612: 2012/06/04(月) 22:02:45.38 ID:ztKAXr4t0
こんばんは。
長らくお待たせいたしました。本日より最終章までのつなぎである番外伝を始めさせていただきます。
あまり長くはなりません。それでは投下していきます。

勇者募集してたから王様に会いに行った【第一部】
勇者募集してたから王様に会いに行った【第二部】
勇者募集してたから王様に会いに行った【完結】
勇者募集してたから王様に会いに行った【IF外伝】

酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【1】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【2】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【3】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【4】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【5】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【6】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【7】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【8】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【9】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【10】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【11】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【12】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【13】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【14】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【15】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【16】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【17】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【18】




613: 2012/06/04(月) 22:03:14.85 ID:ztKAXr4t0


--ジャングル--

チチチッ

小鳥が囀る昼下がり。

?「あーっ! もーっ!」

木々生い茂るジャングルの中の一軒家で、長い髪の少女が暴れていた。

??「姫、暴れないでくだしあ」

?改め姫「うるしゃーいっ! これが暴れずにいられ……誰がアバズレだーっ!!」

姫と呼ばれた少女は男に向かって枕を投げ付ける。

ぼふっ

??「むぐ……姫、理由をお聞かせください。食事なら先ほどお取りになりましたでしょ?」

姫「ご飯が問題じゃないよっ! 領土だよ、領土問題だよ参謀長っ!!」
魔法の世界
614: 2012/06/04(月) 22:03:42.54 ID:ztKAXr4t0


--ジャングル--

??改め参謀長「……またその話ですか」

姫「当たり前だよっ! 何度だって言うよっ! なぜ我が王国、黄金王国の領土がこれほどまでに狭いのだっ!」

姫はガラスの無い窓からジャングルを指差して言った。

参謀長「我が王国は攻め滅ぼされましたからね。今はその名残です。というか王国ですらないです」

姫「むきーっ!」

姫はベッドに飛び込んで足をばたつかせる。

姫「ぐああっ! わたしにはそれが悔しくてならないんだっ! 何が悲しくてここまで落ちぶれなくてはならないのかっ!」

参謀長「姫は生まれた時からずっとここで生きてきたじゃないですか。国無くなったの何十年前の話だと思ってるんですか」

私だって見たことがないですと参謀長。

姫「あぁそうだよっ! 伝え聞くばかりで本当は知らないよっ! でもだからこそ恋い焦がれるんだよっ! 黄金に輝いたとされるかつての栄光をっ!」

参謀長「まぁ……ね」

姫「だから、領土取り返してきて」

615: 2012/06/04(月) 22:04:13.63 ID:ztKAXr4t0


--ジャングル--

参謀長「へ?」

姫「黄金に輝く王国をわたしに返して」

参謀長「……いやいやいや」

姫「いやいやいやじゃないよっ! もうわたしやだもんこんなジャングル生活ーっ!」

参謀長ボソリ「ジャングル生活しか知らないくせに……」

姫「なんかゆったっ!?」

参謀長「いや……しかし我らでは無理ですよバカ姫」

姫「今なんてゆったっ!? すごいの聞こえたっ!! すごい前置詞ついてたっ!!」

参謀長(前置詞ェ……)

参謀長はこめかみを押さえる。

参謀長「……いいですか姫、まず我が王国には国民がいません」

姫「? いるよ? 参謀長と突撃長と潜入長。あとたんぽぽ星人」

姫は身体のついたたんぽぽのぬいぐるみを見ろとばかりにかかげる。

616: 2012/06/04(月) 22:04:40.24 ID:ztKAXr4t0


--ジャングル--

参謀長「……」

姫「足りないか、足りないと申したいのだな参謀長」

参謀長「うん」

姫「うんてゆったっ!? くそーっ! 王族に対する礼儀がなってない奴めっ! じゃあいいよっ! 他の国民をご紹介しようっ!」

てててっ

参謀長「……」

姫「イースの大いなる種族」

参謀長「椅子じゃん」

姫「……」

姫はベッドから降りてベッドの下に手をのばす。

ごそごそ

そして何かをつかんで手を広げた。

姫「はいっ! ごき一号ちゃんでっすっ!!」

参謀長「そいつは侵略者だ!!」

617: 2012/06/04(月) 22:05:35.21 ID:ztKAXr4t0


--ジャングル--

飛び跳ねて退く参謀長。

姫「えっ!? そうなのっ!?」

姫の手の中でわさわさしてるごき。

参謀長「まぁ窓とか開けっ放しだから入ってくるか……」

姫「こ、こいつ……王族であるわたしを騙したのかっ……!! ゆるせんっ!」

がぽ

参謀長「!?」

姫はごきをお口にお迎えした。

参謀長「」

参謀長ははいていたスリッパを掴むと力いっぱい姫の頭をたたいた。

すぱかーん!

姫「あいたっ!!」

618: 2012/06/04(月) 22:06:31.26 ID:ztKAXr4t0


--ジャングル--

口から脱出するごき。

参謀長「な、なんばしょっとか……」

姫「いたたた……きさまっ! 王族の頭部をなんだと心得るっ!」

参謀長「……はぁ」

姫「はぁってゆったっ!? ため息ついたっ! この無礼者っ!」

ぽかぽかと参謀長を殴る姫。

参謀長「……姫。ろくな国民がいないじゃないですか」

姫「む、無能な国民などお断わりだっ!」

参謀長(暴君甚だしい)

姫「こ、国民は後からでも作れるっ! 領土さえあればっ!」

参謀長「その領土を取るための兵力がいるでしょう?」

619: 2012/06/04(月) 22:07:12.50 ID:ztKAXr4t0


--ジャングル--

姫「参謀長と突撃長と潜入長がいる」

参謀長「……それだけじゃないですか」

姫「でもお前達は一騎当千の猛者なんだろっ? お父様がゆってたっ!」

参謀長「いや……」

姫「お前達三人が一騎当千なら、兵力に換算して三千っ!! たんぽぽ星人も合わせて四千っ!! 私も合わせれば二十五万四千もの兵力にっ!!」

参謀長「これ、ここみて」

姫「ん?」

参謀長はでこぴんのポーズ。それをなにかなー?と近づいてきて凝視する姫。

ばちん!

姫「いたいっ!」

参謀長「あなたはアホか。いや馬鹿でしたごめんなさい」

姫「また馬鹿ってゆ、謝ったっ!? 謝るとは何事だっ!!」

620: 2012/06/04(月) 22:07:48.35 ID:ztKAXr4t0


--ジャングル--

参謀長「姫は、足し算も出来ない、馬鹿です」

姫「英訳文くせーっ!」

参謀長「……真面目な話、我々が一騎当千だと言うのは間違いです。先代、先々代の頃ならまだしも、私や潜入長に至ってはまともに実戦もしたことがない。加えて我々には資金も無い。こんな状態でどこかに攻め入るなどと」

姫「ふにゃ?」

参謀長「……だから我々には全てが足りないと言っています」

姫「あぁそゆこと? そゆことか。あはは。漢字ばっかでわかんなかったよっ」

参謀長「会話に漢字関係ねー!」

姫「むー。最初は攻め入るとかしなくてもいいよ。境界線が曖昧な所を少しずつじわりじわり取っていこう。西と南の間とか」

参謀長「国境警備隊いますけどね」

姫「いやいやあははっ! 警備隊ごときに軍隊が負けるかって!」

参謀長「負けるよ!てかいねんだっつのそもそも兵が!」

621: 2012/06/04(月) 22:08:24.01 ID:ztKAXr4t0


--ジャングル--

姫「……へぇ(兵)~。なんつって!くぷぷぷ!」

参謀長「……」

姫「いやぁ姫ちゃんは可愛いだけじゃなくて頭もいくて、その上ギャグセンスにも満ち溢れているなんてあれだねっ! 才能爆発だねっ! 才能ありすぎだから一個くらい誰かにわけ与えてやりたいよねぇっ!」

参謀長「これ、ここみて」

姫「ん?」

参謀長はでこぴんのポーズ。それをなにかなー?と近づいてきて凝視する姫。

ばちん!

姫「いたいっ!」

622: 2012/06/04(月) 22:09:02.74 ID:ztKAXr4t0
10

--ジャングル--

参謀長「おい馬鹿野郎」

姫「ストレートにゆったっ!! 人に馬鹿馬鹿ゆっていいと思ってるのかっ!?」

参謀長「人?」

姫「わたし人だよっ!? いや姫だよっ!!」

参謀長「まぁなんにせよ兵力が足りません」

面倒くさくなってきちゃった参謀長。

姫「……やだー。姫ちゃん面倒くさい女じゃないよ?」

何かを察して近づいてきてくいくいと服を引っ張る姫。

623: 2012/06/04(月) 22:09:39.23 ID:ztKAXr4t0
11

--ジャングル--

姫「むー……あれだよ。片っ端から動物とか人を助けていこうっ!」

参謀長「は?」

姫「姫ちゃん博識だから知ってる。昔話の本で読んだ鶴瓶の恩返し」

参謀長「多分同人誌かなんかですね」

といいつつも需要を考えて首を振る参謀長。

姫「助けた鶴瓶は恩返しに来てくれるんだおっ!あ、だおってゆっちゃったっ!」

参謀長「……」

姫「……まだわからないの?くぷぷぷ!だからー、私達が助けた奴らが恩を返すために仲間になってくれるっていう寸法よっ!」

参謀長「なる、かなぁ」

624: 2012/06/04(月) 22:10:55.58 ID:ztKAXr4t0
12

--ジャングル--

姫「そんで兵にする」

参謀長「鬼畜!」

姫「いきなり最前線に配置する」

参謀長「鬼畜!!」

姫「これならばっちしっ!おっすおっす、ばっちし!」

参謀長(……一度現実を見せてやらなきゃあかんな)

姫「そういえば突撃長と潜入長はどこいったの?」

参謀長「突撃長は今日の夕飯探しに、潜入長は地元住人との親交を深めに」

姫「侵攻っ!?」

参謀長「もうそろそろ帰って来る頃ですかね」

無視する参謀長。

625: 2012/06/04(月) 22:11:48.39 ID:ztKAXr4t0
13

--ジャングル--

???「甘いです。私は既に帰宅しています」

姫「!どこからか潜入長の声がするよっ!?」

参謀長「……無駄に潜入してやがる」

姫がどこかなどこかなと捜し回るも見つからない。

???改め潜入長「私はそんなところにはいませんよ。私は」

ずぼふっ!

ぬいぐるみのたんぽぽ星人の中から出現する潜入長。

姫「ぎゃあーっ!! たんぽぽ星人が脱皮したーっ!!」

驚愕半泣きの姫。

潜入長「にやり」

626: 2012/06/04(月) 22:12:33.00 ID:ztKAXr4t0
14

--ジャングル--

潜入長「ふふ、お気付きになられなかったことでしょう」

参謀長「いや、いつからいたんだよ、って話。俺がここに来てからそのぬいぐるみの中に入った動作はみてないぞ」

潜入長「ならば簡単、貴方がこの部屋に来る前から忍び込んでいたのです」

参謀長「……いや、地元住人との親睦はどうしたのさ」

潜入長「失敗に終わりました」

参謀長「早すぎて駄目すぎる!!」

潜入長「もといやむなく断念」

参謀長「馬鹿なの!?」

潜入長「だって……私人が多い所苦手ですし」

よよよと泣き崩れる潜入長。

参謀長(最初から出来ないのになぜ立候補した……)

627: 2012/06/04(月) 22:13:26.02 ID:ztKAXr4t0
15

--ジャングル--

姫「くっそーっ! このおっOいがっ! このおっOいがたんぽぽ星人を頃したのかっ!」

もみゅもみゅ

乳揉みマシーンと化した姫。

潜入長「あっ! ……いけませんっ、姫様っ」

むにょむにょ

姫「くっくっくっ~! これがいいのかー? これがいいのかーっ!?」

すぱかーん!

姫「いたいっ!」

スリッパで頭を叩かれる姫。

参謀長「落ち着きなさい」

628: 2012/06/04(月) 22:13:55.74 ID:ztKAXr4t0
16

--ジャングル--

姫「頭ぱかぱか叩いて馬鹿になったらどうすんだっ!!」

涙目になりながら頭をさする姫。

参謀長「どうせ大した量入ってませんよ」

姫「は、入ってるもんっ! プリッツの中に入ってるチョコばりにしっかり入ってるよ!!」

参謀長「ねぇじゃん!」

姫「え?」

潜入長「それはトッポと間違えたのでは?」

きょとん顔の姫。

姫「ふぇぇ……」

ばたん

????「今帰りましたですじゃ」

629: 2012/06/04(月) 22:14:21.22 ID:ztKAXr4t0
17

--ジャングル--

参謀長「あぁお帰りなさい突撃長さん。お疲れ様でした」

????改め突撃長「うぬ。今日は大きな魚が取れましたですじゃ」

姫「やたーっ! 魚魚ー!」

小さな家の中をぴょんぴょん跳ね回る姫。

突撃長「ほっほっ。姫様は魚が好きですじゃ?」

姫「好きっ!」

参謀長「いやはやご老体にこんな役目を押しつけて申し訳ない」

突撃長「ほっほっ。なんのなんの。まだまだこの老骨、黄金王国の最大戦力として活躍しますですじゃ。それに姫様のお守りのほうが大変そうですじゃ」

参謀長「はは……いや全く」

潜入長「それでは食事の準備をします。姫様も片付けお願いしますね」

姫「わかったっ!」

参謀長「やれやれ……」

630: 2012/06/04(月) 22:14:48.62 ID:ztKAXr4t0
18

--ジャングル--

潜入長「お待たせいたしました、ぶり大根です」

どん

潜入長はテーブルを埋めるほどの大きな皿を持ってきた。

ざわ

参謀長(あの魚ぶりだったか……?)

突撃長(ぴらるくとかそういう魚だとばっかり……ほっほっ)

姫「あれー? さっきのいるかはー?」

どんどん

フォークとナイフを握りしめて、テーブルを叩き続ける姫。

631: 2012/06/04(月) 22:15:15.13 ID:ztKAXr4t0
19

--ジャングル--

ほーほー

その夜。
みんなが寝静まった夜。

姫「むにゃむにゃもうお腹いっぱいだよぉ入らないよぉ……あっ……あったかい」

参謀長「大丈夫!? ねぇ大丈夫!? なんの夢みてんの!?」

がばっ!

寝言に起きて突っ込んでしまう参謀長。

トントン

参謀長(む)

そして戸を叩く音。

参謀長(……こんな時間に? 一体誰だ)

みんなを起こさないようにと静かに寝床を出て(大声で突っ込んだけど)、念のためにナイフを持って玄関へ。

がちゃ

そこには、

ごき「あ、どうもー、今日ー、貴方様にー、助けていただいたー、ゴキブリなんですけどもー、恩返しにー、来たんですよー」

参謀長「……」

人並み大のゴキブリがいた。

632: 2012/06/04(月) 22:15:41.81 ID:ztKAXr4t0
20

--ジャングル--

参謀長(てか最初に正体ばらしちゃってるしぃ……)

あまりの衝撃映像で逆に冷静になる参謀長。

ごき「そんでー、これからー、一族みんなでー、ご奉仕したいと思うんですよー、そう思ってー、みんなつれてきましたー」

ざわざわざわ!

真っ暗な中で見えないが、蠢く無数の何かが足元をすり抜け家に入っていった。

参謀長「」

ぞぞぞぞぞぞ!!

ごき「ふつつかー、ものですがー、よろしくお願いいたしますー」

参謀長「もう、こんな仕事、やってられるかー!!」

参謀長の嘆きがジャングルにこだまする。


       黄金王国戦略侵略記


ぴろりん

≪兵力増強≫
ゴキブリ三百体が仲間に加わった。



ちゃんちゃん

642: 2012/06/11(月) 21:33:29.45 ID:2rLwucN/0
21

--ジャングル--

姫「とゆわけで侵略を開始するよっ!」

突撃長「ほっほっ。何やら話が見えませんな」

潜入長「一体どういうことなんでしょうか」

参謀長「……いや姫様がね、なんか領土を広げたいとか言ってましてね」

姫「うんっ!」

突撃長「なんと……!いやはや立派になられて……じいは感激ですじゃ」

潜入長「それでこそ我が姫様……」

参謀長「あれれ!?」

643: 2012/06/11(月) 21:33:58.36 ID:2rLwucN/0
22

--ジャングル--

姫「おおっ! よくぞゆったお主達っ!じゃあさっそく侵略にかかるぞっ!」

突撃長「ほっほっ。わたくしは戦闘しか能が無いおいぼれですじゃ。まず作戦を考えねばですじゃ」

潜入長「私は偵察や諜報活動は得意ですが作戦がないと動けません」

じっ、と参謀長を見る三人。

参謀長「しょ、正気ですか!? 遊びでやっていいことじゃないんですよこれは!!」

突撃長「ほっほっ。なぁに。もしもの時は私が責任をとりますですじゃ」

参謀長(一人責任取るだけじゃおさまらないよ! 国際問題だよ! ……いや国とみなされてないから国際問題にもなりえないか)

644: 2012/06/11(月) 21:34:28.99 ID:2rLwucN/0
23

--ジャングル--

潜入長「三ヶ月前の戦争のせいで、今ゴタゴタしてますから案外いけるんじゃないでしょうか?」

参謀長(そんな時に侵略行為なんて、なおさら各国が怒りそうなもんですが……)

姫「大丈夫だよっ! 姫ちゃんがゆるすっ!」

参謀長「うぜぇ」

姫「今うざいってゆったっ!?」

姫の時だけ声に出ちゃった参謀長。

参謀長「はぁ……まぁ……言いだしたら止まらないですからね……仕方ない、少しだけ、ですよ」

参謀長は深いため息をついた。

645: 2012/06/11(月) 21:35:07.45 ID:2rLwucN/0
24

--ジャングル--

《作戦フェイズ》

参謀長「とりあえず国民が少なすぎます。地元住民の人達に理解を仰ぎ国民になってもらいましょうか。あと資金集め、そして何より食料」

突撃長「ほっほっ。ジャングルに住む彼らは安定した食料を欲していたように思いますですじゃ」

潜入長「ジャングルは結構食料が豊富ですが、その分リスキーですね。この間も知らない間に虫に刺されたのが原因で三日間丸々寝込むことになりましたし」

参謀長「ジャングルの中に踏みいらなくても手に入る食糧を我々で提供するのです」

姫「お、おいこらーっ! 姫ちんわからないぞっ! 姫ちんにもわかるように説明しろいっ!」

参謀長「え、今の会話の一体どこがわからないのか。あぁ言葉か」

姫「ばかにしたなっ!?」

646: 2012/06/11(月) 21:35:48.48 ID:2rLwucN/0
25

--ジャングル--

参謀長「いつも働きもせずに腹一杯飯を詰め込んでる姫にはわからないことですよねははは」

姫「ばかにしたなっ!? 姫は姫って職業なんだぞっ!? 無職じゃないぞっ!!」

参謀長(こいつめんどくせぇな。話が進まない……ん)

参謀長は立ち上がりたんぽぽ星人のぬいぐるみを持ちあげた。

参謀長「ほーらたんぽぽ星人だよー」

姫「わーいっ! たんぽぽ星人だーっ!」

参謀長は姫の頭の上で動かした後、窓の外に思いきり放り投げた。

しゅばっ!

すると姫もジャンプして窓の外へ。

参謀長「……うん。邪魔者はいなくなりました。さて……」

突撃長(姫様ェ……)

潜入長(バカワユ過ぎる!)

恍惚のヤンデレポーズ。

647: 2012/06/11(月) 21:37:27.91 ID:2rLwucN/0
26

--ジャングル--

参謀長「では私は黄金王国から持ってきたとされるこの作物を持って、地元住民を懐柔してきます」

突撃長「ふむふむ。果たして物で釣れますかな?」

参謀長「これを渡し作り方を教えます。最初はこれの重要性がわからないでしょうがすぐにわかるでしょう。そうすれば彼らは自分で土地を耕し始める……。何度も見に行きそのつど気に掛けてあげれば彼らは我々に行為をもつでしょう」

段々悪い顔になっていく参謀長。

潜入長「しかしこんなジャングルでも育つとはすごいですよねこれ。場所を選びませんね」

それは黄金に輝くトウモロコシ。

参謀長「えぇ、黄金王国の栄華の一端を担った究極の作物です。一粒食べればお腹がいっぱいになり、更に傷も治るという」

突撃長「それ以上いけない!」

突撃長が眼鏡をかけた。

648: 2012/06/11(月) 21:38:05.12 ID:2rLwucN/0
27

--ジャングル--

突撃長「しかし、それだけでこの王国に加わるでしょうかですじゃ。あちらにも王とか族長がいたですじゃ」

参謀長「まずはコミュニティ意識を芽生えさせるだけで充分ですよ。次のステップに行けば我らと組みたいと向こう側から言ってきます」

潜入長「で、今回我々の仕事は?」

参謀長「突撃長殿は……そうですね。この草とこのカエル、それとこのモンスターを狩って来て下さい」

参謀長は図鑑を指差す。

参謀長「潜入長さんは国境付近の状況を見てきてください。後出来たらでいいので、潜入してこのメモに書いてあることをチェックしてきてください」

メモを受け取る潜入長。

潜入長「出来たら……? ふふ……私を誰だと思っているんです……? 潜入と料理しか能が無い潜入長ですよ!? やったろうじゃないですか!!」

おっOいをぶるんと揺らし立ち上がる潜入長。

参謀長「それはどうなのか……」

649: 2012/06/11(月) 21:38:34.06 ID:2rLwucN/0
28

--ジャングル--

《実行フェイズ》

参謀長が地元住民に会いに行った。

地元住民「あ、村に入らない変な奴だ」

しかも警戒されている。

参謀長「今日はお話があってきました」

・・・
・・


地元住民に作物を与え、話をした。

地元住民「あいつ案外いいやつ?」

好感度が上昇し、地元住民と少し打ち解けた。

650: 2012/06/11(月) 21:39:05.19 ID:2rLwucN/0
29

--ジャングル--

突撃長「あそこですか」

洞穴の入り口でメモにかかれたものを発見。

モンスター「がおー」

突撃長「!」

モンスターが現れた。

ぐしゃり

奇襲されたのにもかかわらず突撃長の先生攻撃、ハンマーがうなる。

モンスター「ぷぎゃーー」

モンスターを倒した。

651: 2012/06/11(月) 21:39:38.15 ID:2rLwucN/0
30

--ジャングル--

姫「あれみんないなくなってるっ!」

泥だらけで姫が帰還した。

姫「むー……汚れてるからとりあえずお風呂はいる」

姫はたんぽぽ星人を引きずり風呂場へ。

たんぽぽ星人「よさないか姫。我は洗わなくていいといったら何度言えばわかる」

姫「えー? 一緒にながしっこしようよー。わたし一人だと髪の毛洗えないし」

たんぽぽ星人「怖いのか?後ろが」

こくんとうなずく姫。

たんぽぽ星人「やれやれ……その歳にもなって情けない」

652: 2012/06/11(月) 21:40:06.77 ID:2rLwucN/0
31

--ジャングル--

姫「だってだってーっ!」

たんぽぽ星人「煩い騒ぐな。……仕方ない。今回だけだぞ」

姫「やほーいっ!」

参謀長「……………………」

その様子をじっと家の外から眺めていた参謀長。

参謀長「……今あいつ喋ってなかった? しかもめっちゃダンディーな声で……」

653: 2012/06/11(月) 21:40:34.71 ID:2rLwucN/0
32

--ジャングル--

姫「ふにゃー!さっぱりー!」

ろくに拭きもせずびしょびしょのまま出てくる姫。

ぴちゃぴちゃ

参謀長「あぁもう姫、濡れたまま出てくるのはやめなさいとあれほど」

ぼふっ

参謀長は大きめのバスタオルを取り出して姫の顔にかけた。

姫「えへへー」

たんぽぽ星人「おい姫、風呂桶にちゃんと蓋をしろと」

ばったり

654: 2012/06/11(月) 21:41:03.25 ID:2rLwucN/0
33

--ジャングル--

参謀長「……」

たんぽぽ星人「……」

姫「あはー、ごめんねーっ!」

ごしごし

姫は自分の髪の毛を拭いている。

参謀長「……」

たんぽぽ星人「……」

ぱたり

たんぽぽ星人は床に倒れこみ動かなくなった。

655: 2012/06/11(月) 21:41:40.26 ID:2rLwucN/0
34

--ジャングル--

参謀長「……姫、今こいつ喋って」

姫「? そりゃ喋るよー? たんぽぽ星人だもん」

参謀長「……今こいつ動いて」

姫「? そりゃ動くよー? たんぽぽ星人だもん」

たんぽぽ星人「……」

参謀長「……」

沈黙。

姫「♪」

姫は我関せずと、わしわし髪の毛を拭いている。

656: 2012/06/11(月) 21:42:06.15 ID:2rLwucN/0
35

--ジャングル--

参謀長(いやいや……これぬいぐるみだろ? ぬいぐるみじゃないの? だってこの前こいつの中に潜入長入ってたし。裂けた中身綿だったし……)

たんぽぽ星人「……」

ふぁさっ

参謀長は考えに考えた結果、靴下を脱ぎ、たんぽぽ星人の顔においた。

たんぽぽ星人「……ぬごっ!?」

参謀長(ぬごって言った……)

説明しよう、参謀長の足は兵器レベルで臭かったのだ。

参謀長(水虫も完備してます)

657: 2012/06/11(月) 21:42:35.59 ID:2rLwucN/0
36

--ジャングル--

たんぽぽ星人「……すっ」

参謀長「……」

たんぽぽ星人「……げへっ!……」

参謀長「……」

たんぽぽ星人「……」

参謀長「……」

たんぽぽ星人「……た」

参謀長「……」

たんぽぽ星人「耐えられるかぁ!!」

べちーん!

靴下を参謀長の顔に投げ付けるたんぽぽ星人。

658: 2012/06/11(月) 21:43:02.56 ID:2rLwucN/0
37

--ジャングル--

たんぽぽ星人「きっ、貴様!! 臭いにもほどがあるぞ! なんだそれは! 足にシュールストレミングでも飼っているのか!?」

参謀長「はははおもしろい言い回しだ。やっと口をきいていただけましたね」

たんぽぽ星人「はっ!?」

姫「♪」

ベッドの上で足をぱたぱたさせながら髪の毛を拭いている姫。

たんぽぽ星人「……」

参謀長「……」

たんぽぽ星人「……」

参謀長「……」

ぱたっ

氏んだふりをするたんぽぽ星人。

参謀長「焼くぞぬいぐるみ!」

659: 2012/06/11(月) 21:43:28.60 ID:2rLwucN/0
38

--ジャングル--

参謀長「成る程……まさかモンスターだったとは」

たんぽぽ星人「我は代々黄金王国の王家に支えし、誉れ高き戦士だ」

参謀長(たんぽぽ顔に人っぽい体がついたぬいぐるみにしか見えない)

たんぽぽ星人「今までは特殊な立ち位置ゆえ、皆には内緒にしていたのだがな、ばれてしまってはしかたない」

参謀長(めっちゃダンディーボイス……)

たんぽぽ星人「遂に姫がかつての領土を取り戻そうと決起したのだ。我も力を貸そう」

参謀長「……失礼ですが何が出来るんで?」

たんぽぽ星人「なんだとっ!?我の伝説を知らないのか!?」

姫「黄金の王国、黄金の作物を刈り取り、黄金の兵を従え、黄金の時代を築きたり」

参謀長「……黄金の兵?」

660: 2012/06/11(月) 21:44:06.37 ID:2rLwucN/0
39

--ジャングル--

たんぽぽ星人「いかにも。我は水と太陽光と栄養があれば無限に増える」

参謀長「!?」

たんぽぽ星人「兵力など我一人で補えるのだ。これこそ王家を護る守護獣の力よ」

参謀長(それが本当なら領土奪還もかなり現実身をおびてくるぜ……)

ばたん

突撃長「今帰りましたですじゃ。今日はでかいいのししですじゃ」

姫「ひゃっほー!」

参謀長「あ、おかえりなさい。と、今日は食事を潜入長がいなから自分が作らないと」

姫「私も手伝うーっ!」

たんぽぽ星人「待ちな」

たんぽぽ星人は声をかける。

たんぽぽ星人「我が一体どれだけ優秀なのか教えてやる。今日は我が料理しよう」

姫「たんぽぽ星人がっ!? いぇーいっ!」

参謀長(まがりなりにも守護獣が料理……)

661: 2012/06/11(月) 21:45:17.05 ID:2rLwucN/0
40

--ジャングル--

どすん

たんぽぽ星人「出来たぞ。さぁ食べてくだちい」

参謀長「ガンツ!?」

突撃長「ほっほっ。猪と言えば鍋ですじゃ」

ぐつぐつ

姫「わーい猪鍋だーっ!」

たんぽぽ星人「ふん。やたら目やにが多くて困ったぜこのイノシシ」

参謀長(この蒸し暑いジャングルで鍋……)



その夜。

参謀長(ん……なんか寝苦しいな……)

もそり

目を開ける参謀長。そこには、

もぞもぞ

月明かりを浴び、びくびくと体を痙攣させるたんぽぽ星人が。

参謀長(……一体何が?)

たんぽぽ星人「ぬぅ、にゅうぅぅ……ふぐりっ!」

にゅるん

たんぽぽ星人の背中が裂け、中からもう一人(?)のたんぽぽ星人があらわれた。

たんぽぽ星人「「ふぅ……分裂完了だぁ」」

参謀長「……」


ぴろりん

≪兵力増強≫
たんぽぽ星人二体?が仲間に加わった。



ちゃんちゃん

668: 2012/06/18(月) 23:44:24.58 ID:6FeAP96A0
41

--ジャングル--

姫「むにゃむにゃ」

眼も開いてない姫はパジャマ姿でテーブルに現れた。

姫「おあよ~」

突撃長「おはようございますですじゃ姫様」

参謀長「おはようございます。早く顔を洗って席ついてください」

姫「あい」

姫はふらふらと下水場に向かった。

参謀長「……なんだって!?」

まさに地の文の反乱である。

669: 2012/06/18(月) 23:44:52.92 ID:6FeAP96A0
42

--ジャングル--

参謀長「そんなものに反乱起こされたらたまったもんじゃねぇ!!」

参謀長は今真っ裸である。

参謀長「うぉい!」

参謀長はおもむろに突撃長の上着に手を掛けた。

突撃長「あっ」

参謀長「のるなのるな!!」

参謀長は突撃長の勇ましい胸板にそっと指を這わせる。そして胸毛をわしゃわしゃと

参謀長「ぎゃー!!」

姫「な、何をやっているんだっ……!?」

670: 2012/06/18(月) 23:45:26.14 ID:6FeAP96A0
43

--ジャングル--

そこにカイリキーも裸足で逃げ出すほどのたくましいボディの姫が現れた。

姫「にゃっ!?」

参謀長「いかん!逃げろ姫!」

姫「な、何が起こっているのっ!? わ、わたし、まっちょ!」

顔を膨らまし胸を突き出す姫。

参謀長「やめろ実際のあんたは華奢なままだ」

姫「ぷー」

そこに颯爽とあらわれたのはクールでダンディーな一匹狼、

たんぽぽ星人「騒がしいじゃねぇか。一体どうした?」

参謀長「!……?」

671: 2012/06/18(月) 23:47:11.08 ID:6FeAP96A0
44

--ジャングル--

たんぽぽ星人が歩いた後には花が咲き、たんぽぽ星人が発する美声は、まるで天使の歌声のようだった。

突撃長「ほっほっ。カオスですじゃ」

姫「あったんぽぽ星人! 助けてっ! わたしまっちょになったのっ!」

膨れてみる姫。

たんぽぽ星人「……なんも変わらねぇじゃねぇか」

参謀長「……」

たんぽぽ星人のあまりのワイルドさに、姫はいきなりぞっこんラブ。メロメロフォーリンラブだった。

参謀長「狂い始めた!」

672: 2012/06/18(月) 23:48:10.41 ID:6FeAP96A0
45

--ジャングル--

姫「はぅぅ! わ、わたしたんぽぽ星人のこと好きっ!」

だきっ

たんぽぽ星人「やめろこんなところで……恥ずかしいじゃねぇか」

cv松山○志。

参謀長「……」

そして突撃長は一人の男として参謀長を愛していた。

突撃長「はぅぅ! わ、わたし参謀長のこと好きっ!」

ダキっ

参謀長「ぎゃあああああ!!」

はははっ。

参謀長「!」

673: 2012/06/18(月) 23:48:45.46 ID:6FeAP96A0
46

--ジャングル--

姫「たんぽぽたんぽぽ~っ!」

こうして四人は仲良く暮らしましたとさ。

参謀長「……」

突撃長「参謀長殿?」

参謀長「……しかしまったくもってたんぽぽ星人はバカだなぁ」

たんぽぽ星人「!?……」

たんぽぽ星人はバカではない。むしろ超がつくほどの天才だ。一説では東大を受験したこともあるとか。

参謀長「受かってはいないのかよ……色も汚れててうOこみたいだし」

たんぽぽ星人「!」

そんなことない!たんぽぽ星人はまばゆいばかりの光を放つ黄金そのものだった。その輝きは太陽すら霞むと民衆の間ではもっぱらの噂で

参謀長「不細工だし」

たんぽぽ星人「不細工じゃねぇよ!」

不細工じゃねぇよ!

674: 2012/06/18(月) 23:51:05.53 ID:6FeAP96A0
47

--ジャングル--

姫「! あれ?」

突撃長「今、被りましたな?」

たんぽぽ星人「!! しまっ」

参謀長「しっぽをだしやがったなくそたんぽぽ……」

目が光る参謀長。

たんぽぽ星人「……」

どごっ!

さばっ……参謀長の顔面パンチ。
ミス、たんぽぽ星人はダメージを受けなかった。

参謀長「めっちゃふるふる震えてるやん!」

675: 2012/06/18(月) 23:51:53.53 ID:6FeAP96A0
48

--ジャングル--

たんぽぽ星人「わ、我は無敵」

参謀長「……」

がすっ!

あっ!膝げり痛いっ!……ミス、たんぽぽ星人はダメージを受けなかった。
げほっ

参謀長「……」

ごしっ!

いってっ!!……た、たんぽぽ星人は歯を食い縛って耐えた……うっ。

どがっばぎっ!!

たんぽぽ星人「鬼かっ!?」

ぼこぼこになったたんぽぽ星人は号泣している。

参謀長「戻ったか……」

676: 2012/06/18(月) 23:52:25.57 ID:6FeAP96A0
49

--ジャングル--

参謀長「地の文をある程度操作する魔法!?」

たんぽぽ星人「うむ」

突撃長「ほっほっ。それはまた……」

姫「すごいすごーいっ!!」

参謀長「つええってもんじゃないけど、実際地の文と同じように変化させられるわけじゃないからなぁ」

たんぽぽ星人「頑張れば出来る」

参謀長「やべぇ!!」

突撃長「……え?しかしこれマジ話なんですかな?」

参謀長「……ん」

突撃長「地の文をいじるって、まるで文章の世界に生きているようですじゃよ?」

たんぽぽ星人「……」

参謀長「……」

姫「……?」

突撃長「……」

677: 2012/06/18(月) 23:53:32.10 ID:6FeAP96A0
50

--ジャングル--

がばっ!

参謀長「はっ! ……夢だったか……」

まさかの寝オチである。

たんぽぽ星人「……ニヤ」

678: 2012/06/18(月) 23:54:05.77 ID:6FeAP96A0
51

--ジャングル--

《作戦フェイズ》

参謀長「飯食ってここまでくるのになんでこんなに時間かかるのか……」

姫「病気だねーっ!」

参謀長「さてもう面倒だし姫ちゃんはおうちの外で遊んでこよー……ねっ!」

参謀長は目の前で骨をくるくると回した後、窓の外に思い切り放り投げた。

しゅばっ!

姫「わんっわんっ!!」

勢いよく飛び出す姫。

参謀長「……」

突撃長「国家元首ェ……」

679: 2012/06/18(月) 23:55:24.57 ID:6FeAP96A0
52

--ジャングル--

参謀長「じゃあ、前回突撃長さんにとってきてもらったものを調合した、これを持っていってきますかね」

突撃長「? 何を作ったのですじゃ?」

参謀長「内緒です。今回は突撃長さんは姫の護衛をお願いします。家の中でゆったりしてください」

突撃長「!? 今あなた外に放牧したよね!?」

参謀長「ちゃんとうんちは回収してくださいね」

突撃長「国家元首ェ!!」

680: 2012/06/18(月) 23:55:56.87 ID:6FeAP96A0
53

--ジャングル、上流--

参謀長は川の上流に向かい、誰もいないことを見計らうと、そっとそれを川に流した。

ぱしゃしゃっ

参謀長「……」

参謀長はにやりと笑った。

681: 2012/06/18(月) 23:56:32.68 ID:6FeAP96A0
54

--ジャングル--

姫「姫はわんわん好きだおっ! わんわんお! わんわんお! うまいっ!?」

骨をくわえてジャングルを駆け回る一国の姫。

突撃長「ほっほっ。お上手ですじゃ……! 姫様!」

突撃長はハンマーを構え、姫に駆け寄った。

姫「ほえ?」

がさがさ

狼「がるる」

狼が出現し姫に襲いかかった。

682: 2012/06/18(月) 23:58:05.11 ID:6FeAP96A0
55

--ジャングル--

《戦闘フェイズ》

条件・姫を無傷で助けろ

突撃長「やってやりますですじゃー!」

狼「がるる」

狼の攻撃。

がしゅ

姫に10ダメージ。

突撃長「早くもぎゃー!」

条件失敗

突撃長の攻撃。

ぐしゃ!

狼に230のダメージ。狼は生き絶えた。

683: 2012/06/18(月) 23:58:40.86 ID:6FeAP96A0
56

--ジャングル--

突撃長「姫様! じいがついていながら……申し訳ございませんですじゃ!」

姫「痛いんだおっ!」

姫の左腕にくっきりと歯形が。

突撃長「とりあえず応急措置を」

がさがさ

突撃長「!? またモンスターか!」

?「もきゅ~……」

??「お腹減っちゃったもきゅ~……」

???「何か食べるものないかもきゅ~」

もきゅもきゅ言ってる生物が二人の前に現れた。
姫「何これ可愛いっ!」

?「もきゅっ!? に、人間もきゅっ!」

??「に、逃げるもきゅ……」

???「もうそんなエネルギー、ないもきゅ……」

ばたり

突撃長「……」

姫「突撃長っ! これ持って帰るっ!!」

突撃長「ええっ!?」

684: 2012/06/19(火) 00:00:38.55 ID:evs1efE70
57

--ジャングル--

参謀長(症状が出るのは二日後くらいか)

参謀長が家に帰ると、

かかかかかかっ

?「もきゅぷはっ! このご飯おいしいもきゅ!」

??「どこのもこもことも知らぬ僕たちにここまで……感謝してもしたりないもきゅ!」

???「姫ちゃん大好きもーきゅっ!」

姫「えへへへーっ!」

姫は満面の笑みでご飯をかっこむもこもこ達を撫でている。

参謀長「……」

突撃長「あ、お帰りなさいですじゃ。今夕飯の支度をしてるですじゃ。少し待っててですじゃ」

参謀長「あ、はい。それはいいんですが……これは一体」

たんぽぽ星人「……姫が連れてきちまったらしい。全くペットはダメだって言ったのによ」

685: 2012/06/19(火) 00:01:39.49 ID:evs1efE70
58

--ジャングル--

?「もこもこ達はペットじゃないもきゅ!」

??「この星の頂点に立っていた偉大なる種族、もこもこだもきゅ!」

???「家畜やペット等と一緒にしてもらっちゃこま、ふもきゅう~」

姫に抱っこされて癒され顔のもこもこ。

姫「ふあぁ、めちゃめちゃ可愛い~っ」

?、??、???「「「もっきゅきゅ~」」」

参謀長「……とりあえず人語を介しているからモンスターだな」

686: 2012/06/19(火) 00:02:08.33 ID:evs1efE70
59

--ジャングル--

食後。

姫「ばばばば~んっ! それでは名前を発表しますっ! 右からもこいちっ!」

?改めもこいち「もきゅ!」

姫「もこじっ!」

??改めもこじ「もきゅす!」

姫「もこぞうっ!」

???改めもこぞう「もきゅぷしっ!」

姫「そんなわけなのさっ!」

すぱかーん

スリッパで姫の頭を叩く参謀長。

姫「なんでぶったのっ!?」

参謀長「こんなペット拾ってきてどうするんですか! 何の役にも立たないどころかこの家のスペースがいっぱいになるでしょ!」

もこいち「姫ちゃんに暴力するなもきゅーっ!」

もこじ「このDV夫もきゅーっ!」

もこぞう「僕たち役立たずじゃないもきゅっ!」

参謀長「誰が夫だ誰が……そんなメリープみたいなフォルムで何か役に立てるのか?」

もこいち「ばかにすんなもきゅ! もこもこ達は有能なんだもきゅ! その力を今夜見せてやるもきゅ!」

参謀長「夜?何、エOチなことでもすんの?」

687: 2012/06/19(火) 00:03:03.21 ID:evs1efE70
60

--ジャングル--

その夜。

もこいち「もこもこが一匹!」

ほわん

もこいちが姫の顔の上を飛ぶ。

もこじ「もこもこが二匹っ!」

ほわん

もこじが姫の顔の上を飛ぶ。

もこぞう「もこもこが三匹っ!」

ほわん

もこぞうが姫の顔の上を飛ぶ。

姫「くーっ、くーっ」

参謀長「……」

もこいちボソボソ「どうもきゅ? 僕たちにかかればどんな不眠症なあなたでもたちまちぐっすり」

もこじボソボソ「素敵な睡眠生活をお届けもきゅ」

もこぞうボソボソ「この役立ちレベル、半端ないもきゅ」

姫を起こさないように小声でもきゅもきゅ喋るもこもこ。

参謀長「……まぁ」

最悪非常食にすればいいか。参謀長はそう自分を納得させた。

ぴろりん

≪兵力増強≫
もこもこ三体が仲間に加わった。



ちゃんちゃん

699: 2012/06/26(火) 00:46:58.07 ID:hrEg79a70
61

--西の王国国境--

潜入長(それ見たことですか。国境の壁の中への潜入などお茶のこさいさいです)

数日の間内部を調べていた潜入長は最後の任務に当たろうとしていた。

潜入長(……三強クラスの実力を調べよ……か。確かにこれは難しい)

三強が戦うところを見るか、三強と戦わなくてはならないということ。

潜入長(今は西の王国ですから、三本角、ですよね。変化師、槍兵、それとろくに情報が開示されていない機械の兵隊……)

ざり

潜入長(!気配!)

西の見回り「ん? そこに誰かいるのか?」

西の見回りは蝋燭をこちらに向ける。潜入長は物陰に身を隠した。

700: 2012/06/26(火) 00:47:45.42 ID:hrEg79a70
62

--西の王国国境--

西の見回り「……」

かつんかつん

潜入長(……さてどうしましょうか。騒ぎを起こして三強を呼び寄せるというのもありなんですが、問題なのは私一人では三強を相手取れない……)

かつんかつん

潜入長(……暗頃しますか)

潜入長はポケットから鼠を一匹放つ。

鼠「ちゅーちゅー」

西の見回り「なんだ、鼠か」

701: 2012/06/26(火) 00:48:20.32 ID:hrEg79a70
63

--西の王国国境--

潜入長「……」

西の見回り「……一応確認しておくか」

潜入長(!)

西の見回りは足を止めなかった。

潜入長(仕方ない……スキル、インビジボォ)

ジジ

西の見回り「……やっぱり誰もいないか」

潜入長の姿は完全に消えていて見回りの目には映らない。

潜入長「……」

702: 2012/06/26(火) 00:48:51.97 ID:hrEg79a70
64

--西の王国国境--

くる

西の見回りが後ろを向いた瞬間、

がぎっ

西の見回り「!?」

潜入長は見回りの両腕を捻あげ、首に腕を回し、絞める。

ぎぎぎ

西の見回り「が、ががっ」

ぎりぎりぎり

西の見回り「ぎひゅ……」

がくん

703: 2012/06/26(火) 00:49:29.08 ID:hrEg79a70
65

--西の王国国境--

潜入長「……ふぅ」

潜入長は見回りを床に下ろし衣服を奪った。

潜入長(もう少し、接近してみますか)

潜入長は見回りの服を着る。

潜入長「とっ」

潜入長はのびた見回りに手をやる。

潜入長(このままではすぐに気づかれますね。スキル、インビジボォ)

ジジ

スキルを見回りにかけると、すぐさま姿が見えなくなる。

潜入長(よし)

立ち上がった潜入長。

潜入長(あ……精神に潜入すればよかった……)

704: 2012/06/26(火) 00:49:55.63 ID:hrEg79a70
66

--西の王国国境--

かつんかつん

すれ違う兵と潜入長。

潜入長(制服のデザインに違いはない……見回りなんかじゃなくて三強の部隊に潜りこむことはできるかしら)

かつんかつん

潜入長(いや……戦闘部隊が互いに互いを知らないわけがない)

かつんかつん

潜入長(まて……鎧をつけていればわからないか……?そんな実習があればいいが)

その時、

かつんかつん

潜入長(ん、また兵か……!)

705: 2012/06/26(火) 00:50:26.97 ID:hrEg79a70
67

--西の王国国境--

槍兵「ふぁぁあ」

あくびをしながら角を曲がってきたのは、

潜入長(西の三本角、槍兵!!)

目標とする三強だった。

どっどっどっどっ

潜入長(あ、慌てちゃいけない、殺気も抱いちゃだめだ、すぐに感付かれる……自然に)

槍兵「ん?」

潜入長「お勤めご苦労様であります!」

道を開け、直立不動で敬礼をする。

706: 2012/06/26(火) 00:51:06.80 ID:hrEg79a70
68

--西の王国国境--

槍兵「おぉ」

かつんかつん

槍兵が潜入長の前を過ぎていく。

潜入長(!! 槍を、持っていない)

それは当然のことと言えた。この狭い城内で槍は邪魔なだけ。普段から持ち歩いているはずがないのだ。

どっどっどっどっ

潜入長(槍がない、のならいくら三強でも倒せるのではないでしょうか……)

どっどっどっどっ

心臓の鼓動が高まる。

707: 2012/06/26(火) 00:51:49.80 ID:hrEg79a70
69

--西の王国国境--

潜入長(はっ、駄目、今倒しても意味がない。心を沈めないと)

槍兵「……」

潜入長「ッ!?」

歩き去ったと思われた槍兵は、振り返ってじっと潜入長を見ていた。

槍兵(今……微弱だが殺気を感じたぞ?心拍数も上がった)

槍兵の感知能力。

潜入長(まずいっ)

槍兵「……なぁお前、どこの部隊のもんだ?」

槍兵は踵を返した。

708: 2012/06/26(火) 00:52:19.07 ID:hrEg79a70
70

--西の王国国境--

かつん、かつん

潜入長(まずい! 気付かれましたか!?)

槍兵「……」

潜入長(獲物を持っていないんですからいざとなれば実力行使も……)

潜入長ははやる心を沈める。

潜入長「私は国境警備隊城壁内部所属、見回り兵であります!」

槍兵「っと」

潜入長があまりにはっきりと言い切ったため、槍兵は鳩が豆でっぽうをくらったような顔になる。

槍兵(ん……)

槍兵は顎に手をあて、

槍兵「そっか。だがお前、なんで今俺に殺気を向けた?」

709: 2012/06/26(火) 00:52:59.66 ID:hrEg79a70
71

--西の王国国境--

潜入長(やはりばれているか……!)

槍兵の質問という槍が潜入長の喉元に。

潜入長(……どうすれば切り抜けられる? ……この人はジョークが通じるのか……?)「それは……私が……私が狙っているのは……槍兵様だからです」

槍兵「! ……俺を狙う……だと?」

槍兵はまたも予想にしない返答で困惑している。

潜入長「お、恐れ多いことですが、わ、私の狙いは……この国の三強になることです!」

槍兵「! ……ほぉ……あぁそういうことか」

槍兵はなるほどなんて言いながらうれしそうな口角をあげ、獣のような目付きにかわる。

槍兵「お前、俺の場所を狙ってるのか。たかが見回りの分際で」

潜入長「は、はい!」

710: 2012/06/26(火) 00:53:27.51 ID:hrEg79a70
72

--西の王国国境--

槍兵「それで殺気を……? ふん、おもしれぇ」

槍兵はクックッと笑う。

槍兵「頃したいほど俺が邪魔で、頃してでもこの座を奪い取ろう、ってか」



潜入長「!!」

滲み出る槍兵の魔力。
量そのものは大したことは無い、だが修練の厚みを感じる。

潜入長(ぐ!! ……ば、馬鹿だった、勝てない……槍が無くとも……勝てない)

槍兵「どうだ、手合わせでもしてみるか?」

711: 2012/06/26(火) 00:53:55.59 ID:hrEg79a70
73

--西の王国国境--

潜入長(とんでもない……! 私は考えが甘かった……! 仮にもこの人はこの歳で国の三強なんだ……!)

潜入長は目を合わすことすら出来ない。

潜入長「……い、いえ、やめておきます」

槍兵「ふぅん、実力の程はわかるみたいだな。まぁいいや気に入った。いいぜ、いつでも頃しにこいよ」

槍兵は上機嫌になり、潜入長の背中を叩く。

ばんっ!

潜入長(いたっ)

槍兵「ん? なんだ男のわりに線が細いと思ったら女か?」

潜入長「は、はい」

槍兵「ふーん……まぁいいや、飯でも食いにいこうぜ」

712: 2012/06/26(火) 00:54:42.70 ID:hrEg79a70
74

--西の王国国境--

潜入長「は、はい……はい?」

槍兵「あ? 飯だよ飯」

予想外の言葉に今度は潜入長が困惑する。

潜入長「え、え? い、いやでも私は仕事もありますし」

槍兵「だーいじょぶだって、俺がなんとかすっから。つれがいないと飯も美味くないし」

がしっ

潜入長「……え、ええぇえぇぇー!?」

ずるずるずる

連れていかれる潜入長。

713: 2012/06/26(火) 00:55:21.23 ID:hrEg79a70
75

--ジャングル--

姫「きゃっきゃっ!」

もこいち「もっきゅもっきゅ!」

姫ともこもこ達はくんずほぐれつ遊んでいる。

突撃長「ほっほっ。賑やかになってきましたな」

たんぽぽ星人「あぁ……うるさいペット共だ、犬小屋が欲しいぜ……」

お茶してる二人(?)。

参謀長(お前もその小屋入れよ)

714: 2012/06/26(火) 00:55:47.92 ID:hrEg79a70
76

--ジャングル--

だんだんっ!

その時家のドアが叩かれる。

突撃長「はいはいどちらさまですじゃ?」

ぎぃ

参謀長(きたか)

黒肌の青年「サンボウはいるか!」

息を荒くして青年は参謀長を呼んだ。

参謀長「……ん? どうしたんだ青年」

黒肌の青年「む、村のみんなの調子がおかしいんだ! たくさんのみんなが、苦しみ始めた!」

715: 2012/06/26(火) 00:56:14.02 ID:hrEg79a70
77

--ジャングル--

参謀長「なんだって」

参謀長は立ち上がる。

黒肌の青年「たのむ、お前知識ある。力を貸してくれ……」

ばっ!

青年は腰を低くして頭を下げた。

参謀長「……わかった、すぐにいく」

参謀長は道具をカバンに次々と放り込む。

参謀長「突撃長さん、あとお願いします」

突撃長「あ、あぁ了解しましたですじゃ」

バタン

たんぽぽ星人「ひどい慌てようだったな……」

突撃長(……ろくに症状も聞かずに……?)

姫「きゃっきゃっ」

もこじ「もきゅう!」

716: 2012/06/26(火) 00:57:00.60 ID:hrEg79a70
78

--ジャングル--

参謀長「……」

黒肌の青年「ど、どうだ?」

参謀長はうなされている十二人の子供と六人の大人を順に見て回った。

参謀長「嘔吐、発熱、痙攣……それと肌が若干赤く変色している……」

黒肌の青年「サンボウ! なんとかなりそうか?」

参謀長「際どいところだな……これはあるモンスターの毒だな」

黒肌の青年「モンスターの……!? 嘘だ、こんな症状みたことがないぞ!! 俺達このジャングルの全部知ってる!!」

参謀長「それはおごりだ青年。こいつは普段地中にいるんだ。それが数百年に一度だけ地表に姿を表す奇妙なモンスター、見たことがなくても当たり前だ」

黒肌の青年「! ……サンボウは見たことあるのか?」

参謀長「あぁ。違う土地に行った時に見た。そして俺も毒にあてられた」

717: 2012/06/26(火) 00:57:54.49 ID:hrEg79a70
79

--ジャングル--

黒肌の青年「さ、サンボウは今生きてる! ならみんなも治るのか!?」

黒肌の青年は額に汗をにじませ、必氏の表情で参謀長を見ている。

参謀長「あぁ毒さえなんとかすればな。青年、この間与えた作物はどうしている?」

黒肌の青年「さ、作物は、育てている! 土に入れたらあっという間に増えた!」

参謀長「よし、五本ばかり抜いてこい。そっちのあんたは川の水をくんできてくれ」

黒肌のおばさん「わ、わかったわ」

参謀長は手際よく指示を出していく。

参謀長「--! --!」

スッ

黒肌の刺青「……」

全身に刺青を彫った男が、ただじっと参謀長を見ていた。

718: 2012/06/26(火) 00:59:03.05 ID:hrEg79a70
80

--ジャングル--

ぐつぐつ

参謀長は黄金もろこしを材料にコーンスープを作っている。

黒肌の青年「しっかり! しっかりするんだみんなっ! サンボウ! まだなのか!?」

参謀長「ん……よし、みんなにこれを少しずつ飲ませてやってくれ」

黒肌の青年「あちっ!? ……熱い水……?」

参謀長「火傷しないようにゆっくりとな」

黒肌のおばさん「? わ、わかった!」

参謀長は病人達がコーンスープを飲むところを見ている。

参謀長(やれやれ……これで一段落か)

724: 2012/07/02(月) 23:13:57.80 ID:Wl36NQv60
81

--ジャングル--

次の日。

黒肌の青年「やった! やったよサンボウ! みんな元気になった!」

参謀長「よかった……俺も嬉しいよ青年」

黒肌のおばさん「ありがとう、ありがとうサンボウ!」

おばさんは泣きながら参謀長の手を握る。

参謀長「出来ることをしたまでだ。あとみんなもあれを飲んでくれ。お前達も知らないうちに毒を吸っているかもしれないだろ?それに栄養だっていい」

黒肌の青年「わかった!みんな飲もう! 作り方を教えてくれサンボウ!」

わいわいきゃっきゃっ

黒肌の刺青「……」

刺青の男が参謀長を遠くから睨み付けている。

黒肌の刺青(おかしい……なにかおかしい。あの男、なにかあやしい)

725: 2012/07/02(月) 23:14:32.71 ID:Wl36NQv60
82

--ジャングル--

参謀長「ただいま戻りました」

突撃長「あ、お帰りなさいですじゃ。もうすぐご飯できますですじゃ」

参謀長「なぜに裸エプロンなんですか……」

老いてなお逞しいけつっぷりである。

突撃長「いや、姫さまが裸エプロンをご所望されましてな」

参謀長(どんな需要があるんだどんな)

そういいつつ、そのゴツゴツした傷だらけの背中から目を話せない。

たんぽぽ星人「おい……」

726: 2012/07/02(月) 23:15:02.35 ID:Wl36NQv60
83

--ジャングル--

姫「わーいっ! キラーキャット鍋だーっ!」

参謀長「! このジャングルの中でもかなり強いモンスターじゃないですか。たしか立って近づくものを全て切り裂くという……一体誰が」

もこいち「僕達もきゅ」

もこもこ達はとことこと歩いて姫の足元に。

参謀長「……は?」

あからさまに、ねぇよ、って表情を作る。

もこじ「本当もきゅ。この程度なんらわけないもきゅ」

もこぞう「所詮僕らの劣化コピーもきゅ」

参謀長(何言ってんだこいつら)

727: 2012/07/02(月) 23:15:46.61 ID:Wl36NQv60
84

--ジャングル--

ごきぶり長「参謀長様参謀長様」

かさかさかさ

参謀長「ひぃっ!? びっくりした! なんだ黒き長」

ごきぶり長「驚かしてすまないごき。ただ例の練習の成果を見てもらいたいごき」

参謀長「あぁ、なるほど。わかった」

ごきぶり長「それから、うちの若いのが言うにはこのジャングルに余所者が10くらい入ってきたらしいごき」

参謀長「……それは気になるな。そいつらをちゃんとマークさせておいてくれ」

ごきぶり長「了解ごき。大恩ある参謀長様の望みとあらば。では我らの特訓の成果を見て頂きたいごき」

参謀長「あぁ」

家の外に向かう参謀長。

参謀長(潜入長はしっかりやっているんでしょうか。無事に帰ってきて下さいよ)

728: 2012/07/02(月) 23:16:15.89 ID:Wl36NQv60
85

--西の王国国境--

槍兵「おらーもっと飲めやー!」

潜入長「うぶ、私あまりお酒強くないんで……」

729: 2012/07/02(月) 23:16:44.67 ID:Wl36NQv60
86

--ジャングル--

がさがさ

?「うーん……これめっちゃ道間違えてるよなぁ……」

??「多分……バジリスクを使えれば空から場所を確認できるのですが、今魔力が……」

小さな子供達を真ん中に集め、挟むようにして会話する二人。

緑毛の子供「ここ……怖いよぉ」

犬耳の子供「きゃうぅ……」

730: 2012/07/02(月) 23:17:24.06 ID:Wl36NQv60
87

--ジャングル--

??「ごめんね。もう少しだけ我慢してね。もうすぐなんとかなるからね」

?「ち……ジャングルに入れば追っ手をまけると思ったが……ちと軽はずみだったなぁ」

ボリボリと頭をかく男。

がさがさ

きーきー

?「!……」

きょきょきょきょきょ

??「……何が潜んでいるかわからない……ジャングルは……怖いですね」

731: 2012/07/02(月) 23:17:55.65 ID:Wl36NQv60
88

--ジャングル--

朝。

姫「姫ちゃんなう!」

参謀長「うるせえとってこい!」

ブン!

参謀長は骨を窓の外に放り投げる。

姫「わんわん!」

姫は窓から骨を追って飛び出していった。

たんぽぽ星人「ふぅ……姫の扱われ方が不憫でならないぜ」

参謀長「それでは作戦フェイズに移行する」

732: 2012/07/02(月) 23:18:26.45 ID:Wl36NQv60
89

--ジャングル--

参謀長「まず今回の目的はずばり、原住民を我が王国に加入させることです」

突撃長「ふむ……しかしそう簡単にいきますかな」

参謀長「四日前に私達が力を貸して以来、彼らは友好的です。少なくとも悪く思ってはいない。後は理由さえ作ればいい」

突撃長「理由……?」

参謀長「私達が必要不可欠な存在なんだと思わせるような」

たんぽぽ星人(こいつ……)

参謀長「既に手は打ってあります。後は」

だんだん!

その時、ドアが強く叩かれた。

733: 2012/07/02(月) 23:18:58.39 ID:Wl36NQv60
90

--ジャングル--

黒肌の青年「サンボウ! サンボウ!」

がちゃり

参謀長「どうした青年、そんなに慌てて」

ドアの向こうには息を切らした青年がいた。

黒肌の青年「はっ、はっ……! あ、悪魔が!悪魔があらわれたんだ! 俺達に力を貸してほしいサンボウ!」

突撃長「悪魔……?」

たんぽぽ星人「モンスターでも現れやがったか?」

参謀長「……」

734: 2012/07/02(月) 23:19:31.27 ID:Wl36NQv60
91

--ジャングル--

《実行フェイズ》

黒肌の老夫人「う、うぅ……爺さま……」

参謀長「これはひどい……」

そこには全身を中から食い破られたような、無残な氏体があった。

黒肌の青年「目撃した子供らが言うには真っ黒の毛皮の大きなモンスターだったらしい。あと鳴き声はバチバチだったそうだ」

突撃長「バチバチ……ふむ」

たんぽぽ星人「むごい頃しをしやがるぜ……」

突撃長「……どんな手段を使って頃したのかわからんですじゃ」

突撃長はそっと目を閉じてやる。

735: 2012/07/02(月) 23:19:58.63 ID:Wl36NQv60
92

--ジャングル--

参謀長「突撃長さんとたんぽぽ星人はさっき言った通り、あの槍を持ってジャングルに」

突撃長「わかりましたですじゃ」

たんぽぽ星人「了解した」

黄金もろこしの葉で装飾された槍を二人は持っていた。

黒肌の青年「だ、大丈夫なのかサンボウ!」

参謀長「わからない。だが心配するな、この黄金もろこしにはモンスターが嫌がる力が備わっている……らしい」

黒肌の青年「ほ、本当なのか?」

参謀長「それをこれから試すんだ」

ざっ

黒肌の刺青「おい薄肌」

736: 2012/07/02(月) 23:20:27.06 ID:Wl36NQv60
93

--ジャングル--

参謀長「!」

黒肌の青年「! 長の子!」

黒肌の人々が道をあける。

参謀長「……俺のことか? なんだ?」

黒肌の刺青「……」

刺青男は参謀長を品定めでもするかのように、周りをぐるりと回った。

黒肌の刺青「俺は、お前達を信じない」

ざわ

参謀長「……」

黒肌の青年「お、長の子!」

737: 2012/07/02(月) 23:21:31.03 ID:Wl36NQv60
94

--ジャングル--

黒肌の刺青「お前達、何か嫌な臭いがする。何かがおかしい」

参謀長「……そう言われてもな」

黒肌の刺青「」

ひゅっ!

突撃長「!!」

ざわざわ

黒肌の刺青は参謀長の喉元に槍を近付ける。

じり

黒肌の刺青「……」

参謀長「……」

738: 2012/07/02(月) 23:22:22.84 ID:Wl36NQv60
95

--ジャングル--

参謀長「……理由がよくわからないが、俺達のことが嫌いだというのなら、俺達はどうしたらいい? 素直に何もしないで帰ればいいのか?」

ざわ

黒肌のおばちゃん「それは困るよ」

黒肌の少年「サンボウは僕達を助けてくれたよ!」

ざわざわ

黒肌の刺青「黙れっ!!」

刺青の一喝で、村人達は静かになる。

黒肌の刺青「……俺も行く。それでお前達を見定める」

参謀長「危険かもしれないぞ?」

黒肌の刺青「はっ」

刺青は笑う。

黒肌の刺青「はははははっ! 俺達戦士は氏を恐れない! 我らに宿る偉大なる先祖の血は、戦い、そして氏ぬことこそ誇りを持つのだ!」

参謀長「……わかった、身の安全は保証出来ないが、同行してくれ」

739: 2012/07/02(月) 23:23:05.04 ID:Wl36NQv60
96

--西の王国国境--

潜入長(ある程度戦闘力はわかりました。槍兵の部隊演習にも参加出来ましたし……長いは無用ですね。そろそろスキル効果も危うい)

潜入長は誰に気付かれることなく砦を移動し見張りのいる位置まで来る。

潜入長(ん、どうしましょうか。入ってきた時のように馬車が偶然通りかかるのを待つわけにはいかないですし)

潜入長は姿を透明にし、馬車の主に気付かれることなく潜りこんだのだった。

潜入長(さすがに……透明になったぐらいじゃ見張りの目は誤魔化せないですよね)

潜入長は物陰から見張りをじっと見ている。

潜入長(騒ぎを起こして注意をそちらに向けるのもありでしょうが、そんなことをしたら槍兵がくる可能性もありますし、得策じゃあないですね)

若い見張り「……」

740: 2012/07/02(月) 23:23:40.25 ID:Wl36NQv60
97

--西の王国国境--

潜入長(あれくらいなら奇襲で二人やれますが……後々面倒になりそうですね。潜入していたことがばれてしまえば、兵の配置や砦の見取り図が役にたたないほど変更してくるでしょうし)

老見張り「……」

潜入長(はぁ……私は参謀長と違って考えるのは得意じゃないです……)

潜入長は立ち上がりナイフに手を伸ばす。

潜入長(あれこれ考えず、もういっちゃいます)

潜入長は姿を消した。

しゅ

若見張り「……」

老見張り「……」

二人の見張りの集中力は外に向けられているため、後ろから近づく潜入長には気付かなかった。

741: 2012/07/02(月) 23:24:12.29 ID:Wl36NQv60
98

--西の王国国境--

ドプ

若見張り「!」

若い見張りの口を塞ぎ心臓を一突き。隣にいる老いた見張りがそれに気付いた時には

ズッ

同じく心臓を貫かれた後だった。

さっ

潜入長は素早く二人を座らせると城壁の外へ降りる。

潜入長(よし……あれなら……あ。そういえば最初に始末した兵が……あーあ。結局ばれてしまいますね……)

まぁ仕方ないと割り切り、潜入長は

槍兵「よっ、いいナイフだな」

742: 2012/07/02(月) 23:25:00.87 ID:Wl36NQv60
99

--西の王国国境--

潜入長「」

森への入り口の前に、槍兵が立っていた。

槍兵「どこ行くんだ?」

潜入長「あ」

じり

槍兵は前とは違い、

槍兵「出かけるのなら、俺もついて行くぜ?」

今度は愛槍を右手に携えている。

潜入長(どこで……どこで、気付かれた……?)

槍兵「ははっ。気になっちまうたちなのさ。……気配がしないやつのことはな」

743: 2012/07/02(月) 23:25:46.96 ID:Wl36NQv60
100

--西の王国国境--

《戦闘フェイズ》

槍兵「一つ手合わせを願うぜ」

潜入長「潜入します」

槍兵が
現れた。

748: 2012/07/09(月) 22:19:47.74 ID:1cXkFCCI0
101

--ジャングル--

がさがさ、がさがさ

たんぽぽ星人「しかし……こんな武器でどうにかなるのか?」

突撃長「さぁ、私にはわかりませんですじゃ」

二人は槍を持ってジャングルを歩いている。

たんぽぽ星人「というか参謀長をあいつと組ませて良かったのか? あいつ……殺意を抱いていたぞ」

突撃長「えぇ、我らと違って参謀長は戦えませんですじゃ。人目がつかない場所ならあっさり殺されてしまうはずですじゃ」

たんぽぽ星人「……なんだってあいつは自分からこの組み合わせに」

突撃長「わかりません……わかりませんですじゃ」

749: 2012/07/09(月) 22:20:32.01 ID:1cXkFCCI0
102

--ジャングル--

黒肌の刺青「……」

がさがさ

参謀長(……統治者にとって、村人の意識が他に向けられているなど、看過出来る問題じゃないよな)

刺青の槍を握る手に力が入る。

参謀長(槍の黒虎部族のその腕前、見ておきたかったしな)

黒肌の刺青「……おい、本当にこっちにいるのか? 例のモンスターは」

参謀長「さぁ……」

黒肌の刺青「……」

750: 2012/07/09(月) 22:21:13.39 ID:1cXkFCCI0
103

--ジャングル--

ジリ

参謀長(村人を襲ったモンスターより、俺を殺るほうを優先するのか?)

がさがさ

黒肌の刺青「……お前が川で何かをしていたことは見ている」

参謀長「!!」

黒肌の刺青「それからすぐに村人は苦しみだした。全て川遊びをした者や、川の水を飲んだものだ……」

参謀長(……へぇ)

黒肌の刺青「そして今度は得体の知れないモンスターだ。お前達と接触する前は一切そんなことはなかったのにだ、お前達が来てから不運が続く」

参謀長(裏打ちあってのものだったか。やるじゃないか……というよりやっぱり自分が行動すべきじゃなかったな……)

黒肌の刺青「だから俺はこう考える。全ての原因はお前達で、お前達は村を狙っている」

参謀長「……」

751: 2012/07/09(月) 22:21:42.05 ID:1cXkFCCI0
104

--ジャングル--

黒肌の刺青「お前の吐く言葉は黒い。裏で何を考えいるのか」

ぐっ

刺青の槍が動く。

参謀長「平穏さ」

黒肌の刺青「? 何?」

参謀長「俺は君らに平穏を与えたいだけだ」

黒肌の刺青「……平穏など望んじゃいない」

参謀長「なんだと?」

黒肌の刺青「我らは先祖に顔向け出来るよう、胸をはった生き方さえ出来ればいい。部外者が与えてくる平穏なんぞに、飼い馴らされてたまるものか」

参謀長「……誇りじゃ腹は膨れない」

黒肌の刺青「誇りが無くば、自分の人生が閉じる時に後悔することになる」

752: 2012/07/09(月) 22:22:16.93 ID:1cXkFCCI0
105

--ジャングル--

参謀長「」

魂の籠もった眼差し。参謀長は少しだけ呆然とする。それは参謀長には全く理解出来ないものだった。

参謀長「……誇り高き部族……か」

黒肌の刺青「お前達からは誇りを感じない。いつも1日を大事に、一生懸命生きているように思えない。だから我ら黒虎の一族はお前を認めない」

がさ

二人は話しているうちにジャングルの奥深くまで来ていた。

黒肌の刺青(ここなら誰も阻むものはいないッ)

参謀長「二つ、君に教えよう黒の一族の次期長」

黒肌の刺青「お前から教わることなど何もない!」

刺青は槍を構える。

753: 2012/07/09(月) 22:22:52.26 ID:1cXkFCCI0
106

--ジャングル--

ザッ

黒肌の刺青「!?」

するとなぜか参謀長は座ってしまった。

黒肌の刺青(なぜこいつは……後ろの俺の動きがわかるのか?)

刺青は突き出そうとした槍を止めた。

参謀長「まぁそういうなよ。俺からの忠告はな……この世界で誇りなんてものは足を引っ張ることしかしないんだってこと。誇りを持ってる奴から氏んでいく世界だ。いつまでも勇者を輩出した部族だからと、調子に乗ってちゃあいけない」

黒肌の刺青「!!!! きさまぁぁ!!」

シャッ!!

刺青は黒豹のように襲い掛かった。

キラーキャット「ギャシャアアアア!!」

黒肌の刺青「!?」

ガブシュッ!!

参謀長「……もう一つは、姿勢を低くしたほうがいい」

754: 2012/07/09(月) 22:24:26.20 ID:1cXkFCCI0
107

--ジャングル--

ぽたっぽたたっ

キラーキャット「きしゃあきしゃあ!!」

がりごりっ

黒肌の刺青「ッッ!! ……っ!」

ぼたっぼたたっ

参謀長「ジャングルの奥はキラーキャットの縄張りだからな。下らぬ誇りとやらに心を動かされてなければ気付けたのにな」

ごきっごりり

黒肌の刺青「……」

だらん

参謀長「ふ」

参謀長は口角をゆがませて、はいはいでその場を後にした。

755: 2012/07/09(月) 22:25:06.11 ID:1cXkFCCI0
108

--ジャングル--

がささ!!

謎のモンスターが現れた!!

突撃長「うわぁ! 本当にでたですじゃ!」

たんぽぽ星人「不定形なのかこいつ! ありえない動きしやがって!」

?「バチバチ!」

突撃長「やるしかないですじゃ! おりゃーですじゃ!」

ドス

突撃長の槍がモンスターの胸を貫いた。

?「バチバチ!」

すると溶けるように体が小さくなっていった。

756: 2012/07/09(月) 22:25:32.06 ID:1cXkFCCI0
109

--ジャングル--

たんぽぽ星人「た、倒した……のか?」

ふしゅるるる、ぽふ

そこには黒い毛皮だけが残った。

突撃長(こ、これは前に私が狩ったモンスター?)

突撃長はモンスターの毛皮に心当たりがあった。

さわさわ

突撃長(……間違いない……私が前に刺した傷口もある……一体どういうことですじゃ?)

たんぽぽ星人「ん? なんだこりゃ、ゴキブリの氏骸がくっついてやがる」

たんぽぽ星人は毛皮を持ちあげる。

757: 2012/07/09(月) 22:26:19.50 ID:1cXkFCCI0
110

--西の王国国境--

ゴゴゴゴゴゴゴ

潜入長(まずい……まずい! とてもじゃないが真正面から戦える相手じゃない!)

槍兵「おらおらぁ、先に攻撃させてやるよ」

槍兵が先手を譲る。

潜入長のターン。

潜入長(攻撃なんて……取り敢えず森の中に入らねば!)

潜入長の敵前逃亡。

槍兵「……おいおい、俺を頃すとか言ってたくせに逃げようとしやがるのかぁ!?」

槍兵のターン。

槍兵「しっ!」

槍兵の通常攻撃。
それに対応し潜入長は防御した。

ヒュン、ギシャ!

潜入長(づっ!? 全力でガードしたのに弾きかえせなかった!!)

槍は潜入長の脇腹を抉る。180ダメージ。

758: 2012/07/09(月) 22:27:06.38 ID:1cXkFCCI0
111

--西の王国国境--

ぽたっ

潜入長(ぐっ! ……だがこれで森の中に)

槍兵の通常攻撃。

潜入長(!? に、二回攻撃ッ!?)

潜入長は防御体勢を取れなかった。

ヒュン、ズブシャッ!!

潜入長「がっ!!」

槍兵の槍は潜入長の腹部を貫いた。650ダメージ。

潜入長「がはっ!!!!」

ドサリ

759: 2012/07/09(月) 22:27:50.27 ID:1cXkFCCI0
112

--西の王国国境--

血を散らしながら潜入長は倒れこむ。

どくっどくっ

潜入長(ま、まずい……これは、まずい)

潜入長は足に力を入れてなんとか立ち上がる。

潜入長(ダメージが、でかい……このままでは……)

ぶしっ

潜入長の傷口から血が噴き出す。

槍兵「かー……だらしねぇスパイだぜ。もうちっとはやれるもんだと思ったのによ」

潜入長「……」

槍兵「……しまいだ」

チャキ

潜入長「奥義」

760: 2012/07/09(月) 22:28:24.37 ID:1cXkFCCI0
113

--西の王国国境--

槍兵「!」

ぼしゅー

槍兵の槍の切っ先が潜入長に向いた瞬間、潜入長の体から霧が噴出する。

槍兵(霧? 水属性か……くそなんも見えねぇ!)

ヒュン、ヒュン

槍兵は闇雲に槍を振るうも空を裂くばかり。

潜入長(奥義、霧霧巣……)

ずり

潜入長は槍兵を無視し、足を引きずりながら森の中へと向かう。

潜入長(……この霧の中では全ての五感が封じられたも同然。視覚は意味をなさず、音は乱反射し、匂い、気配、方向感覚すらまともに機能しない……霧の中のことを把握出来るのは唯一私だけ……)

槍兵「うらー! 卑怯だぞー! でてきやがれー!」

潜入長(……奥義を使っても……逃げることしか出来ないなんて……)

潜入長は森の中へ隠れた。

761: 2012/07/09(月) 22:29:00.44 ID:1cXkFCCI0
114

--西の王国国境--

槍兵「なんてな」

槍兵の通常攻撃。

ドズッ

潜入長「ッッ!?」

潜入長の胸から槍が突き出る。

ブシャッ!

潜入長「がっ!! な、なんで……」

槍兵「……」

ドサッ

槍兵(奥義乗り換えて正解だったぜ)

槍兵は潜入長の足を掴むと、ズルズルと引きずりながら砦へ向かった。

762: 2012/07/09(月) 22:29:51.80 ID:1cXkFCCI0
115

--ジャングル--

黒肌の青年「次期長ぁぁ! なんでこんなことにぃ!!」

参謀長「……すまない」

参謀長は傷だらけの体とボロボロになった衣服のまま謝罪の言葉を口にした。

黒肌の老人「うっ、うっ……」

参謀長「それしか持ちかえることが出来なかった」

刺青が彫ってある右腕の肘から先、それが刺青の一部であることを部族のみんなは理解していた。

黒肌の青年「うぅ……! サンボウ、次期長は……勇敢に戦ったのか?」

ざわざわ

全員の視線が参謀長に集まる。

参謀長「あぁ、勇敢だった。例のモンスターを相手に最後まで立派に戦いぬいた……」

黒肌の青年「う、うあぁあぁああ次期長ぁぁ!!」

村のみんなは次期長の氏を嘆いた。

763: 2012/07/09(月) 22:30:32.16 ID:1cXkFCCI0
116

--ジャングル--

黒肌の青年「うっ、うう……次期長……戦いの中で高潔に氏んでいったのか」

青年は悲しみながらも、嬉しそうだった。

黒肌の青年「勇敢な戦士である次期長を、コンボイ(彼らの部族の魂が行く場所)へ送り出そう!」

黒肌の青年は槍を持ち、皆へ叫ぶ。

参謀長「それより例のモンスターを片付けなければまた氏人が出るぞ?」

黒肌の青年「!! ……そうか……」

がさがさがさ

突撃長「おやおや皆様おそろいで」

黒肌の青年「!!」

そこに突撃長達が毛皮を持って帰還する。

764: 2012/07/09(月) 22:31:24.16 ID:1cXkFCCI0
117

--ジャングル--

黒肌の幼女「うわぁ!」

黒肌の熟女「これが……例のモンスター?」

黒肌の淑女「私が見たのと一緒!」

ざわざわ

黒肌の青年「我が部族最強の次期長でもかなわなかった相手を……?」

参謀長「……」

参謀長は青年の肩に手をのせる。

参謀長「腕っぷしの力だけが強さじゃない。それを俺達は使ったんだ」

黒肌の青年「! ……そんなものがあるのかサンボウ!?」

765: 2012/07/09(月) 22:32:20.71 ID:1cXkFCCI0
118

--ジャングル--

どんどこどんどこ

黒肌の筋肉だるま「イボンコペッタンコ」

黒肌のシOタ「イェーイ!」

黒肌のおばさん「イボンコペッタンコ」

黒肌のお兄さん「イェーイ!」

どんどこどんどこ

参謀長「……」

村で葬送の儀式が行われている。

ざり

黒肌の長「……薄肌」

参謀長(! 部族長か)

そこにひときわ目立つ装飾を身にまとった老人が参謀長の前に現れた。

766: 2012/07/09(月) 22:32:48.61 ID:1cXkFCCI0
119

--ジャングル--

参謀長は立ち上がって長と向き直る。

黒肌の長「モンスター退治の件、礼を言おう」

参謀長「……いえ。次期長を助けられず申し訳ない」

参謀長は頭を下げる。

黒肌の長「それはお前のせいではない。ただ次期長のイボンコがペッタンコだったのだ」

参謀長(……何言ってっかわからん)

黒肌の長「……薄肌よ。お前達は我が村になんのため来たのだ」

参謀長(きた)

黒肌の長は参謀長の目を逃さぬように見つめている。

黒肌の長「何の目的もなく、我らに食料を恵んだり、我らの村を襲うモンスターを退治したのではあるまい」

参謀長「……理由は簡単だ、俺達はあなた方と仲間になりたいんだ」

767: 2012/07/09(月) 22:33:20.80 ID:1cXkFCCI0
120

--ジャングル--

黒肌の青年「! サンボウ」

黒肌の長「……我が部族に入りたいと言うのか?」

参謀長「いや、違う」

黒肌の長「ならば……我らにお前達の下につけと、言うのか?」

ざわ

村人達は一斉に儀式をやめて参謀長達を見た。

たんぽぽ星人「……おいおい参謀長」

突撃長「いやな雰囲気に持ってかないで欲しいですじゃよ?」

ざわ

参謀長「……違う、俺達はあなた達と同等の立場で手を結びたいんだ」

ざわざわ

黒肌の長「……それをしてなんになる」

参謀長「今より、より強い集団になれる」

ざわざわ

村人達がざわめく。

778: 2012/07/17(火) 01:12:36.18 ID:CmKX94I40
121

--ジャングル--

黒肌の長「……」

黒肌の青年「……長、サンボウ達はいい人です。何度も我らに力を貸してくれました」

黒肌の長「……」

長はただじっと参謀長を見ている。

参謀長「……」

黒肌の長「何を目的に……大きなものになるのか」

参謀長「広大な世界を手に入れるために」

黒肌の青年「!?」

779: 2012/07/17(火) 01:13:03.73 ID:CmKX94I40
122

--ジャングル--

ざわざわ

参謀長「このジャングルだけではなく、その先に続く世界を手に入れるためにはあなた方の力が必要なんだ」

黒肌の長「なんだと……お前は我らに何を期待している?」

参謀長「あなた方の勇敢さと武力が欲しい」

ざわざわ!

黒肌の長「誇り高き我らに、侵略を侵せと言うのか?」

参謀長「しなければ逆にされるだけだ。諸外国はこのジャングルを狙っている」

黒肌の長「なん……だと?」

780: 2012/07/17(火) 01:13:43.72 ID:CmKX94I40
123

--ジャングル--

ざわざわ!

参謀長「そうだな。もうネタを明かしてもいいだろう。……あのモンスターはとある国家の侵略兵器なんだ」

ラノベくさいざわわ!!

黒肌の長「……本当なのか?」

参謀長「あぁ。俺達がかつて住んでいた場所もあれに滅ぼされた……」

黒肌の長「! ……ふむ」

参謀長「最後の最後で倒す手段を手に入れたが、もはや後の祭りだった」

黒肌の長「……どこが送り込んできたのだ?」

参謀長「わからない。それを調べるには国家レベルの力がいる」

781: 2012/07/17(火) 01:15:07.26 ID:CmKX94I40
124

--ジャングル--

黒肌の長「……」

参謀長「このままいけば、ここも同じ末路を辿る。もう既に目を付けられているんだからな」

黒肌の青年「お、長!」

ざわざわ

長い沈黙の後、

黒肌の長「……それが自然の摂理ならば仕方のないことだ」

ざわざわ!!

参謀長「……」

長はみじんも揺らがぬ意思を示した。

782: 2012/07/17(火) 01:15:41.75 ID:CmKX94I40
125

--ジャングル--

黒肌の長「攻めてくるのなら迎えうつ。たとえそれで滅びたとしても……流れなのじゃ」

ざり

長は参謀長に背を向けた。

黒肌の長「話はこれで終わりだ。忠告には礼を言おう」

ざっざっ

参謀長「……」

そして家に向かって歩いていってしまう。

ざっざっ

参謀長「……っ」

黒肌の青年「お、長」

参謀長「あなたの意志に、幼い子供らも巻き込むつもりか!!」

783: 2012/07/17(火) 01:16:36.29 ID:CmKX94I40
126

--ジャングル--

ざわざわ!!

参謀長が叫んだ。

黒肌の青年「さ、サンボウ」

黒肌のおばちゃん「サンボウ……」

黒肌の長「ぬ?」

長はその言葉で振り返る。

参謀長「掟や誇りより、大切なものがあるのではないか!?」

ざわわ!!

たんぽぽ星人(おいおい……ちとやりすぎじゃねぇか?)

突撃長(この感覚……参謀長殿、スキルを……)

784: 2012/07/17(火) 01:17:12.32 ID:CmKX94I40
127

--ジャングル--

参謀長「全て奪われるぞ! 人や物、文化に土地!! そしてその誇りでさえも!」

黒肌の長「……」

ざわざわ!!

参謀長は普段とは違う様子で熱く語っている。

参謀長「なぁ。あんたと俺、本当にこの村のことを考えているのはどっちだ? 子供達の未来を思っているのはどっちだ!?」

ざわざわわ!!

黒肌の青年「サンボウ……!」

黒肌の長「……」

ざわわざわわざわわ!!

黒肌の長(……完全に村の者達は揺さ振られてしまったか……)

村人達は各自相談していた。

黒肌の長「だか断る」

参謀長「ナニッ!!」


黒肌の青年「……」

785: 2012/07/17(火) 01:17:39.02 ID:CmKX94I40
128

--ジャングル--

ざっざっざっ

突撃長「残念でしたな。中々の演説でしたが」

村からの帰り道、突撃長は参謀長に話しかける。

参謀長「? いや、これでいいんです。目的は達成しましたよ」

たんぽぽ星人「どこがだよ。あのじいさんは頑固そうだぜ? ……俺達だけで交わされた会話ならまだしも、村のみんなの前であんなことになっちまったんだ、もう絶対首は縦にふらねぇよ」

突撃長「ですじゃ。次にその話を出したらそのまま抗争に発展するかもしれんですじゃ」

参謀長「ははは……そんなことにはならないですよ」

たんぽぽ星人「? どっからそんな自信がでてくるんだか……」

参謀長「……ふ」

次はないのだから

そう、ボソリと参謀長は呟いた。

786: 2012/07/17(火) 01:18:13.39 ID:CmKX94I40
129

--ジャングル--

ほーほー

黒肌の青年「……」

ちゃき

青年は槍を握りしめた。

787: 2012/07/17(火) 01:19:05.70 ID:CmKX94I40
130

--ジャングル--

次の日。

がやがやがや

突撃長「? 何やら外が騒がしいようで……」

がらら

黒肌の青年「サンボウ!」

突撃長「おやおや青年殿、これはまた……一体どうしたことで……?」

参謀長達の小屋の前に、黒肌の部族が集まっていた。

ざわざわ

参謀長「……」

それを家の中から眺めている参謀長。

788: 2012/07/17(火) 01:19:34.22 ID:CmKX94I40
131

--ジャングル--

黒肌の青年「サンボウ! いるか!! 部族の長として、そちらの長に会いにきた!」

突撃長「!? 長ですじゃ!?」

たんぽぽ星人「何を言ってんだ」

参謀長「……長? おいおい青年、君は長じゃないだろ?」

黒肌の青年「……」

参謀長「……青年?」

黒肌の青年「長は、氏んだ」

たんぽぽ星人「!?」

突撃長「なんと!?」

黒肌の青年「……」

789: 2012/07/17(火) 01:20:04.09 ID:CmKX94I40
132

--ジャングル--

参謀長「……」

青年のわずかな表情の変化を見、参謀長は全てを理解する。

参謀長「……それは残念なことだ。だが成る程。新しい長は、俺達の意見をくんでくれる、と」

黒肌の青年「あぁ」

黒肌の青年は力強く頷いた。

参謀長「……わかった。我らの長、いや、王と合わせよう」

たんぽぽ星人「……王って……姫か」

手で顔を覆うたんぽぽ星人。

突撃長「姫様ですじゃ……」

手で顔を覆う突撃長。

790: 2012/07/17(火) 01:20:36.05 ID:CmKX94I40
133

--ジャングル--

ぎぃ

小屋のドアが開く。

ざわ……ざわ

姫「……」

小屋の中から黄金の装飾をつけ、白く薄い衣装を身に纏った姫があらわれた。

!!

突撃長「」

たんぽぽ星人「」

普段からは想像も出来ない凛々しい表情と荘厳さを感じる振る舞いに、突撃長とたんぽぽ星人はただただ唖然としていた。

791: 2012/07/17(火) 01:21:14.42 ID:CmKX94I40
134

--ジャングル--

もこいち、もこじ、もこぞう「「「もぎゅう」」」

のしっ

そして姫のまわりを黄金の金品でかためた力強くも美しい獣が三匹。

ざわ……ざわ

参謀長(……)

口が開く。

姫「余こそが黄金王国七代目国王、黄金姫じゃ」

ざわざわ!

792: 2012/07/17(火) 01:21:47.80 ID:CmKX94I40
135

--ジャングル--

有象無象の血統無き大量生産とは一線を画す存在感。

姫「……」

黒肌の青年「う、美しい……」

姿を現し、たった一言発しただけで、その場にいる誰もを魅了した。

参謀長(……ははは)

姫「……」

いつもと違う険しくも凛々しい表情で姫は辺りを見回した。

姫「余の黄金王国に力を貸してくれるのはそなたたちか?」

黒肌の青年「……!? は、はっ!」

知らず傅いて返事をしてしまう。

793: 2012/07/17(火) 01:22:17.07 ID:CmKX94I40
136

--ジャングル--

姫「そうか」

姫は歩を進めて青年の目の前に。

姫「余は……かつて不条理に奪われた余の領土を奪い返したいのだ」

そう言って姫は白く光る手のひらを青年に差し出す。

姫「それと同様に、助けを求める子らがいればもれなく助けたく思う」

参謀長「……」

姫「そなたらは余と共に突き進む覚悟があるのかどうか、それを知りたい」

凛とした美しい声が辺りを支配する。

黒肌の青年「わ、我々はあなたと手を組む……いや、あなたの仲間にしてもらいたい!」

姫「……」

黒肌の青年「あ、あなたについていけば、我々はきっと、繁栄の道をいける!」

794: 2012/07/17(火) 01:23:02.65 ID:CmKX94I40
137

--ジャングル--

姫「そうか……なれば」

バッ

姫「今よりここにいるものらは、余すことなく余の子らだ!」

ざわわ!

姫は周りを見渡し手を広げる。

ざわ、ざわ!

細胞をくすぐるような姫の声と言葉に、その場にいた全ての者が心から沸き立った。

突撃長(こ、これは!!)

たんぽぽ星人(これが姫だって言うのかよ!?)

姫を中心に輪ができていた。

795: 2012/07/17(火) 01:23:28.98 ID:CmKX94I40
138

--ジャングル--

姫「全て無駄なく愛し尽くし、全て護るとここに誓おう」

ざわざわ!!

姫「そなたらは今より黄金の民ぞ!!」

ばっ!!

「「「うっ、うおぉぉぉぉ!!」」」

黒肌の一族は歓喜の声をあげた。

参謀長「……」

ぎりり

参謀長は右腕で左腕を力いっぱい握りしめていた。

参謀長(……ははは)

それが彼の歓喜の表情だった。

796: 2012/07/17(火) 01:24:14.11 ID:CmKX94I40
139

--ジャングル--

突撃長(ひ、姫さま、なんともご立派な……!)

突撃長は溢れかえる涙で何も見えない。

たんぽぽ星人「てかあれ? 王家の聖獣的ポジション奪われてね?」

姫「そなたらが望むのならば、余がそなたらに勝利を与えよう!」


その夜。

姫「ねーねー! 姫ちゃん可愛かった!? 可愛かった!?」

参謀長「……」

突撃長「……」

たんぽぽ星人「……これだよ」

姫「いやー! 姫ちゃん、人前であんなに演説するのはじめてだからさーっ! もー緊張しっぱなしでおしOこも垂れ流しだったよーっ!」

えへーっ、と姫。

797: 2012/07/17(火) 01:26:10.06 ID:CmKX94I40
140

--ジャングル--

突撃長「……あ、あれ……あんなに立派だった姫様が……か、霞んで見えないですじゃ」

突撃長は溢れかえる涙で何も見えない。

たんぽぽ星人「……このギャップは……なぁ……」

参謀長「職務ご苦労さまでした」

姫「えへーっ! ねぇねぇ参謀長ー! 姫ちゃん可愛かった!? 可愛かった!?」

参謀長「そうですね、どうでもいいです。俺ツルペタに興味ないし」

姫「つるぺたってゆった!? つるぺた好きにあやまれっ!!」

うわーんと泣きだす姫。

突撃長「そうですじゃ!! 謝ってくださいですじゃ!!」

参謀長「え……なんですかその必氏な表情、まさかそっち系……」

もこズ「「「姫ちゃん泣かすなもきゅ!!」」」

たんぽぽ星人「おいおい、女のどんな特徴であれ愛してやるのが男ってもんだぜ青年」

みんなにつめよられる参謀長。

参謀長「ぐ……わかりました。確かに言いすぎました。姫」

姫「ぐすっ……?」

参謀長「……今日は本当にご苦労さまでした。お綺麗でしたよ」

姫「ぐすっ……本当? 姫ちゃん可愛い……?」

参謀長「はいはい可愛い可愛い」

姫「おちOちんたつ?」

参謀長「たたねぇよバカ!」

798: 2012/07/17(火) 01:27:24.39 ID:CmKX94I40
番外編はこのスレいっぱいやりたいと思うので、もうしばらくお付き合いください。
最終章は新しく始めたいと思いますので。

それでは本日の更新はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら、気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m


酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【19】

引用: 酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった5