302: 2014/06/06(金) 00:41:12.66 ID:QqoI0WG10


前回:提督「つれづれなるままに」【その3】

【紫陽花のように】

「提督?窓の外を眺めて、どうしたんですか?」

「蒼龍か…、いや、紫陽花が美しく咲いていたのでつい、な」

「あ、本当だ。もうそんな時期なんですね、そういえば、少し肌寒いかも」

「雨が降ると涼しくなるからな、もうすぐ梅雨も近いか…」

「ずっと眺めてましたけど、紫陽花、好きなんですか?」

「ああ、あの淡い色合いが美しいと思う」

「それに、美しく咲ける時期が短く、儚さがより一層美しさを引き立てる」

「へぇ~、提督もそういうこと考えるんですね、なんだか意外だな~」

「…まあ、柄でないのは自覚しているよ」




「…ねぇ提督、提督は、紫陽花の花言葉を知っていますか?」

「確か、移り気や浮気だったか。…いずれにせよいい言葉ではないな」

「だが、そもそもその心配もないだろう。私は誰にも好意など抱いていないからな」

「……艦隊の皆にも、ですか?」

「勘違いしてもらっては困るが、上官と下官、あるいは志を同じくする軍人として、お前らのことは好きだぞ?」

「…そうです、よね……」

「うん、やっぱり、提督には紫陽花がお似合いですよ…」

「どういう意味だ?」

「ふふっ、教えてあげません。提督がご自分で考えてください、ね?」






(提督、提督は「冷たい」人です)

(この思いを伝えても決して届かないなんて、伝える前に望みを打ち砕くなんて…)

(…それでも、私は「辛抱強く」待ち続けます、あなたが私に振り向いてくれるその時まで…)

(……ねぇ、提督は私のこと、どう思ってるの…?)

海の画集 -「艦これ」公式イラスト集-

306: 2014/06/06(金) 02:13:48.13 ID:QqoI0WG10

【程度の問題】

「イクー、イクー!!」

「どうしたのねゴーヤ、そんなに慌てて?あれ、この流れ?何だか身に覚えがあるの…」

「さっき鎮守府へ贈り物があったんだよ!しかもイクとゴーヤあてに!携帯会社の箱!」

「携帯会社?でも携帯って確か契約?とかしないといけないってイムヤが言ってたのね」

「入ってたお手紙読んだら、そこら辺は大丈夫だって、心配しなくていいよって書いてあったでち」

「そうなの?なら、遠慮なく使わせてもらうのね」

「あっ、でもゴーヤ達水に触れる機会が多いから、すぐにダメになっちゃうんじゃ…」

「そこら辺も大丈夫みたいなの、このスマホ、防水仕様みたいなのね」

「ならバッチリだね!イムヤが使ってて、ずっといいなって思ってから、うれしいなぁ!」

「いひひっ、イク達もこれからスマホデビューなのね!」

「色んなアプリ?で、楽しめるし、いつでもみんなとお話できる!やったぁ!!」

「あっ、そろそろ哨戒任務の時間なのね!行かなきゃマズいの…」

「なら、スマホ持ってこ?任務中も連絡とりあえるから、きっと便利だよ!」

「作戦行動もついにハイテク化の時代なの!かっこいいのね!」

「うん、それじゃイク、一緒にいこ?」

「うん!イク、行くのー!」









「「でーどぐー!!」」

「帰ってきて早々どうした?まさか、任務中になにかあったのか……!」

「…しかし、見たところ、どこも怪我していないようだが?」

「イ、イクたちのスマホが…グス…こ、壊れちゃったのね…!!」

「ぼーすい仕様って…っ…あったのに…う、嘘つきだったでち!…ヒッグ…」

「…潜水艦が潜る深度での水圧に、たかが日常生活レベルの防水が役に立つか、馬鹿者が…」

308: 2014/06/06(金) 12:04:19.97 ID:QqoI0WG10

【不器用なりに愛してる】

「提督…提督?起きてください?マルナナマルマル、朝食の時間ですよ?」

「ん…まだ…眠い…」

「もう、しっかりしてください。…起きてからはとっても凛々しいのに、寝坊助さんなんですから…」

(そういうところも可愛らしくていいのだけど、惚れた弱みってやつかしら?)

「起きないと、大和がキスしちゃいますよ?提督?」

「……わかった、起きる…」

「コレで起きるというのも、何だか複雑です…」




「しかし、毎朝すまない。起こしに来てもらうばかりか、朝食の準備までしてもらうなんて」

「食堂もあるんだ、起こしてもらうだけで構わないぞ?」

「いいえ、提督のため、これくらいはなんともありません」

「むしろ、大和が朝食を作りたいだけですから」

「お前がそういうなら、止めはしないが」

「…提督は、尽くす女はお嫌いですか?」

「嫌いじゃないよ…」

「もう、そこははっきりと愛してると言ってくださってもよかったんですよ?」

「…冗談でも、そういうことは言わないほうがいい」

「むぅ……まあ、いいです。提督があまり素直じゃないのは、知ってますから」

「それより、今日の朝食はどうですか?いつもと違い、洋食にしてみましたが」

「これはこれでいいものだ、とても美味しいよ。…とくにこのスープは最高だな」

「そこを褒めてくださるのはとても嬉しいです。大和ホテル自慢のコンソメ、気に入って頂けたようで」

「ああ…これなら、毎日でも飲みたいな」

「あっ、て、提督?それって…その…」

「まあ、そういうことだ…」

「提督は、本当にずるい人です、大和の言葉は受け流す癖に、自分ばっかり…もう…」

「その…や、大和は、提督が望むなら、いつでも、いくらでもお、おそばにいますから…」

「食べたくなったら、いつでも言ってください…腕によりをかけて、作ってみせます」

「ああ、ありがとう」

「はい…」

「…」

「えへへ…」

「あ、でも、だな」

「は、はい、何でしょう?」








「毎回、朝食二人分にしては少々量が多くないか?」

「の、残りは大和が食べるので…大丈夫、です」

311: 2014/06/06(金) 18:57:28.89 ID:QqoI0WG10

【提督、休憩がちょっと長いネー…】

「……」

「………」

「…………なぜ、二人して見つめ合っているんだ、弥生、不知火?」

「あ、司令官、こんにちは」

「不知火たちはにらめっこをしていただけです。決して見つめあってたわけではありません」

「そう…なのか?いや、お前たちがそういうなら、そうなんだろう」

「そうなんだろうも何も、にらめっこ以外の何ものでもありません。…不知火に落ち度でも?」

「いや…落ち度とかではないんだが」

「そうだ司令官。司令官は今時間あるかな?審判をしてほしいんだけど」

「ちょうど執務の休憩中だから、別にかまわないが」

「ありがとう司令官、じゃあ続きをやるよ、不知火?」

「ええ、不知火は絶対に負けません。では…」




「「にらめっこしましょ、笑うとまけよ、あっぷっぷ!」」

(この二人が開始のわらべ歌を歌うのは、なかなかシュールな光景だな…)


「…」

「……」

(無表情で居続けるのもにらめっこの立派な戦略だが、普通何かしら変な表情をしないか?)

(無言で、無表情で、ただお互いの顔を見つめあって…これは決着がつくのだろうか?)

(そもそもこの二人は普段から表情に乏しい。これは長丁場になるな…)

(ただこう待っていても仕方ない、せっかくだ、間宮のアイスでも食べながら見てるとしよう)


312: 2014/06/06(金) 18:59:36.24 ID:QqoI0WG10

「……」

「………」

(長い…もうアイスも食べ終わった。何も変わらないものを見続けるのはいかんせん退屈…)

「……?……!!!!!!!!!!!」

「きゃ!!不知火?急に怖い顔してどうし「司令?そのアイスはどこから?」…えっ?!」

「ただ見てるのも退屈だろうから、どうせならと思いそこの冷蔵庫から…」

「そうですか…ちなみに、そのアイス、残りは?」

「ない…が…?」

「…司令官?司令官は、弥生たちが何のためににらめっこしてたと思う?」

「フフ、フフフフフフ!!!」

「どうした不知火、まるで般若のような「何でしょうか…不知火に、何か、落ち度でもォ?」…ない、な」

「弥生も落ち着け、怒る気持ちもわかるが」

「え…?弥生、怒ってなんかないですよ?すみません、表情硬くて…」

「そうか、なら突如として現れたその艤装はなんだか、説明してくれないか?」

「フフ、不知火を怒らせたわね!!!」

「怒ってなんかないよ…怒ってなんか……あはっ♪」




(金剛…すまない…今日の残りの執務、まかせたぞ…!!)

316: 2014/06/06(金) 19:49:00.49 ID:QqoI0WG10

【代弁者4・オムハヤシ?】

「今日の夕飯はハヤシライスを作るのね」

「だいたい金曜日はカレーだけど、たまにはいいよね、ハヤシライス」

「しかも、今日はふわふわタマゴをのせたオムハヤシなの!」

「オムハヤシ!とってもおいしそうでち!」

「…でも、作れるの?」

「大丈夫なのね!実は鳳翔さんにハヤシライスの作り方は習ってるの!」

「おぉー、なら、大丈夫だね!」

「ふふん、このイクさんに任せるからには、大船に乗った気持ちでいてほしいのね」

「ゴーヤ達は潜水艦だから沈んじゃうけどね」

「もう!茶化さないでほしいの!!」

「ふふっ、ごめんね?」

「それじゃ、つくるのね」

「レッツ、クッキング!でち!」







「…ところで、ハヤシライスの作り方は教わったて言ってけど、ふわふわタマゴのほうは作れるの?」

「あ…」



ハヤシライスとスクランブルエッグができました

322: 2014/06/07(土) 09:17:31.02 ID:kji3qvcO0

【好きの対義語は、嫌いではなく無関心】

「もう!むかつくむかつくむかつくー!!」

「なんなの!加賀さんてば私たちのこと見下して、頭に来ちゃう!」

「でも実際、私たちの実力はあの人に及ばないことも事実よ、瑞鶴?」

「そりゃ、そうだけどさ…でも、だからって「五航戦の子なんかと一緒にしないでって」酷くない?」

「えっと、それは…」

「もういい!今後加賀さんと一緒の編成にしないでって提督さんに言ってくる!!」

「あ、瑞鶴!待って!」






(いつも何かあるたびに、発艦がスムーズでないだの、狙いが甘いだの、お小言ばっかり言っちゃってさ…)

(言ってることは…まあ、正しい、けど…でも、いい加減私たちのことちょっとは認めてくれたって…)

(…あ…なんで執務室に加賀さんが…ってそうか、今週の秘書艦担当って加賀さんだったっけ…)

(…なにか、話してる?)

323: 2014/06/07(土) 09:22:30.03 ID:kji3qvcO0

「…そういえば、翔鶴と瑞鶴で、鳳翔相手に演習を行ったほうがいいとは、どういうことだ、加賀?」

「その話ですか?ええ、あの子たちはまだまだ実力不足…、あんな戦闘技術じゃ、この先が思いやられます」

「みすみす氏にに行くようなもの…、無駄氏にさせるための出撃なんて、それこそ無駄だと思います」

「鳳翔さんは、実力もさることながら、長年の経験と、何より、教えるのがとても上手ですから、」

「あの子たちの演習教官として、相応しいかと…」




(!!…何よ、私たちに直接言うならまだしも、提督さんにまで!そんなに、私たちのこと…)


「…お前も随分と素直じゃないな、加賀?素直に可愛い妹分が心配だといえばいいだろう」


(え…?は?な、なんのこと?かわいい、妹分?)


「…何のことでしょうか、提督?」

「この前、翔鶴と瑞鶴とともに出撃した際、お前は…」

「「こんな艦隊なら、また一緒に出撃したいものです」と言っていたと記憶しているが?」

「あ、あれは、あの二人と一緒ならMVPが容易に取れるから、そう言っただけです」

「「みんな優秀な子たちですから」とも言っていたような気がするがな?」

「…攻撃機や爆撃機の妖精のことです」

「それに、先の演習の話も不自然だ。お前は実力不足というが、彼女らの戦果は報告を見る限りそう悪くない」

「むしろ、成長率だけで言えば加賀以上だ」

「それでも、気になる部分があった。無駄氏にとは、要は二人が心配なのだろう?」

「しかも、彼女らの弱点はお前が気づいたんだ、お前が指摘して教えてやればいい」

「にもかかわらず、鳳翔に任せるのは、鳳翔が教官として優秀というのもさることながら…」

「普段、彼女らに取っている態度の手前、素直に教えられるかが不安だったのだろう?」

「…………そう、思いたければ、どうぞ、ご勝手に」

「はっきりとものをいうお前が、否定しないとは珍しいな」




「お前も、そう思わないか?瑞鶴?」




324: 2014/06/07(土) 09:29:08.08 ID:kji3qvcO0

(え、嘘、!?盗み聞きしてたのバレてる!!)

「え…瑞、鶴?」

「用があるなら入ればいい。聞き耳を立てるのは、あまり感心しないな」

「あ、し、失礼します!」

<瑞鶴ー、ねえ、待ってってば!

「翔鶴も来たか」

「あ、て、提督、あなた、まさか瑞鶴がいるって知ってて、あの話題を…?」

「…何のことかな。しかし、少々のどが渇いたな、が、残念ながらここには緑茶しかない」

「私は今コーヒーが飲みたい気分だから、食堂へ行くとしよう。その間、留守は任せたぞ、加賀」

「え、そんな、待ってください!」

「瑞鶴!もう!いきなり走りださ……あ、提督、その、お見苦しいところを…」

「いや、構わない。それより翔鶴、加賀がお前たち二人に話したいことがあるそうだ」

「なんでも、今度の三人で演習がしたいとのことだが…詳しいことは加賀から聞いてくれ」

「え?私たちと、加賀さんで、ですか?」

「提督!話を!」

「加賀…さん」

「…何かしら、瑞鶴?」


「…さて、当事者以外は去るとしよう…」





後日、瑞鶴に甘えられてうんざりする加賀と、それをほほえましく見る翔鶴の姿があったそうな



331: 2014/06/07(土) 18:20:53.08 ID:kji3qvcO0
【代弁者5・雨漏り】

ピチョン

(…?)

ポタ…

(…んー、うるさいのね…イク、お昼寝中なの…)

ピト

「きゃ!!っなんなのね!敵襲?!敵襲なの?」

「…顔が、濡れてるのね…?なんでなの?」

「……あ、嘘……てーとくー!!イクの部屋、雨漏りしてるのねー!!!てーとくー!!」


336: 2014/06/07(土) 21:03:16.40 ID:kji3qvcO0

【思考放棄のすすめ】

>>270と同じく女性提督

「ねえ、むっさんって、目、悪いの?」

「藪から棒に、どうしたんだ提督?」

「いや、艦娘も目が悪くなったりするのかなと。むっさん、メガネかけてるし」

「ああ、そういうことか。いや、別段悪いというわけではないが…」

「そうだな…強いて言うなら若干遠視だが、なに、戦闘に支障はないよ」

「え、じゃあなんでメガネかけてるの?」

「なかなか難しい質問だ。正直なところ、私にもよくわかっていないんだ」

「私が私として、この形を受けたときにすでに衣服の一部としてかけていたものだからな」

「とくに必要かと言われればそうでもないが、かといって外せと言われるとそれはそれで違和感がある」

「ふーん、なんだか、よくわかんないね」

「まあ、私たち艦娘自体、過去の戦艦の付喪神だの乗船員の正の感情の集合体だの、色々言われてるからな」

「…多分、概念みたいなものなのだろう、私たちは」

「概念?」

「先ほども言ったが、結果として、私、「艦娘の武蔵」はこの形をもって生まれているわけだ」

「つまり、艦娘の武蔵という概念はこの形で固定されていて、メガネもその一部ではないか」

「個人的には、そう考えている。ハチなんかもいい例だ、潜水艦にメガネはいらないだろう」

「なるほどー。んー?でもぽいぽいは変わっちゃったよ?」

「ぽいぽい?…ああ、夕立か。提督は、相変わらず変なあだ名をつけるのが好きだな」

「えへへ…」

「そうだな、夕立のあの変化は改造によるものだが…」

「改造は、概念の根本は変えないが、それ以外のものを再構築する作業ではないか」

「そう考えてるよ。いずれにせよ、推測の域を超えないが…」

「なんだか、むっさん難しいことを考えるね」


337: 2014/06/07(土) 21:06:42.61 ID:kji3qvcO0

「自分が何者で、何のために生まれたのか、なぜこの形なのか、どうしても気にはなるさ」

「とくに、私たちは純粋に人間だとは言い難い存在だからな…」

「んー、なんだか、いやだな…」

「提督?」

「そうやって、難しいこと考えて、自分は人間じゃないって考えて…」

「そうやって、壁を作ろうとするの、いやだな…」

「…私にとっては、この鎮守府の皆は娘みたいなものだからさ…武蔵もだよ?」

「だから自分の娘に、自分のことを卑下してほしくないし、ましてや…」

「人間じゃないなんて、まるで自分のこと化け物みたいに言ってほしくない…」

「提督…」

「それにさ!難しい話したって分かんないじゃん、むっさんは武蔵で、私は提督で…」

「深海棲艦を倒して、皆を守る!」

「それだけじゃ、だめかな?」

「…ぷっ、あはははは!」

「えー、むっさん笑うなんてひどいー、私真剣だよー?」

「いや、すまない、あまりにもシンプルすぎる答えだったからな。しかし、そうかもしれない」

「?」

「考えてもわからないことで悩むより、目下の見えている課題に取り組んだほうがよっぽど建設的だ」

「私は、艦娘、大和型戦艦2番艦、武蔵。それ以上、なにを考える必要がある」

「提督は、自分が何をなすべきかを本能的にわかっている人なのかもしれないな…」

「あー、えっと、もしかして、褒められてる?」

「ああ、もちろんだ、ありがとう提督。これからも、よろしく頼むよ」

「う、うん、こちらこそ、どういたしまして?…ん??」


341: 2014/06/08(日) 01:28:10.08 ID:JiIgbfKd0

【どっちに向けたものなのか】

私は、司令のことが好きだ
ここでいう「好き」とは、異性関係のそれじゃなくて、上官と下官としての関係のそれ
私は司令のことを尊敬しているし、秘書艦をやっているのも、偏に、司令の役に立ちたいから


私は、金剛お姉さまのことが大好きだ
たった一人のお姉さま、もちろん妹たちも可愛いけど、お姉さまは特別


大好きな二人が、お互いに望むことをする
それは、きっと幸せなこと

だから…


「HEY、提督ぅー!午後三時!Tea Time の時間デース!」

「「二人っきり」で、紅茶飲もうヨー」

「金剛、もう少し静かに入ってこれないのか…」

「Oh,Sorry、でも、提督への気持ちが抑えきれなかったネ!」

「…比叡もいるんだが?」

「あ、私のことは気にしないでください、金剛お姉さま、司令。どうぞ二人っきりでお茶を楽しんでください」

「Thanks、比叡!ね、提督、比叡の了解も得たことだしー、Tea Time、しませんカ?」

「仕方ないな…少しだけだぞ」


仕方ないと言いながら、司令が金剛お姉さまに向ける眼差しはとても優しくて、金剛お姉さまもそのことがわかってて、要は、ただのじゃれあい、気心が知れたもの同士の、意味のない、でもとても暖かな…


ここで、秘書艦である私がダメですといえば、金剛お姉さまはティータイムを始めないだろうし、司令は執務を続けると思う。二人とも執務の大切さは知ってるし、私事を無理に通すほど子供じゃないから


でもそれは、金剛お姉さまが望んでない、司令もきっと望んでない
だから、私は許可をする。当然でしょ?大好きな二人が互いに望むことをする、それは私にとっても幸せなことなんだから













だから、きっとこの胸の痛みは嘘なんだ…だって、そうでしょ?
大好きな二人がお互い幸せそうに、だって、だから…

350: 2014/06/08(日) 16:02:17.42 ID:JiIgbfKd0

【梅雨の、ある一日】

「今日も雨…か」

「おはよ古鷹、ぼーっと外を眺めて、どうしたの?」

「由良、おはよう。特に何にもないけど、ただ、今日も雨だなって」

「ああ、結構ひどいよね、遠征にいった子たち、大丈夫かな…」

「この様子だと、海も荒れてそうだし、心配だね」



「……ううぅ、びしょ濡れです。寒い…」



「あ、綾波?!あなた、遠征に行ったんじゃなかったの?」

「はい、一応行ってみたんですが、途中で雨脚がひどくなってきまして」

「それで、司令官が任務遂行が困難と判断したので、中止・帰還命令を受けたのです」

「ああ、そういうことだったの…って、話してる場合じゃないね。タオルと着替え持ってくるわ」

「それじゃ、私は暖かいお茶でも淹れてこようかな。綾波、着替え終わったら談話室においで?」

「ありがとうございます…へくちっ…うぅ…」


351: 2014/06/08(日) 16:05:35.45 ID:JiIgbfKd0

「とりあえず、お疲れさま、綾波。お茶、どうぞ」

「あぁー、ありがとうございますー。ああ、あったかい…」

「お茶菓子も持って来たけど、いるかしら?」

「由良さんも、ありがとうございます。……甘い、おいしいな」



「…しかし、ここ最近本当に雨ばかりで気が滅入いっちゃうわ…」

「まあ梅雨だからね、仕方ないよ。でも私は、雨そこまで嫌いじゃないけどね」

「そうなんですか?」

「うん、涼しくなるし、雨音を聞いてるとなんだか落ち着くよ」

「私は嫌いね。ただでさえ髪の毛が広がりやすいってのに、湿気でひどいことになっちゃう」

「由良が髪をかなり固く縛ってるのってもしかして…」

「ええ、そうよ。髪は長くしたいけど、広がるのは嫌、難しいところね」

「綾波は、うーん、どうなんでしょう。今日みたいに濡れるのは嫌かなーって」

「それは私も嫌だよ。あくまでも屋内でってことだね」

「好き好んで濡れたい人なんて…あー、もしかしたら潜水艦たちは好きそうかもしれないわね」

「あー、わかります、水着ではしゃいでそうですよね」

「「ワォ、大量大量!」って感じかな?」

「…ぷっ、古鷹、今のもしかしてイムヤの真似?似てなーい」

「む、なら由良がやってみてよ」

「ええ、私が?……「ワォ、大量大量!」……ちょっと、何か言ってよ」

「うん、ごめんね」

「古鷹!やらせといて酷い!」



(ふふ、今日は朝からずぶ濡れで大変だったけど、早く帰ってこれてよかったかも…)

(あったかいお茶とおいしいお菓子と、3人で、何でもないこと話して)

(たまにはこんな日も、いいですよね…)


「綾波も、なに笑ってるの!?」

「えぇ、違いますよー。ひゃあ、頬っぺた引っ張らないでー」


364: 2014/06/08(日) 21:45:35.70 ID:JiIgbfKd0

【4月の兎に責められて】

※誰得昼ドラ修羅場もの
※>>197の続き



「司令官…ちょっとお話があるぴょん」

「卯月か…こんな夜遅くに…まあいい、それで、何の話だ」

「如月のこと…ぴょん」

「………そう、か。それで、如月について何か?」

「…ねえ司令官、如月に、何したぴょん?」



「…如月、ここ最近元気がないぴょん…普段と変わらないよう努めてるけど、無理してるのバレバレぴょん」

「あんなひどい隈、普段の如月なら絶対作らないっぴょん」

「…だから、うーちゃん、どうしたのって聞いてみたぴょん…その時は何も言ってくれなかったけど」

「でもね、うーちゃん見ちゃったの。夜に如月、自分の部屋で、声をひそめてずっと泣いてたぴょん」

「薄汚れた自分の服に顔をうずめて、泣いてたっぴょん」

「それでね、つい声をかけちゃったの…如月、とっても驚いてたっぴょん」

「泣きはらした目で「何でもないの」って、「皆には言わないで」って…」

「汚れてた服洗おうとしたら、「それだけは止めて」って…」

「「お願いだからこれだけは取り上げないで」って「お願い」って…まるで、何かに、すがるように…」



「…ねえ、司令官?もう一度聞くね?」

「如月に、いったい何したぴょん?」

「なぜ、私だと?」

「だって、だって!如月があんなに傷つく理由が、司令官のこと以外思い当らないぴょん!」

「如月、ここに配属されてから司令官のことずっと好きだって、ずっとおそばに居たいって…」

「私たち姉妹がうんざりするくらい話してたのに、なのに、なのに…!」

「ここ最近の如月は司令官の話になるたび、一瞬顔が暗くなるし、話にも入ろうとしない…」

「こんなの、こんなのおかしいっぴょん!ねえ司令官、ホントに何もしてないの?!」

「司令官!!」


365: 2014/06/08(日) 21:47:51.13 ID:JiIgbfKd0

「…お前には、関係のない「関係なくない!!うーちゃんのお姉ちゃんを傷つけないで!!」」

「それに、そう言うってことは、司令官、心当たりあるぴょん!?」

「ならお願い司令官、如月をもとに戻してよ!!」

「いつもの、おませで、どこか抜けてて、美容に口うるさい、でも、うーちゃんの大好きなお姉ちゃんを…」

「返してよっ!!!!!」





「…お願い司令官、もうあんな如月、見たくないっぴょん…」





「だから、だからうーちゃんのお姉ちゃんを、返してよ、司令官…」






(……いったい、どうすれば………)

(私は、私は…)

(いったい、何がしたいんだろうな…)



369: 2014/06/09(月) 11:20:57.31 ID:4X9Nqe260

【変わるもの、変わらないもの】

<鎮守府近海演習場>

「全砲門、開いてください!!」

「…っ、これ以上、やらせません!!」


(今日の演習も上々、艦隊ごとの統率や連携もとれているな)

(…とくに、羽黒はここ最近の成長が著しい、攻防ともに重巡でもトップクラスにまでなった)

(…配属当初は自信がなく、消極的な発言も多くて、これから先やっていけるのかと心配にもなったが)

(変われるものだな。私は、上官として嬉しいよ、羽黒)


「…よし、演習やめ!帰還しろ!皆、よく動けていた。実際の戦闘でもこの動きができるよう、精進してくれ」

「「「はいっ!」」」


(本当に、いい笑顔をするようになったよ、羽黒)


<執務室>

「司令官さん、あ、あの、お茶、です…」

「ありがとう羽黒……ふふっ」

「え、…えっ?な、なんで笑うんですかぁ?わ、私の顔に何かついていたり、服が変だったり…??」

「ああ、いや、演習の時はあんなに勇ましかったのに、引っ込み思案なのはなおってないなと、な」

「あ、えっと、その…ご、ごめんなさい…」

「別に謝る必要はない、そんなところも羽黒らしくて、私は好きだよ」

「………!…え、あ、す、好き…ですか?え、え、あああの…」

「羽黒、落ち着け」

「だ、だって好きって、え、え、あ、だめ、ダメです!そんな、司令官さん…ぁ」

「…司令官さん、私の顔、見ないで…見ないでぇー!」

「羽黒?!どこに行く!…まったく……」



(いくら強くなっても、羽黒は羽黒、か。変わらないな……ん?)

(……今日の執務は、一人でやるしかない…のか?この、量を?)

375: 2014/06/09(月) 14:55:17.70 ID:4X9Nqe260

【超銀河系スーパーアイドル那珂ちゃん】

※女性提督
※タイトルの割に少し暗め

<マルマルマルマル、提督の私室>

「提督…」

「あれ、那珂ちゃん?どうしたの?何か……あった、みたいだね…」

「…提督、那珂ちゃんは、いらない子なのかな?」

「…どうして、そう、思うの?」

「だって、だって…みんな、みんな酷いの!!」

「あんなの解体したほうがいいって、いらないって、歌も、ダンスも下手くそだって!!」

「またアイツかよって、那珂ちゃんだって頑張ってるのに!!認めてくれなくって!!」

「…もう、嫌だ…那珂ちゃん…疲れちゃったよ…」

「…みんな?鎮守府の皆が、そういうこと言ったの?」

「ううん、ちがうよ…ネットの書き込みに、そう、あったの…」

「そう…、ね、那珂ちゃん、ちょっとこっち来て?」

「提督?なに?ふぁ、え?…て、提督?いきなり、抱きしめて、そんな、やめてよ…」

「那珂ちゃん…っ…は、いらない子、なんだよ?」

「…そんなことないよ…」

「私もね、正直、「那珂ちゃん、艦隊のアイドルやりたい!!」って言ったときはどうしようかと思ったよ?」

「でもね、那珂ちゃんがアイドルやりたいのって、別に目立ちたいからじゃなくって…」

「アイドルとして鎮守府の塔になって、艦娘をもっと知ってもらおうとしてるだけなんだよね?」

「…いまだに謎が多くて、でも力があって、下手したら人間を脅かす存在かもしれない…」

「そういう誤解を解きたいから、敵じゃないって、味方だって、みんなと一緒で歌や踊りが好きなんだって」

「艦娘は、私たちは、皆と同じだよってことを伝えたくて、そう思って、アイドル始めたんだよね?」

「そんな、誰よりも艦娘を、鎮守府の皆のことを考える那珂ちゃんのこと、必要ないって思うわけないじゃない」


376: 2014/06/09(月) 14:57:23.22 ID:4X9Nqe260

「てい…とく…」

「それにね、そういう書き込みする人って、那珂ちゃんのこと知らないだけだと思うの」

「知らないから、心無いことが書ける、面白おかしく、中傷できる…」

「だからね、あんまり気にすること、ないんじゃないかな?」

「むしろ、そういう人に那珂ちゃんを知ってもらって、ファンにしてこそ、アイドルなんじゃないかな?」

「…ね、那珂ちゃん?」

「提督…てい、とくぅ…っ、ぐすっ…ひっく…」

「那珂ちゃんは、いらない子なんかじゃないよ…、皆の、アイドルなんだから…」

「うん…うんっ…!!」









「…落ち着いた?」

「…うん、提督、ありがとう…」

「よし、それでこそアイドルだ、もう、大丈夫そうだね」

「…ねえ提督、あのね…今日、一緒に寝てもいいかな?」

「…うん、いいよ、今日ぐらい、一緒に寝よっか!」

「…ありがとう!」




「…ねえ提督?」

「ん?なあに?」

「いつか、いつか那珂ちゃん、超銀河系スーパーアイドルになるから…」






「そのときまで、那珂ちゃんのファン、やめちゃ嫌なんだからね!!」


380: 2014/06/09(月) 19:25:46.24 ID:4X9Nqe260

【<甘味の訪問販売にきましたよー!!】

「今回のバシー島沖での柳輸送作戦の成功、まことにご苦労であった」

「特に、本作戦の一番の功労者は浜風、お前と聞く。よくやったぞ、浜風」

「お褒めの言葉ありがとうございます、提督」

「ですが、勝利に浮かれるほど素人ではありません。勝って兜の何とやら、です」

「まずは整、備を…です、ね…」

「どうした、浜風?何かあったか?もし不調なら即入渠を…」

「あ、いいえ、別に、何でもありません」


(浜風にしては歯切れの悪い…?…何だ、この甘い匂いは?)

(ああ…そういえば、今日は間宮が甘味の訪問販売をすると言っていたな…)

(…なるほど、そういうこと、か)


「そういえば、今日は間宮が来ているそうだが、浜風は何か欲しいものはあるか?」

「え?…あ、いえ、特に、何も」

「遠慮することはない、好きなものを言っていいぞ?」

「いえ、軍人たるもの、贅沢は敵です…質素倹約を美徳とし、行動すべきだと考えます」

「甘味など、もってのほか…です」


381: 2014/06/09(月) 19:30:16.67 ID:4X9Nqe260

(コイツも大概強情だな…、まあいい、それなら…)


「…そうか、なら私は休憩ついでに間宮のところへ行くとしようか」

「えっ?ずる、あ、いや…」

「どうした浜風?何か言いたいことがあるなら言ったほうがいい」

「提督は、間宮さんのところに行かれるのですか?」

「ああ、軍人とはいえ人間だ。たまには甘味も食べたくなるし、食べて罰は当たらないさ」

「………そう、ですか」

「…ただな、甘味が食べたくなるとはいえ、あまり量はいらないんだ」

「間宮の甘味は艦娘向けに少々量が多く、一人では食べきれない」

「…だから、一緒に食べてくれないか、浜風」

「ちなみに、これは上官命令だ、拒否権はない」

「あ…、し、仕方ないですね。上官命令ですから、一緒に…食べます。命令ですから」

「ああ、ありがとう浜風。助かるよ」





「ちなみに提督は何を食べますか!!私はですねこれなんかがいいと…」

(……あんなこと言っていた割に、随分といい笑顔だな。大分乗り気じゃないか、浜風)

(…二人分にしても量が多いのは、目をつぶろう…)


388: 2014/06/10(火) 01:01:53.82 ID:hCrAta0o0
【彼女の瞳に見透かされ】

※>>364の続き

「提督、まだ起きてます?いいお酒手に入ったんですけど、一緒に飲みません?」

「酒…か、そうだな。いまちょうど飲みたい気分だ。晩酌に付き合ってくれるか、千歳?」

「ええ、もとよりそのつもりですよ、提督」





「…しかし、こうして一緒に酒を飲むことはあるとはいえ、千歳と二人きりなのは珍しいな」

「千代田はどうした?一緒に酒を飲むときは大抵アイツもいた気がするが…」

「んー、今日は、なるべく二人っきりで話したいというか、千代田がいると話が進まないというか…」

「ふふ、姉思いのいい子じゃないか…」

「まあ、姉としては妹が懐いてくれるのはとても嬉しいんですけど…ってそうじゃなくて」

「その、ですね、最近提督が無理してるというか、何だか、思いつめているような気がして…」

「…そうか、まあ、最近執務の量が多くてな、疲れているのかもしれないな…」


「…無理に聞こうとは思いませんけど、あまり嘘はついてほしくないです」

「なぜ、嘘だと?」

「ここ最近、深海棲艦の出現はありませんし、艦隊が何か被害を受けたという報告もない」

「設備が壊れたりもしてないし、鎮守府の運営は特に問題はなさそうです」

「執務が増える要素が、ないと思うんですよね…」

「…よく、周りを見ているな」

「これでも軽空母ですから、複数の艦載機を操るのに、広い視点を持たないと、ね」

「なるほどな」

「…それで、その広い視点で、なんとなく、見たんですけど、その…」



「…提督の最近のご様子は、如月と、なにか関係があるんですか?」


389: 2014/06/10(火) 01:03:03.92 ID:hCrAta0o0

「……千歳」

「はい、何ですか?」

「例えば、だ。例えば、自分が欲しいものがあったとして…いったんは手に入れた、が」

「しかし、それを持ち続けるのを躊躇う事情があって手放したとしたら、お前ならその後どうする?」

「…それは、手放したくなかったことが前提ですか?」

「…………そうだ」


「難しいですね、質問も抽象的だし……でも、私なら、もう一度手に入れると、思います」

「それは、なぜだ?」

「せっかく手に入れたんですもの、もう放したくないです。自分が心から欲したものなら、なおさら」

「たとえ、持ち続けることが難しくても、頑張ります。それに…」

「きっと、手放しても、後悔するだけなんですよね…なら、手に入れちゃったほうが幾分ましかなって」

「きっと重要なのはその選択をして、後悔しないかどうかなんじゃないかなって思います」

「後悔しないかどうか、か…」


「…とても、参考になったよ、ありがとう、千歳」

「おや?提督が素直に感謝するなんて、なかなか珍しいですね、もしかして酔ってます?」

「うるさい、たまにはこういう日もある」

「ふふっ、ごめんなさい」

「…千歳」

「はい」

「私は、もう一度手に入れようと思う」

「そうですか…頑張ってくださいね。後悔だけは、しないよう」

「ああ」


392: 2014/06/10(火) 16:22:30.84 ID:hCrAta0o0

【あの夜戦、この夜戦】

「提督!あ、あの、私!(提督と、性的な)夜戦がしたいです!!」

(お願い、私の思い、届いて!)


「夜戦か…」

(確かに川内は夜戦が得意だ。敵艦隊へ大きな打撃を与えられる)

(次の作戦では、夜戦に突入することも一考の価値ありか…、しかし…)

「川内の意見だけではな、他の者の意見も聞いてみなければ」

(特に、空母や軽空母、あるいは、駆逐艦も、か)


「えっ?!他の皆!ど、どういうこと?」

(え、なに、提督って、そういう、その、複数人でするのが好きなの…?)

(っていうか、この言い方すでにもう夜戦済みが何人かいる?!う、嘘、そんなぁ…)


「どういうことも何も、夜戦だろう?全員の状態を把握したうえで行うべきだ」

「適材適所というものがある」

(何を言っている川内?夜戦の特性はお前が一番理解していると思ったが?)


「あ、えっと、提督がそういうなら、そうなんだよ、ね…」

(あ、提督の中では夜戦=複数人でっていうのが当たり前なんだ…ていうか適材適所て)

(そういうのに興味なさそうなふりして、意外とやり手だったんだな…ちょっと胸が痛い、かも)

「その、誰に話を聞くの?」


(次の作戦の艦隊編成候補者、かつ、夜戦の話をしておいたほうがいいのは…)

「鳳翔、文月、満潮あたりか?」

393: 2014/06/10(火) 16:24:47.10 ID:hCrAta0o0

「えっ、そ、そんなに!?」

(せいぜい私含めて3人くらいだと思ったのに、ご、5人で?!)

(ていうか、鳳翔さん、あんなおとなしそうなふりして、意外と特殊な…いやいや、え?)

(それに文月や満潮って、まだ子供じゃない!しかも満潮は…提督、意外と攻められるのが好き?)

(で、でも鳳翔さんやさしそうだし、可愛い駆逐艦たちとの夜戦はそれはそれで…って違う違う!)

「もう少し、人数を絞ったほうが…それに、文月や満潮はまだ幼いし…」


(人数を絞る?夜戦突入前提の少数精鋭での一撃離脱、あるいは攪乱ということか、なるほど…面白い)

「人数を絞るという意見は、前向きに考えてみよう」

「だが、幼いという点だけで除外するのは論外だ。彼女たちも、夜戦の覚悟はある」

「それに、案外彼女たちのほうがお前より上手かもしれないしな」


(えー?!そこは譲ってよ!鳳翔さんならまだいいよ!大人だし!)

(駆逐艦になんでそこまでこだわるの?)

(それに上手ってまるで何回も経験があるような…!…て、提督、まさか…)

「あ、あの、提督?ちなみに、ここに居る駆逐艦の中で(提督と)夜戦経験済みでない子って…?」


394: 2014/06/10(火) 16:28:12.15 ID:hCrAta0o0












「…居ないが…?」










(あ、あああああああああ!!ほ、本物だ!この人本物だよぉ?!嘘、ショック!!)

(電も、潮も、霰とかも、提督の毒牙に!!ひぃいぃぃぃいいい!!)

「あ、ああ、ぁ!!」

「どうした川内?随分顔色が悪いが…?」

「け…け…」

「け?」






「憲兵さああああぁああん、この提督ですぅぅううううぅうううう!!!」


「なっ、なぜ憲兵を呼ぼうとする川内、!!やめないか!!」

398: 2014/06/10(火) 19:59:15.98 ID:hCrAta0o0

【盛大に何も始まらない終わり】

「…武蔵、退け。撤退だ…」

「…その命令には従えないな、提督よ」

「命令違反だぞっ!退けと言っている、武蔵っ!!」


「武蔵…」

「…止めてくれるなよ、大和」

「でもっ…このまま進軍したら!…旗艦として、姉として、お願い武蔵、一緒に…」

「くどい」

「もう奴は私たちに気付いている。ここで足止めしなければ、艦隊に多くの被害が出るのは必至だ」

「だって、武蔵、もうっ…」

「…自分のことは、自分が一番よくわかる。そうだな、ここで行けば、私は確実に沈むだろう…」

「だったらっ!一緒に!」

「…だからこそ、私が行かねばならない」

「私を庇いながら撤退することは難しい、私を庇うことで徒に艦隊に被害が出るだけ…なら、」

「ならここで、私が、やつを少しでも叩く…あとは万全になったお前たちが仕留めろ…」

「いや!いやよ!一緒に、一緒に帰ろう?」

「…」

「…っ…提督、お願いします!武蔵を説得してください!」

「…意志は、固いのか…」

「ああ、この主砲を存分に撃ち合えるまたとない機会だ、なにも悔いはない」

「そうか…………………クソっ…」


399: 2014/06/10(火) 20:02:05.04 ID:hCrAta0o0

「…武蔵以外の者は、撤退しろ、これは、命令だ」

「提督っ!嫌です!聞けません!」

「長門よ…」

「…なんだ、武蔵」

「姉を、頼んだぞ」

「…ああ、任せろ…」

「やめて、離して長門!誰か武蔵を止めてよ!加賀、大鳳!」

「…命令よ、撤退しましょう」

「…」

「陸奥、長門を離して!」

「…ごめんね大和。戦艦として、どうせなら戦いで最後を飾りたいのは、私もよくわかるの」

「あなただって、武蔵と同じ立場ならそうするでしょう?」

「あ…、でも、ぃゃ…だって、武蔵…」

「さて、私は行くとするよ。皆、あとは頼んだ」

「いや、武蔵、やめて!行かないで!離してよ……武蔵っ」


「武蔵ぃいいいいいいいい!!」


400: 2014/06/10(火) 20:04:01.51 ID:hCrAta0o0

「…さて、戦艦同士、派手にやろうじゃないか…」

「なあ、戦艦棲姫!」

「……シズミナサイ…」
































(ああ、暗いな、沈むのは…コレで二度目か…)

(皆の分まで、この私が攻撃を受け止められたのなら…まあ、私は、満足だ…)

(…さようなら…提督、皆)

(…大和)





















「っていう同人誌を「ダメだ」…ええー、早いよ」

「仲間の轟沈を描くものがいるか、馬鹿者が」


「大和…私はどこにもいかないから、離してくれないか?」

「ぃゃ…絶対、嫌………ぐすっ…」


401: 2014/06/10(火) 20:06:16.16 ID:hCrAta0o0
武蔵さん絡むともうイケメンシチュしか思い浮かばない不都合を何とかしてくれませんか?

提督「つれづれなるままに」【その5】

引用: 【艦これ】提督「つれづれなるままに」