803: 2012/07/23(月) 22:25:41.01 ID:XgsqyrWj0
こんばんは。
自分は聞仲が大好きです。理想的な氏に方は天化です。っていうくらい封神演義が大好きですね。

後付けではありますが、
勇者募集~が第一章、
酒場募集~が第二章、
そして最終章の??募集~

で、このシリーズ全体の話を終わらせる、という意味ですね。

伝勇伝はわかりません申し訳ないです。。。
勇者募集してたから王様に会いに行った【第一部】
勇者募集してたから王様に会いに行った【第二部】
勇者募集してたから王様に会いに行った【完結】
勇者募集してたから王様に会いに行った【IF外伝】

酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【1】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【2】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【3】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【4】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【5】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【6】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【7】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【8】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【9】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【10】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【11】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【12】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【13】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【14】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【15】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【16】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【17】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【18】
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった【19】


それでは更新していきます。

804: 2012/07/23(月) 22:26:21.13 ID:XgsqyrWj0
141

--ジャングル--

もこいち「姫ちゃんめっちゃ可愛かったもきゅ!」

もこじ「姫ちゃんめっちゃかっこよかったもきゅ!」

もこぞう「姫ちゃんめっちゃもっきゅもきゅだったもきゅ!」

可愛い姿に戻ったもこもこ達は姫にくっついてもきゅもきゅ言っている。

参謀長「あ、今日の晩御飯担当は俺か」

すたすた

参謀長はやり取りを無視して台所に。

姫「あーっ! 姫ちゃんのこと無視したっ!? いけないんだっ!! こっかげんしゅ無視したらいけないんだっ!!」

もこズ「「「そうもきゅそうもきゅ!!」」」

参謀長(うるせぇ)「今日は麻婆豆腐にしますね突撃長さん」

突撃長「ほっほっ、麻婆豆腐とはご馳走ですじゃ」

姫「まーぼーどうふって何っ!?」

もこズ「「「なにーっ!?」」」

たんぽぽ星人「愉悦」
魔法の世界
805: 2012/07/23(月) 22:26:57.24 ID:XgsqyrWj0
142

--ジャングル--

とんとんとん

台所で参謀長が調理を始める。

突撃長「いやしかし国民が一気に増えましたな。気になるところはありますが、まぁさすがは参謀長殿と言ったところですじゃ」

ズズ

突撃長は茶をすすった。

突撃長「……そういえば潜入長は大丈夫なのか心配ですじゃ」

たんぽぽ星人「あぁ……そういえばそうだな。参謀長に何を頼まれたか知らないが、少し帰りが遅いな」

姫「……」

スッ

806: 2012/07/23(月) 22:27:55.89 ID:XgsqyrWj0
143

--ジャングル--

とんとんとん

参謀長(やれやれ、やっとスタート地点に立てるといったところか)

ばしゃ

参謀長は手慣れた手つきで料理をしている。

参謀長(思ったより手間取ったほうか? あまり間をおかずに次の行動を移した方がいいな)

ぎし

参謀長「ん?」

ぎし

姫「……」

いつのまにか参謀長の後ろには姫がいた。

807: 2012/07/23(月) 22:28:36.60 ID:XgsqyrWj0
144

--ジャングル--

参謀長「……どうかしましたか姫。つまみ食いはダメですよ」

参謀長は床下に作った天然の冷蔵庫から豆腐を取り出した。

姫「……」

参謀長「? 姫?」

何も喋らない姫を不審に思い振りかえる参謀長。

ギシッ

そこには、

姫「こたびの働き、大義であったな」

参謀長「!!」

どくん!

眼を黄金に輝かせる姫の姿があった。

808: 2012/07/23(月) 22:29:45.32 ID:XgsqyrWj0
145

--ジャングル--

参謀長「ど」

姫「そなたが裏で動いていたことなど余がわからぬはずもない」

参謀長「」

参謀長が言葉を発する前に、それに対応する返答が返ってくる。

姫「確かに余は領土を取り返せと命じた。だが醜い策謀を巡らせろと命じた覚えはないぞ」

参謀長「……はははっ」

参謀長は顔を歪ませて笑った。

参謀長「やっと……会えたな……やはり夢じゃあ無かった」

参謀長は顔を手で覆う。

姫「……」

ぎち

809: 2012/07/23(月) 22:30:43.94 ID:XgsqyrWj0
146

--ジャングル--

参謀長「……あんたにはばれてるってことくらい百も承知さ。そしてあんたが俺のやり方を気に入らないだろうことも」

姫「……」

参謀長「会ってもいない部族のやつらの行動も、俺が頭の中で巡らせた策略も、全て読みきったからこそ、今日、あの格好で出てきたんだろう?」

姫「……」

参謀長「全く大したものだよ。普段からは想像もつかない……なのに王の言まで使ってあいつらを国民に加えたのは」

姫「あぁでもしなければ、破滅させられていただろう」

参謀長「……はははっ」

彼らが国民になるまで弱らせ続ける。
自分たちを便らざるを得なくなるまで作戦を続ける。
その果てに一族が滅ぶことになろうとも、参謀長は躊躇わない。

姫「……」

そんな参謀長の考えを姫はわかっていたのだろう。

810: 2012/07/23(月) 22:32:00.91 ID:XgsqyrWj0
147

--ジャングル--

参謀長「やはりあんたは……おもしろい」

狂気で淀んだ瞳と黄金に輝く瞳が交差する。

参謀長「それだ、それでこそだ。俺が追い求める理想はあんたじゃあなきゃダメなんだ。あんたならきっと世界の王になれる……。俺は……あんたにどう思われようが構わない。あんたに嫌われ仲間に嫌われ、その果てに自分の全てを失っても構わない」

姫「……」

参謀長は姫の肩を掴む。

ぎっ

参謀長「必ずやあんたには天下を握ってもらう……俺が唯一持ってる信念のために」

姫「……」

黄金が、暗む。

参謀長「……俺の願いはただそれだけなのだから」

姫「……お前の主は己が信念であり、余ではないのだな……」

わかりきったこと、と参謀長は呟く。

姫「……黒虎の一族は余の民となった。以後、余の民を犠牲にすることを前提にした策を禁ず」

参謀長「……仰せのままに」

811: 2012/07/23(月) 22:33:53.81 ID:XgsqyrWj0
148

--王国--

妃「新王さん……?」

ポタッ、ポタタッ

新王「ぐ……あ」

妃が部屋に入り視界に飛び込んできたものは、

大臣「ふふ……」

妃「新王さん!」

血まみれで机にしがみついている新王だった。

妃「大丈夫ですか!? しっかり!! ……己くそ大臣~とうとうとち狂いやがりましたですか~!?」

妃が新王に駆け寄る。

妃「!? ……それ、は」

大臣が手にしているものは螺旋状の剣。

妃「キング……キラー……」

812: 2012/07/23(月) 22:34:27.87 ID:XgsqyrWj0
149

--王国--

大臣「はははっ、やっと気付きましたか。冷静に考えて、戦闘能力に乏しい私が新王様にダメージを与えられるはずがないでしょうに」

妃「なぜそれをお前が!!」

大臣「さぁ、なぜでしょう? 大体の推測はつくんじゃないですか?」

妃「……!」

新王「逃げ、るんだ妃さん……」

妃「何を言ってやがりますか!! こんなやつ私が!!」



妃「!?」

大臣「確かにこのキングキラーは対王兵装、貴女にはなんの力も発揮しません……が、そのために彼らを忍ばせているんです」

大臣の後ろには二人の男と一人の女がいた。

妃(いつの間に!? 私の感覚で感知出来ないなんて~……というか)

813: 2012/07/23(月) 22:35:09.94 ID:XgsqyrWj0
150

--王国--

軍師「……」

妃「貴方も……そっち側だったんですか~」

軍師「申し訳ねぇだぜぃ」

大臣「くくく、表立って力を発揮するのは初めてですから多少不安です。くれぐれも私を失望させないで下さいよ?」

?「任せて大臣様、私達が真の成功作であることを見せてあげるおー」

トリコロールカラーの女性は元気よく手を挙げる。

??「やっちゃるけぇのぉ、覚悟せえやぁあねごおるぁっ!!」

いかにもなリーゼントの男性が力強く答える。

軍師「……」

その二人の後ろに立っている軍師。

妃「ふんっ! 私を誰だか知っているのですか~!? 私は」

大臣「プロトタイプを滅せよ、新型人造勇者達よ」

814: 2012/07/23(月) 22:35:40.32 ID:XgsqyrWj0
151

--王国--

新王、妃「「!!」」

二人が驚きで動きが一瞬止まったのを彼らは見逃さず、

軍師「オーズ、」

?改めオーズ「おーらい!」

シャッ

オーズが拳を叩きこんだ。

ドッガァァァン!!

妃(づっ!!)

部屋をも砕く一撃、二人は城の外に弾き出されてしまった。

815: 2012/07/23(月) 22:36:11.85 ID:XgsqyrWj0
152

--王国--

ドッガァァァン!!

王国兵士「! 何だ!?」

がたたたっ

王国細兵士「あぁ、改装工事やるから王のいる塔には近づくな、って奴だろ? 今朝張り出されてたぜ」

ぱし

ポーカーをやっている兵士達。

王国兵士「そうだったか。いや敵国から砲弾でもぶち込まれたのかと」

王国太兵士「そんなことになってたらさすがに気付くは」

ははははっ、と笑い合う三人。

王国細兵士「……」

816: 2012/07/23(月) 22:36:59.73 ID:XgsqyrWj0
153

--王国--

ズザザザー!!

妃「くっ……随分弾き飛ばされてしまいました~……が」

妃は城の外を見張っている兵士たちと目が合った。

妃「残念暗殺失敗ですね~! そこの者達~! 力を貸しやがれです~! 大臣が無謀をおこしやがりました~!」

妃は兵士達にそう叫んだ。

王国見張り兵「……」

妃「? ……様子が」

ざん!

オーズ「あはは滑稽だおー」

??「まだ仲間がいるとおもっとるんかぬしゃあ!」

妃「!?」

新王「くそ……そういうことか」

817: 2012/07/23(月) 22:37:53.33 ID:XgsqyrWj0
154

--王国--

軍師「フォーゼ」

??改めフォーゼ「おぅっ!!」

フォーゼは跳躍し、魔力を込めた蹴りを放つ。

ヒュンッ!!

妃「!!!! 舐めるなぁぁ!!」

それを迎え撃つ妃。

ガガガァァン!!

フォーゼ「おっ!」

妃「くっ!」

ざざざー!!!

二人はお互いの蹴りで弾かれた。

818: 2012/07/23(月) 22:39:45.75 ID:XgsqyrWj0
155

--王国--

フォーゼ「おばんのくせに中々えぇキックじゃあのぉ!」

妃「ぶちっっ!?」

妃は新王をそっと地面に下ろす。

妃「あー……もう私キレちゃいましたよ~……」

新王「ちょ、やめ」

妃「そもそも~そういう裏でこそこそして仲間外れにしちゃうような姑息なやつが~」

ぼぶんっ!

妃の脂肪が絞られる。

妃「いっちばん……嫌いなんですよ~!!」

だんっ!

妃は跳躍しながら回転し、舞った。

オーズ「おあー、さすが魔王討伐パーティの一人だおー!」

819: 2012/07/23(月) 22:40:19.73 ID:XgsqyrWj0
156

--王国--

ビキビキビキ!!

妃の右足に氷が巻き付いていく。

バリバリバリダァッ!!

フォーゼ「ちぃっ!! タイマンしたいとこじゃがぁ、今回ばっかは仕方ねぇ!」

軍師「元々おいら達はチーム用だぜぃ」

ひゅるひゅるひゅる

空中で一つの天災である妃が、今まさに狙いを定め落下しようとしていた。

妃「ハイパァァァーフローズンドリル蹴りぃぃぃ!!」

ギャギャギャギャギャ!!

天を裂く氷塊と化した妃の蹴りが新型達を襲う。

820: 2012/07/23(月) 22:40:58.25 ID:XgsqyrWj0
157

--王国--

オーズ、フォーゼ「「二属性複合障壁魔法、はぁっ!!」」

ドッ、ギャギャギャギャ!!

咄嗟にオーズとフォーゼは障壁を展開し、妃の蹴りを受けとめた。

妃「……ふん、その程度!!」

ギャギャギャギャ!!

オーズ「おあ!? こりゃ中々凄いお……!」

フォーゼ「しゃらくせぇ!!」

ブブン!!

辺り一帯全てを吸い寄せるほどの螺旋回転、その威力を前にして障壁が歪みはじめていた。

軍師「……」

それを見て軍師は二人に手をかざした。

軍師「土と水属性の障壁を追加」

821: 2012/07/23(月) 22:41:45.61 ID:XgsqyrWj0
158

--王国--

オーズ「おー!」

フォーゼ「しゃあねぇぜ!」

ブン!

妃「四属性複合障壁……!」

ぎゅるるる、るる

さすがの妃の蹴りも勢いを無くし始め、

軍師「よし、跳ね返せ」

オーズ「おーー」

フォーゼ「らぁぁぁ!!」

障壁の形が変化し、

妃「!!」

バチィン!!

妃を弾き飛ばす。

新王「だめ……だ……逃げるんだ、妃」

822: 2012/07/23(月) 22:42:42.47 ID:XgsqyrWj0
159

--王国--

オーズ「おらおらいくですおー!」

オーズは追撃を加えんとばかりに走りだす。

妃「! くっ!」

ヒュッ、ガ!

妃の迎撃を片腕で受けてみせるオーズ。

ギシシっ

オーズ「……そんなもんじゃないお? もっと見せてくれお!」

ガガガガッ!!

魔力を込めた拳と足による打ち合い、その破壊力は衝撃で地面が凹むほどである。

妃(さすがは人造勇者! ため込んだ魔力を使ってやっとですか~!)

ガガァン!!

823: 2012/07/23(月) 22:43:24.48 ID:XgsqyrWj0
160

--王国--

オーズ(楽しいお! 楽しいお!!)

ガガガガッ!!

フォーゼ「ちぃっ。タイマンモードのスイッチが入っちまったぜオーズのやろぉ」

パキコキ

指を鳴らしその光景を見ているフォーゼ。

軍師「女の子にやろぉは駄目だぜぃ」

オーズ「きゃおーっ!」



ひゅおおおおお

?「……」

その戦いを遥か遠くから見ている者がいた。

832: 2012/07/30(月) 21:57:11.18 ID:baDgqT6V0
161

--王国--

ガガガッガンッ!!

オーズ「おっ」

緩急をつけた妃の攻撃にタイミングを崩され、オーズはガードをし損なった。

妃「しっ!」

決める。

フォーゼ「」

ギンッ!!

妃「!? ッく」

そのつもりで踏み込もうとしたのだが、その瞬間の隙をフォーゼがついてくることを予見し、妃はギリギリのところで踏み止まった。

833: 2012/07/30(月) 21:57:46.70 ID:baDgqT6V0
162

--王国--

フォーゼ「おっ。なんだよ、俺ぁは横槍なんか入れねぇぞこるぁっ! タイマン大好きじゃこるぁっ!」

妃(どうだか~……それに本人にその意志は無くても軍師が動かせばいいだけなんですし~)

軍師「……」

オーズ「今のも面白いお! もっとやるおー!」

ガンッ!!

妃「ッ!!」

ビリビリビリビリ!

考えごとが一瞬ガードを遅らせてしまった。
そのため完全な態勢で受けることが出来ずに、衝撃は妃の体内で暴れ回る。

妃(ぐっ! ぎっ!)

フォーゼ「あ~……ありゃ勝負ついちまったなこるぁっ」

834: 2012/07/30(月) 21:58:41.92 ID:baDgqT6V0
163

--西の王国国境--

潜入兵「はぁっ、はぁっ」

ぎし

潜入長「ぐ……」

潜入長は患者用の衣服で砦内をうろついていた。

潜入長(縄で縛ったぐらいじゃ甘いですね……そんなの簡単ですよ。づっ!)

ジワリと傷口が開くのを感じる。

潜入長(くっ……逃亡防止のために、傷を作って完全に治癒しないのは、どこの国でも一緒ですか)

ずり、ずり

潜入長(ふふ)

潜入長は自分の胸の傷口に手を差し込んだ。

ずる

そして、体内から何かを取り出した。

潜入長(ただでは、負けないんですよ)

835: 2012/07/30(月) 21:59:38.70 ID:baDgqT6V0
164

--西の王国国境--

こく

潜入長「ふぅ……」

潜入長は体内から取り出したカプセル状のものの中身を飲み込むと一気に顔の色が良くなった。

潜入長(生命酒、相変わらず効きますね、一瞬で全快です)

潜入長は体を動かしてみる。

潜入長(……よし、逃げますか)

潜入長は同じく取り出したナイフを装備した。

さささっ

潜入長(今までと普通の配置ですね。これならなんなくいける)

そして誰もいない通路に差し掛かった途端、

カツン

と、誰かの足音が聞こえた。

836: 2012/07/30(月) 22:00:21.66 ID:baDgqT6V0
165

--西の王国国境--

潜入長(? この時間、ここには見張りがこないはずなんだけど……インビジボォ)

じゅじゅ

潜入長は姿を消してその足音の相手が角を曲がってくるのを待った。

カツン、カツン

潜入長(三強レベルじゃなければ一瞬で倒せます)

カツン、カツン、カツン

潜入長(今だ!)

カツン

潜入長(え……)

??「……なるほど。予め体の中に道具を仕込んでおいて、そこをわざと攻撃させることで回収しやすくすると。弱者の知恵というやつですか?」

潜入長(な……な)

??改め秘書「まぁ私には縁のないことですね」

837: 2012/07/30(月) 22:00:51.08 ID:baDgqT6V0
166

--西の王国国境--

潜入長(こ、ここ、この人は!!)

しゃりん

秘書はナイフを抜いた。

潜入長(!! で、でも姿が見えない今ならこっちの方が有利!!)

ざぶしゅ

潜入長「え」

秘書「はぁ」

一瞬で秘書は潜入長の後ろに移動していた。
そして

潜入長「あ、が」

秘書「見えようが見えまいが、人には変わりありません」

ぶしゃああああああああああああああ

潜入長「」

大量の血を噴き出しながら潜入長は倒れた。

838: 2012/07/30(月) 22:01:57.24 ID:baDgqT6V0
167

--王国--

ガガガドボォッ!!

妃「ッ!!」

間もなくして、オーズの拳が妃を完全に捕らえた。

妃「げほっ! がっ!」

妃は地面に倒れ、起き上がることも難しい。

オーズ「お~、防御力はさっきの方があったお~」

じゃり

オーズは

オーズ「もうちょい楽しみたかったのに残念お」

ババチ!!

オーズの右拳に今までの比ではないほどの魔力が一点に集められている。

839: 2012/07/30(月) 22:02:25.28 ID:baDgqT6V0
168

--王国--

バチバチバチバチ!!!!

オーズ「ふっふっふおー」

ごごごご

妃は拳を握りしめている。

妃(っ!! ……こいつ……今まで手を抜いて~……)

フォーゼ「ちぃっ! 俺の出番は無さそうじゃねぇかこるぁぁっ!」

オーズ「おさらばっ!」

妃「」

ぎゅん!!

妃を絶命させるためにオーズの拳が振り下ろされる。

840: 2012/07/30(月) 22:02:55.44 ID:baDgqT6V0
169

--王国--

かたかたかた

王国太兵士「お?」

かたかたかた

テーブルが揺れている。

王国兵士「おい、良い手でもきたのか? 貧乏揺すりが激しいぞ」

王国太兵士「……いや、俺じゃねえ……地震か?」

王国濃兵士「……なんか寒気がするな」

それは全ての人類が抱く、遺伝子に刻まれた氏への恐怖。

王国兵士「なんか……嫌な感じだ。外を見てくるか」

がたっ

841: 2012/07/30(月) 22:03:31.49 ID:baDgqT6V0
170

--王国--

ぎゅおおおお!!

オーズ「!! これって」

フォーゼ「あれが噂のやつかこるぁっ!」

軍師「……」

ぎゅおおおお!!

妃の体から黒い力が勢いよく吹き出している。

ぶちっ!

妃の身体中の血管が破れ、そこから火や風などの各種属性の力が漏れる。

妃「もう、かんっっぺきに怒りました~」

びきびきびき!!

大地が震えるほどのおぞましい力……。

妃「魔王化ですよ~!!」

842: 2012/07/30(月) 22:03:59.76 ID:baDgqT6V0
171

--王国--

オーズ「!」

フォーゼ「はははっ!」

軍師「残念だぜぃ」

バチバチバチ!!

妃「はぁぁ……」

妃は不完全ながらも魔王化を成功させる。漆黒の鎧を身に纏い、所々切れ目から魔力を噴出させていた。

妃「ぐ……なるべく使いたくなかったですが、背に腹は変えられないですからね~」

ギン!

妃は強大な魔力が込められた眼で三人を見据える。

843: 2012/07/30(月) 22:04:28.67 ID:baDgqT6V0
172

--王国--

ビリビリビリビリ!

オーズ「おおっ!?」

フォーゼ「いっちょ前にプレッシャーかこるぁっ!」

軍師(ん、睨まれただけで動けないだぜぃ)

三人は動きを束縛されてしまった。

妃「はぁ~」

ビュオオオ!!

妃が力を込めると、右足を中心に黒い竜巻が発生する。

ババチ!!バチバチ!!

844: 2012/07/30(月) 22:05:32.74 ID:baDgqT6V0
173

--王国--

オーズ「うわ、雷まで発生してるお」

フォーゼ「上等だこるぁっ!」

軍師「さすがにあれを食らったらおだぶつだぜぃ」

三人は込められた魔力からその威力を推し量る。

軍師「やっぱりこの状態じゃあ、魔王化した相手とは戦えないだぜぃ」

オーズ「氏んじゃうお」

フォーゼ「余裕だこるぁっ!」

フォーゼだけは威勢がいい。

軍師「とはいえこのままじゃあ全滅だぜぃ。ならばやるべきことをやるだぜぃ」

軍師は息を吸った。

845: 2012/07/30(月) 22:06:54.96 ID:baDgqT6V0
174

--王国--

軍師「というわけでこちらも全制限解除」

オーズ「」

フォーゼ「」

ピシッ

軍師の宣言とともに二人は動かなくなる。

妃「? 何をする気か知りませんが~、こちとら待ってやる義理はねぇんですよ~!! 魔王技!!」

妃が魔力を推進力に跳躍する。

妃「スパ」

軍師「魔殺モード発動」

ぎゅりり

846: 2012/07/30(月) 22:07:32.07 ID:baDgqT6V0
175

--王国--

妃「!?」

その時妃は微かな違和感を感じた。

妃(なんだろう、てっきり魔王化してくるのだと思ってましたが~……これは)

妃が空中で足を突き出すまでの僅かな時間に、

ずず

オーズ「」

フォーゼ「」

二人は妃の横にまで跳躍していた。

妃「!?」

ぎゅりり

全身を真っ赤に発光させて。

847: 2012/07/30(月) 22:08:25.86 ID:baDgqT6V0
176

--王国--

ドゴガッ!!

腹部と背中に強烈な攻撃を受ける妃。

妃(がっあ!! っ今の私が反応出来ない速度です!?)

フォーゼ「おるぁっ!!」

ギャッ!

妃「ッ」

思考がまとまらぬまま、妃はフォーゼに蹴り落とされる。

ズンッ!

妃「くっ」

地面に落下し、なんとか受け身をとるも

バガキッ!!

接近していたオーズに顔を殴り付けられてしまう。

848: 2012/07/30(月) 22:08:54.38 ID:baDgqT6V0
177

--王国--

ガガッ!ドバキッ!!

軍師「……」

ざり

大臣「ほぉ、当たり前ではあるが、うまくいっておるようだな」

軍師「大臣様」

大臣「くく、まともに魔王化もできない出来損ないと聞いていたから心配していたが……なるほど、さすがに意地は見せるか」

大臣はいやらしい笑みを浮かべながら戦いを眺めていた。

大臣「どうだ軍師、お前から見て魔殺モードは」

軍師「悪くないですだぜぃ、上手く機能していますだぜぃ」

大臣「そうか」

ガガガガッ!ゴッ!ガガッ!!

妃(ッ! なぜここまで圧倒的に!)

849: 2012/07/30(月) 22:10:53.94 ID:baDgqT6V0
178

--王国--

ぼろっ

妃「? ……!」

その時妃は、自分の鎧が所々剥がれていっていることにようやく気付いた。

大臣「ふははははどうです!? 魔王の力を封じ込め、その力を自身に転用する新たな力……これこそが勇者の最終形態!!」

妃(!! 私の方が、弱くなっていたのですか!!)

バッキャ!!

妃「」

オーズ「終わりだお」

無慈悲なオーズの右腕が、妃の胸部を鎧ごと貫いた。

妃「ッッ~~!!」

声にならぬ絶叫。

ゴポッ

妃がせりあがってきた血を吐き出す頃には、全身の鎧は完全に剥がれ終わっていた。

フォーゼ「ち、初めての実戦とはいえよぉ、二人がかりとは情けねぇぜこるぁっ!」

軍師(三対一だってばだぜぃ)

850: 2012/07/30(月) 22:11:46.44 ID:baDgqT6V0
179

--王国--

大臣「よくやった。その氏体はお前達で処理しておけ」

軍師「はっ」

オーズ「めんどうなことは全部私達かお」

フォーゼ「ちぃっ」

大臣は城へと帰っていく。

軍師「じゃあまあ埋めてやるかだぜぃ。……正直嫌いじゃなかっただぜぃこの人達」

オーズ「そうなのかお? 私達は会ったことなかったから」

フォーゼ「……ふん! よぇぇから氏ぬんじゃこるぁあっ!!」

軍師「優しい人達だっただぜぃ……せめて安らかに眠ってもらうのだぜぃ」

ざり

?「……」

フォーゼ「……ん! 誰だてめぇこるぁっ!?」

オーズ「!?」

軍師「……全身包帯巻きの不審者だぜぃ」

その時、どこからともなく、黒い包帯で全身を包んだ、謎の人物があらわれた。

軍師「顔まで包帯だぜぃ……」

フォーゼ「おるぁぁっ!! なんとかいえやこるぁあ!!」

フォーゼが激昂し掴みにかかると、



姿が消えた。

851: 2012/07/30(月) 22:12:50.12 ID:baDgqT6V0
180

--王国--

オーズ「!! 後ろだおフォーゼ!!」

?「ひゅー、ひゅー」

か細い呼吸音をフォーゼの耳が拾う。

フォーゼ「なにっ!? こるぁっ!!」

振り向きざまに裏拳を放つがそこにはいない。
包帯の人物はフォーゼに攻撃をするでもなく、ただ新王達に向かって歩いていた。

オーズ「な、なんなんだお」

軍師「……」

得体の知れないその人物に警戒する三人。

すっ

そして包帯の人物は新王達の氏体に手を伸ばした。

軍師「!! それが目的か! フォーゼ!」

くん!

軍師が命じるとフォーゼが走りだす。

フォーゼ「言われなくてもわかってるぁああ!! 食らえこるぁっ!!」

?「……」

しゅん

フォーゼの攻撃は空振った。そして、

オーズ「そんな……三人とも消えちゃったお……」

軍師「……」

新王と妃の氏体が無くなっていた。

858: 2012/08/07(火) 00:58:35.75 ID:M08JHtbz0
こんばんは!遅くなってしまいました……。
やっとこさ書き上がったので投下していきたいと思います。


あ、前作のキャラを好きでいてくれてありがとうございます……!嬉しいです。彼らはちゃんといつかどこかで出しますので!


えっと、勇者が魔王を倒す力というのは、正規の者以外は持ち得ない力になっています。ゆえに前作でトリガーも言っていたように、

トリガー「ははははっ!!こいつはお笑い草だww君らが勇者?違うだろ?似たような鍵をいくつ作ったところで鍵穴には合わないんだよ。魔王を倒せるのは真の勇者しかいないんだ!!」

という感じで、その時代の勇者以外では倒せる権利を持ちません。そうですね、勇者と魔王の持つ力は特攻レベルの話じゃないかもしれないです。これは戦闘力の問題ではないですね。

なので人造勇者や疑似魔王は戦闘力的には似たような力を持ちますが役割を全うすることはできません。全属性扱えるようになり戦闘力超絶アップくらいに考えていただけたらと思います。
今回の魔殺モードは魔王の力を抑え込むようですが果たしてほんものの魔王にも効くのでしょうかね?

859: 2012/08/07(火) 00:59:01.19 ID:M08JHtbz0
181

--ジャングル--

参謀長「ふあぁあ……いい朝だ」

突撃長「おはようございますですじゃ参謀長殿」

参謀長「あ、おはようございます。早いですね」

突撃長「はは。老人は朝が早いものですじゃよ。玉子は目玉焼きとスクランブルエッグどっちがお好みかな?」

参謀長「奥さんか!……あ、いや……スクランブルをお願いします」

突撃長「はい喜んで」

ガチャ

参謀長「んー……」

外に出て背伸びをする参謀長。

参謀長「今日もいい策謀日和」

860: 2012/08/07(火) 00:59:40.33 ID:M08JHtbz0
182

--ジャングル--

参謀長「んん……はぁ……ん?」

背伸を終えた参謀長は、小屋の前に見慣れぬ箱があるのを発見する。

参謀長「……まつろわぬ黒き民よ」

ささっ

ごき王「ははっ」

参謀長「あれはなんだ?」

ごき王「はっ、三時間前にジャングルの入り口に放置されたものでございます」

参謀長「……なぜそんなもの」

ごき王「この森にあったことは逐一報告せよとのことだったので」

861: 2012/08/07(火) 01:00:24.93 ID:M08JHtbz0
183

--ジャングル--

参謀長「そうか、ご苦労」

ざっ

参謀長は箱に近づく。

参謀長「中身は調べたのか?」

ごき王「もちろんでございます。危険なものではございません」

参謀長「ん」

参謀長が箱に手をやる。

ごき王「ただ」

参謀長「ん?」

ごき王「お気を悪くされませぬように」

862: 2012/08/07(火) 01:01:49.19 ID:M08JHtbz0
184

--ジャングル--

参謀長「?」

ガポ

ふたを開けるとそこには

参謀長「ッ!?」



     (^p^)


参謀長「……潜入、長」

潜入長の首が入っていた。

863: 2012/08/07(火) 01:02:15.99 ID:M08JHtbz0
185

--遺跡--

びゅおおおおぉ

聖騎士「ぶるぅあぁあ……ばかなぁあ、やつよぉお前もぉ……折角生き延びぃぃぃたのだからぁあ、そのまま黙ってぇ余生を送ればよかったものをぉぉぉ」

亜人王「もう十分過ぎるほど余生を送った。それにお前なら気付いているのだろう? あの時溜めこんでいた力を解放してからというもの、力が抜けていくようだ」

もう長くは無い、と亜人王。

亜人王「一個の武人として、最後は戦いの中で散りたいのだ」

聖騎士「……ふるぅあぁあ。われええぇええをぉぉ、自殺のぉぉ手段にすると言うのかお前はぁぁ」

亜人王「違うわ。貴様を倒し、そして燃え尽きるまで」

聖騎士「……」

亜人王の純粋なる瞳を見て、聖騎士は何かを決心した。

聖騎士「……たわけぇぇ……。お前如きにやられると思うのかぁ、この老いぼれがぁあ」

亜人王「ふん、腰を抜かすなよ、小僧!!」

864: 2012/08/07(火) 01:02:49.25 ID:M08JHtbz0
186

--巨大クレーター--

ずんっ!どどーんっ!

フォーテ「あははははーっ!! おもしろーいっ!! 強いなァっ! もしかしたらお兄ちゃんは、今まであった中で一番強いかもっ!! あっ! もちろんお姉ちゃんは除いてねっ!!」

カブト「KAGEROU」

デュゥウン!!

カブトが手をかざすと時が止まった。

カブト「……はっ……こいつは」

カブトは眼前に迫るフォーテと、自分の足元の影から伸びている血まみれの手から離れる。

カブト(出鱈目だ……だが)

カブトは魔力を込めた手刀でフォーテの首を落とそうと

フォーテ「」

カブト「!?」

865: 2012/08/07(火) 01:04:08.57 ID:M08JHtbz0
187

--巨大クレーター--

バッ!!

フォーテ「」

カブト「……嫌な顔をしている」

時が止まった世界で動かないはずのフォーテの顔、それを見ただけでカブトは躊躇ってしまう。

カブト「くそ、時間だ」

……デュゥウン

フォーテ「あらっ?」

フォーテの攻撃が空振りするが、フォーテはすぐさまカブトの位置に目をやる。

花師「げほっ……さすがに強いですね……」

風水師「簡単に倒されちゃったある……」

ぼろぼろになったフォーテの仲間四人は遠くから二人の戦いを眺めていた。

866: 2012/08/07(火) 01:04:49.65 ID:M08JHtbz0
188

--巨大クレーター--

ずずずずずずず

カブト「っ!!」

無数の腕がカブトを掴もうと出現する。

フォーテ「あははっ! 鬼ごっこなのっ!? なら捕まえちゃうよっ! 食べちゃうよっ! 私鬼だよっ!!」

ざわわ

フォーテの背中から黒い触手のような手が生えてくる。

カブト「KAGE」

フォーテ「あははははっ! でも時止められちゃうのはさすがの僕でもめんどくさいから……呪いかけちゃおうかな。次に時を止めたら、そのまま氏ぬまで時が止まり続けちゃうような」

カブト「!!」

悪意と呪詛が世界を染め上げる。

867: 2012/08/07(火) 01:05:23.46 ID:M08JHtbz0
189

--ジャングル--

<作戦フェイズ>

参謀長「作戦会議を行います」

突撃長「なんとまぁ……」

たんぽぽ星人「まさかこんなことになっちまうなんてよ……」

黒肌の青年改め族長「サンボウ……!」

ごき王「ざかざか」

姫「ねーっ! 何があったのー? 姫にも教えてよー」

参謀長「申し訳ありません。今はまだお教えできません。ごき王、眷属を使え」

ごき王「了解ー」

わさわさ!!

突撃長「ひっ!?」

屋根裏から這い出てきた無数のGが姫をさらっていった。

ずざざざざざ!!

姫「にゃーー!! おーぼーえーてーろーーー!」

もこもこズ「「「姫ちゃん待ってー!!」」」

868: 2012/08/07(火) 01:06:17.71 ID:M08JHtbz0
190

--ジャングル--

ごとっ

テーブルの上に潜入長の首がおかれる。

突撃長「むごい……顔の皮が剥がされた形跡がありますですじゃ。他にも色々と痛々しい拷問の跡が……」

たんぽぽ星人「けっ、胸糞悪い話だぜ」

族長「お、おえっ!!」

たまらず台所に駆けこむ族長。

突撃長「それで、氏亡時刻はわかったのですかじゃ?」

参謀長「えぇ、私の魔法、ダメージ履歴観覧で調べた所、約五時間前に殺害されたようです」

突撃長「なるほど……大体こちらの居場所の目星もついているようですじゃな……」

たんぽぽ星人「ん? どういうことだ? 今のそこからどうしてそこまでわかる? 潜入長が全部吐いたってことか?」

参謀長「簡単のことだ」

参謀長はテーブルにおいた紙に字を書き始める。


869: 2012/08/07(火) 01:07:13.23 ID:M08JHtbz0
191

--ジャングル--

キュッキュー

参謀長「まず蘇生魔法が効くのは、対象が氏亡してから24時間以内に限られるわけだ」

たんぽぽ星人「おう。久しぶりのルール確認だなこれ」

参謀長「そして相手は潜入長を殺害してからジャングルの入り口にこの箱に入れて置いておいたわけだ」

キュッキュー

たんぽぽ星人「? わかってることの確認しかしてねぇぞ」

参謀長「相手側の視点で考えてみろ、もしこの女が重要な存在だったらと。それならなんとしても生きた状態で取り返しに来ると思わないか?」

たんぽぽ星人「思うけど……もう氏んでるじゃねぇか。首だけじゃ蘇生は無理だろう?」

参謀長「だから、首から下は預かってるから蘇生が可能な時間無いに取りにこい、ってことなんだよ」

たんぽぽ星人「!!!!」

870: 2012/08/07(火) 01:07:43.15 ID:M08JHtbz0
192

--ジャングル--

突撃長「やられましたなぁ……」

たんぽぽ星人「……それでなんで俺達の場所に目星がついてるって話になるんだよ」

参謀長「全く関係ないところに置いておいて、首が24時間以内に発見されなかったら意味がないだろ? 足取りをたどられて潜入長がジャングルから来たことくらいはばれてるだろうさ」

たんぽぽ星人「!! ……じゃあ、場所がわかっているのに攻めてこない理由は?」

参謀長「あの砦に護りを残しつつ攻めるだけの兵がいない、とか、慣れないジャングルに攻め込むのは良い策ではない、とかか? 考えられるのは。後はそこまでに値する敵と思っていないのか」

突撃長「潜入長が吐いた、もしくは脳を探られて情報を割りだされたという可能性はどうですじゃ?」

参謀長「潜入長は潜入行動だけなら最高の人間だ。何をされても吐きはしないし、脳をいじり回されたとしても自分にロックをかけて漏らしたりはしなかったと思います」

突撃長「……思う?」

参謀長「履歴が改竄されています。氏亡時間くらいしかわかりませんでした」

突撃長「なるほど……」

871: 2012/08/07(火) 01:08:14.40 ID:M08JHtbz0
193

--ジャングル--

たんぽぽ星人「いやちょっとまてよ、そのダメージ履歴まで改竄することができるっていうんなら、五時間前に殺されてるっていうのも嘘かもしれねぇじゃねぇか」

参謀長「だな、その可能性もなくはない」

突撃長「ですじゃ」

たんぽぽ星人「だったら罠かもしれないだろ?」

参謀長「いや元々罠だ」

たんぽぽ星人「そうだが、かかる必要のない罠かもしれないだろってことを言ってんだよ」

突撃長「……」

参謀長「もう蘇生は不可能かもしれないから、諦めて行くのはやめよう、ってことか?」

たんぽぽ星人「……あぁ」

族長「話ワカラナイ……」

872: 2012/08/07(火) 01:08:46.97 ID:M08JHtbz0
194

--ジャングル--

参謀長「これは勘に過ぎないが、この時間だけは信用できると思う」

たんぽぽ星人「なんでだよ」

参謀長「それ以外の情報を全て消して、この時間の情報だけ残したのは、俺達への宣戦布告でもあるんだろう」

突撃長「……」

参謀長「やつらは潜入長を見て中々の使い手であると感じ取ったはずだ。そして潜入長を送り込んだ組織が西の王国に対して何かを企んでいるということも」

突撃長(……あそこまで潜入に特化した人間が、たった一人で動いてるわけがないと思うのが普通ですじゃ)

参謀長「だが、本気を出して駆逐するまでもないと思ったんだろうよ。それなら例え今の状況がどうであれ、全力で狩りにきているはずだ」

たんぽぽ星人「……」

参謀長「俺が思うに、奴らは潜入長を倒し、数々の拷問をしたはいいが情報を得ることができなかった。みすみす簡単に捕まるようなスパイを送り込んでくるマヌケなバック、だが情報を渡すことはなかったスパイの意地。完全な脅威ではないものの、多少は気になる相手くらいには考えてるんだろう。だから」

参謀長は視点の合っていない潜入長の顔を見る。

873: 2012/08/07(火) 01:09:20.09 ID:M08JHtbz0
195

--ジャングル--

だん

参謀長「やつらは挑戦状を送りつけてきたんだ。自分から出向くほどの価値はないが、歯向かうのなら潰す、ってな」

たんぽぽ星人「……はぁ……なるほどな。潜入長がなまじ優秀だったから、俺達が見捨てずに取り返しにくるだけの価値はあると、そう思われちまったってのもあるのか?」

参謀長「恐らく」

たんぽぽ星人「……いくのか? 罠だぞ」

突撃長「もちろんですじゃ……! 仲間をこうまでされて黙っていては武人の名折れ!」

ごき王「私は我が主のご意向のままに」

族長「よくわからないが、サンボウの仲間が殺されたのなら、報復するのに力を貸す! 仲間の仇はとる!」

参謀長「あぁ、大事な仲間を失うことはできないからな」

参謀長は小さく、

参謀長「姫のためにも」

と、呟いた。

874: 2012/08/07(火) 01:10:15.19 ID:M08JHtbz0
196

--ジャングル--

参謀長「というわけでこれから西の王国、国境警備の砦にうってでます」

姫「はにゃ?」

泥だらけで返ってきた姫にいきなり宣言する参謀長。

姫「どうして?」

参謀長「領土を取るためです」

姫「ん~? でもいきなりやっちゃったらこくさいしゃかいが黙ってないんじゃないのー?」

もこもこズ「「「そうだそうだそうだー!!」」」

参謀長「……潜入長がとらわれています」

姫「にゃっ!?」

もこもこズ「「「にゃっ!?」」」

875: 2012/08/07(火) 01:10:43.45 ID:M08JHtbz0
197

--ジャングル--

参謀長「我々は潜入長を取り返し、ついでに領土も奪ってきます」

たんぽぽ星人「なんかすごいこと言いだした!?」

姫「わかった! 潜入長捕まえてるやつらぜんいんぶっころしてこいっ!!」

突撃長「姫様っ!?」

族長「それじゃあサンボウ! 俺は若いやつらに声かけてくるぞ!!」

ばたんっ

ごき王「では私めも」

がさささ

突撃長(しかし……どう解決するつもりなのでしょうか……これでは)

876: 2012/08/07(火) 01:11:17.35 ID:M08JHtbz0
198

--ジャングル--

ザっ!!

族長「黒虎の部族、精鋭八名参上!!」

ごき王「まつろわぬ黒き民、だいたい七百匹参上!!」

たんぽぽ星人「黄金の獣、たんぽぽ星人、二十三名参上!!」

参謀長「うわっ・・・私の兵力、少なすぎ・・・?」

突撃長「っていうかGとたんぽぽ増えてるですじゃ」

たんぽぽ星人「急すぎたからな、今回じゃこれくらいが精いっぱいだぜ。どうだ? 俺ができるのはここまでだぜ? 後はお前の作戦次第だ。いけるのか?」

参謀長「……あぁ、やってみるさ」

ザザっ!!

参謀長「潜入長奪還作戦、開始!!」


タイムリミットは後、十五時間……

877: 2012/08/07(火) 01:11:52.00 ID:M08JHtbz0
199

--西の王国国境--

ぴちょん

首の無い氏体を前に秘書と槍兵が立っている。

槍兵(いちいちやることがえげつねぇなぁこの人)

秘書に見られないように舌をだす槍兵。

秘書「槍兵、あなた一度捉えた敵兵を脱走させてしまうだなどと、西の三本角にあるまじき行為ですよ?」

槍兵「そんなこと言ったってなぁ。俺の仕事は敵を倒すことだし、倒した後のことなんかしらねぇよ」

秘書「……」

ジロ

槍兵「うっ」

秘書「あなたはここで番をしていなさい」

カッカッ

槍兵(ちぇっ、国家の最高戦力がモルグで店番とは、ね)

878: 2012/08/07(火) 01:12:35.93 ID:M08JHtbz0
200

--ジャングル--

姫「で、姫ちゃんおいてっちゃうしー」

もこじ「姫ちゃん、僕がいるもきゅよ! 一緒に遊ぼうもきゅ……ん?」

がささ

もこじ「何かいっぱいいるもきゅ!! 僕のうしろに隠れて姫ちゃん!!」

姫「姫ちゃんの方がもこじより体大きくて隠れきれないんだけどどうしたらいいもきゅっ!?」

がさっ

?「す、すまねぇが、水と食料を分けてくれないか……? 子供達もいるんだ……」

ボロボロの衣服で出てきたのはやせ細った男と、

??「お願いします。私たちに出来ることならなんでもいたしますので」

赤毛の猫耳少女と子供達だった。

886: 2012/08/14(火) 00:12:31.06 ID:yUyaJLLp0
201

--西の王国国境--

国境近くの森の終わりに、参謀長達は隠れていた。

参謀長「それでは……作戦開始!!」

黒肌の戦士「ウオオオオオオオオ!!!!」

木々の影からたくさんの兵士達が飛びだした。


見張り兵「!? 敵襲です!! 秘書様のもくろみ通り来ました!!」

秘書「……ですね。」(あの姿……ジャングルに住む原住民?)

兵達は蜘蛛の子を散らしたように一斉に走り始めた。

887: 2012/08/14(火) 00:13:27.56 ID:yUyaJLLp0
202

--西の王国国境--

見張り兵「弓兵部隊、魔法攻撃部隊! 撃てー!!」

ヒュンヒュンボォォン!!

たんぽぽ星人「おいでなすったぜぇ!!」

ヒューン……ドッゴォーーン!!

族長「サンボウ! まるで雨のように降り注いでいるぞ!!」

族長は後ろの茂みから叫ぶ。

参謀長「ん? 突破できないかの?」

族長「ふっ! まさか!!」

ひゅんひゅん!!

見張り兵「!?」

黒肌の部族達は矢と魔法を交わして進んでいく。

888: 2012/08/14(火) 00:14:04.87 ID:yUyaJLLp0
203

--西の王国国境--

族長「俺達は危険を肌で感じる! あんなもの、モンスターの攻撃に比べたら遅いぐらいだ!!」

たんぽぽ星人「俺はよけきれないがな!! ぐああああああああああああ!!」

火の魔法が着弾し、燃えていくたんぽぽ星人。

たんぽぽ星人「あぁ!! 俺が燃えている!? くそう!! おい参謀長!! 本当にこんな戦術でいいのか!?」

参謀長「まぁ、ダメで元々だ」

たんぽぽ星人「!?」

参謀長「それよりさっきの話は本当なんだな? お前はいくらでも分身できるし、分身が殺されてもお前自体が氏ぬことはないっていうの
は」

たんぽぽ星人「あぁ。分身を生み出すのは時間と労力がかかるがな。俺さえ氏ななければ大丈夫よ。あ!! また氏んだあああああ!!」

参謀長(やれやれ。人形師やネクロマンサーも裸足で逃げ出す性能だぜ……)

889: 2012/08/14(火) 00:14:53.62 ID:yUyaJLLp0
204

--西の王国国境--

見張り兵「……本当にこんな作戦でうまくいくと思っているのか? やぶれかぶれに突っ込んで来て……。黒肌の者達にはあまり当っていないようだが、それでもこのままじゃ全滅だぞ?」

秘書「相手の心配ですか?」

見張り兵「い、いえ! 決してそんなことでは! ただ何を考えてこんなことをと……」

秘書「そうですね。何かあると考えて動くべきでしょう。が、そう考えさせられているのが既に術中なのかもしれませんね」

ヒュン、ドズッ!!

見張り兵「ぐえ!?」

黒肌の超戦士「はっはー! あたったぜー!!」

大柄な男が投げた槍は見張り兵の喉を貫いた。

秘書「はぁ。視界の端に入っていたでしょうに。こんなものも避けられないのですか……国境警備の兵のことをもう少し考えねばならないかもしれませんね」

890: 2012/08/14(火) 00:16:01.42 ID:yUyaJLLp0
205

--西の王国国境--

見渡すと、けして少なくはない犠牲者が出ていた。

秘書(こちらは城壁の上だというのに……。あちらの被害は植物系のモンスターだけですか)

ヒュン

秘書は飛んできた槍を軽々と避けて見せる。

秘書(ここで私が下りるのは敵の術中でしょうか? あの配置で紋章陣ということも無いと思いますが……)

ドッ!!

若い見張り「お、おい!! 火のついた槍が投げ込まれたぞ!!」

ドッガーン!!

爆発。

秘書(つっ! ……この城壁を崩す策があったとしたら……後手に回るのは危険ですか)

ザっ

秘書(あれこれ悩んでいる時間が何よりもったいない)「私がでて殲滅します!」

891: 2012/08/14(火) 00:16:41.90 ID:yUyaJLLp0
206

--西の王国国境--

すたっ

秘書「……」

秘書が地上に降り立った瞬間、なぜか戦場が無音になる。

黒肌の戦士「……ごくり」

たんぽぽ星人「ふぅう。やりなれてる雰囲気出しちゃってまぁ、余裕すら感じるぜ」

ざざっ

黒づくめの醜男「女王」

族長「!? い、いきなり人が増えたぞ!?」

参謀長「……あれは強いな」

892: 2012/08/14(火) 00:17:19.83 ID:yUyaJLLp0
206

--西の王国国境--

すたっ

秘書「……」

秘書が地上に降り立った瞬間、なぜか戦場が無音になる。

黒肌の戦士「……ごくり」

たんぽぽ星人「ふぅう。やりなれてる雰囲気出しちゃってまぁ、余裕すら感じるぜ」

ざざっ

黒づくめの醜男「女王」

族長「!? い、いきなり人が増えたぞ!?」

参謀長「……あれは強いな」

893: 2012/08/14(火) 00:17:48.25 ID:yUyaJLLp0
206

--西の王国国境--

すたっ

秘書「……」

秘書が地上に降り立った瞬間、なぜか戦場が無音になる。

黒肌の戦士「……ごくり」

たんぽぽ星人「ふぅう。やりなれてる雰囲気出しちゃってまぁ、余裕すら感じるぜ」

ざざっ

黒づくめの醜男「女王」

族長「!? い、いきなり人が増えたぞ!?」

参謀長「……あれは強いな」

894: 2012/08/14(火) 00:18:45.63 ID:yUyaJLLp0
207

--西の王国国境--

秘書「何をしていますか、私はあなたたちに出てくるよう連絡をした覚えはありませんが」

黒づくめの醜男「そう言ってくださるな女王。私らは貴女がいなくなってしまっては氏ぬしかないのですよ」

秘書「それにしても余計なお世話です。今この状況のいて私は無敵です」

たんぽぽ星人「はん!! それはどうかな!!」

ダダ!!

たんぽぽ星人は巨大な丸太を抱きかかえ、走る。

黒づくめの醜男「!!」

たんぽぽ星人「あんたが強いのは人間にだけだろう!?」

秘書「!」

ブンッ!!

895: 2012/08/14(火) 00:20:02.96 ID:yUyaJLLp0
208

--西の王国国境--

ドシャっ!!

醜男のナイフがたんぽぽ星人の首を斬り落とす。

黒づくめの醜男「くっくっくっ……あんなことをおっしゃっておりますが?」

秘書「……敵が誰なのか興味が出て来ました」

ビリっ

秘書はスカートを破くと、中から、ところどころに刃がついた鎖のようなものを取り出した。

黒づくめの醜男「ほっ? ……それを使うのですか?」

秘書「ええ」

ジャララ

たんぽぽ星人「結構長いのが入ってたんだなぁ」

896: 2012/08/14(火) 00:21:18.66 ID:yUyaJLLp0
209

--西の王国国境--

ひゅーん、ひゅーん

それをグルグルと振りまわす。

たんぽぽ星人「それがどうしたっていうんだー!!」

ひゅ

どぶしゅっ!!

たんぽぽ星人の首が秘書の攻撃によって吹き飛ばされる。

族長「!! サンボウ!? あいつは人しか倒せないんじゃないのか!?」

参謀長「奥の手か……美学なんか持っているやつじゃなかったか」

897: 2012/08/14(火) 00:22:21.14 ID:yUyaJLLp0
210

--西の王国国境--

ひゅーん、どばっ!!
ひゅーん、ずしゅっ!!

黒肌の女戦士「ぎゃああああああああああ!!」

たんぽぽ星人「ふぐぅぅん!!」

秘書が一振りするだけで三つの氏体ができあがる。

族長「くっ!! 化物め!! サンボウ!! 俺が行く!!」

参謀長「いやその必要はない」

族長「だが!!」

参謀長「行ってももう、無駄だ」

ひゅーん、ひゅーん

悲鳴はもう聞こえなくなっている。

898: 2012/08/14(火) 00:22:49.78 ID:yUyaJLLp0
211

--西の王国国境--

秘書「……」

秘書は参謀長を視認した。

参謀長(あれはなんだろうな。魔剣系の武器であることは間違いないんだろうが……。スキルを書き変える能力……とか?)

ひゅーん、ひゅーん

参謀長「あ、やば」

ズドン!!

木々を掻い潜った刃が参謀長の胸を貫いた。

ジャララララララララララ!!!

族長「さ、サンボウ!!」

899: 2012/08/14(火) 00:23:22.66 ID:yUyaJLLp0
212

--西の王国国境--

がさがさがさ

ごき王「こっちの道は見張り一人だけです」

突撃長「……なんだかごき王殿の方が潜入するの得意な気がするのは私の勘違いなんですかじゃ?」

もこいち「もきゅー。ぼくの擬態能力を利用するなんて参謀長は人使い荒いもきゅー」

突撃長「適材適所というやつですじゃ。働かざるもの食うべからずですじゃ」

ごき王「盗み聞きしてきました。どうやらこの先の監房に胴体があるようです」

もこいち「もーさっさと氏体回収しておさらばするもきゅー。僕もう姫ちゃんと遊びたいもきゅー」

突撃長「この仕事が終わって平和になったら飽きるほどあそべるですじゃ」

もこいち「本当もきゅかー? 僕をやる気にさせようと嘘ついてるんじゃないもきゅよねー?」

突撃長「嘘なんかついていませんですじゃ。さぁもうひとふんばりですじゃ!」

このもきゅもきゅ言ってる生物がかつて地球を支配していたこと、そして人類を抹頃しようとしていたことを突撃長達は知らない。

900: 2012/08/14(火) 00:24:11.72 ID:yUyaJLLp0
213

--西の王国国境--

ごき王「ここですね」

突撃長「ふぅ。後ろから一撃とはいえ中々見張り殿の頭を叩き割るのも大変ですじゃ」

突撃長は斧についた血を拭う。

ごき王「……ん? ちょっと待ってください。中から気配が」

どっがあああああああああああああああああん!!!!

突撃長「!?」

もこいち「もきゅ!?」

ぱらぱら

槍兵「へへ……ここまで来やがったか。いやよくぞ来たと言うべきだな」

ドアから突きだしている槍。

槍兵「やっと俺も暴れられるってもんさ!!」

901: 2012/08/14(火) 00:24:39.41 ID:yUyaJLLp0
214

--西の王国国境--

突撃長「!? こっ、これは槍兵殿!?」

槍兵「ほう、俺のこと知ってるのか? 俺よもうやく三強として名が知られてきたってところか?」

もこいち「なんてこったもきゅ! まさか槍兵だなんてもきゅ!!」

ごき王「えぇ、驚きですね」

槍兵「んん? 俺がこんなところにいるなんて想像もしなかったか? まあ三強が氏体を見張ってるだなんて普通は思わねぇだろうからなぁ!!」

突撃長「い、いえまさかここまで予想通りに行くとは思わなかったものですからじゃ」

槍兵「……ん?」

突撃長「槍兵殿、お手合わせ願いますですじゃ!!」

902: 2012/08/14(火) 00:25:07.52 ID:yUyaJLLp0
215

--西の王国国境--

秘書「!?」

黒づくめの醜男「これは……まさか」

ずらぁあぁあ

黒肌の戦士「あぁーあー」

黒肌の女戦士「あぁあああ」

たんぽぽ星人「にゅおおおおお」

秘書「氏体が起きあがった……ネクロマンサーか!」

黒肌の戦士「ぐああああ!!」

武器を握りしめ秘書に殴りかかる戦士。

秘書「!?」

ごっ!!

903: 2012/08/14(火) 00:25:33.27 ID:yUyaJLLp0
216

--西の王国国境--

族長「!? 入った!?」

たんぽぽ星人「ま、まじか、あの無敵の化物女に一撃入った!?」

ぽたっぽたたっ

秘書「ぐっ」

黒づくめの醜男「女王!! この!!」

醜男はナイフで切りつけるが、

黒肌の戦士「あぉあああ」

黒づくめの醜男「!! 氏体相手では我らの技術は!!」

どごすっ!!

黒肌の女戦士「ああああああああ」

後ろから近寄ってきた女戦士の槍が醜男の背中に深々とめり込んだ。

ブシュッ

それは醜男の前の戦士まで刺してしまうほどに。

904: 2012/08/14(火) 00:26:06.21 ID:yUyaJLLp0
217

--西の王国国境--

秘書「ぐっ!!」

ひゅーん、どがっ!!

黒肌の中年戦士「あああぁあ」

たんぽぽ星人「にょわあぁあ」

黒肌の超戦士「おっす! おっす! ばっちしっ!!」

吹き飛ばされては群がる氏体の山。

秘書「ぐっ!」(モンスターに相性がよくなるだけの魔剣じゃあ、氏体を相手にはできない!)

ひゅーん、がすっ!!

黒肌の女戦士「みゃああああ!」

がぶっ!!

秘書「!!」

後ろから秘書の右肩に齧りつく女戦士。

905: 2012/08/14(火) 00:27:03.49 ID:yUyaJLLp0
218

--西の王国国境--

ぶしゃっ!!

秘書「くっ!!」

秘書はそれを振りほどく力すら持ち合わせていない。

秘書(……例え人型であろうとも……私のスキルは発動しない)

ばきめき

秘書(づっ!! ……氏体は人ではない、から!)

どさっ!

組み伏せられて地面を這いつくばる秘書。

参謀長「ははは」

秘書「!? お前……」

ばたっぼたたっ

胸部に穴の空いた参謀長が立っていた。

906: 2012/08/14(火) 00:27:31.31 ID:yUyaJLLp0
219

--西の王国国境--

秘書「……なぜその傷で立っていられる?」

参謀長「さぁ、なぜだと思いますか秘書殿」

秘書「ネクロマンサーの魔法では自我が保てないはずだ……細かい操作もできないゆえの氏体操りなのだろう?」

参謀長「その通り」

秘書「なら、お前は一体どうやって氏んだままそこにいるんだ!!」

参謀長「申し訳ないことですが、それにはお答えできません秘書殿」

秘書「……お前か。お前が私のことを知っていたのか。私を知る者など数えるほどしかいないというのに」

参謀長「俺のことなんかどうでもいいんです。秘書殿、今日はお願いがあってきました」

秘書「!?」

907: 2012/08/14(火) 00:28:23.78 ID:yUyaJLLp0
220

--西の王国国境--

秘書「お願い……だと?」

参謀長「はい」

参謀長はしゃがみ込んで秘書の頭に手を伸ばす。

シュン

参謀長「あら?」

秘書が顔をあげ、口から剃刀のようなものを飛ばして参謀長の手首を切断する。

ぶしゅー

参謀長「無駄なことを」

秘書「! ……」

参謀長「お願いの内容を申し上げます秘書殿」

ゴッ

参謀長は秘書の頭を踏みつける。

参謀長「我らの国を、西の王国の同盟に加えて欲しいのです」

913: 2012/08/22(水) 01:22:49.22 ID:kMbFyQSj0
221

--西の王国国境--

秘書「……なぜこの国境の砦に私がいると考えたのですか?」

参謀長「? どういうことです? 秘書殿」

秘書「とぼけるな。私がこの戦場に出現した時、お前の兵達は身構えた。あれは私が現れるのを知っていて、私がどんな存在かわかった上での反応だった!」

参謀長「……」

秘書「私の力を知っている兵もいた。私への対応も悔しいが見事だ。だがそれは私がここにいることを知っていなければ対応できまい」

参謀長「……うーむ」

参謀長は腕を組んで考える。

参謀長「うん……そうですね。我々があなた方にとって有意義な存在であるとわかれば同盟も組みやすいでしょうし、一つ種明かしをしてみますか」

秘書「……」

秘書は参謀長の目を見つめていた。

914: 2012/08/22(水) 01:23:17.05 ID:kMbFyQSj0
222

--西の王国国境--

参謀長「まず我々がこの砦を調べるように命じた潜入長ですが、彼女はあれで中々腕の立つ人物です。堅固な砦であれなんなく潜入し、必ずや中の情報を調べあげてくれるものだと確信していました」

たんぽぽ星人「回復班ー今のうちに回復たのむー」

周りは次のステップへと動き出していた。

参謀長「砦潜入までも含め、全部で二ヵ月以内には任務を完遂させて帰還してくるものだろうと考えていました。が、彼女は帰ってこなかった。これはきっと帰還不可能になる不足の事態が発生したのだと考えました」

秘書「……」

参謀長「簡単に考えれば彼女は倒された可能性がある。しかし彼女は逃げのエキスパート、多人数に発見され袋叩きに合うことはありえない。倒されるとしたらタイマン、それも実力的に言えば三本角以上の相手のみに限られる」

秘書「……それで私がいると?……違いますよ、私は彼女を倒していない」

参謀長「わかります。槍兵に倒されたんでしょう」

秘書「!?」

915: 2012/08/22(水) 01:23:54.73 ID:kMbFyQSj0
223

--西の王国国境--

参謀長「彼女は槍兵に見つかり、倒され、それから数週間投獄させられていたんでしょうね。本国からの応援が来るまで」

秘書「待ちなさい。なぜ槍兵がここにいると考えたのですか。そもそも最高戦力である三本角がここに来ていることなど普通に考えればあり得ないことでしょう?」

参謀長「確かに確率は低いですが、簡単なことです秘書殿。先ほども述べました通り、潜入長が倒されるとしたら三本角レベルだけだ。だとしたらいる確率は低かろうが、いるに決まっている。私はそう強引に推理しました」

秘書「……」

参謀長(別に強引でもなんでもないけどな)

秘書「……そしてなぜ槍兵がいると考えたのですか」

参謀長「……もし他の三本角、変化師がいたのなら、潜入長を倒した後、彼女に変化してジャングルをうろつけばいい。そうすれば簡単に我らを一掃できたはず」

参謀長は秘書から足をどけた。

参謀長「他の三本角、テンテンがいたとするのなら、とっくに彼女の広域レーダーで我々の位置など把握されてしまっているはず。最も、真の最高戦力である彼女がこんな地方に来たりはしないでしょうが。おつむ的にも」

秘書(こいつ……)

916: 2012/08/22(水) 01:24:27.71 ID:kMbFyQSj0
224

--西の王国国境--

参謀長「残るは秘書殿か人造魔王のお二方だけですが、秘書殿がここにいたのなら盗賊なぞせずにすぐに行動に移していたはず。投獄されているような期間があるはずもない。貴女は時間に厳しい人ですから」

秘書(どこかで……会ったことがあるのか?)

参謀長「最後の可能性である人造魔王ですが、馬鹿をこんな所に来させても何もできないでしょうからね。ゆえに推測した答えは、『潜入長が予定を大幅に過ぎているのに帰還しないのは三本角の槍兵に倒されたためである。そして対応を本国に報告したのちにやってきたのが秘書殿』 ってとこですか」

秘書「……なぜ私がここにいるのを知っていたのか、その答えを聞いていないぞ」

参謀長「だってあれは君が好きな拷問の仕方にそっくりだったんだもの」

そう、にやりと参謀長は笑った。

秘書「……!? まさか……まさかお前は……」

参謀長「……はい? 私は亡国のしがない付き人です」

秘書「頃した……はずだ」

917: 2012/08/22(水) 01:24:54.20 ID:kMbFyQSj0
225

--西の王国国境--

槍兵「……」

突撃長「はっはっ!! 見事な槍捌きですじゃ……これほどの槍使い、二人といないでしょうですじゃ」

もこいち「そもそも接近戦で槍は最強もきゅよ。まともに行ったらかなわないんだもきゅ。さっさと参謀長の作戦通りやっちゃうもきゅよ」

ごき王「そうですね。三方向からの同時攻撃でしたね」

槍兵「……」

スッ

もこいち「あー、作戦ばらすから壁を背にしちゃったもきゅー」

槍兵「なんだ? 後ろから攻撃すりゃ勝てるってかよ」

そう言うと槍兵はあえて三人に近づいていく。

918: 2012/08/22(水) 01:25:38.71 ID:kMbFyQSj0
226

--西の王国国境--

もこいち「うわー。挑戦的もきゅねー。こりゃー僕も本気を出さなきゃいけないもきゅね」

むき

突撃長「お?」

むききき

もこいち「ふしゅううぅう……」

もこいちの筋肉は数倍に膨れ上がり、先ほどまでの愛くるしい姿からは想像もつかない。

槍兵「……なんかお前見たことあるような気がするんだけど」

もこいち「気のせいもきゅ、僕は本編の第三部になんて出ていないもきゅよ?」

919: 2012/08/22(水) 01:26:08.01 ID:kMbFyQSj0
227

--西の王国国境--

突撃長「ずあぁあーっっ!!」

ドギャン!!

踏み込んできた突撃長を槍先で貫き、

もこいち「もぎゅう!!」

バガッ!!

一瞬で引き抜いて横薙ぎでもこいちを弾き飛ばす。

ごき王「む、強い……!」

突撃長「げっふ……間合いに踏み込むことすらできないとは……」

もこいち「遊んでる場合じゃないもきゅよ突撃長!!」

突撃長「そう、ですじゃな」

突撃長は穴のあいた腹部を押さえている。

920: 2012/08/22(水) 01:26:34.17 ID:kMbFyQSj0
228

--西の王国国境--

突撃長は自慢の斧を握る手に力を込める。

ぎちち

槍兵(じいさんが来るか?)

突撃長「スキル!!」

ダッ!!

駆けだす突撃長。

槍兵(歳か、おっせぇ)

ひゅ

槍兵が迎撃として放った槍は、突撃長の首に正確に向かっていく。

突撃長「槍破壊!!」

槍兵「!?」

921: 2012/08/22(水) 01:27:05.11 ID:kMbFyQSj0
229

--西の王国国境--

バキャアア!!!!

槍兵「!!!!」

突撃長の斧が振り下ろされ、槍兵の槍が粉々に砕かれた。

カン、カラカラカラ

槍兵「なっ……」

突撃長「ほっほっ。斧をなめたらいけませんよ」

槍兵(高速で接近してくる槍に斧を当てるとは……スキルの速度補正か。ちっ! やっちまったぜ)

槍兵は柄だけになった槍を捨てる。

もこいち「これで僕達の勝利は確定もきゅ!!」

ごき王「……いやどうでしょうかね」

922: 2012/08/22(水) 01:27:32.29 ID:kMbFyQSj0
230

--西の王国国境--

もこいち「へっ?」

ごき王「なんだかまだ、嫌な予感がするのですよ」

突撃長「ですじゃ」

槍兵「おいおい、攻めてこないのかよ。せっかく槍をぶっ壊したって言うのに。今俺は好きだらけなんだぜ?」

槍兵は両腕を広げてアピールする。

突撃長「……迷っていてもらちがあかないですじゃ。ならば!!」

突撃長は斧をふりかぶった。

がぎぃん!!

突撃長「!!」

槍兵は右腕で斧を受け止めた。

突撃長(さすがに小手だけで受け止めることが……この手ごたえ!!)

923: 2012/08/22(水) 01:28:01.46 ID:kMbFyQSj0
231

--西の王国国境--

しゅる

槍兵は小手の下に槍を隠していた。

ガチン!ガチン!!

足にも隠していた四つのパーツはあっという間に組みあがる。

槍兵(そのまま追撃を加えてきたら刺し頃してやったのによ)

ふおん!!

槍兵はぐるりと回すように振るい、そして、

ドキャッ!!

もこいち「もきゅ」

ザシャッ!!

突撃長「が」

刺頃した。

924: 2012/08/22(水) 01:28:29.43 ID:kMbFyQSj0
232

--西の王国国境--

どさどささっ

ごき王「……手を抜いていましたね」

槍兵「あー? たりめーだ。力の差がありすぎる。俺が本気だしたらあっちゅー間に終わっちまうだろ」

ただでさえ最近戦える機会が少ないのに、っと槍兵はぼやく。

ごき王「……」

槍兵「お前、喋ってるってことはモンスターなんだよな? ゴキブリなんてきもちわりぃ。仕方ねぇから全部ぷちぷちと潰すかぁ」

ひゅん

槍兵は一番戦闘にいたゴキブリに槍を振るった。

しゃっ

しかし槍は避けられてしまう。

槍兵「……あら?」

カサカサカサカサ

部屋中に集まってきたゴキブリは一斉に槍兵に飛びかかった。

925: 2012/08/22(水) 01:28:58.41 ID:kMbFyQSj0
233

--西の王国国境--

槍兵「う、おおおおおおおおおおお!!!!」

バサバサバサバサバサ!!!!

槍兵はゴキブリの大群を目の当たりにし、高速で槍を回し始める。

槍兵「スキル!! 旋風槍!!」

びゅおおおおおおおおおお!!

ゴキブリ達は風で押し戻され壁に叩きつけられる。

べしっ、べしべしっ!

槍兵「こ、こえぇ……DTBのニカみたいな氏に方だけはごめんだぞ……」

ごき王「やれやれ。この姿じゃあどうにもなりませんか」

かさ

槍兵「?」

926: 2012/08/22(水) 01:29:34.17 ID:kMbFyQSj0
234

--西の王国国境--

かさ、かさかさかさ

ゴキブリ達は一か所に集まって、巨大な大きな塊になった。

槍兵「うっわ。蠢いてやがる……これはなんぼなんでもきもちわりぃ。くそ、範囲攻撃とか複数対象の技がなぁ……」

ぎゅちぎゅち

それは徐々に人のような姿へと変わっていく。

槍兵(! なんだ? こいついきなり魔力量が増えやがった!?)

ぎゅちぎゅち

たくさんのゴキブリは、一人の人間になった。

ごき王「……ふぅ……」

槍兵「はっ、気持ちのわりぃ外見じゃねぇならなんの抵抗もッ!?」

メギッ

槍兵の顔に拳が叩きこまれる。

927: 2012/08/22(水) 01:30:17.86 ID:kMbFyQSj0
235

--西の王国国境--

ドッガアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

それは分厚い壁をぶちぬくほどの威力。

ごき王「……立ちなさい。ノックアウトにはまだ早いでしょう?」

パラパラっ

槍兵「がっ……てめぇ」(この俺が油断していたとはいえ、避けられなかっただと?)

がらがらっ

槍兵「ぺっ……てめぇ……なんだか嫌な感じがしやがるぜ」

ごき王「ほう? わかりますか? 私の内に秘めるこの卑しき力が」

槍兵「どっかでお前みたいなのに会ったことがある……どこだったか、な!!」

ひゅん!!

槍兵の高速の突きを紙一重で交わし柄を握るごき王。

槍兵「なっ!!」

928: 2012/08/22(水) 01:30:46.33 ID:kMbFyQSj0
236

--西の王国国境--

ゴッ!!!!

ごき王の右拳が槍兵の頭部を襲う。

槍兵「ッッ!!」

ごき王(すんでの所で防御したか)

シャッ!!

槍兵の左足がごき王に迫るが、それもごき王に掴まれてしまう。

槍兵「っく!!」

ごき王「槍以外で私と互角に戦えるものはないでしょう?」

どげしっ!!

槍兵「あがっ!!」

ごき王は無防備になっている槍兵の腹をけたぐった。

929: 2012/08/22(水) 01:31:13.27 ID:kMbFyQSj0
237

--西の王国国境--

槍兵「てっめぇ!!」

ずぼっ!!

間髪いれずに二撃目、さすがの槍兵もたまらず、胃の中のものを吐きだした。

槍兵「げぇへっ!!」

ずぎゃっ!!

更に放たれる三撃目。槍兵は槍を手放して地面に倒れ込む。

どさっ!!

槍兵「ごほっ!! がほっ!! げほっ!!」

ごき王「自分の武器を手放すとは。おろかな。炎属性付加魔法、」

槍兵「!?」

ごき王の右足が燃えている。

ごき王「レベル2」

930: 2012/08/22(水) 01:31:39.26 ID:kMbFyQSj0
238

--西の王国国境--

ごおおお!!

ごき王の蹴りを受けた槍兵は、部屋の壁にもたれるように延焼している。

ごき王「……」

からんからん

ごき王は槍を投げ捨てると、突撃長ともこいちに近づいた。

ごき王「水属性蘇生魔法、レベル3」

びゅわわあんん

突撃長「……む、む??」

もこいち「あ、あれ? 僕氏んだはずもきゅが」

ごき王「もう大丈夫ですよ。槍兵は私が倒しましたから」

ずがっ!!

ごき王「……」

そう喋るごき王の胸から槍が突きでる。

931: 2012/08/22(水) 01:32:06.05 ID:kMbFyQSj0
239

--西の王国国境--

槍兵「はぁーっ!! はぁーっ!!」

ぶすぶす

ごき王「驚いた。その状態でまだ動けるとは……」

ごき王は自分の体から槍を引き抜くと槍兵に向かって投げ返した。

ぎゅん!!

槍兵「!!」

どっ!!

槍兵「がはっ!!」

体力が減った今の槍兵に、その槍は防ぐこともかわすこともできず、そのまま壁に張りつけられてしまった。

突撃長「ごき王殿!! 大丈夫ですかじゃ!! ……ん? あれ? 穴がふさがってるですじゃ」

ごき王「心配には及びませんよ突撃長さん。私は群で個なのですから」

すっ

ごき王は立ち上がり槍兵に向かって歩いていく。

932: 2012/08/22(水) 01:32:41.85 ID:kMbFyQSj0
240

--西の王国国境--

槍兵「……てめぇ……思いだしたぜその感覚をよ」

ごき王「ほう?」

槍兵「安心感とも恐怖ともとれる、どっちつかずのいけすかねぇオーラ……てめぇは……人造勇者だな」

突撃長、もこいち「「!?」」

ごき王「……ほう。感覚だけでわかるとは。いやはやすごい。……そうです。あなたのおっしゃる通り、私は人造勇者です」

突撃長、もこいち「「!?」」

ごき王「全てのゴキブリを愛し、群であり個である正義の人造勇者」

槍兵「……」

ごき王「私の名は、人造勇者G」

Gは深々とおじぎする。

ごき王あらためG「以後お見知りおきを」

939: 2012/08/26(日) 21:16:22.24 ID:hAlqkLKF0
241

--西の王国国境--

とことこ

もこじ「もきゅー参謀長参謀長ー、もこいち達が槍兵倒して潜入長の氏体を無事回収、今こっちに帰ってきてるもきゅよ」

参謀長「そうか、わかった」

秘書(!……砦内部の話をしているのですか……私を惑わそうとしているのでなければ、通信兵レベルの伝達能力を持つものがいるということですか)

参謀長「ならばこの戦は終わりですな」

参謀長は秘書を立たせて笑う。

参謀長「もこいち、姫様に打電」

もこいち「もきゅー、もこもこちゃんねるにインするもきゅ」

秘書「えっ、今もこもこって」

もこいち「言ってないもきゅ」

940: 2012/08/26(日) 21:16:59.45 ID:hAlqkLKF0
242

--ジャングル--

もこぞう「ぴきゅーん! 姫ちゃん姫ちゃん、参謀長達から連絡あったもきゅよ!」

姫「本当!? ってことは潜入長助け出せたんだね!! やったー!!」

姫は急いでドアを開けた。

姫「あ、大きな音しちゃうかもしれないけど、みんなはゆっくり食べててね!! おかわりは台所にあるからっ!」

??「何から何までありがとうございます……」

がつむしゃがつむしゃ

姫「いいって調教師ちゃん! 困った時はお互い様だよっ!」

?「むっちゃええ子や……まるでツインテ様みたい……」

??改め調教師「えぇ……」

941: 2012/08/26(日) 21:17:47.48 ID:hAlqkLKF0
243

--ジャングル--

姫「方角はあっちでいいの?」

もこぞう「そうもきゅ。あ、右に五度修正もきゅ。それじゃ参謀長達に当たるもきゅ」

姫「オッケー! じゃあいくよっ!」

すっ

姫の顔から普段のバカさ加減が消えて、高貴な顔つきになっていく。

姫「我が王族のみに代々伝わる重き力よ……」

ズン!!

調教師「!! こ、この魔力量は!? 賭博師様!」

?改め賭博師「あぁ……こりゃあすんげぇ……さっきまでの姫ちゃん様からは想像もつかねぇ」

調教師(!! ナチュラルに様付けになってる……)

942: 2012/08/26(日) 21:19:08.00 ID:hAlqkLKF0
244

--ジャングル--

姫「天よりもたらせ……黄金属性魔法、黄金の星」

カッ!!


--西の王国国境--

がやがや

秘書「……戦闘態勢を解くとは……正気とは思えませんね」

参謀長「もう戦う理由は無くなりましたので」

秘書「我々にはありますよ。これは侵略行為です」

参謀長「……では、これを見ていただきましょう」

秘書「……?」

……ぅぅん

秘書(! 何かが高速で接近している?)

943: 2012/08/26(日) 21:20:34.45 ID:hAlqkLKF0
245

--西の王国国境--

ウゥン!

秘書(空か!!)

秘書が上を向くと、

ドッガァァン!!

二十メートルはあろうかという巨大な金塊が落ちてきた。

シュウウ

クレーターを作るほどの質量を持ったそれは、

秘書「ッ……。!! こ、これは!!」

それは、

参謀長「示談金ということで一つどうでしょうか」

巨大な黄金の塊だった。

944: 2012/08/26(日) 21:21:08.51 ID:hAlqkLKF0
246

--西の王国国境--

秘書(こんな巨大な黄金が自然にあるはずがない……これは……かつて社会の法則を乱すとされ、一人残らず淘汰された欠陥属性……黄金の持ち主か)

参謀長「……」

参謀長は秘書の反応からその心中を察する。

参謀長「数々の無礼、どうかお許しください。ですがこのひと騒動は、あなた方に我々の有用さを知っていただくためのデモンストレーションだとでも思っていただければと思います」

秘書「……」

参謀長「どうでしょう、先ほども言いましたが、我々と同盟を組みませんか?」

秘書「貴様たちは国と認められていない……」

参謀長「えぇ。ですから、我々の国を、黄金王国を、国と認めるように他の王国に計らっていただきたいのです」

秘書「黄金王国ッ!? ……よくもまぁいけしゃあしゃあと忌むべき呪われた王国の名を」

945: 2012/08/26(日) 21:21:35.03 ID:hAlqkLKF0
247

--西の王国国境--

参謀長「うちの大事な姫君のためならば動かぬわけにはいきませんから」

秘書「……魔導大老……」

参謀長「……」

秘書「数々の禁術を生み出した、四代目勇者直系の一族の長」

参謀長「……」

秘書「私が頃した時には、すでに不氏の魔法を完成していたのですね」

参謀長「……何のお話やら」

秘書は黙って参謀長の顔を見つめている。

秘書「……いいでしょう。我々とて仲間は多いほうがいいですから」

946: 2012/08/26(日) 21:22:17.66 ID:hAlqkLKF0
248

--ジャングル--

姫「うーんっ! ちゃんとできたかなーっ!?」

もこぞう「報告あったもきゅ! 大丈夫もきゅよ!! たんぽぽ星人が三体潰れただけもきゅっ!!」

姫「それならよかった!! ……ありゃ?」

もこぞう「どうしたもきゅ? あ、なんか落ちてくるもきゅ」

ひゅーーん、どがーーん

姫「な、なにあれ!! ジャングルに落ちたよ!!」

もこぞう「三個だか四個落ちたもきゅね。行ってみるもきゅ?」

姫「うんっ!!」

947: 2012/08/26(日) 21:22:43.28 ID:hAlqkLKF0
249

--ジャングル--

調教師「姫さん。何かあったのですか?」

姫「うん! なんかジャングルに落ちてきたから見てくるのっ!」

賭博師「おいおい、なんだか穏やかじゃねぇなぁ」

むしゃばく

調教師「では、この子をお貸しします」

調教師が超音波を発すると、

バサッ!!

バジリスク「ぎゃおーーーん!」

空からバジリスクが舞い降りた。

姫「うおっ!! かっこいい!! なにこれ!!」

調教師「この子がいれば墜落地点まですぐにいけるでしょうし、ボディーガードもこなせるかと」

948: 2012/08/26(日) 21:23:14.69 ID:hAlqkLKF0
250

--ジャングル--

賭博師「本当は恩を返すために俺らがついていくべきなんだろうけど、まだ本調子じゃないんでな」

姫「ううん、ありがとう!! じゃあよろしくねバジちゃん!!」

姫は嬉しそうに笑うとバジリスクにまたがった。

ぽすっ

バジリスク「……!? この感触はノーパン!?」

賭博師「ガタタッ!?」

調教師「人語喋んなや」

それはそれは恐ろしい目つきだったという。

949: 2012/08/26(日) 21:23:51.70 ID:hAlqkLKF0
251

--ジャングル--

ふしゅーーー

?「あたたー……さすがに今回は氏ぬかと思いましたー……」

??「ごめんなさいですわ……エネルギーが、もう」

???「お腹減ったにょ……」

????「こんな所でギブアップだなんて」

機械の残骸が転がる地面で倒れている四人。

ブラックタイガー「しゃーー!!」

住処を破壊されたモンスターがぞろぞろと集まってくる。

?「あちゃー……潮時ですかー?」

950: 2012/08/26(日) 21:24:18.63 ID:hAlqkLKF0
252

--ジャングル--

バジリスク「ぎゃおおおおおおおおおおお!!」

ばさっばさっ!!

その時空から姫ともこぞうが乗ったバジリスクが飛来する。

ブラックタイガー「ぎゃう!?」

ばさっばさっ。

ブラックタイガー「ぎゅ……ぎゅうう」

バジリスク「ぎゃおおぉ」

モンスターの生態系の頂点に座する竜種の出現に、ブラックタイガーの群れはたじろいだ。

バジリスク「ぎゃおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

ブラックタイガー「きゃんきゃんっ!!」

バジリスクの咆哮に驚いたブラックタイガーは散り散りになって逃げて行った。

?「た、助かったのですー?」

951: 2012/08/26(日) 21:24:57.47 ID:hAlqkLKF0
253

--西の王国国境--

秘書「……」

参謀長「調印、確かに頂きました」

秘書「いつ頃行動を起こすつもりですか?」

参謀長「一年後、くらいでしょうか。それまでにもう少し国力をあげておきますから」

秘書「そうですか」

参謀長「それでは一年後、連合会議にて」

秘書「……了解しました」

バタン

秘書「……敵になるようならば、次こそ完全に頃しますから」

扉を睨みながら秘書はそう呟いた。



参謀長(……はぁ、よかった……作戦のためとはいえ秘書相手にあんな態度しちゃうなんて……未だに心臓バクバク言ってるよ……)

952: 2012/08/26(日) 21:25:24.00 ID:hAlqkLKF0
254

--西の王国国境--

潜入長「ご迷惑をおかけしました!」

砦を出るや否や、潜入長は参謀長に頭を下げた。

参謀長「え?」

潜入長「今回私が自分の役目を果たせないばっかりにこんなに大それたことになってしまって……」

突撃長「そ、そんなことはないですじゃ! 潜入長殿のせいではないですじゃ!」

参謀長「あー」

参謀長はぽりぽりと頭をかく。

参謀長「突撃長さんの言う通りですよ、貴女のせいじゃない。どころかこの展開にもってこれたのは全て貴女の功績だ」

潜入長「……え?」

参謀長「潜入長さんが頑張ってくれたおかげです。責任があるとすれば全ては私にあります。相手の力も測りきれずに危険な目に合わせてしまって申し訳ない」

今度は参謀長が頭を下げた。

953: 2012/08/26(日) 21:26:19.18 ID:hAlqkLKF0
255

--西の王国国境--

潜入長「あ、頭をあげてください! 参謀長さんは悪くないのですから!」

突撃長「……そうですじゃ。結果みんな無事だった。そして国として認めてもらえそうになったのですじゃ、結果オーライというやつですじゃよ」

参謀長「……ふ」

族長「サンボウ! 今日は勝利を祝って祭をやろう!!」

族長が駆け寄って来て参謀長と肩を組んだ。

もこいち「空気よめもきゅー」

もこじ「全くだもキュー」

参謀長「俺的にはちょっと休みたいんだが……」

954: 2012/08/26(日) 21:27:17.83 ID:hAlqkLKF0
256

--西の王国国境--

参謀長「あ、そうだ、潜入長さん、今回の件でひどい目に合わせてしまったお詫びをしたいので、何かあれば言ってくださいね」

潜入長「え……い、いやそれでもでも私だけそんな」

突撃長「ほっほっ。男の責任というやつですじゃよ」

もこいち「僕達には褒美ないもきゅかー!」

もこじ「ストしてやるもきゅー!」

もこもこ達は参謀長の足にからみつく。

参謀長「えぇいやめろ! お前らは姫様から褒美がでるだろきっと!」

潜入長「……ほ、本当によろしいのですか?」

参謀長「え? あ、あぁいいですよ、何がいいですか?」

潜入長「じゃあ、この紙にサインをいただけたらと」

潜入長は一枚の紙を差し出す。

955: 2012/08/26(日) 21:28:05.98 ID:hAlqkLKF0
257

--西の王国国境--

参謀長「紙? サイン? 僕は別にプロ野球選手とかじゃないんですけど……!?」

驚愕の表情の参謀長。

突撃長「? どうしましたですかじゃ参謀長殿……ぬあっ!?」

その紙は……婚姻届。

潜入長「私もそろそろ歳が気になる年頃なので、貰っていただけたらと」

もじもじしている潜入長。

参謀長「……」

突撃長「り、リアル男の責任……ですじゃ」

もこいち「結婚は人生の墓場もきゅ」

もこじ「だとすれば墓場への直送チケットってところもきゅ?」

956: 2012/08/26(日) 21:28:49.95 ID:hAlqkLKF0
258

--西の王国国境--

参謀長「……そういうのはちょっと」

丁寧に返す参謀長。

潜入長「!? な、なんでですか!?」

参謀長「いやなんでっていうか……いきなりそんな……」

潜入長「私がアラサーだからですか!? アラサーの熟れた肉体はお嫌いですか!? それとも私の外見では貴方の趣味に合いませんか!?」

参謀長「いやそういうんじゃなくて……」

もこいち「にやにや」

もこじ「脂汗かいてるもきゅ」

突撃長「……今夜は祭ですじゃな!!」

957: 2012/08/26(日) 21:29:26.46 ID:hAlqkLKF0
ずり

たんぽぽ星人「おいお前ら俺を忘れてるんじゃねぇぞ」

戦場で片足をうしなったたんぽぽ星人が、ずるずると参謀長達を追っていた。



259

--ジャングル--

姫「お帰りー!! みんなー!!」

参謀長「……」

潜入長「……」

突撃長「……」

我が家に到着したみんなだったが、小さな家の中には、

調教師「おかえりなさいませ」

猫耳メイドと、

賭博師「おう、姫ちゃん様から聞いてるよぉ。疲れてるだろ? 今鯖缶あけるから」

うさんくさそうなおっさんと、

きゃっきゃっきゃっ

後ろではしゃぐ子供達と、

?「いやはやにぎやかでよいですなー」

カエルヘッドと、

??、???、????「「「ロボチガウロボチガウロボチガウ」」」

充電中の機械人形が三体いた。

958: 2012/08/26(日) 21:30:12.22 ID:hAlqkLKF0
260

--ジャングル--

ぎゅうぎゅう

姫「おおー!! じゃあ西の王国と同盟組めたんだねっ!? しかも来年にはうちも国として認められるんだねっ!?」

おおはしゃぎの姫。

参謀長「いやそれよりも姫……なんですかこいつらは」

潜入長(私が潜入してる間に随分と家臣が増えましたね……)

突撃長「これは一体どういうことなのですじゃ姫様」

姫「えっと、ジャングルに落ちてたから拾ったのっ!」

参謀長、潜入長、突撃長「「「犬かっ!!」」」

賭博長「ツインテ様を唯一至上の神とするなら、姫ちゃん様は唯一絶対の王だ。この恩は必ず返すぜぇ。な、研究員?」

?改め研究員「もちろんですよー。生まれて初めて人の温かさを感じた気持ちですー。私は一生姫ちゃん様についていきますよー」

??改めウーノ、???改めドゥーエ、????改めトーレ「「「ロボチガウロボチガウロボチガウ」」」

参謀長(研究員……うわーあいつかー)

966: 2012/08/31(金) 23:47:50.42 ID:UcJpdFwT0
261

--ジャングル--

そして一年後。

参謀長「準備はよろしいですか姫」

姫「うんっ! 大丈夫だよっ!! ばっちしっ!! えへへ、どう? 姫ちゃん可愛い?」

姫はふりふりのドレスを着てふわりと回った。

参謀長「あー可愛い可愛い」

姫「ちOちんたつ?」

参謀長「たたねぇよ」

調教師「姫ちゃん様、こちらの準備は整いました」

バジリスク「ぎゃおー」

たしったしっ

調教師がバジリスクの手綱を引いてやってくる。

967: 2012/08/31(金) 23:48:26.46 ID:UcJpdFwT0
262

--ジャングル--

姫「よしっ!! じゃあ行ってくるね!!」

潜入長「行ってらっしゃいませ姫様、参謀長さん」

突撃長「お気をつけてですじゃ姫様。参謀長殿の言うことをしっかり聞くんですじゃぞ?」

たんぽぽ星人「へまぁすんじゃねぇぞ」

族長「いい報告を待ってるぞ! 王! サンボウ!」

G「カサカサ」

968: 2012/08/31(金) 23:49:21.53 ID:UcJpdFwT0
263

--ジャングル--

賭博師「東の王はきっとかたぶつだが、まぁ、姫ちゃん様ならなんとかなるだろ。調教師も道中気を抜くなよ」

調教師「わかっています我が主」

子供達「「「ひめちゃんがんばれぇーーー!!」」」

姫「おー! がんばってくるぞー!!」

研究員「私が手を加えたそのドレスはー緊急時には防護服にもなりますからねー」

ウーノ「私達が途中まで送っていかなくて本当に大丈夫なんでしょうかですわ」

ドゥーエ「撃ち落とされたりしたら危ないよー?」

トーレ「うん、心配だよね」

969: 2012/08/31(金) 23:50:40.38 ID:UcJpdFwT0
264

--ジャングル--

参謀長「調教師がいるから大丈夫だろう。それにそんなに戦力を持っていったら、相手側に身構えられてしまうからな」

姫「だってさっ!! じゃあ行ってくるから留守番よろしくねっ!! しゅっぱーつしんこーー!!」

調教師「かしこまりました。バジリスクっ!」

バジリスク「えっ!? 姫ちゃんまたノーパンッ!?」

どごっ!!

調教師に殴られるバジリスク。

ばさっばさっ

参謀長(……ちょっと不安)

970: 2012/08/31(金) 23:51:17.48 ID:UcJpdFwT0
265

--西の王国--

西の王「今日は各国の三強の情報更新日だが、恐らく勘のいい国は気付いているのだろうなぁ」

秘書「えぇ。この短期間で急成長しすぎですからね」

西の王「しかし研究員め、裏切って新しくできた国に移るとは」

秘書「中々侮れない国になってきましたことですし、ここで恩を売っておくのは得策かと」

西の王「あぁわかってる。これからの世界、もっと強くならねばいけないだろうしな」

秘書「……」

西の王「行くぞ秘書。我々同様、東の王国が手を組んだと言われるもう一つの新国家が気になる」

秘書「はっ」

971: 2012/08/31(金) 23:53:32.16 ID:UcJpdFwT0
266

--空--

ばさっばさっ

姫「ねーねーさんぼうちょー!」

参謀長「なんですか姫ー。酸素薄いんであんま話しかけないでくださいー」

姫「えっとねー。色々とありがとーねー!」

参謀長「はい? なんですってー?」

姫「いろいろやってくれてありがとーねー!! ちょっと好ましくない作戦とか、裏で色々あったっぽいけれど、それもこれも私を思ってやってくれたんだよねーーー。そのおかげで領土があんなに増えたー!!」

参謀長「はー? 寮母ー??」

姫「りょーどーーー。それと、いっぱい家族が増えた……」

参謀長「あいー?? 聞こえないんで後でお願いしますーー」

調教師(……耳がいいから全部聞こえてしまいました)

972: 2012/08/31(金) 23:54:12.23 ID:UcJpdFwT0
267

--北の王国--

北の王「やぁやぁ皆さん一年ぶりですなぁ。お元気してはりましたかー? 今日は遠い所をわざわざありがとうですー」

東の王「……」

北の王「いやー、今回は我が王国から勇者が出てしまったせいで、皆さんをこの国に呼び出さなくてはならんくて、心苦しい限りですわぁ」

東の王「ッ」

見るからにいらいらしている東の王。

西の王「お久しぶりですお二方」

東の王「西の……か。あぁ」

北の王「おぉ! お久しぶりでんがな~!! 最近景気はどうでっか~?」

西の王「まぁまぁですね。後の二人はまだ来ておられないのですか?」

973: 2012/08/31(金) 23:55:00.80 ID:UcJpdFwT0
268

--北の王国--

ザっ

?「遅れて申し訳ない」

東の王「!」

北の王「お~! これはこれは、南の王様! お待ちしてましたで~。と言っても約束の時間までまだありますさかい、ちっとも遅くなんてないでっせ!」

?改め南の王「そうですか、それはよかった」

東の王(あいつは確か……行方不明になっていた南の三獣、鷲男。亜人王が氏んでその代わりを引き継いだのか)

北の王「これであと一人、王国の王様の到着を待つだけでんな~」

南の王「王国の王は私とほぼ同じくして到着していましたよ。もうすぐ来るのではないですか?」

北の王「ありゃ、一緒に来られたんでっか? ならもう少し待ちまひょ」

かつんかつん

??「おや、もしや私が最後でしたかな? これは申し訳ない」

974: 2012/08/31(金) 23:55:55.42 ID:UcJpdFwT0
269

--北の王国--

北の王「王国の王さん!! よくぞいらっしゃいました~!!」

??改め中央の王「いやぁ、私初めて北の国に来ましたが、すばらしい景色ですな。一目で気にいりましたよ。はっはっはっ」

東の王(たかだか大臣風情がいまや一国の王か)

南の王「全員そろったようですね」

西の王「えぇ」

北の王「それでは会議所にご案内いたします~」

ざっざっ

五人の王は城の中へと入っていく。

975: 2012/08/31(金) 23:56:23.22 ID:UcJpdFwT0
270

--北の王国、待合室--

姫「うえー……無事着いたはいいけど寒いよこの国ー……」

姫はがくがくと震えている。

参謀長「そりゃそれだけ露出の高い服着てれば……」

姫「だって我が王国の民族的伝統的衣装だって突撃長がいっいっぶええっくし!!」

びしゃばちゃ!!

調教師「ふえぇ……」

姫「うぅ……お腹も冷えてきたぁ……」

参謀長「……王が列挙してる席で下痢を漏らしたりしないでくださいね……?」

姫「うぅ……」

976: 2012/08/31(金) 23:56:50.93 ID:UcJpdFwT0
271

--北の王国、待合室--

???「やれやれ落ち着きが無い娘なのー」

女性はそう言うと魔力を掌に集めた。

参謀長「……ん?」

???「無属性防御魔法、魔力衣」

ほややん

姫「お!! なんか寒くなくなった!?」

???「魔力のベールで外気との壁を作ったなの! これで寒さとは無縁でいられるなの」

姫「ありがとうお姉ちゃんっ!!」

参謀長(あれ? こいつもしかして)

???「どういたしましてなのっ!!」

977: 2012/08/31(金) 23:57:16.50 ID:UcJpdFwT0
272

--北の王国、待合室--

姫「ところでお姉ちゃん誰っ!?」

???「私のこと知らないなの? 私結構有名なのに……頭ひやそうか?」

調教師「!! まさか五柱の魔導長様!?」

???改め魔導長「ぴんぽんぴんぽん大正解なの~」

参謀長(うわぁやっぱか……)

調教師「魔導長様がなぜこんなところに……」

魔導長「それはねぇ、きっと君達と同じなんじゃないかな~って思うなの!」

姫「えっ!?」

ガチャ

秘書「姫様、どうぞこちらに。皆様の前にお越しください」

姫「あ、来た」

978: 2012/08/31(金) 23:57:51.16 ID:UcJpdFwT0
273

--北の王国、待合室--

姫「じゃあ行ってくるね参謀長!!」

手をぶんぶん振るう姫。

参謀長「お、おう、頑張ってください」

魔導長「あれ?」

魔導長は参謀長を凝視している。

魔導長「……どこかで私、あなたとあったことある? なの」

参謀長「いっ、いやいやそんなことないです私とあなた初めて会ったですなう」

調教師(あからさまに動揺しているっ!?)

魔導長「ふ~ん?」

いぶかしげな表情な魔導長。

979: 2012/08/31(金) 23:58:50.46 ID:UcJpdFwT0
274

--北の王国--

ドアの前で立ち止まる姫。

姫「……」

秘書「どうしました?」

姫「いや、ちょっと、さすがに緊張しちゃってるっていうか、感慨深いっていうかっ!」

秘書「そうですか」

姫「……うん!」

姫は顔をあげる。

姫(やるよみんな! 私の、私達の一世一代の大勝負の始まりだっ!!)

ぎぃ


この日、中央、東、西、南、北の王国連合に、二つの王国が加わった。

ざっ

その一つである黄金王国の王、姫は、

ざっ

姫(よしっ!!)






ブリブリブリブリブリブリブリッ!!!!

王達の目の前で盛大に下痢をぶちまけた。



       黄金王国戦略侵略記
            完

1000: 2012/10/01(月) 21:48:27.96 ID:fhGCYRkA0

それでは……長きに渡って続いてきました募集シリーズ、最終章、
勇者と魔王がアイを募集した
を始めたいと思います。


それでは皆様よろしくおねがいします。

引用: 酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった5