1: 2012/04/13(金) 19:11:45.79 ID:V470Z5jo0
正純「――え、お前がそれを言うのか?」

ホライゾン「正確にいえば、これは私の言葉ではありません」

正純「と言うと?」

ホライゾン「アニメを見て興味が沸いた、或いは興味はあるけど色々面倒くさい」

正純「……」

ホライゾン「アニメから入ったけど、よく世界設定が分かっていない。もっと境界線上のホライゾンを理解したい」

正純「ふむ……」

ホライゾン「そういった方々の言葉を代弁したものです」

正純「第一期放送中も、実況スレは質問が多かったしな……仕方が無い部分はあるが」

ホライゾン「という訳で正純様、境界線上のホライゾンとは何か、詳しく教えて下さい」

4: 2012/04/13(金) 19:13:20.11 ID:V470Z5jo0
正純「教えるのは構わないが、一体何処から説明をすればいいのやら……」

ホライゾン「アニメネタバレは困るので、そこら辺に触れない範囲内でお願い致します」

正純「つまり、アニメでの出来事についての説明を求めてるわけではないのか」

ホライゾン「Jud. 境界線上のホライゾンという世界についての説明……とすれば分かり易いでしょうか」

正純「なるほど。私とて全容を把握しているわけではないが、この説明でファンが増えるのならば、やってみるのも悪くないな」

ホライゾン「Jud. また、改めてこの世界を見直す事で見えてくるものもあるかと」

正純「ああ、とりあえずやってみるか。で、何処から説明してほしいんだ?」

ホライゾン「では、そもそも境界線上のホライゾンとは何をする話なのかを教えて下さい」

正純「これはまた……随分ざっくりと来たな」

5: 2012/04/13(金) 19:15:19.36 ID:V470Z5jo0
正純「何をする話なのか、とその疑問に答えるとネタバレになってしまうのだが――」

ホライゾン「では、答えてはくれないと」

正純「そうは言わない。しかし、やはりアニメ本編に関わらない範囲内で説明するのは困難だ」

ホライゾン「政治家はすぐに言い訳をすると本で読みましたが、本当なんですね」

正純「ぐっ……ならば答えよう。境界線上のホライゾンとは、――世界を救う話だ」

ホライゾン「は? ありきたりすぎて、言葉も出ません」

正純「いや待て。確かに今の言葉は、アニメや原作を知らない者にとっては期待外れかもしれないが」

ホライゾン「出ました、言い訳。では聞きましょう、言い訳を。はい、どうぞ」

正純「……ま、まあ。原作やアニメを見た連中ならば、私の言葉には納得してくれるはずだ」

ホライゾン「成程、そういう事にしておきましょう。それで、一体何から世界を救うのですか」

正純「何か微妙に引っ掛かるが……。境界線上のホライゾンは、〝末世〟から世界を救おうとする話だ」

8: 2012/04/13(金) 19:17:08.26 ID:V470Z5jo0
ホライゾン「〝末世〟……とは、何でしょうか?」

正純「世界の終わりだ。聖譜暦1648年に、世界が末世によって滅びると言われている」

ホライゾン「……ずばり、今年ですね」

正純「Jud. 本編開始の年が1648年。つまり、世界終焉まで一年も無いという事になる」

ホライゾン「疑問しますが、どうしてここまで末世を放っておいたんですか」

正純「放っておいたという事は無いだろうが……どうやれば末世を回避出来るのかも分からなかったしな」

ホライゾン「つまり、物語が動き出す1648年には、その解決方法が提示されるという事ですか」

正純「それこそネタバレになるぞ。言っておくが、その方法については本SSでは説明しないからな」

ホライゾン「Jud. では、これを見ているかもしれない皆様も、その辺りには触れないようにお願い致します」

9: 2012/04/13(金) 19:18:41.97 ID:V470Z5jo0
ホライゾン「では正純様。末世が1648年に訪れるという事ですが、何故それが分かるのですか?」

正純「正確に言うならば、訪れる〝かも〟しれないだけだ」

ホライゾン「屁理屈はいいのでさっさと教えて下さい」

正純「何かカリカリしてるな……。実を言うと、この世界では未来とは見えるものなんだ」

ホライゾン「未来が見える、ですか? にわかには信じがたいですね」

正純「運命と同期し、100年毎に自動更新される〝前地球時代〟の歴史書……〝聖譜〟によってな」

ホライゾン「いきなりとんでもなアイテムが出てきましたね。色々と疑問がありますが、つまりその聖譜に末世が予言されてると」

正純「半分正解、と言った所だな。聖譜には末世の記述は存在しない。しかし、1648年で〝聖譜記述〟が止まっているんだ」

ホライゾン「聖譜記述、とは聖譜に記されている前地球時代の歴史ですか?」

正純「Jud. 運命と同期して自動更新される聖譜が、1648年を最後に更新停止……」

ホライゾン「成程、理解出来ました。綴られる筈の歴史が綴られない。人々はそこに、末世を見たのですね」

12: 2012/04/13(金) 19:22:45.18 ID:V470Z5jo0
正純「そういう事だ。因みに、末世がどういう物なのかは憶測だらけでよくは分かっていない」

ホライゾン「Jud. では次の疑問です。前地球時代とは何なのでしょうか?」

正純「私達はとある事情で、過去の歴史――即ち、前地球時代の歴史をやり直し中だ。これについて説明しよう」

ホライゾン「お願いします」

正純「少し突拍子も無い話になるぞ。アニメ本編にはそれ程深く関わらない部分だから、読み飛ばしてもいいかもな」

ホライゾン「しかし、読み飛ばすとこのSSここで終了ですが」

正純「ああ、そうだったな……」

ホライゾン「以下、間違いの情報などもあるやもしれませんが、その辺りは皆様に補足をお願い致します」

正純「……」

16: 2012/04/13(金) 19:25:20.95 ID:V470Z5jo0

正純「私達が今も住むこの地球は、かつて荒れに荒れ果てた。とても人が住めないような劣悪な環境になっていたんだ」

ホライゾン「少し前にブームになった地球温暖化ですか」

正純「違うと思うが、とにかく地球は荒廃した。そして、行き場を失った人々は天上に住まいを移したんだ」

ホライゾン「天上……?」

正純「単純に考えれば地球外だろう。――やがて人々は天上にて神々となる」

ホライゾン「神々、というと……神という存在が実在しているというわけですか?」

正純「Jud. 私達の世界では神が存在する。だからこそ、その頃にはあらゆる主教が否定されてたと聞くな」

ホライゾン「伝説に語られる神々が、実際存在する神々の中に居ない。……ここで、否定されるのですね」

正純「ああ。だが、その辺りはひとまず置いておこう」

ホライゾン「Jud.」

18: 2012/04/13(金) 19:27:09.39 ID:V470Z5jo0
正純「人であろうが神であろうが、争いを避ける事は叶わないのか。天上においても神々は争いを起こした」

ホライゾン「神々の争いとなると、洒落にならない事になりそうですね」

正純「実際にそうなった。神々は現世以外の全ての世界を破壊し尽くしたんだ」

ホライゾン「どこの全竜交渉部隊ですか。程度を知ったらどうなんです」

正純「神々の争い、だからな。――そして、力を失った神々は、自分達がかつて住んでいた地球に戻らざるを得なくなった」

ホライゾン「しかし、地球は劣悪な環境にあったのでは。今更戻って、何の意味があるんでしょうか?」

正純「その点は抜かりない。神々は〝環境神群〟に地球の修復を任せて地球を発ったのだからな」

ホライゾン「では、さして大きな問題も無かったと」

正純「ところが、だ。環境神群は過剰に修復を行っていたんだ。神々の命令を忠実に守りすぎ、逆に厳しい自然環境を生み出した」

ホライゾン「成程。ですが、荒廃し切った環境よりは幾分マシなのでは? 人間というのは、壊すのが得意でしょう」

正純「妖物、亜陣種……過剰修復された環境には、敵対生物も多く存在していたんだ。〝神州〟以外、人の住める場所は無かった」

ホライゾン「神州……つまり、日本列島の事ですね」

19: 2012/04/13(金) 19:29:10.61 ID:V470Z5jo0
正純「神州には環境神群が住んでいた。ここだけは過剰修復も幾分マシで、人々はこの神州での生活を余儀なくされたんだ」

ホライゾン「神州はそれ程広い土地ではありませんが」

正純「Jud. かつての神々はただの人々となり、さらには過剰修復による環境悪化で住む場所も少ない。再び天上に行く力すらも無かった」

ホライゾン「ならば――」

正純「狭い神州では土地争いが勃発した。かつて神州に住んでいた民の末裔と、世界各国に住んでいた民の末裔とでな」

ホライゾン「天上に行く力を蓄えるはずが、お互いに争って逆に疲弊していった、という事ですか」

正純「そうだ。この問題に対しての解決案は一つ。それは、――〝重奏世界〟の構築だった」

21: 2012/04/13(金) 19:31:27.15 ID:V470Z5jo0
ホライゾン「重奏世界、ですか?」

正純「分かり易くいうならば、この世界のコピーだ。とはいえ、同じ世界であっても環境の差は変わらない」

ホライゾン「神州以外に住める土地はない、と。しかし正純様、そもそも重奏世界の構築など、可能なのでしょうか?」

正純「〝地脈〟と環境神群。この二つの力を用いて、それを可能としたんだ」

ホライゾン「先程から聞き慣れぬ言葉が連続しますね。地脈とは何でしょうか?」

正純「空間を構成する〝流体〟が流れるパイプのようなものだと思ってくれて構わない」

ホライゾン「そして流体とは何でしょうか」

正純「流体は……先の繰り返しになるが、空間を構成するものだ。全ての存在は流体で構成されている。――私達もな」

ホライゾン「理解出来ました。続きをお願いします」

正純「環境神群の力を借りるにも一悶着あったんだが、これは省略しよう。やがて人々は双方の力を使い、重奏世界を構築した」

22: 2012/04/13(金) 19:33:39.36 ID:V470Z5jo0
正純「重奏世界を制御するのは神器だ。これを神州側の人々に預け、各国側の人々は皆、重奏世界内の神州、〝重奏神州〟に渡った」

ホライゾン「重奏世界の重奏神州。狭い土地を倍にし、天上へ行く為の力を得る事にしたのですね」

正純「Jud. だが、それでも人々には不安があった。本当に、これで再び天上にいけるのか、と」

ホライゾン「人々は天上を願いながらも、身内同士で争ってそれは叶わず。その過去が不安を与えたのですね」

正純「そうだ。悩みに悩んだ人々は、最早人の手で世界の行く末を決める事をやめた」

ホライゾン「諦めたと?」

正純「いや。――ここで出てくるのが聖譜、そして〝歴史再現〟だ」

25: 2012/04/13(金) 19:35:23.90 ID:V470Z5jo0
正純「聖譜については説明済みだったな。ホライゾン、覚えているよな?」

ホライゾン「運命と同期し、100年単位で自動更新される前地球時代の歴史書と記憶しています」

正純「Jud. 人の手で世界の行く末を決めようとした結果は争い。ならば、天上に行く事が確実に成功した過去の歴史をやり直せばいい」

ホライゾン「ですが、過去は過去に過ぎません。前地球時代の歴史を繰り返した所で、本当に天上に行けるのでしょうか?」

正純「確かにな。だが、前地球時代の歴史には滅びが存在しない」

ホライゾン「成程、理解しました。聖譜に従い歴史再現を行い続ける限り、人々は滅びず、天上へ行く為の力も蓄えられるのですね」

正純「まさに縋るような気持ちだったかもしれないな。こうして、現在にも続く歴史再現という流れが世界に生じたんだ」


27: 2012/04/13(金) 19:37:33.36 ID:V470Z5jo0
正純「神州の末裔達は神州で、各国の末裔達は重奏神州にて歴史再現を行っていた」

ホライゾン「しかし、重奏神州では各国の歴史再現は不可能ではないのですか? 神州以外は過剰修復で住む事も出来ないと」

正純「ああ。だから重奏神州では、神州の土地を世界各国に見立てて歴史再現を行っていたんだ。一種の〝解釈〟という奴だな」

ホライゾン「完全完璧な歴史再現は行わなかったのですね。それで天上に行けるとでも思ってるんですか」

正純「私に言われても……だが、紀元前以前の歴史まで完璧にするのは不可能だろ? あまりに気が長すぎる」

ホライゾン「はあ。まあいいでしょう」

正純「紀元前以前は100倍速で歴史再現を進めていた。あと、解釈は絶対に必要なものだったと言っておこう」

ホライゾン「それは何故ですか?」

正純「歴史上の人物の氏だ。当たり前だが、この世界には歴史上実在した人物が蘇ったりはしていない」

ホライゾン「そこにも解釈が入りこむのですね」

正純「ああ。歴史上の偉人達は、それこそ大きく歴史を動かしてきた。彼らの名を〝襲名〟する人物を、人々は毎度毎度選んできたんだ」

ホライゾン「その人物に氏の歴史がある場合、解釈でそれをやり過ごすという事ですね」

正純「実際に頃してしまっては反発も大きいだろうしな。大体、それじゃまともに歴史再現が進まない可能性がある」

28: 2012/04/13(金) 19:40:09.31 ID:V470Z5jo0
正純「とまあ。色々な困難はあったものの、人々は戦争したり馴れ合ったりの歴史再現を良好に進めていた」

ホライゾン「けれど、いつまでも良好なままには進まなかったのですね」

正純「Jud. ここからまた歴史が大きく動く。三種の神器に詳しい人ならば、南北朝時代と聞いて展開が読めるかもな」

ホライゾン「三種の神器……神器は重奏世界の制御装置、でしたか」

正純「ああ。現人神であり、地脈の制御を行っていた帝は、この神器を以て重奏世界の安定化に努めていた」

ホライゾン「南北朝時代。重奏世界にとって大きな事件が起きた、という事ですか。神器が絡む大事件が」

正純「時は1443年。神州では日本史の歴史再現として、南北朝時代の歴史をやり直していた」

ホライゾン「1443年……神器が奪われる歴史再現がありますね」

正純「そう、当時は北朝による独裁が行われていたんだが、1443年に南朝による御所の襲撃が発生する」

ホライゾン「禁闕の変。この襲撃により、南朝は神器を奪うという事になっています」

正純「重奏世界の制御を行う帝の手から、制御装置である神器が奪われる……ここまで言えば、行く末が分かるだろう」


>>26
アニメどころか、原作一巻以前の話だからな……
分からない部分は誰かが答えてくれると思うぞ、多分

29: 2012/04/13(金) 19:42:16.12 ID:V470Z5jo0
ホライゾン「制御不可能となった世界の果て、ですか」

正純「聖譜に記されている限りでは、神器は1457年に北朝側が奪い返す筈だった。しかし――」

ホライゾン「それは為しえなかった、と」

正純「Jud. アニメ本編に触れないつもりの説明だったが、第一期の第一話を見れる環境にあるならば、一度そっちを見てほしい」

ホライゾン「……聖譜暦1457年、吉野山」

正純「ああ。どうみても穏やかな光景では無いこのシーンは、歴史再現の失敗により引き起こされた」

ホライゾン「帝の制御下を離れた神器は、ついに帝の手に戻らなかったのですか?」

正純「その後のシーンを見れば一目瞭然だ。真上から地上が降ってくるシーンがあるだろ?」

ホライゾン「Jud. 雷鳴がとどろいているシーンですね。まさか、これは……」

正純「重奏神州だ。制御装置である神器が帝の手から長期間離れ、重奏世界は崩壊したんだ」

31: 2012/04/13(金) 19:44:41.91 ID:V470Z5jo0
ホライゾン「一体何度世界を滅ぼせば気が済むんですか。何処の全竜交渉部隊……いえ、元祖八大竜王ですか、全く」

正純「何でキレてるんだよ……。まあ、こればかりは私も疑問が残っている」

ホライゾン「と言いますと?」

正純「帝の手から神器を奪う危険性について、当時の人々が疑問を抱かなかったとは思えない」

ホライゾン「世界制御装置である神器。確かに、これを帝から奪うのは危険極まりないですね」

正純「この危険な歴史再現を解釈で済ませる事も出来た筈なんだ。これじゃまるで――」

ホライゾン「まるで?」

正純「いや、何でもない。話を戻そうか」

33: 2012/04/13(金) 19:47:43.97 ID:V470Z5jo0
正純「重奏神州は神州に落ちてきた。そして、その際に大部分の土地が消失したのだが――」

ホライゾン「〝重奏領域〟ですね」

正純「Jud. 一部の土地は神州の大地と合一化し、結果、私達の世界では柱状の光が見られるようになった」

ホライゾン「各所に点在する重奏領域。柱状の光内では、重奏神州の環境が再現されている」

正純「そうだ。緑に覆われた山の頂上だけが雪が積もっていたりするのも、重奏領域の環境故だな」

ホライゾン「第一話、トーリ様の説明を行うシーンで確認出来ます」

正純「航空技術の発達しているこの世界であっても、特に重奏領域に注意しなければならない。航路の選択は慎重にというわけだ」

34: 2012/04/13(金) 19:50:13.67 ID:V470Z5jo0
正純「――さて、しかし、重奏領域の誕生も無視出来ないが、重奏神州崩壊によって生じるもっと大きな問題が存在する」

ホライゾン「行き場を無くした人々ですね。各国側の人々は、重奏神州で歴史再現を行っていた、と」

正純「ああ。各国側は重奏神州崩壊の責任を神州側に求め、そして――私達、〝極東〟の立場を決定付ける争いが勃発した」

ホライゾン「Jud. 私も知っています。〝重奏統合争乱〟ですね。神州側と重奏神州側の争いです」

正純「その通りだ。この戦いはほぼ一方的に重奏神州……各国側が勝利した」

ホライゾン「何故ですか? やはり、南北朝時代の戦争で、神州側が疲弊していたのでしょうか」

正純「それもあるが、重奏世界には過酷な環境に対する実験場としての側面もあったんだ」

ホライゾン「つまり、各国側の人々は過酷な環境に対して力を得ていた、と」

正純「力の差は歴然だった。やがて神州側は各国側に降伏。事実上の支配を受ける事になった」

35: 2012/04/13(金) 19:51:49.48 ID:V470Z5jo0
正純「しかし、ここでも問題が生じる。この時代、神州という大地が他国に支配を受けたという歴史が存在しない」

ホライゾン「ですが解釈では済まないレベルでの襲撃があり、また、各国側の人々は帰るべき場所がありません」

正純「Jud. また、神州側も支配を拒んだ。結果として生まれたのが〝教導院〟だ」

ホライゾン「教導院……この世界において、政治と軍事を司る機関ですね」

正純「この教導院は〝知識付与による平和と安定化〟を目的として設置されたが……実際は、神州の間接的支配だ」

ホライゾン「疑問しますが、やはりそれは他国に占領されたという事ではないのでしょうか」

正純「神州中に学校が設置されたというだけに過ぎない」

ホライゾン「なるほど、これも一種の解釈というやつですか」

正純「歴史に記される事のない解釈だな。敗戦した神州側の人々は、名を極東と改め各国による分割統治を受ける事になった」

37: 2012/04/13(金) 19:53:54.95 ID:V470Z5jo0
正純「教導院に属するのは〝学生〟。そして、政治を〝生徒会〟が、実働を〝総長連合〟が中心となって行うようになる」

ホライゾン「各国の人々は学生に姿を変え、極東を分割統治した、と」

正純「ああ。これに伴って法律も制定された。現在にも続く〝校則法〟だ。一巻最初に記されているのを抜粋すると、」


●校則法
第一条
・教導院は平和と発展、そして極東の非支配と保護のための組織として、各地における最高権力を有するものとする。
第四条
・教導院の代表は、警備行為を主とする「総長」と、政務行為を主とする「生徒会長」の二役とし、
  その下に「総長連合」「生徒会」をおくものとする。
第九条
・教導院内、または教導院間の問題解決において、学生と相対できるのは学生だけである。


正純「――とまあ、こんな感じだな。第一条にある通り、極東側は建前上支配されていない」

ホライゾン「大分無理がありますが」

正純「それは誰しも思っている事だ。ゆえに、現在の極東は〝暫定支配〟、或いは保護されている状態にある」

38: 2012/04/13(金) 19:55:39.27 ID:V470Z5jo0
正純「ついでに説明しておくか。極東は敗戦によって権力の大部分を〝聖連〟に握られている」

ホライゾン「聖譜連盟。聖譜を信仰する各国側の人々の事ですね」

正純「Jud. 極東の民は各地の居留地に住み、各国の暫定支配を受けながら生活している」

ホライゾン「私達もそこに?」

正純「いや、私達は〝準バハムート級航空都市艦・武蔵〟に住んでいる。この武蔵と、地上にある三河が極東で唯一自治を認められた場所だ」

ホライゾン「自治、という事はある程度の自由が許されているのですね。武蔵が航空都市艦という事を鑑みれば、相応の力もありそうですが」

正純「ところが、武蔵は聖連の言いなりになっている状態だ。極東武蔵が力を付けないように、〝18歳で教導院卒業〟というルールもあるしな」

41: 2012/04/13(金) 19:58:08.57 ID:V470Z5jo0
ホライゾン「それは当たり前では?」

正純「各国側には上限年齢が設定されていない上、入学も自由に出来る。政治を子供がやるわけにはいかないだろ?」

ホライゾン「――なるほど、極東が力を付けないようにしているのですか」

正純「Jud. さらに政務実働のトップに立つ総長・生徒会長も、もっとも能力が低い者が選ばれることになっている」

ホライゾン「ナメてますね。で、その総長兼生徒会長に選ばれる全裸に何の意味が」

正純「平和の象徴としての一面もある。まあ、実際は傀儡政権の為の道具に過ぎないがな」

ホライゾン「自治を認められているとはいえ、主権も何もあったもんじゃないのですね」

正純「さらに武蔵には、大人達による暫定議会と、聖連により派遣された武蔵王の存在がある」

43: 2012/04/13(金) 20:00:12.81 ID:V470Z5jo0
正純「暫定議会は発言力のある組織だ。18歳以上の為に学生ではなく、私達学生は彼らの意見を無視する事も、……まあ出来なくはない」

ホライゾン「武蔵王はそうではないのですね」

正純「武蔵王は学生ではないが、総長兼生徒会長の決定を否定する事が出来る立場にある。つまり、武蔵において最終決定権がある」

ホライゾン「なるほど。そのコスプレ麻呂は私達の敵ですか」

正純「それは早計過ぎる。大体、武蔵王にも武蔵王なりの考えがあるんだ。私達はむしろ、感謝しないといけないぐらいだな」



>>40
ならないから!

44: 2012/04/13(金) 20:01:44.42 ID:V470Z5jo0
正純「この際だから武蔵について追加説明しよう。大分本筋からズレてきてるが……」

ホライゾン「ものはついでです、正純様。時間の猶予はあるのですから、存分にズレましょう」

正純「あまりズレすぎても困るんだが……。短めに説明するとしよう」

ホライゾン「お願いします」

正純「武蔵は航空都市艦ではあるが、聖連に睨まれている状態にある。その役目は各国を移動しながらの貿易だが、航路が限られているんだ」

ホライゾン「航空都市艦と呼ばれる程の規模ですから、自由勝手に動き回られては困るのですね」

正純「Jud. 各国の国境、境界線上のみを移動範囲とし、定期的に、マーカーを打って位置情報を知らせねばならないんだ」

ホライゾン「それを無視するとどうなるのですか?」

正純「穏やかではない事になるのは間違いないな。私達極東にとって好ましくないのは、聖連による極東の実質完全支配だ」

ホライゾン「下手な行動は出来ないという事ですね」

正純「そう。同時、武蔵は武装を持つ事も禁じられている。対海賊行為の備えとして、重力障壁による防御は許されているがな」

46: 2012/04/13(金) 20:04:53.99 ID:V470Z5jo0
正純「そういう事情で武蔵は自治を認められながらも、実際はやはり聖連の支配下……暫定支配下にあるようなものだ」

ホライゾン「理解しました。武蔵の事情は最悪であるという事ですね」

正純「ああ、聖連に付け入る隙を見せれば、最悪極東の自治都市が一つ失われることになるからな」

ホライゾン「Jud. 武蔵についての説明はこの程度で十分です」

正純「その他の事については、アニメや原作で知ってもらうといいだろう」


>>45
アニメでもちょっと触れてましたね
正純、厳罰1です

48: 2012/04/13(金) 20:06:36.47 ID:V470Z5jo0
正純「では話を戻そう。教導院設置後、各国と極東の動きについてだ」

ホライゾン「教導院の設置で極東侵略の事実を帳消しにしたとしても、歴史はまだ続いています」

正純「土地は限られてはいるが、日本史・世界史の歴史再現は尚も続く。この問題に対しては、分割統治により解決された」

ホライゾン「先程も出ていましたね」

正純「時代を現在にまで進めるぞ。現在の神州では戦国時代と三十年戦争時代の歴史再現を行っている」

ホライゾン「当然、一つの神州という大地で行っているのですよね?」

正純「外界は過剰修復で未だ住む事が出来ないからな。そこで、戦国大名と各国の王は同じ教導院に所属し、極東を分割統治しながら歴史再現を行った」

ホライゾン「……? どういうことでしょうか」

正純「言うよりも、これを見てもらった方が理解しやすいな……」

50: 2012/04/13(金) 20:07:26.20 ID:V470Z5jo0
K.P.A.Italia      ケーピーエーイタリア                  安芸+イタリア
三征西班牙      トレススパニア                     大友・大内家+スペイン
英国           イングランド                       無しってかまんま
P.A.Oda        ピーエーオーディーエー                織田家+オスマン帝国   
六護式仏蘭西    エグザゴンフランセーズ                毛利家+フランス
印度諸国連合    インドショコクレンゴウ                 北条家+インド
清武田         シンタケダ                         武田家+中国
M.H.H.R        エム・エイチ・エイチ・アール/神聖ローマ帝国   羽柴家+ローマ帝国
上越露西亜      スヴィエートルーシ                   上杉家+ロシア
奥州シビル      オウシュウシビル                    東北地方(シベリア未踏地域とも)
三河           ミカワ                           松平家(極東)

正純「ざっとこんな所だ。四国は未開大陸として放置気味。武蔵は入れていないが、これも極東の一部にあたる」

ホライゾン「成程、合併する事でひとまず土地問題を解決し、歴史再現を行っているのですね」

正純「Jud. 複雑に入り組んだ世界ではあるが、一応の筋は通っているだろ。全てには理由があるんだ」

51: 2012/04/13(金) 20:08:35.36 ID:V470Z5jo0
正純「何故歴史再現を行うのか? それは人の手で天上に行く事を失敗した人々が、過去の歴史に縋ったからだ」

ホライゾン「過去の歴史に破滅は無く、天上に行く為の力を確実に蓄える事が出来ます」

正純「重奏世界は土地不足を解消した。しかし、帝の手から制御装置である神器が失われる事で崩壊した」

ホライゾン「重奏世界、各国側の連合軍は神州に攻め込み、そして神州側の人々は降伏しました」

正純「当時、日本史には他国に侵略占領されたという事実は存在しない。歴史上、決して無視出来ない齟齬を生めるために教導院が設置された」

ホライゾン「教導院は各国に於ける政軍の役目を持つ。ただし、教導院は飽くまで学校であり、そして極東の非支配と保護を目的とするものである、と」

正純「Jud. そして現在では極東の民は居留地と三河、武蔵にしか存在しない。自治が認められているのは三河・武蔵のみだ」

ホライゾン「――なんとまあ、面倒くさい世界ですね」

52: 2012/04/13(金) 20:10:08.84 ID:V470Z5jo0
正純「これであらかた説明は終わったかな。何か質問があれば答える……かもしれないぞ」

ホライゾン「どうして弱気なのですか」

正純「私とて万能ではないからな。ここで出した情報が間違っている可能性も否定出来ない」

ホライゾン「知ったかぶりが量産される可能性があるのですね」

正純「……ま、まあ。その辺りは自分で調べてどうにかするしかない。じゃあ、一度情報をまとめるか。細かい部分も追加してな」

55: 2012/04/13(金) 20:12:50.49 ID:V470Z5jo0
◆前地球時代
地球が荒れ果て、人々が天上に行って神々となる前の時代の事。
環境神群に環境の修復を任せ、人々は天上で騒いでいた。
◆地球への回帰
色々あって神々が力を失い、地球に戻らざるを得なくなった。
しかし、地球は環境神群によって、環境神群が住む神州以外は過剰修復されており、人が住める場所が殆ど無かった。
元々神州に住んでいた民の末裔と、各国の末裔とで土地問題による争いが勃発する。
天上に行く目的を果たす前に、人々はこの争いで大きく疲弊してしまった。

・環境神群
環境を修復してくれる偉い神様。神州の某所に存在しているが、生真面目すぎて困りもの。
神州の大地に現代的なビル等があるのも、環境神群が修復を行った結果であると思われる。
因みに電気は通ってない。

・神州
日本列島の事。ここ以外は過剰修復で環境激ヤバ+妖物亜人種たくさんで危ない。

正純「再び天上へ行くのが私達の最終目的だな」



57: 2012/04/13(金) 20:14:13.40 ID:V470Z5jo0
◆歴史再現と聖譜
人の手で世界の行く末を決めるのは危険であると判断した人々は、前地球時代に目を付けた。
過去の歴史を辿れば、少なくとも人類滅亡という危うい未来は存在しないからだ。
この、過去の歴史をやり直して世界の流れを保つ事を歴史再現という。
そして、前地球時代の歴史が記された歴史書が聖譜であり、その記述内容を聖譜記述という。
聖譜は利権獲得などを防ぐ為に、運命と同期して100年単位で自動更新されるようになっている。

◆地脈と帝、重奏世界
土地問題の解決として、人々は環境神群と神器の力を用いて異世界を生み出した。
そこは重奏世界と呼ばれ、各国側の人々は重奏世界の制御装置を神州側の人々に預け、こちらに渡っていった。

・地脈
流体が流れるパイプのようなもの。帝はこれを制御することができる。

・帝
現人神。その正体は不明だが、後に極東が暫定支配を受けた後も不可侵の存在である。

・流体
世界を構築するもの。全ての存在は流体によって存在を確立されている。人も大地も、何もかも全て。

ホライゾン「ホライゾンが思いますに、最初からこのまとめを貼ればよかったのでは」

正純「それを言われたら……その通りかもしれないが、一気に情報を与えられても混乱するだろ」

ホライゾン「今も存分に混乱しているかもしれません」

正純「……だったら、私の説明が下手だったというだけだ」

58: 2012/04/13(金) 20:18:09.00 ID:V470Z5jo0
◆南北朝時代と、重奏世界の崩壊
神州側では日本史の南北朝時代の歴史再現として、1443年に南朝が帝の神器奪う。
1457年に北朝に神器が戻るはずだったが、制御されずに放っておいた重奏世界が壊れる。
重奏神州は神州に落下し、その大部分が失われつつも、一部の土地は重奏領域として現在も残る。

・神器
恐らく三種の神器。これにより、重奏世界は保たれていた。

・重奏領域
重奏世界の環境を維持したまま、現在の神州に存在する領域。柱状の光として確認出来る。



正純「先にも言ったが、何故ここで解釈を用いなかったのだろうな……」

ホライゾン「真面目すぎたんでしょうか。実に極東人らしいですね」

正純「末世もそうだが、私はこの辺りに何か大きな謎があるように思えてならない」

ホライゾン「或いは末世に関わるのでしょうか。アニメ以降のネタバレになりますが、〝世界を終わらせ、しかし終わらせないもの〟みたいな事を誰かが言ってた気がします」

正純「Jud. 失わせないもの――だった気もするが、誰かが言っていたな。この辺り、やはり何かありそうだな」

ホライゾン「重奏世界は失われ、しかし世界は失われなかった……」

59: 2012/04/13(金) 20:19:31.88 ID:V470Z5jo0
◆重奏統合争乱
重奏世界崩壊と同時に、責任の所在を求めた各国連合軍が神州と戦争をおっぱじめる。
南北朝時代で疲弊していた神州、過酷な環境に対して力を得ていた各国連合軍との戦争は神州の敗北で幕を閉じる。
以後、神州に住んでいた人々は極東と名を改め、現在に至る。
因みにJud.というのは咎人用の了解・応答の意味。ジャッジ、あるいはジャッジメントという。
逆に聖譜連盟国はTes.を用いる。テス、あるいはテスタメント。

◆教導院の設置と、暫定支配のはじまり
この時代、極東は他国に侵略占領された歴史は存在しない。
しかも極東側は政軍置くのをひどく嫌がった。
困り果てた各国側は「じゃあ、教導院って学校置く。これは学校だから。政治っぽい事を生徒会、警備は総長連合がやる」
と見下げた暴論で各地に学校を設置し、極東を暫定支配下に置いた。

・極東
重奏統合争乱後、元々神州の地に住んでいた者達の総称。
原則的に現在では各居留地と武蔵のみにしか居ないが、某教導院にも極東人は確認されている。

・生徒会、総長連合
トップに生徒会長、総長をおく教導院内の組織。
校則法により学生と相対出来るのは学生だけとあり、一般人は学生の争いに直接関与出来ない。

・校則法
教導院間の決まりごと。武蔵にとっては色々辛い部分もある。

・学生
特権階級。聖連に言わせれば、学生以外は人にあらず。
武蔵では18歳で教導院を卒業せねばならないが、他国には上限年齢が設定されていない。

61: 2012/04/13(金) 20:23:57.84 ID:V470Z5jo0
◆分割支配と戦国大名・各国王の合併
K.P.A.Italia      ケーピーエーイタリア                  安芸+イタリア
三征西班牙      トレススパニア                     大友・大内家+スペイン
英国           イングランド                       無しってかまんま
P.A.Oda        ピーエーオーディーエー                織田家+オスマン帝国   
六護式仏蘭西    エグザゴンフランセーズ                毛利家+フランス
印度諸国連合    インドショコクレンゴウ                 北条家+インド
清武田         シンタケダ                         武田家+中国
M.H.H.R        エム・エイチ・エイチ・アール/神聖ローマ帝国   羽柴家+ローマ帝国
上越露西亜      スヴィエートルーシ                   上杉家+ロシア
奥州シビル      オウシュウシビル                    東北地方(シベリア未踏地域とも)
三河           ミカワ                           松平家(極東)

◆四国……
は未開大陸扱いなのでとりあえず放置。



正純「また、歴史再現に必要な人物については襲名で対処している。この世界では権力集中の為、二重襲名を行う事も珍しくない」

ホライゾン「同時、総長兼生徒会長という立場の方も少なくありません。武蔵がそうであるように、ですね」

正純「まあ、あの馬鹿は他国とは別の事情で総長と生徒会長を兼任してるんだがな……」



67: 2012/04/13(金) 20:32:26.69 ID:V470Z5jo0
正純「さて、とりあえずこんな所か。そんなこんなで極東は各国の暫定支配を受け、今を生きている」

ホライゾン「アニメの内容にはあまり触れないようにしたとの事ですが、実際どうなんでしょうかこれ」

正純「逆に触れなさ過ぎて、理解不能になっている人もいるだろうな」

ホライゾン「はあ……それはそうと正純様、厳罰が残っています」

正純「わ、私はこれから小等部に授業しにいかないと駄目なんだ」

ホライゾン「逃げるおつもりですか。はいどうぞ、政治家は嘘を吐いて逃げるのが得意だと本で読みました。あの本は正しかったのですね」

正純「ぐっ……!」

ホライゾン「どうぞお逃げください。ただし、厳罰が1増えます」

オリオトライ「ふんっ、ふんっ……」

正純「お、落ち着け。御高説でのミスは厳罰にならないだろ?」

ホライゾン「誰が御高説をやれと言ったのですか、正純様」

正純「え……?」

トーリ「厳罰ははじめてか、セージュン? 安心しろって! 全裸で踊ったり鞭で叩かれたりするだけだぜ! 不可能男といわれる俺でも耐えられるレベルだぜ!?」

正純「お前と一緒にするなぁ――!!」


おしまい

70: 2012/04/13(金) 20:33:50.14 ID:bRHU4nIg0

75: 2012/04/13(金) 20:39:17.47 ID:V470Z5jo0
最後色々端折ったけど見てくれてありがとな!
ホライゾンSSが増える事を祈ってる

80: 2012/04/13(金) 21:00:35.11 ID:V470Z5jo0
あんなにキャラが魅力的なのに……
掛け合いが難しいとか言われた化物語ですら一時期SS出てたんだからホライゾンだって!

90: 2012/04/13(金) 21:28:05.64 ID:V470Z5jo0
お前らなら書ける

98: 2012/04/13(金) 22:07:05.39 ID:V470Z5jo0
1巻ならツタヤとかで試し読みできるし、一回読んでみるといい
因みにこのSSで書いたことは1巻の20Pぐらいまでのこと
カラーページとかキャラ紹介とか抜いたらもっと短いけど

引用: ホライゾン「疑問しますが、境界線上のホライゾンとは何ですか?」