431: 2018/08/27(月) 23:37:08.94 ID:5tYPiHSO0
前シリーズ最初から:外地鎮守府管理番号 88
今シリーズ最初から:続 外地鎮守府管理番号88
前回:幕間 ガングートは底辺から脱出したい
おまけ日常編 とある料理長のお品書き
「うし、夜間の人達への引継ぎ分の仕込みも終了。」
「さぁてと、今日は露助リクエストの食材を買いに市場へいきますかねぇ。」
パンと糊の利いたエプロンを叩き、着替えを終えると明石達の工廠へ。
明石「あっ、こんにちは。今からですか?」
「うん、司令に許可貰ってるからね。市場に買出し。」
秋津洲「預かっていた包丁の研ぎなおしも終わってるかも!」
「自分で研いでいてもやっぱり何回かに一回は研ぎなおしにださないと切れ味が落ちるからね。」
「見せてもらっても?」
秋津洲が店の奥からいかにも業務用といった包丁を数本抱えてやってくる。
秋津洲「切れ味はこんなだよ!」
ぷつりと自分の銀髪を一本抜いた後、ふっと風に乗せる秋津洲。
その髪は風にのり包丁の刃先に当った髪は抵抗なくさっくりと二つに切れた。
「いい仕上がりだね。」
明石「この包丁で斬られた人は斬られた事に気付かない事を保障しますよ。」
その切れ味、名刀級。
「市場で持ち歩くわけには行かないからね。買出しからの帰りに受取るよ。」
秋津洲「よろしくかも!」
そして、分かれた後、拠点から少し離れた所にある巨大な市場のある島へ。
432: 2018/08/27(月) 23:39:24.73 ID:5tYPiHSO0
雪風「護衛、いります?」
「まー、司令官が付けとけって言うからさ。」
脱走を危惧という訳ではなく行方不明を危惧してである。
脱走は無い訳では無いが脱走は確定と同時に高額賞金首へ変貌。
それもあり、艦娘によっては作戦中にわざと隙を見せ
懲役組みの脱走を誘発する者もいたりとなかなか闇が深い。
そして、行方不明というのも作戦中に脱走ではない原因で消える事もあるという事なのだ。
「まー、艦娘やめているとはいえ私ってば、か弱い乙女だからさ。」
雪風「よくいいますよ。」
見た目こそ少し成長した中学生くらいの少女とその妹らしき雪風。
ただ、危険度は歩く核弾頭。
「雪風はこういうのどうなの?」
雑多とした市場ならではの衣類のまとめ売りダンボール箱の中からぴらりと見せる女性物下着。
雪風 ブフォォォーッ
なんだ、その反応、乙女か。
雪風「ゆっ、ゆきかぜにはまだ、早いと思います……。」
顔を真っ赤にし手で顔を覆いちらちらとこっちを見る雪風。
ちくせう、萌え氏にさせる気か。
「でも、司令官ってこういうの好きそうだよね。なんかむっつり系な工口?」
店主A「それなら箱1つで10ドルだよ?」
超安値。
雪風「10……、10ドルですか……。」ムムッ
鎮守府の定期便で足りない物を買いに来ることもあれば。
休暇中の艦娘が複数人数で相互監視のもと、市場に訪れる事もある。
あるいは、作戦が終わっての帰りに市場の露店で一杯と割と自由でもある。
ついでに言えば周辺海域の治安維持も88鎮守府が担っているといった
様々な事情も有り市場の人達とは大体が顔見知りでもある。
その為か気さくに声をかけられることも多い。
433: 2018/08/27(月) 23:40:03.36 ID:5tYPiHSO0
「結構安いのね。」
セクシーランジェリーの部類になるのだが予想外の安さ。
10ドルという言葉を呪文のようにぶつぶつと繰り返す雪風。
「これは童O頃し。」
いわゆるタンキニという奴が箱から覗いていたので引っ張り出し雪風の眼前にちらり。
雪風 ブフォ ――― ッ
なるほど、戦場の鬼神と言われる雪風にも弱点はあるようだ。
少し意地悪をしてみたくなるのも性という奴である。
「こんなのどうよ?」
雪風「あっ、それは天津風さんが着用しているのを見たことあります。」
Vストリングなのだが、まじか、あの痴女。
雪風「随分前に所属していた所での話ですが。
上官であるしれぇが強要していたんですよ。」
「あぁ……。」
雪風「当時の雪風に今ほどの力があれば事故氏して貰っていたんでしょうけれどね。」
ちょっと嫌なことを思い出させてしまったらしい。
434: 2018/08/27(月) 23:41:14.92 ID:5tYPiHSO0
店主B「おーい、料理長。いい加減うちの店に来てくれよ。」
「ん?おう!おっちゃん。ごめんよ!忘れていた!」
少しばかり重くなっていた空気を読まずに声をかけてきた精肉店の店主へと向き直る。
店主B「和牛を輸入するのは大変だった。」
「その分の金は払っているでしょ?」
店主B「いただく物はいただいているからね。」
重そうに店主Bが肩から下ろしたのは。
雪風「今日のメイン食材ですか?」
「そ、露助からのリクエストに使う食材。」
「司令官に正規の手続き踏んで申請してきてたからまぁ、応じてあげようかって所。」
「故郷の味が食べたいってね。」
雪風「故郷ですか。」
「木の股とかから生まれたのでなければ誰しも故郷と呼べる場所くらいはあるさ。」
「いい思い出にしても悪い思い出にしてもね。」
雪風「そう、ですね。」
少し思う所があるのか小さく首肯する雪風。
「そのダンボールの衣類は私が雪風に買ってあげるよ。高いもんでもないしさ。」
雪風「えっ!?いいんですか!?」
なんだこの喜びようは小動物か。
「後は、頼んでいた香辛料を受取って帰るよ。」
雪風「はい!」
大き目のダンボール箱にブロック肉が入ったクーラーBox。うん、なかなか量がかさばる。
店主A「台車を貸してあげよう。ちょっと待ってて。」
「ありがとうね!」
店主A「台車は次回にでも返してくれればいいから。」
そういい店主Aは何処かへと去っていった。
大きな荷物を抱え店主Aの帰りを待つ二人。
435: 2018/08/27(月) 23:42:19.59 ID:5tYPiHSO0
「ちょっと道の横に避けていようか。」
雪風「そうですね。」
通りの邪魔にならないように荷物を避けていた時に事件は起きる。
チンピラ「あいたたたぁ!」
雪風がどけたダンボールにわざとらしくぶつかり大げさに痛がるチンピラ。
そして、そこに台車を持って戻ってくる店主A。
チンピラ「これは治療費と慰謝料をもらわねーとなぁ。ガキ共よぉ。」
チンピラ「両方あわせて1000ドルで我慢してやるわ。」
店主A「オイオイオイ。」
店主B「氏んだわあいつ。」
436: 2018/08/27(月) 23:43:21.27 ID:5tYPiHSO0
1分後
雪風「1000ドル分の治療費ですともう少し骨を折らないと駄目でしょうか?」
「うーん、両手両足折ったから後もう少しとなると肋骨かなぁ?」
チンピラ「たったすけ」
「1000ドル渡したでしょ?だったら金の分だけいい声あげなよ。」
「1000ドル分だけの美声聞かせてくれるつもりだったから声かけたんでしょ?」
「じゃ、後は肋骨ね。」
笑顔で拳を振り上げた丁度その時だった。
顔役「姉さんたちうちの馬鹿がすみません!」
血相を変えて市場の顔役がやって来た。そして、その勢いのまま土下座。
雪風「土下座なんて知っているんですね。」
「まぁ、知っている知っていないはどうでもいいけどそんな価値の無い土下座されてもね。」
「顔役ならさー、治安を良くするべく動くべきなんじゃない?」
顔役「返す言葉もございません。」
「いやさぁ、1000ドルって大金よ?」
「それをさー。」
艤装の力を使わなくても強い艦娘は強い。
そして、自分達以外にも被害が起きている可能性もある訳で
ねちねちと嫌味を言い続ける。
その結果。
437: 2018/08/27(月) 23:45:22.38 ID:5tYPiHSO0
「ただいまー。」
明石「あっ、お帰りなさい。楽しめました?」
「それがさー、聞いてよー。」
女子会のノリで市場での出来事を話す二人。
「侘び代わりに私達が買った商品代金返してくれたのはいいんだけどさー。」
「あの露助がね、
みんなから離れて買い物していた時にかつあげされてたのが発端みたいでさー。」
秋津洲「情けない艦娘かも。」
「本当だよ。かつあげされたのが恥ずかしいからって黙っていたせいでこの始末よ。」
明石「申告してくれていたら対処出来ていたわけですしね。」
「そーそー、それで、そのチンピラが味を占めたのか今回の馬鹿に及んだって訳。」
雪風「まったくもって艦娘の恥さらしです。」
「そんな訳で雪風と話して楽しいブートキャンプに御招待と思ってね。」
明石「いいですねぇ。」
明石「丁度色々新製品を試してみたかったんですよ。」
「いいねぇ。」
「私はコマンドサンボとかカポイエラとかの格闘技中心に三途の川を渡って貰おうかなって。」
雪風「雪風はスパルタンに仲間全員に声をかけてサバイバル形式で行こうかと。」
秋津洲「ちょっと同情しちゃうかも。」ウヘァ
明石「最近は大規模作戦も来ないから皆さん暇してますしね。」
「そういう台詞はフラグじゃない?」
明石「まぁ、鎮守府総員が出撃とかなると私の場合は潤うんで。」
明石「ありがたいですかね?」
「商売人だねぇ。」
明石「氏んだ人間、艦娘の魂以外なら。」
明石「金さえ払っていただければ「クレムリンだろうと引っ張ってくる。」
雪風「だったですね。」
明石の決め台詞に雪風が被せる。
「だったらちょいと頼まれない~?」ウヒヒヒヒ
明石「楽しくて利益の出る事でしたら。」ニヒヒヒ
後日、ガングートが色々な意味で氏んだ事を話の結びとして語らせていただく事とする。
ガン「いやぁ~ ――――――――― !」
ボガーン!
ヒュ ――――――― ン!
時雨「戦艦ってあんなに飛んでいくものなんだね。」
長門「なんだ?鎮守府ホームランダービの開催か?」
スパ「いいですねー。」
第十三話 天国への階段:前編
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