90: 2018/04/06(金) 00:43:42.13 ID:UVTnURzf0
前シリーズ最初から:外地鎮守府管理番号 88
今シリーズ最初から:続 外地鎮守府管理番号88
前回:第三話 海賊と賞金首:後編
第四話 We Will Lock you 前編
※タイトルのLockがRockでは無いのは意図的にしています。御了承下さい。
91: 2018/04/06(金) 00:44:41.85 ID:UVTnURzf0
時雨「あっ、雪風。今日は休みかい?」
雪風「えぇ。今日はお休みです。」
雪風「時雨さんは?」
時雨「僕もだよ。これから明石さんの所へ注文していた商品を取りに行く所だよ。」
雪風「ご一緒してもいいですか?雪風も注文していた商品があったのを思い出しました。」
そして、明石の工廠兼酒保に着いた時そこには先客が居た。
スパ「だから高いですってぇ。」
明石「そう言われましてもねぇ。あなたの艤装特殊なんですよ。」
スパ「戦艦の艤装として普通でしょ!?」
明石「インチ。」
スパ「うっ。」
明石「だいたい艤装に使う部品くらいメートル法で作ってから文句たれろや。」アァン?
明石「整備に使う工具を揃える手間賃も入ってんだ。大まけにまけてその値段なんだよ。」
雪風「お取り込み中でしたか?」
明石「いえいえお客様。大丈夫ですよ。」
その光景はいつかみた光景。
92: 2018/04/06(金) 00:45:49.21 ID:UVTnURzf0
時雨「艤装の清掃用特殊洗剤が届いているって秋津洲から連絡を貰ったから取りに来たよ。」
明石「あっ、あれですか。タンパク質が綺麗に落ちる魔法の洗剤。」
時雨「うん。艤装の熱でこびり付いたのもあっという間に落ちるから重宝してるよ。」
雪風「雪風はTONEのレンチセットです。」
明石「そういえば時雨さんはエビのセットを先日購入いただきましたけど?」
時雨「使い勝手はいいよ。流石ロブスター製品だ。」
ウォースパイトが居ないかのように接客を続ける明石。
雪風「ウォースパイトさんはどうしたんですか?」
スパ「!」
スパ「聞いてくださいよぉ~。」
半泣きのウォースパイトが語りだす。
曰く修理を頼んだらぼったくりにあったと。
雪風「ぼったくり。」
スパ「見てくださいよこれ!」
明石からの見積書を見せられる二人。
93: 2018/04/06(金) 00:47:55.66 ID:UVTnURzf0
時雨「うーん、これは仕方ない気がするかなぁ。」
雪風「そうですね。これは少し壊しすぎですね。」
スパ「え。」
時雨「戦艦は装甲が厚いから敵からの攻撃をかわすより
装甲で受け止めるって考えになってしまうのが悪いね。」
雪風「長門さんも同じ戦艦ですが避け切れず被弾する時は壊すところを考えていますよ?」
時雨「だね、壊すにしても修理が安くなるところを考えている。」
雪風「見たところ修理箇所は重要機関に近いところばかりですし…、
回避行動の基礎が疎かの様ですね。」
時雨「被弾原因は魚雷が多いみたいだ。」
雪風「それもよくないですね。」
スパ「えっ。」
時雨「戦艦を沈める威力が出せる砲撃は同じ戦艦くらいだけだものね。」
雪風「その通りです。重巡でもラッキーパンチが出ればそれなりにダメージを与えられますが
戦艦を沈めようと思ったら普通は魚雷です。」
雪風「大本営が格好良い艦娘の広報映画を作って
駆逐艦が戦艦を砲撃で沈めたりなんかしているシーンがあったりしますけど馬鹿の極みですよ。」
雪風「現場を知らない。」
時雨「深海棲艦も人型だから人間と同じ弱点をピンポイントで狙えば可能かな?」
時雨「それが出来るとしても最新の兵装を使えるここの娘達くらいだけだろうけど……。」
雪風「戦艦という艦種を沈めようと思うなら空母艦載機による飽和攻撃が一番効果的です。」
雪風「しかるに魚雷を避けきれずに当たっているこの被弾の仕方は地獄の鍋底を覗いているようなもの。」
雪風「あなたは明日にでも氏ぬおつもりですか?」
雪風の質問に首をぶんぶんと振り否定するウォースパイト。
94: 2018/04/06(金) 00:49:33.35 ID:UVTnURzf0
雪風「であればやるべき事は一つです!」ニタァ
時雨「演習あるのみだね。」ニコニコ
雪風「最近はこの辺りの敵も落ち着いてきているので
1週間程は仕事をしなくても大丈夫だと思います。」ウキウキ
時雨「そうだね。暫くはいい訓練日和だね。」ニコニコ
スパ「えぇっ。」
うきうきした気持ちを隠しきれない様子の二人。
雪風「明石さん!」
明石「なんざんしょ?」
雪風「すみませんがウォースパイトさんの修理代金、貸しにしていただけませんか?」
明石「……、めったに無理を言わない雪風さんの頼みとあっちゃ応じない訳にはいきませんね。
よござんす、貸しにしときましょう。」
雪風「すみません。」
明石「いいぇ、これは損して得取れって奴ですよ。
ウォースパイトさんが長生きしていっぱい稼いでくれればうちも将来的に上客が増えるってもんです。」
雪風の要請に快く応える明石。そしてウォースパイトの肩に手を回し耳元で囁く。
明石「ビッグになってくださいよ?」ニタァ
スパ「はぃぃい!」ビシッ
その様子に笑いを堪える時雨に雪風。
この日から雪風と時雨によるウォースパイトへのしご……、もとい訓練が始ったのだった。
87: 2018/04/06(金) 00:39:46.60 ID:UVTnURzf0
おまけ短編ギャグ 傭兵って個人事業主?
88: 2018/04/06(金) 00:41:31.69 ID:UVTnURzf0
不知火「川内さんから確定申告の書類が提出されました。」
提督「もうそんな時期か。」
不知火「川内さんの場合は契約上個人事業主になりますから。」
提督「そうだな。」
不知火「他の個人事業主。傭兵扱いの方の提出書類の確認もお願いします。」
提督「懲役のある連中は海軍の方で面倒見てくれるが自由契約だと確認が入るのが面倒だな。」
不知火「国税局が査察に来ることがあるのでしょうか?」
提督「………、不知火。あいつらを舐めない方がいいぞ。」
不知火 ぬい!?
提督「居酒屋の所得隠しを見つける為にゴミを漁って
使用された割り箸の本数や納品されたおしぼりの数を確認したり。」
提督「一ヶ月以上張込みをして店舗の来店客数を調べたり。」
提督「コミケの壁サークルに貼り付いて来訪者はもちろん売り上げた冊数のカウント。」
提督「印刷所での発行部数、書店委託同人誌の売り上げからのサークル売り上げ予測。」
提督「そして自宅やレンタル倉庫等へ捜査に入り在庫の誤魔化しを見破る。」
提督「あの手、この手で税金を取ろうと脱税を見逃さない。」
不知火「恐ろしい人達なんですね。」
89: 2018/04/06(金) 00:43:05.59 ID:UVTnURzf0
提督「まぁ、ここの場合、ほとんどが経費で落せるから川内には俺が色々指南しているがな。」
提督「後、調査に来ようとする連中の乗る船には
護衛が出せませんと丁重にお伝えしているから、来る間に殉職する嵌めになる。」
提督「軍事施設に税金取立てというのが平和ボケした日本らしくもあるがね。」
提督「戦闘を艦娘に押し付けて自分らは平和を謳歌するというのは馬鹿げているとは思わないか?」
不知火「……。不知火の立場では返答致しかねます。」
提督「ん。にしてもあいつはもう少し上手くやれといわないとだな。」
不知火「おかしな点が?」
提督「これだよ。」
提督が指差す項目を見つめる不知火。
不知火「成る程。」
提督「これは艤装の一部になるから減価償却の方に廻せる。」
不知火「こちらは使い切り扱い出来ますので消耗品で経費に廻せますね。」
提督「あいつ向けに簿記の本でも買ってやるか…。」
不知火「経費で落しておきましょうか?鎮守府内図書館の貸し出し用とすれば可能かと。」
提督「頼む。」
外地鎮守府管理番号88。
傭兵だって個人事業主。
魚雷の一発、砲弾の一発で失う安い命。
地獄の沙汰もなんとやら、明日の命の遣り取りに、使うお金はTax Free
第五話 We Will Lock you:中編
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