246: 2018/06/02(土) 00:09:37.22 ID:PHQWvqIW0
247: 2018/06/02(土) 00:10:16.11 ID:PHQWvqIW0
彼女は誰にも理解をして貰えず。
彼女は誰にも助けて貰えなかった。
それでも彼女は戦い続けた。
傷つき。
油も、弾もつき、その最期の時が来るまで。
いつか自分を理解してくれる。
仲間が現れるその時を夢見て。
248: 2018/06/02(土) 00:11:24.97 ID:PHQWvqIW0
88鎮守府 食堂
雪風「しれぇ、胡椒をとっていただいていいですか?」
提督「ん。これか?」
雪風「ありがとうございます!」
提督「雪風はよく食べるな。」
雪風「体が資本ですから!」
提督「そうか。すまんがこれも食べて貰えるか。俺には量が多くてな。」
雪風「餃子が10個。まったく箸をつけられていないようですが。」
提督「流石に食べさしを食ってくれと言って差し出すほどあれじゃない。」
雪風「雪風は食べさしでもかまいませんが。しれぇは食が細くないですか?」
提督「俺は事務屋だからな、それほど腹がへらないのさ。」
雪風「ではいただきます。」
提督が雪風と一緒のテーブルを離れた所にウォースパイトが食事を載せたトレー片手に現れる。
249: 2018/06/02(土) 00:12:05.53 ID:PHQWvqIW0
スパ「雪姉さん、一緒いいですか?」
雪風「どうぞどうぞ。」
スパ「今いたのはAdmiral?」
雪風「しれぇですね。」
スパ「先日もでしたけど士官も私達と一緒の食堂で食べるんですね。」
雪風「しれぇは一人で食事をするのは好きじゃないという事でここを利用されています。」
雪風「それに一人だけ特別メニュー等を食べるのも嫌われる方ですから。」
スパ「軍隊で士官が兵卒と同じ所で同じ食事を取るって珍しい。」
雪風「それも含めてここですよ。」
雪風「個性的な食事を食べたいのでしたら明石さんの所に行くといいですよ。」
250: 2018/06/02(土) 00:13:31.97 ID:PHQWvqIW0
明石の工廠
秋津洲「明石さん、最近お肉ばっかりでバランス悪いかも。」
明石「お肉は大事ですよ!?いいですか?
お肉はタンパク質です。体を作るのに欠かせない栄養源ですよ?」
明石「米軍の特売を買ったら肉しか入ってなかったんですよ。我慢してください。」
秋津洲「提督にお願いして果物貰ってこようかなぁ……。毎食ステーキは辛いなぁ。」ベソベソ
明石「あんまり提督に迷惑かけちゃだめですよ。
私達の経歴を誤魔化すのにも色々骨折って貰ったんですから。」
明石「私の元旦那が提督の恩師だった縁もあってここにおいて貰っているのですから。」
秋津洲「そうだったかも。でも、果物は欲しいかも。」
提督「だろうと思って持ってきたぞ。野菜と果物だ。」
明石「あっ、提督。」
提督「すまんな。南太平洋の悲劇の生き証人は
全員最前線の弾除けに配置換えされていたからな。」
提督「海軍の大失態で証人が生きていちゃまずい訳だ。氏んだ奴だけがいい奴だってな。」
提督「可能な限り師匠の部下だった連中は退役させて伝手を頼って逃げさせたが…。」
秋津洲「他の鎮守府の娘達は水底に還っていったかも。」
251: 2018/06/02(土) 00:14:58.19 ID:PHQWvqIW0
明石「私らは一番の危険人物ですからね。」
明石「何が起きて何が原因で負けたか。
うちの旦那が懇切丁寧に私達に解説して逝きましたからね。」
提督「師匠の手紙を持って来た時に何が起きたかは悟ったがな。」
提督「流石の師匠だよ。
氏んだ後の事まで見越して大まかな敵の動きを予測して対処のやり方を細かく指示。」
提督「手紙の末尾にお前なら適当にやっても勝てるだろ、だからな。」
明石「あの人らしい。」
提督「あげくに艤装管理の穴をついて氏者を生者に生者を氏者にする手品を教えたりと。」
明石「昔から壁の上を歩いて落ちなければセーフと言っていましたから。」
提督「道徳、倫理観は横においておくとして、
取り締まる法律が無ければ法律違反ではないという奴だな。」
明石「ここに送られてきた中で何人かそれで外に出していますよね。」
提督 ………。
提督「なぁ、明石。お前は最近の敵の動きどうみる?」
明石「どう、ですか……。」
明石「海軍の上の方に敵に通じている奴が居ませんか?」
提督「やはりそういう感想になるか。」
明石「それか、敵に知恵の回る参謀職の個体が複数生まれたか。」
明石「敵の作戦行動の質が上がってきている雰囲気はありますね。」
明石「よく言う『 他人の嫌がる事は率先してやりましょう 』を理解して動いています。」
提督「こっちは提督になる連中の質の低下は激しいってのに……。」ヤレヤレ
明石「珍しいですね提督がぼやきをいれるなんて。」
提督「いれたくもなるさ。海軍参謀……、
軍令部の不始末を現場が必氏こいて尻拭いしてるんだからな。」
252: 2018/06/02(土) 00:16:45.07 ID:PHQWvqIW0
提督「艦娘にしても初期から居る
『 二つ名持ち(ネームド) 』の殆どが水底だからな。」
提督「精鋭が簡単に氏んでいく戦場なんざ悪夢以外の何物でもない。」
秋津洲「そもそもネームド制度が時代の徒花かも。」
提督「まぁな。今は無くなってしまったが
ネームドとして二つ名を登録する事が
艦娘の目標みたいな時期はあったくらいだがな。」
提督「大量の個人戦果と幾つかの叙勲、
そして所属鎮守府の提督からの推薦で登録なんていう
華々しい経歴持ちでもないと申請が出来なかった制度だ。」
提督「その実、ネームドなんて危険な前線に回されて使い潰されるのが関の山で
給料が増える訳でもなければおまけとして個別認識マークが許されたくらい。」
提督「艦娘側にまったくメリットのない制度だったな。」
提督「更に言えば一緒に出撃した他の娘から戦果を期待され無駄なプレッシャーに押し潰される者もいたらしい。」
明石「まぁ、国威発揚目的で導入した制度ですからね。
聞こえは良いけどその実は地獄行き特急のグリーン席に座れます程度の実しかなかった糞制度。」
明石「秋津洲さんが登録した年が最後でしたっけ?」
秋津洲「かも!前の提督さんが付けてくれたかも!」
253: 2018/06/02(土) 00:18:29.28 ID:PHQWvqIW0
提督「師匠はそういうの好きだったからなぁ。
部下の功績をきちんと評価してどうおだててれば
気持ちよく働いてくれるかを知っている方だったよ。」
提督「時代が英雄とか英傑ってもんを必要としていたのさ……。」
明石「時代ですかね。」
秋津洲「ネームド制度が終了した事を差し引いてもここは結構異常かも。」
提督「まぁな。ネームドとして登録しているのが秋津洲いれて4人。」
提督「更に言えば4名全員公式での複数名持ちだからな、
頭の螺子が捻じ切れているとかでもない限り
複数名が付けられるなんて事はめったにない。」
提督「艦娘同士の渾名での二つ名ではなく公式での二つ名持ちは今や絶滅危惧種だ。」
秋津洲「もっと褒めていいかもよ!?」ドヤァ
提督「たればこそ、上の胡乱げな動きへの備えになるのさ。」
提督「ある訳が無いという事が無い訳が無いという事だ。」
秋津洲「禅問答かも?」
提督「全ての可能性を捨てるなという事だ。」
提督「いつだって最悪の結果というのはそこにある。
俺がその結果を踏まないのは運がいいだけさ。」
254: 2018/06/02(土) 00:19:32.70 ID:PHQWvqIW0
明石「それはそうと頼まれていたのを提督が来てくれたのでついでで渡しておきますね。」
明石「知り合いから引っ張ってきたロイズの戦争保険のアンダーライターの名簿です。」
バサリ
明石「きな臭い匂いだらけですよ。でも、どうしてこれが必要に?」
提督「今更だがウォースパイトがここに来た話がちょいと引っかかったんでな。」
提督「吹き飛ばした島がな。」
明石「金融のエアポケット。租税回避地で名高いバージン諸島の島でしたっけ?」
提督「後、付け足すならマネーロンダリングに会社の登記誤魔化しの温床でもある。」
提督「そんでイギリス領でありながらドルが公的通貨として採用されている。」
提督「なんでな、ユダ公に恨みでもあったかと思ったんだがな。」
提督「金融関係者かと思ってウォースパイトの出自を調べたんだが。」
提督「どうにも出自が上位過ぎるんだ。それも、アホみたいにな。」
255: 2018/06/02(土) 00:21:36.27 ID:PHQWvqIW0
明石「どの位上の方だったんですか?」
提督「スチュアート家の血を引いた嫡出子、更に言えば直系だ。」
明石「まじもんのやべぇ奴じゃないですか………。」
提督「案外国内で命を狙われていて亡命目的のカモフラージュかもしれんぞ。」
明石「そんなので地獄の一丁目に送り込みますかね?」
提督「憶測だ。冗談とでも思ってくれ。」
提督「でだ、まぁ、本題なんだが。取り寄せた理由についてだが。」
明石「はい。」
提督「深海棲艦が出てから船舶、海上保険なんてもんは機能しなくなっただろ?」
明石「ですね。船を出した端から撃沈じゃぁ、保険そのものが引き受けできませんからね。」
提督「だが、物流において船程一度に大量に運べるものはないから
艦娘システムが出来てからこの方、色々な国、
企業といった団体が艦娘による船の護衛に飛びついた。」
提督「日本政府にしても艦娘制度の維持には莫大な金が掛かるからな。」
明石「日本単独ですと国家予算における割合が半端ないですからね。」
提督「そうだ、金融屋ってのはどんな物でも金に出来る頭があるから金融屋なんだ。」
提督「昔のサブプライムローン問題も本来は借金出来ない連中がした借金を
優良顧客の借金と合わせて証券化して一見まともな債権金融商品に見せかけた。」
提督「優良顧客の債権はだいたいが格付けとして上位だったから
抱き合わせの債権も当然のように格付けが良かった。」
明石「で、みんな買っていざ借金が返せない人達が続発してくると
債権の価値は一気に下がって紙くずへ、でしたっけ。」
秋津洲「始めに売り逃げた人だけが得したかも。」
提督「そういう事。話を戻すと保険も金融債権の一種な訳でな。」
256: 2018/06/02(土) 00:23:30.95 ID:PHQWvqIW0
明石「話が見えてきましたよ。
艦娘が護衛する航路を決める権限のある連中が
保険証券で金儲けをしているという事ですか。」
提督「どこを受け持つか、そして、どの艦種の艦娘が護衛に付くかで保険料率は大きく変わる。
保険を受ける時の掛け金が大幅にだ。」
提督「ロイズのアンダーライターにそれを決める位置に居る奴がいたりすると……。」
明石「勝ち馬が分かった競馬ですね。
しかも気に入らない相手には駄馬に糞騎手をあてがう事が出来る。」
提督「その通りだ。ロイズはあくまで保険の取引の場を提供しているだけに過ぎないから
そこを通過する保険の内容については引受人であるアンダーライターと
保険の加入者の問題でしかないからな。」
提督「だからウォースパイトを利用してその辺りを強化しようとしたらそのあてが外れ、
儲けの仕組みを知ったウーォスパイトがここに逃げて来たのかなと思ったんだよ。」
明石「もしくは護衛を自由に引き受けるここを利用している同業への探り目的のスパイですか?」
提督「何が信用できて何が信用できないかなんてのは分からんからな。」
提督「探照灯が明るかろうが人生の先の闇は見通せんからな。」
明石「分かる頃には氏人がどれだけ出る事やら。」
秋津洲「命のバーゲンセールかも……。」
明石「にしてもユダ公って。昔からシティもウォールも雲の上はそうですけど。」フフ
提督「皮肉が効いてんだろ。裏切り者だけにな。まぁ、気にするな。」
257: 2018/06/02(土) 00:24:55.64 ID:PHQWvqIW0
秋津洲「これも万が一の備えかも?」
提督「外れていてくれるとありがたいんだがなぁ。」
提督「それにぱっと見ただけで分かるような事するほど敵さんも馬鹿じゃないとは思うがね。」
提督「保険だよ。」
明石「保険屋相手に保険ですか。気の利いた冗談ですね。」
提督「見えてるだけじゃないからな。
金融屋ってのは戦争を飯の種にする連中の中で一番性質が悪い。」
明石「お金の出し手は一番強いですからね。」
提督「実弾の前に跪かない人間は珍しいからな。」
秋津洲「時雨ちゃんの件に繋がっているかも?」
提督「お前は時にするどいな。」
提督「だが、分からんとしか言いようが無い。
実際、上の連中はどっかで繋がりはあるだろうし、
繋がりの無い奴を探す方が難しいだろうよ。」
提督「用心に越した事は無いがな。
連中の手は長い、絡め手は意外とそこら辺りにまで伸びてるかもしれんぞ?」ニヤリ
明石「実際分からないってのは薄ら寒いものがありますね。」
提督「見えているものにしか対処出来ないからな。」
提督「やらざるを得ない状態にされるってのは好きじゃない。」
提督「だが、そうせざるを得ないのが今の状況だ。」
提督「実際、この戦争の落し所を探る動きが上層部にある感じがする。」
提督「ただ、平和にしても勝ち取って得た平和と与えられた平和の2種類があるからな。」
提督「どっちを望んでいるのかが分からん。」
258: 2018/06/02(土) 00:25:59.59 ID:PHQWvqIW0
秋津洲「2種類の平和?」
提督「難しかったな。忘れてくれ。俺の立場で口にしていいものじゃない。」
明石「国の先行きを考えるとどちらが正解かって所ですね。」
提督「誇りで飯は食えんが誇りがないと国は保てん。」
提督「……と、飯時の茶のみ話にしちゃぁ、ちょいと内容が重かったな。」
明石「いいですよ。不知火さん相手じゃ出来ない話もあるでしょ。」
明石「私も心得ていますよ。」
提督「すまんな。また何かあったら頼む。」
明石「お話1時間1万円なら。」
提督「キャバクラ並だなとも思ったが……、器量じゃキャバクラが負けるか。」
秋津洲 エヘヘ
提督「じゃぁ、まぁ、その時は頼むよ。」
秋津洲「お待ちしているかも!」
提督を見送る二人。
明石「本当に支払う気ですかね?」
秋津洲「お金とるようだと私、明石さんの事を本当に見下げ果てた奴だと思うかも。」
明石「挨拶みたいなもんですよ。」
明石「もうかりまっか?ぼちぼちでんな。みたいなね。」
秋津洲「かも。」
明石「元旦那より先に提督に会ってたらと思うときはありますけどねー。」
秋津洲「提督の想い人には勝てないかも。」
明石「流石に相手がこの世にいないんじゃ勝負が成り立たないですからね…。」
259: 2018/06/02(土) 00:26:48.50 ID:PHQWvqIW0
執務室
不知火「司令。艦隊司令部より辞令が届いています。」
提督「ん?辞令?」
厳封され封筒の口には古式ゆかしい封蝋。
提督「めんどくさそうな予感しかないなぁ。」
ペーパーナイフを隙間にあて封を開ける。
不知火「中身はなんでしょうか?」
提督「俺を少将に格上げだとさ。」
不知火「おめでとうございます。」
提督「そんなにめでたいもんでもないさ。」
不知火「ぬい?」
提督「階級があがればそれだけ面倒が増えるって事だ。」
260: 2018/06/02(土) 00:27:37.43 ID:PHQWvqIW0
提督「しかも、俺を上に上げた推薦人。まぁ、これを見てくれ。」
不知火「三元帥のうちの深海融和派と中立派のお二人ですね。」
提督「元帥方が三人でそれぞれ意見対立をして一方に傾かないようにして均衡を保ってる。」
提督「そんななかで荒くればっかり集めた一見、強固派に見えるここの指揮官をだ。」
不知火「まったく別の派閥の長が推薦して昇格人事ですか。」
提督「何を企んでいるのか不気味だ。」
提督「流石に辞退はできんよなぁ。将官も大分減ってきているとも聞くし。」
不知火「人材の枯渇ですか。」
提督「そんな所だ。」
不知火「人は育てるのに時間が掛かりますから。」
提督「育つ前に使い潰しているのが今の状況だからな。」
提督「艦娘を提督にするって話も進んでいるらしいし先が見えないのは良くないな。」
不知火「………。」
提督「なんとか俺達の代で終らせたいもんだ。」
不知火「はい。」
提督「年をとると面倒臭がりが増すのと、なにかと涙もろくなるから良くない。」
提督「年はとりたくないなぁ。」
不知火「不知火は今の司令が好きです。」
提督「ありがとうな。」
261: 2018/06/02(土) 00:28:19.99 ID:PHQWvqIW0
88鎮守府近海
一人の艦娘が単艦で海上を駆け抜けていた。
彼女が身につける制服はボロボロ。
そして、彼女が彼女足りうる理由の連装砲も1体は小脇に抱えられ。
他の2体も彼女の後ろを付いていくのがやっとの状態。
しかし、彼女は足を止める事無く、何かに取り付かれたように航行を続けていた。
262: 2018/06/02(土) 00:28:58.99 ID:PHQWvqIW0
「うちからの救援は出せない。」
「そんな!一番近いのがここなのに!」
「みんなが氏んじゃう!」
「うちも助けを出せる程余裕がなくてね。」
「余所をあたってくれ。」
263: 2018/06/02(土) 00:29:35.59 ID:PHQWvqIW0
「うちからは助けにいけないなぁ。」
「なにぶんここは要衝なのでね。」
「敵からの攻勢が激しいから救援を出すほどの余裕がないんだよ。」
「本土まで行けば救援を出して貰えるかも知れない。」
「そんな!ここから本土までなんて!」
「燃料と弾薬くらいの補給は分けてあげよう。」
「私のところもなにぶん資材の余裕は少なくてね。」
264: 2018/06/02(土) 00:31:51.81 ID:PHQWvqIW0
「本土まで後、どれくらいかなぁ。」
「周りの鎮守府全てに救援を断られるだなんて……。」
「後、何日かかるかなぁ………。」
「でも、急がないと皆が待ってるし。」
ボン!
「あっ。」
「もう、駄目なのかな。」
「ここまで来たのに……。皆、ごめんなさい。」グス
川内「諦めるのはまだ早いよ。」
川内「と言うかどうしたのよ。」
機関が火を噴きついに力尽き前のめりに
沈んでいこうとしていた少女を抱き起こしたのは川内だった。
雪風「随分とボロボロですが何があったのですか?」
時雨「単艦でここら辺を航行している事から
何かあったんだろうとは思うのだけど。」
長門「グラーフが島風を偵察機で発見したと連絡して来たから急行したが。」
長門「随分と酷い有様だ。」
島風「あっ。」
ぐるりと周囲を見渡せば同じ艦娘仲間達の顔。
島風「お願い!皆を助けて!」
川内「ん?」
そう一言、言うと島風は力尽き気絶した。
265: 2018/06/02(土) 00:33:22.97 ID:PHQWvqIW0
88鎮守府埠頭
提督「何拾ってきた。」
雪風「付近を単艦で航行中でギリ中破でした。」
島風の状況を一瞥。
そして、付いてきていた不知火に、物珍しがって見に来た明石の二人に指示。
提督「不知火、所属全艦娘に出撃状態で待機命令を出してくれ。」
提督「その後、横須賀に問い合わせてくれ。」
不知火「何をですか?」
提督「救援依頼を出している鎮守府があるかどうか。」
提督「それと、俺の少将権限の再確認だ。」
提督「本来の意味での提督、1個戦闘団の指揮官としての提督なのかだ。」
提督「明石、所属を洗ってくれ。」
提督「それから治すのに時間はどれくらいかかる?」
明石「治せるかじゃなくて治すのに掛かる時間を聞いてきますか。」
提督「当たり前だろ。」
明石「なるだけ早くやりましょう。所属は直ぐに分かると思います。」ニカ
提督「頼む。」
時雨「提督、何か大事なのかな?」
提督「単艦でそれも、速さといえば艦娘で右に出る者のいない島風が
こんな状態で彷徨ってるとくれば相場は決まってる。」
提督「所属鎮守府が襲撃にあい包囲網を強行突破。
更に周辺鎮守府からの応援を望めなかったから本土へ向けて全力航行。」
提督「ここまでは頭がめでたい奴でも想像はつく。」
266: 2018/06/02(土) 00:35:02.13 ID:PHQWvqIW0
長門「で、不知火に自身の権限の確認をさせた理由は?」
提督「俺が最近昇進したんでな。将官といえば本来の意味での提督だ。」
提督「司令長官とか呼ばれて、そうだな旧海軍でいえば艦隊指揮を執る立場だ。」
提督「米軍とからな第○艦隊司令官とかの立場だな。」
提督「なんでな、場合によっちゃ現地の部隊再編も可能。後は分かるな?」
長門「成程な。与えられた権限は良く考えて有効に。
そして上の言質をとった上でか。」
長門「悪党だな。」
提督「前にも言った事があると思うが俺ほど善人はいやしないさ。」
グラ「どうだろうか?」
摩耶「詐欺師は自分の事を詐欺師とは自己紹介しないもんな。」
川内「提督は詐欺師というより博打打ちの方が近いかな。」
川内「ポーカーとかで負け札でも平気でレイズして相手に心理的揺さぶり掛けた挙句。」
時雨「口八丁で相手を騙すのは得意そうだよね。」
雪風「相手にドロップさせる最低の博打打ちです。」
提督「やれやれ、散々な評価だな。」
長門「なに、それだけ皆提督が凄いと褒めているのさ。」
提督「博打ってのは運じゃねぇ。
モナコのカジノに入店禁止になった、かの名将も言っている。」
提督「高等数学の確立から言って必ず勝てる時が来るから
それまでひたすら待ち続ける事がカジノで勝つには重要ってな。」
提督「俺が運に頼るのは最後の最後さ。最悪の結果を踏まないように祈る時だけだ。」
長門「そうか。」
提督「そうだ。」
267: 2018/06/02(土) 00:43:53.75 ID:PHQWvqIW0
本日の更新はここまでです
今回のお話は今までの話と比べて一番重たくなる感じです(1基準で)
なので明るいSSを書いて気分転換を図りたくもなる訳です、はい
提督の呼称ですがゲーム内の提督は鎮守府責任者の扱いですが本来の意味で行くと将官以上(少将以上)
米軍基準でいくと准将、代将も含める形で艦隊指揮官、第七艦隊とかのあれを指揮する指揮官の事みたいですね
本来の鎮守府であれば提督でも間違いないのですが階級が少佐とか佐官がいるからあれれ?という状況
○○水雷戦隊とかの指揮官は司令官とか司令長官という呼称が正しいようです、ややこしいですね
その辺りは不備が有るかもしれない為詳しい方がいらっしゃいましたら指摘頂けると感謝です
ではでは、次回もお付き合い頂けると大変ありがたく思います
乙レス、感想レス、励みになっております、本当にありがとうございます
第十一話 天国への扉:中編
今回のお話は今までの話と比べて一番重たくなる感じです(1基準で)
なので明るいSSを書いて気分転換を図りたくもなる訳です、はい
提督の呼称ですがゲーム内の提督は鎮守府責任者の扱いですが本来の意味で行くと将官以上(少将以上)
米軍基準でいくと准将、代将も含める形で艦隊指揮官、第七艦隊とかのあれを指揮する指揮官の事みたいですね
本来の鎮守府であれば提督でも間違いないのですが階級が少佐とか佐官がいるからあれれ?という状況
○○水雷戦隊とかの指揮官は司令官とか司令長官という呼称が正しいようです、ややこしいですね
その辺りは不備が有るかもしれない為詳しい方がいらっしゃいましたら指摘頂けると感謝です
ではでは、次回もお付き合い頂けると大変ありがたく思います
乙レス、感想レス、励みになっております、本当にありがとうございます
第十一話 天国への扉:中編
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