6: 2008/10/03(金) 19:51:24.76 ID:CCPKG3UxO
翠「外は雨……」

蒼「雨だね……今日のピクニックは無理だね」

私の隣に立ち、蒼星石はそう言う。

翠「せっかく楽しみにしてたですのに」

蒼「しかたないよ。雨の日にピクニックに行っても面白くないだろう?」

翠「そうですけど…」
ローゼンメイデン 愛蔵版 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
8: 2008/10/03(金) 19:57:05.51 ID:CCPKG3UxO
翠「うぅ…じゃあ今日は何して遊ぶですか?」

蒼「えっと……」

顎に手をあて、蒼星石は悩み始める。

蒼「鬼ごっこ……とか」

翠「それは前にやって、お父様に怒られたですぅ」

蒼「あはは……そうだったね」

9: 2008/10/03(金) 20:03:47.72 ID:CCPKG3UxO
蒼「じゃあ料理は」

翠「う~ん…」

翠「できますか?」

蒼「たしかキッチンに料理の本があったよ」

翠「大丈夫ですかね?」

蒼「大丈夫だよ、ほら」

蒼星石はニコリを笑い、私の手をとる。

翠「あ…とと……」

そしてそのまま私をキッチンへと連れて行った。

11: 2008/10/03(金) 20:09:24.92 ID:CCPKG3UxO
蒼「あはは…」

翠「………」

目の前に真っ黒な何かがある。

翠「やっぱりできないですぅ!」

蒼「ん…難しいね」

翠「やっぱり火を使うのは難しいです」

サンドイッチなら簡単だが、クッキーは少し難しいようだ。

12: 2008/10/03(金) 20:16:03.22 ID:CCPKG3UxO
蒼「もうそろそろ9時だよ」

翠「もうそんな時間ですか?」

そのあと何回か作り直すうちに、そんな時間になってしまったみたいだ。

蒼「もう寝ないと」

翠「うぅ……」

蒼「明日はピクニックに行けるかもしれないよ」

翠「そうですね……もう寝るです」

蒼「じゃあ行こうか」

15: 2008/10/03(金) 20:22:54.97 ID:CCPKG3UxO
蒼「本当にいいのかい?」

翠「いいですよ」

そう言って、お父様の布団に潜り込む。

翠「どうせ、今日も徹夜で工房に篭ってるですよ」

蒼「あは、そうだね」

お父様はいつも工房に篭っている。
それはとても寂しく、とても悲しいことだった。

16: 2008/10/03(金) 20:28:50.15 ID:CCPKG3UxO
翠「なんでお父様は篭ってるんです……」

蒼「しかたないよ、お父様は僕たちの姉妹を作ってくれてるんだから」

翠星石、金糸雀、私に蒼星石、そして真紅……
今、私たちの姉妹はこの五人。

翠「私は蒼星石がいればいいですのに…」

蒼「あはは、僕は嬉しいけど……それは言っちゃダメだよ翠星石」

17: 2008/10/03(金) 20:34:23.56 ID:CCPKG3UxO
蒼「少し寒いかな……」

そう言って蒼星石は少し詰めてくる。

蒼「あったかいな…」

翠「こうしたらもっとあったかいですよ」

私はぎゅっと蒼星石を抱きしめる。

蒼「そうだね」

そうして蒼星石は微笑みをうかべ、私を抱き返す。

翠「えへへ……あったかいです」

カバンで寝るより疲れはとれないけれど、カバンで寝るよりあったかくて…
そしてなにより幸せだった。

19: 2008/10/03(金) 20:45:34.43 ID:CCPKG3UxO
翠「はやくはやくですぅ!」

蒼「は…は…ちょっと待って」

空は快晴、そして目指すは綺麗な花畑。

翠「ピクニック、ピクニック、ですぅ」

蒼「楽しそうだね」

翠「昨日は行けなかったですからね」

蒼「たしかに、僕も今日は楽しみだよ」

翠「なら、早く行きですよ」

私はそう言い、蒼星石の手を握って走りだした。

20: 2008/10/03(金) 20:51:24.30 ID:CCPKG3UxO
蒼「少し冷たいね」

花畑ね着き、腰をおろすと、蒼星石はそう言った。

翠「別に気にするなです」

たしかに地面は昨日の雨で湿っていて、花には沢山の露が輝いていた。

翠「じゃあ早速、お花で冠を作るです」

蒼「うん、そうしようか」

23: 2008/10/03(金) 21:00:05.92 ID:CCPKG3UxO
翠「できたです」

ジャーンと、花冠を高く掲げる。

蒼「すごいや翠星石、僕はまだ半分なのに」

翠「翠星石はお姉ちゃんですからね」

そう言って、私は胸をはった。

蒼「じゃあお姉ちゃん、僕にこつを教えておくれよ」

翠「え?……あ、お、お姉ちゃんにバンバン聞くといいですぅ!!」

24: 2008/10/03(金) 21:05:08.45 ID:CCPKG3UxO
蒼「ん……やっぱり難しいんだね」

翠「簡単ですよ、ここをこうして」

蒼「ん~…」

翠「難しいですか?」

蒼「ちょっと」

蒼星石は苦笑しながらそう言った。

翠「じゃあそろそろお昼にするです」

蒼「うん、そうしようか」

26: 2008/10/03(金) 21:09:46.98 ID:CCPKG3UxO
蒼「おいしいね」

翠「翠星石が作ったんだから当たり前ですぅ」

蒼「あはは、そうだね」

パクパクと、蒼星石は笑顔でサンドイッチを食べている。
私はこんな穏やかで、そしてほのぼのとした日々が大好きだった。
でも、それよりも蒼星石と一緒にいることが大好きで……

こんな時間がずっと続くと、ただ思っていた。

32: 2008/10/03(金) 21:55:53.15 ID:CCPKG3UxO
ローゼン「ほら、君達の新しい姉妹だ」

久しぶりにお父様が工房から出てきたと思ったら、お父様は新しい妹を抱えていた。

ローゼン「ほら雛苺、みんなに挨拶だ」

ストン、とお父様は雛苺と呼ばれた人形を床にそっと置いた。

雛苺「えっと……雛苺、なの」

ローゼン「みんな仲良くしてあげるんだよ」

お父様はそう言って、工房の中へと戻っていった。
戻っていくとき、お父様の顔は何故だか悲しそうだった。

33: 2008/10/03(金) 22:00:23.56 ID:CCPKG3UxO
雛苺「よろしく…なの」

お父様が戻っていった後、新しい妹は私たち一人一人に挨拶をしていった。

蒼「うん、よろしくね」

翠「………」

蒼「ほら、翠星石も」

翠「よろしくです……チビ苺」

雛苺「………?」

蒼「こら翠星石。ごめんね雛苺」

翠「翠星石は部屋に戻ってるです」

蒼「そうかい?僕は少し雛苺たちと話しているよ」

翠「………」

35: 2008/10/03(金) 22:05:46.67 ID:CCPKG3UxO
翠「はぁ…」

お父様の部屋に入り、ため息をついた。

翠「お父様……」

お父様は一体何がしたいのだろうか。
淡々と人形を作り、作ったと思ったら悲しい顔。

私にはお父様のやることが、いまいちわからなかった。

ふと外を見ると、いつかのピクニックの前日のように雨が降っていた。

37: 2008/10/03(金) 22:12:22.66 ID:CCPKG3UxO
雛苺「またヒナの勝ちなのー」

金糸雀「か、勝たせてあげたのかしら」

蒼「あれ?金糸雀、けっこう本気でやってなかったかな?」

金糸雀「………」

雛苺が姉妹に加わってから数日後、私たちはトランプをして遊んでいた。

翠「雨……」

蒼「?……うん、雨だね」

金糸雀「最近雨ばかりでいやなのかしら」

雛苺「たまにはお外で遊びたいのよ」

39: 2008/10/03(金) 22:17:33.72 ID:CCPKG3UxO
金糸雀「さ、早く続きを始めるかしらー」

そう言って金糸雀はトランプをシャッフルし始める。

雛苺「ヒナも、ヒナも混ぜたいのー」

金糸雀「これだけは譲れないかしら」

蒼「金糸雀、次は雛苺に……ね?」

翠「その次は翠星石にやらせるですぅ」

40: 2008/10/03(金) 22:21:33.59 ID:CCPKG3UxO
毎日が同じように過ぎていった。
晴れた日は外で走り回り。
雨の日はトランプや隠れんぼ。

だけどそんなほのぼのとして、平凡な日常は唐突に終わった。

46: 2008/10/03(金) 23:34:46.64 ID:xnMtMewZ0
エンジュ「ローゼンいい加減に目を覚まさないか」

このエンジュという男はお父様の弟子で時折工房に訪れていた
そして決まって口論を始めるのであった…

ローゼン「お前にはわかるまい…私の苦悩が」

48: 2008/10/03(金) 23:38:25.24 ID:xnMtMewZ0
ローゼン「私は多くの人々を救いたいんだ」

エンジュ「そんなことよりもあなたにはやるべきことがあるはずだ!」

また今日もいつも通りの内容だ
エンジュという男も懲りずによく来るものだ…半ば感心してしまう

49: 2008/10/03(金) 23:44:43.41 ID:xnMtMewZ0
そして運命の日はやってきた…

蒼「工房が、工房が火事に…!?」

金「いやぁー!お父様ぁ!」

雛「行かせて!止めないで翠星石!」

翠「チビ雛が行ってもどうにもならんです!私が行くです」

50: 2008/10/03(金) 23:52:05.34 ID:xnMtMewZ0
翠「庭師の如雨露があれば火はどうにかなるですお前達はここで待つです!」

蒼「僕も行くよ翠星石!」

翠「駄目です!私が消せるのは小範囲の火のみ…蒼星石まで庇える自信がねぇーですよ…」

蒼「でも…」

翠「大丈夫…蒼星石はここで姉妹達を守ってほしーですよ!」

雛「うぇぇええん…」

金「泣き止むかしら雛苺…きっと翠星石がお父様を連れ帰ってくれるかしら」

蒼「翠星石…無茶はしないで」

51: 2008/10/03(金) 23:57:24.56 ID:xnMtMewZ0
翠「大丈夫です!きっとお父様を連れてくるです!」

そう言って私は燃えさかる工房へその身を投じた


思ったよりも火の手が早い…このままじゃお父様は…
いや、きっと大丈夫なはずだ。私は不安な考えを振り払って行く手を塞ぐ火を如雨露で消し進んだ

52: 2008/10/04(土) 00:02:50.81 ID:Q69Qc2ri0
もう建物がもたない…
私の命はいい、でもお父様だけはなんとしても助けださなくては

翠「お父様ー、返事を…返事をして下さいです!どこにいるですかー!」

何度も叫ぶが返事が返ってこない。不吉な考えが頭をよぎる

…諦めかけたその時

ローゼン「翠星石…?」

54: 2008/10/04(土) 00:07:19.68 ID:Q69Qc2ri0
翠「お父様ー!」

私は体当たりするようにお父様の胸に飛び込んだ

ローゼン「何故、こんな危険な場所に…」

翠「お父様こそ…いえ今は話す時間は無いです。早くここから…」

ガラガラガラ

今通った扉が音を立てて崩れ去った。これでは如雨露を使っても戻れそうにもなかった

翠「あ…あ…」


55: 2008/10/04(土) 00:14:37.17 ID:Q69Qc2ri0
翠「…ごめんなさいです。助けに来たのにここから連れ出せそうにないです…」

このまま私はお父様も助け出せず灰となっていくのか。涙が止まらない

ローゼン「大丈夫だ翠星石」

翠「…え?」

お父様はやさしい笑みを浮かべて私を抱きしめてくれた

56: 2008/10/04(土) 00:17:54.73 ID:Q69Qc2ri0
ローゼン「今ここから連れ出してやるからな」

翠「で、でもどうするんです…?」

ローゼン「まだ未完成だが…これしきの炎」

落ち着き払ったお父様の前には胴体の無い未完成のドールが佇んでいた

57: 2008/10/04(土) 00:20:39.41 ID:Q69Qc2ri0
ローゼン「いくぞ、水銀燈」

銀「はい…お父様」

そう言うとそのドールは背中の翼を震わせ瞬く間に炎をなぎ払っていった

58: 2008/10/04(土) 00:25:54.78 ID:Q69Qc2ri0
翠「す、すごいです…」

ローゼン「翠星石、私にしっかり捕まるんだ」

お父様は私を抱いて水銀燈が開いた道を駆け足で進んでいく

ローゼン「水銀燈、気をつけろ!まだヤツがいるかもしれない」

59: 2008/10/04(土) 00:31:29.86 ID:Q69Qc2ri0
翠「ヤツって…?」

ローゼン「エンジュの奴さ。奴は私の工房に火をつけて私を殺そうとした」

あのエンジュが…何故お父様を…

銀「お父様、火の手が強すぎます…このままでは」

ローゼン「くっ…只の火ではないということか…」

61: 2008/10/04(土) 00:36:31.88 ID:Q69Qc2ri0
銀「お父様!その子をしっかり抱いていて!」

ローゼン「お前一体何を…」

翠「も、もう駄目ですか?」

銀「聞きなさぁい妹よ、私は第一ドールの水銀燈…姉としてお願いするわ。お父様をしっかり守るのよ」

そう言うと水銀燈は背中の翼で私達を上空へ跳ね上げた…

62: 2008/10/04(土) 00:42:53.22 ID:Q69Qc2ri0
翠「うっうわわわぁあああ」

ローゼン「水銀燈ーっ!」


銀「…せっかく動けるようになったというのについてないわねぇ…お父様を頼むわよ…」

火の手に包まれた工房が崩れていく…水銀燈を巻き込んで

70: 2008/10/04(土) 07:09:22.74 ID:Q69Qc2ri0
――――――――――数週間後―――――――――――

翠「お父様、お茶が入りましたです」

ローゼン「・・・」

あの事件からお父様は別宅の工房で作業に篭るようになってしまった
他の姉妹達は姿を消し、焼け跡からは水銀灯の残骸さえも見つけることができなかった


71: 2008/10/04(土) 07:16:05.79 ID:Q69Qc2ri0
そして時折耳に入る噂…
得体の知れない人形が、たびたび戦場に現れ不思議な力で殺戮を繰り返しているという


ローゼン「…私の責任だ。なんとかしなければ…」

お父様は時折こう呟く
噂の人形が私達の姉妹だというのか…考えたくない…
でも生きていてくれるかもしれない…
そんな考えが私を苦しめていく

72: 2008/10/04(土) 07:29:18.26 ID:Q69Qc2ri0
ある朝、お父様は私を工房に呼んだ
そこには銀色の衣装を纏った人形が静かに起動の時を待っていた

ローゼン「まだ未完成だったお前の妹だ」

翠「動くのですか?」

ローゼン「あぁ、でもまだテスト中なんだ。」

翠「…この色は水銀燈を思い出すですよ」

ローゼン「…そうか。ではどんな色がいい?」

翠「あの…、あの炎にも負けない真っ赤な…赤がいいですよ」

74: 2008/10/04(土) 07:35:11.03 ID:Q69Qc2ri0
その人形…妹は真っ赤な服に変えられ名前を真紅とされた
そしてある日お父様は真紅を連れて別宅を出て行った…私を残して…

75: 2008/10/04(土) 07:46:22.88 ID:Q69Qc2ri0
―――――――――――――――――――――――――


これから起こる惨劇を翠星石には見せたくない
あの子はやさしい子だ…
私は別宅に翠星石を置いてきた事を後悔しつつも
どうしようもない事だと自分を納得させることしかなかった

紅「お父様…あまり自分を責めないで。あの子にこれからの事は耐えれそうにないもの」

真紅…この子は勘がいい。何も言わずとも私の表情から何を考えているか読み取ったらしい

ローゼン「あぁ、だがお前にだけつらい思いをさせてしまう…本当にすまない…」

紅「いえ、私はお父様の娘…誇り高きローゼンメイデン第五ドール 真紅ですもの」

紅「お父様の命とあらば、この命投げ出しても構いませんわ」


77: 2008/10/04(土) 08:13:53.98 ID:Q69Qc2ri0
ローゼン「ここが噂の戦場か…どうだ真紅、周りに姉妹達の気配は」

紅「いえ、ここには姉妹の気配を感じませんわ」

ローゼン「そう…か」

私はドールが見つからないことに焦りを感じつつも心のどこかで安堵していた

78: 2008/10/04(土) 08:21:48.68 ID:Q69Qc2ri0
ローゼン「早くドール達を…破壊して回収しなくては…」

紅「…!?お父様七時の方向に反応が!」

ローゼン「何!?」

80: 2008/10/04(土) 08:28:07.99 ID:Q69Qc2ri0
紅「お父様!姉妹の気配が…二体…いや三体!?」

ローゼン「…待ち伏せか」

ローゼン「真紅、力の供給はどうだ?」

紅「大丈夫ですわ、お父様。稼働時間はたっぷりあります」

ローゼン「くるぞ!」

81: 2008/10/04(土) 08:33:36.70 ID:Q69Qc2ri0
空からの来客…ドール達だ
以前と変わらぬ姿…いやその服にはおびただしい血の痕跡と
正気を失った目がこちらを見据えている

苺「…オ父様」

蒼「…オ父様」

金「…オ父様」

84: 2008/10/04(土) 08:40:49.44 ID:Q69Qc2ri0
ローゼン「…お前達、私が分かるか?」

真紅「お父様、危険です!彼女達に近寄らないで!」


苺「ゴガガガガグゥオオオオガガガアッガ」

蒼「ギギギダゴオチンポビグギギガガガ」

金「グウァウアウァハシアウササビダニダ」


ローゼン「くっ…」

ドール達はぎこちない動きで私に襲い掛かってきた。
やはり戦いは避けられないのか…

89: 2008/10/04(土) 08:48:34.54 ID:Q69Qc2ri0
真紅「お父様!」

真紅が手をかざすとその手から薔薇の花びらがひらひらと舞い落ちる
―閃光―
花びらが舞ったかと思えば凄まじい光が真紅から放たれていた

苺「ガァアアアアアアアアアアアアア」

蒼「グゥウウウウウウウウウウウウウオチンポ」

金「アイゴォオオオオオオオオオオオオオ」

ローゼン「凄まじい…これほどの威力とは」

真紅から放たれた光はドール達を軽く数百メートルは吹き飛ばしていた

91: 2008/10/04(土) 08:54:35.81 ID:Q69Qc2ri0
※※※「な…なんだ、その力は…」

ローゼン「誰だ!?」

紅「そこ!」

真紅は倒壊した建物に向かって閃光を放った

※※※「うわぁあああああああ!」

建物からはじき出されるように男が飛び出してきた

ローゼン「お、おまえは…エンジュ!?」

93: 2008/10/04(土) 09:01:35.14 ID:Q69Qc2ri0
エンジュ「ぐぅ…そ、そうか…その人形の力の源はお前の胸にある光と見た…」

腐っても私の弟子か…エンジュは真紅の力の源を一発で見抜いたようだ

ローゼン「そんなことはどうでもいい…返してもらうぞ、私のドール…娘達を!」

94: 2008/10/04(土) 09:06:15.51 ID:Q69Qc2ri0
エンジュ「ふふ…今あなたと戦うのは分が悪いようだ、おいで…薔薇水晶」

いつの間にかエンジュの傍らに白いドールが立っていた

紅「まだ居たの!?」

ローゼン「…違う、あれはお前の妹じゃない。エンジュのドールか!?」

95: 2008/10/04(土) 09:13:25.99 ID:Q69Qc2ri0
エンジュ「不完全ではありますがね…そうそう、あなたのもう一人の娘…水銀燈も預かってますよ」

ローゼン「なっ!?」

エンジュ「私の考えが正しければ水銀燈はその赤い人形のプロトタイプな筈…」

紅「これ以上姉妹を弄ばせたりしないのだわ!」

ローゼン「よせ!真紅」

私の静止の言葉よりも早く真紅の閃光は放たれていた…だが閃光の先にエンジュの姿はもうなかった

ローゼン「これは…あの白い人形の力か…」

96: 2008/10/04(土) 09:28:09.51 ID:Q69Qc2ri0
―――――――――――――――――――――――――


ぐぅ、ローゼンの奴め…いつだって奴は私の一歩…いや二歩先をゆく…

薔薇「お父様…大丈夫ですか…?」

エンジュ「あぁ…」

正直私の薔薇水晶ではローゼンの赤い人形には適わないだろう…だが私の手には水銀燈がある…
奴が…ローゼンが…最初から私に協力していれば…
平和等という幻想にうつつを抜かし私のドール兵士計画にはまったく耳を貸さなかった…
そんな奴には罰をくれてやらねばならない…そう、私の手で

エンジュ「水銀燈を蘇生させるぞ。準備しなさい薔薇水晶」

薔薇水晶「はい…お父様…」

116: 2008/10/04(土) 16:52:00.87 ID:Q69Qc2ri0
エンジュ「クソ!何故だ?何故動かないんだ!」

焼け跡から回収された水銀燈の姿は元ジャンクとは思えないほど綺麗に修復されていた

薔薇水晶「お父様…落ち着いてください…」

エンジュ「落ち着けだって?これが落ち着いていられるか!」

くそう…忌々しいローゼンめ…何故奴に出来て私に出来ないことがある…
…そうか!ローゼンの胸の光…あれを再現することができれば

117: 2008/10/04(土) 16:58:30.60 ID:Q69Qc2ri0
―――――――――――――――――――――――――


ローゼン「…どうだ?姉妹達の様子は」

紅「大丈夫ですわ、お父様。皆気を失っているだけの様子」

ローゼン「そうか…」

真紅の報告を聞いてほっと胸を撫で下ろす。破壊も止むを得ないと思っていたが
元のドールに戻せるのならばそれにこしたことはない

苺「ウニュゥ~…」

蒼「スースー…オチンポ」

金「シャザイトバイシュウヲ…」

118: 2008/10/04(土) 17:05:28.40 ID:Q69Qc2ri0
ローゼン「さて工房に戻って皆の体を直してやらないとな」

紅「翠星石は大層喜ぶでしょうね」

ローゼン「あぁ双子の蒼星石も無事につれて帰ることができそうだしな」

翠星石…惨状を見せないためにあえて連れてこなかったが彼女はまだ
私を待ってくれているだろうか…

121: 2008/10/04(土) 17:21:25.43 ID:Q69Qc2ri0
翠「お父様ー!」

扉を開けると翠星石が弾丸のように飛びかかってきた

翠「どうして!どうして!どうして翠星石を置いて行っちまったですか…!」

ローゼン「すまない…翠星石」

翠星石は泣きじゃくりながら私の胸をポカポカ叩いている
私は翠星石を抱きながらそっと頭を撫でてやった…

紅「ちょっと!お父様!抱っこの時間が長いんじゃなくて!」

122: 2008/10/04(土) 17:30:08.49 ID:Q69Qc2ri0
翠「蒼星石!雛苺!それに金糸雀まで!」

ローゼン「あぁ…みんな無事に連れ戻すことができたよ…ただいま」

翠「うっ…うっ…みんな無事でよかったです…おかえりですぅ…」



紅「誰か忘れてるのだわ…」

123: 2008/10/04(土) 17:34:52.96 ID:Q69Qc2ri0
翠「お父様、蒼星石達はいつ目を覚ますですか?」

紅「それは…」

翠「真紅には聞いてねぇーです!」

紅「…」

ローゼン「おいおい、戻ったばかりで姉妹喧嘩はよしてくれ」

ローゼン「眠りの原因は分からないが姉妹達の魂もローザミスティカもしっかりその体内に感じ取ることができた」

ローゼン「施設と設備さえあればすぐに原因を解決できるさ」

124: 2008/10/04(土) 17:39:15.92 ID:Q69Qc2ri0
―――――――――――――――――――――――――


それからお父様は姉妹達の眠りの原因を探るため再び工房に篭り始めた…

紅「紅茶を入れて頂戴、翠星石」

翠「ちょっとは姉を羨まねーですか!」

まったく、この妹ときたら姉を姉と思わない態度と来ている
従順な蒼星石とは大違いだ

125: 2008/10/04(土) 17:42:34.17 ID:Q69Qc2ri0
でも…幸せな生活…私はそう実感することができた
これで他の姉妹達が目を覚ませば昔のように仲良く暮らすことができるのだと…



だがその生活も長くは続かなかった

126: 2008/10/04(土) 17:49:08.00 ID:Q69Qc2ri0
ガシャアァァーーーーーーン

工房からけたたましい音が鳴り響いた、と同時に真紅が床に倒れた。

翠「ど、どうしたですか?真紅!」

紅「う…お父様が…私とお父様を繋ぐ…ローザミスティカが…は…やく…お父…様を…」

真紅はそういい残すと静かに目を閉じた…

翠「いやあー!お父様ぁー真紅があー!!」

私は工房へ一目散に飛び込んだ。そこで信じられないものを見た…

128: 2008/10/04(土) 17:57:46.25 ID:Q69Qc2ri0
三体の姉妹達に見守られるようにお父様が横たわっていた…

翠「お父様!!一体何があったですか!?」

ローゼン「う…う…く…るな…翠星石…」

その胸からはおびただしい出血とともに何か抉られた跡があった

蒼「これは頂いていくよ。オ父様」

翠星石の手には大きなローザミスティカが握られていた
片方の手には血まみれの庭師の鋏が…

129: 2008/10/04(土) 17:59:02.84 ID:Q69Qc2ri0
>>128
ミス
× 翠星石の手には大きなローザミスティカが握られていた
              ↓
○ 蒼星石の手には大きなローザミスティカが握られていた

131: 2008/10/04(土) 18:05:05.75 ID:Q69Qc2ri0
ローゼン「く…迂闊だった…まだエンジュの呪縛が解けていなかったとは…ガハァ…」

翠「喋らないでお父様!今治療を…あぅ!」

お父様の傍に駆け寄ろうとした瞬間、雛苺の苺わだちに弾き飛ばされた

雛「勝手に近寄っちゃ駄目なのー。オ父様はここで朽ち果てる運命なのー」

132: 2008/10/04(土) 18:13:12.66 ID:Q69Qc2ri0
金「どうするの?この子は。一緒に連れていくのかしら?」

蒼「いや、ただの人形はもう十分だよ…」

金「それじゃ少し遊ばせてもらうかしらー、ピチカート!」

そう言うと金糸雀はバイオリンを取り出し私に向かって来た。

翠「ぅ…す、スィドリー…」

雛「させないのー!」

苺わだちが体を激しく締め付ける。体がバラバラになりそうだ…

134: 2008/10/04(土) 18:18:39.12 ID:Q69Qc2ri0
金「攻撃のワルツ!」

激しい風が私の体を引き裂いていく

雛「あははは~すっかりジャンクなの~」

翠「ぁぅ…、ぉ父…様…」

蒼「二人ともその辺でいいだろ…」

翠「蒼…星石…」

見上げた蒼星石の目に光はなかったが、オッドアイからは涙が滴り落ちていた

135: 2008/10/04(土) 18:30:14.62 ID:Q69Qc2ri0
―――――――――――――――――――――――――


私はもう長くは無い…自らの心臓を巨大なローザミスティカとし、それを真紅への力の媒体とする
それが真紅の力の秘密だ
それに目をつけたエンジュが私のドール達を利用し私のローザミスティカを奪わせたのだろう
エンジュの呪縛を解き払ってやれなくて本当にすまない…最後まであの子達を苦しませるなんて…
だって鋏を振るうあの子の顔は苦痛にゆがんでいたのだから…


「…ぉ父…様…とぅ…様…」


…誰だ私を呼ぶのは…もう眠らせてくれ…こんな争いだらけの世界なんて…


「…様…ぅ…お父様!」

137: 2008/10/04(土) 18:37:31.56 ID:Q69Qc2ri0
翠「お父様!」

私を呼ぶ声に突き動かされ私は眼を開いた。そして目の前には見るも無残な姿の翠星石が横たわっていた

ローゼン「す…翠…星石…なんて姿に…」

翠「…よ…かった…お父…様…」

翠「翠…星石の…ロー…ザミスティカ…をお父様に…」

138: 2008/10/04(土) 18:44:02.94 ID:Q69Qc2ri0
ローゼン「よせ…やめろ…」

翠「翠…星石は…このままでは…どうせ氏ぬん…ですぅ…それならば…」

ローゼン「…私に…娘の…命を奪え…と…いうのか…」

翠「たとえ…氏んだって…私…の心は…お父様…と一緒…ですぅ…」

翠「でも…でも…怒られ…たまま…逝くのは…いや…最後に…」

翠星石の綺麗なオッドアイから止め処も無く涙が流れていた…その幼い手を私に伸ばして

140: 2008/10/04(土) 18:47:38.79 ID:Q69Qc2ri0
翠「…ぉ父…様…父様…最後に…さ…後に…」

ローゼン「…あぁ…いい子だね…翠…星石…」

私は最後の力を振り絞って翠星石の顔を撫でてやった…

141: 2008/10/04(土) 18:54:40.07 ID:Q69Qc2ri0
―――――――――――――――――――――――――


う…うぅ、一体どれくらいの時間私は眠っていたのだろう?

紅「はっ…!お、お父様!」

私は工房へ足を走らせた。さっきの私の機能停止はお父様に何かあったに違いない
胸騒ぎが止まらない…はやく…はやく…お父様の下へ

149: 2008/10/04(土) 20:31:07.68 ID:Q69Qc2ri0
工房の中では血塗れのお父様が翠星石を抱いたまま立ち尽くしていた…

紅「いやあぁーー!お父様!翠星石!」

ローゼン「真紅か…」

紅「お、お父様よかった…翠星石は…?」

ローゼン「翠星石は眠ったよ…もう誰もこの子を傷つけさせやしない…」

お父様の腕に抱かれていた翠星石は心なしか赤子が微笑んでるように見えた…

150: 2008/10/04(土) 20:31:42.38 ID:Q69Qc2ri0
ローゼン「真紅、今の稼動状況はどうだ…?」

紅「20%…といったところです…お父様、その胸のローザミスティカは…」

ローゼン「20か…だが…行かない訳にはいかない。なあ…真紅」

紅「はい、お父様」

きっとあの胸のローザミスティカは翠星石のものだろう
数字で劣っていたって、きっと翠星石が助けてくれる…
力を貸して頂戴…お姉様

151: 2008/10/04(土) 20:37:53.42 ID:Q69Qc2ri0
―――――――――――――――――――――――――


エンジュ「くくく…あーっはっはっ」

エンジュ「ローゼンは氏に、私の手には最強のドール兵士の源がある…」

苺「…」

蒼「…」

金「…」

エンジュ「ん?まだ居たのか。もう下がっていいぞ」

エンジュ「…どうした?何故動かない」

152: 2008/10/04(土) 20:42:23.88 ID:Q69Qc2ri0
蒼「…さない」

エンジュ「ん?」

苺「…くないの」

金「…したくないかしら」

エンジュ「どうした?エラーなのか」

蒼「…」

体が思うように動かせない…でも許しちゃいけない…目の前のこの下衆な人間を
動け!僕の体よ…そして目の前の人間を八つ裂きに…

153: 2008/10/04(土) 20:49:12.39 ID:Q69Qc2ri0
エンジュ「ちっ…ジャンクが…」

蒼「…」

関節が軋む…バラバラになりそうな衝動…これがエンジュの呪縛か
でもいい壊れたって…一太刀浴びせることができれば…

蒼「レ…ン…ピ…カ」

エンジュ「なにぃ!?」

僕は飛んだ。体がボロボロになっていくのが分かる。でも…でも…
この鋏だけは振り下ろさせて…神様

154: 2008/10/04(土) 20:56:30.54 ID:Q69Qc2ri0
エンジュ「ぐあぁーーーーー!!」

やった…目の前の人間が真っ赤な地飛沫を上げている…でも二の太刀までは無理だ…
もう立てないし鋏も振るえない…もはや目も見えない…

エンジュ「馬鹿野郎!蒼星石ぃ!誰に刃を向けている!?ふざけるなあああ!!」

156: 2008/10/04(土) 21:02:59.23 ID:Q69Qc2ri0
―――――――――――――――――――――――――


エンジュ「お前のようなジャンクが私に手を上げるとはとんだ出来損ないだな!ローゼンメイデンってのはまったく!」

蒼星石が鋏を振り上げ飛んだ瞬間、彼女の体はボロボロになって地に伏せた
でも鋏はエンジュに届いた…それが彼女の意思…決してお前には屈服しないと!
なら私にだってできるかしら!誇り高きローゼンメイデン第2ドールの金糸雀なのだから

157: 2008/10/04(土) 21:12:50.03 ID:Q69Qc2ri0
金「ピ…チ…カート…」

エンジュ「何ぃ!?ちっ薔薇水晶!そのガラクタ共をかたずけろ!」

薔薇水晶「はい…お父様…」

蒼星石がエンジュに浴びせた太刀のおかげで呪縛が緩んだ
なら私も次を繋ぐために戦うかしら!

金「ま…魔法のフィナーレ!」

薔薇水晶「遅い…」

四方からの水晶が私を貫いた

158: 2008/10/04(土) 21:18:39.32 ID:Q69Qc2ri0
金「ふふ…」

薔薇水晶「…?」

金「もう演奏は終わっているかしら…」

薔薇水晶「何も…変わってはいない…」

金「そう…?変わらないものなんて何もないのかしら…」

金「フィナーレは終曲…終わらないものなんて…何も無い…かしら」

金「あなた達の野望も…そして忌々しい呪縛も…」

159: 2008/10/04(土) 21:26:44.94 ID:Q69Qc2ri0
―――――――――――――――――――――――――


大好きな姉達が次々に倒れていく…泣きたい…逃げ出したい…
でもここで逃げ出しちゃいけない!私はローゼンメイデン第6ドール雛苺!

金「雛苺…分かるかしら…次を繋ぐのよ…」

大好きな姉が大きな目を一度ウインクし再びその瞳が開くことはなかった…


162: 2008/10/04(土) 21:32:24.93 ID:Q69Qc2ri0
エンジュ「逃がすな、薔薇水晶!」

雛苺「苺わだち!」

薔薇水晶「くっ…」

分かっている…今私がすることはここで戦うことではない。次を繋ぐことだ
姉達は全て倒れた…水銀燈を除いて

雛苺「今、雛ができることは水銀燈を開放することなの!」

私は一目散に水銀燈が修復されている部屋へ飛び込んだ

163: 2008/10/04(土) 21:38:10.96 ID:Q69Qc2ri0
雛苺「起きて、水銀燈!」

だが目の前の水銀燈は目を開くことはなかった

エンジュ「くくく…残念だったな、雛苺」

エンジュ「ソイツはコレがないと動かないんだよお」

エンジュは手に持ったそれをどうだと言わんばかりに見せ付けている

雛苺「…ローザ…ミスティカ…」

164: 2008/10/04(土) 21:43:47.51 ID:Q69Qc2ri0
エンジュ「そいつら特殊なローゼンメイデンは人間を媒介とし強力な力を得ることができる」

エンジュ「つまり人間側にローザミスティカを宿し生命力ごとローザミスティカの力を流し込むってことだな」

エンジュ「まあ私が媒介になるのはまっぴらごめんだが、お前の相手など薔薇水晶で十分!」

エンジュ「行け、薔薇水晶!」

薔薇水晶「はい…お父様…」

165: 2008/10/04(土) 21:48:12.56 ID:Q69Qc2ri0
特殊とはいっても元は同じローゼンメイデン…これは賭けだけど

雛苺「くっ…」

薔薇水晶「さようなら…ローゼンメイデン…」

雛苺「がっ…」

大きな水晶が私の体を貫いた…

雛苺「…ありがとうなの…」

薔薇水晶「…?」

166: 2008/10/04(土) 21:54:02.32 ID:Q69Qc2ri0
雛苺「…雛ね、痛いのは嫌だから自分ではできそうになかったの…」

薔薇水晶「何を…言っているの…?」

雛苺「でもね…これだけ大きな穴が空いているなら…」

雛苺「自分でも…ローザミスティカを取り出せるの!」

エンジュ「薔薇水晶ォー!そのローザミスティカを水銀燈にいれさせるなァーッ!!」

雛苺「いいや、限界だ!いれるね!」

170: 2008/10/04(土) 22:05:40.29 ID:Q69Qc2ri0
―――――――――――――――――――――――――


私はローゼンメイデン第1ドール…水銀燈
あの業火の中、命を失いそして今再び生を受けここに立つ

雛苺「…後は…お願いなの…お姉ちゃん…」

腕の中で雛苺が力なく呟く。一度も会ったことがない妹だけれど全てが分かる
これは私の中で息づくローザミスティカの記憶だろうか…
ならば報いなければ雛苺の…妹達の思いを!

171: 2008/10/04(土) 22:12:27.83 ID:Q69Qc2ri0
エンジュ「馬鹿な…何故動く…!?」

銀「好き勝手やってくれたわねぇ…」

エンジュ「ば、薔薇水晶…水銀燈を」

グシャ
私は翼で目障りなドールを叩き潰してやった

エンジュ「あっ…あっ…」

銀「次はあなたよぉ…人間!」

172: 2008/10/04(土) 22:22:13.42 ID:Q69Qc2ri0
銀「ぐっ…ち、力がぁ…」

力が抜けていく…以前お父様と共に在った時とは違う…
これは人間の力を借りず自分の力を使った代償というのぉ…

エンジュ「ははは…そうか…不完全なんだもんなあ、はははははは」

銀「そ…こを動かないで…」

私は力を振りしぼって羽根を飛ばす
ヒュヒュヒュヒュン!

エンジュ「ちっ…まだそんな力が」

エンジュ「もういい、不完全なジャンクには用は無い!」

173: 2008/10/04(土) 22:25:46.92 ID:Q69Qc2ri0
エンジュ「ここで氏ねえ!」

エンジュが薔薇水晶の水晶を振り上げて私の頭を叩き潰そうとしている…
ごめんなさいねぇ…雛苺…私あなたの願いを聞いてあげられなかった…

174: 2008/10/04(土) 22:37:56.96 ID:Q69Qc2ri0
「そこまでだ!」

エンジュ「何!?なぜお前たちが!」

紅「あなたの野望もここまでだわ!」

ローゼン「大丈夫か?水銀燈」

銀「あぁ、神様っていたのねぇ…最後にお父様に会わせてくれるなんてぇ…」

ローゼン「おい、しっかりしろ!水銀燈!」

銀「も…う、力が…雛苺も…頑張ってくれてるけど…私…ここまでみたい…」

紅「…しっかりしなさい!あなた長女なんでしょう!?」

銀「ふふ…生意気な妹ねぇ…最後くら…い、お姉…ちゃんって呼びなさ…」

ローゼン「水銀燈!水銀燈ォー!」

176: 2008/10/04(土) 22:47:59.74 ID:Q69Qc2ri0
―――――――――――――――――――――――――


人々を救いたかった…幸せの人形を作り皆と平和に暮らしたかった…
だが何故こんなことに…私の人形は誰も幸せにできやしない…他人も…自分さえも


ローゼン「…満足かエンジュ…」

エンジュ「なっ…!?」

ローゼン「私をここまで苦しめて満足かって聞いているんだよぉお!」

ドガッ
力いっぱいエンジュを殴りつけてやった

エンジュ「ぐあぁああー」

ローゼン「ぐぅ…ハァ!ハァ!」

紅「お父様!?無茶をしないで!人の心臓の代わりになるにはあのローザミスティカは小さすぎるもの…」

177: 2008/10/04(土) 22:55:42.56 ID:Q69Qc2ri0
エンジュ「ぐぅ…そ、そうか、お前が生きるにはこのローザミスティカが必要ってことか。くくく」

いやらしい笑みを浮かべながらエンジュは懐に手をいれた

紅「変な動きをしないで!もうあなたを守る人形はいないのだわ!」

エンジュ「いいや!まだここに切り札があるんだな」

エンジュは懐からローザミスティカ…私の心臓を取り出した

エンジュ「このローザミスティカを壊されたくなければ私をここから逃がすんだ…」

ローゼン「…それだけか?」

エンジュ「え…?」

ローゼン「お前の切り札はそれだけかと聞いているんだ」

178: 2008/10/04(土) 23:02:59.49 ID:Q69Qc2ri0
ローゼン「真紅…」

真紅は何も言わずエンジュの方へ手をかざした

エンジュ「な、何をするローゼン。これが無ければまもなく氏ぬことになるのだぞ!」

エンジュ「それに、そんな小さなローザミスティカで力を使ってみろ。もはや氏は明白ではないか!」

ローゼン「すまない真紅…」

紅「いいえ、お父様…私はローゼンメイデン第1ドール真紅…命はお父様と共に…」

エンジュ「やめろぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

そして真紅から最後の閃光が放たれた…

180: 2008/10/04(土) 23:23:49.21 ID:Q69Qc2ri0
私は氏んだのか…最後の力を使って…

パンッパンッパンッ
※※※「中々楽しませて頂きましたよ」

ローゼン「誰だ、お前は…」

※※※「今後あなたとは不快…いや深い付き合いになることもございましょうが今日は顔見せということで…」

ローゼン「一体何を…それにここは…?」

ローゼン「あれは…ドール達!?」

※※※「ここはnのフィールド、そして人形達は七つに分かれたあなたの心臓を元に戻すため戦いあう…」

ローゼン「なんだと!…ぐっ…」

※※※「おやおや、今のあなたには心臓が無い…ここnのフィールドで心臓が元に戻るのを待つしかないのです。ククッ」

ローゼン「一体お前は…」

※※※「なぁに…ただの道化師です」

※※※「そうですねえ…人形達にはアリスゲームとでも伝えましょうか。ククク…ご褒美が最初から分かっちゃ楽しみもありませんしねえ」

ローゼン「私は…エンジュは…」

※※※「そうそう、おとなしく…我々は観客なのですから」

※※※「さて…開幕いたしましょう…題名はアリスゲーム!」

181: 2008/10/04(土) 23:24:57.91 ID:Q69Qc2ri0
おしまい



183: 2008/10/04(土) 23:29:11.18 ID:uEZTID+I0

185: 2008/10/04(土) 23:31:51.84 ID:Q69Qc2ri0
駄文を読んでくださったみなさんありがとうございました
あと途中で乗っ取っちゃいましたがごめんなさい
まあアイアンマンの映画を見ておもしれーって勢いで書き始めちゃいましたが
予想通りグダグダになってしまいました。
次回があるのならばもうちっと精進しますです。それでは

引用: 翠星石「外は雨模様ですぅ…」