61: 2013/11/07(木) 18:51:12 ID:pMGFnYHQ
前作タイトル忘れてたwww

エレン「ドキッ!男だらけのダンス大会!」

少し投下

ユミル「クリスタがうまそう」

62: 2013/11/07(木) 18:52:02 ID:pMGFnYHQ
「はっ…はっ…」

息が荒い。体調は最低だ。

「ユミル?どうしたの?」

金髪がのぞきこむ。柔らかそうな白い肌。

「…なんでもねぇ、とっとと終わらせるぞ」

髪をクシャクシャと撫でると、前をむきなおし訓練の続きに没頭するよう心掛けた。

「最近たるんどるものが数名いる!ここは餌の養殖場ではない!」

餌の養殖場…頭のなかで繰り返すと唾液が口に溜まった。
進撃の巨人(34) (週刊少年マガジンコミックス)
63: 2013/11/07(木) 18:52:40 ID:pMGFnYHQ
こんなことになった原因はわかってる。認めたくないが5日前のサシャの話だ。

ーーー

「今までで一番ですか?」

「おう。オレはかーちゃんのキッシュが美味いな!」

「うーん…迷いますがウサギのシチューですかね」

「へえ、どっちも美味しそうだね」

珍しいメンバーが揃えば、変わった会話もする。

「普段がこれじゃたまに食いたくなるだろう?」

「あーまあな」

「ライナー、食器を叩くのは行儀が悪いよ」

「いえ、無性に食べたくなるものは別にありますよ」

「そうなの?何?」

「イノシシの生肉です」

テーブルが静まり返る。そらそうだ。イノシシを生で食うなんて正気の沙汰じゃない。クリスタが目を丸くしてる。

64: 2013/11/07(木) 18:53:25 ID:pMGFnYHQ
「お前なんでも食うんだな」

そう言って茶化すと回りの空気が幾分落ち着く。

「つい、味が知りたくて…美味しくはなかったですし、一晩ひどい目に遭いましたけどね」

「でもまた食べたいの?」

「チャレンジャーだなー」

「歯応えが最高なんですよ!」

「歯応え?」

「はいっ肉は熟成させて旨味がでるんですが…〆たてのお肉あの弾力…なんですかね?程よくかたいのにプリプリしてて凄いんですよ!」

「熱く語っても生肉なんて食いたくねーよ!」

「もう食べませんが、氏ぬ直前で腹痛になっても平気なら食べます!」

「氏ぬときまで食べ物のこと考えるの?」

65: 2013/11/07(木) 18:54:30 ID:pMGFnYHQ
クリスタがクスクスと笑うのを横目に、唐突に生肉は確かに歯応えは良かったことを思い出す。

皮を歯が貫通する瞬間と骨にまで到達する肉の硬さ。
あれは焼いた肉には出せないものだった。

あのときアレを口に含んだことであやふやだった人の意識が揺り動かされたせいだろうか。
その部分だけが鮮明に記憶から掘り起こされる。



気がつけば、そっと頬の内側を噛んでいる自分がいた。

66: 2013/11/07(木) 18:55:15 ID:pMGFnYHQ
ーーーー

眠れない。度目かの寝返りで諦めて目を開く。

嫌な記憶と甘美な記憶が脳内をしめてまともな睡眠がとれない。

「眠れないの?」

「起こしちまったか?」

「大丈夫?最近体調悪そうだよ」

ボソボソと声を出す度に動く喉。まともにみたら危険だ。

「大丈夫だ。トイレにいってくる。寝てろ」

数回頭を撫でて、寝息を確認してから立ち上がる。夜風に当たろう。

クリスタを傷つける前に。

67: 2013/11/07(木) 18:56:04 ID:pMGFnYHQ
ーーーー

「クソッ…!」

これじゃまるで人間じゃないじゃないか。折角戻ったのに、こんな衝動に駆られるなんて。

「どうしたらいい…?」

指を噛む。歯形がつくまで。
それでなくとも味気ない食事で毎日過ごしているのだ。いつかコレは爆発するんじゃないか。

アレを食うわけにはいかない、イノシシでもかじるか?サシャみたいに?しかし腹を壊すのは目に見えてる。

「誰だ」

しまった。考えに没頭していた。見回りに見つかるなんてサシャ以下だ。

「…ユミルか?」

…見回りじゃない。この声は

68: 2013/11/08(金) 01:01:36 ID:.L0WOJ4A
「…ライナーか…?」

新月のせいでぼんやりとしかわからない。ただ、声とシルエットであたりをつける。

「ああ、何してる?」

サクサクと土を踏む音と共にこちらに近づいてくる。

「散歩だよ。そういうテメェは?」

「同じだ」

ライナーの顔が確認できて緊張が解かれる。見回りじゃなきゃなんとでもなる。

「…?ライナー、お前どうした?」

目付きがおかしい。ぼやけているのに何かをとらえた目だ。

69: 2013/11/08(金) 01:04:21 ID:.L0WOJ4A
「いや、なんでもないぞ?」

おかしい。なんだ?何を見ている?

「そうか?嘘だろ?」

揺さぶりをかけてとらえた。私の首筋?

「…なんてな」

何気ないふりをして首筋を撫でるとライナーの喉が動いた。確定だ。

「…ユミル、俺の喉がどうかしたか?」

「…いいや?」

気付かなかった。私も喉を凝視していたらしい。動揺は多分見抜かれただろう。

「ならいいが」

目が、合う。

「…見回りが来る前にあっちへ行こうぜ」

70: 2013/11/08(金) 01:05:42 ID:.L0WOJ4A
噛む、噛む、噛む。
お互いの首を、頬を、指を。

ライナーの首から水蒸気が上がって確信した。

夢だ、間違いない。痛みのある夢。

「…っ」

だからもう遠慮はいらない。
お互い水蒸気を放ちながら、柔らかい部分や固い部分を堪能する。

最初より深く。ぎゅうと歯をたてれば少し筋ばった弾力。

ライナーはとうとう腹にまで歯をたててきた。

息が荒くなり口回りは血塗れ、しかしそれも水蒸気となり消えていく。

71: 2013/11/08(金) 01:06:31 ID:.L0WOJ4A
どうしようもなく興奮してるのがわかる。

耳たぶを歯でちぎる。食べはしない。味に興味はない。

鉄臭く、あつくるしい。

私の犬歯がライナーの右腕に食い込んだとき、頭の中で想像した。

もし…もし、クリスタだったら?
顎の力を込めながら舌でチ口リと腕をなめる。

「…は、」

クリスタだったら、優しくかじりたい。時折舐めながら噛みつきたい。

あの白く柔らかい肌は一体どんな感触だろう…

72: 2013/11/08(金) 03:00:36 ID:lEGUhQKI
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ーーー


「ユミルっ朝だよ!」

「…わかってるぞーうりゃうりゃ!」

朝の目覚めが久々によくて、起こしにきたクリスタをベッドに引っ張りこむ。

一通りなで回して満足して、朝の支度を済ませたら食堂に向かう。

ライナーも食堂にいたが、当たり前のように傷もなけりゃ血もついてない。

「よっ」

「おはよう!」

「おう」

「おはよう…」

いつも通りだ。

73: 2013/11/08(金) 03:01:32 ID:lEGUhQKI
思春期の男どもが溜まりに溜まって淫夢をみるのと同じ。

そして発散してスッキリするのと同じだ。

衝動的な欲の単純な解決法に笑いが込み上げそうになる。

「ユミル、なんかスッキリした?」

「わかるか?久々に夢見が良くてよー」

次は、クリスタがいい。水蒸気は視界の邪魔になるからなしの方向で。

どうせ自分の夢だ、どうにかなるだろう。

おわり

74: 2013/11/08(金) 03:02:25 ID:lEGUhQKI
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ーー

半年前くらいに元気になったのに、また眠れてないみたいで寝返りが増えてる。

あのときはライナーたちも体調が悪そうで流行り病か心配したけれど、今回はユミルだけ。

今回も前みたいに突然治るのかな?
ユミルが部屋を抜け出して冷えたベッドがちょっと寂しい。

…やっぱり追いかけよう。少しでも力になりたい。

ーーーー


「…ユミル、どうしたの?目付きがーー」


おわり

75: 2013/11/08(金) 03:05:08 ID:lEGUhQKI
お付き合いいただきありがとうございました。

出落ちコネタはまだあるからたまに書くかもしれんが、とりあえず完結します。

引用: アルミン「25万人の行進」