27: 2009/03/03(火) 21:38:57 ID:Aoh98WXo
「芳佳ちゃん……ちょっといいかな……」
 宮藤芳佳の部屋をリネットが訪れたのは、待機勤務が明けた昼下がりのことであった。
 午後からは任務解除となりフリーとなった2人は、揃ってお風呂に行く約束をしていた。
「なぁに、リーネちゃん? どうかしたの」
 てっきりリネットが誘いに来たものと思った芳佳だったが、どこか様子がおかしいのに気付いた。
「調子悪いんだったらお風呂はよそうか?」
 親友の頬が上気しているのを見て、芳佳は彼女の健康状態を気遣う。

 芳佳はリネットと洗いっこして楽しもうと思っていたが、風邪でもひいているのなら止めておいた方がいい。
 それならそれで色々楽しみ方があるというものだ。
 看護兵ごっこもいいし、雪山遭難シチュの応用で互いに暖め合うのも面白そうだ。
 いずれにせよ明日の朝まではタップリ時間があり、ゆっくり楽しめるのだ。
「ううん、そうじゃないの……あの……その……」
 リネットは更に頬を朱に染めると、口籠もって俯いてしまった。
「体悪くないのなら取り敢えずお風呂行こうよ。ねっ」
 お湯に浸かってリラックスすれば、言いにくいことも言えそうな気がする。
 そう考えたリネットは小さく頷いてみせた。


 バッシャ~ン、という音と共に水飛沫が上がる。
 大浴場を独占できるとあって、芳佳は大はしゃぎした挙げ句にいきなり飛び込んだのである。
 今日はマナーにうるさいペリーヌもいないので、芳佳は思う存分羽を伸ばしきる気でいた。
「ひやぁぁぁ~っ。徹夜明けのお風呂って、きんもちいい~っ」
 お湯が溢れ出すのにも構わず背泳で泳ぎまくる芳佳を、リネットは苦笑いして見詰めるばかり。
「あの、芳佳ちゃん……わたし入れないんだけどぉ……」
 リネットに諭されて、ようやく芳佳は自由すぎる自分に気付く。
「ごめんごめん。早くおいでよ、リーネちゃん」
 芳佳は泳ぐのを止め、大きなバスタオルで前を隠したリネットに手を振った。

 ようやくリネットは湯船に近づき、きちんと掛け湯をしてからお湯に浸かった。
 作法通りの手順だが、リネットは重大なマナー違反を犯していた。
 お湯に浸かっても尚、彼女はバスタオルで前を覆ったままだったのだ。
 それに気付いた芳佳が、殊更に意地悪そうな口調で指摘する。
「い~けないんだぁ。リーネちゃん」
 リネットはギクリとしたが、観念したようにタオルを外して湯船の縁に置く。
 それでも今度はお湯の中で縮こまり、表情を読まれたくないからか、顔の下半分は水面下に没している。
 そのため水面にブクブクと小さな泡が連続して弾けていた。

29: 2009/03/03(火) 21:41:43 ID:Aoh98WXo
「ところでリーネちゃん?」
 いきなり芳佳から名前を呼ばれ、泡の発生がピタリと止まった。
「相談したいことって……もしかしてリーネちゃんの体に関係あることなのかな?」
 リネットはビクンと体を震わせる。
 そして、「どうして分かったの」と言うような驚愕の目で芳佳を見詰めた。
「そんなの見てりゃ誰だって分かるよ。で、どうしたの」
 芳佳はできるだけ気易く聞こえるようにあっけらかんとした態度で尋ねた。
 それでもリネットは身を固くしたままで応えない。

「わたしたち、親友じゃないの」
 その言葉に反応したのか、リネットの顔の下半分がお湯から出てくる。
「誰にも……言わない……?」
 リネットは不安そうに尋ねる。
「言うわけないよ、安心して」
 芳佳も真剣な顔になって応える。
「ホントにホントに言わない?」
「ぜぇ~ったいに言わないから。親友じゃないの」

 リネットは思い詰めた顔で黙っていたが、やがて全てを振り払うように首を激しく左右に振った。
 その顔が止まったと思うと、大きな目から涙がボロボロとこぼれ落ちてきた。
「芳佳ちゃん、あたし……こんな体になっちゃったぁ」
 勢いよく立ち上がったリネットの体からお湯が滴り落ちていく。
「ひぃっ?」
 芳佳の顔が引きつったまま硬直する。
「どうしよ……あ、あたし……生えちゃったぁ……」
 リネットが涙声で訴えかけたとおり、彼女の股間には親指ほどのモノがぶら下がっていた。

引用: ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart23