307: 2014/02/15(土) 21:36:31 ID:dOCMODzg

【進撃の巨人】エレン「ささやかな望み」【前編】

ペトラ「エレン君、おかえり~」


エレン「ただいま。落ち着いたか?」


ペトラ「あ、あはは・・・そりゃもう万全な状態に元通り」


エレン「2度と俺の前で酒を飲んで現れるなよ」



全員リビングの机を囲んで座っていた


俺も合わせてアルミンの隣に座る事にした



ペトラ「エレン君こわいよ・・・大丈夫。自粛するから」



態度がぎこちなく、反省したのだと理解した
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN

308: 2014/02/15(土) 21:37:30 ID:dOCMODzg


アニかアルミンが起きた時に、言い聞かせておいてくれたのだろう

多分、主にアニが



アニ「結構遅かったじゃないか・・・?」


アルミン「どっか寄ってたとか?」


エレン「どこにも行ってねえよ。リコさんを背負ってきたから、少し歩くペースが遅かっただけだ。リコさんちょっと体調が悪くてな・・・」


アルミン「今、2階に行ってたのは、ベッドに連れてった、とか?」


エレン「おう」


ガチャ・・・と、ゆっくりリビングの扉が開いた


ミーナ「お兄ちゃん。今、リコさんに冷えピタ貼ってきたから・・・」


エレン「ありがとな。ほら、ミーナもこっちに来い」

309: 2014/02/15(土) 21:38:08 ID:dOCMODzg


ミーナ「うん」


手招きをし、俺の隣に座り込む


ペトラ「で、どうする?」


エレン「まぁリコさんには悪いけど、クリスマス会(仮)を始めよう。というか、なんで始めてなかったのかが疑問なんだがな」


アニ「あんたがいなきゃ、つまんないし・・・」


アルミン・ペトラ「!?」


ミーナ「あ、あははは・・・」


アルミン「それは僕がつまんないってこと!?」


ペトラ「今のはちょっとグサッてきたかな~・・・先生傷ついちゃうよ」

310: 2014/02/15(土) 21:39:00 ID:dOCMODzg


エレン「別に俺がいたとこで空気同様だ。何か勘違いしてるんじゃないか?」


アニ「ちがっ!今のはそういう事じゃなくて・・・・エレンもいて、みんなでやるのが楽しいというか・・・って!こんなの私のキャラじゃない!なんてこと言わすんだい!」


右手のビンタが俺の左頬を弾く


エレン「ぐはっ!」



俺の脳内には『理不尽』という言葉しか浮かばない

そうか。俺があんな質問しなきゃ良かったのか


そんなの気にしだしたら、話す言葉一つ一つが地雷に思えてきて怖い

でも、無視したら無視したで、同じ結果を迎えそうな気がする


というか、ここの女子3人中2人が暴力的って何?世紀末でも迎えた?


代々女性には『大和撫子』という特有の麗しき敬称があるにも関わらず、いつからこんなアマゾネスに染まってしまったのか・・・

311: 2014/02/15(土) 21:42:03 ID:dOCMODzg


世界の女性が全員、ミーナとリコさんになっちゃえばいいんだ



アルミン「アニが勝手に自爆して、エレンが被爆にあった・・・」


ペトラ「わわっ!エレン君大丈夫?」


やっぱりペトラ先生はアルコール抜けると本当に純然たる平凡な教師だ


エレン「はぁ・・・・だいじょうぶだ。それより、料理食べようか」


なんか、最近溜め息が多いな・・・


気苦労や失望、感動した時や緊張がとけた時に、思わず出る大きな吐息


それが溜め息であり、俺は今日それを数多く体験したと思う

312: 2014/02/15(土) 21:42:39 ID:dOCMODzg


メトロノームのように決まったリズムで刻まれるデジャヴのような毎日


まぁ、たまにはこんな日があってもいいか


というか、こんな苦労したのは久し振りか


入学当時のアニとアルミンの事件

夏休みのペトラ先生との悩み相談

以来かな・・・・


メトロノームの針を少し狂わせる日があっても良い


毎日が同じのような事の繰り返しだと、時間が経つのが早くなると聞いたことがある


確かにそうだ。

俺の中学3年間は本当に短く感じた


思い出があればある程、記憶は積み重なり、充実した実感し、時間が長く感じるんだ

313: 2014/02/15(土) 21:43:15 ID:dOCMODzg


まさに学校の授業こそ、それだ。単調なんだ


子供の頃の思い出なんて、ほとんどが学校外の事だろう?



エレン「アルミンおいしいか・・・?」


アルミン「うん!ホントにエレンが作ったなんて思えないや」


エレン「このっ・・・言ったなぁ?」


アルミン「あわっ、ちょっあはは!食べ中だってあははひっ!擽らないで!」


エレン「ははっ!俺が隣に座った事を後悔するんだな」


アルミン「はうっ・・・タ、タイムタイム!ははははっ!タイムだってあははは」


アニ「あんたらねぇ・・・」

314: 2014/02/15(土) 21:43:57 ID:dOCMODzg


アルミン「あっ・・・」


エレン「おおっと・・・悪かった!食事中くらい静かにしないとな!マナーだもんなっ」


アニ「仲間はずれなんて水臭いね・・・私も混ぜなよ」


エレン「え・・・」



切ない記憶なんて数えきれない程ある


でも幸福な記憶なんて数える程しかない


寧ろ、俺は切ない思いをいくつも自分から作ってきた

多分これからも、そうに決まってる


だってそれが自分の生き方


目的達成のために自己の利益や時にプライドまでも捨てて挑んだり行動したりすることである

315: 2014/02/15(土) 21:44:44 ID:dOCMODzg


ただこれは『自分さえ我慢すれば良い』と同義だとも考えられ、これが過ぎるから自己を潰してしまうと、よく周りから言われる


他人が損をしてしまうと考えたら、俺は自分本位にどうしてもなれないんだ

利他的になってしまうのが俺の性


だから自己の損失を顧みずに他人の利益を図るようなってしまう


そして合点がいくだろう?


だから、幸せな記憶は少なく、切ない記憶は多いんだ



ペトラ「こら!埃が舞って、ご飯の中に入っちゃうでしょ?するならリビングから出てってやりなさい」


アルミン「ほらー、怒られたじゃないか」


アニ「食事中くらい静かに出来ないなんて、これだから男は・・・もぐもぐ」


エレン「乗り込もうとしてきたのは、どこの冷血委員長さんだったか・・・・もぐもぐ」

316: 2014/02/15(土) 21:45:40 ID:dOCMODzg


アニ「ふん・・・子供を落ち着かせる為には、お姉さんが必要でしょ?それくらいわからない?・・・・だから子供は嫌いなんだ・・・もぐもぐ」


エレン「アニお姉さんは、お姉さんなのにどうしてニンジンだけ避けてるのですか?ニンジン苦手とかお姉さんは俺よりも子供ですね。・・・もぐもぐ」


アニ「お姉さんはニンジンを食べたら不治の病にかかってしまうという呪いを堕天使ルシファーと契約したのさ・・・もぐもぐ」


エレン「すみませーん。アニお姉さんの言ってることは何一つ理解できません。電波乙。・・・もぐもぐ」


アニ「あんたみたいな、理解力も記憶力も波平の髪の毛並に乏しい馬鹿には到底理解できない事・・・・もぐもぐ」


エレン「適当な言い訳で食わず嫌いを曖昧に終わらそうとする愚かで滑稽なお姉さん程、馬鹿な人はいな

アルミン「ストップストップ!!二人は何を言い合ってるのさ!?」


ミーナ「はぁ・・・お兄ちゃんの負けず嫌いは昔から変わらないんだから・・」



そんな良くも悪くも楽しい思い出ができた時間


無駄なんて1つない唯一の記憶

317: 2014/02/15(土) 21:49:13 ID:dOCMODzg



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アルバムを見つめると思い出してしまう


決して遠くない・・・つい最近のような近い過去なのに


あの日は幼稚園で私達は出会ったよね

あの日からあなたは私と友達になってくれたね


毎年夏祭りは、3人で浴衣着て屋台を回って、一緒に星を眺めたね


たまにお風呂に一緒に入ったよね
今思えば恥ずかしいよ


学校の帰り道の途中でアイスを食べたよね
2人で半分こしたよね

318: 2014/02/15(土) 21:50:18 ID:dOCMODzg


小学校の思い出作りで、2人で修学旅行を楽しんだよね
周りからデートだなんだって、茶化されたよね


中学の入学式の時、一緒に写真を撮ったね
あなたは制服なんて似合わなくてね・・・



そして・・・・


あの日はうさぎが氏んで悲しかったね


あの日から、あなたは私の前からいなくなったね



アルバムは入学式の時、学校の校門前でとった2人の写真から後は真っ白なページが続く



「やっぱ・・・寂しいよ」


ふいに声が漏れてしまう

319: 2014/02/15(土) 21:50:52 ID:dOCMODzg


声に出したところで、あなたはもう帰ってこない事は分かってる



今年は一緒に過ごせないんだね


去年は一緒だったけど話せれなかったね


その前の年もその前の年も、そうだったよね・・・


去年の今日、あなたはずっと部屋の隅で携帯を見つめてたね


私はそんなあなたを見つめてたよ


あなたは携帯の何を見つめていたのかな?


そういえば花火大会の日も一人で携帯を見つめてたね


手が寂しくなったのか、一人で線香花火をやってたよね

320: 2014/02/15(土) 21:52:21 ID:dOCMODzg


あの日の・・・・私の勇気をあなたは覚えてる・・・?



『またアルバムを見てるの・・・?』


「お母さん・・・私、やっぱ寂しいよ・・」


『・・・・・・ケーキ食べましょうか』


「・・・・2つ目だよね」


『あなたの大好きな・・・苺のたくさん乗ったケーキよ』


「・・・うん、食べる。でも、なんで2つも・・」


『サンタさんからのプレゼントかしらね』


「・・・・・・・」

321: 2014/02/15(土) 21:54:03 ID:dOCMODzg


『どうしたの・・・・?』


「お母さん・・・」


『うん。なに・・・?』





「なんでサンタさんは、私の前に現れてくれないのかな・・・」





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329: 2014/02/18(火) 22:17:17 ID:/uvGBqoM



「久しぶり、クリスタ」


「は、はい」



ただいま現在進行形で・・・



クリスタ「・・・えっと・・・・誰ですか?」



幽愁を身体全体に帯びています



エレンの家でのクリスマス会(仮)を終えてから10数日が経ち

現在冬休みを超えた一月中旬

寒さもこれからという冷えに厳しい時期


12月イコール冬と思われがちだが、実際1~2月のが寒さは絶頂です

330: 2014/02/18(火) 22:19:06 ID:/uvGBqoM


「・・・小学生の頃、塾が同じクラスだった、アルミンです」


初対面でない人に自己紹介は虚しいということを学びました


クリスタ「あっ!久しぶりだね!アルミン」



明らかに忘れていたものを突然思い出した時の目を見開き驚愕した表情を見せている


顔を忘れられる程、僕は印象のない顔立ちでしょうか

そりゃインパクトはないかもしれないけど・・・



クリスタ「・・・・・あっ、そういえばアルミンって、学年一位のあのアルミン・・・だよね?」



さて、本当に聞かれるまで僕のことは忘れられてたご様子

331: 2014/02/18(火) 22:20:36 ID:/uvGBqoM


もしかしたら僕を騙す為のボケかもしれない。という期待は儚く打ち砕かれた


期待を大きく持っていた分、無性に切なく心許無い

期待は持ち過ぎると、違った時の落胆さは計り知れない



アルミン「そうか・・・・あはは、僕ってそんなクリスタさんにとって印象に残らない感じだったかな」


クリスタ「・・・・ごめんね!なんせ小学生の頃の話だからさ・・・気付いていたのなら、話しかけてくれても良かったのに」


手を合わせて懸命に謝っている

まぁ悪気が無いことは初めから分かっているから、謝られても許す許さないなんて元々ない


アルミン「そうだよね、ちょっと時間が無くて・・・」



話しかけたくても、話せれなかった

今の今まで、勇気すら持てなかったから

332: 2014/02/18(火) 22:22:01 ID:/uvGBqoM


今は本当にタイミングが良かったんだ



『返せよ!』

『私も食べたいから』


教室の隅の机でガヤガヤ騒ぐ2人

僕の親友のエレンとアニだ


『おい、それは俺の苺プリンだ』

『何・・・?私には分けてくれないわけ?私はガッカリだよ・・・』

『じょ、譲歩しよう・・・・一口。一口だけな?』

『なんでケチるんだい。半分子でいいでしょ・・・?』


僕とクリスタとエレンとアニともう物静かな見知らぬ人1人

この人間がなぜ一つの教室に招集されたのか

333: 2014/02/18(火) 22:24:14 ID:/uvGBqoM


それは・・・


本日は学年の上位者が特別授業を受けれるというこの学校特有の制度がある


主に進学などに関わるもので、参考書には載ってない先生達自身が作った問題に対し、教わるという、もう一歩進んだ勉強会かな


言い方は特別授業だが、実際のとこただの時間外補習だ



そして・・・・

クリスタが1人でいたから、僕は勇気を振り絞って話しかける事が出来た



それとは別に・・・クリスタに関する事で最近は引っ掛かることがある


同じ生徒会なのだけど、クリスタとエレンは仲良くないように見えるという事だ


いや、エレンは普段は、他人とは常に柵を作るから、距離を置くのは当たり前

334: 2014/02/18(火) 22:26:41 ID:/uvGBqoM

仲良くないように見えるというのは間違いか

別に喧嘩しているわけじゃないんだし



なぜ避けているのか、それは簡単だ


クリスタは俗に言う本物の『リア充』だからだ

エレンとは相対している存在


人から嫌われることはない人当たりの良い性格

常に笑顔でいて誰にでも優しい・・・それが根幹を成してか、容姿端麗ということもあり『モテる』

常に周りは人で囲まれている


その上、生徒会役員の会長であり、今回の特別授業に参加もしているわけで、成績が優秀というのは自然と理解できる



つまり・・・この結果から、エレンは距離を置くのだろうと仮定出来る


それに似たようなことを昔、僕も彼から言われことがあるといのが何よりの根拠

335: 2014/02/18(火) 22:27:31 ID:/uvGBqoM


エレンと出会った頃の僕は、彼から本気でとことん避けられていた


前の僕とエレンの形が、そのままエレンはクリスタで反映されているのだと僕は思う



クリスタ「にしても、久しぶりだね・・・アルミンてば、中学になったら塾辞めちゃったもんね」


アルミン「色々あってね・・・・クリスタはまだ通ってるの?」


色々あった・・・・中学に入ったら、僕はいじめられてて、塾に通う余裕なんてなかったから


クリスタ「中学1年で辞めたよ」


アルミン「そうなんだ。どうして?」


クリスタ「どうしてって言われても・・・一緒に通ってた友達が辞めちゃったからかな」


アルミン「そっか」

336: 2014/02/18(火) 22:28:50 ID:/uvGBqoM


時間を巻き巻き戻して、思い出そう・・・

僕の小学生の頃の塾の現場に



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ーーーーーー
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アルミン(小学生)「あ、あの!」


クリスタ(小学生)「はい?」


アルミン「算数の割合の計算方法が分からないので教えてほしいのですが・・・・」


僕は2年この塾に通っていました

2年、1人の女性に恋焦がれていました


クリスタ「そういうのは先生に聞いた方が良いかと思うよ」

337: 2014/02/18(火) 22:31:04 ID:/uvGBqoM


アルミン「予習として勉強しておきたいと思いまして・・・」


「そっか。勉強熱心なんだね」そう言い、彼女は自然な笑顔を見せました


それはまさしく天使のように・・・背中に羽が見える気がする



クリスタ「いいよ・・・じゃあ、ノートと教科書開いて?私の教え方より先生の教え方のほうが分かり易いに決まってるけどね、えへへ・・」



僕は君に話しかける事に意味があった


正直、もう予習はしてきており、万全な態勢なんだ


今日は、ただのきっかけなんだ



アルミン「うぅん!クリスタさんは今期の塾内でトップを争うほど成績優秀じゃないか」


実際、彼女には言ってないが僕は2位であったが

338: 2014/02/18(火) 22:32:48 ID:/uvGBqoM


クリスタ「そうかなぁ・・・ありがと。でも、私は4位だからさ、トップなんて遠くて遠くて・・・・」


アルミン「でも4位なんて凄いじゃないか!」


クリスタ「そ、そんなに褒めたって私は何もあげれからね!もう・・・勉強始めるよ!」



・・・やはり見た目通り、可愛い・・・・


勇気を出して良かった。そう思える


いや本当に!これまでこんなに勇気を出した事がないってほど緊張した



クリスタ「割合の計算は私も昔は悩んだものだよ。これはパーセンテージの問題だよ」



クリスタさんは、手の甲を使い、横の髪をそそくさと耳にかけた


ふわっとシャンプーの香りが漂う

339: 2014/02/18(火) 22:34:37 ID:/uvGBqoM


クリスタ「塩分はこの水に何%溶けているか。これはね・・・・」


チラチラと教科書を確認しつつ、ノートに一生懸命説明しながら書くクリスタさん


クリスタ「塩分何g÷水の量何g×100で計算するの。この100は、100%の100だよ」



髪をかけた為、横顔がはっきり見える


白く柔らかそうな頬が露になっている



クリスタ「じゃあ私が例題作ってあげたからさ、一回やって・・・・ね、聞いてるの?」


ずいっと顔を僕の方に近づけてきた

正直、彼女の発していた言葉はほとんど耳には入らなかった


ずっと横顔を見つめていたのだから

340: 2014/02/18(火) 22:35:48 ID:/uvGBqoM


アルミン「え?は、はい!聞いてます聞いてます!」


クリスタ「せっかく時間割いてあげてるのに、その態度はちょーっとショックかな」


ぷくっと小動物を彷彿とさせるような感じで頬を膨らました


アルミン「ごめんなさい!」


クリスタ「ふふっ・・・いいよ。今度は真面目に聞いてよね?私の顔見たって何も問題は解けないんだから」


気付かれていた・・・変に思われただろうか


アルミン「・・・・そ、そうですよね」


クリスタ「ほーら、早くして。雑談してる時間はないよ?そういえば、あなたは何て名前なの?」


クリスタさんは別に気にする事無く、平然と流した


アルミン「あっ、僕はアルミンです」

341: 2014/02/18(火) 22:36:48 ID:/uvGBqoM


クリスタ「そう。アルミンね・・・覚えたよ」


ただし、何年後かには忘れている


アルミン「うん!」


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ーーー



アルミン「今日はありがとございました。お陰で色々授業のほうはスムーズに解けました」


クリスタ「敬語で話さなくってもいいよ。私達、同い年でしょ?」



気さくに・・・友好的に話してくれる


まだ出会ったばかりの僕に親近感を持たせてくれる

342: 2014/02/18(火) 22:37:20 ID:/uvGBqoM


アルミン「え?いいんですか?」


クリスタ「アルミンは面白いね。逆にどうしてそんな質問してくるのか、聞きたいな」


僕のこの気持ちを逆なでするように、近づいてきてくれてる

気持ちの問題の方で



アルミン「じゃあ、ク、クリスタ・・・よろしくね」


覚束無く、軽く羅列の回らない口調


噛みそうになるから、僕はゆっくり口に出して言った


クリスタ「うん。よろしくね」


『おーい。クリスタ!もう帰るぞー』


クリスタ「あっ、待ってよ!もう行くから・・・・じゃあ、ばいばい」

343: 2014/02/18(火) 22:38:23 ID:/uvGBqoM


遠くからクリスタを呼ぶ彼女の友達の姿が見えた


どうやらここで、さよならのようだ


アルミン「うん、ばいばい」



もう少しだけでも話していたいという気持ち

しかし、それは叶わなぬこと・・・まだ明日があると勇気づけ


クリスタが手を振ってきたので、僕も振り返した



『ラッキーだったな、今日はあの男が近くにいなかったし』

『うらやましいぜ!相変わらずの可愛さだな』

『おい、どうだったんだよ?』


すると周りには僕の塾での友達がわんさかと、この時を待っていたかのように寄ってきた

344: 2014/02/18(火) 22:39:22 ID:/uvGBqoM


僕は聞かれた質問に対し、素直に・・・



「・・・・すごく可愛かった」と呟くように言った



僕は初めて本気で恋をした


改めるとこなんてない

見事に想像通り、見た目通りの優しくて可愛らしい人だった


笑うと可愛くて、怒っても可愛くて・・・


非の打ち所のないとはこの事だ



好きにならないなんて有り得なかった

345: 2014/02/18(火) 22:40:41 ID:/uvGBqoM



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ーーーーーー



それから、僕はクリスタに度々話すことはあった

けど僕の恋愛模様は一向に進展などしなかった



クリスタ「アルミンは、また勉強教えてほしいの?あっ、でも今は逆に私が教えてもらう立場かな~」


アルミン「そんなそんな!クリスタだってこの授業に参加するんだし、頭がいい良いんじゃないか」


クリスタ「ふふっ・・・入学式の時、学年代表の挨拶していたの思い返してみればアルミンだったね。本当に優秀な人にそう言ってもらえて嬉しいな」


浮かべるその笑顔に僕はいつも惹かれていた


クリスタ「私の教え方が良かったからかな~、アルミンがここまで立派になれたのなんて。感謝してよ?なーんて・・・ふふっ」

346: 2014/02/18(火) 22:41:27 ID:/uvGBqoM


冗談混じりな思い出を語りながら、悪戯な・・・1つまた違う笑顔を見せたクリスタ


アルミン「そうだと思うよ」


クリスタ「いえいえ・・・私なんて小学生の頃の基本だし、アルミンは1位で私は5位でしょ」


アルミン「5位なら、頑張れば1位だって狙えるって」


クリスタ「いいの?狙っちゃうからね~・・・アルミンはギャフンと言わざるを得なくなるからね」



悪魔のようで天使のようで・・・・


小学生の頃の本気で寄せていた想いが、湧き水が湧くようにどんどん思い出と共に頭の中に流れてくる



アルミン「あはは、なにそれ」


クリスタ「私は頑張るから」

347: 2014/02/18(火) 22:43:45 ID:/uvGBqoM



『半分と言ったのはそっちだろ』

『何?私に吐き出す事を要求する気?・・・最低』

『最低はそっちだ。一口が70%は食べてるじゃねえか』

『しょうがない・・・』

『は!?ばかっ!指を喉に突っ込むな!』


ほのぼのした親友同士の会話が一瞬空気を止まらせた


・・・アニィ・・・・・



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354: 2014/02/19(水) 16:05:16 ID:Npqkr5Z.



特別授業が終わり荷物を取りに私達は教室へ足を進めた


授業のほうは約一時間ほど、プリントが配られ、それに沿うように説明を受けながらという形だった



エレン「にしても、拍子抜けだったな」


アニ「意外と簡単だった・・・先生達も単純すぎる」



特別授業というのを聞いていたのに、それほど難しい問題ではなかったのだ


少し考えれば分かる、応用のいる問題ばかりだったんだ


エレンと共感しながら、私達は談笑していた



アルミン「そうだった?結構難しかった気がするんだけど・・・」

355: 2014/02/19(水) 16:05:58 ID:Npqkr5Z.


しかしアルミンは違ったようだ



エレン「捻った問題だったし・・・得意不得意があるかもな」



確かに・・・アルミンは基本に忠実というか

教科書通りを完璧にこなしている


一度見たことない理解不能に陥ったら、とことん泥沼に嵌っていくタイプだと思う


でも、その代わり決めたられた事をこなすのなら全てに完全完璧に対処できるタイプなのだと思う



アニ「ねぇ、あんた生徒会もバイトも今日は無いのかい?」


エレン「一応な。断りだけはいれといたし・・・」


アニ「そう」

356: 2014/02/19(水) 16:06:49 ID:Npqkr5Z.


エレン「聞いただけか?特に何も無いのか?」


アニ「そうだけど」


エレン「そういえば、アニ・・・・俺の苺プリン結局全部食ったよな?お礼はいつ返してくれ

アニ「あのさ、アルミン?」


エレン「・・・・・」


アルミン「ん、どうしたんだい?」


アニ「あんたって、あのビXチと仲良さそうだったけど知り合いなのかい?」


エレン「クリスタをビXチとか呼ぶな」


アニ「え・・・・ご、ごめん・・」


アルミン「んー・・・そうだな、小学生の頃の友達かな」

357: 2014/02/19(水) 16:07:22 ID:Npqkr5Z.


アニ「へぇ・・・・好きなのかい?」


アルミン「どうしてそんな飛躍するのさ!?」


アニ「いや・・・授業中ずっと気持ち悪いくらいにチラチラ見てたよ。気持ち悪いくらいに」


アルミン「そんなの言いがかりだよ!そんな根拠のない事に僕は踊らされないよ!というか、気持ち悪いなんて2回も言わないでくれ!」


アニ「なんでそんな声を張り上げるのさ。まるで、図星突かれて焦って言い訳してるみたいな言い種じゃないか」



明らかに焦りを見せるアルミン


嘘が苦手なのか、それともやはり突然の事には対処出来ないだけなのか


どちらにしろ、その焦りが答え

358: 2014/02/19(水) 16:08:38 ID:Npqkr5Z.


アルミン「・・・・そ」


アニ「そ?」


アルミン「そうだよ・・・・僕の初恋の相手なんだ」



アルミンは隠すことなく告げた


何か吹っ切れたのか、それとも私とエレンの前じゃ嘘を貫き通すのは無理と判断したの・・・


「うぅっ・・・」と恥ずかしさを堪えながら、俯き頬を染めている姿は何とも新鮮味を感じる



アニ「やっぱりね」



そんなアルミンの驚愕の告白に対し、私は納得した

359: 2014/02/19(水) 16:09:34 ID:Npqkr5Z.


そして、エレンは・・・


無言のまま真顔でアルミンを見つめていた


私は妙々しさに気付き「・・・エレン?」と問いかけた



そしてエレンは何も無かったかの様に


エレン「ん?なんだアニ・・・?あっ!なんだっけな・・・アルミンが、俺に会うために初めてクラスに入った時、クラスの連中に絡まれてる時に、好きな人がいるみたいなこと言ってたもんな」


と、長ったらしく説明的に答えた


アルミン「よくそんなの覚えていたね・・・というか、よく聞いてたね。ずっと寝てると思ってたのに」



アルミンとエレンの出会った頃の話


どうやら私はその現場に居合せなかったらしい。初耳の情報だった

360: 2014/02/19(水) 16:10:24 ID:Npqkr5Z.


軽い疎外感も感じながら、二人の会話を聞く



エレン「あはは・・・俺は2人はお似合いだと思うぞ。ほら、アルミンは俺みたいに非の打ち所のない良いものの塊みたいな奴だしな」



再び違和感を感じた


エレンの態度に口調に・・・話す内容に


そして最近はあまり耳にしなかった自分の卑下だ


自分を否定するのはたまに聞く

でも、アルミンを立てて、自分は存在までも全否定


そこまでしてアルミンを勇気づけようとするのだろうか

361: 2014/02/19(水) 16:11:05 ID:Npqkr5Z.


こんなの自己犠牲じゃない


単なる自己否定だ



アルミン「そ、そうかなぁ!って、エレンはそこまで酷い人間じゃないからね?」



アルミンは無反応であった。その違和感に


私は気付いた

今のエレンの笑顔は『作り笑顔』だって



アニ「ね・・・。エレンどうしたんだい?」


エレン「何がだよ、アニ?」


アニ「あんた様子がおかしいよ・・・」

362: 2014/02/19(水) 16:11:55 ID:Npqkr5Z.


エレン「俺のどこがだよ?確かに俺はよく自己犠牲野郎やヒーローバカとか変だ何だと言われるが、普段の生活から乱れた事なんてしてないと思うんだが」


淡々と説明たらしく語り出した

ただしその長い説明が寧ろ疑惑を強まらせる


エレンは、自分について、自分はこういうものだ。という自己分析を、私達2人は知っているのにわざわざ何故語ったのだろうか



アニ「やっぱり変だよ」


アルミン「2人ともどうしたの?特にエレンはいつも通りな気がするけど」



アルミンは分かってない


エレンの奇行に、違和感に・・・・私だけなのか?


何かを否定したい、そんな気持ちがひしひしと伝わってくる

363: 2014/02/19(水) 16:12:37 ID:Npqkr5Z.


感情論じゃない。エレンの行動が引き金になって私はこう推理しているんだ



そして、その違和感とは・・・


アニ「・・・・・・なんか、必氏で言い逃がれしてるみたいな・・・」



エレン「は?俺が言い逃がれ?俺は論破するのが基本だ」


アニ「ふーん・・・」



やはり・・・ただの勘違いだったのだろうか


私の知らないとこでのエレンはこうなのだろうか


逆にいつも気にしてなくて、今回たまたま気にかけただけなのか

364: 2014/02/19(水) 16:13:52 ID:Npqkr5Z.


なぜ『言い逃がれ』しているように見えたのか



今のを聞いて全てを覚えているわけではない
録音も撮影もしていない私は、もう過去の事なので証拠もなく言質を取り追及する事は出来なかった


きっと途中で見た、作り笑顔も私の勘違いなのだろう


それがただの違和感や勘違いだけで終われば良い


ただ、それだけの事だけで終わればいい



アルミン「・・・・アニどうしたのさ、本当に」


エレン「アニもたまに変なこと言うよな」


アニ「別にいいさ。私の勘違いかもしれないしね」


無反応、何も変哲も無く流れる会話

365: 2014/02/19(水) 16:14:57 ID:Npqkr5Z.

私は逆に何もないのが不安にさせられる


その不安定な心持ちで、私は普段通りに戻しまた2人とも談笑を始めた



アニ「コンビニ行く・・・?」

エレン「おう!あっ、苺プリンの返しとして、パピコ半分子な?」

アニ「半分・・・?」

エレン「半分でいいし、アニと一緒に食べたいからな。嫌ならアルミンと一緒に食べるし・・・」

アルミン「ええっ・・・・今現在、冬真っ只中だよ」

アニ「まぁエレンがそこまで言うのなら・・・一緒に食べるけど」

エレン「今度は吐こうとするなよ?」

アニ「別に・・・あれは冗談だし」

アルミン「というか、なんで冬にアイス食べようとするのか、僕には分からない・・・」

エレン「じゃ、早速カバン持って行こうぜ」

366: 2014/02/19(水) 16:16:28 ID:Npqkr5Z.



今回はここまでです

出来れば予想とかを書き込むのは遠慮していただきたいです

読んでいただきありがとうございました

378: 2014/02/24(月) 15:34:32 ID:Lfaovih6




エレン「冬季合宿?めんどくさっ・・・スノースポーツや雪道散歩とか小学生かよ」


机に置いてある小さなカレンダーの予定欄を見つめ、そう呟いた


ライナー「おいおい、生徒会役員が学校行事にケチつけるなよ。生徒に示しがつかんだろ」


向かいに座ってライナーがその独り言と思われる意見について、注意を促す


エレン「なんで1月という寒い時期にも関わらず冷たい雪と戯れて、もっと寒い思いをしなきゃならんのだ。インドアぼっち舐めんなよ」


ライナー「それは仕方ないんだ」


エレン「先輩は、真夏の空の下に熱々の鍋食べたくなるんですか?それはもうドMの域ですね。よっ、M先輩!」


悪戯心でライナー先輩の言葉の言質を元に容易く煽りをかける

379: 2014/02/24(月) 15:36:18 ID:Lfaovih6


ライナー「俺は別に肯定してないだろ!つか、M先輩とか呼ぶな」


エレン「えっ・・・?ライナー・ブラウンのMは、ドMのMでしょう?」


ライナー「俺の名前のどこにMがあった!?」


ライナー先輩の無駄に整えられた眉毛が変に上がって、驚きというより必氏という表情が伺える


エレン「どうにかして、炬燵に入りながらのカルタ大会とかになりませんか。こう・・・みんなで囲んで、みかんパーティーとかさ」



最高の提案ではないか

怪我をする事のない絶対的安心平和がある

そして心が和むし安らぐ・・・良いことだらけではないか



ライナー「ジジ臭いぞ・・・」


エレン「俺は思う。人間は常に外に目を向け過ぎだと。やれ貿易だ、やれ外交だ・・・それに目を遣るくらいなら、まず自分達の社会を見直せと。不況や少子化などの自国の問題を改めた上で外に目をやるんだ」

380: 2014/02/24(月) 15:37:16 ID:Lfaovih6


ライナー「・・・・それで?」


エレン「学校も社会と同等の理想を持ち、行動考察をすべきだ。そうする事で学生はその理想を持ち、日本の社会へ出て行ける。つまり今回の冬季合宿は、外へ足を踏み出さず、内に目をやる理想を再理解するのが望ましいと思う」


エレン「・・・・だから敢えて今回は『自宅待機』を行うべきだと俺は提案する」


ライナー「却下だ」


即効で間髪入れずに俺の提案を叩き落とした

何も聞き入れてくれないよ、この人


エレン「なんでだよ」


ライナー「その考えだと、お前の自宅には何の問題があるのかよ?」


エレン「カビ掃除とか壁のキズ補修とか・・・出来るなら、食器棚の奥の埃拭きという問題も解決する必要がある」

381: 2014/02/24(月) 15:38:34 ID:Lfaovih6


ライナー「休日にしろよ!主婦か!」


怒濤の声が生徒会室を響かせた

と同時にノックも無しに扉が開けられた



『失礼します、あの~・・・』



エレン「”失礼”と思うのなら出ていけ。『私のような身分の者が厚かましく申し訳ないですが、失礼承知の上お部屋に入らせていただきます』と言え。はい、部屋に入るところからやり直し」


『えっ?』


ライナー「一般生徒に何を強要させようとしてんだ」


エレン「あはは、冗談だ。話はそこの筋肉に聞いてもらってくれ」


ライナー「筋肉って・・・・で、何か生徒会に用か?会長は今出払っているので副会長の俺が聞くが」

382: 2014/02/24(月) 15:40:56 ID:Lfaovih6


『実はですね・・・』

エレン「俺のリコールだな!リコールなんだな!仕方無い・・・俺、そろそろ引き際だと思ってたんだよ」


ライナー「うるさい黙れ」


『えっ!?・・・・これがあのエレン君・・・?』


エレン「・・・・・・」



エレン「ッチ・・・俺は不良だ。なぜなら・・・・・・・。えっと・・・不良だからだっ!!だから容易く話しかけるな。怪我するぞ・・・・」


ライナー「すまない。こいつの前世は馬鹿の帝王なんだ。気にせず話を続けてくれ」


『は、はい。あの・・・今週末に』

エレン「学校閉鎖」


ライナー「だから口挟むな!そんな休みたいなら勝手に休め」

383: 2014/02/24(月) 15:42:14 ID:Lfaovih6


エレン「わかってないですね。合法的に休むからこそ意味があるんだ。それに授業点、皆勤とかに影響が出ない・・・・この意味が分かるよな?」


ライナー「お前・・・本当に生徒会役員か?」


エレン「いつでも辞めて荷物撤去できる準備は出来てます」


『すみません!話聞いていただけませんか!』


エレン「どうせ、今週末の冬季合宿のクラスの班組み合わせや部屋割りとかの紙の提出だろ?」


『え・・・あっ、はい。その通りです・・』


ライナー「なんでわかったんだよ」



「なんでかって?」と言いながら席を立ち、扉の前で棒立ちしている人の元へ歩き出す

384: 2014/02/24(月) 15:44:08 ID:Lfaovih6


エレン「俺が教室で、クラス委員長達からビビられながら紙を貰ったしな。ビビられながら。ほら、今回の冬季合宿のしおりだ。部屋割りとかのは個人で書き込むように学級で連絡してくれ」



立クリップで纏められたしおりの束を、その紙を提出してきた人物に渡した



「は、はい。わかりました・・・」


エレン「後日、コピーしてクラスまた返すからな。一応、班の確認の為に先生に提出しなきゃならんからさ」


そして元の位置に戻り、椅子を引いて再び座った


ライナー「しおりなんて初耳だが」


エレン「昨日頼まれて、昨日作ったからな」


ライナー「ちょっと1冊見してみろ・・・・は!?これ54ページって・・・はぁぁ!?」



1人驚愕の顔を浮かべぎゃーぎゃー騒いでる

385: 2014/02/24(月) 15:45:34 ID:Lfaovih6


そこまで凄いことではないだろう

ちょいと5時間ほどパソコンに向かえばいいだけの事なのに



エレン「うるさい黙れ」


ライナー「旅館の地図に注意事項、予定表とか・・・・昨日全部お前が纏めたのか?」


エレン「二度も言わさないでください。針と糸で一生開けない口にさせますよ。昨日作ったと言いましたよね」


ライナー「お前・・・・裏では仕事はしっかりこなしているんだな」


エレン「俺をなんだと思ってるのですか。任された仕事を放棄するような教育は受けてませんから」


ライナー「つか、お前しおりまで作っておいて、あんな嫌がってたのか?」

386: 2014/02/24(月) 15:46:42 ID:Lfaovih6


エレン「それとこれとは話が別だろ。って、お前はもう出てっていいぞ」


『は、はひ!失礼しました!』


ライナー「おう」


ライナー先輩が返事をし、その人物は生徒会室を後にした


2秒ほど置いて、俺はまた口を開いた



エレン「俺は仕事するには、する。けど面倒と感じる事は感じるんだ。仕事をすればする程、面倒に感じるのは誰でもだろ?好き好んで生徒会に入ったわけでもない俺からしたら、全てが比例して良い行いをする度、ストレスが溜まるんだ」


ライナー「お前は本当にストレートだな。本当にリコールが来るぞ。というか寧ろ、そこは反比例させようぜ」


エレン「リコールどんとこい!」


ライナー「まぁリコールなんて認められないと思うけどな。ただでさえ3人で切り詰めているのに、さらに削り取るなんて事無理に等しいからな」

387: 2014/02/24(月) 15:47:49 ID:Lfaovih6


エレン「はぁぁ・・・・」


ライナー「深い溜息だな」


エレン「誰か俺が停学にならない程度の問題をでっち上げて、無理矢理にでも辞めさせてもらえないか・・・それなら、辞めたってリコさんは批判する手立てもないしな」


ライナー「もう土下座でもしてこい・・・」


呆れ顔そう答えるライナー先輩


エレン「俺にも自尊心があるんでね・・・土下座とかプライドが傷付く」



そう言った矢先、「あっ」とライナー先輩が何かに気付いたかのように、俺を見つめて疑問符を浮かべながら問いかけてきた



ライナー「そういや、冬季合宿の班やら何ならは、どうしたんだ?お前、友達いないんだろ?」


考えさせられる

388: 2014/02/24(月) 15:48:43 ID:Lfaovih6


班を決める時間は、体育のサボってたのが延長として熟睡してしまっていた


だとしても確認する術はない


先生にうちのクラスの紙は渡してしまった



エレン「そういえば・・・そうだな」


ライナー「肯定するなよ・・・・聞いた俺が虚しくなるって」



まぁどうせ適当な人数合わせで使われたと思うけど



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ーーー

389: 2014/02/24(月) 15:49:47 ID:Lfaovih6



クリスタ「本日14日から2泊3日の第1学年冬季合宿を行います。1年生で作る思い出はこれで最後です。怪我無く、仲間との協調性を高め、良い3日間を過ごせるようにしましょう」


エレン「一同、礼。・・・それでは、男子は1~3号車に乗り込んでください・・・ッチ・・。女子は4~6号車に乗り込んでください。なおこの後、保健医とクソ・・・ペトラ先生はこちらへ来てください。話がありますので」



『今、舌打ち聞こえなかった?』

『バス隣同士だね~』

『おい!バスで菓子争奪戦しようぜ!』


ざわざわ・・・がやがや・・・・




エレン「おい・・・・これはどういう要件だ?この野郎・・・俺にも限度っていうのがあるんだよ」


リコ「はぶられたお前が悪い」

390: 2014/02/24(月) 15:51:57 ID:Lfaovih6


ペトラ「ほ、ほら!エレン君は大丈夫な人だからさ!」


エレン「・・・・本気で言ってるのか?面白がっているんだろ?どうなんだ?」


ペトラ「面白がってないって!ほら、決めたの違う先生だしさ!それほどエレン君は信頼されているんだし!生徒は違っても先生はエレン君の味方だよ」


リコ「私には謝罪の言葉しか述べれん。本当に悪かった。でも別に良いだろ?同じ-・・・」



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『あー、櫛忘れちゃったー』

『女子力低いぞー!あはは、まぁ部屋で貸してあげるから』

『みんなー!飴あるけど食べる?』


『『食べるー!』』

391: 2014/02/24(月) 15:53:12 ID:Lfaovih6



エレン「何が女子力だ・・・・物理的に、だろ」


俯き小声で呟く



クリスタ「・・・・ごめんね。うちの担任が勝手に一緒に行動したほうが、会議とかの進行も進めやすいって・・・」



バスの席。俺の隣に座るクリスタが辿々しくそう告げた



先ほどバスに乗る前に『別にいいだろ?同じ生徒会なんだから』とリコさんは言った



何がいいのか・・・・


生徒会だから生徒会の奴らでひと括りするという事か?


俺が訴えられても抵抗出来んぞ・・・

392: 2014/02/24(月) 15:54:12 ID:Lfaovih6


というか女達の巣窟、略してオタクに俺を突っ込むな


いくら俺が他人に興味無いからって、これは非常識だろ

俺をただの朴念仁の鈍感スペア野郎とかと思ってるのか?



エレン「別に・・・・うちのクラスで1人男子がはぶられるくらいなら、俺がはぶられた方がいいからな」



うちのクラスは元々いた人数から少しばかり減っているんだ


そのせいで初めの頃の29人という素数で班分けをした結果、俺とアニははぶられた


今回は部屋割り=班分けも込めて、4人で1班だったんだ


女子は女子で仕方なく組むことになっている為、今回はアニは有無を言わさず組まされた


さて、これで分かったろ?

故意的に浮かされているんだ

393: 2014/02/24(月) 15:56:36 ID:Lfaovih6


エレン「それにそういう貧乏クジを引くのは生徒の代表がしたほうが良いし・・・。そもそもそういうのは俺が適してるお前が謝るな。それに俺には仕事以外の事で話しかけるな」


そう。デキレースとも言える、貧乏クジを引いたのは俺さ



クリスタ「・・・・・・・うん」


エレン「・・・・・・・」


なんでこんな気まずい思いをしなきゃならないんだ

その場で自分だけが違う存在だと理解したら、無駄な視線を感じるように思えてきた


ほんと・・・・自意識過剰だな



『・・・んくん・・・・れんくん・・』



エレン「ん・・・・どうした。到着時間を聞きたいのか?それともお手洗いか?それとも酔ったのか?」

394: 2014/02/24(月) 15:57:46 ID:Lfaovih6


『飴食べますか・・・?』



そんなことかよ・・・舌打ちしそうになる



エレン「いらないけど・・・」


『そうですか』


エレン「食べ過ぎると、向こうの旅館に着いた時、お昼食べれなくなるからな?気を付けるんだぞ・・・・あと、ありがとな」


『は、はい!どういたしまして!・・・・・たはは、断られちゃった』

『おっ、すごい根性じゃん!飴1個プレゼントー!』

『ありがと。まぁ私は勇気が売りだからね。というかイメージ違ったんだけど・・・』



俺は草むらでたまたま出会ったラティアス&ラティオスの辺りですか

395: 2014/02/24(月) 15:58:44 ID:Lfaovih6


そんな俺と話すことに勇気がいるのか

さすが女子力(物理)の集団だ。ビビるわぁ・・・



というか、俺に対する警戒心というか恐怖感が、『根性』や『勇気』でどうにかなるほど、俺の知名度みたいのは落ちてきているのか



エレン「そういうのは俺に聞こえないように話せよ・・・」

と、俺はまたボソッと小さな声で呟いた


クリスタ「エレン・・・・」



そんな俺の言葉を聞いたのか、それとも仕事の事で質問があったのかクリスタが俺の名前を呼んできた


その前に忠告しているから、仕事の事に決まってるだろうけど



エレン「なんだよ。言いたい事あるなら言え」

396: 2014/02/24(月) 16:00:31 ID:Lfaovih6


クリスタ「え?・・うん・・・その・・・・えっとなんだっけ・・・」



まどろっこしい・・・手話をつけて何かを伝えようとしているのだが、分からない


いや、これは手話ではなく、ただアタフタしているだけなのだろうか?その疑問が過る



エレン「早く言えって・・・」


クリスタ「その・・・えーっと・・・・・あっ!あっちに着いたら、昼食だよね。その次は何をするんだっけ?」



それくらい昨日も今日の朝も先生達と確認しただろ


クリスタの記憶力なら、これくらい忘れる訳ない気がするんだけど



というか、これくらい覚えてろよ・・・

397: 2014/02/24(月) 16:02:41 ID:Lfaovih6


エレン「昼食の後は、1度旅館での部屋に入って荷物を置く。そこでウェアに着替えて、15分後に外のエントランスに集合。そしてゲレンデで自由に別れて・・・」


クリスタ「・・・・・」


エレン「・・・おい、話聞く気無いなら説明しないぞ」


クリスタ「あっ・・・ご、ごめん・・・・ちゃんと聞くから」



はっと気付き慌てた素振りを見せる


何故か視線は俺の頬の方を向いており、唖然というか口をポカンと開けたまま鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をしていた


間の抜けた声で少し裏返ったりしてた


何を焦っているのか、何に集中力を剥ぎ取られていたのか・・・・



エレン「・・・そこで、それぞれの班になって、教えてもらう人はインストラクターに教えてもらい、自由に滑りたい人は班で固まって滑る。それで、5時にまたエントランス集合・・・以上だ」

398: 2014/02/24(月) 16:06:40 ID:Lfaovih6


俺が言い終わりクリスタを見た瞬間


「ありがとね」と、クリスタは笑みを浮かべ、バスの中で一際目立つ声を発し、感謝の言葉を述べてきた


俺もその返事に対して「クリスタの為だからな」と答え、自然に頭に伸ばして髪を撫でた




「・・・・・・え・・・」



瞬く暇もなく即座に手を引いた



「・・その・・・・・悪い・・・。・・・・・本当に悪い。間違えた・・・」



自分からクリスタに話しかけるな、と言っておきながら俺は何をしているんだろうな



「・・・・そ、そっか・・」

399: 2014/02/24(月) 16:09:33 ID:Lfaovih6


一瞬、唇を噛み締め、涙目を浮かべてるように見えた


けど、見間違いだろう・・・すぐにクリスタは目線を下げ、俯いた




これから、クリスタと3日も共に過ごすとなると・・・・少し気が引ける



気持ちの問題で俺は耐えられなくなると思う



”罪悪感”で




400: 2014/02/24(月) 16:11:41 ID:Lfaovih6
今回はここまでですので

少しばかりか忙しかったので更新遅れてしまいました

はい。それでは読んでいただきありがとうございました

407: 2014/02/28(金) 22:27:48 ID:/SJegAnw



旅館の個室で1つ扉を跨いでウェアの着替えを行う


2人して無言のままであるから、しゅるしゅるという服の擦れる音やチャックを占める時のジジっという音だけが妙に耳に目立つ


本来なら4人で使うはずの部屋を2人で使うので、ひどく広く感じる


本当に2人で使っていいのか、他の人達はもしかして狭い思いをしているのかもしれない・・・そんな遠慮がちな申し訳なさで胸がいっぱいです



エレン「俺は周辺を巡回してくるから、クリスタは友達のとこに行ってこい。仕事は俺一人でやるから」


クリスタ「うぅん・・・私も一緒に回るよ」



それでいて、妙な期待感を私は持っている


期待感といっても下心ではないです


私の期待感は切羽詰まるような思いを秘めている

408: 2014/02/28(金) 22:28:45 ID:/SJegAnw


言い方を変えよう。


私の何を失ってもいいから、期待を実現させてほしい



エレン「お前は、こういうの好きだろ・・・やってこい」


クリスタ「私は生徒会長なんだから。仕事を1人に押し付けない」



だが、所詮秘めているだけ、祈るだけ

私には秘める事しか出来ない


私には願いを叶える事が出来なかった

だから期待して秘める事しか出来ない


それは私の誠意が実際は小さく微々たるものなのか、それとも私が願いを叶える事を許されていないだけなのか

409: 2014/02/28(金) 22:29:40 ID:/SJegAnw



エレン「・・・・・。・・・勝手にしろ」



分かってることは

私は・・・昔より、もっと弱々しく成長している



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?数時間後・スノースポーツを終えた頃?



先生「見回りお疲れ。怪我人はでなかったか?」


エレン「幸い怪我人は出なかったですよ」


先生「全部の時間見回りさせて、すまないな。エレンも滑りたかったか?」

410: 2014/02/28(金) 22:31:10 ID:/SJegAnw


エレン「いいえ・・・・別に大丈夫です。それより、それはクリスタに言ってやってください」


クリスタ「え?いえいえ・・・私も大丈夫ですよ?気にしないでください」


エレン「はぁ・・・・俺に合わせなくていいぞ」


クリスタ「!!」


エレン「んじゃ、なんかこの後は面倒な仕事があるんだよな。クリスタはもう行ってていいぞ。俺は先生と話があるから」


クリスタ「う、うん・・・」


タッタッタッ・・・



エレン「はぁ・・こんな行事、仮病で休めば良かったな・・・」


先生「教師の前で言う事か?」

411: 2014/02/28(金) 22:31:58 ID:/SJegAnw


エレン「そうですね。すみません・・・内容としては良い行事だと思いますよ?宿泊を伴う集団生活を通して人間関係を直に学ぶ事を体験したり、厳寒の自然に親しみ畏敬の念を抱くなど、経験を積むことで良い心構え作れる第一歩となれます」


先生「そうだな」


エレン「けど、納得いかないのが、この置かれている状況だ。生徒会であるからという単純な理由で、クリスタと男女共に生活をするという設定が気にくわない」


先生「それは、まぁ・・・先生達も簡単に決定づけた事は反省しよう。エレンの性格を知った上で勝手にしてしまったな。悪かった」


エレン「俺がイラついてるのは、そっちじゃねえ・・・・です」


先生「イラついてって・・・そっちじゃないとは?」


エレン「クリスタに変な悪評が付いたらどうするんだと俺は言いたいんだよ」


先生「・・・・・それは」


エレン「俺は表面上、周りから不良扱いされ疎遠されてるんだよ・・・対してクリスタは、それなりに周りの人間から信頼も好意も向けられる人間なんだよ」


先生「・・・・・・」

412: 2014/02/28(金) 22:33:41 ID:/SJegAnw


エレン「その上で俺なんかと一緒にさせたら、どうだ?クリスタの会長や人間としての信頼性と支持率も不安になるだろ」


先生「それは大袈裟じゃ・・・」


エレン「そんな、ことの大きさを計ってるんじゃねえよ。起きてからじゃ遅いんだよ。ふざけるなよ・・・」


先生「そうだったか・・・・だが、もう変更は不可能だ」


エレン「知ってるさ。なら、今回は俺が精一杯配慮すればいい。だからこれからはこんなこと止めてくれ・・・・・」



俺はクリスタの傍にいるべき人間じゃない

”クズ野郎”だから



エレン「じゃあ、俺はこの後に仕事があるんで消えますから」

413: 2014/02/28(金) 22:37:44 ID:/SJegAnw


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『恋』とは小さく子供の心にも芽生えるもの


『憂愁』とは歳なんて関係ない。悲しいものは悲しい



これは私が、幼稚園というのに通い始めた2日目の頃


この恋と憂愁を共に初めて体験した時の事でもあります


恋と言っても、私はこの頃分かっていたのか


でも、昔から変わらないこの気持ちは、きっと分からなくても抱いていたのだと思う

414: 2014/02/28(金) 22:38:53 ID:/SJegAnw



クリスタ「やだっ!髪引っ張らないで!いたいよぉ」


「こいつの金色の髪、絶対桂だろー」


「知ってるぜー!お前んちの父ちゃんと同じだろー」



太陽の明かりが、空を覆った時刻


私は人生初の虐めを受けました


それは子供からしたら、遊びや面白みでやっていた事かもしれないけど



クリスタ「いたいいたいっ!髪の毛抜けちゃうよ!」


「なかなか取れねえな」


「こいつ接着剤でくっつけてるんだって!」

415: 2014/02/28(金) 22:40:10 ID:/SJegAnw


非力な私じゃ何も抵抗できなかった


そんな遊び心は私を恐怖に貶める



「そうか!じゃあそこの水取ってくれ」


クリスタ「ふぇ・・・ひぐっ・・・・・んぐっ・・・」



いくら泣いたって誰も助けてくれない


いくら泣いたって止める気配はない



「接着剤なら水かければ取れるだろ?」


「なるほど・・・」

416: 2014/02/28(金) 22:42:03 ID:/SJegAnw


でも、泣くしか抵抗する術はなかった



クリスタ「ひぐっ・・・ひぐっ・・・・」



水を浴びて、かれこれ15分ほど泣き続けただろうか


水が染み渡り身体に途轍もない冷たさとへばり付く気持ち悪さが肌に伝わる



『だからよー、団地妻はやばいんだって』

『だんちづまー!』

『そうそう、やばいんだ』

『やばいー』

『ほら、なんか響きがかっこいいだろ?』

『いいだろー』

417: 2014/02/28(金) 22:42:54 ID:/SJegAnw

『・・・・ちゃんと分かってるのか?』

『分かってるのかー』

『そうだよな・・・まだ2歳だし・・・・ん?』

『にーしゃん?』



私がすぶ濡れでへたり込んでいるとこにある兄妹が駆け寄ってきたのです



クリスタ「うっ・・・ひぅっ・・・」


兄「おいおい、どうしたんだ?雨にうたれたか?」


妹「うたれたのかー」


クリスタ「・・・・ひぐっ・・・」



しかし、私は彼の言葉を聞かずに、泣き続けました

418: 2014/02/28(金) 22:44:32 ID:/SJegAnw


すると、彼は・・・


兄「お前・・・服を脱げ」


私に服を脱ぐことを強要してきたのです


クリスタ「えっ・・・」


妹「にーしゃん、私も?」


兄「お前は脱がなくていい」



私は言われるがまま服を脱ぎ捨てました


すると彼は徐ろに自らの服を脱ぎ、私の前に突き出してきました



兄「ほら、そのままじゃ寒いし風邪引くだろ?その間、俺の上着貸してやる」

419: 2014/02/28(金) 22:45:24 ID:/SJegAnw


クリスタ「・・・・うん・・・」


妹「にーしゃん、私も?」


兄「お前は脱がなくていい」



彼の貸してくれた服はぶかぶかで袖から手が出なかった

でも、とても温かく・・・いい香りがした



兄「そういや髪の毛ぐしゃぐしゃじゃねえか」


妹「にーしゃん、にーしゃん!はい、どうぞ!」


彼と手を繋いでいる少女がポケットから、櫛を取り出して彼に手渡ししたのだ


兄「ん、ありがと。ほら、この櫛で髪の毛整えてやるよ」

420: 2014/02/28(金) 22:46:25 ID:/SJegAnw


ほんの数分前までは、男なんて大嫌いや恐いと思ってた


ほんとに・・・



クリスタ「・・・・・・」


兄「折角、綺麗な髪なんだから・・・ぼさぼさだとなんか勿体無いだろ」


彼は慣れた手つきで私の髪を梳かしてくれた

流れに沿って決して痛みを与えないように優しく扱ってくれた


クリスタ「・・・・・リガト」


兄「で、何故びしょ濡れなんだ?水道で水を出し過ぎたのか?」


彼は私の髪を梳かしながら問いかけてきた

思い出して一気に心苦しくなる

421: 2014/02/28(金) 22:47:46 ID:/SJegAnw


クリスタ「・・・・うぅん・・・」


妹「にーしゃん、私も?」


兄「うん。何がだ?」


クリスタ「こんな服ぐしょぐしょにしたら、お母さんに怒られちゃう・・・」


兄「何があったんだ?」


クリスタ「水かけられたの・・・」


兄「か、かけられた・・・?」


クリスタ「ひぐっ・・・どうしよ」


兄「おいおい、泣くなって・・・そっか。お前の母さん恐いか・・?」

422: 2014/02/28(金) 22:49:22 ID:/SJegAnw


こわいというのは分からない


怒られたことはないから


けど、怒られるような『いけない』事をしたという安心をえぐり取られるような心の痛みを感じ


小さな私でも理解していた・・・怒られてしまうと



クリスタ「分からない・・・けど、怒られちゃう・・」


兄「・・・・そろそろ、親御さんの迎え来る頃だし・・・」


クリスタ「・・・・お母さんから嫌われたらどうしよう・・・」


兄「・・・・・よし!俺に任せろ!」


妹「おー、任せろー」

423: 2014/02/28(金) 22:50:45 ID:/SJegAnw


ーーーーー
ーーーー
ーーー



クリスタ母「クリスタ?どうしてこんな服はびしょ濡れなの?」


クリスタ「・・・・ごめんなさい」


クリスタ母「謝るだけじゃ分からないの。どうして全身びしょ濡れなのか聞いてるの?」


兄「お、俺が水をかけてやったんだ!だから・・・だから!悪いのは俺なんだ!クリスタを怒らないでくれ!」


クリスタ「えっ・・・」


なんと、彼は私を庇ってくれたのだ

事実でない虚実を私の母親へぶつけた


クリスタ母「・・・・・・ふーん。・・・どうして、そんなことするの?」

424: 2014/02/28(金) 22:53:20 ID:/SJegAnw


兄「あっ・・・その・・えっとだな。あ、あれだあれだ!ちょっとイラついたからさ・・・そう!イラついたからだ!だから、おっ怒るなら俺を怒ってくれ!」


妹「にーしゃん、どーして嘘つくの?」


兄「ばかっ!う、嘘ついてないし!あっ、おばさん嘘じゃないからな!?俺が水をこいつにかけたんだ!」


彼は一生懸命に言い訳をする


そして私の母は「ふふっ・・」と小さな笑みを浮かべた


クリスタ母「優しい虐めっ子さんだこと。クリスタに上着貸してくれて、ありがとね」


彼は疑問符を浮かべ、うしてこうなったのだ?と脳が処理できない状況


クリスタ母「さて、あなたの名前はなんて言うのかしら?」


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ーーーーーー
ーーーー

425: 2014/02/28(金) 22:54:23 ID:/SJegAnw
ミスです

彼は疑問符を浮かべ、うしてこうなったのだ?と脳が処理できない状況

彼は疑問符を浮かべ、どうしてこうなったのだ?と脳が処理できない状況

ですので

426: 2014/02/28(金) 22:55:37 ID:/SJegAnw




ペラペラっと冬季合宿のしおりのページを捲る


こんな何もしていない時間が長く長く感じた・・・


先ほど、仕事とは言ったもののただのクラス委員長と生徒会の俺とクリスタでの単なる会議に過ぎなかった



クリスタ「・・・・先にお風呂使わせてもらうね」



布団の上に置いてある寝間着を手に持ち、俺を向き、そう伝えた


お風呂に入るから間違えて入らないよう連絡したのだろう



エレン「・・・体洗う用のタオルは浴槽の縁の傍にある。あとクリスタが嫌なら浴槽のお湯は出終わった後に、流しても構わない。バスタオルは入って、すぐ右の棚の上にたたんであるぞ」

427: 2014/02/28(金) 22:56:30 ID:/SJegAnw


クリスタ「いろいろありがと・・・」


少し会釈をし、ニコッと笑ってクリスタはお風呂場のある扉の方へ振り向いた


エレン「・・・・床濡れたら滑りやすいから、気をつけろよな・・・」


クリスタ「エレン、あのさ」


これから向かおうとしていたのに足を進めず、振り向いたままクリスタは話しかけてきた


エレン「・・・・ごめんな」


クリスタ「ちょっと話をしようよ」


声を張り上げて、部屋の中で声だけが響く


エレン「・・・ほんとにごめんな」


「っ・・・」と何かを噛み締めたような声を吐き出し、5秒ほど時間があき

428: 2014/02/28(金) 22:59:57 ID:/SJegAnw


クリスタ「エレンは、もう勇者じゃないんだね」


と、呟くよう俺を責めるかのように・・・そう言ってきた


エレン「・・・・・。・・・早く風呂に入ってこい」



俺はクリスタが風呂場の扉を開け、入ったのを確認し、徐ろに携帯を手に取った


Pi・・・・ぷるる・・・ぷるる・・



ミーナ『もしもし・・・お兄ちゃん』


エレン「ごめんな、こんな時間に電話しちまって・・・」


ミーナ『なんか元気ないよ?どうしたの・・・?』


エレン「・・・・・ミーナはさ、母さんのこと何も覚えてないか・・・?」

429: 2014/02/28(金) 23:00:40 ID:/SJegAnw


ミーナ『そんな唐突に・・・・うろ覚え程度だよ』


エレン「なんか気分悪くなるようなこと聞いて悪いな。・・・・じゃあ、お姫様と聞いて何か心当たりないか?」


ミーナ『・・・・昔、お兄ちゃんは私のことをそういう風に扱ってくれてたよね』


エレン「その頃の俺と今の俺って、何か違うか?」


ミーナ『・・・・答えてほしい?』


エレン「どうしてそんな質問をする」


ミーナ『・・・・私が助言するより、自分で理解してほしいかなって』


エレン「ミーナは、たったこれだけの会話で、どこまで察してるんだよ」


ミーナ『うぅん・・・ほとんど分かってないよ。でも、お兄ちゃんが悩んでるって事は、声を聞いた時から気付いてたよ』


エレン「さすが俺の妹だ」

430: 2014/02/28(金) 23:01:13 ID:/SJegAnw


ミーナ『いえいえ・・・』


エレン「好きだぞ」


ミーナ『・・・・っ!』


エレン「おうおう、無視か?いつの間に、そんな偉くなったんだ?」


ミーナ『私も・・・・スキ・・・だから』


エレン「ありがとさん。なんか暗雲晴れた感じだ」


ミーナ『そっか・・・さすがシスコン』


エレン「家帰ったら襲うぞ?」


ミーナ『じゃあペトラさんに電話しちゃおうかな』


エレン「冗談くらい察してくれよ。ペトラ先生とか氏亡フラグじゃねえか」

431: 2014/02/28(金) 23:02:03 ID:/SJegAnw


ミーナ『どう、スキーかスノボ楽しめた?』


エレン「冬季合宿云えど知識力を高め探究心を深める学習する場。運動も青春を過ごす為の学生の本文ともいえよう。だがしかし」


ミーナ『うんうん。やってすらないんだ』


エレン「結果を述べるとすれば、そういう事だ」


ミーナ『もう少し楽しみなよ。お兄ちゃん運動神経抜群なんだからさ・・・』


エレン「どうしても譲れないものがあるんだ」


ミーナ『まぁがんばって』


エレン「おう。じゃあ切るから」


ミーナ『明日もお兄ちゃんの声を聞きたいな』

エレン「このブラコンめ」

432: 2014/02/28(金) 23:03:24 ID:/SJegAnw


ミーナ『もう!そんなんじゃないし!でも大好きだから!』


エレン「はいはい、おやすみ」


ミーナ『うん。おやすみなさい』


ぷつん・・・ツーツー・・



さて、これはどうしたものか


疑問に思ってた・・・どうして、クリスタは俺に近付いてくるのだろうか


どうして、こんな俺をまだ追いかけてくるのか


もうお前の理想でも勇者でもない・・・裏切り者をどうしてまだ手を差し伸べてくるのか



俺は昔とは違うよな・・・?

449: 2014/03/04(火) 22:11:45 ID:PV1PENN.



照明を落とし、扉側の電気が1つしみじみ光っている


もう既に合宿のしおりに書かれてある通りの夜10時消灯の時間を疾うに越えている


今の時間に騒ぎや起こそうならば反省文はままならない



クリスタ「まだ起きてる・・・?」



小さく漏れた寝息がエレンほうから聞こえる


私が声をかけたことで息が乱れた

つまりは寝息ではなく、ただの吐息


寝ながら身体をエレンの方向へ傾ける



エレン「眠れないなら、眠たくなるまでテレビでも見てろ。俺は気にならないから・・・」

450: 2014/03/04(火) 22:12:37 ID:PV1PENN.


天井に顔を向け、目を閉じたまま口を聞いている事だけが見てとれる


私は出来るだけ音を立てないように掛け布団を胸の前から退けた



クリスタ「・・・・別にいい・・・」



立ち上がり、音を立てないことを心掛けエレンの布団に手を掛けた


私の言葉を返すのに少し時間がかかるエレン

部屋の壁の真ん中に飾られたシンプルなアナログ時計はチッチッと決まられたリズムで音が刻まれる

静寂が故無駄に耳に響く



エレン「なら話しかけるな・・・というか、布団に入ってくるな!」



案の定、エレンは拒否を見せた

451: 2014/03/04(火) 22:13:09 ID:PV1PENN.


けれども、それはいつもの単調な様子


特別嫌がる姿を見せない


いつもの私をあしらう様な素振りで・・・



クリスタ「やだ・・・」


エレン「『やだ』じゃねえよ」



今度はエレンも即答する



クリスタ「どうして・・・そんな私から逃げるの・・・・そんなに私が嫌いになったの?」


エレン「・・・・・」

453: 2014/03/04(火) 22:15:07 ID:PV1PENN.


また数秒ほど静かになり、時計の針が刻む音だけが聴こえ、刻一刻と時間だけが過ぎるのを聞いて感じれる



だがしかし、時間が過ぎると言われても夜は長い


1日の約3分の1の時間があるのだから

まぁそれは人それぞれであるが



クリスタ「答えなきゃずっとこのままだよ・・・」


エレン「嫌いじゃない・・・以上だ。早く出てけ」



私は別に答えたら離すとは言っていない



クリスタ「やだ・・・」


エレンの胸に両手を回し入れて、そっと力を込めて身体を寄せた

454: 2014/03/04(火) 22:17:18 ID:PV1PENN.


エレン「じゃあ俺はクリスタの方のベッドを使うから」


私が抱き締めたと同時に、天井に向けていた顔を私の顔の向きとは真反対の方向へ向けた


クリスタ「やだ・・・」


私は動こうとするエレンの身体を押さえ込み、さらにギュッと力を込める


エレン「なんなんだよ・・・お前はもう子供じゃないだろ」


クリスタ「なら子供でいい」



我ながら稚拙な返答


けど、今はこうしていたい

離したくないのが事実


何年ぶりだろうか・・・と五臓六腑に染み渡るような幸福感に満ち足りていた

455: 2014/03/04(火) 22:18:12 ID:PV1PENN.



エレンが「あのな・・・」と続くように説教じみた事を口走ろうとした瞬間に、私はすかさず・・・


クリスタ「どうして私から離れていくの」



エレン「さぁ・・・どうしてだろうな」



恍けてない訳ではない

悪戯に答えているわけではない


ただ何かを隠しているのだと



クリスタ「エレン・・・」


エレン「そんなに寄るな・・・」

456: 2014/03/04(火) 22:20:08 ID:PV1PENN.


クリスタ「やだよ・・・」


エレン「・・・・やめてくれ・・・」


クリスタ「やだ・・・!」


エレン「本当に・・・やめてくれ!」



似たようなやり取りを繰り返す


そしたら・・・エレンの声から躊躇いと震えのようなものを感じた



そして、私は気付いた



クリスタ「泣いてるの・・・?」



457: 2014/03/04(火) 22:21:24 ID:PV1PENN.


エレン「なんでお前は、こんな俺なんかに近付いてくるんだよ・・・こんな俺なんかに」



エレンは私に背を向けたままに私の問いとは関係無く、問いに対して問いで答えた


枕に目を擦りつけているのが影でなんとなく分かる



クリスタ「どうしてそんなこと言うの?」



それが私の本心であり、すべてを結集させた悩みの種の解決させる一言であった



エレン「は?」


クリスタ「私は昔と何も変わらないよ。傍にエレンがいるから私はエレンに手を差し伸べるんだよ」



それは私がエレンに近付く建前や口実なんかではない

458: 2014/03/04(火) 22:22:47 ID:PV1PENN.


何も飾り付けていない本音である



エレン「・・・・俺は何度でも振り払うから」


私はエレンの首元に顔を近付けて、息が当たるか当たらないかの距離で


クリスタ「何度でも何度でも私はエレンを掴もうと手を伸ばし続けるから」


エレンは溜め息混じりの声を吐き出し


エレン「お前は俺が何をしたのか覚えてないのか・・・?」



私は何も考えずずっと思っていたことを素直に言いました



クリスタ「エレンは何もしてないよ」


エレン「・・・・・・・」

459: 2014/03/04(火) 22:23:22 ID:PV1PENN.


自分でも理解しているのだろう


自分が何をしたのか明確に覚えているのだろう


こうして私はまた追い討ちをかける



クリスタ「私が言えることは、エレンがバカだよって事だけだから・・・」


エレン「・・・・もう寝るから、あっち行け」


クリスタ「やだ・・・」



自らの顔をエレンの温かな背中に埋める



エレン「せめてその絡めてる腕だけでも離せ」


クリスタ「なら・・・もっとくっつくから」

460: 2014/03/04(火) 22:24:01 ID:PV1PENN.


エレンのペースに持っていかれないよう、最善に自分独自のペースを発揮した


自分の作った状況に対して折れたら負けただとわかってる


エレンはどんな状況にだって自分のペースを作り出す事が出来る・・・

形勢逆転なんてエレンからしたら当たり前だから


だから私は私のペースでエレンの言葉を全力で断ち切る



エレン「なぁ、俺らはもうそんな関係じゃないんだ。なんで分かってくれないんだ」


クリスタ「まだエレンの”青春”は続いてるから・・・・。バッドエンドのつもりでいるけど、まだ何も終わってないよ」


エレン「・・・・っ!」



クリスタ「勘違いしてるのは、エレンだけだから」

461: 2014/03/04(火) 22:24:56 ID:PV1PENN.



そこで会話は途切れた



エレンは黙りこくって、私はただただエレンの背中に自分の体温の圧力を掛けた


気付いた頃には、エレンは完全に熟睡しており、私はいつまで経っても眠れずにいた


エレンという心の拠り所があり安心しているのに、どこか不安で・・・


どこにも行かない筈なのに、目が覚めたらエレンは私の前から居なくなってる気がして・・・



・・・・・離れたくない。



離れるくらいなら、朝までずっとこうしていたい・・・・限界まで感じていたい


そんな自己欲求の放出が、自らの睡眠を妨げているのかもしれない

462: 2014/03/04(火) 22:25:38 ID:PV1PENN.


もしくは、ただ単に胸が高まって・・・緊張しているだけなのかもしれない



さて、私の『期待』は・・・・何パーセントまで解決の方向へ迎えただろう


もしかしたら、振り切ってマイナスの方向へベクトルは向いたかもしれない


『かもしれない』や『だろう』という曖昧で断定できないヒントで、私はだらだらとエレンの距離を詰めていく


距離は長いのか短いの全くを持って理解不能です


もしかしたら、もう目と鼻の先かもしれません




ずっと思ってる


エレンは何を思い悩んでいるのだろう

エレンは本当に何もしていないのに。と・・・

463: 2014/03/04(火) 22:27:31 ID:PV1PENN.
ほんの少し消えますので

464: 2014/03/04(火) 22:48:47 ID:PV1PENN.



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クリスタ母「さて、あなたの名前はなんて言うのかしら?」


兄「俺はエレンだ」


妹「私、ミーナ・・・・えっと・・2しゃい!」


エレン「それより、俺の事怒らないのか?」


クリスタ「お母さん・・・怒らないで。全部、私が」



私が弁明をしようとした瞬間に、お母さんの大らかな手が私の頭をポンポンと優しく叩いたのです


お母さんの顔を覗き込むと、女神のような頬笑みを浮かべていました

465: 2014/03/04(火) 22:49:38 ID:PV1PENN.


クリスタ母「お母さんは誰も怒る気なんて無いわよ?お母さんは何があったか聞きたかっただけだし・・・でも、勇者さんがお姫様を救ってくれたみたいだし、もういいかな」


エレン「??」


エレンは何を言っているのか分からないご様子

斯く言う私も何を言っているのか分からなかった


ミーナ「おー!私、おひめしゃまー」


クリスタ「どういうこと・・・?」


クリスタ母「それはお家に帰ってからね。それじゃ帰りましょうか。二人とも、さよなら」


エレン「ちょっと待てって!それじゃ俺がわからないんだが!どういうことだよ」


ミーナ「にーしゃんがゆーしゃで、私と金髪がおひめしゃま」


クリスタ母「そう、ミーナちゃんの言う通りよ。じゃあ・・・勇者さんは2人のお姫様を守れるようにならなきゃね」

466: 2014/03/04(火) 22:50:34 ID:PV1PENN.


なんとこの中の最年少のミーナちゃんだけが理解していた


お母さんの言葉と総合して理解すると


『守れるようにならなきゃ』というのは未来系


勇者とお姫様というのは、助ける人と助けられる人の分かり易い例え


私とミーナちゃんを、エレンが勇者として、これから守っていくという理解で良いと思う



エレン「え?う、うん?」


クリスタ母「約束よ?」


エレン「おう!約束か!?約束って、かっこいいよな!男の情熱を感じるぞ!」


理解出来ておらず、なんとなくノリで承諾した感じのエレン

467: 2014/03/04(火) 22:51:48 ID:PV1PENN.


クリスタ「・・・あのっ」


エレン「・・・・そういえば、お前なんて名前なんだ?」


クリスタ「・・・リスタ・・・・」


エレン「ツイスター?」


クリスタ「ク、クリスタぁ!」


エレン「しっかり声出るじゃねえか・・・クリスタな。よろしく」


クリスタ「うん・・・・よろしくね。えと・・・エレン」

468: 2014/03/04(火) 22:52:48 ID:PV1PENN.


ミーナ「にーしゃん、私も!」


エレン「・・・え?よろしくな、ミーナ」


ミーナ「えへへ。よろしゅーな」


エレン「なんか関西弁みたいになってるぞ・・・」



昔むかし・・・エレンという勇者さんがクリスタというお姫様を助けてくれたお話


それは私が3歳の頃のお話


初めてちゃんとした友達ができた時のお話


決して曲げることの出来ない私の大切な思い出であり、大事な過去である


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475: 2014/03/05(水) 21:50:34 ID:nYG/zwTg



眠たい瞼を擦り、朝食を摂るため部屋を出て大きく欠伸をして「んんっ・・・」と身体を伸ばした


1月の朝はまだ少しばかり肌寒い


手をこすり合わせて摩擦を与え、小さな暖をとる



「エレンくーん!」



無駄に耳に響く聞き覚えのある声が聞こえた


朝からこんな大声は迷惑だろ・・・と、やれやれと呆れながら振り向いた



エレン「ん?なんもぷっ!」



大きく広げられた腕が俺の首に締め付けるように巻き付いてきた

476: 2014/03/05(水) 21:51:13 ID:nYG/zwTg


胸と首に途轍もない衝撃が走り、『なんだよ』と言おうとした言葉が息を無理に吐き出されたと共に途切れた


こんな威嚇紛いの突拍子もない行動はご存知



ペトラ「会いたかったよー!会いたかったでしょ?なら甘えていいのよ。ほら、ぎゅーって」



ペトラ先生である



なんの解釈を元に俺はペトラ先生のそんなことを言われなければならないのか


そして平然と異性に抱きつけるのか


最近、そういうのが普通に感じてきている自分が怖い



エレン「けほっ・・・早朝から暑苦しい」

477: 2014/03/05(水) 21:51:45 ID:nYG/zwTg


ペトラ「やだ・・・火照っちゃった?」


エレン「火照ってない」


ペトラ「むぅ・・・つれないなぁ」



頬を膨らましてむくれている


俺が『火照ってしまった』と言ったら瞬間に俺は変Oの汚名を受けることになるだろう

というか、言ったら絶対にペトラ先生は引くだろ!?



エレン「俺は別に女性に抱き着かれたとこで興奮とかするような単純な性欲は持ち合わせてない。安心しろ」



だからと言って、俺が男好きというわけではないが



ペトラ「お姉さんショックだな~・・・」

478: 2014/03/05(水) 21:52:16 ID:nYG/zwTg


エレン「お姉さんならお姉さんらしい行動をとってくれ。それが歳上の女性として当然の嗜みだろ」



頭をペシペシと叩いて離れることを促す


だがその行動に反し、ペトラ先生は一向に離れる様子を見せない


なんだか・・・昨日のクリスタのようだ



ペトラ「あはは、女性が男性に甘えたくなるのは誰でも一緒でしょ」



ペトラ先生の髪から柑橘系の良い香りが立ち込めてくる


レモンのようなスーッと鼻に澄み渡るような香り



エレン「悪いが俺は誰とも恋愛した事ないんで、そういうの分からないから」

479: 2014/03/05(水) 21:53:05 ID:nYG/zwTg


ペトラ「私だって誰とも付き合ったこともないわよっ!!」


エレン「・・・・・・」




あっ、はい・・・・そうですか・・・



朝から何とも空しい気持ちに陥った


見てはいられないような悲しいものを見ている気分だ



ペトラ「どうして私はこうもモテないのよ!どうして誰も付き合ってくれないのよ!ねえ、エレン君なら分かる!?私がモテない理由を!」



背中に回していた腕が俺の肩に移動して、一生懸命に、がくんがくんと腕力を大いに使い揺らしてくる


さて、これは酒癖が悪いとか、力量がチートとか素直に言ったらさらに面倒くなるパターンのやつだよな

480: 2014/03/05(水) 21:53:54 ID:nYG/zwTg


いや、既にもう面倒な展開には陥っているのは事実だが



エレン「ペトラ先生は・・・可愛いしモテると思うぞ」


『ぞ』の言葉を言い終わった瞬間、コンマ1秒の隙も無しに


ペトラ「それはプロポーズと捉えてよろしいでしょうか。わくわく」


エレン「宜しくないです」


ペトラ「今日は2人で仲良くデートね!」


エレン「別に良いけど」


ペトラ「だよね~。エレン君のいじわ・・・る・・・・・って、ええっ!?」



驚愕といった表情、頬には一筋の汗がチラり

481: 2014/03/05(水) 21:54:24 ID:nYG/zwTg


開いた口がふさまらないといったご様子


そこまで驚くべき事であるのだろうか



エレン「別に良いよ。今日は1日自由行動だし、スノースポーツなり勉強なり観光なりなんなり何処でも行っていいし、何をしてもいいし・・・」


ペトラ「うひゃあ本当に!?」



言語があやふやなご様子のペトラ先生


脳が状況の処理に追い付いていないのだな


この人は言葉より行動を先にする人間だと思ってたんだけどな

まぁそれはアルコールを摂取した時限定のモノかもしれないが



エレン「『うひゃあ』って何だよ・・・。で、まさかペトラ先生から誘っといて断る気か?」

482: 2014/03/05(水) 21:55:01 ID:nYG/zwTg


ペトラ「ぜっ全然大丈夫だから!寧ろ今日じゃなきゃ私は絶対ダメなくらい!」


とにかく『今日しかない』ということで理解して良いんだろうか


エレン「そうかそうか・・・じゃあ、今日は一緒に行こうな。それに・・・・買いたいものがあるからさ」


俺は素直に笑顔をペトラ先生に向けた

そしたら


ペトラ「エレン君が私に笑顔を向けてくれたぁ!」


再び細く柔らかな腕が背中に回されて、苦しいほどに締め付けられる


エレン「五月蝿い。離してくれ・・・苦しい」


ペトラ「・・・・んー?やっぱいつものエレン君かな・・・」


エレン「というかデートじゃないからな。共に行動するだけだ。授業の一環で社会見学というもの・・・それくらい教師であるなら理解してるよな」

483: 2014/03/05(水) 21:55:41 ID:nYG/zwTg


ペトラ「大人の社会見学って言うとなんか工口いわよね」


エレン「はぁ・・・そんな事どや顔で語るな。もう朝食に行くぞ」


ペトラ「そうね・・・うん」



ーーーーー
ーーーー
ーーー



場所は違えど懐かしくも近しい記憶

温泉街とも呼べるお土産屋の立ち並ぶ道を二人並んで歩いている


それは去年の夏の温泉旅行のような

484: 2014/03/05(水) 21:57:43 ID:nYG/zwTg



ペトラ「エレン君!混浴に行こう!」


エレン「下心見え見えだな、おい」


本心だかネタだか分からない言葉を言葉巧みに頭に止めず左耳から右耳へ受け流す


ペトラ「最近は家族温泉っていうのがあってね、家族全員でお風呂に入れる設備が増えてきてるそうなのよ」



人差し指を立てて、説明口調でそのお風呂のことについて語る


それを聞いて、俺が『なら行ってみようか』と提案するとでも思っているのか?


その考えはコーラの炭酸抜きくらい甘い


いくら鈍感やら朴念仁やら言われる俺でも、血縁関係のない女性とお風呂に入ることは犯罪という事は十分承知の上


一緒に入って結果、それをネタに俺は一生ペトラ先生から冷やかしや茶化しを受けるのだろう

485: 2014/03/05(水) 21:58:31 ID:nYG/zwTg



もう鈍感なんて言わせない


だって、これが察しれた俺は既に鈍感ではない・・・敏感だ

あれ、なんかいやらしいな。おい



エレン「なぜそれを俺に説明する・・・?」


ペトラ「一緒に行こうか」



真顔で誘うその姿は最早女性の恥じらいなど捨てたように見える


呆れを通り越して感心を覚えるほどだ



エレン「少しは下心くらい隠してくれよ。だからモテないんだ」


ペトラ「先生命令です。行きましょう」

486: 2014/03/05(水) 22:00:38 ID:nYG/zwTg


エレン「男の身体見たいなら保健体育の教科書でも漁っとけ」


ペトラ「やっぱ私のこと嫌いなの!?」



眉を歪ませ明らかに困った顔を見せる


やめろやめろ・・・・そういう良心の傷付くような流れは嫌なんだ。分かってるだろ



エレン「極端過ぎるんだよ・・・それで、足湯にでも行く?」


安定の話題逸らしを使う


ペトラ「なんかカップルみたいだね。いいよ、行こうか」



けど全てをその方向へ持ってくペトラ先生

なにがしたいのか分からない

487: 2014/03/05(水) 22:02:12 ID:nYG/zwTg


俺は確かにペトラ先生を助けると言った

しかし、これは人生を上手く楽しむ為の援助と呼べるものなのか


でも、ペトラ先生の脳は単純明快・・・俺の考えついた結論は



俺は好きな人ができた時の為の練習相手といったところだろう



エレン「はいはい、俺なんか彼氏にしたら後悔するぞ」


ペトラ「無理な提案よ」


エレン「まぁいつか厭きる時が来るから、その時まで待つよ・・・それまでは一緒にいてやるから」


ペトラ「・・・・じゃあ一生一緒だね」


エレン「溜め息しか出ない」

488: 2014/03/05(水) 22:02:54 ID:nYG/zwTg


依存する気かよ・・・それじゃまるで俺なら彼氏でも良いみたいな感じじゃねえか


ペトラ「そういえば真面目話。エレン君、今日はなんか変だけど・・・・どうしたの?」


エレン「どうしたんだろうな~」


ペトラ「真面目な話って言ったでしょ。悩んでるんじゃないの・・・?」


エレン「ほんと・・・能天気な人間に限って思考に対する嗅覚が半端ないな」


ペトラ「酷い言い種だね。私だって伊達にエレン君を見続けてないんだからね」


エレン「まぁ別にペトラ先生には関係ないからさ・・・でも、話したくなったら話すかもな」


ペトラ「ふーん・・・私は仮にも教師なんだから、生徒の心のケアだって少なからずは出来るのよ?」


エレン「頼りになるお姉さんキャラでも目指してるのかよ」


ペトラ「特別エレン君の前だけよ」

489: 2014/03/05(水) 22:04:27 ID:nYG/zwTg


エレン「それは生徒の前で良いだろ」


ペトラ「いや~、なんか言ってみたくなったからさ」


エレン「まぁどうでもいいよ。・・・というか、早く足湯に行こうな。人が混んできたら嫌だし・・・朝早い方が少ないだろ」


ペトラ「ん、わかった・・・じゃあ、はい」


エレン「なんだこの手は?」


ペトラ「デートなら」

エレン「デートじゃないって言ったろ」


差し出された手を瞬時にはたいた


ペトラ先生は「・・・・ん?」と疑問符を浮かべ顎に手を置き、5秒後ほど置き

「あっ!」と何かに気付いたような素振りをし・・・

490: 2014/03/05(水) 22:04:59 ID:nYG/zwTg



ペトラ「そっか!腕組でしょ!」


エレン「何を理解して『そっか』と言ったんだよ・・・あっ!そっか!馬鹿だからか!なら仕方無い」


ペトラ「と言ってる間に、私の腕はエレン君の腕を組んでいるんだけどね」



どうしてこの教師は非常識を常識と思い違いしているのだろう


そっか!馬鹿だからか!



エレン「他の生徒から見られたら誤解されるぞ」


ペトラ「誤解上等。寧ろ誤解して噂を拡散希望」


エレン「は?どういうことだよ?」

491: 2014/03/05(水) 22:06:49 ID:nYG/zwTg


ペトラ「なんかお姉さん、そんな恍けられると心がめがっさ寂しいにょろよ」


エレン「いや恍けてないし、鶴屋さん口調やめろし・・・」



やれやれといった表情で見てくるペトラ先生


だがしかし、俺は恍けたつもりも無く言っている事が本当に理解できなかった



ペトラ「恍けてない・・・?じゃあ・・・・もしかして、私がエレン君を好きと気づいてないの?」


エレン「・・うん・・・」


エレン「・・・・・・・・・・」


エレン「・・・・・・・・えっ・・」



いやいやいや・・・冗談が過ぎるぞ、ペトラ先生

492: 2014/03/05(水) 22:09:46 ID:nYG/zwTg


ペトラ「・・・・・あれ?」



俺は組まれていた腕を振り払い、人がたくさんいるというのに気にもかけず、大声をあげた



エレン「いやいや!ペトラ先生が俺を好きになる理由なんて、これっぽっちも無いだろ!?俺は嫌われて当然のことしかしてない。貶すだけ貶して・・・・寧ろ、ここまで接してくれてる事が奇跡とか思えるし・・・」



言っている言葉通り、俺はペトラ先生に好かれるような事は記憶を遡る限り一度もしてないはずだ



というか弁解しておこう。俺は貶す事は貶すが相手が貶せる状態であるから、そう言ってるのだ


そりゃ真面目にやっている人に対して馬鹿にする事はしないが、弄りがいがあったり阿呆であったりする人にしか貶さない


そこは分けて理解して、俺は人を貶している


まぁそれの善し悪しは自分でも多少理解してないが

493: 2014/03/05(水) 22:10:26 ID:nYG/zwTg


それが深い人間関係でしか可能ならない唯一スキンシップ


俗に言う『じゃれ合い』というものだろう



ペトラ「うぅん。私には・・・・好きになる要素しかなかったよ」


エレン「は?」



好きになる要素”しか”なかった・・・・?


意味がわからない。


日本語が理解できないんじゃない

言葉を発してる人間の思考が理解できないんだ



ペトラ「一度好きになったら、仕草も匂いも口調も言葉も・・・・全てが全て魅力的に見えるんだよ」

494: 2014/03/05(水) 22:12:17 ID:nYG/zwTg


エレン「だから・・・そのきっかけが無いじゃないか!俺を好きになった・・・・きっかけが」


ペトラ「ふーん・・・ボソッ・・やっぱ鈍感だね・・・・」



ペトラ先生の『ふーん』の後に何かを呟いたように聞こえた


口は小さく動いてた。けど、聞き取れなかった



エレン「えっと・・・・」



難聴というわけではない


本当に・・・・・


独り言で足音よりも小さく微細な声だったので聞きたくても聞こえなかった

495: 2014/03/05(水) 22:12:59 ID:nYG/zwTg



エレン「そうか・・・・ペトラ先生、言わせてもらう。返事をするとすれば、俺は・・・」



俺が返事を言おうとした瞬間に・・・



「なーんて!ドッキリ大成功かな?」




エレン「・・・・えっ・・・・・」




・・・・・・・やられた



見事なポーカーフェイスの上、こんな真面目な話をしようって時にそんなこと言われちゃ、こっちだって真に受けちゃうだろ


緊張して損した

496: 2014/03/05(水) 22:14:05 ID:nYG/zwTg


そしてペトラ先生の笑顔がいつも通りだったので、改めて理解した


いつもの男心を擽るような面白可笑しく茶化す行為であったと



エレン「ははっ、まんまと騙されちまったな・・・・まさかここまで綺麗に」


ペトラ「・・・・・。あはは、エレン君純情すぎ~。可愛いなぁ」


エレン「はぁ・・・・本気の告白かと思い焦っただろ。まぁ俺がモテないからって、そういうのをするのは、ちょっと間違いだからな」


ペトラ「・・・・・というと?」


エレン「今回は特別油断してただけで、普通なら簡単に騙されないからな。だから騙そうとしても良い反応は伺えないという事だ」


ペトラ「そっか~・・・残念無念」


エレン「そうだぞ」

497: 2014/03/05(水) 22:16:00 ID:nYG/zwTg


そういや、なんで俺が理解出来ずに『え?』と答えた時に

ペトラ先生は『あれ?』と答えのだろうか



俺がこのドッキリと呼ばれるものに、勘づいたとペトラ先生は勘違いしてそんな事を口走ったのだろうか


まぁどう考えても、そうなるしかないか

思考回路を回転させたって、その考えしか思いつかないし



エレン「あぁ・・・そういうことか。納得・・・」


ペトラ「何が?」


エレン「なんでもない。こっちの話だ」



今度、ミーナで試してみようかな

498: 2014/03/05(水) 22:18:06 ID:nYG/zwTg


多分、リコさんとアニでやっても騙せないし、ブチ切れると思う


きっとミーナなら『お兄ちゃん!』と言いながら胸をポカポカ叩くのだろう

うわっ・・可愛すぎるだろ


アニだと『氏ね』の一言で終了だろうな


リコさんだと『調子に乗るな。バカ』と蔑んだ目で言うだろう



ペトラ「そんな考え込んでどうしたの?私のドッキリ告白で、どきどきしちゃった?あっ!今のドッキリとどきどきをかけたシャレじゃないからね?」


エレン「ん?あぁ・・・うん」


ペトラ「えっ・・・・えぅぅ・・・・・本当だったとは・・・なんか恥ずかしいよ」


エレン「・・・・やっぱ、ミーナだよな。待て、アルミンでも・・・いやアルミンもきっと失望した目をするだろう・・・・ボソボソ」


ペトラ「もう~・・・そんなに私のことで考え込んじゃって」

499: 2014/03/05(水) 22:19:48 ID:nYG/zwTg



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今回はここまでです

ただの甘々展開が苦手な方すみません


読んでいただきありがとうござました

538: 2014/03/23(日) 21:29:42 ID:FLVbo6Lg

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口元に手を置き、欠伸をしながら横着な口調で


クリスタ「はぁよ~・・・」


と、やる気のない挨拶を行う


私の挨拶に合わせ


女子B「おはようです」


女子A「おはよ。今日は遊ぼうなー」


と、軽く右手を挙げて挨拶の返事をしてくれる友人達

539: 2014/03/23(日) 21:30:30 ID:FLVbo6Lg



クリスタ「わかってる。今日は自由だしね」



遊ぶと言っても、社会見学


そこを忘れてもらっちゃいけませんが



女子B「昨日はお仕事お疲れ様です」


クリスタ「そんなそんな・・・恥ずかしいことに、全部エレンに任しっぱなしだし」



『エレン』という、その言葉を聞いただけで、昨日のことが脳裏に完全に再生される


眠気眼というわけでもない、深夜に近かったにも関わらず、鮮明にハッキリと記憶に残っている


忘れたいとも思えるし、忘れたくないとも思える・・・・そんな悠長に迷う自分が嫌いだ

540: 2014/03/23(日) 21:32:57 ID:FLVbo6Lg


ごめんね・・・もう声をかけることさえ避けられてるよね


改めて反省しても遅いし、思い返すのも辛い


哀しみの音が胸に深く刻まれて、鐘の音ように響かせ、どんどん小さく深く沈み込む


あの初めて出会った日・・・・悲壮に打ちひしがれていた私は戸惑いを覚えたばかりの幼稚な迷子の子供のようだったね


陽だまりのような君の優しさとのお陰で、哀しみは直ぐに記憶の深海へ落ちて消えたよ


たった数分と数秒が齎した安らぎのひと時は君がくれたんだよ


あの日伝えれなかったこの気持ちを伝えたいよ



ありがとうって・・・


今はいくら言ったって、あなたの心には届かない

541: 2014/03/23(日) 21:33:52 ID:FLVbo6Lg


そして、中学のあの日だって・・・

私には後悔ばかりだ


あの日あの時、言わなきゃ良かったって・・・


言わなきゃ彼は何も知らなかったかもしれない


彼は優しい嘘をついたり、偽善の正義者にもならなかったかもしれない



この気持ちを出来る限り私は昨日伝えたけど、エレンは揺らいでくれただろうか・・・



クリスタ「・・・・・・」


女子A「元気ないじゃん?どしたん?」


女子B「書記さんと何かあったのですか?」

542: 2014/03/23(日) 21:34:58 ID:FLVbo6Lg


なんて、そんなこと考えても意味ないか


今は、今の目の前の楽しみにベクトルを向けなきゃ



クリスタ「あっ・・・うぅん。ちょっと朝は弱いだけなんだ」


女子B「そうですか」



続かない受け答えをした結果、会話が止まった


少し間が空いて友達が「あっ・・・」という言葉と共に話を再び始めた



女子A「ねぇ、あの黒髪さ・・・・ホントに不良なの?」


クリスタ「えっ・・・」


女子A「いんや~・・・うちのクラスの友達がね、あの黒髪と話をしているとこ生徒会室で見たらしいんだけど、イメージと違ったらしくて」

543: 2014/03/23(日) 21:35:44 ID:FLVbo6Lg


クリスタ「エレンは・・・不良なんかじゃないよ。正反対の正義の味方だよ」


女子B「ですよね・・・おにぃ・・書記さんが入学式何をしていたか私は知ってますし」


クリスタ「あれって、やっぱりエレンは悪者なんかじゃないよね!?」


女子A「ちょっ必氏すぎ」


女子B「アルミン君が襲われてるとこを、あの書記さんが助けたんですよ。で、結果的に・・・・みたいな感じで不良の代名詞が轟いたんです。最低な結末に納得できてないですが」


クリスタ「うん・・うん・・・」


女子A「へ、へぇ・・・そうなんだ。へぇ・・・・やっぱり」


クリスタ「何が『やっぱり』なの?」


女子A「さ、さあね。でさクリスタはさっきまでの気だるさは無くなったようだね。早速街中まわる?」


クリスタ「うん。時間が惜しいしね!今日は楽しもっか」

544: 2014/03/23(日) 21:39:38 ID:FLVbo6Lg

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湯けむりが漂う涼しくも暖かい場所


平日だということで人気も少なく、賑わってない足湯


懐かしくそしてその情景が思い出される

リコさんと過ごしたあの時間を


時刻は9時を回り10時になろうかとしようとしてる


そんな時に俺はというと、長ズボンをまくりあげて、女性と並んで、ゆったりその足湯に浸かりながら世間話をしてるわけで・・・



エレン「・・・もっとさぁ、常識持とうな」


ペトラ「えー?」

545: 2014/03/23(日) 21:40:17 ID:FLVbo6Lg



隣に座るペトラ先生が答える


あと数センチでも横に動いたらピッタリにくっついてしまうかという距離感


目線はただただ前を見つめ、それは目を合わす事がぎこちないというわけではなく、こうしてる方が自然という意味合いで明後日の方向を向いているんだ



しかし、こんな時期に足湯とは何とも風情のあるものだ


今度の日曜にでもミーナを誘って2人で行きたい気分だ


なんて現在進行系で、その行為を行っているにも関わらずもう次行くことを考えてる辺り、自分でもどうかと思う



エレン「ずっと何度も言ってるけどさ、嗜みというか・・・遠慮くらいしろよって」



綺麗で、すらっと伸びた足をしたペトラ先生

546: 2014/03/23(日) 21:41:16 ID:FLVbo6Lg


筋力がないとはいえない張りのある細い足を悪戯に動かして、水飛沫がたつ



ペトラ「ふふっ・・・遠慮なんてしないよ。私のダメなとこも良いとこも知ってくれてる人にこれ以上自分をひた隠しにする必要ないからね」


決定的な言葉のような事を述べたが、俺の心には決して届かない

いや届いても揺るがないのが事実だろう



エレン「石に漱ぎ流れに枕す」


ペトラ「ひどい言い種だな~・・・私は別に強要も何もしてないよ。私の一方通行な思いやりなのに。思いやりを押し付けというなんて道徳的にどうかと思うな」



確かに言い分は正しいと思う


けど話の筋道が二手に別れてるような気がする


まぁそれは俺の言い方が悪かった点でもあるが

547: 2014/03/23(日) 21:45:24 ID:FLVbo6Lg


エレン「そう言われると話は別になってくるぞ。つまり思いを一緒に分かち合うとか、対等に隠し事のない関係を持ちたいとか言いたいんだな」


ペトラ「さっきも、そう言ったよね」


エレン「なら無理に等しいな。何故ならば俺は妹という唯一無二の家族にでさえ隠し事をするような秘密主義者なんで、ね」



嫌味ったらしくペトラ先生の言葉を全否定する



ペトラ「知ってるよ。だって・・・今でさえ、エレン君は何かを秘めながら、私と一緒に今ここにいる事も分かってる」



悪寒を感じたのは気のせいだろう


今年で22~3歳くらいだろうか、そんな腑抜けで気分屋の女性に俺は身震いをした


気のせいだろう

548: 2014/03/23(日) 21:46:16 ID:FLVbo6Lg


エレン「根拠のない意見を御苦労さん」


ペトラ「ふーん・・・困るとエレン君は直ぐに人に寄り求めるくせに」



何を分かりきったような口振りで言っているんだ


俺がそんな弱い人間のはずが・・・



エレン「どういうことだよ・・・」


ペトラ「あれ?気付かなかったの?リコちゃんやミーナちゃんから聞かされたけど・・・」


エレン「俺はそんな貧弱な真似は・・・しない」



言葉の最後に『多分』を付けそうになった


完全に否定できない。だって心当たりがあるから

549: 2014/03/23(日) 21:48:29 ID:FLVbo6Lg


ペトラ「エレン君は、アニちゃんの事で困った時はリコちゃんに頼った。アルミン君の事で困った時はミーナちゃんに頼った」


エレン「・・・・・」



異論反論できない自分がいた


だって、それが正論であり事実だったから


抗弁の余地なし



ペトラ「今日の2人で出掛けようという提案をして了承した時間から私は確信していたよ。だって、いつもの余裕が今のエレン君には全くを持って見えない・・・・皆無だから」



この人のことを甘く見ていたようだ


節穴でない真を見つめた揺るぎない目をペトラ先生はしている


今言ったことは、先程ドッキリで言った『仕草も匂いも口調も言葉も・・・・全て』で、感づいたのだろうか

550: 2014/03/23(日) 21:51:27 ID:FLVbo6Lg


俺は今まで自分をひた隠しにしてきた


でも違う。


ひた隠しにしてた『つもり』だったのか?



エレン「そこで俺がただ単にペトラ先生と一緒にいたいだけだったら、恥ずかしいことこの上ないな」


話題を曲げペトラ先生の揚げ足をとった


ペトラ「その時はその時だよ。『ごめん』の一言で済まそう・・・かな」



根拠のない言葉を断定した口振りで言われて、勘違いだったのなら、その返事は正しいと思う


だが、しかし



エレン「疎遠の道はないのか?ほら、人ってかなりの辱めを受けるとその辱めを見た者に対し、少し抵抗が生まれ距離を置きたくなるものだろ?俗に言うトラウマだろう」

551: 2014/03/23(日) 21:52:05 ID:FLVbo6Lg


リア充達の戯れの行為での簡単な例で表すとしたら


告白して振られました


さて、あなたは次からこの人とはどう接していく?

という感じだ



ペトラ「トラウマと捉えるか、思い出と捉えるかは人それぞれ。少なくとも私は思い出で捉える派だよ。だって失敗も経験だから」


エレン「完全に少数派だと思うな。そっちは」



さっきの例えでいうとしたら、振られても普段通り接して『昨日はごめーん!』とか言って受け流すタイプだろう


悪くはない。でも、自分は切り替えても相手はどうなのだろうか・・・


ある程度の近さの関係なら、友達という関係を崩したくが故に受け入れる者もいるだろうが

552: 2014/03/23(日) 21:53:11 ID:FLVbo6Lg


ペトラ「ふーん・・・」


エレン「それは机上の空論だ。実際に体験したというならば俺は少なくとも快くペトラ先生の言葉を信じただろう。でも夏休みの時の話を聞いた限りだと、ペトラ先生の考えは俺と同じだと思うんだが?」


ペトラ「そうかな・・・?」


エレン「いつまでも過去の失敗をグチグチ・・・辛いから・・・・・・俺に・・・頼った」



・・・・・あれ・・・



ペトラ「歯切れ悪いけど、どうしたの?」



これは俺の事じゃないか・・・


今頃になって、過去の・・・・クリスタの事を思い悩んで

553: 2014/03/23(日) 21:53:41 ID:FLVbo6Lg


エレン「な、なんでもない・・・!」


ペトラ「私は変わったんだもの。どうしてか分かる・・・?」



そう言いながら、そっと左手を俺の右手の上に置いてきた


俺は疑問符を浮かべて、ペトラ先生の目を見た


そしたら、マシュマロのような柔らかな手のひらが、俺の手の甲をギュッと優しく包んだ


ペトラ先生も俺の目を見て、ニコッと笑みをみせ、



「エレン君のお陰でさ」



と告げてきた

554: 2014/03/23(日) 21:55:17 ID:FLVbo6Lg


なぜか急に動機を感じた


目線を足元の湯に落とし、息切れしそうな体の調子を抑え、大きく息を吸い5秒程かけて、ゆっくり少しずつ息を吐いた


気持ちを落ち着けて唾を飲み込み、再び視線を上げてペトラ先生を見た



エレン「俺はまだ生徒会に誘うとかそんなことしか・・・」


ペトラ「もしかして1から100まで私に精一杯お世話を掛けるくれる予定だったの?私も嘗められ過ぎだね」


エレン「そ、それは!」



なぜだろう頭が働かない


1回1回、そんな深呼吸して落ち着いてたら会話だけで夜になってしまう



ペトラ「ふふ・・・やっぱ余裕がないね。私だって、頑張れって言われたら頑張るよ。『俺が応援するまで頑張るな』って、エレン君は私に言ったの?違うよね」

555: 2014/03/23(日) 21:57:10 ID:FLVbo6Lg


エレン「違う!けど自分で出来るなら、どうして俺を頼ったんだよ!」


ペトラ「”きっかけ”と”穴の埋め合わせ”だよ」


エレン「は?」


ペトラ「私はただ私の背中を押してくれるのを待っていただけだもの。勇気をもらうのを待っていたんだ」


エレン「じゃあ・・・穴の埋め合わせってのはなんだよ」


ペトラ「まだ分からない?」


エレン「何がだよ」


ペトラ「エレン君だよ」


エレン「俺が何の?」


ペトラ「結果論だけどね・・・・結果エレン君が私の穴埋めになってくれて感謝している」

556: 2014/03/23(日) 21:57:48 ID:FLVbo6Lg


エレン「その話だけなら、リコさんでも十分だろ。どうしてこんな俺なんかを!」



既視感。このような言葉は、今日の街歩いてたら頃、時間は数分程前に聞いたよな


本当にさっきのことだ


なんだろう・・・・結果が少しずつ見えてきている気がする



「やだなぁ・・・」



さっきも似たようなことを聞いた


さっきも似たような顔をしていた


告白のドッキリのようなもので

557: 2014/03/23(日) 21:58:50 ID:FLVbo6Lg



「やっぱり・・・」



俺の記憶力を嘗めるなよ


ドッキリだよな・・・・


また驚かそうとしているんだよな



「私は、もう・・・・我慢できないや」



瞬間に、俺の右手の上に置かれていたモノが離れたのを感じ・・・


背中と胸にも、布団に包まれるような衝撃が走った


衝撃といっても身体に負担は全くない

558: 2014/03/23(日) 22:00:49 ID:FLVbo6Lg


最近よく人から抱き着かれるな・・・



ペトラ「欲しいな・・・あったかいなぁ・・・・ずっとこうしていたいな・・・」



そんな望みを俺の耳元で何度も囁いてくる


動機が又しても高まる



エレン「お酒飲んでないよな・・・?」


ペトラ「飲んでないよ」


エレン「ドッキリか・・・?」


ペトラ「二回も連続で同じドッキリすると思う?」


エレン「・・・・・」

559: 2014/03/23(日) 22:01:51 ID:FLVbo6Lg


ペトラ「好きだよ。ずっと私の傍にいて」


エレン「嘘だ」


ペトラ「私はやっぱ気持ちに嘘はつけないよ。これは私の本心だよ」


エレン「・・・騙されないから」


ペトラ「エレン君の鼓膜は壊れてるのかな?」



離したくないと望んでいるのか、少しだけペトラ先生の指が背中に、くい込むのを感じる


俺は人に抱き締められやすい体質なのか疑う


体温が直に感じ取れて・・・ペトラ先生の体温は熱くて熱くて、風邪でも発症しているのか


押し付けられた体から、心拍数が上がってるのも感じ取れる

560: 2014/03/23(日) 22:03:32 ID:FLVbo6Lg


リコさんを背負った時も、リコさんはこれくらい体温上がっていたけど・・・


そうだ。リコさんはあの時は真性の風邪引きの病人だったか



エレン「一応確認しとく。”友達として好き”じゃなくて、”結婚したい好き”の方か・・・?」


ペトラ「当たり前じゃない」


エレン「どうして俺がそんな対象に」


ペトラ「それはドッキリの時に話したでしょ」


エレン「・・・・・・」


ペトラ「エレン君のこと、だいすきだよ」


エレン「・・・・・・」

561: 2014/03/23(日) 22:04:26 ID:FLVbo6Lg



ペトラ「嫌なら抵抗していいよ」



・・・・・ずるい・・・



ペトラ先生の言い方は、ずる過ぎる・・・


いや、あざとい・・・



エレン「・・・・・・・」



そんなことしたら、ペトラ先生が傷付くに決まってるじゃないか


ペトラ先生の悲しい顔なんか見たくない



ペトラ「まぁ・・・・抵抗なんてしないよね。そんなことしたら、私が傷付くってエレン君は分かっているから」

562: 2014/03/23(日) 22:05:26 ID:FLVbo6Lg


エレン「・・・・・・なんで言うんだよ・・・」



俺がここでペトラ先生を突き放したら絶対にペトラ先生は悲しむ

俺はペトラ先生を拒む理由はないが、離さなきゃ俺はペトラ先生の好きを受け入れたことになる

俺は好きでも嫌いでもない人の気持ちを弄ぶわけにはいかないし、したくない

時には嫌だって思うときもあるけど、そんな本心じゃない

本心で人を嫌ったり馬鹿にしたりなんかペトラ先生にしたことない

俺の本心はなんなんだ

好きなのか?嫌いなのか?無関心なのか?

ペトラ先生のことは好きだけど意味が違う

それよりペトラ先生をそんな目で見たくない

そんな目で見たら、これから俺は対人関係が組めなくなる気がする

けど、俺にそんな目は無いのが事実

だって、こんな悩んでいるのだから

563: 2014/03/23(日) 22:06:23 ID:FLVbo6Lg

そんな目さえあれば俺は素直にペトラ先生を受け入れていたかもしれない

逆に好きな人がいて振ることができたかもしれない

悩むなら受け入れればいい

けど受け入れたらペトラ先生の気持ちを弄ぶ事になる・・・駄目だ

でも突き放してペトラ先生の悲しい顔を見たら、俺はきっとペトラ先生を・・・・また抱き寄せてしまう気がする

・・・俺って最低だ・・・・

なんでペトラ先生は俺なんかを好きになったんだよ

俺のこと好きにさえならなければ、こんなこと・・・



エレン「残念でヘタレで最低な発言をするけど聞いてくれ・・・」


ペトラ「うん」


エレン「ずっと好きでいてくれ。したいのなら抱き着いてもいい。・・・悲しい顔だけは絶対に見たくないんだ。でも、俺はペトラ先生と付き合う事が出来ないんだ・・・・だから、だから」

564: 2014/03/23(日) 22:07:30 ID:FLVbo6Lg



言葉が纏まらない

言いたい事は1つなのに上手く言葉に表せれない


俺は、ただ全部が変わらないで欲しいだけなんだ


今まで通りに好きでいて構わないから・・・

いくらでも悪戯紛いな抱きつきだってしても構わないから・・・


俺はペトラ先生の傍にも居てやりたい


最低なクズ野郎だな・・・・本当に



ペトラ「ふふっ・・・泣いちゃうほどのこと?」


エレン「え・・・あれ・・・・ほんとだ・・・・・俺、泣いて」


ペトラ「そんなに私のこと考えてくれてるエレン君は久しぶりだな~・・・私って幸せ者だね」

565: 2014/03/23(日) 22:09:15 ID:FLVbo6Lg


笑顔が妙に魅力的に見えてしまう辺り、意外と俺は満更でないのかもしれない


それとも今頃になって、異性を意識しだしたのかもしれない


俺の脳内は『かもしれない』で、パンクしそうだ



エレン「ペトラ先生だって泣いてるじゃないか」


ペトラ「てへへ・・・」



それより俺が最低なことを言ったにも関わらず受け止めた


寧ろ楽観的に捉えて・・・



そんな優しい性格の持ち主に好かれて


なんか・・・・嬉しいな

566: 2014/03/23(日) 22:10:59 ID:FLVbo6Lg


エレン「あのさ・・・」


ペトラ「・・・・何かな?」



エレン「好きになってくれて・・・ありがとな」


ペトラ「・・・っ!!」



俺がそう告げた瞬間にペトラ先生の眼からは、一気に涙が零れ落ちた


それと同時にペトラ先生の腕の力が緩いだ


ストッパーが外れたか、顔の緊張も解けた


下唇を噛み締め、頬を真っ赤にさせて・・・



ペトラ「うんっ・・・どういっだ・・・・・じましで・・・」

567: 2014/03/23(日) 22:11:52 ID:FLVbo6Lg


首の直ぐ隣で歯切れの悪い涙声が漏れてくる


エレン「あぁ・・・」


ペトラ「私・・・ぐずっ・・わだじ・・・・振られぢゃったよぉ・・・・」


エレン「・・・・・そうだな」



まるで子供のようだ


首筋の露出した肌に生温かい雫が滴る



ペトラ「こんな私を慰めでぐれる・・・?」


エレン「いくらでも慰めてやる」


ペトラ「うんっ・・・ンムッ・・・・うん」

568: 2014/03/23(日) 22:13:13 ID:FLVbo6Lg


エレン「幻滅したらいくらでも嫌ってもいい。直ぐに離れたって・・・・俺は大丈夫だからな」


ペトラ「これはね、私への猶予だと思ってるから」


エレン「・・・・・・そっか。がんばれ」


ペトラ「ふふっ・・・本人公認で言われちゃ諦めるわけにはいかないね」


エレン「ほら、ハンカチ」


ペトラ「あはは~・・・またハンカチ借りちゃったね」


エレン「まだ笑う余裕があるんだな」


ペトラ「だってエレン君だったから、スッキリもしないしモヤモヤもしない・・・結果、エレン君の望んだ”いつも通り”だよ」


エレン「そうか。ペトラ先生がそう思ってくれるなら、俺は何よりさ」


ペトラ「そういえば・・・・話戻るけど、悩みって何?」

569: 2014/03/23(日) 22:17:40 ID:FLVbo6Lg


エレン「すっごい戻るな・・・・いいや。また今度話そうか。話したら、この華やかな感じ壊しちゃうからさ」


ペトラ「ふーん・・・」


エレン「十分に足湯浸かったから、あったまったろ?ちょっと街を散歩でもしないか?」


ペトラ「いいけど」


エレン「ペトラ先生に選んで欲しいものがあるからさ」


ペトラ「へぇ・・・ネックレスとか?」


エレン「まぁそんな感じだ」


ペトラ「うふふ・・・お姉さんに任せなさい」


エレン「というか、立ち直りの早さが」


ペトラ「だっていつまでも好きでいて良いんでしょ。なら今回は失敗でも次があるから」

584: 2014/03/30(日) 19:30:54 ID:k2QT4Csw
てす

586: 2014/03/30(日) 19:39:15 ID:k2QT4Csw



太陽は沈み、午後の6時を迎えた頃


冬は日が短いから、こんな時間となれば真っ暗なのが当たり前


夏ならば今の時間なら、まだまだ遊べると思えてしまう時間です


そんな私も一日遊んで・・・いや社会見学を行って、ふくらはぎも目も疲れた状態


布団に身を任せ、すぅぅ・・・っと微かに残ったエレ・・・・甘く鼻に透き通る洗剤の香りを嗅いでいた


目を閉じたら夢の世界へ潜り込んでしまうかもしれない


懐かしく懐かしく・・・仕方ない


いつも自然に香っていたものが無くなった今の私にはこれはヘヴンとも言えるか・・・桃源郷ともいえよう



クリスタ「はぁ・・・私、何をしているんだろ・・・・」

587: 2014/03/30(日) 19:40:46 ID:k2QT4Csw


でも、やめられないし、とめるつもりもない・・・


人の現実な行動なんて、そんなものさ


周りの目が無きゃ、1人で歌を口ずさんだり、だらしない格好だってするものさ


だから・・・・これは人間の本性であり、本望でもある


猫が1日のほとんどを寝て過ごすように、アライグマが物を洗いたがるように


本能のままに動くことは悪いことではない


それが1人であれば尚更、理性なんて構わない


深呼吸を繰り返し、そんな考えを旅館の部屋で1人していたら


こんこんっ・・・と扉の叩かれる音が聞こえた

588: 2014/03/30(日) 19:41:20 ID:k2QT4Csw



クリスタ「ふあっえ!?」



取り乱したように瞬時に立ち上がり、髪の毛を手櫛で少しだけ整えて、咳払いをし



クリスタ「はーい・・・?」



と、問いかけながら扉の方向へ足を進めた

誰が来たか、いや帰ってきたかは何となく分かっているが



カチャカチャ・・・・



クリスタ「おかえり・・・遅かったね」



私は扉を開けて、エレンを出迎えた

589: 2014/03/30(日) 19:47:20 ID:k2QT4Csw


エレン「・・・・別に良いだろ。消灯前に帰ってこれば」



素っ気ない態度で答えるエレン


そんな態度はいつも通り


歯車のように、その2つのギアが噛み合って動くような関係性



クリスタ「私は悪いとは言ってないよ」



そんな私の言葉を無視して、ずかずかと部屋の奥の方へとエレンは歩みを進めた



クリスタ「どこ行ってたの?」


エレン「・・・・」

590: 2014/03/30(日) 19:48:25 ID:k2QT4Csw


無言という名の返答


どこにも行ってないのか、私と話したくないのか


当然、正解は後者だろう



クリスタ「たのしかった・・・?」


エレン「・・・・」


ちらっとエレンが此方に目線を向けた

何やら溜め息をついたようだった


エレン「・・・・別にクリスタには関係ないだろ」


クリスタ「関係ないけど、聞いちゃ駄目なの?」


エレン「言うも言わないも俺に権利がある。でも、聞くことは別に駄目とは言わない」

591: 2014/03/30(日) 19:49:00 ID:k2QT4Csw


いつも一本の筋の通った正論を語る


だから無駄に揚げ足も取れないし、否定や異論をする事さえ出来ない


それ以上の正論を見つけるか、思いもよらない屁理屈を述べるだけ


相当のずる賢い脳を持つものか、専門家によるものにしか答えられないものだと思う


だって間違ってないものを間違ったものとする理論を考えるなんて、そもそもがズレているから



クリスタ「私ね、今日は友達と縁結びの神社とか小さな民芸品のお店に行ったんだ」


エレン「・・・・・友達と、ね」



エレンは荷物を纏めながらという、人と話しをするような態度ではないが、きちっと耳だけは傾けてくれているようだ



クリスタ「エレンは知らない人だと思うけど、すっごく良い人達でね・・・よく放課後にケーキを持ってきてくれるんだから」

592: 2014/03/30(日) 19:50:24 ID:k2QT4Csw


エレン「・・・・・・そうか」



私は自分の小さなバッグの中に手を突っ込んだ



クリスタ「それでね・・・縁結びの神社で、お守り買ったんだ」


エレン「・・・・・・」


クリスタ「聞いてるの?」


エレン「・・・・・・」



返事がない


まぁさっきまで返事を貰えていた事の方が、寧ろレアといえるから

593: 2014/03/30(日) 19:51:34 ID:k2QT4Csw


いつもはもっと私のことを拒んでくるから


やはり昨夜の私との会話が誘発または反映したのか


エレンの心情に変化があったのか


とにかく・・・・こんな小さな事でも私にとっては大きな一歩


嬉しいのを顔に出したら調子に乗ってると思われちゃうかもしれないし抑えなきゃ



クリスタ「・・・・・。・・・それで健康祈願のお守りを買ったんだ。ほら、うさぎの刺繍が入ってて可愛いでしょ」



私はバッグの中に突っ込んでいた手を引き抜き、とある包装された袋を同時に取り出した


そして、小さく小学生が使いそうなピンクで可愛らしいうさぎの刺繍の入ったお守りをエレンに見せた

594: 2014/03/30(日) 19:52:38 ID:k2QT4Csw


エレン「縁結びの神社なのに、恋愛成就のお守りじゃないんだな」


クリスタ「エレンにも買ってきたんだ」


エレン「・・・・・」


クリスタ「えへへ・・・・エレンには、こっちのツバメの刺繍のなんだ」



同じ包装された袋の中から、これまた小学生の使いそうなお守りを取り出した


再び取り出したお守りは、藍色をしておりツバメの刺繍が施されている



クリスタ「・・・・あのね、子供の為に一生懸命飛び回って食事を与える親の姿って、エレンにそっくりだなって・・・守りたい者の為なら、自分より強い生き物でさえ身を呈して守る姿も」


エレン「・・・・・」


クリスタ「あと一部の地方では、ツバメの巣のある家は安全と言われててね・・・・だから、ほら・・・家内安全のお守りだよ」

595: 2014/03/30(日) 19:55:38 ID:k2QT4Csw


エレン「いくらだ?」


クリスタ「お金なんて取らないよ・・・そんな高価でもないし、プレゼントかな」


エレン「・・・・・一応、ありがとな」


クリスタ「うん・・・・じゃあ、夕食食べに行こ?お腹空いちゃって空いちゃって・・・先生から聞いたけど、和食なんだって」


エレン「先に行ってていいから」


クリスタ「・・・・・そっか」



エレンから感謝されたのは、いつ振りかな



ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー

596: 2014/03/30(日) 19:56:19 ID:k2QT4Csw



「そこの少女よ」


クリスタ「はい?私ですか」


「ちょっと話いいか・・・?」


クリスタ「え、会議ですか」


「違う・・・ちょっと立ち話でもなって」


クリスタ「・・・・?はい、良いですけど」



昔の私は鈍臭いで有名だった


駄目なことに陥れば直ぐに泣くし、直ぐ立ち尽くす


自分が生半可で悠長な意識の低さが気持ち悪い

597: 2014/03/30(日) 19:57:04 ID:k2QT4Csw


生きていることさえ恥ずかしい


自分自身に絶望し、どうしようもならない自分に嫌悪し・・・・心を痛めつけながら、私は何故ここまで生きてこれたのだろう。


又は、どうしてここまで成長してこれたのだろう


いや成長は既に止まっているが


言い方を変えるならば、成長したのだろうか


答えは簡単。1人の人間のお陰



『あ、あの!』

『ん・・・・あぁ昨日の』

『・・昨日は・・・あ、ありがとうございます』

『別に感謝されるほどの事はした覚えないんだけどな』

『うぅん・・・・そんな事ないよ。ありがと・・』

598: 2014/03/30(日) 19:58:44 ID:k2QT4Csw

『・・・まぁ俺も有り難く感謝の言葉を受け取っておくな。どう致しまして』

『うん!』

『また困ったら俺に頼ってくれ』




『塾のテスト返却あったよね?』

『あったけど・・・それがどうした』

『私、何位だったと思う?』

『これまで通り10~15位くらいだろ』

『えへへ・・・なんと4位でした』

『そうなのか!良かったな』

『いつもみたいに撫でて!撫でて!』




599: 2014/03/30(日) 19:59:38 ID:k2QT4Csw


『ね!今年の花火大会も3人で見に行こうね』

『わぁ!いいですね!お兄ちゃんは当然行くよね』

『お前ら2人で行かせるわけにも行かないからな』

『だそうです!えへへ・・・たこ焼きとか綿菓子とかたこ焼き・・・・それにたこ焼きが楽しみだなぁ・・・ね、お兄ちゃん』

『そんなたこ焼き大好きだったか?』

『ボケだよ!?冷静に対処されたら私は恥ずかしくて氏んじゃうよ』

『氏んじゃう!?え、えと・・・・な、なんでやねん・・・?』

『お兄ちゃん可愛い・・・』

『うん、かわいい・・・』




『駄菓子屋行こ』

『下校中の買い食いは行儀もマナーも悪いぞ』

『新しい苺味のパピコが入ったって、おばちゃんが教えてくれたの』

600: 2014/03/30(日) 20:00:21 ID:k2QT4Csw

『別に俺、苺そこまで好きじゃねえよ』

『いいのいいの・・・私の好物なんだから』

『まぁいいか・・・』

『じゃあ走ろっか』

『真夏日に走るとか何が目的だよ』

『だって少しでも早く食べたいし・・・風が気持ち良さそうだもの』

『どうせ途中でバテて「おんぶして~」とか頼み込むだろ』

『その時はお願いね。大丈夫!私軽いで定評あるから』

『そうですかい・・・』

『じゃあ全速力で行くから!』

『バテる気満々じゃないか』




『お兄ちゃん、懐中電灯持ってきた?』

『なんでわざわざ外出て夜に空を見上げなきゃならないんだ』

601: 2014/03/30(日) 20:00:59 ID:k2QT4Csw

『いいじゃん。2人は一緒に見れるかもしれないけど、私だけ1人だもの』

『そうだよ、お兄ちゃん?』

『そんならウチに泊まるか、そっちの家に俺達が泊まるかすれば良いだろ』

『やなの』

『ロマンティックの欠片もないよ』

『はぁ・・・』

『ほら、走るよ!天文台まで競走ね』

『ゆっくり散歩気分で良いだろ』

『むぅ・・・つれないなぁ』

『お兄ちゃん!走ろっか!』

『やなこった』

『お兄ちゃんのばかぁ・・・ぐすっ』

『な、泣くな!?わかった!走るから、一緒に走ってやるから!なっ?』

『えへへ・・・じゃあ急ごうね』

『ナイスだよ!』

602: 2014/03/30(日) 20:01:52 ID:k2QT4Csw



『えと・・・あれはね・・・・うんっとね・・』

『あれだよね!金星だよね!』

『金星は日没後にはあんまり見えんぞ。金星が見えるのは明け方か夕方だ』

『じゃあお兄ちゃんは何が何だか分かるの?』

『そっくりそのまま、てっぺんからつま先まで覚えているわけではないが・・・少々惑星の本を読んだことあるし、有名なのは知ってるつもりだ』

『じゃああれは・・・?』

『ん・・・あっ、あれなら私も知ってるよ!』

『なんですか?』

『星屑』

『あそこの一際目立つの見えるか?』

『うん、見えるよ』

『じゃあ、俺の指を指したところ見とけよ。真っ直ぐに並んだ3つの輝き、あれとあれとあれ・・・』

『それで・・・?』

『その2つ目のサイドに開く少し小さいけど目立つ星があるだろ?』

603: 2014/03/30(日) 20:03:09 ID:k2QT4Csw

『十字架みたいの?』

『そうそう。あれが白鳥座だ』

『・・・あっ!あそこの平方四辺形みたいな星は、琴座だよね?』

『ことざ・・・?』

『んで・・・あっちの傘みたいな星座が、わし座だ。その3つの星座で最も明るい星を・・・・って、ここまで言えば流石にもう分かるだろ』

『ベガとアルタイルとデネブね』

『おぉ・・・お兄ちゃん達の説明分かり易いね!夏の大三角形だね』

『正解だ。さすが俺の妹だ・・・可愛い』

『むぅ・・・何を兄妹でいちゃいちゃしてるのさ。可愛いは関係ないでしょ』

『・・・私も博識なお兄ちゃんで嬉しいよ』

『んなっ!二人とも抱き合ってずるい!私も!』

『抱き合ってない、抱き着かれてるだけだ。暑苦しい・・・氏ぬ・・・・』

『来年も一緒に眺めよっか』

『先払いで明日でいいだろう』

『残念。明日は肝試し大会です』

604: 2014/03/30(日) 20:04:19 ID:k2QT4Csw

『そうですね!明日が楽しみです』

『きもだめし・・・?あれか。根性を試すとかいう非科学的な遊戯か』

『あれ?やったことないの?』

『俺はそんな事信じてすらないから・・・無縁な遊びだ』

『当然ながら私もしたこと無いです』

『じゃあまた明日の・・・9時に私の家の前に来て?お母さんの許可もらって3人で行こっか』

『賛成です!』

『はいはい・・・いくら拒んだって、お前達は言葉を曲げないからな』



あの頃は楽しかった


家に帰ったら、まずは宿題より外に足を出していた


時には7時にランドセル背負って帰って怒られたりもした


毎日毎日・・・3人で遊んだ

605: 2014/03/30(日) 20:07:18 ID:k2QT4Csw


私の記憶には助けてもらったり、助けたりもしたり・・・


生活を共にすることで自信や勇気、知識や好奇心


人がいることで学べた。


あの日、あの時、あの場所、あの人が私を助けてくれたから・・・・私の目の前は全てがモノクロから色彩に満ちた華やかな世界へと一変した


私が困ったら、あなたは直ぐに駆けつけてくれる


勇気をくれる、励ましてくれる、助けてくれる


無くてはならない・・・私の目であり、口であるとも称してもいい


私にはそんな親友が2人いた


そんな仲良しな2人の兄妹が


606: 2014/03/30(日) 20:08:57 ID:k2QT4Csw


兄は表面上ただの不貞腐れ屋、だけど知った人は分かる

彼は誰よりも優しい、簡単に身も捧げれるような人間


妹は見た目通りのおっとりさと天然な可愛さの持ち主

自分の座っている椅子でさえ親切心を振りまく程の度が過ぎた最上級の優しさ


私はその親友の兄には特に執心していた


兄は私の一番の理解者で信頼できる友人関係で、親友で、ある意味半身で・・・相容れない者でした


私の提案には大抵、『面倒』『なんで俺が』『嫌だ』と時には難癖つけて拒む


でも、彼は言うんだ。



『そんな悲しそうな顔するなよ』



その言葉を言った後は、必ずと言ってもいい程・・・・私の提案に賛同してくれる

607: 2014/03/30(日) 20:09:44 ID:k2QT4Csw


彼はその恐るべき聡明さにより私のすべてを見抜いていた


殻にかぶり、表面に鏡をはり、自分を見せず、周りの景色に合わせ、自分を空気にして過ごしていた


そんな私が嫌いだと、昔彼に言われたことがある


完全に欺き、せしめている私の空間は、彼にだけは通用しなかった


どんだけ演技したって、素の私を見ていた



そんな強気に演じなくていい。

辛いなら辛いと言え。

お前はお前だ。

お前が周りをから孤立したって、俺は傍にいてやるから。



そんな、私の唯一の味方はいつか味方じゃなくなるなんて・・・・思いもしなかった

608: 2014/03/30(日) 20:10:35 ID:k2QT4Csw



ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー




人生には悲しみは付きものだ



俺は人間というものが見当つかないんだ


ある日を境に他人を自分を本当に嫌いになった時期が一度あった


愛しさとか、哀しさとか、恐れや不安・・・


誰もが当たり前にように有している感情に俺は恐縮した


人を殺めたら、こんな気持ちなんだろう


他人の人生を壊しかけた人間が、自分で自身の人生を壊した

609: 2014/03/30(日) 20:12:00 ID:k2QT4Csw


間違いがあるのかは定かではないが、自業自得だろう


なのに、壊れたものを拾い集めて・・・縫い合わせ、時には足りない布で合わせて・・・・


また俺を作り直そうとしている者がいる


本当に人間というものが見当つかない



「そこの少年よ」



腕を組み、如何にも偉そうで上から目線な態度でものを言う低身長の眼鏡の女性



エレン「なんだよ」



不貞腐れた口ぶりで応答する

610: 2014/03/30(日) 20:13:19 ID:k2QT4Csw


俺は心の葛藤に正に押しつぶされそうなんだ



「ちょっと立ち話でもしないか?」


エレン「就寝時間まで、あと数分しかないぞ」


「大丈夫だ」


エレン「・・・・で、なんだよ。改まって話なんて?リコさんなら俺の電話番号くらい知ってるだろ。時間ないなら電話でも構わないが」



そこに仁王立ちしていた女性は、言葉に女性として多少の難があるリコさんでした


雰囲気で違う


そんな曖昧で霞のようなモヤモヤした感じがした

言葉に棘があるわけではない

態度は特に代わり映えのしない

611: 2014/03/30(日) 20:13:53 ID:k2QT4Csw


リコ「口で言った方が早い」


エレン「で、なんだ?」



俺は早めに終わらそうと急かすように応対した



リコ「入学当初の話をしようか」



何を掘り返したのか、それは俺が問題を起こした日


何度も話題として聞いた話


結果として、噂はもう聞かなくなった過去話



エレン「その話なら1から100まで話し合ったと思うが」

612: 2014/03/30(日) 20:14:26 ID:k2QT4Csw


リコ「お前が保健室に来た後に、”2人”の人物が来たと話したこと覚えてるか?」



実に懐かしい・・・・アニと決別し、中を取り持った時の話だ



エレン「あぁ聞いたぞ。その時は絆創膏と消毒液をアニが持ってきたんだろ」



リコさんは小さく頷き、組んでいた手を解いた


そして、俺の前に人差し指を一本立ててある事を聞いてきた



リコ「あぁそれは話した。よく覚えてるな・・・・で、本題・・・もう1人は誰が来たと思う?」



その人差し指は、もう1人というのを表していた


その1人というのは、そんな大事なことなのだろうか

613: 2014/03/30(日) 20:17:35 ID:k2QT4Csw


わざわざ手で表してまで、表現しなくてはならないものだったのだろうか



エレン「なんで今頃になって、そんなことを掘り返してくるんだよ」


リコ「私は”今頃になって”そのことに不信感や疑問を感じてきたんだ」



さて・・・何の事だか、何が言いたいのか

主語がなくて、何が言いたいのか伝わらない


だが、1つ筋が通っているのは確かだろう


だって、こんな真面目なリコさんの話す事を疑うなんて気違いじみている



エレン「は?なんで『今』なんだよ?」


リコ「その答えはのちに分かる。で、誰が来たと思う・・・?」

614: 2014/03/30(日) 20:18:17 ID:k2QT4Csw


エレン「俺が怪我させた奴か」


リコ「不正解だ」


エレン「じゃあ初日に怪我したどこぞの誰かだろ」



ある程度、そんな会話を繰り返したら、リコさんは口をつむらせた


どうやら俺の言った答えは違ったらしい



10秒程無言が続き、リコさんは「じゃあ・・・」と口を開いた



リコ「・・・・・お前はあの生徒会長とは仲が悪そうじゃないか」


エレン「・・・・・。・・・なんで今そのことを話さなきゃならないんだよ」

615: 2014/03/30(日) 20:19:01 ID:k2QT4Csw


言葉通り。リコさんには関係ない事


なぜ言わなくてはならないのか


他人事に首を突っ込む人間は理解出来ない


俺が言えたことではないが


自分がその立場になると、どうしても理解し難い


だって、俺が他人事に首を突っ込む時は人を助ける時だけだから



・・・・・・・。



人を助ける時・・・・?



リコ「さぁ、どうしてだろうな」

616: 2014/03/30(日) 20:19:49 ID:k2QT4Csw


答える義務はない


だが、答えなきゃリコさんは折れない気がした



エレン「仲が悪いわけじゃない。あいつと俺は違う次元の人間なだけだ。距離を置いて何が悪い」


リコ「その意見を私が聞いたのを踏まえた上で私はある事を言う」



「私も一応教師の端くれだ」



エレン「それがどうした・・・?」


リコ「知ってるか?成績や身長体重、資格に入っていた部活に委員会まで・・・個人の情報は学校を卒業しても数年は、その学校の情報として残るんだ」


エレン「・・・・・そうなのか」


リコ「ならば、もう一度言う。私は一応教師の端くれだ」

617: 2014/03/30(日) 20:21:08 ID:k2QT4Csw



何が言いたいのか分かった



エレン「・・・・・・」


リコ「意味が分かっただろ・・・?」



いや・・・薄々分かっていた



エレン「・・・・俺の学校に残ってる個人の情報は、教師であるリコさんなら知れるということか」


リコ「・・・・・・あとは分かるだろ?さっき問いかけた私の言葉の全てが」



リコさんのかけた言葉の全て

618: 2014/03/30(日) 20:22:11 ID:k2QT4Csw


・入学当初、保健室に来た2人のうちの片方


・クリスタと仲が悪いとの事


・俺の個人情報を知っている、若しくは知る事が出来る


そして、”今頃になって”この全てが気になりだしたということ



リコ「なぁエレン・・・・お前は何を私・・・いや、私達に隠しているんだ!お前が中学1年の頃に何があったんだ!?」



リコさんは、俺の肩をその勉強でしか使ってこなかったようなひ弱な腕でギュッと掴んできた


あまりの事に後ろ足下げ、たじろぐ



リコ「なぁ、私にも言えないことか・・・?私には役者不足か・・・?」

619: 2014/03/30(日) 20:23:17 ID:k2QT4Csw


リコさんは場違いな笑顔を見せた


必氏な顔なのに笑顔で・・・・まるで問題児を諭すような



エレン「・・・・・ったんだよ」



リコ「・・・・え・・・なんて・・・・・・・」


エレン「どこまで知ってんだよ!!」


リコ「・・・・・・」


エレン「なぁ!答えろよ!!黙ってないで答えろよ!!」



非情なくらいに声を張り上げた

620: 2014/03/30(日) 20:26:45 ID:k2QT4Csw


駄目だ駄目だ駄目駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ



頭の中は壊れたレコードのように何度も何度も再生される


胃の中のものが逆流し口から吐き出されそうだ


腹の力を抜いたら、食堂をあっさり通り抜け我慢できないだろう



エレン「・・・・っ・・・・く・・・」



何が”駄目”なのか




俺は・・・・リコさんから・・・



絶対に・・・嫌われたくない・・・・っ!

621: 2014/03/30(日) 20:28:09 ID:k2QT4Csw



エレン「・・・・なぁ、答えてくれ・・・・・・」



歯を必氏に噛みこんだ


大粒の生暖かい水滴が頬を伝う


もはや粒ではない・・・


頬を伝った水滴達は、鼻の横を通り、ほうれい線を伝い、顎に到達し・・・・涙とは考えられない速度で、ぽたぽたと落ちていく


胸が痛くて痛くて堪らない


情けない顔をしているだろう

必氏な気持ち悪い姿をしているだろう



リコ「私が知っているのは、お前がクリスタと親友で、中学1年で孤独に陥ったたいう事だけだ」

622: 2014/03/30(日) 20:31:50 ID:k2QT4Csw


エレン「嘘だ・・・」


リコ「・・・・・」


エレン「嘘つくな・・・・」


リコ「嘘じゃない」



気付いたら、肩を強く握り締められていた手は解かれていた


リコさんは目線はずっと下げなかった
ずっと俺を見ていた


そして消灯時間が近付き、そのままリコさんを置いて俺は部屋に戻って、眠りについた


俺は罪悪感に溢れていた



623: 2014/03/30(日) 20:34:21 ID:k2QT4Csw


ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー



クリスタ「おはよう、エレン」



屈託の無い笑顔


朝から縁起が良いような


拝んだから富みがありそう



エレン「・・・・早いな」



昨日は二度も泣いた所為か瞼が重くて疲れている


目尻が痛い

624: 2014/03/30(日) 20:35:51 ID:k2QT4Csw


クリスタ「エレンは昨日は遅かったね」


エレン「・・・・・まだ寝たい」



幼稚な子供のように駄々を捏ねる様に瞼を擦り告げる



クリスタ「珍しいね・・・でも今日は雪道の散歩だよ」


エレン「はぁ・・・・朝風呂行ってくるから、洗面所使えないからな」


クリスタ「ん、わかった・・・」


エレン「・・・・・」


クリスタ「エレン・・・これ、ありがと」



クリスタは腕を突き出して、手首を見せつけてきた

625: 2014/03/30(日) 20:37:36 ID:k2QT4Csw


いや、明確に言えば・・・手首に付けている”あるもの”を見せつけてきた



エレン「・・・・・」


クリスタ「もう忘れられてるかと思ってたよ」



眉は中央により、口角は上がっている

頬は紅く染まっていた


哀しみなんて無縁な表情


幸福感しか見えない


なんせ今日が今日であるから


今日である事に意味がある

626: 2014/03/30(日) 20:39:09 ID:k2QT4Csw




エレン「誕生日おめでとう」


クリスタ「うんっ・・・・ありがと」



ニコッと笑う笑顔は綺麗という言葉では収まらないほど、明るく眩しい


人生の真理として1つ言うのなら・・・


頬の色合いで、その人の感情の気持ちの入れ具合は変わってくる



クリスタ「大事にするから・・・このミサンガ」


エレン「願いが叶うといいな」

627: 2014/03/30(日) 20:41:25 ID:k2QT4Csw


昨日ペトラ先生と一緒に選び買ったミサンガを、もう片方の手でクリスタはギュッ握り締めて、目を閉じて・・・



真っ白な歯を見せて、クリスタは




「うん・・・本当に」


と、言いました




どこか切なく、緩くも優しい声でした



647: 2014/04/06(日) 20:52:51 ID:64I3Hhww

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合宿三日目


自然を感じ、各ポイントを目指し雪の景色を見ながら歩くイベント


いつもとは違う環境を精神面でのプラス効果を期待できる


いつも同じ空間、ましてや教室という縛られた空間を続けていると、どうしても否定的な感情が湧いてしまう


そしてノルアドレナリンが分泌されベータ脳波を伴う筋肉の緊張からストレスを感じやすくなる


感じた事があるだろう


どうしても人間は楽しい時は疲れを感じず、直ぐに時間を忘れてしまう事に

648: 2014/04/06(日) 20:53:30 ID:64I3Hhww


こうして普段とは違う環境に触れ、解放感のある場所で気持ち良く空気を感じることが出来れば

人間は気分が切り替わることでドーパミンが分泌され脳波もアルファ状態になり、通常運転以上に心身共にリラックスする


そして安全かつ効果的なストレス発散・・・若しくは、心の安らぎを得ることが出来るわけだ



勉強は学生の本分であるのは当たり前


教師は勉強を教えていく上で、どう円滑に頭の中に記憶させていくのか・・・


その中で、このイベントは円滑に記憶させていく事の一歩として組み込まれる”息抜き”なのだろう



アルミン「どうしたんだい?そんなに僕と同じ班と行動出来て嬉しいのかい?」



先程述べた”息抜き”とは場合による


だって”ぼっち”にとって、たとえそれが息抜きと呈示されていても、知らない人間と共に時間を過ごす事は緊張であり、その行為自体はストレッサーにすぎない

649: 2014/04/06(日) 21:13:06 ID:64I3Hhww


エレン「本当に良かったよ」



だがしかし今回は勝ち組だったようだ


一昨日の俺の提案がしっかり報告されたのか、配慮されている


俺とクリスタが他の班の一員として組み込まれる仕組みに特別になったのだ


教師も一応考えたんだろう

俺はアルミンという親友と、クリスタは仲の良い友達と同じ班


リコさんやペトラ先生が人声かけてくれたに違いない



アルミン「そうかい・・・それは僕も嬉しいよっ」



チラッとアルミンは後ろを向き、小さく手を振った

650: 2014/04/06(日) 21:17:06 ID:64I3Hhww


疑問符を浮かべ俺も横目で見る



クリスタ『あははっ』

女子A『だよねー』



彼女らは話に夢中なようで、見事な無視を繰り広げられた



空気を読み俺も無言を貫く



アルミン「とほほのほ・・・」



取り敢えず、哀れみの目を向けるのは止めておこう



エレン「さすがの学年一の人気者も、無視は辛いんだな。俺なら手を振ることは愚か振り向くことすらしないからな」

651: 2014/04/06(日) 21:18:23 ID:64I3Hhww


アルミン「人気者とか関係無いよぉ・・・」


エレン「というか、なんでお前の班は女子しかいないんだよ・・・一人休んでるとしても、ハーレムとかお前はとんでもない趣味だな。度胆を抜かれたぜ」


アルミン「勝手に組まされたんだよ・・・僕は何も知らない内にこうなってたんだよ・・・・」


エレン「ん、そうかそうか・・・」


アルミン「ちょっ髪の毛くしゃくしゃにしないで」


エレン「『しないで』と言われたら、したくなるのが人間の性だ。故にリアクション芸人の十八番の『押すな』という言葉に対して、周りの人間は当人を押すんだ」


アルミン「僕はリアクション芸人じゃないってば!?」


エレン「まっ・・・ミーナも落ち込んだ時はこうしてやると結構なケースで落ち着くんだよ」



人の体温とは安心を与えると言われている

652: 2014/04/06(日) 21:20:45 ID:64I3Hhww


お風呂の温度は人間の体温より少し高い


それは何故か


身体の内側、内蔵まで人の常温として温めるのに適してる温度であるからといわれている


身体に適した温度は血流を良くしたり、疲労回復もあるとされてる


結果的に健康面、メンタル面でのリラックス効果もある


また、幼児が親の背中や胸に身体を寄せると眠たくなるのは、その作用が働いているからだともいわれている


心臓の音、人の体温、においなど・・・理由は様々であるが、実際に俺はリコさんをおんぶした時、リコさんは数分とたった後に眠りに落ちてしまった


またはミーナと一緒に寝る時は直ぐに眠たくなる・・・・一昨日、クリスタと寝た時だって・・・まぁ証拠の一つとしての提示だ


このように人は人の体温を感じ、安心を覚え無防備になる

653: 2014/04/06(日) 21:21:38 ID:64I3Hhww



そして、話は戻そう


俺はアルミンの頭を撫でることで、手のひらの体温をアルミンの脳天に直接感じさせているんだ


落ち着かせるために


たまにアルミンの頭をぽんぽんと優しく叩くのも、それを意識してでの行為でもある



アルミン「ま、まぁ・・・なんか落ち着くのは落ち着くよ・・・?でも、やっぱ幸福感よりも周りの目といいますか・・・・」


エレン「周りの目?これまたどうしてだ」


アルミン「・・・・はずかしいじゃないか」


エレン「俺はぼっちだから、赤の他人からどう思われようと別に良いんだが」


アルミン「さっきのエレンの言葉を使わせてもらうならば、僕は学年一の人気者だよ!?うわっ、これも言ってて恥ずかしい」

654: 2014/04/06(日) 21:22:26 ID:64I3Hhww


エレン「そうか。それはすまなかった。これがジェネレーションギャップか」


アルミン「僕ら同い年だよ・・・」


エレン「取り敢えず、お前はこうされるのを周りから見られるのが恥ずかしい、と?」


アルミン「うん・・・」


エレン「お前・・・俺が女に見えるのか?」


アルミン「えっ・・・・キミはそう捉えるのかい!?」


エレン「だって、こういうのは恋人同士のするものだと言いたいんだろ?だから恥ずかしい。違うか・・・?」


アルミン「半分正解で半分不正解だよ。言いたいことは分かった。けど・・・」


エレン「けど・・・?」


アルミン「僕が言いたいのは、周りはエレンが女の子に見えてまるで恋人同士だな・・・って事じゃないんだ。普通に男同士でも恥ずかしいでしょ?って言いたいんだ」

655: 2014/04/06(日) 21:24:00 ID:64I3Hhww


エレン「友情だ」


アルミン「あぅ・・・・揺らぎそうになったよ。友情って聞いたら何だか許せる気がしてきた。日本語って本当に奥が深い・・・」


エレン「まぁアルミンが嫌って言うなら、もうしないさ。独断でしてただけだし」


アルミン「別に僕は嫌って言ってないさ!エレン・・・キミは知らない。人に撫でられる事の良さを」


エレン「急に熱くなるなよ・・・というか内容が内容なんだけど」


アルミン「特に人は他人から触られる事を拒む習性があるんだ。それは自分の無防備を晒す訳で、隙を見せる事でもある。そして―・・・」



アルミンが言っているのは身体に刺激を与えておこる快感なので・・・・視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の五感の内の触覚を特に表しているのだろう


音楽を聴けば聴覚が、美味しい物を食べれば味覚・嗅覚が 刺激を感じ取り快感に変換する


このように日常生活の中にでも、五感で感じ取って快感は発生する

656: 2014/04/06(日) 21:24:38 ID:64I3Hhww


エレン「えと・・・つまり・・?」


アルミン「簡単に言えば、そうさ。理髪店などで髪の毛切られてる最中に、ついウトウトしてしまうのも、無関心の上で心が気持ち良いと判断しているからなんだよ」


エレン「・・・・・・理論で語られてもピンと来ないが、とにかく撫でられるイコール気持ち良い。だから撫でてくれ・・・と?」


アルミン「そうさ!」



ドヤ顔で語るあたり、本気さが伝わる


こんな熱いアルミンは初めてだ


撫でることはあっても撫でられた事は小さい頃にしかないから、その気持ちは何となくしか分からないけど・・・


そういや昔はよくクリスタにせがまれたっけ・・・


エレン「よく臆面なく恥辱な事を淡々と語れるな。逆に誇らしいよ」

657: 2014/04/06(日) 21:25:09 ID:64I3Hhww


アルミン「だってハッキリ言わなきゃエレンには伝わらないじゃないか」


エレン「そうか・・・?」


アルミン「そうさ、さっきだって・・・僕は嫌とは言ってないのに、自論で嫌なのだと判断したじゃないか」


エレン「解釈は間違ってないと思うんだがな」



少なくとも俺の判断は正しいと思うんだがな



アルミン「時には常識外の事も起きるんだよ・・・わかったかい?」



アルミンは人差し指を突き立てて言い聞かせてくる


ただし言い聞かせている雰囲気を出しているが、身長が小さいためただの大人ぶる子供にしか見えない

658: 2014/04/06(日) 21:25:49 ID:64I3Hhww


エレン「・・・把握した」


アルミン「僕が撫でられたがってのは意外かい?」



眉を顰め下から覗き込んでくるアルミンは犬が餌を強請ってくる姿にそっくりだ



エレン「意外と言えば意外。だが別に言われなきゃ何とも思わなかったし、これからも断りなく続けてたな」


アルミン「・・・・まぁ人間が人間に抱かれたり撫でられたりするのを求めるのは本能的なものだよ」


エレン「本能、ね・・・」


アルミン「理論でも何でもない・・・幼い頃から、最も信頼できる親から、そうされてきたから、それは安心出来ると判断できるんだ」


エレン「言いたい事は分かる・・・さっき似たような事を考えてたし」


アルミン「だからさ!僕が落ち込んだ時は、撫でてくれないかい・・?」

659: 2014/04/06(日) 21:26:58 ID:64I3Hhww


エレン「はいはい、了解した」


アルミン「やった!・・・・っん?」



アルミンがガッツポーズをとった瞬間に、アルミンの肩に何者かの手が置かれた



ん?何か甘ったらくて良い香りがするような・・・



女子A「アルミンって本当に男なの・・・?」


女子B「大変盛り上がってましたね・・・誠に大変にいやらしい」


クリスタ「あ、あはは・・・」



エレン「・・・っ!!」

660: 2014/04/06(日) 21:28:54 ID:64I3Hhww


瞬時に後ずさりをする


気配を察知できず、すぐ近く・・・背中をとられた



アルミン「あっ・・」



口をぽかんと開けて言葉が出ないアルミン


俺は一歩二歩と少しずつ足を出して、ゆっくり距離をとった



女子A「あんたは、なに逃げようとしてるのよ」


エレン「へ・・・」


クリスタ「アルミンって、そういう趣味だったんだね・・・ま、まぁ!愛の形は人それぞれだからね!?良いと思うよ!」


アルミン「ふえっ!?」

661: 2014/04/06(日) 21:39:07 ID:64I3Hhww


女子A「だから色んな人から告白されても誰とも付き合おうとしなかったんだ」



へぇ・・・さすがだな


アルミンって告白されるんだ


身近な人のこういう事って何故か興味が湧くよな


・・・・アニもモテるんだろうな

見た目だけは一丁前だし・・・

中身も歪んでるとこはあるけど、普通に良いやつだし



アルミン「誤解だ!」


クリスタ「大丈夫だよ?私はそんな事で友達を忌み嫌ったりしないから」


女子B「誤解と申されましても・・・あんな大声で頼み込んでいたのを目の前で見ちゃいましたし」

662: 2014/04/06(日) 21:41:50 ID:64I3Hhww


さすがハーレムは違うねぇ


これが修羅場か


俺が無関係なだけに心が気楽だ


アルミンがモテるのが悪い



女子A「アルミンは、こいつの事が好きなの?」



取り敢えず空気に慣れようか・・・


というか、こいつらアルミンが好きだったとは意外だな


別に意外じゃないか


アルミンがモテるのは普通だと思うし

663: 2014/04/06(日) 21:43:16 ID:64I3Hhww


アルミン「違うに決まってるじゃないか!?僕は親友をそんな目で見たことなんか神に誓ってもないよ!」


女子B「・・・・・本当ですか?」


クリスタ「別に無理しなくていいから!気持ちに嘘つくのは良くないことだし・・・ね?でもエレンと付き合うのは良くないかな・・・・」



アルミンが四方八方からマシンガンで乱射されてる


おろおろしているアルミン・・・・まだ観察しとくか


助けを呼ばれたら、フォローに回ろう。うん、そうしよう


別に面白いから、こんなことしているわけじゃないからな?

少しアルミンの生態を知りたいってなってるだけだから

面白いとか微塵も思ってないから・・・勘違いするなよな



アルミン「クリスタぁ・・・キミまでそんな事を・・・・」

664: 2014/04/06(日) 21:46:41 ID:64I3Hhww


女子B「エレンさんと付き合ってなんかは・・・いませんよね?絶対に」


女子A「はぁ!?あんた、マジでそんな男同士でなんて!気持ち悪いわよ!やめなさい」


クリスタ「・・・・ねぇ、アルミン本当のこと答えてよ?」



おおっ!ガチ修羅場だ、修羅場


アルミン困ってやがるな


こういうギスギスした感じの悪い雰囲気ぷんぷんなのに、何故か見入っちゃう


ふむ。幽霊が怖いと思いながらも見てしまう好奇心と同じだろう


多分、未経験だからこその探究心と興味だな



ここで俺が『ただの親友だ』と一言言えば解決する話なんだけどな

665: 2014/04/06(日) 21:48:37 ID:64I3Hhww


アルミン「そんなのあるわけないじゃないか」


女子B「本当ですか・・・おにぃ・・エレンさん?」


エレン「へ・・・・俺?」


女子A「この場でエレンなんて名前の奴なんて、あんたくらいしかいないでしょ」



相変わらず、あたりが強いな・・・店で合う時と同じみたいだ


初対面の頃はもっと大人しかったのにな・・・


・・・・・初対面の頃は・・・あれ?



エレン「どうだろうか。アルミンに問いただしてみたらどうだ?」



まぁいいか。ここはアルミンハーレムの観察を楽し・・・観察をしよう

666: 2014/04/06(日) 21:50:13 ID:64I3Hhww


矢先を直ぐにアルミンに向けさせるあたり、俺はサディストの見込みがあるだろう

と、そういうのは自分でいうものじゃないか



・・・・・ごめんな

正直、楽しんでいる自分を許してくれ



クリスタ「アルミン?」


アルミン「えええっ!?エレン!?」



取り敢えず『がんばれっ!』という温かい視線を送る


ああっ・・・ニヤつくのを堪えるのは、ここまで辛いなんて知らなかった


ごめんな。今度、ドリンクバーでも奢ってやるよ

667: 2014/04/06(日) 21:52:55 ID:64I3Hhww


クリスタ「どうなの・・・・アルミン?」


女子B「誠に不健全です。男同士なんて穢らわしい・・・恋愛に興味ない雰囲気出しといて実はそうだったなんて・・・・」


エレン「おい、アルミンって結構色々言うぞ?『今のアニの仕草可愛い』とか『女の子のふくらはぎってドキドキするよね』とか・・・俺のしらない事をよく言ってくっんむ!!」


アルミン「男子トークを女子の前で語るなんてエレン、キミは何者だい!?悪魔の生まれ変わりかい!?」


エレン「ぷあっ・・・とにかくだ!アルミンは恋愛に対しては前傾姿勢だと思うぞ」



なんか口出ししちゃったし、そろそろ助け舟でも出すか



クリスタ「・・・・はぁ・・・」


女子B「・・・・・さすがですね」


アルミン「エレン!キミって奴は僕の何もかもを暴露するつもりかい!?」

668: 2014/04/06(日) 21:55:42 ID:64I3Hhww


女子A「あんた・・・バカぁ?」



あれ・・・哀れみの目を向けられてるのは俺か!?


意味がわからない


アルミンが恋愛無関心と言われたから、俺はアルミンのフォローをして、そしたら俺が哀れまれて・・・



エレン「は?チミっ子にそんなこと言われる筋合いはないぞ」


女子A「チミっ子って・・・。・・・・ふんだ!どうせ不良なんだから、私より頭が悪いに決まっているでしょ!ばーか、ばーか」


クリスタ「2人とも!」


エレン「勝手にそう思ってろ。どうせチミっ子は精神年齢12歳だもんな・・・仕方ない」


女子A「もうチミっ子じゃないし!大人だし!」

669: 2014/04/06(日) 21:58:55 ID:64I3Hhww


エレン「『もう』って事は認めるってことなんだな!ふっ・・・ボロが出たな!その辺りも子供ならでわだな」


女子A「子供ならでわとか・・・こんな大人らしい大人を子供呼ばわりとか可笑しいんじゃない!?」


エレン「甘い甘い苺大福食って幼児みたいに幸せそうな顔してたのは、どこのどいつだよ」


女子B「・・・・・・」


女子A「はぁ!?覗いてたわけ!?変O!」


アルミン「・・・・ん?」


エレン「貶すことでしか会話できないお前は某雪ノ下さんのつもりか?お前は残念なとこは同じだが、美人ではないぞ!」


女子A「じゃああんたは無駄に言い訳ばかり積もらせる某氏んだ魚の目をしたぼっちのつもりなの?・・・ヒッキーまじきもい!」


エレン「はっ?俺は言い訳なんかしてないけど。事実を正しく述べてるだけだけど?」

670: 2014/04/06(日) 21:59:57 ID:64I3Hhww


女子A「じゃあどうして私が幸せそうな顔してたって解釈してるのよ!」


エレン「もしかして・・・・おいしくなかったのか・・・?」


女子A「おいしいに決まってるわよっ!」


エレン「・・・・・そうか。よかった」


女子A「に、にこにこするな!ばかっ!」


クリスタ「ねぇ・・・?」


エレン「なんだよ?」


クリスタ「2人とも何を話してるの?」


エレン「・・・・??」


アルミン「そうだよ。というか、それ以前に2人とも知り合いなの・・・?」

671: 2014/04/06(日) 22:02:25 ID:64I3Hhww


エレン「・・・・・はっ!」


女子A「はっ!」


女子B「・・・・・・ばか」


エレン「何を言ってるんだ。俺はお前と違って貧Oフェチではないぞ?」


アルミン「エレン、落ち着いてくれ!焦って僕の性癖を口走らないでくれ!」


エレン「そうだ!走ろう!あの夕日に向かって!」


アルミン「いきなり過ぎる提案に頭が追いつかないんだけど!?というか、まだ朝だから夕日は出てないよ!」


エレン「先にゴールしたほうが、この後ジュース奢りな?」


アルミン「え?今って散歩だよね!?」

672: 2014/04/06(日) 22:03:31 ID:64I3Hhww


エレン「よーい、どん!」


アルミン「まっ、待ってくれ!!」



待ってほしいのは俺のほうさ


あいつは俺が俺であると知っていたのか


ならもう一人の方だって・・・いつからだよ




・・・・・なんで普通に接してきてたんだ・・・?


ーーーー
ーーー
ーー

673: 2014/04/06(日) 22:05:40 ID:64I3Hhww


クリスタ「ね?苺大福って何?」


女子B「な、なんでしょうね」


女子A「な、なーんだろ?」


クリスタ「言ってくれたって良いじゃない。減るもんじゃないし」


女子A「ク、クリスタ?目が怖いけど」


クリスタ「エレンと何があったの・・・?」


女子A「・・・・これは言ったら皆が」


女子B「はぁ・・・・仕方ありません。これは2人だけの秘密でしたが言いましょう」



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ーーー

674: 2014/04/06(日) 22:06:36 ID:64I3Hhww



はぁはぁと息の荒れる声だけが聞こえ、雪道という完全に足腰にアウェイな環境を駆け抜ている



エレン「はっ・・・はっ・・・・」


アルミン「すとっぷして・・・はぁはぁっ」



外を長時間歩くとされていた為、ある程度の運動しやすい格好



アルミン「止まってくれなきゃ・・・嫌いになるよ」


エレン「よし。休憩するか」


アルミン「ふぁっ・・・はぁはぁ・・・・僕は運動苦手なんだから」


エレン「悪い悪い・・・」

675: 2014/04/06(日) 22:08:07 ID:64I3Hhww


アルミン「・・・・え?もう息は落ち着いたの?」


エレン「元々息は上がってない。息を上げない為のリズムでの呼吸法を行ってただけだ。全速力でない限りなら、結構持久力あるぞ」


アルミン「なにそれ・・・・ちーと?はぁはぁ・・・」


エレン「長距離の陸上選手だって、ただ体力つけて持久力を高めてるだけなわけないだろ。呼吸法も持久力を上げる為に必要不可欠に」


アルミン「もういいっていいって・・・・ふぅー・・・あそこに小さいお店あるね。財布持ってきてる?」



アルミンは20m程先に見える小さなお店を指さし、そう告げた


田舎とはこういうものだ。と雑誌にも載せたいような、のほほん空間にポツンと1つ立つ木造の小屋


その空間にあっているといえば、あっている


まだ冬であるにも関わらず、『氷』というかき氷があることを知らせる旗のようなものがヒラヒラと靡かせている

676: 2014/04/06(日) 22:09:37 ID:64I3Hhww


エレン「持ってきてるけど・・・」


アルミン「じゃああそこでアイスかジュースでも買おっか」



この前は、アニとパピコを買う約束をした時はアイスを拒んでいたのに今回は買いたいようだ



エレン「別にそこまで疲れてないけど」


アルミン「それはエレンだけだよ!僕はもうヘトヘトで・・・・」




~駄菓子屋さん~



エレン「ぽっきん棒なんて懐かしいなぁ」



水色のブルーハワイ味のアイスを1本買い、店前に置かれた小さめのベンチに腰を置いた

677: 2014/04/06(日) 22:10:27 ID:64I3Hhww


アルミン「え?チューパットじゃないの?」


エレン「こう・・・(パキッ)真ん中で、ぽっきんって折るからぽっきん棒なんだろ」


アルミン「へぇ・・・それは凍らせる呈での話でしょ。普通に冷やして飲むことも考えなきゃ」


エレン「そうか?ほら、半分な」


アルミン「エレンってそういう食べ物好きだよね・・・?」



そう呟きながら、右手を差し出してアイスを受け取ったアルミン


走ったせいか頬は真っ赤に火照っており、如何にもの脱力感、疲労感を見て取れる



エレン「そういうって・・・?アイスが、か?」


アルミン「ううん・・・半分子に出来るような、分け合うって感じが・・・かな」

678: 2014/04/06(日) 22:11:14 ID:64I3Hhww


エレン「よくミーナと半分にして食べてたからさ・・・半分なら嫉妬もしないだろ?」


アルミン「嫉妬って・・・まぁハッキリ半分になるなら、喧嘩にもならないしね」


エレン「そうそう。クリスタなんて・・・いいや、なんでもない」


アルミン「・・・・・?あむっ・・・冷たっ!ちょっとエレン!」



俺は自分の持っているほうをアルミンの首筋に、ピトっとくっつけた



エレン「火照った頬もこれで冷えただろ?」


アルミン「冷えすぎだよ!もう!エレンってば・・・」


エレン「なんか今のミーナみたいで可愛かった」


アルミン「キミは、ミーナちゃんにもこんな悪戯をするのかい?」

679: 2014/04/06(日) 22:12:19 ID:64I3Hhww


エレン「そうだな~・・・アルミンとかミーナは反応が好きだからなぁ・・・・もぐもぐ」


アルミン「へぇ~・・・はむはむ」



禁断症状だろうか


アルミンが一生懸命アイスを頬張っている姿をミーナで想像してしまう



エレン「アルミンももうちょっと髪の毛伸ばして、髪の毛黒に染めて2つ縛りにしてみないか?」


アルミン「はーい、シスコン発言はお断りでーす。アニだったら今頃、脛をひと蹴りされてたとこだよ」


エレン「そうか・・・残念だ」


アルミン「あからさまに落ち込まないでくれ・・・」

680: 2014/04/06(日) 22:14:30 ID:64I3Hhww



~数分後~



アルミン「で、話を戻してもいいかい?」


エレン「気になるのか?」


アルミン「だってキミは秘密で結成されたような人間だからね・・・こんな人脈あったなんて知らなかったよ」


エレン「・・・まぁ、もういいか。アルミンだし・・・・・半分知ってるようなもんだし」


アルミン「半分知ってる・・・?」



エレン「なぁ・・・”眼鏡のお兄さん”って聞いたことあるか?」



681: 2014/04/06(日) 22:16:42 ID:64I3Hhww

今回はここまでです

モブが目立ってしまいすみません
メインとこれからのあらすじに影響しますので、嫌な方はそこのところ目を瞑っていただけると嬉しい限りです
【進撃の巨人】エレン「ささやかな望み」【後編】

引用: エレン「ささやかな望み」※現代パロ