202: 2013/10/06(日) 12:28:17 ID:.UHWUwnM

第1話


老剣士(騎士XX。行ったか……)

老剣士(まさか、再びこの様な場所で出会えるは……)

老剣士(それにしても、何故この様な事に……)

老剣士(俺には、全くその事についてが解らない……)

老剣士(とりあえず、ここの現金は頂いた)

老剣士(後は、分身がどう動いておるか)
魔法の世界
203: 2013/10/06(日) 12:28:29 ID:.UHWUwnM
シュピン……

老剣士(む? 分身からの連絡)

老剣士(我、本日の宿を取得なり)

老剣士(直ちに、指定された宿にまで帰還せよ……か)

老剣士(あ奴、本当に役に立つな……)

老剣士(こんな事なら、もう少し早くに魔法も覚えておくべきだった……)

204: 2013/10/06(日) 12:28:44 ID:.UHWUwnM
老剣士(さて、我も宿に行くとするか……)

老剣士(今夜は、久しぶりに宿で眠れそうだからな……)

老剣士(しかし、やはり分からん……)

老剣士(一体、騎士XXは何を恐れておったのだ?……)

老剣士(ここは、ごくごく普通のただの漁港……)

老剣士(今まで、多くの場所で盗みも働いてきたが、ここも対して他と違わない様な気もするが……)

205: 2013/10/06(日) 12:29:39 ID:.UHWUwnM
「おいっ、何故か保管庫のドアが開いているぞ!?」

「一体、何があった!?」

老剣士「!?」ハッ

「皆、周囲をよく調べろ!」

「まだ、侵入者はこの近くにいるかもしれない!」

老剣士(くっ、気づかれたか……)サッ

206: 2013/10/06(日) 12:29:54 ID:.UHWUwnM
スッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

老剣士「……」

「おいっ、何故ここの室内には松明が灯ってる?」

「まさか、侵入者はここに盗みに入っていたのか?」

ザザーーン、ザザーーン……

207: 2013/10/06(日) 12:30:15 ID:.UHWUwnM
「隊長。どう致しますか?」

「騎士団本部に、応援を要請致しましょうか?」

老剣士「……」

「いや、それには及ばん!」

「ここは、我らだけでも十分だ!」

老剣士「……」

208: 2013/10/06(日) 12:30:30 ID:.UHWUwnM
「隊長。ですが、万が一の事がございます!」

「もしかしたら、酒場のママからの通報があった例の老人が、ここへと侵入!」

「我々の監視をすり抜け、ここに盗みに入った可能性があります!」

「もしそれが事実なら、我々の責任問題にもなりかねません!」

「我々は、完全に領主様から解雇されてしまうのですよ!」

老剣士「……」

209: 2013/10/06(日) 12:31:19 ID:.UHWUwnM
「分隊長。そう焦るな!」

「奴は、まだこの漁港の中にいる!」

「それに、ここで盗みがあった事実を隠匿すれば良いだけの事!」

「そうすれば、領主様にもバレずに俺達も解雇されずに済む!」

「しかし!」

老剣士「……」

210: 2013/10/06(日) 12:31:31 ID:.UHWUwnM
「隊長。被害総額が判明しました!」

「被害総額が、現金で10万G!」

「後、そこに保管されているマンボウが一匹盗まれております!」

老剣士「!?」ギクッ

「ん? たったそれだけか?」

「それ以外に、何も被害はなかったのか?」

211: 2013/10/06(日) 12:31:45 ID:.UHWUwnM
「ええ、そうみたいです!」

「それ以外に、被害は全く出ておりません!」

老剣士「……」

「なら、早く被害にあった痕跡を全て消せ!」

「もう少しで、ここの漁師達が戻ってくる!」

ザザーーン、ザザーーン……

212: 2013/10/07(月) 14:14:55 ID:1BaQ2mWc
「隊長。一体、何をお考えなのですか?」

「そんな事をして、本当にバレないとお思いなのですか?」

老剣士「……」

「ああ、大丈夫だ!」

「だから、早く被害自体を無かった事にする!」

「だから、さっさと作業に取り掛かれ!」

213: 2013/10/07(月) 14:15:08 ID:1BaQ2mWc
「隊長。このマンボウを、今から増殖させます!」

「少し、時間が掛かりますが宜しいでしょうか?」

「ああ、構わんが!」

「なら、被害に遭った現金はどう致しますか?」

「これは、そのまま金庫に戻しておきましょうか?」

「ああ、頼む!」

214: 2013/10/07(月) 14:15:21 ID:1BaQ2mWc
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ……

「隊長。第二分隊、捜索完了!」

「付近に、侵入者の影なし!」

「第三分隊も、同じ模様です!」

老剣士「……」

215: 2013/10/07(月) 14:15:32 ID:1BaQ2mWc
「くそっ、この周囲にはいないのか?」

「奴は、一体どこに隠れたのだ?」

老剣士「……」

「なら、第四分隊と第五分隊は?」

「そこからは、まだ報告はないのか?」

「はい。その様です!」

216: 2013/10/07(月) 14:15:44 ID:1BaQ2mWc
「隊長。ここの室内の捜索はどうしますか?」

「一応、中身全てをひっくり返しましょうか?」

老剣士「!?」ビクッ

「いや、その必要はないな!」

「それだと、ここの漁師に勘づかれちまう!」

ザザーーン、ザザーーン……

217: 2013/10/07(月) 14:15:57 ID:1BaQ2mWc
「隊長。一応、漁師達を足止めしますか?」

「万が一の事を考え、足止めしとく必要があると思いますが」

老剣士「……」

「ああ、そうだな」

「それを、一応はしといた方が良さそうだ」

「後は、奪われたマンボウがいつ増殖出来るかだな」

218: 2013/10/07(月) 14:16:14 ID:1BaQ2mWc
シュッ、シューーーーッ……

シューーーーッ、シューーーーッ……

シューーーーッ、シューーーーッ……

老剣士「……」

「おっ、始まったか」

「やはり、魔法が使えるのは良いもんだ!」

219: 2013/10/07(月) 14:16:26 ID:1BaQ2mWc
シューーーーッ、シューーーーッ……

シューーーーッ、シューーーーッ……

シューーーーッ、シュン……

老剣士「……」

「隊長。完了しました!」

「マンボウの増殖完了です!」

220: 2013/10/07(月) 14:16:37 ID:1BaQ2mWc
「ん? 予定より、早かったな」

「これなら、足止めする必要はないな」

老剣士「……」

「隊長。第四、第五分隊を呼び戻しますか?」

「今、第四、第五分隊は海の方を捜索しています」

老剣士「!?」

221: 2013/10/07(月) 14:16:48 ID:1BaQ2mWc
「ああ、そうだな!」

「第四、第五分隊をすぐに呼び戻せ!」

「総員、速やかにこの場から撤収!」

「不審者捜索は、全て打ち切りとする!」

「はっ!」

ザザーーン、ザザーーン……

222: 2013/10/08(火) 12:07:25 ID:YatRTWFE
シュピン……

「隊長。第四分隊から通信です!」

「海上にて、不審者を発見! 指示を願う!」

老剣士「!?」

「うむ。現在地は?」

「まだ、不審者はこの近くにいるのか?」

223: 2013/10/08(火) 12:07:36 ID:YatRTWFE
「ええ、その様です!」

「第四分隊が、不審者一名を発見!」

「その不審者は、マンボウらしき物にしがみつきながら、海面をゆっくりと漂流!」

「小舟による包囲を敷いている状態です!」

「うむ。そうか」

老剣士(騎士XX……)

224: 2013/10/08(火) 12:07:56 ID:YatRTWFE
「隊長。如何致しますか?」

「その不審者、捕縛致しますか?」

老剣士「……」

「いや、ほっとけ!」

「どうせ、今回の被害自体が無かった事になるんだ!」

「だから、その不審者も捕縛する必要すらない!」

225: 2013/10/08(火) 12:08:08 ID:YatRTWFE
シュピン……

「隊長。第五分隊より通信!」

「第四分隊と共に、不審者を包囲中!」

「早急に、指示を願う!」

「ああ、またか……」

老剣士「……」

226: 2013/10/08(火) 12:08:20 ID:YatRTWFE
「魔術師。第四、第五分隊にこう伝えろ!」

「今回の被害自体は、全て揉み消した!」

「不審者を、そのまま見逃した上で駐屯地にまで帰還!」

「騎士団本部には、適当にごまかしとく!」

「だから、早急に帰還せよとな!」

ザザーーン、ザザーーン……

227: 2013/10/08(火) 12:08:32 ID:YatRTWFE
「はっ、了解致しました!」

「至急、第四、第五分隊に連絡を入れます!」

「うむ。よろしい!」

「隊長。この金、すぐに戻してきます!」

「後は、ここの松明を消して、ここを施錠するだけです!」

「ああ、了解した!」

228: 2013/10/08(火) 12:08:44 ID:YatRTWFE
「お前ら、早く出ろ!」

「ちゃんと、全ての松明も消しておけ!」

「はっ!」

老剣士「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

229: 2013/10/08(火) 12:09:04 ID:YatRTWFE
シュッ、シュッ、シュッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

シュッ、シュッ、シュッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

シュッ、シュッ、シュッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

230: 2013/10/08(火) 12:09:16 ID:YatRTWFE
「ん? 何で、こんなに松明が多いんだ?」

「こんなに、ここの倉庫は広かったのか?」

老剣士「……」

「隊長。ここは、魔法による室内管理が施されている場所です!」

「その為、ここの松明も通常に比べてかなり多いのですよ!」

「ああ、そうなのか」

231: 2013/10/08(火) 12:09:27 ID:YatRTWFE
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ガチャ、ギギィーーーーッ……

ダン、カチャ……

カチャ、カチャ、カシャン……

ザザーーン、ザザーーン……

232: 2013/10/08(火) 12:11:37 ID:YatRTWFE
「隊長。施錠完了致しました!」

「後は、金庫の方です!」

「……」

シュピン……

「隊長。第四、第五分隊より通信!」

「これより、帰還するとの事です!」

233: 2013/10/08(火) 12:11:50 ID:YatRTWFE
「ああ、了解した」

「事務室の方は、どうなんだ?」

「いえ、まだです!」

「事務室の方は、今魔術師殿が向かっております!」

「ああ、そうか」

老剣士「……」

234: 2013/10/08(火) 12:12:03 ID:YatRTWFE
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ……

「隊長。事務室の方も完了致しました!」

「後は、第四、第五分隊の帰還を待つだけです!」

老剣士「……」

235: 2013/10/08(火) 12:12:16 ID:YatRTWFE
シュピン……

「隊長。第六分隊より通信!」

「例の老人は、市内にある宿屋にて発見!」

「所持金の方も、僅か一泊分の現金のみ!」

「特に、変わった様子は見られない様です!」

「ああ、そうか」

236: 2013/10/08(火) 12:12:46 ID:YatRTWFE
「なら、例の老人は関係ないと言う事か?」

「あの老人、見た目からしてかなり怪しいらしいが」

「ええ、その様です」

「全く、あの老人は何をやってんだか……」

「てっきり、ここに盗みに来たと思っていたんだがな……」

ザザーーン、ザザーーン……

237: 2013/10/08(火) 12:12:59 ID:YatRTWFE
「魔術師。第四、第五分隊の位置は?」

「まだ、時間が掛かるのか?」

「はい」

「なら、第六から第九分隊は?」

「そろそろ、騎士団本部も勘づいてくるだろう」

老剣士「……?」

238: 2013/10/08(火) 12:13:12 ID:YatRTWFE
「隊長。どうします?」

「騎士団本部には、どう言い訳をしときましょうか?」

老剣士「……」

「そうだな……」

「適当に、上手くごまかしておく……」

「と言うか、今の俺は駐屯地にいる副隊長の方が心配だな……」

239: 2013/10/08(火) 12:13:24 ID:YatRTWFE
「副隊長。どうかされたのですか?」

「駐屯地に、一体何があるのですか?」

「……」

「魔術師殿。ここは、もう撤収しましょう!」

「各分隊も、すぐに撤収をするんだ!」

「はっ!」

240: 2013/10/08(火) 12:13:55 ID:YatRTWFE
「仕方ない。先に、戻るか……」

「各分隊も、すぐに撤収をしろ!」

「はっ!」

「魔術師。早く、撤収をするぞ!」

「総員、速やかに駐屯地にまで帰還だ!」

老剣士「……」

241: 2013/10/08(火) 12:14:06 ID:YatRTWFE
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ザザーーン、ザザーーン……

242: 2013/10/09(水) 07:35:35 ID:Layrf50k
老剣士(あ奴等、俺に気づいてなかったのか?)

老剣士(それとも、敢えて知ってて無視していたのか?)

老剣士(まぁ良い……)

老剣士(俺に、気づいていないのならば、もう良い……)

老剣士(だが、ついうっかり金を回収し忘れた……)

老剣士(そればかりが、かなりの不覚だった……)ハァ……

243: 2013/10/09(水) 07:35:48 ID:Layrf50k
老剣士(だが、どうする?)

老剣士(この場から、どうやって脱出をする?)

老剣士(あ奴等、ここの鍵を閉めていった)

老剣士(出入り口は、完全に封鎖されてしまっている)

老剣士(おまけに、室内は真っ暗)

老剣士(あまりにも暗すぎて、回りがよく見えない)

244: 2013/10/09(水) 07:36:01 ID:Layrf50k
老剣士(しかし、ここの魚はどうなっているのだ?)

老剣士(今は、塩漬けでなく凍り漬けにして出荷しているのか?)

老剣士(保管している割には、魚が全く溶けていない)

老剣士(普通、魚を凍り漬けにしたとしても、ここまで凍るのか?)

老剣士(以前は、魚を塩漬けにしていたのだが……)

老剣士(本当に、時代は変わるものだな……)

245: 2013/10/09(水) 07:36:14 ID:Layrf50k
シュピン……

老剣士(む? 分身からの通信?)

老剣士(宿屋に、兵士が所在確認に来た)

老剣士(外は、兵士が多数巡回中)

老剣士(周囲をよく警戒されたし……か)

老剣士(相変わらず、俺の分身は優秀なんだな)

246: 2013/10/09(水) 07:36:26 ID:Layrf50k
老剣士(あっ、そう言えば俺も魔法使えたんだった……)

老剣士(転移魔法は、まだ使った事がなかったんだったな……)

老剣士(一か八か、転移魔法を使ってみるか?……)

老剣士(この暗さだと、回りがよく見えない……)

老剣士(まだ、あの騎士XXがここを恐れていた理由は掴めてない……)

ザザーーン、ザザーーン……

247: 2013/10/09(水) 07:36:37 ID:Layrf50k
老剣士(いや、ここは早めに逃げた方が良いかもしれないな……)

老剣士(また、多数の兵士達がここに来るかもしれん……)

老剣士(その割には、今の俺はかなり優柔不断……)

老剣士(相変わらず、決断が遅い……)

老剣士(今の俺は、流浪の身のはずなのに……)

老剣士(はぁ……)

248: 2013/10/09(水) 07:36:49 ID:Layrf50k
老剣士「……」

半魚人「……」

マンボウB「……」

マンボウC「……」

マンボウD「……」

マンボウE「……」

249: 2013/10/09(水) 07:37:01 ID:Layrf50k
老剣士「……」

サメ「……」

マグロ「……」

クラーケンA「……」

クラーケンB「……」

老剣士「ふぅ……」

250: 2013/10/09(水) 07:37:12 ID:Layrf50k
老剣士「とりあえず、宿屋にでも行くか……」

老剣士「ずっと、宿屋に分身を置いたまんまだったし……」

スッ、カチャ……

スラァン、カチャ……

老剣士「……」ブツブツ

老剣士「……」ブツブツ

251: 2013/10/09(水) 07:37:24 ID:Layrf50k
老剣士「……」

老剣士「……」

老剣士「……」

老剣士「……」

シューーーーッ、シュン……

ザザーーン、ザザーーン……

252: 2013/10/10(木) 12:30:25 ID:iefv5c9I
~とある城門前~

翌朝――

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

253: 2013/10/10(木) 12:30:37 ID:iefv5c9I
パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

「止まれ!」

ピタピタピタピタッ、ピタピタピタピタッ……

254: 2013/10/10(木) 12:30:50 ID:iefv5c9I
兵士「失礼。警備隊の者です」

兵士「荷台の中身を確認したいのですが」

兵士長「……」

スッ、スタッ……

従者A「ええ、構いませんよ」

従者A「少々、お待ち下さいませ」

255: 2013/10/10(木) 12:31:03 ID:iefv5c9I
従者A「おい、従者B。検問だ!」

従者A「従者C、従者D。荷台の方を開けてくれ!」

従者B「あいよ!」

スッ、スタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、パカッ……

256: 2013/10/10(木) 12:31:16 ID:iefv5c9I
スッ、スタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、パカッ……

従者C「従者A、終わったぞ!」

従者D「こっちもだ!」

従者A「ああ、了解した!」

257: 2013/10/10(木) 12:31:29 ID:iefv5c9I
従者A「兵士さん。荷台を開けました」

従者A「領主様からの許可証も、お見せ致しましょうか?」

兵士「ええ、お願い致します」

兵士長「兵士2~5、荷台を確認しろ!」

兵士長「他の残りは、そのまま他の通行人を調べるんだ!」

兵士達「はっ!」

258: 2013/10/10(木) 12:32:01 ID:iefv5c9I
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタピタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタピタッ……

スッ、シュタッ……

兵士達「……」

259: 2013/10/10(木) 12:32:13 ID:iefv5c9I
従者A「兵士さん。これが許可証です」

従者A「積み荷は、昨日許可を取ったモンスターの氏骸です」スッ

兵士「……」スッ

シュルシュル、パサッ……

兵士「……」

兵士「……うむ。確かに」

260: 2013/10/10(木) 12:32:28 ID:iefv5c9I
兵士長「それで、若いエルフの母子はどうした?」

兵士長「今、その荷台に乗っているのか?」

従者A「いえ、乗っていませんが」

兵士長「なら、その若い母子はどこに?」

兵士長「まだ、我々は姿を確認はしてないのだが」

兵士達「……」

261: 2013/10/10(木) 12:32:43 ID:iefv5c9I
従者A「奥様なら、すぐここに来られます」

従者A「今さっき、変な老人に絡まれましてね」

従者A「お嬢様と一緒に、それを撃退している最中です」

兵士長「は?」

従者A「まだ、少し時間が掛かるんじゃないですか?」

従者A「あの老人、かなりしぶとかったですから」

262: 2013/10/11(金) 08:57:46 ID:c/Wyw4qI
兵士長「それで、その老人の特徴は?」

兵士長「今、奥さんはどの辺にいるんだ?」

従者A「ええっと、ちょっと待って下さいね」チラッ

従者B「確か、市場の付近じゃないか?」

従者B「そこで、あの老人がやけにお嬢様に絡み出していたから」

従者A「あれっ、そうだったっけ?」

263: 2013/10/11(金) 08:57:59 ID:c/Wyw4qI
従者B「お前、ちゃんと見とけよ……」

従者B「あの老人、かなり怪しかったろ……」

従者A「ああ、そうだったな……」

兵士長「とりあえず、渋滞になるから門の外で待て!」

兵士長「兵士2~5、この馬車荷台を誘導するんだ!」

兵士達「はっ!」

264: 2013/10/11(金) 08:58:11 ID:c/Wyw4qI
兵士2「それじゃあ、今確認が終わった馬車は外へ出ろ!」

兵士2「馬車を外へ出し終わった後、誰か一人ここに残れ!」

従者A「あっ、はい……」

兵士2「ほらっ、さっさと出ろ!」

兵士2「後ろに、結構な列が出来始めているぞ!」

従者A「げっ!?」

265: 2013/10/11(金) 08:58:24 ID:c/Wyw4qI
従者B「従者A。さっさと乗れ!」

従者B「他の皆も、今から移動するぞ!」

従者D「ああ、了解した!」

スッ、パカッ……

パカパカッ、パカパカッ……

スッ、ギュッ……

266: 2013/10/11(金) 08:58:36 ID:c/Wyw4qI
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

267: 2013/10/11(金) 08:58:48 ID:c/Wyw4qI
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

268: 2013/10/11(金) 08:59:01 ID:c/Wyw4qI
兵士「兵士長。馬車が移動しました」

兵士「他の者達も、そのまま通していきます」

兵士長「うむ。宜しい」

「兵士長。例のエルフと思われる親子がこちらに接近」

「例の老人に関しては、第七分隊が確保したそうです」

兵士長「……」

269: 2013/10/11(金) 08:59:13 ID:c/Wyw4qI
兵士「魔術師殿、了解した」

兵士「例の積み荷に関しても、異常はありませんでしたか?」

「ええ、全く」

兵士長「なら、奥さん達も速やかに通せ!」

兵士長「勿論、他の通行人達もな!」

兵士長「はっ!」

270: 2013/10/11(金) 08:59:24 ID:c/Wyw4qI
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタピタッ……

エルフ「あの、すみません」

エルフ「つい先程、エルフの里の紋章が入った荷馬車二台がここに来ませんでしたか?」

エルフ「その荷台に、エルフの里に送るモンスターの氏骸が積まれていたはずなんですが」

271: 2013/10/11(金) 08:59:35 ID:c/Wyw4qI
兵士長「ああ、今さっき来たぞ」

兵士長「おいっ、兵士。許可証を奥さんに返してやれ」

兵士「はっ!」

スッ、シュルシュル……

スッ、スッ……

エルフ「……」

272: 2013/10/11(金) 14:12:14 ID:c/Wyw4qI
エルフ母「それで、その荷馬車は今どこに?」

エルフ母「今はまだ、検査中か何かなのでしょうか?」

兵士「ええ、そうです」

エルフ母「ああ、そうなんですか」

エルフ母「やっぱり、あれを積んでいたら、すぐには通れませんからね」

エルフ「……」

273: 2013/10/11(金) 14:12:27 ID:c/Wyw4qI
兵士長「奥さん。一応、奥さん達の荷馬車を検査させて貰っている!」

兵士長「つい先日、とても怪しげな老人がこの町に忍び込んだ!」

兵士長「その為、いつもより検問を強化させて貰ってる!」

兵士長「だから、奥さん達もご協力願う!」

エルフ母「ええ、構いませんが」

シュピン……

274: 2013/10/11(金) 14:13:01 ID:c/Wyw4qI
「兵士長。駐屯地から入電!」

「例の老人の身柄は、第六分隊が確保した!」

「その老人と争っていたエルフ母子に関しては、そのまま速やかに帰郷させよ!」

「あの老人は、かなり手強い!」

「見掛けによらず、剣の腕だけは確かだった様だ!……との事です」

兵士長「……」

275: 2013/10/11(金) 14:13:14 ID:c/Wyw4qI
「兵士長。如何致しますか?」

「どの様に、駐屯地には返信致しましょうか?」

エルフ母「……」

兵士長「ああ、了解した!」

兵士長「エルフ母子は、これから速やかに帰郷させる!」

兵士長「駐屯地にも、そう伝えるんだ!」

276: 2013/10/11(金) 14:13:28 ID:c/Wyw4qI
「はっ! 了解致しました!」

「駐屯地には、そう伝えておきます!」

「それと、本当にあの荷馬車を外に出しても宜しかったのですか?」

「子供とは言え、二種類のクラーケン氏体が混じっていたのですが……」

兵士長「ああ、構わん!」

兵士「何も、問題はないみたいですよ!」

277: 2013/10/11(金) 14:13:40 ID:c/Wyw4qI
「ああ、そうなんですか……」

「そのクラーケン、一体何に使われるんですか?」

エルフ母「……」

兵士長「許可証には、エルフの里での研究目的とある!」

兵士長「領主様からも、色々な許可が出た!」

兵士長「だから、何も心配はいらんぞ!」

278: 2013/10/11(金) 14:13:51 ID:c/Wyw4qI
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタピタッ……

従者A「奥様。荷馬車の検査が終わりました!」

従者A「後は、出発をするだけです!」

兵士2「……」

279: 2013/10/11(金) 14:14:04 ID:c/Wyw4qI
エルフ母「あら、そうなの」

エルフ母「そろそろ、私達もおいとましましょうか?」

エルフ「……」コクン

兵士長「奥さん。お気を付けて!」

兵士長「お嬢ちゃんも、道中気を付けてな!」

エルフ「は~~い」

280: 2013/10/11(金) 14:14:16 ID:c/Wyw4qI
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

兵士長「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

兵士達「……」

281: 2013/10/11(金) 14:14:27 ID:c/Wyw4qI
スッ、シュタッ……

魔術師「……」

魔術師「……」

魔術師(あのエルフ、どこかで?)

魔術師(以前、どこかで見かけた様な?)

兵士長「……」

282: 2013/10/12(土) 11:11:52 ID:.6iyBclo
~とある生け簀~

マンボウ「……」

マンボウ「……」

マンボウ「……」

マンボウ「……」

ザザーーン、ザザーーン……

283: 2013/10/12(土) 11:12:06 ID:.6iyBclo
マンボウ「……」

マンボウ「……」

マンボウ「……」

マンボウ「……」

マンボウ「……」パチッ

マンボウ「……」シャキン

284: 2013/10/12(土) 11:12:17 ID:.6iyBclo
マンボウ「……」

マンボウ「……」

マンボウ「……」

マンボウ「……」

マンボウ「ここどこ?……」

マンボウ「何で私、こんな場所にいるの?……」

285: 2013/10/12(土) 11:12:51 ID:.6iyBclo
マンボウ「……」

マンボウ「……」

マンボウ「……」

マンボウ「……」

マンボウ「ああ、なんか懐かしい……」

マンボウ「ようやく、海に戻れた感じ……」

286: 2013/10/12(土) 11:13:04 ID:.6iyBclo
マンボウ「でも、ここは一体どこなのよ?」

マンボウ「何で私、こんな所に入れられてるの?」

小魚「……」スイスイ

マンボウ「ねぇ、そこのあなた……」

マンボウ「ここは、一体どこなの?……」

マンボウ「私、ちゃんと海に戻ってこれたの?……」

287: 2013/10/12(土) 11:13:16 ID:.6iyBclo
マンボウ「ちょっと、あなた何か言ってよ……」

マンボウ「ここ、一体どこの海なのよ……」

小魚「……」スイスイ

マンボウ「一体、ここはどこなの?……」

マンボウ「私、これからどうなっちゃうの?……」

ザザーーン、ザザーーン……

288: 2013/10/12(土) 15:06:19 ID:.6iyBclo
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ……

マンボウ「……?」

「なんだ、もう起きちゃってたんだ」

「てっきり、まだ眠っちゃってると思ってたよ」ニッコリ

289: 2013/10/12(土) 15:06:36 ID:.6iyBclo
マンボウ「あなた、一体何者?……」

マンボウ「私の事、どうするつもりなの?……」

「!?」

マンボウ「お願い。あなたの目的を教えて……」

マンボウ「私は、どこにでもいるただのお魚なのよ……」

「……」

290: 2013/10/12(土) 15:06:52 ID:.6iyBclo
「……君、言葉話せるの?」

「なんだか、悪い夢を見ている様な気分だよ……」

マンボウ「……」

「ボクの名前は、XXXX」

「主に、この島で魔法使いをやってるんだ」ニッコリ

マンボウ「……」

291: 2013/10/12(土) 15:07:27 ID:.6iyBclo
魔法使い「それで、君の名前は?」

魔法使い「人間の言葉を話せるんだから、君にも名前くらいあるんだよね?」ニコニコ

マンボウ「……」

魔法使い「あれ? どうしたの?」

魔法使い「まさか、君には名前すらないの?」ニコニコ

マンボウ「ええ、そうよ」

292: 2013/10/12(土) 15:07:41 ID:.6iyBclo
魔法使い「じゃあ、普段は何て名乗ってるの?」

魔法使い「人間の言葉を話せるんだから、適当に名前くらいは名乗ってるんだよね?」ニコニコ

マンボウ「……マンボウ」

魔法使い「え?」

マンボウ「マンボウ。それが、私の種族の名前なのよ!」イラッ

ザザーーン、ザザーーン……

293: 2013/10/12(土) 19:49:46 ID:.6iyBclo
魔法使い「……マンボウ?」

魔法使い「君、変わった名前だね……」

マンボウ「……」

魔法使い「それ、今考えたの?」

魔法使い「それとも、君の種族の名前?」

マンボウ「ええ、そうよ……」

294: 2013/10/12(土) 19:50:06 ID:.6iyBclo
魔法使い「マンボウ……」

魔法使い「聞いた事ないなぁ……」

魔法使い「君、一体どこから来たの?……」

魔法使い「と言うか、正面から見たら君はかなり不細工……」

魔法使い「本当に、正面から見たら不細工な顔をしているね……」

マンボウ「……」ムカッ

295: 2013/10/12(土) 19:50:21 ID:.6iyBclo
魔法使い「まぁ、そんな事は置いといて、早速本題に入るとするよ」

魔法使い「君、性別はメスだよね?」

魔法使い「間違ってるのなら、すぐ謝るけど」

マンボウ「……ええ、そうだけど」

魔法使い「なら、今すぐここで卵産んで!」

魔法使い「その為に、ボクは君をここに連れてきたんだから!」ニッコリ

296: 2013/10/12(土) 19:50:45 ID:.6iyBclo
マンボウ「……ごめんなさい。もう一度言ってくれる?」

マンボウ「今、あなたは何て言ったの?……」

マンボウ「ついさっきの、私の聞き間違いかしら?……」

小魚「……」スイスイ

魔法使い「君に、今ここで卵を産んでほしい!」

魔法使い「その為に、ボクは君をここに呼んだんだよ!」ニコニコ

297: 2013/10/12(土) 19:51:02 ID:.6iyBclo
マンボウ「……」

魔法使い「……」ニコニコ

マンボウ「……」

魔法使い「それで、返事は?」

魔法使い「君は、ボクの為に卵を産んでくれるのかな?」ニコニコ

ザザーーン、ザザーーン……

298: 2013/10/13(日) 10:07:23 ID:CwkvlWhs
マンボウ「あなた、それ本気で言ってるの!?」

マンボウ「と言うか、そんな事をしたら私氏んじゃうでしょうが!」ムカムカッ

魔法使い「……」

マンボウ「一体、私の事をなんだと思っているの!?」

マンボウ「私、本当にただのお魚なのよ!」

マンボウ「だから、早くここから出して!」ムカムカッ

299: 2013/10/13(日) 10:07:37 ID:CwkvlWhs
マンボウ「それで、ここは一体どこ!?」

マンボウ「私、早く海に帰りたいんだけど!」ムカムカッ

魔法使い「……」

マンボウ「私、早く海に戻りたい!」

マンボウ「こんな場所に閉じ込められているくらいなら、まだ氏んだ方がマシよ!」

マンボウ「一体、何なのよ? この摩訶不思議な入れ物は!?」ムカムカッ

300: 2013/10/13(日) 10:07:49 ID:CwkvlWhs
魔法使い「そんなに、君はここを出たいの?」

魔法使い「今はまだ、海に戻らない方が良いよ!」

マンボウ「何故!?」ムカムカッ

魔法使い「実は、君を捕獲する時にモンスターに襲われたんだ!」

魔法使い「君と一緒にいたお爺さんが、そのモンスターによって惨殺されちゃったんだ!」

マンボウ「!?」

301: 2013/10/13(日) 10:08:01 ID:CwkvlWhs
魔法使い「だから、君はまだ海に戻らない方が良いよ!」

魔法使い「海では、未だにクラーケンニ体が暴れ回っているから!」

マンボウ「……」

魔法使い「それに加えて、サメやら半魚人やらが大量に発生!」

魔法使い「今、君が海に戻るのは、はっきり言って自殺行為!」

魔法使い「だから、ここでまだ大人しくしといた方が良いよ!」

302: 2013/10/13(日) 10:08:11 ID:CwkvlWhs
マンボウ「……今の話、本当なの?」

マンボウ「本当に、まだ海に出ない方が良いの?」

魔法使い「うん。そうだけど」

マンボウ「なら、せめてここがどこだか教えて!」

マンボウ「それくらいなら、まだ良いでしょ?」

ザザーーン、ザザーーン……

303: 2013/10/13(日) 10:10:26 ID:CwkvlWhs
魔法使い「そんなに、知りたいの?」

魔法使い「それを知った所で、今の君に何の得があるの?」

マンボウ「……」

魔法使い「君は、まだここからは出る事が出来ない!」

魔法使い「まだ、君に卵すら産んで貰ってないからね!」ニッコリ

マンボウ「……」

304: 2013/10/13(日) 10:10:38 ID:CwkvlWhs
マンボウ「あなた、本当に何なのよ?……」

マンボウ「何で、そんなに卵産ませたいの?……」

魔法使い「……」ニコニコ

マンボウ「私、卵産んだら氏んでしまうわよ……」

マンボウ「普通、魚は卵産んだら確実に氏ぬんだけど……」

魔法使い「それが何?」ニコニコ

305: 2013/10/13(日) 10:10:50 ID:CwkvlWhs
マンボウ「まさか、私をずっとここに?……」ハッ

マンボウ「あなた、絶対に私をここから出す気ないでしょ!?」アセアセッ

魔法使い「……あっ、バレた?」ニコニコ

マンボウ「私、まだ氏にたくはない!」

マンボウ「まだ、海でゆったりと泳いでいたい!」アセアセッ

魔法使い「……」ニコニコ

306: 2013/10/13(日) 10:11:01 ID:CwkvlWhs
魔法使い「残念だけど、それはまだ無理だね!」

魔法使い「君は、まだここから出る事は出来ないよ!」ニコニコ

マンボウ「……」

魔法使い「とりあえず、君は何も言わずに卵を産んで!」

魔法使い「それさえしてくれたら、君をすぐさま解放してあげるよ!」ニコニコ

マンボウ「……」ムカッ

307: 2013/10/13(日) 10:11:13 ID:CwkvlWhs
マンボウ「でも、私はあなたなんかの為に卵を産みたくはないわ!」

マンボウ「第一、相手すらいないでしょ?」ムカムカッ

魔法使い「……あ」

マンボウ「だから、早く私を無条件で解放して!」

マンボウ「私は、本当にただただゆったりと泳いでいたいだけなんだから!」ムカムカッ

ザザーーン、ザザーーン……

308: 2013/10/13(日) 18:53:57 ID:CwkvlWhs
魔法使い「……そんなに、嫌?」

魔法使い「ここで、卵を産むのはそんなに嫌?」

マンボウ「ええ、絶対に!」ムカムカッ

魔法使い「なら、君の仲間を捕まえてこようか?」

魔法使い「そしたら、君も卵を産んでくれると思うけど」

マンボウ「しつこい!」ムカッ

309: 2013/10/13(日) 18:54:32 ID:CwkvlWhs
魔法使い「君、メスなんだよね?」

魔法使い「普通、メスなら卵くらいは産もうと思うんだけど」

魔法使い「何で、そんなに嫌がるの?」

マンボウ「……」ムカムカッ

魔法使い「君って、本当にメス?」

魔法使い「普通は、卵くらいは産みたいと思うはずなんだけどなぁ……」

310: 2013/10/13(日) 18:54:49 ID:CwkvlWhs
マンボウ「……あなた、私の話ちゃんと聞いてた?」

マンボウ「さっきから、私が嫌だと言っている事を、何でそこまで強要しようとしてくる訳?」ムカムカッ

魔法使い「……」

マンボウ「私、卵なんて産みたくない!」

マンボウ「今すぐ、海に帰りたい!」

マンボウ「だから、早くここから出して!」ムカムカッ

311: 2013/10/13(日) 18:55:02 ID:CwkvlWhs
魔法使い「ごめん。それ無理!」

魔法使い「何度も言うようだけど、それだけは絶対に無理なんだよ!」

魔法使い「今はまだ、海はかなり荒れてる!」

魔法使い「モンスターが、そこらじゅうにうようよいる!」

魔法使い「だから、絶対に止めといた方が良いって!」アセアセッ

マンボウ「……」ムカムカッ

312: 2013/10/13(日) 18:55:17 ID:CwkvlWhs
マンボウ「あなた、それ本当なの?」

マンボウ「私からしてみたら、なんか嘘みたいな話に思えてくるんだけど?」

マンボウ「もしかして、あなたあの性悪エルフ達の仲間?」

マンボウ「そのエルフ達に言われて、私をここに閉じ込めている訳?」ムカムカッ

魔法使い「……は?」

ザザーーン、ザザーーン……

313: 2013/10/13(日) 18:55:32 ID:CwkvlWhs
マンボウ「それで、あなたどうなのよ?」

マンボウ「あなたは、あの性悪エルフ達の仲間なの?」

魔法使い「……」

マンボウ「そう言えば、あの性悪エルフ達はどこに?」

マンボウ「なんか漁港に連れられた後、まるっきり姿を見てないんだけど」キョロキョロ

魔法使い「……」

314: 2013/10/13(日) 18:55:45 ID:CwkvlWhs
魔法使い「……君、もしかして連れがいるの?」

魔法使い「今は、種族の垣根を越えてパーティーを組むのが、そんなに流行っているの?」

マンボウ「は?」

魔法使い「以前、ボクはあるパーティーをこの付近で見かけたんだ」

魔法使い「珍しく、エルフが人間と手を組んでいてね」

魔法使い「しかも、そのエルフが子供連れだったからね」

315: 2013/10/13(日) 18:56:19 ID:CwkvlWhs
マンボウ「あなた、そのエルフどこで見かけた?……」

マンボウ「その子連れのエルフってのは、この私を捌こうとしたエルフ達なんだけど……」

魔法使い「え? そうなの?」

魔法使い「今日の昼、またここを訪れる予定なんだけど」

マンボウ「!?」ガーーン

魔法使い「……」ハッ

316: 2013/10/13(日) 18:56:39 ID:CwkvlWhs
魔法使い「もしかして、まずかった?」

魔法使い「その様子だと、かなりまずいみたいだね」

マンボウ「ええ、そうね……」

魔法使い「まぁ、そう言う事だから、もう諦めなよ……」

魔法使い「君、ここからはもう逃げれないんだよ……」

マンボウ「……」ウルウル

317: 2013/10/13(日) 18:56:54 ID:CwkvlWhs
魔法使い「とりあえず、そのエルフさん達に今から連絡を……」

魔法使い「ここ最近、魔法や魔術等が著しく進歩しててね……」

魔法使い「だから、君はもう逃げられない……」

魔法使い「あのエルフさん達にロックオンされたからには、絶対に逃げられないんだからね……」

マンボウ「……」ウルウル

ザザーーン、ザザーーン……

318: 2013/10/14(月) 10:44:40 ID:lUo53/fY
マンボウ(まずい、まずいわ……)

マンボウ(このままだと、本当に私捌かれちゃうわ……)

マンボウ(あのエルフ、まだ私の事を諦めてないのね……)

マンボウ(仲間に命じて、私をこんな場所に監禁するなんて……)ウルウル

魔法使い「……」

スッ、カシャン……

319: 2013/10/14(月) 10:44:55 ID:lUo53/fY
マンボウ(でも、こっからどう出るの?……)

マンボウ(何で、今の私はまだ生きているの?……)ウルウル

マンボウ(確か、あの時に氏んだはず……)

マンボウ(あの漁港で、私は氏んだはずなんだけど……)ウルウル

魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「……」ブツブツ

320: 2013/10/14(月) 10:45:10 ID:lUo53/fY
マンボウ(あっ、そうだ……)

マンボウ(このまま、ジャンプしてみたらどうなるのかしら?……)

マンボウ(そしたら、ここから出られるはず……)

マンボウ(ここは一つ、ジャンプでもしてみようかしら?……)ウルウル

魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「……」ブツブツ

321: 2013/10/14(月) 10:45:22 ID:lUo53/fY
マンボウ「ねぇ、そこのあなた……」

マンボウ「まだ、話中か何かかしら?……」ウルウル

魔法使い「……」ブツブツ

マンボウ「どうやら、まだ話中か何かみたいね……」

マンボウ「一体、あなた誰と話しているの?……」ウルウル

魔法使い「……」ブツブツ

322: 2013/10/14(月) 10:45:38 ID:lUo53/fY
マンボウ(まぁ、今はそんな事はどうでも良いか……)

マンボウ(ここから、脱出出来たらそれで良いんだから……)

マンボウ(まずは、私がジャンプする……)

マンボウ(そしたら、私は海に帰れる……)

マンボウ(あの性悪エルフ達に、裁かれずに済む……)

ザザーーン、ザザーーン……

323: 2013/10/14(月) 10:45:49 ID:lUo53/fY
マンボウ(しかし、ここ狭いわね……)

マンボウ(あまり、私が上手く動けない……)

マンボウ(ああ、なんか小魚が泳いできた……)

マンボウ(ついさっきと比べて、なんか数がかなり増え出してきた……)

小魚の群れ「……」スイスイ

小魚の群れ「……」スイスイ

324: 2013/10/14(月) 10:46:02 ID:lUo53/fY
マンボウ(もしかして、ここどこかと繋がっている?)

マンボウ(こんなに、小魚の数が増えてきたんだから、どこかと繋がっているのよね?)

マンボウ(でも、一体どこと?)

マンボウ(たとえ、どこかと繋がっていたとしても、この私の体で通れるのかしら?)

小魚の群れ「……」スイスイ

小魚の群れ「……」スイスイ

325: 2013/10/14(月) 10:46:58 ID:lUo53/fY
魔法使い「ふぅ、終わった……」

魔法使い「なんとか、全部伝え終わった……」

マンボウ「……」

魔法使い「ん? 小魚が増えてる……」

魔法使い「地下にある穴から、上がってきたのかな?」

マンボウ「!?」

326: 2013/10/14(月) 10:47:10 ID:lUo53/fY
マンボウ「ねぇ、今のどう言う事?」

マンボウ「ここ、もしかしてどこかと繋がっているの?」

魔法使い「うん。そうだけど」

マンボウ「なら、一体どこの海?」

マンボウ「この入れ物、一体何なのよ?」

魔法使い「……」

327: 2013/10/14(月) 10:47:24 ID:lUo53/fY
魔法使い「もしかして、この仕組み気づいた?」

魔法使い「君、やっぱりただの魚じゃないみたいだね!」ニッコリ

マンボウ「……」

魔法使い「でも、今の君ではここから出る事が出来ないよ!」

魔法使い「だって、その今の君の大きさじゃあ、とてもここから出る事が出来ないからさ!」ニコニコ

ザザーーン、ザザーーン……

328: 2013/10/14(月) 17:39:48 ID:lUo53/fY
マンボウ「つまり、ここはどこかの海と繋がっていると言う訳ね?」

マンボウ「そうする事によって、今の私はなんとか生き永らえている」

魔法使い「うん。そうだけど!」ニコニコ

マンボウ「まさか、これはあなたが仕掛けた魔法によるもの?」

マンボウ「それで、今の私はここに閉じ込められていると言う訳?」

魔法使い「うん。よく気づいたね!」ニコニコ

329: 2013/10/14(月) 17:40:01 ID:lUo53/fY
マンボウ「なら、私はここを出る事にするわ!」

マンボウ「今の私にも、少なからずは希望の光が見えてきたから!」

魔法使い「え?」

マンボウ「お願い。寄生虫さん、私に力を貸して!」

マンボウ「寄生虫さん達の力で、私をここから出して!」

魔法使い「……」

330: 2013/10/14(月) 17:40:15 ID:lUo53/fY
マンボウ「あら? どうしたの?」

マンボウ「寄生虫さん達、何で誰も返事とかしないのよ?」

魔法使い「……」

マンボウ「まさか、これもあなたが?」

マンボウ「私の体にいる寄生虫さん達、全て滅ぼしちゃったとか?」

魔法使い「……え? ボク、何もしてないけど……」

331: 2013/10/14(月) 17:40:46 ID:lUo53/fY
マンボウ「だったら、何で寄生虫さん達からの返事がないのよ!?」

マンボウ「普段から、私の体に好き勝手に住み着いている癖に!」

魔法使い「!?」

マンボウ「あっ、まさかあの時……」

マンボウ「あの時に、寄生虫さん達が一匹残らず全滅しちゃったのかしら?……」

魔法使い「……」

332: 2013/10/14(月) 17:41:01 ID:lUo53/fY
魔法使い「ごめん。さっきから何の話してるの?……」

魔法使い「君の体は、寄生虫の住み処なの?……」

マンボウ「……ええ、そうよ」

魔法使い「なら、ついさっき入れといたアレの所為かな?……」

魔法使い「君の体に寄生虫とか付いてたら危ないから、それを全て除去する薬を入れといたんだけど……」

ザザーーン、ザザーーン……

333: 2013/10/14(月) 17:41:15 ID:lUo53/fY
マンボウ「ちょっと、あなた何て事をしてくれんの!?」

マンボウ「あなたのおかげで、私の計画が完全にパーよ!」ムカッ

魔法使い「え?」

マンボウ「おかげで、私の周りに沢山の小魚達が群がってきた!」

マンボウ「このままだと、皆窒息する!」

マンボウ「早く、この状況を何とかしなさいよ!」ムカムカッ

334: 2013/10/14(月) 17:41:29 ID:lUo53/fY
魔法使い「ごめん。どう言う事?」

魔法使い「魚でも、窒息氏とかあるの?」

小魚の群れ「……」スイスイ

魔法使い「ああ、なんか小魚達がやけに増え出してきた……」

魔法使い「君の周りに、沢山の小魚達が群れだしてきたんだけど……」

小魚の群れ「……」スイスイ

335: 2013/10/14(月) 17:41:42 ID:lUo53/fY
マンボウ「とりあえず、早くこの状況を何とかして!」

マンボウ「じゃないと、皆が窒息氏する!」

マンボウ「私達魚も、人間と同様に息してるの!」

マンボウ「だから、早くこの状況を何とかして!」

マンボウ「じゃないと、皆窒息氏してしまいそうだから!」

魔法使い「うん。分かった!」アセアセッ

336: 2013/10/14(月) 17:41:59 ID:lUo53/fY
スッ、カシャン……

魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「……」ブツブツ

小魚の群れ「……」スイスイ

337: 2013/10/14(月) 17:42:12 ID:lUo53/fY
魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「はっ!」ボワッ

ザザーーン、ザザーーン……

338: 2013/10/15(火) 12:37:18 ID:6hYXmH86
数分後――

魔法使い「ふぅ、これなら文句ないよね?」

魔法使い「君の入っている生け簀、大幅に拡張したよ」

マンボウ「……」

魔法使い「と言うか、君の体が大きすぎるよ」

魔法使い「君の種族は、皆大きいの?」

339: 2013/10/15(火) 12:37:29 ID:6hYXmH86
マンボウ「ええ、そうだけど」

マンボウ「私の種族は、皆大きいわよ」

魔法使い「……」

マンボウ「確か、最大で3mぐらい」

マンボウ「私はメスだけど、皆それくらい大きくなっていくわ」

魔法使い「!?」

340: 2013/10/15(火) 12:37:49 ID:6hYXmH86
マンボウ「あなた、お魚とか捕まえた事はないの?」

マンボウ「これだけ大きな入れ物を作れるんなら、以前にも作った事はあるんでしょ?」

小魚の群れ「……」スイスイ

魔法使い「うん。作った事はあるよ」

魔法使い「でも、君の様な大型種は捕まえた事がなかったんだよね」

小魚の群れ「……」スイスイ

341: 2013/10/15(火) 12:38:01 ID:6hYXmH86
マンボウ「そう。なら、早く私をここから出してくれる?」

マンボウ「私、早く海に戻りたいんだけど」

小魚の群れ「……」スイスイ

魔法使い「何度も言うけど、それは無理かな!」

魔法使い「君と一緒にいたお爺さんが、海でモンスター達に惨殺されちゃったから!」

マンボウ「……」

342: 2013/10/15(火) 12:38:18 ID:6hYXmH86
マンボウ「それでも、私は海に戻りたいわ!」

マンボウ「だって、私は海で産まれたんだから!」

魔法使い「……」

マンボウ「あたなって、本当に物好きね!」

マンボウ「私みたいな魚に、そこまで肩入れしてくるなんて!」

ザザーーン、ザザーーン……

343: 2013/10/15(火) 12:38:31 ID:6hYXmH86
魔法使い「君、何でそんなに海に戻りたいの?」

魔法使い「ここで、暫く休むと言う選択枠はないの?」

マンボウ「……」

魔法使い「今は、まだ君に海に戻ってほしくない!」

魔法使い「ボクが君を見つけた時、君は氏にかけだった!」

魔法使い「君の体には、はっきりと誰かにしがみつかれた様な跡が、確かにあったからさ!」

344: 2013/10/15(火) 12:39:03 ID:6hYXmH86
マンボウ「残念だけど、それは無理だわ!」

マンボウ「私達魚は、海の中でないと生きる事が出来ないから!」

マンボウ「それくらい、今のあなたでも分かるでしょ?」

マンボウ「だから、早く私を海に帰して!」

マンボウ「その辺にいる釣り人達でさえ、今の私が言った様な事をしてくるわよ!」

マンボウ「ここで私を引き留めて、一体どうしようと言うの?」

345: 2013/10/15(火) 12:39:15 ID:6hYXmH86
魔法使い「ごめん。それさっきも説明した!」

魔法使い「君、よっぽど頭が悪いんだね!」イライラッ

マンボウ「!?」

魔法使い「ボクは、君の事が心配だからこそ、ここに収容してるんだよ!」

魔法使い「そのついでに、君に卵を産んで貰う!」

魔法使い「それくらいしてくれたって、別に良いと思うんだけど!」イライラッ

346: 2013/10/15(火) 12:39:47 ID:6hYXmH86
マンボウ「だから、私はあなたの為なんかに卵を産みたくはないわ!」

マンボウ「私達魚は、それをしたら氏んじゃうんだから!」ムカムカッ

魔法使い「……」イライラッ

マンボウ「もし仮に、私がここで卵を産んだとして何をするの?」

マンボウ「私が産んだ子達、ここでずっと囚われの身にでもなるの?」ムカムカッ

魔法使い「……」イライラッ

347: 2013/10/15(火) 12:40:00 ID:6hYXmH86
マンボウ「やっぱり、今の私はあなたの事が信用出来ない!」

マンボウ「今のあなた、私を最初から解放するつもりはない!」

マンボウ「だから、もういい加減に諦めて!」

マンボウ「私は、本当にただのお魚なの!」

マンボウ「何で、そんな事すら今のあなたは分かってはくれないの?」ムカムカッ

ザザーーン、ザザーーン……

348: 2013/10/15(火) 12:43:03 ID:6hYXmH86
魔法使い「ああ、もう、煩い煩い!」

魔法使い「君、少し黙っててくれる?」

魔法使い「せっかく、こっちが人助けしてあげているのに!」

魔法使い「何で、そんな態度を取るの!?」

魔法使い「と言うか、何で魚の癖に人間の言葉が話せるの!?」イライラッ

マンボウ「それ今、関係ない!」ムカムカッ

349: 2013/10/15(火) 12:43:21 ID:6hYXmH86
魔法使い「じゃあ、どうしろって言うの?」

魔法使い「このまま、君を海に返せと言うの?」イライラッ

マンボウ「ええ、そうよ!」ムカムカッ

魔法使い「でも、それだけは絶対に無理!」

魔法使い「文句があるのなら、今も海の中にいるモンスター達に文句言ってよ!」

魔法使い「それくらい、今の君でも解ってるんでしょ!?」イライラッ

350: 2013/10/15(火) 12:43:34 ID:6hYXmH86
マンボウ「ええ、分かってるわ!」

マンボウ「それでも、私は海に戻りたいの!」

マンボウ「ここにいたら、あの性悪エルフ達に捌かれる!」

マンボウ「今私の目の前にいるあなたにも、無理矢理卵を産まされる!」

マンボウ「だから、私は早くここから出たいのよ!」

マンボウ「いい加減に、私を早くここから出して!」ムカムカッ

351: 2013/10/15(火) 12:43:49 ID:6hYXmH86
魔法使い「そんなに、この生け簀から出たいの?」

魔法使い「今の君、また氏んじゃうよ!」イライラッ

マンボウ「ええ、構わないわ!」ムカムカッ

魔法使い「なら、ここから出してあげる!」

魔法使い「君、結構重たいから今から君に魔法を掛けてくね!」イライラッ

マンボウ「!?」

352: 2013/10/15(火) 12:44:03 ID:6hYXmH86
マンボウ「あなた、本当に出してくれるの?」

マンボウ「そう言って、私を騙したりはしないわよね?」ムカムカッ

魔法使い「うん。大丈夫だけど?」

マンボウ「なら、早く掛けてくれる?」

マンボウ「私、早く海に戻りたい!」

ザザーーン、ザザーーン……

353: 2013/10/15(火) 12:44:35 ID:6hYXmH86
魔法使い「うん。分かった!」

魔法使い「ちょっと、待っててね!」

魔法使い「今から、魔法を掛けるから!」

魔法使い「少し、時間かかるから大人しくね!」

魔法使い「本当に、君は口煩い………」

魔法使い「何で、魚の癖にこんなにも口煩いんだろうか?……」イライラッ

354: 2013/10/15(火) 12:44:48 ID:6hYXmH86
魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「はっ!」ボワッ

マンボウ「!?」

355: 2013/10/15(火) 12:45:00 ID:6hYXmH86
魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「はっ!」ボワッ

マンボウ「……」ガクッ

356: 2013/10/15(火) 12:45:12 ID:6hYXmH86
魔法使い「ふぅ、これで静かになった……」

魔法使い「本当に、この魚は口煩い生き物だった……」

マンボウ「……」

魔法使い「もしかして、この子は珍しい生き物?……」

魔法使い「実際の所は、モンスターだったりとか?……」

マンボウ「……」

357: 2013/10/15(火) 12:45:24 ID:6hYXmH86
魔法使い「とりあえず、エルフさん達にまた連絡を……」

魔法使い「この魚、本当の所はモンスターの可能性がある……」

魔法使い「確か、あのエルフさん達はモンスターの氏骸を集めてたよね?……」

魔法使い「この子を、エルフさんに差し出したら引き取ってくれるのかな?……」

マンボウ「……」

ザザーーン、ザザーーン……

359: 2013/10/16(水) 18:09:17 ID:r9mhLi3Y
~とある民家前~

その日の昼――

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

360: 2013/10/16(水) 18:09:30 ID:r9mhLi3Y
パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

ピタピタピタピタッ、ピタピタピタピタッ……

スッ、スタッ……

361: 2013/10/16(水) 18:09:44 ID:r9mhLi3Y
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ……

従者A「……」

トントン、トントン……

「はい」

362: 2013/10/16(水) 18:09:59 ID:r9mhLi3Y
従者A「すみません。つい先日お尋ねしたエルフの里の者です」

従者A「魔法使いのXXXXさんは、いらっしゃいますでしょうか?」

「はい」

スッ、ガチャ……

魔法使い「……」

従者A「……」ペコッ

363: 2013/10/16(水) 18:10:32 ID:r9mhLi3Y
魔法使い「いらっしゃい。従者Aさん」

魔法使い「本日は、どう言った御用で?」

スッ、スタッ……

従者A「あら? 連絡の方はいっておりませんでしたか?」

従者A「本日のお昼に、こちらへお伺いすると言う約束であったはずですが」

魔法使い「ああ、そうでしたね」

364: 2013/10/16(水) 18:10:58 ID:r9mhLi3Y
魔法使い「それで、エルフさん達は?」

魔法使い「もう、お着きなのですか?」

従者A「いいえ」

従者B「奥様は、後少ししたらお着きになります」

従者B「ここに来る途中に、山賊と出くわしましてね」

従者B「只今、従兵達と共に山賊退治の真っ最中でございます」

365: 2013/10/16(水) 18:11:11 ID:r9mhLi3Y
魔法使い「は? 山賊?」

魔法使い「この辺、山賊とか出るんですか?」

魔法使い「長いこと、この地に住んでいますが、山賊が出るなんて聞いた事ありませんよ」

魔法使い「それ、何かの間違いじゃないんですか?」

魔法使い「と言うか、エルフさん達を置いてきて、本当に大丈夫なんですか?」

従者A「……」

366: 2013/10/16(水) 18:11:47 ID:r9mhLi3Y
従者A「ええ、ご心配なく!」

従者A「奥様は、常日頃からヒステリックでヴァイオレンスなお方です!」

従者A「つい先日も、お嬢様と共に向かい来る盗賊騎士達を殲滅を致しました!」

従者A「その際に、相手方の盗賊騎士は全て奥様によって、皆頃しにされてしまいましてね!」

従者A「辺り一面が、すぐさま血の海になっていたみたいですよ!」

魔法使い「……」

367: 2013/10/16(水) 18:12:01 ID:r9mhLi3Y
従者A「まぁ、奥様は幼き頃からあんな感じでしたから!」

従者A「若い頃は、よくそれが原因で周囲に敵ばかり作っておりました!」

魔法使い「……」

従者A「ですが、ああ見えても良家の一人娘でしてね!」

従者A「お嬢様をお産みになってから、奥様もかなり丸くなられた様です!」

魔法使い「……」

368: 2013/10/16(水) 18:12:12 ID:r9mhLi3Y
従者A「とりあえず、後もう少しで奥様達がお着きになります!」

従者A「それまで、どうかあなた様も気長にお待ち下さいませ!」ペコッ

従者B「……」ペコッ

魔法使い「……はぁ、分かりました」

魔法使い「本当に、噂通りのお方なんですね……」

従者達「……」

369: 2013/10/17(木) 07:18:01 ID:6tqNj9OE
従者A「ちなみに、その噂と言うのは?……」

従者A「ウチの奥様、何て噂されているんですか?……」ドキドキッ

従者B「……」

従者A「出来れば、遠慮なくお願い致します……」

従者A「まだ、奥様達はここに着いておりませんから……」ドキドキッ

魔法使い「……はい」

370: 2013/10/17(木) 07:18:16 ID:6tqNj9OE
魔法使い「実は、ボクが知人から聞いた話だと、かなり危ない方だとか……」

魔法使い「しかも、行く先々で良くトラブルに巻き込まれる……」

魔法使い「おまけに、向かい来る敵をすぐさま殲滅……」

魔法使い「これまで、あの方に戦いを挑んで生きて帰ってきた者は、一度もなし……」

魔法使い「見た目とは反して、かなり危険で凶暴な子持ちのエルフだとか……」タジタジッ

従者達「……」ガクッ

371: 2013/10/17(木) 07:18:28 ID:6tqNj9OE
魔法使い「ああ、今の話は間違ってましたか?……」

魔法使い「つい先日、ボクは知人から聞いた話なんで……」タジタジッ

スッ、スタッ……

従者C「いや、合ってる……」

従者C「あんたの話、大体合ってるよ……」

従者D「ああ、そうだな……」グスン

372: 2013/10/17(木) 07:18:41 ID:6tqNj9OE
魔法使い「でも、それは人が言うただの噂でしょ?……」

魔法使い「実際の所、ボクはその現場を見た事がありませんから……」タジタジッ

スッ、スタッ……

従者D「いや、あんたは間違ってない……」

従者D「ウチの奥様は、本当にヒステリックでバイオレンスだ……」ポロポロッ

魔法使い「……」タジタジッ

373: 2013/10/17(木) 07:18:55 ID:6tqNj9OE
従者D「それと、従者A……」

従者D「お前、さっき単語間違っていたぞ……」

従者D「正しくは、ヴァイオレンスじゃなくてバイオレンスだ……」

従者D「そろそろ、お前も歳を食ったか?……」

従者D「奥様が、幼少の頃から仕えてるからな……」ポロポロッ

従者A「ああ、そうかもな……」グスン

374: 2013/10/17(木) 07:19:07 ID:6tqNj9OE
魔法使い「あの、失礼ですが、皆さんもエルフなんですか?……」

魔法使い「ここへ来る前と、なんだかメンバーがガラリと変わってるみたいですが……」タジタジッ

従者A「え?」キョトン

従者B「ああ、そうですよ」

従者B「俺達も、奥様やお嬢様達と全く同じ純粋なエルフ」

従者B「あなたが前に会ったメンバーは、全てついこの間殉職されました」

375: 2013/10/17(木) 07:19:19 ID:6tqNj9OE
魔法使い「そっ、そうなんですか……」

魔法使い「あの方達は、全て殉職されたんですか……」

魔法使い「一体、あの方達の身に何があったのですか?……」

魔法使い「まさか、今回と全く同じ様に山賊に襲われて?……」タジタジッ

従者B「……」チラッ

従者C「……」コクン

376: 2013/10/17(木) 07:19:32 ID:6tqNj9OE
従者B「残念ですが、それはお答え出来ません!」

従者B「それをあなたがお聞きになったら、一生後悔するからです!」キッパリ

魔法使い「!?」ビクッ

従者「ですから、あなたは何も聞かない方が良い!」

従者「もうこれ以上、若い命を無惨に散らしたくはない!」ドン

魔法使い「……」ダラダラッ

377: 2013/10/17(木) 07:19:43 ID:6tqNj9OE
シュピン……

従者D「皆、奥様から連絡が入った……」

従者D「たった今、山賊退治が終わったから、そっちに行く……」

従者D「その間、魔法使い殿に私達が手に入れたモンスターの氏骸を見せといて……」

従者D「すぐ、そっちに向かうから……」フキフキ

従者C「ああ、了解した」

378: 2013/10/17(木) 07:19:54 ID:6tqNj9OE
従者C「とりあえず、魔法使い殿はこちらに」

従者C「奥様達が到着するまで、奥様達が手に入れた獲物をごゆっくりご鑑賞下さい」

魔法使い「あっ、はい……」

従者D「……」フキフキ

魔法使い(ボク、連絡する相手を間違えたかな?……)

魔法使い(なんだか、急に物凄く怖くなってきたよ……)ビクビクッ

379: 2013/10/18(金) 12:09:24 ID:TXR46Mhs
しばらくして――

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

魔法使い「!?」

380: 2013/10/18(金) 12:09:56 ID:TXR46Mhs
パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

ピタピタピタピタッ、ピタピタピタピタッ……

ピタピタピタピタッ、ピタピタピタピタッ……

381: 2013/10/18(金) 12:10:09 ID:TXR46Mhs
スッ、スタッ……

従兵「失礼。魔法使いのXXXXさんですね」

従兵「我々は、エルフの里の者です」

従兵「少し、お時間の方を宜しいでしょうか?」

魔法使い「え?」

魔法使い「ああ、はぁ……」

382: 2013/10/18(金) 12:10:21 ID:TXR46Mhs
魔法使い「それで、御用件とは?……」

魔法使い「と言うか、何でこんなにも重武装なんですか?……」

従者達「……」

従兵「実は、つい先程ご連絡頂いた件で参りました」

従兵「昨日、あなたが捕まえたマンボウと名乗る魚は、モンスターの一種です」

従兵「ですから、そのマンボウと名乗るモンスターを引き取りに参りました」

383: 2013/10/18(金) 12:10:54 ID:TXR46Mhs
魔法使い「ああ、そうなんですか……」

魔法使い「それで、こんなにも重武装なんですか……」

従兵達「……」

魔法使い「あの、エルフさんは?……」

魔法使い「つい先日、ボクがお会いしたエルフさんは、どうなされたんですか?……」

スッ、スタッ……

384: 2013/10/18(金) 12:11:07 ID:TXR46Mhs
エルフ母「ああ、お待たせして申し訳ありません」

エルフ母「少し、この近くで山賊と出くわしましてね」

エルフ母「その山賊達と戦闘をしていた所為で、少しばかり遅れてしまいましたわ」ニコニコ

魔法使い「……」

従者A「あの、奥様。例の山賊達は?」

従者A「例の山賊達は、どうなされたのですか?」

385: 2013/10/18(金) 12:11:22 ID:TXR46Mhs
エルフ母「ああ、あの山賊達?」

エルフ母「それなら、全て一人残らず殲滅をしてきたわよ!」

エルフ母「どうやら、あの山賊達はどこかの騎士崩れらしくってね」

エルフ母「一人残らず、私が殲滅しといた!」

エルフ母「わざわざ、私の娘が出る程でもなかったと言う訳よ!」ニコニコ

魔法使い「!?」ビクッ

386: 2013/10/18(金) 12:11:58 ID:TXR46Mhs
従者A「ああ、そうですか……」

従者A「相変わらず、奥様はお転婆なお方だ……」

従者A「てっきり、お嬢様をお産みになってからは、少しくらいはまともになられたと思ったのに……」

従者A「亡くなられた先代やお母上達も、大層お嘆きの事でしょう……」

従者A「本当に、どうしてこうなってしまったのか?……」グスッ

エルフ母「は?」ギロッ

387: 2013/10/18(金) 12:12:09 ID:TXR46Mhs
エルフ「従者A。それは言い過ぎよ!」

エルフ「お母様も、好きでそうなった訳じゃないんだから!」

従者A「しかし……」グスッ

エルフ「お母様は、昔からこんな感じだった!」

エルフ「あの時の戦いも、お母様はこんな感じだったんだし!」

エルフ「今更、とやかく言っても無駄なだけよ!」

388: 2013/10/18(金) 12:12:28 ID:TXR46Mhs
エルフ母「ええ、そうね」

エルフ母「今更、そんな事を言われてもね」

エルフ母「私、お父様の事は未だに大嫌い!」

エルフ母「私や娘を、100年もの間苦しめ続ける土台を築いていたお父様の事なんて、大嫌い!」ムカッ

従者A「……」ガクッ

エルフ「お母様……」

389: 2013/10/18(金) 12:18:16 ID:TXR46Mhs
従者B「ですが、せめてお墓参りくらいはしてあげましょうよ」

従者B「あれから、ずっと行ってないんでしょ?」

エルフ母「ええ、まあね……」ムカムカッ

エルフ「でも、叔父様とお婆様のお墓参りには、ちゃんと行っているわ!」

エルフ「私は、生前の叔父様には、本当に色々とお世話になった!」

エルフ「あんな最低最悪なお祖父様のお墓参りなんて、私も絶対に行かないわ!」

390: 2013/10/18(金) 12:18:29 ID:TXR46Mhs
従者A「お嬢様。お嬢様もですか?……」

従者A「せめて、お嬢様くらいはまともに育ってほしかった……」

エルフ「は?」ムカッ

従者B「従者A。もう諦めろ!」

従者B「さすがは、奥様の一人娘!」

従者B「この母にして、この娘ありなんだ!」ウルウルッ

391: 2013/10/18(金) 12:18:43 ID:TXR46Mhs
エルフ母「あんた、それどう言う意味よ?」

エルフ母「私の教育方針が、全て間違っているとでも言うの?」ムカムカッ

従兵B「はい!」ウルウルッ

エルフ母「本当に、あんた達はいい度胸してるわね!」

エルフ母「この私の大事な大事な一人娘に、文句つけてくるなんて!」ムカムカッ

従兵B「……」ウルウルッ

392: 2013/10/18(金) 12:19:16 ID:TXR46Mhs
エルフ母「と言うか、今はお墓参りとか関係ないでしょ?」

エルフ母「ついさっきから、大事なお客様をずっと待たせたままなんだし!」ムカムカッ

魔法使い「……」

エルフ母「とりあえず、あんた達従者は少し黙ってて!」

エルフ母「今から、私は今そこにいる魔法使いのXXXXさんと、話があるから!」

従者達「……はっ、かしこまりました」グスッ

393: 2013/10/18(金) 12:19:30 ID:TXR46Mhs
クルッ……

エルフ母「ああ、すいませんね。長らくお待たせして」

エルフ母「早速、例の件のお話に入りましょうか?」ニッコリ

魔法使い「……」

エルフ母「それで、例のモンスターは?」

エルフ母「今は、どちらに保管されてるんでしょうか?」ニコニコ

394: 2013/10/18(金) 12:19:44 ID:TXR46Mhs
魔法使い「あのモンスターなら、ボクの所有している生け簀の中にいます……」

魔法使い「あの子、やたらと口煩くてですね……」

魔法使い「とことん性格が悪いです……」

魔法使い「まるで、本当にどこかの誰かさんみたいに……」

魔法使い「一応、ボクはエルフ語も解るんで、つい先程の皆さんのお話が丸聞こえだったんですが……」タジタジッ

エルフ母「……」ピキッ

395: 2013/10/18(金) 12:20:16 ID:TXR46Mhs
エルフ「へぇ、そうなんだ」

エルフ「お兄さん。エルフ語解るんだ」ジーーッ

エルフ母「……」ジーーッ

エルフ「なら、話は早いわ」

エルフ「早速、そのモンスターのいる生け簀にまで連れてってくれる?」ニッコリ

魔法使い「え? 良いけど……」ドキッ

396: 2013/10/18(金) 12:20:49 ID:TXR46Mhs
エルフ母「じゃあ、そろそろ行きましょうか?」

エルフ母「XXXXさんは、案内の方を頼みます」ニッコリ

エルフ母「従者達、付いてきて」

エルフ母「勿論、従兵達もね」ニコニコ

従者達「はっ、かしこまりました!」

魔法使い「……すぅ、はぁ……」

397: 2013/10/18(金) 12:21:04 ID:TXR46Mhs
魔法使い「では、皆さん。ボクに付いてきて下さい!」

魔法使い「これから、ボクの所有している生け簀にまでご案内しますので!」

エルフ達「……」

魔法使い「後、生け簀近くにはいくつか崖があります!」

魔法使い「皆さん。足元に注意して下さい!」

エルフ「は~~い」ニコニコ

398: 2013/10/18(金) 12:21:20 ID:TXR46Mhs
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

従兵「奥様。荷馬車の警備は私達が」

従兵「奥様達は、お嬢様と共にごゆっくりお過ごし下さいませ!」

エルフ母「ええ、お願いするわ」

エルフ「うん。お願いね」ニコニコ

第3話


引用: マンボウ「あの、私、ただの魚なんですけど……」