東野乙

翌日

真紅｢お早うJUM。東のりグッズをネットで発注しておいてもらえたかしら｣
JUM｢一応発注しておいたけど…お前、本気なのか？｣
真紅｢本気よ。今あるくんくんグッズはオークションにかけてもらって構わないわ
　　　今日のテレビには東のりは出ないのかしら？｣
JUM｢今日は…ないなぁ。｣
真紅｢何て事なの…くんくんと違って毎日会えないなんて…東のり…｣
JUM｢うーん…。あ、そうだ。確か姉ちゃんの部屋に…｣

JUM｢あったあった。ごっつのDVD｣
真紅｢ダウンタウンのごっつええ感じ…？これに東のりが出てるの？｣
JUM｢なぁ、お前東野のどこがそんなに気に入ったんだ？｣
真紅｢…誰にも言わないわね？｣JUM｢ああ｣
真紅｢顔と髪の毛と声が…お父様にそっくりなのだわ…｣

真紅｢…東のりはまだ出てこないの？｣
JUM｢東野は途中参加だからな、初期のコントには出てないんだ｣

水銀燈｢はぁ～い。遊びに来たわよぉ真紅ぅ～｣
真紅｢お黙りなさい。今忙しいのだわ｣
水銀燈｢な、何よぅ…。せっかく来たって言うのに…｣
雛苺｢せっかくだから水銀燈も一緒にDVD見るの～｣
水銀燈｢しょうがないわねぇ………え、あ………お、お、お父様！？｣
真紅｢！！？｣
JUM｢え？まだ東野出て来てないぞ？｣
水銀燈｢これは間違いなくお父様よ！！なぜお父様がここに…！？｣
真紅｢もしかして…｣

テレビ
ほんこん｢誰がブサイクやねん！！｣

真紅｢…この…ジャンク！！｣
水銀燈｢何ですってぇ！？｣
真紅｢このブサイクのどこがお父様なのよ！説明なさい！！｣
水銀燈｢はぁ～！？何言ってるのぉ？この麗しい顔立ちも澄んだ声もお父様そのものじゃないのぉ！！｣
JUM｢(ローゼンって東洋人だったんだな…しかもかなり濃い)｣
真紅｢許せない…あろう事かお父様を愚弄するなんて…！｣
水銀燈｢許せないのはこっちの方よぉお！今日こそジャンクにしてやるわぁぁ！！｣
JUM｢(単に自分の好みの顔を勝手にローゼンに当てはめてる気がしないでもないが…)｣

雛苺｢ケンカはやめるの～！！翠星石と蒼星石と金糸雀を呼んで、どっちの方がお父様に似てるか聞けばいいの～！｣
真紅｢…そうね。それが一番早いのだわ。そしたらこの女の頭がジャンクだって事がすぐにわかるわ｣

――１時間後

翠星石｢何でお前らわからねーですか！これがお父様に決まってるですぅ！！｣
今田｢妖怪人間～♪妖怪人間～♪妖怪人間～♪｣

蒼星石｢君たち…本当にお父様の顔や声を忘れてしまったのか…？どう考えてもこれがお父様じゃないか！｣
板尾｢東京コミュニケイション～♪｣

金糸雀｢何言ってるのかしら！ローゼンメイデン１の頭脳派のカナの記憶だと、この人がお父様に決まってるかしら！！｣
松本｢タイガーマスク！タイガーマスク！｣

雛苺｢うにゅ～ヒナはあまり覚えてないけど…でもこの人の顔を生まれたばかりの頃に見た気がするの～｣
浜田｢お前らええ加減にせぇよ！！｣

JUM｢…もはや単なるお笑いファンの口喧嘩じゃないか…｣
真紅｢…どうやら言ってもわからない馬鹿ばかりのようね。いいわ、アリスゲームの開始よ｣
水銀燈｢…ちょうどいいわぁ。揃いも揃ってお父様をコケにするなんて絶っ対に許せないわぁ！！｣

JUM｢ちょっと待て！芸人がきっかけの争いなんだから、対決も芸でやるのが筋だろう！！｣
真紅｢芸で…？｣

JUM｢そうだ！もし本当に自分の父親だと思うなら、その芸人の芸を自分達で演じて、一番人を笑わせた者を勝者とするべきだ！｣

金｢一理あるかしら｣
翠｢チビ人間にしてはいい提案ですぅ｣
蒼｢…どうやらそれしかないようだね｣
雛｢う、うにゅ～…｣
紅｢負けないのだわ。お父様…いえ、東のりの為にも！｣
銀｢いいわぁ。私、笑わせるのにうってつけの人間を知ってるわぁ。私のミーディアムだけどぉ…｣
JUM｢よし！決まりだ！自分の決めた芸人の芸で水銀燈のミーディアムを笑わせた者の勝ちだ！｣

――夕方

紅｢お困りのようね、翠星石｣
翠｢うぅ…。ああは言ったものの、今ちゃんではピンで演じられるコントが少なすぎるですぅ…｣
紅｢それはこっちも同じよ。どう？今回だけ手を組むというのは｣
翠｢え？｣

金｢雛苺！ここは手を組むかしら！みっちゃんに頼んで２人の衣裳を作ってもらうかしら！DVDも買ってもらうかしら！｣
雛｢うぅ～…ヒナはそんな戦いしたくないのに…｣

蒼｢…まさか君とまた手を組む事になろうとはね…。だが、行きがかり上仕方ないか…｣
銀｢そうと決まればさっそく練習よぉ｣

薔薇水晶｢…始まった…アリスゲームが…｣

薔薇｢…お父様…欲しい物があります…｣
槐　｢うん？どうしたんだい薔薇水晶？私に手に入れられる物だったら何でも…｣
薔薇｢…それは…DVDです…｣

白崎｢買ってきたが…これでいいのか？｣
薔薇｢…ダメ…これでは演じる芸人が他のドール達と被ってしまう｣
白崎｢おやおや…あと、これは私の趣味で録画していたDVDだが…｣

薔薇｢…これは…！…お父様…？｣
槐　｢ま、まさか薔薇水晶…。この芸人に私が似ているとでも？｣
薔薇｢…お父様…私はこの芸人を演じて…ローザミスティカを全て手に入れる…｣

テレビ
山崎邦正｢関・係・ないから♪関係ないから♪｣

――３日後

紅｢JUM、頼んでおいた衣裳はもうできてるわね？｣
JUM｢…ほら。作るのは簡単だったけど…お前ら正気か？｣
紅｢上出来ね。さぁ、着替えるのよ翠星石｣

翠｢…こ…こっち見るなですぅ…！｣
JUM｢客が見なきゃコントにならないだろ｣
紅｢そうよ、翠星石。練習は充分に積み重ねてきたはずだわ。今こそ衣裳付きで実戦の時よ｣



翠｢…こ…この世の悪を吸い寄せる…ですぅ…｣
紅｢正義の磁力で吸い寄せるのだわ！｣
翠・紅｢俺たち！放課後電磁波クラブ！見・参！｣
紅｢ニッ！｣
翠｢………｣

バシッ！！

紅｢見損なったわ翠星石｣
翠｢ううう…｣

JUM｢(確実にアリスから遠のいていってるな、うん)｣


おしまい

東野敬吾だと思ったのに