだよソレ、それじゃあアクアリウムがなんのために―――ッ!!!」

ビアージオ「いや、生活は今のままだ。何も変わらない」

当麻「………へ? あの、まったく意味がわからないんですが」

ビアージオ「籍だけ抜けることにしたんだ。……これからは、事実婚という形になるな」

当麻「――――なんか、まどろっこしくねえか、ソレ」

ビアージオ「こんな愚かな出来事を引き起こしてしまった戒めとしての意味が、一つ」

     「もう一度、一からやりなおしていこうという誓いとしての意味が、一つ」

     「処刑台の夜に帰ろう、と約束したのでな」

当麻「……………? もう、上条さんは全然わからないんですけど…………?」

ビアージオ「―――もう一度互いを信じ、ともに歩めると確信できた時に、また籍を戻す」

     「だから、そう出来るように。そんな未来を歩めるように前進しよう、という約束なんだ」

当麻「…………そうかい」

  「やっぱ、俺にはまどろっこしいやり方のように感じるけど、ソレがアンタ達のやり方なんだな」

158: 2010/10/14(木) 08:44:14.60 ID:Kg4QpKut0
当麻「――――ああ、そうだ。忘れるところだった」(グッ

ビアージオ「……? 何を忘れて―――、」


当麻「『寂しさ』に惑わされて、妻子をないがしろしていいなんて幻想、俺がブチ頃す!!!!!」(ドカシャあああ

ビアージオ「ひでぶッ!!?」


ズサササササササ。


ビアージオ「ひゃ、ひゃにをしゅる!!(訳:な、なにをする!!?」

当麻「――――これで、アンタもすっきりするだろ」

  「アンタは不倫を繰り返した。その罰はちゃんと受けないと駄目だ」

  「とりあえず、今のが、オマエへの罰だ」

  「――――それに、いい目覚まし時計代わりになっただろ?」

ビアージオ「………ひょっと、ひょうれちゅしゅぎやしにゃいかね(訳:……ちょっと、強烈すぎやしないかね」

当麻「あははは、反論する元気があるうちはアンタも十分若い若い!」

  「――――――今度こそ、インデックスとアクアリウムのこと守ってやれよな?」

ビアージオ「―――――やあ(訳:ああ」

159: 2010/10/14(木) 08:49:07.31 ID:Kg4QpKut0
禁書「こら動かないの。きれいにみつあみできないでしょう?」

アクアリウム「――――ねぇ、おかーさま」

禁書「なあに、アクアリウム」

アクアリウム「サンタさんて、やっぱり居るんだね!」

禁書「どうしたの、突然。クリスマスはまだ随分と先なんだよ?」

アクアリウム「ううん、わたし、一足先にもうプレゼントもらっちゃったの!」

禁書「そうなの?」

アクアリウム「―――うん」





      「―――――ツンツン頭の、やさしいサンタさんにね!!」


――――禁書視点・終――――

161: 2010/10/14(木) 08:56:43.86 ID:Kg4QpKut0
禁書は離婚すべきか否か→頃すくらいの勢いで分かれる
ビアージオに対するお仕置きは→そげぶ
ようやく、この2つの安価の消化が終りました。
二スレの一五〇代までお付き合い頂きありがとうございました。
深夜テンションで禁書視点が予定よりかなり長くなりましたが、書いてて楽しかったです



打ち止め「だけど、まだもちっとだけ続くんだよ、ってミサカはミサカは次回予告をしてみたり!!」

一歩通行「ァあ? 次回予告ってモンじゃねェーだろ。オマケだオマケ」

オルソラ「あらあらそうでございましたの?」

美琴「まー、そんなに長くはないでしょうね」

当麻「つーか俺の出番はあるのか?」

麻琴「さぁ? まぁ俺は結構あるみたいだけど」 10時くらいにはじめますノシ ちょっとだけ休憩
 

166: 2010/10/14(木) 09:41:00.08 ID:Kg4QpKut0
――――打ち止め視点――――


一方「―――――ッこンの分らず屋のがァあああああああ!!!ッ」

オルソラ「待って一方通行さん、さすがにそれは―――ッ!!」


バチンッ!!!


打ち止め「―――――ッ痛……!!」

オルソラ「打ち止めちゃん、大丈夫でございますか―――」

一方「オルソラ。余計な手だしすンじゃねェ」

オルソラ「で、ですが……」

一方「打ち止め、悪ィが、しばらくオマエの顔なンざ見たくもねェ――――失せろ」

168: 2010/10/14(木) 09:45:07.88 ID:Kg4QpKut0
打ち止め「~~~~~~ひどい、最低!!」

一方「俺は、間違ったことを言ったつもりはねェ。ひどいのはどっちなのか、頭冷やしてよく考えやがれ」

打ち止め「――――――ッ」(ダッ

オルソラ「ら、打ち止めちゃんっ!!」


ダタダタダタ、バタン!!!


オルソラ「……あっ」
     
    「…………いいのでございますか?」

一方「…………なにがだ

オルソラ「こんな真夜中に女の子一人放り出してしまって……」

一方「放っておけ」

オルソラ「………わたくし、心配ですので、近くを探して参ります」

一方「だから、放っておけって。
   アイツだって、もう成人したことになてンだ。自分でタクシー拾うなり、最寄りの駅まで歩くなり、自己判断できる」

170: 2010/10/14(木) 09:54:27.12 ID:Kg4QpKut0
一方「それに、今オマエが迎えに行ったところで、余計にみじめになるだけだろォが」

オルソラ「…………それは」

一方「違うか?」

オルソラ「いいえ、間違ってはおりません。
     けれど、やはり他に言いかたといものがございましょう」

一方「……今回は、何時もみたく多少甘えさせてやっていい問題じゃァねェ」

オルソラ「確かに、そうでございますけれど……」


一方「…………」

オルソラ「…………」


一方「ア"ァーーーーッ!! ンでこんなことになりやがったンだ!!」

  「…………どうして、他のヤツを選ばなかった……ッ!!」

  「麻琴は、超電磁砲の息子なんだぞっ……!!」

175: 2010/10/14(木) 10:08:00.85 ID:Kg4QpKut0
オルソラ「美琴さんと打ち止めさんは『姉妹』……。
     麻琴くんとは伯母と甥っ子の関係でございますから、
     やはり、その……色々と困難も多いことでありましょうね」

一方「――――そんな、やさしいモンじゃねェよ」(ボソ

オルソラ「えっ? それは、どういう……?」

一方「……オマエには、超電磁砲と妹達についてくわしく話してなかったか?」

オルソラ 「いいえ、ちゃんと覗っております。
      打ち止めさんや『妹達』の皆さんは美琴さんのクローン体? という存在なのでございましょう?」

一方「そうだ。打ち止めは超電磁砲と外見的な年齢差があるが、保有する遺伝子情報はすべて一致している」

オルソラ「……?」

177: 2010/10/14(木) 10:09:52.55 ID:Kg4QpKut0
あ、何度も何度もご心配すいません。
午後から普通に授業あるので、大丈夫。どのみち寝ませんよノシ

179: 2010/10/14(木) 10:13:23.77 ID:Kg4QpKut0
一方「―――簡単に言えば、アイツらは一卵性双生児となンら変わりはねェンだよ」

オルソラ「つまり、何もかも同じ、ということでござますね」

一方「あァ、そうだ」
  
  「だから、関係上アイツらは伯母と甥っ子だが―――、」

  
  「遺伝子学的な観点でいえば、アイツらは親子ってことになる」


オルソラ「……ッそ、んな」


一方「――――だから言っただろ。そんな、やさしいモンじゃねェよってな」

181: 2010/10/14(木) 10:24:09.92 ID:Kg4QpKut0
一方「――――アイツに彼氏ができた、と一報を聞いた時には、
   娘取られたような悲しさ半分、
   ようやくアイツも一人前の女になってたのかという嬉しさ半分、だったンだがなァ……」

オルソラ「……アナタ様は、
     打ち止めさんを自身の妹や娘のように、可愛がってこられましたから
     喜びもひとしおでございましたでしょうに……」

一方「三下―――、上条や超電磁砲はこのこと知ってンだろうか」

オルソラ「どうでございましょう……。わたしのほうからそれと無く御坂ご夫婦に尋ねてみましょうか?」

一方「いや、いい。俺が直接確認をとる」

  「……………」

  「………あー」

  「―――チキショッ……っ」

オルソラ「…………」

    「…………あまり、ご無理はなされませぬよう」

一方「―――してねェよ」

オルソラ「どことなく、から元気、でございますね」

182: 2010/10/14(木) 10:31:48.23 ID:Kg4QpKut0
一方「…………オルソラ」

オルソラ「何でございましょう?」

一方「…………」

  「―――やっぱ、ちょっと膝貸せ」


……コテン。


184: 2010/10/14(木) 10:33:08.80 ID:Kg4QpKut0
一方「…………」

オルソラ「……だいじょうぶで、ございますよ」

一方「―――あァ?」

オルソラ「一方通行さんの気持ち、打ち止めさんだってよくよくわかっているはずでございます」

一方「……だと、いいンだがな」

オルソラ「……時間はかかるかもしれませんが、ゆっくり、話し合っていけばよろしいではありませんか」

一方「……ン」

オルソラ「わたくしは、いつもあなた様のお傍に居ります故」

一方「――――悪ィな」

オルソラ「いいえ。それが、妻、というものです」

185: 2010/10/14(木) 10:46:34.88 ID:Kg4QpKut0
――――

美琴「麻琴、アンタ宿題終ったの?」

麻琴「お、終ったよ!」(ビクッ

美琴「……そう? なら、いいんだけど」

麻琴「俺、部屋に戻るわ」

美琴「ちょっと、麻琴!?」


タタタタタタ……。


当麻「ん? どうした、何かあったのか?」

美琴「―――なんか、最近麻琴の様子が変なのよね」

当麻「麻琴が?」

美琴「最近になってから急に私や美子のことを露骨に避けるのよ」

当麻「そうか? 俺は全然気付かなかったけど」

美琴「それはアンタが鈍感なだけ」

当麻「………うっ」

186: 2010/10/14(木) 10:47:34.10 ID:Kg4QpKut0

美琴「学校で、なにかあったのかしら……?」

当麻「考え過ぎだろう。
   麻琴だってもうすぐで中学に上がるんだ。
   ああいう年頃ってのは、母親とか女兄弟をきまずく思ったりするモンなんだよ」

美琴「…………」

当麻「思春期で多感な時期なんだ。あまり刺激してやるなよ?」

美琴「…………わかった」

当麻「と、言う割には釈然としないって顔つきだな」

美琴「今はとりあえず、そういう理由ってことで納得しておくけど、多分、違うと思うのよね」

当麻「なんだよソレ、根拠でもあんのか?」



美琴「―――――女の感、よ」

190: 2010/10/14(木) 11:08:09.11 ID:Kg4QpKut0
―――――能力研付属・夕方


キーンコーンカーンコーン。


黒子「あー、ようやく今日もひと段落ですの」

初春「今日も一日お疲れ様でしたぁ」

一方「なに言ってンだ、オマエら。まだ職員会議もクラブ活動も終ってねェだろォが」

黒子「そうは言われましても、警備員のほうで、ここ一カ月ほど例の事件の後片付けに追われておりましたから……」

初春「普段以上に疲れ度が跳ね上がっているんですよ、とほほ」

191: 2010/10/14(木) 11:10:38.19 ID:Kg4QpKut0
一方「一ヶ月ほどって―――ああ、例の閉口令がだされた騒ぎのことか」

初春「はい。まぁ、なにがあったかは下っぱ警備員の私たちが知るところではないんですけど、」

黒子「生徒たちには『大規模な実験があった』と指導しろ、と全教員へ命令が下された程ですし」

一方「なンか、大規模な厄介事あったことはだけは確かってことか」

黒子「ええ。でも、ココだけの話ですが、あの事件同時刻に二代目の『樹形図の設計者』が撃墜されたらしいですの」

初春「うう……。なんだか、わたしたちが中学生くらいだった時のことを思い出しますねぇ…」

一方「あー、多分大丈夫だろ」

初春・黒子「「?」」

一方(あの夜、妙に腕に違和感を覚えたと思えば、魔術側のやつらがなーんかドンパチしてやがったのか……)

  (まぁ、機会があれば木原くンあたりに聞いてみるのも、おもしれェかもしれねェな)

194: 2010/10/14(木) 11:22:11.19 ID:Kg4QpKut0
一方「――――と、世間話をしてる暇はなっかたンだ」

  「俺、今日は先に抜けさせてもらうぜェ」

初春「ええーーー!? さっき私たちに『仕事しろ』ってはっぱかけた本人が堂々と途中退場ですか!?」

黒子「本当に早引きされてしまいますの? 困りましたわ、木原校長が来月一杯まで長期休暇で居ないっていうのに……」

一方「今日はどうにも外せねェ用事があるンだよ、勘弁しろ」

初春「じゃあ、今度の当直変って下さーい」(ニコ

黒子「あ、私も今度の休日の生徒の社会見学の引率変って下さったら嬉しいですの」(ニコ

一方「………………」
  
  「オマエ等、そいいうことやってると、男が寄ってこねェぞ」

黒子「あら、わたくしにはすでに婚約者が居ましてよ?」

初春「私もラブラブな彼氏が居ますから」

初春・黒子「「ご心配なく」」

一方「あーハイハイハイ。わかりまりたわかりましたよ。当直と引率、かわってやるから今日のところは帰らせろ!!」

初春・黒子「「おつかれさまでしたー!!」」

一方(……なンでこう、女は現金なやつが多いんだ)(ガックリ

196: 2010/10/14(木) 11:34:15.81 ID:Kg4QpKut0
……駄目だ、さすがに限界です。今日は大人しく寝ますノシ 起きたら(多分夕方)再開


これから
打ち止めの父親的な人(一方通行)が
打ち止めの彼氏(麻琴)の父親(当麻)に会う模様です。

二人がいる居酒屋には誰が居る? 
>>+3×>>+7 (カップルまたは夫婦となります)
>>+10と>>12 (友情や仕事関係とかになります)


228: 2010/10/14(木) 16:16:48.85 ID:Kg4QpKut0
――――居酒屋『根性』


当麻「……えーっと、アイツは……。お、居た居た」


ワイワイ。ガヤガヤ。


一方「よォ。この時期、オマエんところも忙しいのに、急に呼び出して悪かった」

当麻「ああ、別にいいよ。今年は、こどもたちと実家に戻った時に行って来たから」

一方「……時期違うけどいいのかソレで」

当麻「そりゃ、ちゃんと行けるのに越したことはないけど。
   会いに行ける時に会いに行くってのでも問題ないと思うぞ?  ようは、気持ちだ、気持ち」

一方「そうかァ? 超電磁砲あたり、そういうの煩いイメージあっけどなァ」

229: 2010/10/14(木) 16:19:41.38 ID:Kg4QpKut0

タタタタタ。


佐天「上条さん、一方通行さん、いつもご贔屓ありがとうございます!! ご注文何にしますか?」

当麻「生を中ジョッキとえだまめひとつ。それと上条さんは、今は御坂さんですよ」

佐天「知ってますよ。ただ、私の中で御坂さん=美琴さんのほうですから。友達の旦那を名前呼びする訳にも行きませんし」

一方「アー…、俺も生でいいや、あとタコわさと唐揚げ。
   こまけェこたァいいンじゃねェか? 俺だってオマエのこと上条って呼ンでるだろ」

当麻「いや、オマエはほぼ三下呼びですー。いい加減やめてくださいー」

一方「ッカカカ! うっせェーよ」

佐天「相分からずお二人は仲いいですね」(クスクス

  「それじゃあ、直ぐにご注文の品、持ってきます!」


タタタタタ。


佐天「生中ジョッキ二つ入りまーす。
   店長! 座卓5番さんが枝豆とタコわさと唐揚げの注文でーすっ!!」

削板「了解だ!! 根性で直ぐに上手い料理を作る!!!」

232: 2010/10/14(木) 16:43:32.38 ID:Kg4QpKut0
――――1番座卓


最愛「ぬあぁああああああ!! あのセクハラ上司超ムカつきますううううううっ!!」(バンバン!

滝壺「……きぬはた、お酒飲みすぎ」

フレンダ「結局、普段から仕事のストレスが溜まってるから、ここぞと悪酔いする訳よ」

麦野「つーか、そんなに最悪ならセクハラ上司の×××にでも『窒素装甲』の一発や二発ブチ込んで、
   綺麗さっぱり、辞めちまえばいいじゃねーの!? ギャハハハ!!」

フレンダ「そして、さらに酔うと手につかなくなる人がもう一人……」(ハァ

滝壺「むぎの、テンション高いね。楽しそう」

最愛「ひぃ!? 嫌です、超嫌ですよ! ブチ込むなら腹部にしますよ!!!」

フレンダ「――――『窒素装甲』でぶん殴ることは確定なの?」

最愛「それが出来たら、警備員と風紀委員なんて超いらないんですッ!!!」

235: 2010/10/14(木) 16:48:18.95 ID:Kg4QpKut0
麦野「ああん? 警備員や風紀委員なんてたかがしれてんだろ」

滝壺「どうどう。むぎの、テンション抑えて抑えて」

麦野「よっし、絹旗ァ! そのクソ上司ぶちのめす時は私も声かけろよ!?
   オマエの代わりに×××を『原子崩し』でブチ抜いてやるから。
   「赤信号みんなで渡れば怖くない」っていうしさー?」(ケラケラ

フレンダ「あああ、もうあんまり騒がしくしないでよね。結局周囲の迷惑なるって訳」


最愛「―――それだ! その方法で今すぐあの下衆男を超ブッ倒しに行きましょう、麦野!」(ガタッ

麦野「―――ハッ、上等じゃねーの!!」(ガタッ


滝壺「あ、二人とも、たくさんお酒飲んで急に立ち上がったりなんかしたら危ない―――ッ」

236: 2010/10/14(木) 16:50:12.63 ID:Kg4QpKut0


麦野「…………」

最愛「…………」


麦野・最愛「「…………気持ち悪い……っ」」(フラフラ…ストン


滝壺「―――だから、あぶないっていったのに……」

フレンダ「いいんだよ、滝壺。悪酔いした本人たちの時自業自得」

滝壺「ふれんだ。中々シビアになったね」

フレンダ「伊達に一児の母やってないわよ」

237: 2010/10/14(木) 16:58:48.61 ID:Kg4QpKut0
最愛「…………うぇえ。急にアルコールが超回って来ました」

麦野「…………頭ぐわんぐわんする……」

フレンダ「いい歳してはしゃぎ過ぎ。ほら、お絞りでも顔に当ててゆっくりしてなさい」


滝壺「店員さーんっ すいませーん」

佐天「はいはい、何でしょう」(スタスタ

滝壺「おひや、2人分いただけますか?」

佐天「わかりました。ただいまお持ち致します」(パタパタ…


最愛「うぅ………。頭いたい、目がしぱしぱする……」

麦野「…………」

最愛「超最悪です……。きーもーちーわーるーいぃ……っ」

麦野「…………っ」

フレンダ「麦野、お手洗いなら右に曲がったてつきあたり」

麦野「ん………さんきゅ」(……ガタッ

239: 2010/10/14(木) 17:14:35.02 ID:Kg4QpKut0
――――5番座卓


佐天「お待たせいたしました、生ビールでーす」

一方「どォもォ」

佐天「おちら、お通しと枝豆。他のおつまみは出来したい持ってきますね」(パタパタ

当麻「はいはい、了解です」

一方「ンじゃ、おつかれ」

当麻「おつかれー」


一方・当麻「「…………」」(プハァ


当麻「いやー、仕事終りのビールは最高ですな」

一方「オヤジくせェ口調でしゃべンなよ。同意すっけど」

240: 2010/10/14(木) 17:17:26.83 ID:Kg4QpKut0
ワーワーギャーギャー


一方「あそこの席に陣取ってる集団、どんだけ盛りあがってンだよ……」

当麻「ん? どこの集団だ?」

   「――――て、あれは滝壺さん……?」

一方「滝壺って、オイ、確か……」

当麻「…………、浜面の奥さん、だよ」

一方「浜面の……」

   「…………」

   「―――旧姓に、福氏したのか」

241: 2010/10/14(木) 17:21:03.98 ID:Kg4QpKut0
当麻「美琴経由で聞いた話だけど」

  「その、浜面の、遺言らしい」

  「…………」

  「『滝壺を俺という存在で縛りつけたくないから』だってさ」

一方「まァ、あいつらしいっちゃ、あいつらしいが……」

当麻「結構、自分勝手な言い分だよな」

一方「―――いや、まァ。
   …………俺だって、もし自分が嫁より先に氏んだら、
   俺のことなンぞさっさと忘れて新しい人生歩め、って思うけどな」

当麻「…………」

  「滝壺さんは滝壺さんが好きなように生きるさ」

  「俺たちがどうのこうの言うことじゃ、ないよな」

一方「――――そう、だな」

243: 2010/10/14(木) 17:34:46.06 ID:Kg4QpKut0

一方「―――――」

  「こォいうことを俺が言うのも柄じゃねーが」

当麻「どうしたんだよ、急に」

一方「…………浜面の野郎」

  「ちゃんと、嫁さんの所に帰れているといいな」

当麻「……そうだな」

  「なぁ、一方通行」

一方「なンだ」

当麻「機会見つけて、久しぶりにアイツの墓に線香あげに行こうか」

  「皆で、さ」

  「騒がしいくらい賑やかな人数で」

一方「――――アイツ、馬鹿騒ぎが好きな男だしなァ」

当麻「――――よし、決まりだ」


246: 2010/10/14(木) 17:47:49.42 ID:Kg4QpKut0
――――居酒屋『根性』入口前

ガラガラガラ


滝壺「……むぎの、大丈夫?」

麦野「あー……、うん。多分、無事」

滝壺「多分って」

麦野「あーはいはい。大丈夫だよ。
   トイレで胃の中のモノ全部出したし、外の新鮮な空気もすったし」

滝壺「うん、もう足元もふらついてないし、大丈夫そうだね」

麦野「私はすぐに酔うけど、そのぶん酔いが醒めるのも早いから」

滝壺「そっか。きぬはたは逆に『これは確実に二日酔いコース超確定です……』って嘆いてた」

麦野「別にいいんじゃない? どーせあの子も明日は仕事休みだろうし」

滝壺「そうだね」(クスクス

247: 2010/10/14(木) 17:55:52.29 ID:Kg4QpKut0
麦野「…………」

  「…………」

  「ていうかさ、今更聞くのもアレなのかもしれないけど……」

滝壺「なぁに、むぎの」

麦野「……私と飲んでてよかったワケ?」

滝壺「……うん、良いんだよ」

麦野「…………」

滝壺「仕上にはちゃんと、今日の朝会いに行ったから」

麦野「――――そう」

  「…………」

  「私たちも」

  「明日、絹旗の体調が回復したら、会いに行くよ」
  
  「あのお人よしの馬鹿には似合いそうもない、花を持参して、ね」

滝壺「ありがと。きっと、仕上も喜ぶ」

249: 2010/10/14(木) 18:04:25.14 ID:Kg4QpKut0
麦野「歳をとったせいかしら、時がたつのが異様に早く感じるわ」

滝壺「同感。若い頃のほうが毎日が濃かったのに、体感する時間の速さは今のほうがずっと早い」

麦野「……今思い起こせば、若い頃の日常の濃さは例外なのよ」

滝壺「……色んなことが、あったね」

麦野「わたしらと浜面が出会ったのも、その頃か」

滝壺「うん、私たちが高校生の頃、だね」

麦野「…………あれから十数年、か」

滝壺「わたしも麦野もおばちゃんになっちゃたねぇ」

麦野「やめい、わたしもアンタもまだ三〇代前半だっての」

250: 2010/10/14(木) 18:19:29.88 ID:Kg4QpKut0
ガラガラガラ。


フレンダ「おーいお二人さん、そろそろ絹旗回収してお店から撤収するよ」

麦野「了解。絹旗は?」

フレンダ「一番座卓でへばってる。私、まとめて会計しとくから」

滝壺「じゃあ、わたしがきぬはたを……、」

麦野「いいよ。私が連れてくるから」

滝壺「……でも、」

麦野「滝壺、アンタはそろそろ家に帰ってあげなさいな」

滝壺「……むぎの?」

251: 2010/10/14(木) 18:21:49.64 ID:Kg4QpKut0
麦野「アンタの気晴らしになるかと思って、今日は無理やり誘っちゃたけど」

  「やっぱり、アンタはもう帰った方がいい」

滝壺「…………」

麦野「アイツ、『俺の縛られるな、俺も縛らねェ』的な遺言を残したらしいけど」

  「なんだかんだアンタのことが恋しくなって、帰って来てるんじゃないの?」

フレンダ「結局、浜面はかっこつけの割に寂しがり屋って訳ね」

麦野「――――お盆は」
  
  「亡くなった人がこの世に戻ってくることが許された季節だから」

  「きっと」

  「浜面も、帰ってくるよ」


  「だから、浜面のこと家で待っててやりなよ、滝壺」

252: 2010/10/14(木) 18:24:54.70 ID:Kg4QpKut0
ご飯食べてきますノシ

276: 2010/10/14(木) 21:44:42.32 ID:Kg4QpKut0
トボトボトボ……

滝壺「…………浜面が帰ってくる、かぁ」

  「――――」

  「――――」

  「どうなんだろう」

  「はまづらは前だけ向いてがむしゃらに走っていくような人だから」

  「…………」

  「後ろを振り向いて、」

  「私のことを、思い出してくれることってあるのかな」

  「…………帰って、くるのかなぁ」

278: 2010/10/14(木) 21:51:07.01 ID:Kg4QpKut0
滝壺「…………」

  スタスタスタ

滝壺「…………」

  スタスタスタ

滝壺「…………」

  スタスタスタ

滝壺「…………」

  スタスタスタ

 
 ――――ヒュ-…

  スタスタ……ピタッ


滝壺「…………?」

  「――――なに?」

280: 2010/10/14(木) 21:51:57.28 ID:Kg4QpKut0





―――――『滝壺っ』――――――





281: 2010/10/14(木) 22:05:31.48 ID:Kg4QpKut0
 頬に微かな風を感じ不意に立ち止まると、ふいに、懐かしい声が聞こえたきがした。

「…………えっ?」

 懐かしい耳触りが鼓膜を震わせる。 

 大きなくちをあけて笑うのが印象的だった、彼の声。
 互いの気持ちを伝え合ったばかりの頃、「滝壺」と照れくさそうに私の名を紡いだ、彼の声。 
 
 間違える、はずがない。

 何度も、
 何度も、
 耳元で私に愛を囁いてくれた、浜面仕上げの声だった。

「は、まづら……?」

 結婚してから、仕上と呼んでいたのに、反射的に喉の奥から出てきたのは、彼の昔の呼び名。
 瞬時に感じだ音色に含んだ若さに、自分の中の時計が左回りに進んだのかもしれない。
 
 そう、
 それこそ、二人で学園都市の泥沼を這いずりまわり、ロシアの雪原へと旅していた、あの頃まで。

283: 2010/10/14(木) 22:09:44.86 ID:Kg4QpKut0

「……は、まづら、だよね……?」

 後ろを振り返るのが怖くて、震える声で尋ねる。

「…………」

 どれほど待っても、答えは来ない。

「――――ッはまづら!!」

 耐えきれなくなった私は、感情のままに勢いをつけて振り返った。

 いったい、なんの感情に背中を押されたのか。
 
 昔を懐かしむ哀愁か、
 彼をいとしく想う恋慕か、
 
 彼が氏んでしまったても、それでも尚、彼に会いたいと切望する寂寥か。

 

 そして、振り返ったその先には―――、




284: 2010/10/14(木) 22:11:25.71 ID:Kg4QpKut0




―――――彼が、いるはずもなく。



―――――ただ存在するのは、淡い光を灯す、蛍が一匹。







285: 2010/10/14(木) 22:17:12.66 ID:Kg4QpKut0
滝壺「…………」

  「そう、だよね」

  「はまづらは―――、仕上は、もうこの世にはいないのに」

  「…………なに、馬鹿なことを」

  「馬鹿なことを、期待してしまったんだろう」

  「…………」

  「…………ッ」


 ホワッ……。ホワ……。


滝壺「…………なぁに? オマエ、とつぜん光りはじめて……」

  「もしかして」

  「――――わたしを、慰めてくれててる?」


 ホワッ……。ホワ……。



286: 2010/10/14(木) 22:20:48.46 ID:Kg4QpKut0
滝壺「……やさしい子だね、オマエ」

   「ありがとう」

   「だいじょうぶだよ」

   「私はだいじょうぶだから、仲間のところへお帰り」



 ホワッ……。ホワ……。


滝壺「こら、ついてこないの」

  「…………」

  「…………」

  「……どうして、ずっとついてくるの……?」

287: 2010/10/14(木) 22:26:54.17 ID:Kg4QpKut0


―――――『男はみんなロマンチストなんだよ』



―――――頬を薄っすらと上気させて、拗ねたように彼がそう呟いてことを、ふと思い出す。



288: 2010/10/14(木) 22:30:57.58 ID:Kg4QpKut0
滝壺「……………」

  「ねぇ、もしかして」

  「アナタ、『はまずら』?」



 ホワッ……。ホワ……。



滝壺「――――て、聞いても分かるワケないか」

  「……うん、でも」

  「アナタが、『はまずら』なら嬉しいな」

  「…………」(クスッ

  「淡い光を灯す蛍の形になって、お盆の夜に、妻のまえに現れる―――」

  「なんて」

  「すごく、ロマンチックだし、ね」

289: 2010/10/14(木) 22:35:03.37 ID:Kg4QpKut0
――――同時刻、居酒屋『根性』


フレンダ「すいっませーん、お会計おねがいしまーす」

佐天「はーいっ!」


最愛「…………気持ち悪い、気持ち悪い、超頭ずきずきするぅ~~っ」

麦野「ほら、移動するよっ!!」

最愛「…………ふぁい」

麦野「ああ、もう、しゃっきり歩く!!」

290: 2010/10/14(木) 22:37:50.13 ID:Kg4QpKut0
      ・
      ・
      ・
      ・

佐天「ありがとう御座いましたー!!」

削板「よかったら、また来てくれよな!!」


ガラガラガラ


フレンダ「ご馳走さまでしたっと」

最愛「うう、明日絶対二日よいです」(フラフラ

麦野「そこの千鳥足の人。いいから私の肩につかまんなさい。転ぶわよ」

最愛「超お手数おかけしまう……」

292: 2010/10/14(木) 22:44:37.28 ID:Kg4QpKut0
フレンダ「――――結局、今日は空が一段と澄んでる」

最愛「……空気も超新鮮です。ちょっとだけ気分も行きかえります」

麦野「お盆の時期って、なんでか夜が静かだったりするのよね、不思議と」

フレンダ「…………」

    「滝壺、浜面に会えてるといいねぇ」

麦野「まぁ氏んだ人間相手に『会う』っていう表現もちょっと違うかもしれないけど」

   「――――そうね」

   「アイツら」

   「ちゃんと、会えてるといいわね」


300: 2010/10/14(木) 23:13:44.86 ID:Kg4QpKut0
――――さらに同時刻・居酒屋『根性』


ワイワイガヤガヤ。


当麻「―――でさ、その時に」

一方(さて、いい加減それとなく打ち止めと麻琴の件についてコイツから聞いてみねェとなァ…)

当麻「俺は全然悪くないのに、美琴のやつがカンカンに怒ったんだよ」

一方(鈍感なコイツのこと。核心にせまる答えは返って来ねェかもしれン。
   しかし、だからといって打ち止めの姉である超電磁砲に聞くのは偲ばれる)

当麻「『ワイシャツにキスマークつけて!!』て怒り心頭してたけど、電車の中で女の人とぶつかっただけだっつーのに……」

303: 2010/10/14(木) 23:20:14.97 ID:Kg4QpKut0
一方(三下が何も知らねェことを前提に、いっそのこと、ストレートにぶちまけてみるのも手か……?
   『オマエンところの息子がウチの娘(=オマエの嫁さんのクローン)が出来てますよー☆』って―――、)

当麻「まったく、美琴の独占欲には時々疲れる―――、」

一方「言えるわけねェェェェええええだろォォォォおおおお!!!」(ガタッ!!

当麻「―――あ、一方通行っ!?」(ビクッ

一方「…………っハ! いや、なんでもねェ。気にすんな」(ストン……

当麻「おう……」
  
  (め、めちゃくちゃ気になるんですけど……)


>>+5

打ち止めのお父さん(一方通行)は麻琴のお父さん(当麻)にどう対応するべき?

1これは御坂家に関わる問題だは正直に打ち止めたちのかんけいを言う
2やはりハッキリいうのははばかれる。それとなく御坂家の様子の尋ねる

318: 2010/10/14(木) 23:53:54.88 ID:Kg4QpKut0
一方(――――なんて、甘っちょろい事言ってる時間はねェわな。
   俺よりも、コイツや超電磁砲の近くに存在している出来事だ。
   どのみち、いずれ知らぬ存ぜぬでは通用しなくなる―――それなら、)

一方「なぁ、上条。ちょっといいか」

当麻「あーなんだ。ようやく本題に入るのか?」

一方「―――オマエ、なンでっ」

当麻「『ちょっと聞きたいことがある』って飲み屋に誘ったのはお前だろ」

一方「あ、ああ。そうだったな……」

当麻「んで? 聞きたいことってなんだよ」

一方「聞きたいことっていうか、確認したいこと、なンだがな……」

当麻「……??」

320: 2010/10/15(金) 00:12:11.77 ID:8j0j7su40
一方「――――その、オマエの倅のことで、ちょっとな」

当麻「……麻琴のこと?」

一方「なんつーか、その、すげェ言いにくいことだが」

当麻「よくわからんがハッキリ言ってくれよ。俺の息子のことなら、尚更だ」

一方「ああ……そうだな」

当麻「……美琴のやつも最近「麻琴の様子がおかしい」って眉をひそめていたし、な」

一方「麻琴の様子がおかしいって、具体的には」

当麻「なんだったかな。多分「最近私や美子のことを極端に避けてる」って言ってた」

一方「…………なるほどなァ」

  (そりゃ、自分の想い人と自分の母親と妹が同じような面構えしてやがるンだ。気まずくもなるってな)

352: 2010/10/15(金) 12:52:39.42 ID:K1mYpVbO0

なのでちょっと大目ですがよろしくお願いします。

打ち止めが麻琴のどこに惚れた?>>+5
打ち止めと麻琴の恋愛の今後の方向性は?>>+8
木原くんはどうして黄泉川さんが苦手?>>+11

最後の最後、いちゃらぶ書くとしたらのどの組み合わせ>>+15
(今までに出てきた組み合わせ以外の場合は、誰×誰かご指定ください)

374: 2010/10/15(金) 13:45:11.49 ID:K1mYpVbO0
一方「突然『何を言い出すんだ、コイツ』って思うかもしれないが、今から俺が言うことは、本当のことだ」

当麻「んなこと、思わねえよ。一方通行がくだらない嘘を言うようなヤツじゃねえことぐらい、俺だって知ってるさ」

一方「――――ハッ、そいつァ意外な評価だ」

当麻「オルソラだってオマエのそーゆう所に惚れたんじゃね?」

一方「知らねェよ。聞いたこともねェし。―――と、今はアイツの事じゃなくて麻琴達の事だ」

当麻「……麻琴、『達』?」

一方「……あァ、麻琴達の、な」

当麻「…………、いったい、なんなんだ……?」

一方「…………」

  「…………」

  「この間、打ち止めが家にやって来て、俺に言ってきたンだ」

  「…………」

 
  「アイツは―――打ち止めは、オマエの倅と真剣な交際をしてる、ってな」




376: 2010/10/15(金) 14:30:58.59 ID:K1mYpVbO0
――――翌日、とある小学校

キーンコーンカーンコーン。

友達「絶望した! 夏休み期間だというのに学校に来なければならないという現実に絶望した!!」

麻琴「そりゃ、中学受験挑戦するなら夏休みも何もないだろ」

友達「でも、いまお盆ですよ!?」

麻琴「お盆でも平日なら補習とかで普通にあるし」

友達「でも、今日は休日ですよ!?」

麻琴「ああそうだな。だから、中学受験組の奴以外は普通に学校来てないな」

友達「絶望した! 俺は中学受験という荒波に―――、」

麻琴「ウルサイ。というか、オマエそのフレーズを言いたいだけなんだろ?」

友達「…………、麻琴、オマエクールすぎねぇ? もっと小学生楽しめよ」

麻琴「残念。生まれたときからこういうたちだよ」

378: 2010/10/15(金) 14:50:33.42 ID:K1mYpVbO0
友達「オマエ、第一志望何処だっけ?」

麻琴「霧ケ丘付属」

友達「え、マジで? 意外だわ。オマエのことだから能力研付属の中等部に行くのかと思ってた」

麻琴「……能力研付属は、ちょっと。あそこは原石の保護・解明が主な目的だろ」
  
友達「原石じゃなくても、特異な能力を持ってたり偏差値が高けりゃ入学は可能って聞いたけど」

麻琴「霧ケ丘付属なら能力研とたいして偏差値変わらない。霧ケ丘のほうが家から近い」

友達「さいですか」

麻琴「…………」

  「――――それに、能力研付属はあの人がいる学校だし、な」(ボソッ

友達「? なんか言ったか」

麻琴「いいや、何も」

381: 2010/10/15(金) 15:15:02.90 ID:K1mYpVbO0
友達「オマエさ、ついこの間まで中学受験とか興味なさそうにしてたじゃん?
   『無能力者だし、別に通えるところならどこでもいい』みたいな感じで」

麻琴「…………」

友達「麻琴?」

麻琴「…………別に」

  「――――気まぐれみたいなモン、かな」
 
  「別に受験してみてもいいかって思い直しただけだよ。」

友達「ふ~ん。ま、無能力者っつっても、オマエは阿保なくらい頭の出来いいし。
   常盤台みたいに、能力が絶対条件になる学校以外は全部受かるからいいよなー」

麻琴「そんなことないさ。能力を考慮しないで試験うけさせてくれる学校は限られてくる」

384: 2010/10/15(金) 15:22:52.57 ID:K1mYpVbO0
友達「ゆくゆくは長点上機にでも進むんだろうな、オマエ」

麻琴「多分、そうなるかな。てか、俺のことはどうでもいいだろ。オマエは何処に行くつもりなんだ?」

友達「能力研か十字教系のミッション学校のどっちか、かな」

麻琴「どっちか? 曖昧だな。そろそろ第一志望きめとかねーとヤバイだろ」

友達「俺の父さん原石で、俺の母さん十字教徒だからさ。色々と意見が纏まらない感じ」

麻琴「なんだ? 親御さんが意見対立でもしてんのか?」

友達「ううん、違う。父さん側の人と、母さん側の人で意見が真っ二つに分れてるんだよ」

麻琴「まじかよ、うざいなソレ」

387: 2010/10/15(金) 15:29:50.56 ID:K1mYpVbO0
友達「本当になー。父さんや母さんが口出しするのは、まぁ、まだ分かるけど。他の関係ない外野は黙っててほしいわ」

麻琴「オマエも色々と苦労してんだな」

友達「お互いだよ。オマエだって親関係で、その、色々あるだろ?」

麻琴「いや、俺は別にないよ」

友達「なんでさ。オマエの両親って、あの『超電磁砲』と『幻想頃し』だろ?」

麻琴「万年無能力者の俺には、特にそう言うのはないよ」

友達「えぇ? マジで? 
   俺、『原石のこども』ってだけで小さい頃から色んな科学者たちに声かけられるぞ?」

麻琴「――――そういうのは、妹のほうが濃く受け継がれてるみたいだから」

友達「美子ちゃん、だっけ?」

麻琴「おう、なんか最近は、まだ幼稚園の年少なのにもうビリビリ感電してるわ」

友達「へー。母親と同じ発電系か。オマエんとこの家、もうちょっと捻った遺伝の仕方すれば面白いのにな」

麻琴「阿保か。遺伝はひねったりとかはできねーだろ」

友達「遺伝子組み換え麻琴くん!」

麻琴「やめろ、人を遺伝子組み換え納豆みないなノリで呼ぶな」

390: 2010/10/15(金) 15:47:14.22 ID:K1mYpVbO0
友達「納豆か。今日の晩飯納豆だといいな」

麻琴「マジメな話題から急にどうでもいい話に飛ぶんだな」

友達「気にするな。『空が青いな、よし、今日も根性だ!!』的に考えておけ」

麻琴「例えがわからん、意味不明」

友達「父さんの口癖」

麻琴「うん、オマエの親父さんが意味不明だな」

友達「うん、俺もそう思う」

391: 2010/10/15(金) 15:48:16.03 ID:K1mYpVbO0


黄泉川「ほらほら、そこのオマエら。もうすぐ完全下校時刻じゃんよー。さっさと家に帰れじゃんよー」


友達「あ、教頭先生だ」

麻琴「すみません、すぐ帰ります」

黄泉川「中学受験に向けての講習だったのか? お疲れさんじゃんよ」

友達「めっっちゃしごかれました」

麻琴「―――と、えばっているコイツですが、半分爆睡してました、本当は」

友達「おい、麻琴っ!」

麻琴「俺はちゃんと受けてけど」

黄泉川「あっはっは!! オマエ等仲いいな。それじゃ、気をつけて帰るんだよ」

麻琴・友達「「教頭せんせい、さようなら」」

黄泉川「はい、さようなら」

393: 2010/10/15(金) 16:11:40.96 ID:K1mYpVbO0
――――とある小学校・校門前

友達「あーそうだ、第十二学区にいこうと思ってたんだった。忘れてた」

麻琴「第十二学区?」

友達「神学系のパンフレットいくつか貰いに行こうかと思って」

麻琴「ふーん。とりあえずは、能力研と神学系、両方視野に入れとくってことか」

友達「ま、一応」


テクテクテク。ピタ。


友達「――あれ?」

麻琴「ん?」

友達「なぁ、麻琴。校門の前に立ってる女のひと、オマエのお袋さんじゃねえの?」

麻琴「え? マジかよ」


打ち止め「あ、ようやく会えたんだよ、ってミサカはミサカは待ちくたびれた事を隠さずに麻琴に報告してみたり」


麻琴「―――ら、打ち止めさん」

394: 2010/10/15(金) 16:14:11.89 ID:K1mYpVbO0
小休止。晩飯後に再開ノシ

409: 2010/10/15(金) 19:08:02.90 ID:K1mYpVbO0
友達「らすとおーだー? レールガンじゃなくて?」

麻琴「あー……、母方の親戚だよ」

友達「てか、まじで瓜二つだな。お袋さんの妹さんとか?」

麻琴「そんなとこ。―――じゃあ、俺行くわ」

友達「おう、また明日な」(スタスタスタ……




打ち止め「その、突然連絡もせずに待ち伏せちゃってごめんね? ってミサカはミサカは謝りつつ首をかしげてみたり」

麻琴「それはいいけど、何か用?」

打ち止め「…………うん。用って言うか、なんとなく麻琴に会いたくなったの、ってミサカはミサカは正直に告白してみる」

麻琴「――――なんか、あったんだろ。暗い顔してる」

打ち止め「…………」

麻琴「話を聞くにもココじゃあれだし、近くの公園にでも移動する?」

打ち止め「……うん、ってミサカはミサカはアナタの意見に同意して頷いてみたり……」

412: 2010/10/15(金) 19:27:43.09 ID:K1mYpVbO0
――――公園


打ち止め「…………」

    「…………」

麻琴「ン」

ピタ

打ち止め「ひあっ!!?」

麻琴「ほら」

打ち止め「~~~~ッ冷たいだけど!! ってミサカはミサカはアナタの行為に合議してみるっ」

麻琴「そらそうだろ。缶コーヒーだし」

打ち止め「――――別に、普通に渡してくれたっていいじゃない、
     ってミサカはミサカは缶コーヒーを後ろから首筋に押し付けてきたアナタに文句を言ってみる」

麻琴「小学生のちょっとした悪戯心。てか、ほら、さっさと受け取れって」(スッ

打ち止め「―――ありがと、ってミサカはミサカは感謝の言葉を告げてみる」

414: 2010/10/15(金) 19:39:49.51 ID:K1mYpVbO0
打ち止め「あ、お金」

麻琴「いらない」

打ち止め「いや、さすがに麻琴に奢ってもらう訳にはいかないって、ミサカはミサカは」

麻琴「貰う必要がない。それ、タダ」

打ち止め「え?」

麻琴「アソコの赤い自販機にはちょっとした裏技があるんだよ。えーっと、名前は何だったかな」

打ち止め「…………もしかして、常盤台中学内伝おばーちゃん式ナナメ四十五度からの打撃法による故障機械再生法?」

麻琴「そう、それ。よく知ってるな」

打ち止め「昔、お姉さまがソレをやっている映像を、
     ミサカネットワークで発見したことがあるからって、ミサカはミサカは情報源を暴露してみたり」

当麻「母さん曰く、またの名(?)を『ちぇいさー!』」

416: 2010/10/15(金) 19:47:58.34 ID:K1mYpVbO0
痛恨の間違い × 当麻 ○ 麻琴

417: 2010/10/15(金) 19:52:10.42 ID:K1mYpVbO0
打ち止め「…………」

麻琴「打ち止めさん?」

打ち止め「お姉さまも自分の子どもにいったいを教えているんだか、ってミサカはミサカは嘆息してみる」(ハァ

麻琴「いや、教えてくれたのは『ちぇいさー!』を目撃した父さん」

打ち止め「…………」

麻琴「俺こずかいも奨学金もそんなに多くないから、結構重宝してる、コレ」

打ち止め「……お行儀が悪いからやめなさい、ってミサカはミサカは麻琴にお姉さんらしく注意をしてみたり」

麻琴「気が向いたら」

打ち止め「ちょっと、たまには年上の言うことを聞くものだよ!? ってミサカはミサカは反論してみたり!!」

麻琴「そうやって一回りも年下のガキにムキになる辺り、年上の貫禄もなにも無いとおうだけど」

  「なぁ?―――打ち止め?」

打ち止め「~~~~~ッ」(///

    「突然呼び捨てにするのは卑怯なんだよって、ミサカは、ぅぁ、ミサカはぁ……」(///

421: 2010/10/15(金) 20:08:57.14 ID:K1mYpVbO0
麻琴「―――ま、ある程度は元気でた?」

打ち止め「……うん。少し、元気出た、かな」

麻琴「なら、よかった。やっぱり、打ち止めは笑ったほうが可愛いからさ」

打ち止め「……いっつも疑問に思うんだけど、麻琴って本当に小学生なの? ってミサカはミサカは抱いている疑念について尋ねてみる」

麻琴「正真正銘、小学生の12歳だって」

423: 2010/10/15(金) 20:15:36.73 ID:K1mYpVbO0
打ち止め「…………」
   
    「12歳、かぁ……」

麻琴「なんで、改まってそんなこと聞くかな」

打ち止め「麻琴、私の半分の年齢なんだよね、
     ってミサカはミサカは今更ながら現実の壁の存在を確認して、ため息をついてみたり……」

麻琴「――――現実の壁?」

打ち止め「…………」

    「…………」

    「うん、現実の壁……」

424: 2010/10/15(金) 20:18:23.59 ID:K1mYpVbO0
麻琴「…………現実の壁、ね」

  「いったい、何を指して言ってる訳?」

打ち止め「………そ、れは」

麻琴「伯母と甥っていう関係性?」
   
  「1回りも違う年齢差?」

  「社会人と小学生っていう立場の違い?」

打ち止め「――――そ、れは」

麻琴「それとも別の何か?」

打ち止め「…………わかんない」

    「わかんないだよって、ミサカはミサカは正直に吐露してみる」

    「もう、頭が混乱して、わかんないんだよ……っ」

425: 2010/10/15(金) 20:21:38.23 ID:K1mYpVbO0
打ち止め「――――あの人に、」

    「一方通行に、言ったの……」

    「好きな人が出来たって」

    「私を想ってくれる人が出来たって」

    「…………あの人は、今まで、ずっとずっとミサカのことを一番に心配してくれた人だから」

    「私はもう大丈夫だよって、幸せだよって」

    「…………」

    「そう、伝えたかっただけなのに」

426: 2010/10/15(金) 20:30:30.61 ID:K1mYpVbO0
麻琴「…………一方通行さんに、俺たちのこと言ったんだ」

打ち止め「私たちのこと、簡単に言い振らしちゃいけないってわかってたけど……」

    「…………、あの人なら」

    「…………、あの人だけなら」(グスッ


麻琴「――――応援してくれる、とでも?」

打ち止め「…………ッ!」


麻琴「なぁ、今の話し聞いた俺の感想、言ってもいい?」

打ち止め「……なぁに? ミサカはミサカは怖い顔のアナタに恐る恐る尋ねてみる……」

麻琴「馬鹿」

打ち止め「っ!!」

麻琴「馬鹿だよ、オマエ」

打ち止め「……一方通行にも、言われた、ってミサカはミサカはあの時のことを思い返してみる……」

427: 2010/10/15(金) 20:37:25.97 ID:K1mYpVbO0
麻琴「どうして俺に相談もなく、そんなことしたんだよ」

打ち止め「―――アナタに、余計な心配かけたくなかったから……」

麻琴「俺が、ガキだから? 頼りないから?」

打ち止め「そんな、つもりは……っ!」

麻琴「…………」
 
  「たしかに、俺は子供だよ」

  「打ち止めを守ることすらできない、ガキだよ……ッ!」

  「そうやって、打ち止めに頼られない力ない自分が情けないよ、……畜生」

  「…………」

  「……けど」

  「けど、覚悟だけなら、もうちゃんと決めてる」

  「どんなに反対をうけようと」

  「社会の誰から、友達から、家族から、罵声を浴びせられる未来だったとしても」

  「どんなことがあっても、俺は、打ち止めと歩むって」

  「ちゃんと、俺は覚悟を決めたよ、打ち止め」

430: 2010/10/15(金) 20:47:12.44 ID:K1mYpVbO0
麻琴「―――――」

  「打ち止めは、揺らいでるんだろ」

打ち止め「…………違うっ!」

麻琴「違わないよ」

打ち止め「……違うよ」

麻琴「違わない」

打ち止め「違う! ミサカは麻琴のこと大好きだもの!」



麻琴「―――でも、一方通行さんに反対されて、今そうして迷ってるじゃないか!!!!」

打ち止め「ッ」(ビクッ



麻琴「…………ッ。ごめん、つい」

打ち止め「……ううん、大丈夫」

431: 2010/10/15(金) 20:51:57.02 ID:K1mYpVbO0
麻琴「…………ごめん」

打ち止め「だから、いいて」

麻琴「…………」

打ち止め「―――――」

    「ほんとは」

    「麻琴の言うとおりなのかもってミサカはミサカは思いなおしてみる」

    「…………ミサカ、自信が無くなったのかもしれない」

    「――――麻琴と一緒に居ることの、自信が」

434: 2010/10/15(金) 21:01:09.17 ID:K1mYpVbO0
―――――
――――
―――
――


オルソラ「…………えっ?」

一方「――――オィ、打ち止め。オマエ今なにを言いやがった」

打ち止め「だから、麻琴と付き合ってるんだよってミサカはミサカはもう一度同じ言葉を繰り返してみたり」

オルソラ「もしや、とは思いますが、『麻琴』って、……その、御坂ご夫妻の息子さんの麻琴くんのこと、でございましょうか……?」

打ち止め「――――そうだよ、ってミサカはミサカはハッキリと宣言してみる」

435: 2010/10/15(金) 21:02:43.72 ID:K1mYpVbO0
一方「…………」

  「あー……、悪ィな。俺も歳でも取ったモンだ。幻聴が聞こえてきやがった」

  「これ以上、その話は終いだ、打ち止め」

打ち止め「ふざけないで、ってミサカはミサカはぶーたれてみたり!」

一方「…………ふざけないで、だァ?」

オルソラ「っ! 一方通行さん……っ!」

一方「ふざけてンのはオマエだろォが、打ち止めァ!!!」

打ち止め「―――――ッ!!」

437: 2010/10/15(金) 21:06:32.85 ID:K1mYpVbO0
一方通行「こンの馬鹿野郎がッ!!」

打ち止め「な、馬鹿ってヒドイ!!」

オルソラ「そんな、大声まで出さなくても」

一方「…………コイツが馬鹿なこと言ってることぐらいわかるだろ、黙ってろオルソラ」

オルソラ「そ、れは……」

一方「打ち止め、オマエ何を口走ってるのか、ちゃんと理解してんのか」

打ち止め「り、理解してるよってミサカはミサカは返事をしてみたり!!」

438: 2010/10/15(金) 21:14:17.67 ID:K1mYpVbO0
一方「…………理解、だと?」

打ち止め「そう、だよ」

一方「何をだ」

打ち止め「何をって……」

一方「一つも答えられないってほど、オマエも馬鹿じゃねェだろ」

打ち止め「……本当は、恋愛しちゃいけない関係ってこと、だよね」

一方「そんな可愛い言葉で誤魔化そうとすンな」

  「近親相O」

  「淫行」

  「正しい言葉は、こいつらだろォが」

打ち止め「――――私たちは、そんな関係じゃない」

一方「たとえ、今はそういう関係になくて清い交際だと言って、ソレらから逃れられると思ってんのか」

打ち止め「…………」

441: 2010/10/15(金) 21:35:12.65 ID:K1mYpVbO0
一方「――――この世には色んな、恋愛がある。
   もしかしたら、正しい恋愛の形なんてないのかもしれねェ」
   オマエの気持ちも嘘だと否定するつもりもねェ。けどな、オマエは大人なんだ。そこをよく弁えろ」

打ち止め「大人だから、社会のルールを守れって言いたいのってミサカはミサカは聞き返してみる」

一方「当たり前だ。社会規範も守れずに、何が恋愛だ、クソったれ」

打ち止め「…………でも」

442: 2010/10/15(金) 21:37:01.94 ID:K1mYpVbO0
一方「ソレ以上に解せねェのは、お前のその態度だ。―――オマエの気持ちは本物なんだろ?」

打ち止め「じゃなかったら、付き合ってないってミサカはミサカは断言してみる」

一方「――――なぜ、惚れたヤツに、大切だと思ってるヤツに、わざわざ茨の道を歩ませようとするンだ」

打ち止め「…………ッ」

一方「オマエと麻琴は遺伝子学的に見て親子だ。年齢差将来的にどうなるとしても、こればかりはどうにもできン」

  「茨の道と以外、なンといえばいいんだ」

  「12のガキに何故そんな刻なことを背負わせる」
 
  「大切なヤツに、そんな道を歩まることをオマエは何とも思わないのか、打ち止め」


444: 2010/10/15(金) 21:54:14.53 ID:K1mYpVbO0

――
―――
――――
―――――

打ち止め「…………一方通行の、いう通り」

    「ミサカは、『麻琴と一緒にいたい』って自分の気持ちばっかり考えてた……」

麻琴「…………それで、迷ってるんだ?」

打ち止め「―――――うん」

麻琴「俺の気持ちはさっき言った通りだよ。茨の道だろうがなんだろうが、気にしない」

打ち止め「ま、こと……」

麻琴「つーか、それぐらいの手ごたえがあった人生のほうが飽きないし楽しそうだ」

打ち止め「でもッ!」

麻琴「…………」(グィ




打ち止め「ふぇ……」(///

麻琴「ごめん、打ち止めからそういうこともう聞きたくないから、口塞いだ」

447: 2010/10/15(金) 22:01:55.68 ID:K1mYpVbO0
麻琴「さっきは柄にもなく取り乱したから怒鳴ったけど、迷ってもいいよ、打ち止め」

打ち止め「…………迷っても、いい?」

麻琴「迷って悩んで立ち止まって。色々と、考えたっていい」

打ち止め「麻琴……」

麻琴「俺だって、考え込むことはあるし。
   俺たちの関係を考えれば、何も考えないってほうがおかしいんだ」

打ち止め「迷って、その結果別れ――」

麻琴「先に言っとく。俺は、別れるつもりはこれっぽちもないからな」

448: 2010/10/15(金) 22:04:15.83 ID:K1mYpVbO0
打ち止め「じゃあ、どうして迷ってもいいて言うの? ってミサカはミサカは聞き返してみる」

麻琴「俺たちが進むために、色んなことを一生に立ち止まって考えて、答えをみつけて行けばいいってこと」

打ち止め「…………麻琴」

麻琴「だから、迷っていいよ打ち止め。俺が、支える」

  「今は無理かもしれないけど、支えられるような男になるから」

  「絶対に、なるから」

  「打ち止め、俺を信じて、待っててくれない?」

450: 2010/10/15(金) 22:19:05.24 ID:K1mYpVbO0
打ち止め「~~~~~っ」(///

麻琴「…………待っててくれないの?」(コテン

打ち止め「ぅぅうう。麻琴はズルイ、
     ってミサカはミサカは首をかしげて上目づかいでおねだりしてくるアナタに不平不満をいってみる!!」(///

麻琴「年下のこういう仕草って、シOタコンには正直ドキっと来るだろ?」(キラキラ

打ち止め「キラキラした眼差しでそんなこと言わないで! 
     それにミサカはシOタコンじゃない!! ってミサカはミサカは憤慨してみたり!!」(///

麻琴「え、シOタコンじゃないの?」

打ち止め「確かにアナタは12歳だけど、そういう理由でアナタに惹かれた訳じゃないよ、ってミサカはミサカは―――、」

麻琴「じゃあ、俺の何処がいいんだ?」

打ち止め「そ、れは……///」

麻琴「聞きたいな。――――――駄目?」(キラキラ

打ち止め「…………困ってる人を助けたい思うやさしい心。
     ミサカと違って、考えなしに突っ込ないところ。
     一人で抱え込まないで、冷静に対処しようとするところ。それから、それから」

麻琴「ん。十分だよ。やっば、俺ってばすげえ愛されてねぇ?」(ニコニコ

打ち止め「――――は、恥かしい……」(///

455: 2010/10/15(金) 22:35:22.56 ID:K1mYpVbO0
麻琴「――――んで、どうなの?」




打ち止め「―――――うん、待ってるよってミサカはミサカはうなずいてみる」



458: 2010/10/15(金) 22:41:10.75 ID:K1mYpVbO0
――――御坂家


麻琴「ただいま」

美子「にぃに、おかえりー!!」

麻琴「うん、ただいま美子」

当麻「完全下校時刻ギリギリだったな。もう十分遅かったら母さんが怒り狂ってるとこだぞー」

麻琴「ごめん、ちょっと寄り道してたんだ」

当麻「そうか」

  「母さんがオマエに話があるみたいだから、カバン置いたら応接間に行って来い」

麻琴「…………話って、なに?」

当麻「それは、母さんに聞いてみると言い」

麻琴「……ん、わかった」

当麻「麻琴」

麻琴「なに、父さん」

当麻「俺は、オマエが納得して覚悟をもてるなら、好きな通りに生きて構わないと、そう思うぞ」

麻琴「――――うん、ありがと」

459: 2010/10/15(金) 22:45:43.65 ID:K1mYpVbO0
美子「ねーパパ。ママとにぃにはなんのおはなしするの?」

当麻「なに、美子が心配することじゃないよ」

美子「にぃに、なにかいたずらでもしたの? 

当麻「してないよ」

美子「まま、にぃにのことおこるの?」

当麻「ママは怒らないよ」

美子「ほんとう? にぃに、えーんえーんしない?」

当麻「だいじょうぶだよ、美子。ただ、ママとにぃには、お話をするだけだから」

460: 2010/10/15(金) 22:50:38.63 ID:K1mYpVbO0
――――応接間

ガチャ。

美琴「ちょっと、麻琴。もうすぐで完全下校時刻よ。帰ってくるの遅いんじゃないの?」

麻琴「その前にはちゃんと帰ってきたじゃん」

美琴「そうだけど。明日からはもっと早く帰るようにしなさいね?」

麻琴「へいへい。…………で、話ってなに、母さん」

美琴「…………話ってほどではないわ。一方通行からアンタ達の話を聞いたって言おうと思っただけ」

麻琴「――――それだけ?」

美琴「それだけよ」

461: 2010/10/15(金) 22:55:15.73 ID:K1mYpVbO0
麻琴「…………」

美琴「なに拍子抜けした顔してんの」

麻琴「いや、だって……っ」

美琴「なんで、反対もなにもしないのかって?」

麻琴「…………」

美琴「―――正直言うと、アンタ達の話を聞いて、驚きのあまり失神したわよ、私」

麻琴「失神…!?」

美琴「当たり前でしょう。アンタは私の息子、あの子は私の妹だし……大勢いる『私』の中の一人だもの」

麻琴「…………その、身体は大丈夫。なの?」

美琴「今はね。大したことないわ」

463: 2010/10/15(金) 23:00:30.21 ID:K1mYpVbO0
美琴「――――なにも言わないんじゃなくて、何も言えないのよ」

麻琴「……母さん」

美琴「怒りたいのか、泣きたいのか」

  「それすらも、今は考え付かない」
   
  「…………」

  「それほど私にとっては衝撃的なことだし、これからどれほどの感情に振りまわれるのかすら、わからない」

麻琴「――――ッその」

美琴「一時的な感情で謝ろうとするんじゃないの。
   私の今の現状を見た程度で、揺るぐなら、所詮その程度ってことになるわよ」

464: 2010/10/15(金) 23:12:57.71 ID:K1mYpVbO0
美琴「一方通行の話を聞いた限りだと、打ち止めは多分落ち込んだ。
   貴方は優しい子だし自分の力を信じているから、
   きっと、打ち止めの前では大丈夫って言ったんでしょうね」
  
  「でも、そんなの私や当麻から見れば、こども精一杯の虚勢にしか聞こえない」

麻琴「虚勢、のつもりはないんだけど」

美琴「…………アナタは当麻に――父さんに似て、とても強い子だし、
   色んなものを背を得るようになる、とは思う。
   けど、それは麻琴がちゃんと成長して、ちゃんと大人になってからの話しなのよ」

麻琴「……今日、それを嫌ってほど思い知った」

美琴「そう。それなら一歩進めたのね。まず麻琴は子どもだってこと知りなさい」

  「自分の実力を過信しないの、アナタは私たちの庇護がないと、食べることすら困るほどに力がないと知りなさい」

  「多分、私はこれからアナタに色んな事を言うし、もしかしたら実力行使だってするかもしれない」

  「―――――それが、あの子との未来を選ぶなら、避けては通れない道よ」

  「ちゃんと、覚えておきなさい」

469: 2010/10/15(金) 23:25:51.58 ID:K1mYpVbO0
麻琴「―――――ッ」

美琴「得意の減らず口すら出ないほど図星をつかれてると思うなら、せめて努力してみなさい」

麻琴「母、さん?」

美琴「突然アンタが中学受験をすると言いだしたときは驚いたけど、あの子のため、だったと分れば合点がいったわ」

麻琴「―――うん、子供だから、力がないから」

美琴「打ち止めを何かもから守れるほどの力を手に入れるってことね」

  「…………まぁ、せいぜい足掻いてみなさい」

麻琴「――――足掻いて、いいの?」

美琴「アンタが大人になって、もし、その道を選んで、もし、その道に私が立ちふさがったら全力で来なさい」

  「――――全力で、相手してあげるわ」

麻琴「…………ぜ、全力って」

美琴「『超電磁砲』程度になに甘っちょろいこと言ってんの。
   悪いけど、その時の私の後ろにはさらに怖い『一方通行』が居るわよ」

麻琴「…………そう、だね」

美琴「そうよ」

471: 2010/10/15(金) 23:33:38.83 ID:K1mYpVbO0
美琴「さて、いい加減この話は終りにしましょ。
   今日はカレーよ。もちろん人参は残さずに食べること」

麻琴「え、いや、人参は……」

美琴「ていうか、人参程度で駄々こねるなら、色々と話にならないわよー」

麻琴「…………うっ」

ガチャ

当麻「話、終ったか?」

美琴「ええ、ちょっと長くなったけど終ったわ」

美子「まま、にぃにのこと怒ってない?」

美琴「やーねぇ。怒ってなんかないわ。ちょっと将来の大事なおはなししてただけよ」

美子「えっと、ちゅーがくじゅけん?」

美琴「――――そうね、それを含めて、ね」

美子「そっか! にぃに、おこられなくてよかったね」

麻琴「…………結構、心にきたけどね」

みこ「?」

473: 2010/10/15(金) 23:43:26.55 ID:K1mYpVbO0
美子「かれー♪ かれー♪ きょうは、びーふ、か・れ・え!!」(パタパタ

当麻「あ、こら。美子、いい子だから、廊下を走るんじゃありません!!」(スタスタ

美琴「ほら、麻琴、アンタをちゃっちゃと居間に行く。
   せっかくの母さんお手製のカレーが覚めちゃうでしょ」

麻琴「…………うん」

美琴「あ、やば。そういえば、お茶切らしてるんだった。
  貰い物のお茶っぱ何処に仕しまったっけ……?」

麻琴「…………」

  「…………」

  「母さん」

美琴「んー?」



麻琴「―――俺、母さんと対峙できるくらいの男になるよ」

美琴「―――そう。手加減はしないわよ」


475: 2010/10/15(金) 23:52:39.80 ID:K1mYpVbO0
――――同時刻、一方通行宅

一方「腹減った」

オルソラ「今日のご飯はピーチのラグーでございますよ」

一方「また麺か? 昨日はボロニェーゼだったじゃねェか」

オルソラ「ごめんなさい、イタリア料理のほうがどうにも作りなれているものですから……」

一方「いや、別に文句を言ってるつもりは――、」


prrrrrrrrr、prrrrrrrrr


オルソラ「あらあら、お電話でございますね。
     電話にでてきますので、お先に召しあがっていてくださいな」

一方「いや、そンぐらいの時間待ってる」

オルソラ「そうでございますか?」

一方「あァ」

478: 2010/10/16(土) 00:06:18.37 ID:GEr+MJDw0
オルソラ「はい、もしもし?」

打ち止め『…………あの』

オルソラ「……もしかして、打ち止めさん?」

打ち止め『……ミサカだよ、ってミサカはミサカは報告してみる』

オルソラ「やはりそうでございましたか。あの後ちゃんと家には帰れましたか?」

打ち止め『タクシー拾って帰ったよ』

オルソラ「心配しておりましたので、声を聞けてひとまず安心いたしました」

打ち止め『……心配かけてごめんなさいってミサカはミサカはオルソラさんに謝ってみたり』

オルソラ「いいえ。それは良いのでございます。
     打ち止めさんは、一方通行さんにお話があるのでしょう。
     今わかりますので、ちょっと、待っててくださいますか?」

打ち止め『うん、お願いしますってミサカはミサカは頼んでみる』

一方「―――ッ!」

479: 2010/10/16(土) 00:15:38.33 ID:GEr+MJDw0
オルソラ「と、いうことです。電話でに出てあげてくださいませ」

一方「俺はアイツに顔も見たくねェって言ったはずだぞ」

オルソラ「ええ拝聴しました。けれど、わたくしは『声を聞きたくない』とは聞いておりませんので」

一方「妙な知恵を働かせンな」

オルソラ「しばらくはウチの敷居をまたげない、と打ち止めさんもわかっているからこそ
     直接我が家を訪れずに、お電話してきたのでございましょう?
     電話くらい、出てあげてもよいのではありませんか?」

一方「アイツと話すことなンざねェ。電話もきっちまえ」

オルソラ「……何事も、話し合わないと解決しないとわたくしは思いますけれども」

一方「突き放さねェと、わからねェこともあンだよ」

481: 2010/10/16(土) 00:24:47.44 ID:GEr+MJDw0
オルソラ「……電話にでないと、明日から一カ月間、麺類のご飯しか出しませんよ?」

一方「勝手にしろ」

オルソラ「もちろん、外食も禁止でございます。朝食、お弁当、夕食、三食全て――」

一方「麺でもかまやしねェよ。文句もいわねェ」

オルソラ「……朝出かける時と夜帰って来た時の口づけも、しばらくしませんよ?」

一方「……だから、電話には出ねェって」

オルソラ「わかりました。
     では、麺類強化月間は挨拶の口づけはもちろんなし、
     寝室も別、ということでかまいませんね?」

一方「はァ!!?」

オルソラ「それが嫌でしたら、電話に出てあげてくださいませ」

    「…………打ち止めさん、とても勇気をだして電話をして来たのでございましょう」

    「ですから、何卒」

487: 2010/10/16(土) 00:31:21.61 ID:GEr+MJDw0
一方「~~~~っ!!」

オルソラ「ほら、一方通行さん」

一方通行「…………いつもなら、オマエの言うことを聞いてやるところだが、今回ばかりは聞かねェ」

オルソラ「……脅しではございませんよ? 本当に実行いたしますよ?」

一方「…………脅されても、電話には出ねェ」

オルソラ「何故、それほど頑なに……」

一方「…………アイツは、1人で考えないと駄目だ」

  「俺が少しでもやさしい言葉をかけてみろ。あいつはまた、俺に甘える」

  「誰かに甘えるよォじゃ、話にならねェ」

  「アイツは、アイツ自身の足で立たないと駄目だとわかるまで、俺はアイツに一切手を差し伸べるつもりはない」

  「――――だから、電話にもでねェ」

  「甘やかせるのま、もう終いだ」

488: 2010/10/16(土) 00:40:36.19 ID:GEr+MJDw0
オルソラ「…………」

一方通行「オマエも、必要以上に甘やかすなよ」

オルソラ「…………電話には、出ないのでございますね」

一方通行「何度も同じこと言わせンな」

オルソラ「わかりました」




打ち止め『…………やっぱり、出てくれないか、ってミサカはミサカは予想していた結果を驚かずに聞いてみる』

オルソラ「ごめんなさいね、ほら、あの人素直ではございませんから……」

打ち止め『ううん、きっとそれがあの人の優しさなんだよね、ってミサカはミサカは振り返ってみる』

492: 2010/10/16(土) 00:55:52.17 ID:GEr+MJDw0
オルソラ「……関係のないわたくしが、口をはさんでいいのかわかりませんが」

打ち止め『ううん。そんなことないよ。オルソラさんはミサカのもう1人のお姉さまだもの』

オルソラ「……私としましても、その、声を大きくして賛成することは難しい問題だと、思います」

打ち止め『当たり前だよ。……色んなものを抱える道になりそうかな、ってミサカはミサカは苦笑いをしてみたり』

オルソラ「アナタ様が背負う十字架は、とてもとても重くて担ぐのか大変になることでしょう」

打ち止め『――――うん』

オルソラ「…………どのような明日を迎えようとも、アナタ様のひたむきさだけは、どうかお忘れにならないでくださいませ」

打ち止め『ありがとう、オルソラさん』

493: 2010/10/16(土) 00:57:07.70 ID:GEr+MJDw0
オルソラ「――――どうか、貴方様にも主の救いが賜りますように」

打ち止め『……神さまってよくわからないけど、
     誰かに頼らなくてもいいように、ミサカも麻琴を守ってあげられるように、頑張ってみるよ』

オルソラ「……さようでございますか」



オルソラ「また、いつの日か。私の手料理を食べに来てくださいませね」

打ち止め『うん、楽しみにしてる―――それじゃ、またね』





494: 2010/10/16(土) 01:04:51.17 ID:GEr+MJDw0
オルソラ「……さぁ、ご飯にいたしましょうか」

一方「……あァ、そうだな」

オルソラ「そうだ、明日のご飯のリクエストはございますか? もちろん麺類限定で」

一方「…………やっぱ、実行するのか、全部」

オルソラ「当たり前でございます。シスターたるもの、嘘は申しません」(ニコ

496: 2010/10/16(土) 01:06:50.13 ID:GEr+MJDw0
一方「…………ウチ、ベット一つしかねェんだけど」

オルソラ「どちかが一カ月、ソファーで寝起きすれば済む話しでございます」

一方「…………明日は、焼きそば」

オルソラ「では、明日のお弁当は焼きそばに致しましょう!」

一方「ソファーには俺が寝る。オマエがベット使え……」

オルソラ「あら、よろしいので?」

一方「いいって」

オルソラ「わかりました。ではお言葉に甘えるますね」

一方「…………メシ、うめェわ」

オルソラ「たくさん作りましたので、おかわりしてくださいませね」

一方「…………おォ」

497: 2010/10/16(土) 01:16:49.67 ID:GEr+MJDw0
――――時間は夕方まで戻り居酒屋「根性」


五和「あなたー!! 注文してた仕入れの品ってココに置いておけばいいのー?」

佐天「あっ! ちょ、女将さん、そんな重たいもの運んじゃいけませんって!」

五和「大丈夫ですよ、大丈夫大丈夫」

佐天「でも……」


ダダダダダダダ


削板「五和ぁぁぁぁっぁああああああああ!!!!」

佐天「うわっ、店長突然登場しないで下さいよ、ビックリするじゃないですか!!」

498: 2010/10/16(土) 01:18:56.10 ID:GEr+MJDw0
五和「あ、あなた。ねぇ、魚一さんから仕入れのお魚が届いたんだけど、運ぶのここでよかった?」

削板「おまっ、こんな重たいもの運んだのか!? そうなのか!?」

五和「そんなに重たくないって」

削板「駄目!! そういうことは俺に任せてくれていいから、五和は安全にしてなきゃ駄目!!」

五和「そんな大げさな。もう安定期に入ってるんだし、別にコレくらい」

削板「赤ん坊の健やかな成長はオマエにしか守れないんだ。悔しいが、俺の根性をもってしてもそればかりはどうにもならない」

佐天「そうですよ。妊婦さんは休んでいてください。こういう時のために私みたいな店員がいるんですから!」

削板「そうだ、五和は休め!! 根性で休め!!」

佐天「根性で休むってどういうことですか……」

五和「……そう? じゃ、お言葉にあまえさせてもらおうかな」

500: 2010/10/16(土) 01:26:10.22 ID:GEr+MJDw0
佐天「さぁ、店長ちゃっちゃと開店準備はじめちゃいましょう!」

削板「そうだな佐天! よし、下準備は終ってるし、残りの細かい仕上げを終わらせるぞ!」

佐天「はーいっ!」



五和「……暇ですね」

  「……ねぇ、赤ちゃんお母さんすごく暇なのー」

  「…………」

  「よし、座卓でも拭くかな」(スタっ



佐天「あっ! コラ、女将さん!?」

削板「五和! いま、働こうとしただろう!? 駄目だ、ちゃんと安静にしてろ!!」



五和「うっ、二人とも鋭い……」

502: 2010/10/16(土) 01:36:04.84 ID:GEr+MJDw0
ガラガラガラ。

息子「ただいまー」

五和「あ、おかえりー」


削板「お帰り! 息子よ!!」(バタバタ

佐天「あ、坊ちゃんおかえりなさーい」(バタバタ


五和「ほらお兄ちゃんがただいまーだって」

息子「ただいま、赤ちゃん」(サスサス

五和「あら、お兄ちゃんにお腹撫ででもらえてよかったねー」

息子「なんか、まだ兄貴になるって自覚でないな―」

五和「生まれたら、嫌でもお兄ちゃんの自覚がでてくるから大丈夫よ」

息子「そんなもんかなー? まあ、いいや。今日も賑やかだね、お店」

五和「お父さんと佐天はいるも賑やかだから。それにしても、いつもより遅かったね。どこかでお友達と遊びに行ってた?」

息子「あーうん、御坂の奴と少し教室で駄弁ってた。そのあと第十二学区によってた」

503: 2010/10/16(土) 01:43:24.62 ID:GEr+MJDw0
五和「中学校の下見?」

息子「まーねぇ。神学系でもいくつか良いところ見つけたよ。能力研でも神学系でも、どっちに進んでも楽しそう」

五和「私も、お父さんも貴方が進みたい学校でいいっていつも言ってるでしょう?」

息子「そうだけど。やっぱ学校の先生とか、知り合いの科学者とか、声かけてくれる人は多いし」

五和「天草式の人にはこの間きつく言っといたから『息子に執拗に十字教に勧誘しないで』って」

息子「あ、マジで? 建宮さんたち良い人なんだけど、
   『カモン、将来的には天草式へ☆』みたいなノリがちょっと……」

五和「そもそも、主の存在を自ら望んでその身に感じ、祈りをささげないと意味がないっていうのにあの人たちは……」

息子「でも、ぶっちゃけると、母さんだって俺が神学系いったほうが嬉しいとか、ない?」

五和「ない、とか断言できないけど、それでも貴方が進みたい道を応援する気持ちのほうが勝ってるわよ」

息子「……そっか、さんきゅ」

五和「原石関係の人にも、お父さんになんとか言ってもらうから、自由になさい」

息子「……お父さん、説得とか苦手そう……」

五和「……それは、一応、お父さんをしんじてあげよう……?」

506: 2010/10/16(土) 01:49:50.70 ID:GEr+MJDw0
息子「まぁ、『すごいぱーんち』でなんとかしてくれると願おうかな」

五和「……また御近所さんから苦情来るのだけ嫌だなぁ……」

息子「この間回覧版で回ったんだっけ?」

五和「うん。『カラフルな煙幕で周囲一帯が包まれて、前が見えにくくなりました』って」

息子「……あの煙幕ってどこからでてるんだろ……?」

五和「世界最大の原石だもの、謎よ。全て、謎」



佐天「よし、じゃあ暖簾かけてきますねー」(ガラララ

削板「『根性』開店だ!! 今日も一日根性で頑張るぞぉぉおおおおお!!」


五和「お客さんきそうだし、私たちは居住空間(二階)に戻ろうか」

息子「うん、そうだね」

511: 2010/10/16(土) 02:04:31.64 ID:GEr+MJDw0
――――居酒屋『根性』閉店

佐天「それじゃあお疲れさまでした」

削板「おう! 明日も頼むな!」

佐天「失礼しまーす」(パタパタ


削板「………ふぅ、今日もよく働いたな、俺」

五和「お疲れ様、あなた」

削板「五和」

五和「お酒持ってきたから、一杯どう? わたしはお酌しか出来ないけど」

削板「もう二時すぎてるんだぞ? もう寝た方がいいんじゃないのか?」

五和「そうだけど、たまには二人っきりの時間を過ごしたっていいじゃない」

削板「…………そう言われると、強くでれんな……」

五和「ほら、隣の椅子に座る座る」(ポンポン

515: 2010/10/16(土) 02:37:35.51 ID:GEr+MJDw0
五和「きょうも一日お仕事お疲れさまでした」

削板「お、さんきゅーっ、てこれ鬼頃し……」

五和「ささ、ぐぐいっと」

削板「……男は根性ッ!!」(グイ

五和「いい飲みっぷり。ささ、遠慮せずにもういっぱい」

削板「おう!」

517: 2010/10/16(土) 02:46:26.96 ID:GEr+MJDw0
五和「………あら、もう空になっちゃった。もう一本飲みます?」

削板「さ、さすがにこいじょうはキツイ……」

五和「えぇー。もっと飲んでるところ見てたかったのにー」

削板「……いや、もう既に頭が痛くなってるから、な?」

五和「むむむ…」

削板「ほら、夜も遅いしもう五和も寝ろ」

五和「嫌です」

削板「五和」

518: 2010/10/16(土) 02:49:22.19 ID:GEr+MJDw0

五和「…………だから、たまには二人っきりの時間を楽しみたいんだってば」

削板「…………」
 
  「あー、畜生」

五和「……? あなた?」

削板「俺、今すぐ、五和のこと即効で押し倒したい気分です」

五和「ちょ……。だぁめー。赤ちゃんビックリしちゃうから」

削板「わかってるって。だから自制しただろ俺。ていうか根性で自制してるっつーの」

五和「あははは、根性で頑張って。ねー? お父さん?」

削板「…………あーもう、可愛いこと言いまくりだな、オマエ」

  「赤ん坊生まれたあとは、覚悟しとけよ?」

五和「やだっ、もう、あなたったら!」(バンバン

削板「背中叩くな! ちょ、まじで吐きそうになるからあああ!!」

520: 2010/10/16(土) 02:56:56.56 ID:GEr+MJDw0
削板「……五和の奴ああ見えてけっこう力あるからなぁ。マジで逆流しそうになった……」(ゲッホゴホ

五和「…………」

  「――――ねぇ、あなた」

削板「なんだ?」(ゴホ

五和「…………さっき言ったの言葉、忘れちゃ駄目だからね?」

削板「……ぉ、おう」

523: 2010/10/16(土) 03:02:17.05 ID:GEr+MJDw0
五和「…………」

削板「…………」


五和「……あなた」

削板「……五和っ!」


ガラッ


息子「なんか小腹すいた……て、あれ?」


五和「 」

削板「 」


息子「――――スイマセン、オジャマシマシタ」


バタン


削板「…………もう夜遅いし、寝るか」

五和「…………そ、そうね」

524: 2010/10/16(土) 03:08:39.25 ID:GEr+MJDw0
―――――居酒屋『根性』の周辺の路地


黄泉川「ぜんっぜん、飲み足りないじゃんよー!!」

木原「あほか、今日は何軒回ったとおもってんだ。もう充分だろ」

黄泉川「今日はまだ4件しか回ってない!」

木原「十分多いわ、ボケ」

黄泉川「いいじゃんよー。ようやく例の件の後片付けが終ったんだからさー?」

木原「……だからと言って、そのフラフラな足元では何処もいけねえだろ。いい加減、終いにしようぜ」

黄泉川「えぇー」

木原「ええーじゃねっつーの。タクシー拾ってやるから帰れ酔っ払い」

黄泉川「のーみーたーりーなーいーじゃーん!!!!」

木原「うっせぇ! そんなに飲みたけりゃ、家帰って晩酌でもしてろ!!」

527: 2010/10/16(土) 03:13:48.38 ID:GEr+MJDw0
黄泉川「一人で飲むのなんてツマラナイ」

木原「ここまで付き合ってやったんだ。これ以上は勘弁してくれ」

黄泉川「一人で飲むのなんて寂しいじゃん」

木原「ババァがつまらないとか寂しいとかいうな」

黄泉川「木原せんせーだって、ジジィじゃんか」

木原「俺はジジィじゃねっての」

黄泉川「何? 生涯現役発言? やーらしい」

木原「卑猥なのはそういう思考にもっていくオマエの思考だ」

528: 2010/10/16(土) 03:17:57.15 ID:GEr+MJDw0
黄泉川「……ていうかさ、木原先生、私のこと避けてるよね?」

木原「………………」

  「んなこたねーよ」

黄泉川「今日の飲みだって、すごいしぶって私が強引に連れ出したし」

木原「わかってんじゃねーかよ。そうだよ、俺はオマエに無理やり連れ出されて疲れてんだよ。いい加減帰らせろ」

黄泉川「…………そんなこと言いつつ、最後まで付き合ってくれるところ、嫌いじゃないじゃんよ」(ボソ

木原「ほら、タクシー拾える通りまで歩くぞ」

黄泉川「りょーかい…っ」

529: 2010/10/16(土) 03:23:10.57 ID:GEr+MJDw0
黄泉川「………あっ」

木原「なんだよ。急に思いだしたように立ち止まるな。居酒屋に財布でも忘れたか?」

黄泉川「いやいやいや、そういうことじゃないじゃんよ」

木原「なら、いったいなんだってんだよ」

黄泉川「ふと思ったんだけど、
   木原くんは私のこと避けるようになったのって、
   警備員、猟犬部隊の合同演習の1対1の試合で私が木原先生に圧勝したときから…?」

木原「…………さぁな」(ギク

黄泉川「……目が、左右に泳いでるじゃん?」

木原「いや、あれはただの模擬戦闘だろ。そんな遊びの闘いの結果なんていちいち気にしてらんねーっての」

黄泉川「ふーん。まぁ、いいけど」

532: 2010/10/16(土) 03:32:33.10 ID:GEr+MJDw0
木原「おーい、タクシー」


ブロロロロロロ。キキッ。


木原「――――おら、タクシー来たぞ」

黄泉川「木原先生は?」

木原「歩いて帰れる。たいして時間もかかんねえし、酔い覚ましも兼ねてな」

黄泉川「…………」

   「やっぱ、一人で家でのみ直すのはさびしいし」

   「木原先生、これから私の家に来るじゃん?」

木原「―――――」

  「ッハ。馬鹿も休み休み言え。これ以上オマエに付き合ってやる義理はねえ」

533: 2010/10/16(土) 03:33:54.25 ID:GEr+MJDw0
黄泉川「あららら、来ないのか。それは残念じゃんよ」

木原「冗談にしては笑えてーな」

黄泉川「結構、冗談じゃなかっり?」

木原「…………俺たちは、今のこの関係でいいだろ」

黄泉川「…………そう、じゃんね。今のまま気楽で一番だ」

木原「……そういうこった。おら、さっさと行けや酔っ払い」

黄泉川「今日は飲みの付き合いありがとーじゃんよ、また今度」

木原「いかねーよ」

黄泉川「なら、今日と同じ、無理やり引きずってく!!」

木原「オイオイオイ……」

黄泉川「じゃ、またじゃんよー!」


ブロロロロロ

534: 2010/10/16(土) 03:39:05.80 ID:GEr+MJDw0
木原「あー……ようやく静かになった」

  「さて、俺も帰るか」

  「………歳だな、こりゃ明日は朝おきれそうにない」

  「ま、長期休暇中だし、なんの支障もねーけどな」

  「ったく、どうでもいいことだけ勘のいい女だな、アイツも」

  「…………」(ハァ


  (あの時、はじめて女にぶちのめされて。
   
   ――――背筋のピンを伸ばして堂々としている背中にほれ込んだ、なんて)


  

   「口がさけても、絶対にいえやしねぇ」

535: 2010/10/16(土) 03:40:15.89 ID:GEr+MJDw0
――――打ち止め(滝壺・五和・木原視点込)・終――――

537: 2010/10/16(土) 04:01:34.75 ID:GEr+MJDw0
これにて終り。美琴を30歳として想定していたので、おおよそ16年後のパラレルでした
2スレ目からかなりグダグダでありきたりな展開が続いてしまいましたが、ここまでお付き合いありがとうございました。
予想もできない安価が沢山あって、面白かったwwwwww

543: 2010/10/16(土) 04:30:36.28 ID:7Oz7owyyO



……と言いたいところだが姫神や神裂や吹寄やアニェーゼやレッサーがまだまだなんだぜ

引用: 御坂「よーっす」インデックス「おはよーなんだよ」その2