1: 2013/03/09(土) 10:21:25.02 ID:sX4g4/wD0
結菱邸 午後

翠星石 「それでですねー このスレの>>1が
     ハンバーガー買ってくるの待ってるのですよ
    

一葉 「ほう… 何かねそのスレというのは」

2: 2013/03/09(土) 10:23:56.52 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「掲示板のVIPってとこで
     色んな書き込みがあるです
    で>>1がレス付いた分だけ
    ハンバーガー買ってくるって言ってるですよ」

一葉 「なんだかよくわからないが…」

翠星石 「はあ これだから老人は困るです
    今はいんたねーとの時代ですよ おじじ」
アリスゲーム
3: 2013/03/09(土) 10:25:48.88 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「それで126個買ってくるですよー」

一葉 「126個って… そんなに買って食べきれるのかね?」

翠星石 「そりゃ無理ですけど」

一葉 「よくわからないな…」

4: 2013/03/09(土) 10:27:32.62 ID:sX4g4/wD0
一葉 「どうして>>1さんはハンバーガーを
    買ってこなくてはならないのかね」

翠星石 「自分で買ってくるって言ったですよ」

一葉 「ほう」

翠星石 「10分間でレスがついた分だけ
     買ってくるです
    つまりそういうゲームなのです
    もし買ってこれたらすごいのですよ」

一葉 「チキンレースのようなものかね」

翠星石 「まあそんなもんですね」

6: 2013/03/09(土) 10:32:21.73 ID:sX4g4/wD0
***

翠星石 「じゃあ私はそろそろ帰りますぅ」

一葉 「ああ もうそんな時間かね 
    玄関まで送ろう…」

翠星石が帰った後
結菱老人は少し玄関にたたずんでいた

一葉 「最近あの子が来てくれるのが
    とてもうれしい…
    だが直ぐに時間は経ってしまうものだな…」

一葉 「何か共通の話題でも見つかれば
    もっと楽しく話せるのだろうか」

7: 2013/03/09(土) 10:37:54.87 ID:sX4g4/wD0
ふと思いついたことがあったので
私は使用人の秋葉君を呼んだ

一葉 「秋葉君」

秋葉 「はい 何でございましょう」

一葉 「うむ パソコンというのが
   欲しいのだが
    適当に買って来てくれないか」

秋葉 「パソコンでございますか」

一葉 「いや… こんな年で恥ずかしいのだが…
   折角あの子が一生懸命話してくれるのだから
    私も出来る事はないものか
    と思ってね…」

秋葉 「承知致しました すぐ買ってまいります
    WINDOWSでよろしいでございますか」

一葉 「ああ… その辺は君の方が詳しいだろう…
    適当に使い勝手が良いのを頼む」

秋葉 「はっ…」

8: 2013/03/09(土) 10:45:41.62 ID:sX4g4/wD0
****
その日の夕方

秋葉君がすぐ買ってきてくれたので
私は色々教わりながら
早速パソコンをつけてみた

一葉 「六十の手習いとはこの事だな」

秋葉 「いいえ… すごい事だと思いますが
    六十になった時
    同じようにやれと言われても
    私にはおそらくとても出来ませんよ」

一葉 「時代が移るのは早いものだからな…」

10: 2013/03/09(土) 10:49:33.06 ID:sX4g4/wD0
***幕間***

真紅さま 「あら… 今日は結菱さんと翠星石という
     珍しい組み合わせね…」

金糸雀 「一体どうなるのかしら?
     ひょっとしてもしかすると
     インターネットを通して
     意外な恋が始まるのかしら!」

真紅さま 「それはないと思うけれど…」

蒼星石 「これは怖いインターネッツだね…」

13: 2013/03/09(土) 10:55:02.25 ID:sX4g4/wD0
****

後日 午後

翠星石 「それでですねー!
     まーたハンバーガー買ってこないんですぅ!
      ほんまどうなってるんですかねー!」

私は一つ気になっていた事があったので
質問してみた

一葉 「一つ聞きたいのだが…」

翠星石 「? はい?」

一葉 「君はパソコンは持っていないと思うのだが…
    一体どうやってカキコ…
    いや書きこんでいるのかね…」

翠星石 「あー! それですかー
     これですよ! スマートフォンってやつですぅ!
     ポケットマネーで購入しましたですよー」

一葉 「もしもし…か…」

翠星石 「え?」

一葉 「こ…こほん いや何でもない…」

14: 2013/03/09(土) 11:00:38.85 ID:sX4g4/wD0
****
その夜

一葉 「ふむ… 『なんやて工藤!』と…」カタカタ

何事も真剣に打ち込めば
それなりに出来るようになるもので
半月位経った頃にはかなり
思い通りに使えるようになった

2chというのが何かも分かり
年がいも無く「二ゲット」
に勤しむ毎日である…

一葉 「はじめは無礼な連中だと思ったが…
    なかなかどうして…
    話してみれば気分のいい連中じゃないか…
    2げっと…と…」カタカタ

15: 2013/03/09(土) 11:05:45.75 ID:sX4g4/wD0
****
また後日 午後

翠星石 「最近何かすごい面白い奴がいるですよー」

一葉 「ほう…」

翠星石 「またハンバーガースレなんですけど
    今までは逃げてましたよね?」

一葉 「ああ… 何か『釣り』などと…」

翠星石 「ええ それは本当は釣りじゃあないのですけど…」

一葉 「全くクオリティーの低下には困ったものだ」

翠星石 「その通りですぅ」

16: 2013/03/09(土) 11:09:24.33 ID:sX4g4/wD0
一葉 「それで… さっきの話の続きは…」

翠星石 「あ! 忘れてたですぅ
    それなんですけどね

     『30分にレスが付いた分だけ
     ハンバーガー買ってくる』っていう
     スレが立ったのです」

一葉 「ほう」

翠星石 「この時点で何かちがうと思いました」

一葉 「時間だな…」

翠星石 「え?」

17: 2013/03/09(土) 11:13:47.69 ID:sX4g4/wD0
一葉 「10分間でも軽く百は超えるものだ…
    30分も待てば到底
    考えられない数になってしまう

    こういったスレッドでは
    常識的な時間では無かった
     という事だろう」

翠星石 「おおー!良く分かりましたねぇ…
     そーなのですよ!
     なにせ一時間で1001を記録した
     事もありますからね 自殺スレで…」

彼女は喜んでいるようだった
インターネットをはじめて良かった
と思った    

18: 2013/03/09(土) 11:21:11.14 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「それで案の定みんなでがんばった結果
     457個になったのですよ」

一葉 「ふむ… 君も参加したかね」

翠星石 「ええ! 出てこい>>1!のAAも貼りましたよ」

一葉 「そうかそうか…」こくこく

翠星石 「それでちゃんと画像のうpがあったのですが
     何か3個しか写って無かったのです」

一葉 「それで?」

翠星石 「話が違うという事で怒ってましたら
     >>1のやつ呑気なもんですよ
     『だってそんなに食べられないだろう…』
     とか 平然としてやがるですよ」

一葉 「大胆不敵だな…」

19: 2013/03/09(土) 11:27:43.10 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「ええ!もう翠星石はぷんぷん怒ってですね!」

私はおかしくて笑ってしまった

一葉 「それで…くく…
    どうなったかね…」

翠星石 「? これでおしまいですよ
      でもその流れが久々に面白かったですよー!」

一葉 「そうか… それは良かった…
    ところで丁度ハンバーガーを買って来たのだが…
    私一人では食べられないから
     君も食べていかないかね…」

翠星石 「えっ?ハンバーガーですぅ?」

一葉 「ほら… さっき買ってきて貰ったものだが…
     良かったら…」

翠星石 「わーい!ありがとうですぅ!」

20: 2013/03/09(土) 11:31:19.25 ID:sX4g4/wD0
***幕間***

真紅さま 「しかし翠星石は
      結菱さんが専門的な用語を使っているのに
      何も気付かないのね…」

蒼星石 「そこが彼女の可愛いところじゃないか」

金糸雀 「はぁ!カナも天然ってのやってみようかしら!」

蒼星石 「君は十分天然だよ」

21: 2013/03/09(土) 11:44:51.65 ID:sX4g4/wD0
****
そんな事をやっている内に
彼女は前よりも頻繁に
遊びに来てくれるようになった

一葉 「ケーキでもどうかね」

翠星石 「わぁい!」



翠星石 「それで昨日は『ハンバーガー千個かってくる』
     ってスレが立ちましてね…
     また随分直球で来たなーという感じでして…
     スレタイでふいたですう」

一葉 「ちゃんと買ってきたかね?」

翠星石 「それが買ってこなかったですぅ」

あはは…

私は幸せだった
彼女と紅茶を飲み話している時間が

24: 2013/03/09(土) 11:58:07.40 ID:sX4g4/wD0
結菱邸 庭

翠星石 「おじじはふしぎですねー
    翠星石が思った事を分かってくれるですう」

一葉 「まあ長年の勘というやつでね
    知らない分野の話でも
    聞いている内にどういう事か大体分かる…」

翠星石 「そーですかー!」

この事は黙っておこうと思う
なぜならそこに付き合いの機微とでも
言うべきものがあるからだが…

すると彼女は少し恥ずかしそうに言った

翠星石 「翠星石ははじめ
     おじじってやなやつだと思ってたんです
     でも優しい人だったですよー」

一葉 「そうかね…」

25: 2013/03/09(土) 12:07:17.98 ID:sX4g4/wD0
*******
またある日

翠星石 「今日は大変な事があったのです」

一葉 「ああ… 一千万円隠したというやつかね…」

翠星石 「ありゃ?どうして知ってるのですか?」

一葉 「あ いや 新聞でも出ていたから…」

翠星石 「ふぅん」

26: 2013/03/09(土) 12:18:52.52 ID:sX4g4/wD0
一葉 「例の暗号だが
    私なりに少し考えてみたのだが…
   まず写真にうつっていた
    コーヒー牛乳やフィギュア
    から年齢は20代~30代位だと思う」

翠星石 「ほぅ 考えてるのですか」

参考:さあゲームの始まりですй ある所に現金1000万円隠した

27: 2013/03/09(土) 12:23:31.38 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「けど例の暗号は多磨霊園って事で
     解けたのですぅ」

***
場所以下の通り

●0¥
26

17
6番
****

一葉 「うむ… 
    わざわざ区切りが
     入れてある事から考えても
     この並びに意味があり
     多磨霊園の26-1-17-6を
     指すというのは間違いではないだろう…」

28: 2013/03/09(土) 12:30:10.10 ID:sX4g4/wD0
一葉 「それに墓のリストに一緒にならんでいる
    他の人物を見ると
    市川忍 大橋忠一 沖野岩三郎 沖野節三
    と『江戸川乱歩』に比べれば
    ぱっとは浮かばない人物だ」

翠星石 「ふむ… 確かに…」

一葉 「つまり江戸川乱歩が意図的に選ばれている
    という事実を示唆している
     らしいという事も推察できる…」

翠星石 「この番号は多磨霊園の江戸川乱歩を
      意味する可能性が高いって事ですか」

一葉 「まあ 納得できる、と言った方が正しいか…」

29: 2013/03/09(土) 12:37:52.20 ID:sX4g4/wD0
一葉 「ただ『●』を多摩
    と読んだのは少し違和感が残る…

    なぜなら0¥は霊園としか
    読めないが…
    ゼロ円を意味するなら\0と逆になる
    言葉を意味するようだ
    それなら考えられるのは霊園だという事だ

    しかし●は他に色々解釈できる
    単なる記号かもしれない
    黒丸と読むのかもしれない…」

翠星石 「へぇ… 何か色々考えてるのですね
     って事は●が鍵だと
     こーゆう事ですか」

一葉 「そうだ…」

30: 2013/03/09(土) 12:48:17.43 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「あの… 昨日の霊園の騒ぎは
     どこからどこまでが
     本当だったのでしょう」

一葉 「うむ…白い服にバッグの怪しい男が
    現れたという件かね…
    ところでまさか現地には行かなかったろうね?」

翠星石 「いいえ!そんな怖いですから行かないですよ」

一葉 「うん それなら良いんだが…
    あれが釣りだったかは結局分からないな
    スレッドの上の言葉だけでは

     ただ多磨霊園入り口の注意書きの画像が
     上がったようだったが…」

翠星石 「ええ」

一葉 「あれが本当の画像だとすれば
    あの時行った人もいただろう」

翠星石 「やっぱそうですかー」

31: 2013/03/09(土) 12:57:35.59 ID:sX4g4/wD0
一葉 「その後早朝に画像を上げた人たちのは
    本当だろう

    だがまあここでは現地に行った人がいた
    というだけで
    暗号に関する進展は無かった
    とみて良かろう…」

翠星石 「そうですか… ふぅ…」

翠星石は少し残念そうにして
帰って行った

32: 2013/03/09(土) 13:01:11.63 ID:sX4g4/wD0
***幕間***

蒼星石 「急に推理物みたいな展開になってきたな」

金糸雀 「これを二人で解いていく中で
     ロマンスがはじまるかしらー!」

真紅さま 「それは無いと思うけれど…」

蒼星石 「まあ僕は翠星石が楽しければ
     それでいいんだ」

金糸雀 「それでいいかしらー!」

33: 2013/03/09(土) 13:13:03.01 ID:sX4g4/wD0
****
例の事件が気になったのか
翠星石は翌日また訪ねて来た

翠星石 「ねえおじじ お金は本物だったと思います?」

一葉 「ああ… 『なんちゃって札束』
    とかいう説もあがって面白かったな…

    しかし偽物だとしても
    札束の一番上の一枚は本物を載せる
     事になっている

    だから他の全部のお札が本物かは
    側面でしか判断できない訳だが…
     それは私には分からない」

翠星石 「ふむふむ…」

一葉 「だが… 実は本物かどうかなどという事は
     どうでもいいのではないかね?」

34: 2013/03/09(土) 13:19:30.84 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「あー!それはそうですぅ
     要はこの暗号を考えたり
     事件自体が楽しけりゃそれでいいですよー!」

一葉 「そうだろう
    ところでさっき進展があったようだが」

翠星石 「え!?」

一葉 「>>1さんが新しく書き込んだそうだ…
    2時位に」

翠星石 「さ さっそくチェックですぅ!
     え えーっと…」

****
やっと故郷の篠島に帰ってきました
彼岸花とお萩を明日の秋分の日に近くのお寺にお供えして
そこで私の旅の終焉にしたいと思います
しかし曼珠沙華の花は綺麗ですね
私は曼珠沙華に纏わる梵語や花言葉も大好きです
ありがとう
*****      

35: 2013/03/09(土) 13:28:54.32 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「ちょっ たっ 大変ですぅ!
     早く何とかしないとこいつ氏ぬ気じゃ
     あわわ!」

一葉 「いや あわてなくとも
    この文はそれほど真剣な物ではない
    と思うが…

    飾った言葉や引きつけるような文句が
    多すぎる
    曼珠沙華というのは彼岸花の事だが
     わざわざ言いなおしている…」

翠星石 「え?てことは」

一葉 「まあ釣りらしいと…」

翠星石 「そ そうなんでしょうか…」

37: 2013/03/09(土) 13:44:28.36 ID:sX4g4/wD0
一旦その話を置いて
のんびり茶を飲んでいると
新しい書き込みがあった

****
暗号の数字
タテ
検索ヒットしないかも
電話帳には載ってるかも
明日の午前0時
約束のお萩は必ず置いておく
***

翠星石 「こっこれはっ」

一葉 「む…例の暗号の件だな…」

翠星石 「どうやら電話番号の事らしいですう!
     26
     1
     17
     6番
    これを縦に読むと67-2116だそうですぅ!」

一葉 「ほう… たしかに縦に読むと
    右から読むから…
   不自然な改行の意味も明らかになる…」

38: 2013/03/09(土) 13:53:40.81 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「どうやら愛知県の篠島に
     松寿寺というお寺があって
     そこの電話番号が0569-67-2116
     なんですぅ!」

彼女はあたふたしている

一葉 「それはとても面白いが…
    そうだとすると江戸川乱歩の件は
    全くの偶然という事かね
     改行の位置が偶然そうなったと…」

翠星石 「ど どうなのでしょう…」

39: 2013/03/09(土) 14:03:06.49 ID:sX4g4/wD0
しかし結局誰も篠島には行かないまま
その午後は終わった
翠星石は明日も来ると言って帰って行った

私は一人になって
ぼんやり考えていた
暗号の事だけではなく
私の今後の事だ

その時また書き込みがあった

****
そろそろ終わりにしますこの宿を出ます
私の母は数十年前ある事がきっかけで
親戚は勿論島民からも絶縁され氏にました
間もなく父も氏に島を出た私は孤独なまま
1人で出来る仕事を見つけひっそりと暮らしました
両親の墓は一人っ子の私が氏んでしまうと
誰もお参りに行かなくなってしまいます
1番人の多い掲示板を調べ暗号を考え
日本の中から1人でもいい
私の墓の存在を知ってもらいたかった
さっき私が氏んだら両親の墓に一緒に入れてくれるように
遺書に書きました
私の今までの書き込みから私の墓の場所を突き止め
何年かかってもいいですお参りする事ができた方
きっと私の遺産の在処も分かるでしょう
天涯孤独で引き取り手のない私の遺産
私の全てはこの日本のどこかに眠ってるのですから

40: 2013/03/09(土) 14:07:44.03 ID:sX4g4/wD0
同日23:50

****
そろそろお別れ
彼岸花枯れなくてよかった
昔から皆さんの事知ってるふりして
ゲームみたいにしてごめんなさい
全て考えて必要だったから
数日後数年後でもいい
隠した遺品を発見してくれた
大人の方なら分かってくれる思います
疲れた
寂しかった
孤独だった
お母さん
お父さん
会いたかった
会いたかった会いたかった
****

42: 2013/03/09(土) 14:22:22.96 ID:sX4g4/wD0
翌日案の定
彼女は息を切らして飛び込んできた

翠星石 「はぁはぁ… た 大変ですう!
     とうとう間に合わなかったですよお!」

間に合わなかった
それは午前0時との指定があったからで
また0時前に別れの言葉が書かれたから
という事だろう

他人の事なのに
彼女はとても悲しそうで泣きそうになっている

一葉 「本当だとすれば
    残念だったが

    はじめから氏ぬ気だったと書いてある
    止める気はなかったのだろう…」

翠星石 「でもぅ… かわいそうですぅ…」

43: 2013/03/09(土) 14:33:40.74 ID:sX4g4/wD0
***幕間***

真紅さま 「と ここで突然幕間ね…
      あわててセリフをとちる所だったわ…」

蒼星石 「この事件は未解決…
     まさかこれを解決しようというんじゃあ…」

真紅さま 「それにしてもこの二人
     全力でつられているわね」

蒼星石 「まさにVIPPERの鑑と言えるだろうね」

金糸雀 「ともに語り合い バカ騒ぎをして
     そして時には涙を流す
     まさにここには人生があったのかしら―!」

44: 2013/03/09(土) 14:56:25.56 ID:sX4g4/wD0
****
0時に書き込みがあった後
朝6時から11時まで篠島に渡り
松寿寺とその周辺のお寺の捜索が行われたが
結局問題のお墓は見つからなかった

書き込みの中にあった
お萩や彼岸花が添えられている
お墓を探したそうだが
松寿寺の霊園の数百基の中にはなかった

一葉 「しかし」

しかし私は少し的が外れているのではないか
と思う

45: 2013/03/09(土) 15:14:44.65 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「え…? 的が外れているです?
     どーしてですう?」

一葉 「うむ お萩や彼岸花が添えられているか
    確かめたのは良いだろう…
    『彼岸花とお萩を明日の秋分の日に近くのお寺にお供えして』
    『約束のお萩は必ず置いておく』
    と書いてあった…
    彼岸花もお萩も秋分に合っているし
     この計画が9月23日秋分に合わせて
     行われた事はおそらく間違いないだろう…」

翠星石 「ええ じゃあお萩ってのが
     お餅の萩じゃなくて花の萩って事でしょうか…」

一葉 「いや 萩の事ならお萩と言わず
     萩と言う方が自然だし
     あまりそれは気にしなくていいだろう」

47: 2013/03/09(土) 15:24:22.51 ID:sX4g4/wD0
一葉 「的外れだと思うのは…
   この人は自分が氏んだ後
    両親の墓にお参りをしてほしい
    と頼んでいるのだよ

    自分もその墓に入るよう
    遺書に書いたとは言っていたが…

    『萩や彼岸花を両親の墓に供えた』
     とは一言も書いていない

    つまり墓を探すのが目的なのではなく…
    この人がどこの誰だか
    それを突き止めるのが真の目的なのだ…」

48: 2013/03/09(土) 15:37:27.89 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「えっ ちょ ちょっと待って下さいよ
     あっ 本当ですね
     そのお墓に花やお萩を置くとは書いてませんよ!
     近くのお寺にお供えするとは書いてありますが
     このお寺というのが松寿寺である
     というのはきっとそうなんでしょうけど」

一葉 「それは恐らく間違いない所だろう
    わざわざ篠島ではなく
     電話番号で最初からその寺を指定したのだから…」

翠星石 「それからはじめは『花とお萩を』と
     書いてありますのに
     あとのでは『お萩』だけしか書いてません…これは…」

一葉 「それは何故か分からない
     予定が変わったのかもしれない…」

翠星石 「よてい?」

一葉 「例えば花だけを別の所にやったかもしれないから…」

49: 2013/03/09(土) 15:42:34.62 ID:sX4g4/wD0
一葉 「それから…彼岸花の事でついでに言うと…
    気付いたかね」

翠星石 「? 何を?」

****
やっと故郷の篠島に帰ってきました
彼岸花とお萩を明日の秋分の日に近くのお寺にお供えして
そこで私の旅の終焉にしたいと思います
しかし曼珠沙華の花は綺麗ですね
私は曼珠沙華に纏わる梵語や花言葉も大好きです
ありがとう
*****

一葉 「この人はこの時…9月22日の午後2時に
    篠島に帰って来たのだろう

    しかしこの文を見るとこの時点で
    既に彼岸花を持っているように見えないかね?」

翠星石 「あっ…」

50: 2013/03/09(土) 15:54:07.82 ID:sX4g4/wD0
一葉 「そして夜の11時50分
    『彼岸花枯れなくてよかった』
    と書いている

    つまり午後二時には既に
    摘んだ花を持っていて
    夜の0時まで待っていたのだ

    花は秋分の日に供えると書いてあったからね

    現地に咲いているなら供える前に摘めば
    良いと思わないかね?
    だからこれは推測にすぎないが…
    この人は島の外から花を持ちこんだのだよ」

翠星石 「そーいえば次の日篠島に行った人が」

***
とりあえず現地から。
彼岸花の添えられてる墓石はなかった。
つか彼岸花自体がない。おはぎもない。
山の斜面全体が霊園になってる。
***

翠星石 「って書いてますけど
     これって彼岸花自体その辺には
      咲いてなかったという事でしょうか」

一葉 「ふむ… そうかもしれない」

51: 2013/03/09(土) 16:02:59.49 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「くぅー! やきもきするですぅ!
    どうしたらよいのでしょう!」

一葉 「…この人はもともと篠島の人間だった
     しかし母親が親戚はおろか島民からも
    絶縁されまた父親も亡くなったので
    島を離れたのだ
    20代後半~30代と考えれば
    十年位前に離れた事になる…

    それで22日の午後14時に
    どこからか島に渡ってきて
    その夜22時までどこか近くの宿で
    休んでいたのだ

    つまりこのゲームでは
   墓を探すべきではなく
    近くの宿でそのような休み方をした人間を
     聞き込んで付きとめるべきだった…」

53: 2013/03/09(土) 16:12:57.76 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「あー! その通りですぅ!」

一葉 「GOOGLE MAPにつなげるかね」

翠星石 「えーっと… 調べてみますよ!
     うーん!確かにすごく近くに
     民宿が4つもありますう!」

一葉 「ふむ… 松寿寺の正面50m位に
    民宿惣工 民宿やましょう 民宿志波…
    少し離れて100m位に民宿鈴木屋…

    『そろそろ終わりにしますこの宿を出ます』
    『宿』という言葉からして
     この少し離れた所にある旅館やホテルではなく
     民宿だろう…」

翠星石 「しかしすごい数の民宿がありますよ…
     このうちどこに泊まったかなんて…」

一葉 「そう… 港から目的地の松寿寺の
     経路の上にある民宿、というのが自然だろうと
     思うがね…」

翠星石 「ひゃあー すごいですぅ!」

56: 2013/03/09(土) 16:23:36.86 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「つまり島の北のフェリー乗り場から
     松寿寺までの道沿いの民宿から当たれって事ですぅ!」

一葉 「まあ実家の近く…
    今はもう無いのかもしれないが…
    あった近くに泊っていたかもしれない

    この人の両親は亡くなっているから
     親戚が管理しているのでなければ
     家も無くなっているだろう

    まあその実家あと近くに泊っていた事も
    考えられるが…」

翠星石 「でもわざわざ松寿寺って言ってるんですし
    やっぱ家もこの近くなんじゃないでしょうか?」

一葉 「いや それはそうとは限らない
    松寿寺は両親の墓がある寺だろうから

    実家が近くとは限らない…」

翠星石 「成程… それはそうかもしれませんねぇ…」

57: 2013/03/09(土) 16:30:57.14 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「じゃあとりあえず船着き場から
    松寿寺までの道中の民宿中心に調べて…
     それでなければしらみつぶしですか

     良いでしょう!で その後どうなりますか?」

一葉 「もちろん宿帳にはどこの人だか
    氏名と住所が書いてある

    2009年9月22日14時から22時まで
    休んでいる人間の島外の住所と氏名が分かるのだ…

    氏名だけでもいい
    氏名が分かれば松寿寺のお墓がどれか分かるのだ」

翠星石 「大分結論が出て来ましたね…ふむふむ…」

58: 2013/03/09(土) 16:36:16.86 ID:sX4g4/wD0
一葉 「それから…
    もしお寺に行くなら
    『私の母は数十年前ある事がきっかけで
     親戚は勿論島民からも絶縁され氏にました』
    という『ある事』や『氏』についてこそ
    住職の方に尋ねるべきだろう…

    無論事情も全て話した上で
    本人たっての希望だという事を伝えれば
    何か話して貰えるかもしれない…

    現地に行った人たちの感触では
    住職さんは悪い人ではなさそうだ…

    民宿などでは余所者にはこういった話は
    口が裂けても話して貰えないだろうが…」

翠星石 「ふむふむ…」

翠星石はこくこくうなずいて
真剣そうに聞いている

59: 2013/03/09(土) 16:39:04.67 ID:sX4g4/wD0
***幕間***

金糸雀 「ちょ ちょっと何か変な事になってきたかしら!」

蒼星石 「まさか本当にやる気なのかい?!」

真紅さま 「この>>1はやると決めたら必ずやる
      そういう男なのだわ」

60: 2013/03/09(土) 16:51:35.37 ID:sX4g4/wD0
****
話しているといつの間にか
日が暮れてきてしまった

翠星石 「あーもしもし?ええ ジュンですか?
    ええ ええ ちょっと用事が長引きますので…」

ジュン 『え? いやいや て言うかお前どっから
     かけてんだよ』

翠星石 「ふゆ? 私は自分のスマホからかけてますよ?」

ジュン 「スマホ?! いやいや おまえそんn」ガチャピ

翠星石 「はー ガキんちょはうるさくて
     困りますう」

一葉 「おいおい…ちょっと桜田さんに電話して来る…」

61: 2013/03/09(土) 16:58:33.19 ID:sX4g4/wD0
***
私は桜田さんの家に電話をして
説明しておいた

一葉 「ふぅ あまり心配かけてはいけないから…」

翠星石 「やぁですやぁですぅ!
     今日はこの事件の決着がつくまで
     帰りたくないですうー!」

一葉 「まあそう言うなら…
    決着等と言うところまでは行かないだろうがね」

62: 2013/03/09(土) 17:04:29.90 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「それで
     結局この一連の書き込みのキーは
     この人の行動がはっきり書かれている
      という所にこそあるのですね?」

一葉 「うむ…そこにこそ証拠が残ったのだ…
    フェリーは切符を買えば良い話だから
    証拠はもう残らないが宿帳には残る…」

翠星石 「ほう… 
     お宝はどこにあるのでしょうかねー!」

私は思わず笑ってしまった

一葉 「お宝かどうか…しかしその点についても
    考えてみよう…」

63: 2013/03/09(土) 17:12:59.33 ID:sX4g4/wD0
一葉 「まず…『さっき私が氏んだら両親の墓に
   一緒に入れてくれるように
   遺書に書きました』
    とあるが…これについて考えたい

    遺書とあるから
    この人は亡くなったものとして…
    誰かにこの遺書を託したのだろうか?」

翠星石 「それはですからどこかに隠してあって
     私達に遺書も託したと
     こういう事じゃありませんかねー」

一葉 「ふむ… そうかもしれない

    あ それから今気付いたが
   『やっと故郷の篠島に帰ってきました
    彼岸花とお萩を明日の秋分の日に近くのお寺にお供えして』
    とあるが
     『近く』とはどこの近くなのだろう」

翠星石 「えーと この時は宿をとっているでしょうから…
     おー!やっぱり宿はお寺の近くの可能性が
      高いですねえ!」

一葉 「ああ」

64: 2013/03/09(土) 17:16:51.06 ID:sX4g4/wD0
一葉 「それで遺書の話に戻るが…
    我々に託したのだとすると

    『私の墓の存在を知ってもらいたかった
     さっき私が氏んだら両親の墓に一緒に入れてくれるように
     遺書に書きました
     私の今までの書き込みから私の墓の場所を突き止め』

     とあるのは少し違和感があると
     思わないかね?」

翠星石 「ふゆ?」

65: 2013/03/09(土) 17:25:04.22 ID:sX4g4/wD0
一葉 「ここに『私の墓』と言っているが
    もし遺書が我々に託されたのだとすると
    事件もまだ未解決な現在
    この人はまだ墓には入っていない事になるし
    『私の墓』などと言う物は
    今はまだないという事になる…」

翠星石 「あ… それはそうですね…
      という事は誰かに頼んであって…」

一葉 「だが住職さんは何も知らなかったし
    この人は天涯孤独だった…
    誰に頼めるという物でもないな…」

翠星石 「うーむ どういう事なんでしょう…」

66: 2013/03/09(土) 17:32:21.27 ID:sX4g4/wD0
一葉 「もしその日の内に島内で自頃したのだとすると
    その両親の墓とは別に
    『私の墓』というものを
    森の中かどこかに作ったのかもしれない

    そして君の言うとおり
    そこには遺書が隠されており
    発見者に改めて両親の墓へ自分を移してほしいと」

翠星石 「ちょ ちょっと
     つっつまり ど どっかで生き埋めみたいになって
      氏んでるって… あわわ…」

一葉 「もし氏んだのだとすると
    海に身投げしたら骨は無くなってしまうし
    また氏体が上がって大騒ぎになったかもしれない…

    もしかすると骨は無くとも
    概念的に墓を移す事を言っているのかもしれないが…
    あるいはこの時点で本当に『釣り』とも
    みなす事も出来る…」

翠星石 「釣り… 釣りじゃねえですぅ!これは
    これは悲しい話なんですぅ!」

一葉 「ふむ まあどちらにせよ仮定を進めよう」

68: 2013/03/09(土) 17:37:17.54 ID:sX4g4/wD0
一葉 「書かれてある事…
    『私の墓の存在を知ってもらいたかった
     さっき私が氏んだら両親の墓に一緒に入れてくれるように
     遺書に書きました
     私の今までの書き込みから私の墓の場所を突き止め』

    これを素直に読めば
     すでに『私の墓』がある事になる
    まさか松寿寺の墓をあばいたのではあるまいし
    そんな事はできない
     では全く別の所に『私の墓』があるのだ

     そして『今までの書き込みから私の墓の場所を突き止め』
     とある…」

翠星石 「つまりこのゲームの目的はここに来て
     両親の墓ではなく
    『私の墓』を突き止める事になったのですう!」

一葉 「そう言う事だ…」

69: 2013/03/09(土) 17:40:34.88 ID:sX4g4/wD0
一葉 「そして『今までの書き込みから』
    分かると言う事だ…

    次に『何年かかってもいいですお参りする事ができた方
     きっと私の遺産の在処も分かるでしょう
     天涯孤独で引き取り手のない私の遺産
     私の全てはこの日本のどこかに眠ってるのですから』

    とある これの解釈に移ろう…」

翠星石 「ひゃっほう!遺産ですぅ!お宝ですぅ!」

70: 2013/03/09(土) 17:48:58.26 ID:sX4g4/wD0
一葉 「『お参りする事ができた方』
    というが
    『お参り』と言うのは『私の墓』にお参りする
    という事だろう

    『お参りする事ができた方
     きっと私の遺産の在処も分かるでしょう』…
     これは『私の墓』に行く事が出来れば
      自然に遺産の在処も分かるという事だ

     ここで可能性として考えられる一つは
     『私の墓』に遺産の在処が書かれた何か
     が埋まっている可能性

      もう一つは身もとなど
       詳しい事がわかるだろうから
      自分の財産の在処もわかるだろう
     という意味の可能性がある」

翠星石 「それはどちらでしょう」

一葉 「うむ 『天涯孤独で引き取り手のない私の遺産』
    とある
    つまり自分が氏んでしまえば
     財産もそのままになる
     身元が分かればそれを好きにしてくれていい、
     とこういう事だろう だから後者だろうと思う…」

翠星石 「ふむふむ 何もかも書いてあるではありませんか」

71: 2013/03/09(土) 17:55:24.35 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「その在処は一体どこでしょうか…」

一葉 「『私の全てはこの日本のどこかに眠ってるのですから』
     とある
    つまり島の外でこの人が暮らしていた場所に
    あるはずだ
    『島を出た私は孤独なまま
     1人で出来る仕事を見つけひっそりと暮らしました』
     とある
    島の外のどこから来たのか…
    それはやはり宿帳か、遺体が見つかれば
     そこからたぐるしかあるまい」

翠星石 「わかりました…
     それから『数日後数年後でもいい
         隠した遺品を発見してくれた
         大人の方なら分かってくれる思います』
     って書いてあります
     遺品を隠したのですね…」

一葉 「そうだ… やはり『私の墓』にその遺品が埋まっているか
     あるいは全く別の場所にあるか…その場所も問題だ…」

72: 2013/03/09(土) 17:59:17.69 ID:sX4g4/wD0
一葉 「もしかすると…
    『私の墓』というのは
     その遺品が埋めてある所の事かもしれない」

翠星石 「ほー それは自然な考えですぅ」

****
そろそろお別れ
彼岸花枯れなくてよかった
昔から皆さんの事知ってるふりして
ゲームみたいにしてごめんなさい
全て考えて必要だったから
数日後数年後でもいい
隠した遺品を発見してくれた
大人の方なら分かってくれる思います
疲れた
寂しかった
孤独だった
お母さん
お父さん
会いたかった
会いたかった会いたかった
****

翠星石 「最後の書き込みにこうあります…
    遺品を探し出す事が最終目的のように
    書かれていますから
     『私の墓』というのは遺品を埋めた場所だと
     こういう事ですね」

74: 2013/03/09(土) 18:04:30.04 ID:sX4g4/wD0
一葉 「おそらく本人は別の場所で
    人知れず自頃し氏体は見つからない

    氏ぬ前に遺品を埋め『私の墓』を作ったのだ
    そして問題の彼岸花やお萩もそこにあるかも
    しれないな…」

翠星石 「『明日の午前0時
      約束のお萩は必ず置いておく』
      というのはその『私の墓』
      に置いてあるのでしょうか」

一葉 「そうかもしれない
    氏ぬ前に遺品を埋めたのだから
     松寿寺の両親の墓というよりは
     そちらの方に置いたのだろう…」

翠星石 「でも… 一つだけはっきりしてない事がありますう!」

75: 2013/03/09(土) 18:09:53.41 ID:sX4g4/wD0
翠星石 「その『私の墓』はどこにあるのですか
     宿帳を調べてご両親のお墓が分かっても
     『私の墓』はどこか分かんないですぅ!」

一葉 「ふむ… 宿帳から住所が分かれば
    『私の墓』などわからなくとも
    遺産の在処はわかるのだが…」

翠星石 「そんなのだめですぅ!
     この人を両親のお墓に埋めてあげないと…」

一葉 「そうだな…」

76: 2013/03/09(土) 18:16:57.57 ID:sX4g4/wD0
一葉 「多分『私の墓』の在処は森の中や海岸線などを
     しらみつぶしに調べるしかない…

     だがどちらかというと森や畑だろう…」

翠星石 「? どーして?」

一葉 「いや… 花が好きな人だからね…」

こう言うと彼女は一瞬きょとん
としてしまった

翠星石 「…ふぅん!」

一葉 「どうしたのかね?」

翠星石 「やっぱり風流ってもんが
    分かってますよー!」

そういって笑ってくれた

77: 2013/03/09(土) 18:21:32.14 ID:sX4g4/wD0
一葉 「そして妙なのは『隠した遺品を発見してくれた
         大人の方なら分かってくれる思います』
    という部分だ…

    『大人の方なら』とはどういう意味だろうか

     やはり証書か何か
     財産そのものの根拠となるものの可能性がある
     それが『私の墓』に埋まっているのであれば
     どちらにせよ『私の墓』を突き止めなければ
    遺産は手に入らない

    『私の墓』を突き止められる事なく
    遺産だけ取られてしまうようなやり方は
     この>>1さんだってしないだろうからね…」

翠星石 「そうですか では一回通してまとめてみましょう!」

79: 2013/03/09(土) 18:27:55.62 ID:sX4g4/wD0
一葉 「うむ ではまず『私の墓』を探しだす事
    これは野山や海岸線をしらみつぶしに探すしかない

    しかし一方で宿の台帳から
     2009年9月22日14時から22時の間だけ
     休んだ客の身元を調べれば
    松寿寺にあるであろう
     ご両親のお墓が分かる

     そして実家ももしかすると分かるかもしれない…」

翠星石 「その周辺を当たれば『私の墓』が
     見つかるかもしれないですう!」

一葉 「その可能性は大いにあるだろう
     そして『私の墓』の中には
     遺品が入っている
    それと台帳の記述から住所を割り出し
     遺産を手に入れるのだ…」

翠星石 「そして『私の墓』を
     ご両親のお墓に移して
     ご両親のお墓におまいりするですぅ!」

80: 2013/03/09(土) 18:36:34.28 ID:sX4g4/wD0
一葉 「この>>1さんは
    両親の墓は一人っ子の自分が氏んでしまうと
    誰もお参りに行かなくなってしまうから
    と言っているが

    勿論この>>1さん自身をも弔ってやらねば
    なるまい

    その意味でもこの墓を移してやる事は重要なのだ…」

翠星石 「そのとーりですよ! ふう!これで万事解決ですう!」

一葉 「しかしこれを実行に移さなくてはならない
    そこで頼みがある
     これを見た人の中で
      少しでもこの>>1さんの墓を探せそうだという人は
     少しでも探してやってくれないか」

翠星石 「もちろんお参りというのは
     気持ちがあればそれでいーのですよ
     ですからあの書き込みが多くの人に
     読まれたという事だけで
     実はもう供養の半分はおわっとるですよー!」

一葉 「そう… それはそうだ
    あとは君らのゲームだ どこまでやれるか
     楽しみじゃないかね?」

81: 2013/03/09(土) 18:38:54.81 ID:sX4g4/wD0
一葉 「何より最後にそういう楽しみを残して
     去ろうと思ったのだ

    まさにこれはVIPPERとしての
    やり方… 生き方と言わざるをえない…」

翠星石 「とゆーわけですよ!」

82: 2013/03/09(土) 18:43:05.57 ID:sX4g4/wD0
***幕間***

蒼星石 「もはやVIPPERって言ってしまったね…」

真紅さま 「まさかまだ気付かないと」

金糸雀 「ところでどうやらこの事件も
      終わりを迎えているようかしら!」

蒼星石 「そしてこの一連のやりとりも ね」

真紅さま 「二人はどうなるのでしょうね」

金糸雀 「それはどうもならんかしらー!」

84: 2013/03/09(土) 18:55:13.42 ID:sX4g4/wD0
*****
同日 夜

私はテーブルについたまま
ぼんやりしていた
翠星石は帰り支度をしながら言った

翠星石 「おじじは今回の事件…
      釣りだと思いますか?」

一葉 「いや? 中々整合性がとれていて
    迫真だったと思う…」

翠星石 「そーですか!いやー 今日は楽しかったです
     それじゃあ私はこれで
      また来るですよ!」

一葉 「ああ 気を付けて…」

表まで送り
家の中に戻ってみると
たった今まで話していたテーブルが
がらんとしていて
とても寂しくなった

85: 2013/03/09(土) 18:59:45.26 ID:sX4g4/wD0
しかし深夜の事だった
パソコンをつけ2chを見ていたら
一つのスレッドが目に留まった

『きょうおじいちゃんのとこにあそびにいったですう!』

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/23(水)
とってもたのしかったですぅ!

2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/23(水)
おじいちゃんうp

3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/23(水)
ですうですうってお前翠星石かよ

4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/23(水)
これはかわいいおじいちゃん

5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/23(水)
おじいちゃんだーいすきですう!

86: 2013/03/09(土) 19:04:11.75 ID:sX4g4/wD0

キャスト

翠星石

結菱一葉

真紅さま

蒼星石

金糸雀

AND YOU

87: 2013/03/09(土) 19:05:20.86 ID:GDz8+Zfg0
おつ

88: 2013/03/09(土) 19:05:50.64 ID:S5pE0wee0
乙なのか?

引用: 翠星石 「おじじのとこで茶ぁでもしばくです」