400: 2015/07/31(金) 22:59:11.25 ID:ZJqMtNYno
前回:泣き虫雪風と釣り人提督【その25】
最初から:泣き虫雪風と釣り人提督
――― 浮き輪 ―――
イムヤ「私、今は浮き輪に乗ってるけど、ホントは潜るとすごいのよ!」
提督「しかしその浮き輪持って潜れるのか?」
イムヤ「もちろん!」
提督「じゃあちょっと埠頭まで行こうか」
~~~~~~
イムヤ「司令官、今から潜るからよく見ててね」
そう言ってイムヤは海に飛び込んだ。もちろんあの浮き輪を持った状態でだ。
提督「そうだよなぁ、普通は沈むよなぁ。普通の艦娘は海面に立つけど普通は沈むよなぁ」
一分、二分……未だ浮かび上がる様子がない。
提督「……まさか溺れてたりしないだろうな……っと」
イムヤ「ぷはーっ! 司令官、見てた?」
提督「そもそもこっからじゃ海中の様子見えないし何で浮き輪ごと沈めるかの問いに答えられてないぞ」
イムヤ「それは簡単よ。この浮き輪、バラストタンク代わりになってるの!」
提督「なるほど……」
404: 2015/08/03(月) 22:37:16.14 ID:4C8gVODwo
――― 自己参照による無限循環 ―――
鎮守府、工廠。提督が執務室にも食堂にいなければ大体ここにいる。
敷波「司令官、近海の実戦訓練終わったよー」
提督「お疲れさん。ついでに今しがた建造が終わった艦娘でも見てみるか?」
敷波「きっと可愛い子でしょうね……ふんっ」
建造妖精「あーい、デイリーぶんいっちょあがりー」
提督「……ほう。敷波の言う通りだったな」
敷波「誰だったの? いやそんなに興味あるわけじゃないけど」
提督「ほれ見てみろ」
現れたのは綾波型の二番艦。つまるところ敷波である。
言葉につまる敷波。ニヤニヤしながら言葉を続ける提督。
提督「いやぁ、案外自己評価高いじゃないか敷波」
敷波「うぅ、司令官の意地悪……」
提督「『きっとあたしより可愛い子』だなんて自己参照で無限に可愛くなってしまうな?」
敷波「いや『あたしより』とはいってない」
提督「バレたか」
鎮守府、工廠。提督が執務室にも食堂にいなければ大体ここにいる。
敷波「司令官、近海の実戦訓練終わったよー」
提督「お疲れさん。ついでに今しがた建造が終わった艦娘でも見てみるか?」
敷波「きっと可愛い子でしょうね……ふんっ」
建造妖精「あーい、デイリーぶんいっちょあがりー」
提督「……ほう。敷波の言う通りだったな」
敷波「誰だったの? いやそんなに興味あるわけじゃないけど」
提督「ほれ見てみろ」
現れたのは綾波型の二番艦。つまるところ敷波である。
言葉につまる敷波。ニヤニヤしながら言葉を続ける提督。
提督「いやぁ、案外自己評価高いじゃないか敷波」
敷波「うぅ、司令官の意地悪……」
提督「『きっとあたしより可愛い子』だなんて自己参照で無限に可愛くなってしまうな?」
敷波「いや『あたしより』とはいってない」
提督「バレたか」
409: 2015/08/04(火) 22:33:31.23 ID:9bW/gZNyo
――― 静かな夜 ―――
野分「フタマルマルマル。司令、食事の後は運動した方がいいですよ、運動」
提督「そうかもな」
野分「野分もちょっと運動してきます」
提督「いってらー」
~~~~~~
野分「フタフタマルマル。司令、静かな夜ですね。ずっとこんな夜だといいですね」
提督「そうだな……ん?」
ふと考える。静かな夜であることの意味を。
「もう……やっぱり今日もあの子が騒いでいるのね!」
「そろそろ夜戦の時間か…。騒がしくなるね」
「あーもう5500トン級が一隻うるさいですね」
「チッ、まーた軽巡が一隻騒いでるわね……」
「おっ、何か水雷戦隊のほうが夜なのにうるさいかも」
提督「……どんな運動したんだ?」
野分「夜戦演習です」
提督「そうか」
提督(……まさかな)
野分「フタマルマルマル。司令、食事の後は運動した方がいいですよ、運動」
提督「そうかもな」
野分「野分もちょっと運動してきます」
提督「いってらー」
~~~~~~
野分「フタフタマルマル。司令、静かな夜ですね。ずっとこんな夜だといいですね」
提督「そうだな……ん?」
ふと考える。静かな夜であることの意味を。
「もう……やっぱり今日もあの子が騒いでいるのね!」
「そろそろ夜戦の時間か…。騒がしくなるね」
「あーもう5500トン級が一隻うるさいですね」
「チッ、まーた軽巡が一隻騒いでるわね……」
「おっ、何か水雷戦隊のほうが夜なのにうるさいかも」
提督「……どんな運動したんだ?」
野分「夜戦演習です」
提督「そうか」
提督(……まさかな)
413: 2015/08/06(木) 22:42:48.47 ID:RCrw/1Hwo
――― あんま甘えないタイプ ―――
夕雲「提督、甘えてくれても、いいんですよ?」
提督「といわれてもなぁ。鎮守府の運営は安定期入ってて苦労するでもなし、それに……」
夕雲「それに?」
雪風「しれぇのこととっちゃいやです!」
素早く提督の肩に乗って所有権を主張する雪風。素早い。
提督「雪風が既にいるからな」
夕雲「あらあら。疲れたときはいつでも言ってくださいね?」
提督「あぁ、そうだな」
雪風「むー」
その言葉に雪風はぎゅーっと頭にしがみつく。
提督「あだだだだ緊箍児かよオイ」
夕雲「仲のよろしいことで」
夕雲「提督、甘えてくれても、いいんですよ?」
提督「といわれてもなぁ。鎮守府の運営は安定期入ってて苦労するでもなし、それに……」
夕雲「それに?」
雪風「しれぇのこととっちゃいやです!」
素早く提督の肩に乗って所有権を主張する雪風。素早い。
提督「雪風が既にいるからな」
夕雲「あらあら。疲れたときはいつでも言ってくださいね?」
提督「あぁ、そうだな」
雪風「むー」
その言葉に雪風はぎゅーっと頭にしがみつく。
提督「あだだだだ緊箍児かよオイ」
夕雲「仲のよろしいことで」
419: 2015/08/07(金) 22:37:43.46 ID:W1BBMKcRo
――― 遠征メンツは非情 ―――
遠征のメンバーを決めるのも基本的に提督の仕事である。
提督「第二艦隊に北上入れて、第三艦隊にも北上入れて、第四艦隊にも北上をいれて、と」
同一艦隊でなければ同じ艦娘を入れられるのでこのような運用も可能である。
大井「!? 提督も北上さんのよさに気づいたというの!?」
提督「いや、軽巡の練度全員だいぶ上がったしダダ余りさせるのももったいないから開いた軽巡枠に突っ込んで改二練度待ちだ」
大井「私も随伴させてよ、ねぇ!!」
提督「東京急行と水上機前線輸送と北方航路に無理にねじ込んでるから無理。雷巡を入れる余裕はない」
大井「軽巡の『私』もいるでしょ?」
提督「今度はレベルが足りねぇだろ」
大井「チッ、これだから頭の固いヤツは……」
提督「今日の演習、育成枠として大井と北上を出す予定だったが大井だけにするか」
大井「あっ、何でもありませぇん。うふふ」
提督「と思ったがやっぱり二人とも出すか」
大井「北上さんをダシにするなんて提督汚い……(北上さんと一緒なら無敵です。提督、見ててくださいね)」
提督「本音と建前が逆転してるぞ」
大井「気のせいですよ、提督」
遠征のメンバーを決めるのも基本的に提督の仕事である。
提督「第二艦隊に北上入れて、第三艦隊にも北上入れて、第四艦隊にも北上をいれて、と」
同一艦隊でなければ同じ艦娘を入れられるのでこのような運用も可能である。
大井「!? 提督も北上さんのよさに気づいたというの!?」
提督「いや、軽巡の練度全員だいぶ上がったしダダ余りさせるのももったいないから開いた軽巡枠に突っ込んで改二練度待ちだ」
大井「私も随伴させてよ、ねぇ!!」
提督「東京急行と水上機前線輸送と北方航路に無理にねじ込んでるから無理。雷巡を入れる余裕はない」
大井「軽巡の『私』もいるでしょ?」
提督「今度はレベルが足りねぇだろ」
大井「チッ、これだから頭の固いヤツは……」
提督「今日の演習、育成枠として大井と北上を出す予定だったが大井だけにするか」
大井「あっ、何でもありませぇん。うふふ」
提督「と思ったがやっぱり二人とも出すか」
大井「北上さんをダシにするなんて提督汚い……(北上さんと一緒なら無敵です。提督、見ててくださいね)」
提督「本音と建前が逆転してるぞ」
大井「気のせいですよ、提督」
423: 2015/08/10(月) 19:46:54.25 ID:6BeC0AiMo
~~反撃! 第二次SN作戦 プロローグ~~
鎮守府、執務室。南方で大規模な作戦が行われるということで艦娘たちは準備ではおおわらわ。
雪風に指揮を一任して提督は情報の分析にあたる。
「飛行場ねぇ。あんのクッソうざったい(検閲)のことを思い出すなぁ。水鬼にでもなったか?」
資料をペラペラ捲っていると窓から白い戦闘機が一機、執務室に入ってきた。もちろん原寸大ではない。そうだったら提督は既にお陀仏だろう。
「零戦……?」
「てーとくさん、つくえのしょるいとか、どけてもらえます? ちゃくりくしたいので」
プロペラ音に混じって聞こえる妖精の声。
「嫌だと言ったら?」
「ふじちゃくします」
書類が飛んだり墜落の余波で発火したりしたら困るのでとりあえずどける。
程なくして着陸する零戦。手馴れたものである。載っているのは長髪を後ろで束ね、鉢巻を巻いた茶服の妖精。零戦21型の熟練妖精である。
「ほーしょーさんにくらべれば、このていどいーじーわーくすですな」
「訓練なら他所でやってくれ。俺は忙しいんだ」
「おじかんはとらせません。だいほんえいからしりょうをもってきました」
その言葉に怪訝な目を向ける提督。
「普通、艦娘か猫吊るしが持ってくるもんだろそういうのは」
「みなさんいそがしいのでかわりに」
言いながら妖精は筒状に丸めた紙を機体から取り出す。機体の大きさと紙の体積がどう見ても合致しないが細かいことを考えるのは後にする。
そこにはデフォルメされた艦娘の顔がいくつかあった。
「だいほんえいのこえのようせいさんからとどいたしりょうです」
声の妖精。艦娘は艦の魂、それを入れる体、そして意志を伝える声があって完成するという。
「いや、どうでもいいだろそんなの」
「ぜんぶみましたか?」
そう言われて見直す。それぞれのイラストの横にはきぬ、あぶくま、しょうかく、ずいかく、はやすいと書かれて……
「んん? はやすい……?」
「あらたなかんむす、きますよ」
急いで海軍資料を漁る。速吸。流星を射出できるカタパルトを搭載した給油艦。それを使うことはなかったらしいが。
「あと、かんさいきようせいにもこのたびじゅくれんどせいどがつくことになりました。チョーシアゲアゲでつよくなるっぽいです」
「よくわからんがまぁなんか強くなるってことか?」
「そんなかんじで。じゃ、つたえることはつたえたのでかえります」
言うだけ言って飛び去る零戦と妖精。
「……さて、今年の夏はどうなることやら」
このときはまだ、地獄が待ち受けているとは思いもよらなかったのであった……。
427: 2015/08/13(木) 23:24:38.94 ID:ZUDRDwPno
ショートランド近海、ぷかぷか丸甲板上。
「またここに来ることになるとはな……」
「半年振りくらいですかね」
提督が感慨にふけっている横で何かをしている猫吊るし。
「何やってんだ」
「おにぎり握ってるんですよ。戦闘糧食」
「すぐ食うわけでもあるまいし腐ったりかびたりしないのか?」
「新たに出来た妖精さんの力で腐らず安心」
「相変わらずわけのわからんヤツラだよ」
遠くから砲撃音。しばらくして艦隊からの通信が入る。
『ふぇぇ……こちら名取です。初霜ちゃん大破、叢雲ちゃん中破しました……』
「相手はフラ戦だっけか? しゃーない。帰投せよ」
「またここに来ることになるとはな……」
「半年振りくらいですかね」
提督が感慨にふけっている横で何かをしている猫吊るし。
「何やってんだ」
「おにぎり握ってるんですよ。戦闘糧食」
「すぐ食うわけでもあるまいし腐ったりかびたりしないのか?」
「新たに出来た妖精さんの力で腐らず安心」
「相変わらずわけのわからんヤツラだよ」
遠くから砲撃音。しばらくして艦隊からの通信が入る。
『ふぇぇ……こちら名取です。初霜ちゃん大破、叢雲ちゃん中破しました……』
「相手はフラ戦だっけか? しゃーない。帰投せよ」
428: 2015/08/13(木) 23:26:11.44 ID:ZUDRDwPno
~~反撃! 第二次SN作戦 エピソード1 発動準備、第二次SN作戦!~~
鎮守府、執務室。提督は書類とにらめっこしている。
「うーむ、水雷戦隊でフラ戦に挑むのはかなり無謀だぞ……ん?」
ふと、書類の一文に気づく。
「水雷戦隊を含む……?」
艦娘における水雷戦隊の最小単位は軽巡1、駆逐2である。
「じゃあ、別に重巡とか空母とか戦艦とか使ってもいいのか……?」
そのことに気づくと同時にノック音。入室を促すと雪風が書類を持って飛び込んできた。
「しれぇ! 新しい情報がはいりました!!」
「よっしゃ。……何? 菊月がいれば最短ルートを通れる……?」
「でも菊月ちゃん遠征に出てたような」
「いや、そろそろ戻ってくる頃だ」
メモ紙に艦名を書き連ね、雪風に渡す。
「雪風、彼女たちを工廠に連れてきてくれ。出撃準備だ。俺は菊月のほうに向かう」
「日向さん、衣笠さん、古鷹さんですね」
「よし行くぞ!」
429: 2015/08/13(木) 23:27:34.60 ID:ZUDRDwPno
遠征から戻ってくる睦月型の面々。
「睦月型は消費が少ないとはいえ、遠征ばかりでは物足りないな」
「あぁ。本格的に出撃して敵の首魁を討ち果たしたいものだ」
長月と菊月が雑談に興じている。そこに卯月が割り込んでくる。
「司令官にも睦月型の本当の力見せてあげたいぴょん!」
「こういう地道な物資輸送も大事です。資源あってこそ艦隊が動けるのですから」
「みーちゃんは夢がないぴょん。ぷっぷくぷぅ~」
「皆、鎮守府につくわよ……あら?」
「どうした、如月姉?」
「司令官が待ってるわ」
提督は大規模作戦のためにショートランド方面に行っているはず。戻るのはポータルですぐにしても待っているのは解せない。急いで港に戻る。
「如月以下五名、東京急行任務から帰投いたしました」
「うむ、お疲れ。書類は後でまとめるとして菊月」
「何か?」
「今回の第一作戦に参加だ」
「!?」
驚きを隠せないといった表情をする菊月。
「如月、菊月が抜けた分の穴埋めは天津風で。なに、第一作戦が終わるまでだ」
「了解です、司令官」
菊月の方を見ると、震えていた。
「ほ、本当にこの菊月が……」
「あぁ、ドラム缶下ろして連装砲とってこい。面子が揃い次第、出撃だ」
「睦月型は消費が少ないとはいえ、遠征ばかりでは物足りないな」
「あぁ。本格的に出撃して敵の首魁を討ち果たしたいものだ」
長月と菊月が雑談に興じている。そこに卯月が割り込んでくる。
「司令官にも睦月型の本当の力見せてあげたいぴょん!」
「こういう地道な物資輸送も大事です。資源あってこそ艦隊が動けるのですから」
「みーちゃんは夢がないぴょん。ぷっぷくぷぅ~」
「皆、鎮守府につくわよ……あら?」
「どうした、如月姉?」
「司令官が待ってるわ」
提督は大規模作戦のためにショートランド方面に行っているはず。戻るのはポータルですぐにしても待っているのは解せない。急いで港に戻る。
「如月以下五名、東京急行任務から帰投いたしました」
「うむ、お疲れ。書類は後でまとめるとして菊月」
「何か?」
「今回の第一作戦に参加だ」
「!?」
驚きを隠せないといった表情をする菊月。
「如月、菊月が抜けた分の穴埋めは天津風で。なに、第一作戦が終わるまでだ」
「了解です、司令官」
菊月の方を見ると、震えていた。
「ほ、本当にこの菊月が……」
「あぁ、ドラム缶下ろして連装砲とってこい。面子が揃い次第、出撃だ」
430: 2015/08/13(木) 23:28:43.03 ID:ZUDRDwPno
再びショートランド近海。
「……見えた、こっちだ」
菊月の先導によって敵警戒艦隊の旗艦まで最短距離で到達した。
「あれは……駆逐棲姫か。随伴艦も駆逐だ」
瑞雲からの報告を受ける日向。
駆逐棲姫。渾作戦やK作戦では水雷戦隊で挑まざるを得ず、苦戦を強いられた相手。だが……。
「衣笠さんにお任せ!」
「主砲狙って、そう…。撃てぇー!」
「あたってくださーい!」
巡洋艦や戦艦をふんだんに入れた艦隊の前ではもはや駆逐棲姫など相手にならないのであった。
「グ……バカな……」
大破した駆逐棲姫に一歩一歩近づく。
「悪いが、ここの海域はよく知っている。ここに陣取った時点でお前の負けだ」
至近で放たれた菊月の砲撃は駆逐棲姫への介錯となった……。
「……見えた、こっちだ」
菊月の先導によって敵警戒艦隊の旗艦まで最短距離で到達した。
「あれは……駆逐棲姫か。随伴艦も駆逐だ」
瑞雲からの報告を受ける日向。
駆逐棲姫。渾作戦やK作戦では水雷戦隊で挑まざるを得ず、苦戦を強いられた相手。だが……。
「衣笠さんにお任せ!」
「主砲狙って、そう…。撃てぇー!」
「あたってくださーい!」
巡洋艦や戦艦をふんだんに入れた艦隊の前ではもはや駆逐棲姫など相手にならないのであった。
「グ……バカな……」
大破した駆逐棲姫に一歩一歩近づく。
「悪いが、ここの海域はよく知っている。ここに陣取った時点でお前の負けだ」
至近で放たれた菊月の砲撃は駆逐棲姫への介錯となった……。
431: 2015/08/13(木) 23:30:08.97 ID:ZUDRDwPno
鎮守府、執務室。
「さて、ここから本格的に進行するわけだが猫吊るしよ」
「何でしょう?」
「敵の情報はあるのか?」
「ここに」
どこからともなく渡された資料をとりあげ、読む。
「ふむ、水母棲姫に……新艦載機に……防空棲姫?」
麦茶を口に含みスペックにも目を通し……
「ブー!?」
提督の口から勢いよく噴出される麦茶。猫吊るしは間一髪回避。
「汚いですねぇ」
「いやそういう問題じゃないだろこれ」
口を拭いながら防空棲姫の装甲スペックを指し示す。
「この値マジかよ!? 弱化できるよな!?」
「二割程度なら」
「全然足りねぇよ!? こんなの倒せるのか?」
問われて猫吊るしは珍しく眉をひそめ肩をすくめる。
「数名、ってとこですね。なんか仕掛けがあるのでしょう」
「欲しいのはその情報だよ!」
「ま、ゆっくりお待ちください」
「ほんとどうしよこれ……」
提督の弱音に猫吊るしが指差す。
「そうそう、そういう弱音は艦娘たちの前では見せてはいけませんよ。不安がりますから」
「……あぁ、わかってるよ。そっちも解析急いでくれ」
「はいはい」
そう言って猫吊るしは床下に消えた。
「……本当に、勝てるのか……?」
「さて、ここから本格的に進行するわけだが猫吊るしよ」
「何でしょう?」
「敵の情報はあるのか?」
「ここに」
どこからともなく渡された資料をとりあげ、読む。
「ふむ、水母棲姫に……新艦載機に……防空棲姫?」
麦茶を口に含みスペックにも目を通し……
「ブー!?」
提督の口から勢いよく噴出される麦茶。猫吊るしは間一髪回避。
「汚いですねぇ」
「いやそういう問題じゃないだろこれ」
口を拭いながら防空棲姫の装甲スペックを指し示す。
「この値マジかよ!? 弱化できるよな!?」
「二割程度なら」
「全然足りねぇよ!? こんなの倒せるのか?」
問われて猫吊るしは珍しく眉をひそめ肩をすくめる。
「数名、ってとこですね。なんか仕掛けがあるのでしょう」
「欲しいのはその情報だよ!」
「ま、ゆっくりお待ちください」
「ほんとどうしよこれ……」
提督の弱音に猫吊るしが指差す。
「そうそう、そういう弱音は艦娘たちの前では見せてはいけませんよ。不安がりますから」
「……あぁ、わかってるよ。そっちも解析急いでくれ」
「はいはい」
そう言って猫吊るしは床下に消えた。
「……本当に、勝てるのか……?」
434: 2015/08/17(月) 22:06:23.98 ID:KZYODCAFo
――― 烈風拳 VS 流星拳 ―――
鎮守府、屋外訓練場。
直接戦場に出ることはなくとも、練度の維持に努めるのも艦娘にとって大事なことである。
陸軍艦娘のあきつ丸も例外ではない。
あきつ丸「ふぅ、今日はこの辺にしておくのであります」
訓練を終え撤収しようとしたところに、訓練場に入ってくる見慣れない艦娘。
あきつ丸「新入りでありますな。補給艦娘で名前は確か……」
速吸「はい、速吸って言います!」
あきつ丸「自分、あきつ丸であります」
速吸「よろしくお願いします!」
あきつ丸「こちらこそよろしくであります」
せっかくなので雑談しながら訓練の様子を見ることにした。
速吸「へぇ~、FS作戦に参加したんですか」
あきつ丸「もちろんであります。敵主力への攻撃を援護するため付近の陸上棲艦に繰り返し攻撃を仕掛けたのであります」
自分の攻撃で痛撃を与えて活躍したことも忘れず語る。
速吸「私も改装間に合えば出られたのかなぁ。でも補給艦ですし」
そうこうしているうちにターゲットが出てくる。ル級を模した戦艦クラスだ。
あきつ丸「戦艦……? 無茶なのでは?」
速吸「これで試してくるように、と提督さんから言われてるので」
そう言いながら速吸は甲板を構える。カタパルトに乗っているのは……。
あきつ丸「流星……?」
速吸「はい、流星改です。……速吸航空隊、発艦!」
あきつ丸(補助艦艇というものは概して戦闘には向かないもの。幾ら装備が良くても……)
思考は爆音によって中断される。気がつくと標的は撃沈判定を出していた。
あきつ丸「な、な……!?」
速吸「……あ、着艦どうしましょう……」
あきつ丸の驚愕をよそに、速吸は航空機を戻す方法に頭を悩ませていた。
鎮守府、屋外訓練場。
直接戦場に出ることはなくとも、練度の維持に努めるのも艦娘にとって大事なことである。
陸軍艦娘のあきつ丸も例外ではない。
あきつ丸「ふぅ、今日はこの辺にしておくのであります」
訓練を終え撤収しようとしたところに、訓練場に入ってくる見慣れない艦娘。
あきつ丸「新入りでありますな。補給艦娘で名前は確か……」
速吸「はい、速吸って言います!」
あきつ丸「自分、あきつ丸であります」
速吸「よろしくお願いします!」
あきつ丸「こちらこそよろしくであります」
せっかくなので雑談しながら訓練の様子を見ることにした。
速吸「へぇ~、FS作戦に参加したんですか」
あきつ丸「もちろんであります。敵主力への攻撃を援護するため付近の陸上棲艦に繰り返し攻撃を仕掛けたのであります」
自分の攻撃で痛撃を与えて活躍したことも忘れず語る。
速吸「私も改装間に合えば出られたのかなぁ。でも補給艦ですし」
そうこうしているうちにターゲットが出てくる。ル級を模した戦艦クラスだ。
あきつ丸「戦艦……? 無茶なのでは?」
速吸「これで試してくるように、と提督さんから言われてるので」
そう言いながら速吸は甲板を構える。カタパルトに乗っているのは……。
あきつ丸「流星……?」
速吸「はい、流星改です。……速吸航空隊、発艦!」
あきつ丸(補助艦艇というものは概して戦闘には向かないもの。幾ら装備が良くても……)
思考は爆音によって中断される。気がつくと標的は撃沈判定を出していた。
あきつ丸「な、な……!?」
速吸「……あ、着艦どうしましょう……」
あきつ丸の驚愕をよそに、速吸は航空機を戻す方法に頭を悩ませていた。
438: 2015/08/18(火) 22:45:06.49 ID:9C5lYUF0o
(ヤバい情報を見てしまった……。だが平常心を保たねば……)
鎮守府、埠頭。次の作戦のため、連合艦隊として出撃する艦娘を招集。
「第一艦隊旗艦伊勢、同随伴日向、最上、三隈、祥鳳、飛鷹。第二艦隊旗艦那智、同随伴足柄、初春、叢雲、木曾、名取」
全員揃っている。装備も問題ない。
「この艦隊を以って、敵の先鋒を撃滅する。各自奮戦し、作戦を遂行せよ!」
応という掛け声をあわせ、ぷかぷか丸に乗り込む。
(俺の動揺ばれてないだろうな……別に噛まなかったし大丈夫なはず)
などと考えながら艦橋へ向かう提督。
「提督、なんか汗凄かったねぇ。話してる間中顔から汗だらっだらだったよ?」」
「暑いんじゃないか?」
「いや、あれほど汗っかきではなかったはずじゃ」
「冷や汗にしてもこんな序盤で緊張するほどじゃあるまいし……」
鎮守府、埠頭。次の作戦のため、連合艦隊として出撃する艦娘を招集。
「第一艦隊旗艦伊勢、同随伴日向、最上、三隈、祥鳳、飛鷹。第二艦隊旗艦那智、同随伴足柄、初春、叢雲、木曾、名取」
全員揃っている。装備も問題ない。
「この艦隊を以って、敵の先鋒を撃滅する。各自奮戦し、作戦を遂行せよ!」
応という掛け声をあわせ、ぷかぷか丸に乗り込む。
(俺の動揺ばれてないだろうな……別に噛まなかったし大丈夫なはず)
などと考えながら艦橋へ向かう提督。
「提督、なんか汗凄かったねぇ。話してる間中顔から汗だらっだらだったよ?」」
「暑いんじゃないか?」
「いや、あれほど汗っかきではなかったはずじゃ」
「冷や汗にしてもこんな序盤で緊張するほどじゃあるまいし……」
439: 2015/08/18(火) 22:45:38.52 ID:9C5lYUF0o
~~反撃! 第二次SN作戦 エピソード2 連合艦隊、ソロモン海へ!~~
ぷかぷか丸、艦橋。基本的に妖精たちによって航行しているので特段来る必要はないのだが冷暖房完備で過ごし易い。
「~~っはぁ~……」
緊張から解き放たれ、提督は大きくため息をついた。
「全く大きいため息ですねぇ」
振り向くとそこには猫吊るし。なんか頭陀袋を背負っている。
「何だその袋は」
「例によって海域突破の報酬ですよ」
袋から取り出したおにぎりやら勲章やらを並べていく。
見たところ勲章とカタパルト――資料にあった、翔鶴型改二に必要と目されるやつだ――と大型の電探以外はさしたることない消耗品のようだ。
「……それの一部を使って敵を弱体化できるんだったな?」
「えぇ、できますよ」
「やろう」
「弱気ですねぇ」
「海域の平穏を取り戻すのに弱気もクソもあるか」
440: 2015/08/18(火) 22:48:06.10 ID:9C5lYUF0o
艦橋から猫吊るしがビームを照射。実際に効果があるかどうかは傍目には判らない。
「だがこれで敵が弱るならやる価値はある」
「高射装置要らないんですか?」
「いらないだろ。既存のも改修済んでないし」
~~~~~~
一方のソロモン海域。
「ぷかぷか丸から謎の光線を確認」
「提督が以前話していた、猫吊るしのヤツのだろう」
伊勢たちにも光線は見えている。
「む、私の瑞雲隊から敵艦隊の弱体化確認の報せが入った」
「僕たちの隊も確認したよ」
偵察機からの報告を受け頷く伊勢。
「よーし、全艦第四戦闘隊形! 突撃します!」
潜水艦を撃退し、敵艦隊を薙ぎ払い、補給部隊を潰してたどり着いた先に……。
「敵艦隊確認、旗艦は軽巡棲鬼ですわ。一隻足りないのが気になりますが……」
「たしかに見当たらないわね。大抵六隻一組で行動するのに」
いぶかしみながらも交戦に入る。軽空母が艦載機を飛ばし、雷巡の木曾が甲標的で先制をしかけるいつものスタイル。だが……。
「よし、随伴を片付けて旗艦を沈め……!?」
何もなかったはずの空間から砲撃音。弾は逃げる間もなく飛鷹に着弾。水面にしたたか打ち付けられる。
「がっ……は……!?」
「大丈夫ですか!?」
祥鳳がカバーに入り、日向が発射されたと思しき地点に撃ち返す。
「あの辺か!?」
着弾。空間がわずかにゆがんだように見える。
「やるな……ククク」
そのシルエットは……。
「戦艦棲姫!? 光学迷彩か!?」
「だがこれで敵が弱るならやる価値はある」
「高射装置要らないんですか?」
「いらないだろ。既存のも改修済んでないし」
~~~~~~
一方のソロモン海域。
「ぷかぷか丸から謎の光線を確認」
「提督が以前話していた、猫吊るしのヤツのだろう」
伊勢たちにも光線は見えている。
「む、私の瑞雲隊から敵艦隊の弱体化確認の報せが入った」
「僕たちの隊も確認したよ」
偵察機からの報告を受け頷く伊勢。
「よーし、全艦第四戦闘隊形! 突撃します!」
潜水艦を撃退し、敵艦隊を薙ぎ払い、補給部隊を潰してたどり着いた先に……。
「敵艦隊確認、旗艦は軽巡棲鬼ですわ。一隻足りないのが気になりますが……」
「たしかに見当たらないわね。大抵六隻一組で行動するのに」
いぶかしみながらも交戦に入る。軽空母が艦載機を飛ばし、雷巡の木曾が甲標的で先制をしかけるいつものスタイル。だが……。
「よし、随伴を片付けて旗艦を沈め……!?」
何もなかったはずの空間から砲撃音。弾は逃げる間もなく飛鷹に着弾。水面にしたたか打ち付けられる。
「がっ……は……!?」
「大丈夫ですか!?」
祥鳳がカバーに入り、日向が発射されたと思しき地点に撃ち返す。
「あの辺か!?」
着弾。空間がわずかにゆがんだように見える。
「やるな……ククク」
そのシルエットは……。
「戦艦棲姫!? 光学迷彩か!?」
441: 2015/08/18(火) 22:50:28.13 ID:9C5lYUF0o
思わぬ伏兵に苦戦を強いられる艦娘たち。相手はろくすっぽ見えず、しかも熾烈な砲撃が飛んでくる。
雷撃を交わし、離脱体制に入る深海棲艦たち。
「まずいな、木曾が大破している。追撃はするがこの状況で壁となる戦艦棲姫を倒せるか……」
「なぁに、大将首さえとれば勝ち! この足柄に任せなさい。那智姉さん、援護よろしくね!」
そう言って敵陣に突撃する足柄。
「全く無茶をする……! 第二艦隊全艦、動けるものは足柄を援護せよ!」
降り注ぐ砲弾を右へ左へと避ける足柄。
敵味方ともに砲火が飛び交い、狙いがつけられない。
戦艦棲姫は見えづらいとはいえ、度重なる砲撃で輪郭が分かる程度には体表が焦げ付いていた。
気づけば戦艦棲姫の前に足柄。主砲は間に合わない。ニヤリと笑みを浮かべる足柄に副砲を向ける。
「これで終わりよ!」
「させるかッ!!」
盛大に水柱が上がる。目の前の敵に副砲が当たった感触がない。そして戦艦棲姫自身も撃たれた様子がない。
ふと見上げると回転跳躍する足柄の姿。その狙いは、撤退する軽巡棲鬼。
「十門の主砲は伊達じゃないわよ!」
上空からの集中砲火。軽巡棲鬼はなす術もなく爆炎を上げて轟沈していく。戦艦棲姫も戦意を失い海中に沈み行く。
着水し、残心を決める足柄。そしてVサインを掲げる。
「だって私、足柄がいるんだもの。当然の結果よね、大勝利ぃ!」
雷撃を交わし、離脱体制に入る深海棲艦たち。
「まずいな、木曾が大破している。追撃はするがこの状況で壁となる戦艦棲姫を倒せるか……」
「なぁに、大将首さえとれば勝ち! この足柄に任せなさい。那智姉さん、援護よろしくね!」
そう言って敵陣に突撃する足柄。
「全く無茶をする……! 第二艦隊全艦、動けるものは足柄を援護せよ!」
降り注ぐ砲弾を右へ左へと避ける足柄。
敵味方ともに砲火が飛び交い、狙いがつけられない。
戦艦棲姫は見えづらいとはいえ、度重なる砲撃で輪郭が分かる程度には体表が焦げ付いていた。
気づけば戦艦棲姫の前に足柄。主砲は間に合わない。ニヤリと笑みを浮かべる足柄に副砲を向ける。
「これで終わりよ!」
「させるかッ!!」
盛大に水柱が上がる。目の前の敵に副砲が当たった感触がない。そして戦艦棲姫自身も撃たれた様子がない。
ふと見上げると回転跳躍する足柄の姿。その狙いは、撤退する軽巡棲鬼。
「十門の主砲は伊達じゃないわよ!」
上空からの集中砲火。軽巡棲鬼はなす術もなく爆炎を上げて轟沈していく。戦艦棲姫も戦意を失い海中に沈み行く。
着水し、残心を決める足柄。そしてVサインを掲げる。
「だって私、足柄がいるんだもの。当然の結果よね、大勝利ぃ!」
444: 2015/08/19(水) 22:39:05.49 ID:+i+4shlto
――― キラーバズソー ―――
卯月「おつかれぴょん! 」
提督「……」
卯月「んぅ? どうしたぴょん?」
提督「いや、"ぴょん"ってなんなんだろうと思ってな……」
卯月「うーちゃんの卯はウサギのウ、ぴょん」
提督「何で鳴き声じゃなくて跳ねる時の擬音なんだよ。……そもそもウサギの鳴き声って……」
~~~~~
????「バニィィィィーッ!!」
~~~~~
提督「……いや違ったこれじゃない」
卯月「何言ってるぴょん?」
卯月「おつかれぴょん! 」
提督「……」
卯月「んぅ? どうしたぴょん?」
提督「いや、"ぴょん"ってなんなんだろうと思ってな……」
卯月「うーちゃんの卯はウサギのウ、ぴょん」
提督「何で鳴き声じゃなくて跳ねる時の擬音なんだよ。……そもそもウサギの鳴き声って……」
~~~~~
????「バニィィィィーッ!!」
~~~~~
提督「……いや違ったこれじゃない」
卯月「何言ってるぴょん?」
448: 2015/08/21(金) 22:34:32.93 ID:m02c4jTVo
鎮守府、食堂。艦娘といえど腹が減っては戦が出来ぬ。また、数多の艦娘が交流する場所であるが故、噂話も絶えない。
「なぁ、北上姉。最近、提督の様子おかしくないか?」
「んー、そうねぇ、まぁ、そうねぇ」
木曾の問いに曖昧に返事をしながら煮物を食べる北上。
「何かを隠そうとして隠しきれてない感じだな。姉さんはなんか心当たりあるか?」
「作戦資料が届いてからだったかなぁ、あんなふうになったの」
「……資料に何かあった?」
考え込む木曾。その間にごはんを食べ終える北上。
「ま、そのときになったらきっと説明してくれるよ。じゃ、あたしは出撃予定があるから行くね」
「おう」
「なぁ、北上姉。最近、提督の様子おかしくないか?」
「んー、そうねぇ、まぁ、そうねぇ」
木曾の問いに曖昧に返事をしながら煮物を食べる北上。
「何かを隠そうとして隠しきれてない感じだな。姉さんはなんか心当たりあるか?」
「作戦資料が届いてからだったかなぁ、あんなふうになったの」
「……資料に何かあった?」
考え込む木曾。その間にごはんを食べ終える北上。
「ま、そのときになったらきっと説明してくれるよ。じゃ、あたしは出撃予定があるから行くね」
「おう」
449: 2015/08/21(金) 22:36:58.56 ID:m02c4jTVo
~~反撃! 第二次SN作戦 エピソード3 激突!第二次南太平洋海戦~~
ぷかぷか丸甲板上。今回の作戦のブリーフィングを行っている。
「今回確認された新たな深海棲艦。上はコイツを水母棲姫と名づけた」
提督がホワイトボードに異形の深海棲艦の写真を張る。
「航空攻撃と開幕雷撃を同時に行ってくることが確認されている」
「レ級みたいなものか」
長門の呟きに首肯する提督。
「うむ。砲撃は戦艦クラスほどではないがそれでもこちらの改二重巡クラスの火力を打ち込んでくる。これを殲滅して制海権を確保し、飛行場攻撃への足がかりを得る」
長門、陸奥、加賀、大鳳、千代田、摩耶、阿武隈、愛宕、鳥海、北上、島風、そして雪風。
確実に勝ちを取りにいく構成。だが冷や汗が止まらない。先に進むなという警告するように。
海戦自体は優位に運んでいる。猫吊るしのビームの影響もあるが、ともかく苦戦する要素はない。
『こちら長門。水母棲姫を撃退した。ヤツらは存外しぶといな……む?』
「長門、どうした?」
『水母棲姫が空母棲鬼をつれて戻ってきた。しかも二隻だ』
「ふむ……いったん帰投せよ。艦隊の再編成を行う」
450: 2015/08/21(金) 22:41:52.46 ID:m02c4jTVo
ぷかぷか丸、作戦室。
「相手が鬼姫クラスを増やすなら仕方ない。こちらも長門と陸奥に代わり、大和と武蔵を投入する。制空権を考え、摩耶を千歳に変える」
「もう大和たちを投入するというのか。早すぎはしないか?」
長門の質問に手を振り答える提督。
「念には念を入れたいのだよ。連中も背水の陣ということだ。資材消耗も激しいとはいえ、一回で決着がつくならそこまで損害はない」
「むぅ……」
惜しそうに海図を睨む長門。しばし黙り込んだ後、顔をあげ、口を開いた。
「提督、何か焦っていないか……?」
「いや、そんなことはないぞ」
「ならいいのだが。焦っていてはいつか取り返しのつかないことが起きるぞ」
「うむ。平常心が大切だ」
そう言う提督の表情は、冷静さとは程遠いものだった……。
再び、南太平洋。連合艦隊は水母棲姫たちを追い詰めていた。
「支援も送った。昼も大破者なし。敵は虫の息といっていいだろう」
『第二艦隊旗艦、阿武隈。水雷戦隊、いつでも突撃できます』
「オーケイ、連中に引導を渡してやれ」
『よーし、どっかの夜戦バカには負けないんだから! 第二艦隊、突撃!』
突撃指示を送る。これで制海権は確保したも同然。
一足先に戻ってきた艦娘たち。支援射撃のための第三艦隊だ。
長門、陸奥に二航戦。護衛に綾波、夕立。なんら問題はない構成。
長門は支援砲撃で敵に痛打を与えられたせいか満足そうな表情をしている。
「そうそう、提督」
「なんだ、飛龍?」
「私たち艦載機積まないまま引っ張り出されたんですが」
「……あ」
「早く決着をつけたいのは分かりますが準備はちゃんとしましょ?」
蒼龍にダメ押しの突込みを入れられる。
「そうだな、少し落ち着くか……」
本隊からの勝利の報せを聞いても、提督の心が浮き立つことはなかった……。
「相手が鬼姫クラスを増やすなら仕方ない。こちらも長門と陸奥に代わり、大和と武蔵を投入する。制空権を考え、摩耶を千歳に変える」
「もう大和たちを投入するというのか。早すぎはしないか?」
長門の質問に手を振り答える提督。
「念には念を入れたいのだよ。連中も背水の陣ということだ。資材消耗も激しいとはいえ、一回で決着がつくならそこまで損害はない」
「むぅ……」
惜しそうに海図を睨む長門。しばし黙り込んだ後、顔をあげ、口を開いた。
「提督、何か焦っていないか……?」
「いや、そんなことはないぞ」
「ならいいのだが。焦っていてはいつか取り返しのつかないことが起きるぞ」
「うむ。平常心が大切だ」
そう言う提督の表情は、冷静さとは程遠いものだった……。
再び、南太平洋。連合艦隊は水母棲姫たちを追い詰めていた。
「支援も送った。昼も大破者なし。敵は虫の息といっていいだろう」
『第二艦隊旗艦、阿武隈。水雷戦隊、いつでも突撃できます』
「オーケイ、連中に引導を渡してやれ」
『よーし、どっかの夜戦バカには負けないんだから! 第二艦隊、突撃!』
突撃指示を送る。これで制海権は確保したも同然。
一足先に戻ってきた艦娘たち。支援射撃のための第三艦隊だ。
長門、陸奥に二航戦。護衛に綾波、夕立。なんら問題はない構成。
長門は支援砲撃で敵に痛打を与えられたせいか満足そうな表情をしている。
「そうそう、提督」
「なんだ、飛龍?」
「私たち艦載機積まないまま引っ張り出されたんですが」
「……あ」
「早く決着をつけたいのは分かりますが準備はちゃんとしましょ?」
蒼龍にダメ押しの突込みを入れられる。
「そうだな、少し落ち着くか……」
本隊からの勝利の報せを聞いても、提督の心が浮き立つことはなかった……。
456: 2015/08/24(月) 22:05:33.97 ID:qRVYsaMho
――― デイリー建造の闇 ―――
鎮守府、工廠。艦娘の建造もここで行うのだが……。
大潮「新しい仲間、どんどん来ますね!」
提督「来るのはいいけど知った顔ばっかりなんだよなぁ」
建造で来る艦娘はほとんど増えていない。デイリーの最低値ならなおさらである。
提督「で、誰が建造された?」
工廠妖精「大潮と大潮と大潮と、そして大潮ですね」
提督「偏りすぎぃ!!」
大潮「「「「「困ったときこそ大潮にお任せください!!」」」」」
提督「サラウンド過ぎて困るよ! というか何普通に並んでるの!?」
大潮「「「「「えー」」」」」
建造された大潮は近代化改修に回されました
鎮守府、工廠。艦娘の建造もここで行うのだが……。
大潮「新しい仲間、どんどん来ますね!」
提督「来るのはいいけど知った顔ばっかりなんだよなぁ」
建造で来る艦娘はほとんど増えていない。デイリーの最低値ならなおさらである。
提督「で、誰が建造された?」
工廠妖精「大潮と大潮と大潮と、そして大潮ですね」
提督「偏りすぎぃ!!」
大潮「「「「「困ったときこそ大潮にお任せください!!」」」」」
提督「サラウンド過ぎて困るよ! というか何普通に並んでるの!?」
大潮「「「「「えー」」」」」
建造された大潮は近代化改修に回されました
461: 2015/08/25(火) 22:04:44.57 ID:lvVyokSko
ソロモン海、某所。そこでは戦艦娘二人と駆逐艦娘二人が待機していた。
「ンー、テートクたちを待つのも退屈デース」
「……あ、金剛姉様、暗号通信が入りました」
「Oh、テートクから?」
「えぇ。ちょっと待ってください。解読しますので姉様は他の二人を呼んでください」
「OK、榛名。任せたヨー! 綾波ー! 夕立ー! 出撃準備ネー!」
金剛に後を任せ、榛名は解読に集中する。
―――機動部隊、制海権奪取ニ成功セリ。敵制空権ノ要ニ楔ヲ打チ込ムベシ
「うまくいったのですね」
制海権奪取に成功し次第、アイアンボトムサウンドに潜む飛行場姫を討ち取る手筈になっている。
―――コチラカラ援軍ヲ送ル。協力シ敵ヲ粉砕セヨ
「援軍?」
ポータルの方を振り向くとカラクリ箱型の甲板とともに向かってくる艦娘たちが見えた。
「こっちの方にも駆り出されるなんてね」
「頭上は私たちに任せて!」
「ンー、テートクたちを待つのも退屈デース」
「……あ、金剛姉様、暗号通信が入りました」
「Oh、テートクから?」
「えぇ。ちょっと待ってください。解読しますので姉様は他の二人を呼んでください」
「OK、榛名。任せたヨー! 綾波ー! 夕立ー! 出撃準備ネー!」
金剛に後を任せ、榛名は解読に集中する。
―――機動部隊、制海権奪取ニ成功セリ。敵制空権ノ要ニ楔ヲ打チ込ムベシ
「うまくいったのですね」
制海権奪取に成功し次第、アイアンボトムサウンドに潜む飛行場姫を討ち取る手筈になっている。
―――コチラカラ援軍ヲ送ル。協力シ敵ヲ粉砕セヨ
「援軍?」
ポータルの方を振り向くとカラクリ箱型の甲板とともに向かってくる艦娘たちが見えた。
「こっちの方にも駆り出されるなんてね」
「頭上は私たちに任せて!」
462: 2015/08/25(火) 22:06:20.61 ID:lvVyokSko
~~反撃! 第二次SN作戦 エピソード4 激突!第二次南太平洋海戦~~
ちょうど金剛たちも戻ってくる。
「全員揃ったネ。簡単にBriefingしマース。目標はアイアンボトムサウンド深部、名称飛行場姫」
「一昨年の秋以来ですね……」
榛名が心配そうに呟く。アイアンボトムサウンド。今よりはるかに練度も低く、夜戦装備もない状況下、まさに地獄の如き戦場であった。
「正面から行くと暗夜煙幕が張られているので空母を連れて行くのは困難デース。そこで北回りルートを取りマス」
「制海権を取ったとはいえ、いくつか敵艦隊が確認されてるけど……強行突破しちゃう?」
「敵編成次第ネ。千歳、敵情はどうデス?」
「最初に偵察したときよりずいぶん弱体化してましたね」
千歳からの敵艦隊の報告。真正面からぶつかっても問題なく倒せる相手。
「私たちならどうと言う事はない相手デース」
「損耗を抑え、倒れるまで繰り返し飛行場姫に打撃を加える。そのための綾波ちゃんと夕立ちゃん、そしてこの三式弾ですしね」
駆逐艦娘たちは対地ロケット砲、WG42を構える。
「今度はこれがあるから前より楽勝っぽい!」
「綾波も行きます!」
「OK、Follow Me!! 皆サン、付いてきて下さいネー!!」
金剛の掛け声とともに、飛行場姫攻撃のための挺身部隊は出撃した。
463: 2015/08/25(火) 22:07:29.49 ID:lvVyokSko
繰り返される飛行場姫への砲撃。護衛要塞も空母もない上、前世代の艦載機を使用する飛行場姫相手に千歳と千代田の熟練烈風隊が遅れをとることはなかった。
「勝手は、榛名が! 許しません!!」
榛名の放った三式弾が飛行場姫に直撃。数度目の大爆発。再生が確認できたら補充と修理のために撤退し、再度出撃する、というローテーションを繰り返す。
「ウーン、しぶといデース……」
「疲れたっぽいー……」
毎出撃ごとに補給と破損の修復は行っているが、精神的疲労はそう簡単には取れない。
偵察隊を送っていた千歳が眉を顰める。
「うーん、まずいわね」
「What happen? Troubleでもありましたか?」
「北ルートの艦隊構成が重くなってるわ。フラタに……エリツ・たこ焼きヲ級も確認できたわ」
「敵の構成が変わったら背水の陣、とテートクもいってたデース。テートクに支援を要請しマース」
すぐさま提督に打電する金剛。程なく返信が来る。
『支援要請受理。千歳・千代田ニ代ワル艦娘ヲ送ル。中央突破ニテ攻略セヨ』
やってきた援軍は、利根と筑摩であった。
「おーい、金剛よ! お主のための装備を持ってきたぞ!」
利根の手には94式高射装置。
「航空戦力がなくなる代わり、といったところじゃな」
夜偵と交換で装備する。榛名の方を見ると測距儀つき21号電探を筑摩から受け取っているところだった。
「さて、今度こそ決着をつけマース!! 全艦、私についてきてくださいネー!!」
「勝手は、榛名が! 許しません!!」
榛名の放った三式弾が飛行場姫に直撃。数度目の大爆発。再生が確認できたら補充と修理のために撤退し、再度出撃する、というローテーションを繰り返す。
「ウーン、しぶといデース……」
「疲れたっぽいー……」
毎出撃ごとに補給と破損の修復は行っているが、精神的疲労はそう簡単には取れない。
偵察隊を送っていた千歳が眉を顰める。
「うーん、まずいわね」
「What happen? Troubleでもありましたか?」
「北ルートの艦隊構成が重くなってるわ。フラタに……エリツ・たこ焼きヲ級も確認できたわ」
「敵の構成が変わったら背水の陣、とテートクもいってたデース。テートクに支援を要請しマース」
すぐさま提督に打電する金剛。程なく返信が来る。
『支援要請受理。千歳・千代田ニ代ワル艦娘ヲ送ル。中央突破ニテ攻略セヨ』
やってきた援軍は、利根と筑摩であった。
「おーい、金剛よ! お主のための装備を持ってきたぞ!」
利根の手には94式高射装置。
「航空戦力がなくなる代わり、といったところじゃな」
夜偵と交換で装備する。榛名の方を見ると測距儀つき21号電探を筑摩から受け取っているところだった。
「さて、今度こそ決着をつけマース!! 全艦、私についてきてくださいネー!!」
464: 2015/08/25(火) 22:08:28.88 ID:lvVyokSko
北ルートの守りが濃くなった分、中央ルートの守りは薄くなっていた。
目に付く相手を片っ端から薙ぎ払いながら、飛行場姫のもとまでたどり着く。
憤怒の形相をした飛行場姫。滑走路じみた艤装から次々と離陸する異形の飛行物体。
「全艦、対空戦闘用意ネ!」
金剛の指示にあわせ砲身の照準を飛来する敵機にあわせる。
「Fire!!」
三式弾を積んだ主砲が一斉に火を噴く。群のど真ん中で炸裂した三式弾は効果的に敵機を落としていく。
間をおかず入る通信。
『金剛姉様、聞こえますか? これよりこの比叡が支援砲撃を行います!』
『霧島もいますよ!』
『OK、My Sisters! 遠慮なくやっちゃってヨー!!』
通信を切り、艦隊に指示を出す。
「全艦、支援艦隊の着弾確認ののち最大戦速! Destroy'em All! 全弾撃ちつくしてでも撃滅ネ!」
直後、着弾音。盛大に水柱と火柱が上がる。それを合図に、艦隊戦の第二ラウンドのゴングが鳴らされた。
~~~~~~
金剛の放った三式弾は怒れる飛行場姫の心臓を食い破り、大爆発を起こした。
「……これで、本当にFinish、デスネ……」
再生する様子はない。ソロモン海周辺の制空権は取ったも同然。さらに東にコマを進めることも不可能ではないだろう。
提督と通信をつなぐ。
『……ん、金剛か。うまく行ったか?』
『金剛旗艦挺身部隊、飛行場姫を撃破、制空権を奪取したネ』
『よし、よくやった。お疲れ様、といいたいところだが……』
『huh?』
『激戦で疲れてるところ悪いが、可能な限り全速力で鎮守府に戻ってくれ。説明はあっちで行う』
それだけ言うと通信が切れる。他の仲間は支援艦隊と合流し、喜びを分かち合っている。
「皆サン、テートクからのMessageデース。ASAPで鎮守府に戻るよう連絡がありました。これより帰投しマース」
海域の主たる飛行場姫が敗北したため、深海棲艦も大人しくなっている。
「……即時の呼び戻し……何があったデース?」
目に付く相手を片っ端から薙ぎ払いながら、飛行場姫のもとまでたどり着く。
憤怒の形相をした飛行場姫。滑走路じみた艤装から次々と離陸する異形の飛行物体。
「全艦、対空戦闘用意ネ!」
金剛の指示にあわせ砲身の照準を飛来する敵機にあわせる。
「Fire!!」
三式弾を積んだ主砲が一斉に火を噴く。群のど真ん中で炸裂した三式弾は効果的に敵機を落としていく。
間をおかず入る通信。
『金剛姉様、聞こえますか? これよりこの比叡が支援砲撃を行います!』
『霧島もいますよ!』
『OK、My Sisters! 遠慮なくやっちゃってヨー!!』
通信を切り、艦隊に指示を出す。
「全艦、支援艦隊の着弾確認ののち最大戦速! Destroy'em All! 全弾撃ちつくしてでも撃滅ネ!」
直後、着弾音。盛大に水柱と火柱が上がる。それを合図に、艦隊戦の第二ラウンドのゴングが鳴らされた。
~~~~~~
金剛の放った三式弾は怒れる飛行場姫の心臓を食い破り、大爆発を起こした。
「……これで、本当にFinish、デスネ……」
再生する様子はない。ソロモン海周辺の制空権は取ったも同然。さらに東にコマを進めることも不可能ではないだろう。
提督と通信をつなぐ。
『……ん、金剛か。うまく行ったか?』
『金剛旗艦挺身部隊、飛行場姫を撃破、制空権を奪取したネ』
『よし、よくやった。お疲れ様、といいたいところだが……』
『huh?』
『激戦で疲れてるところ悪いが、可能な限り全速力で鎮守府に戻ってくれ。説明はあっちで行う』
それだけ言うと通信が切れる。他の仲間は支援艦隊と合流し、喜びを分かち合っている。
「皆サン、テートクからのMessageデース。ASAPで鎮守府に戻るよう連絡がありました。これより帰投しマース」
海域の主たる飛行場姫が敗北したため、深海棲艦も大人しくなっている。
「……即時の呼び戻し……何があったデース?」
466: 2015/08/25(火) 22:10:06.28 ID:lvVyokSko
――― 燃料は戦艦並に食う ―――
艦娘は資材を食うほど健啖家の傾向にある。燃料・弾薬の補充は艤装側の話だが、肉体部分もそれに引きずられる傾向にある。
提督は速吸と『旅行』中である。施設をぐるりと回って最後に食堂というのがいつものパターンである。
提督「で、ここが食堂だ。飯時だしなんか食ってくか?」
速吸「はい!」
提督「基本タダだからな。好きなモン注文していいぞ」
速吸「じゃあお言葉に甘えて、これと、これとこれと……」
提督「……」
速吸「これとこれと、あとそれにこれ」
提督「……マジか……?」
並ぶ大量の皿。
速吸「いただきます」
提督「そんなに食って大丈夫なのか……?」
速吸「はい、平気ですよ」
提督「戦艦とか正規空母クラスだぞ……」
実際ぺろりと食べきってしまい、提督はしばらく速吸のことを畏れたと言う。
艦娘は資材を食うほど健啖家の傾向にある。燃料・弾薬の補充は艤装側の話だが、肉体部分もそれに引きずられる傾向にある。
提督は速吸と『旅行』中である。施設をぐるりと回って最後に食堂というのがいつものパターンである。
提督「で、ここが食堂だ。飯時だしなんか食ってくか?」
速吸「はい!」
提督「基本タダだからな。好きなモン注文していいぞ」
速吸「じゃあお言葉に甘えて、これと、これとこれと……」
提督「……」
速吸「これとこれと、あとそれにこれ」
提督「……マジか……?」
並ぶ大量の皿。
速吸「いただきます」
提督「そんなに食って大丈夫なのか……?」
速吸「はい、平気ですよ」
提督「戦艦とか正規空母クラスだぞ……」
実際ぺろりと食べきってしまい、提督はしばらく速吸のことを畏れたと言う。
470: 2015/08/27(木) 22:02:09.99 ID:MJl4HoE/o
鎮守府、埠頭。金剛が戻ってきたときには既に提督が雪風・加賀とともに待っていた。
「Hey、テートク! 何があったんデース?」
金剛の問いに、提督はうむ、と唸り、口を開く。
「現在我々は南方海域を攻めているが、これに乗じて西方海域の深海棲艦の活動が活発化してきた」
大淀がホワイトボードを運んでくる。そこには西方海域の地図が張り出されていた。
「本来なら別働隊を送って抑えるのだがそこらへんは猫吊るしが何とかしてくれるということなので、ちょっと大変だが引き続き攻略を任せたい」
指し棒で緑×印の二点を指し示す。リランカ島とアンズ環礁だ。
「リランカ、アンズ、この二点を偵察し、更に敵の主力を撃沈する。単純な話だ」
「MIの頃を思い出しますネー……」
「まぁ、普通来るよな。今回は来る前に叩き潰すが」
などとブリーフィングをしていると、銀髪をサイドテールにした、明緑色の服を着た艦娘が駆け込んでくる。
「いま航空偵察って言ったかも! この秋津洲と大艇ちゃんの出番かも!! 私の出番かも!!!」
「……」
顎に手を当て、しばし沈思黙考する提督。
「筑摩、偵察隊は出せるか」
「いつでも準備万端です」
「よし。加賀の彩雲隊もつくしまぁ大丈夫だろう。金剛、榛名、筑摩、綾波は1時間の休憩のあと、加賀、雪風とともに西部方面へ」
「無視しないで欲しいかもー!!」
「Hey、テートク! 何があったんデース?」
金剛の問いに、提督はうむ、と唸り、口を開く。
「現在我々は南方海域を攻めているが、これに乗じて西方海域の深海棲艦の活動が活発化してきた」
大淀がホワイトボードを運んでくる。そこには西方海域の地図が張り出されていた。
「本来なら別働隊を送って抑えるのだがそこらへんは猫吊るしが何とかしてくれるということなので、ちょっと大変だが引き続き攻略を任せたい」
指し棒で緑×印の二点を指し示す。リランカ島とアンズ環礁だ。
「リランカ、アンズ、この二点を偵察し、更に敵の主力を撃沈する。単純な話だ」
「MIの頃を思い出しますネー……」
「まぁ、普通来るよな。今回は来る前に叩き潰すが」
などとブリーフィングをしていると、銀髪をサイドテールにした、明緑色の服を着た艦娘が駆け込んでくる。
「いま航空偵察って言ったかも! この秋津洲と大艇ちゃんの出番かも!! 私の出番かも!!!」
「……」
顎に手を当て、しばし沈思黙考する提督。
「筑摩、偵察隊は出せるか」
「いつでも準備万端です」
「よし。加賀の彩雲隊もつくしまぁ大丈夫だろう。金剛、榛名、筑摩、綾波は1時間の休憩のあと、加賀、雪風とともに西部方面へ」
「無視しないで欲しいかもー!!」
471: 2015/08/27(木) 22:02:42.69 ID:MJl4HoE/o
~~反撃! 第二次SN作戦 エピソード5 奮戦!西部方面派遣艦隊~~
西部海域。道中の敵を蹴散らしながら進む艦娘たち。
「リランカ島、港湾棲姫が位置を変えてますね……」
「hmm? とりあえずテートクに報告デース」
偵察も順調。だがそれを妨げる相手はいるのだ。
「ん……彩雲隊より敵艦隊発見、敵旗艦は装甲空母姫」
「OK、全艦対空射撃用意。加賀、発艦準備は?」
言いながら振り向くと加賀は既に矢を番えていた。
「いつでもいいわ」
水平線の向こうから見えてくる黒い粒。敵艦載機であろう。
「Good。3カウント後に発艦、その後対空射撃、第一次攻撃隊収容と同時に敵艦隊にEngageしマース」
「わかったわ」
加賀の返答を確認しカウントを始める。
「3、2、1、Take off!!」
金剛の声にあわせ、加賀が烈風を飛ばす。装甲空母姫のロートル機体と熟練の妖精が載った加賀の烈風。もはや鎧袖一触である。
そして制空はそのまま水上艦の打撃力に繋がる。勝敗は火を見るより明らか。
その後もとくに然したる問題もなく進んでいく。
「……筑摩偵察隊、アンズ環礁は大きな動きはないようです。備蓄も陸上棲艦の活動も確認できません」
「こちら榛名、敵補給艦隊を撃滅しました。ここより北北西の方向に向かっていたので主力がそちらにいるものと思われます」
「加賀、榛名の推測は当たってマスか?」
「いまそっちに向かわせてるわ……いた。戦艦棲姫」
「全く、これで何度目でしょうネ」
軽くため息をついて肩をすくめる金剛。アイアンボトムサウンド以来、霧の艦隊が来たときを除いて大規模作戦でその顔を見ない時はない。
今回も戦艦棲姫にソロモン海で遭遇したとの報告が入っている。
「随伴は大したことないわね。大きくて巡洋艦クラス。制空はフラヌだけね」
「では、サクッと片付けて帰りまショウ。既にティータイムに遅れてマース」
472: 2015/08/27(木) 22:03:20.59 ID:MJl4HoE/o
随伴艦の弱い戦艦棲姫など、熟練の艦娘たちの前では少しばかり硬い的に過ぎない。
「着弾観測、よろしくね!」
筑摩の砲撃により、バイタルパートを貫かれ、轟沈していく戦艦棲姫。
「むー、雪風たちの出番がありませんでした……」
「ちょっと残念です」
雪風と綾波は五連装酸素魚雷を積み、更に見張り員まで載せた、殺意の高い装備を施していた。
「おー、成功したようだねぇ」
木製のボートに乗ってやってきたのは猫吊るし。モーターもマストもないのに自在に動いている。
「じゃ、後は私がやるから帰って提督に報告しな。というか危ないから離れときなー」
猫をぶんぶん回しながら一方的に通告する。
何をするのかは艦娘たちにも分からないし理解できないが、危険なことだけは分かるのでそそくさとその場を後にする。
鎮守府、埠頭。西部に派遣されていた艦娘がポータルから戻ってくる。
一人、二人、三人。
「戦果Resultがあがったヨー!!」
「榛名、帰投いたしました」
「利根姉さん、心配してないかしら」
四人、五人、六人。
「しれぇ! 雪風帰投しました!」
「綾波、帰投しました」
「提督、任務完了しました」
七人。
「チャオ!」
……七人?
「……誰だ!?」
そこには小麦色の肌をしたツインテールの女の子。服のカラーリングからリットリオやローマと同郷の者と思われる。
「ボンジョルノ! マエストラーレ級駆逐艦、リベッチオです。リベでいいよ。猫吊るしって人から話は聞いてるよ! 提督さん、よろしくね!」
「いつの間に……」
唖然としていると通信機が鳴る。
『はい、こちら鎮守府』
『私からの突然のプレゼントは喜んでくれたかい?』
『猫吊るしか。こういうことは事前に言っとけ』
『じゃ、これで後顧の憂いも断ったし、いよいよFS作戦に取り掛かりますか。私が戻ったら詳細説明するから首を洗って待っててね』
『何で覚悟しろと脅されねばならんのだ』
『脅しでもなんでもなく覚悟したほうがいいよ。じゃーね』
言うだけ言って通信を切るのはいつものことだが、ここまで警告したのは初めてのことである。
「あの情報といい、猫吊るしの言い方といい、嫌な予感しかしない……」
「着弾観測、よろしくね!」
筑摩の砲撃により、バイタルパートを貫かれ、轟沈していく戦艦棲姫。
「むー、雪風たちの出番がありませんでした……」
「ちょっと残念です」
雪風と綾波は五連装酸素魚雷を積み、更に見張り員まで載せた、殺意の高い装備を施していた。
「おー、成功したようだねぇ」
木製のボートに乗ってやってきたのは猫吊るし。モーターもマストもないのに自在に動いている。
「じゃ、後は私がやるから帰って提督に報告しな。というか危ないから離れときなー」
猫をぶんぶん回しながら一方的に通告する。
何をするのかは艦娘たちにも分からないし理解できないが、危険なことだけは分かるのでそそくさとその場を後にする。
鎮守府、埠頭。西部に派遣されていた艦娘がポータルから戻ってくる。
一人、二人、三人。
「戦果Resultがあがったヨー!!」
「榛名、帰投いたしました」
「利根姉さん、心配してないかしら」
四人、五人、六人。
「しれぇ! 雪風帰投しました!」
「綾波、帰投しました」
「提督、任務完了しました」
七人。
「チャオ!」
……七人?
「……誰だ!?」
そこには小麦色の肌をしたツインテールの女の子。服のカラーリングからリットリオやローマと同郷の者と思われる。
「ボンジョルノ! マエストラーレ級駆逐艦、リベッチオです。リベでいいよ。猫吊るしって人から話は聞いてるよ! 提督さん、よろしくね!」
「いつの間に……」
唖然としていると通信機が鳴る。
『はい、こちら鎮守府』
『私からの突然のプレゼントは喜んでくれたかい?』
『猫吊るしか。こういうことは事前に言っとけ』
『じゃ、これで後顧の憂いも断ったし、いよいよFS作戦に取り掛かりますか。私が戻ったら詳細説明するから首を洗って待っててね』
『何で覚悟しろと脅されねばならんのだ』
『脅しでもなんでもなく覚悟したほうがいいよ。じゃーね』
言うだけ言って通信を切るのはいつものことだが、ここまで警告したのは初めてのことである。
「あの情報といい、猫吊るしの言い方といい、嫌な予感しかしない……」
475: 2015/08/28(金) 22:36:35.74 ID:3BzMJZFao
鎮守府、執務室。提督は猫吊るしからFS作戦の概要について説明を受けている。
「……というわけで、まずは敵機動部隊を粉砕します」
「敵旗艦は」
「空母棲姫です」
「またかよ。クソだるいな」
うんざりした顔をする提督。
「戦うのは艦娘でしょう」
「一緒だ一緒。あいつらの苦労は俺の苦労だ。可能な限り弱めよう」
「ところで、今回犠牲にするのはこの、某正規空母姉妹の改二に必要となる予定の試製カタパルト甲板ですが」
「また作り直せばいい。というか作れ」
躊躇いなく横暴な指示をする。軽くため息をつく猫吊るし。
「量産するの結構大変なんですよこれ」
「知ったことか。だいたいまだ改二自体は実装されてないんだろう。敵をすりつぶすほうが先だ」
「ま、そうですがね」
そう言って猫吊るしは膝で甲板をへし折った。
「……というわけで、まずは敵機動部隊を粉砕します」
「敵旗艦は」
「空母棲姫です」
「またかよ。クソだるいな」
うんざりした顔をする提督。
「戦うのは艦娘でしょう」
「一緒だ一緒。あいつらの苦労は俺の苦労だ。可能な限り弱めよう」
「ところで、今回犠牲にするのはこの、某正規空母姉妹の改二に必要となる予定の試製カタパルト甲板ですが」
「また作り直せばいい。というか作れ」
躊躇いなく横暴な指示をする。軽くため息をつく猫吊るし。
「量産するの結構大変なんですよこれ」
「知ったことか。だいたいまだ改二自体は実装されてないんだろう。敵をすりつぶすほうが先だ」
「ま、そうですがね」
そう言って猫吊るしは膝で甲板をへし折った。
476: 2015/08/28(金) 22:38:10.66 ID:3BzMJZFao
~~反撃! 第二次SN作戦 エピソード6 反攻作戦!FS方面進出~~
ソロモン海東部。ぷかぷか丸甲板上。
既に艦娘たちは出撃し、敵艦隊と交戦に入っている。
「祈るしかないってのも辛いもんだな」
「嫁さん送ってますもんね」
提督の呟きに返答する猫吊るし。
「深海棲艦のどてっぱらぶち抜きてぇ」
「提督は戦闘海域に突っ込んじゃダメです。あなたがいなくなったら誰が指揮するんですか」
「雪風と大和に総指揮のハウツーは教え込んだし何とかなるだろ」
「なりません。提督あっての艦娘なんですから」
強い口調で否定する猫吊るし。
「お前はどうなんだよ。そもそも俺にやらせず自分でやればよかっただろ」
提督の詰問に猫吊るしは目を逸らしながらぼそぼそ呟く。
「そういうわけにもいかないんですよね……」
提督が更に問い詰めようとしたその時、無線通信が入った。
『こちら長門。潜水艦隊を撃退。海流は北と南に分かれている。どちらに向かう?』
猫吊るしに目を向けると彼女は既に艦隊の配置が記された海図を開いていた。南周りにはヲ級改の文字がぼつぼつ見える。
「北のほうがまだ手薄そうだな……」
通信機を取り、北回りルートをとるよう伝える。
改めて猫吊るしに更に質問しようとしたところで、先に猫吊るしが口を開いた。
「それに……」
「それに?」
「もう二年以上艦隊の指揮を執って、たくさんの戦果をあげているんですよ? 今更あなたから変えるなんて考えられません」
「俺が氏んだらどうすんだよ」
「またやり直しですかね。あなたが攻略した海域ぶんは楽になるでしょうが。というわけで軽挙妄動は慎んでください」
「ふん、持ち上げられたもんだ」
477: 2015/08/28(金) 22:46:03.14 ID:3BzMJZFao
そんなこんなで雑談している間にも艦娘たちは敵艦隊を撃破し、ついに空母棲姫を追い詰める。
『残存艦は敵旗艦、空母棲姫のみ。全く、手応えないわね!』
第二艦隊旗艦、ビスマルクからの通信。
「よし、止めを刺せ」
『皆、聞いたわね。第二艦隊、全艦最大戦速!』
ビスマルクの号令とともに、第二艦隊が追撃をを開始する。妙高と鳥海から放たれる夜偵が逃げる空母棲姫の位置を捉える。
距離を縮めていくビスマルクたち。空母棲姫は氏に物狂いで残りの艦載機を飛ばすも、さらに詰め寄られて爆弾の投下タイミングを逸する。
『逃がさないわよ……甘く見ないで! Feuer!!』
38cm連装砲から放たれた徹甲弾は空母棲姫の体をズタズタに引き裂き、深海棲艦の艤装ごと大爆発を起こした。
「――――っ!! アイツ、無線切り忘れてたな」
「ヘッドホンつけっぱなしなのがいけないんですよ」
爆音に頭をくらくらさせる提督。軽く頭を振って気を取り直す。
「まぁ作戦は成功だな」
「えぇ、これでFS作戦を実行する準備は整いました」
「つまり、今回の敵総旗艦とまみえることができるわけか」
提督が手に取った一枚の書類。そこにはどこかで見たような風貌をした深海棲艦の画と、そのスペック、そしてその名前が記されていた。
「防空棲姫に……!!」
『残存艦は敵旗艦、空母棲姫のみ。全く、手応えないわね!』
第二艦隊旗艦、ビスマルクからの通信。
「よし、止めを刺せ」
『皆、聞いたわね。第二艦隊、全艦最大戦速!』
ビスマルクの号令とともに、第二艦隊が追撃をを開始する。妙高と鳥海から放たれる夜偵が逃げる空母棲姫の位置を捉える。
距離を縮めていくビスマルクたち。空母棲姫は氏に物狂いで残りの艦載機を飛ばすも、さらに詰め寄られて爆弾の投下タイミングを逸する。
『逃がさないわよ……甘く見ないで! Feuer!!』
38cm連装砲から放たれた徹甲弾は空母棲姫の体をズタズタに引き裂き、深海棲艦の艤装ごと大爆発を起こした。
「――――っ!! アイツ、無線切り忘れてたな」
「ヘッドホンつけっぱなしなのがいけないんですよ」
爆音に頭をくらくらさせる提督。軽く頭を振って気を取り直す。
「まぁ作戦は成功だな」
「えぇ、これでFS作戦を実行する準備は整いました」
「つまり、今回の敵総旗艦とまみえることができるわけか」
提督が手に取った一枚の書類。そこにはどこかで見たような風貌をした深海棲艦の画と、そのスペック、そしてその名前が記されていた。
「防空棲姫に……!!」
479: 2015/08/28(金) 22:48:11.85 ID:3BzMJZFao
――― 今なら無料! 急いで聴け!! ―――
南西諸島防衛線。あ号とい号を同時に消化するのに最適な海域。
今日もまた潜水艦隊が瑞雲と魚雷で無慈悲に敵艦隊を粉砕していく。
提督「さーて、敵主力が近いぞ。気を引き締めていけー」
すると背後から突然特徴のある演歌調のBGMが流れ始めた!
提督「!?」
振り向くとそこには加賀とジュークボックスが!!
提督「こんなとこで何やってるんだよ」
加賀「いえ、せっかく私の歌が登録されたものですから盛り上がるときに流そうと」
流れる曲は加賀岬。
提督「いやただのルーチンワークだから! 盛り上がるところじゃないから! というかジュークボックス勝手に持ち出すなよ!?」
加賀「やはり生で聴くほうが好みですか」
提督「いやいやそうじゃねぇよマイク取り出すなよ何ノリノリで歌い始めてんだよ!?」
南西諸島防衛線。あ号とい号を同時に消化するのに最適な海域。
今日もまた潜水艦隊が瑞雲と魚雷で無慈悲に敵艦隊を粉砕していく。
提督「さーて、敵主力が近いぞ。気を引き締めていけー」
すると背後から突然特徴のある演歌調のBGMが流れ始めた!
提督「!?」
振り向くとそこには加賀とジュークボックスが!!
提督「こんなとこで何やってるんだよ」
加賀「いえ、せっかく私の歌が登録されたものですから盛り上がるときに流そうと」
流れる曲は加賀岬。
提督「いやただのルーチンワークだから! 盛り上がるところじゃないから! というかジュークボックス勝手に持ち出すなよ!?」
加賀「やはり生で聴くほうが好みですか」
提督「いやいやそうじゃねぇよマイク取り出すなよ何ノリノリで歌い始めてんだよ!?」
483: 2015/09/01(火) 22:36:07.16 ID:BHw44lJBo
――― 内気なほうが殺意が高い ―――
羽黒「し……司令官さん? ……ごめんなさい!」
提督「とか言ってたのが」
羽黒「全砲門、開いてください!!」
着弾観測連撃で吹っ飛ぶタ級フラグシップ。明らかに致命傷である。というか上半身丸ごと吹っ飛んでいる。
羽黒「このまま、全ての戦いが終わってしまえばいいのに……」
提督「これだもんなぁ……」
気弱な性格だが改二になってトップクラスの砲戦力を誇り、夜戦も強い。
提督「まぁ歴戦の武勲艦だしなぁ」
そう呟くと同時に武勲艦について思い返す。
~~~~~~
『あの、その…あのっ……ごめんなさい』
『油断しましたね。次発装填済みです』
『はぁ~癒されます、感謝ですね~』
『殺~りま~した~』
『っぽい?』
『ソロモンの悪夢、見せてあげる!!』
『えっ、やだ、あたし!? い、いけるけど』
『ほーらね、そこにいたでしょ?』
~~~~~~
提督「みんな大人しそうな顔して改二になったら殺意高すぎでしょ……羽黒と言い神通と言い他の子と言い……」
羽黒「あの、司令官さん、何か……?」
提督「いや、なんでもない。なんでもないぞ」
羽黒「??」
羽黒「し……司令官さん? ……ごめんなさい!」
提督「とか言ってたのが」
羽黒「全砲門、開いてください!!」
着弾観測連撃で吹っ飛ぶタ級フラグシップ。明らかに致命傷である。というか上半身丸ごと吹っ飛んでいる。
羽黒「このまま、全ての戦いが終わってしまえばいいのに……」
提督「これだもんなぁ……」
気弱な性格だが改二になってトップクラスの砲戦力を誇り、夜戦も強い。
提督「まぁ歴戦の武勲艦だしなぁ」
そう呟くと同時に武勲艦について思い返す。
~~~~~~
『あの、その…あのっ……ごめんなさい』
『油断しましたね。次発装填済みです』
『はぁ~癒されます、感謝ですね~』
『殺~りま~した~』
『っぽい?』
『ソロモンの悪夢、見せてあげる!!』
『えっ、やだ、あたし!? い、いけるけど』
『ほーらね、そこにいたでしょ?』
~~~~~~
提督「みんな大人しそうな顔して改二になったら殺意高すぎでしょ……羽黒と言い神通と言い他の子と言い……」
羽黒「あの、司令官さん、何か……?」
提督「いや、なんでもない。なんでもないぞ」
羽黒「??」
488: 2015/09/07(月) 22:51:31.84 ID:z+OxBPVco
鎮守府、執務室。ここは提督の私室兼寝室でもある。提督も人間なので睡眠は必要である。艦娘も休養を取るに睡眠がベストなのは論を待たない。
「さて、明日はFS作戦だ。ゆっくり休んで明日に備えよう」
資料を片付け、提督は言う。
「はい、しれぇ」
雪風は既に寝巻き姿。寝る準備は万全である。
布団は新婚のときに貰った煎餅布団。提督と駆逐艦娘が入るに十分な大きさ。
部屋の明かりを消し、布団に潜り込む。
「……しれぇ、体が震えてます」
「夜は冷えるからな」
「今は夏真っ盛りですよ、しれぇ」
「じゃあ武者震いだ。明日は決戦だからな」
そう嘯く提督の体をぎゅぅ、と密着するように雪風が抱きついてくる。
「しれぇ……不安なときは雪風が、ううん、雪風たちがいますから。あたしたちを信じて下さい」
「んむ……」
曖昧に返事をしつつ、提督は眠りについた……。
「さて、明日はFS作戦だ。ゆっくり休んで明日に備えよう」
資料を片付け、提督は言う。
「はい、しれぇ」
雪風は既に寝巻き姿。寝る準備は万全である。
布団は新婚のときに貰った煎餅布団。提督と駆逐艦娘が入るに十分な大きさ。
部屋の明かりを消し、布団に潜り込む。
「……しれぇ、体が震えてます」
「夜は冷えるからな」
「今は夏真っ盛りですよ、しれぇ」
「じゃあ武者震いだ。明日は決戦だからな」
そう嘯く提督の体をぎゅぅ、と密着するように雪風が抱きついてくる。
「しれぇ……不安なときは雪風が、ううん、雪風たちがいますから。あたしたちを信じて下さい」
「んむ……」
曖昧に返事をしつつ、提督は眠りについた……。
489: 2015/09/07(月) 22:52:43.69 ID:z+OxBPVco
~~反撃! 第二次SN作戦 エピソード7 FS作戦~~
提督が眠りにつく数時間前。執務室では二人きりのブリーフィングが行われていた。
一人は提督。もう一人は猫吊るしである。
「目下の懸念点にして敵総旗艦であるところの防空棲姫について、良いニュースと悪いニュースがあります。どちらからお聞きになりたいですか?」
「良いニュースから」
「そうですか。では」
猫吊るしは軽く咳払いし、ホワイトボードにFS方面の海図を張り出した。
「ここらへん、敵中枢付近だけあって陸上棲艦が複数確認されています。ここと、ここですね」
二箇所のポイントに深海棲艦を模したマグネットを貼り付ける。港湾棲姫と離島棲鬼だ。
「この二箇所を繰り返し叩くことで、敵に致命打を与えやすくなることが判明しました」
「どんな理屈だよ」
「まぁおそらく、拠点からパワーを得ているんでしょう」
肩をすくめてかぶりを振る猫吊るし。ふわっとした物言いなのはいつものことなので置いておく。
「で、悪いニュースってなんだよ」
「本当に聞きたいんですか?」
「話を振ったのはそっちだろう。言えよ」
「……いいでしょう」
提督が促すと、猫吊るしの表情からおちゃらけた調子が消えた。
「ヤツの来歴が分かりました」
「それのどこが悪いニュースなんだよ」
「以前、私のいないときに雪風ちゃんが攫われる事件あったでしょう」
「あぁ、絶望させてあっち側に引き込む作戦だって話だったな」
「それに近いことやってます。ヤツの核は、防空駆逐艦秋月型二番艦、照月」
「というかこっちに似た艦今までもあったじゃねーか。駆逐棲姫しかり軽巡棲鬼しかり」
その言葉を待ってたかのように、一枚の写真を取り出す。
「あれらは沈んだ艦の記憶――それも曖昧模糊な――を元に型をとったに過ぎません。ヤツは……艦娘としての彼女そのものから出来てます」
猫吊るしが見せた写真。防空棲姫の近影。艤装こそ深海棲艦のものだが本体部はこれまでになく艦娘に近い。
「目元がこう、似てるな。秋月に」
「彼女の姉妹艦が元ですから」
「つまるところ、雪風がこういうことになる可能性もあったわけか。反吐の出る話だ」
昔のことを思い返す。あれからずいぶん時が経った。今でも鮮明に覚えている。
「というわけで彼女を、救ってあげてください」
「戦うのは艦娘だ。俺じゃない」
「指示を下すのは貴方ですよ、提督」
490: 2015/09/07(月) 22:56:58.08 ID:z+OxBPVco
翌日、FS方面海域。FSとはフィジーとサモアの頭文字から来ている。
ぷかぷか丸の甲板上では提督によるブリーフィングが行われている。
「――というわけで、敵基地を焼き潰したのち艦隊を再編成し、敵中枢を叩く。質問はあるか?」
手を挙げる艦娘が一人。
「秋月か。何だ?」
「その、防空棲姫ですが、私と……その……似ているような」
秋月が目を向ける先には防空棲姫の近影。
「あぁ、だいぶ似ているな」
「私たちも沈んだらあのようになってしまうのでしょうか……」
「沈まない為に日々訓練しているし沈まんように指揮する為に俺がいるわけだ。それに」
「それに?」
「万一そうなったとしても皆で取り返すさね」
「しれぇ、昔一人で取り返そうとしましたよね」
横から入る雪風のツッコミ。
「昔は昔、今は今、だ」
「?」
何のことかと首を傾げる秋月。
「あの時は秋月はまだいなかったな。雪風か大和あたりに聞けば分かる」
手を振り話題を打ち切る提督。
「他に質問は無いな? さぁ最終決戦だ。暁の水平線に勝利を刻めィ!!」
ぷかぷか丸の甲板上では提督によるブリーフィングが行われている。
「――というわけで、敵基地を焼き潰したのち艦隊を再編成し、敵中枢を叩く。質問はあるか?」
手を挙げる艦娘が一人。
「秋月か。何だ?」
「その、防空棲姫ですが、私と……その……似ているような」
秋月が目を向ける先には防空棲姫の近影。
「あぁ、だいぶ似ているな」
「私たちも沈んだらあのようになってしまうのでしょうか……」
「沈まない為に日々訓練しているし沈まんように指揮する為に俺がいるわけだ。それに」
「それに?」
「万一そうなったとしても皆で取り返すさね」
「しれぇ、昔一人で取り返そうとしましたよね」
横から入る雪風のツッコミ。
「昔は昔、今は今、だ」
「?」
何のことかと首を傾げる秋月。
「あの時は秋月はまだいなかったな。雪風か大和あたりに聞けば分かる」
手を振り話題を打ち切る提督。
「他に質問は無いな? さぁ最終決戦だ。暁の水平線に勝利を刻めィ!!」
491: 2015/09/07(月) 22:57:51.50 ID:z+OxBPVco
艦娘たちの装備の最終チェックを行う。
第一艦隊旗艦にはあきつ丸。第二艦隊には三式弾やWG42を積んだ艦娘を配備。
燃料、弾薬、艤装のダメージチェックなども欠かせない。
準備が完了し、次々とぷかぷか丸から飛び出す艦娘達を見送る。
「まずは、陸上側の制圧だ……」
~~~~~~
『港湾棲姫、撃破したのであります。全艦損害軽微、戦闘に支障なしであります』
「よし。続けて離島棲鬼も撃破せよ」
『了解であります!』
あきつ丸からの連絡を受け、さらに艦隊を進める。作戦は順調。猫吊るしによるデバフもあいまって大した損害も受けていない。
「うまく行ってるときこそ、油断してはならないんだよなぁ」
離島棲鬼も打ち倒し、撤退。これを数度繰り返す。
「深海棲艦は倒しても倒してもまた平気な顔をして元の位置に湧くので難儀でありますな」
何度目かの帰還時。あきつ丸が少々うんざりした様子でぼやく。
「全くだ。だが平気な顔に見えても内部的に損害は入っているはず。こういうのも重要な役目だ」
「うむ、本隊のためにももう一頑張り、であります」
烈風の補充を終え、踵を返すあきつ丸。
「さて、そろそろ本隊の準備に入るか……」
「道中にあのクソたこ焼きもちヲ改がいるらしいからなぁ」
「それで空母4……私たちが出ることも含め、相当重たい構成ですね」
そう言いながら46cm三連装砲の調整をする大和。
「烈風も熟練度が上がったとはいえ、制空争いも厳しいからな」
第一艦隊には大和型の姉妹のほか、赤城、加賀、大鳳、雲龍が名を連ねている。
「たどり着けなければ倒せませんからね」
「うむ」
「しれぇ、第二艦隊、準備整いました!」
雪風が手を振り伝える。
「第一艦隊も調整完了です」
大和の言に頷く提督。
「よし、陸上攻略部隊が帰還し次第敵中枢艦隊攻略部隊を進発させる! 陸上攻略部隊の一部は決戦支援部隊として援護に回す!」
第一艦隊旗艦にはあきつ丸。第二艦隊には三式弾やWG42を積んだ艦娘を配備。
燃料、弾薬、艤装のダメージチェックなども欠かせない。
準備が完了し、次々とぷかぷか丸から飛び出す艦娘達を見送る。
「まずは、陸上側の制圧だ……」
~~~~~~
『港湾棲姫、撃破したのであります。全艦損害軽微、戦闘に支障なしであります』
「よし。続けて離島棲鬼も撃破せよ」
『了解であります!』
あきつ丸からの連絡を受け、さらに艦隊を進める。作戦は順調。猫吊るしによるデバフもあいまって大した損害も受けていない。
「うまく行ってるときこそ、油断してはならないんだよなぁ」
離島棲鬼も打ち倒し、撤退。これを数度繰り返す。
「深海棲艦は倒しても倒してもまた平気な顔をして元の位置に湧くので難儀でありますな」
何度目かの帰還時。あきつ丸が少々うんざりした様子でぼやく。
「全くだ。だが平気な顔に見えても内部的に損害は入っているはず。こういうのも重要な役目だ」
「うむ、本隊のためにももう一頑張り、であります」
烈風の補充を終え、踵を返すあきつ丸。
「さて、そろそろ本隊の準備に入るか……」
「道中にあのクソたこ焼きもちヲ改がいるらしいからなぁ」
「それで空母4……私たちが出ることも含め、相当重たい構成ですね」
そう言いながら46cm三連装砲の調整をする大和。
「烈風も熟練度が上がったとはいえ、制空争いも厳しいからな」
第一艦隊には大和型の姉妹のほか、赤城、加賀、大鳳、雲龍が名を連ねている。
「たどり着けなければ倒せませんからね」
「うむ」
「しれぇ、第二艦隊、準備整いました!」
雪風が手を振り伝える。
「第一艦隊も調整完了です」
大和の言に頷く提督。
「よし、陸上攻略部隊が帰還し次第敵中枢艦隊攻略部隊を進発させる! 陸上攻略部隊の一部は決戦支援部隊として援護に回す!」
492: 2015/09/07(月) 22:58:41.35 ID:z+OxBPVco
空は紅く海は黒く。強力な深海棲艦が跳梁跋扈する海域はいつもそうだ。
「損害軽微、と……。いよいよか。全艦、心して進軍せよ」
進軍の命を下す提督。あとは艦娘たちがうまくやってくれることを祈るのみ。
戦艦棲姫をお供に、現れる異形。艤装のあちこちに天を貫く柱の如く砲門が生えたそれは、艦娘に酷似しつつも艦娘とは決定的な断絶を感じさせる姿。
「来たンだァ……。ヘーェ、来たンだァ……」
ギリ、と歯を食いしばる秋月。
「照月……!」
「秋月ちゃん、今は抑えて。空母の皆さんが攻撃を……」
雪風が押しとどめるが後半が続くことは無かった。
防空棲姫の砲門が火を噴いたかと思えば無数の艦載機が墜落していく。
「そんな……!?」
正規空母四隻分の猛攻をも物ともしない驚異の対空砲火。
「む、村田隊全機未帰還!!」
赤城が動揺を隠せぬ声で報告する。
「まさに空母の天敵ね……」
残り少なくなった友永隊を収容しながら加賀が呟く。
続けて降り注ぐ支援砲撃。だが、防空棲姫は平気な顔をしている。
「損害軽微、と……。いよいよか。全艦、心して進軍せよ」
進軍の命を下す提督。あとは艦娘たちがうまくやってくれることを祈るのみ。
戦艦棲姫をお供に、現れる異形。艤装のあちこちに天を貫く柱の如く砲門が生えたそれは、艦娘に酷似しつつも艦娘とは決定的な断絶を感じさせる姿。
「来たンだァ……。ヘーェ、来たンだァ……」
ギリ、と歯を食いしばる秋月。
「照月……!」
「秋月ちゃん、今は抑えて。空母の皆さんが攻撃を……」
雪風が押しとどめるが後半が続くことは無かった。
防空棲姫の砲門が火を噴いたかと思えば無数の艦載機が墜落していく。
「そんな……!?」
正規空母四隻分の猛攻をも物ともしない驚異の対空砲火。
「む、村田隊全機未帰還!!」
赤城が動揺を隠せぬ声で報告する。
「まさに空母の天敵ね……」
残り少なくなった友永隊を収容しながら加賀が呟く。
続けて降り注ぐ支援砲撃。だが、防空棲姫は平気な顔をしている。
493: 2015/09/07(月) 23:00:11.66 ID:z+OxBPVco
そこから先は血で血を洗うが如き激戦だった。
「照月、この秋月が貴方を止め」
秋月が言い切らぬうちに砲撃を浴びせ、再起不能に追い込む。
「秋月ちゃん、しっかり!」
引き上げにかかった雪風に返す刀で魚雷をぶち込む。
駆逐艦とは思えぬ火力を持つ防空棲姫は戦艦棲姫とのコンビで第一艦隊相手に大立ち回り。無事な艦が残らぬ有様。
「ぐぅっ、だが、打撃は与えた。残るは第二艦隊か……」
武蔵が呟く。この時点で第二艦隊は雪風と秋月が大破、阿武隈が中破。到底追える様な状態ではない。
だが、ここで逃がしてはまたやり直しである。
「逃がさないわよ!!」
一番槍はビスマルク。全砲門を開き、魚雷も全弾撃ちつくす勢いで弾幕を張る。
そこに妙高も援護に入る。
「こっちは任せてください!」
だが、防空棲姫は夜戦力も尋常ではない。妙高を牽制しながら、ビスマルクに痛烈な一撃を放つ。
「が、っ……!?」
ビスマルクは思い切り吹き飛ばされ、受身も取れず転がる。追い討ちとばかりに戦艦棲姫が妙高を狙い撃つ。
だが、一人残っていた。戦況を分析し、隙を見せるチャンスを狙うものが。
「主砲、よーく狙って……」
その声に防空棲姫が振り向くが、遅い。
「てーっ!!」
20.3cm主砲は防空棲姫の腹を過たず貫いた。
晴れ行く空。沈む戦艦棲姫。そして防空棲姫の身体も、また。
「アレ……? ウゴカナイ……アッハハハ……。ウミトソラガ…綺麗……」
防空棲姫の腹に開いた穴から何かが零れ落ちる。鳥海がそれを手に取る。
「これは……」
提督がいつも処理しているからわかる。雫だ。
雪風と肩を貸しあいながら秋月が近づいてくる。
「鳥海さん、これは……まさか……」
「きっと、貴方の考えてる通りでしょうね」
「…私が提督に持って行って良いでしょうか」
「えぇ」
そう言って秋月に雫を手渡す。
こうして、拡張作戦たるSN作戦は幕を閉じた。だが、それは新たな始まりに過ぎなかった。
「照月、この秋月が貴方を止め」
秋月が言い切らぬうちに砲撃を浴びせ、再起不能に追い込む。
「秋月ちゃん、しっかり!」
引き上げにかかった雪風に返す刀で魚雷をぶち込む。
駆逐艦とは思えぬ火力を持つ防空棲姫は戦艦棲姫とのコンビで第一艦隊相手に大立ち回り。無事な艦が残らぬ有様。
「ぐぅっ、だが、打撃は与えた。残るは第二艦隊か……」
武蔵が呟く。この時点で第二艦隊は雪風と秋月が大破、阿武隈が中破。到底追える様な状態ではない。
だが、ここで逃がしてはまたやり直しである。
「逃がさないわよ!!」
一番槍はビスマルク。全砲門を開き、魚雷も全弾撃ちつくす勢いで弾幕を張る。
そこに妙高も援護に入る。
「こっちは任せてください!」
だが、防空棲姫は夜戦力も尋常ではない。妙高を牽制しながら、ビスマルクに痛烈な一撃を放つ。
「が、っ……!?」
ビスマルクは思い切り吹き飛ばされ、受身も取れず転がる。追い討ちとばかりに戦艦棲姫が妙高を狙い撃つ。
だが、一人残っていた。戦況を分析し、隙を見せるチャンスを狙うものが。
「主砲、よーく狙って……」
その声に防空棲姫が振り向くが、遅い。
「てーっ!!」
20.3cm主砲は防空棲姫の腹を過たず貫いた。
晴れ行く空。沈む戦艦棲姫。そして防空棲姫の身体も、また。
「アレ……? ウゴカナイ……アッハハハ……。ウミトソラガ…綺麗……」
防空棲姫の腹に開いた穴から何かが零れ落ちる。鳥海がそれを手に取る。
「これは……」
提督がいつも処理しているからわかる。雫だ。
雪風と肩を貸しあいながら秋月が近づいてくる。
「鳥海さん、これは……まさか……」
「きっと、貴方の考えてる通りでしょうね」
「…私が提督に持って行って良いでしょうか」
「えぇ」
そう言って秋月に雫を手渡す。
こうして、拡張作戦たるSN作戦は幕を閉じた。だが、それは新たな始まりに過ぎなかった。
494: 2015/09/07(月) 23:01:16.34 ID:z+OxBPVco
今日はここまで。終わらない理由はわかりますね?
495: 2015/09/07(月) 23:13:15.73 ID:mT4KkMdkO
乙です
次回:泣き虫雪風と釣り人提督【その27】
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります