40: 2018/03/15(木) 22:59:30.04 ID:JlzpJifn0
41: 2018/03/15(木) 23:00:19.53 ID:JlzpJifn0
提督「ガボガボガボ!(海坊主だぞぉ!)」
明石「何か捕れました?」
提督「いや、なんか反応してよ。こう、女の子らしくキャーとかさぁ。」
明石「いや、実際禿げですから坊主なのは変わらないでしょ?」
提督「母ちゃんは手厳しいな。まったく。」
明石「で、収穫は?」
提督「えーっと魚と貝類、伊勢エビ?が捕れまして多分食べられる?」
阿賀野「わー、提督さん!いっぱい捕れたね!」
提督「おう。こないだの密輸組織の連中の船に色々ダイビング用品があったからな!」
明石「実際便利ですよね。」
提督「全員分手配可能ならしておいてくれ。」
提督「何が起きるか分からんからな。」
提督「食料の確保に海女の真似事するにしても装備がきちんとしていた方がいいだろ。」
明石「ですね。数、揃えておきますね。」
提督「頼む。」
提督達が食糧確保の為にダイビングにいそしんでいる所に秋津洲が向かってくる。
秋津洲「提督!大艇ちゃんが長距離偵察から戻ってきたよ!」
提督「おっ!分かった。カメラの写真は現像に回してくれ!」
秋津洲「分かったかも!妖精さんに現像お願いしてくるかも!」
42: 2018/03/15(木) 23:01:27.40 ID:JlzpJifn0
移動式鎮守府施設 テント内
提督「んー、もうちょっと鮮明な写真が欲しい。」
提督「後、拡大出来ないかな。」
現像された写真を見ながら提督が感想を漏らす。
明石「拡大ならなんとかなりますけどどうされました?」
提督「秋津洲が大艇の長距離偵察で空撮してきた写真なんだがな。」
明石「うーん。これは敵の補給基地らしき施設ですか?」
提督「うん。」
提督「出入りしている連中の喫水状態が分かればありがたいんだけどな。」
秋津洲「喫水状態かも?」
提督「うん。写真を撮ってきてもらったのは敵の勢力圏下の最前線。」
提督「海軍と敵さんでオセロゲームやっている所だ。」
提督「だから喫水状態で神様に祈る状況になってなければいいなぁと思ったのさ。」
秋津洲「かも?」
提督「とりあえず、喫水についてだが入港する補給艦が沈んでいれば物資を運んできている。」
提督「つまりは基地なり泊地なりを建設中と判断できる。」
秋津洲「かも。」
提督「んでだ、逆ならこちらが把握していなかった集積地があって撤退しているって事だが。」
明石「どうします?」
提督「管轄区域が違うからどうしようも無いな。」
提督「それに自分で言っておいてなんだが敵との陣取りゲームやってる最前線に補給所を作るというのはよっぽどだ。」
提督「兵站を危険に晒す事は馬鹿がやる事ってのは新米提督でも理解できる事だからな。」
提督「罠と思いたい。罠の為の見せ掛けではないとすると恐ろしく痛い。」
秋津洲「痛い?」
43: 2018/03/15(木) 23:03:23.33 ID:JlzpJifn0
提督「あぁ、最前線っていっただろ?」
提督「それこそこんな所に集積所を作られたら
コンビニへ買い物に行く気楽さで周辺海域に戦争しに行けるって事だよ。」
提督「トヨタが世界的に有名にしたジャストインタイムをやられると
補給が細いこっちじゃ山火事にお猪口で火消しやるようなものになってしまう。」
明石「そこまで差が出ますか…。」
提督「あたぼうよ。弾もってこいアパーム!で持ってこないアパムと違って
『持って…』まで口に出したときには富士山の如き量があったりする感じになるな。」
提督「兵站が潤沢な敵を相手どるのは戦争の負けを覚悟した方がいいもんだ。」
提督「どんなに兵士が優秀で銃が精巧であろうと撃つ弾がなければ機能しないし飯が無ければ餓氏する。」
提督「小学生でも判る話だ。
だけにこの最前線にコンビニを開店するってことは
24時間営業のサプライチェーンまで確立出来てるって事の証明でもある。」
明石「……。」
提督「薄ら寒い話だろ。ノンストップで大量に資材を敵は運び込んで来るってのはある種の悪夢だ。」
提督「だけにそれが維持できなくて撤退してくれている話だと神に感謝するんだけどな。」
提督「うちが潰している補給艦の量を見るとパンドラの箱底って奴な気もする。」
提督(というか最悪の事態が濃厚なんだよなぁ…。)
44: 2018/03/15(木) 23:04:17.74 ID:JlzpJifn0
明石「うちで強行偵察やります?」
提督「ん。あぁ、そうだなぁ。出すだけ被害が出るだろうが、その価値はある。
だが、さっきも言ったようにそこはうちの管轄じゃないんだよ…。」
提督「よその管轄に嘴をいれる真似をするとどうなるかは明石も知らないわけじゃないだろ?」
やれやれと肩をすぼめながら零す提督。
提督「こっちからはその辺りの受け持ち鎮守府に早めに逃げるか
分散している兵力を一纏めにして危機に備えろとしか連絡出来ん。」
明石「海軍組織って凄く無駄が多いですね。」
提督「高度に専門化された組織なんてもんはだいたいそんなもんだ。」
提督「横紙破りを極端に嫌う。組織を保つ上で悪くは無いが危機に対する即応性は悪くなるな。」
渋い顔をする二人。
45: 2018/03/15(木) 23:05:22.62 ID:JlzpJifn0
阿賀野「提督さん!ご飯の用意できたよ!」
そんな会話をする二人の所に阿賀野がやってくる。
提督「おっ、分かった。」
つ ムニムニ
提督「うん。阿賀野の腹が摘める。食料は十分に行き渡っているようだな。」
提督が掴むは脇腹…、ではなく胸。
阿賀野「ちょっ、提督さん!セクハラぁ!」キャッ
ゴゲシ。
明石「不燃ゴミは処分しておきますねー。」
ズルズル。
提督「明石は最高ぅ~。」b
秋津洲「提督は懲りない人かも。」
46: 2018/03/15(木) 23:06:40.81 ID:JlzpJifn0
敵 前線基地(南方棲姫 臨時泊地)
南方「こんな所に新しく補給集積地を作る意味はあるのか?」
空母「最前線だからこそよ。」
南方「物資の集積地を作ると敵に攻撃目標を与えるような物じゃないか?」
南方「それともこの間の指揮官を捕まえる為の罠にでもする気?」
空母「えぇ。罠といえばそういえなくもないわね。」
空母「でも、そうね、例の指揮官はこの罠には掛からないわよ?」
じゃぁ何の為に?
そんな疑問の顔を空母棲姫に向ける南方。
空母「そんな顔しなくても大丈夫よ。」
空母「目的は別にあるんだから。」
空母「敵が優秀なのはあくまで現場指揮官としてよ?」
空母「将の将ではなく兵の将。人間社会って物をあなたも勉強した方がいいわよ?」
南方「人間達の協力者を使って情報を集めているのもその為か?」
空母「人間達の船を沈めた際に得た貨幣や貴金属類は私達には無用の長物でしょ?」
空母「連中の情報に賞金を掛ければ色々と情報が集まってくるでしょう。」
空母「人間程己の欲望に忠実な連中は居ないわ?私達はその隙をつくのよ。」
47: 2018/03/15(木) 23:07:54.89 ID:JlzpJifn0
ネ級「空母棲姫様。磁気感応機雷の準備が出来ました。」
南方「あれを使うのか?」
空母「えぇ。あれを使うわ。」
空母「数がそんなに用意できないのが難点よね。」
空母「これも人間を利用しているからこそ用意出来た物よね。」
磁気感応機雷。
本来の兵器としてのそれは蝕接、
あるいは付近の艦艇により乱れた地磁気を感知して爆発するといったものなのだが……。
深海棲艦の使うそれは違った。
海上を漂い艦娘に寄生。
そして、脳を支配するのだ。
トキソプラズマに寄生された鼠が猫に食べられる為に鼠の恐怖心を無くし脳を支配するように。
この兵器は敵の感情を支配、コントロールする。
脳を支配された艦娘は恐怖と痛みを感じなくなる。そして、氏ぬまで戦い続ける。
戦う相手は味方である艦娘。
そして宿主が絶命するときに周囲を巻き込む爆発を起こすという最低最悪の兵器。
48: 2018/03/15(木) 23:09:53.49 ID:JlzpJifn0
空母「私達がその排除を目的としている鎮守府は倒せないでしょうけど。」
空母の台詞に疑問符を頭に浮かべた顔をして見つめる南方。
おびき寄せる為の罠ではないと始めに言っていたものの敵を倒せないでは困るのだ。
空母「いいのよ別に。機雷で艦娘を敵の後方拠点へ送り込むことが出来れば私達の勝ちよ?」
空母「今まで潰されてきた補給艦達の位置、私達が虱潰しに捜索してきた海域からここは離れているでしょ?」
南方「確かに。」
南方(と、なるとここに補給基地を作って攻撃を容易にすべき理由があるという事か。)
南方「成る程、目的とする敵の補給線を完全に絶つのが目的か。」
空母「そう、ここを拠点に敵の補給線を絶つわ。」
空母「敵が何処にいるか分からない上に強敵だとしても補給無しに動ける軍隊なんていないでしょ?」
南方「だが、敵の補給線を絶つには相当に後方へ侵攻する必要性があるぞ?」
そう、言うのとやるのとでは大きく違う。
実際、目的とする敵の、海軍の物資集積地はかなり後方に設置されていた。
その為、深海棲艦に攻撃される事は無かったのだがこれが原因で物資の輸送が遅くなっていたのも事実ではあった。
49: 2018/03/15(木) 23:11:02.83 ID:JlzpJifn0
空母「敵の後方集積地拠点へ浸透破壊作戦を実施する。」
空母「機雷はその製造に艦娘を苗床にする所為で
量産性に乏しいけど今回持ってきた数があれば十分。」
空母「その為の陽動だけに鹵獲艦娘を使うつもりよ。」
南方「あれを製造したのは人間だったはずだよな?信用できるのか?」
空母「信用も信頼もどっちも不要よ。」
空母「あれが機能するかどうかは既にテスト済みで満足のいく結果だったわ。」
空母「戦争に私達が勝てばいいの。勝った方が後は好きに出来るんだから。」
空母「私達にあれを持ってきた人間も勝ち馬に乗りたいのでしょう?」
空母「歴史を作る事が出来るのは勝った者だけよ。」
空母「そして、勝った方が有利に歴史を作るのは今までもこれからも変わらない事実。」
空母「勝てばいいのよ勝てば。」
50: 2018/03/15(木) 23:12:03.36 ID:JlzpJifn0
南方棲姫が敵である人間が作り出した磁気感応機雷の使用を躊躇うことを嗜める空母棲姫。
なにしろ南方棲姫は今の所、敵にいい様にやられているのだ。
敵が小賢しく色々な小手先の罠を仕掛け狡賢く動いているのが原因ではある。
なので負けが続いている状態で勝つために手段を選ぶべきではないのだ。
深海棲艦達に人が作った常識や法が通用するわけがないのだから。
それが例え非道なやり方での勝利の方法であったとしてもである。
空母「助攻から主攻まで。一気に片を付けてあげる。」
空母「圧倒的物量による暴力が何かというのをしっかりと味あわせてやるわ。」
空母「それと……。」
ネ級「空母棲姫様。滑走路の作成も順調に進んでいます。」
ネ級「今夕には全て使用が可能になります。」
南方「航空基地まで作っているのか。」
空母「えぇ、飛行場ちゃんに重爆も借りてきたの。」
島には4本の滑走路が整備され既に完成している3本にエイの様な形をした飛行機がずらりと並んでいる。
51: 2018/03/15(木) 23:13:20.86 ID:JlzpJifn0
空母「敵の前線基地を短時間で焦土に変えるに手段は選ばないわ。」
その新型爆撃機は所謂重爆撃機と呼ばれる戦略爆撃機。
帝国海軍が主として使用した一式陸攻等の戦術爆撃機と違い腹に大量の破壊兵器を積める戦略爆撃機。
それがズラリと並ぶ姿は圧巻かつ壮観。
空母「大陸の欧州と違ってこっちは島ばかりだから
夜間爆撃がやり難いのが難点だけど昼に限っての限定使用なら最高に効力を発揮するはず。」
空母「欧州戦線が落ち着けばこちらの太平洋戦線にも順次投入されていく機体よ。」
空母「太平洋戦線に投入した際の評価テストも兼ねているから損耗については一切を考慮しなくていいと話はついてるの。」
敵である艦娘達の海軍組織は硬直化著しい事は散発的に起こした戦闘で明らか。
幾つかの鎮守府へ同時に攻撃を仕掛けてみたものの連携した行動をとることはおろか
中には協力を拒んでいるような動きをする者達もちらほら。
空母「機動性と一体性の無い軍隊は殺されることを待つ家畜の様なものよね。」
ぽつりと一言。
阿鼻叫喚の地獄絵図を齎す為には願ってもない条件とも言える。
52: 2018/03/15(木) 23:15:31.69 ID:JlzpJifn0
空母「真に恐ろしい敵は優秀な敵より無能な味方とは良く言ったものね。」
作戦展開予定海域の海図を見ながら更に感想を漏らす。
敵の現場指揮官が優秀ではあったのだろうけど結局は現場指揮官なのだ。
戦術レベルでの作戦の対応は出来るのだろうが戦略単位では凡そ無理なのだろう。
権限というものに縛られる人間社会のなんと哀れな事か。
空母「試合に勝って勝負に負けるという奴かしら?」
南方「?」
空母「気にしないで頂戴。南太平洋から艦娘共を追い落すわよ。」
南方「あぁ。勿論だ。」
南方(実に冷静かつ的確な判断。先日の狂気は一時の気の迷いだったんだろう。)
元々空母等の航空機を一度に大量に扱う艦種は一度に処理する情報量の多さから
姫、鬼といった指揮官クラスの中でも特に頭の回転が速い。
なればこそ横断的に軍の指揮権を委譲しやすい深海棲艦では
南方棲姫としては優秀な者に総指揮を任せるのが自然。
53: 2018/03/15(木) 23:17:07.77 ID:JlzpJifn0
南方(冷静な時の空母は味方をして敵に回したくないと思わせる大胆不敵な作戦を思いつくものよな。)
南方「ところでこの作戦につける名前は何にする?」
空母「そうね……。」
空母「 『 断頭台(ギロチン) 』なんてどうかしら?」
南方(敵指揮官の首を取る事に執着していたからだろうか…。)
空母「この作戦が成功すればこの周辺海域に展開する敵は全て氏刑台の上の囚人みたいなものよ?」
空母「敵の指揮官の首を取る事に執着しての作戦名じゃないわよ。」ニコリ
心の奥底を見透かされたような一言。
空母「この辺りにある敵の鎮守府とやらは20?30?もっとあったかしら?」
空母「でも、目的とする指揮官からすればゴミよね。」
空母「敵はいずれ理解するでしょうね、自分達が如何に怠惰であったか。」
空母「私達は凡百木っ端の愚将なんて束になった所で恐れはしない。たった一人。」
空母「そう、目的とするは彼だけよ。彼が全軍の指揮を執ることは絶対に阻止しないと。」
空母「その為に今ここで確実に息の根を止めるわよ。」ニコォ
54: 2018/03/15(木) 23:22:53.68 ID:JlzpJifn0
将の価値を正当に評価するのは時としてその将に対峙した敵である事は多い。
空母棲姫は自身の部隊を文字通り吹き飛ばしてくれた提督を高く評価している。
そして、生かしておく事は自陣営にとって後に大きな禍根となることを理解していた。
空母「この作戦が成功すればこの辺りの勢力図を書き換える事になるでしょうね。」
その微笑みは氷の様。
空母「さぁ、行くわよ!」
一声勧奨。
空母棲姫の一声に居並ぶ者達は気を引き締める。
そして、空母棲姫自身から漂う気配は戦場へ向かう重々しく禍々しい。
しかしその足取りは逢引へ向かう淑女の如く軽やか。
空が黒く、海が赤く染まるのはもうまもなくである。
55: 2018/03/15(木) 23:29:52.24 ID:JlzpJifn0
次回更新で明石編は終われるかと思っています
明石編以降の話としては1話、女性達による民間軍事会社を題材にしたあれのオマージュ的な話をやりたいなぁと
現在下調べとかをやっています、外国の地名を出す関係でグーグルマップ見ながらあーでもないこーでもないをやっています
資源がそれなりに回復してくると2人目のアイオワを狙うか等と色々考えてしまうのは博打みたいで危険ですね
現在掘りをされている皆様が上手くいくことを祈りつつ今日の更新はこれにて終了です
応援、感想レスいつもありがとうございます、いただける事に感謝しています
次回もお時間よろしければお読みいただけるとありがたく思います
明石編以降の話としては1話、女性達による民間軍事会社を題材にしたあれのオマージュ的な話をやりたいなぁと
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資源がそれなりに回復してくると2人目のアイオワを狙うか等と色々考えてしまうのは博打みたいで危険ですね
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57: 2018/03/16(金) 01:13:39.25 ID:79gILcAA0
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