1: 2008/06/28(土) 22:39:54.56 ID:xXl7GQdu0
地べたを這いずり回り、捧げ物をしてくれる下層民。

そして私はますます絶対の権力として、その地位を安定させる。

派遣社員のように搾取される存在、その上に君臨する偉大なるクイーン。

それが私。

でも、その恍惚もしばらくの間だけ。

もはや決まりきった当たり前の勝利に虚しさを感じるのだわ・・・。


真紅「ほらJUM・・・いえ大貧民。強いカードを二枚渡すのだわ」

2: 2008/06/28(土) 22:41:21.82 ID:xXl7GQdu0
JUM「くっ・・・大富豪の真紅様・・・どうぞカードでございます・・・」

真紅「あら大貧民?その『くっ』というのはなぁに?」

JUM「・・・・・・」

真紅「10回連続で大貧民になった者は大富豪に敬語を使う。これは桜田家ルールだったわね?
    敬語とは相手を敬う言葉。

    その『くっ』に私は敬いを感じられず、一抹の不快を感じたのだわ」

5: 2008/06/28(土) 22:44:01.94 ID:xXl7GQdu0
JUM「申し訳ありません・・・真紅様・・・」

真紅「分かればいいのだわ。心配せずとも納めるものを納めれば最低限の人権は保障するのだわ。
    下層民の事も気遣う・・・それがノブレス・オブリージュ(貴族の義務)というもの。
    上流階級、ホワイトカラー、勝ち組でいるのも楽では無いのだわ」

雛苺「はい翠星石、ヒナのいらないカードなのー」

翠星石「(・・・あぁ翠星石のジョーカーが・・・)ちくしょう持って行きやがれですぅ!!」

6: 2008/06/28(土) 22:46:46.07 ID:xXl7GQdu0
真紅「違うのだわ、雛苺。『ほら貧民。富豪であるヒナのカードを恵んでやるのー』そう言うべきなのだわ。
    きちんと上下関係はしつけるべきなのだわ」

翠星石「・・・真紅っ」

真紅「10回連続で大富豪になった者は下層民に横柄な態度を取ることが出来る。
    これは桜田家ルールだったわね。文句は言えないはずなのだわ」

8: 2008/06/28(土) 22:48:20.56 ID:xXl7GQdu0
雛苺「そうだったのー。絶対権力者であらせられる真紅様のお言葉ならしょうがないのー。

    ほら飢えた目をした哀れな貧民。ヒナがカードを恵んでやるから拾えなのー」


翠星石(・・・言い回しがさらに陰険になってるですぅ・・・さてはチビ苺・・・

     昨晩のはなまるハンバーグの、はなまる部分である目玉焼きを食べて、ケチャップで
     『もうすこしがんばりましょう』と書いておいた事を根に持ってるですね・・・)

9: 2008/06/28(土) 22:51:54.09 ID:xXl7GQdu0
真紅「ふむ・・・なかなかのカードを納めてくれたのだわ。良い働きよ、大貧民」

JUM「・・・ははっ・・・お褒めに預かり光栄でございます・・・」


福本「魔力っ・・・無限に勝ちの階段を昇り続けるその魔性・・・
    それが真紅をおかしくさせたっ・・・

    真紅は今最高の運が来ている・・・手に入るカードからイメージする理想のゲーム進行・・・
    まるでそれに合わせる様に他のプレイヤーがカードを切って行く・・・全てが真紅を中心にしているかのように・・・
   
    それが真紅に尊大な態度を・・・高慢な言動を取らせた・・・

    しかしそれが隙っ・・・!奈落への一歩っ・・・!」

10: 2008/06/28(土) 22:53:20.82 ID:xXl7GQdu0
真紅「『2』を二枚・・・そして『6』を一枚出して・・・あがりなのだわ」

雛苺「さすが真紅様なのー。いつみても美しいゲーム進行なのー」

真紅「ふぅ・・・当たり前の勝利・・・頂点を極めた者の虚しさを感じるのだわ。これで15連勝ね」

JUM「・・・・・・」

翠星石「・・・・・・」

11: 2008/06/28(土) 22:55:11.51 ID:xXl7GQdu0
雛苺「それでは真紅様が上がったからヒナの親なのー。『4』を三枚」

翠星石「・・・パスですぅ」

雛苺「『4』なんて弱いカードなのに不思議なのーwwwwww JUMはどうするのー?」

JUM「・・・パス」

雛苺「じゃあいったん流して『8』で切って、『2』を出すのー。
    ・・・みんな無反応なのーwwwwwwwwwwwじゃあ『5』の二枚であがりなのー」

真紅「あら?勝ち組の席は埋まってしまったわね。
    じゃあ後は二人で負け組みのランクをつけてちょうだい」

13: 2008/06/28(土) 22:57:15.72 ID:xXl7GQdu0
翠星石「『8』切りから・・・『13』・・・チビ人間?・・・そうですか・・・『6』で上がりですぅ・・・」

真紅「あらJUM?手持ちのカードに五枚も残ったの?ずいぶん不良債権を抱えていたのね。
    そういった使えないカードはさっさと処分していくのが得策よ。誰かに譲り渡すとか」

JUM「・・・そうですね・・・真紅様・・・」

翠星石「真紅・・・少し疲れたですぅ、紅茶でも入れてブレイクタイムにしねぇですか?炊いておいたスコーンもあるですぅ」

14: 2008/06/28(土) 23:00:26.43 ID:xXl7GQdu0
真紅「そうね。じゃあ下層民の二人に準備してもらおうかしら」

翠星石「わかったですぅ。ほらチビ人間・・・キッチンへ行くですよ」


福本「これが隙っ・・・真紅の致命的ミス・・・そして翠星石のファインプレイッ・・・
    好き勝手絶頂に乗っている真紅なら大貧民と貧民にお茶の準備を命じる・・・
    翠星石はそう読んだ・・・

    つまり・・・与えてしまったのだ・・・

    負け組みが秘密裏に結託する時間をっ・・・!!」

16: 2008/06/28(土) 23:02:00.84 ID:xXl7GQdu0
JUM「あぁ・・・じゃあ下に行こうか・・・」

真紅「JUM?『真紅様のお茶の準備をさせて頂くので、席を外させて頂きます』
    この言葉はどうしたの?」

JUM「(くっ・・・)し・・・真紅様のお茶の準備をさせて頂くので・・・席を外させて頂きます・・・」

真紅「よろしいのだわ」

18: 2008/06/28(土) 23:04:11.98 ID:xXl7GQdu0
JUM「くそっ・・・真紅のやつ!高慢具合に拍車がかかってやがる」

翠星石「このゲームが家でブームになって以来。真紅はずっと大貧民でしたからねぇ。
     きっとストレスが溜まってたですぅ」

JUM「たしかに負けこんでた時の真紅に横柄な態度は取ったけど・・・
    それでも今の真紅の高慢さは目に余るよ・・・

    今日はたまたま最初にいいカードが来て、それからずっと大富豪・・・
    そして順番が真紅の横だからおこぼれに預かる雛苺・・・」

翠星石「権力に酔う真紅の恐ろしい一面を見た気分ですぅ。
     ここはガツンとかましておかないと真紅のためにもならんですぅ」

19: 2008/06/28(土) 23:05:54.22 ID:xXl7GQdu0
UM「でもどうするんだよ?」

翠星石「貧民が成り上がる常套手段・・・革命ですぅ!」

 ざわっ・・・

福本「革命・・・レボリューション・・・!・・・コペルニクス的転回っ・・・!
    強いカードが弱くなり、弱いカードが強くなる・・・。

    四枚の同じ数字のカードを出すことで成される・・・このゲームにおける起氏回生の一撃っ・・・!

    しかし同じカードが四枚来るなどそうそうはありえない・・・
    桜田家ルールではワイルドカードであるジョーカーで一枚の補完が可能・・・
    だがジョーカーが来ても・・・それは搾取・・・!
   
    富豪層に搾取されるべきカードっ・・・!」


翠星石「イカサマですがこっそりカード交換するですぅ」

20: 2008/06/28(土) 23:07:04.49 ID:xXl7GQdu0
福本「二人の意思は一つの方向へ流れた・・・勝つために・・・図に乗り続ける女王を討つためにっ・・・!
    そして・・・


JUM「OK。それでいこう」


福本「貧民連合・・・成立っ・・・!」

21: 2008/06/28(土) 23:09:12.40 ID:xXl7GQdu0
がちゃ

JUM「真紅様、お茶をお持ちしました」

真紅「ご苦労なのだわ。さぁ注いでちょうだい」

 コポポ・・・

雛苺「真紅様。大貧民のお茶はどうかしらなのー?」

真紅「高貴とは言い難いけど、下流な味もたまには悪くないのだわ」

22: 2008/06/28(土) 23:11:11.64 ID:xXl7GQdu0
真紅「ところで下層階級のみなさん、そろそろくんくんが始まる時間なのだわ。
    この1ゲームで終わりにしましょう」

雛苺「そうですね真紅様なのー。さすがに下層民を相手にした遊戯にも疲れてきたのー」

翠星石・JUM「・・・!」

真紅「そしてここで桜田家ルール。

    15回連続で大富豪になったものは一回だけ罰ゲームを設定することが出来る

    これを発動するのだわ」

23: 2008/06/28(土) 23:13:12.48 ID:xXl7GQdu0
雛苺「おおっ!高貴な真紅様によるエレガントな罰ゲーム・・・!ぞくぞくするのー」

真紅「どうしようかしら?・・・そろそろくんくんが・・・。

    そうだわ。次に大貧民になった者は一ヶ月の間、くんくんを視聴することが出来ない。
    これを設定するのだわ!」


翠星石(・・・!!・・・お・・・鬼ですぅ・・・そこまで暗黒面に落ちたですか・・・真紅っ・・・!)

JUM(まぁ別にそれほどは・・・)

24: 2008/06/28(土) 23:15:27.96 ID:xXl7GQdu0
福本「非道っ・・・地獄の拷問者っ・・・鬼の所業っ・・・!!

    一ヶ月もくんくんを絶たれる生活っ・・・その先にあるものは・・・

    くんくんへの飢え・・・乾き・・・満たされない禁断症状っ・・・
    失禁・・・脱糞・・・幻覚の中で見るくんくんの姿・・・そして発狂っ・・・!!
    あまりにも慈悲の無い現実が・・・!!」


翠星石(真紅・・・勝利という薬物に犯されたですね・・・翠星石がチビ人間と救ってやるですよ・・・)  

JUM(くんくんはまぁいいとして、今後のためにガツンとかましておかないとなぁ・・・)

25: 2008/06/28(土) 23:18:06.80 ID:xXl7GQdu0
雛苺「さすが真紅様なのー。夕食時の団欒で今日のくんくん面白かったという会話。
    そこに入れない負け犬。サディスティックな楽しみが出来るのー」

真紅「罰ゲームにも高貴さが必要なのだわ」

雛苺「『うにゅーを譲り渡すこと』なんていう、
    食い意地の張った罰ゲームを考えるどこかの誰かとは違うのー」

翠星石(チビ苺・・・まだ根に持ってたですね・・・)

29: 2008/06/28(土) 23:21:41.72 ID:xXl7GQdu0
真紅(JUM・・・あなたは私に罰ゲームで

   『夜の8時から8時半までの30分間抱っこタイムを一ヶ月無くす。そして一人の時間をくれ』

    という設定をしたわね・・・あの抱っこタイムは私に取って至福の時だった・・・

    その間JUMが一人で何をしていたのかは知らないわ。
    こっそりドア越しに音を聞いたらハァハァという荒い息が聞こえたけど・・・
   
    とにかくあなたは私の至福を奪った・・・拒絶した・・・。
    ならば私はくんくんという至上の娯楽を奪う・・・。

    傷つけられた乙女の恨み・・・思い知るがいいのだわっ・・・!!)

31: 2008/06/28(土) 23:24:18.81 ID:xXl7GQdu0
福本「狂気の罰ゲームをはらみ・・・狂乱のラストゲームが幕を開ける・・・

    女王への一撃を狙う負け犬組・・・傷つけられた心で勝利に狂う女王・・・そしてその腰巾着・・・
    各々の思惑の中っ・・・配られるカード・・・勝負の手札・・・!」


翠星石(ゴクリ・・・この手札でくんくんを見れるか否かが・・・革命のためにはせめて三枚同じ数字のカードが欲しいですぅっ・・・)


福本「しかしこの大一番でそのカードはっ・・・!!」


 ざわざわっ・・・

翠星石(こ・・・これは・・・バラバラですぅ・・・!・・・三枚の重なりどころか二枚すらないっ・・・!!)

32: 2008/06/28(土) 23:26:11.80 ID:xXl7GQdu0
福本「天運っ・・・!翠星石はどこぞのドール以上に策を練った・・・わずかな時間に智慧を絞り努力をした・・・
    だが圧倒的に足りなかったもの・・・それが運っ!!

    この場面でバラバラのカード・・・その現実っ・・・


翠星石(そんな・・・馬鹿なっ・・・!馬鹿なっ・・・!・・・こんなことがっ・・・)

34: 2008/06/28(土) 23:29:18.98 ID:xXl7GQdu0
翠星石「・・・チビ人間・・・明日の天気はどしゃぶりらしいですねぇ・・・」


福本「サインを通した・・・お茶の準備をしている間に取り決めた即興サイン・・・

  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

   翠星石「いいですか?まずお互いに重なってるカードの状況を伝え合うですぅ」

   JUM「ふむ」

   翠星石「不自然で無い様に天気の話にするですぅ。
        もし四枚同じカードが入っていたら・・・まぁこれはまずありえないですが・・・明日は台風。
        三枚同じが入っていたら・・・明日は晴れ
        二枚なら・・・曇り
        まったく入っていなかったら・・・雨ですぅ」

   ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


   翠星石の通しは『雨』・・・。最悪の事態を告げるサインっ・・・!!

   にも関わらずJUMは微動だにしない・・・張り付いたようなポーカーフェイスっ・・・!」

35: 2008/06/28(土) 23:31:05.66 ID:xXl7GQdu0
JUM「いや・・・翠星石」

翠星石「・・・?」

JUM「明日は快晴だよ」

翠星石(チビ人間っ・・・!)

38: 2008/06/28(土) 23:34:05.17 ID:xXl7GQdu0
福本「この最終戦でJUMは手にした・・・女王を討つ革命の狼煙・・・
    『9』を三枚っ・・・さらに・・・」

JUM(これは・・・『2』が二枚・・・?それにジョーカー?くそっ・・・これさえ手元に残せれば・・・)

福本「強運・・・この土壇場で『2』を二枚・・・そして何よりも・・・ジョーカーも手にしていたっ・・・!!   
    それはすなわちっ・・・革命の条件である同じカード四枚を平手で成し遂げていた・・・

    天に愛されるものの神懸り的力・・・強運っ・・・!

    そうっ・・・本来JUMは強い運気の持ち主なのだ・・・
    そうでなければ、引きこもりの淀みきった生活を送る人間の元に
    可愛いドールが三体も現れて同居生活っ・・・!そんなことがありえるはずもないっ・・・!!
    リアルにうらやましいっ・・・クソッ・・・・・・氏ねっ・・・JUMっ・・・!!」

42: 2008/06/28(土) 23:36:14.98 ID:xXl7GQdu0
JUM「はい真紅様・・・(『2』を一枚とジョーカー・・・『2』はまだしもこのジョーカーさえあれば・・・)」

真紅「ふむ。ご苦労なのだわ。ほら大貧民、大富豪からのおこぼれなのだわ」

JUM「ありがとうございます・・・
  
    (いや考え方を変えろ。三枚同じカードを引いたんだ。
     ジョーカーは手に出来ても真紅に渡るカード。これは事前に分かってたことっ・・・)

43: 2008/06/28(土) 23:39:10.10 ID:xXl7GQdu0
福本「真紅からのクズカードを受け取り確認するJUM・・・
    そこに電流走るっ・・・!」


 ざわっ・・・

JUM(これは『3』が・・・二枚・・・?)


福本「3の二枚・・・そう、それは革命後に最強となる・・・その弱さゆえ最強にっ・・・!!!」


JUM(くくっ・・・墓穴を掘りやがった。敵に銃器を送ったっ・・・!!
    たしかにこれは最弱のカード・・・真紅にとってはちゃちなモデルガンを渡したつもりだろう・・・

    しかしこれは実弾っ・・・!鈍く光る黒金の銃・・・本物の銃・・・!)

44: 2008/06/28(土) 23:40:14.88 ID:xXl7GQdu0
JUM(さぁ・・・ここからだ・・・革命のためのあと一枚の『9』・・・まずはこれが入っているか翠星石に確認を・・・)


JUM「翠星石、嗅(きゅう)覚というのは鼻の奥にあるセンサーに香り成分が付着することで感じられる、
    そういう仕組みなんだよ」

翠星石「・・・!!・・・・・・へぇそれは初耳ですぅ。チビ人間は物知りですねぇ。すごいですぅ」

47: 2008/06/28(土) 23:43:12.52 ID:xXl7GQdu0
福本「第2のサイン・・・必要なカードを示すための通しをJUMは出したっ・・・」

  ―――――――――――――――――――――――――――――――――

   翠星石「・・・これが『1』から『13』までの通しですぅ」

   JUM「OK。把握した」

   翠星石「会話の中でこのキーワードをさりげなく出すですぅ」

   JUM「それに対して好意的な反応か、否定的な反応かで、
       カードが手に入ってるかどうかを伝えるわけだな」

  ―――――――――――――――――――――――――――――――――

翠星石(ばっちりですぅ。自然な会話ですぅ。チビ人間・・・『9』は翠星石に来てるですよ!)

JUM(よし・・・自然な通しだ・・・そしてこの反応は・・・!)


福本「貧民連合・・・革命の勃発条件を達成っ・・・!!」

49: 2008/06/28(土) 23:45:42.57 ID:xXl7GQdu0
雛苺「はい、哀れな水呑み百姓の翠星石、ヒナのカードを慈悲で恵んでやるから拾えなのー」

翠星石(くっ・・・今度は『不合格』と書いてやるですぅ・・・)

雛苺「ふむ・・・なかなか良いカードではないかー」

翠星石(入っていた『2』を取られた・・・革命までは残った最強カードの『1』で凌ぐしかないですね・・・」


福本「富める者と、貧民によるカード交換・・・しかし交換と銘打ってもそれはただの搾取・・・
    現実世界のようにリアルなこのゲーム・・・

    負けたものは誰かの養分っ・・・!!圧倒的リアリズムっ・・・!   

    だからこそ負け犬は夢見るのだ・・・・・・革命っ・・・革命をっ・・・!!
    現実では滅多に起こらない強者への一撃っ・・・遊戯の中の希望っ・・・!」

51: 2008/06/28(土) 23:49:15.99 ID:xXl7GQdu0
翠星石(チビチビ苺からのカードは『7』・・・?・・・強くも弱くも無い半端なカードですぅ・・・
     単独でのクズカードが入っていない、かなり強い手が予想されるですね・・・
     この腰巾着にも警戒が必要ですよ・・・チビ人間・・・)

JUM(了解だ・・・把握した・・・)


福本「アイコンタクトと指の動きで二人は情報を共有し合う・・・
    情報戦では圧倒的に有利・・・しかし問題はカードの質・・・勝負を決めるのはあくまでカードっ・・・」


JUM「それじゃあ大貧民の僕から行くぞ・・・『5』・・・」

52: 2008/06/28(土) 23:52:56.15 ID:xXl7GQdu0
福本「カードが切られる・・・進行するゲーム・・・この初回は二巡目に真紅の出した『13』から全員がパスッ・・・
    やはり圧倒的な女王の権力・・・保有する良質な兵達・・・真っ向からの勝負で勝ち目は無い・・・

    しかし異変はこの直後っ・・・!・・・一体のドールの心を踏みにじる悪魔的奇手っ・・・!」


翠星石「・・・ところでチビ人間・・・好きな食べ物はなんですか?」

JUM「・・・うーん・・・ハンバーガーかなぁ・・・」

翠星石「・・・ほほぉ。それはまたジャンクフードですねぇ」

真紅「そうよ大貧民。いくら貧しいと言えど、そんなジャンクな食べ物は身体に悪いわ。
    ジャンクばかり食べていると栄養が取れないし成長期には良くないのだわ。
    大富豪の下僕として、そんなジャンクは今後控えるように・・・」


福本「ジャンクっ・・・!!その言葉に呼応するように割れ散る窓ガラスっ・・・そして吹き荒れる黒い羽っ・・・!!」


水銀燈「真紅―――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!」

58: 2008/06/28(土) 23:56:02.14 ID:xXl7GQdu0
真紅「・・・!」

雛苺「・・・!」

JUM(来たっ!!)

翠星石(今ですぅ!!)


福本「一瞬の隙っ・・・!窓から飛び込んできたドールに誰もが目を奪われた瞬間っ・・・!!
    交換されるカードっ・・・!!そして翠星石からJUMに渡ったのは言うまでも無く『9』・・・

    JUMは手にしたっ・・・!!・・・女王の城を落とす・・・四枚からなる革命の志士っ・・・!!」

59: 2008/06/28(土) 23:58:22.24 ID:xXl7GQdu0
水銀燈「いま私を馬鹿にしなかった?馬鹿にしたでしょう!?その・・・ジャ・・・何とかって言ったでしょう!!」

真紅「別に水銀燈のことは言ってないのだわ。
    ただジャンクフードはとてもジャンクな食べ物であんなジャンクを食べているとジャンクになると・・・」

水銀燈「真紅―――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!」

62: 2008/06/29(日) 00:01:05.25 ID:pxvMCjCE0
翠星石「まぁまぁ水銀燈。真紅は悪意を持って言ったわけじゃないですぅ」

JUM「今日の所はヤクルトを1パックあげるから帰ってくれないか?」

水銀燈「(ヤクルト・・・乳酸菌・・・ゴクリ・・・)まぁそこまで言うなら許してあげなくもないわぁ」

翠星石「すまんですぅ・・・また今度・・・改めて・・・たっぷりとお礼・・・いやお詫びをするですぅ・・・」

JUM「いやいや・・・水銀燈の地獄耳はすごいなぁ・・・おっと褒め言葉だよ・・・」

水銀燈「じゃあ今日の所は帰ってあげるわぁ。また・・・ジャ・・・何とかを言ったら全力でアリスゲームよぉ」

64: 2008/06/29(日) 00:03:11.39 ID:pxvMCjCE0
真紅「ふぅ、とんだジャ・・・おっと邪魔が入ったのだわ」

雛苺「ゲームの興が削がれるとこだったですわねなのー。真紅様ー」

翠星石「・・・大勝負にトラブルはつきものですぅ」

JUM「そうだよな・・・それでは真紅様・・・どうぞカードをお切り下さい・・・」


福本「二人の目論見通りに水銀燈は現れ・・・その隙を逃さなかった・・・

   革命の札を手にしたJUM。しかし・・・軽々には動けないっ・・・

67: 2008/06/29(日) 00:06:20.26 ID:pxvMCjCE0
翠星石(ゲームはまだ序盤、ここで革命を起こしても真紅は討てんですぅ)

JUM(まだ真紅にも弱いカードは入ってるはずだ)

翠星石(勝負は真紅が弱いカードの整理を終えてから・・・ここは『11』を出すですぅ)

JUM(かといって革命後を考えて強いカードを使っていくのは駄目だ・・・ここはパスだな・・・)

翠星石(確かに革命後の『2』や『1』はクズカードですぅ)

JUM(でもほいほいそんなカードを切っていけば怪しまれる)

翠星石(少しずつ革命後に合わせながらバランスを取ってカードを切っていく・・・『5』を出しておくですぅ・・・)

JUM(上手く動いて翠星石と僕のどちらかが、真紅を討って都落ちにすればいいんだ・・・ここは『10』を・・)

翠星石(タイミングですぅ。あとはタイミング・・・通しによればチビ人間は『2』を一枚持ってる・・・上手く連携を・・・)

69: 2008/06/29(日) 00:08:37.69 ID:pxvMCjCE0
福本「淡々と切られていくカード・・・ゲームは中盤を迎える・・・

   そしてここからは流れの読み合い・・・
   各人手持ちのカードは減り・・・一瞬のチャンスを狙い始める枚数っ・・・!

   ・・・場は急速に煮詰まりつつあった・・・!!」

70: 2008/06/29(日) 00:11:15.23 ID:pxvMCjCE0
JUM「『7』を二枚」

真紅「パスなのだわ」

JUM「・・・っ!」

翠星石(ここまでひたすらカードを切ってきた真紅がパスを・・・これは・・・)

JUM(入ったかっ・・・?・・・あがる体制にっ・・・)

翠星石(『出せない』ではなく『出さない』と読むべきですぅ・・・!・・・確実なチャンスを待っている体制・・・しかしそれは・・・)

JUM(ここから先は隙を見せれば一気にあがられる・・・しかしそれは逆に・・・)

翠星石(弱いカードの整理を終えた状態っ・・・!)

JUM(急激な変化についていけない状態っ・・・!)

翠星石(いまこそっ・・・)

JUM(ここでっ・・・)

翠星石・JUM(革命だっ・・・!!)(革命ですぅっ・・・!!)


福本「女王のパスっ・・・そこから重なる二人の思考っ・・・終局に向けてゲームは急加速っ・・・!」

73: 2008/06/29(日) 00:15:08.75 ID:pxvMCjCE0
雛苺「『7』の二枚に『8』の二枚で切りなのー。そして『13』を一枚出すのー」

翠星石(チビ苺も動いたっ!もうここしかないですぅ!!)

JUM(ここだ・・・!不安はあるが押し殺せっ!動くならここっ・・・覚悟はいいか・・・?翠星石っ!)

翠星石「(行くですよチビ人間っ!) 『13』に『1』を出すですぅ」

JUM「(革命後のクズカードを整理しつつ僕の親を!) 甘いぞ翠星石。『1』に『2』を出す」

翠星石「うわぁやられちゃったですぅ」

真紅「・・・」

雛苺「・・・」

75: 2008/06/29(日) 00:17:07.32 ID:pxvMCjCE0
JUM(真紅のジョーカーはまだ出てない・・・来るなっ・・・!来るなっ・・・ジョーカー!!)

真紅「・・・パスなのだわ」

雛苺「・・・パスなのー」

翠星石「(やったですぅ!!) 翠星石もパスですぅ。では流しでチビ人間の親からですぅ」


JUM「・・・『9』を四枚っ・・・!!革命だっ・・・!!!!」

76: 2008/06/29(日) 00:19:12.42 ID:pxvMCjCE0
福本「負け組みの悲願・・・革命っ・・・!!勃発っ・・・!!

    反転するカードの強さ・・・ゲームの根本がねじり狂うっ・・・!!」


翠星石(手札には『3』『8』があるですぅ。他も低い数字のカード・・・勝てるですぅ!!)

JUM(『3』の二枚を手中にっ・・・負けるはずが無いっ・・・!!このまま一気に終わらせるっ・・・!)



真紅「ぐふぐふっ・・・ぐふっ・・・ぐふふっ・・・なのだわっ・・・!」


80: 2008/06/29(日) 00:20:45.25 ID:pxvMCjCE0
翠星石「どうしたです真紅?事態を理解してねぇですか?それとも暗黒面がとうとう精神を・・・」

真紅「愚かな行為に思わず笑いが込み上げたのだわ・・・あなた達の企みに気づいてないと思っていたの?」

 ざわざわっ・・・

JUM「・・・!!」

翠星石「・・・ま・・・まさか・・・」

真紅「『10』を三枚にジョーカーを一枚加えて・・・革命返しなのだわっ・・・!」

85: 2008/06/29(日) 00:24:05.52 ID:pxvMCjCE0
 ぐにゃー

JUM「・・・あぁっ・・・あああああっ・・・」

翠星石「・・・・・・・・・・・・・・・終わった・・・ですぅ・・・」


福本「刈り取られる・・・JUMの放った革命の志士達がっ・・・!!

    女王の兵は無慈悲に・・・虐げられる者の望みを叩きつぶすっ・・・
    しかもそれを成し遂げさせたのは・・・JUMの渡したジョーカー・・・!!

    無残な敗北っ・・・まるでJUMは内通者っ・・・!!」

89: 2008/06/29(日) 00:27:10.34 ID:pxvMCjCE0
真紅「良い働きだったのだわJUM。これでルールは再び正常に戻るのだわ、強きものは強きものに。
    さて・・・あとはこの一枚残った『2』のカードを出せば私の勝利で終了・・・

    おっと手札を言ってしまったわね・・・まぁ関係ないのだわ。それでは・・・」


雛苺「おっと真紅様・・・いや真紅・・・ちょっとまって欲しいのー」

真紅「どうしたの雛苺?」

雛苺「ヒナはまだパス宣言をしてないのー」

 ざわっ・・・

真紅「・・・雛苺?」

雛苺「『12』のクィーン。女王を四枚出して革命返し返しなのー」

96: 2008/06/29(日) 00:30:08.40 ID:pxvMCjCE0
真紅「・・・雛苺!・・・雛苺っ・・・!!!!」

JUM「おおっ・・・おおおぉぉぉぉっ・・・!!」

翠星石(チビ苺っ・・・翠星石のはなまるをつけて二重丸にしてやるですぅっ・・・!!)


福本「ねじれねじれ、さらにねじれるゲームのルール・・・!!

    雛苺の出したクィーンが笑うっ・・・
    女王はお前ではない・・・!!そう言うかのようにっ・・・!!」

100: 2008/06/29(日) 00:32:28.18 ID:pxvMCjCE0
雛苺「最初に四枚の『12』が来た時は驚いたのー。でもここで軽々に革命を考えては駄目なのー。
    確実に勝つためには他のプレイヤーの心理を読むことが大事なのー。

    JUMと翠星石が革命を狙ってることはバレバレだったのー。そもそも通しが不自然すぎるのー。
    そこに真紅が革命を返すことも読めたのー。真紅はもう少し表情に出さないことを練習した方がいいのー

    読みから描いたシナリオ・・・革命、革命、その後さらに革命・・・そしてゲームのルールを決める。

    この場はヒナが支配したのー」

103: 2008/06/29(日) 00:36:06.23 ID:pxvMCjCE0
 ぐにゃー

真紅「・・・裏切るっ・・・裏切るのっ・・・雛苺っ・・・!!」

雛苺「裏切る?そもそも手を組んでた覚えは無いのーwwwwwwwwww」


 ざわざわっ・・・


真紅「きさまっ・・・きさまっ・・・きさまっ・・・それでも人間なのっ・・・!!」

雛苺「うーん・・・残念っ・・・!!・・・ヒナはっ・・・ドールなのーっ・・・!!!

    それではゲームを進めるのー」

105: 2008/06/29(日) 00:39:09.50 ID:pxvMCjCE0
雛苺「『4』であがりなのー、やったのー今度はヒナが大富豪なのー」

真紅「ひなっ・・・雛苺っ・・・」

翠星石「『8』切りから『6』・・・あがりですぅ!やったですぅ!富豪に成り上がったですぅ!!」

真紅「あっ・・・ああっ・・・!!」

JUM「『3』を二枚・・・お前からもらった最強の実弾っ・・・どうする真紅・・・?」

真紅「・・・・・・あぁ・・・ぁぁ・・・」

JUM「どっちにしろあと一枚の真紅は出せないよな・・・『7』・・・あがりだ」

 ヘタッ

真紅「・・・・・・・・・」

108: 2008/06/29(日) 00:42:14.23 ID:pxvMCjCE0
福本「狂乱の昼下がりは終わった・・・

    奢る者に鉄槌が下されたのだ・・・弱者からの一撃っ・・・!
    それは駆逐されながらも城壁を破り・・・裏切りを引き起こし・・・女王を討った・・・!!」


翠星石「ところでずっと気になってたですが、
     翠星石たちの後ろでぶつぶつ言ってるこのおっさんは誰ですぅ?」

JUM「さぁ?」

111: 2008/06/29(日) 00:44:33.03 ID:pxvMCjCE0
福本「真紅が背負わされたのは・・・一ヶ月くんくんを見れないという罰ゲーム・・・

    過酷・・・あまりにも過酷っ・・・まるで断頭台に首を押し込まれたかのようっ・・・!」


JUM「真紅。罰ゲームは許してやるから、ごめんなさいを言え」

真紅「・・・調子に乗って・・・ごめんなさい・・・」



 おわり

113: 2008/06/29(日) 00:46:06.38 ID:GC01q9H3O
面白かったぜ
おつ

引用: 真紅「頂点を極めた者の虚しさを感じるのだわ」