1: 2011/12/17(土) 01:56:33.02 ID:aqIg3Qjy0
あかり「わぁー、やっぱり旅館ってお部屋広いんだねぇー」

結衣「そうだなー」

あかり「あ、ほら結衣ちゃん。 ドラマとかでよくおじさんが座ってる窓際の椅子があるよっ」

結衣「おー、景色も悪くないなー」

あかり「紅葉シーズンじゃないのが残念だねぇ」

結衣「でもこれはこれで」

あかり「そだねぇ」

結衣「少し休憩したら、卓球かなにかやろうか」

あかり「うんっ」
ゆるゆり、

3: 2011/12/17(土) 01:59:13.22 ID:aqIg3Qjy0
あかり「はい、お茶」

結衣「ありがとう」

あかり「ぇへへ」

結衣「その席だと貫禄でるね」

あかり「ちょっと偉くなった気分ー」

結衣「でも、そういう席のシーンがでるドラマって、大体サスペンスだよね」

あかり「……」

結衣「突然悲鳴があがったりして」

あかり「まさかぁー」

\きゃー/

結衣「!?」

あかり「!?」

4: 2011/12/17(土) 02:02:15.54 ID:aqIg3Qjy0
結衣「ただいま」

あかり「ど、どうだった……?」

結衣「宿泊客の人が……玄関で……」

あかり「こ、ころ……」

結衣「ころ……んだ拍子におみやげコーナーのまんじゅうひっくり返したんだって」

あかり「なんだぁー」

結衣「ま、そうそう殺人事件なんて起こらないよ」

あかり「そうだよねー」

結衣「さて、ついでに卓球台辺り見てきたんだけど誰も居なかったから、いこうか」

あかり「おぉー!」

6: 2011/12/17(土) 02:06:14.00 ID:aqIg3Qjy0
結衣「あかりとならラリーが続きそうな気がする」

あかり「結衣ちゃんとなら大丈夫そうな気がする!」

結衣「いくよー」

あかり「はーい」

結衣「ほい」

あかり「はい」

結衣「おっと」

あかり「とぅっ」

結衣「うわっ」

あかり「あれっ」

結衣「案外難しいんだね」

あかり「そうだねぇ」

7: 2011/12/17(土) 02:10:02.26 ID:aqIg3Qjy0
あかり「あ、あっちにエアホッケーがあるよ」

結衣「エアホッケーか……面白い旅館だなぁ」

あかり「やってみよー」

結衣「うん」

あかり「ホッケーの丸いのって、球っていうのかなぁ?」

結衣「うーん、どうだったかなぁ。 違った気がする」

あかり「じゃー丸いのでいいや!」

結衣「うん、その丸いのがどうしたの?」

あかり「つるーって滑るのが面白いなーって」

結衣「あぁー、確かに」

8: 2011/12/17(土) 02:13:13.95 ID:aqIg3Qjy0
あかり「この機械をおーっきくしたら、あかりも滑れるのかな?」

結衣「それならアイスホッケーのが楽かもね」

あかり「あ、そっかぁ」

結衣「それに、あかりが浮くぐらい風が強いと寒そうだ」

あかり「アイスホッケーも寒くない?」

結衣「あー、どっちも寒いか」

あかり「だったらあかりは風で浮いてみたいなぁ~」

結衣「西垣先生に頼んだら飛べそうだよ」

あかり「そうなの?」

結衣「爆風だけど……」

あかり「そ、それは嫌だなぁ……」

9: 2011/12/17(土) 02:16:53.40 ID:aqIg3Qjy0
あかり「でも飛べたら楽しそうだよぉ~。 鳥さんと一緒にひゅーんって」

結衣「夢だよなぁ」

あかり「うんー」

結衣「……そんな話だったっけ?」

あかり「あれ?」

結衣「ま、いっか。 それっ」

あかり「あぁっ!」

結衣「お、ちょうど終わりか」

あかり「負けちゃった……」

結衣「ふふ……。 なかなか汗かいたなー」

あかり「喉も乾いちゃった」

結衣「何か飲もうか。 何がいい?」

あかり「おしるこ以外ならっ!」

結衣「あはは……」

12: 2011/12/17(土) 02:21:54.57 ID:aqIg3Qjy0
あかり「どうして……」

結衣「プカリ押したはずなんだけどね」

あかり「うぅ、プカリ……」

結衣「だ、大丈夫だよ、私もおしるこだから!」

あかり「そんな無理しなくても!」

結衣「……私はボロナミンCの場所押したはずなんだけどね……」

あかり「……」

結衣「……」

あかり「……しかもこれ」

結衣「うん。 つめたい飲み物のところに入ってたから……」

あかり「冷たいおしるこって、初体験だよあかり……」

結衣「仲居さんに言ったら変えてもらえないかな……」

13: 2011/12/17(土) 02:25:23.59 ID:aqIg3Qjy0
仲居「失礼しました」

結衣「いえ、ありがとうございますー」

仲居「ごゆっくりー」

あかり「ぇへへ、あっためてもらえたね~」

結衣「あぁ、やっぱりおしるこは暖かくないとね」

あかり「……」

結衣「……」

あかり「あの、結衣ちゃん?」

結衣「おしるこおいしいなぁー……」

あかり「あかりのプカリ……」

結衣「お風呂あがったらいちごみるく買ってあげるから!」

あかり「わー、ありがとー結衣ちゃんー」

結衣「ははは……」

14: 2011/12/17(土) 02:27:46.56 ID:aqIg3Qjy0
結衣「さて、お風呂いこっか」

あかり「うんっ」

結衣「ここは露天と、サウナもあるみたいだね」

あかり「サウナかぁ」

結衣「行ってみる?」

あかり「サウナって大人って感じだよねぇ~」

結衣「そうかなぁ?」

あかり「そうだよ~」

結衣「そうかぁー」

あかり「うんー」

15: 2011/12/17(土) 02:30:20.81 ID:aqIg3Qjy0
あかり「……結衣ちゃんって結構あるよね」

結衣「あかりは、無いねぇ」

あかり「まだまだこれからだよーっ!」

結衣「だといいねぇー」

あかり「ひどいー!」

結衣「ふふ……」

あかり「あ、背中流してあげるー」

結衣「お、ありがと」

あかり「ぇへへ」

結衣「さて私も」

あかり「ありがとー」

17: 2011/12/17(土) 02:33:45.31 ID:aqIg3Qjy0
結衣「あかりはー程良くて良いね」

あかり「そうかな?」

結衣「ぷにぷにしてる……」

あかり「ぷにぷに……って結衣ちゃん!」

結衣「程良い感じだから大丈夫大丈夫」

あかり「自分はスマートだからって……」

結衣「あかりだって太ってはないし、どっちかといったら細いほうだろ?」

あかり「う、うーん」

結衣「幼児体型だけど」

あかり「幼児……」

結衣「中学1年生だし、そんなもんさ」

あかり「そうかなぁ……」

結衣「そうそう、これからこれから」

21: 2011/12/17(土) 02:38:18.32 ID:aqIg3Qjy0
あかり「露天露天~」

結衣「滑らないように注意するんだぞ」

あかり「だいじょうーわっ」

結衣「ほら」

あかり「ごめんね、ありがとっ」

結衣「いえいえ」

あかり「ぇへへ。 寒っ」

結衣「早く浸かろう」

あかり「うん」

23: 2011/12/17(土) 02:43:14.48 ID:aqIg3Qjy0
あかり「わー、星が綺麗ー」

結衣「旅館の電気が明るいかなと思ったけど、案外みえるもんだね」

あかり「あれがデネブーアルタイルー」

結衣「あかり、ほんとにわかってる?」

あかり「……ぇへへ」

結衣「まぁ、私もわからないんだけどね」

あかり「なんだぁ」

結衣「オリオン座はわかりやすいね」

あかり「うんー。 カシオペア座もー」

結衣「他は……」

あかり「あはは……」

26: 2011/12/17(土) 02:48:32.33 ID:aqIg3Qjy0
結衣「さて、お待ちかねのサウナですが」

あかり「熱……」

結衣「体験するだけ体験たしさっさと出ようか」

あかり「でもさっきあかりぷにぷにって言われたし……」

結衣「中学生でダイエットなんてダメだよ」

あかり「でも言われたら気になっちゃうのが女の子なのです」

結衣「成長期に無理すると、本当に……。 胸も育たず……」

あかり「……出よっか!」

結衣「そうだね」

29: 2011/12/17(土) 02:53:05.95 ID:aqIg3Qjy0
結衣「ふー、いい湯だった」

あかり「あったまったねぇ~」

結衣「さ、いちごみるくでいい?」

あかり「うーん」

結衣「好きなのでいいよ」

あかり「じゃ、コーヒー牛乳で!」

結衣「はいはい」

31: 2011/12/17(土) 02:54:37.31 ID:aqIg3Qjy0
あかり「結衣ちゃんは?」

結衣「私はーフルーツ牛乳にしようかな」

あかり「フルーツ牛乳かぁ~」

結衣「ちょっと飲む?」

あかり「いいの?」

結衣「いいよ」

あかり「ぇへへ、頂きますー」

結衣「私もコーヒー牛乳一口もらおうかな」

あかり「うんっ。 フルーツ牛乳おいしー」

結衣「コーヒー牛乳は想像通りの味だな」

あかり「もう、こういう時はおいしいーって言っておくんだよっ」

結衣「おいしいコーヒー牛乳だね」

あかり「よろしい」

32: 2011/12/17(土) 02:59:34.55 ID:aqIg3Qjy0
あかり「ふー、お腹いっぱいー」

結衣「美味しかったね」

あかり「はぁー……」

結衣「ふぅ……」

あかり「……」

結衣「……」

あかり「……」

結衣「……」

あかり「……平和だねぇー……」

結衣「あぁ、そうだなぁ……」

34: 2011/12/17(土) 03:04:11.03 ID:aqIg3Qjy0
結衣「……なにか話そうか」

あかり「そだねぇ……」

結衣「うーむ……」

あかり「この間ねー、図書館で池田千鶴先輩にあってー」

結衣「うん」

あかり「無口で怖いなーって思ってたんだけど」

結衣「うん」

あかり「探してる本言ったらすぐに見つけてくれてー」

結衣「うん」

あかり「他に色々おすすめの本教えてくれたりして」

結衣「うん」

あかり「本当は優しい人なんだなぁーって」

結衣「うん」

あかり「聞いてる?」

結衣「うん」

36: 2011/12/17(土) 03:07:53.84 ID:aqIg3Qjy0
あかり「聞いてないでしょ!」

結衣「はっ……ぼーっとしてた」

あかり「もー」

結衣「ごめんごめん」

あかり「結衣ちゃんから何かないの?」

結衣「そうだなぁ……」

あかり「わくわく」

結衣「……」

あかり「……」

結衣「……特にないかな」

あかり「えー……」

37: 2011/12/17(土) 03:11:03.83 ID:aqIg3Qjy0
結衣「あっ、そういえば」

あかり「おぉー」

結衣「この間まりちゃんが来てさ」

あかり「うんうん」

結衣「プリンに醤油をかけたらうにの味がするって話を聞いたみたいで」

あかり「あぁー、良く聞くねぇ」

結衣「本当に醤油をかけようとした所で」

あかり「した所で?」

結衣「綾乃が、そんな横暴絶対に認めないわーって飛びかかってきて」

あかり「杉浦先輩!?」

結衣「プリンをもぎ取った後に、ラムレーズン差し出して」

あかり「う、うん」

結衣「これにソースをかけたらウニの味がするわよー!って叫んだ所で目が覚めた」

あかり「夢の話だったの!?」

結衣「面白い夢だった……」

39: 2011/12/17(土) 03:13:50.77 ID:aqIg3Qjy0
あかり「夢って不思議な展開多いもんねぇ」

結衣「すごく面白い時にかぎって忘れちゃうんだよね」

あかり「うん。 起きる直前まですごく楽しかったのに、起きたら何も覚えてない」

結衣「楽しかったーは覚えてるのに不思議だよね」

あかり「でも怖い夢は覚えてる事多いよねぇ……」

結衣「うん……」

あかり「うー、怖いの思い出しちゃった」

結衣「私も。 巨大なうにに押しつぶされる夢思い出したよ」

あかり「うに……。 痛そう」

結衣「いやー、身だったから、むにゅっとしてた」

あかり「それはそれで嫌だね……」

40: 2011/12/17(土) 03:16:43.03 ID:aqIg3Qjy0
結衣「さて、そろそろいい時間だな」

あかり「そうだねぇ」

結衣「……」

あかり「……あ」

結衣「ん?」

あかり「あ、あかりが攻めで!」

結衣「あかりが、ねぇ」

あかり「……がんばる」

結衣「頑張って」

あかり「それじゃ、えーい!」

結衣「うわっ」

43: 2011/12/17(土) 03:19:06.71 ID:aqIg3Qjy0
あかり「ぇへへ、こういうの憧れてたんだぁ」

結衣「壁際に追い込んでーって?」

あかり「うん」

結衣「追い込んでどうするの?」

あかり「き、キス……とか」

結衣「……」

あかり「……」

結衣「……」

あかり「……」

結衣「……しないの?」

あかり「ま、まって、心の準備が」

結衣「……はいはい」

44: 2011/12/17(土) 03:21:39.48 ID:aqIg3Qjy0
あかり「……」

結衣「……あかり」

あかり「も、もうちょっと、恥ずかしさが収まるまでまっんっ」

結衣「……」

あかり「……」

結衣「……ふぅ」

あかり「……あっ、もー! あかりが攻めだって!」

結衣「あかりが遅いからだ、よっとっ」

あかり「きゃっ」

結衣「攻守逆転だね」

あかり「もぅ……」

46: 2011/12/17(土) 03:23:57.31 ID:aqIg3Qjy0
あかり「も、もう一回キスして……」

結衣「あかりはやっぱり、受けだと思うよ」

あかり「んっ……」

結衣「……」

あかり「……」

結衣「……さ、脱がすよ」

あかり「……う、うん――

50: 2011/12/17(土) 03:30:03.63 ID:aqIg3Qjy0
――――
―――
――


結衣「ありがとうございましたー」

仲居「ふふっ、昨夜はお楽しみでしたね」

あかり「!?」

仲居「ふふっ、冗談でございます。 またのお越しをお待ちしておりますー」

結衣「……びっくりした」

あかり「ねー……。 さー、帰ろー」

結衣「……いいのか? どこか見て回っても良いんだよ?」

あかり「ううん、約束だから」

結衣「そっか」

53: 2011/12/17(土) 03:34:15.79 ID:aqIg3Qjy0
アナウンス「――まもなく五番線に列車が参ります。 この列車はなもり線快速」

結衣「……」

あかり「……」

――

車掌「ダァシェイリエス!!」

結衣「あかり、ハイチュウ食べる?」

あかり「あ、ありがとー」

結衣「……」

あかり「……」

57: 2011/12/17(土) 03:43:05.48 ID:aqIg3Qjy0
――回想 結衣
   一ヶ月前 茶道部室
     京子が茶道部に入ると同時に叫んだ言葉、そして――

京子「私たち、付き合う事になりましたー!」

結衣「ちょっと、京子……」

ちなつ「な、なんですとぉー!?」

あかり「わー、すごい、おめでとうー!」

京子「ふっふー。 ついに私の愛が結衣に届いたのだぁー!」

ちなつ「そんな……」

結衣「ちなつちゃん、ごめん」

ちなつ「……いえ、いいんです。 いきなりだから、ちょっとびっくりしてるだけで」

京子「ま、でも、ごらく部は平常通りの予定だから、ね!」

あかり「う、うん。 それじゃ、今日は何しよっかー」

結衣「……」

58: 2011/12/17(土) 03:46:11.50 ID:aqIg3Qjy0
――

結衣「おい京子、部室いかなくていいのか?」

京子「んー、今日は結衣と過ごしたい気分なんだー!」

結衣「そうか……。 私もだけどさ」

京子「だったらいいじゃんー。 大丈夫大丈夫ー」

結衣「……」

京子「あかりが居るし、ちなつちゃんも強い子だから大丈夫だよ」

結衣「うん……。 でも」

京子「もー結衣はー。 でもそういう所が好き」

結衣「はいはい。 私も何だかんだ言いつつ付き合ってくれる京子が好きだよ」

京子「きゃ、結衣さんったら。 じゃ、部室いこうかー」

結衣「あぁ――

60: 2011/12/17(土) 03:49:04.53 ID:aqIg3Qjy0
――

京子「今日はー結衣の家でー」

結衣「うん」

京子「明日もー明後日もー」

結衣「しょうがないな、京子は」

京子「ぇへへー」

結衣「でもそんなに毎日ラムレーズンは無理だぞ」

京子「今はラムレーズンより結衣だから大丈夫」

結衣「前まではラムレーズンに負けてたのか私は」

京子「そうだねぇー」

結衣「ひどいな――

――



「そして私たちはごらく部へ顔を出さなくなった」

61: 2011/12/17(土) 03:52:31.60 ID:aqIg3Qjy0
――――
――


あかり「結衣ちゃん?」

結衣「……あぁ、ちょっと呆けてた」

あかり「大丈夫?」

結衣「大丈夫だよ。 何かあった?」

あかり「ううん」

結衣「そっか」

あかり「飴、食べる?」

結衣「ん、ありがとう」

あかり「えへへ」

結衣「……」

あかり「……」

63: 2011/12/17(土) 03:57:22.94 ID:aqIg3Qjy0
――回想 あかり
   二週間前 茶道部室
     二人だけのごらく部。傷心のちなつ。励まそうとするあかり。でも、気づかれていた――

あかり「ちなつちゃん、お茶入れたよー」

ちなつ「……ありがと」

あかり「……」

ちなつ「……」

あかり「このお菓子おいしいよー?」

ちなつ「うん」

あかり「……」

ちなつ「……」

あかり「きょ、今日の国語の時間にー」

ちなつ「……いいよ、もう」

あかり「……」

64: 2011/12/17(土) 04:01:03.34 ID:aqIg3Qjy0
ちなつ「あーもう!」

あかり「!? ご、ごめ……」

ちなつ「えっ、あっ、あかりちゃんのことじゃないよっ。 結衣先輩のこと!」

あかり「ふぇ……?」

ちなつ「私もう諦めた! 次の恋を探す!」

あかり「お、おぉー!」

ちなつ「で、ごらく部もやめる!」

あかり「えっ」

ちなつ「あ、あかりちゃんと一緒に居たくないって意味じゃないよ?」

あかり「うん」

ちなつ「もう先輩二人来なさそうだし……そうなると、ねぇ……」

あかり「うん……」

ちなつ「だから私、美術部にはいる!」

あかり「おぉー! って、えぇーっ!?」

65: 2011/12/17(土) 04:04:03.68 ID:aqIg3Qjy0
ちなつ「何? 文句ある?」

あかり「な、ないけど……あはは……」

ちなつ「だからさ、あかりちゃんも諦めなよ」

あかり「え? 何を?」

ちなつ「いいじゃんもう、とぼけなくても」

あかり「……」

ちなつ「結衣先輩の事、あかりちゃんも好きだったんでしょ?」

あかり「ぇへへ、バレてたんだ」

ちなつ「恋する乙女の目はごまかせないんだから! あの短冊に願い事書いた日に確信したよ、うん」

あかり「あー……」

ちなつ「どさくさに紛れて抱きついたりして!」

あかり「えへへ」

67: 2011/12/17(土) 04:10:14.11 ID:aqIg3Qjy0
ちなつ「あかりちゃんも、ごらく部の退部届ばーんと突きつけようよ」

あかり「うーん……」

ちなつ「……」

あかり「……ごめんね、あかりはまだちょっと、ここにいたいかも」

ちなつ「そっか」

あかり「うん」

ちなつ「……その、ごらく部やめても友達だから、ね!」

あかり「ぇへへ。 嬉しい」

ちなつ「……もう、なんか恥ずかしい!」

あかり「あはは。 あかりもきっと、もうすぐ吹っ切れるから」

ちなつ「うん」

あかり「心配してくれてありがとー」

ちなつ「全くよ。 どっちが励まされてるんだか」

あかり「あはは――

―――

68: 2011/12/17(土) 04:17:10.66 ID:aqIg3Qjy0
――


結衣「あ、あかり、今なんて……?」

あかり「あかりを抱いて欲しいの。 一晩だけでいいから」

結衣「……」

あかり「それできっと、終わりにできるから。 身勝手だけど……」

結衣「あかりが私を……全然知らなかった」

あかり「隠してたから……」

結衣「……」

あかり「……」

結衣「わかった」

あかり「……あかり酷い子だよね。 結衣ちゃんが断れない状況作ってからこんな」

結衣「あんまり、そういうこと考えない方がいい」

あかり「……結衣ちゃんは、優しいね」

――

69: 2011/12/17(土) 04:19:30.68 ID:aqIg3Qjy0
――――
―――
――


車掌「終点ー七森駅ー。 下車の際はお忘れ物のないよう」

結衣「ついたね」

あかり「うん」

結衣「……」

あかり「……」

結衣「忘れ物無い?」

あかり「うん、大丈夫」

71: 2011/12/17(土) 04:23:05.53 ID:aqIg3Qjy0
結衣「ふぅ。 まだ日は高いけど、寒いな」

あかり「……」

結衣「なぁ、あかり」

あかり「……何?」

結衣「……ごらく部、もう一回やらないか?」

あかり「……もう無理だよ」

結衣「……そうか」

あかり「……うん」

73: 2011/12/17(土) 04:25:32.30 ID:aqIg3Qjy0
結衣「……なんとなくわかってたんだよ」

あかり「……」

結衣「私と京子が恋人になったら、ごらく部が終わるんじゃないかって。

 でも、案外普通に続いてくんじゃないか、とも思ってた」

あかり「……」

結衣「……でも、現実はそんな楽観的には行かなかった、ね」

あかり「そうだね」

結衣「……ごめ」

あかり「謝らないで!」

結衣「……」

あかり「謝らないで……」

75: 2011/12/17(土) 04:28:55.29 ID:aqIg3Qjy0
あかり「……結衣ちゃんは、それでも京子ちゃんを選んだんだもん。

 だから、そのまま進んでいってよ」

結衣「……あぁ」

あかり「あかりも、これで進めると思うから」

結衣「……」

あかり「……これ、京子ちゃんに渡しておいて」

結衣「退部届、か……。 真面目だな、あかりは」

あかり「……」

結衣「……渡しておくよ」

あかり「うん」

79: 2011/12/17(土) 04:34:05.20 ID:aqIg3Qjy0
あかり「……」

結衣「……」

あかり「……京子ちゃんと幸せにね」

結衣「あぁ」

あかり「……ごらく部楽しかったよ」

結衣「うん」

あかり「……わがまま聞いてもらって、ごめんね」

結衣「……」

あかり「でも、ありがとう。 ……さようなら、結衣ちゃん」

結衣「……さよなら、あかり」

85: 2011/12/17(土) 04:45:28.10 ID:aqIg3Qjy0
――回想 結衣
    昨晩 それが終わった後
       あかりは独り言をつぶやくように言った――

あかり「これでいいんだよ、結衣ちゃん」

結衣「……」

あかり「……これで……」

結衣「……」

――――
―――
――





結衣「……これでよかったんだ。 ……帰ろう。 京子が待ってる」

88: 2011/12/17(土) 04:52:19.52 ID:aqIg3Qjy0
――回想 あかり
    数年前 まだ幼稚園に通っているような頃
       幼なじみのあの子はかっこ良くて、皆のリーダーで――


結衣「あかり隊員!」

あかり「はい、隊長ー!」

結衣「今日は秘密基地で――」

あかり「おぉー! あかりも――


――――
―――
――




あかり「……さようなら、結衣ちゃん」

90: 2011/12/17(土) 04:58:16.24 ID:aqIg3Qjy0
――


結衣「おい、起きろ。 遅刻するぞ」

京子「もうちょっとー」

結衣「しょうがないな、京子は」

京子「そうそう京子ちゃんはしょうがないのだ」

結衣「と言うとでも思ったか、起きろ」

京子「ぇー」

結衣「ほら、さっさと支度する」

京子「はいはい」

結衣「全く京子は……」

92: 2011/12/17(土) 05:02:53.16 ID:aqIg3Qjy0
――


あかり「おはよー!」

ちなつ「あ、あかりちゃん」

向日葵「赤座さん、もう大丈夫なんですの?」

櫻子「いつもどおりっぽいねー」

あかり「ぇへへ、心配をおかけしました」

ちなつ「あかりちゃん……」

あかり「……もう大丈夫だから、ちなつちゃん」

ちなつ「そっか。 じゃ、おはよう、あかりちゃん」

あかり「ぇへへ、おはよう!」

ひまさく「?」

あかり(これでよかったんだよ。 大丈夫、あかりはもう――)

93: 2011/12/17(土) 05:06:09.71 ID:aqIg3Qjy0
あかりも気持ちを精算できたと思うので終わり、ということで。

結あかさんにオススメのキス題。シチュ:旅行先、表情:「気恥ずかしそうに」、
ポイント:「壁に押し付ける」、「自分からしようと頑張っている姿」です。
ってのを見たから書いてみたんだ!

94: 2011/12/17(土) 05:06:40.08 ID:JzbREOca0

引用: あかり「これでいいんだよ、結衣ちゃん」