1: 2009/02/03(火) 16:42:41.63 ID:Uw7lfDGk0
男A「うーん…いや、知らんね」

翠星石「そう…ですか」

翠星石は男に見せた写真を再び手元に引き戻した
写真は何度も見返した後のせいか所々破れたりや皺になっていた

JUM「おーい! 翠星石」

翠星石「ジュン…」
ローゼンメイデン 愛蔵版 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
4: 2009/02/03(火) 16:46:46.24 ID:Uw7lfDGk0
翠星石「何の用ですか! ついてくるなといった筈ですよ!」

JUM「そんな事言ったってお前一人じゃ…」

翠星石「とにかくここは翠星石一人で十分です。分かったらおとなしく待ってろです!」

JUM「翠星石…」

9: 2009/02/03(火) 16:52:56.84 ID:Uw7lfDGk0
翠星石「この子を知らないですか?」

先程とは別の人間に写真を見せ、再び尋ねる翠星石

男B「んー、分からんなぁ」

翠星石「…そうですか」

その場を後にしようと写真を懐にしまう翠星石

男B「…いや、ちょっとまった」

10: 2009/02/03(火) 16:58:55.41 ID:Uw7lfDGk0
男B「そういやぁ最近、町外れの廃屋に子供が住み着いたって話だ」

翠星石「そ、それは本当ですか!?」

男B「まぁ、その写真の子供っていう確証はねぇけどよぉ。行ってみる価値はあるんじゃねえか?」

翠星石「…ありがとうです。よかったら場所を教えて貰えるですか?」

男B「あぁ、構わないぜ」ニタァ…

12: 2009/02/03(火) 17:02:17.85 ID:Uw7lfDGk0



JUM「おい! あんな怪しい男の話を信じるのかよ」

翠星石「うるさいです! どんな些細な情報でも…手掛かりがあるのなら辿るのみです」

JUM「捜索もいいけど…本当の目的を忘れるな」

翠星石「分かってる。分かってるですよ…」

13: 2009/02/03(火) 17:07:09.56 ID:Uw7lfDGk0
――――町外れの廃屋――――



JUM「本当にこんな所に人が居るのか? 今にも崩れそうだぞ…」

翠星石「別に付いてこいとは言ってないですよ」

JUM「だって、お前一人じゃ…」

翠星石「いいから、チビ人間はそこで待ってろです!」

14: 2009/02/03(火) 17:13:20.20 ID:Uw7lfDGk0
足早に廃屋の中へ入っていく翠星石

JUM「お、おい待てって…ムグゥ!?」

物陰から複数の男達がJUMを囲み、その口を塞いで暗闇の中へ引き込んだ
廃屋の中に入った翠星石は背後の様子にも気づくことなく奥へ奥へと進んでいった

20: 2009/02/03(火) 17:22:14.43 ID:Uw7lfDGk0
翠星石「けほっ…本当にこんな所に人が住んでるですか…」

廃屋の中は埃まみれで、とても人が出入りしているようでは無かった
翠星石はちらりと背後を確認し、JUMが付いてきてない事を悟った

翠星石「…結局口だけですか。翠星石は…一人だけでもやるですよ」

廃屋の入り口を一瞥すると、二階へと足を進める翠星石

22: 2009/02/03(火) 17:28:36.58 ID:Uw7lfDGk0
翠星石「ここも埃だらけですか」

二階の部屋を念入りに確認していく翠星石

翠星石「最近人が住んでいた様子は無いですね。担がれた…という訳ですか」

JUMの姿を確認しようと窓から外を覗き込む翠星石

翠星石「!?」

24: 2009/02/03(火) 17:33:55.43 ID:Uw7lfDGk0
窓の外では屈強な男達に囲まれたJUMの姿があった

男B「ひゃっはぁ~~~ッッ!おめぇらヨソ者だろ!?」

JUM「は、離せ…」

男C「だぁ~れが離すかよ! ヨソ者にはこの町の礼儀って奴を教えてやらねぇとな!」

JUM「くっ…」

男B「おい! 聞こえてるんだろ! 嬢ちゃんもこっちに出て来いよ!!」

JUM「す、翠星石…」

26: 2009/02/03(火) 17:40:37.08 ID:Uw7lfDGk0
翠星石「だから付いてくるなと言ったですのに…」

外の様子を確認すると気だるそうに首をひねる翠星石
そして窓から距離を取る様に後ずさっていく

翠星石「スー…」

タッタッタッタッタッ…

大きく息を吸い込み窓に向かって走り出していく

29: 2009/02/03(火) 17:44:37.28 ID:Uw7lfDGk0
ガシャァーーーーーーーーーーーン!!

男B「な、何だ!?」

ドガッ!

男C「ぐぇ!」

窓を突き破ってJUMを押さえ込んでいた男に飛び蹴りを食らわす翠星石

JUM「翠星石!」

30: 2009/02/03(火) 17:49:31.71 ID:Uw7lfDGk0
JUM「翠星石…」

翠星石「だから付いてくるなと言ったんですよ」

男B「て、てめえ!」

男D「やっちまえ!!」

翠星石「やれやれ…ですぅ」

32: 2009/02/03(火) 17:55:22.67 ID:Uw7lfDGk0
男B「ぐが!?」男D「がっ!」男E「おうふっ!」

飛び掛る男達に正拳、肘打ち、膝蹴りを叩き込む翠星石

翠星石「まあ、埃払いにはなったですか…」


大男「お、おまえら! てめえ…」

ボス格らしき男が手下の醜態を目の辺りにし、
怒りの形相で手元のショットガンに手を伸ばす

JUM「あ、危ない!」

34: 2009/02/03(火) 17:59:47.69 ID:Uw7lfDGk0
ドガンッ!

ショットガンを翠星石に向けて放つ大男

大男「へへっ逆らいやがるから…な、何!?」


翠星石「…」

放たれた弾丸は宙に舞う緑色の光球に遮られ翠星石に届くことは無かった


大男「その人工精霊は…キングオブローゼンの…す、翠星石!?」

39: 2009/02/03(火) 18:09:30.95 ID:Uw7lfDGk0
翠星石「…」スッ

翠星石は無言で大男との距離を詰めていく

大男「ひ、ひぃ…ドール格闘技の覇者に叶うわけがねぇ…」
情けない声を出しながら敗走するならず者達

シャシャシャシャ!

大男「ひっ!」

どこからともなく飛んできた羽根に退路を塞がれる大男達

「どこに行くのかしらぁ?」

41: 2009/02/03(火) 18:13:01.52 ID:Uw7lfDGk0
大男「ぎ、銀様ぁ…」

大男が銀様と呼んだ先には羽根の生えた人…いやドールが頭上から翠星石達を見下ろしていた

水銀燈「久しぶりねぇ、翠星石」

翠星石「水銀燈…」

45: 2009/02/03(火) 18:18:42.49 ID:Uw7lfDGk0
水銀燈「私の町で勝手な事されちゃ困るのよぉ」

翠星石「…用が済んだら出て行くですよ」

水銀燈「はいそうですか…って言うと思って?」

翠星石「…」

水銀燈「ほぉら、あんた達」

大男「は、はい!」

水銀燈「早くその子供をさらっちゃいなさぁい」

46: 2009/02/03(火) 18:23:39.88 ID:Uw7lfDGk0
JUM「うわ!」

男達はJUMを乱暴に引っ担ぐと無理やり車に押し込めようとする

翠星石「ジュン!?」


水銀燈「あなたの相手は…私よぉ!」

48: 2009/02/03(火) 18:28:46.45 ID:Uw7lfDGk0
シャシャシャシャ!

翠星石「くっ…」

水銀燈から放たれる羽根を一足飛びにかわす翠星石


水銀燈「ほら、ほらぁ…あなたの大事なミーディアムが連れてかれちゃうわよぉ」


JUM「翠星石ー!」


翠星石「ジュ…ジュン」

49: 2009/02/03(火) 18:33:35.03 ID:Uw7lfDGk0
バタン! ブロロロロロロロ…

JUMを乗せた車は勢いよくアクセルを吹かしその場から遠ざかっていく

翠星石「ジュン!」

水銀燈「あなたの相手は私って言ってるでしょ!」

50: 2009/02/03(火) 18:40:28.48 ID:Uw7lfDGk0
ズダァン!

翠星石「うっ!」

水銀燈は翠星石に向かって滑走し、その勢いで飛び蹴りを放った

水銀燈「あ~ら? アリスファイターの実力ってこんなものぉ?」

翠星石「そこを…どけぇです!」

51: 2009/02/03(火) 18:46:30.67 ID:Uw7lfDGk0
水銀燈「くすくす…やぁよ」

翠星石「ジュン…」

水銀燈「ふふ…もうあなたの足でも追いつけないところへ行ったわよぉ…」

翠星石「…」

車が見えない位置まで行ったのを確認すると、後ろへ飛び退いて距離をとる水銀燈

翠星石「!? ま、待てです!」

水銀燈「くすくす…慌てなくても、こちらから申し込ませて貰うわ…」


水銀燈「…アリスファイトを…」

52: 2009/02/03(火) 18:52:15.32 ID:Uw7lfDGk0
翠星石「アリス…ファイト」

水銀燈「くすくす…詳細は追って連絡させるわぁ」

そのまま夜の闇に溶け込む水銀燈

翠星石「ま、待つです!」

水銀燈「慌てないで…くすくす。こちらにあなたのミーディアムが居ることを忘れずにね」

翠星石「ジュン…」

57: 2009/02/03(火) 19:01:20.95 ID:Uw7lfDGk0
――――――



翠星石「こんなところで…止まってる暇なんてないんですよ!」

ガッ!

拳を地面に叩きつけ苛立ちを見せる翠星石



「もしや、あんたは…」

翠星石「…?」

59: 2009/02/03(火) 19:04:26.33 ID:Uw7lfDGk0
「おお、そうだ! 翠星石じゃないか!」

翠星石「お、おじじ…」

元治「久々じゃのう…あの子が消えた日からか?」

翠星石「…」

元治「こんな所ではなんだ。私の家に来て話さんか?」

72: 2009/02/03(火) 20:24:09.24 ID:Fkn4xeV50
――――――――



元治「そうか、ジュン君が…」

翠星石「おじじに迷惑は掛けられんです。翠星石は行くですよ」

元治「待ちなさい。あの水銀燈のことだ、ジュン君を盾にお前を揺さぶってくるに違いないぞ」

翠星石「…」

翠星石「でも…それでも翠星石は前に進まなきゃいけないんです…」

73: 2009/02/03(火) 20:27:45.17 ID:Fkn4xeV50
元治「…」

翠星石「茶ぁうまかったですよ、おじじ。それじゃ」

元治「…分かった、ジュン君は私がなんとかしよう」

翠星石「え?」

元治「この町のことは大体分かる…無論、水銀燈のアジトもな」

翠星石「で、でもそれじゃおじじが…」

74: 2009/02/03(火) 20:31:31.08 ID:Fkn4xeV50
元治「心配するな。まだまだ心配されるような年じゃないぞ! ふふふ…」

翠星石「おじじ…」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


元治「!? な、なんだこの振動は?」

翠星石「これは…」

75: 2009/02/03(火) 20:36:39.42 ID:Fkn4xeV50
ガガガガガガガガガガガ…

元治「音が近く…」

翠星石「おじじっ! 伏せるですよ!!」


ズガガガァアーーーーーーーーーーン!!

天井を突き破って銀色の羽根が部屋の中を吹き荒れた


元治「うわぁあああああああああっ」

翠星石「この羽根は…水銀燈!」

76: 2009/02/03(火) 20:45:07.58 ID:Fkn4xeV50
水銀燈「あーっはっはっ、この町は私の庭みたいなものなのよ」

破壊された天井から水銀燈が姿を現した。
その体はアリスファイターの象徴ともいえる精霊装甲に覆われていた。

水銀燈「あなたがどこに居たってわかるのよぉ」


翠星石「くっ…もう勝負しに来たですか」

水銀燈「あ~ら残念。今日は招待のお知らせだけ」

翠星石「ジュンを…ジュンを返せです!」

水銀燈「ふふふ。そう、ミーディアムを返して欲しければ人工精霊無しでnのフィールドに来なさぁい」

翠星石「なっ…」

77: 2009/02/03(火) 20:48:34.18 ID:Fkn4xeV50
元治「馬鹿な! 人工精霊無しでアリスファイトをしろというのか!?」

水銀燈「くすくす…まぁそういうことぉ」

翠星石「…」

水銀燈「いいこと。一時間後にちゃあんと来るのよぉ」

元治「い、一時間後…」

翠星石「…わかったですよ」

79: 2009/02/03(火) 20:53:28.15 ID:Fkn4xeV50



水銀燈は去り廃屋となった部屋で元治と翠星石は途方に暮れていた

元治「一時間後ではとても…」

翠星石「大丈夫ですよ…おじじ」

元治「人工精霊無しで水銀燈と戦うつもりなのか!」

翠星石「大丈夫です…だって翠星石は誇り高きアリスファイターなのですから」

元治「翠星石…」

80: 2009/02/03(火) 20:58:18.03 ID:Fkn4xeV50
――――nのフィールド――――



水銀燈「ふふふ…ちゃんと人工精霊は置いて来たみたいねぇ」

翠星石「ジュンはどこですか!」

水銀燈「心配しなくても…」パチンッ

水銀燈が指を鳴らすと手下達がJUMを連れて翠星石の視界に入ってきた


JUM「す、翠星石…」


翠星石「ジュン…」

81: 2009/02/03(火) 21:03:37.41 ID:Fkn4xeV50
水銀燈「いくわよぉ、メイメイ!」

水銀燈が人工精霊の名を叫ぶと銀色の光が水銀燈の周りを舞い
ドレスの上を黒い装甲が覆い隠していった

手下「でた! あれが銀様のファイティングスタイル ネロ水銀燈!」


JUM「翠星石ーー!」


翠星石「くっ…」



水銀燈「それじゃ、アリスファイト…レディイイイ GO!」

82: 2009/02/03(火) 21:08:19.34 ID:Fkn4xeV50
水銀燈「銀色の羽ばたき!」

バババババババババ…

水銀燈が背中の翼を震わせると無数の羽根が翠星石に向かって降り注いだ


翠星石「たぁ!」バッ!

降り注ぐ羽根を一足飛びでかわす翠星石

84: 2009/02/03(火) 21:12:29.20 ID:Fkn4xeV50
水銀燈「あははぁ! いつまで続けられるかしらねえ?」

バババババババババ…

翠星石「…(確かにこのままじゃまずいですぅ…あれは!?)」

翠星石の視界の先にJUMを押さえた手下に忍び寄る元治の姿があった


翠星石「(おじじ…なんて無茶なことを!)」

水銀燈「ほぉら! よそ見してる暇なんてないわよぉ!」

バババババババババ…

翠星石「くっ…」

85: 2009/02/03(火) 21:17:34.04 ID:Fkn4xeV50



手下「今回も銀様の勝ちで決まりだな。まったく、あの人の悪知恵には毎回感心させられるな」

JUM「くっ…放せ!」

手下「おいおい暴れるなって。事が終わればオメェも放してやるからよ。
    ま、そんときゃアイツのローザミスティカも無くなってるだろうがな。ははは…あが!?」

ガッ!

JUM「し、柴崎さん…」

元治「はぁ…はぁ…大丈夫か? ジュン君」

86: 2009/02/03(火) 21:25:02.20 ID:Fkn4xeV50



翠星石(おじじ…感謝です)

水銀燈「よそ見するなって言ってるでしょお!」

ビュォオオオーーーー

高速で翠星石に接近し右の拳を翠星石へ向かって振りぬく水銀燈

ガシッ!

水銀燈「な!?」

翠星石は水銀燈の側面へ移動するようにかわし、伸びきった右の腕を掴んだ

87: 2009/02/03(火) 21:28:03.26 ID:Fkn4xeV50
翠星石「これで…状況は五分五分です」

ギリギリ…

右腕を装甲ごと掌握し、力を込めて握りこんでいく


水銀燈「うぐっ…な、何を言ってるのかしらぁ…」


翠星石「よく見るですよ。お前の間抜けな手下達を…」

ビキビキ…


水銀燈「何を…うっ!?」

88: 2009/02/03(火) 21:32:46.89 ID:Fkn4xeV50
水銀燈の視界には元治によってのされた手下の傍で
JUMと元治が翠星石に向かって手を振っていた


水銀燈「あ、あの、おばかさぁん…」


翠星石「ここからが本当のアリスファイトですよ!」

バキィ!!

水銀燈「うぁ!?」

翠星石は水銀燈の右腕の装甲を紙くずのように握りこんだ

89: 2009/02/03(火) 21:37:11.86 ID:Fkn4xeV50
水銀燈「う、うぁああああああああーーーーーッ!」

右腕を押さえ込み、その場でうずくまる水銀燈


翠星石「まだファイトは始まっちゃいねぇですよ…」

ポイッ

握りこんだ装甲の成れの果てを放り投げると、水銀燈との距離を詰めていく


水銀燈「うぅ…」

90: 2009/02/03(火) 21:41:20.06 ID:Fkn4xeV50
水銀燈「ち、近寄らないで!」

バサッ!

翼をJUM達の方へ向け、どうだと言わんばかりに勝ち誇る水銀燈


水銀燈「そ、それ以上近寄れば、あのミーディアムの無事は保障できないわぁ!」


翠星石「…」

タッ…タッ…

無言で水銀燈との距離を一歩ずつ縮めていく


水銀燈「き、聞こえていないのぉ!」


翠星石「…」

タッ…タッ…

91: 2009/02/03(火) 21:47:55.41 ID:Fkn4xeV50
水銀燈「後悔しなさい! あなたが悪いのよぉ!」

バババッ!!

振り上げた翼で羽根をJUM達に向かって飛ばす水銀燈



翠星石「出るですぅううう!! スィドリーッム!!!」

パチンッ!

翠星石が指を鳴らすと水銀燈とJUMとの射線上に緑色の光球が現れた

92: 2009/02/03(火) 21:53:09.37 ID:Fkn4xeV50
水銀燈「あれは…ぐぇ!?」

緑色の光球が羽根を吸収し、視線を逸らした水銀燈の胸部を
翠星石が右拳を深々と叩き込んでいた


翠星石「…」

タッ…

水銀燈はその場でうずくまり、翠星石はその隙に緑色の光球へ飛び込んでいった

93: 2009/02/03(火) 21:58:05.16 ID:Fkn4xeV50
水銀燈「よ、よくも…!? あ、あれが…翠星石の…」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

水銀燈の視線の先には薔薇の蕾のような物が鎮座し
その場で外周の花弁が一枚一枚展開していった


元治「あれは…」

JUM「そう…あれが翠星石のファイティングスタイル…スイニング翠星石」


全ての花弁が展開すると中から白い装甲を纏った翠星石が姿を現した


翠星石「それじゃ…アリスファイト……レディィィイイイー ゴーーーーーー」

94: 2009/02/03(火) 22:03:22.91 ID:Fkn4xeV50
水銀燈「ま、まだ負けたわけじゃないのよぉ…」

バババババババババ…

再び翼を震わせ翠星石に向かって羽根を繰り出す水銀燈


翠星石「…」

スッ…スッ…

右へ左へ羽根をかわし水銀燈との距離をつめる翠星石


水銀燈「は、早い…」

95: 2009/02/03(火) 22:08:22.62 ID:Fkn4xeV50
翠星石「お前が銀色の翼なら、こっちは翡翠の指ぃ!」

シュゥウウウウウウ…

緑色の光を右手に集約し、光の粒子が翠星石の右手を緑色に染めた


翠星石「ひぃいーーーさぁっつ! スィドリィーーーーーッム! フィッンガァアアーーーーーッ!!!」

ガシィ!!


水銀燈「きゃぁあああああああああああっ!」

97: 2009/02/03(火) 22:11:58.43 ID:Fkn4xeV50
翠星石の右手が水銀燈のヘッドドレスをワシ掴みにし、そのまま締め上げていく

ギリィ…ギリ…

水銀燈「い、いやぁあああああああああああっ!!」


翠星石「アリスファイト国際条約…第一条! ヘッドドレスを破壊された者は失格となる」

98: 2009/02/03(火) 22:14:38.92 ID:Fkn4xeV50
ギリィ…ギリ…

水銀燈「いや…いやぁ…」


翠星石「…」

懐から写真を取り出して水銀燈へ見せ付ける


水銀燈「そ、それは…」


翠星石「お前なら知っているですね」


水銀燈「そ、蒼星石…」

99: 2009/02/03(火) 22:17:05.80 ID:Fkn4xeV50
翠星石「蒼星石はどこにいるですか!」

水銀燈「知らない…知らなぁい…」

ギリィ…ギリ…


水銀燈「本当に…知らないのぉ…」

翠星石「…」

100: 2009/02/03(火) 22:21:34.79 ID:Fkn4xeV50
翠星石「アリスファイト国際条約 第二条…」

水銀燈「ミ…ミーディアムは狙っちゃ駄目ぇええーーーー」

パッ…

水銀燈のヘッドドレスから手を離し、拳をおさめる翠星石


水銀燈「え…?」

翠星石「命拾いしたですね…水銀燈」


水銀燈「な、何故…」



「…水銀燈…」

101: 2009/02/03(火) 22:26:03.82 ID:Fkn4xeV50
めぐ「水銀燈!」

水銀燈「め、めぐ!?」


翠星石「nのフィールドは人間には負荷が大きいですよ…早く連れて出てやるです…」

水銀燈「す、翠星石…」


めぐ「水銀燈! 水銀燈!」

水銀燈「めぐ、何故ここに…」

めぐ「だって私は水銀燈のミーディアムなんですもの…」

水銀燈「め、めぐぅ…」

104: 2009/02/03(火) 22:31:34.59 ID:Fkn4xeV50
――――――――



JUM「ここにもあいつはいなかったな…」

翠星石「まだ戦いは始まったばかりですぅ」

元治「もう行くのか…」

翠星石「世話になったですね。おじじ」

元治「また、寂しくなるのお…」

翠星石「…nのフィールドを使えばいつだって会えるですよ…」

元治「そうか…nのフィールドが」



翠星石「そう…nのフィールドがリングですよ」

105: 2009/02/03(火) 22:33:47.93 ID:Fkn4xeV50



元治「また、あの幼い子達が身を削って争う時代がやってきたのか…」


元治「いやな時代が…始まりおった」



                                    おわり

106: 2009/02/03(火) 22:36:20.53 ID:LfikKImA0
乙!

引用: 翠星石「この子を…知っているですか?」