357: 2018/07/09(月) 00:10:14.40 ID:NNCuyt2G0


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前回:第十二話 天国への扉:後編

おまけ話  ガングートは底辺から脱出したい


358: 2018/07/09(月) 00:12:27.25 ID:NNCuyt2G0

ガングート着任初日

その日、不知火は提督からのお使いで艦隊司令部に行っており

既に帰途に付いていたものの帰ってくるまでにはまだ時間が掛かるはずだった。



ポンポンポン



いつもの様に軽快なエンジン音を立て艀に接岸するボートが一艘。



提督「お疲れー。今回の荷物は外交問題だって?」

水兵「ははは。私からはあまり詳しくは。」

提督「うちに厄介ごとの丸投げ止めて欲しいもんだよ。まったく。」



そしていつもの通りにお互いの認識票を端末に翳して受領手続き。

その後、水兵が去った後に荷物の拘束を解いていた所に不知火が帰ってきた。



不知火「司令!不知火、帰投しました!」



みえない尻尾がぶんぶんと。

振り切れそうな勢いで振れているなぁと提督はぼんやり。



提督「うん。お疲れ。予定より早いようだが。」

不知火「途中で船を降り艤装で全力航行してきました。」



頭を撫でろと差し出しくる不知火の頭を撫でていると罵声が飛んできた。



「貴様!駆逐艦の相手などせずにさっさと外せ!この馬鹿者が!」



猿轡を先に外し、足の拘束を外そうとしていた提督に偉そうな口を利く艦娘。

ブチッ



不知火「2割頃しで許してやる。」



たった一言。余分は不要。

メキャァ



提督「あっ。」



提督は後に時雨に語った、艦娘って戦艦でもあんなに吹っ飛ぶもんなんだなぁと。



時雨「あれで2割なんだ……。」



とは時雨の返答。

海の画集 -「艦これ」公式イラスト集-
359: 2018/07/09(月) 00:15:08.69 ID:NNCuyt2G0

そして、1週間程、意識が三途の向こう側へ行きかけた後。

栄養を取る為に彼女が食堂を利用した時の事だった。

昼食をとりに提督が食堂へ顔を出せば揉めている声がする。


ガン「なんだと!?ボルシチが出せないだと!?」

「いや、予め言ってくれれば用意はするけど。」

「普段からメニューにないのを急に作れって言われても無理だよ。」

提督「まぁまぁ、落ち着いて。」



提督がなだめようと間に入るが……。



ガン「何が落ち着けだと!?貴様!銃……「露助、司令官を敬え。」



一閃、綺麗な兎飛びアッパーが決まる。

ボゴォ゛



提督「あっ。」



提督は雪風に語る。天井に人が突き刺さるって事があるんだねぇと。



雪風「装甲は腐っても戦艦ですから。」



とは雪風の言葉。

360: 2018/07/09(月) 00:18:46.94 ID:NNCuyt2G0


そして、三途の渡し守から追い返されてから三日後。



秋津洲「今日は二式大艇ちゃんの整備日和かも!」

提督「二式大艇ってこう、なんか愛嬌あるデザインだよなぁ。」



執務室が禁煙にされてしまっている為、煙草を吸いに埠頭まで来ていた提督が秋津洲に語りかける。



秋津洲「さっすが提督!よく分かってるかも!」

秋津洲「でも煙草に火をつけたまま近づくのは危険だから駄目かも!」



ジュッ

咥えた煙草を奪われ火を消される。



ガン「頼もう!」

秋津洲「はーい、いらっしゃいませかもー!」

ガン「すまないが燃料と弾薬を売ってくれ。支払いはこれで。」

つ ルーブル

秋津洲「げぇぇ。まじもんの紙屑かもぉ!」(1ルーブル≒1.78円)

ガン「なにぃ!?貴様!我が祖国を愚弄するか!?」

秋津洲「ここでの使用可能通貨はドルかも。」

ガン「その様な物等ない!」

提督「ルーブルは流石に両替を受けてないな。」

秋津洲「お金が無いならお帰りはあちらかも!」指差し

ガン「金は無いが武器はある。」チャキッ

秋津洲「きゃぁ――、強盗かも ――(笑)。提督を守らないとかも――(笑)。」


役得とばかりに提督に抱きつき、えいっと可愛らしくパンチを一つ。


ドゴ!



提督「あっ。」



秋津洲の右ストレートが炸裂。

二式大艇は自重だけで約18t、爆装等込で最大重量約35t。

それを片手で担ぎ上げる秋津洲のパンチが決まったのだ。

提督は後に長門に語る。反跳爆撃で飛んでいく爆弾の様に水を切りながら飛んでいったと。



長門「学ばない奴だな。」



とは長門の言葉。



361: 2018/07/09(月) 00:19:52.32 ID:NNCuyt2G0


そして。



明石「金を稼ぐ前から修理代ばかり嵩ませて、

   払うあてが無いなら艤装ばらしてあんたの部品を担保にして貰おうか?」

明石「人体ってのは綺麗にばらせば300万にはなるんだ。腎臓の一つでも売ってみるかい?」



鬼より怖い明石に睨まれ。

艦娘が入れる生命保険等ある訳も無く。



ガン「身の程を弁えず申訳ありませんでした ――――――― !」



提督に地面で額を摺りきらんばかりの勢いで土下座をかまし。



ガン「助けてください~。」



全力で泣きを入れた。



提督「あー、まぁ、うん。気をつけろよ。」

不知火「2度は無い気をつけるんだな。」ヌイ!

ガン ヒィィ!



提督が明石に上手く取り計らい、ガングートは内臓を売る事無く着任する事が出来たのである。

マイナスからのスタートなのは言うまでも無い。


362: 2018/07/09(月) 00:23:24.97 ID:NNCuyt2G0
以上超短編
お読みいただきありがとうございました、最近板自体が管理人さん不在の所為かスレ建て荒しなどの放置が目立ちますね…
そろそろ移住を考えた方がいいのやらやら……
では、ここまでお読みいただきありがとうございました
乙レス、感想レス、いつもありがとうございます!励みとして続きを書くエネルギーに変換しています!
では!また次回の更新でお会いいたしましょう!

幕間 とある料理長のお品書き

引用: 【艦これ】 続 外地鎮守府管理番号88