1: 2013/02/27(水) 02:03:51.50 ID:6G6TZ9d70
まいた世界 深夜
翠星石「真紅ぅ 何か眠れないですぅ」
真紅「あら… ではこれを貸してあげるわ」
翠星石「どんぐりと山猫?」
真紅「それでも読んでおやすみなさい」
翠星石「ええー! 真紅が読んでぇ!」
真紅「ええ… もう… 仕方がないわね…」
翠星石「…」どきどき…
翠星石「真紅ぅ 何か眠れないですぅ」
真紅「あら… ではこれを貸してあげるわ」
翠星石「どんぐりと山猫?」
真紅「それでも読んでおやすみなさい」
翠星石「ええー! 真紅が読んでぇ!」
真紅「ええ… もう… 仕方がないわね…」
翠星石「…」どきどき…
4: 2013/02/27(水) 02:07:10.85 ID:6G6TZ9d70
おかしな葉書が、ある土曜日の夕方、翠星石の家に来ました
すいせいせきさま 九月十九日
あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです
あした、めんどなさいばんしますから、おいでんなさい
とびどぐもたないでくなさい
山猫 拝
すいせいせきさま 九月十九日
あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです
あした、めんどなさいばんしますから、おいでんなさい
とびどぐもたないでくなさい
山猫 拝
5: 2013/02/27(水) 02:12:46.95 ID:6G6TZ9d70
こんなのです
字はまるで下手で、墨もガサガサして指に付く位でした
でも翠星石は嬉しくて嬉しくてたまりませんでした
葉書をそっと鞄にしまって家中飛んだり跳ねたりしました
翠星石「山猫から手紙が来たんですぅ!」
真紅「ふぅん…?どんな…?」
翠星石「こんなんですぅ!」
真紅「あら…」
翠星石「きっとこーんな…ニャア!って顔した山猫ですよー」
字はまるで下手で、墨もガサガサして指に付く位でした
でも翠星石は嬉しくて嬉しくてたまりませんでした
葉書をそっと鞄にしまって家中飛んだり跳ねたりしました
翠星石「山猫から手紙が来たんですぅ!」
真紅「ふぅん…?どんな…?」
翠星石「こんなんですぅ!」
真紅「あら…」
翠星石「きっとこーんな…ニャア!って顔した山猫ですよー」
6: 2013/02/27(水) 02:16:37.58 ID:6G6TZ9d70
でも翌朝目が覚めるともうとっくに朝でした
翠星石「あわわ… 遅刻遅刻ですぅ!」
表に出てみると周りの山は
皆たった今出来たばかりみたいで
真っ青な空の下に並んでいました
翠星石は谷川に沿った小道を上の方へ登って行きました
翠星石「あわわ… 遅刻遅刻ですぅ!」
表に出てみると周りの山は
皆たった今出来たばかりみたいで
真っ青な空の下に並んでいました
翠星石は谷川に沿った小道を上の方へ登って行きました
7: 2013/02/27(水) 02:21:18.74 ID:6G6TZ9d70
透き通った風がざあっと吹くと、栗の木はばらばらと実を落としました
翠星石は栗の木を見上げて聞いてみました
翠星石「栗の木さん 栗の木さん 山猫がここを通りませんでした?」
栗の木「山猫なら今朝早く、馬車で東の方へ飛んで行きましたよー」
翠星石「東なら翠星石の行く方ですねえ おかしいですぅ
とにかくもっと行ってみましょう 栗の木さんありがとうですぅ!」
翠星石は栗の木を見上げて聞いてみました
翠星石「栗の木さん 栗の木さん 山猫がここを通りませんでした?」
栗の木「山猫なら今朝早く、馬車で東の方へ飛んで行きましたよー」
翠星石「東なら翠星石の行く方ですねえ おかしいですぅ
とにかくもっと行ってみましょう 栗の木さんありがとうですぅ!」
8: 2013/02/27(水) 02:27:35.59 ID:6G6TZ9d70
もう少し行きますと、滝に着きました
滝では金糸雀がバイオリンを弾いていました
翠星石「金糸雀ー 山猫がここを通りませんでしたか?」
金糸雀「んー? もうちょっと大きな声で言ってほしいかしら―!」
翠星石「えーと やまねこがぁ」
金糸雀「んー!」
翠星石「とおりませんでしたかぁー!」
滝では金糸雀がバイオリンを弾いていました
翠星石「金糸雀ー 山猫がここを通りませんでしたか?」
金糸雀「んー? もうちょっと大きな声で言ってほしいかしら―!」
翠星石「えーと やまねこがぁ」
金糸雀「んー!」
翠星石「とおりませんでしたかぁー!」
9: 2013/02/27(水) 02:29:20.47 ID:6G6TZ9d70
金糸雀「あー! 山猫かしらー!」
翠星石「そーですよぉ!」
金糸雀「山猫ならさっき馬車で西の方へ飛んで行ったかしらー!」
翠星石「おっかしいですぅ 西は私の家ですのにー
けどまあもう少し行ってみるですよ!
ありがとー 金糸雀ぅー!」
翠星石「そーですよぉ!」
金糸雀「山猫ならさっき馬車で西の方へ飛んで行ったかしらー!」
翠星石「おっかしいですぅ 西は私の家ですのにー
けどまあもう少し行ってみるですよ!
ありがとー 金糸雀ぅー!」
11: 2013/02/27(水) 02:34:33.48 ID:6G6TZ9d70
もう少し行きますと、一本のぶなの木の下で
蒼星石が眠っていました
翠星石「ねえねえ 蒼星石ー」
蒼星石「ん…? ああ君か… どうしたの
こんなとこで…」
翠星石「あのー 山猫がここを通りませんでしたか?」
蒼星石「山猫?そう言えば通ったな 今朝早く南の方へ…」
翠星石「南?そりゃあっちの山の方ですぅ
おっかしいなーですう
まあもう少し行ってみますか
ありがとー 蒼星石ぃー!」
蒼星石が眠っていました
翠星石「ねえねえ 蒼星石ー」
蒼星石「ん…? ああ君か… どうしたの
こんなとこで…」
翠星石「あのー 山猫がここを通りませんでしたか?」
蒼星石「山猫?そう言えば通ったな 今朝早く南の方へ…」
翠星石「南?そりゃあっちの山の方ですぅ
おっかしいなーですう
まあもう少し行ってみますか
ありがとー 蒼星石ぃー!」
13: 2013/02/27(水) 02:39:35.11 ID:6G6TZ9d70
深い森の中を進んで行きました
すると急に開けた所に出ました
翠星石「わあー… 一面金色の原っぱですぅ…
こんなとこがあったのですねえ… あれ?」
すると、その草地の真ん中に雛苺がいたのです
雛苺は手に革鞭を持って、黙ってこっちを見ていたのです
翠星石「ありゃ? チビチビじゃありませんかー」
雛苺「うゆー 翠星石きたのー」
すると急に開けた所に出ました
翠星石「わあー… 一面金色の原っぱですぅ…
こんなとこがあったのですねえ… あれ?」
すると、その草地の真ん中に雛苺がいたのです
雛苺は手に革鞭を持って、黙ってこっちを見ていたのです
翠星石「ありゃ? チビチビじゃありませんかー」
雛苺「うゆー 翠星石きたのー」
14: 2013/02/27(水) 02:43:28.88 ID:6G6TZ9d70
翠星石「? なーんかおっかしいですぅ
まあいいやですぅ
ねえ、チビチビは山猫知りませんか?」
すると雛苺はニヤッと笑って言いました
雛苺「山猫さまは今すぐに、ここに戻ってくるのー」
まあいいやですぅ
ねえ、チビチビは山猫知りませんか?」
すると雛苺はニヤッと笑って言いました
雛苺「山猫さまは今すぐに、ここに戻ってくるのー」
15: 2013/02/27(水) 02:47:12.89 ID:6G6TZ9d70
翠星石はびっくりして言いました
翠星石「ありゃりゃ? って事は翠星石を呼び出したのは…」
すると雛苺はますますニコニコしてしまいました
雛苺「翠星石は手紙見て来てくれたの?」
翠星石「ほよ? 見ましたよ それで来たんですぅ」
翠星石「ありゃりゃ? って事は翠星石を呼び出したのは…」
すると雛苺はますますニコニコしてしまいました
雛苺「翠星石は手紙見て来てくれたの?」
翠星石「ほよ? 見ましたよ それで来たんですぅ」
16: 2013/02/27(水) 02:51:19.07 ID:6G6TZ9d70
雛苺「でも… あの手紙の字は、きっととっても下手だったのー…」
雛苺は下を向いて悲しそうに言いました
翠星石は気の毒になったので、
翠星石「さあ… 中々文章が上手いようでしたよ?」
と言いますと、雛苺はとても喜んで、
苺大福を取り出して言いました
雛苺「翠星石にうにゅーあげるのー!」
雛苺は下を向いて悲しそうに言いました
翠星石は気の毒になったので、
翠星石「さあ… 中々文章が上手いようでしたよ?」
と言いますと、雛苺はとても喜んで、
苺大福を取り出して言いました
雛苺「翠星石にうにゅーあげるのー!」
17: 2013/02/27(水) 02:56:17.42 ID:6G6TZ9d70
うにゅーを食べていますと、雛苺はまた聞いてきました
雛苺「ねえ翠星石ぃ あの字もなかなか上手かったのー?」
翠星石は思わず笑いながら、返事しました
翠星石「そりゃー上手かったですよー!五年生だってあの位には
書けないですぅー!」
すると雛苺は、急にまた暗い顔をしました
雛苺「五年生って言うのは、小学校五年なのー…
翠星石は… ひっく… ヒナをバカにしてるの…」
雛苺「ねえ翠星石ぃ あの字もなかなか上手かったのー?」
翠星石は思わず笑いながら、返事しました
翠星石「そりゃー上手かったですよー!五年生だってあの位には
書けないですぅー!」
すると雛苺は、急にまた暗い顔をしました
雛苺「五年生って言うのは、小学校五年なのー…
翠星石は… ひっく… ヒナをバカにしてるの…」
18: 2013/02/27(水) 03:01:56.12 ID:6G6TZ9d70
その声があんまり可哀想でしたので、翠星石はあわてて言いました
翠星石「いいえ、大学校の五年生ですよー!」
すると雛苺はまたとても喜んで
苺大福を沢山取り出して言いました
雛苺「翠星石に好きなだけあげるの!二人で半分こなのー!」
翠星石「えっ?良いのです?こんなに沢山…」
雛苺「うん!翠星石は特別なのー!
実はね あの葉書はヒナが書いたのよ!」
翠星石はおかしいのをこらえて言いました
翠星石「それで…チビチビは山猫をどうして知っているのですか?」
翠星石「いいえ、大学校の五年生ですよー!」
すると雛苺はまたとても喜んで
苺大福を沢山取り出して言いました
雛苺「翠星石に好きなだけあげるの!二人で半分こなのー!」
翠星石「えっ?良いのです?こんなに沢山…」
雛苺「うん!翠星石は特別なのー!
実はね あの葉書はヒナが書いたのよ!」
翠星石はおかしいのをこらえて言いました
翠星石「それで…チビチビは山猫をどうして知っているのですか?」
19: 2013/02/27(水) 03:11:04.50 ID:6G6TZ9d70
雛苺「ヒナはね 山猫さまの馬車別当なの」
その時風がどうっと吹いて
振り返るとそこに水銀燈が立っていました
翠星石「あ…!」
翠星石はびっくりして動けなくなってしまいました
ところが水銀燈はくすりと笑って
おじぎをしましたので
翠星石も丁寧に挨拶してみました
翠星石「こんにちは水銀燈
山猫って水銀燈の事だったのですか…?」
その時風がどうっと吹いて
振り返るとそこに水銀燈が立っていました
翠星石「あ…!」
翠星石はびっくりして動けなくなってしまいました
ところが水銀燈はくすりと笑って
おじぎをしましたので
翠星石も丁寧に挨拶してみました
翠星石「こんにちは水銀燈
山猫って水銀燈の事だったのですか…?」
20: 2013/02/27(水) 03:21:07.54 ID:6G6TZ9d70
水銀燈「こんにちは翠星石… そうね…山猫で水銀燈なのよ…」くす
水銀燈はドレスをぱたぱた
はたいて言いました
水銀燈「今日はよく来てくれたわね まあお掛けなさいな」
水銀燈が木の根っこに腰掛けたので
翠星石も適当な根っこに掛けました
水銀燈「実は一昨日から面倒な争いがあってね… はぁ
ちょっと裁判に困ったから
貴女の考えを聞きたいと思ったのよ…」
翠星石「ふゆ? さいばん? 面倒な争いって何の事です?」
水銀燈「まあ直にどんぐり達が来るでしょう
どうも毎年この裁判には困ってしまうのよねぇ…」はぁ…
水銀燈はドレスをぱたぱた
はたいて言いました
水銀燈「今日はよく来てくれたわね まあお掛けなさいな」
水銀燈が木の根っこに腰掛けたので
翠星石も適当な根っこに掛けました
水銀燈「実は一昨日から面倒な争いがあってね… はぁ
ちょっと裁判に困ったから
貴女の考えを聞きたいと思ったのよ…」
翠星石「ふゆ? さいばん? 面倒な争いって何の事です?」
水銀燈「まあ直にどんぐり達が来るでしょう
どうも毎年この裁判には困ってしまうのよねぇ…」はぁ…
21: 2013/02/27(水) 03:28:33.82 ID:6G6TZ9d70
水銀燈は懐からハイライトを取り出して
自分が一本取って言いました
水銀燈「いかが?」
翠星石はびっくりして
翠星石「け けっこですぅ!」
すると水銀燈はふっと笑って
水銀燈「ふぅん まだ若いから?」
と言いながら、マッチをしゅっと擦って
ちりちり火をつけました
青い煙がすうっと上がりました
雛苺は少し離れたところでしゃんと立っていましたが
いかにも煙草の欲しいのを無理にこらえているらしく
涙をぽろぽろこぼしました
自分が一本取って言いました
水銀燈「いかが?」
翠星石はびっくりして
翠星石「け けっこですぅ!」
すると水銀燈はふっと笑って
水銀燈「ふぅん まだ若いから?」
と言いながら、マッチをしゅっと擦って
ちりちり火をつけました
青い煙がすうっと上がりました
雛苺は少し離れたところでしゃんと立っていましたが
いかにも煙草の欲しいのを無理にこらえているらしく
涙をぽろぽろこぼしました
23: 2013/02/27(水) 03:35:23.44 ID:6G6TZ9d70
その時翠星石は、足元でぱちぱち
塩のはぜるような音を聞きました
翠星石「ふえ?! あっあわわー…すごい沢山
どんぐりですぅー!」
水銀燈「来たみたいね… ベルを鳴らしなさい
今日はそのあたりが日当たりが良いわ
雛苺 草を刈りなさい」
水銀燈は煙草を消して大急ぎで言いました
雛苺もあわてて鎌でそのへんの草を刈りました
するとそこへ四方の草の中から
どんぐりがきらきら光って飛び出してきました
皆わあわあ何か言っています
塩のはぜるような音を聞きました
翠星石「ふえ?! あっあわわー…すごい沢山
どんぐりですぅー!」
水銀燈「来たみたいね… ベルを鳴らしなさい
今日はそのあたりが日当たりが良いわ
雛苺 草を刈りなさい」
水銀燈は煙草を消して大急ぎで言いました
雛苺もあわてて鎌でそのへんの草を刈りました
するとそこへ四方の草の中から
どんぐりがきらきら光って飛び出してきました
皆わあわあ何か言っています
24: 2013/02/27(水) 03:42:53.19 ID:6G6TZ9d70
今度は雛苺が鈴をがらんがらん鳴らしました
どんぐり達は少し静かになりました
水銀燈「はぁ… 裁判ももう今日で三日目よ
いい加減に仲直りをしたらどうなの?」
水銀燈が少し心配そうに言いますと
どんぐりどもは口々に叫びました
どんぐり「いえいえ!だめです!なんたって
頭のとがっているのが一番偉いんです
そして私が一番とがっています!」
すると別のどんぐりも言いました
どんぐり「いいえ違います!
丸いのが偉いのです!一番丸いのは私です!」
するとなぜか蒼星石も混ざっていて言いました
蒼星石「大きなことだと思うけど… この中では
僕が一番大きいから僕が一番偉いよ」
どんぐり達は少し静かになりました
水銀燈「はぁ… 裁判ももう今日で三日目よ
いい加減に仲直りをしたらどうなの?」
水銀燈が少し心配そうに言いますと
どんぐりどもは口々に叫びました
どんぐり「いえいえ!だめです!なんたって
頭のとがっているのが一番偉いんです
そして私が一番とがっています!」
すると別のどんぐりも言いました
どんぐり「いいえ違います!
丸いのが偉いのです!一番丸いのは私です!」
するとなぜか蒼星石も混ざっていて言いました
蒼星石「大きなことだと思うけど… この中では
僕が一番大きいから僕が一番偉いよ」
25: 2013/02/27(水) 03:48:47.18 ID:6G6TZ9d70
翠星石「ええー…いやいや…」
すると金糸雀もいつの間にか紛れ込んでいて言いました
金糸雀「そうじゃないかしら!
カナの方がよっぽど大きいって、昨日水銀燈が言ったかしらー!」
翠星石「ちょ…金糸雀まで何やって… ってありゃ?」
真紅「お話にならないわ 一番背が高いのは私ですもの」
雪華綺晶「あら…なんならアリスゲームをして決めましょうか…
お姉さま方…」
もう皆わやわやわやわや
何が何だか訳が分からなくなりました
すると金糸雀もいつの間にか紛れ込んでいて言いました
金糸雀「そうじゃないかしら!
カナの方がよっぽど大きいって、昨日水銀燈が言ったかしらー!」
翠星石「ちょ…金糸雀まで何やって… ってありゃ?」
真紅「お話にならないわ 一番背が高いのは私ですもの」
雪華綺晶「あら…なんならアリスゲームをして決めましょうか…
お姉さま方…」
もう皆わやわやわやわや
何が何だか訳が分からなくなりました
26: 2013/02/27(水) 03:51:59.36 ID:6G6TZ9d70
そこで水銀燈が怒って言いました
水銀燈「やかましいわね ここをどこだと思っているの?
静まりなさい」
雛苺「静かにするのー!」
雛苺が鞭をひゅうぱちっ
と鳴らしましたので、どんぐりとかは
やっと静まりました
水銀燈「やかましいわね ここをどこだと思っているの?
静まりなさい」
雛苺「静かにするのー!」
雛苺が鞭をひゅうぱちっ
と鳴らしましたので、どんぐりとかは
やっと静まりました
27: 2013/02/27(水) 03:56:48.22 ID:6G6TZ9d70
水銀燈は「はぁ」とため息をついて言いました
水銀燈「裁判ももう今日で三日目よ
いい加減に仲直りしたらどう?」
するともう
どんぐりとかが口々に言いました
どんぐり「いえいえ、だめです!なんたって頭のとがってるのが」
蒼星石「じゃあ僕は帽子をかぶっているけれどこれは」
金糸雀「違うかしら!カナはハートの飾りを付けてるかしら!」
真紅「どうでもいいわ そんな事」
雪華綺晶「だからアリスゲームで決めましょうと」
水銀燈「裁判ももう今日で三日目よ
いい加減に仲直りしたらどう?」
するともう
どんぐりとかが口々に言いました
どんぐり「いえいえ、だめです!なんたって頭のとがってるのが」
蒼星石「じゃあ僕は帽子をかぶっているけれどこれは」
金糸雀「違うかしら!カナはハートの飾りを付けてるかしら!」
真紅「どうでもいいわ そんな事」
雪華綺晶「だからアリスゲームで決めましょうと」
28: 2013/02/27(水) 04:00:58.21 ID:6G6TZ9d70
水銀燈「だまりなさいやかましい!
ここをなんと思っているの?静まりなさい!」
雛苺が鞭をひゅうぱちっと鳴らしました
水銀燈は「はぁ」とため息をついて言いました
水銀燈「裁判も今日でもう三日目よ
いい加減仲直りしたらどう?」
どんぐり「いえいえだめです!とにかくとがってるのが!」
真紅「雛苺!紅茶を持ってきて頂戴!こんなことではお話にならないわ!」
水銀燈「ばか真紅!だまりなさい!」
ここをなんと思っているの?静まりなさい!」
雛苺が鞭をひゅうぱちっと鳴らしました
水銀燈は「はぁ」とため息をついて言いました
水銀燈「裁判も今日でもう三日目よ
いい加減仲直りしたらどう?」
どんぐり「いえいえだめです!とにかくとがってるのが!」
真紅「雛苺!紅茶を持ってきて頂戴!こんなことではお話にならないわ!」
水銀燈「ばか真紅!だまりなさい!」
29: 2013/02/27(水) 04:05:54.71 ID:6G6TZ9d70
雛苺がひゅうぱちっ
と鞭を鳴らし、ようやく静かになりました
水銀燈は翠星石にそっと言いました
水銀燈「この通りよ どうしたらいいのかしらね…はぁ」
翠星石は笑って言いました
翠星石「それならこう言ってやればいいですよ!
この中で一番めちゃくちゃで、楽器も下手でハサミもさびてて、
バカでまるでアリスに相応しくないのが…
一番偉いんですぅ!」
と鞭を鳴らし、ようやく静かになりました
水銀燈は翠星石にそっと言いました
水銀燈「この通りよ どうしたらいいのかしらね…はぁ」
翠星石は笑って言いました
翠星石「それならこう言ってやればいいですよ!
この中で一番めちゃくちゃで、楽器も下手でハサミもさびてて、
バカでまるでアリスに相応しくないのが…
一番偉いんですぅ!」
30: 2013/02/27(水) 04:09:36.05 ID:6G6TZ9d70
水銀燈は成程と言う風に聞いていましたが
それからドレスのよれを正して言いました
水銀燈「よろしいわ 静かにしなさい
申し渡しよ
この中で一番偉くなくて、真紅みたいにバカで、
てんでなってないようなのが――
一番偉いのよ」
それからドレスのよれを正して言いました
水銀燈「よろしいわ 静かにしなさい
申し渡しよ
この中で一番偉くなくて、真紅みたいにバカで、
てんでなってないようなのが――
一番偉いのよ」
31: 2013/02/27(水) 04:17:35.21 ID:6G6TZ9d70
するとどんぐりも、蒼星石も金糸雀も真紅も雪華綺晶も
みんなしいんとしてしまいました
それはそれはしいんとして、まるで元のどんぐりと人形に戻ったみたいでした
水銀燈はやっと安心して「はぁ」とため息をつきました
雛苺もよろこんでなのーなのーとか言いました
水銀燈は手袋を取って
翠星石に握手して言いました
水銀燈「どうもありがとう 翠星石
これ程のひどい裁判をまるで一分半で片付けてくれたのだから
どうかこれから私の裁判所の
名誉判事になって貰えないかしら
これからも、葉書が行ったら、どうか来てほしいのよ
そのたびにお礼はするわ」
みんなしいんとしてしまいました
それはそれはしいんとして、まるで元のどんぐりと人形に戻ったみたいでした
水銀燈はやっと安心して「はぁ」とため息をつきました
雛苺もよろこんでなのーなのーとか言いました
水銀燈は手袋を取って
翠星石に握手して言いました
水銀燈「どうもありがとう 翠星石
これ程のひどい裁判をまるで一分半で片付けてくれたのだから
どうかこれから私の裁判所の
名誉判事になって貰えないかしら
これからも、葉書が行ったら、どうか来てほしいのよ
そのたびにお礼はするわ」
34: 2013/02/27(水) 04:23:25.64 ID:6G6TZ9d70
翠星石「もちろんですよー!お礼なんかいらんですよ」
水銀燈「いいえ お礼はどうか受け取っておいて
私の人格に関わるし…
これからは、葉書に翠星石殿と書いて、
こちらを水銀燈と書くけれど、良いかしらね」
翠星石「いいですよ」
水銀燈「それから――
その後は一緒にお茶でもいかが…
と書いてもいいかしら…」
水銀燈「いいえ お礼はどうか受け取っておいて
私の人格に関わるし…
これからは、葉書に翠星石殿と書いて、
こちらを水銀燈と書くけれど、良いかしらね」
翠星石「いいですよ」
水銀燈「それから――
その後は一緒にお茶でもいかが…
と書いてもいいかしら…」
37: 2013/02/27(水) 04:33:57.23 ID:6G6TZ9d70
水銀燈はどこか気まずそうに言いました
でも翠星石は笑って答えました
翠星石「もちろんですよー!」
水銀燈は一瞬とてもうれしそうな顔をしました
けれどもすぐに元に戻って言いました
水銀燈「さ 今日のお礼をしないとね
貴女、金のどんぐりと、お酒とどっちが好きなの?」
翠星石「金のどんぐりが好きですよ」
水銀燈「お酒はまだ飲まないの
飲めるようになったら…沢山良いワインがあるのよ
また一緒に飲みましょう」くす
雛苺がその辺のどんぐりを升にいれて渡してくれました
水銀燈のドレスが風でバタバタ言いました
水銀燈「じゃあ馬車の支度をしなさい」
でも翠星石は笑って答えました
翠星石「もちろんですよー!」
水銀燈は一瞬とてもうれしそうな顔をしました
けれどもすぐに元に戻って言いました
水銀燈「さ 今日のお礼をしないとね
貴女、金のどんぐりと、お酒とどっちが好きなの?」
翠星石「金のどんぐりが好きですよ」
水銀燈「お酒はまだ飲まないの
飲めるようになったら…沢山良いワインがあるのよ
また一緒に飲みましょう」くす
雛苺がその辺のどんぐりを升にいれて渡してくれました
水銀燈のドレスが風でバタバタ言いました
水銀燈「じゃあ馬車の支度をしなさい」
39: 2013/02/27(水) 04:40:23.84 ID:6G6TZ9d70
ひゅうぱちっ
馬車は野山を飛んで行きました
木も山も空も、すごい勢いで流れていきます
翠星石はうとうとして、何時の間にか眠っていました――
馬車は野山を飛んで行きました
木も山も空も、すごい勢いで流れていきます
翠星石はうとうとして、何時の間にか眠っていました――
41: 2013/02/27(水) 04:42:24.88 ID:6G6TZ9d70
******
真紅「一郎は自分の家の前に
どんぐりを入れた升を持って立っていました
それから… あら ふふ…」
翠星石「くぅ…」
真紅「おやすみなさい 翠星石 おしまいだわ」
真紅「一郎は自分の家の前に
どんぐりを入れた升を持って立っていました
それから… あら ふふ…」
翠星石「くぅ…」
真紅「おやすみなさい 翠星石 おしまいだわ」
33: 2013/02/27(水) 04:23:06.88 ID:vewqmNrx0
宮沢賢治か
40: 2013/02/27(水) 04:42:09.75 ID:jZBnoo2k0
よだかの星のほうが好き
42: 2013/02/27(水) 04:50:40.98 ID:0tFFDYpP0
>>40
よだかもいいね
俺は雪渡りが一番好きかな
いちおつおつ
よだかもいいね
俺は雪渡りが一番好きかな
いちおつおつ
引用: 翠星石「どんぐりと山猫」
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