194: 2018/05/12(土) 00:33:50.93 ID:s6Hdwak90


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前回:第七話 嘘つき兎と泣き虫駆逐艦:前編

第八話 嘘つき兎と泣き虫駆逐艦 中編

195: 2018/05/12(土) 00:37:56.59 ID:s6Hdwak90


ブ ――――――――――― ン  ブロロロロ


提督「秋津洲、港から倉庫に行くところか?」フカー



キッ!



秋津洲「そうだよ!倉庫に行ったらそのまま納品書を執務室の不知火に届けに行くかも。」

提督「そうか。ついでに俺も執務室に納品してくれ。」ヨッコイショ



秋津洲が運転するターレットに繋がれた荷車の上に腰掛ける提督。



提督「一服しに港まで歩いてきたが本館建屋に歩いて帰るのがめんどうくさくなてなぁ。」

秋津洲「煙草は駄目だよ!」



胸元をごそごそとしていた提督を一瞥し先手を打つ秋津洲。



提督「今日入った荷物か。」ヤレヤレ、キンエンカ

秋津洲「うん!明石さんがゴニョゴニョした艤装かも。」



ゴニョゴニョとは出所不明の試験艤装のちょろまかし。

日本から技術供与を受けた国も最近、艤装の開発に成功し実戦配備が進んでいる。

そんな中、実戦配備前の試験用である為に量産性を無視し、

スペックを追い求めた艤装なんかも当然存在する。

所謂、Xナンバーが割り振られる艤装である。

そして試験、実験用艤装は役目を終えれば機密保持の為に厳重な管理の下処分される。

話は変わるが、提督の鎮守府は稼動を始めて今の所、葬式が出ない日は無い状態である。

提督曰く後1年もすれば実力の有る奴、無い奴が篩い分けられるだろうとの事だが。

そして、氏んでしまった娘の艤装は可能な限り回収される事となっている。

なにせ五星紅旗を掲げた船が海上警備といいつつ大破艦娘の強奪や

深海棲艦の氏体漁りを行っていたりする現状が有る以上

戦後を考えれば機密情報が漏れるのは少ない方がいいのだ。

そして資源が少ない我が国では素晴らしき、

もったいないの精神もあり再使用可能な艤装は整備、修理の上で次の艦娘へ提供されるのである。

後はお分かりだろう、この回収した艤装の登録番号と試験艤装の番号を

チョイチョイと入れ替えてあら不思議、艦名と、がわは同じだけれど

スペックがおかしな日本艦娘艤装が一丁あがりという訳なのだ。

もっとも最近は艤装の提供元も心得たもので

一般的な鎮守府の稼働率ではないここの稼働率に目をつけ

耐久試験代わりに明石に『 スクラップ 』で処理したとして艤装を提供していたりもする。

見返りは深海棲艦へ使った実戦データーである。

非合法取引なのに信用第一というおかしな信頼関係もあったりするのでお笑いだ。
海の画集 -「艦これ」公式イラスト集-
196: 2018/05/12(土) 00:41:12.57 ID:s6Hdwak90

提督「まぁ、あんまりおかしな物にしなけりゃ何も言わんがね。」

秋津洲「三個一、四個一が珍しくないから今更かも?」

提督「だな。まぁ、リサイクルは大事って事だな。」



艤装のリサイクルは時として部品取りなどして

幾つかを一つにした物を新造艤装として申請する事もあった。

その時は基となった艤装以外の登録番号を抹消する事になる。

だから、がわの再利用などで新造番号の登録を行う提督は明石達のやっている事を知っているのである。

明石商会用に割り当てられた倉庫の一棟の中までターレットを運転し

棚前で荷車から荷物を降ろし納める秋津洲。



秋津洲「提督。それとってかも!」

提督「ん。これか?」



荷車に腰掛けたままの提督をまるで自分の小間使いの如く使う秋津洲。

暫くの間手伝い「んあぁー」と倉庫外で親爺臭く腰を伸ばす提督は気付いた。



197: 2018/05/12(土) 00:42:19.89 ID:s6Hdwak90

提督「雪風。お前、また泣いてるのか?」



倉庫と倉庫の間の隙間で身を縮めて声を押し頃して泣いている雪風に。



提督「雪風。」

雪風「あっ……。」グス

提督「また一緒に出撃した娘が沈んでしまったか?」



哨戒だけさせていた本当に初期の頃と違い今は艦隊を組んで出撃している雪風。

荒くれ、逸れ者ばかりで挑めば当然の如く沈む者も多く

提督は把握しているものの今まで雪風に直接尋ねる事はなかった。

雪風がどんな反応をするかを知っていたから。

提督として職務を続けていれば艦娘として志願した者の遺族へ会う事も有る。

そういう場面で述べる言葉というのは当然、士官として知っている。

だが、仲間が氏んだと肩を震わせて声を押し頃して無く幼子にかける言葉は何であるべきか。



提督(数をこなしていても慣れるものではないな。)フゥ

卯月「あっ!雪風こんな所にいた!ご飯食べるよ!」

提督「おう。」



提督がなんと言葉をかけたものかと考えていたら卯月がやってきてそのまま引き摺っていった。

198: 2018/05/12(土) 00:43:12.93 ID:s6Hdwak90

卯月「艦娘も生まれてくればいつかは氏ぬ、

   それが早いか遅いかだけぴょん。」

卯月「どうすれば仲間が氏なないかなんて馬鹿の考え休むになんとかぴょん!」

卯月「ほら!今日は新メンバーが来る日ぴょん!」



ずるずるという擬音がぴったりな状況で雪風は連れ去られていった。



提督「ああいった強引な奴がいれば雪風も笑っていけるのかもなぁ。」



そんな益体のない事を見送りながらぼんやりと提督は考えていた。



秋津洲「提督、もう少し手伝って欲しいかも!」

提督「お前なぁ……。まぁ、いいか。」

秋津洲「手伝ってくれたら御礼に後ですっごい物あげるかも?」

提督「ほう。まぁ、期待しないが頑張ろうか。」


199: 2018/05/12(土) 00:44:17.81 ID:s6Hdwak90

執務室



卯月「司令官。おつかれぇぃ↑」



ハイテンションな卯月がドアを蹴破る勢いで入ってくる。



提督「………。」

卯月「カップ麺?」

提督「おう。秋津洲の手伝いをしたら1箱くれてな。珍しいだろ?」

提督「10分うどんとやらが美味いらしい。」

卯月「食堂で食べないの?」

提督「募集をかけちゃいるんだがなぁ、

   今の時間を受け持ってくれる調理士が来ないんだ。」

卯月「ふぅん。じゃぁ私が簡単なのつくってあげるよ。」

提督「料理できんのか?」

卯月「基本艦娘は出来て当たり前よ?まぁ、中にはあれなのもいるけどね。」



話をしながら執務室横の給湯室扉を開けたまま、室内にある台所で冷蔵庫内のあり物で料理を始める卯月。

200: 2018/05/12(土) 00:45:32.23 ID:s6Hdwak90


卯月「料理がプロ級の比叡も居れば磯風だって居るし。

   うーちゃんが前いた所の比叡はお金取れるレベルだった。」

提督「ほう。」

卯月「ジョエル・ロブションの店で働いていたとか嘯いてたけど。まぁ、料理は美味かったよ。」

卯月「私も戦後を考えて料理を基礎から教わったから

   戦後は稼いだ金で店でもやりたいねって思ってる。」

提督「やめとけやめとけ、食い物屋の8割は1年持たずに潰れるのが関の山だ。」

卯月「じゃぁ、適当な男でも捕まえて永久就職するかぁ。」

提督「捕まるといいな。」

不知火「はい、不知火もそう思います。」ズズー

不知火「このうどんは少々伸びてしまっている気もしますが。」ジロリ



この獲物は私のだと卯月を睨む鋭い眼光に提督は気付いていない。



卯月「……、でっできました。」



その殺気籠もった視線に震えつつ軽食を差し出す卯月。



不知火 ぐぬぬ! モグモグ

提督「うん、美味いな。卯月はいい嫁になれるぞ。……、と忘れていたな。」モグモグ

提督「何用があって来たんだ?」



提督の言葉に目的を思い出した顔をする卯月。


201: 2018/05/12(土) 00:46:49.75 ID:s6Hdwak90

卯月「そうだった、この空母をメンバーに入れたいの!」

提督「雲龍。」



だんと執務机の上に叩きつけられたのはドラフト指名用紙。



不知火「先日相談いただいた際にお見せした資料ですね。」

提督「……、雲龍か。」



現在の卯月のチームメイトのバランスで言えば間違いなく必須の空母勢。



提督「卯月。」

卯月「ぴょん。」キラリーン☆

提督(可愛く取り繕う必要はないんだがな。)

提督「面倒みてやってくれ。」

提督(にしても、実に濃い面子があつまったチームになったな。)

提督(うちに集まってきた連中の生き残りで癖のある奴らばかりを集めてやがる。)

提督「面白い。新旧ごちゃ混ぜ。そこに最新鋭空母か。なぁ、不知火。面白そうだな。」

不知火「雪風が泣く事が減るなら不知火は何でもいいです。」

提督「お姉ちゃんしているんだな。」

不知火 ぬい! フンス

202: 2018/05/12(土) 00:47:37.16 ID:s6Hdwak90

その後、チームが結成してから暫く。

彼女達は民間からの仕事を請け多額の報酬を得ていた。



卯月「金剛ネキは砲撃準備!」

卯月「雲龍はタンカーの艦橋を攻撃準備!停船しなかったら爆撃!」

卯月「天さんは護衛艦娘に停船勧告及び退避勧告を複数チャンネルかつ平文で!」

卯月「後で聞いていないなんていわれないようにね!」

卯月「加古ちゃん!」(無線)

加古「あいあいよー、雪風とお客様をエスコートしてるよー。」(無線)

卯月「やるぴょん!」



ザッザリザリザリ

卯月が拡声器をもってタンカーへ向けて停船勧告を行う。

203: 2018/05/12(土) 00:49:14.19 ID:s6Hdwak90


「あっ、あぁー……。こちら○×カンパニーの債務取立てを頼まれた

 88鎮守府所属卯月ぴょーん。」

「○○国保有××資源公社への○×カンパニーの投資資産を

 ○○国政府が行った強権的国有化に対し国際刑事裁判所が

 ○×カンパニーへ対抗措置を認めた為、貴船を差し押さえするぴょん。」

「停船しない場合は軍事行動が認められているぴょん!

 なお!捕虜の取り扱いについては投降した場合において

 ジュネーブ条約における捕虜、民間人の取り扱いに基づき丁重に取り扱うぴょん!」

天龍「卯月、ありゃ停まるかね?」



タンカーは停まる素振りを見せず寧ろ海賊と判断したか増速する選択をしたのか煙突からは黒煙が上がり出す。



卯月「ネキ!ブリッジの端をやっちゃって!」

金剛「Yes!氏ねやぁ!」



戦艦の砲撃が見事に決まり轟音と共に艦橋の端が吹き飛び脅しではないと判断したタンカーは停船した。



卯月「まぁ、航行に支障はないでしょ。」



そして、数十分の後、プレジャーボートより少し大きめのボートが雪風と加古の護衛つきで近づいてくる。

204: 2018/05/12(土) 00:51:13.07 ID:s6Hdwak90


「いやぁ、お嬢さん達すごいねぇ。おじさん感心しちゃったよ。」

卯月「あんたが○×カンパニーの代理人?」

「と、これは失礼。私、蔵王の柳と申します。」コレメイシ



眼鏡をかけたいかにもジャパニーズビジネスマンと言った風体の男が畏まった様子で名刺を指しだす。



卯月「へぇ、超大手の総合商社じゃん。いつから町金の真似事を?」

柳「いやね。差し押さえた石油製品。まぁ、ナフサなんだけどね。」

柳「差し押さえの実行部隊に後の護衛も

  うちが手配するから割引価格で一部債務譲渡して貰ったんだよ。」

卯月「日本の総合商社は利益が出るなら悪魔とでも商売しそうだね。」

柳「おたくの明石さんと私が個人的に知り合いじゃなかったらうちも買わないよ。」

柳「もう少ししたらうちが手配したボースン達が来るからもう少し待って貰える?」

柳「後、出来れば次の目的地まで護衛をお願いしたいかなぁと。」ニコニコ

卯月「うーちゃん達の仕事はここまで。後は追加料金。」

柳「5000ドル。」

卯月「一人に付き2万。」



その後、暫しの間、価格交渉が熱く行われ。



卯月「12500。これ以上はビタ一文もまけないぴょん。」



降参と相手が両手を挙げて見せた事で交渉終了。



卯月「お宅はいい取引をしたぴょんよ?」

柳「そうありたいね。」


205: 2018/05/12(土) 00:52:25.84 ID:s6Hdwak90

鎮守府埠頭



卯月「今日も儲けた!」

金剛「卯月が商売上手なおかげで儲かるネー。」

天龍「このまま行けば来月には俺はここを卒業出来るぜ。」

卯月「またチームメイト集めはだるいから天さん契約延長してよぉ。」

天龍「金は十分稼いだからな。お断りするぜ。」

卯月「また軽巡探しかぁ。」

金剛「私も順調に稼げてるネー。でも、もう暫くは世話になるヨー!」

卯月「ネキ。愛してる。」



護衛を終えた一同は夜も遅くに帰ってくる。

そして、そんな一同を待ちわびたかのように提督は港で待っていた。



提督「全員お疲れ。

   お前さん達が現地で請け負った護衛の報酬払い込み確認の紙を持って待っていたぞ。」

雲龍「ありがとうございます。」

雪風「しれぇ!ありがとうございます!」

提督「礼にはおよばんよ。出番が欲しいだけさ。」ユキカゼノアタマナデナデ

提督「後な、今月のチーム別戦果ランキング1位の報酬だ。

   休暇3日もしくは1000。好きなのを選べ。」



そう言い残し提督は各書類を卯月に渡し去っていった。

207: 2018/05/12(土) 00:54:00.04 ID:s6Hdwak90

卯月「ここはなんだかんだで艦娘が優遇されているよね。」



去り往く提督の後姿を見送りなんとなく出た感想。



雪風「しれぇは艦娘をぞんざいに扱って後ろ弾くらう愚を冒すより

   気持ちよく働いてもらって戦果をあげた方が賢いって

   以前お話をした際に雪風に語ってくれました!」

金剛「確かにその方が賢いネー。ここの提督は信賞必罰がしっかりしてるヨ。」

加古「あぁ、賢い。あたしが前に居たところなんか働いても働かなくても最低保障があったもん。

   それならだらだらしていた方がずっといいってなる。」

加古「でもここは戦果稼がないと即あの世だからね。

   まぁ、あたしは志願で好んで来た口だから稼げるここの仕組みは大好きだね。」

天龍「俺なんかやる気はあっても旧型で非力だからってことで前線に出してもらえなかったからな。」

天龍「自分で戦場を選べて尚且つがっつり稼げる。前の糞鎮守府から比べれば天国だ。」

天龍「んでもって現場での裁量がでかいから

   今日みたいに追加の仕事もその場の自己判断でいけるからありがてぇ。」

加古「確かにねー。普通だったら鎮守府に連絡して許可貰ってーって感じで時間掛かるよねー。」

加古「ただ、本当に実力がないと生き残れないけどね。」

金剛「確かにその通りデース。指示を貰う事に慣れているとここでは生き残れないネ。」

金剛「雪風は提督との付き合いがここに来る前からあったと聞きましたが

   此処に来る前はどんな提督だったデス?」

208: 2018/05/12(土) 00:56:30.47 ID:s6Hdwak90

雪風「負けもありましたが大きな負けはなかったです!」

卯月「………。」

金剛「………。」

天龍「まぁ、常に勝ち続ける提督なんていねぇわな。」

加古「どうせ、なんかやらかして左遷くらったんだろうと思っていたけど

   負けがあるんなら意外と並の提督なのかもね。」



雪風の言った言葉の意味を金剛と卯月は正しく理解。



金剛(被害を最小限に抑える、被害を数字で考えられる提督デスか。)

金剛(優秀ゆえに上に煙たがられたタイプですネー。)

金剛(更にいえば、ここに左遷される原因となったのも

   大きな負けをした訳では無いというのが別の原因がある事を物語ってるデース。)

卯月(数字の先にある命を敢えて無視出来るタイプかぁ。怖いタイプだね。)

卯月(戦略参謀でもやっていたのかな。触らぬ神になんとやらだねぇ。)

卯月「それじゃぁ今日は解散で!明日もよろしくぴょーん。」

雲龍「あの、こんなにお金いただいてもいいのでしょうか?」

209: 2018/05/12(土) 00:58:19.55 ID:s6Hdwak90

ようやっと声を上げたのは先程まで提督から渡された振込み通知書に書いてある金額に目を回していた雲龍。



卯月「おぅ。何事かと思ったぴょんよ?」

金剛「雲龍は志願だったネー。」

雲龍「あっ、はい。弟妹達を食べさせるために志願したのですが

   お金がとても足りなかったのでより稼げると聞いてこちらへ来ました。」



ずびしっとでも音が聞こえてきそうな勢いで手をあげ此処へきた理由を述べる雲龍。



金剛「弟妹達の生活費稼ぎ。大変ネー。」オウ

雲龍「はい、ですが稼ぎ頭のチームにお誘いいただきありがとうございます、です!」



ぐぅ~。



卯月 ブホッ

加古 ブハハ

雪風 クスクス

雲龍「あっ。」



照れて赤面する雲龍。



卯月「あっ、あぁー、うん。ごめん、なんか意味不明の笑いが。」フフフッ

天龍「酷い。」フフフフ

卯月「食堂は只なんだからしっかり食べないと。」

加古「でも時間が夜8時までなんだよね。

   夜間作戦の時が閉まってて自販機しか使えないのが辛い。」

天龍「あー、それな。しかも週に1回全休の日があるのがなぁ。味はいいのに。」

金剛「Oh、今日は全休だったネー。調理士増やして欲しいデース。」

雪風「お腹が空いたです……。」



そして、全員の視線が卯月に注がれる。

210: 2018/05/12(土) 01:00:01.75 ID:s6Hdwak90

卯月「仕方ない。うーちゃんが飯を作ってあげるぴょんよ?」

卯月「ヌーベルキュイジーヌ、特と味わえぴょい。」

金剛「卯月はキャラがぶれぶれネー。」

加古「まっ、余所の卯月と根本から違うよね。」

卯月「ここは演技しなくて素でいれるいい所だと思うよ。

   後、料理はフレンチ以外もいけるから好きなの注文してね。」

卯月「無理なのは作らないだけだから。」

金剛「oh、せめて無理の一言は欲しいデース……。」

天龍「あー、これは作れない料理とか頼むと

   最後まで出てこなくて空きっ腹抱えないといけなくなる奴だ。」

雪風「そういえば卯月さんは煙草辞められたのですか?」

卯月「もともと極々たまーになんとなく吸ってただけだしね。」

卯月「それにいつまでたっても美味しく感じられないし。」

卯月「司令官はあんな糞まずい草の塊を好んで吸ってるけどね。」



そこで何か思い出したように言葉を切る。



卯月「いつぞや貸した携帯灰皿はあげるって司令官に伝えておいてよ。」

雪風「はい!雪風了解しました!」

雲龍「お料理、楽しみです。」



こうして料理上手のリーダーがいる『 チーム兎さん 』はより結束を強めるべく食堂へ向け抜錨したのだった。

211: 2018/05/12(土) 01:01:45.48 ID:s6Hdwak90

執務室

提督「………そろそろか?」

不知火「申訳ありません。」

コトッ

提督「カップ麺。」

不知火「申し訳ありません。」



席を立ち給湯室の台所を覗こうとすると全力で阻止されそうになるが。



提督「んっ………。」



フライパンの上には卵焼きを作ろうとしたのか失敗したなにか。



提督「そぼろにして刻み海苔を作って、そうだな。挽肉があっただろ。」

提督「三色丼でも作るか。」

不知火「!」

提督「不知火が手伝ってくれたからな。きっと美味いだろうさ。」

不知火 ぬい!

提督(部下の笑顔はPriceless か……、買えるものなら千金積んでも惜しくはないな。)



うきうきと提督の手料理を、箸を握りながら待つ不知火の姿をみてそんな益体のない事を提督は考える。

明日をも知れぬ命なら今を楽しむ事が大事だとある古参の艦娘は言った。

それぞれが食事への思いを馳せながら激戦区の夜は更けてゆく。

212: 2018/05/12(土) 01:09:39.55 ID:s6Hdwak90
以上で本日の更新終了でございます
蔵王の柳に気付かれるとは恐るべし、割とマイナー作だと思ってたのですが
関係ないですが応援させていただいていた方の艦これ2次が無事に新スレたってて一安心の今日この頃です
更新の間がかなり空くかただったので立ってくれぇと念じていたのは内緒
イチャコラ成分の少ない物は書き手が少ないと思うのですが皆様はどう思われますでしょうか
ビバップとかブラックラグーンみたいなのを書く、書こうとしてエタるのはたまに見るのですが
需要はあれど供給が少ないのがなぁ……と思ってしまいます(自分でやれと言われそうなのがまたなんとも)
いつも感想、乙のレスいただきありがとうございます
SS速報自体が過疎なんて事もたまに聞きますがこれからも可能な限りは更新を続けてまいりますので
今後とも宜しくお願いいたします

第九話 嘘つき兎と泣き虫駆逐艦:後編

引用: 【艦これ】 続 外地鎮守府管理番号88