1: 2024/10/14(月) 21:08:25 ID:???00
とまマル、トマカノーテ

2: 2024/10/14(月) 21:09:00 ID:???00
マルガレーテ「いらっしゃいませー」

冬毬「お待たせいたしました。ご注文をお伺いします」

かのん「うんうん、いいねぇ、実にいいよぉ。二人ともすっかりうちの看板娘って感じだね」

マルガレーテ「ちょっとかのん、見てるだけじゃなくて手を動かしてよ。まったく、人にばかり仕事させてのんきなものね」

3: 2024/10/14(月) 21:09:25 ID:???00
冬毬「居候しているマルガレーテはともかく、なぜ私まで…」

かのん「そうかな?これもスクールアイドルに必要なことだと思うんだよね」

マルガレーテ「どういうこと?」

かのん「カフェでは沢山のお客さんとやりとりするでしょ?接客を通じて、円滑なコミュニケーションスキルが身につくと思うんだ」

4: 2024/10/14(月) 21:09:51 ID:???00
冬毬「なるほど、一理あります」

マルガレーテ「思ったよりもまともな理由ね」

かのん「なにより、カフェとスクールアイドルに欠かせないもの。それはスマイル!」

マルガレーテ「す、スマイル…」

5: 2024/10/14(月) 21:10:19 ID:???00
冬毬「明るい表情を作るのは、少々苦手です…」

かのん「だからこそだよ。ここでの経験は自然な笑顔の練習にもなるし、お客様に聞こえやすいはっきりとした声を出すことは、発声練習にも役立つと思うんだ」

マルガレーテ「確かに…スクールアイドルは歌って踊るだけじゃなくて、MCとか動画とかでトークする場面もあるもんね」

冬毬「パフォーマンスや表現力に幅が出るというわけですか。聞けば聞くほど、理にかなっています」

6: 2024/10/14(月) 21:10:39 ID:???00
かのん「私もね、初めてステージに立つ前に、ちぃちゃんのたこ焼き屋さんで修行させてもらったことがあるんだ。不慣れな状況に対応して、人前で歌う自信をつけるためにね。あー、なんだか懐かしいなぁ」

マルガレーテ「そうなんだ。たこ焼き屋ってすごいのね」

冬毬「マルガレーテは素直ですね」

マルガレーテ「そう?」

7: 2024/10/14(月) 21:11:04 ID:???00
かのん「なにより、二人のチームワークを深めるいい機会だしね。ちゃんとお給料もお支払するし、おやつと賄いのごはん付き。こんないい話はめったにないと思うけどなー」

冬毬「それだけでも働く価値が充分にあるというものです」

マルガレーテ「現金だこと」

冬毬「労働条件の確認は最優先事項です」

8: 2024/10/14(月) 21:11:22 ID:???00
マルガレーテ「まあ、なんでもいいけど。で、本当の看板娘は見てるだけなの?」

かのん「私はほら、監督する側だから」

マルガレーテ「それ、ずるくない?」

冬毬「さすがにアンフェアです」

9: 2024/10/14(月) 21:11:41 ID:???00
かのん「冗談、冗談。私はキッチンを手伝うから、二人はホールをお願いね。あれ、エプロンがない。お母さーん、私のエプロンどこー?」

マルガレーテ「かのんのはほら、これでしょ」

かのん「あ、こっちにあったんだ。ありがと!」

マルガレーテ「まったく、頼りになる先輩ね」

10: 2024/10/14(月) 21:12:01 ID:???00
冬毬「マルガレーテ、お客様です」

マルガレーテ「おっと、いらっしゃいませー」

冬毬「ご案内します。こちらのお席にどうぞ」

かのん「ふふっ。さーて、私も頑張っちゃおうかな!」

11: 2024/10/14(月) 21:12:16 ID:???00
――――――――――――――――

マルガレーテ「ふぅ、やっと休憩時間ね」

かのん「二人ともお疲れ様!飲み物、何にする?」

冬毬「ご馳走していただけるのですか?」

かのん「もちろん、お給料から差っ引き」

12: 2024/10/14(月) 21:13:17 ID:???00
マルガレーテ「じゃあお水で」

冬毬「同じく」

かのん「あははっ、嘘、嘘。アイスココアなんてどうかな、働いた後は格別の美味しさだよ」

マルガレーテ「魅力的な提案ね」

13: 2024/10/14(月) 21:13:38 ID:???00
冬毬「お願いします」

かのん「はいはーい、少々お待ちをー」

マルガレーテ「かのん、なんだかテンション高いわね」

冬毬「ですね、なかなかご機嫌のようです」

14: 2024/10/14(月) 21:13:54 ID:???00
かのん「はい、お待ちー」

マルガレーテ「わ、ホイップクリームにチョコレートソースがかかってる」

冬毬「クリームやトッピングは別料金のはず。よろしいのですか?」

かのん「いいのいいの、可愛い後輩ちゃんが手伝ってくれてるんだもん。ここだけの話、ココアも増量してるんだ。二人だけの特別だよ?」

15: 2024/10/14(月) 21:14:12 ID:???00
冬毬「ご配慮に感謝いたします」

マルガレーテ「じゃあ、ご馳走になるわね」

かのん「私はホール見てくるから、楽しんでねー」

マルガレーテ「よろしく。ねえ、どう思う?」

冬毬「そうですね、とても美味しそうです」

16: 2024/10/14(月) 21:14:48 ID:???00
マルガレーテ「ココアじゃなくて、かのんのことよ」

冬毬「変わったお人だなと」

マルガレーテ「そうだけど、そうじゃなくて」

冬毬「何を言いたいのかわかりません、要点をお願いします」

17: 2024/10/14(月) 21:15:18 ID:???00
マルガレーテ「つまり、なんであんなにはしゃいでるのかってことよ。自分の家のお手伝いしてて、ああはならないでしょ」

冬毬「先ほど言ったでしょう、私たちが来ているからご機嫌なのですよ」

マルガレーテ「それだけであんな風になるの?」

冬毬「かのん先輩ですから」

18: 2024/10/14(月) 21:15:33 ID:???00
マルガレーテ「よくわからないわね…ココアは確かに絶品だけど」

冬毬「ええ、ホイップクリームが溶けた部分が特に美味です」

マルガレーテ「まさしくチョコワタルシミ、ね」

冬毬「なんですかそれ」

19: 2024/10/14(月) 21:15:51 ID:???00
マルガレーテ「えっ、日本ではココアが美味しいとき、こう言うんじゃないの?」

冬毬「初耳です。おそらく、チョコが染み渡ると言いたいのでしょうが」

マルガレーテ「かのんめ…間違った作法を教えたわね」

冬毬「ふふっ」

20: 2024/10/14(月) 21:16:08 ID:???00
ありあ「ただいまー」

マルガレーテ「おかえり」

冬毬「お邪魔しています」

ありあ「お手伝いしてくれてるんだってね、お疲れ様!うちのココア、どう?」

21: 2024/10/14(月) 21:17:04 ID:???00
冬毬「美味しいです。そのうえ、色々とサービスしていただきました」

マルガレーテ「気前よく、かのんの奢りよ」

ありあ「先輩風吹かせちゃって、お姉ちゃんめ。すぐ調子に乗るんだから。それにしても、二人ともなんだか看板娘って感じだね」

冬毬「先ほど、かのん先輩からも同じことを言われました」

22: 2024/10/14(月) 21:17:38 ID:???00
ありあ「え、うそ」

マルガレーテ「なんだかんだ言っても、姉妹そろって感性が同じなのね」

ありあ「あはは、複雑な気分」

マルガレーテ「で、本当の看板娘その2は手伝わなくていいの?」

23: 2024/10/14(月) 21:17:57 ID:???00
ありあ「今日は免除してもらったんだ。二人が来てくれて助かったよ。じゃあ、ごゆっくりねー」

マルガレーテ「姉が姉なら妹も、って感じね」

冬毬「ええ、姉妹ですから」

マルガレーテ「ん…」

24: 2024/10/14(月) 21:18:12 ID:???00
冬毬「…」

マルガレーテ「…ココア、美味しい」

冬毬「チョコワタルシミ、です」

マルガレーテ「…ふふっ、そうだったわね」

25: 2024/10/14(月) 21:18:27 ID:???00
――――――――――――――――

冬毬「お泊り、ですか?」

かのん「うん!今日はしっかりお手伝いしてもらっちゃったし、明日も練習で朝早いからさ。せっかくなら泊まってったらどうかなって」

マルガレーテ「冬毬がお泊り…」

冬毬「何か言いましたか?」

26: 2024/10/14(月) 21:18:44 ID:???00
マルガレーテ「べ、別に」

冬毬「ご厚意はありがたいですが、今日は帰ります。そこまで甘えるわけにはいきませんので」

かのん「そっか。残念だね、マルガレーテちゃん」

マルガレーテ「どうして私に振るのよ」

27: 2024/10/14(月) 21:19:04 ID:???00
かのん「じゃあさ、じゃあさ、ご飯だけでも食べて行ってよ。本日のメニューはなんと、デミグラスハンバーグとトマトのスープ!どっちも私の大好物だからさ、食べていってほしいんだ」

マルガレーテ「そうね。かのんはちょっと様子がおかしいけれど、ハンバーグに関しては間違いないわ」

かのん「そうそう!って、今さりげなくひどいこと言わなかった?」

マルガレーテ「気のせいでしょ。それで、どうする?」

28: 2024/10/14(月) 21:19:25 ID:???00
冬毬「そこまでお薦めされては、断る理由はありませんね」

かのん「決まりだね!出来たら呼ぶから、部屋で待っててね!」

マルガレーテ「ほんと、あの騒がしさはなんなのかしら」

冬毬「ですが、不思議と悪い心地はしません」

29: 2024/10/14(月) 21:19:40 ID:???00
マルガレーテ「ふーん」

冬毬「なんですか」

マルガレーテ「無駄や不合理が嫌いな冬毬も、そういう風に思うんだなって」

冬毬「私にだって感情はあります。マシーンではありませんので」

30: 2024/10/14(月) 21:20:11 ID:???00
マルガレーテ「そうね、一見すると淡白だけど、ちゃんと心がある」

冬毬「またそういう言い方を」

マルガレーテ「今日はあれだけど、今度は泊まりに来なさいよね」

冬毬「ええ、前向きに検討します」

31: 2024/10/14(月) 21:20:36 ID:???00
かのん「~♪」

ありあ「お姉ちゃん、ずいぶんとご機嫌だね」

かのん「そうかな?」

ありあ「そうだよ。二人が来てるから、張り切ってるんでしょ」

32: 2024/10/14(月) 21:21:01 ID:???00
かのん「んー、ちょっと違うかな」

ありあ「じゃあ、なんなの?」

かのん「二人にはもっと仲良くなってほしいんだ。マルガレーテちゃんも冬毬ちゃんも、ちょっと不器用だけど、まっすぐで、とっても可愛い二人だからさ!」



終わり

34: 2024/10/14(月) 21:22:19 ID:???00
とまマルあるいはトマカノーテでした。2話で3人が可愛かったので突発的に書きました。

宣伝となり恐縮ですが、以下はとまマルの過去作です。
よろしければ併せてお願いします。

マルガレーテ「隣は何をする人ぞ」

ありがとうございました。

引用: SS かのん「看板娘」