結衣「いやほら、あかりの髪ってたまに、勝手に、動いてるよな…？」

あかり「勝手にじゃないよぉー」

あかり「あかりが自分で動かしてるんだよぉ」

結衣「えっ」

あかり「あっかりーん」ﾋﾟｼｭﾝｯ

結衣「浮いたっ！？」

結衣「どうやって動かしてるのそれ！？分離してるぞ！？」ｱﾀﾌﾀ

あかり「えへへ…脳波で…」

結衣「脳波！？」

あかり「小さいときにお姉ちゃんに教えて貰ったんだぁ」

結衣「あかりの姉さんもできんの！？赤座家すごい！！」

京子「いや私も出来るけど…」

結衣「えっ」

京子「見ててみ…髪をちょんまげにして…」ｺﾞｿｺﾞｿ

京子「きょうこりーん」ｳﾈｳﾈｳﾈｳﾈｳﾈ

結衣「キモッ！！ヘビみてえ！！」

京子「ひどいな…」ｳﾈｳﾈｳﾈｳﾈｳﾈｳﾈ

京子「っていうかアニメの8話で見せたじゃん…」ｳﾈｳﾈｳﾈｳﾈｳﾈｳﾈｳﾈ

結衣「っていうか髪を止めろ！気持ち悪い！！」

結衣「っていうかそれも脳波？なのか…？」

京子「のうはのうはー」ｸﾞﾆｬｸﾞﾆｬｸﾞﾆｬｸﾞﾆｬｸﾞﾆｬ

あかり「のうはー」ｱｶｱｶｱｯｶﾘｰﾝ

結衣（なんだこの光景…）

ちなつ「二人共すごいですねえ」

結衣「そ、そうだね…」

ちなつ「私は脳波は使えないんですよ」

結衣「えっ」

京子「ちなつちゃんは髪で何ができるの？」

ちなつ「私のは…見せづらいっていうか…」

あかり「えーあかり、ちなつちゃんの髪技見たいなぁ」ｱｯｶﾘｰﾝ

結衣「え、え？髪技ってなに？」

ちなつ「ごめんねあかりちゃん、見せづらいっていうか見せられないっていうか」

京子「見せなくてもいいから教えてよー」ｳﾈｳﾈｳﾈ

ちなつ「しょうがないですねえ」

結衣「ちょっ、なんで普通に髪動かしてんの、ねぇ」

ちなつ「髪をお湯に漬けるとですねえ」

ちなつ「髪の体積が増えます」

結衣（あ、ちなつちゃんの髪質なら少しは…）

ちなつ「1000倍くらいに」

結衣「えっ」

京子「すげえ」

あかり「お風呂のときとか大変だねぇ」

ちなつ「でも抑えられるから…」

結衣「操作できるの！？」

ちなつ「はい、いつもは膨らまないようにしてて、本気出せば1000倍くらいにできます！」

ちなつ「冬はちょっともふもふにして、包まって寝るとあったかいんですよ」

ちなつ「結衣先輩も寒い夜は是非私を呼んでくださいね！膨らましていきますから！」

結衣「えっと、うん…気持ちだけもらっとくよ、ほんと…」

京子「私の家にも来て！」

ちなつ「やです」

あかり「あかりもおだんごバズーカできるよぉ」

ちなつ「あぁ…あれ…」

結衣「ちなつちゃん見慣れてんの！？」

あかり「お姉ちゃんはビームだせるけど…あかりはまだ出来ないんだぁ」

京子「私もまだビームは出ないなぁ」

ちなつ「二人は操作系能力者だからいいじゃないですか」

ちなつ「私は質量系能力者だからそんなかっこいい技は使えないです」

結衣「なにそのゲームみたいな呼称」

あかり「他の人は何ができるのかなぁ」

ちなつ「私のお姉ちゃんは体積を10000倍くらいにできるよ」

京子「生徒会長は髪を自在に伸ばせるらしい」

ちなつ「それは西垣先生の薬のせいじゃ…」

京子「あと綾乃はもみあげで何でも切断できるって」

ちなつ「武装系能力者！？超レアじゃないですか！！」

あかり「杉浦先輩すごい！！！」

京子「包丁無しで料理できるんだって」

結衣「会話に参加できない私がおかしいのかな……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

あかり「結衣ちゃんが頭を抱えてる…」

京子「結衣は何系能力者？」

結衣「え…私は…」

ちなつ「私も知りたいです！」

結衣「いや…私は何も出来ないよ」

あかり「えっ」

結衣「脳波？も使えないし、その…何系とかもよく分かんないっていうか…」

京子「………」

ちなつ「………」

あかり「………」

結衣「…っていうか普通に髪の毛操作してるのに驚きっていうか」

あかり「………」

結衣「…もしかしてこれドッキリ？どうせそこの押し入れの中にカメラとかあって…」

ちなつ「………」

結衣「こういう事考えるのは京子だろ、まったくみんな人が悪いよ」

京子「………」

結衣「…みんな？」

結衣「…なに黙ってるんだよ」

ちなつ「………」

結衣「あ、私がネタばらしの前に気づいちゃったからすねてるの？」

結衣「甘いよ、こんな大げさな振りで私をだませるとでも…」

結衣「……？」

結衣「みんな…どうしたの？」

あかり「Not-User(持たざる者)…」

ちなつ「そんな…結衣先輩…！」ｸﾞｽｯ

結衣「えっ、ちなつちゃんなんで泣いて…」

京子「結衣…」ｶﾞｼｯ

結衣「な、なんだよ京子、離せよ」

京子「残念だよ」

京子「私達、親友だったのに」

あかり「………」

結衣「な、何言ってんだよ急に…」ﾋﾞｸｯ

結衣「私達、これからも親友だろ！？」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

結衣（な、なんでだ…体が震えて…！）ｶﾞｸｶﾞｸｶﾞｸ

結衣「そんな…そんな言い方ないじゃないか」ｶﾞｸｶﾞｸ

結衣「京子も、あかりも、ちなつちゃんも」ｶﾞｸｶﾞｸ

結衣「ずっと、ずっと親友で、ごらく部の…」ｶﾞｸｶﾞｸ

あかり「ごめんね結衣ちゃん」

結衣「ご、ごめんって…なんだよ」

結衣「私達は、ごらく部の、仲間だろ…！？」

京子「結衣」

京子「ごらく部は今日で解散だ」

あかり「………」

京子「………」

結衣「はぁ…！はぁ…！」ｶﾞﾀｶﾞﾀ

結衣（なんだよ…その目）

結衣（あかりも…！京子も…！そんな冷たい目で…！）

結衣（……さ、寒い！）ｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀ

結衣（震えが止まらない…！）ｶﾞﾀｶﾞﾀ

結衣「あ…！あぁ…あ…！！」

京子「…結衣」ｽｯ

結衣「うわああああああああああああああああああああああ」

気づいたら駆けだしていた。
鞄も持たずに、靴も履かずに、
体で障子を突き破って外に逃げ出していた。
後ろから京子とあかりがついてくるのが分かった。
二人の足音が走る私の背を追ってくる。
私は、脇目もふらずただ走った、
二人はただついてきた。

…昔、三人でやったおにごっこを思い出した。
私は昔から足が速くて、私が鬼になる事は無かった。
今も、あの時と同じだ。
私は鬼から逃げて、走る。
鬼は私を追って、走る。
誰もいない道を、三人でひたすらに走った…。

結衣のマンション
　玄関

結衣「はぁ…！はぁっ…！！」

結衣「ま、撒いたかな…」

結衣「…………」ｾﾞｪｾﾞｪ

結衣（…どうしちゃったんだ、みんな）

結衣（そういう系の…ホラーなドッキリなのか）

結衣（ま、マジで怖かったぞ…！）

結衣「………」

結衣（足…痛い…）

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

結衣「……！」ﾋﾞｸｯ

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

結衣（よ、呼び鈴…！！）

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

結衣（誰だ………！！）ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

結衣「…………っ！！」ｶﾞｸｶﾞｸｶﾞｸ

ﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝ

あかり『ゆいちゃーん、ゆいちゃーん』ｶﾞｼｬｶﾞｼｬ

結衣「う、うわああああああああっ」ｶﾞﾀﾝｯ

結衣（に、逃げっ…！ベランダ…！！）

結衣「べ、ベランダから隣の家にっ…！！」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ

結衣「事情を話して…！逃がしてもらって…！それで…！！」ﾄﾞﾀﾊﾞﾀ

ｶﾞﾗｯ

結衣「………………」

結衣「……………あ」











ちなつ「ゆいせんぱい♪」

結衣「はっ！？」ｶﾞﾊﾞｯ

あかり「あっ、結衣ちゃん起きた」

結衣「えっまくら？毛布？あかり！？」ﾋﾞｸｯ

あかり「結衣ちゃん、お喋りの途中で寝ちゃったんだよぉ」

京子「うわ結衣、寝汗すごっ」

結衣「え…あ、ほんとだ」ﾍﾞﾀｯ

ちなつ「結衣先輩、お茶飲みますか？」ｽｯ

結衣「ちなつちゃん…ありがと」

結衣「んっ…んっ…」ｺﾞｸｺﾞｸ

結衣「ぷはぁ」

京子「そんなにのど乾いてたのか」

結衣「あぁ…もうからからだったよ」

あかり「そんなにこの部屋、乾いてたかなぁ？」

結衣「いや、変な夢見ちゃってさぁ」

ちなつ「ほほぅ、夢ですか」

結衣「なんかよく覚えてないんだけど…すっごく怖い夢を見た気がするよ」

京子「結衣でも怖いものはあるんだなぁ」

結衣「あるよ、失礼なやつだな」ﾑｯ

結衣「そうだ聞いてよ、あかり、ちなつちゃん」

結衣「この前うちに京子が泊まった時、ふとんでこいつさぁ…」

京子「わーっ！？その話はっ！？」

ちなつ「泊まり！？ふとん！？聞き捨てなりませんよそりゃあ！！」

結衣「そういえば、この毛布なに？」ﾌｧｻｯ

あかり「ちなつちゃんが被せてくれたんだよぉ」

結衣「こんなの部室にあったっけ」

京子「ちなつちゃんの私物です！ありがたく思え！」

結衣「なんでお前がえらそうなのか分かんないんだけども…ともかく、ありがとうちなつちゃん」

ちなつ「いやぁん、結衣先輩に感謝されちゃいましたー！」

結衣「この毛布、すっごく柔らかくて、ふわふわだ…」ﾓﾌﾓﾌ

ちなつ「それいいでしょう？寒い夜にぴったりなんですよー」

ちなつ「私の」

ちなつ「髪の毛」










おわり

お昼寝したらこんな感じの夢を見た

おしまい

乙！

怪談でありそうなネタだな。
乙！！