702: 2015/12/31(木) 19:29:33.38 ID:lmjQkLBvo


前回:泣き虫雪風と釣り人提督【その28】
最初から:泣き虫雪風と釣り人提督

――― 今年最後の(予定だった)大掃除 ―――

鎮守府、艦娘寮大和型の部屋。向かい合ってコタツに入るは部屋の主二人。

武蔵「大和よ、我々が最後に出撃してからどのくらいになる?」

大和「もう四ヶ月になりますね……」

武蔵「まさか大規模作戦にお呼びがかからないとは……」

大和「水雷戦隊中心でしたからね……」

武蔵「ということはあと二ヶ月は出番なしだ。腕が鈍ってしまうぞ」

大和「とは言っても、私たちが出撃すると資源が物凄く飛びますし」

武蔵「提督のことだ。その消費に見合うだけの相手が来なければ出さないだろうな」

大和「私たちが出なくて良いというのは平和な証拠ともいえますが、出番が無いと寂しいものですね……」

はぁ、と二人揃ってため息をつく。

……ヤマト、ムサシ、イジョウノモノハシュツゲキジュンビヲトトノエ……

武蔵「なんか出撃しろとか言う幻聴が聞こえるぞ……」

大和「偶然ですね、私もです……」

ぐでん、と二人してこたつに突っ伏す。

程なくして廊下から聞こえる騒々しい足音。バン、と開かれる扉。

提督「おいぃ! 出撃だっつってんだろオラァ!!」

その言葉にガバリと起き上がる二人。

武蔵「そ、それは本当か!?」

提督「おぉ、マジマジ。というか放送しただろ」

大和「演習じゃなくて本当に実戦で……!?」

提督「おうよ。出撃海域は……」
海の画集 -「艦これ」公式イラスト集-
703: 2015/12/31(木) 19:30:00.11 ID:lmjQkLBvo
西方海域、リランカ沖。ぷかぷか丸の上でブリーフィングが行われている。

提督「今回の作戦の要はリランカにて港湾水鬼撃破地点跡に涌いて出た港湾棲姫の撃滅。この一点だ」

武蔵「質問だ。港湾棲姫なら我々が出ずとも片がつくのでは?」

提督「それなんだが……鳥海、資料を」

鳥海「はい。先ほどの出撃後、再度復活した港湾の様子です」

プロジェクターから映し出される基地の様子。艤装が半壊してなお戦う意思を見せている。

鳥海「艦載機が俗に『たこ焼き』と呼ばれるタイプの強化型艦載機になり、長距離砲撃も行ってきました。離脱があと少し遅れたらやられるところでしたね……」

周辺を飛び回る艦載機や、砲撃の映像も収められている。

大和「なるほど……」

提督「どうやら港湾棲姫も発狂モードを手に入れたらしい。というわけで、陸奥、大和、武蔵の三名はこれの撃滅に向かってもらう」

提督は説明しながら三人に三式弾を渡す。

提督「漸減で出撃した大鳳、翔鶴、瑞鶴は引き続き出撃。筑摩、鳥海、妙高は休憩。では健闘を祈る。抜錨!!」



重巡洋艦クラスでも対処できた前衛部隊にこの編成で苦戦するわけもなく。

陸奥「ざっとこんなもんね」

大和「そういえば長門さんは? こういうときは喜び勇んで出てくるものだと思ってましたが」

陸奥「なんかクリスマスの用意で忙しいみたいだから代わりに出てきちゃった」

武蔵「この話聞いたら機嫌悪くするかもしれないな」

陸奥「まぁその時は私が何とかするから」



カ級「無視サレンノメッチャ辛イ……」



翔鶴「敵艦隊発見! 軽巡棲鬼、ル級改を含む機動部隊!」


軽巡棲鬼「コレマデノ屈辱、今ココデ晴ラシテクレル……!」


瑞鶴「アウトレンジで決めたいわね!」

大和「主砲、薙ぎ払え!」

武蔵「シブヤン海のようには行かないぜ!」


無慈悲に降り注ぐ航空魚雷と砲弾の雨霰。

敵が精強な艦隊といえども、それを上回る暴力に襲われれば為す術も無い。

ふと気づくと残るは軽巡棲鬼のみ


軽巡棲鬼「ヒッ、ヒィ……化物ー!!」


煙幕を出し逃げ出す鬼。

陸奥「軽巡棲鬼が逃げてくけど追い討ちは必要かしら?」

提督『放っとけ。追いかけてこないのを確認して港湾のところに行くぞ』

陸奥「もし追いかけてきたら?」

提督『殺れ』

陸奥「ま、その心配は無いと思うけど」

704: 2015/12/31(木) 19:31:21.80 ID:lmjQkLBvo
リランカ島。どういうわけか港湾棲姫がここを拠点として居座っている。

提督『ともあれ、ヤツを片付けて今年の深海棲艦の大掃除を終える』

大和「あの、南方海域の拡張作戦は」

提督『拡張作戦? 知らない子ですね……』

武蔵「全く、あそこの連中が他の海域に出てきたらとんだ大災害になるぞ」

提督『いいから目の前の敵に集中してくれ』



港湾棲姫が持ち出すは要塞砲。砲の大きさは戦艦クラスには及ばないものの、安定した立地から放たれる徹甲弾は大型艦艇にも確実に打撃を与える。

大和「ぐぅっ!?」

武蔵「大和、大丈夫か!」

大和「なんとか……!」

大鳳「にしても無茶苦茶ですねあれ。飛行場の火力とは思え」

その後の言葉は続かなかった。大鳳が要塞砲に吹っ飛ばされたからだ。

瑞鶴「そろそろ日が暮れるわ。これ以上の航空支援は……」

武蔵「あぁ、後はこの武蔵たちに任せてもらおう! 大和、行けるか?」

大和「いけます!」

陸奥「さーて、トドメを刺すわよ。三式弾装填! 突撃よ!」

大和「大和、続きます!」

武蔵「この武蔵も続くぞ!」



提督「……リランカの港湾棲姫、破壊確認、と」

陸奥『敵基地、撃滅完了よ。大和中破、大鳳大破、他は大きな損傷はないわね』

提督「おつかれさん。全艦帰投してゆっくり体を休めるといい」

陸奥『了解。これより帰投します』

交信を終了する。被害状況を元に電卓を叩く。

提督「ふーむ、資材の消費も案外安く済んだな。資材に余裕がある時は毎月叩いておくか」


だが、この時提督は知らなかった。更に資材を消費する任務に挑むことになることを……

海上突入任務編へ続く

708: 2016/01/01(金) 22:51:34.59 ID:OdRPTnNVo
――― 大掃除(普通の) ―――

鎮守府も年末は大掃除に入る。その中でも気合が入っているのが曙だ

曙「年末の大掃除……。これを大義名分にクソ提督の部屋を掃除、そこで弱みになるものを見つけで来年こそクソ提督をギャフンと言わせるんだから!」

そんなこんなで執務室前。

曙「クソ提督、入るわよ! たまには自分の部屋の掃除……を……」

嘘みたいに綺麗になっている。昨日はこんなに片付いていなかったはずだが。

雪風「曙ちゃん、なにかご用でしょうか?」

曙「あ、いや、えーと、その、執務室の掃除の手伝いに来たんだけど」

雪風「しれぇが出撃に行ってて留守だったので雪風が全部やっちゃいました!」

曙「そ、そうなの。ふーん」

雪風「寮の方も忙しそうですし二人で手伝いに行きましょう!」

曙「そうね。片付いてるなら手伝う必要もなさそうだし」

曙(思わぬ伏兵がいたなんて……!)


この後普通に艦娘寮を掃除した

712: 2016/01/05(火) 22:46:14.50 ID:3YSLEsDQo
――― 夜は怖いというが微妙に夜戦火力は高い ―――

萩風「夜は、やっぱり少しだけ…怖いですね。司令は、夜は全然平気なんですか?」

提督「ぜーんぜん。まぁ敵襲があるかもしれないという意味では要警戒だが」

萩風「さすが司令です!」

提督「さすがといわれてもねぇ。しかし夜が怖いとか川内の部下とは思えんな」

萩風「? 元は那珂さんの旗下でしたよ」

提督「なん……だと……」

萩風「戦時中はいろいろ編成変わりましたから。長良さんの下でも働きましたよ」

提督「意外だなぁ」

萩風「あと阿賀野さんの代理で第十戦隊の旗艦を務めたりも……まぁこの話はこの辺にしましょう。川内さんの下についたのはその後でしたね」

提督「たまには戦史本紐解いてみっか……」

萩風「多分そのほうが詳しいと思いますよ。私たちの記憶もそうしっかりしたものではないですし」

716: 2016/01/06(水) 22:49:39.65 ID:oA15hTFco
――― 対空の要らない作戦 ―――

海上輸送作戦の頃

摩耶「おっ、大規模作戦か! 腕が鳴るな!」

提督「とりあえず敵も様子見といったところだから摩耶を出すのはまだ早いだろうな」

摩耶「敵機動部隊が出てからが本番ってヤツだな! この防空巡洋艦の摩耶様がガンガン艦載機落としてやるからな!」


提督「えーと、水雷部隊による輸送か……」

摩耶「それじゃあアタシの出番は無いな……」

提督「特に空母の出撃もないようだしな」


提督「輸送部隊、枠がきついなー。あきつ丸と利根で一杯一杯だ。前衛は砲撃に集中させたいし」

摩耶「あのクソクラゲが出るらしいじゃないか。そんなんで大丈夫なのか?」

提督「まぁ頭上はあきつ丸がナントカしてくれるだろ」


摩耶「西方への遠征は……」

提督「ねこビームぶっぱしてもらったから敵の航空戦力は大したこと無い。対潜部隊に枠を取りたいし摩耶の出番は無いな」

摩耶「ちぇっ、つまんねーな」


提督「最後も水雷戦隊。敵航空戦力は確認できず、と」

摩耶「アタシの出番は!?」

提督「残念ながら」

摩耶「姉妹の中でアタシだけ参加してないじゃないか畜生ッッ!!」

提督「また次の機会を待とうな」

720: 2016/01/08(金) 22:43:05.36 ID:X5xvOc/lo
――― 陽炎型にもピンキリ ―――

朝雲「陽炎型なんかに、まだまだ負けないわ。当たり前じゃない!」

提督「ほう。んじゃ陽炎型とタイマン張ってみるか?」

朝雲「いいわよ! で、お相手は?」

雪風「雪風です!」

朝雲「」

提督「ほれほれ何とか言え」

朝雲「ちょっと! オーパーツにもほどがあるじゃない!」


この鎮守府において、雪風と朝雲とでは練度にして倍以上、経験にして軽く10倍以上は差がある。艦娘としての基本性能は言うに及ばず。

避けて当てればいいだけだがそれでうまくいくならとっくにやっている。


提督「逆境に身を置いて""圧倒的成長""できる。圧倒的感謝ってやつだな」

朝雲「あぁ、もう! こうなったらヤケよ!!」

~~~~~~

朝雲「」プシュー

提督「やはり雪風に挑むにはまだ早かったな」


なお、陽炎とは普通にいい勝負になった。

721: 2016/01/08(金) 22:43:36.61 ID:X5xvOc/lo
正月特別新年任務編

雪風「新年、あけましておめでとうです!」

提督「そのこと自体はめでたいがめでたくない事態が舞い込んだ」

雪風「なんですか、しれぇ?」

提督「大本営は俺たちを松の内から働かす気らしい」

提督が取り出すは任務がしたためられた紙の束。

提督「任務自体は大したことない。製油所沿岸の主力を1回、オリョールの主力を3回、戦艦四隻入れてカレー洋主力を2回、空母二隻入れてMS諸島沖の主力を2回屠れば良い」

雪風「では雪風たちがちゃちゃっと片付けてきますね!」

提督「あぁ。あと月初恒例の月イチ任務も片付けねばな……」


第一ラウンド:謹賀新年!「水雷戦隊」出撃始め!

提督「えーと、水雷戦隊か。航空戦力が無いときの軽巡旗艦は阿武隈に頼むに限る」

雪風「随伴は誰にしますか?」

提督「駆逐の練度上から五名。雪風、島風、綾波、夕立、響だな」

雪風「では、皆を呼びに行ってきますね!」


製油所沿岸敵主力艦隊

阿武隈「敵艦発見! 砲雷撃戦用……」

島風「おっそーい!」

阿武隈「もー! あたしの指示に従ってくださーいー! 向こうは戦艦もいるから危ないのに!」

雪風「島風ちゃんは相変わらゲフッ」


よそ見した隙に雪風がル級からの砲弾を食らう。中破である。


阿武隈「ちょっ、雪風ちゃん!?」

雪風「けほっ、まだ、沈みませんから……」

響「あとは私たちに任せて後方へブッ」


ル級の二射目が直撃。響も中破。


なおル級は残り四名の一斉雷撃により撃沈。

夕立「仇はとったっぽい!」

綾波「大丈夫ですか?」

雪風「新年からこんなんじゃしれぇに顔向けできません……ぐすん」


帰投後雪風を慰めるのにしばらく時間がかかりました。

722: 2016/01/08(金) 22:44:34.98 ID:X5xvOc/lo
第二ラウンド:新年の「伊良湖」のお手伝い!

提督「伊良湖よ。オリョールに何の用事があるというのだ」

伊良湖「ちょっとしたヤボ用ですよ」

提督「……まぁいい。阿武隈と雪風を引き続き出撃させて、軽空母に水母入れればどうにかなるだろ。千代田、鳳翔、飛鷹と……」

秋津洲「秋津洲の出番かも!!」

提督「瑞穂だ」

秋津洲「ゔ~!!」


提督「うん、計算上六割は主力のところにたどり着けるはずだが」

瑞穂「8回出撃して1回しかたどり着いてませんね……」

雪風「雪風のせいでしょうか……」

提督「それは無いと思うが……皆疲労の色が濃いな」

??「ふっふっふ……お困りのようでちね」

提督「誰d……ゴーヤだろ」

ゴーヤ「てーとく、ノリ悪いよ」

提督「正月早々から働きたいのか」

ゴーヤ「困ってるようだから見るに見かねてきただけでち」

ろー「でっち、すごく退屈そうにしてたからみんなで応援に着たんですって!」

ゴーヤ「それは言わないでって言ったのに!」

提督「まぁホームグラウンドみたいなもんだし、物は試しだ」


2出撃2勝

提督「今までの苦労はなんだったの」

ゴーヤ「ゴーヤたち、ちゃんと頑張ったでしょ?」

723: 2016/01/08(金) 22:45:59.82 ID:X5xvOc/lo
第三ラウンド:漲る戦艦魂!大艦巨砲なお正月!

提督「戦艦4でカレー洋……あぁ、しまったなぁ」

雪風「どうしたんですか、しれぇ?」

提督「月初め恒例のカレー洋任務と同時達成が出来ない」

雪風「空母2駆逐2ですしね」

提督「まぁいいや。金剛シスターズと千代田、赤城で行くか」

雪風「千代田さんは重点育成中として赤城さん?」

提督「最近出番無いしな。たまには出てもらおう」


赤城「艦載機の皆さん、用意はいい?」

金剛「Burning Looooove!!」

比叡「気合! 入れて! 撃ちます!」

榛名「勝手は! 榛名が! 許しません!」

霧島「距離速度良し! 全門、斉射ァ!!」

千代田「さあ、艦爆隊、艦攻隊、出番よ!」


提督「もうこれ暴力といって過言じゃないんじゃないかな」

雪風「制空権取った戦艦はやっぱりすごいですね……」

提督「こんな楽に一式徹甲弾もらえていいのかなぁ」

724: 2016/01/08(金) 22:46:43.82 ID:X5xvOc/lo
最終ラウンド:迎春!「機動部隊」抜錨せよ!

提督「空母2でMS諸島ねぇ」

雪風「最短ルート通れませんね」

提督「資料によると重2雷2空2がいいと聞いた。筑摩に鳥海、五航戦、そしてハイパーズだ」


MS諸島沖

提督「ここ、敵も精強揃いなんだけど案外すいすい進むな。空母が中破すること考慮しての五航戦採用だったが杞憂だったか?」

筑摩『そろそろ敵主力と交戦に入りますね』

提督「了解。討ち取って来い」


艦娘戦闘中……


瑞鶴「もうっ、私がここまで被弾するなんて!」

北上「こんなこともあるよね……早く修理したーい……」


提督「瑞鶴と北上が中破たぁ珍しいこともあるもんだな」

翔鶴「いつもは私なのにね」

大井「さぁ北上さん一緒にお風呂入りましょう!」(小破)

提督「もう一回出撃する必要があるからバケツで直したら再出撃だ」

大井「チッ」


艦娘再出撃中……


筑摩『最深部、到達しました』

提督「これで新年出撃任務も終わりだ。全力でかかれぃ!!」



瑞鶴「もうっ、私がここm(ry」

北上「こんなこともあ(ry」


提督「またかよ!?」

瑞鶴「うー……。まぁ翔鶴姉に怪我なかったからいいか……」

大井「さぁ北上さん今度こそ一緒にお風呂入りましょう!」

提督「お前今回無傷だろ!」

大井「チッ」

730: 2016/01/12(火) 22:38:36.23 ID:b+u/cqTJo
――― なんかこわい ―――

提督「阿賀野、そのノート何だ?」

阿賀野「提督日誌よ!」

提督「……見ても構わないか?」

阿賀野「いいわよ」

提督「……断られるもんだと思っていたが」

阿賀野「提督さんが知ってることしか書いてないし隠す理由もないもん」

提督「ふーん」


ぱらぱらと捲る。

そこには提督自身の一日一日の行動が事細かに記載されていた。

出撃や遠征の指示は言うに及ばず、起床時刻やら三度の食事のメニューやら提督自身記憶が曖昧な部分も克明に記されていた。


提督「……何冊あるんだよこれ」

阿賀野「数えてないけど二年分以上はあるかな」


なお、阿賀野の着任はアイアンボトムサウンド攻略の頃である。つまり、着任して以来ほぼ毎日ということになる。


提督「なにそれこわい」

阿賀野「これからもどんどんつけてくからなんか忘れたことがあったら訊いてね☆」

提督「……」


止めるかどうか三日三晩考えた末、とりあえず様子見ということにした。

735: 2016/01/14(木) 22:38:36.89 ID:vpX9l/suo
――― 着弾観測とは ―――

筑摩「水偵のみんな、着弾観測よろしくね」

提督『あれ爆撃機だと思うんだが』

筑摩「爆撃も出来ますけどあくまでオマケですよ。本懐は着弾観測からの……」


言いながら一射目を当てる。続いて二射目。敵艦は反応する間も無く沈んでいく。


筑摩「高精度砲撃です」

提督『一発目から当ててるじゃねーか』

筑摩「それならそれで目標命中とわかりますからそのまま撃てばいいんです」

提督『偵察機通さなくとも見てわかるもんだと思うが』

筑摩「妖精さんとリンクして三次元的に捉えることでより正確に撃てるんですよ」

提督『そんなもんかねぇ』


夜戦。至近距離での撃ち合い。時には殴る蹴るの暴行を繰り出すこともある。よく考えてもらいたい。
艤装の質量の乗った腕を高速でぶつけられたら痛い。そうだろう?


筑摩「水偵のみんなッ」

右腕をふるう。重巡リ級の首がへし折れる。

筑摩「着弾観測、よろしくねッ!」

返す勢いで左腕を振るう。リ級の上半身が腰から下と泣き別れ。

提督『着弾観測関係ないよね!?』

筑摩「私が強い理由? 護りたい人がいるからよ」

提督『いやスルーしないで!?』

739: 2016/01/18(月) 22:34:40.70 ID:T53hoqu+o
――― 戦艦の運用も楽じゃない ―――

戦艦娘は強い。だが、その分資材の消耗も激しい。故に特殊な任務か海域、ないし深海棲艦の大量発生時でも無い限りは出撃することは無い。

提督「で、また長門がヘソ曲げてる、と」

陸奥「そうそう。この前のリランカ攻略に出してもらえなかったから、って」

提督「まぁ南方海域でバカンスすべきなんだろうな。ほれ長門旗艦の出撃指令書」

陸奥「いつものマンスリー任務じゃない。まぁこれで機嫌は直ると思うけど」

提督「なんにせよ、戦艦が出張るほどの任務は早々ないんだよなぁ。対潜警戒に赴いてる伊勢は別として」

陸奥「資材だだ余りなのに節約する必要ないんじゃない?」

提督「といってもなぁ。溢れそうな資材でまるゆ祈って建造するくらいしか……あ」

陸奥「どうしたの?」

提督「次の改二の練度が足りなさそう……」

陸奥「次は霞ちゃんだっけ?」

提督「うむ。そこで陸奥にはリランカで彼女のお守りを頼む。雷巡三人とツェッペリンもつける」


リランカ沖

霞「全く、改二の練度を読み違えるなんてどういうことよ!?」

提督『追加情報が入ってきたんだからしょうがねーだろ』

カ級「ウボァー」

霞「そんなの言い訳のうちに入らないわよ。念には念を入れておきなさいよ」

提督『それもそうだな。こないだの三倍ぐらいは経験積んでもらおうか』

霞「上等よ!」

カ級「アバーッ」


陸奥「よく通信しながら的確に爆雷当てられるわねぇ」

ツェッペリン「日本の艦隊ではアレが普通なのか?」

陸奥「ここが制圧済み海域なのもあるけど……あの子が特殊なだけね」

霞「次行くわよ!」

743: 2016/01/19(火) 22:58:19.79 ID:3UGVBcXto
――― 週一の習慣 ―――

鎮守府、食堂。150を超える艦娘の胃袋を満たすことが出来る一大供給施設。

間宮、伊良湖の給糧艦娘および彼女らに従う妖精たちにより運営されている。

提督「提督になってよかったことの一つが己一人のために三食作らなくてよくなったことだ。旨いし」

能代「大勢で食べたほうが楽しいですもんね」

提督「そういや能代は料理とか作れるのか?」

能代「お恥ずかしながら軽食のほかはカレーくらいしか……」

提督「そういや大抵の艦娘はカレーを作れるな」

能代「海軍では日付もわからない海の上で長期に渡って過ごしますからね。曜日感覚を忘れない為に週に一回カレーを作るんです。その記憶の名残ですね」

提督「まぁそりゃそうか」

能代「うーん、やっぱり阿賀野姉のためにももっと料理のレパートリー増やしたほうが良いかなぁ」

提督「それが良いかもな。……そういや阿賀野は普通にチャーハンとか作ってたな。旨かったぞ」

能代「えっ……!? そんなまさか阿賀野姉が料理出来たなんて……」

提督「いや驚きすぎだろ。気持ちはわからんでもないが」

747: 2016/01/21(木) 22:33:15.11 ID:yHDPsqu0o
――― 酒癖悪し ―――

鎮守府食堂の片隅にあるカウンター。そこはいつの頃からか空母艦娘のたまり場となっていた。
誰が呼んだか「居酒屋鳳翔」。鳳翔が調理場を借りて酒のつまみやら何やら出すようになったのが始まりとかなんとか。

隼鷹「おぅ、提督じゃないか。こっちに来るなんて珍しいねぇ」

提督「飲兵衛どもに執務室占拠されたからな」

隼鷹「カウンターバー置くのが悪いんじゃない?」

提督「まぁそれはそうなんだが。というかお前も向こうにいるもんだと思ってたが」

隼鷹「鳳翔さんの手料理味わいたい気分でね」

提督「俺もだ。鳳翔、ご飯の大盛りと肉じゃが頼む」

鳳翔「少々お待ちくださいね」

隼鷹「せっかくここに来たんだ。一杯やるかい?」

提督「半日ほど顔面くぼんだまま過ごす事になるぞ。俺の酒癖の悪さを知らんわけではあるまい」

隼鷹「軽い冗談だよ」

鳳翔「お待たせしました」

提督「あんがとさん。ではいただきます、っと」モ゙ッモ゙ッ

鳳翔「そんなに慌てて食べなくてもおかわりはたくさんありますよ」

提督「……っ゛!?」

鳳翔「ほら、喉も詰まらせちゃいますし」

隼鷹「ってそんな暢気にしてる場合じゃないだろ! ほらこれ飲んで」

提督「ん゛ー」ゴキュゴキュ

鳳翔「……それ隼鷹さんが飲んでたお酒ですよね」

隼鷹「あ」

鳳翔「間接キスになっちゃいますね」

隼鷹「いやそれより重大な問題がってちょっと鳳翔さん皿持って奥へ下がらないで」

~~~~~~

飛鷹型の部屋

隼鷹「前が見えねぇ」

飛鷹「派手にやらかしたわね……」

~~~~~~

執務室

提督「喉詰まらせてからの記憶が無いんだけどどうして後頭部が痛むの」

雪風「止めるの苦労したんですからね、しれぇ」

751: 2016/01/25(月) 22:25:21.73 ID:MPhaWacco
――― 新年任務しんじつ ―――

提督「そういや伊良湖よ」

伊良湖「なんでしょう?」

提督「新年のあの任務あっただろ。あの野暮用ってなんだよ」

伊良湖「ほら、オリョール海って油田地帯でしょう?」

提督「そうだな。ゴーヤたちがあそこらへんの深海棲艦退治ついでに燃料とかおすそ分けしてもらってるな」

伊良湖「そこでいつもお世話になってる皆さんに料理をと思いまして。でも私は戦闘艦じゃ無いでしょう?」

提督「そこであらかた退治してもらって大人しくなってから料理を振舞いに行った、と」

伊良湖「そうです!」

提督「別に怒らないからそういうことは先に言え」

伊良湖「いひゃいいひゃいやめへくだひゃいほっへふねらないでくだひゃい」

755: 2016/01/26(火) 22:51:48.98 ID:cHlaZ3Tjo
――― 寒いのはだれだって嫌 ―――

望月「うー、さぶさぶぅ」

提督「どうした、望月。陳情なら大体いつでも聞くぞ。聞き流すかどうかは内容を聞いてから判断するが」

望月「あれ、しれーかん、今年はコタツは出さないの?」

提督「コタツ出すと一部の艦娘が執務室に入り浸るからな。そういうわけで設置を取りやめにした」

望月「ちぇっ」

提督「お前もその一部かよ」

望月「でもこの寒いのによく平気だねぇ。エアコンもないし」

提督「ふふん」

望月「……机の下が怪しい」

提督「あっこらちょっと待て」

望月「このマット電熱式だ。道理で」

提督「バレたか」

765: 2016/01/27(水) 22:20:41.39 ID:Hfltn6IKo
――― 一番謎な艤装 ―――

提督「ゴーヤ、前から疑問に思ってたんだが」

ゴーヤ「なんでち?」

提督「お前が座ってるその艤装なんだが」

ゴーヤ「カッコイイでしょ?」

提督「航行においてなんの役に立つんだ?」

ゴーヤ「……カッコイイでしょ?」

提督「いや別にそれ使うことなく普通に潜ってるよな?」

ゴーヤ「その、攻撃受けると艤装側もにダメージ反映されるでしょ? 艤装側で肩代わりしてるから致命傷を負わないんでち」

提督「艤装側が限界に達した状態でダメージを受けると沈むわけか」

ゴーヤ「そうでち」

提督「でもあんなでかいの潜水艦娘でお前だけだぞ」

ゴーヤ「……デザインの都合上かなぁ……」

769: 2016/01/28(木) 22:33:27.74 ID:a95re39eo
――― いつもは雪風がいないわけ ―――

鎮守府、執務室。元は提督の私室なので提督は仕事以外でも大抵ここにいる。


荒潮「提督、今お暇かしらぁ?」

提督「忙しい、といいたいところだがぶっちゃけ暇だ。クソ書類は大抵突っ返してるし深海連中もここしばらく大人しいからな」

荒潮「雪風ちゃんはいないのかしら?」

提督「この通り、全然忙しくないんでね。時津風たちと遊ばせてるさ。どうせ練度も極限まで上がってるし」

荒潮「へ~ぇ? じゃああの子のいない間に提督を誘惑しちゃったり」

提督「無駄無駄。俺がその程度で揺らぐような男だとでも?」

荒潮「……本音はぁ?」

提督「雪風に見られたら慰めるのが大変なんで冗談でも勘弁してください」

荒潮「それも面白いかもねぇ?」

提督「俺にとっては全く面白くないが」

773: 2016/01/29(金) 22:51:12.91 ID:1VNA5AQvo
――― 改修は大事 ―――

鎮守府、執務室。資料の束とにらめっこしながらうんうん唸る提督。

提督「うーむ、どうしたものか」

霧島「何かお悩みですか、司令?」

提督「いや、まぁな。この先の装備の改修どうしたもんかな、と」

霧島「35.6cm砲の改修とかどうでしょう、司令?」

提督「大口径主砲の改装って重そうなんだよなぁ」

霧島「いえいえ、35.6cmは割と消費軽いですし改修すれば試製35.6cm砲より強力になりますよ」

提督「……ふーむ、確かに軽いようだが」

霧島「何か問題点でも?」

提督「自分がもっと強い装備欲しいだけだったりしないよな?」

霧島「そ、そんなわけないじゃないですか」

提督「イタリア砲もそこまで重くはないようだしあいつらに改修頼むか……?」

霧島「確かに命中率に難があるので改修も手ですが……」

提督「改修できたら霧島に載せるか」

霧島「とてもいい考えだと思います、司令!」

提督「正直すぎるぞ」

霧島「いえいえ、重い46cm砲担ぐことなく超長距離砲撃できる381mmはベストチョイスかと」

提督「さっき言いよどんだのはなんだったんだ」

霧島「気のせいですよ、司令」

777: 2016/02/01(月) 22:35:54.27 ID:cQ6pALFNo
――― 姉妹といえど年の差があんまり無い ―――

鎮守府、執務室。元々提督の私室であることを忘れられてるレベルで艦娘が来る部屋。

黒潮「司令はん、おるかー?」

提督「居るぞ」

黒潮「これが今日の資料や」

提督「おつかれさん。そこ置いといて」

黒潮「……そういや、うちからしたら司令はんは義弟なんやなぁ」

提督「理屈の上ではそうかも知れんが物凄く違和感があるぞ」

黒潮「なぁに、進水日でも竣工日でもうちらの方がよっぽど年上や」

提督「それを含めてだよ。……姉妹関係といえば艦娘って姉妹という割にこう、年の差があんま無いよなぁ」

黒潮「まぁ概念的なものやからなぁ。生まれも姉妹で違うなんて当たり前やし。実際年の差もそこまであらへんし」

提督「ほう」

黒潮「例えばうちらは19人姉妹やろ。三人着任しとらんけど」

提督「そうだな」

黒潮「長女の陽炎姉さんが1938年9月進水、末っ子の秋雲が1941年の4月や。3年も経っとらん」

提督「確かにな」

黒潮「それに生まれが近い艦で駆逐隊組んで一緒に行動するさかい、級友感覚の方が近い感じや」

提督「そういうモンなのか」

黒潮「せやせや」

提督「つまり同級生がケッコンしたような感覚に」

黒潮「それとこれとは別や。雪風の事悲しませよったら姉妹一堂で……」

提督「ごく自然に上役を脅さんでください」

781: 2016/02/02(火) 22:34:38.27 ID:NFCZj8lHo
――― 夜戦で役立つ空母は貴重 ―――

提督「ツェッペリンは夜戦が出来るそうだな」

ツェッペリン「そうだな。艦載機の発艦が困難な暗闇でも砲撃で処理できる」

提督「というわけでその力が必要になるかもしれん。村田天山2隊にOTO砲2基。これらを装備するといい」

ツェッペリン「ほう?」

提督「珊瑚諸島沖の敵主力に確実に辿りつくためには艦隊の半数が空母である必要があるからな。夜戦できる空母は心強い」

ツェッペリン「ふふ、任せておけ」

提督「他の皆はもう既に埠頭で待ってる。今回は霞が旗艦だ」

ツェッペリン「了解だ。グラーフ・ツェッペリン、出撃する!」

~~~~~~

珊瑚諸島沖、敵主力。旗艦である南方棲戦鬼を除き、全艦海の底に還した。

ツェッペリン「脆いものだ」

霞「アイツを沈めなきゃ意味ないわよ」

ツェッペリン「そうだな。このグラーフ・ツェッペリンがただの空母でない所を見せてやろう!」

飛び出した霞に追随するツェッペリン。

ツェッペリン(霞が攻撃を当てて敵の体勢が崩れたところでトドメを刺す。よし)

敵の動きを注視しながら砲を構える。だが。

霞「あぁ、もうバカばっかり! 氏ねばいいのに!!」


霞の連撃によりあっさり沈む南方棲戦鬼。


ツェッペリン「あ……私の夜戦……」

霞「夜戦夜戦うるさいとどっかの軽巡みたいになるわよ」

ツェッペリン「せっかくの装備が……」

785: 2016/02/04(木) 23:39:11.27 ID:q5f7x4fxo
――― だいぶ前の話 ―――

まだ提督になりたての頃の話。

雪風「艦隊、帰投しましたぁ……」

提督「ふぃ~、おつかれさん。これで敵前衛部隊とやらを片付けたわけか」

猫吊「そんなあなたに朗報です!」

提督「なんだよ」

猫吊「基本的に第二次世界大戦……というか太平洋戦争で戦い、沈んだ艦艇の記憶、艦霊、まぁ要は艦の魂から艦娘は生成されるんですが……」

提督「が?」

猫吊「このたび、それ以外の艦から生成できました!」

提督「ほう」

深雪「深雪だよ! よろしくな!」

提督「服やら装備やらは白雪とそう違わんように見えるが」

深雪「そりゃ白雪は姉さんに当たるからな!」

提督「同年代じゃねーかどこが太平洋戦争以外じゃオラッ」

猫吊「戦争が起きる前に事故で沈んでますんで」

提督「以外ってそういうことかよ!!」

雪風「ところでこれドロップです」

提督「んじゃ早速艦娘にしてもらうか。戦力は増やしたい」


深雪(ドロ)「深雪だよ! よろしくな!」

深雪(報酬)「おぅ、ダブル深雪様ってか! ハハッ!」

提督「軽率にダブってるんですが」

猫吊「まー、そういうこともあるよねー」

提督「なんか苦労したみたいな言いかたしてたけど」

猫吊「苦労したとは言ってないので」

提督「この野郎……!」

789: 2016/02/05(金) 22:31:36.43 ID:CYkHqFzfo
――― これで装備艦種拡張されたの二回目 ―――

提督「これで鹿島も改か」

鹿島「うふふっ、これは期待できそう」

提督「……初期装備に探照灯?」

鹿島「えぇ。ご存知だと思いますが夜戦でお役に立ちますよ」

提督「……いや、そもそも練巡には装備不能なはずだったが」

鹿島「でも実際装備できていますし」

提督「おかしい……。ちょっと香取を呼ぶか」


艦娘呼出中……


香取「香取をお呼びになりましたか?」

提督「ちょっとこの探照灯装備してみてくれ」

香取「香取の改装ですか? 有り難いです」

提督「……え、何で普通に装備できんの? この前まで無理だったよね?」

香取「そうですね」

提督「ナンデ!?」

鹿島「きっと私が来た影響ね。うふっ」

提督「そんなんで納得いくか!!」

794: 2016/02/19(金) 21:58:24.24 ID:ntRt/8Ndo
鎮守府、執務室。提督は午睡を決め込んでいた。シエスタともいう。

「Zzz...」

そこに扉を蹴破り重力を無視して床と平行に飛び込んでくるは猫吊るし。

「何寝てるんじゃワレェェェェ!!」

蹴りは提督の顔面に突き刺さり、その反動で後ろ宙返りからの綺麗な着地。提督は痛みに悶えている。

「~~~~~!!!」

「ほら、痛がってる暇なんてありませんよ」

「ありませんよ、じゃねーよボケ!!」

蹴られたところをさすりながら悪態をつく。

「仕事もせずに寝てるのが悪いんです」

「全部終わったんだから自由にさせろダラズ」

「深海棲艦が反攻作戦の準備をしているというのにダラダラしてるのが悪いんですよ」

その言葉に提督は眉をピクリと動かす。

「もうそんな時期か」

「そういうわけでこれ資料です」

猫吊るしから渡された資料にざっと目を通す。

「……本格的な侵攻が行われる前に、敵の物資集積地を叩き潰す、と」

「そういうことです。深海棲艦も無限に動けるわけじゃないですからね」

795: 2016/02/19(金) 21:59:08.10 ID:ntRt/8Ndo


出撃! 礼号作戦 Chapter.1 爆雷鳴り響くカンパン湾



カンパン湾沖、ぷかぷか丸甲板上。

「そういうわけで、まず敵陣近辺の潜水艦を掃討する、というわけだ」

提督の前に居並ぶは阿武隈、伊勢、大井、北上、木曾、瑞鳳。いずれも対潜を軸とした装備をしている。

「なーるほど! あたし的にはOKです!」

阿武隈はいつもの高射砲に代えて爆雷投射機を握っている。

「水雷戦隊もうろついてるから見つけたら甲標的で始末しとけ。何か質問は?」

「提督、しつもーん。雪風は出さないの?」

北上の質問に、思案するように顎を掻きながら答える。

「あぁ、雪風はもう練度上限まで達してしまったからな……。対潜だから支援も要らないし……」

と、ちょうど甲板に上がってきた雪風が提督に駆け寄り、彼の背中に飛び乗る。

「ま、対潜も対水上艦もこなせる雷巡のほうが今回は適役だ。敵旗艦も潜水らしいし、万一硬かったら大淀とかを呼ぶさ」

「雪風はしれぇと一緒に皆さんの無事を祈ってます!」

「んー、まぁ何とかなるかな。大井っちも木曾っちもいるし」

「では他に質問は無いな? 抜錨ッ!!」

796: 2016/02/19(金) 22:00:55.36 ID:ntRt/8Ndo
道中、苦戦する様子もなし。甲標的の魚雷と瑞鳳の放つ九七式艦攻の雷撃で敵水雷戦隊は壊滅、潜水艦は爆雷ソナーで返り討ち。

そして敵主力ポイントに到達。

「まーた、潜水棲姫だよ」

ぼやく北上。

「また海の藻屑にすればいいだけよ!」

水上艦を無視し、集中攻撃を仕掛ける。

「うーん、いい当たりしたんだけどな……」

「なかなか沈まないね……」

伊勢や瑞鳳もカ号や三式連絡機を飛ばして追撃をかけるも後一歩及ばない。

「敵艦隊、撤退していきます……」

阿武隈が口惜しそうに

水上艦ならまだしも、相手が潜水艦では夜闇の中で撃沈するのは困難。

「提督、追撃しますか?」

「……いや、いったん帰投だ。次の手を打つ」

797: 2016/02/19(金) 22:02:00.82 ID:ntRt/8Ndo
「雷巡3人は爆雷とソナーを返却、後詰めに用意した三人に渡す」

「後詰め?」

大井の疑問符に答えるかのように三人の艦娘が並ぶ。

「五十鈴です」

「夕張よ」

「大淀にお任せください」

「この三人に対潜装備ガン積みさせてとにかく屠る」

艤装も完全に対潜用装備である。

「これであの潜水棲姫もさすがに沈黙するだろ」


再び潜水棲姫。次々上がる水柱。

「うーん、どうにもこうにも硬いな」

「ソナー反応、まだありますね」

ぷかぷか丸から戦闘の様子を眺める提督たち。

「五十鈴には、丸見えよ!」

乾坤一擲、大打撃を与える。

「まだ生きてるわね。そこっ!」

間髪いれず夕張が逃亡先に回りこむように爆雷を投射する。

ゴゥン、という鈍い音がし、ソナー反応が小さくなっていく。

「……潜水棲姫、撃沈完了です!」

798: 2016/02/19(金) 23:07:35.43 ID:ntRt/8Ndo
今日はここまで
最近忙しくて書くひまがない…

799: 2016/02/19(金) 23:26:21.18 ID:qKqYUwSTO
乙です

次回:泣き虫雪風と釣り人提督【その30】


引用: 【艦これ】泣き虫雪風と釣り人提督 Part3