17: 2017/11/17(金) 23:09:15.57 ID:ngMkegDN0


最初から:外地鎮守府管理番号 88 
前回:第二話:補充兵器

不知火「司令、緊急入電です。」

建物内を歩く提督が書類を一瞥しふぅーっと大きく溜息をつく。

提督「おーい、お嬢さん。着任の手続きは後だ。不知火。全体放送で全員を作戦室に集めてくれ。」

不知火「了解いたしました。」


16: 2017/11/17(金) 23:08:24.41 ID:ngMkegDN0

第三話 時雨、着任
海の画集 -「艦これ」公式イラスト集-
18: 2017/11/17(金) 23:10:23.95 ID:ngMkegDN0

作戦室


鎮守府内の一際大きな部屋に戦艦や空母、重巡から潜水艦まで。

そして所々に海外艦と思しき人員。

おおよそあらゆる艦種と艦娘が全体放送により集まってきたのだった。



提督「全員集まったか?司令部からの作戦で全員参加だ。命令拒否はペナルティを払ってくれ。」

摩耶「いいからさっさと話を始めてくれよ。」

提督「今しがた入電したんだが横須賀の艦隊がスエズまで行っていたのは皆知っていると思う。」

長門「この間露払いしたからな。」

提督「連中、下手打ちやがった。」

正規さまは雑魚だねぇとか使えねぇなぁ等等、どっと笑いが起きる。

川内「それで追撃食らってるのを助けてやれってこと?」

提督「まぁ、有体に言えば。」

川内「で、幾ら出るの?」

提督「横須賀のお偉いさんの艦隊とかでな。

   作戦参加で1万、作戦完遂で100万の頭割り、後は戦果事のボーナスはいつも通り。

   MVPには半減上陸に小遣いもくれてやる。」

川内 ヒュゥ

川内「休暇の買取は?」

提督「必要なら申請しとけ。」

長門「司令部の作戦なら当然、弾と油は向こう持ちなんだろうな。」

提督「あぁ、好きにしろ。派手に暴れて来い。」

19: 2017/11/17(金) 23:11:31.81 ID:ngMkegDN0

摩耶「よっ、お大尽!で、そこの駆逐艦は?」

提督「あぁ、ついでだ紹介しとこう。今日来た『 補充兵器 』さんだ。」

摩耶「名前で呼ばないのかよ。」

提督「まだ着任が済んでないんでな。不知火。」

不知火「お呼びですか。」

提督「後、頼むわ。作戦の開始は2時間後。参加する奴は出撃ドッグに集合な。」

提督「俺は寝る。書類整理で完徹しててな。眠いんだよ。」



必要なことだけを述べ提督は大きく欠伸をしながら作戦室を出て行った。



不知火「早速ですがこちらの書類に目を通していただきサインをお願いしたします。」



A4のコピー用紙に文字が細かく印刷されたものが2枚


20: 2017/11/17(金) 23:12:14.80 ID:ngMkegDN0

時雨「目が痛くなりそうだ。」

摩耶「よう、あんた時雨だろ?」

摩耶「何やらかした?」

長門「やめとけ。此処のルールは問わず語らずだろ。」

川内「書類の内容はよく読んだほうがいいよ。でないと後で後悔する。」

摩耶「つったってまぁ、懲役代わりにここに来たんなら2枚目一択だけどな。」

時雨「?」

長門「簡単に説明するとだな。1枚目は軍籍を維持したままここで戦う契約。」

長門「軍籍は残したままだから当然、命令拒否は通常なら軍法に基づき処罰だが・・・。」

摩耶「懲役代わりに此処にきたんならそのままズドン。」

川内「銃殺だね。」

長門「その代わり、出撃の弾薬、燃料、修理は海軍持ちでシフトに従った出撃になるな。」

長門「ただし、支払われる金は給料のみ、また、懲役分の金を払って刑期を短くする事や艤装の改造も禁止だ。」

時雨「艤装の改造?」

摩耶「そっ。まぁ、2枚目の契約書の話になってくるんだけどさ。」


21: 2017/11/17(金) 23:13:14.19 ID:ngMkegDN0

摩耶「2枚目は軍籍の放棄。早い話海軍と傭兵契約を結ぶってことだね。」

摩耶「傭兵だから出撃にかかる弾代、燃料代、修理費は自己負担。」

摩耶「その代わり撃破した敵ごとに定められた金が貰える。」

川内「そのお金を溜め込むか自分の刑期分を支払うか好きにできる。」

時雨「それは刑期をお金で縮めることが出来るということかい?」

摩耶「そういうこった。艦種事に算出方式が違うから特定の艦種ほど稼げるって訳でもない。」

摩耶「それ以外にも金を稼ぐこと自体が目的の連中もこっちを選んでるね。」

摩耶「ただ修理も含めて全てに金が掛かるからなるべく被弾しない立ち回りが必要だね。」

摩耶「選ぶやつは多いけど本当に腕の有る奴等しか生き残らない。」

川内「でも自分の好きなように艤装を改造して最新鋭の装備も金次第で引っ張れるのが魅力ではある。」

川内「そして、働いた分だけ金になる。」

長門「そういう訳だから2枚目を選ぶ奴の方が多いかな。」

不知火「皆さんありがとうございます。説明の手間が省けました。」

不知火「それからこれを。」


金属質な固さと冷たさを持ったICチップが付いたカードを渡たされる。



22: 2017/11/17(金) 23:14:24.26 ID:ngMkegDN0

不知火「ここにいる間の身分証明書兼電子マネーカードです。

    全ての決済がそちら1枚で出来ますので無くされない様にお願いします。」

不知火「万一紛失された際は早めの連絡を。それと、こちらの認識票も必ず身に着けて下さい。」

不知火「氏亡された際の遺体の確認に使用いたしますので。後、こちらに遺品の送り先を。」

不知火「それから司令からの伝言ですが今までの武勲と給料で10万入っていますので当面の生活には困らないかと思います。」

不知火「ですが無駄遣いはなさらぬよう。後、食事は基本無料ですので御安心下さい。」


淡々とした口調で書類を差し出していく不知火。


不知火「それでは不知火はこれで失礼します。」

長門「さてと、明日の酒代を稼ぎに行くか。」

川内「10万ね。雪風以来かな。新人でこれだけ持ってここに来たのは。」

長門「確かにな。だが、氏ねば皆一緒だ。ドックへ向かうぞ。」

川内「だねー、生きてる間は稼がないと。」

摩耶「で、雪風は今回の任務参加するの?」


作戦室に居た艦娘があらかた出て行った後、摩耶が後方に語りかける。


23: 2017/11/17(金) 23:15:53.60 ID:ngMkegDN0

雪風「雪風は今回は遠慮します。」

摩耶「任務だから違反金だぜ?」

雪風「残敵の掃討部隊というのは決まって精強で士気が高いものです。」

雪風「駆逐艦の私では分が悪いってもんです。」

摩耶「そっか。じゃ、また後で。」

雪風「生きていれば。」ニィ

摩耶「時雨は?」

時雨「そうだね。僕も今回は遠慮しておくよ。まだここになれてないしね。」

摩耶「ふぅん。金持ちは違うねぇ。じゃ。またな。」


そういい残すと摩耶は去っていった。


雪風「よろしかったのですか?」

時雨「うん。雪風は此処が長いんだろ?それなら生き残るのが上手い娘を見習った方が良いと思ってね。」

雪風「さぁて、どうでしょうかね?」ニィ


この後、僅か30分後時雨は雪風の不敵な笑みの理由を知ることとなった。


不知火「鎮守府周辺海域に敵の艦隊の出現を確認しました。」

不知火「出撃可能な方は全員迎撃に向かってください!」


鎮守府全体放送で緊急放送がかかる。


雪風「予想通りですね。」

時雨「まさかこれを狙っていたのかい?」

雪風「作戦の決行時間は日没が近かった為、夜間作戦になるのは分かりきっています。」

雪風「雪風達駆逐艦が本領発揮するには魚雷をばら撒くのが一番ですが・・・。」

時雨「出撃する味方が多いと味方に誤射する可能性が高くなるね。それに夜だと尚更。」

雪風「その通り。それに競合する相手が少ないほど稼げるってもんです。」

時雨「流石だね。」

雪風「私は出撃して稼いできます。時雨さんも御一緒にいかがです?」

雪風「今までいた所がどれだけ微温湯だったか分かりますよ。」


ぬらりとした張り付いた笑みを見せると雪風は暗闇の中を出撃していった。


時雨「成程・・・、地獄の一丁目か。」


時雨はこの日、地獄の歩き方を少しだけ学んだ。


24: 2017/11/17(金) 23:18:18.05 ID:ngMkegDN0

安価スレの末尾にて御連絡させていただいていた分のスレ立て

イベ中に更新出来れば1話分くらいは更新したいですね

まるっと同じという訳にもいかないので雰囲気が似せれたらと思う所

では、またの更新時に

ここまでお読みいただきありがとうございました

25: 2017/11/17(金) 23:28:21.87 ID:GSb+37sf0
乙、ここはロアナプラかそれともフロム泊地か

第四話  Ghost Submarine’s

引用: 【艦これ】 外地鎮守府管理番号 88