1: 2008/06/23(月) 22:30:39.20 ID:lmuWbXgk0
一歩「えっ、真紅は船に乗るのがイヤだって言ってたじゃないか」

真紅「今日は釣りをする気分なの」
一歩「でも今日は朝釣りに出たし、夜釣りの予定も入ってないんだよ」
真紅「……そう」

翠星石「いや~、海の上は爽快だったですね!」
蒼星石「うん、僕も明日は竿を借りて釣りをしたいな!」
雛苺「ヒナも明日の朝連れて行ってもらうの~!」

真紅「……今日はもう寝るのだわ」
真紅

2: 2008/06/23(月) 22:46:00.50 ID:lmuWbXgk0
ボウズか

真紅「一歩、お茶をいれてちょうだい」
一歩「ごめん、今ちょっと手が離せないんだ」
真紅「そう」

翠星石「これ真紅、あんまりイッポを困らせるもんじゃねーです」
蒼星石「はいイッポくん。これでよかったのかな?」
雛苺「ヒナもお手伝いするのー」
一歩「うん、ありがとう」

真紅「……ヒロコ、お茶をいれてちょうだい」

一歩母「ごめんね、今ちょっと手が離せないの」

真紅「……仕方ないわね」

4: 2008/06/23(月) 22:52:05.18 ID:lmuWbXgk0
真紅「イッポ、わたしにも何か手伝えることはない?」
一歩「う~ん、特にないかなあ」

翠星石「どうですか、見事に糸をほどいてやったですよ!」
一歩「翠星石は器用だなあ!」
翠星石「そ、そんなことはあったりもしますけど!///」

蒼星石「ねえイッポくん、竿はこれがいいかな?」
一歩「蒼星石だったら、これがいいと思うよ」
蒼星石「よ~し、イッポくんが選んでくれた竿で沢山釣るぞ!」

雛苺「ねえねえイッポ、朝ごはんはどうするの?」
一歩「船の上で釣った魚をお刺身にでもしようか」
雛苺「うわあ! すっごく楽しみなの~!」

真紅「……」

5: 2008/06/23(月) 22:56:00.14 ID:lmuWbXgk0
真紅「ねえヒロコ」

一歩母「ん、なあに真紅ちゃん?」
真紅「わたしは明日暇なのだわ」

一歩母「そうねえ、じゃあ何かお願いしようかしら」

真紅「!」
一歩母「一歩も他の子に付きっ切りだしね」
真紅「ま、任せるのだわ!」

一歩母「それじゃあ、お留守番をお願いしようかしら」

真紅「え?」
一歩母「お願いできる?」

真紅「……ま、まかせなさい!」

6: 2008/06/23(月) 23:00:04.17 ID:lmuWbXgk0
翌朝

一歩「それじゃあ行ってくるね」
一歩母「お留守番お願いね真紅ちゃん」

真紅「こ、このわたしに出来ないことはないのだわ!」

翠星石「今日は良い天気ですし、海にでるには最高の日ですね」
蒼星石「釣れるといいなあ。えっと、竿の振り方は……と」
雛苺「おっさしみ、おっさしみ♪ 楽しみなの~!」

真紅「……」

真紅「いってらっしゃい」

9: 2008/06/23(月) 23:03:49.18 ID:lmuWbXgk0
真紅「……一人で留守番」

ワンポ「ワン!」

真紅「ふふ、そうね。一人じゃないわね」
ワンポ「ワン」
真紅「あなたがクンクンのように話せたらよかったのに」
ワンポ「クゥ~ン」
真紅「ごめんなさい、責めているわけではないのだわ」
ワンポ「……」
真紅「きっと、今頃皆楽しんでいるのでしょうね……」
ワンポ「クゥ~ン」

真紅「……はぁ」

10: 2008/06/23(月) 23:07:55.20 ID:lmuWbXgk0
「すいませ~ん!」

真紅「!?」
ワンポ「ワン」
真紅「だ、誰か来たのだわ……!」
ワンポ「ワンワン!」
真紅「しっ! 静かにするのだわワンポ」
ワンポ「クゥ~ン?」
真紅「もし泥棒だった場合、相手にわたし達の存在が知れては危険よ」
ワンポ「……!」
真紅「いい子ね」

「あれえ~? もしかしてもう出ちまったのかな?」

11: 2008/06/23(月) 23:11:20.17 ID:lmuWbXgk0
「おっかしいなあ」

真紅「どうやら相手はこの家の事情に詳しいようね」
ワンポ「ワン」
真紅「このまま帰ってくれればいいのだけれど」
ワンポ「クゥ~ン」
真紅「不安がることはないわ。わたしがついているもの」
ワンポ「ワン」
真紅「さあ、入ってくるなら覚悟することね泥棒!」

「まあ、中で待たせてもらうとするか!」

真紅「い、いまの発言は取り消すのだわ!」

13: 2008/06/23(月) 23:15:55.97 ID:lmuWbXgk0
「お邪魔しま~す、と」

真紅「ほ、本当に入ってきたわ……!」
ワンポ「ワン!」
真紅「静かに、今わたしがなんとかするから」
ワンポ「ワン」
真紅「ホーリエ、相手を確認してきてちょうだい」
ホーリエ「~~」
真紅「頼んだわ」
ワンポ「ワン!」
真紅「だからワンポ、静かにするのだわ!」
ワンポ「クゥ~ン」

「ん? 今なんか音が……」

真紅「……!!」

14: 2008/06/23(月) 23:19:34.16 ID:lmuWbXgk0
真紅「……!」
ホーリエ「……」
ワンポ「ワn」
真紅「しっ!」

「ん~……気のせいか」

真紅「……ほっ」
ホーリエ「~~」
真紅「まったく、ダメじゃないワンポ」
ワンポ「クゥ~ン」
真紅「相手がクンクンだったら、今のミスは見逃さないわ」
ワンポ「ワン」
真紅「それじゃあ、今度こそお願いねホーリエ」
ホーリエ「~~」

「それにしても、ここに来るのも久々だなあ~」

16: 2008/06/23(月) 23:23:59.06 ID:lmuWbXgk0
真紅「久々ということは……まさか」
ワンポ「ワン」

真紅「前にもこの家に盗みにはいったことがあるということ!?」

ワンポ「クゥ~ン」
真紅「心配しなくていいのだわワンポ」
ワンポ「?」
真紅「わたしはヒロコに留守を頼まれたのだもの」
ワンポ「ワン」

真紅「この家は……わたしが守るのだわ!」

17: 2008/06/23(月) 23:29:18.61 ID:lmuWbXgk0
真紅「……それに」
ワンポ「クゥ~ン?」
真紅「きっと泥棒を退治したら、皆もわたしを見直すはずよ」

一歩『すごいや真紅! 今度の試合は特等席を用意するよ!』

翠星石『真紅、ちょっとこのテグスをほどいて欲しいんですけど……』

蒼星石『やっぱり真紅には敵わないや。きっと釣りでも負けちゃうよ』

雛苺『うゆぅ~、イッポのだっこの権利は真紅にあるの~』

一歩母『さすが真紅ちゃん! わたしの自慢の娘ね!』

真紅「……ふふ、きっとこうなるに違いないのだわ!」

ワンポ「クゥ~ン……」

20: 2008/06/23(月) 23:35:03.85 ID:lmuWbXgk0
ホーリエ「~~」

真紅「ごくろうさまホーリエ。泥棒はどんなヤツだったのかしら?」
ホーリエ「~~」
真紅「髪はボサボサで、ヒゲも伸び放題……」
ホーリエ「~~」
真紅「肌は白く荒れていて、見るからに不健康……」
ホーリエ「~~」
真紅「ああっ、もうやめてちょうだい……!」
ワンポ「ワン」
ホーリエ「……」

真紅「……わかったのだわ」

真紅「相手はものすごい凶悪犯ということが!」

21: 2008/06/23(月) 23:40:30.74 ID:lmuWbXgk0
真紅「……どうやら、油断できる相手じゃなさそうね」
ワンポ「ワン」
真紅「ふふっ、心配してくれるのワンポ?」
ワンポ「クゥ~ン」
真紅「安心しなさい。わたしは人間には遅れをとらないわ」
ワンポ「……」
真紅「わたしはローゼンメイデン第五ドールの真紅よ?」
ワンポ「ワン!」
真紅「……でも、もしわたしがもどらなかったら」
ワンポ「クゥ~ン……」
真紅「ふふっ、そうね。もしもの話はやめましょう」
ワンポ「ワン」

真紅「……でも、最後にわたしも釣りがしてみたかったわ」

24: 2008/06/23(月) 23:45:20.90 ID:lmuWbXgk0
??「ったく一歩のヤツ、昨日ちゃんと電話しといたのに」

??「もしかして、最近預かってるっていう親戚のコの相手か?
   それならわかる気もするが……」

??「しっかし、部屋にこもりっきりじゃダメだな。
   足腰が弱っちまってるよ。
   これじゃあ手伝いは出来ないだろうなあ」

??「……まあ、本当は社長の作るメシが目当てなんだけど!」

ガタンッ!

真紅「そこまでよ凶悪犯!」

??「な、なんだあ!?」

27: 2008/06/23(月) 23:52:25.22 ID:lmuWbXgk0
真紅「わたしは真紅、誇り高きローゼンメイデンの第五ドールよ」

??「ああ、もしかしてお前が一歩が預かってるっていう親戚の?」
真紅「泥棒に“お前”よばわりされる覚えはないわ」
??「それにしても外人だし……あ、もしかしてヴォルグの関係か?」
真紅「戯言はもうやめなさい」
??「それにしても生意気なガキンチョだな」
真紅「あら、あなたの見た目でそんなことが言えて?」
??「こ、これはしょうがないだろ!」
真紅「とりあえず、最後に名前を聞いてあげるわ」
??「ああ、オレの自己紹介がまだだったな」

梅沢「オレは梅沢。一歩のしんゆ……友達だな」

真紅「嘘なのだわっ!」

梅沢「はあっ!?」

28: 2008/06/23(月) 23:57:56.60 ID:lmuWbXgk0
梅沢「おい、なんで嘘なんだよ」

真紅「あなたは友達と言う前に何かを言いかけた……それが理由よ」

梅沢「なんでそうなる!」
真紅「他の子なら騙されるかもしれないけれど、わたしは違うわ」
梅沢「だから騙してねえって!」
真紅「あら、焦って大声を出すのも怪しいわね」
梅沢「そりゃお前がオレの言うことを信じねえからだろ!」
真紅「きっと、梅沢という名前も偽名なのだわ」
梅沢「お~い、聞いてるか~?」

真紅「クンクンを見ていなかったら、わたしも騙されていたわね……」

梅沢「はあ……」

真紅「凶悪な上に狡猾……! 恐ろしい相手なのだわ……」

30: 2008/06/24(火) 00:03:51.07 ID:Gz50IYqQ0
梅沢「……あのよ」

真紅「まだ何か言う気、犯罪者」
梅沢「とりあえず、オレは一歩の友達だっていうのは信じてくれねえか?」
真紅「あなた、話すたびに嘘をついていると言っているようなものよ」
梅沢「な、なんでだよ」

真紅「イッポに友達がいるはずないのだわ!」

梅沢「む、そりゃいくらなんでも……」
真紅「あら、あなたはイッポの友人を挙げられるのかしら?」
梅沢「……えっと」
真紅「ジムの先輩と後輩はなしよ」
梅沢「……」

32: 2008/06/24(火) 00:10:31.02 ID:Gz50IYqQ0
梅沢「あ、そうだ! ヴォルグなんかは友達みたいなもんだ!」
真紅「? 誰なのそれは」
梅沢「知らねえのかよ……!」
真紅「さあ、他に名前を挙げてみなさい」
梅沢「う、うう……!」
真紅「どうやら、あなたの証言は無効のようね」
梅沢「くそう、オレは一歩の友達だっての!」
真紅「まだ言う気?」

ガラッ!

一歩「ただいま真k」

真紅「イッポには友達がいないのだわ!!」

一歩「……」
真紅「ああっ、おかりなさいイッポ! 見て、この凶悪犯を!」
一歩「う、うう……」
真紅「? どうしたのイッポ? 早く得意のデンプシーロールで……」

一歩「うわあああ~~~~~~っ!!」

真紅「ど、どこへ行くの!? イッポ!? イッポ!!」

36: 2008/06/24(火) 00:16:56.93 ID:Gz50IYqQ0
翠星石「真紅! お前なんてこと言いやがるですか!」
蒼星石「と、とにかくイッポくんを追いかけよう!」
雛苺「早くしないと……あっ、海に落ちたの!」

真紅「ま、待ちなさいあなた達! ここに凶悪犯が!」

一歩母「? どうして一歩は走って海に飛び込んだのかしら?」
真紅「ああっ、ヒロコ! あなたならわかってくれるわ!」
一歩母「どうしたの真紅ちゃん?」
真紅「見てちょうだいあの男を!」
一歩母「あの男?」

梅沢「ども、社長! ごぶさたしてます!」

一歩母「あら、梅沢くんじゃないの! 元気だった?」

真紅「!!?」

37: 2008/06/24(火) 00:23:43.88 ID:Gz50IYqQ0
真紅「うそ……うそなのだわこんなの……」

一歩母「梅沢くん、もっと身だしなみに気をつけないと」
梅沢「へへ、わかっちゃいるんですがね」
一歩母「そんなんじゃあ女の子にモテないわよ?」
梅沢「いやいや、オレは社長さえいてくれれば!」
一歩母「もう、こんなオバサンをからかうもんじゃないの!」
梅沢「ははは」

真紅「まさか本当にイッポの友達だったなんて!」

梅沢「ほらな、だから言ったじゃねえか」
一歩母「今釣ってきた魚があるんだけど、もう朝ゴハンは食べた?」
梅沢「喜んでいただきますっ!」

真紅「それじゃあ……さっきまでのわたしは……」

39: 2008/06/24(火) 00:28:10.30 ID:Gz50IYqQ0
一歩母「それじゃあ支度をするから、ちょっと待っててね」
梅沢「ういっす!」

真紅「ふふ、やっぱりわたしはクンクンにはなれなかったみたいね」

梅沢「あ~、とりあえず横で落ち込まないでくれ」
真紅「……わたしがどこで何をしようとあなたには関係ないのだわ」
梅沢「いや、この場合は関係あるだろ!」
真紅「……」
梅沢「とにかく、なんでお前あんなに必氏だったんだ?」
真紅「それは……お留守番を頼まれて……」
梅沢「そっか」
真紅「何、あなた、わたしをバカにするつもり?」

梅沢「いや、むしろ褒めようと思ってたところだ」

真紅「えっ?」

40: 2008/06/24(火) 00:33:24.54 ID:Gz50IYqQ0
梅沢「お前は留守番を頼まれたんだろ?」
真紅「そ、そうよ!」

梅沢「なら、勝手に家に入ったオレが悪かったな。スマン」

真紅「で、でも、わたしはイッポを傷つけてしまったわ……」
梅沢「まあ、あいつに友達が少ないってのは事実だしな」
真紅「そうだとしても、わたしが言うべきことじゃ……」
梅沢「オレが来なけりゃあんなコトは言わなかっただろ?」
真紅「それは……もちろんなのだわ!」
梅沢「じゃあ、オレが悪いってことで」
真紅「あ、あなたは悪くないわ! 誤魔化さないでちょうだい!」

梅沢「じゃあ、オレが来るのにすっぽかして、
   それをお前に伝えてなかった一歩が悪い、ってことで」

真紅「……」

41: 2008/06/24(火) 00:39:02.61 ID:Gz50IYqQ0
一歩母「出来たわよ~……って、あら」

真紅「大体、イッポはレディーに対する扱いがまるでなっていないのだわ」
梅沢「まあなあ。久美ちゃんにももっと積極的にいけば」
真紅「他にも、ナナコやマリにも思わせぶりな態度を……」
梅沢「全く、両手に花どころの騒ぎじゃないよな」
真紅「……そ、それに今だって!」
梅沢「女の子三人に心配されて追いかけられてたしな」
真紅「わたしに対して労いの言葉はないの!?」
梅沢「そりゃ、オレじゃなくて一歩に言ってくれ!」

一歩母「……いつの間に仲良くなったのかしらね」

42: 2008/06/24(火) 00:44:27.42 ID:Gz50IYqQ0
一歩「ごめんね真紅。キミも海に出たかったなんて……」
真紅「いいえ、わたしもあの時はその、ごめんなさい」

一歩「それじゃあ、その、今日の夜に……海に出ないかな?」

真紅「そ、それは本当なのイッポ……?」
一歩「あ、うん、その……真紅がよければだけど……」
真紅「! あ、あなたがそこまで言うのなら一緒に行ってあげてもいいのだわ!」

梅沢「……まったく、素直じゃねえなあ」

真紅「ウメザワ、あなたは黙っていなさい!」
梅沢「へいへい」

43: 2008/06/24(火) 00:50:39.63 ID:Gz50IYqQ0


一歩「……それじゃあ」
翠星石「出発ですぅ~!」
蒼星石「出発だね!」
雛苺「出発なの~!」

真紅「く、暗くて何も見えないわ!?」

翠星石「そりゃ夜なんだから当たり前です」

真紅「そ、それにすごく揺れるし……ううっ!?」

蒼星石「うん、海は波があるからね」

真紅「か、帰して! 陸に帰してちょうだ……うぷっ!?」

雛苺「うにゅう~!? 真紅が吐きそうなの~!!」
翠星石「ひえええ~~~っ!?」
蒼星石「うわああ~~~っ!?」

44: 2008/06/24(火) 00:57:30.21 ID:Gz50IYqQ0
翌日

真紅「……まったく、海に出るなんてとんでもないわ」
ワンポ「ワン」
真紅「イッポやヒロコはともかく、あの子達は神経がないのかしら?」
ワンポ「クゥ~ン」
真紅「それにしても、ウメザワも変な人間だったわね」

真紅「わたしの絵を描いて行くなんて」

ワンポ「ワンッ!」
真紅「あっ、こらワンポ! この絵はダメよ!」
ワンポ「クゥ~ン」
真紅「いつかはわたしもこの絵のように……」

真紅「釣りをするのだわ」


おわり

45: 2008/06/24(火) 00:59:26.01 ID:Gz50IYqQ0
やっぱこの組み合わせはダメなのか?
俺の力不足もあるだろうが……

引用: 真紅「釣りをするのだわ」