1: ◆7FnOo4mT6s 2013/09/22(日) 17:48:43 ID:ksa7ewf6
~とある砂浜~

マンボウ(日向ぼっこをしている途中に海に打ち上げられてから、早一時間……)

マンボウ(私は、何故か生きているわ……)

マンボウ(普通なら、このまま氏んでてもおかしくないのに……)

マンボウ(一体、何がどうなっているのかしら?……)

ザザーーン、ザザーーン……
魔法の世界
2: 2013/09/22(日) 17:49:14 ID:ksa7ewf6
マンボウ(とりあえず、早く海に戻らないと……)

マンボウ(今はまだ、何故か奇跡的に生きている……)

マンボウ(下手したら、誰かに捕まっちゃう……)

マンボウ(地元の漁師さんに、捌かれちゃう……)

マンボウ(けど、どうして私は砂浜に?……)

マンボウ(ちょっと、居眠りしている間に陸に上がっちゃってた……)

3: 2013/09/22(日) 17:50:56 ID:ksa7ewf6
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ……

マンボウ「……?」

エルフ「ねぇ、お母様。あれ何かしら?……」

エルフ「何か、変な形をしたものが打ち上げられてるんだけど……」

4: 2013/09/22(日) 17:51:26 ID:ksa7ewf6
エルフ母「あら、本当だわ」

エルフ母「かなり、奇妙な形をした生き物ね」

マンボウ「……」ドキッ

エルフ「でも、あれはあれで、かなり不気味なんだけど……」

エルフ「あそこに倒れてるの、まさか、人じゃないんだよね?……」

マンボウ「え?」

5: 2013/09/22(日) 17:51:57 ID:ksa7ewf6
エルフ母「ああ、あれは明らかに人だわ……」

エルフ母「あの分じゃ、もう助からないわね……」

マンボウ「……」

エルフ母「でも、あの不思議な魚みたいのは持って帰りましょう……」

エルフ母「あの魚、ウチに持って帰って解体してみたい……」

マンボウ「!?」

6: 2013/09/22(日) 17:52:14 ID:ksa7ewf6
エルフ「え? お母様、人助けしないの?……」

エルフ「普通なら、人命救助を優先すると思うんだけど……」

マンボウ「……」ドキドキッ

エルフ母「いいえ、私はそんな事しないわ!」

エルフ母「以前、何度か人間を助けてみたけど、ろくな事はなかったから!」

ザザーーン、ザザーーン……

7: 2013/09/22(日) 18:44:30 ID:ksa7ewf6
エルフ「でも、あんな不気味みたいな魚を私は持った帰りたくはないわ……」

エルフ「あれ、明らかにモンスターじゃない?……」

エルフ「普通、魚ならあんな不気味な形はいないはず……」

エルフ「あれは、確実にモンスターよ……」

エルフ母「え~~~~っ?」

マンボウ「……」ドキドキッ

8: 2013/09/22(日) 18:44:45 ID:ksa7ewf6
エルフ母「なら、直接あの魚に聞いてみる?」

エルフ母「見た所、何故かあの魚の方だけ生体反応があるんだけど」

マンボウ「!?」ビクッ

エルフ母「あっ、今の私達の会話にあの魚が反応した!?」

エルフ母「あの魚、絶対に捕まえて解体するわ!」

マンボウ「――――――――っ!?」ガーーン

9: 2013/09/22(日) 18:45:15 ID:ksa7ewf6
エルフ「けど、攻撃してきたらどうするの!?」

エルフ「あんな魚、絶対に持ち帰りたくない!」

マンボウ「……」ドキドキッ

エルフ母「ああ、もう煩いわね!」

エルフ母「私は、あの魚を持ち帰るの!」

エルフ母「持ち帰った後、必ず解体するの!」

10: 2013/09/22(日) 18:45:31 ID:ksa7ewf6
エルフ「嫌! 私は絶対に嫌!」

エルフ「あんな不気味な魚、絶対に持ち帰りたくない!」

エルフ「あんな魚を持ち帰るくらいなら、この場で焼いて捨てる!」

エルフ「そして、そのまま海に流してあげる!」

エルフ母「何ですって!?」

マンボウ「……」ドキドキッ

21: 2013/09/23(月) 08:14:55 ID:c7KV8EtY
日向ぼっこもマンボウの氏因の一つ。

海でマンボウが日向ぼっこをしている時にマンボウが眠ってしまい、気がついたら砂浜に打ち上げられて氏亡。

日向ぼっこをしている時に、海鳥がマンボウの上にとまったり、つついたりしてその傷が原因で氏亡。

日向ぼっこをしている時に、漁師さんに見つかって捕獲され氏亡。

マンボウは、産卵期に3億の子孫を残すが、生き残るのはたった数匹。

ほぼ直進にしか泳げず、岩にぶつかって氏亡。

他にも、沢山の氏因があるらしい。

23: 2013/09/23(月) 12:50:17 ID:c7KV8EtY
漁師「おい! あんたら、早く逃げろ!」

漁師「そこに打ち上げられているのは、モンスターだぞ!」

エルフ母子「!?」

漁師「生憎、今はまだ奴は動けない!」

漁師「早く逃げないと、取り返しのつかない事になるぞ!」

ザザーーン、ザザーーン……

24: 2013/09/23(月) 12:50:40 ID:c7KV8EtY
エルフ「なら、私がここでトドメを刺してあげるわ!」

エルフ「私の火炎魔法を受けてみなさい!」

マンボウ「!?」ビクッ

漁師「おい、あんた無茶するな!」

漁師「早く逃げて、騎士団を呼んでくるんだ!」

マンボウ「……」ドキドキッ

25: 2013/09/23(月) 12:50:54 ID:c7KV8EtY
エルフ母「いや、大丈夫だわ」

エルフ母「あんな魚、私達の敵ではないわ!」

エルフ母「娘、そのまま焼くなら骨も残らない様にしなさい!」

エルフ母「あの魚、かなり大きい!」

エルフ母「あんな独特な形をした魚、今まで全く見た事がないわ!」

エルフ「うん!」

26: 2013/09/23(月) 12:51:06 ID:c7KV8EtY
マンボウ「ちょ、ちょっと待った!」

マンボウ「ちょっと待った、ちょっと待った!」

エルフ母子「!?」

マンボウ「あの、私、ただのお魚なんですけど……」

マンボウ「気がついたら、ここに打ち上げられていただけなんですけど……」

エルフ母子「……」

27: 2013/09/23(月) 12:51:29 ID:c7KV8EtY
マンボウ「ですから、私の事を今すぐ焼くのだけは止めて下さい……」

マンボウ「私は、本当にただのお魚なんです……」

マンボウ「とりあえず、私の事を海に戻して頂けませんか?……」

マンボウ「絶対に、私は貴女達には危害を加えません……」

マンボウ「だから、早く私の事を海に戻して下さい……」

マンボウ「お願いします、お願いします……」ウルウル

28: 2013/09/23(月) 12:51:41 ID:c7KV8EtY
エルフ「……」

エルフ母「……」

漁師「……」

水氏体「……」

マンボウ「……」ウルウル

ザザーーン、ザザーーン……

29: 2013/09/23(月) 12:54:50 ID:c7KV8EtY
エルフ「ねぇ、お母様。どうする?……」

エルフ「あれ、海に戻しちゃう?……」

マンボウ「……」ウルウル

エルフ「なんか、向こうは私達に対して何もしないって言っているけど、あまり信じられない……」

エルフ「あの魚、見た目からしてかなり不気味……」

エルフ「あれは、やっぱり魚の形をしたモンスターなのよ……」

30: 2013/09/23(月) 12:55:22 ID:c7KV8EtY
漁師「ああ、そうだな……」

漁師「そこにいるお嬢ちゃんの言う通りだ……」

漁師「普通、魚は人間の言葉を話したりはしない……」

漁師「魚の癖に、人間の言葉を話せるのはモンスターだけ……」

漁師「だから、今すぐ焼いてやるのが世の中の為だ……」

マンボウ「!?」ガーーン

32: 2013/09/24(火) 07:16:37 ID:G3YKCtbE
エルフ「とりあえず、私が今から焼いてあげるわ!」

エルフ「ここで、貴方が打ち上げられていたのが運の尽き!」

エルフ「もし仮に、恨むのなら自分自身の運の無さを恨みなさい!」

エルフ「私はただ、貴方を焼くだけでに集中してればいいんだから!」

エルフ母「ええ、そうね!」

マンボウ「いやああああああああ――――――――っ!?」ガーーン

33: 2013/09/24(火) 07:17:05 ID:G3YKCtbE
マンボウ「ちょっと、貴女達、私の話を聞いてましたか!?」

マンボウ「私、本当にただのお魚なんです!」ウルウル

エルフ母子「……」

マンボウ「ですから、今すぐ私の事を焼き捨てるなんて止めて下さい!」

マンボウ「一体、私が貴女達に対して、何をしたって言うのですか!?」

マンボウ「私はただ、ここに打ち上げられていただけでしょうが!」ウルウル

34: 2013/09/24(火) 07:17:32 ID:G3YKCtbE
エルフ「もう煩いわね……」

エルフ「本当に、魚の癖に煩いんだから……」

エルフ「それで、あんたどこから来たの?……」

エルフ「あんた、本当にお魚なの?……」

エルフ「さっさと、答えなさい!……」

ザザーーン、ザザーーン……

37: 2013/09/24(火) 19:44:49 ID:G3YKCtbE
普通ならもう氏んでます。
でも、魔法とか出てくるんでマンボウも強化されてます。

38: 2013/09/24(火) 19:45:48 ID:G3YKCtbE
マンボウ「私、ここより遠くの海に住むマンボウと言います……」

マンボウ「偶々、海で日向ぼっこをしていたら、ここに打ち上げられていました……」

マンボウ「後、貴女達の事を攻撃しようにも、本当に私は何も出来ません……」

マンボウ「私は、海に住むお魚の中でも少し変わった種類……」

マンボウ「ただ単に、ゆったりと海を泳いでいるだけのお魚なんです……」

マンボウ「だから、何も心配はありません……」ウルウル

39: 2013/09/24(火) 19:46:18 ID:G3YKCtbE
エルフ「なら、何で人間の言葉を話せるの?」

エルフ「普通、魚なんかが人間の言葉なんて話せる訳がないんだけど」

マンボウ「……え?」ウルウル

エルフ母「あんた、本当にかなり怪しいわ!」

エルフ母「今ここで焼くのだけは勘弁してあげるけど、解体はさせなさい!」

マンボウ「!?」ガーーン

40: 2013/09/24(火) 19:46:32 ID:G3YKCtbE
エルフ母「ほらっ、どうしたの?」

エルフ母「早く、何か言いなさいよ!」

マンボウ「……」ウルウル

エルフ母「じゃないと、今からあんたの体を捌く!」

エルフ母「それが嫌なら、さっさと答えなさい!」

マンボウ「……はい」ウルウル

41: 2013/09/24(火) 19:47:00 ID:G3YKCtbE
マンボウ「実は、私がこうして人間の言葉を話せるのは、寄生虫さん達のおかげなんです……」

マンボウ「その寄生虫さん達のおかげで、こうして人間の言葉を話せるんです……」ウルウル

エルフ母「続けて」

マンボウ「今の私の体の内外には、かなりの数の寄生虫さん達がいます……」

マンボウ「私の体重の3分の1は、寄生虫さん達の重さ……」

マンボウ「早く言えば、生きた寄生虫さん達の住み処みたいなものなんですよね……」ウルウル

42: 2013/09/24(火) 19:47:25 ID:G3YKCtbE
エルフ母「へぇ、そうなの」

エルフ母「それで、今のあんたは人間の言葉を話せるの」

エルフ母「まぁ、詳しい話は後で聞くわ」

エルフ母「娘、この魚を連れて帰るわよ」

エルフ母「私、かなり面白い事を考えついちゃった♪」ニッコリ

ザザーーン、ザザーーン……

47: 2013/09/25(水) 07:32:22 ID:rDV8QmwY
エルフ「え? お母様、何するの?……」

エルフ「何度も言うけど、こんな不気味な形をした魚なんて、私持ち帰りたくない!」

マンボウ「……」ウルウル

エルフ母「あんた、何誤解してるのよ♪」

エルフ母「この魚、どこの海から来たかをただ調べるだけよ♪」ニコニコ

エルフ「え?」

48: 2013/09/25(水) 07:32:39 ID:rDV8QmwY
エルフ母「とりあえず、この魚だけは持ち帰りましょう♪」

エルフ母「なんか、やけにそこに倒れてる人間の手形がくっきりと残っちゃってるけど♪」ニコニコ

マンボウ「……」ウルウル

エルフ母「まぁ、そう言う訳だから、あんたは私達と一緒に来なさい♪」

エルフ母「私達エルフに見つかってしまったのが、本当に運の尽き♪」

エルフ母「今ここにいるあんたの事を、徹底的に調べてあげるんだからね♪」ニコニコ

49: 2013/09/25(水) 07:32:56 ID:rDV8QmwY
スッ、フワッ……

フワワッ、フワワッ……

マンボウ「!?」ウルウル

漁師「おおっ……」

エルフ母「娘、行くわよ♪」

エルフ母「そこの水氏体は、その辺に放置しときなさい♪」ニコニコ

50: 2013/09/25(水) 07:33:08 ID:rDV8QmwY
マンボウ「あの、本当に私の事を連れてくんですか……」

マンボウ「私、本当に海に戻れるんですか?……」ウルウル

エルフ母「ええ♪」ニコニコ

マンボウ「なら、早く私の事を海に戻して下さい……」

マンボウ「私、早く海に帰りたいです……」

マンボウ「私なんか調べても、全くもって意味なんかありませんよ……」ウルウル

51: 2013/09/25(水) 07:33:38 ID:rDV8QmwY
エルフ母「まぁまぁ、落ち着きなさい♪」

エルフ母「あんたの事、ちゃんと調べてあげるから♪」ニコニコ

マンボウ「……」ビクッ

エルフ母「漁師さん。私達は、これで失礼します」

エルフ母「そこに倒れてる水氏体の処理、宜しくお願いしますね♪」

ザザーーン、ザザーーン……

56: 2013/09/25(水) 19:56:13 ID:rDV8QmwY
漁師「ああ、了解した」

漁師「この水氏体は、こっちで片付けとく」

漁師「しかし、あんた達も物好きだな」

漁師「そんなモンスター、持ち帰ってどうするんだい?」

漁師「それ持ち帰るくらいなら、市場で新鮮な魚を買っていった方が良いと思うんだが」

マンボウ「……」ウルウル

57: 2013/09/25(水) 19:56:25 ID:rDV8QmwY
エルフ母「ええ、そうでしょうね」

エルフ母「普通は、その方が良いんでしょうけどね」

エルフ母「でも、この魚はかなり珍しいと思うんですよ!」

エルフ母「私の生まれ故郷には、こんな魚は全くいませんでした!」

エルフ母「それに、この魚は人間の言葉を話してる!」

エルフ母「だから、この魚を持ち帰って色々と調べる事にしたんですよ!」ニコニコ

58: 2013/09/25(水) 19:56:35 ID:rDV8QmwY
漁師「ふ~~ん。そうか」

漁師「エルフの里には、こいつがいねぇのか」

漁師「なら、他にこいつが流れついた時には、あんたにすぐ引き渡すとするよ」

漁師「以前にも、たまにこいつが網に引っ掛かる時があるんだ」

漁師「皆、こいつを見てかなり不気味がってる」

漁師「今ここにいるこいつみたいに、人間の言葉を話す奴がいたみたいだからな」

59: 2013/09/25(水) 19:56:47 ID:rDV8QmwY
エルフ母「ええ、分かりました」

エルフ母「その時は、漁師さんのお言葉に甘えさせて頂きます」

エルフ母「もし何かあれば、この近くにある宿屋にご連絡下さい」

エルフ母「今私達は、そこに宿泊をしておりますので」ペコッ

漁師「ああ、了解した」

マンボウ「……」ウルウル

60: 2013/09/25(水) 19:57:06 ID:rDV8QmwY
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

漁師「さて、この水氏体の処理をするか」

漁師「まずは、騎士団を呼ばないとな」

水氏体「……」

ザザーーン、ザザーーン……

61: 2013/09/26(木) 12:14:49 ID:RrMILRTU
~とある漁港・水揚場~

漁師2「あんた、さすがにこれ無理だわ……」

漁師2「いきなり、こんな化け物持ち込まれても困るんだけど……」

マンボウ「……」

漁師2「こいつ、一体、どこで捕まえたんだい?……」

漁師2「残念だが、こいつを入れれる木桶はウチにはねぇよ……」

62: 2013/09/26(木) 12:15:01 ID:RrMILRTU
エルフ母「ああ、そうですか」

エルフ母「やっぱり、この子を入れる木桶はありませんか」ニコニコ

マンボウ「……」

漁師2「普通、こんな化け物好き好んで持って帰る奴なんて、なかなかいない……」

漁師2「本当に、あんたらエルフって変わってんだな……」

組合長「……」

63: 2013/09/26(木) 12:15:14 ID:RrMILRTU
マンボウ(あれから、さらに数十分……)

マンボウ(私は、エルフ達によって近くにある漁港にまで連れてこられた……)

マンボウ(その間、私にとってはかなりの生き地獄……)

マンボウ(ここに来て早々、地元の漁師さん達はすぐさま絶句しだす……)

マンボウ(それと同時に、かなり息苦しい……)

マンボウ(早く、私を海に戻してほしい……)

64: 2013/09/26(木) 12:15:25 ID:RrMILRTU
マンボウ(皆、私の事を奇怪な目でじっと見つめてきた……)

マンボウ(私の事を大層気味悪がっていた……)

マンボウ(でも、もう少ししたら、私は海に帰れる……)

マンボウ(私は、ようやく解放される……)

マンボウ(けど、今の私の視界の先にあるのは、地元の漁師さん達によって水揚げされた大量のお魚……)

マンボウ(その中に、さりげなく私の仲間まで紛れ込んでいる……)

65: 2013/09/26(木) 12:15:52 ID:RrMILRTU
マンボウ(ああ、早く海に戻りたい……)

マンボウ(そろそろ、呼吸が限界……)

マンボウ(お願い、神様……)

マンボウ(早く、私を海に戻して……)

マンボウ(お願い……お願い……)ウルウル

ザザーーン、ザザーーン……

66: 2013/09/26(木) 17:57:24 ID:RrMILRTU
組合長「それで、君はこれをどうするつもりかね?」

組合長「これ、本当にエルフの里まで持ち帰るつもりかね?」

マンボウ「……?」

エルフ母「ええ、そのつもりですけど」

エルフ母「うちの娘が、是非とも連れて帰りたいと聞かなくてですね」クイクイッ

エルフ「え?」

67: 2013/09/26(木) 17:57:54 ID:RrMILRTU
組合長「ほぅ、この子が……」

組合長「そりゃあ、大した度胸の持ち主だ……」チラッ

エルフ「……?」

組合長「でも、こいつはモンスターだぞ?」

組合長「お嬢ちゃん。いくら何でも無理があると思うんだがね」ニッコリ

エルフ「……」ハッ

68: 2013/09/26(木) 17:58:07 ID:RrMILRTU
エルフ母「ええ、そうなんですよ」

エルフ母「この子、一度言い出したら、なかなか聞かない子ですし」ニコニコ

エルフ「……」ギロッ

エルフ母「ですから、他にもこれと同じ様な魚が水揚げされていたら、私達に売って頂きたい」

エルフ母「そう思って、今日はこちらに伺ったと言う訳です」ニコニコ

組合長「う~~む」

69: 2013/09/26(木) 17:58:20 ID:RrMILRTU
漁師2「組合長。ここは、いっそ買い取って頂ければ?」

漁師2「この魚は、不気味でなかなか買い手がつきません」

漁師2「たとえ、水揚げしたとしてもすぐに腐り出します」

漁師2「せっかく、先方が買い取りたいとおっしゃっていますし」

漁師2「ここは、今日ある分だけでも買い取って貰うべきです!」

マンボウ「……」

70: 2013/09/26(木) 17:58:47 ID:RrMILRTU
組合長「漁師3、お前の意見は?」

組合長「お前も、同じ意見なのか?」

漁師3「はい!」

組合長「こいつは、見ての通りになかなか買い手のつかない魚だ」

組合長「なるべく、ここの領主様にはバレない様にしたいからな」

ザザーーン、ザザーーン……

71: 2013/09/26(木) 19:59:31 ID:RrMILRTU
組合長「なら、君達はいくら出す?」

組合長「こいつ一匹辺りに、いくら出すつもりかね?」

組合長「なるべく、ここの領主様にはバレない様にしたい!」

組合長「領主様からも、モンスターの氏骸類は全て焼き捨てる様に言われてるからな!」

マンボウ「……」

エルフ「……お母様?」

72: 2013/09/26(木) 19:59:43 ID:RrMILRTU
エルフ母「大体、一匹辺り10000Gで」

エルフ母「領主様には、全て安全な場所でモンスターの氏骸を処分して貰うとお伝え下さい」ニコニコ

組合長「ほぅ……」

領主2「なら、交渉は成立だな」

領主2「組合長。宜しいですか?」

組合長「うむ」

73: 2013/09/26(木) 19:59:56 ID:RrMILRTU
組合長「漁師3。これと似た様な魚を全て集めろ!」

組合長「漁師2は、騎士団に連絡!」

組合長「それと、他の漁師達も今日水揚げした魚を全て調べろ!」

組合長「この方達は、とても優良な顧客だ!」

組合長「さぁ、ぐずくずするな! 掛かれ!」

漁師達「お~~~~~~~~っ!」

74: 2013/09/26(木) 20:00:10 ID:RrMILRTU
ダダダダダダダダッ、ダダダダダダダダッ……

ダダダダダダダダッ、ダダダダダダダダッ……

マンボウ「……」

カチャカチャカチャ、カチャカチャカチャ……

カチャカチャカチャ、カチャカチャカチャ……

マンボウ「……」ガクッ

75: 2013/09/26(木) 20:00:40 ID:RrMILRTU
エルフ「あっ、マンボウが目を瞑った……」

エルフ「これって、もう氏んじゃったのかしら?……」

エルフ母「え?」

組合長「お嬢ちゃん。ここに水揚げされた魚はもう既に氏んでる」

組合長「いくらこいつが化け物でも、皆、最終的には氏んでしまうんだよ」

ザザーーン、ザザーーン……

81: 2013/09/27(金) 07:25:56 ID:38XXvmJI
エルフ「へぇ~っ、そうなんだ……」

エルフ「モンスターでも、最終的には皆氏んじゃうんだ……」

エルフ「でも、今から蘇生したらまだ間に合うかな?」

エルフ「私、このマンボウでまだ遊んでないんだけど」

エルフ「今から、蘇生したら間に合うと思う?」

組合長「う~~む」

82: 2013/09/27(金) 07:26:39 ID:38XXvmJI
エルフ「ねぇ、お母様。一度裁いた魚は、蘇生する事は可能かしら?」

エルフ「私、蘇生出来るんなら蘇生させてあげたい」

エルフ「私、このマンボウでまだ遊んでない」

組合長「……」

エルフ母「う~~ん。分からないわ」

エルフ母「だって私、今までに魚なんて蘇生した事は一度もないんだもの」

83: 2013/09/27(金) 07:26:51 ID:38XXvmJI
組合長「いや、可能だ!」

組合長「たとえ、裁いた後で蘇生したとしても可能なんだが!」

エルフ母子「!?」

組合長「以前、私の父もこれと同じ魚を裁いた」

組合長「そしたら、そいつの体内からかなりの寄生虫らしき物が沢山出てきてな」

組合長「体中が寄生虫だらけで、すぐに焼き捨ててやったが」

84: 2013/09/27(金) 07:27:04 ID:38XXvmJI
エルフ母「組合長。以前、これと同じ魚を裁いた事があるんですか?」

エルフ母「骨格とか、どんな感じでしたか?」クイクイッ

マンボウ「……」

組合長「骨格? そりゃあ、普通の魚とは少し違った」

組合長「こいつは、他の魚と違って尾びれと腹びれがない」

組合長「背びれと尻びれを使って、海をゆっくり泳いでるようなんだ」

85: 2013/09/27(金) 07:27:18 ID:38XXvmJI
エルフ母「他に、特徴とかは?」

エルフ母「この魚は、食べられるんでしょうか?」

マンボウ「……」

組合長「いや、止めとけ!」

組合長「さすがに、寄生虫が多いから止めといた方が良い!」

ザザーーン、ザザーーン……

87: 2013/09/27(金) 12:29:59 ID:38XXvmJI
組合長「まぁ、どうしても食いたいんだったら専門の調理師にでも頼め!」

組合長「こいつは、体の3分の1は寄生虫に犯されてる!」

組合長「鮮度が落ちれば、臭みが出てかなり不味い!」

組合長「私の父も、それが原因で腹を壊した!」

組合長「こいつを裁いて食うのなら、それなりの専門知識等がいるみたいだからな!」

マンボウ「……」

88: 2013/09/27(金) 12:30:30 ID:38XXvmJI
エルフ母「はい。分かりました」

エルフ母「さすがに、食べるのは止めといた方が良いみたいですね」

組合長「……」

エルフ母「でも、何でこの魚はそんなにも寄生虫まみれなんでしょうか?」

エルフ母「普通は、寄生虫に犯される魚はなかなかいないと思うんですが」

組合長「さぁ、解らんね」

89: 2013/09/27(金) 12:31:02 ID:38XXvmJI
エルフ「ねぇ、組合長さん……」

エルフ「なんか、向こうにもとても不気味な魚がいるんだけど……」

エルフ「あれ、もしかして人間の手足らしき物がはみ出てない?……」

エルフ「さすがに、あれはあれでとても危ないとおもうんだけど」

サメ「……」

半魚人「……」

90: 2013/09/27(金) 12:31:13 ID:38XXvmJI
組合長「ああ、あれかい?」

組合長「あれは、今日水揚げされたばかりの魚だぞ」

組合長「あそこの手足生えてないのが、普通のサメだ」

組合長「どうやら、水揚げされる前に人を食ってたらしくてな」

組合長「網に掛かった時、ついでに半魚人も一緒に捕まえたんだ」

エルフ「……」

91: 2013/09/27(金) 12:31:28 ID:38XXvmJI
組合長「ちなみに、蘇生させるんならあのサメは止めとけ」

組合長「下手したら、お嬢ちゃんまであのサメの餌食になる」

組合長「お嬢ちゃん。まだ小さいのにあのサメに食われたいのか?」

組合長「あいつは、かなり見た目からして狂暴だ!」

組合長「だから、もし仮に蘇生させるんなら、せめてペットくらいにしとくんだな」

ザザーーン、ザザーーン……

92: 2013/09/27(金) 18:59:56 ID:38XXvmJI
「組合長。集計終わりました!」

「今現在、モンスターらしき魚は計10匹!」

「その内、持ち込まれた魚と全く同じ魚は計三匹います!」

組合長「……」

「組合長。この半魚人は如何致しますか?」

「この半魚人達も、引き取って頂きますか?」

93: 2013/09/27(金) 19:00:11 ID:38XXvmJI
組合長「うむ。そうだな!」

組合長「奥さん。あの半魚人達も引き取ってくれないか?」

エルフ母「え?」

エルフ「お母様。あの半魚人達も買い取っておこうよ?」

エルフ「あの半魚人、何かあの魚の事で知ってるはず」

エルフ「後で、お母様の好きにして良いからさ」

94: 2013/09/27(金) 19:00:25 ID:38XXvmJI
エルフ母「ええ、分かりました」

エルフ母「あの半魚人達も、一緒に買い取らせて頂きます」

エルフ母「後、お支払についてですが、全部で10万Gで宜しいですか?」

エルフ母「この子も、かなり喜んでいるみたいですし」

エルフ母「あの魚達を入れる木箱とかも頂きたいのですが」ニコニコ

組合長「ああ、構わんが」

95: 2013/09/27(金) 19:00:57 ID:38XXvmJI
「組合長。これ、いつ出荷ですか?」

「まだ出荷出来ないのなら、冷凍保存しなくちゃいけませんが」

エルフ母「……冷凍保存?」

組合長「奥さん。あんた出立はいつだ?」

組合長「いつ、ここを出るんだ?」

エルフ母「え? 明日ですけど」

96: 2013/09/27(金) 19:01:12 ID:38XXvmJI
組合長「なら、これは冷凍保存が必要だな」

組合長「あんたらは知ってるかどうか知らないが、今は遠くの町や村までに出荷する魚を全て氷付けにしてる」

組合長「そのおかげで、他の町や村にまでここで取れた魚は出荷されてるんだ」

組合長「明日の朝、また再びあんたらはここに来てくれ」

組合長「それまでは、ウチで預かっておく」

ザザーーン、ザザーーン……

98: 2013/09/28(土) 12:23:11 ID:Cj/2MVwo
エルフ母「ええ、分かりました」

エルフ母「それでは、お支払の方に入りましょう」

エルフ母「娘。ちょっと、ここで待っててね」

エルフ母「私は、向こうでお支払をしてくるから」

エルフ「は~~い」

マンボウ「……」

99: 2013/09/28(土) 12:23:26 ID:Cj/2MVwo
組合長「では、奥さんはこっちへ」

組合長「皆の邪魔にならない様に、ちゃんと大人しくしとくんだよ」

エルフ「……」コクン

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

エルフ「……」

100: 2013/09/28(土) 12:23:39 ID:Cj/2MVwo
エルフ「ねぇ、マンボウ。まだ生きてる?」

エルフ「それとも、本当にもう氏んじゃってる?」チラッ

マンボウ「……」

エルフ「その様子だと、本当にもう氏んでしまっているみたいね」

エルフ「結局、海に帰る事が出来ずに捌かれちゃうんだ」

マンボウ「……」

101: 2013/09/28(土) 12:23:50 ID:Cj/2MVwo
エルフ「それで、あんた本当に何者なの?」

エルフ「なんか、勝手に自己再生とか始めちゃってるけど」

マンボウ「……」

エルフ「もしかして、マンボウの中に住む寄生虫がそもそもの原因?」

エルフ「それが原因で、今のあんたは自己再生とか始めちゃってる訳?」

マンボウ「……」ピクッ

102: 2013/09/28(土) 12:24:24 ID:Cj/2MVwo
エルフ「あっ、今反応した……」

エルフ「あんた、まさか本当に生き返っちゃったとか?……」

マンボウ「……」

エルフ「でも、それもすぐに終わり!」

エルフ「今から、あんたは冷凍保存されるんだからね!」

ザザーーン、ザザーーン……

103: 2013/09/28(土) 12:26:33 ID:Cj/2MVwo
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ……

漁師2「お嬢ちゃん。そろそろ、これも持ってくね」

漁師2「明日の朝、またこいつと会えるから」

マンボウ「……」

104: 2013/09/28(土) 12:26:45 ID:Cj/2MVwo
エルフ「うん。分かった」

エルフ「おじさん達、この子の事お願いね」

マンボウ「……」

漁師2「それで、君のお母さんは?」

漁師2「もしかして、向こうにある小屋の中に入っていったのかい?」

エルフ「うん。そうだけど」

105: 2013/09/28(土) 12:26:56 ID:Cj/2MVwo
漁師3「じゃあ、これはこっちで持ってくな」

漁師3「お嬢ちゃん。もう暫くここで大人しくしとくんだよ」

エルフ「は~~い」

漁師2「漁師3。今日は俺が浮かす」

漁師2「こいつ、体の内外が寄生虫ばかりだから、あんま触りたくないからな」

漁師3「ああ、了解した」

106: 2013/09/28(土) 12:27:08 ID:Cj/2MVwo
スッ、フワッ……

フワワッ、フワワッ……

マンボウ「……」

フワワッ、フワワッ……

フワワッ、フワワッ……

エルフ「……」

107: 2013/09/28(土) 12:27:39 ID:Cj/2MVwo
漁師2「よし、そこで良い!」

漁師2「今から、氷魔法を使う!」

漁師2「漁師4。早速、こいつらを凍らせてくれ!」

漁師2「こいつが済んだら、次は半魚人だからな!」

漁師4「おう!」

ザザーーン、ザザーーン……

108: 2013/09/28(土) 19:22:11 ID:Cj/2MVwo
エルフ(あの子、これからどうなるのかしら?)

エルフ(あのまま、本当にお母様に捌かれちゃうのかしら?)

漁師4「……」ブツブツ

エルフ(でも、ついさっきあの子の体からごく微量だけど生体反応を感知)

エルフ(あの子の体の内外にいる寄生虫達が、あの子の体を自己再生をし始めている)

漁師4「……」ブツブツ

109: 2013/09/28(土) 19:22:23 ID:Cj/2MVwo
エルフ(一体、何がどうなっているの?)

エルフ(あの子は、やっぱりモンスターなの?)

漁師4「はっ!」ボウッ

エルフ(けど、今の私には何も出来ない)

エルフ(あの子の事を、お母様が何かする前に焼いてあげるぐらいしか何も出来ない)

ゴオオオオッ、ゴオオオオッ……

110: 2013/09/28(土) 19:22:36 ID:Cj/2MVwo
エルフ(ああ、なんか憂鬱だわ……)

エルフ(お母様、早く戻ってこないかしら……)

ゴオオオオッ、ゴオオオオッ……

エルフ(と言うか、何で私があの子を欲しがっていると言う事になってんのよ!?)

エルフ(どっちかと言えば、お母様の方が私よりも欲しがっている癖に!)

ゴオオオオッ、ゴオオオオッ……

111: 2013/09/28(土) 19:22:49 ID:Cj/2MVwo
エルフ(気がついた時には、もう凍ってる……)

エルフ(あの子、まるで何かの彫刻みたい……)

ゴオオオオッ、シュン……

漁師4「漁師2。終わったぞ」

漁師4「今度は、木箱に押し込んでくれ」

漁師2「おう!」

112: 2013/09/28(土) 19:23:06 ID:Cj/2MVwo
エルフ(結局、今の私が子供だから、皆そう見えちゃうのね……)

エルフ(私、本当はあんな魚なんかほしくないのに……)

エルフ(一体、何でこうなったのかしら?)

エルフ(相変わらず、お母様は我が儘なんだから……)

エルフ(はぁ……)

ザザーーン、ザザーーン……

113: 2013/09/29(日) 18:27:10 ID:jfGWJSGA
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ……

エルフ母「娘、おまたせ」

エルフ母「さぁ、もう宿屋に戻るわよ」

エルフ「え?」ビクッ

114: 2013/09/29(日) 18:27:24 ID:jfGWJSGA
エルフ母「ん? どうかしたの?」

エルフ母「あんた、何ぼーっとしてんのよ?」

エルフ「……」

エルフ母「もしかして、はしゃぎすりちゃった?」

エルフ母「そりゃあ、あんな大物持って帰るんだから、はしゃぎ過ぎるのも無理はないわね」ニッコリ

エルフ「……」

115: 2013/09/29(日) 18:28:35 ID:jfGWJSGA
クルッ……

エルフ母「それじゃあ、私達はこれで」

エルフ母「色々と、ご迷惑をお掛けして本当に申し訳ありませんでした」ペコッ

エルフ「……」ペコッ

組合長「はははっ、そんな事はないぞ!」

組合長「こっちも、色々と儲けさせて頂いたからな!」ニコニコ

116: 2013/09/29(日) 18:28:48 ID:jfGWJSGA
組合長「お嬢ちゃん。明日の朝、またここに取りにおいで」

組合長「奥さん。また機会があれば、ウチを宜しくお願いします」

組合長「ウチは、よく新鮮な魚が取れるもんでね」

組合長「その時は、また宜しくお願いしますよ」ニコニコ

エルフ母「はい。分かりました」ニコニコ

エルフ「……」ペコッ

117: 2013/09/29(日) 18:29:11 ID:jfGWJSGA
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

組合長「ふふっ、今日は久し振りに皆で飲みに行くか」

組合長「あの奥さん。やけに羽振りが良かったし」

組合長「ありゃあ、どっかの金持ちのお嬢さんみたいだな」ニヤニヤ

ザザーーン、ザザーーン……

118: 2013/09/29(日) 18:30:38 ID:jfGWJSGA
漁師4「組合長。いくら儲かりました?」

漁師4「あの奥さん。一体、いくら出したんです?」ニヤニヤ

マンボウ「……」カチコチッ

組合長「お前、そんなに気になるか?」

組合長「まだ、作業の途中だろ」

組合長「さっさと、他の魚も氷漬けにしろよ」ニヤニヤ

119: 2013/09/29(日) 18:31:34 ID:jfGWJSGA
漁師4「でも、あの奥さんは羽振りが良かったんでしょ?」

漁師4「普通、あんな化け物なんかに大金なんか出しませんよ」ニヤニヤ

漁師3「ああ、そうだな」ニヤニヤ

漁師4「俺の予想だと、化け物10匹で10万越えてますよね?」

漁師4「箱台入れても、かなり値段が張ってると思うんですが」ニヤニヤ

漁師2「……」ニヤニヤ

120: 2013/09/29(日) 18:31:47 ID:jfGWJSGA
組合長「ああ、全部で11万Gだ」

組合長「しかも、箱に関しても高値で買って頂いた」ニヤニヤ

漁師達「!?」

組合長「とりあえず、今日は皆で飲みに行くぞ!」

組合長「さっさと、お前らも作業終わらせろ!」ニヤニヤ

漁師「はっ!」ニヤニヤ

121: 2013/09/29(日) 18:32:09 ID:jfGWJSGA
組合長「それと、騎士団にはちゃんと連絡したか?」

組合長「つうか、まだ誰も連絡すらしてはいないみたいだな」ニヤニヤ

漁師4「ええ、その様です」ニヤニヤ

組合長「漁師2。今度こそ、ちゃんと騎士団に連絡して来い!」

組合長「じゃないと、騎士団から変な探りを入れられちまうぞ!」ニヤニヤ

漁師2「はい。すいません!」ニヤニヤ

122: 2013/09/29(日) 18:32:43 ID:jfGWJSGA
組合長「さぁ、皆、サボってないでさっさとやれや!」

組合長「ちゃんと、給金も倍にしてやる!」

組合長「皆、あの奥さん達に感謝しろよ!」

組合長「あの奥さん達がここに来なかったら、無駄なコストばかり掛かってたんだからな!」

漁師達「はっ!」

ザザーーン、ザザーーン……

123: 2013/09/30(月) 12:25:13 ID:i2OJxwmk
~とある酒場~

その日の夜――

ガヤガヤガヤッ、ガヤガヤガヤッ……

ガヤガヤガヤッ、ガヤガヤガヤッ……

老剣士(何か、今日は騒がしいな……)

老剣士(一体、何があった……)

124: 2013/09/30(月) 12:25:25 ID:i2OJxwmk
老剣士(ああ、もう酒は無くなっちまった)

老剣士(おまけに、もうつまみすらない)

老剣士(それに、今夜はどこに泊まるか?)

老剣士(今の俺には、宿屋に泊まるだけの金すらない)

老剣士(相変わらず、室内が騒がしい)

老剣士(一体、何を騒いどるのだ?)

125: 2013/09/30(月) 12:25:37 ID:i2OJxwmk
漁師「組合長。本当に、今日は儲かりましたね」

漁師「あの奥さん。一体、何者なんですか?」

老剣士「……」

組合長「さぁ、何も知らんな」

組合長「ありゃあ、どっかの金持ちのお嬢さんか何かじゃないか?」

老剣士「……」

126: 2013/09/30(月) 12:25:49 ID:i2OJxwmk
漁師「でも、あの水氏体は誰なんでしょう?」

漁師「騎士団の話じゃ、この島の人間じゃありません」

漁師「どうやら、騎士団はウチが水揚げしたサメと関係があると見ています」

漁師「あの奥さん。その水氏体も発見してますしね」

漁師「まぁ、そのおかげでウチも儲かったって言う話なんですが」

老剣士「……」

127: 2013/09/30(月) 12:26:00 ID:i2OJxwmk
漁師2「お前、あの奥さんと会った事があるのか?」

漁師2「俺達が会ったのは、若い子連れのエルフだったんだが」

老剣士「!?」

漁師「ああ、あるさ」

漁師「俺が船で砂浜に乗り上げた時に、ちょっとな」

漁師「ここいらでは全く見ない、とても美人でナイスバディな奥さんだった」

128: 2013/09/30(月) 12:26:11 ID:i2OJxwmk
組合長「ああ、そうだな!」

組合長「あの奥さん。本当に、どっかの金持ちかもな!」

組合長「そのおかげで、今の俺達は儲かったんだ!」

組合長「だから、今日はとことん飲むぞ!」

漁師達「お――――っ!」

老剣士「……」

129: 2013/09/30(月) 12:28:40 ID:i2OJxwmk
老剣士(あいつら、地元の漁師達か)

老剣士(今の俺と違って、本当に景気が良いな)

老剣士(なら、少しくらい俺に分けてくれたって良いと思う)

老剣士(こっちは、ずっと苦労してきたんだ)

老剣士(それくらいしたって、別に良いだろう)

老剣士(あの奥さん達、大層な金持ちの様だからな)ニヤッ

130: 2013/09/30(月) 12:29:07 ID:i2OJxwmk
老剣士(しかし、これからどうする?)

老剣士(エルフを狙うか、漁師達の金を狙うか)

老剣士(だが、今の漁師達は酔ってる)

老剣士(こりゃあ、漁師達の方が狙った方が良いかもしれないな)ニヤニヤ

スッ、コトッ……

店主「おやっ、起きたのかい?」

131: 2013/10/01(火) 12:42:30 ID:b339ML8M
老剣士「ママ、会計はいくらだ?」

老剣士「今日は、もう良い」ムクッ

店主「ええっと、ちょっと待ってね」

店員「お客さん。全部で1000Gです」

店員「もう二時間も、カウンターで眠ってらっしゃいましたよ」

老剣士「うむ。そうか」ポリポリ

132: 2013/10/01(火) 12:43:23 ID:b339ML8M
組合長「ママ、ワインの追加頼む!」

組合長「それと、スープとジャーキーも全員分な!」

店主「はい。かしこまりました!」

スッ、ジャラジャラッ……

ジャラジャラッ、コトッ……

店員「はい。確かに」

133: 2013/10/01(火) 12:43:34 ID:b339ML8M
店員「お客さん。一人で帰られますか?」

店員「よければ、私が宿屋にまでお送り致しますが」

老剣士「いや、構わん」フラフラッ

店員「けど、今のお客さんはふらふらですよ」

店員「まだ、ゆっくりしといた方が良いんでは」

店主「ええ、そうね」

134: 2013/10/01(火) 12:43:47 ID:b339ML8M
老剣士「いや、何も心配はいらんよ」

老剣士「俺は、まだまだ大丈夫だよ」

老剣士「後、少し聞いて良いか?」

老剣士「あそこの漁師さん達、地元の人達か?」フラフラッ

店員「ええ、そうですよ」

店主「それが何か?」

135: 2013/10/01(火) 12:43:59 ID:b339ML8M
老剣士「いや、特には」

老剣士「このご時世、やけに景気が良かったからな」フラフラッ

店主「……」

老剣士「ママ。お手数を掛けたな」

老剣士「また、ここ利用させて貰う」フラフラッ

スッ、スチャ……

136: 2013/10/01(火) 12:44:29 ID:b339ML8M
スタスタスタッ、フラフラフラッ……

スタスタスタッ、フラフラフラッ……

ピタッ、フララッ

老剣士「おっと」

ガチャ、ギギィーーーーッ……

スタスタスタッ、バタン……

137: 2013/10/01(火) 12:46:31 ID:b339ML8M
店主「店員。あそこの漁師さん達にワインを」

店主「私は、騎士団本部にまで行ってくる」

店主「あのお客さん。かなり怪しかったし」

店主「ありゃあ、どっか盗みに入るはね」

店員「はい。かしこまりました」

スッ、カチャカチャ……

138: 2013/10/01(火) 12:46:47 ID:b339ML8M
「あれ、ママどっか行くの?」

「俺達のワイン、まだ?」

店主「はい。ただいま」

店員「店員2、漁師さん達にワインを」

店員「今、私がつまみを作ってくるから、先にワインを持ってって」

店員2「は~~い」

139: 2013/10/01(火) 12:46:59 ID:b339ML8M
「後、追加でニシンとイワシ焼いて」

「今日、ママがウチの魚を仕入れてくれてたから」

「それに、今日は色々と儲かってな」

「なんたって、物凄く珍しく組合長の奢りだからよ!」

店員「え!?」ビクッ

店員2「そうなんですか!?」キョトン

140: 2013/10/01(火) 12:47:30 ID:b339ML8M
店主「あんた達、何も聞いてなかったの?」

店主「今日は、組合長さんの奢りなのよ」

店員達「……」

店主「漁師さん。少し、私は店を空けるわ」

店主「さっき出ていったお客さんがやけに酔っててね」

店主「ちょっと心配になって、すぐそこまで見てくるから」

141: 2013/10/01(火) 12:47:41 ID:b339ML8M
兵士長「なら、俺も付いていくよ」

兵士長「あの爺さん。やけに酔っていたからな」

店主「ええ、お願いするわ」

店員「ママ、行ってらっしゃい」

店員「店の事は、私達に任せて下さい」

店員「ええ、了解したわ」

142: 2013/10/01(火) 12:47:55 ID:b339ML8M
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ……

ガチャ、ギギィーーーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

バタン……

143: 2013/10/02(水) 12:16:02 ID:147FjJQw
~とある道~

兵士「おい、爺さん。大丈夫か?」

兵士「このまま、一人で帰れるのか?」

老剣士「ああ、大丈夫だ」フラフラッ

兵士「その割りには、結構フラフラだな」

兵士「本当に、一人で大丈夫なのか?」

老剣士「ああ、まあな」フラフラッ

144: 2013/10/02(水) 12:16:13 ID:147FjJQw
兵士「それで、あんた宿はどこだ?」

兵士「仕方ねぇから、宿屋にまで送ってってやる」

老剣士「何?」

兵士「あんた、ここの住民じゃねぇだろ?」

兵士「この町に来た賞金稼ぎか何かなんだろ?」

老剣士「ああ、そうだが」フラフラッ

145: 2013/10/02(水) 12:16:28 ID:147FjJQw
兵士「それで、あんたの宿は?」

兵士「こっから、遠いのか?」

老剣士「ああ、まあな」フラフラッ

兵士「爺さん。早く教えろよ」

兵士「そうじゃなきゃ、こっちが困るんだが」

老剣士「……」

146: 2013/10/02(水) 12:16:41 ID:147FjJQw
「おいっ、どうかしたのか?」

「何か、事件でもあったのか?」

兵士「む? 誰だ?」

老剣士「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ

ピタッ、ピタッ……

147: 2013/10/02(水) 12:17:00 ID:147FjJQw
兵士長「兵士、どうした?」

兵士長「何か、事件でもあったのか?」

老剣士「……」フラフラッ

兵士「失礼しました兵士長」

兵士「この爺さんが、かなり酔ってましてね」

兵士「なかなか、自分の宿を言おうとしないんです」

148: 2013/10/02(水) 12:17:12 ID:147FjJQw
兵士長「あんた、さっき酒場にいたな?」

兵士長「自分で、宿屋にまで戻れるのか?」

老剣士「ああ、大丈夫だが」フラフラッ

兵士長「一応、あんたの身元だけでも確認させて貰う」

兵士長「あんたは、この町の人間じゃない」

兵士長「その持っている剣とかも、一応は調べさせて貰う」

149: 2013/10/02(水) 12:17:57 ID:147FjJQw
スッ、シュルシュル……

カチャ、カチャ……

老剣士「ほれ」スッ

兵士長「……」ガシッ

兵士長「……」

スチャ、スラァン……

150: 2013/10/02(水) 12:18:21 ID:147FjJQw
兵士長「あんた、これちゃんと手入れしろよ……」

兵士長「結構、錆びちまってるぞ……」

兵士「……」

兵士長「つうか、何やったらこうなるんだ?……」

兵士長「普通、ここまで錆びてたら、かなり使いにくいと思うんだが……」

兵士「ええ、そうですね……」

151: 2013/10/02(水) 12:20:36 ID:147FjJQw
老剣士「まぁ、その剣は護身用みたいな物だ」

老剣士「明日の朝、武器屋に出す代物だ」

兵士長「……」

老剣士「そこに、俺の身分書いてないか?」

老剣士「俺にとっては、これが身分証の様な物だ」

兵士長「ふむ、どれどれ……」ジーーッ

152: 2013/10/02(水) 12:21:05 ID:147FjJQw
兵士長「すまん。錆び過ぎて読めん……」

兵士長「これ、なんて書いてあるんだ?」

兵士「……」

老剣士「む? 読めんか」

老剣士「なら、こっちの紙を渡そう」

スッ、パサッ……

153: 2013/10/03(木) 05:55:14 ID:v9qJ7l3M
兵士長「爺さん。最初から、それ出せよ……」

兵士長「見た所、傭兵登録証みたいだな……」

老剣士「……」

兵士長「ええっと、あんたの名前はXXX」

兵士長「生まれは、XX地方のXX村か」

老剣士「ああ、そうじゃが」

154: 2013/10/03(木) 05:55:28 ID:v9qJ7l3M
兵士長「なぁ、爺さん。ちょっと良いか?」

兵士長「あんた、何でこんな遠くにまで来たんだ?」

兵士長「この町、見た通りのただの平凡とした町だ」

兵士長「ここでは、あんたの仕事はない」

兵士長「もし仮に、今のあんたが仕事を探してるんなら、もっと大きな町まで行った方が良いぞ」

店主「ええ、そうね」

155: 2013/10/03(木) 05:55:42 ID:v9qJ7l3M
老剣士「いや、そうではないんだ」

老剣士「この町には、とても珍しい魚が打ち上げられたと聞いて、それを見に来たんだが」

兵士長「……?」

兵士「ああ、ここ数日の間に打ち上げられてたモンスターの事か」

兵士「あれなら、もう既にそれ専門の人に引き渡したぞ」

老剣士「!?」ガーーン

156: 2013/10/03(木) 05:56:12 ID:v9qJ7l3M
兵士長「あんた、もしかしてそれを見に来たのか?」

兵士長「あれなら、もう既に処分される事になった」

老剣士「……」ガクッ

兵士長「偶々、この町にエルフの里からの来客があってな」

兵士長「向こうでの研究目的として、全て引き渡したんだが」

店主「あら、まぁ……」

157: 2013/10/03(木) 05:56:25 ID:v9qJ7l3M
店主「じゃあ、もう既にそのお魚はないと?」

店主「せっかく、こうして遠くからいらしてたのに」

老剣士「……」

兵士長「まぁ、そう言う事だ」

兵士長「だから、もう諦めて生まれ故郷に帰るんだな」

老剣士「……」

158: 2013/10/03(木) 05:56:36 ID:v9qJ7l3M
兵士長「おい、兵士。この爺さんを宿まで」

兵士長「早く、宿の場所を聞いて送って来い」

兵士「はっ!」

兵士長「それで、あんたの宿は?」

兵士長「まさか、まだ宿を決めてないとか?」

店主「……」

159: 2013/10/03(木) 05:56:47 ID:v9qJ7l3M
老剣士「いや、もう決めてあるが」

老剣士「この近くにあるXXXXと言う宿だ」

兵士長「うむ、そうか」

兵士「なら、俺が送ってってやる」

兵士「俺の後を、しっかりとついてきてくれ」

老剣士「ああ、了解した」

160: 2013/10/03(木) 05:57:25 ID:v9qJ7l3M
兵士「では、兵士長、失礼します」

兵士「ママも、夜道は気を付けて」

店主「ええ、おやすみなさい」

老剣士「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

161: 2013/10/03(木) 05:57:38 ID:v9qJ7l3M
店主「あのお客さん、どうやら酔いが覚めたみたいね」

店主「ついさっきと比べて、足取りがしっかりとしているわ」

兵士長「ああ、そうだな」

店主「とりあえず、私達も戻りましょ」

店主「一応、部下に命じて警戒だけはさせといてね」

兵士「ああ、了解した」

162: 2013/10/03(木) 05:57:50 ID:v9qJ7l3M
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタッ……

老剣士(うむ。上手く行った……)

老剣士(後は、漁師達の金を頂くだけだな……)

ダッ……

163: 2013/10/03(木) 12:54:12 ID:v9qJ7l3M
~とある漁港・保管倉庫~

マンボウ「……」

マンボウ2「……」

マンボウ3「……」

マンボウ4「……」

ザザーーン、ザザーーン……

164: 2013/10/03(木) 12:54:25 ID:v9qJ7l3M
半魚人「……」

サメ「……」

マグロ「……」

クラーケンA「……」

クラーケンB「……」

老剣士「……」

165: 2013/10/03(木) 12:54:46 ID:v9qJ7l3M
老剣士(何やら、ここにはモンスター達ばかりいるな……)

老剣士(これらが、ここ数日の間に打ち上げられていたモンスター達か……)

モンスター達「……」

老剣士(これだけでも、かなりの値が張る)

老剣士(とくに、この二体のクラーケン)

老剣士(イカとタコを、二つも揃えてたか……)

166: 2013/10/03(木) 12:55:19 ID:v9qJ7l3M
老剣士(しかし、これらをどう運ぶ?)

老剣士(あのエルフ達は、一体どうやってこれらを運ぶと言うのだ?)

老剣士(それに、この不思議な形をした魚)

老剣士(やけに、妙な造形をしているな)

老剣士(この魚は、誰がどう見てもモンスターで間違いない)

老剣士(それを四匹も集めるとは、本当に大した腕だ……)

167: 2013/10/03(木) 12:55:32 ID:v9qJ7l3M
「お前さん。ここに、何しに来た?」

「まさか、ここに盗みにでも来たと言うのか?」

老剣士「!?」ビクッ

「それなら、少し私に手を貸してほしい」

「今の私は、早いとこここを出たいからな」

老剣士「……」キョロキョロ

168: 2013/10/03(木) 12:55:48 ID:v9qJ7l3M
老剣士「お主、一体何者だ?」

老剣士「誰か、ここにいるのか?」

「ああ、そうじゃ」

老剣士「なら、俺の前に姿を現せ」

老剣士「それくらい、そなたにも出来るだろ」

ザザーーン、ザザーーン……

169: 2013/10/04(金) 12:29:30 ID:H4Kg.o2o
「ああ、分かった」

「今そっちに行く」

「それと、久しぶりじゃなXXX」

「こうして、そなたと会うのは何年ぶりじゃったかな」

スッ、スタッ……

老剣士「!?」ハッ

170: 2013/10/04(金) 12:29:42 ID:H4Kg.o2o
老剣士「……」

老騎士「……」

老剣士「……」

老騎士「……」

老剣士「あんた、何でここに?」

老剣士「一体、何故こんな場所にいるのだ?」

171: 2013/10/04(金) 12:30:00 ID:H4Kg.o2o
老騎士「久しぶりじゃのぅ、XXX」

老騎士「相変わらず、お主は盗みを働いておるか」

老剣士「……」

老騎士「そなたの狙いは、ここの魚か?」

老騎士「それとも、事務室の金庫の中にある現金なのか?」

老剣士「……」

172: 2013/10/04(金) 12:30:13 ID:H4Kg.o2o
老騎士「だが、ここで盗みを働くのなら止めておけ!」

老騎士「ここは、とても一人で盗みに入れる様な場所ではない!」

老騎士「ここは、私の部下が何名も命を落とした場所じゃ!」

老騎士「昨日も、サメに食われてまた一人部下を失ってしまった!」

老騎士「おまけに、今の私もこの通り老いてのぅ!」

老騎士「だから、こうして今のそなたに手を貸してほしいのじゃ!」

173: 2013/10/04(金) 12:30:24 ID:H4Kg.o2o
老剣士「……」

老騎士「……」

老剣士「……」

老騎士「それで、返事は?」

老騎士「今のそなたは、私の事を手助けしてくれるのか?」

ザザーーン、ザザーーン……

174: 2013/10/04(金) 12:30:35 ID:H4Kg.o2o
老剣士「ああ、了解した」

老剣士「さすがに、この量だと俺一人では確実に無理だ」

老騎士「……」

老剣士「だが、今の俺はまだ納得はしていない……」

老剣士「一体、あんたの身に何があった?……」

老剣士「何故、あんたまで俺の様な盗賊まがいの事をする様になってしまったのだ?……」

175: 2013/10/04(金) 12:30:47 ID:H4Kg.o2o
老剣士「……」

老騎士「……」

老剣士「……」

老騎士「……」

老剣士「そんなに、言いたくはないのか?」

老剣士「あんた、まだ仮にも騎士の端くれだろ?」

176: 2013/10/04(金) 12:31:00 ID:H4Kg.o2o
老騎士「XXX、今はその話はなしじゃ!」

老騎士「まずは、ここを出なくてはならない!」

老剣士「……」

老騎士「ここは、さっきも言った通りに危険な場所じゃ!」

老騎士「そなたこそ、まだこんな所では決して氏にたくはないじゃろう?」

老剣士「ああ、まあな……」

177: 2013/10/04(金) 12:31:12 ID:H4Kg.o2o
老騎士「とりあえず、そこに保管されているマンボウを使おう!」

老騎士「そいつは、以前私が海で遭難した時も役に立った!」

老騎士「それを使って、海に出るぞ!」

老騎士「XXX。さぁ、お前も木箱の中にある不思議な魚を取り出すんじゃ!」

老騎士「この際、そのマンボウ二匹を奪って行くぞ!」

老剣士「ああ、了解した」

178: 2013/10/04(金) 12:31:23 ID:H4Kg.o2o
スッ、カチャカチャ……

カチャカチャ、カチャカチャ……

老剣士「……」

老騎士「……」

ストン、ストン……

ザザーーン、ザザーーン……

181: 2013/10/05(土) 12:53:19 ID:6C86efvM
老騎士「XXX。そなた、魔法は使えるか?」

老騎士「もし仮に、そなたが魔法を使えるのなら、この二匹のマンボウを浮かしてはくれんか?」

マンボウ「……」

老剣士「浮かす?」

老剣士「それは、どう言う事だ?」

老剣士「これ、そんなにも重かったのか?」

182: 2013/10/05(土) 12:53:31 ID:6C86efvM
老騎士「ああ、そうじゃ!」

老騎士「こいつは、かなり重いのじゃ!」

老騎士「それが原因で、私や私の部下は腰を痛めた!」

老騎士「軽く、こいつの重さは2t近くある」

老剣士「!?」

マンボウ「……」

183: 2013/10/05(土) 12:53:42 ID:6C86efvM
老剣士「ああ、了解した」

老剣士「少しばかり、俺も魔法は使える」

老剣士「だが、そんなに長くは使えないぞ」

老剣士「俺の魔法は、つい最近になって会得出来た」

老剣士「だから、そんなに長くは使えないのだ」

老騎士「……」

184: 2013/10/05(土) 12:53:53 ID:6C86efvM
老騎士「うむ。分かった!」

老騎士「XXX。早速、浮かしてくれ!」

老騎士「ちなみに、ここの金庫の中にあった金は私が回収した!」

老騎士「後で、そなたにもしっかりと分けてやる!」

老騎士「だから、早めにここから出ていくぞ!」

老剣士「ああ、了解した」

185: 2013/10/05(土) 12:54:14 ID:6C86efvM
老剣士「……」ブツブツ

老剣士「……」ブツブツ

老剣士「はっ!」ビシッ

マンボウ「……」フワッ

フワワッ、フワワッ……

ザザーーン、ザザーーン……

186: 2013/10/05(土) 12:56:22 ID:6C86efvM
老騎士「XXX。それを海にまで運べ!」

老騎士「なるべく、早くにな!」

老剣士「ああ、分かってる!」

マンボウ「……」

老騎士「しかし、神も時には残酷な事をするな……」

老騎士「まさか、ここでそなたと再び巡り会わせるとは……」

187: 2013/10/05(土) 12:56:34 ID:6C86efvM
老剣士「騎士XX。それは、こっちのセリフだよ」

老剣士「何で、あんたとこんな場所で再会をするんだか」

老騎士「……」

老剣士「それで、こいつを海に落とせば良いんだな?」

老剣士「と言うか、こいつは本当に役立つのか?」

マンボウ「……」

188: 2013/10/05(土) 12:56:48 ID:6C86efvM
老騎士「ああ、そうじゃよ!」

老騎士「こいつは、海で遭難をした時には本当に役立つのじゃぞ!」

老騎士「そなたは、海で遭難をした事はないか?」

老騎士「私は、ついこの間海で遭難した!」

老騎士「その時、本当にこいつにはお世話になった!」

マンボウ「……」

189: 2013/10/05(土) 12:57:21 ID:6C86efvM
老剣士「けど、今の俺にはこんな奴は価値はないな!」

老剣士「こいつは、本当にただのモンスターだ!」

老剣士「今まで、大勢のモンスターを見てきたが、こいつ程不気味な姿をした魚はいない!」

老剣士「あんたも、こんな不気味な魚を買い被るのは止めろ!」

老剣士「所詮、モンスターはモンスター!」

老剣士「それ以上でも、それ以下でもない!」

190: 2013/10/05(土) 12:57:35 ID:6C86efvM
老騎士「XXX。そなたは相変わらず石頭じゃな!」

老騎士「後で、本当に泣きを見ても知らんぞ!」

老騎士「そろそろ、そいつをここから出せ!」

老騎士「それが終わったら、今度は二匹目だ!」

老騎士「なるべく、早くにここから出すんじゃ!」

ザザーーン、ザザーーン……

191: 2013/10/05(土) 19:30:54 ID:6C86efvM
老剣士「ああ、分かった分かった。すぐにしてやるよ」

老剣士「とりあえず、あんたはドアを開けてくれ」

老剣士「外に、誰もいないよな?」

老剣士「ついさっきから、ずっと大声出してしまってたけど大丈夫だろうか?」

老騎士「さぁ、解らんな」

老剣士「……」

192: 2013/10/05(土) 19:31:07 ID:6C86efvM
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ガチャ、ギギィーーーーッ……

ダン、ピタッ……

老剣士「……」

老騎士「……」

マンボウ「……」

193: 2013/10/05(土) 19:31:37 ID:6C86efvM
老騎士「XXX。誰もいないぞ!」

老騎士「さぁ、早くそいつを海に落としてくれ!」

老剣士「ああ、了解した!」

マンボウ「……」

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

194: 2013/10/05(土) 19:31:49 ID:6C86efvM
フワワッ、フワワッ、フワワッ……

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

シュン、ドボン……

老騎士「うむ。良くやった!」

マンボウ「……」シューーッ

マンボウ「……」プカプカッ

195: 2013/10/05(土) 19:32:03 ID:6C86efvM
老騎士「XXX。この調子でもう一匹マンボウを出せ」

老騎士「それと、そなたに今回の分の取り分を渡しておこう」スッ

老騎士「ここに、10万G入ってる」

老騎士「どうやら、金庫の中には何故か10万Gしかなかった」

老騎士「これが、そなたに渡す取り分じゃ!」

ザザーーン、ザザーーン……

196: 2013/10/05(土) 19:32:15 ID:6C86efvM
老剣士「騎士XX。本当に、金庫の中には10万Gしかなかったのか?」

老剣士「それだと、あんたの分の取り分がないじゃないか」

マンボウ「……」プカプカッ

老騎士「ああ、そうじゃよ!」

老騎士「今の私には、あそこに浮かぶマンボウがおる!」

老騎士「だから、そなたにはこの現金を渡しておこう!」

197: 2013/10/05(土) 19:32:29 ID:6C86efvM
老剣士「ああ、了解した」

老剣士「なら、俺は陸路で戻るとする」

老剣士「その前に、その布袋に入った中身を見せろ」

老剣士「その中身は、本当に金貨なのだな?」

老騎士「ああ、そうじゃ!」

スッ、シュルシュル……

198: 2013/10/05(土) 19:32:44 ID:6C86efvM
スッ、ジャラジャラ……

ジャラジャラ、ジャラジャラ……

老剣士「……うむ。確かに」

老騎士「とりあえず、私はあのマンボウを使って海を渡る!」

老騎士「私は、ついこの間から、この近くの島に私は居を構えた!」

老騎士「そなたが良ければ、そこまで案内してやるが、どう致す?」

199: 2013/10/05(土) 19:33:15 ID:6C86efvM
老剣士「いや、それには及ばん」

老剣士「俺は、まだこの町でやる事がある」

老剣士「騎士XX。達者でな」

老剣士「いつか、また会おうぞ!」

老騎士「ああ、了解した!」

マンボウ「……」プカプカッ

200: 2013/10/05(土) 19:33:29 ID:6C86efvM
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ダッ、ジャボン……

老騎士「……」

マンボウ「……」

ザザーーン、ザザーーン……

201: 2013/10/05(土) 21:41:06 ID:YwYLf8EQ
どうなる…支援

第2話


引用: マンボウ「あの、私、ただの魚なんですけど……」