1: 2015/03/24(火) 22:20:55.67 ID:8AEWnvxao
これまでのあらすじ:
トラック諸島で緊急事態が発生した。
ブッダを逮捕したと主張する深海棲艦がトラック沖に陣取り、
日本政府に対してサンオクエンの身代金とハワイ高飛び用の燃料を要求したのだ。

これからのあらすじ:
トラック諸島での難事を解決した提督と雪風と愉快な仲間たちは未知なる海外艦、新たな改二情報などの期待を胸に深海棲艦ハントに勤しむのであった。

・雪風メイン……とはなんだったのか
・俺設定満載
・雪風がよく泣く
・思いついたネタ不定期に投げると思われます。投稿速度はあまり期待しないでね
・ヤギ前後
・地の文つき
・わかったか
・小ネタとして艦娘とかを安価で取ってそれとは関係なく思いついたネタを突然投下したりする
・わかったか!!
・このスレは艦これSSとニンジャスレイヤーと鋼鉄少女と幻想再帰のアリュージョニストを応援しています。あとFFS
・わかったかと言っている!!!


前回:泣き虫雪風と釣り人提督【その21】
最初から:泣き虫雪風と釣り人提督


2: 2015/03/24(火) 22:22:58.02 ID:8AEWnvxao
登場人物紹介

提督:
もはや漁業のこと忘れかけててアイデンティティが危ぶまれる元釣り人。よくスカム思考する。
もう枯れてるんじゃないかとの疑惑あり。でも提督業にはなんら問題ないからいいよね。

猫吊るし:
提督に提督業を押し付けた、いつも手に白い猫を吊るしている謎の少女。一説には妖精さんの一種とも。
本気を出せば海域丸ごと深海棲艦を弱体化できるが疲れるし根本的解決には至らないので普段はやらない。

雪風:
提督の最初の艦娘にして嫁。昔のことを思い出しては泣き出すが猫吊るし曰く、イレギュラー的なものらしい。
でも戦闘中は泣かない。自分がまごまごしたせいで僚艦が沈んでは元も子もないのだ。

妖精さん:
艦娘の艤装や艦載機などに住まう謎の住人。深海棲艦に対抗できるのは彼女たちの力あってこそ。
と猫吊るしは言うが、何がどう役立っているのかは提督も艦娘も知らない。

未着任艦娘:
2015/3/24現在全員着任済み
海の画集 -「艦これ」公式イラスト集-
6: 2015/03/26(木) 22:28:58.10 ID:9Nfhffdpo
――― レベリングとは均すという意味がある ―――

南西諸島、バシー沖。ボーキサイトの名産地。オリョールと並ぶ要所である。

主力艦隊を処分したといっても深海棲艦は定期的に湧いてくる上、輸送ワ級と名づけられた補給艦が随伴するため、

湧いた敵艦隊が海上に居座る時間が長く、脅威度が高いので定期的に掃討する必要があるのだ。


雪風を旗艦とした、最上型航巡3、球磨型雷巡2の無慈悲な水上打撃艦隊が超長距離から敵水雷戦隊を圧頃する。

残敵も中口径砲により掃討されていく。

そんな状況をぷかぷか丸の甲板から憂え気に眺める少女が一人。最上型航巡次女、三隈である。

三隈「提督、何故三隈をもがみんと一緒に出撃させてくれないのですか?」

提督「といわれてもなぁ……最上型では一人だけ抜きんでて練度高いし」

三隈「昔はサーモン海でもがみんとあんなに活躍しましたのに」

提督「それが原因なんだよなぁ。旗艦じゃないのに上がる上がる」

三隈「まさか活躍しすぎたせいて出撃させてもらえなくなるなんて……」

提督「練度低い子も育てて行きたいからな」


一方艦隊の方では……

大井「北上さんと出撃させてくれないなんて、提督も何を考えてるのかしら」

木曾「俺の練度が姉さんたちに追いつけば出してもらえるだろ、多分」

9: 2015/03/29(日) 22:15:01.70 ID:31dcZ9eAo
――― 鏃が艦載機 ―――

鎮守府、工廠。資材を積んで艦娘を喚んだり、装備を開発したり、改造、改修、装備の変更や点検などを一手に担う鎮守府の重要拠点。

そこの一角で椅子に座って黙々と作業をする少女が一人。瑞鶴である。

瑞鶴「……よしっ、これで烈風は完成、と」

提督「何してんだ?」

瑞鶴「これよこれ。艦載機の準備」

そう言いながら烈風をつけた矢を格納庫にしまう。

瑞鶴「提督さんも手伝ってよ。艦載機に矢を差し込んで固定するだけだし」

渡される矢と彗星一二甲。

提督「全く、しょうがねぇなぁ」

ぶつくさ言いながらも隣の椅子に腰掛け、提督も作業を始める。

提督「ところで疑問なんだが」

瑞鶴「何かしら?」

提督「一航戦や二航戦は普通に矢を飛ばしてから艦載機に変えてるが、瑞鶴たちはなんで先に艦載機つけてるんだ?
    箭の部分も結局艦載機になるんだし鏃の部分だけ艦載機のままにしておく理由がわからん」

瑞鶴「それね、隊長機なのよ」

提督「ほう」

瑞鶴「隊長機を前もって決めておくことで統率性を高めてるの」

提督「赤城たちも取り入れてて良さそうなもんだが」

瑞鶴「先輩たちは自分で直接統率してるから……労力は増えるけどその分即応性が高いわ」

提督「オートとマニュアルみたいなもんか」

瑞鶴「そうね。オートと言っても妖精さんに判断を委ねる感じだけど」

提督「……よし、出来たぞ。これでいいか」

瑞鶴「ん……うん、さーんきゅっ」

提督「どういたしまして」

15: 2015/03/30(月) 22:25:07.29 ID:StRL5au0o
――― フミカネ氏の解説がなければどこが変わったのかわからなかったので俺は不憫で先見性がないぜ ―――

提督「これでレーベも改二、いやZweiか」

レーベ「ダンケ!」

提督「……見た目全然変わってない様に見えるんだが」

レーベ「結構変わったよ? ほらこの艤装の艦首部分とか」

提督「長くなってるな」

レーベ「他にも砲を機銃に積み替えたり、電探も増やしたりしてるよ」

提督「ホントだ」

レーベ「あとそれと……」

提督「それと?」

レーベ「写真撮るときの表情変えたよ」

提督「いやそれはどうでもいいだろ」

レーベ「えー」

19: 2015/03/31(火) 22:29:12.63 ID:YXx85G18o
――― 遅い遅いというけれど ―――

夕張「出撃よ! って、やだー! 私が一番遅いって、置いてかないでよー!」


提督「……というわけで」

南方海域前面。月初め恒例のマンスリー任務。低速戦艦3、軽巡1を機軸とする艦隊による出撃任務。

提督「じゃ、夕張が旗艦だ。任せたぞ」


夕張を旗艦に、長門、扶桑、山城、利根、筑摩。利根型の二人を先頭にした複縦陣で敵艦隊を警戒しながら進む。

提督「この構成なら足の遅い夕張でも戦艦たちと進んでいるはず……」


利根『敵艦隊を発見したぞ!』

夕張『潜水艦反応は?』

利根『いるようじゃな!』

夕張『オッケー! 爆雷をお見舞いしてあげる! 各艦、最大戦速!』


提督「……あれ、夕張、利根たちに普通についていってるぞ……」

24: 2015/04/02(木) 22:51:23.91 ID:HCRXD5Uao
――― 壊れたものは戻らない ―――

提督「おーらよっと、いっちょ上がり」

見るも無残に解体されたツ級。特にドロップを持っているわけでもなかったのでまさに斬られ損である。

明石(提督、この戦いが終わったら人斬り魔になるんじゃないかと凄く心配です……)


明石「あの、提督?」

提督「うん、何だ?」

明石「深海棲艦の解体ですが……私に任せてはいただけないでしょうか?」

提督「いや、申し出はありがたいが出来る限りは自分でやるさ」

明石「どうしてですか? 大変でしょうに」

提督「まぁなんだ。艦娘は敵艦と戦ったり、鎮守府や工廠などでいろいろ働いたりしてるだろ? 俺のすることといえば艦隊編成とか、艦娘の輸送とかいわば裏方仕事だ」

明石「私も似たようなものですし」

提督「明石も艤装の修繕や……最近では装備の改修もやってるだろ? 俺も俺のできる範囲でやれることやりたいんだよ」

明石「そうですか……」

明石(ちゃんと提督なりに考えてるんですね)

提督「それに」

明石「それに?」

提督「深海棲艦の奴ら解体するの楽しい」

明石(前言撤回)

30: 2015/04/06(月) 22:39:11.75 ID:NTa4MEz6o
赤く燃える空。そして照り返して赤く染まる海。そして油の燃える匂い。

あたりは火の海。地獄絵図。

目の前には、艤装も服もぼろぼろの、黒髪ロングの艦娘。

「ちっ……私もここまでか。。雪風、すまん……また頼めるか」

「そんなの……、そんなのダメです! 雪風が、連れて帰ります!」

雪風は磯風の手を握り、曳航しようとする。だが、体が重い、なかなか前に進まない。

「雪風、機関の調子、良くなってないのだろう? このままでは共倒れだ。私を処分して、お前だけでも……」

「でも、また撃つなんて、そんなこと……!」

「私が沈めば、またいつか撃つことになる。……その時に、この磯風だと分かって撃てるか?」

艦娘が沈むと深海棲艦にされるという。それが嘘か真かは不明だが、鬼・姫クラスに艦娘を模した手合いがいることは信憑性を裏付けるといえよう。

艦娘の砲撃・雷撃などによって処分することで、艦魂を逃がせば少なくとも囚われる事はない。だが、それは氏と同義である。特に身体の構築が困難な艦娘だと。

「―――っ!!」

歯を食いしばり、連装砲を磯風に向ける。涙で磯風の姿が滲む。

「そうだ、それでいい」

微笑む磯風。

「……外すなよ?」

「磯風……!」

直後、砲撃音と、弾が磯風の身体を砕く音が聞こえ―――

31: 2015/04/06(月) 22:40:42.33 ID:NTa4MEz6o
「――――――あ゛っ!?」

目を見開く雪風。居所は布団の中。目の前には提督のおぼろげな顔。目元を拭うと涙。

「……どうした、雪風」

片目を開けて問いかける。

「悪い、夢を見ました……」

「ほう」

「あたしが、磯風を……砲撃処分、する……」

「そうか、辛かったな」

そう言って雪風を両腕で抱きしめる。

「うっ、うっ、ぐすっ……」

「よしよし」


ひとしきり泣いた後。

「磯風は、大丈夫でしょうか……」

「大丈夫だろ。夢は逆夢って言うしな」

「でも、もし正夢だったら……」

雪風のその言葉に、提督はちらりと時計を見やる。午前二時。

「そろそろ、磯風たちの遠征が終わる頃だ。出迎えに行くか?」

提督の誘いに、雪風はこくりと頷いた。

32: 2015/04/06(月) 22:49:40.77 ID:NTa4MEz6o
手早く着替えた二人は鎮守府の桟橋まで来た。夜空に星が瞬いている。雪風は双眼鏡で水平線とにらめっこをしている。

「さて、そろそろ帰投時刻だが……」

「……あっ、見えました! ひぃふぅみぃしぃごーろく、皆います!」

「居なかったら困るというか緊急連絡入るだろ」

矢矧を先頭に、桟橋まで近づく艦娘たち。

「全艦、鼠輸送作戦より帰投しました」

「あぁ、皆お疲れ様。補給と点検を済ませたら休むといい。今回の遠征の書類は明朝提出してくれ」

「了解です」

提督が手早く矢矧に指示を伝えている横で、雪風は磯風に抱きついていた。

「うわぁぁぁぁん、磯風ぇぇぇぇぇ……グスッグスッ」

「どうした、雪風?」

「ごめんなさい、ごめんなさい……」

「謝られるようなことは何もしていないのだが……」

そこに割り込んで声をかける提督。

「雪風が磯風を沈める夢を見たらしくてな」

「そうか」

話を聞いた磯風は、ぎゅう、と雪風を抱きしめ返す。

「私がいる。だから大丈夫だ、雪風」

「……うん」

「さ、戻ろう。私達も、司令も、みんないる。不安がることはないさ」

「うん……」

「司令」

雪風を抱きしめたまま磯風が向き直る。

「何だ?」

「雪風のこと、よろしく頼むぞ」

「勿論だ」

返事を聞いて頷くと、提督に雪風を預けた。

「じゃ、また明日な」

「もう今日だけどな」

雪風の顔を見ると、泣き疲れたのか、安心したのかうとうとしている。

「……休もう」

38: 2015/04/07(火) 22:20:37.72 ID:LSGrDRAqo
――― 白露も歩けば ―――

鎮守府、埠頭。

提督「今日の遠征だが確か面子は……」

白露「白露いっちばーんっ!!」

提督「そうだったな。名取と白露型5人だったな」

白露「一番だよ一番! ところで今日は何の遠征?」

提督「今日はタンカー護衛任務だ。まぁいつも通りの場所だから特に細かくは言わないが……」

五月雨「あの、提督……?」

提督「五月雨も来てたか。なんだ、質問か?」

五月雨「白露姉さん、もう行っちゃいました」

提督「おいぃ!?」

驚いてる間に他の遠征班も集まってくる。

名取「ふぇぇぇぇん~、白露ちゃんが居ません~」

提督「もう遠征行っちゃったよ! ひーふーみーしーご、他は揃ってるようだから点呼はいいから急いで追っかけて!」

名取「は、はいぃ~」

39: 2015/04/07(火) 22:21:09.13 ID:LSGrDRAqo
数時間後……

名取「艦隊帰投しました。じゃあ私はこれで……」

提督「ちょっと待て」グワシ

名取「ふぇぇ」

提督「何だあれは」

提督の指差す先には、頭にでっかいこぶを作った白露の、村雨に曳航されている姿が!!

涼風「あぁ、これかい? 今日は天気が荒れ模様でねぇ。タンカーを目的地まで護衛したはいいんだけど……」

春雨「姉さんが波に足取られてバランス崩したところをタンカーにゴーン、って」

白露「うぁ~……」

提督「名取、これぐらいなら別に怒らないから旗艦なんだし自分で報告しような?」

名取「ふぁい……」

提督「村雨、悪いが白露をそのまま入渠ドックまで運んで。明石に診てもらおう」

村雨「はいはーい!」

白露「うぁぁ……やっぱタンカーはだめぇ……」

44: 2015/04/09(木) 22:32:09.58 ID:vXzZp/lPo
――― 日ごろの行い ―――

提督「あー、扶桑姉妹もそろそろこの時期か」

提督の手元には小さな箱が二つ。中にあるのはケッコンユビワである。

提督「扶桑はともかくとして問題は山城だな。まぁこじれたら扶桑と一緒に説得すりゃいいか」



提督「山城、ここまで練度を上げてきた祝いだ。受け取れ」

山城「あ、ありがとう。でも、私の心は常に扶桑姉様と共に……」

提督「それは知ってるから。強くなれば姉を守ることも出来るだろ。ってわけでさっさと指輪つけろ」

山城「これって明らかにパワハラよね……不幸だわ……」

提督「こっちだってこっ恥ずかしいんだよ! 判れよ!」

山城「戦艦、雷巡、潜水艦を中心に十数人とケッコンしておいて何言ってるんですか……」

提督「何度やっても慣れないものは慣れないの! ……まぁ、これからも扶桑ともども活躍期待してるぞ」

山城「はい。……それと」

提督「ん、なんだ?」

山城「姉様と、同じくらい……提督も、いい人だと思います。 いつも、感謝しています。……本当ですよ?」

提督「……!?」

山城「提督に日頃の感謝の気持ちを伝えたら鳩が豆鉄砲食らったような顔をされた……不幸だわ……」

50: 2015/04/10(金) 22:41:19.03 ID:k/iOWy4fo
――― 運命の五分間も今は昔 ―――

鎮守府、埠頭。何はともあれ見晴らしがいい。

赤城「……はぁ」

提督「どうした、溜息なんかついて」

赤城「夏の、MI作戦ありましたよね」

提督「あぁ。まぁいろいろゴタゴタあったが何はともあれ勝利した」

赤城「あの時は昔の無念を晴らしたと思ったんですが……案外気分晴れないものですね」

提督「まぁそんなもんだ。大体無念が晴れたからって連中が消えてなくなるわけでもなし」

赤城「そうですね……」

提督「あいつらは戦時の怨念が具現化したものらしいし。戦地巡って一つ一つ鎮めていく他ない。そのためにも、これからもよろしく頼むぞ」

赤城「はい、お任せください!」


赤城「……ところで提督」

提督「ん?」

赤城「ここしばらく私の出撃機会が全くないようなのですが」

提督「ま、まぁ後進の育成もしなきゃならないからな……」

55: 2015/04/12(日) 22:35:24.70 ID:gmDiUqi/o
――― マストアイテムな槍はどこへ消えた? ―――

叢雲「いいわね、こういうのを待っていたのよ。やれば出来るじゃない!」

提督「コレで叢雲も改二か……って持ってた槍はどうしたんだよ」

叢雲「ふふん、内緒」

提督「まぁいいや。輸送船団の護衛に行くぞ」

叢雲「アンタ、改二になった私に遠征行かせようってわけ?」

提督「最近、佐世保の方でヲ級や潜水艦が湧いてくるから精鋭を送って護衛してもらいたいんだと。他には雪風、五十鈴、初霜、吹雪、鈴谷が出撃予定だ」

叢雲「へぇ、だいぶ本気じゃない。改装された叢雲の力、存分に発揮してあげるわ!」


佐世保近海、復路

叢雲「落ちろっ!!」

吹雪「当たって!!」

五十鈴「一機残らず、落ちたわね」

鈴谷「こっちは駆逐三隻沈めたよ」

雪風「しれぇ、先に進みますか?」

提督『まぁ弾薬も余ってるしちょっかい掛けたこと後悔させてやれ。鈴谷は瑞雲をこっちの直掩に回してバックアップを』

雪風「了解です。砲雷撃戦、続行します!」


雪風「雪風はツ級をやります! 他の方はヲ級をお願いします!」

叢雲「追い詰めるわ。逃がしはしない!」

逃げるヲ級を先回りする叢雲。そのまま真正面から突進する。

叢雲「私の前を遮る愚か者め、沈めぇ!!」

突進しながら槍を具現化する。突進の勢いのままに、穂先がヲ級の腹を貫通する!!


叢雲「はい、ヲ級鹵獲したわ」

ぷかぷか丸に戻り、ヲ級を穂先から蹴り抜く。

提督「……あぁそうか、隠してたのか」

叢雲「別に砲雷撃戦では使わないしね。夜戦距離で戦うならアリだけど。じゃ、護衛に戻るからアンタもしっかりやりなさいよ」

提督「お前もな」

59: 2015/04/14(火) 22:45:09.19 ID:tMHYtTPdo
――― 改修したら装備も良くなる ―――

長月「酸素魚雷の力、思い知れ!」

至近からの砲雷撃。軽巡ホ級は爆炎をあげ、海の底へ沈んでいく。残った駆逐たちは我先にと遁走する。

長月「作戦完了だ」

提督「うーむ……」

長月「どうした、司令官?」

提督「いや、酸素魚雷なんて積んでたっけか?」

長月「近代化改修したからな」

提督「それで酸素魚雷になるモンなのか?」

長月「なるさ」

提督「だとすると装備のほうの魚雷はどうなるんだ。いや普通の魚雷装備は改修用除いて破棄してるけど」

長月「基本的に発射管にカード差し込んで強化する感じだからな。連装数増やすと重たくなって辛い。五連装のを普通につけてる島風や雷巡たちは凄いと思う」

提督「そういうもんなのか……」

63: 2015/04/16(木) 22:28:52.80 ID:Q88KLQcro
――― 覚悟はいいけど ―――

提督「これで朝霜も改か……磯風もだけど駆逐艦にしては改に必要な練度高すぎでしょ」

朝霜「細かいことは気にすんなって!」

提督「鉢巻に……左足だけストッキング黒いな」

朝霜「磯風や初霜と違って、夕雲型は靴下じゃないからねぇ。代わりに特注のストッキングってわけ」

提督「そういや磯風や初霜も左靴下長いな……」

朝霜「そそ。大和さんのリスペクトってやつさ」

提督「しかし、初霜みると坊ノ岬後っぽいし、改の時点で坊ノ岬意識するとなると朝霜や磯風の改二はどうなってしまうんだろうな……」

朝霜「……まぁその時はその時さ!」

70: 2015/04/20(月) 22:27:27.41 ID:nheVtTxIo
――― 的がなければ夜戦は出来ぬ ―――

川内「夜戦したい! 夜戦しよう! 夜戦! やーせーんー!」

提督「お前それしかないんかい!」

川内「沖ノ島沖北ルートでもサブ島でもいいから早くー!!」

提督「どっちも行く用事ねぇよ! ……そういや今月のALはまだだったな」

川内「夜戦するの!?」

提督「少なくとも敵旗艦落とさなきゃならないからな。夜戦はまず必要になるだろう」

川内「やったー!!」


~~~~~~


北方AL海域。毎月、最奥にいるツ級を4回沈めることにより上から勲章などがもらえる画期的システムが採用されている。


利根「その艦もらったぁ!!」


利根の三号砲がタ級の臓腑を貫く。主力を一撃で沈められうろたえる敵艦隊に川内型の三姉妹が吶喊する。


川内「突撃よ!!」

神通「油断しましたね」

那珂「いつもありがとー!!」


ツ級と護衛の駆逐が次々とやられていく。残ったワ級も必氏に砲弾を放つが所詮は蟷螂の斧。


島風「五連装酸素魚雷、いっちゃってー!」

雪風「艦隊をお守りします!」


多勢に無勢、なす術もなく沈んでいく。


川内「さぁ、私と夜戦しよ!!」

神通「姉さん、もう敵はいませんよ」

川内「えっ、でも提督は夜戦するって」

神通「この前も提督に言われたでしょう、敵がいなければ夜戦は出来ないって」

川内「えー」


提督「夜戦したがるくせに昼のうちから本気出しちまったら意味ないなぁ……」

76: 2015/04/21(火) 21:31:06.19 ID:A6gkiymyo
――― いったいあのうさぎ何なんだろうな ―――

提督「そういや漣よ」

漣「何でしょう、ご主人様?」

提督「そのうさぎ……まぁうさぎとしとこう。そいつは何だ?」

提督が指差すは漣の砲に乗っかっている、妖精と同じぐらいの大きさの謎生物。実物のうさぎよりは明らかに小さい。

漣「可愛いでしょう?」

提督「可愛いかどうかじゃなくて何者かを訊いてるんだよ」

漣「といわれても、この『漣』が建造されたときからいっしょにいるし……」

提督「そうだな」

漣「それに漣の艤装の損傷度合いに比例するように弱っていくんですよね」

提督「なにそれこわい」

漣「いつだったか大破したときなんか白目剥いて泡吹いてそりゃもうそのまま氏ぬんじゃないかと。艤装に修復材ぶっ掛けたらすぐ治りましたけど」

提督「いったいなんなんだよ……」

漣「漣の艤装の一部なんじゃないですかね。ほら連装砲ちゃんとかと似たようなの」

提督「でも明らかに有機的だよなぁ」

漣「それ言ったらみんなの肉体部分全部そうですし。『こまけぇこたぁいいんだよ!』ってやつですよ、ご主人様」

提督「うーむ……」

82: 2015/04/22(水) 22:50:14.09 ID:kX/AvjHWo
――― 信じたものが現実になる世界 ―――

飛龍がまだ改の頃。

飛龍「友永隊、頼んだわよ!」

提督「友永隊ってなんだよ」

飛龍「提督ってば無粋ですね。私がまだ普通の空母だった頃活躍した艦攻隊ですよ」

提督「名づけてなんか変わるのか?」

飛龍「こういうのは気分の問題ですよ。そう名づけてればやってくれそうじゃないですか」

提督「そういうもんかね」

飛龍「そういうもんです」


時は下って改二&友永艦攻実装

飛龍「これで友永隊、天山一二型に機種転換完了! これでもういつもの流星改に名前付けただけとか言わせませんよ!」

提督「……そういえば装備扱いだから他の艦娘も使えるんだよな」

飛龍「まぁ、配置換えとかはよくありますけど、なるべく私が使いたいかなーって」

提督「状況次第だな」

87: 2015/04/23(木) 22:40:27.91 ID:ixlfCJ8So
――― 信じたものが現実になるといっても限界はある ―――

清霜「しれーかーん、戦艦にしてよー」

提督「無茶言うな。お前は駆逐艦だろう」

清霜「でも艦種変更とかあるじゃん。龍鳳とかさー。ねぇ、ねぇねぇ」

提督「あぁ、もう。ちょっと工廠行くぞ」

清霜「戦艦にしてくれるの!?」


鎮守府、工廠

清霜「ねぇねぇどうやんのどうやんの!?」

提督「おらよっと」

提督が下ろすは試製51cm連装砲。とにかくでかい。

提督「これ装備できたら証明するまでもなく戦艦だから装備しろ」

清霜「よーし」

なんら疑問を抱くことなく51cm砲をカード化し、自分の連装砲のスロットに挿す。だが。

清霜「あれぇ?」

ブザー音とともに排出されるカード。駆逐艦が装備できるわけはないのだ。何度か試すが当然結果は一緒。

提督「じゃ、戦艦になれるよう頑張れ」

手を振り振り工廠から立ち去る提督。

清霜「うー……」

清霜はふと、姉から聞いた提督の武勇伝を思い出した。攫われた雪風を助けるため、人間の身でありながら51cm砲を腕に取り付け、深海棲艦と渡り合ったという話。

清霜「そっか、スロットに挿さらないなら物理的に持てばいいよね!」

カードを振るい、51cm砲を現出させる。それを両手で抱えて持ち上げようとする。

清霜「うーん……しょ、お、おも、おっと、っとととと」

あまりの重さにバランスを崩す。両腕に相当な重量を抱えた状態で転べばどうなるか、言うまでもない。


この後、たまたま通りがかった夕雲が51cm砲に押しつぶされていた清霜を発見し、何とか救助した。
ついでに提督は夕雲に叱られた。

91: 2015/04/24(金) 22:33:51.12 ID:kTIMRDL/o
――― ダメコン大事 ―――

村雨「本当に困るんですけどぉー……うわぁん……」

艦娘はダメージが一定量を超えると服や艤装がボロボロになり、能力が低下する。

だが大破してもその戦闘で沈む事はない。艦娘自身にダメコン能力があるためだ。だが、次の戦闘に入るまでにはその力も切れる。

故に大破が出たら応急修理要員をつけてない限りは撤退が原則である。

提督「むぅ、帰投だ、帰投」

~~~~~~

村雨「はふ、ごめんなさ~い……」

提督「まぁ大破するのはしょうがないとして……靴どうした?」

村雨「やられたときに無くなっちゃいました~……」

提督「よく戻ってこれたな。海面に立つのに重要そうなのに」

村雨「無くても浮いてられますよ」

提督「そうなのか?」

村雨「艤装に入れた燃料から推進力や浮力を作ってますからね」

そう言って黒煙を噴いてる背中の艤装をコン、と叩く。

提督「ぶっ壊れたらやばいんじゃないの?」

村雨「艤装も結局は体の一部ですから。いざとなればこの身一つでも立てますよ」

提督「マジで」

村雨「長くは続かないから緊急時だけですけどね。それじゃ、入渠してきま~す」

提督「あ、あぁ。引き止めて悪かったな」

村雨「いえいえ~」

95: 2015/04/27(月) 22:20:25.83 ID:D1sWoUfJo
――― 前後から抱き付かれたい人生だった ―――

雪風「しれぇ、作戦終了しました!」

とてとて走って雪風が提督に飛びつく。

提督「よしよし、よくやったな」

それに応えるように抱き寄せて頭を撫でる。だがその背後に忍び寄る影あり。

時津風「むー、雪風ばっかずるーい。時津風もー」

そう言って提督の背中にぴょん、と飛び乗る。ちょうどおんぶの形になる格好だ。

提督「へもげっ」

雪風「あっ、じゃあ雪風も!」

そう言って前から飛びつく。それはまさにだいしゅきホールドの形。

提督「あばばばばばば」

奇声をあげながらよろめき歩く提督。

初風「……提督、何してんの?」

雪風「しれぇ」

時津風「しれー」

提督「見りゃわかんだろあばばっばばば」

初風「新手の筋トレ?」

提督「ちげーよ」


結局自室に戻るまで離してもらえなかったそうな。

96: 2015/04/27(月) 22:36:36.47 ID:D1sWoUfJo
鎮守府、執務室。資料片手に唸る提督。

「うーん、まるゆが出ない。余剰資源の使い道があるのはいいが……せめて三隈欲しいよなぁ」

「そんなあなたに朗報です!」

バン、と床下から出てくる猫吊るし。ちなみに執務室は二階である。

「なんだ、またどっか襲われたか。横須賀か?」

「いや、そこらへん襲われたらもう喉元同然じゃないですか」

「佐世保の近くにフラヲが来てることは無視か」

「おかしいと思ったんですよね。あの近くにマスターとなる泊地ないのにあんな艦がうろついてるなんて」

「結論から言え」

「というわけで準備が整い次第、第十一号作戦を発令します」

97: 2015/04/27(月) 22:38:02.70 ID:D1sWoUfJo


2015 Spring Event:Eleventh Operation of Western Sea


「なんだよそれ」

「結論から言えといったのはあなたじゃないですか」

「モノには順序があるんだよ。大体の概要話してから細部を説明するってやつだ」

「いちからか? いちからせつめいしないとダメか?」

「煽りはいいからさっさと話せ」

「はいはい」

猫吊るしが指を鳴らすとホワイトスクリーンが下がり、プロジェクターが西方海域の地図を映し出す。

「第十一号作戦はもともとミッドウェー前に行なわれる予定だった作戦でした」

「それをやろうってのか」

「えぇ、やらざるを得ません。我々が太平洋方面にコマを進めてる間に、着々と戦力を溜めてたようで、西側の深海棲艦の動きが活発になってきてます」

カレー洋、リランカ島を中心に深海棲艦の活動を示す赤い靄が地図上にかかる。

「また叩き潰せばいいだけだろ」

「えぇ、その通りです。今回、カレーとリランカに連合艦隊を出せるよう、セットアップします」

「毎度思うんだがどこでも連合艦隊出せるようにしろよ」

提督の疑問に、猫吊るしは肩をすくめて首を振る。

「霊的干渉の広域制御は難しいんですよ? まぁまずこいつらを打ち破ります」

「それで終わりじゃない、と言いたげだな」

「そこから更に、海上打通作戦を行い、ヨーロッパへのアクセスを確かなものとします」

「飛行機じゃいかんのか」

「コストが高いんですよ。その点、船なら大量に輸送できて比較的安価ですし。タンカーが今現在も使われてるのはそういうことですよ」

「うーむ」

「じゃ、準備できたらまたお知らせしますんで」

言うだけ言うと猫吊るしは床下に飛び込んで退場していった。残されるは提督のみ。

「あ、あぁ……」

98: 2015/04/27(月) 22:43:27.64 ID:D1sWoUfJo
つまりノープランイベントSSが始まり、いつもの平常業務であるところの小ネタの更新はいったん止まる公算が大きい。というわけでご了承願います

次回:泣き虫雪風と釣り人提督【その23】

引用: 【艦これ】泣き虫雪風と釣り人提督 Part3