1:2014/06/26(木) 00:02:00.78 ID:nMMh6/Xn0.net
男「うわぁぁぁぁ~~~~!!!??なに?だれ?どっから??どうして??」

少女「血を・・・」

男「なんで!?どうしてうちのタンスから??なに?おばけ??」

少女「血をください・・・」

男「なになになになに!!!???」



2:2014/06/26(木) 00:02:30.60 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「血をください・・・」

男「なんなんですか・・・?誰なんですか?なんでうちのタンスの中にいるんですか!?そこで何してるんですか!!」

少女「と・・・とりあえず血を・・・」

男「ち!?血!??血ってなんなんですか??何言ってるんですか??」

少女「血を飲ませてください・・・」

男「血を・・・吸血鬼?」

少女:コイコイ(手招き手招き)

男「な・・・なんですか??」おそるおそ~る

少女「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」あぁ~~~ん

男「うおわぁぁぁぁぁ!!な・・・なにしようと・・・っ牙!?本物??吸血鬼??何なんだいったい!!」

少女「血をぉぉ~・・・」
3:2014/06/26(木) 00:03:02.52 ID:nMMh6/Xn0.net
男「と・・・とりあえずそこから出てください・・・」

少女「無理・・・」

男「・・・・・・なんで」

少女「血が足りなくて動けない・・・」

男「・・・・・・本当に本物の吸血鬼?」

少女「えぇ、まぁ・・・」

男「なんでうちのタンスの中にいるの・・・」

少女「・・・さぁ?」

男「さぁって・・・」

少女「もう頭がぼ~っとして・・・何も考えられなくて・・・血・・・血を・・・」

男「・・・・・・・・・」

少女「一滴でいいので・・・」
5:2014/06/26(木) 00:03:36.39 ID:nMMh6/Xn0.net
男「い・・・一滴だけ?」

少女「一滴だけ・・・」

男「・・・首筋じゃないといけないの?」

少女「どこでもいいです・・・」

男「・・・指・・・とかでもいい?」

少女「もうどこでも・・・」

男「い・・・一滴だけね・・・」スッ・・・

少女「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」かぱぁっ
7:2014/06/26(木) 00:04:14.77 ID:nMMh6/Xn0.net
男「ま・・・まてまてまて!!」サッ!!

少女「あぁ~~・・・」

男「こ・・・これってもしかしたら・・・噛まれたらオレも・・・その吸血鬼ってやつになっちゃうんじゃあ・・・」

少女「え?えぇ、まぁ・・・」

男「いやいやいやいやいや!!!!ふざけんなよ!!あっぶね!!」

少女「・・・嫌ですか?」

男「当たり前だろっ!!!」

少女「じゃ上から私の口の中に垂らしてください。私の唾液が付かなければ平気です」

男「・・・ほ・・・本当か・・・?」

少女「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

男「・・・・・・・・・」

少女「はぁ・・・はぁ・・・」ゴクリ・・・

男「答えろよっ!」バシッ

少女「いたいっ」
8:2014/06/26(木) 00:04:31.92 ID:LdryKFp20.net
俺「いくらでもどうぞ」ガバー
9:2014/06/26(木) 00:04:51.44 ID:nMMh6/Xn0.net
プスッ

男「っつ!」

ギュウゥゥゥ

男「ほら・・・口開けろ」

少女「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」あぁ~~~ん

男「・・・・・・」

ギュウゥ・・・

少女「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」ぺろ~~~

男「・・・・・・・・・・」

少女「はぁ・・・はぁ・・・」ぺろろ~~

男「はっ・・・はっ・・・はっ・・・」

少女「はぁ・・・はぁ・・・」ぺろろろ~

男「舌を伸ばすなっ!!」バシッ

少女「いたいっ」
11:2014/06/26(木) 00:05:40.94 ID:nMMh6/Xn0.net
ギュウゥゥゥ・・・ぽたっ・・・

男「ほら、皿に落としたからこれ舐めろ」

少女「あ・・・ありがとうございますぅぅ!!」ぺろぺろ

男「・・・・・・・・まさか吸血鬼が実在するなんて・・・・・・っていうかどうやってうちのタンスの中に・・・」

少女「・・・ふぅ、美味しかったぁ~~」

男「あんな一滴で足りるのか?」

少女「ふふふふふふ・・・。愚かな人間め」

男「なにっ!?」

少女「我らは無敵のヴァンパイア!血さえ飲めば貴様ら人間など恐るるに足りぬわっ!!」

男「し・・・しまった・・・」

少女「さっきはよくも殴ってくれたな・・・。覚悟しろっ!!人間っ!!!」

男「うわぁぁぁぁぁあああああ!!!!!」

少女「ふはははははははは!!!」
14:2014/06/26(木) 00:06:31.73 ID:7AELKOCK0.net
リアリティあるなこの男
いやこんな場面ありえないからリアリティもクソもないのだけれど
15:2014/06/26(木) 00:06:51.63 ID:nMMh6/Xn0.net
男「あぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・」

少女「ははははははは!!」

男「・・・・・・・・・」

少女「はははは――」

男「何してるの?」

少女「え?」

男「いや、タンスから出てこないから・・・」

少女「あのぉ~・・・・カーテン閉めてもらえません??お日様が当たってるから外出られなくて・・・」

男「・・・・・・・・・」

少女「えへへ・・・」

パタン

少女「ちょ・・・蓋閉めないで――」

ガンッ!ガンッ!ゴン!!ガンッ!!

少女「ぎゃああああああああ!!!!やめてやめてやめて!!!!怖い怖い怖い!!」
16:2014/06/26(木) 00:07:26.52 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「ふぅ~・・・偉い目に合った・・・」

男「もう襲ったりしないだろうな・・・」

少女「やだなぁ。あれは冗談ですよ。演出です、演出。助けてくれた人を襲ったりしませんよ」

男「・・・いまいち信用できん」

少女「本当ですって。っていうか、いまどきの吸血鬼は人襲ったりしませんよ。血を抜かれた人とかニュースにならないでしょ?」

男「そりゃ・・・まぁ・・・」

少女「たまに輸血パック盗んだり、事故現場で流れてる血を舐めたりする程度です」

男「・・・それはそれで嫌だな」
18:2014/06/26(木) 00:08:29.03 ID:nMMh6/Xn0.net
男「それで?どうやってうちのタンスに潜り込んだ?」

少女「どうやってと言われましても・・・。ふらふら~っとして、かぱっと開けて、すたっと中に入ったら、がたがた~ってなって、パカって開けたらあなたがいて・・・」

男「さっぱりわからん・・・。もっと細かく話せよ」

少女「だから・・・お腹が空いてふらふら~ってしてたら、寝心地良さそうなタンスがたくさん並んでて・・・その中の一つに入って眠ってたら突然ガタガタ動き出して・・・
        中から開けることも出来なくなって・・・ようやく開いたと思ったら目の前にあなたがいたので血をください・・・と」

男「・・・つまり配送センターかどこかで忍び込んでそのままうちに運び込まれたってわけか・・・」

少女「そうなんですかね?」

男「・・・どおりで送料が高くついたわけだ。お前が入ってたおかげで重さがかさましされてたんだな・・・」

少女「そうなんですかね?」

男「・・・・・・」バシンッ

少女「いたいっ」

男「もう二度と通販で家具は買わん・・・」
22:2014/06/26(木) 00:09:33.43 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「本当にどうも、ありがとうございましたっ!助かりましたっ!」

男「そうか。じゃあ、気を付けろよ。もう二度とこんなことにならないようにな」グイ・・・グイ・・・

少女「はいっ。気を付け・・・・ってあれ?どこ行くんですか??」

男「どこって・・・出てけよ。ここはオレんちだ」グイ・・・グイ・・・

少女「ちょ・・・ちょまっ!まって!お日様お日様!!」

男「ん?」ピタッ

少女「まだお日様出てます。今出たら私死んじゃう」

男「そうか。気を付けてな」グイ・・・グイ・・・

少女「ちょちょちょちょ・・・ちょまぁーーーーー!!!」

男「なんだよ。デカい声出すなよ。近所迷惑だろ」ピタッ

少女「こ・・・こんないたいけな少女を見殺しにする気ですか??」

男「・・・・・・」

少女「あなたは優しい人ですよね?そんな残酷なこと出来るハズありません」キッ(熱い眼差し)

男「出来ます」グイ・・・グイ・・・

少女「ちょちょちょちょ・・・ちょまぁーーーーーー!!!」
23:2014/06/26(木) 00:10:14.46 ID:nMMh6/Xn0.net
男「ったく・・・日が落ちるまでだからな」

少女「ご迷惑おかけします」ペコッ

男「暗くなったら出て行けよ」

少女「こ・・・こ・・・これはなんですか!?」

男「聞けよっ!!」

少女「これ!この四角いの!何するためのものですか?」

男「・・・・・・パソコンだよ。メール打ったり、ネット見たり・・・」

少女「めーる?ねっと?」

男「・・・だから、手紙送ったり、情報調べたりできるのっ」

少女「これもですか?」

男「・・・そっちはテレビ。映像を見るためのもの」

少女「へぇ~・・・。あっ、これはこれは??」

男「・・・CDプレイヤー。音楽が聞ける・・・って何にも知らないのか??」

少女「はいっ!人間さんのおうちに入るのなんて生まれて初めてですっ!あっ!これなんですか?」

男「・・・これが夢だとしたら相当頭おかしくなってるな、オレ・・・」
24:2014/06/26(木) 00:11:09.15 ID:nMMh6/Xn0.net
――夜

少女「すごいすごい!!こんなちっちゃな箱の中で人が動いてる!!」

男「・・・さて、そろそろいいだろ?」

少女「この人たちはここに住んでるの?」

男「もう完全に日は暮れたぞ」

少女「もしも~し、私の声聞こえますかぁ?」

男「おい・・・」

少女「もしも~――」

男「おい!!」

少女「あ、男さん。この人たち私の声聞こえてませんよ」

男「そいつらはテレビの中にいるんじゃなくて・・・いや、そんなことよりもう夜だぞ」

少女「え・・・?」

男「日が落ちたら出てくって約束だろ」

少女「あ・・・あ・・・もうそんな時間・・・」キョロキョロ

男「約束だ。出て行ってもらうぞ」
27:2014/06/26(木) 00:11:59.38 ID:cQQfVtIR0.net
少女を必ず可愛いイメージしてしまうのが日本人である
28:2014/06/26(木) 00:12:37.65 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「あの・・・お世話になりました・・・」

男「おう」

少女「あの・・・テレビすごく面白かったです」

男「ああ」

少女「あと・・・あ、血も御馳走様でした」

男「おお・・・」

少女「あの・・・すごく美味しかったです」

男「そうか・・・・・・」

少女「なんていうか口当たりもまろやかで」

男「ふぅん・・・・・・」

少女「嫌な匂いとか全然しなくて」

男「わかったよ・・・・・・・・・」

少女「普通はですね、もっと嫌な感じの匂いが――」

男「出てけっっ!!!」
29:2014/06/26(木) 00:13:14.49 ID:nMMh6/Xn0.net
男「ふぅ・・・やっと出て行った」

男「・・・」

男(しかしなんだったんだ?)

男(吸血鬼・・・そんなものが存在するなんてな)

男(明日目覚めたら全部夢だったりしてな・・・)

男(・・・・・・夢なわけないか)

ガシャガシャ・・・

男(本もCDも散らかしまくりやがって・・・)

男(ああ・・・服もタンスにしまわないと・・・)

男(・・・・・・それは明日でいいか)
30:2014/06/26(木) 00:14:11.16 ID:nMMh6/Xn0.net
――翌朝

ピピピピッ ピピピピッ

男「ん・・・・・・・・・」

少女「すぴー・・・すぴー・・・」

男「・・・・・・・・・・・・」

少女「すぴー・・・すぴー・・・」

男「うわああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

少女「!!??」
31:2014/06/26(木) 00:15:13.69 ID:nMMh6/Xn0.net
男「あああああああああああ!!!!」

少女「なになになに!!やだやだ!!こわいこわい!!!やだ!」

男「あああああああああ・・・・・」

少女「怖い怖い怖い!!!やだやだやだやだ!!」

男「・・・・・・・・・・・・」

少女「なになになになに!!??やめてやめてやめて!!!」

男「・・・・・・」

少女「いやぁぁぁあああ!!こわいこわいこわ――」

男「うるさい!」ゲシッ

少女「いたいっ」

男「なんでオレより怖がってんだ・・・。・・・っていうか、なんでお前がここにいるんだっ!!」
32:2014/06/26(木) 00:16:15.07 ID:nMMh6/Xn0.net
男「答えろ。なんでお前がオレのベッドで寝てるんだ」

少女「こ・・・こんなフカフカした寝床初めて見たもので・・・」

男「・・・・・・どうやってうちに入った」

少女「え?普通に窓から・・・」

男「窓から入るのは普通ではない・・・。約束しただろ?夜になったら出て行くって」

少女「はい・・・」

男「・・・なんで戻ってきた」

少女「それがですね・・・。ここがどこかもわからず、どこに向かえば良いものやら・・・」

男「・・・・・・そうか・・・タンスに入ったまま運ばれたんだったな・・・」

少女「はい」

男「・・・ここがどこかもわからないのか」

少女「さっぱり」

男「ちょっと待ってろ・・・」
34:2014/06/26(木) 00:16:48.66 ID:nMMh6/Xn0.net
男「いいか?ここがお前のいるこの家だ」バサッ

少女「はい・・・?」

男「この道を真っ直ぐ進むとこのでかい道路にぶち当たる」

少女「??・・・?」

男「このでかい道路を西に向かってず~~~~っと行くと・・・」ペラッ

少女「・・・?」

男「ここが今のページの続きな。この道路を道なりにずっとこっちまで行くと・・・ほら、ここだ。」

少女「???・・・???」

男「ここがお前がタンスに入った配送センター。お前の家はこの近くなんだろ?」

少女「ふえ??」

男「・・・・・・・・・わかった?」

少女「・・・・・・・?」

男「今オレがこの地図で説明したこと・・・理解できた?」

少女「あ、この本、ちずって言うんですか?」

男「・・・・・・・・・なんだか、オレの方がバカみたいだ」
36:2014/06/26(木) 00:18:12.43 ID:nMMh6/Xn0.net
男「仕方ない。オレが連れて行ってやるよ」

少女「え?」

男「車に乗れ・・・って言いたいけど、お前は昼間は出歩けないのか・・・」

少女「はぁ・・・」

男「・・・・・・・・・・・はぁ~~~~~~。わかった。今日の夜まではここにいていい」

少女「やったぁ!!!」
37:2014/06/26(木) 00:19:13.47 ID:nMMh6/Xn0.net
男「やれやれ・・・。じゃあ、オレは仕事に行くからお前は大人しくしてろよ」

少女「はいっ」

男「あんまいろんなもの弄るなよ」

少女「はいっ」

男「・・・・・・・・・・・じゃあな」

少女「あのっ」

男「あ?」

少女「このベッドで寝てもいいですか?」

男「・・・・・・好きにしろ」

少女「やふんっ」バフッ
38:2014/06/26(木) 00:21:21.86 ID:nMMh6/Xn0.net
――夜

ガチャッ

し・・・ん・・・

男「あれ?」

スタ・・・スタ・・・

男「おい」

し・・・ん・・・

男「おい!」

少女「はい?」ガチャ

男「うわっ!!?な・・・なんでまたタンスに入ってんだよ!!」

少女「いや・・・カーテン閉めててもけっこうお日様入ってきますね」

男「だからって・・・うわっ!オレの服が!」

少女「あ・・・か・・・片付けますっ」ガタッ・・・ドシャドシャガッタン

少女「きゃっ」

男「・・・・・・・・・」
39:2014/06/26(木) 00:21:46.74 ID:nMMh6/Xn0.net
男「乗れ」ガチャッ

少女「はい」

バタンッ

男「これから配送センターの近くまで行くから、見覚えのあるところに着いたら降りろよ」

少女「はぁ・・・」

ブゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・
40:2014/06/26(木) 00:22:22.46 ID:nMMh6/Xn0.net
男「・・・・・・」

少女「・・・・・・」

男「・・・・・・」

少女「ふぅ~ん・・・ふふぅ~ん♪」

男「・・・・・・」

少女「ドナドナドーナードーナー♪」

男「・・・・・・」

少女「子牛をのーせーてー♪」

男「やめてくれ。せめて他の歌うたえないのか?」

少女「え?・・・・・・じゃあ。・・・ゴホン・・・うらみ~ま~す~うらみ~ま~す~♪」

男「なんでそんな歌ばっか知ってんだよ・・・」
42:2014/06/26(木) 00:23:02.36 ID:nMMh6/Xn0.net
キィ・・・・・・

男「配送センターはあそこだ」

少女「はぁ・・・」

男「あそこでタンスに入ったんだろ?」

少女「・・・ですかね?」

男「ですかねって・・・・・・この辺に住んでたんだろ?」

少女「いやぁ・・・」

男「いやぁって・・・・・・この辺に住んでて、それでふらふら~とタンスに入ったんじゃないのか!?」

少女「いや・・・お腹すいたままずっと朦朧としてフラフラしてたので・・・正直どこからやってきたのかも・・・・・・」

男「じゃあこの辺のこともよく知らないのか??」

少女「はい・・・」

男「・・・・・何十キロも走る前に言えよ」
44:2014/06/26(木) 00:23:32.10 ID:nMMh6/Xn0.net
男「じゃあ、お前は今までどこに住んでたんだ」

少女「・・・どこでしょう?」

男「・・・・・・家族は。家族はいないのか?親とか兄弟とか」

少女「・・・」フルフル

男「・・・一人でふらふらしてたのか?」

少女「・・・はい」

男「・・・・・・家は?どんな家に住んでたんだ?」

少女「えっと・・・橋の下とか・・・ビルの間とか・・・」

男「・・・・・・・・・そうか」
46:2014/06/26(木) 00:24:01.93 ID:nMMh6/Xn0.net
男「・・・・・・どうする?」

少女「え?」

男「この辺の町で住むところを探すか・・・、オレの住んでた町まで戻って探すか・・・」

少女「えっと・・・」

男(・・・・・・家の近くに吸血鬼なんて潜んでいてほしくないな・・・。このままここに置いていった方が・・・・・・・・・・・・)

少女「ん~・・・・・・」

男(・・・・・・・・・・・・といっても見た目は女の子だしなぁ・・・・・・・・置き去りにするのも気が引ける・・・・・・・・というか・・・・・・
    ・・・・・・もし万が一、この辺でこいつが人を襲ったりしたらオレのせいか?・・・)

男「・・・・・・・・・」

少女「どうしよう・・・」

男「もういい・・・。乗れ」

少女「え?」

男「・・・オレの住んでる町まで戻る」
47:2014/06/26(木) 00:24:47.14 ID:nMMh6/Xn0.net
キィィ・・・・・・

男「着いたぞ降りろ」

少女「くー・・・くかー・・・」

男「降りろ!」

少女「は!?ねっ・・・寝てません!!」

男「なんだその不要な嘘は。いいから降りろ」

バタンッ

男「じゃあ、この辺で適当に住めそうな所を探せ」
48:2014/06/26(木) 00:25:45.89 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「はい・・・あの・・・お世話になりました」

男「あぁ」

少女「私、車って初めて乗りました」

男「タンスごと乗ってただろうが」

少女「このご恩は一生・・・」

男「わかったって。日の出までに日光防げるところを見つけないとまずいんだろ?早く行けよ。もう時間ないぞ」

少女「あ・・・・はい。じゃあ・・・・・・」

男「ああ。じゃあな」スタスタスタ・・・

少女「・・・・・・」
50:2014/06/26(木) 00:26:16.81 ID:nMMh6/Xn0.net
――翌朝

ピピピピッ ピピピピッ

男「ん・・・・・・・・・・・・」

少女「すぴー・・・すぴー・・・」

男「・・・・・・・・・・・・・・・だと思ったよ」

少女「すぴー・・・すぴー・・・」

男「おい」

少女「すぴー・・・すぴー・・・」

男「おい!」

少女「!?・・・・・はっ!!ね・・・ねてませんっ」

男「それやめろ」
51:2014/06/26(木) 00:26:49.54 ID:nMMh6/Xn0.net
男「・・・また窓から入ったのか?」

少女「・・・はい、すみません」

男「・・・住むところが見つけられなかったのか?」

少女「・・・はい」

男「・・・・・・・・・・・・ふぅ・・・・・・。住むところ見つけるまでだぞ」

少女「え?」

男「お前が新しく住む場所見つけるまではこの家にいていい」

少女「ほ・・・ほ・・・ほ・・・本当ですかっ!!??」

男「そのかわりっ!!」

少女「!?」

男「住む場所を見つけたらすぐに出て行くこと!」

少女「・・・」こくり

男「そしてこの家にいる間は家のことをしてもらう」

少女「家のこと?」
52:2014/06/26(木) 00:27:25.28 ID:nMMh6/Xn0.net
男「お前、掃除とか洗濯とかは?」

少女「出来ます!家族と住んでた頃はよくやってました!」

男「昔は家族と暮らしてたのか?」

少女「はい。でもずっと、ず~~~~~っと昔のことですよ。」

男「そうか・・・。今はどこにいるのかわからないのか?」

少女「・・・はい。」

男「・・・そうか。・・・じゃあ、オレはそろそろ仕度して出かけるから頼んだぞ」

少女「はいっ!」ピシッ(敬礼)
53:2014/06/26(木) 00:28:03.14 ID:nMMh6/Xn0.net
――夜

男「・・・・・・」ガチャッ

ピチャ・・・

男「ピチャ?・・・うわっ!?なんだこれ!?」

ビチャ・・・ビチャ・・・

男「洗濯機から水が溢れてる!!おい!おい!どこいった!?」

少女「ぎゅむぅ~!!」

男「いったいなにしてたん――」

少女「むぅーーー!!」

男「・・・なんで掃除機のコードに絡まってんだ?」

少女「むももう!むぐ・・・むむぅ!!」

男「・・・どうやったらそんな風に器用に絡まれるんだよ・・・」
54:2014/06/26(木) 00:28:29.60 ID:zAlyfk7G0.net
なんか男が偉そうになってきてる
55:2014/06/26(木) 00:28:58.29 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「ぷはっ!助かりました・・・。」

男「掃除や洗濯は出来るんじゃなかったのか?」」

少女「家に住んでた頃はお掃除は箒とか雑巾を使ってましたし、お洗濯は川でしてました。いやぁ~難しいですね、ソウジキというのは」

男「・・・まるで昔話だな。っていうか使ったことないなら始めに言えよ。いつから絡まってたんだ?」

少女「男さんが出て行ってすぐ、お洗濯してお掃除しようと思ったらぐるぐるぐるぐるって・・・」

男「じゃ、半日もあのままだったのか??」

少女「は・・・はい」
56:2014/06/26(木) 00:29:36.53 ID:nMMh6/Xn0.net
男「・・・仕方ない。明日の休みの間にお前に一通り電気製品の使い方を教える。いいな」

少女「は・・・はいっ」

男「じゃあ、オレはもう寝るから。お前は住むとこ探しに行くなら行っていいぞ。鍵は閉めろよ」

少女「い・・・いや、私も今日は全然寝ていないので」

男「・・・そうか。朝からずっと絡まってたんだったな」

少女「はい・・・もう限界です・・・。おやすみなさい」ギシッ

男「なんでオレより先にベッドに上がるんだよ」

少女「すぴー・・・すぴー・・・」

男「・・・やれやれ」
57:2014/06/26(木) 00:30:07.68 ID:nMMh6/Xn0.net
――翌日

男「このコードをこの穴につないでこのボタンを押せば・・・」ポチッ

ブォォォォ・・・

男「な?」

少女「おおおおおおお!!すっ・・・すごい!吸ってる!吸ってますよ!!」

男「簡単だろ?これで床のゴミを吸い取るだけだ」

ブィィィィ・・・

少女「おおおおおお!!すごいすごい」
58:2014/06/26(木) 00:30:33.89 ID:nMMh6/Xn0.net
男「じゃあ、やってみな」ポチッ

少女「こ・・・ここのボタンを・・・」

男「そうそう・・・。あ、そんな顔近づけると・・・」

カチッ・・・ブオォォォ・・・

少女「ふぎっ!?」

ブゴォォォォ・・・・

少女「ふががが・・・・!!んん~~~~~~~!!」

男「・・・・・・何してんの」ポチッ

ォォォォン・・・・・ンガポッ

少女「はぁ・・・はぁ・・・吸血鬼が逆に吸われるとは・・・ふ・・・不覚・・・」
59:2014/06/26(木) 00:31:09.70 ID:nMMh6/Xn0.net
男「使い終わったらコードを抜いてこのボタンを押す」カチッ

シュルシュルシュルッ

少女「!?い・・・生きてる??」

男「生きてない生きてない。じゃあ、最初からやってみな」

少女「は・・・はいっ!え~っとまずコードを出して・・・」

ズルズル・・・

少女「ここに差し込んで・・・スイッチオン!」ポチッ

ブィィィィ・・・

少女「ふっふっふ・・・。完璧に使いこなしましたよ」

男「よし。じゃあ、片付けて」

少女「はい。電源を止めて・・・コードを抜いて・・・こっちのスイッチを・・・」カチッ

シュルシュルシュルッ!!・・・ピョンッ・・・バチンッ

少女「んがっ!!」

男「あ・・・たまにコードの先端が跳ねたりするから気を付けて」

少女「先に言ってください・・・」
60:2014/06/26(木) 00:31:59.63 ID:nMMh6/Xn0.net
男「よし、じゃあ次は洗濯機な」

少女「あ・・・あの・・・」

男「ん?」

少女「そ・・・その・・・カーテンをもっとこう分厚い遮光カーテンとかにしませんか?」

男「なんだ、まぶしいのか」

少女「まぶしいというか・・・。これぐらいの光でも当たると肌がヒリヒリして眩暈がしてくるんです・・・」

男「・・・・・・仕方ないな。待ってろ」

少女「は・・・はい」

スタスタ・・・・・・・
62:2014/06/26(木) 00:32:52.69 ID:nMMh6/Xn0.net
・・・・・・スタスタ

男「これ使え」

少女「これは?」

男「日傘だ。カーテンは変えるつもりないから、日が当たる所ではそれさしてろ」

少女「わぁ!!ありがとうございます!!」るんるん♪

男「お・・・おい・・・家の中で振り回すなよ。狭いんだから危な――」

ガン!ガシャン!ボキッ・・・

少女「あ・・・」ポッキリ

男「・・・・・・」イラッ

少女「う・・・う・・・」

男「ガムテープででも直しとけ」

少女「うう・・・・・・」
63:2014/06/26(木) 00:33:20.95 ID:nMMh6/Xn0.net
吸血鬼の少女は信じられないほど物を知らなかった
しかし物覚えは良い方で、道具の使い方などは教えてやればすぐに覚えた

――夜

少女「・・・でこの三角の再生ボタンを押すと・・・」ポチッ

♪~♪~~♪~

少女「おおおお!!やったぁ!!」

男「まぁ、留守番中CDくらいは好きに聞いていい」

少女「本当ですか?ありがとうございます!!」

男「・・・音楽好きなのか?」

少女「もちろんです!中島みゆきのCDはありますか?」

男「いや、それは無いけど・・・。・・・でもなんかイメージちがうな」

少女「何がですか?」

男「いや、吸血鬼って言うとなんかもっと暗い感じのクラシックとか聞いてそうだからさ。」

少女「だって、クラシックじゃ歌えないじゃないですか。私は歌うのが好きなんですよ。Free~ to be whatever you~♪」

男「!?発音うまっ!?」
65:2014/06/26(木) 00:34:14.50 ID:nMMh6/Xn0.net
――翌朝

ピピピピッ ピピピピッ

男「・・・・・・・・・・・・」ポチッ

少女「すぴー・・・すぴー・・・」

男「よいしょっ・・・」コッソリ・・・

少女「すぴー・・・すぴー・・・」

男『仕事に行ってくる。掃除と洗濯頼んだ。あとはテレビでもCDでも好きに使え』カキカキ

少女「すぴー・・・すぴー・・・」

男「・・・・・・」

男『日光には気を付けろよ』カキカキ

男「さて・・・」

少女「・・・いってらっしゃい・・・・・・・」

男「ん?なんだ起きてたのか?」

少女「すぴー・・・すぴー・・・」

男「・・・・・・変な奴」
66:2014/06/26(木) 00:34:46.13 ID:nMMh6/Xn0.net
――夜

ガチャッ

男「・・・・・・帰ったぞ」

スタ・・・スタ・・・

男「お?」

少女「あ、お帰りなさい」

男「あ、あぁ・・・。すごい綺麗だな。見違えた」キョロキョロ

少女「言ったでしょ。お掃除は得意なんですよ」

男「壁も床も色が明るくなった気がする・・・」

少女「洗濯物も日傘さしながらベランダに干してみましたよ」ファサッ

男「皺一つないな・・・」

少女「お洗濯も得意なんですよ」

男「なかなかやるな・・・」

少女「えっへん」

男「初めて感心したわ」
67:2014/06/26(木) 00:35:18.07 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「・・・あの・・・お外に出たいです」

男「あぁ、住むところ探して来いよ」

少女「お散歩したいんですけど・・・」

男「おう、そのまま帰ってこなくてもいいからな」

少女「・・・・・・」

男「・・・・・・」

少女「・・・・・・」

男「・・・なんだよ?」

少女「帰り道わからなくなると怖いので一緒に来てください」

男「・・・・・・」

この吸血鬼には人間の言葉が理解できていないんじゃないだろうか
男は時々本気でそう感じた
69:2014/06/26(木) 00:36:41.58 ID:nMMh6/Xn0.net
スタ・・・スタ・・・

少女「ん~~~。お外は気持ちいいですねっ」

男「オレはさっきまで外にいたんだけどな・・・」

少女「今日、夕方雨降ったんですよ。知ってます?」

男「聞いてねぇな、人の話・・・」

少女「雨の後の匂い好きなんですよね・・・。あっ!」

男「ん?」

少女「公園だ!公園ですよ、男さん!」タッタッタ・・・

男「住むとこ探しはどうなったんだ・・・」

少女「男さん!早く早く!!」
70:2014/06/26(木) 00:37:11.86 ID:nMMh6/Xn0.net
カンカンカンカン・・・

少女「男さん、行きますよ!」

男「はいはい・・・子供か・・・」

少女「それっ」

シャァァァァ

少女「やっぱ雨の後は良く滑りますねっ」

男「けつビショビショだぞ」

少女「こんどはあれ!あのブラブラするやつ!ブランコでしたっけ?あれ行きます」タッタッタ

男「・・・住むとこ探す気全くないな」
71:2014/06/26(木) 00:37:46.90 ID:nMMh6/Xn0.net
ギィ・・・ギィ・・・ギィ・・・

少女「男さん、行きますよ!」

男「おいおい、やめとけって。怪我するぞ」

少女「大丈夫ですって。見ててくださいね」

ブゥン・・・ブゥウン・・・

男「お・・・おい!やめろって・・・本当に危な――」

少女「とうっ!」シュパァッ

クルクルクルクル・・・スタッ

少女「はっ」ビシッ

男「・・・・・・・・・・え?」

少女「どうでした?カッコいいでしょ?」

男「あ・・・あぁ・・・」
74:2014/06/26(木) 00:38:44.54 ID:nMMh6/Xn0.net
グルングルングルングルン

少女「男さんも鉄ぼ――」

グルングルン

少女「やりませんか?楽し――」

グルングルン

少女「ですよ――」

男「見てるだけで目が回りそうだからいいよ・・・」

ピタッ

少女「ふぅ・・・楽しかった」

男「お前すごいな・・・。家にいる時はどんくさいのに・・・」

少女「夜になると元気出てくるんですよね。力が溢れてくるというか」

男「・・・やっぱ吸血鬼なんだな」

少女「今度はブランコから飛んで鉄棒掴んで回転して着地しますよ。見ててくださいね」タッタッタ・・・

男「・・・本当に子供みたいだな」
76:2014/06/26(木) 00:39:35.86 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「あぁ~・・・気持ち良かった。久々に体動かしたぁ~」

男「・・・楽しんだか?オレはもうそろそろ帰るぞ」

少女「あ・・・ま・・・待ってください」

男「ん?」

少女「最後にあの・・・あれ乗ってみたいです・・・。一緒に乗ってくれませんか・・・?」

男「なに?シーソー?」

少女「シーソーって言うんですか?乗ったことないです」

男「やだよ。シーソーだってビショビショだろ」

少女「う・・・」
77:2014/06/26(木) 00:40:16.80 ID:nMMh6/Xn0.net
男「ほら、帰るぞ。それとも一人で残るか?」

少女「あ・・・あのっ」

男「なんだよ」

少女「わ・・・私、いっつも公園で遊ぶ時も一人だから・・・」

男「・・・・・・」

少女「だから・・・今日は本当に楽しかったです。ありがとうございました」ペコッ

男「・・・あぁ。行くぞ」スタ・・・スタ・・・

少女「・・・・・・」スタ・・・スタ・・・クルッ、チラ

男「・・・・・・」スタ・・・スタ・・・

少女「・・・・・・」スタ・・・スタ・・・クルッ、チラ

男「・・・・・・・・・」スタ・・・スタ・・・

少女「・・・・・・」スタ・・・スタ・・・クルッ、チラ

男「・・・・・・あぁ~~~鬱陶しい!!!一回だけだぞっ!!」
78:2014/06/26(木) 00:40:44.13 ID:nMMh6/Xn0.net
キィ・・・カタン・・・

少女「わぁ!高い高いっ」

キィ・・・コトン・・・

男「・・・いっつも一人で遊んでたのか?」

少女「はい」

キィ・・・カタン・・・

少女「わぁ!高い高いっ」

男「・・・それじゃ確かにシーソーでは遊べないわな」

キィ・・・コトン・・・

少女「はい、初めてです!こんなに楽しかったなんてっ!!」

男「・・・楽しいのか?」

キィ・・・カタン・・・

少女「わぁ!高い高いっ!はいっ!すっごく楽しいです!!!」

男「そうか・・・」
79:2014/06/26(木) 00:41:23.69 ID:nMMh6/Xn0.net
スタ・・・スタ・・・

少女「今日はありがとうございましたっ!」

男「ああ・・・」

少女「私、あんなに楽しかったの初めてですよっ」

男「・・・そうか」

少女「あの・・・もし男さんさえ良ければまた・・・」

男「・・・ああ」

少女「やったぁ!!」クルクル

男「住むところが見つかるまでだからな」

少女「はぁ~い」クルクル

男「・・・ったく・・・いつになるやら」
80:2014/06/26(木) 00:42:00.91 ID:nMMh6/Xn0.net
――翌日、夕方

ガチャッ

男「帰ったぞ・・・」

少女「あ、お帰りなさい」ゴシゴシ

男「また掃除してんのか。昨日あんなに綺麗にしたのに」

少女「何言ってるんですか。お掃除はちゃんと毎日することが大切なんですよ。たまにじゃ意味ないんです」

男「そうか・・・。まぁやってくれるのはありがたいけど」

スタ・・・スタ・・・

男「あ、そうだ」

少女「?」

男「吸血鬼って人間の血じゃないといけないのか?他の動物の血じゃダメなのか?」

少女「さぁ?飲んだことないです」

男「・・・魚の血・・・はどうかな」ガサガサッ
81:2014/06/26(木) 00:42:32.45 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「お魚・・・ですか?」

男「あぁ。スーパーで買ってきたパックの鯵だけど・・・このパックに溜まった血・・・」ビリビリ

少女「・・・」

男「飲んでみるか?」

少女「あんまりいい匂いはしませんね・・・」ゴク・・・

男「どうだ?」

少女「!?」

男「イケる――」

少女「うげぇぇぇぇぇぇぇぇ」ゲロゲロ

男「だ・・・ダメか・・・」

少女「生臭ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」ゲロゲロ

男「な・・・なんかごめん・・・」
82:2014/06/26(木) 00:43:35.46 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「死ぬかと思った・・・」

男「わ・・・悪かったな・・・」

少女「お魚の血は苦手です」

男「やっぱ人間の血じゃないとダメか。」

少女「多分・・・」

男「ところで・・・お前、最初にあった時に一滴飲んだだけだけど・・・大丈夫なのか?」

少女「?何がですか?」

男「いや・・・お腹とか空かないのかなって」

少女「あぁ、大丈夫です。燃費がいいのが売りなので。それに吸血鬼は基本敵に不死なのでお腹が空いて死んじゃうことはありませんから」

男「え・・・そうなの?」

少女「はい。最悪お腹空いて動けなくなるくらいで、日の光に当たったりしない限りは死にません」

男「そうなのか・・・。・・・お前っていったい何歳なの?」

少女「さぁ・・・もうだいぶ長いこと生きてますからね。100年くらいまでは数えてましたけど・・・いったい今何歳なんでしょう」

男「・・・・・・そう・・・ですか・・・」
84:2014/06/26(木) 00:44:08.12 ID:nMMh6/Xn0.net
男「本当に食わなくていいのか?」

少女「はい」

男「別に一人くらい食費増えても平気だけど・・・」

少女「牙が邪魔で上手く噛めませんし、消化器官が人間とは違うようなので」

男「あ・・・そう」モグモグ・・・

少女「そうなんですよ。お魚とか食べてもほとんど消化せずにうoこになっちゃいます」

男「・・・・・・ふぅん」ムシャムシャ・・・

少女「ええ。せっかくお魚とかいただいてもうoこになっちゃうだけじゃ申し訳ないですからね」

男「・・・・・・」ムシャ・・・

少女「それに食べた分だけのうoこを出すのもなかな――」

男「あのさ・・・」

少女「はい?」

男「人が食事してる時にうoこうoこって言わないでくれるかな?っていうかさ、吸血鬼とは言え女の子がうoこって言うのあんまよくないと思うぞ」

少女「あ~・・・じゃあ・・・・・・うoち?」

男「・・・・・・とりあえず食事中静かにしてて」
85:2014/06/26(木) 00:44:54.38 ID:nMMh6/Xn0.net
――夜

男「・・・・・・」カタカタカタ・・・

少女「男さん男さん、見てくださいほら。テレビ面白いですよ」

男「うん・・・」カタカタカタ・・・

少女「今、バッファロー吾郎と水玉れっぷう隊が半裸で・・・男さん?」

男「わかった・・・ってかなんかいちいち渋いな、お前のチョイスは」

少女「何してるんですか?」

男「ん?ああ、インターネット。今は2chって掲示板サイトを見てたんだ」

少女「2ch?」

男「あぁ。日本中のいろんな人間がここに情報とか意見とかを書き込むんだよ」

少女「え?この中にいろんな人間が住んで――」

男「いるわけないことぐらいもうわかるだろ?回線を通じていろんな人がここにアクセスしてるの」

少女「へぇ・・・すごいんですね。人間の文化は・・・」

男「・・・本当に理解してんのか・・・」
86:2014/06/26(木) 00:45:29.77 ID:nMMh6/Xn0.net
男「吸血鬼を見たとか、知ってるって情報を探そうと思ったんだけどあるわけなかったな。オレがスレ立てても叩かれるのがおちだし・・・」

少女「・・・・・・」うずうず・・・

男「他のサイトにもそれらしい情報はないし・・・やっぱこんな現実離れした話は他にはないよな・・・。もういいや、寝よう」ガタッ

少女「あ・・・あの・・・」

男「ん?」

少女「わ・・・私も・・・私もやってみたいです」

男「え゛っ・・・・・・」

少女「そのキーボードっていうので文字を打ってお話するんですよね?」

男「そ・・・そうだけど・・・」

少女「やってみたいです」キッ(熱い眼差し)

男「い・・・いいけどさ・・・。大丈夫か?あんま変なこと書くなよ?」

少女「はいっ!大丈夫ですっ」

男「・・・・・・・・・大丈夫かな・・・」
87:2014/06/26(木) 00:46:06.45 ID:nMMh6/Xn0.net
男「ぐー・・・ぐー・・・」

少女『私、吸血鬼だけど質問ある?』カタカタカタ・・・

少女「ふふふ・・・」ワクワクテカテカ

『は?なにこいつwww』

『くっさwwww』

少女「・・・・・・」

『回線切って首吊ってこい』

『こんなクソスレ立ててってどうするつもりだったの?』

少女「・・・・・・・・・」

『面白いと思った?』

『このスレッドは天才チンパンジー「アイちゃん」が(ry』

少女「・・・・・・・・・・・・」

男「ぐー・・・ぐー・・・」
88:2014/06/26(木) 00:46:36.66 ID:nMMh6/Xn0.net
――翌朝

ピピピピッ ピピピピッ

男「ん・・・」ポチッ

し・・・・・・ん・・・・・・

男「・・・あれ?」

し・・・・・・ん・・・・・・

男「どこいった?」

男(夜のうちに出かけたのか?)

男「おーい」

男(でももう日が昇ってるぞ)

男「・・・・・・・・・」
89:2014/06/26(木) 00:47:12.88 ID:nMMh6/Xn0.net
男(・・・・・・トイレにも風呂場にもいないな。・・・・・・出て行ったのか?)

男「・・・・・・ったく。それならそれで何か言ってけよな」

し・・・・・・ん・・・・・・

男「・・・・・・・・・仕事行くか」

スタ・・・スタ・・・

男「着替え着替え・・・」

ガチャ

男「うわぁぁあ!!!!」

少女「・・・・・・」ガクガクブルブル

男「・・・・・・な・・・何やってんだお前、またタンスの中に入ったりして・・・・・・」

少女「2chこわい・・・2chこわい・・・」ガクガクブルブル

男「・・・・・・・・・」

少女「こわい・・・こわい・・・」ガクガクブルブル

男「・・・・・・・・・」キィ・・・

・・・パタン
90:2014/06/26(木) 00:48:18.36 ID:nMMh6/Xn0.net
――夜

ガチャ

男「・・・帰ったぞ」

し・・・・・・ん・・・・・・

男「あれ?」

し・・・・・・ん・・・・・・

男「まさか・・・」

スタスタスタスタ・・・

ガチャ

少女「・・・・・・・・・」ガクガクブルブル

男「・・・お前、一日中そこにいたのか?」

少女「・・・・・・・・・」ガクガクブルブル

男「引きこもりの鑑みたいなやつだな・・・」
92:2014/06/26(木) 00:49:03.87 ID:nMMh6/Xn0.net
男「ん?しかし一日中こもってた割には掃除も洗濯もしてあるな・・・。・・・もしかして一回掃除と洗濯をして、改めてそこに引きこもったのか?」

少女「2chこわい・・・2chこわい・・・」ガクガクブルブル

男「・・・・・・もういいから出てこいよ。あんな連中の言うこと気にするな」

少女「くさくないもん・・・チンパンジーじゃないもん・・・」ガクガクブルブル

男「どんだけ根に持つんだよ・・・。ほら、良いもん買ってきてやったぞ。出てこい」

少女「?」ピタッ

男「中島みゆきのCD」

少女「わぁ!聞いていいですか!!」ガタガタガタタン

男「ああ」

少女「やったぁ!」

ガチャ、ポチッ

男「やれやれ・・・。ん?」

うらみ~ま~す~ うらみ~ま~す~♪

少女「くさくないもん・・・チンパンジーじゃないもん・・・」

男「・・・・・・・」
94:2014/06/26(木) 00:49:49.64 ID:nMMh6/Xn0.net
――翌日、夕方

ガチャ

男「ただい・・・・・・帰ったぞ」

・・・ジュウジュウ

男「ん?」

スタスタスタ・・・

少女「あ、男さん、お帰りなさい」

男「・・・何してんだ?」

少女「あ・・・お料理に挑戦してみました」

男「・・・お前、料理なんてできたのか?」

少女「いつも男さんがやってるの見て覚えました」

男「へぇ~・・・」
95:2014/06/26(木) 00:50:47.54 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「さぁ、どうぞ」コトッ

男「あぁ・・・いただきます・・・」カチャッ

少女「~♪」ワクワク

男「・・・・・・」

少女「?食べないんですか?」

男「いや・・・、これ食ったらオレも吸血鬼になったりしないよな?」

少女「失礼な。ちゃんと体液が入らないよう、細心の注意を払いました」

男「そ・・・そうか」

少女「・・・嫌ならいいです。捨てちゃいますから」

男「わ・・・わかったよ。ごめんごめん。食べるから」

少女「・・・・・・。どうぞ」ニコッ

男「・・・・・・」パクッ

少女「どうですかっ――」

男「ぶへぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

少女「きゃあぁ!!」
96:2014/06/26(木) 00:51:14.44 ID:nMMh6/Xn0.net
男「み・・・水・・・」

少女「だ・・・大丈夫ですか?なんで?どうして?」

男「だ・・・おま・・・これ・・・味見したのか・・・」

少女「いや・・・私の唾液が入ったらマズイと思って・・・。男さんがいつも入れてる白い粉もたくさん入れたのに・・・」

男「!?」

男(補充したばかりの塩が空になってる・・・)

男「こ・・・殺す気・・・か・・・」パタッ

少女「きゃぁぁあぁ!!男さん!!しっかりしてください!!」
98:2014/06/26(木) 00:51:55.57 ID:nMMh6/Xn0.net
男「やったことないことは無理してやろうとしなくていいから・・・」

少女「はい・・・」しゅん・・・

男「・・・しかしなんで突然料理なんかしようと思ったんだ?」

少女「いや・・・いつもお世話になってる男さんに美味しい物を食べてもらいたくて・・・」

男「そうか・・・。気持ちは嬉しいけど、掃除と洗濯だけしてくれれば十分だよ」

少女「はい・・・」しゅん・・・

男「・・・・・・」

少女「・・・・・・」しゅん・・・

男「・・・料理をするときには調味料の分量が大事なんだよ」

少女「え?」

男「教えてやるから、ちゃんと覚えろよ」

少女「あ・・・は・・・はいっ」
110:2014/06/26(木) 01:01:07.65 ID:p0YKAfijO.net
――翌日、夜

スタ・・・スタ・・・

少女「今日もまた一緒にシーソー乗ってくださいねっ」

男「はいはい」

少女「今日は雨降ってないからお尻も濡れませんよ」

男「そうだな――」

外国人「Excuse me, sir.」

男「!?は・・・はい?い・・・いえ~す。あいあむじゃぱにーず・・・あ・・・あいきゃん――」

少女「What's wrong?」

男「へ?」

外国人「ペラペ~ラ・・・ペラペラペラ~?」

少女「ペラペラペ~ラ,ペラペ~ラ」

外国人「Oh, I got it. Thank you.」

少女「No problem.」
112:2014/06/26(木) 01:04:10.75 ID:p0YKAfijO.net
男「お前、なんで英語話せるの?」

少女「え?何がですか?」

スタ・・・スタ・・・

男「いや、どこかで勉強したのかなって・・・」

少女「ん?勉強?」

男「いや・・・なんでもない・・・」

少女「そうですか?あ、公園だ、公園!」タッタッタ・・・

男「・・・なんだこの敗北感は」
114:2014/06/26(木) 01:05:55.65 ID:p0YKAfijO.net
――翌日、夜

少女「男さん、男さん」

男「ん?」

少女「これ何ですか?テレビの横の段ボールに入ってたんですけど」

男「あぁ、Wiiか。テレビゲームだよ」

少女「テレビ・・・ゲーム?」

男「知らない?やったことないか?」

少女「はい・・・」

男「・・・ちょっとやってみるか」カチャカチャ・・・ポチ

ピロロロンロロン~♪

少女「おお!」

男「ほら、ここを動かすとこの画面でこれが動いて・・・」カチャカチャ

少女「こ・・・これ・・・男さんが動かしてるんですか!?」

男「そう。こうやって画面のキャラクターを操作して遊ぶのがテレビゲーム」

少女「すすす・・・すごいすごい!!」
116:2014/06/26(木) 01:08:45.12 ID:p0YKAfijO.net
――翌朝

ピピピピッ ピピピピッ

男「ん~・・・・・・・・・・」

少女「・・・・・・」カチ・・・カチャカチャ

男「・・・・・・・・・」

少女「・・・・・・」カチャカチャカチャ・・・

男「・・・・・・・・え?」

少女「・・・・・・」カチ・・・カチ・・・

男「・・・お前、夜通しやってたの?」

少女「・・・はい」カチャカチャ・・・

男「あ・・・そ・・・そう。まぁ、お前にとっては夜中は活動時間か・・・。・・・!?・・・夜通しやってまだ1-2!?1ステージしかクリアしてないの!?」

少女「はい・・・・」カチ・・・カチ・・・

男「た・・・楽しいか・・・?」

少女「すごく楽しいです・・・」カチ・・・カチャ・・・

男「そ・・・そう・・・。まぁ楽しいなら・・・」
117:2014/06/26(木) 01:10:16.74 ID:p0YKAfijO.net
――夜

ガチャ・・・

男「・・・ただいま」ボソッ

ジュウジュウ・・・

男「お?」

スタスタスタ・・・

少女「あ、お帰りなさい。料理リベンジしてみたので、もう一度食べてみてください」

男「・・・ああ」
119:2014/06/26(木) 01:11:36.42 ID:p0YKAfijO.net
コトッ・・・コトッ・・・

少女「ど・・・どうぞ」

男「うん・・・いただきます」カチャ・・・パクッ

少女「・・・・・・」ドキドキ

男「・・・・・・」もぐもぐ

少女「・・・・・・」ドキドキ

男「・・・・・・・ ・・・・・・・・うっ!!」

少女「きゃあぁぁ!!ごめんなさいごめんなさい!!吐いてください!!ば・・・バケツバケツ――」

男「・・・・・・うまい」

少女「・・・・・・・・・え?」

男「うまいよ。美味しい」

少女「ほ・・・本当に?」

男「ああ。味付けもちゃんと出来てるよ」

少女「やっっっっっっっ・・・・・・・・・・・・・たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!やったやった!!良かった~~~~!!」

男「・・・・・・」むしゃむしゃ・・・もぐもぐ・・・
121:2014/06/26(木) 01:15:23.27 ID:p0YKAfijO.net
男「ごちそう様。美味しかった」

少女「・・・・・・」

男「ん?どうした?」

少女「いや・・・、自分の作ったものを食べてもらうなんて・・・美味しいって言ってもらうなんて・・・初めてのことで・・・こんなに嬉しいなんて・・・」

男「・・・そうか。・・・お前たちって・・・吸血鬼って普段どんな生活してるんだ?」

少女「普段?」

男「・・・友達と遊んだり、お喋りしたり、歌をうたったり・・・吸血鬼同士でそういうことしないのか?」

少女「・・・そういうのはしないですね。私たちは・・・普段とっても静かなんです」

男「そうか・・・。家族ともそうだったのか?」

少女「・・・。忘れちゃいました。ず~~~~~っと昔のことなので。・・・お皿片付けますね」

男「ん?あ・・・ああ」

カチャン・・・カチャ・・・
123:2014/06/26(木) 01:16:56.37 ID:p0YKAfijO.net
男「そういえばさ・・・お前、うちに来てからシャワー浴びたことあるか?」

少女「え?く・・・臭いですか?」

男「いや、むしろ全く匂わないから今まで気づかなかったんだけどさ。気持ち悪くないのか?吸血鬼ってシャワー浴びないの?」

少女「たま~~~~に水浴びくらいはするんですけどね」

男「服もずっとその黒いドレスだろ?洗濯とかしないのか?」

少女「たま~~~~に洗うんですけど・・・。気になりますか?」

男「いや・・・お前が良いなら別にいいんだけど」

少女「・・・・・・わ・・・わかりました」

男「え?」

少女「洗ってきます!」ぬぎっ・・・

男「わぁぁぁ!!待て待て!!」

少女「??」

男「ここで脱ぐな!っていうかオレの前で!」

少女「え?なんで?」

男「吸血鬼って羞恥心とか無いの!!??」
126:2014/06/26(木) 01:19:24.55 ID:nMMh6/Xn0.net
――翌日、夕方

スタ・・・スタ・・・

男「・・・・・・」ピタッ

スタ・・・スタ・・・ウィィーン・・・

女性店員「いらっしゃいませぇ~↑」

男「あのぉ・・・」

女性店員「何かお探しですかぁ~↑」

男「女性物の・・・部屋着というか、寝間着みたいなのってありますか・・・?」

女性店員「はぁい、ございますよぉ~。こちらへどうぞぉ~。彼女さんへのプレゼントですかぁ~↑」

男「いや、彼女じゃないんですけど・・・」

女性店員「あ、そぅなんだぁ~。サイズとかってわかりますぅ~↑」

男「あ・・・えっと・・・160・・・センチくらい・・・で痩せ形で・・・色白で・・・」

女性店員「肌の色とか聞いてないんですけどぉ~。やだぁ~。チョ~うけるぅ~~。あ、こちらとかどうですかぁ~↑」
129:2014/06/26(木) 01:21:20.86 ID:nMMh6/Xn0.net
ガチャ・・・

男「・・・ただいま」

少女「あ、お帰りなさい。今夜はシチューを作ってみましたよ」

男「あ、あのさ・・・」

少女「はい?」

男「これ・・・買ってきたから良かったら・・・」

少女「・・・なんですか?」ガサガサ・・・

男「寝間着というか、部屋着・・・。家の中にいる時くらいもう少し楽な格好の方が良いかと・・・」

少女「あ・・・ありがとう・・・・ありがとうございます」ギュッ

男「まぁ、趣味とかわからないから・・・気に入らなければ着なくていいけど・・・」

少女「フワフワしてる・・・」ギュウ・・・

男「なんかそういう素材だって言ってた・・・」

少女「人から物をもらったのなんて初めて・・・・・・。すごく嬉しいです・・・」ギュッ・・・

男「お・・・おう・・・」
131:2014/06/26(木) 01:23:20.72 ID:nMMh6/Xn0.net
――翌朝

ピピピピッ ピピピピッ

男「んん・・・・・・・・」ポチッ

少女「すぴー・・・すぴー・・・」

男「・・・・・・なんだ。結局着てないのか」

少女「すぴー・・・すぴー・・・」ぎゅぅぅ・・・

男「・・・・・・気に入ってはくれた・・・のか?」

少女「すぴー・・・ふわふわ・・・」ぎゅぅ・・・
134:2014/06/26(木) 01:25:42.48 ID:nMMh6/Xn0.net
――夕方

男「じゃあ、お先に失礼します。お疲れ様でした」

部長「あ?ああ、お疲れ様ぁ」

スタ・・・スタ・・・パタン・・・

女同僚「・・・・・・」

部長「・・・・・・」

女同僚「・・・男さん、なんだか最近明るくなってきましたね」

部長「君もそう思うかね?」

女同僚「表情とか声とか、以前の男さんに戻り始めた感じがしますね」

部長「・・・ようやく・・・立ち直ってきたのかな」

女同僚「・・・だといいですけどね」
136:2014/06/26(木) 01:27:51.94 ID:nMMh6/Xn0.net
ガチャ・・・

男「ただいま」

少女「お帰りなさい。ご飯出来てますよ」

男「ああ、ありがとう」

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

新しい住処を探すまで
そんな条件のもとで始まった共同生活だったが
吸血鬼の少女は一向に住処を探す様子はなく、いつの間にか男の家の居候としてすっかり馴染み始めた
そして男にとっても家に帰ると吸血鬼の少女がいるという生活が次第に当たり前になり始めていた
138:2014/06/26(木) 01:30:47.33 ID:nMMh6/Xn0.net
――休日、昼間

男「・・・・・・」カタカタカタ・・・

少女「すぴー・・・すぴー・・・」

ガチャ・・・ガチャガチャ・・・

男「!?」

ガチャン・・・

母「男~いるの~?」

男「か・・・母さん!!なんで急に!!来るならメールぐらいしてくれよ」

母「何言ってんのよ。メール送ったって返事もよこさないくせに」

男「何しに来たんだよ」

母「何って、あんた一人にしといたら家の中なんてグチャグチャに・・・あら?綺麗ね」

男「ちゃんとやってるから大丈夫だって。とにかく今日はまずいから帰ってくれよ」

少女「んん・・・どうかしたんですかぁ?・・・ふぁ」スタ・・・スタ・・・

母「え?」

男「~~~~~~~~」
139:2014/06/26(木) 01:32:45.00 ID:QSRnGMFk0.net
かーちゃん・・・
141:2014/06/26(木) 01:33:04.99 ID:nMMh6/Xn0.net
母「ごめんなさいねぇ・・・。あなたみたいな娘がいるなんて全然知らなかったから・・・」

少女「いえいえ」

母「あなた、お名前は何て言うの?」

少女「あ、少女です」

母「少女さんね。初めまして。男の母です」

少女「あ、初めまして」ペコッ

母「可愛らしくてしっかりしたお嬢さんじゃない。お母さん安心したわ」

男「じゃあもういいだろ?帰ってくれよ」

母「はいはい。邪魔者は帰りますよ。じゃあ、少女さん。出来の悪い息子だけど、これからもよろしくお願いしますね」

少女「あ、よろしくお願いします」ペコッ
142:2014/06/26(木) 01:35:38.67 ID:nMMh6/Xn0.net
スタ・・・スタ・・・

母「もうここでいいわよ。少女ちゃんのところへ帰ってあげて」

男「ああ。悪かったね、母さん」

母「いいわよ。用事のついでだったし」

男「今度来るときは連絡くれよ」

母「わかってます。・・・あんた、良かったわね」

男「なにが」

母「なにがって・・・・・・。あんなことがあって・・・お母さん、本当にあんたのこと――」

男「母さん・・・」

母「・・・ごめんなさい。・・・もう大丈夫なのね?」

男「・・・・・・」コクッ

母「・・・良かったわ。今度少女ちゃん連れてうちにも遊びにいらっしゃい」

男「・・・わかった」
145:2014/06/26(木) 01:38:07.36 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「さっきのは男さんのお母さんですか?」

男「ああ、起こして悪かったな。寝てくれ」

少女「素敵なお母さんですね。優しそうで」

男「口うるさいだけさ」

少女「そんなこと言ったら罰当たりますよ。あんなに良いお母さんなのに」

男「・・・・・・」

少女「いいなぁ、あんなお母さん」

男「・・・・・・少女は・・・お母さんのこと全然覚えてないのか?」

少女「・・・・・・はい。ず~~~~~っとず~~~~っとず~~~~~~~~っと昔のことなので」

男「でも何か少しくらい――」

少女「覚えてないです」

男「・・・・・・そうか」

少女「・・・ごめんなさい」

男「あ、いや、こっちこそ・・・」
146:2014/06/26(木) 01:40:08.37 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「すぴー・・・すぴー・・・」

男「・・・・・・」カタカタカタ・・・

少女「す・・・すっ・・・ぐすっ・・・」

男「?」

少女「すんっ・・・ぐすっ・・・」

男「・・・・・・」スタ・・・スタ・・・

少女「パパ・・・ママ・・・ぐすっ・・・」

男「・・・・・・」

少女「ぐすっ・・・ぐすっ・・・」

男「・・・・・・」スッ・・・ギュッ・・・

少女「ぐすっ・・・すっ・・・す・・・すぴ・・・すぴー・・・」

男「・・・・・・」
149:2014/06/26(木) 01:42:07.14 ID:nMMh6/Xn0.net
――ある日の夜

少女「公園、公園~♪」スキップスキップ

男「・・・・・・」スタ・・・スタ・・・

少女「男さん、公園行くの久しぶりですねっ」

男「しばらく雨が続いてたからなぁ」

少女「何して遊ぼっかなぁ」

男「お、ボールが落ちてる」ヒョイ

少女「なんですか、それ?」

男「お前、キャッチボールってしたことある?」

少女「キャッチボール?」
151:2014/06/26(木) 01:43:22.60 ID:nMMh6/Xn0.net
男「行くぞ~」

少女「はぁ~い」

男「それっ」ヒュッ

ポォ~~~~~ン

少女「はいっ」パシッ

男「ナイスキャッチ」

少女「えへへっ。今度はこれを男さんに投げればいいんですね?」

男「ああ。投げてこい」

少女「行きますよ~」ググッ

少女「えいっ」ピシュゥ

キュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・

男「!?」サッ

ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・パァァァアン!!!

男「ぼ・・・ボールがはじけた・・・」
152:2014/06/26(木) 01:44:14.38 ID:MPKcMDvo0.net
一瞬で猟奇的展開になるとこだったな
153:2014/06/26(木) 01:46:23.79 ID:nMMh6/Xn0.net
男「殺す気か!!」

少女「え~。男さんが言った通りに投げましたよ」

男「あんなの捕れるわけねえだろ。吸血鬼の力で全力で投げんなよ」

少女「あんなの全然全力じゃないですよ」

男「とにかく、今度からもっと力抜いて投げろよ。人間のオレでも捕れるようにさ」

少女「わかりました」
156:2014/06/26(木) 01:48:22.23 ID:nMMh6/Xn0.net
――また別のある日の夕方

ガチャ

男「ただいま」

少女「お帰りなさい」

男「お、なんかいい匂いするな」

少女「むふふふ。今日は鮭のムニエルを作ってみたのです」

男「ムニエル?そんなものうちの料理本に載ってたか?」

少女「ちっちっち。インターネットですよ、男さん。とうとう私はインターネットで料理のレシピを得ることを覚えたのです」

男「へぇ~、やるじゃん」

少女「ふふふ。これからどんどん料理のレシピを吸収していきますからね」

男「そうか。楽しみにしておくよ」

少女「じゃあお食事の用意するのでワクテカして待っててください」スタスタ・・・

男「ああ。・・・・・・・・・ワクテカ?・・・・・・なんか余計なものまで吸収している気がする・・・」
158:2014/06/26(木) 01:51:29.12 ID:nMMh6/Xn0.net
――夜

TV「ブゥゥゥン・・・・ブゥゥン」

男「・・・・・・」カチャカチャ

少女「ぬおぉぉぉ!やりますね男さん」グイ~~

男「・・・そうか?」カチャカチャ

少女「あっ!男さんの背中が見えてきましたよ!」グイ~~~

男「うん・・・。二周遅れだけどな・・・」カチャカチャ

少女「あ・・・あれ?消えた?男さん?いったいどこに?」グイ~~グイグイ~~~

男「いや、お前がコースアウトしたんだよ」カチャカチャ

少女「えぇ~、またぁ?」グイグイグイ~~~~~

男「あとさ・・・体傾けても意味ないからね?」

少女「え?」グイ~~~~~~~~~~
161:2014/06/26(木) 01:54:02.95 ID:nMMh6/Xn0.net
男「・・・・・・」

少女「おや?男さん、コントローラー置いたりして、勝負を諦めたんですか?」グイ~~~~

男「いや、ゴールしたんだよ」

少女「なにぃ~?くっそぉ~。私だってぇ~~」グググイ~~~~

男「・・・・・・楽しそうだな」

少女「え?はい、楽しいですよ。このゲーム」グイグイグイ~~グイグググイ~

男「いや、そうじゃなくてさ。お前はいつも・・・何をしてても楽しそうだなって思って」

少女「そうですか?でも実際に楽しいですからね。男さんと出会ってからずっと楽しいことだらけです」グイ~~グイグイ~~~

男「オレと出会ってから?」

少女「はい。吸血鬼の生活なんて地味で退屈ですからね。一日中じっとしてるなんてこともしょっちゅうです。場合によってはそれが何日も・・・何週間も・・・」グイ~~ググイ~~

男「そうなのか・・・」

少女「こんなに楽しいのって初めてです」グイ~~~~~グイグイグイ

男「そっか・・・」

少女「はいっ」ニコッ
163:2014/06/26(木) 01:56:03.55 ID:nMMh6/Xn0.net
――1週間後、夕方

男「それではお疲れ様でした。あ、来週のプレゼンの資料、ここに置いておきますね」

部長「あ、ああ。お疲れ様」

スタ・・・スタ・・・

部長「あ、お・・・男くん」

男「はい?」ピタッ

部長「君は~その~なんだね・・・。もう立ち直ったのかね・・・」

女同僚「部長っ!」

男「・・・・・・」

部長「あ、す・・・すまんっ!気にせんでくれ」

男「いえ・・・。心配してくださってありがとうございます。みんなも・・・本当にありがとう。でももうそこまで気を使ってもらわなくても大丈夫です」

同僚達「・・・・・・」

部長「・・・・・・じゃ、じゃあ久々に飲みにでも行こうか。男くんもパァ~っと・・・」

男「あ・・・いえ、自分はちょっと用事があるので・・・」

部長「あ・・・あ、そうか」
165:2014/06/26(木) 01:57:15.31 ID:nMMh6/Xn0.net
男「すみません。また誘ってください」

部長「う・・・うん。気にしないでくれ。また行こう」

男「はい。では失礼します」

スタ・・・スタ・・・パタン

部長「ふぅ~、やれやれ・・・」

女同僚「部長があんなこと言い出すから・・・」

部長「い・・・いや、しかし・・・」

女同僚「やっぱりまだ完全には立ち直ってはいませんね」

男同僚「そりゃそうですよ。あんなに愛し合って婚約までした女性を事故で亡くすなんて・・・自分だったら耐えられないなぁ・・・」

女同僚「想像しただけで胸が張り裂けそう・・・」

部長「・・・こらこら・・・君たちまで落ち込んでどうする。男くんの仲間として我々は明るく彼を支えてやらなくては」

男同僚「そうですね。暗い気持ちは酒でも飲んでパァ~っと晴らしましょう」

部長「うん、その意気だ」

男同僚「皆さんも今夜は男さんの分まで飲みまくりましょう。部長のおごりで」

部長「え・・・おごり・・・?」
167:2014/06/26(木) 01:58:19.07 ID:nMMh6/Xn0.net
ガチャ

男「ただいま」

少女「お帰りなさい。今日はですね、ラザニアというものを作ってみましたよ」

男「へぇ~。そんな手の込んだ料理まで作れるのか」

少女「そうなんですよ。ミートソースもじっくり煮込んでしっかり味付けしましたからね。自信作ですよ」

男「そっか。じゃあ、オレもいいもの見せてやる」

少女「え?」

男「じゃーん。ほら、これ。カラーボール」

少女「カラーボール・・・」

男「帰りに買ってきたんだ。夕飯終ったら公園でキャッチボールしようぜ」

少女「はいっ」
170:2014/06/26(木) 02:00:08.35 ID:nMMh6/Xn0.net
――夜

スタ・・・スタ・・・

男「いいか、絶対に本気で投げるんじゃないぞ」

少女「はい」

男「めちゃめちゃ弱く投げるんだからな」

少女「わかってますよ」

男「本当に大丈夫かなぁ・・・。お前のわかってるは今一つ信用できないんだよなぁ」

少女「大丈夫ですって」

DQN達「・・・・・・」

男「・・・・・・」スタスタ・・・

DQN1「ちょっとまってよ」

男「!?」

少女「?」
172:2014/06/26(木) 02:01:16.58 ID:nMMh6/Xn0.net
DQN1「お兄さんたちどこいくの~?」

男「・・・・・・っ」

少女「え?公園ですけど・・・」

DQN1「公園?こんな時間に?」

DQN2「なんか怪しくね?」

DQN3「夜中の公園で何するつもりだよ」

DQN1「外でするのはわいせつ罪ですよぉ?」

男「そんなことしないよ・・・」

少女「私達、キャッチボールしに行くんですよ」ニコッ

DQN2「あ?キャッチボール?」

DQN1「なんでこんな真夜中にすんだよ」

DQN3「あれじゃね?こいつがキャッチボールしようってこの娘を誘い出したんじゃね?」

DQN1「あ~そうだわ。こいつこの娘を騙してイタズラしようとしてんだ」

男「!?」
176:2014/06/26(木) 02:03:08.78 ID:nMMh6/Xn0.net
DQN2「マジかよ、やべぇじゃん。助けてあげないと」

DQN1「そうだな、変態とかほっとけねぇわ。ちょっとお前こっち来い」ガシッ

男「や・・・やめろ・・・。はなせっ!」

DQN1「おい、お前はその娘のことしっかり守っててやれよ」

DQN3「おう、まかせろ」

男「やめろ、お前ら・・・くっ・・・少女、逃げろっ!!」

少女「男さん?」スタ・・・

DQN3「おっと・・・あいつは悪い奴だからね。近づいちゃダメだよ」ガシッ

少女「悪い奴・・・?男さんは良い人ですよ?すごく優しい方です」

男「やめろ!その娘に触るな!!」

DQN1「っせぇ!!!」ドゴッ

男「がっ!!」

少女「!?」
177:2014/06/26(木) 02:04:46.19 ID:nMMh6/Xn0.net
DQN1「てめぇ、さっきからゴチャゴチャうっせぇんだよ!!」ドスッ

男「ぐっ・・・」

少女「や・・・やめて・・・」ぐ・・・

DQN1「あの娘はオレらで可愛がってやっからよっ!!」ドガッ

男「ぐふっ・・・」

少女「やめて・・・」ぐぐぐ・・・

DQN1「てめぇは寝てろやっ!!!」バギッ

男「がっは・・・」

少女「やめろっっっっ!!!!」

DQN達「!!??」

少女「離れろ・・・男さんに触るな・・・」スタ・・・スタ・・・

DQN2「な・・・なんだ、てめぇ!!女だからって調子に乗ってるとマジで頃すぞ!!」

少女「汚い手で・・・男さんに触れるな」ぎりぎりぎり・・・
179:2014/06/26(木) 02:06:04.31 ID:nMMh6/Xn0.net
ドスッ・・・バキッ・・・グシャッ・・・

男「も・・・もういい・・・や・・・やめてくれ・・・」

殴られ、蹴られ、踏みつぶされ・・・DQN達が血だるまになるまでに30秒もかからなかった
男はその間ただ震えて見ていることしか出来なかった

ズシャ・・・ポタッ・・・ポタッ・・・

少女「・・・・・・」ペロッ・・・ピチャ・・・ピチャ・・・

髪を振り乱し、這いつくばって、アスファルトに広がっていく血を舐めている少女の姿を見て
男は自分と少女の間に、人間と吸血鬼の決して相容れることのない大きな壁を再認識した
181:2014/06/26(木) 02:09:19.46 ID:nMMh6/Xn0.net
――翌日、夕方

スタ・・・スタ・・・

男(・・・やはり、彼女は吸血鬼なんだ。どれほど可愛らしくても・・・。どれほど幼く見えても・・・)

スタ・・・スタ・・・

男(このまま一緒に暮らし続ければ・・・・・・いずれ・・・・・・)

スタ・・・スタ・・・ピタ

男「・・・・・・」

・・・ガチャ

少女「あ、おかえりなさい」

男「・・・・・・」

少女「あ、あのですねっ。今日はですねっ。スコッチエッグというものを作りましてですねっ」

男「・・・・・・」

少女「これが面白くてですね。お肉の中に卵を入れて揚げてしまうという、変わった料理でしてっ」

男「・・・ふっ。・・・ただいま」

少女「おっ・・・おかえりなさい!」
183:2014/06/26(木) 02:12:00.22 ID:nMMh6/Xn0.net
男「夕飯の前にちょっとここに座ってくれるかな」

少女「・・・はい」

男「・・・・・・オレが何を言いたいかわかるか?」

少女「・・・はい」

男「昨日のことはあいつらも悪い・・・。だがな、お前のあれはよくない」

少女「・・・はい」

男「吸血鬼の力で殴られれば人間は簡単に死んでしまう。昨日の三人はまだ命があったからいいものの・・・。一歩間違えれば危なかったぞ」

少女「・・・はい」

男「どんなことがあっても、決して人間には手を出すな。わかったか?」

少女「・・・はい」

男「今度ああいうことがあったら逃げろ。相手にするな。全力で逃げろ。わかったな?」

少女「・・・はい」

男「・・・・・・よし、じゃあ飯にしよう」
188:2014/06/26(木) 02:13:30.60 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「あの・・・私は・・・」

男「ん?」

少女「・・・・・・私は・・・ここにいてもいいんですか?男さんの家にいても」

男「・・・なんで?」

少女「・・・だって・・・うっ・・・あんなことしちゃったから・・・もうここには・・・ぐすっ・・・置いてもらえないかと・・・・・・追い出されるものだとばかり・・・うっ・・・」

男「・・・・・・」

少女「うっ・・・だって・・・・・・だって私は・・・ぐすっ・・・」

男「お前みたいな危ない娘、その辺にほっぽり出せるわけないだろ」

少女「・・・・・・男さん」

男「・・・・・・お前のことはオレが監視しててやる」

少女「うっ・・・うっ・・・わた・・・私・・・うっ・・・うっ・・・うわぁぁあああああああああああん」

男「な・・・なんで泣くんだよ」

少女「うぇっ・・・だって・・・だってぇ・・・おい・・・おいだされるって・・・・・・思ってたから・・・もってたからぁぁぁぁあああああうえぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええん」

男「・・・・・・ったく」ふっ・・・
190:2014/06/26(木) 02:15:02.78 ID:nMMh6/Xn0.net
――夜

男「美味しかったよ、スコッチエッグ」

少女「本当ですか?やったぁ!!」

男「ああ、また作ってよ」

少女「はい!男さんが喜んでくれるなら毎日でもっ」

男「いや、さすがに毎日はいいかな・・・」

少女「じゃあ、食器洗いますね」カチャ・・・カチャ・・・

男「ああ、それ終わったら公園行こうか」

少女「え・・・いいんですか?」

男「昨日結局行けなかったからな。キャッチボールしに行こう」

少女「やったぁ!!」

男「その代わり、約束は覚えてるな?」

少女「はいっ!!人間には手を出さない!悪い人を見たら相手にしないで逃げる!」

男「よし、絶対に守れよ」

少女「はいっ!!!」ピシッ
192:2014/06/26(木) 02:16:19.45 ID:nMMh6/Xn0.net
スタ・・・スタ・・・

男「そういえばキャッチボールの時の約束は覚えてるか?」

少女「もちろんです。ボールは全身全霊を込めて投げる」

男「よし、帰ろう」

少女「あぁ~~ん、冗談です!冗談!優しく投げますからぁ~」

男「本当だろうな?」

少女「はい。男さんでも捕れるように思いっきり力を抜いて投げますからね」

男「その言い方もムカつくな・・・」スタ・・・スタ・・・

少女「ふふ」スタ・・・スタ・・・

美青年「・・・・・・」

男「オレだってな、人間の中では結構な強肩なんだぞ」スタ・・・スタ・・・

少女「えぇ~そうなんで――」ピタ・・・

美青年「・・・・・・」

男「ん?どうした、少女。あのイケメンがどうか――」

少女「男さん!!逃げてっ!!!!」
195:2014/06/26(木) 02:17:23.45 ID:nMMh6/Xn0.net
男「え?いったいなに――」

少女「男さん早くっ!!逃げてください!!」

美青年「・・・・・・」

男「ま・・・待てよ・・・なんなんだよ」

少女「あの男、吸血鬼です!!!」

男「・・・え?」

美青年「・・・・・・」ザッ・・・ザッ・・・

少女「男さん、早く逃げてください!!!!」

男「逃げろったって・・・お・・・お前はどうするんだよ・・・」

少女「私はあいつを食い止めます・・・。だからその間に早く!!」ぐぐっ・・・

美青年「・・・・・・」ザッ・・・ザッ・・・

男「食い止めるってお前――」

少女「いいから早くっ!!!」
196:2014/06/26(木) 02:19:35.28 ID:nMMh6/Xn0.net
美青年「待ってください」ザッ・・・

少女「・・・・・・」ぐぐぐっ・・・

美青年「あなた方に危害を加えるつもりはありません。君も拳を下ろしたまえ」

少女「・・・・・・」

男「な・・・なに?」

美青年「だいたい吸血鬼が人間に危害を加えるわけが・・・いや、加えられるわけがないんです。君も吸血鬼ならわかるだろう?」

少女「・・・・・・」

男「ど・・・どういうことだ?」

美青年「・・・こんなところでお話しするのもあれですから・・・。もう少し人目の付かないところに移動しましょう」
198:2014/06/26(木) 02:20:50.84 ID:nMMh6/Xn0.net
美青年「あなたは吸血鬼というものがどのような存在だとお考えですか?」

男「それは・・・・・・人間を襲って血を吸う・・・・・・」

美青年「化け物・・・・・・ですか?」

男「・・・・・・」

美青年「確かに。我々吸血鬼はかつて、あなた方人間の描く小説や映画に登場する化け物さながらに、人間を襲い、その生き血を吸って生きていました
       吸血鬼から見れば人間は単なる捕食対象。か弱き獲物に過ぎませんでした。そして人間にとって我々は恐怖の化け物だったでしょう。・・・しかし、その関係性は長くは続きませんでした」

男「・・・・・・というと?」

美青年「男さん・・・。今や立場は逆転しています。吸血鬼が人間にとっての恐怖の対象なのではなく、人間が吸血鬼にとっての恐怖の対象なのですよ」

男「・・・吸血鬼が人間を恐れていると?」

美青年「そうです。順を追って説明しましょう。かつては先ほど述べたように、人間は吸血鬼にとって単なる食料でした
      しかし、我々吸血鬼は個々の戦闘能力や殺傷能力ばかりを気にしていて、人間の持つ真の力を軽視していたのです」

男「真の力?」

美青年「団結力と統率力です。我々が一人の人間を捕食すると、人間たちは激高しその報復として吸血鬼を百人殺しました
      我々は確かに日の落ちた世界では無敵の存在となります。しかし昼間の陽光の下では何よりも弱い生き物になってしまうのです
       そこを突かれてしまえば我々にはなすすべもありません。昼間の間に住処を破壊されれば身動きもとれないまま日に焼かれて死に絶えるのです」
199:2014/06/26(木) 02:22:55.76 ID:nMMh6/Xn0.net
美青年「そうやってたくさんの吸血鬼が殺されました。女も子供も、人間の目についた吸血鬼はすべて殺されていったのです」

少女「・・・・・・」

美青年「人間は恐ろしい生き物だ。力が弱いからといって決して侮ってはいけない。そう気づいたときには吸血鬼はすでに絶滅寸前でした
      今では生き残った吸血鬼たちも決して人間に姿を見せず、息を殺して闇に潜むようにして生きています
      吸血鬼は絶滅した。吸血鬼はただの迷信だ。吸血鬼は人間の作り出したフィクションだ。そう人間たちに思わせることが我々の唯一の生き残る方法なのです」

男「・・・・・・」

美青年「実のことを言うと、私はこうして男さんの前に姿を現して、お話をしているのもとても恐ろしいのです
      我々がこのような黒いマントやドレスに身を包むのは闇に紛れるためです。人間達のいるこの世界ではもはやこれを着ていないと本能的に落ち着かないのです
      そのためこの服を脱ぐことも滅多にありません。彼女もそうではありませんか?」

男「・・・・・・」チラッ

少女「・・・・・・」

美青年「・・・・・・さて、ここまで話せば私があなた方の前に姿を現した理由が、おわかりになるのではないですか?」

男「・・・・・・昨日のことですか?」

美青年「そのとおり」
202:2014/06/26(木) 02:24:49.60 ID:nMMh6/Xn0.net
美青年「実はあなた方のことはずっと前から見ていました。人間と吸血鬼が並んで歩く。こんな稀有な事例は200年近く生きた私も初めて目にしました
      人間と吸血鬼の間に何か新たな可能性が現れるのではないか、そう思っていたのです。しかしその結果が昨日の出来事です」

少女「・・・・・・」

男「・・・・・・あの・・・昨日の三人は・・・」

美青年「ええ。派手な出血とは裏腹に怪我の程度はごく軽い物でしたよ。私が気を失った彼らの記憶を操作したので、目が覚めてもあなた方のことは覚えていないでしょう」

男「記憶の操作?吸血鬼にはそんな力もあるのですか?」

美青年「いえ、テレビでやっていた催眠術です。試しにやってみたらちゃんとかかりましたよ」

男「・・・・・・」

美青年「とはいっても、吸血鬼が人間に手をあげるというのは、見逃しがたい事実です。下手をすれば我々吸血鬼全員の存亡に関わりますから」

少女「ごめんなさい・・・」しゅん・・・

美青年「・・・・・・」
203:2014/06/26(木) 02:26:26.98 ID:nMMh6/Xn0.net
男「あの・・・」

美青年「?」

男「昨日のことは確かに彼女にも悪いところはありました。・・・でもその原因を作ったのは僕たち人間です。だからどうか、どうか彼女のことは罰したりしないでください」

美青年「いえいえ、罰するなんてとんでもない。ただでさえ少ない仲間を傷付けたりするものですか。私はただ提案をしにきたのです」

男「提案?」

美青年「そうです。あなたと彼女・・・、人間と吸血鬼が一緒にいれば、いつ昨日のような不測の事態が起こるとも限らない」

少女「・・・・・・」

美青年「そこで、彼女を我々吸血鬼の群に迎え入れるというのはどうか、という提案です」

少女「!?」ピクッ

男「!?・・・吸血鬼の・・・群?」

美青年「群といっても、この町と付近に住む吸血鬼を合わせて10人にも満たない小規模なものですが・・・
      狭いながらも住処も用意できるし、定期的な食料確保も約束できます。いかがですか?」

男「・・・・・・」

少女「・・・・・・」
205:2014/06/26(木) 02:28:48.92 ID:nMMh6/Xn0.net
美青年「君もどうだい?人間の社会の中で怯えながら暮らすよりも、我々の仲間と共に安心した日々を送りたくはないか?」

少女「・・・私・・・私は・・・」

男「・・・・・・」

少女「私は・・・・・・・・・男さんは・・・すごく優しいです」

美青年「・・・・・・」

少女「初めて会った時、血をくれました。自分で指に針を刺して・・・痛い思いをしてまで私に血をくれました」

男「少女・・・」

少女「楽しいこともたくさん教えてくれました・・・。・・・私は・・・私は・・・」

美青年「・・・・・・」

少女「私は男さんと一緒にいたいです」

美青年「そうか・・・。しかしそれはあくまで君の希望だね。男さんが良しとしなければそれは叶わないよ」

少女「・・・・・・わかっています」

美青年「不測の事態が男さんを傷つけてしまう可能性だってある。人間と吸血鬼が一緒にいれば何が起こるかわからないんだ
       人間は人間と、吸血鬼は吸血鬼と。それぞれ別々に暮らした方が利があって害が少ないとは思わないか?」

少女「・・・・・・」
210:2014/06/26(木) 02:32:53.14 ID:p0YKAfijO.net
美青年「どうですか、男さん。あなたがそう望むなら我々は少女を引き取って群の中で安全に過ごさせることが出来ます」

男「・・・・・・・・・」

美青年「あなたにとってもその方が都合がいいのではありませんか?」

少女「・・・・・・」

男「・・・・・・美青年さん、あなた、少女と一緒にシーソーに乗ってあげられますか?」

美青年「え?」

少女「男さん・・・」

男「少女は下手糞なくせにテレビゲームが大好きです。群に行っても少女にテレビゲームをさせてやることは出来ますか?
  それに最近は毎日のように新しい料理に挑戦しています。本人もとても楽しんで作っているようです。彼女の料理を食べて美味しいと言ってあげられますか?」

美青年「男さん・・・」

男「初めのうちは成り行きでした。少女に新しい住処が見つかるまで・・・、それまで家に置いてやる。そういう話でした
   でも・・・彼女は・・・いえ、もしかしたら他の多くの吸血鬼も、これまで途方もないくらい長く退屈な我慢の日々を過ごしてきたことを知りました」

美青年「・・・・・・」

男「彼女は家にいる間、本当に心の底から楽しそうです。まるで失った時間を取り戻そうとしているかのように・・・
   僕にどこまで出来るかわかりません。それでも・・・彼女にもっとたくさん楽しい思いを味わわせてあげたい。今までの空白を埋めてあげたい。今ではそう思っています・・・」

少女「男さん・・・・・・」うるっ・・・

美青年「・・・・・・」
211:2014/06/26(木) 02:35:11.73 ID:p0YKAfijO.net
美青年「わかりました。ではこのまま帰ります。私だって若い男女の恋仲を引き裂くような野暮な吸血鬼じゃない」

男「こ・・・恋仲!?」

少女「ななな・・・なにをいってるんですか!?」

美青年「え?違うんですか?恋仲でもないのに男女が共に一つ屋根の下で暮らしているんですか?」

男「そ・・・それは・・・」

少女「・・・・・・///」

美青年「・・・まぁ、いいです。私は帰ります。・・・最後に一つだけ忠告しておきます。男さん、人間と吸血鬼の間には決して破れぬ高い壁があります」

男「・・・わかります」

美青年「しかし・・・その壁は乗り越えることが出来てしまう。そしてあなたは今その壁の上に立っている
      足場は細く、不安定です。気を付けてください。落下すれば激しい痛みを伴うでしょう。壁の・・・どちら側に落ちるとしても・・・」

男「・・・・・・」

美青年「・・・脅すようなことを言って申し訳ありません。ただ心に留めておいてくださいね」

男「・・・はい」

美青年「では行きます。・・・がんばってください。私は・・・・・・少しお二人が羨ましいです」ザッ・・・ザッ・・・ザッ・・・

男「・・・・・・」
213:2014/06/26(木) 02:39:31.17 ID:p0YKAfijO.net
男「驚いたな」ピュッ・・・

ポォ~~~ン・・・パシッ

少女「驚きました」ヒョイ・・・

ポォ~~~ン・・・パシッ

男「お前以外にもいるんだな」ピュッ・・・

ポォ~~~ン・・・パシッ

少女「そりゃいますよ。でもこの町にいるとは知らなかった・・・」ヒョイ・・・

ポォ~~~ン・・・パシッ

男「・・・・・・」ピュッ・・・

ポォ~~~ン・・・パシッ

少女「私達を見てるって言ってましたよね」ヒョイ・・・

ポォ~~~ン・・・パシッ

男「・・・・・・」ピュッ・・・

ポォ~~~ン・・・パシッ

少女「今もどこかから見てるのかな?」ヒョイ・・・ポォ~~~~ン・・・
215:2014/06/26(木) 02:40:55.97 ID:p0YKAfijO.net
男「良かったのか?」ピュッ・・・

ポォ~~~ン・・・パシッ

少女「え?」

男「吸血鬼の群に行かなくてさ・・・」

少女「男さん・・・」

男「さっきはああ言ってたけど・・・本当は仲間と一緒にいたいって気持ちが――」

少女「無いです」ヒョイ・・・

ポォ~~~ン・・・パシッ

男「・・・・・・」

少女「私が一緒にいたいのは男さんですよ」

男「・・・・・・」ピュッ・・・

ポォ~~~ン・・・
217:2014/06/26(木) 02:44:21.22 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「男さんも言ってくれましたよね」

男「え?」

少女「私に楽しいこといっぱい味わわせてくれるって」ヒョイ・・・

ポォ~~~ン・・・パシッ

男「ああ」ヒュッ・・・

ポォ~~~ン・・・パシッ

少女「すごく嬉しかったです」ヒョイ・・・

ポォ~~~ン・・・パシッ

男「・・・・・・うん」ヒュッ・・・

ポォ~~~ン・・・パシッ

少女「信じていいですか?」ヒョイ・・・

ポォ~~~ン・・・パシッ

男「・・・・・・」パシッ・・・

少女「男さんの言葉、信じていいですか?」
218:2014/06/26(木) 02:46:42.24 ID:p0YKAfijO.net
男「・・・ま~~~か~~~せ~~~と~~~けっっ!!」ピシュゥゥゥ・・・

ヒュゥゥゥゥゥ・・・パシッ

少女「・・・・・・」

男「・・・あっさり捕りやがって」

少女「信じます」ヒョイ・・・

ポォ~~~ン・・・パシッ

男「おおっ!」ピシュゥゥ・・・

ヒュゥゥゥゥ・・・パシッ

少女「信じて男さんの側にいます」ピシュッ・・・

ヒュゥゥゥゥ・・・バシッ

男「おおっ!」ビシュゥッ・・・

ピュゥゥゥ・・・パシッ

少女「ずっと側にいますからっ」ピシュゥ・・・

シュルルル・・・バシンッ

男「おおっ!」シュパッ・・・
219:2014/06/26(木) 02:47:21.83 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「ずっとずっとず~~~っと男さんの側にいますからっ」ビシュゥ・・・

シュゥゥゥ・・・バチッ

男「おおっ!」シュパァッ・・・

ヒュゥゥゥゥ・・・パシッ

少女「もうぜ~~~~~ったい!離れませんからねぇ~っ!」バシュウウゥァァ・・・

キュィィィィ・・・バッチン!!!

男「・・・・・・ってぇぇぇぇ~~~~~!!」

少女「あぁ・・・だ・・・大丈夫ですかっ!?」

男「強すぎるよ」

少女「ご・・・ごめんなさい・・・。つ・・・つい・・・」

男「でも・・・・・・」

少女「?」

男「ちゃんと捕ったぜ」ニッ

少女「・・・男さん」
221:2014/06/26(木) 02:48:04.86 ID:p0YKAfijO.net
――翌朝

ピピピピッ ピピピピッ

男「んんん~~・・・・・・・・・」ポチッ

少女「すぴー・・・すぴー・・・」

男「ふぁぁ~あ・・・さすがに夜更かしし過ぎたな・・・・・・・・・ん?」

少女「すぴー・・・すぴー・・・」

男「・・・オレのやった寝間着・・・いつの間に着替えたんだ?」

少女「すぴー・・・すぴー・・・」

男「・・・・・・安心してくれてる・・・ってことか?」

少女「すぴー・・・すぴー・・・」

男「・・・・・・」スッ・・・・・・ナデナデ・・・

少女「んふっ・・・んふふぅっ・・・すぴー・・・」

男「本当に変な奴」ぷっ
222:2014/06/26(木) 02:48:47.17 ID:nMMh6/Xn0.net
――数日後、夜

少女「男さん、お月様が綺麗ですよ」

男「ああ、今日は満月だったな」

少女「お散歩しましょ。私またキャッチボールしたいです」

男「散歩かぁ・・・。今日はやめといた方が良い・・・」

少女「?どうしてですか?」

男「実はな・・・オレ、満月の日に外に出ると、手足の爪が伸びて鋭くなるんだ」

少女「・・・え」

男「そして体中から毛が生えて・・・獣のような耳が生えてくる・・・」

少女「・・・・・・」

男「口は耳元まで裂け、その中に鋭い牙が無数に生える」

少女「・・・・・・」ガクガクブルブル・・・

男「そう・・・オレは・・・・・・狼男だぁ!!」

少女「ひぃぃぃぃいいい!!!」ガタガタガタガタ
223:2014/06/26(木) 02:49:07.27 ID:y6IIbsjzi.net
おやおや
225:2014/06/26(木) 02:50:29.65 ID:p0YKAfijO.net
男「おい、出てこいよ」ガチャガチャ

少女「いやぁぁぁ!!やめてぇぇ!!お願い!食べないでぇ!!」ガタガタ

男「悪かったって。冗談、冗談だよ」ガチャガチャ

少女「そ・・・そんなこと言って・・・出て行ったら食べるつもりでしょ!」ブルブルブル

男「食べないよ・・・っていうかお前、吸血鬼だろ?吸血鬼が狼男を怖がるのか?」ガチャガチャ

少女「き・・・吸血鬼だろうがなんだろうが、怖い物は怖いですよ」ガタガタ

男「わかったから出てこいよ。散歩行こうぜ」ガチャガチャ

少女「お・・・お散歩?」ピタッ・・・

男「ああ、キャッチボールもしてやるから」

少女「し・・・シーソーも」

男「ああ、シーソーだろうが、ブランコだろうが一緒に乗ってやる」

少女「ほ・・・本当に?」キィ・・・

男「本当に」

少女「・・・・・・」ギィィィ・・・おそるおそる・・・

男「・・・何かある度にタンスに引きこもるのやめろよな」
226:2014/06/26(木) 02:50:55.94 ID:nMMh6/Xn0.net
スタ・・・スタ・・・

男「・・・・・・」

おそる・・・おそる・・・

少女「・・・・・・」

スタ・・・スタ・・・

男「・・・・・・」

おそる・・・おそる・・・

少女「・・・・・・」

男「おい、そんな警戒すんなって」

少女「!」ビクッ

男「さっきのは全部冗談だよ。ほら見ろ。爪も伸びてないし、毛も生えてない」

少女「・・・・・・」じぃ・・・

男「な?」

少女「・・・・・・」じぃ~~・・・・・・

男「・・・・・・」
230:2014/06/26(木) 02:52:46.58 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「・・・・・・ほんとだ・・・」ニコッ

男「やっと信じてもらえたか」

少女「もぉ~、脅かさないで下さいよぉ」

男「悪い悪い。まさかあんなにビビるとは」

少女「男さんの言い方が怖いんですよ・・・」

男「にしても狼男だぜ?信じるか、普通・・・ってまぁ目の前に吸血鬼がいるんだけど・・・」

少女「あの・・・男さん・・・」

男「ん?」

少女「・・・手・・・つないでもいいですか?」

男「・・・え?」

少女「い・・・嫌ならいいです」

男「いや、・・・嫌じゃないけど」

少女「・・・・・・」スッ・・・

男「・・・・・・」ギュッ・・・
232:2014/06/26(木) 02:54:00.16 ID:p0YKAfijO.net
スタ・・・スタ・・・

少女「男さんの手・・・温かいです」

男「そ・・・そうか?」

少女「はい。・・・私の手、冷たいですよね?ごめんなさい・・・」

男「ああ、吸血鬼だしな・・・」

少女「・・・・・・」

男「・・・でも、暑いから丁度いいよ」

少女「・・・・・・///」

男「・・・・・・」

スタ・・・スタ・・・

美青年「あの・・・」

男「うわぁぁぁあああ!!!」

少女「きゃぁぁぁぁあああああ!!!」ギュゥゥゥゥゥゥ・・・

男「痛い痛い痛い痛いっ!!!」
233:2014/06/26(木) 02:54:32.78 ID:nMMh6/Xn0.net
男「あんたか、いきなり現れないでくれよ・・・」ズキズキ・・・

美青年「す・・・すみません」

少女「もしかして・・・ずっと見てたんですか」ドキドキ・・・

美青年「いや・・・見てはいないですけど」

男、少女(絶対嘘だ・・・)

男「で、今度はいったい何の用ですか?」

美青年「いえ、ちょっとアドバイスというか・・・その耳寄りな情報というか・・・」

男「耳寄りな情報?」

美青年「いえ、大したことではないんですが・・・」

少女「早く言ってくださいよ」

美青年「あの・・・唾液の交換程度では人間から吸血鬼への感染は起こりませんので・・・。つまり・・・接吻くらいは大丈夫・・・ということです」

男「なっ!!??」

少女「?」

美青年「吸血鬼への感染は血管から直接体液が入ることで起こります。もちろんあまり激しくして唇を切ったりしては危ないですが、触れ合うくらいなら・・・」
236:2014/06/26(木) 02:57:09.16 ID:p0YKAfijO.net
男「そ・・・それを・・・そんなことを伝えるために出てきたんですか?」

美青年「あ、いえ、若い男女が接吻も出来ぬままというのは心苦しいかと思って、お伝えせねばと・・・」

男「結構です。前にも申し上げた通り、僕と少女はそのような関係ではありませんので」

美青年「でも手を・・・」

男「やっぱ見てたんですね」

美青年「あ、いや、その・・・と・・・とにかくっ!私達、吸血鬼はお二人のことを応援していますのでっ!いつも二人を見守っております!」

男(やっぱ常に覗かれてんのか・・・)

美青年「ご安心ください!吸血鬼はいつでも二人の味方ですよ!ではっ!!」ダッダッダッダッ・・・・・・・・・

男「・・・・・・あの人、あんなキャラだったかなぁ・・・」

少女「・・・・・・男さん・・・セップンってなんですか?」

男「!?・・・し・・・少女は知らなくていいのっ!」

少女「えぇ~、教えてくださいよぉ~!セップンってなんですかぁ~」

男「知らなくていいのっ。ほら、行くぞ!」タッタッタッ・・・

少女「あぁ~!待ってください!セップンってなんなんですかぁ~!!」タッタッ・・・
237:2014/06/26(木) 02:57:41.29 ID:nMMh6/Xn0.net
――ある日の夜

テレビ「あぁ~と、挑戦者の右が炸裂っ!チャンピオンあぶな~~~い!」

少女「・・・・・・」

男「・・・・・・」カタカタカタ・・・

少女「男さん・・・」

男「ん?」

少女「この人たちなんであんなパンチ避けないんですか?」

男「え?・・・ああ、お前にはゆっくりに見えるかもしれないけど、人間には避けられないくらいのスピードなんだよ」

少女「そうなんですか?止まって見えるのに・・・」

男「ははは。お前がボクサーになったらあっという間に世界チャンピオンだな」

少女「え?・・・・・・チャンピオン・・・」うず・・・

男「・・・・・・冗談だからな?」

少女「・・・・・・」じぃ~・・・うずうず・・・

男「あの・・・少女さん?冗談ですよ?」
238:2014/06/26(木) 02:58:07.14 ID:X+1DbEzB0.net
吸血鬼がほかにおもいつかないせいで
レミリアお嬢様の容姿で再生されちゃう
239:2014/06/26(木) 02:59:16.96 ID:p0YKAfijO.net
――ある日の夕方

プルルルル・・・

少女「・・・あ、男さんだ!もしもし・・・」

男『あ、悪い、寝てたか?』

少女「起きてました。大丈夫です」

男『あのさ、今夜少し遅くなりそうなんだ』

少女「あ・・・そうなんですか・・・」

男『うん。それでさ、今夜雨になるらしいんだけど、傘忘れてきちゃってさ・・・。悪いんだけど、駅まで持ってきてくれる?』

少女「え?駅にお迎えに行っていいんですか?」

男『え?うん、いいっていうか、お願いします・・・。駅の場所わかるよな?』

少女「わかります!私、絶対行きますからねっ!」

男『え?ああ、うん。ありがとう』

少女「待ってますからね!絶対に来てくださいね!」

男『え?うん。そりゃ行くよ。自分ちなんだから・・・』

少女「絶対ですよ!約束ですからねっ!」
240:2014/06/26(木) 02:59:38.38 ID:nMMh6/Xn0.net
――夜

ザーーー・・・・・・

少女「・・・・・・」ドキドキ・・・

スタ・・・スタ・・・

男「・・・・・・お、少女」スタ・・・スタ・・・

少女「あ、男さんだっ!男さんだ男さんだ!」タッタッタッ・・・

男「来てくれたんだな、ありがとう」

少女「はい!来ましたっ!当たり前じゃないですか!ちゃんと一人でここまで来ましたよ!」

男「そっか。・・・・・・・・・で、傘は?」

少女「え?」ビチャビチャ・・・ポタポタ・・・

男「なんでそんなビショビショなの?」
242:2014/06/26(木) 03:00:52.35 ID:nMMh6/Xn0.net
――翌朝

少女「ごほっ・・・ごほっ・・・」

男「吸血鬼でも風邪ひくんだな・・・」

少女「ごほっ・・・50年ぶりくらいです・・・ごほっ・・・」

男「何か欲しい物あるか?」

少女「・・・できたら血を一滴ほど」

男「一滴でいいのか?血の他に欲しい物は?」

少女「ごほっ・・・大丈夫です・・・」

男「じゃあ、皿に入れてくるから、お前はベッドで寝てろ」

少女「いえ・・・男さんにうつすと悪いので、タンスの中で寝てます・・・」

男「やめてくれ・・・」
246:2014/06/26(木) 03:03:06.33 ID:nMMh6/Xn0.net
――ある日、夜

スタ・・・スタ・・・

少女「どうですか?私キャッチボール上手くなってきたでしょ?」

男「ああ。だいぶ捕りやすくなったよ」

少女「えへへぇ。最近いろいろと力加減がわかってきましたよ」

男「そうか。オレとしてはありがたいけど、そんな手加減ばかりしててストレスたまったりしないか?」

少女「ぜ~~んぜん。男さんといたらストレスなんかたまる暇ありません」

男「そっか」

男同僚「あれ?男さん。何やってんすか?」

男「え?お・・・男同僚・・・」

男同僚「オレはちょうど友達の家に・・・あれ?その娘は・・・」

少女「男さん、この人は誰ですか?」

男「あ・・・、え~っと・・・従妹!従妹だよ。叔母さんの娘さんでさ。こっちに法事で来てるんだ」

男同僚「あ、なんだ従妹か。どおりで若いと思った」

少女「イトコ・・・?」
247:2014/06/26(木) 03:03:35.90 ID:p0YKAfijO.net
男同僚「この娘、名前は何て言うんですか?」

男「え?ああ、少女だよ」

男同僚「はじめまして、少女ちゃん」

少女「はじめまして、イトコさん」

男同僚「え?」

男「ばっ!この人はオレの職場の仲間の男同僚だよ」コソコソ・・・

少女「え?イトコって言ってたじゃないですか?」

男「そりゃ、お前のことだ」コソコソ・・・

少女「え?私イトコ??」

男同僚「な・・・なんか変わった子ですね」

男「ちょ・・・ちょっと天然なんだよ」

少女「テンネン??」

男「ちょっと黙ってて」コソコソ・・・
248:2014/06/26(木) 03:04:12.79 ID:nMMh6/Xn0.net
――数週間後、夕方

少女「え?」

男「いや、だからさ、来週から5日間福岡に出張に行く事になってさ・・・」

少女「シュッチョウ?」

男「・・・う~ん・・・5日間家に帰ってこないってことだ」

少女「か!?帰ってこない!!??」

男「あ、いや、仕事でな――」

少女「やだやだ!!やです!!どうして帰ってこないんですか!!?」

男「いや、帰ってくるよ。5日間・・・。5日間だけだ」

少女「・・・・・・私も行っちゃダメですか?」

男「それも考えたけど、昼間移動できないだろ・・・」

少女「・・・・・・」

男「5日間だけ。5日間だけ我慢してくれ・・・な?頼む・・・」

少女「・・・5日間だけですよ・・・。絶対に帰ってきてくださいよ・・・」
250:2014/06/26(木) 03:07:01.00 ID:p0YKAfijO.net
――出張当日

男「じゃあ、何かあったら携帯に電話してくれ」

少女「・・・はい」

男「あと、タンスの中にお前用の財布入れて置いたから。もし何か必要になったらそこからお金出して使ってくれ」

少女「・・・はい」

男「そんな顔すんなって。5日で帰ってくるんだから・・・」

少女「・・・・・・じゃあ・・・ギュッて・・・・・・ギュってしてください・・・」

男「・・・ああ。・・・留守番頼んだぞ」ガシッ・・・ギュッ・・・

少女「・・・はい」ギュゥ・・・

男「・・・・・・」

少女「・・・・・・」ギュゥ・・・

男「少女?」

少女「・・・はい」ギュゥゥ・・・

男「放して・・・・・・」

少女「・・・はい」ギュゥゥゥ・・・
251:2014/06/26(木) 03:07:36.96 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「本当に行っちゃった・・・寂しいなぁ・・・」

し・・・ん・・・

少女「早く帰ってこないかなぁ・・・」

し・・・ん・・・

少女「一人で何したらいいんだろ・・・」

し・・・ん・・・

少女「・・・と・・・とりあえず、そうじと洗濯しなきゃ・・・男さんがいない間も綺麗にしておかないとね」

ガチャガチャ・・・バタバタ・・・パタパタ・・・フキフキ・・・テキパキテキパキ・・・

少女「今のうちにお洗濯も・・・・・・・・・・・・男さんの匂いがする・・・」くんかくんか・・・・・・

ほけぇ~~・・・・・・

少女「はっ!?い・・・いけないいけない!」

バサバサ・・・ガタガタ・・・ドタバタ・・・ゴシゴシ・・・テキパキテキパキ・・・

少女「ふぅ・・・もうお昼か・・・日傘ささなくちゃ・・・」カチッ

バサッ

少女「お部屋のカーテンが遮光カーテンならこんな苦労しないのに・・・。男さん、換えてくれないかなぁ・・・・・・・・・・ん・・・。待てよ・・・」
252:2014/06/26(木) 03:09:04.57 ID:p0YKAfijO.net
――夜

バサッ

少女「これで完璧っ!駅前の家具屋さん、遅い時間まで空いてて良かった。男さん、帰ってきたらびっくりするかな」

シャッ!シャッ!

少女「うんうん。我ながらよく出来てる。・・・そういえば、食器やグラスも欠けてたり古くなってるのが多いんだよなぁ。あの家具屋さんでまた探してみようかな」

プルル――

少女「もしもし!」

男『早っ!』

少女「男さん?お元気ですか?大丈夫?ちゃんと食べてます?お腹空いてません?変な物食べてませんか?お腹壊したりしてません?具合はどうですか?暑くないですか?」

男『あ・・・あの・・・全部大丈夫だから・・・。こっちは問題なし。そっちはどう?』

少女「寂しいです。すぐ帰ってきてください」

男『あ・・・うん、仕事終わったらね・・・。なんか変わったこととかなかった?』

少女「・・・ないです。寂しいだけです。・・・あ、買い物しました」

男『へぇ?何買ったの?』

少女「へっへっへ。内緒です。帰ってくるまでのお楽しみです。今すぐ帰ってきてください」
253:2014/06/26(木) 03:09:51.15 ID:nMMh6/Xn0.net
――翌日、夜

カシャ・・・カチャン・・・

少女「うん、欠けてた食器やグラスも全部新品だ。見違えるなぁ。劇的ビフォーアフターだ。ご覧ください!この匠の技の数々をっ!!」

し・・・ん・・・

少女「男さん・・・早く帰ってきて・・・・・・」

プル―

少女「もしもし」

男『だから早いって・・・』

少女「遅いですよ」

男『え?』

少女「8時にかけてくれるって言ったじゃないですか」

男『え?だって今8時だろ?』

少女「もう8時5分ですよ。一人でビフォーアフターごっこしてたんですよ」

男『え???あ・・・はい・・・ごめんなさい』

少女「許さないです。今すぐ帰ってきてください」
255:2014/06/26(木) 03:10:26.46 ID:GbaG2KEp0.net
あーなんか嫌な予感
258:2014/06/26(木) 03:11:22.04 ID:p0YKAfijO.net
――出張最終日、福岡

スタ・・・スタ・・・

男「会社のみんなへのお土産も買った・・・。母さんへの土産もOK・・・。あとは・・・」

スタ・・・スタ・・・

男「少女へのお土産かぁ・・・。でもなぁ・・・、あいつ物食わねぇしなぁ・・・。何を買っていけばいいやら・・・ん?」

ピタ・・・

男「UV日傘・・・か・・・。そういやあいつ未だにあの折れた日傘使ってたな・・・。買っていってやるか。・・・福岡土産で日傘ってよくわからんけど」

店員「1万2000円になります」

男「っ!?・・・・・・高っ・・・」

店員「ありがとうございました」

男「・・・・・・結局あいつへの土産が一番高くついた・・・」
259:2014/06/26(木) 03:11:56.07 ID:nMMh6/Xn0.net
――夜

少女「あと10秒・・・。こんどこそ10秒数えたら帰ってくる・・・。10・・・9・・・8・・・7・・・6・・・5・・・4・・・3・・・2ぃぃ~~」

し・・・ん・・・

少女「~~い・・・3・・・4・・・5・・・4・・・3・・・2ぃぃ~~い・・・」

し・・・ん・・・

少女「・・・・・・3・・・4・・・5・・・6・・・5・・・4・・・3・・・2・・・ぃいぃ~~~~~~~~~~ちぃ~~~」

し・・・ん・・・

少女「・・・・・・2ぃぃ~~~~ぃ・・・3・・・4・・・5・・・6・・・7・・・6・・・ご――」

・・・タ・・・スタ・・・スタ・・・

少女「!」ピクッ

ガチャ・・・ガチャガチャ・・・ギィィ

男「ただい――」

少女「おかえりなさいっ!!!!」ガバッ・・・ギュゥゥゥゥ・・・

男「た・・・ただいま・・・。お・・・オレもあえてうれしいよ・・・・・・・。・・・とりあえず中に入っていいかな?」

少女「ん~~~~」ギュゥゥゥ・・・
261:2014/06/26(木) 03:13:22.11 ID:nMMh6/Xn0.net
男「お土産買ってきたぞ。ほら、日傘」

少女「わぁ~~っ!!ありがとうございます!!」

男「高かったんだからな。大事に使えよ。もう家の中では振り回すなよ」

少女「ふっふっふ。大丈夫ですよ、男さん。もう家の中では日傘は必要ないんです」

男「え?」

少女「ふっふっふ。お見せしましょう。どうぞこちらへ」

スタ・・・スタ・・・ガチャ・・・

男「こ・・・これは・・・」

少女「どうですか、この完璧な遮光カーテン。どんな光も一切通しません」

男「・・・・・・」

――ちょっと明るすぎないか?

――いいじゃない、明るいくらいの方が

少女「さらに、カーテンだけじゃありませんよ。古くなっていたソファカバや、欠けた食器に至るまで、全部華麗に大変身!劇的ビフォーアフターです!ご覧ください、匠の技の数々を!」

男「・・・・・・」

――男くんも一緒に選んでよ。二人で使うんだよ
264:2014/06/26(木) 03:15:27.93 ID:p0YKAfijO.net
少女「どうですか?気に入ってもらえました?」

男「・・・のは・・・」

少女「あ、そうそう。毛羽立ってたタオルとかも全部新しいのに換えておきましたよ。触ってみてくださいよこのモコモコ」

男「前使ってたのは・・・」

少女「え?」

男「カーテンとか食器とか、前使ってたやつはどうしたんだ・・・?」

少女「あ・・・ご安心ください。きちんと処分しておきました」

男「!?」

少女「大丈夫ですよ。きちんと分別も出来ていますし、ゴミ出しの時間だって――」

――ちょっと地味じゃないか?

――食器なんて地味でもいいの。あんまり派手だと料理の味もわからなくなっちゃうよ
266:2014/06/26(木) 03:16:09.68 ID:nMMh6/Xn0.net
男「・・・・・・くれ・・・」

少女「――もちゃんと刻んで捨てましたし、非の打ち所のない完璧な――」

男「出て行ってくれっ!!」

少女「・・・・・・・・・え?」

男「今すぐ・・・・・・今すぐ出て行ってくれ・・・」

少女「え・・・ど・・・どうしたんですか?・・・な・・・なにか気に入らないところが――」

男「頼むから・・・・・・一人にしてくれ・・・」

――これから二人の人生が始まるのね

少女「ご・・・ごめんなさい。男さんの気に入らないところ、全部直しますから――」

男「出てけっ!!!」

少女「!!!」

――朝目が覚めた時にそこに男くんがいて、私が「おはよう」っていうと「おはよう」って返してくれる。私はそれだけで十分幸せだよ
271:2014/06/26(木) 03:17:49.87 ID:p0YKAfijO.net
男「・・・・・・」

――結婚・・・・・・とかしようか

――え!?

――ご・・・ごめん、突然過ぎたよな

――ううん・・・・・・・・・。結婚・・・・・・・・・しちゃいますかっ


――男くんも一緒に選んでよ。二人で使うんだよ

――オレ、センスないもん

――いいの。センスなんか関係ないよ。男くんと一緒に選んだものが使いたいんだから


――どうしたの?いつも以上に気の抜けた顔してるけど

――いつも以上には余計だよ。いや・・・、本当に――を幸せにしてやれるのかなって思ってさ・・・

――呆れた。今さら結婚ビビってるの?

――いや、そういうわけじゃないけどさ。やっぱ男として愛した女性を幸せにしてあげたいって思いがさ・・・

――朝目が覚めた時にそこに男くんがいて、私が「おはよう」っていうと「おはよう」って返してくれる。私はそれだけで十分幸せだよ
272:2014/06/26(木) 03:18:35.85 ID:nMMh6/Xn0.net
とぼ・・・とぼ・・・

少女「また・・・居場所無くなっちゃった・・・」

――逃げなさいっ!!

――ママッ!!

――私のことは良いから早く!!

――ガキもいるぞ!!逃がすなっ!!殺せっ!

――ママーーーッ!!!!

少女「・・・・・・どこ・・・いこうかな」

――また血吸いが出やがった!

――逃がすなよ。見つけたらとっ捕まえてお天道様の下に引きずり出すんだ

――わかってるさ

――・・・パパ・・・ママ・・・怖いよ・・・

少女「・・・また・・・ひとりぼっちだ・・・」
273:2014/06/26(木) 03:20:37.07 ID:p0YKAfijO.net
男「・・・・・・」

――いよいよ、明日は引っ越しだね。荷物は全部用意できた?

――ああ。そっちこそ大丈夫なのか?

――もちろ・・・ああっ!

――でたでた

――タンス買わなくちゃ。二人分の服が入るような・・・。すっかり忘れてた

――そんなの全部終わってからでいいよ

――そう言っていつもしわくちゃの服着てるんだから・・・


――もしもし・・・そうですけど・・・・・・・・・・・・えっ・・・


――信号無視の軽トラックに跳ねられて・・・病院に着いたときには残念ながら・・・・・・

――・・・・・・・・・・・・でだよ・・・・・・なんでだよっ!!!くそぉぉぉおおおおおおおおお!!!!


――あんた、こんな時間にどこ行くんだい

――・・・・・・・・・

――・・・いいよ。行くなら行きな。その代わり行く前にお母さんも殺しなさい。女手一つで育てた一人息子がいなくなったら、お母さんも生きてく意味ないからね
278:2014/06/26(木) 03:21:58.22 ID:nMMh6/Xn0.net
とぼ・・・とぼ・・・

少女「・・・・・・公園だ」

――公園に行きたい?ダメに決まっているだろう。人間に見つかったらどうする

――いいよ、もう放っておこう。その子に何言っても聞きゃしないんだから

――ダメだ。こいつが見つかればこの辺の吸血鬼も根絶やしにされる

――あんた、そんなに吸血鬼の規則を破りたいならどっか遠くでやってくれ。あたしらの群のそばで勝手ばっかすんじゃないよ

少女「・・・・・・知らなかったな」

――どこへ行っていた

――え?ちょっと外を警戒しに・・・

――見張りの時間ではないだろう

――あ・・・その・・・

――また人間の町へ行ったのか

――ご・・・ごめんなさい・・・

――謝らなくていい。今すぐここから出て行きたまえ。もう二度とこの群には近づかぬように

――そ・・・そんな・・・
280:2014/06/26(木) 03:22:12.24 ID:p0YKAfijO.net
――出てけっ!!!

男「・・・・・・」

――すごいすごい!!こんなちっちゃな箱の中で人が動いてる!!

――だって、クラシックじゃ歌えないじゃないですか。私は歌うのが好きなんですよ。Free~ to be whatever you~♪

――わぁ!高い高いっ!はいっ!すっごく楽しいです!!!

――すぴー・・・ふわふわ・・・

――いや・・・、自分の作ったものを食べてもらうなんて・・・美味しいって言ってもらうなんて・・・初めてのことで・・・こんなに嬉しいなんて・・・

――パパ・・・ママ・・・ぐすっ・・・

――男さんと出会ってからずっと楽しいことだらけです

――うぇっ・・・だって・・・だってぇ・・・おい・・・おいだされるって・・・・・・思ってたから・・・もってたからぁぁぁぁあああああうえぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええん

男「・・・・・・」
282:2014/06/26(木) 03:23:11.12 ID:nMMh6/Xn0.net
とぼ・・・とぼ・・・

少女「・・・・・・知らなかったな」

――ここ・・・どこ・・・もう・・・ダメ・・・。もう・・・動けない・・・お日様出る前にあのタンスの中に・・・・・・

――??動いてる?どこに行くの?・・・・・・だめ・・・開かない・・・どうしよう・・・

――開く・・・・・・・・・はっ!!に・・・・・・人間・・・・・・

――怖い・・・逃げなきゃ・・・・・・どうしよう・・・・・・動けない

少女(知らなかったな・・・あんな人間がいるなんて・・・)

――すみません・・・少し血をいただきたいんですけど・・・

――え?くれるの?嘘?本当に?どうして・・・


美女「あのまま徘徊させてたらいつか見つかるわよ。放ってはおけない」

美青年「・・・・・・」

美女「今すぐ保護しましょう」

美青年「・・・もう少し」

美女「もう少し・・・?もう少しなんだというの?」

美青年「賭けてみたいんだ。人間と吸血鬼の・・・新たな可能性に」
286:2014/06/26(木) 03:25:58.02 ID:p0YKAfijO.net
男「・・・・・・」

――すみません・・・少し血をいただきたいんですけど・・・

――あ、男さんだっ!男さんだ男さんだ!

――・・・やはり、彼女は吸血鬼なんだ。どれほど可愛らしくても・・・。どれほど幼く見えても・・・

――足場は細く、不安定です。気を付けてください。落下すれば激しい痛みを伴うでしょう。壁の・・・どちら側に落ちるとしても・・・

――私が一緒にいたいのは男さんですよ

――僕にどこまで出来るかわかりません。それでも・・・彼女にもっとたくさん楽しい思いを味わわせてあげたい。今までの空白を埋めてあげたい。今ではそう思っています・・・

――出てけっ!!!

男「・・・・・・」

――もうぜ~~~~~ったい!離れませんからねぇ~っ!

――男さんの言葉、信じていいですか?

――・・・ま~~~か~~~せ~~~と~~~けっっ!!

男「・・・・・・少女っ!」ダッ!!
287:2014/06/26(木) 03:26:33.61 ID:nMMh6/Xn0.net
――お帰りなさい。ご飯出来てますよ

――ああ、ありがとう

少女(知らなかったな・・・ありがとうって言葉が・・・あんなに温かいなんて)

――・・・私の手、冷たいですよね?ごめんなさい・・・

――でも、暑いから丁度いいよ

少女(知らなかったな・・・人の手が・・・あんなに暖かいなんて)

――・・・それじゃ確かにシーソーでは遊べないわな

――はい、初めてです!こんなに楽しかったなんてっ!!

少女(知らなかったな・・・独りじゃないことが・・・あんなに幸せだったなんて)

――・・・・・・・・・・・・ふぅ・・・・・・。住むところ見つけるまでだぞ

――僕にどこまで出来るかわかりません。それでも・・・彼女にもっとたくさん楽しい思いを味わわせてあげたい。今までの空白を埋めてあげたい。今ではそう思っています・・・

少女(知らなかったな・・・独りが・・・独りがこんなにも辛いことだったなんて・・・。)

少女「知らなかった・・・・・・。知らなかったのに・・・・・・知らなかったのに・・・・・・うっ・・・ひっく・・・・・・」
288:2014/06/26(木) 03:27:07.35 ID:p0YKAfijO.net
美女「もう限界よ。彼女今にも大声で泣き出すわ。彼女が人間に見つかったら私達も危ないのよっ!」

美青年「・・・・・・・・・」

美女「もう待ってられない!今すぐ彼女を保護します」

美青年「シッ・・・」

美女「!?」

・・・・・・・・・・・・タッ・・・・・・タッ・・・・・・タッ・・・タッ・・・タッタッタッタッタッ

美青年「・・・」ニッ
290:2014/06/26(木) 03:27:43.98 ID:nMMh6/Xn0.net
タッタッタッタッタッタッ・・・

男「少女!!!」

少女「!?・・・・・・男・・・さん・・・・・・」

男「少女、ごめん・・・、オレが悪かった・・・・・・」

少女「男さん・・・私・・・私・・・・・・」

男「少女、ごめん。帰ろう・・・。オレ達の家に」スタ・・・スタ・・・

少女「男さん・・・私・・・もう嫌・・・嫌です・・・独りぼっちは・・・うっ・・・独りは嫌・・・ぐすっ・・・」

男「わかってる・・・ごめん・・・」スタ・・・スタ・・・

少女「やだ・・・独りは・・・男さん・・・男さんといっしょ・・・うっ・・・一緒に・・・一緒にいたい・・・うっうっ・・・」

男「オレも・・・オレも少女と一緒にいたい」ガシッ・・・ギュゥゥ

少女「うっ・・・うっ・・・うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁああぁぁあぁぁぁああぁぁぁぁぁ!!」

男「ごめん・・・ごめんな・・・」ギュゥゥ・・・

少女「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁあああぁあぁぁあぁぁあああああ!!!!」
293:2014/06/26(木) 03:30:38.66 ID:p0YKAfijO.net
スタ・・・スタ・・・

男「・・・・・・」

少女「・・・・・・」

男「・・・・・・」

少女「男さん・・・手・・・」スッ・・・

男「ん・・・」ギュッ・・・

少女「あったかい・・・・・・」

男「・・・・・・なぁ、少女」

少女「はい?」

男「オレも・・・・・・吸血鬼になろうかな・・・」

少女「・・・・・・え?」

男「いや、そしたらずっと一緒にいられるかなぁ~ってさ。吸血鬼は死なないんだろ?」

少女「男さん・・・」

男「あ、でもそうするとお前にCD聞かせたり、ゲームさせたり出来なくなるな・・・」

少女「そんなの。そんなのいらないです。・・・私は・・・私には男さんさえいれば・・・」
296:2014/06/26(木) 03:31:04.59 ID:nMMh6/Xn0.net
男「・・・ま、今すぐってわけじゃないよ。いろいろ片付けないといけないこともあるし。」

少女「はい。でもそう言ってくれて・・・すごく嬉しいです」

男「・・・・・・」

少女「大好きですよ、男さん」チュッ・・・

男「おま・・・」

少女「セップンの意味調べましたよ。キスのことだったんですね」

男「・・・バレたか」

少女「インターネットの力を侮ってはいけません」

男「ああ・・・そうだな・・・・・・」

少女「ん・・・・・・」

チュゥ・・・・・・

男「・・・・・・見られてるんだろうな」

少女「・・・・・・ですね」

美女「せっかく半世紀ぶりにキスシーンを見れると思ったのに・・・涙でぼやけて見えないわ・・・美青年、実況解説しなさいよ」

美青年「泣いてるのが、君だけだと思うなよ。僕なんかもう君の顔すら見えてないよ・・・」
299:2014/06/26(木) 03:33:50.32 ID:GbaG2KEp0.net
この美男美女変態だなwww
300:2014/06/26(木) 03:34:08.52 ID:p0YKAfijO.net
――翌朝

し・・・ん・・・

男「ん・・・・・・んん~・・・」

少女「起きました?おはようございます」

男「おはよう・・・・・・・はっ!?やべっ!!今何時!?」

少女「えっと・・・8時半ですね」

男「寝過ごした!目覚ましセットしてなかった!」

少女「あ・・・昨日まで出張でしたもんね・・・」

男「久々の出社なのに・・・。じゃあ、行ってくるよ!あと、よろしくね!」

少女「あ、男さん、雨降りそうですよ。傘忘れないでくださいね」

男「おう!いってきます!」

少女「いってらっしゃい!」
302:2014/06/26(木) 03:35:04.37 ID:nMMh6/Xn0.net
タッタッタッタッタ・・・

男(間に合うかな・・・ギリギリだな・・・・・・)

タッタッタッタ・・・

男「あっ!!」(しまった・・・・・・!土産忘れてきた!!今取りに戻ったら確実に間に合わないぞ・・・)

キィィィィィイイイイイイ!!!!

男(え?トラック?なんで?この時間はここ一通だぞ?また交通違反かよ)

ギィィィィィィィィ・・・

男(やべ・・・避けなきゃ・・・。あれ?なんで?体が・・・動かない・・・。景色が・・・ゆっくり・・・)

――朝目が覚めた時にそこに男くんがいて、私が「おはよう」っていうと「おはよう」って返してくれる。私はそれだけで十分幸せだよ

――おはようございます

男(なんだこれ・・・オレ、何を思い出して――)

ドンッ!
305:2014/06/26(木) 03:35:54.94 ID:p0YKAfijO.net
キィィィィィ・・・ガッシャァアァァン!!!

男「・・・・・・ってぇ~~・・・。いったい何が・・・」

男(トラックが突っ込んできて・・・ぶつかると思ったら・・・・・・背中押されて・・・・・・)

男「・・・・・・・・・!?少女っ!!」

少女「う・・・お・・・男さん・・・」

男「少女、お前なんで・・・」

少女「なんでだろ・・・・・・なんか・・・男さんが危ない・・・気がして・・・」

男「し・・・しっかりしろ!大丈夫だろ?不死身なんだもんな!?こんなことで死ぬはずないよな・・・・・・」

少女「はい・・・・・・当たり前じゃないですか・・・ずっと・・・ずっと一緒ですよ・・・・・・」

男「ああ、そうだよな。当たり前だ。ずっと一緒だ。ずっとずっと・・・永遠に・・・」

運転手「す・・・す・・す・・・すみません!!すみませんでしたぁ!!!」

少女「・・・男さん・・・・・・ありがと・・・・・・」

男「少女!!?少女ぉぉお!!!」

ありがとう、そう告げると少女の体は黒く変色し、まるで消し炭のように塵となって飛散してしまった
307:2014/06/26(木) 03:36:29.41 ID:nMMh6/Xn0.net
警察の事情聴取に対し、運転手はひたすら「女の子を轢いた。しかしその女の子は目の前で消えてしまった」と訴え続けた
今は精神病院に送られ精密検査を受けている
オレは少女についてはいっさい話さなかった
ただトラックが突っ込んできてそれを避けただけだと
警察はオレの言葉を疑うことなく、20分程度で解放された

会社には連絡をし、休ませてもらうことにした
ようやく出張から帰ったと思ったら、とんだ災難だったなと部長は笑った
オレは受話器越しにわざとらしい愛想笑いで返した

それから事故現場に戻り、二時間くらい辺りを調べ回った
どうしても少女が死んでしまったとは思えなかった
でもそんなことをしても結局、虚しさと絶望感がかえって膨らむだけだった・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・
308:2014/06/26(木) 03:36:39.32 ID:MPKcMDvo0.net
おいいいいいいい!!!!!
312:2014/06/26(木) 03:37:33.86 ID:p0YKAfijO.net
――夕方

ガチャ・・・

し・・・ん・・・

男「・・・・・・」

ほんのわずかな期待を込めて、家の中に戻ったけれど少女の姿がそこにある筈もなかった

男「どうして・・・・・・どうしていつもオレじゃないんだ・・・・・・どうしていつも・・・・・・」

スタ・・・スタ・・・

リビングに入ってすぐ左手に件のタンスが置いてある
静かにたたずむタンスはまるで別次元への扉のように感じた
扉を開けば違う世界と繋がれる・・・
オレが失った物たちと・・・再び巡り合える・・・
そう・・・こんな風に扉を開けて・・・

ガチャ・・・・・・キィィ・・・

少女「すぴー・・・すぴー・・・」

男「うわぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!!!」
313:2014/06/26(木) 03:37:43.14 ID:x1/fEkRZ0.net
あ、あれっ
317:2014/06/26(木) 03:38:09.97 ID:nMMh6/Xn0.net
少女「え?なになになになに!!!やだやだやだやだ!!!こわいこわい!!」

男「な・・・なんで・・・なんで?なんで?どうして?」

少女「やだやだ!!やめてやめて!こわいこわいこわい!!」

男「あ・・・ちょ・・・ちょっと・・・」

少女「なになになに!!やだやだ!!こわいのやだ!!」

男「聞けよっ!」バシッ

少女「久々にいたいっ」

男「なんで・・・・・・なんで生きてるの?」

少女「え?何を言ってるんですか?」

男「いや・・・、だってお前、車に轢かれて・・・」

少女「あれくらいで死なないですよ。男さんだってそう言ってたじゃないですか」

男「そうだけど・・・」

少女「まぁ、曇ってたとは言え、あんな時間に外出たからかなりしんどかったですけどね」
322:2014/06/26(木) 03:39:00.00 ID:nMMh6/Xn0.net
男「でも・・・でもお前、消えたじゃん・・・。あれなんだったの?なんか黒くなって・・・」

少女「え・・・・・・?あぁ、なんか人が来て騒ぎになりそうだったから身を隠したんです。吸血鬼はああやって霧のように消えることが出来るんですよ。というか、人の目にそう映るってだけですけど」

男「じゃ・・・じゃあ、死んでなかったの?」

少女「当たり前じゃないですか!こう見えても私、不死身の吸血鬼ですよ」

男「・・・・・・・・・じゃ・・・じゃあ、なんでそんなとこに隠れたりして・・・」

少女「え?・・・あ・・・・・・・ちちち・・・違いますよ!私は別に、いつも男さんがいない間、こうやってタンスの中で男さんの匂いに包まれてなんか・・・男さん?」

男「・・・よかった・・・本当に・・・」ぐすっ・・・

少女「男さん・・・」ガシッ・・・

男「・・・・・・」ギュゥゥ・・・

少女「大丈夫、私はどこへも行きませんよ・・・」

男「うん・・・」

少女「永久に一緒ですよ。覚悟してください。吸血鬼の生涯は長いですよ。退屈しないでくださいね」

男「お前といたら永久に退屈できないよ」


<おしまい>
326:2014/06/26(木) 03:40:12.68 ID:GbaG2KEp0.net
乙良かった
327:2014/06/26(木) 03:40:15.54 ID:YsWfYApy0.net

良かった
330:2014/06/26(木) 03:40:44.45 ID:FBsDLu/j0.net
面白かった乙
331:2014/06/26(木) 03:41:16.97 ID:MPKcMDvo0.net
あれ、男吸血鬼なったん?

引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/140370852