1: 2012/04/15(日) 20:54:43.32 ID:ceyeVWU/0
櫻子&向日葵「大人エレベーター!」
の続き


ガチャ

向日葵「櫻子ー?」

シーン……


向日葵「……あら、いないのかしら? まったくあの子はよくいなくなりますわね……」


花子「あの……」

向日葵「わっ! 花子ちゃん……こんにちは」

花子「こんにちは。櫻子ならさっき飛び出してったけど……」

向日葵「え……どこに行ったのかしら。材料買って来いって頼まれたのに、作る人がいないんじゃ仕方ありませんわ」ガサッ
ゆるゆり、

2: 2012/04/15(日) 20:59:24.28 ID:ceyeVWU/0
花子「…………」


花子「……最近毎日のように櫻子の面倒を見てもらってるけど、大変でしょ?」

向日葵「そ、そんな……いいんですのよ。私が好きでやってるだけですし」アハハ


花子「でも、櫻子が料理の練習し始めてからこの家もなんだか明るくなったような気がするし。ありがとう」

向日葵「ど、どうしたんですの花子ちゃん……?」

5: 2012/04/15(日) 21:04:32.09 ID:ceyeVWU/0
花子「えっ!? い、いや、普通に感謝してるだけだし……深い意味は無いというか……///」

花子(か、感謝の気持ちくらい普通に受け取って欲しいし……!)


花子(……それとも、急にこんなこと言うのは、おかしいってことなのかな……)


向日葵(……なんか、やっぱり細かいところが櫻子や撫子さんに似てますわね)クスクス


――
―――

「向日葵覚えてる? 花子が生まれたとき、楓が生まれたとき」


向日葵(もちろん……)

7: 2012/04/15(日) 21:08:53.63 ID:ceyeVWU/0
『ひまちゃんきいて! こんどわたしにいもうとができるんだって!』

『いいなーいもうと……わたしもほしい!』


向日葵(櫻子のそばで……花子ちゃんを見ていた。毎日……)

向日葵(この部屋で、みんなで、学校から帰ってくる撫子さんを待っていた)


向日葵(花子ちゃんを抱く櫻子を見ていて……)

向日葵(おねえちゃんになる櫻子を、羨ましいと思っていた)


向日葵(花子ちゃんが歩くようになったり、言葉を覚えたりする度に、私たちは喜んでいて……)

9: 2012/04/15(日) 21:12:33.47 ID:ceyeVWU/0
花子「ひま子ねーちゃん?」

向日葵「あっ! え、ああ……ど、どうかしました?」


花子「いや、だから、櫻子帰ってきたら呼びに行かせるから、自分のお家に居たらってこと……」

向日葵「私帰った方がいいですか?」

花子「そ、そういうことじゃないけど……!///」


花子(わかってよ!)

11: 2012/04/15(日) 21:16:11.90 ID:ceyeVWU/0
向日葵「あ、じゃあ私櫻子の部屋にでもいさせてもらいますわね。あの子まさか自分で取り付けた約束を忘れたわけじゃないと思いますし……すぐに戻ってくるでしょう」

花子(そういうことでもなくてー!)


向日葵「邪魔しちゃってごめんなさいね」

花子「あ、あぁぁ……」


パタン

花子(もう! 鈍感!)

花子(わかんないのかなこういうの……私の気持ち)


花子(一緒の家にいるだけでなんか恥ずかしいってこと!)

12: 2012/04/15(日) 21:19:34.65 ID:ceyeVWU/0
花子(ひま子ねーちゃんには私が生まれたときから今までのことをずっと見られてる……)

花子(小さい頃の失敗とか、どうでもいいことで泣いてたところとか、全部知ってて…… 向こうはどう思ってるかわからないけど、私はそれが恥ずかしい!)


花子(嫌いってわけじゃないけど、できれば目を合わせたくない……)

花子(自分では気づいていないのかもしれないけど、やっぱりそういう細かいとこ鈍感だよね、ひま子ねーちゃん)

花子(それに普通帰れって言われたら素直に帰るでしょ!? ま、まあ帰れとまでは言ってないけど……それでも櫻子の部屋に行っちゃうなんて、ちょっと図々しい感じあるよ……?)


花子(まったく、これも櫻子のせい!)プンプン

13: 2012/04/15(日) 21:23:30.27 ID:ceyeVWU/0
花子(で、どうしようかな……なんか飲み物無いかと思っておりてきたんだけど……何にしよう)

花子(あ、良かった……この牛乳まだ取られてなかったんだ)

花子(これでココアかなー。小鍋であっためて、ホットのにしよう)

――――――

花子(うん、いい香りしてきた……///)

ガチャ

向日葵「あ、ココアですか?」

花子「!!」


向日葵「わ、本格的……いい香りですわね」ウフフ

花子(なんで降りてきた!?)

14: 2012/04/15(日) 21:27:06.54 ID:ceyeVWU/0
花子「あ、あのこれは……///」

向日葵「あ、大丈夫……私は櫻子みたいに取ったりしませんわ」

花子(知っとるわ!)


花子(や、やばい……一秒一秒が恥ずかしい……///)


花子「さ、櫻子遅いなー……」

向日葵「…………」


向日葵「ちょっと、前から思ってたんですけど……なんで花子ちゃんは櫻子を呼び捨てで呼ぶんですの?」

花子(え!? いきなり何!? もしかして私怒られてる!?)

16: 2012/04/15(日) 21:31:40.15 ID:ceyeVWU/0
花子「ご、ごめんなさい……」

向日葵「えっ? いや、別に怒ってるわけじゃ……ただちょっと、気になって」


花子(そんなの忘れたし……気づいたら櫻子は櫻子だったし)

花子(というか自分だって櫻子って呼び捨てじゃん! それと同じ!)


花子「あ、あの……ねーちゃんと被るから……かな?」アハハ


向日葵「そう……! それなら、今度櫻子を『おねえちゃん』って呼んであげてくださる? きっと凄く喜ぶと思いますわ」

花子(なんで!?)

17: 2012/04/15(日) 21:35:26.97 ID:ceyeVWU/0
向日葵「ちょっと思い出しましたの……昔のこと」

向日葵「櫻子が、しっかりと花子ちゃんのお姉ちゃんだった頃のこと」

花子「っ!///」


花子(それ……それ……)


花子(そういうのが恥ずかしいってのに……!)


向日葵「いつからか……櫻子は何故か『名前だけのおねえちゃん』になってしまったようで……」クスクス

向日葵「花子ちゃんが生まれたときの櫻子は、今みたいじゃなくて……私はこれでも、自分より大きい存在に感じていたんです。それは、たぶん『おねえちゃん』だったからだと……」


花子(うぅぅぅ~……///)

18: 2012/04/15(日) 21:39:37.23 ID:ceyeVWU/0
向日葵「私も、久しぶりにあの頃の櫻子が見てみたいなって……だから、一回でいいから、ちょっと呼んでみてくれません?」

花子「で、でもっ……」


ガチャ

花子「あっ……!」

櫻子「あ、向日葵ごめん待たせた?」

向日葵「あら、やっと来ましたわね……どこ行ってましたの?」


櫻子「やー、せっかくタルト作るんだからさ、これ入れたいなーって思って買って来たの」ガサガサ


向日葵「あ……いいかもしれませんわね」

櫻子「やった!」

花子(やっと……これで解放される……)ハァ

19: 2012/04/15(日) 21:45:05.54 ID:ceyeVWU/0
櫻子「おーし初お菓子だー!」

向日葵「じゃ、始めましょうか」

花子(やばっ 早くこれ部屋にもってかなきゃ)


櫻子「……ん? あーっ!!」

花子「な、なんだし……」

櫻子「それ! 牛乳使った!?」

花子「え? まぁ……」

櫻子「うそっ……それ今から使う材料だったのにー!」

花子(はぁ!?)

20: 2012/04/15(日) 21:50:05.57 ID:ceyeVWU/0
花子「い、いやだってこれもともと花子の……!」

櫻子「えーちょっとどうすんの……これじゃできないじゃんタルト……」

向日葵「あ、あらあら……じゃあちょっと私家にあるか確かめてきますわね?」

花子「あ、あのっ……!」


櫻子「まったく花子は……」ぶーぶー

花子「……ッ!!」


花子「櫻子のバカぁ!!」


だっ!

櫻子「あ! 花子!」

櫻子(あーあー……泣かしちったか)

22: 2012/04/15(日) 21:54:12.45 ID:ceyeVWU/0
――――――

花子(櫻子のバカ櫻子のバカ櫻子のバカ!)


花子(私は何も悪くないのにっ……!)

花子「もういや……」


花子「…………」ぐすぐす

花子(結局ココアも飲めないし……なんで私がこんな思いしなくちゃならないの……?)


花子(……楓のところ行こうかな)

23: 2012/04/15(日) 21:58:10.54 ID:ceyeVWU/0
――――――

楓「あっ、花子おねえちゃんいらっしゃいなの!」

花子「楓~……」


楓「? どうしたの?」

花子「まったくあんたのお姉ちゃんと来たら……」フニフニ

楓「ふっ、ふにふにひないれほひーの!」


花子「疲れちゃった……お茶かなんかくれない?」ふにー

楓「はなひてくれひゃりゃふくるの!」

24: 2012/04/15(日) 22:02:05.65 ID:ceyeVWU/0
花子「あーあ……帰ってどうすればいいんだろ……」

花子(やだな……櫻子にも会い辛くなっちゃった)


花子(早くねーちゃん帰ってこないかな……)

花子「ねーちゃん……」

花子(私にとってのねーちゃんは……撫子ねーちゃんだけ。櫻子なんて全然ねーちゃんじゃない)


花子(櫻子は一生櫻子のままなんだから!)


楓「お紅茶でよかった?」

花子「わーありがと」

25: 2012/04/15(日) 22:05:43.67 ID:ceyeVWU/0
花子「はぁ……楓はいいな……」

楓「?」

花子「花子は一生ひま子ねーちゃんが苦手かもしれないし……」

楓「にがて? なんで?」

花子「……楓もいつか櫻子が苦手に……ならないか」ハァ


楓「かっ、楓は皆が大好きなの!」

花子「よしよし」なでなで

楓「えへへへ……///」

26: 2012/04/15(日) 22:09:14.51 ID:ceyeVWU/0
――――――

向日葵(今日はなんだか花子ちゃんに悪いことしちゃったみたいですわ……今度謝りませんと)


向日葵「ただいま帰りましたわー」

向日葵「!」


花子「…………」スゥスゥ

楓(しーっ……花子おねえちゃん寝ちゃったの)

向日葵(あ、あらあら……ここにいたのね)


向日葵「…………」

向日葵(……楓、ちょっと櫻子を呼んできてくださる?)

楓(わかったの!)

27: 2012/04/15(日) 22:13:42.89 ID:ceyeVWU/0
向日葵「…………」なでなで


向日葵(……目元が櫻子にそっくり)


向日葵(髪もこんなに綺麗で……)



向日葵(……あ、私ったら何をやってるのかしら……///)


向日葵(ま、寝てるからいいか……)


向日葵「うふふふ……///」

29: 2012/04/15(日) 22:19:10.99 ID:ceyeVWU/0
向日葵(あの頃の櫻子は、意味もなく花子ちゃんを抱こうとしていて)

向日葵(私も抱いてみたいと櫻子にせがんでも、花子のおねえちゃんは私だからと譲らなかった)

向日葵(そんな櫻子が羨ましくて、でも見ていて楽しくて)


向日葵「懐かしいですわね……」


向日葵(花子ちゃんもこんなに大きくなって……)


向日葵(……まだ、抱けるかしら?)

30: 2012/04/15(日) 22:23:13.62 ID:ceyeVWU/0
――――――

花子(な、な………///)


花子(なにこの状況ー!?)ガーン


花子(そっか、ちょっと疲れちゃって眠っちゃってたんだ……でもなんでひま子ねーちゃんに抱かれてるわけ!?)

花子(は、恥ずかしい……! これじゃ本当に赤ちゃんみたいじゃん!! つーかおっOいが顔に当たる……///)


花子(と、とにかく今は寝たふりを続けなきゃ……!)



向日葵(あ……花子ちゃん起きてる……)

向日葵(……ふふ、目の閉じ方が不自然ですわ)

31: 2012/04/15(日) 22:28:21.39 ID:ceyeVWU/0
向日葵「…………」

向日葵(ど、どうしましょう……/// 降ろすに降ろせなくなっちゃいましたわ……)

ガチャ

櫻子「向日葵 呼んだ……?」ひょこっ

向日葵「あっ、櫻子」


櫻子「……何やってんの?」

向日葵「いやだって……帰ってきたときにはもう寝てたみたいで……あの、櫻子お家に連れて行ってあげなさいな」

櫻子「起こせばいいじゃんそんなの」

向日葵(まあ起きてるんだろうけど……)


向日葵「可哀想でしょう! ほら、おんぶでもなんでもしてあげなさい。おねえちゃんなんだから……」

花子(!)

33: 2012/04/15(日) 22:32:38.95 ID:ceyeVWU/0
櫻子「しょうがないなー……」


花子(う、うわっ……///)

櫻子「よっ……うわ、花子重くなったな」

花子(重くないでしょ!?)


向日葵「だ、大丈夫? ちゃんと帰れます?」

櫻子「いやいや、重いってのは昔と比べてってことだよ。別に今だって軽々持てるよ」ぴょんぴょん

花子(ジャンプすんな!)ガクガク


向日葵「ふふ……それじゃ、また明日」

櫻子「うん。じゃーねー」

34: 2012/04/15(日) 22:37:00.99 ID:ceyeVWU/0
向日葵「あっ……櫻子、さっきのタルトは……」


櫻子「? ……ああ」


櫻子「大丈夫。ちゃんと花子のぶんもあるよ」

花子(えっ……?///)



楓「櫻子おねえちゃんまた来てね~」

櫻子「ばいばい楓~」

35: 2012/04/15(日) 22:41:03.26 ID:ceyeVWU/0
――――――

花子(私にとってのねーちゃんは……撫子ねーちゃんだけ……)


花子(櫻子なんて……)


花子(櫻子……なんて……///)



櫻子「……あ」

撫子「あ」

花子(あ)

36: 2012/04/15(日) 22:45:07.08 ID:ceyeVWU/0
撫子「なにやってんの? 珍しいねー櫻子が花子おぶるなんて」

櫻子「花子が向日葵の家で寝ちゃったから私が引き取ったんだよ。ねーちゃん今帰り?」

撫子「うん。今日は晩御飯生姜焼きね」

櫻子「やった! じゃあ花子はこのまま寝かせるから花子の分まで私が食べる!」



花子()

37: 2012/04/15(日) 22:48:22.06 ID:ceyeVWU/0
花子(わがままで……自分勝手で……周りのことなんか考えない……)

花子(たまにおねーちゃんになるときもあるけど……そんなのほんのちょっとだけ!)


花子(やっぱり櫻子なんてねーちゃんじゃない!)ぎゅー


櫻子「うがっ!……えっ!? 花子起きてるじゃん!」

花子(うー振り落とされるー!)

櫻子「くっ、首が……! この、はなせー!」


撫子「……何やってんだか」


~fin~

39: 2012/04/15(日) 22:50:49.84 ID:qasP4Bp+0
乙!!

引用: 向日葵「私にとっての花子ちゃん」