38: 2017/11/26(日) 22:48:16.75 ID:liBY6hfM0
最初から:外地鎮守府管理番号 88
前回:第三話:時雨,着任
鎮守府ドック埠頭
明石「お帰りなさい。今日もがっちり稼いでいますか!」
時雨「そうだね。駆逐に軽巡に補給艦に・・・、まぁ3万は固いね。」
時雨「魚雷を30本は貰おうか。」
明石「ふふふ。毎度!」
明石「魚雷の相場が1本このくらいですから・・。」
明石「こんなとこでどうです?」
時雨「高いね。もう少し安くならないかな?輸送ルートの掃除を頼まれてあげるからさ。」
明石「仕方ないですね。こんなとこで?」
電卓を叩く明石。
時雨「うん。それで。」
明石「まいど!」
明石が持つ端末にカードを翳し決済終了。
雪風「私も同じ値段ですよね!20本いいですか?」ニタァ
明石「いつからいたんですか!?まったく、ちゃっかりしてますねぇ。」
不知火「お二人ともお疲れ様です。本日の戦果報告をお願いします。」
時雨「うん。後で報告書をまとめておくよ。」
不知火「宜しくお願いします。」
37: 2017/11/26(日) 22:46:51.87 ID:liBY6hfM0
第四話 Ghost Submarine’s
39: 2017/11/26(日) 22:50:23.18 ID:liBY6hfM0
ズッズッズッ。
重そうに水を含んだ布地を引き摺りながら潜水艦娘が二人の近くを通りがかる。
時雨「ヒトミ。これを着なよ。」
つレインパーカー
伊13「・・・、ありがとう・・ございます。」
雪風「時雨さん。潜水艦の方々はあまり私達と馴れ合いませんよ。」
時雨「そうはいっても僕らと同性が上半身裸で歩いて回るってのも良くないよ。」
時雨「いくら入渠ドックまでの短い距離だっていってもよくないさ。」
時雨「ゴーヤもだよ。」
つ雪風のレインパーカー
雪風「いつのまに。」
伊58「・・・、ありがとうでち。」
伊58「ヒトミ、急ぐでち。修理が済んだら、まだ、今日のノルマが残ってるでち。」
不知火「・・・、お疲れ様です。」ペコ
ズルズルズル。
潜水艦娘の指定水着。
その上に時雨からもらったパーカーを羽織る。
破れたスクール水着を下に引きずりながら入渠ドックへと歩いていく潜水艦娘達。
40: 2017/11/26(日) 22:51:43.20 ID:liBY6hfM0
川内「時雨は優しいね。」
時雨「なんだい、見てたの?」
川内「ふふ。まぁね。」
雪風「川内さんも人が悪いですね。」
川内「といっても潜水艦の娘達はあんまり馴れ合いたがらないからね。」
川内「時雨の差し出すパーカーを素直に受け取ってたのが珍しかったのさ。」
時雨「そうなの?」
雪風「そういえばそうですね。あまり潜水艦以外の娘達と馴れ合いたがらないですね。」
明石「まぁ、事情が事情ですからね。」
川内「まだいたの。」
明石「扱い酷いですねぇ。まっ聞きたいならこれ次第でお話しますよ。」
手でお金のサインをする明石。
一同「「「いや、いいです。」」」
明石「」
雪風「では、食堂で夕飯と行きましょう。」
時雨「そうだね。ご飯は大事だよ。」
41: 2017/11/26(日) 22:53:40.35 ID:liBY6hfM0
食堂
食堂はいつもの様にこれから出撃する者、帰ってきた者でごったがえしていた。
川内「夜戦スペシャル1つ!」つ食券
「ほいよ!」 つスタミナカルビどっさり定食 & 果物山盛り
時雨「沢山食べるね。」
川内「夜に動くからね。この位食べておかないと朝までもたないの。」モッモッモッ
雪風「流石に見てるだけで胸焼けを起こしそうです。」
そして和やかに食事をしていた時に時雨が気づいた。
時雨「ハチたちは座るところを探しているのかい?」
時雨「よかったらここに座りなよ。」
伊8「ダンク。」
伊13「ありがとうございます。」
時雨「どういたしまして。」
雪風「川内さん詰めて詰めて。」
雪風が自分の横に座る川内を肘で横へ押しやる。
川内「ほいさっ、ほいさっ。」
川内「ほい。スペース出来たね!」
42: 2017/11/26(日) 22:56:17.76 ID:liBY6hfM0
伊58「どうしてゴーヤ達にかまうでち?」
時雨「そうだね。うーん、一緒に命を賭けて戦っている仲間だから。」
時雨「これじゃ答えに不足かな?」
伊58「川内達は?」
川内「私?簡単だよ?仲間の時雨が仲良くしたがってる。それだけで理由としちゃ充分でしょ?」
川内「私はこれでも時雨に一目置いてるからね。時雨が仲良くしたいならそれを応援するよ。同じ鎮守府の仲間としてね。」
雪風「同じくです。」
伊58「仲間・・・・。」
時雨「じゃ、僕らはこれで。」
川内「ほら雪風も行くよ。」
川内に促され8個目の肉まんを片手に持ち雪風も席を立ち上がる。
時雨「じゃ、ゆっくりしなよ。」
そう言い残し食事を終えた3人は食堂を去った。
43: 2017/11/26(日) 22:59:13.46 ID:liBY6hfM0
後日とある日 インド洋海上
摩耶「敵の潜水艦部隊に出会わないと楽だねぇ。」
時雨「潜水艦の対応に装備を全振りしてるから水上艦は頼むよ。」
摩耶「任しときな!そんときゃあたしの後ろに隠れるといいよ。」
摩耶「そうでないとこっちばっかりが得しちまう事になる。」
摩耶「あたしら重巡は対潜が出来ないからなぁ。」
時雨「各々向き不向きがあるさ。摩耶は水上艦、僕らは潜水艦。それでいいじゃないか。」
摩耶「潜水艦で思い出したけど時雨、最近潜水艦と仲がいいんだって?」
時雨「うん。まぁ・・・ね。何か問題でもあるのかな?」
摩耶「あいつらはちょっと特殊だからね。」
摩耶「潜水艦の連中は過去の経歴がまったく存在しないって噂だぜ。そして、何をしでかしてここに来たのか誰も知らない。」
時雨「誰も知らないの?」
摩耶「まっ、不知火なら知ってるかも知れないけどね。」
摩耶「んで、連中は終戦まで此処にいる決まりでかなりの額の賠償金も背負わされているって話だぜ?」
摩耶「経歴も何もかも存在しない、だから鎮守府の古参連中は幽霊って呼んでるんだ。」
摩耶「Ghost Submarine’s 幽霊潜水艦隊ってね。」
時雨「幽霊潜水艦隊・・・・。」
摩耶「まぁ、足はついてるけどな!」ハハハ
雪風「確かについていますね。」ハハハ
44: 2017/11/26(日) 22:59:58.28 ID:liBY6hfM0
また別の日
時雨「お疲れ。」
伊58「お疲れでち。」
時雨「低気圧が近づいてるみたいだよ。荒れそうだね。」
伊58「海の中は関係ないでち。」
時雨「そっか。それもそうだね。」
伊58「可笑しなやつでち。」フフフフ
時雨 フフフフ
45: 2017/11/26(日) 23:01:01.79 ID:liBY6hfM0
さらにまた別の日
時雨「ヒトミ、お疲れ。」ヒュッ
伊13「あっ、お疲れ様です。これは?」パシッ
時雨「自販機が誤作動してね。2本出てきたんだ。あげるよ。」
伊13「暖かい・・・。」
時雨「今日はあがりだろ?海中は冷えただろうし、ゆっくり飲みなよ。」
伊13「ありがとうございます。」
時雨「はちもだよ。」ヒュッ
伊8「時雨はいいの?」パシッ
時雨「僕は今から出撃でね。ゆっくり飲んでいる暇がないんだ。」
伊8「酷い話ですね。」フフ
時雨「まったくだよ。」フフ
長門「時雨、出るぞ!」
時雨「あっ、うん!すぐ行く!じゃ!」
長門「と、二人、これは私からだ。」ポイッ
伊8「カイロ?」パシッ
長門「間違えて余分に封を切ってしまってな。」
長門「勿体無いから使ってくれ。ではな!」
伊8「ダンケ!」
46: 2017/11/26(日) 23:02:30.00 ID:liBY6hfM0
数日後 どこかの海中
伊13「ゴーヤさん。時雨さん達なんですが・・・。」
伊58「・・・・。」
伊8「私は仲良くしてもいいんじゃないかって思う。」
伊8「今までの、ううん。ここに来る前にいた連中とは違うと思うの。」
伊58「やつらは!イクにイムヤは・・・・・!」
伊58「ううん。今はその話をする時ではないでち。仕事の時間でち。」
伊58「今週のノルマまで後少し。本腰いれて掛かるよ!」
伊13 伊8「「はい!」」
47: 2017/11/26(日) 23:04:19.88 ID:liBY6hfM0
同時刻 鎮守府廊下
不知火「時雨さん。お時間よろしいですか?」
時雨「不知火?僕に何かようかな?」
不知火「最近親しくされている潜水艦の娘達についてこちらの会議室で少し宜しいでしょうか?」
時雨「分かった。」
会議室内
不知火「そちらにどうぞ。」
時雨「ありがとう。それで、話っていうのは?」
不知火「これからお話することは他言無用で願います。」
不知火「不知火も司令から伝える様にと言われたのですがその意図が分かりかねている所です。」
不知火「初めにお話ししますが彼女達の罪状は以前いた鎮守府の殲滅を主導した事です。」
時雨「!!」
不知火「現在この鎮守府に居るゴーヤさん、ハチさん、ヒトミさん。」
不知火「そしてここにはいないイヨさんの四人で計画は実行されました。」
不知火「全てが終わった後、彼女達は出頭し、罪の自白、及び極刑を希望されたそうです。」
不知火「以上が彼女達がここに来ることになった簡単な経緯です。」
48: 2017/11/26(日) 23:07:03.52 ID:liBY6hfM0
時雨「何が彼女たちをそれ程までの狂気に駆り立てたんだい?!」
不知火「私達艦娘は軍務に付く際に所属鎮守府を登録しその後は艦隊司令部の作成した艦娘運用規定に則って
各種作戦等の任務に従事します。」
不知火「そして、各鎮守府事の最大着任数は決められておりその上限枠を超えての着任は出来ません。」
不知火「また、鎮守府の大小に関わらず資源の最大保有量は変わりません。」
不知火「時雨さんもご存知ですよね、潜水艦の艦娘で資材を効率的に確保する方法を。」
時雨「・・・・、オリョクルだね。」
不知火「オリョクルは方法として司令部も必要悪として黙認している部分もあります。」
不知火「ですが、実施する際には疲労解消の徹底等いくつもの条件を満たした場合のみとしています。」
不知火「しかし彼女達はそれが守られていませんでした。」
不知火「いえ、酷使することを目的に意図的に着任手続きはされませんでした。」
時雨「そっか、着任していなければ艦娘としての運用規定に抵触しないという事か。なんて卑劣なんだ・・・。」
時雨「でも、ヒトミは着任手続きを取っていたんだろ?」
不知火「えぇ、ヒトミさんとその妹のイヨさんは着任手続きなされていたことが司令部の記録に残っています。」
不知火「そして、ある日、オリョクル中に彼女達の仲間であったイクさんが『 事故 』により喪失しました。」
時雨「事故だって?」
不知火「 『 事故 』です。」
強調するかのように繰り返す不知火。
その表情は険しい。
49: 2017/11/26(日) 23:08:58.24 ID:liBY6hfM0
不知火「艦娘としての籍が用意されていなかった為何が起きていたのかも
証言のみでしか伺えませんがゴーヤさん達の救援要請が握り潰されたそうです。」
不知火「そしてその件もありヒトミさん姉妹は待遇の是正を求め動いていたのをより強め
司令部監査室へ告発しようとした所を司令官に気づかれイムヤさんが『 事故 』により失われました。」
不知火「記録上は。」ギリ
時雨「なんて胸糞悪くなる話なんだ。」
不知火「告発失敗の後はヒトミさん達姉妹もオリョールの出撃へ組みこまれています。」
時雨「・・・・。」
不知火「この二件の事故で彼女達は従順になりました。いえ、正しくは演じていたですね。」
不知火「オリョクルで獲得可能な資源は燃料、弾薬とありますがその獲得資源量は一定ではありません。」
不知火「重ねてオリョール海は多島海の為彼女達が獲得した資源の一部を貯めるには隠し場所が実に豊富でした。」
時雨「その・・・・隠れて貯めた燃料や弾薬はやっぱり?」
不知火「えぇ、臥薪嘗胆の思いで貯めた資材が目標の量に達した時に彼女達は行動へ移ったそうです。」
不知火「深海棲艦が定期的に大量発生する時期に合わせて雌伏の時を過ごし、牙を研ぎ澄ませていたのですね。」
50: 2017/11/26(日) 23:11:32.64 ID:liBY6hfM0
不知火「そして彼女達は同じ鎮守府の艦娘を駆逐、軽巡といった対潜行動が可能な子達から葬り最後に正規空母、
戦艦といった対潜行動をとれない娘達を一方的に弄り頃したそうです。」
不知火「ヒトミさん姉妹が告発に向けて動いていた際も協力する者は誰一人として居らず寧ろ、
資材を取ってくる便利な『 何か 』程度にしか認識されていなかったため
ゴーヤさん達の調書ではイクさんやイムヤさんの仇をとったという感情しか沸かなかった。と書いてあります。」
不知火「全てが終了した後、司令官も殺害し鎮守府に火を掛け海軍特別警邏隊に出頭し身柄を拘束されました。」
不知火「その目的は世間に広く事実を知ってもらう為、自分達と同じ状況になる艦娘を二度と生み出さない為に。」
どれほどの決意を持って行われたのかを考え不意に時雨は泣いてしまう。
時雨「そのイヨは?」
そして、一人だけ居ない者が居ることに時雨は気付いていた。
51: 2017/11/26(日) 23:13:08.03 ID:liBY6hfM0
不知火「イヨさんは一人海軍大津刑務所に拘留されています。」
人質か・・・・。
時雨「ここの提督の指示なのだとしたら相当な極悪人だね。」
吐き捨てるように言った時雨のこの台詞はこの瞬間においては大きな間違いであった事はこの後の不知火の様子が物語る。
不知火「あなたに司令の何が分かると言うのですか!」
怒気を存分に含ませ全身から溢れ出す殺気を押さえようともせず時雨を睨みつける不知火。
しかし、それは一瞬の事だった。
不知火「いえ、失礼しました。ただ、司令は海軍がその事実を氏刑にて隠蔽しようとしたのを
彼女達へ懲罰を与えるという口実をつけ救い出したという事実は付け加えさせていただいて宜しいですか。
彼女達が生きている限りは事実は残りますので・・・・。」
時雨「そう、知らなかったとはいえ非礼を働いたのは僕の方だった様だね。」
時雨「不知火、ごめんよ。先の発言は取り消すよ。本当に申し訳ない。」
不知火「いえ、時雨さん、私が言えたものではないですがゴーヤさん達をお願いします。」
会議室を出て行く時雨が扉を閉めるときに見たのは深々と頭を下げる不知火の姿だった。
52: 2017/11/26(日) 23:15:21.32 ID:liBY6hfM0
ゴーヤ達は逃げ回っていた。
いつものように通商破壊の為の補給艦狩を終えた後、帰投中に敵の対潜部隊に見つかったのだ。
伊58「敵がしつこいでち。」
敵は新しい玩具を与えられた幼児の如くゴーヤ達を嬲り弄んでいた。
伊8「同じ海域で補給艦狩りをやりすぎましたね・・・。」
伊58「今はそれを言っても仕方ないでち。」
伊58「それより、みんな魚雷は後何本残ってる?」
伊8「4本。」
伊13「6本です。」
伊58「二人とも1本だけ残して残りをよこすでち。」
伊58「ここはゴーヤが引き受けるでち。二人は逃げるでち。」
伊13「ゴーヤさん!?」
伊8「私も付き合うよ。ヒトミさんは逃げてください。」
53: 2017/11/26(日) 23:16:58.11 ID:liBY6hfM0
伊13「お二人を残して逃げるなんて出来ません!」
伊58「ヒトミは妹が居るでち。何が何でも逃げ切るでち。」
伊58「生きて帰らなければいけない責任と理由があるでち。」
伊8「私達の境遇を変えようと動いてくれた時は嬉しかったです。」
伊58「その所為でこんな所にまで巻き込んでしまって悪かったでち。」
伊58「さぁ!いくでち!ここは二人でなんとかするでち!ヒトミだけでも生きて帰るでち!」
伊8「ただではやられないよ!」
伊58「そういう顔をするなでち。さっ!敵がこっちを探してうろついている間にいくでち!」
伊13「必ず!」
伊13「必ず!救援を連れて帰って来ますから!」
54: 2017/11/26(日) 23:20:32.38 ID:liBY6hfM0
伊8「いきましたね。」
伊58「でちねぇ。」
伊8「さて、暴れますか。」
伊58「ハチも悪いでちね。黄泉路を一緒に歩くのがゴーヤで。」
伊8「敵も夜を前にこちらを沈めるべく動いてくるでしょうから増援が来るでしょうね。」
伊58「魚雷は2人で16本。一人8本ずつでち。最後の花火派手にいくでち!」
伊8「随分残してましたね。」
伊58「1本ずつを確実に当てれば少ない量でたくさん狩れる節約術でち。」フフフ
伊8「節約ですか。」フフフ
55: 2017/11/26(日) 23:22:11.41 ID:liBY6hfM0
鎮守府 出撃ドック近く
時雨「雪風もランニングかい?」
雪風「時雨さんもですか?日が暮れるのも早くなりましたね。」
時雨「うん、本当に。」
二人が運動後の体を海風に晒しほてりを冷ましている時に彼女は帰ってきた。
そして、一気呵成に事情を話し懇願した。
伊13「お願いします!お願いします!」
仲間の、ゴーヤ達の命を助けて貰う為に。すがりつくように懇願をする。
時雨「雪風。」
雪風「行きますか。」
時雨「勿論。」
川内「二人とも待った。任務でも仕事でもないのに勝手に海に出るのは脱走兵扱いだよ。」
川内「私が見逃しても私と同じように金目的でここに居る連中が見逃すとは思えないけど。」
川内「それでも行くの?」
雪風と顔を見合わせる時雨。
56: 2017/11/26(日) 23:24:32.78 ID:liBY6hfM0
時雨「川内は本当に神出鬼没だね。でも、僕らは脱走するわけじゃない。」
川内 ?
時雨「夜の散歩にいくだけさ。」フフ
雪風「その通りです。」ニヤリ
川内「散歩ね・・・。なら私が付き合わない道理はないね。付き合うよ!」
摩耶「なんだい?散歩かい?奇遇だねぇ。あたし達もこれから散歩なんだ。」
長門「夜の散歩は危ないぞ。照明弾も持ったか?」
摩耶「川内なら夜偵も持ってるよな。なっ。」
パンッと胸前に握った拳で音を立てる長門。
テキパキと散歩の準備を済ませる一同。
長門「さぁて、花火大会会場に案内してもらおうか。」
伊13「みなさん、みなさん!ありがとうございます!」
57: 2017/11/26(日) 23:25:34.97 ID:liBY6hfM0
伊58「動けるのが不思議なくらいの状態でちねぇ・・・。」
伊8「ヒトミちゃん逃げ切れたかなぁ。」
伊58「ヒトミなら大丈夫でち。ゴーヤ達が沈めば全部元に戻るだけでち。」
伊8「思えば結構長い付き合いだったね。」
伊58「ヒトミ達姉妹には感謝でち。二人がゴーヤ達の境遇改善に動いてくれたのはうれしかったでち。」
伊8「うん。はっちゃんもそうだよ。」
伊58「さぁて、残りの魚雷は1本だけだけど一隻でも敵を沈めて華々しく散ってやるでち!」
伊8「一隻でも多く沈めるよ!」
二人が最期を覚悟した時だった。
58: 2017/11/26(日) 23:28:36.01 ID:liBY6hfM0
ドン!
水中にいるゴーヤ達からも分かる頭上の明かり。
長門「明石の在庫整理の大安売りでな!期限切れ寸前の照明弾のバーゲンだ!」
摩耶「軽空4、軽巡3、駆逐6!ついでにお守りの戦艦が1だ!」
時雨「いいね。いい運動になりそうだ。」
川内「私はねぇ、夜戦が大好き。」
川内「なぜかって?嫌いな夜に寝る気にならないから。」ニタァ
照明弾の残光が残る中でそれぞれが思い思いに敵と対峙する。
雪風「あなた達は幸せですよ。」
雪風「なにせ、痛みを感じることなく黄泉路を逝けるのですから。」
主砲の砲撃に注意を引き付け魚雷で止めをさす雪風。
川内「あぁ、今日も生き残った。」ペロリ
顔に付いたオイルとも血とも分からないものを舐めとり
手に握る軽巡だった物の艤装の断片を海へ放り投げ一息入れる川内。
敵は氏んだことすら分からないのか捥ぎ取られた部位以外はぴくぴくと蠢く。
しかし、それはすぐに活動を止めた。
59: 2017/11/26(日) 23:30:04.18 ID:liBY6hfM0
長門「さぁ!殴り合いを楽しもうか!」
対潜部隊の軽空母陣から少し離れた所では
戦艦同士の主砲の撃ち合いをする音が続きその砲煙は日の落ちた闇夜を赤黒く照らす。
長門「さぁ!さぁ!まだだ!まだ楽しませてくれるよなぁ!」
摩耶「ありゃスイッチ入っちまったなー。」
時雨「近づかないほうがよさそうだ。」
数瞬、まさしくほんの少しの時間、ゴーヤ達が最期と覚悟を決めてほんの少しの後。
その海域には深海棲艦で動くものはいなかった。
長門「他愛ない。」
摩耶「まったく。長門の姐さんはやり過ぎ。」
時雨「ゴーヤ達は大丈夫かな?」
伊13「なんとか!自力で帰れそうです!」
摩耶「食後のいい運動になったよ。」
摩耶「時雨、あたし達は先に帰ってるから雪風と援護してゆっくり散歩を楽しんで来るといいよ。」ニヤリ
川内「そうそう。じゃ、また後で。」バイバイ
台風の様に圧倒的暴力を吹き散らかし大破したゴーヤ達を護衛するような形で時雨と雪風は帰途についたのだった。
60: 2017/11/26(日) 23:32:20.29 ID:liBY6hfM0
伊58「時雨、雪風、助かったでち・・・・。」
伊58「でも、なぜ?」
時雨「簡単だよ。前にも言ったけどゴーヤ達は仲間だろ?」
時雨「助けるのに理由なんて必要かい?」
雪風「じゃ、みなさん帰りましょう!」
鎮守府ドック付近
川内「お帰りー。」
不知火「お帰りなさい。」
摩耶「不知火が話があるってさ。」
伊58「不知火!時雨達は見逃して欲しいでち!ゴーヤが全て責めを負うでち。」
伊58「ノルマの増加でもなんでも受けるでち!」
伊58「だから、だから、二人の無許可出撃は見逃して欲しいでち!」
土下座をし額をドックのコンクリートで擦り切らんばかりの勢いで拝み倒す伊58。
61: 2017/11/26(日) 23:34:25.29 ID:liBY6hfM0
摩耶「まーまー。落ち着きなって。」
不知火「司令から二人に伝言です。『 外出許可届けを出し忘れているぞ。 』と。」
不知火「こちらに氏名と登録番号を記入の上、明日昼までに提出をお願いします。」
二人に渡されたのは受領時刻が出撃した2時間前で記入された外出届。
不知火「尚、『 外泊許可届けとは違うから安心しろ。 』とも言われていました。」
不知火「意味は分かりかねますが。では。」
川内「提督も味な真似するよねー。」
長門「まっ、根っこまで腐っているようなら私はここに居ないがな。」
摩耶「頭の毛根は腐ってるみたいだけどなー。」
不知火「司令は禿げていません。薄いだけです。」キリッ
一同 爆笑
不知火「では、提出の期限は皆さん守っていただきますようお願いします。」
そして、不知火は書類を渡し終えると仕事が残っているからと去っていった。
62: 2017/11/26(日) 23:35:51.85 ID:liBY6hfM0
伊58「みんな、本当にありがとうでち。」
伊58「仲間なんてハチやヒトミ達以外に居ないものだと思っていたでち。」
伊8「助けていただきありがとうございました。」
摩耶「気にすんなって。仲間だろ?あたしらは散歩に出たらたまたま敵に出くわしただけなんだから。」
川内「そーそー。じゃ、私らはこれで。」
時雨「ゴーヤ、またね。」
伊58「また。」ズビッ
伊58「またでち!」
それぞれの部屋へ帰り行く一同、その後ろ姿を見送る潜水艦娘達。
その姿が小さくなってもゴーヤ達は手を振り続けていた。
63: 2017/11/26(日) 23:36:32.87 ID:liBY6hfM0
雪風「ところで時雨さん。」
時雨「なんだい?」
雪風「魚雷に弾薬、任務や仕事ではないので大赤字です。」
雪風「これは散歩にお誘いいただいた時雨さんに請求するべきでしょうか?」
時雨「ちょっとやだなぁ。せっかくいい話で終われそうだったのに。」
雪風「もしかして、雪風、空気を読んでいませんでしたか。」フフフ
時雨「本当だよ。」フフフ
64: 2017/11/26(日) 23:40:08.02 ID:liBY6hfM0
こんな感じで進行していきたいと思います
本日はお読みいただきましたありがとうございました
ボツネタとして掲載させていただいた時は需要があるんかいなという部分が大きかったので
続きは?というレスが多かった事に驚きました
さて、E4のゲージ削らなきゃ・・・、Z6マスで心折れ、乙にて絶賛攻略中です
E4のラスボスはたぶんZ6のS勝利だと思いますです
乙レス、感想レス、いつもありがとうございます
ではでは、また次回の更新で
65: 2017/11/27(月) 00:27:44.46 ID:pnA3wHvJo
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります