238: 2012/11/05(月) 22:27:30.65 ID:+e1tRmQb0

239: 2012/11/05(月) 22:28:13.07 ID:+e1tRmQb0
161

--暗黒森林、競売会場--

司会「そーれでは皆様方ー? 次はB級商品の競売を始めたいと思います。張り切っていきましょー!!」

パチパチパチパチ

盛り上がる場内。

レン「……」

熱気に包まれた会場の中で、冷めた視線を送るフードとマスクを被ったレン。

レン(A級は最後の目玉として出されるにゃ。ってことはB級はその前に全部売られちゃうってことにゃ。つまり……ポニテはどうなってしまうんにゃ?)

他人事のようにポップコーンを貪るレン。

レン(まぁいっか)

司会「次の商品はこちら! 黄金王国の王族が使用していたとされる黄金の猫じゃらし!!」

レン「!?」

240: 2012/11/05(月) 22:28:45.93 ID:+e1tRmQb0
162

--暗黒森林、競売会場--

がたっ!!

レンは勢いよく立ち上がる。
しっぽはうねうねと動き、ハートの形に変わった。

司会「それではこちらの商品は千円からスタートさせていただきます。どうぞ!」

レン(こ、これは買うしかないにゃ!!)

レンは右腕をあげて、

レン「一万え」

富豪「59兆」

レン「」

しかし隣の人間の一言を耳にして石のように固まるレン。

レン「……いっ、一体どゆことにゃー!!」

242: 2012/11/05(月) 22:29:22.78 ID:+e1tRmQb0
163

--暗黒森林、競売会場--

司会「えー続きましてー。おっとこれは飛び入り参加のようですね……出身地不明の赤髪の奴隷でーす!」

ポニテ「いやー、どうもどうも」

あははと笑いながら客席に手を振るポニテ。

こわもて成金「な、なんだ……妙に明るい奴隷だな」

あごひげ富豪「なぜこんなに堂々としているんだ……? 奴隷らしくもない」

紳士金持ち「むぅ……おぱんちゅ」

競売品のポニテを見た参加者達は、険しい表情でそれぞれ呟いた。

司会「えっと彼女はレアスキル持ちということです。我々で審査もしたので間違いありません。そのスキルというのは」

ポニテ「待って」

司会「はい待ちます……て、え?」

司会は思わぬ発言に目をぱちくり。それもそのはず、今まで競売品が話し掛けてくることなどなかったのだから。

243: 2012/11/05(月) 22:30:09.33 ID:+e1tRmQb0
164

--暗黒森林、競売会場--

ポニテ「私のスキルは私を買った人だけが知ればいいと思うなぁ……」

何やら妖艶な雰囲気のポニテ。

司会「……そんなことが許されますか、どんな品なのか包み隠さずアピールするのが私の仕事なのですよー?」

そうだそうだー競売品が何いっちょまえの口聞いてんだー、と観客席からやじが飛ぶ。

ポニテ「なんで? くじみたいで楽しくない? 当たりかハズレかやってみるまでわからないのが乙だと思うけど……」

ポニテはなんかちょっと、あの、なんていうか……モデルっぽい立ち方になる。

こわもて成金「く、くじだってぇ?……ふん……そこまで言うからにはさぞ立派なレアスキルなんだろうなぁ……」

あごひげ富豪「ろくでもないスキルだった時には、出品者共々一生こきつかってやるからな!」

紳士金持ち「お……お……おぱんちゅ」

険しい表情のまま右手の人差し指をくわえる紳士富豪。

244: 2012/11/05(月) 22:30:50.80 ID:+e1tRmQb0
165

--暗黒森林、競売会場--

ポニテ「ふっふーん。期待しちゃっていいかも?」

ポニテは胸を寄せてアピール。

司会「さ、さぁこれはおかしなことになってまいりましたぁ! 競売品がお客様方をあおっております!! こんなことは闇競売の歴史の中でも初めてのことです!!」

わー!!

ヒートアップする会場。

レン(相変わらずにゃね……ポニテにかかればどんな空気でもぶっ壊されちゃうにゃ……)

司会「それでは参りましょう!! 開始価格は、にひゃ」

ポニテ「じゅーおくえーん!!」

ワー!!

レン(ポニテはこの三年間でいわゆる……処OビXチになってしまったのにゃ!!)

245: 2012/11/05(月) 22:32:01.15 ID:+e1tRmQb0
166

--暗黒森林、競売会場--

わーわー!!

次々に手が上がる中、レンは会場の隅に目をやる。

バッ!!

茶髪の大男「八十億だ」

さっ!

切れ目の女性「八十五億よ」

わーわー!!

ポニテ「だーめー!! まだたりないよー!?」

レン(……しかしツインテ達が今のポニテを見たらなんていうかにゃー)



アッシュ「あ、これ食える茸」

サム「まじで!」

その頃アッシュ達は辺り一帯の地形を探っていた。

246: 2012/11/05(月) 22:32:38.07 ID:+e1tRmQb0
167

--暗黒森林、競売会場--

司会「もういませんか~? いませんね~? それでは、二百二十七億で落札です!!」

カン!

司会「すごい額です!! これはA級並の落札価格です!?」

ポニテ「ふ~む……まぁまぁな値段かな。ちと物足りない気もするけれど」

壇上でポニテはにこやかに手を振っている。

レン(さて、無事売れたことだし何か食べるものでも探すかにゃ)

レンは立ち上がって会場を後にした。

ポニテ「……ん? この後私どうなんの?」

レン「はむはむ……来た時は物価やべぇ! って思ったにゃけど、まぁ一度お金が入ればこんなもんにゃ」

どさ

レンは食べ物を抱え込んでテーブルに着いた。

247: 2012/11/05(月) 22:34:21.66 ID:+e1tRmQb0
168

--暗黒森林、競売会場--

レン「あむ」

どさ

レンの真後ろに誰かが座る。

???「……ぎゃはは。よく来てくれた」

白いフード付きのコートの人物が話し掛ける。

レン「なに、あの子の奪還はレン達の望みでもあるにゃ。手紙、感謝するにゃ」

レンはパクパクと食べ物を口に放り込んでいる。

レン「でもあんたはレン達のことずっと嫌いなんだと思っていたにゃ」

???「他に頼れる人物がいないんだ、仕方ないぎゃはは」

レン「そっか……もう王国のバックアップはないんにゃもんね」

???「あの大臣のせいで全てがむちゃくちゃだぜ。……新王様と妃様まで」

レン「ツインテのパパとママかにゃ……」

248: 2012/11/05(月) 22:34:50.52 ID:+e1tRmQb0
169

--暗黒森林、競売会場--

???「……」

レン「……どうしたにゃ?」

???「あの少年と一緒じゃないのか?」

レン「……アッシュのことを言ってるのかにゃ? アッシュはだって三年前の……アッシュって生きてるのかにゃ!?」

???「しっ……。居場所は占師様に占ってもらったんだぎゃはは。占師様の占いは外れない……だから手紙が届いているならきっとこの場所のどこかに来ているはずだ」

レン「なるほど占師様かにゃ……。で、どこにいるってなってたのにゃ?」

???「……砂漠の風」

レン「!?」

レンは目を丸くして驚く。

レン「そんな……なんでアッシュが……そうかアジトを示すナイフを持ってたのは……でもよりにもよって砂漠の風……」

249: 2012/11/05(月) 22:36:21.83 ID:+e1tRmQb0
170

--暗黒森林、競売会場--

???「レン、あんたも聞いたことがあるだろ?砂漠の風のニューフェイス、灰色狼。それがアッシュらしいんだぎゃはは」

レン「!!……なるほどにゃ。とすると新しく部隊長になった侍隊長ってのはサムのことかにゃ」

???「恐らく……」

レン「やれやれ……犯罪組織に入団しているとは想定外だったにゃ。どうりで普通に探しても見つからないわけにゃ」

氏んだものと諦めてたにゃ、とレンはぼそりと呟いた。

???「これで……このメンバーであの子を救い出すぎゃはは」

レン「正直レンとポニテでお釣りがくるレベルにゃがね」

???「……へ?」

レン「なんでもないにゃ」

???「そして実はもう一人、来る予定なんだぎゃはは」

レン「もう一人……?」

250: 2012/11/05(月) 22:36:55.15 ID:+e1tRmQb0
171

--暗黒森林--

かっぽかっぽかっぽかっぽ

配達屋「はぁ困りました……。まさか暗黒森林についたとたんに、最後の手紙が私宛に変わるだなんて……トリックレターなんて初めて見ました」

配達屋はうなだれながらユニコーンに乗っている。

ユニコーン「ひひん」

配達屋「いやですよぉ……何が書いてあるのかわからないんですよぉ?もしかしたら私にえOちな絵を見せて私がどんな反応をするのか見たいがために送りつけてきた変Oさんが物陰から見ているかもしれませんし」

ユニコーン「ねぇだろ」

配達屋「喋った!?……気のせいですかね。もしくはブラクラである可能性もあります。私嫌なんですよねぐろっちぃの。ぐろっちぃのはいけないと思います」

ユニコーン「ひひーん」

251: 2012/11/05(月) 22:37:27.65 ID:+e1tRmQb0
172

--暗黒森林--

配達屋「はぁ……わかってますよぉ、配達屋は運ぶのが仕事ですし、これもおまんまのためと割り切りますよ。じゃあ行きますよ?」

なぜかユニコーンに聞く配達屋。

配達屋「せやっ!」

バッ!

配達屋「ん……お?」

ユニコーン「ひひん?」

配達屋「競売品……麗しの人形姫を盗み出してこのポイントまでって……配達屋の仕事じゃなーーい!!」

ゴトン

その時金塊が落ちた。

配達屋「……へ? なんですかこれ……手紙が開封されると出現するように……? 前金……?」

252: 2012/11/05(月) 22:37:53.42 ID:+e1tRmQb0
173

--暗黒森林--

ユニコーン「ひひん」

配達屋「……仕方がありません。とりあえず様子をみましょう」

配達屋は金塊を拾って袋にしまい、再びユニコーンにまたがると、前方から二人の男が歩いてきた。

配達屋(……今の金塊を見て盗みに来たんでしょうか……それとも手紙のこと……?)

????「おい譲ちゃん、ここはあぶねぇ場所だ。金なんて見せびらかしてたら捕まって悪いことされっぞ」

?????「僕達の目が届く範囲なら助けますがそれ以外なら保証できません」

ざっざっ

中年の男性と太い眉毛の青年は配達屋の横を通り過ぎていった。

配達屋「ご、ご丁寧にどうも~……」

ざっざっ

配達屋は二人の後ろ姿を見ている。

253: 2012/11/05(月) 22:38:21.65 ID:+e1tRmQb0
174

--暗黒森林--

?????「しかしすいません。剣豪様をこんなところの警備なんかで使ってしまって」

????改め剣豪「あー、気にすんな。どうせ暇だったんだからよ。てか三強のお前の方こそやる仕事じゃねぇだろ、隠蔽兵」

?????「いえ、剣豪様ばかりにお手を患わせるわけには……それと今の僕の名前は魔剣使いです間違えないでください」

剣豪「はっ……かってぇな相変わらず」

?????改め魔剣使い「硬くないです。ふにゃふにゃです」

ザッザッ

配達屋(うわぁ……あんな人達まで警備にいるとか……超無理ゲ~)

ユニコーン「ひひーん」

254: 2012/11/05(月) 22:38:49.05 ID:+e1tRmQb0
175

--暗黒森林、競売会場--

司会「さて……A級競売も半分が過ぎましたが……皆様のお目当ての品はまだでていないのではないでしょうか?」

ざわざわ

アッシュ(来るか)

ポニテ(ツインテちゃん……)

レン(いよいよにゃ)

サム(おや、あの観客の女性は……)

ポニテ以外は観客席で既にスタンバイ。アッシュとサムはレンのようにフード付きコートを着用している。

司会「わかっております……お待たせいたしました。今回のメインと言っても過言ではないでしょう! それでは!」

スモークの中から出てきたのは、

司会「我らが同士、大カバ亜人様ご提供による、麗しの姫人形の競売に移らせていただきます!!」

わーーー!!

水色の美しいドレスに身を包んだツインテだった。

255: 2012/11/05(月) 22:39:15.56 ID:+e1tRmQb0
176

--暗黒森林、競売会場--

アッシュ「」

ポニテ「」

レン「」

サム「」

精気を失った表情はまさに人形。
だがそれが逆に、異常なまでに美しかった。

アッシュ(どういう……ことだ)

ポニテ(生きてる感じがしない……)

レン(いやそれよりも……なぜ)

サム(あの頃から全く成長していないのでござる……)

四人は、あまりに予想外な出来事に直面し、固まった。

256: 2012/11/05(月) 22:39:59.55 ID:+e1tRmQb0
177

--暗黒森林、競売会場--

司会「――血統は明らかになっていませんが、ここだけの話、どこかの王族だという情報も入っております」

おぉー、と観客。

???「初めて……見た時は本当に……驚いたぎゃは……」

彼女は会場の外で声だけを聞いている。

???「ツインテちゃん……一切成長してないだもん……それに優しくていつもニコニコしていたのに、あんな……に、なっちゃって」

静かに涙を流す。

???「よっぽど辛いことがあったんだね……今……絵師お姉ちゃんが助けてあげるから!」

絵師は倒れた警備の体に絵を描いていく。

???改め絵師「スキル、人体ペイント!!」

ビシャアアアアアアアアア!!!!

257: 2012/11/05(月) 22:40:32.72 ID:+e1tRmQb0
178

--暗黒森林、競売会場--

ざわざわ

司会「――とまぁ、若干、いやかなり精神は壊れてしまっていますが」

司会はツインテのベロを引っ張りながら言う。

わははは

アッシュ「ッ!!」

サム「やめるでござる」

飛び出しそうになるアッシュを力で押さえ込むサム。

サム「もう少し様子を見るでござるよ。この競売の警備に誰が来ているのかだけでもわからなくては」

アッシュ「ッ……わかっている」

サム「いくら強くなったとはいえ、拙者とアッシュ殿だけでは闇雲に突っ込めないでござるからな」

アッシュはサムの言うとおりにおとなしく座った。

258: 2012/11/05(月) 22:41:03.83 ID:+e1tRmQb0
179

--暗黒森林、競売会場--

ブチッ

サム「……」

アッシュは唇を噛み切った。

サム(……つらいでござろうなぁ……やるせないでござろうなぁ……大切な仲間が、あんな目にあわされては……)

サムの眼が暗くなる。

サム(……状況によっては撫で切りでござる)



ポニテ(まだなの……!? レンちゃん!!)

ポニテはステージの裏から覗き込んでいる。
カーテンを握りしめ歯を食い縛りながら、今か今かとレンを見ている。

鼻毛成金「おぉどうした奴隷よ、ちこうよれ」

鼻毛成金は落札したポニテに手を伸ばす。

259: 2012/11/05(月) 22:41:32.02 ID:+e1tRmQb0
180

--暗黒森林、競売会場--

レン(まだにゃ……まだ絶好の好機とは言えないのにゃ!)

槍兵(あーあ、俺ってばこんな仕事ばっか……期待されてねぇんかな)

レン(あいつらが睨んでいるうちは)

アッシュ(現在確認している限りでも、西の槍兵)

ポニテ(黄金の突撃長に)

サム(東の剣豪と魔剣使い……全く、どこの国も裏ではズブズブでござるな)

レン(恐らくそれだけじゃないにゃ、これは)

配達屋「危険すぎますねぇ」

レン「!」

配達屋「あ、すいません声にでちゃいました。考えごとをしていたもので」

おほほほ、と隣に座っていた配達屋は笑って誤魔化した。

配達屋(でもこれなんてムリゲー? 命が何個あったってこんなもん無理ですよ……)

はぁ、と配達屋はため息をついた。

266: 2012/11/12(月) 23:16:31.03 ID:Obtms4au0
こんばんは。今日もお疲れさまでした。

それでは今週の分を投下していきます。

267: 2012/11/12(月) 23:16:58.79 ID:Obtms4au0
181

--暗黒森林、競売会場--

虎男「……あの競売品……どっかで見たことがあるような気がするがお」

虎男は腕組みをしながら、ステージ上のポニテを裏から見ている。

司会「それでは落札スタート! 五十億からです!!」

わぁぁぁぁ!!

一斉に腕を振りまわし声をあげる観客達。
その中で、

アッシュ「……」

ポニテ「……」

レン「……」

サム「……」

配達屋「ふわぁ」

アッシュ達だけが微動だにせず、好機を伺っていた。

268: 2012/11/12(月) 23:17:36.12 ID:Obtms4au0
182

--暗黒森林、競売会場--

槍兵「……?」

そして野性の感でアッシュ達に注意を向ける槍兵。

剣豪(あいつら、競売をやりにきたって構えじゃねぇな……てかフード被ってりゃみんな怪しいよね)

わーわー

周囲が騒ぐ中、じっとその時を待つアッシュ達と、武器を手にしてアッシュ達を見張っている警備隊。

わーわー

司会「でました七百億! もういませんか!? あ、はい! 七百二十!」

アッシュ「……」

わーわー

さすがに値段が値段なので、徐々に人数が絞られてくる。

269: 2012/11/12(月) 23:18:30.96 ID:Obtms4au0
183

--暗黒森林、競売会場--

ポニテ「……」

剣豪「……」

……おぉ……

司会「はい! 八百四十! 八百五十五!!」

わーわー

レン「……」

サム(……機は熟せりでござるぞ)

槍兵(ん……いつ飛び掛かろうか考えてやがるな……? さぁ来てみろよ……俺らは準備万端だぜ……?)

……おおぉ

司会「千億です!! さぁいらっしゃいませんか!? 他にはいらっしゃいませんか!?」

270: 2012/11/12(月) 23:19:29.14 ID:Obtms4au0
184

--暗黒森林、競売会場--

ざわざわ

周囲が騒つく中、

配達屋「ふあぁあ」

配達屋が欠伸をした。

おおぉ……

司会「決着ゥゥゥーッッ!! 麗しの姫人形は一千億円で決着です!!」

ざっ!!

その瞬間勢いよくサムが立ち上がった。

槍兵「!!」

剣豪「!!」

警備達の目がサムに集中する。

槍兵(来るか!!)

271: 2012/11/12(月) 23:20:04.14 ID:Obtms4au0
185

--暗黒森林、競売会場--

バキャ

剣豪「……なっ!?」

その時、


おおおおおおおぉぉ!!


会場の壁が破壊された。

突撃長(えっなんですじゃ!?)


おおぉおおぉおおぉおおぉ!!


レン(決た!!)

ごろつき「ぐぉぉん!!」

身体中に絵が描かれている人間達が会場に押し寄せてきた。

272: 2012/11/12(月) 23:20:43.38 ID:Obtms4au0
186

--暗黒森林、競売会場--

ゴシャゴシャゴシャ!!

槍兵(づっ!! やられた! やつらがあからさまに目立っていたのは、自分たちに注意を向けさせるためか!!)

わー!きゃー!

競売会場は大混乱、まさにコミケの如し。

絵師「奥義、サマーウィンター……今助けるよ、ツインテ!!」

どばあぁ!!

見張り「あぁああ!!」

ゾンビの群れのように、彼らは無我夢中で行進する。

273: 2012/11/12(月) 23:21:18.83 ID:Obtms4au0
187

--暗黒森林、競売会場--

わー!ぎゃー!

剣豪「」

槍兵「」

魔剣使い「」

虎男「」

しかし押し寄せる人の波に注意を向けることはなく、剣豪達は弾けるように飛び出した。

ダッ!!!!

剣豪(ちっ! 奇襲は受けちまったが)

槍兵(おまえらは逃がさねぇ!!)

目を付けていた人物たちが猛然と走ってきていたのだ。

274: 2012/11/12(月) 23:21:45.47 ID:Obtms4au0
188

--暗黒森林、競売会場--

わー!ぎゃー!

剣豪(まずは一匹!!)

シャッ!!

斜め後ろから懇親の力を込めて振り下ろした刀は、

ガギィィン!!

剣豪「っ!!」

小さいが頑丈なナイフに受けとめられてしまう。

はらり

剣風によりフードが取れ、中から顔を出したのは、

アッシュ「ふん、簡単には行かせちゃくれないか」

剣豪「……!!……お前……その顔はまさか……生きていたのか」

275: 2012/11/12(月) 23:22:19.22 ID:Obtms4au0
189

--暗黒森林、競売会場--

わー!ぎゃー!

サム(……!)

ギィギィアン!!

サムは何も無いはずの空中に刀を振るい、何かを弾く。

ジジッ

魔剣使い「……衰えていませんか、その剣技」

不可視の状態から姿を見せる魔剣使い。

サム「……いやー……これでも維持するのに大変なのでござる」

チャキ

サム(まずいでござる……これは……ちょっと……勝てないでござるな……)

サムは成長した太い眉の青年を見て汗を流す。

276: 2012/11/12(月) 23:22:48.61 ID:Obtms4au0
190

--暗黒森林、競売会場--

わー!ぎゃー!

槍兵「りゃあああ!!」

突撃長「ほぁぁ!!」

レンに突っ込んでくる二人。

レン「レンだけ二人とか、モテモテなのも困るにゃー」

バシュッ

レンは瞬時に槍を作り出し、槍兵と突撃長の接近に備えて走る。

槍兵「! 俺相手に槍とは、かましてくれるぜぇ!!」

ドグシッ!!

槍兵「!?」

突撃長「がっ!?」

しかし彼らはレンに接触することなく、真横から現れた人物に殴り飛ばされる。

277: 2012/11/12(月) 23:23:26.46 ID:Obtms4au0
191

--暗黒森林、競売会場--

茶髪の大男「ごっご」

切れ目の女性「ががご」

槍兵(!! まだ仲間が……いやこれは生き物じゃねぇ……ゴーレムか!!)

ひゅるる

突撃長(人間そっくりに作った精巧なゴーレムを、観客に既に紛れ込ませていたのですじゃ!?)

ドッガアァアアン!!

吹き飛ばされ壁に激突する二人を横目で確認し、一人ツインテのもとに走るレン。

レン(これで終わる相手じゃないにゃ。次のが来るかもしれないし、さっさと連れて逃げるにゃ!!)

わー!ぎゃー!!

278: 2012/11/12(月) 23:24:01.72 ID:Obtms4au0
192

--暗黒森林、競売会場--

わー!ぎゃー!!

鼻毛成金「やれやれ……貧乏人どもが騒ぎでも起こしたでおじゃるか? さっさと引いた方がお利口さんでおじゃるな。さ、早く競売品を連れてまいろう」

鼻毛成金は立ち上がりポニテに手招き。

ポニテ「あ、ごめんそういうのもう終わりね」

バキッ

ポニテは鎖を軽々と引きちぎった。

鼻毛成金「いっ!?」

鼻毛成金は鼻水をたらしながらポニテを見ている。

ポニテ(ツインテちゃん今行くよ!!)

ポニテは自分の首についている鋼鉄の首輪をねじ切って口に放り込むと、ツインテのもとへ走りだした。

鼻毛成金「ど、どこにいくでおじゃる!? てか今さりげなく食べた!?」

279: 2012/11/12(月) 23:24:46.24 ID:Obtms4au0
193

--暗黒森林、競売会場--

ザッ!

ポニテ「!!」

ポニテの前に立ちはだかるのは……

虎男「……お前さんを競売で見た時から、吾輩何かを感じていたがお」

ポニテ「げ」

虎男「ふしゅぅぅう」

バキッボキッ

骨を鳴らしながら虎男はポニテに近づいていく。

ポニテ「……何かを感じていただなんて、そんな時代遅れの告白じゃぁいまどき女の子は落ちないよ?」

虎男「ふん。ならば意識を落とさせてもらうがお!!」

280: 2012/11/12(月) 23:25:22.23 ID:Obtms4au0
194

--暗黒森林、競売会場--

わー!ぎゃー!!

配達屋「これは……ギャングか何かの抗争が始まっちゃった感じなのでしょうか……いや考えようによってはチャンスですねこれ」

配達屋は人の波を掻い潜りながらツインテに近づこうとした。
が、

ドガァン!!

配達屋「ふにゃっ!!」

飛ばされてきた突撃長が配達屋に激突、二人はがれきに突っ込んだ。

配達屋「あ、あたたたたー……もう! 痛いじゃないですか!」

突撃長「こ、これは申し訳ないですじゃお嬢さん」

配達屋「全く……こんな所にまで越させられたり、競売品盗めなんて無理難題押しつけられたり、おじいちゃんにサイコクラッシャーされたり! もうさんざんです!」

突撃長「本当に申し訳ないですじゃ! 立ち上がれるですじゃ? さぁお手を……え? 競売品を盗む?」

配達屋「……」

突撃長「……」

配達屋「あ、条件達成してたからレベルアップしちゃえっ。てへっ」

281: 2012/11/12(月) 23:26:34.88 ID:Obtms4au0
195

--暗黒森林、競売会場--

剣豪「ふん……そのなり……砂漠の風か」

ザザっ!!

その時砂漠の風の隊員達が競売会場に現れた。

小太り隊員「アッシュ副隊長!! 私達はどうしますか!?」

アッシュ「お前達は先に行け、あれを盗み出せ」

小太り隊員「は、はい!!」

剣豪「いや、誰も通さんよ」

ザブシュ

アッシュ「!?」

剣豪が振りぬいた刀に、かすりもしないほど離れた位置にいた小太り隊員が……斬られた。それも真っ二つに。

アッシュ(斬撃を飛ばした……? あの刀には風属性でもついているのか)

剣豪「やれやれ、早くも手の内を一つ見せてしまった。あぁ、だが心配するな、お前にも何か一つ見せろと迫るわけではない」

アッシュ「……」

剣豪「俺にはそれだけあまりある実力があるからな」

282: 2012/11/12(月) 23:27:20.41 ID:Obtms4au0
196

--暗黒森林、競売会場--

剣豪「……」

アッシュ「……」

剣豪は下段の構えをしたまま少しずつアッシュとの距離を縮める。
アッシュは左手のナイフを前に出し、右手を後ろに下げた構えをとる。

剣豪「……ふぅむ」(できる。どうやらスピードではあちらのほうが上のようだな)

剣豪は、アッシュの軸足への体重の乗せ方や筋肉の付き方を見てそう判断した。
何の確証もない、ただの勘である。

剣豪「……」

ただの一度も外れたことのない勘に過ぎない。

剣豪(様子見に撃っておくか)

剣豪は手首を捻り、切り返す。
すると

シャッ!!

目に見えぬ風の刃がアッシュを襲った。

アッシュ「……」

バシィン!!!!

アッシュが何かを払うようなしぐさをする。ただそれだけでその攻防は終わった。

283: 2012/11/12(月) 23:28:54.22 ID:Obtms4au0
197

--暗黒森林、競売会場--

剣豪「!!」(こいつ、目に見えぬ風の刃に対応したか……しかも避けるでは無く斬りはらうとは……それもいともあっさりと)

アッシュ「……」

アッシュは睨みあいの中で、右手でそっと地面に手を触れる。

剣豪(……毒か。目に見えぬ所を見ると……毒ガスか?)

剣豪は魔法効果を低下させるアイテムを多数所有しているので、毒魔法などたやすくかき消してくれるだろう。しかし物には有限が付きまとう。もし何十回も毒ガスで攻撃されては、さすがにそのアイテムでも持たないだろう。

剣豪(それに会場全体が人質に取られているような状況だしな……早めに仕掛けたほうがいいか)

剣豪が刀の切っ先を相手に向ける中段の構えにした瞬間、

アッシュ「っっ!!」

アッシュが剣豪に向かって駆けだした。

284: 2012/11/12(月) 23:29:37.62 ID:Obtms4au0
198

--暗黒森林、競売会場--

アッシュ「ぬっ!!」(この一瞬をついてくるか!)

アッシュの急接近に一手遅れてしまう。

剣豪(この思考時間を生み出すためだけの行動だったか!!)「ちぇぇい!!」

剣豪は突進してくるアッシュに突きを繰り出す。

アッシュ「っづ!!」

ギリリリリリりリリ!!!!

盗賊王は左手のナイフで突きの軌道を逸らすも左肩を抉られる。

ブッ!

アッシュ(完全な体勢からの突きじゃないはずなのにこの威力、逸らしきれなかった)

剣豪(かわした!! これはま)

ドシュ

アッシュは魔力で強化した右手の手刀で剣豪の右ひざを切り裂いた。

285: 2012/11/12(月) 23:30:09.64 ID:Obtms4au0
199

--暗黒森林、競売会場--

剣豪「ぬぅぅっ!?」

ガクガク

アッシュ(剣豪の剣技には強烈な踏み込みを必要とするのか、ここの部分だけ異様に弱くなっている……)

アッシュはいつのまにかスキルを発動させていた。

グラッ

剣豪はバランスを崩されて倒れ込もうとしている。

剣豪(勝機!! 足のふんばりが無くとも、この刀の切れ味なら)

剣豪は倒れながら体を捻り、

剣豪「シャッ!!」

アッシュの首筋目がけて刀を振るう。

286: 2012/11/12(月) 23:32:56.89 ID:Obtms4au0
200

--暗黒森林、競売会場--

剣豪「!?」

しかし剣豪の刀は空を斬る。そこにいると思ったアッシュは、既に数メートルの距離を置いていた。

剣豪「な、なぜ……」

ドサリ

剣豪「そこは追撃で勝ちを取りに来るところだろうに……」

アッシュ「……俺は今回あんたと戦いに来たわけじゃない。ツインテを盗みに来たんだ」

剣豪「……足止めが目的だったと言うのか……俺は、俺は命をかけた仕合を!!」

アッシュ「あんたと頃す気でやったら俺は無事ではいられない。こんな場所じゃあんたのほうが有利だろ」

ビリっ

剣豪の体に即効性の神経毒がまわる。。

剣豪「腰ぬけが……なら……どちらの利も無いところで……いつか」

アッシュ「……それまであんたが現役ならな」

295: 2012/11/19(月) 20:10:43.21 ID:WNLlrc3z0
こんばんはー!

アッシュvs剣豪はあの時のあの戦闘を連想させるものとしたいので使ったのですが、色々誤植しちゃったりで申し訳ないです……。
それでは投下していきます。

296: 2012/11/19(月) 20:11:15.62 ID:WNLlrc3z0
201

--暗黒森林、競売会場--

ガガガガガ!!

虎男の拳が、蹴りが、

ガガガガガ!!

ポニテの肘鉄が、膝が、

虎男「ぬぅぅぅん!!」

ポニテ「はぁぁぁ!!」

ドギシィィン!!

互いを削り合う。

鼻毛成金「な、なにが起こってごじゃる……」

シュバババババ!!

鼻毛成金は目の前で巻き起こる嵐のような攻防を前に、ただ目を丸くすることしか出来ない。

297: 2012/11/19(月) 20:11:51.94 ID:WNLlrc3z0
202

--暗黒森林、競売会場--

ガァン!

虎男「ぬぅっ!」

ドォン!

ポニテ「がはっ!」

魔力を練り上げた強烈な拳で二人は殴り合う。

虎男(ふはっ! 見事なまでに高まっているがお!!)

虎男は獰猛な笑みを浮かべてポニテに拳を振るう。

ズッ、ブチブチブチ!!

ポニテ「つっ!」

虎男の拳をそらすために触れたポニテの腕の肌が引き千切れていく。

ポニテ(ただのパンチが恐ろしい威力だ、ね!)

ズムッ!!

虎男「!?」

攻撃後の隙をついたポニテ、その左拳は虎男のみぞおちにめり込んだ。

298: 2012/11/19(月) 20:12:24.88 ID:WNLlrc3z0
203

--暗黒森林、競売会場--

虎男「っぎゅふぅ!!……連虎拳」

ボボボッ!!

ポニテ「!?」

マシンガンのように放たれた拳のラッシュがポニテを襲う。

ポニテ「……けほっ、あいたた」

ポニテは口まわりの血を舌でなめ回す。

ポニテ「やっぱ……」

虎男「……」

ポニテ「面白いや」

ポニテは、笑う。

ポニテ「久々に楽しめそうだね!」

299: 2012/11/19(月) 20:13:03.56 ID:WNLlrc3z0
204

--暗黒森林、競売会場--

わー!ぎゃー!

突撃長「ふぐっ!!」

配達屋「あらまぁ、おじいちゃん大丈夫? ぎっくり腰ですか?」

大きな盾を持った配達屋は立つことのできない突撃兵を見ている。

突撃長「あたた……寄る年波には勝てぬですじゃ……若さが羨ましい」

配達屋「大変ですねぇ……あ、じゃあ私は用事があるのでこの辺で」

そそくさと突撃兵の横をすり抜けようとするのだが、

ガシャ

突撃長「お嬢さん、ここは通行止めだと言いましたですじゃ」

斧が配達屋の進行方向を塞ぐ。

配達屋「……あ~やっぱりです?」

突撃長「ふふ……このおいぼれにも誇りがあるですじゃ。任務を失敗すれば姫様に合わせる顔が」

ガイーン

立ち上がろうとしていた突撃長の頭を盾で叩く配達屋。

ドサリ

配達屋「いいから邪魔なので寝ててくださいね~」

300: 2012/11/19(月) 20:13:44.17 ID:WNLlrc3z0
205

--暗黒森林、競売会場--

わー!ぎゃー!!

ぱっち『ほら! あんたもいつまでも捕まってないで手伝うっぱ!!』

ぴっち『好きで捕まってるんじゃないっぴ!!』

がちゃり

ぴっち『! よしゃあ! 自由の身っぴ!』

ぱっち『早く! ツインテ様を助けるのだっぱ!!』

わー!ぎゃー!!

司会「た、大変だぁ……と、そうだ、この商品だけでも引っ込めないと!!」

司会はツインテに手を伸ばす。

バチッ

司会「あいたっ!?」

しかしその手は弾かれる。

301: 2012/11/19(月) 20:14:21.56 ID:WNLlrc3z0
206

--暗黒森林、競売会場--

ぷっち『……どうやらこの子の仲間が助けにきたようじゃっぷ……ならもう一踏張りするしかないっぷ』

姿を現した妖精ぷっち。

司会「よ、妖精!?」

ぴるるるる

ぱっち『じいさん! 私達も手伝うっぱよ!!』

飛んできた妖精の二人は司会の周りをぐるぐると回る。

司会「あいたっ!……す、すごい貴重な妖精が三匹も!!」

ぴこっぽこっ

司会は捕まえようとするたびに妖精に攻撃される。

ツインテ「……」

302: 2012/11/19(月) 20:16:22.37 ID:WNLlrc3z0
207

--暗黒森林、競売会場--

ギギギギギン!!

ゴーレム「おおおぉぉ」

わらわらわらわら

槍兵(くそっ!! こいつこんなにゴーレムを潜ませてやがったのか……観客全体の二割越えてるんじゃねぇか……!)

四方八方から襲い掛かる人の形をしたゴーレム、それを紙一重で交わし的確に弱点を貫いていく槍兵。

レン「やっぱり、接近戦のみの職業は不便にゃね」

レンは槍兵から目を逸らしてツインテの元に行こうとする。

槍兵「ッッ!!」

ドガガガガガッ!!

槍兵「……おいこらまだおわってねえぞ!!」

303: 2012/11/19(月) 20:17:38.25 ID:WNLlrc3z0
208

--暗黒森林、競売会場--

槍兵は全方向への突きのラッシュでゴーレム達を粉砕し、レンへ向けて槍を投てきする。

ビョッ!!

レン「……」

レンの頬をかすった槍は、そのまま飛んでツインテの頭上を通過した。

ビィイン……

レン「……」

ぱら

レンのフードが取れて、醜い顔があらわになった。

槍兵「それは俺の知ってる顔じゃねぇが……もうバレバレだぜ? お前の正体」

レン「そうにゃろうね」

304: 2012/11/19(月) 20:18:12.35 ID:WNLlrc3z0
209

--暗黒森林、競売会場--

にゅる

レンは顔を元の形に戻して眼鏡をかけた。

カチャ

槍兵「……魔法王国上位戦力、大錬金術、レン!!」

槍兵は仕込み槍を組み立てて穂先をレンへと向ける。

レン「……やれやれ困ったにゃ。用意してた策を突破されちゃったら、補助職業じゃバリバリの戦闘職業には勝てないにゃ」

槍兵「……本気で言ってるようには聞こえねぇな」

レン「本気で言ってるように聞こえたのかにゃ?」

槍兵「……」

レン「……」

槍兵(……ちぃ、まずいぜ。余裕じゃねぇか)

305: 2012/11/19(月) 20:18:48.16 ID:WNLlrc3z0
210

--暗黒森林、競売会場--

ジリジリ

槍兵は少しずつレンとの距離を縮めていき、そして、

槍兵「はぁあ!!」

槍兵は槍を突き出す。

チィギィン!!

槍兵「!!」

しかしそれはレンがいつのまにか手にしていた剣で弾かれた。

槍兵「……おいおい一体いつのまに錬成しやがったん、だぁ!!」

ギィギィン!!

今度は錬成した槍でその攻撃を防ぐ。

槍兵(ちっ……こいつ俺の攻撃を防げるレベルにまで体術があがってやがるのか!)

レン(さすがに防ぐことしか出来ないにゃが!)

306: 2012/11/19(月) 20:19:19.44 ID:WNLlrc3z0
211

--暗黒森林、競売会場--

ガガガガガ!!!!

槍兵(!! 乱れ突きにも反応しやがるか!)

亜人特有の反射神経、猫の敏捷性がその槍の嵐を全て叩き落とす。

槍兵「だが!!」

クン

レン「」

槍兵は一つフェイントを入れる。それに引っ掛かったレンは、

槍兵(がら空きだぜ!!)

槍兵の槍を叩き落とすことが出来ない。

ガァン!!

307: 2012/11/19(月) 20:20:13.10 ID:WNLlrc3z0
212

--暗黒森林、競売会場--

槍兵「!?」

が、

レン「危ない危ない」

槍はレンの顔と鼻の先に作られた盾によって防がれた。

すっ

そしてレンが腕をあげると前方向に盾がどんどん錬成されて槍を押し退けていき、

ボボボボボボボボボボ!!

レン「無限パンチにゃ」

槍兵「うっお!?」

ドガァァァン!!

槍兵を壁に叩きつけた。

308: 2012/11/19(月) 20:20:44.87 ID:WNLlrc3z0
213

--暗黒森林、競売会場--

パラパラ

レン「……」

槍兵「ちっ、くそったれ……」

ガァン

盾を蹴っ飛ばし、瓦礫の中からあらわれる槍兵。

槍兵「なんだよ……随分とまぁ、やりがいのある奴になったじゃねぇか!」

槍兵は嬉しそうに笑う。

レン「やりがい……セクハラにゃ」

バシュバシュ

ジト目のレンは次々にアイテムを錬成する。

レン「移動速度上昇靴、槍破壊の剣、跳ね返しの盾、重量低下のペンダント」

レンはすっかり重武装に。

309: 2012/11/19(月) 20:21:40.61 ID:WNLlrc3z0
214

--暗黒森林、競売会場--

レン「これだけやれば本気でやってくれるかにゃ?」

槍兵「!……へっ」

槍兵は姿勢を低くし、筋肉に魔力を流す。

槍兵(嬉しいぜぇ、俺にそんなことを言う奴がいるなんてよぉ!!)

ギュン!!

レン「!」

先ほどとは比べものにならない速度で槍兵が突っ込んできた。

ガガガガガ!!

レン「ッ!!」

レンの槍破壊の剣は斬り付けるだけで槍を破壊する力がある。
跳ね返しの盾はタイミングを合わせれば攻撃をそのまま跳ね返すことが出来る。
だが今は、剣を当てることもタイミングを合わせることも出来ない。

レン「ッ、ッ!!」

盾で防ぐのが精一杯だった。

310: 2012/11/19(月) 20:22:26.30 ID:WNLlrc3z0
215

--暗黒森林、競売会場--

槍兵「おらおらおらぁ!!」

ガガガガガ!!

槍兵(つっ! かてえな……仕方ねぇ)

ガァン!!

槍兵はレンを盾ごと凪ぎ払い、更に突進する。

ザシャ!

レン(そのくらいじゃ倒れないにゃよ!)

踏ん張り槍兵の追撃に備えるレン。

槍兵「スキル、大爆槍!!」

槍兵は走りながら、全身のバネを使って槍を投擲した。

ギュン!!

311: 2012/11/19(月) 20:23:02.10 ID:WNLlrc3z0
216

--暗黒森林、競売会場--

レン「っ!!」

かっ

ドゴァァン!!

盾に接触した瞬間、槍は爆発する。

カン、カラァン

レン(なんとか衝撃は前に跳ね返せたにゃ、でも槍兵は槍を)

ぞくっ

土埃の中レンは後ろから気配を感じた。

ギィアン!!

槍兵「これに反応するかぁ!! さすが猫!!」

レン(いつのまにかステージの所に来させられていたにゃ……槍兵は自分の槍を回収することを考えて戦ってたのかにゃ!)

312: 2012/11/19(月) 20:23:38.44 ID:WNLlrc3z0
217

--暗黒森林、競売会場--

ギン、ガガガガァン!!

槍兵(しかしこれは中々突破できねぇな……下手なスキルじゃスピードがたりねぇから跳ね返されちまう……あれ? なんでも跳ね返す盾と、盾ならなんでもぶっ壊すスキル……どっちが適応されんだ?)

槍兵は息をつく間もない攻防の中でそんなことを考えている。

ガガッ、チィギィ!

槍兵(さすがにこれまで失うのはきついしな、下手はできねぇ……!?)

その時、槍兵は背後から迫る気配を察知する。

槍兵「」

ドォン!!

振り下ろされた拳を間一髪で避けた槍兵。

槍兵「げほっ……」

ゴーレム「ぐも」

ビコーン

それは額に2の数字の入ったゴーレム。

313: 2012/11/19(月) 20:24:20.68 ID:WNLlrc3z0
218

--暗黒森林、競売会場--

ズザザ……

槍兵(いつこんなもんを錬成しやがった……ん?)

槍兵が辺りに目をやると、槍兵を壁に叩きつけた無数の盾が無くなっていた。

ゴゴゴゴ

槍兵(……そういうこと、かっ)

ズボゾボ!!

地面から出てきた腕から逃れる槍兵。

シュタッ

レン「……まるで獣みたいな動きにゃね。あんたも亜人なんじゃないかにゃ?」

地面から這い出てきたのは4の数字の入ったゴーレム。

314: 2012/11/19(月) 20:25:16.50 ID:WNLlrc3z0
219

--暗黒森林、競売会場--

レン「再利用は基本にゃ。行け二号機、四号機!」

二号機「ぐもー」

四号機「ごもー」

二つのゴーレムは槍兵に向かって走っていく。

槍兵(……あの錬成の速度、材料の調達……これは召喚術に似てやがる)

ガインギイン!!

槍兵(そしてこいつらの動き、俺の槍にまで反応している……。細かく機敏な動作が可能なのは、後ろからレンが補助しているからだ……そう、まるで人形師のように)

レン「……」

槍兵(なるほど……この数年間、北の二人が代わりばんこに魔法王国に行っていたのはこういうことか)

ギィイン!!

槍兵(……まさしく、北の至宝だな)

ガァアアアン!!

槍兵は二体のゴーレムを弾き返す。

槍兵「だがこのくらいじゃまだ俺には遠いぜ!」

315: 2012/11/19(月) 20:25:52.48 ID:WNLlrc3z0
220

--暗黒森林、競売会場--

レン「四号機変形、呪いの槍」

ぐぎゅる

槍兵「……は?」

四号機は変形し、銀色に輝く槍と化した。

槍兵「な、なにぃー!?」

その輝き、そのまがまがしさは確かに呪いの槍だった。
かつての自分の奥義だったからこそ、槍兵が見間違うことはない。

レン(今にゃ)

ドガッ!!

槍兵「がっ!」

ドサッ

完全に平常心を失った槍兵はあまりに無防備で、二号機に後頭部を殴られて気絶した。

レン「ふぅ……一体撃破にゃ」

322: 2012/11/26(月) 22:29:06.87 ID:NitLR3JJ0
221

--暗黒森林、競売会場--

虎男「ぶぉうっ!!」

ドシィン!!

虎男の重い裏拳がポニテにヒット、ポニテはそれをガードし、弾き飛ばされることなくカウンターを放つ。

ギャギャ!!

虎男「ぬ!?」

ポニテ「いーね、痺れるいい一撃だ」

ドギャギャギャギャ!!

虎男「ぐっ!!」

乱打。虎男も応戦するも、明らかにポニテの方が手数が多い。

虎男(そして……重い!)

323: 2012/11/26(月) 22:29:48.39 ID:NitLR3JJ0
222

--暗黒森林、競売会場--

ズズ……

虎男は少しずつ押されていく。

虎男「ふ……ふはははは!!」

ポニテ「」

虎男は劣勢の状態で笑う。

虎男「亜人王、変化師、聖騎士殿以外に、この虎男と素手で渡り合えるものがいようとは!!」

人ではない猛獣の目付きへと変貌していく。

ポニテ「……ちぇ、やっぱ本気じゃなかったか」

虎男「本気だったがお」

虎男はその巨体に似合わぬ機敏さでポニテの懐に潜り込むと、

ポニテ「は」

虎男「『殺さぬレベル』では。スキル、虎拳!!」

324: 2012/11/26(月) 22:30:17.80 ID:NitLR3JJ0
223

--暗黒森林、競売会場--

ドガッ!!!!

放たれた一撃必殺の拳。
ポニテは両腕で防御するも、骨を打ち砕かれ、肉を引きちぎられ、両腕を失いながら後方に吹き飛んだ。

ドッゴォォォン!!

虎男「……なまじガードなんかするから無惨な姿になるんだがお」

ぱらぱら……

虎男は拳についた血を払い、ポニテに近づいていく。

虎男「……ん?」

ゆらり

土煙の中に揺らめく影が一つ。

ポニテ「あ は は は は は は」

325: 2012/11/26(月) 22:30:44.14 ID:NitLR3JJ0
224

--暗黒森林、競売会場--

虎男「!? なんだと!?」

ポニテ「やっぱり三強レベルは強いね、さすがさすが。疾風お姉ちゃんや迅雷お姉ちゃんよりも強いや」

ぼたぼたたっ

両腕を失い、大量に出血しながらもポニテは立ち上がる。

ポニテ「でも……さすがに虎ちゃんよりも魔導長お姉ちゃんの方が強いかな?」

虎男「……生きていたのは誉めてやるがお。だがもう戦闘は無理がお、諦めて投降するがお」

ポニテ「虎ちゃん」

虎男「虎ちゃん!?」

ポニテ「これから全力で行くから虎ちゃんも全力で来てね」

ミシッ

虎男(な、なんだこのプレッシャー……しにぞこないの少女の一体何を恐れると言うのか)

ポニテ「私も自分の力を測ってみたいから」

326: 2012/11/26(月) 22:31:12.40 ID:NitLR3JJ0
225

--暗黒森林、競売会場--

ギャギャギャギャ!!

サム「」

ズバン!!

見えない剣に右腕を切り落とされるサム。

サム「づっ!! があっ!!」

ボタッボタッ

魔剣使い(信じられないことだが我らの方が押されている……? 早々に決着をつけて加勢に行かないと)

ザシャ!ジパッ!

魔剣使いの剣はサムの防御を掻い潜り、確実にサムを切り裂いていく。

サム(ぐ、予想を遥かに越えている!! 全盛期の拙者でもこれは!!)

327: 2012/11/26(月) 22:31:48.47 ID:NitLR3JJ0
226

--暗黒森林、競売会場--

サムは残る左手で刀を振るうも、

ズバッ!

サム「」

その手を落とされてしまう。

ドサッ、ドクドク

魔剣使い(両腕を取った、これで……)

サム(ふっ! 待ってたでござるよ!!)

サムは一度腰を沈めて、見えない魔剣使いに右足の側刀を放つ。

ヒュン、ドズッ!!

魔剣使い「!? がはっ!!」

328: 2012/11/26(月) 22:32:30.51 ID:NitLR3JJ0
227

--暗黒森林、競売会場--

サム(! この手応え、みぞおちか!!)

サムは右足を引いて追撃の左を放つ。

ドガガッ!!

二発の蹴りを受けた魔剣使いは地面を転がり、その姿をあらわした。

サム(はっ、はっ……あえて斬りやすそうに見せれば、残る左腕を狙ってくるのは道理でござった)

ザリ

サム(あとは斬られた角度からの逆算、幼少の頃から修行と称して斬られ続けた拙者にとっては朝飯前のこと)

魔剣使い「……」

サム(しかし……見えない敵がこうも厄介とは。的確に急所を狙うこと、が)

ズン

329: 2012/11/26(月) 22:33:05.75 ID:NitLR3JJ0
228

--暗黒森林、競売会場--

魔剣使い「……」

ポタッ、ポタッ

サム「な、に!?」

サムの腹部から突き出たのは時代を感じさせる大剣。その剣を突き刺したのは、

魔剣使い「……出来れば殺さずに捕らえたかったのですが」

サム「!……手加減を、していたとでも言うでござるか?」

魔剣使い「……そういうんじゃないです」

ズブブっ

サム「!! がっ!!」

魔剣使い「貴方への敬意ですよ」

ドボボボ

大剣を引き抜くと傷口から大量の出血が。

サム「……無念」

330: 2012/11/26(月) 22:33:33.87 ID:NitLR3JJ0
229

--暗黒森林、競売会場--

ザッ

フォーゼ「この騒ぎ、一体どうなってやがんだこるぁっ!」

離れた場所で警備をしていたフォーゼが会場に駆け込んでくる。

配達屋(ひぃ……あんな人まで来てるんですかぁ……? あんなのと戦うなんてことにならないように目立たないようにしなくちゃ)

フォーゼ「……てめぇそのじいさんぶっ倒したのかこるぁ!!」

配達屋「え、なんで私の方にだけ向くんです!? い、いやぁ……違います違います。このおじいさんは勝手に倒れちゃって私が介抱を……」

フォーゼ「でけぇ盾もってんじゃねぇぞこるぁ!! 問答無用だこるぁ!!」

配達屋「ひぃ!!」

331: 2012/11/26(月) 22:34:01.15 ID:NitLR3JJ0
230

--暗黒森林、競売会場--

ギィガン!!

フォーゼ「ぬっ!?」

その時一つの影がフォーゼに飛び掛かった。

絵師「こいつは私がやるぎゃは! お前は早く行くぎゃはよ!」

それは全身に魔法の絵が描かれた絵師。

配達屋「ふぇ!?……よ、よくわからないし誰だかわからないけど、お言葉に甘えさせてもらいますね」

組み合った二人を尻目に配達屋はその場を離れる。

ギリギリ

フォーゼ「……」

ギリギリ

絵師「……」

332: 2012/11/26(月) 22:34:45.20 ID:NitLR3JJ0
231

--暗黒森林、競売会場--

フォーゼ「一瞬誰かと思ったが……あんた……元先輩じゃねぇっすかこるぁっ!! 久しぶりだこるぁっ!!」

絵師「! ぎゃはは! お久しぶりだねぇ!」

フォーゼ「いやお久しぶりじゃねぇっすよ! 三騎士やめさせられたからって、こんなとこで何やってんだこるぁっ!!」

ギリギリ

フォーゼの指が絵師の手にめり込む。

絵師「……!!」

ギリギリ

フォーゼ「……落ちぶれたなあんた……こるぁっ!!」

フォーゼが腕に力を込めると絵師の両拳が

メキャッ!

砕けた。

絵師「!!……ぐ!!」(絵スキルで強化しているのに!!)

フォーゼ「こっちは四日前に新しい獲物食ったばっかで力有り余ってんだ……手加減しねぇぞこるぁっ!!」

333: 2012/11/26(月) 22:35:18.63 ID:NitLR3JJ0
232

--暗黒森林、特等席--

わー!ぎゃー!

???「やーこれはすごいねっ! これもなんかの出し物だったりするのかい!?」

競売管理長「い、いえこれは不測の事態でして、決してそのような……」

???「うーん、なんだか僕も参加したくなってきてしまったなぁ!!」

競売管理長「は!?」

特等席の区切りを乗り越えようとし、やめる男。

???「あはは冗談だよ冗談。それじゃあ僕はここいらで退散させてもらうとしようかな。行くよ護衛姉、護衛妹」

爽やかな笑顔で言い放つ男。

護衛姉「了解」

護衛妹「いたしました」

ザカッ

そして脇に控えていた双子が男の後ろについていく。

334: 2012/11/26(月) 22:36:10.27 ID:NitLR3JJ0
233

--暗黒森林、特等席--

競売管理長「お、お待ちください! 亜人保護団体代表様!!」

???改め代表「ん~? なんだい? どうかしたかい?」

競売管理長「こ、今回は邪魔が入りましたがまた半年後に開催したいと思うのです。その時はまた我々にお力をお貸しいただきたく……」

深々と頭を下げる管理長。

代表「ん~……そうだね。難しいかな」

競売管理長「えっ!?」

代表「これだけの騒ぎが起きちゃうとねぇ……。今までだってどこの国も利益があるから見てみぬふりをしていただけだし。……それに魔法王国は厄介ですよ正直」

うんうん、と代表は頷く。

代表「色々かぎ回ってるっぽいんだよねぇ、この闇競売のことも。だから完全にけつが焦げ付く前に僕達はトンズラするのさ」

335: 2012/11/26(月) 22:37:54.41 ID:NitLR3JJ0
234

--暗黒森林、特等席--

ほんと魔導長さんは一直線だから、と代表はため息。

競売管理長「そ、それはあまりにも無責任ですぞ代表様!!」

代表「何言ってんだい、自分一人で立つ事も出来ない人間が。今までだって上手くいってきたのは僕達のおかげでしょうに?」

競売管理長「し、しかし!!」

代表「はっはっはっ。お尻は自分で拭くのだ。じゃあね!」

代表は手をひらひらとさせて去っていく。

競売管理長「……」

コッコッコッ

競売管理長(……なんて、いつかはこうなると思っていたよ)

競売管理長が自分の影に目配せすると、

ずるり、と影が動いた。

336: 2012/11/26(月) 22:38:49.46 ID:NitLR3JJ0
235

--暗黒森林、特等席--

競売管理長「殺せ、カメレオン亜人」

カメレオン亜人「しゃあああ!!」

影に姿を変えていたカメレオン亜人が短刀を握りしめ、代表に遅いかかる。

フォンっ、ブシャア!!



ぽたっぽたたっ

代表「ん? なんか背中がぬるっと……ってうわ、なんだこいつ。カメレオン?」

カメレオン亜人「ッぎ!?」

カメレオン亜人は短刀を握った右腕を切り落とされ、心臓を刀で貫かれていた。

337: 2012/11/26(月) 22:39:57.84 ID:NitLR3JJ0
236

--暗黒森林、特等席--

競売管理長「なっ、なっ!?」

代表「ふむふむー。なるほどね。こんな短刀じゃあ、彼女らの刀には勝てないね」

ぽいっ

護衛姉「……」

護衛妹「……」

代表「更に言わせてもらうと、カメレオン亜人を潜ませていたのは実に面白い発想ではあるが」

ブシャグシヤ!!

二人の護衛に切り刻まれるカメレオン亜人。

カメレオン亜人「ぎっ!?」

代表「カメレオンがライオンに勝てるわきゃないね」

ぴょこぴょこと護衛の二人の耳が動く。

338: 2012/11/26(月) 22:40:57.39 ID:NitLR3JJ0
237

--暗黒森林、特等席--

競売管理長「な、なっ……」

代表「さて……いけない人だあなたは。ビジネスパートナーを後ろから斬りつけるだなんて。……古今東西、暗殺に失敗したものの末路は至ってシンプルだ……」

すらつ

護衛姉が競売管理長に刀を向ける。

代表「もちろん聡明なあなたのことだ。全部わかった上で、覚悟の上でやったことなんでしょ?」

にっこりと笑う代表。

護衛姉「……」

護衛妹「……」

競売管理長「あ、ああああ!!」

ズブシャア!!

339: 2012/11/26(月) 22:42:02.39 ID:NitLR3JJ0
238

--暗黒森林、特等席--

ポタッポタッ

代表「やれやれ大事な服が血塗れだ……染みになる前に帰らないとなぁ」

代表は頭をかきながらため息をつく。

ザッ

熊亜人「代表様……避難経路確保しましたぐま」

そこに屈強な体つきの亜人が森から出てきた。

代表「おお待ってたよ熊君。ご苦労。それじゃあおさらばするとしようか」

わー!ぎゃー!

護衛姉「……」

護衛妹「……」

代表「次のビジネスの場所へ」

340: 2012/11/26(月) 22:42:29.60 ID:NitLR3JJ0
239

--暗黒森林、競売会場--

わー!ぎゃー!

魔剣使い「……はっ!?」

サムを倒した魔剣使いがステージに目を向けると、

ゴゴゴゴゴゴ

アッシュ「……」

ポニテ「……」

レン「……」

魔剣使い「しまった!」(他の人達は全員敗北したのか!?)

ツインテ「……」

出会ってはいけない四人が邂逅していた。

341: 2012/11/26(月) 22:44:11.88 ID:NitLR3JJ0
240

--暗黒森林、競売会場--

アッシュ「……なんだお前ら……生きてたのか」

鬱陶しそうな表情のアッシュ。

ポニテ「それはこっちのセリフだよ~。生きてたんならなんで今まで表舞台に出てこなかったのさー」

けろっとした顔で髪をかきあげるポニテ。

レン「それを言うならポニテも出てないにゃ。てかレンは有名人になったんだからアッシュはレンのことは知ってるべきにゃ」

ハンカチで眼鏡を拭いているレン。

アッシュ「……こっちにも色々あったんだよ。サムなら知ってっかもしれないが」

わー!ぎゃー!

アッシュ「……助けだしにきたのか?」

ポニテ「愚問だよ。まぁ付け加えるなら」

レン「ツインテをこんな目に合わせたやつらを叩きのめしに、なんてオマケな理由もあるにゃ」

アッシュ「ふん……」

アッシュは嬉しそうに鼻を鳴らす。

ザッ

アッシュとポニテとレンがツインテに歩み寄る。

ぴっち『こ、この人達はまさかツインテ様の取り巻きっぴ!?』

ぱっち『あの頃と見違えるほど強くなってるっぱ……!!』

ぷっち『……じゃっぷ』

ドン!!

350: 2012/12/03(月) 22:30:03.67 ID:zZpNRWgV0
241

--暗黒森林、競売会場--

アッシュ「ツインテ……」

ツインテ「……」

ツインテはほんの少し顔をあげ、アッシュの顔を見る。

アッシュ「ツインテ……」

1、助けにきた。
2、……。

353: 2012/12/03(月) 22:36:45.30 ID:zZpNRWgV0
242

--暗黒森林、競売会場--

2、アッシュ「……」

アッシュは無言でツインテを眺めている。

ツインテ「……」

ツインテは人形のように俯いている。

ポニテ「ツインテちゃん!」

1、助けにきたよ。
2、……。

357: 2012/12/03(月) 22:42:25.81 ID:zZpNRWgV0
243

--暗黒森林、競売会場--

2、ポニテ「……」

ポニテは無言でツインテを眺めている。

ツインテ「……」

ツインテは人形のように俯いている。

レン「ツインテ」

1、助けにきたにゃ。
2、……。

360: 2012/12/03(月) 22:47:57.44 ID:zZpNRWgV0
244

--暗黒森林、競売会場--

2、レン「……」

レンは無言でツインテを眺めている。

ツインテ「……」

ツインテは人形のように俯いている。

アッシュ、ポニテ、レン「「「ツインテ!」」」

1、手を差し伸べる。
2、……。

362: 2012/12/03(月) 22:54:06.04 ID:zZpNRWgV0
245

--暗黒森林、競売会場--

1、手を差し伸べる。

ぴっち『ツインテ様……』

ぱっち『……』

ツインテ「……」

ぷっち『ふむ……よかったなお嬢ちゃん。もう一人じゃないっぷ』

ツインテ「……」

それでもツインテは動かない……。



スッ

だが、一筋の涙を流した。

363: 2012/12/03(月) 22:54:52.93 ID:zZpNRWgV0
246

--暗黒森林、競売会場--

そして

シュバッ!

配達屋「うわ軽」

アッシュ「!?」

ポニテ「あ!!」

レン「にゃっ!?」

横から現われてツインテを掻っ攫って走っていく配達屋。

ダダダダダダ!!

配達屋(漁夫の利漁夫の利~。各国の三強を倒しちゃうような化物なんかと戦ってなんかいられないですもの~)

364: 2012/12/03(月) 22:55:27.44 ID:zZpNRWgV0
247

--暗黒森林、競売会場--

アッシュ「こるぁふざけんな!!」

ポニテ「まてぇぇ!!」

レン「ふにゃああぁぁ!!」

それを見た三人が鬼のような形相で配達屋を追っかける。

ダダダダ!!

配達屋「ひぃ!! やっぱりそうなっちゃいますよねぇ……」

ぴっち『な、何するっぴ!! ツインテ様から手を離すっぴよ!!』

配達屋「いた、いたた? なにこれぇ」

配達屋の頭の上を飛びまわる妖精の二人。

ぱっち『そうだっぴ!! ほらじいさん!! 手を弾く力使ってくれっぱ!!』

ぷっち『いやでもこの人にわしの感覚が反応しなくて』

365: 2012/12/03(月) 22:55:53.23 ID:zZpNRWgV0
248

--暗黒森林、森--

ポニテ「くっ! よぉし、火属性攻撃魔法、」

アッシュ「! バカか!? ツインテまで巻き込むぞ!!」

レン「以前とは違うにゃ、安心して見てろにゃアッシュ」

ポニテ「レベル2!!」

ボッ

ポニテが作り出した炎は、細長い槍のような形状に変化する。

ヒュボッ!!

それは正確に配達屋の右足に飛んで行った。

ボヒュッ!!

配達屋「ッ……!!」

しかしそれは配達屋の盾で防がれてしまう。

ポニテ「!! 結構いい盾だね……ツインテちゃんにダメージを与えずに貫くのは無理かも!」

366: 2012/12/03(月) 22:56:44.13 ID:zZpNRWgV0
249

--暗黒森林、森--

アッシュ「ふん……なら俺が行く!!」

ザザザッ!!

アッシュが速度をあげる。

……ゥン

魔剣使い「」

アッシュ「!?」

ガィン!!

そこに飛び込んで来たのは魔剣使い。

ギリギリギリギリイィアアン!!!!

アッシュ「貴様ッ!……サムを倒したのか!!」

魔剣使い「……これ以上お前らの好き勝手にはさせない」

367: 2012/12/03(月) 22:57:29.01 ID:zZpNRWgV0
250

--暗黒森林、森--

ザザザ

レン「アッシュ!」

アッシュ「お前達は追え! 見失うな!」

ポニテ「オッケー、頼んだよ!!」

アッシュと魔剣使いの横を擦り抜ける二人。

ギリギリ……

アッシュ「なんだ、随分すんなりと通してくれるんだな」

魔剣使い「……お前ら三人を同時に足止めなど不可能だ」

アッシュ「……なるほど、な!!」

ガィン!!

アッシュ(サムを倒してこの余力、俺らの力を冷静に分析する場慣れ具合……ふん、だが)

ブキブキブキ

アッシュの右腕が紫色に変色していく。

アッシュ「俺すら止められないということを教えてやる!」

368: 2012/12/03(月) 22:58:23.38 ID:zZpNRWgV0
251

--暗黒森林、森--

ダダダダダ!!

配達屋(やっぱ追ってきますよねぇ……あーしんど)

ぴっち『離すっぴ馬鹿ー!!』

ぱっち『この盗人ー!!』

ぽかぽかと配達屋の頭をたたく二人。

配達屋「……あんまりにうざいから食べちゃおうかな」

ぴっち、ぱっち『『ぴ、ぱっ!?』』

ザザザザザ!!!!

ポニテ「今だレンちゃん!!」

レン「わかってるにゃ」

369: 2012/12/03(月) 22:59:21.98 ID:zZpNRWgV0
252

--暗黒森林、森--

ぎゅぎきぃんん!!

レンが一瞬で作り出したのは細身のゴーレム。

レン「飛び掛かれ!!」

ゴーレム「も!!」

ゴーレムは言われた通り跳躍し、配達屋の盾に飛び掛かる。

ヒュるるる

配達屋(ガード……いや、なんとな~く、触りたくないですね……)

そう考えた配達屋は盾をゴーレムに投げ付ける。

ヒュン、ガンッ!!

ゴーレム「も!!」

370: 2012/12/03(月) 22:59:48.12 ID:zZpNRWgV0
253

--暗黒森林、森--

ゴーレム「ごも、も」

ドサッ

レン「!? ……盾を捨てた!? あれが無くちゃ防御できないんじゃないのかにゃ……? それともこっちの企みを?」

ポニテ「どうでもいいことだよ!! 盾が無いのなら余裕じゃん、私の魔法で」

???「ターゲット捕捉」

ポニテ「」

ポニテが上を向くより早く。

???「ファイア」

ガガガガガガガ!!

ガトリングが掃射され、

ビチビチチビッ!!

ポニテの体がバラバラに千切れ飛んだ。

371: 2012/12/03(月) 23:00:26.36 ID:zZpNRWgV0
254

--暗黒森林、森--

レン「!?……くっ……この攻撃はテンテンかにゃ!」

ビュオオオオおおお

???改めテンテン「……」

空中を飛行するテンテンはその銃口をレンに向ける。

ガキンッ

テンテン「……ぬすっとは競買品を背負った状態、移動は速くない。なら先に排除すべきは、レン、貴女」

レン「!……覚えててくれたのかにゃ。ありがたいにゃ」

テンテン「……レンは可愛いけど、ミッションとは関係ない」

ズビ

テンテン「……?」

引き金を引こうとしたテンテンの体を赤い槍が貫いた。

372: 2012/12/03(月) 23:00:57.30 ID:zZpNRWgV0
255

--暗黒森林、森--

ポニテ「あはは、ダメだよロボ子ちゃん。あなたの相手はまだ私だよ」

テンテン「!?」

声のする方を見るテンテン。
そこには、バラバラにされたはずのポニテが一切の傷も無く立っている。

テンテン「バカな!……く」

テンテンは体に刺さった槍を引き抜こうとするが、

ガシガシガシ

かえしが大量に出現し、抜くことができない。

テンテン「……!!」

バチチッ

ポニテ「生物だったら今ので終わりなんだけどな」

373: 2012/12/03(月) 23:01:28.00 ID:zZpNRWgV0
256

--暗黒森林、森--

レン「……ポニテ、あとは任せたにゃ!」

ダッ!!

テンテン「! いかせない!!」

ポニテ「邪魔させない!!」

ガイン!!

テンテン「!!」

ポニテは、空中にいたテンテンの懐に一瞬で移動し、地面に叩き落とした。

ドォン!!

テンテン「……く!」

ポニテ「……」

ザッ

ポニテの右手には炎で出来た剣が、

ザッザッ

ポニテの左手には血で出来た剣が。

ポニテ「虎ちゃんとやったダメージもあるから、さっさと終わらせるよ」

374: 2012/12/03(月) 23:02:03.76 ID:zZpNRWgV0
257

--暗黒森林、森--

ダダダダダ!!

配達屋「ひーっ、ひーっ、も、もう限界ですぅ~……」

配達屋は息も絶え絶えになっていた。

ガッ!!

配達屋「!!」

その足元に斧が刺さる。

レン「はっ、はっ、はっ」

振り向くと五十メートル後ろにまでレンが追い付いていた。

配達屋「は、はや……さすが猫さん……恐れ入りました」

レン「返してにゃ……ツインテは、レン達にとって、はっ、大事な、人なんにゃ!」

375: 2012/12/03(月) 23:02:30.29 ID:zZpNRWgV0
258

--暗黒森林、森--

配達屋「……そうは言いましても……私既に前金を貰っちゃってる手前、投げ出すわけにはいかなくて……」

レン「お金なら倍払うにゃ」

配達屋「うーん……信用ってものがありますし」

レン「……なら実力で奪い返すにゃ!!」

レンの瞳が本気になる。

ガタゴト、キキーッ!

大カバ亜人「こらあぶないではないか!! むっ!? 配達屋、こんな所でなにをやっているのだ!?」

配達屋「! 所長こそなぜこんなところに!?」

レン「……あれは」

そこに丁度馬車で現われたのは大カバ亜人。

376: 2012/12/03(月) 23:03:05.02 ID:zZpNRWgV0
259

--暗黒森林、森--

大カバ亜人「何ってちょっと所用があって……む!?」

大カバ亜人は配達屋が背負っているツインテが目に入る。

大カバ亜人「こ、これは!?……ふむ……でかしたぞ配達屋!! よくぞそれを連れてきた!!」

レン「! いけない!!」

ザッ!

レンは配達屋との距離をつめるために駆け出した。

配達屋「え、よくぞ連れてきたって……もしかしてこれ所長の依頼だったんですか~?」

大カバ亜人「そ、そうだ、ほれ、早くこちらに渡せ! ほれ!」

ザザザッ!

配達屋「も~……最初から素直にご命令くだされば……けどなんでまたこんな子を?」

大カバ亜人「理由は帰ってから話す! そいつを頼んだぞ!!」

ガタゴト!!

馬車はツインテを乗せると勢いよく走りだす。

377: 2012/12/03(月) 23:04:03.57 ID:zZpNRWgV0
260

--暗黒森林、森--

ガタゴト!!

配達屋「もー……あとでお給料に上乗せですからねぇ」

レン「邪魔にゃ!!」

レンが一瞬で作り出した剣は、

配達屋「……え?」

ズバッ!!

配達屋の肩から腰までずっぱりと切り裂いた。

配達屋「ごふっ!!」

レン(!! まだあれくらいの距離なら!!)

配達屋「じょっ、条件達成……レベルアップ」

血を吐きながら倒れる配達屋は、パチOコを二つポケットから取り出した。

ゴッ!!

レン(!? なんにゃ魔力が増加したにゃ!?)

獣のごときスピードで振り向くレン。

バキューン!

レン「……」

レンの頬を銃弾がかすめ、白い肌に赤い線が一筋入る。

配達屋「……」

カウガールのような衣装に身を包んだ配達屋が、二丁拳銃を構えていた。

配達屋「レベル3、銃士!!」

386: 2012/12/10(月) 21:38:08.18 ID:OyrEjtPl0
261

--暗黒森林、競売品置き場--

ジャラ

まっちょ奴隷「おおいここだぁ!! 俺も逃がしてくれぇ! なぁ!」

ガシャガシャガシャ!

牢屋が破壊され、解放された奴隷達が走って行くのを見て、まっちょ奴隷は叫んだ。

まっちょ奴隷「なぁ頼むよ! 同じ牢屋にいる奴が変なやつなんだよ! 俺も連れてってくれよ!」

まっちょ奴隷は、身体中をベルトで拘束されて蓑虫のようになっている男を見る。

まっちょ奴隷「……くそっ、なぁ! 誰か!」

???「……うるせぇよ、おっさん」

まっちょ奴隷「ひぃっ!?」

蓑虫が喋った。

387: 2012/12/10(月) 21:38:52.98 ID:OyrEjtPl0
262

--暗黒森林、競売品置き場--

???「黙って聞いてりゃぴーちくぱーちく……誰が変なやつだって……?」

まっちょ奴隷(お、お前だよ!!)

まっちょ奴隷は声を出さずに後退る。

???「はあ~……おっさん、外に出てぇんのか?」

まっちょ奴隷「……あ、当たり前だ」

???「ふん。なら出してやるよ。このベルトをとってくれたらな」

まっちょ奴隷「は!?……な、何言ってんだこんちくしょう! お、お前なんかに何が出来るってんだ!……」

???「やれるさ。よく見ろよ、俺はこうまで念入りに封じなきゃならないほどの人間なんだぜ? 牢屋を破壊するくらいわけもない、ほらさっさとやれよ」

まっちょ奴隷「……C級競売のくせに……お前みたいなやつの言うことなんて誰が聞くかよ!!」

388: 2012/12/10(月) 21:39:24.15 ID:OyrEjtPl0
263

--暗黒森林、競売品置き場--

???「おいおい口の聞き方に気を付けろよおっさん。これはチャンスなんだぜ? それをむざむざ逃すのか? それとも頭ん中まで筋肉でそれすらわからねぇのか? クズ」

まっちょ奴隷「!! 何がチャンスだぁ! お前なんかがなぁ!!」

ドボッ!

まっちょ奴隷は蓑虫を思い切り蹴りあげる。

???「がほっ!」

まっちょ奴隷「このっ! てめっ!」

ドガっ、ガッ!

???「ぐほっ! があっ!」

まっちょ奴隷は何度も何度も蹴り続けた。

まっちょ奴隷「おらおらぁっ!」

ガッ!ガッ!

389: 2012/12/10(月) 21:40:25.57 ID:OyrEjtPl0
264

--暗黒森林、競売品置き場--

まるで今までの鬱憤を晴らすために。

まっちょ奴隷「あは、はははは!」

ガッ!ガッ!

まるで恐怖から逃れるように。

バキッ

まっちょ奴隷「!あっ……」

何かが壊れた音がした。まっちょ奴隷が蹴りで破壊したのは……

ブチ、ブチ

まっちょ奴隷「あ……あぁ」

最終安全装置であるベルトの鍵。

390: 2012/12/10(月) 21:41:04.29 ID:OyrEjtPl0
265

--暗黒森林、競売品置き場--

パラ、パラ

???「ふぅ……」

まっちょ奴隷(まさか……蹴られているふりをして俺の蹴りを……利用した?)

???「あーいってぇ……」

ベルトと布を取って素顔をさらす。

ファサッ

???「俺肌よぇーからベルトの跡が残っちまってる」

色白で細く、腰にまで届きそうな黒髪の長髪の少年。

???「まぁいいか。とりあえずは」

まっちょ奴隷「はっ、はっ……!」

まっちょ奴隷はなぜか恐怖を感じている。体格的には自分よりはるかに劣る肉体の少年に。

391: 2012/12/10(月) 21:41:32.71 ID:OyrEjtPl0
266

--暗黒森林、競売品置き場--

まっちょ奴隷「はーっ、はーっ」

まっちょ奴隷は元々名のある冒険者だった。なまじ実力があったからこそ、

まっちょ奴隷「はっ……はっ……」

ゴゴゴゴゴ

???「……こっから出るか」

少年の危険性を感じとった。

???「世話になったなおっさん」

少年がまっちょ奴隷に手を伸ばすと、

ビシィ

まっちょ奴隷の動きが封じられてしまう。

392: 2012/12/10(月) 21:42:07.69 ID:OyrEjtPl0
267

--暗黒森林、競売品置き場--

まっちょ奴隷「はーっ、はーっ!!」(な、なぜだ!? ぴくりとも体を動かせない!?)

ゴゴゴゴゴゴ

???「てめぇはこれより……あれ? 俺名前なんだっけ」

少年は首をかしげる。

???「ちっけぇ頃から随分長い間つっかまえられてたからなぁ……そうだな……じゃあ、奴隷王……でいいか」

まっちょ奴隷「はっ! はっ!」

まっちょ奴隷は全身から汗が噴き出していた。

???改め奴隷王「今よりてめぇはこの奴隷王の奴隷だ。喜びやがれ」

393: 2012/12/10(月) 21:42:41.82 ID:OyrEjtPl0
268

--暗黒森林、森--

ガガガガガァン!!

レン「くっ!」(銃はやっかいにゃ……実力差があっても簡単にその差を埋めてしまうにゃ)

レンは頭部に3と書かれたゴーレムの後ろに隠れて銃弾の嵐を凌いでいる。

配達屋(それでもまぁ……ぶっちゃけ足止めくらいしか出来ないでしょうねぇ……てかかったいな~)

スチャ

配達屋が二つの拳銃を縦に連結させる。

ガッキィイイン!!!

銃の形状が細長く変化する。

配達屋「スキル、アンチマテリアルライフル」

ディイイイイイイイアッカアアアアアアア!!

レン「!?」

ボゥッ、ドガァァン!!

394: 2012/12/10(月) 21:43:14.94 ID:OyrEjtPl0
269

--暗黒森林、森--

一瞬早く危険を察知したレンはその場を離れるが、ゴーレムはバラバラに砕け散ってしまう。

レン(中々強力なスキルにゃ……! 恐れいったにゃ……これが新世代の職業、レベル!!)

レンは配達屋が持つ銃を凝視する。

レン「……」

ピクピク

すると何かの声がレンの耳に届いた。

銃『……ん? なんだ僕の声がわかる人か……。なるほど、銃について知りたいみたいだね』

レン「……」

銃『でも悪いけど銃の仕組みは教えられないよ。僕はこの子の味方だからね』

395: 2012/12/10(月) 21:43:43.90 ID:OyrEjtPl0
270

--暗黒森林、森--

レン(……物が人を慕っている……ってことはこの子はそんなに悪いやつじゃない、ってことにゃ……よし)

バシュッ、ザザザッ!

土煙の中から姿を現したレンは配達屋に突っ込んで行った。

ザザザザっ!!

配達屋「やぶれかぶれですか、そういうのはふっつーに困ります」

レン「錬成、銃!」

配達屋「ふぇっ!?」

バシュッ!!

レンは一瞬で二丁の拳銃を錬成した。

配達屋「そんな」

構える二人。

396: 2012/12/10(月) 21:44:14.06 ID:OyrEjtPl0
271

--暗黒森林、森--

ガガガガガン!!

レン「」

配達屋「」

ガガガガガン!!

両者による激しい撃ち合い。

レン「ッ!!」

しかし被弾したのはレンのみ。

バスバスッ

レン「ぐっう!!」

配達屋(驚きました……まさか速攻で銃なんて複雑なものを錬成しちゃうなんて……でも職業的に考えて、本職である私に銃の腕前でかなうわけもなく)

ザザザッ!

しかしレンは倒れない。

397: 2012/12/10(月) 21:45:10.66 ID:OyrEjtPl0
272

--暗黒森林、森--

配達屋「!? なんで!?」

ザザザッ!

レン「……」

配達屋が放った弾丸はレンの肩や脚に打ち込まれている。そしてその弾丸からは麻痺毒がにじみ出ているのだ。

配達屋(なのに倒れない……毒に耐性があるの……?)

ザザザっ!!

レン(動きが鈍くなっちゃったけど、肌の下に防御壁を錬成しておいて正解だったにゃ!)

配達屋「っ!!」

配達屋は薬莢を捨て新たに弾丸を込める。

398: 2012/12/10(月) 21:45:47.66 ID:OyrEjtPl0
273

--暗黒森林、森--

レン「ツインテを、また失うわけにはいかないのにゃああああああああ!」

ガガガガ!

配達屋「……」(この人、本当にあの子のことを大事に思ってる……)

キィンキィン、ガガガガ!

レンの足や腕に的確に弾丸が撃ち込まれていく。

レン「っ!!」

ガガガガ!!

その衝撃でレンは体勢を維持できなくなり後ろに吹っ飛ばされる。

ゴロゴロゴロ!!

399: 2012/12/10(月) 21:47:29.02 ID:OyrEjtPl0
274

--暗黒森林、森--

バシュッ!!

レンが地面に手を置いて錬成を行うと砂埃が舞う。

配達屋(煙幕!)

レン(人間の感覚器官じゃあ辛いだろうにゃ!!)

レンは音を立てずに回り込む。

配達屋「けほっ……」

レン(錬成、鎌!)

そして鎌を作り上げ襲いかかる。

配達屋「スキル、ロックオン」

ぎゅい

レン「!?」

銃口がいきなり真後ろを向き、レンの頭部に照準を合わせていた。

400: 2012/12/10(月) 21:48:15.30 ID:OyrEjtPl0
275

--暗黒森林、森--

レン「なっ」

配達屋「うわ、いきなり後ろに? さすが猫ちゃん」

バキューン! キィン!

どさ、ごろごろ

かろうじて反応したレンだったが防御に使った鎌はへし折れてしまう。

レン(こ、こいつ!)

配達屋(やばいレベルアップタイムが)「スキル、爆発弾」

ボッ

レンの足元に打ちこまれた弾丸が、

カっ!!

レン「!?」

ドオオオオオオオオオン!!

401: 2012/12/10(月) 21:49:03.45 ID:OyrEjtPl0
276

--暗黒森林、森--

シュウゥウ……

配達屋「……これで終わりにしたいところなんですけど……」

シュウゥウう

レン「……ぐっ」

配達屋「うぅ……やっぱり耐えてる……どんだけ強いんですかこの人」

そうは言ってもレンは両手両足に大ダメージを受けているようだった。

ぽたっぽたたっ

レン(……うぅ……無理しすぎたかにゃ……ただでさえ今回はきつかったしにゃ……)

ザっ

配達屋「もう……終わりってことでいいですよね? 降伏してくださいません?」

配達屋はレンに銃口を向けながら話しかける。

402: 2012/12/10(月) 21:51:02.11 ID:OyrEjtPl0
277

--暗黒森林、森--

レン「……そんな話しをもちかけるだなんて、とんだお人よしさんにゃね」

配達屋「そんなことありませんよ、私はお仕事をちゃっちゃとこなすためならば誰であれ倒しますし」

嘘っぽいやる気のない顔で言う配達屋。

レン「……さっきだってレンのことを仕留められたのに、あえて致命傷にならないようにしていたにゃ」

配達屋「だってそんなことしたら町まで貴女のことを運ぶ手間が増えちゃいますから。五体満足なら自分で歩いていけるじゃないですか」

にこりと笑う配達屋。

レン「嘘が下手にゃ」

配達屋「失敬な、私嘘なんかついたことありません」

配達屋の服が点滅し始めている。

403: 2012/12/10(月) 21:51:55.30 ID:OyrEjtPl0
278

--暗黒森林、森--

カチャ

配達屋「……そこまでして、あの子を手に入れたいんですか?」

配達屋はボロボロになったレンの体を見る。

レン「……当たり前にゃ……ツインテはレンの大切で大事なかけがえの無い、仲間にゃ。……レンの家族なのにゃ」

配達屋「!!」

レンはほろりと涙を流す。

レン「レン達がふがいないせいでこの三年間ツインテには不自由をさせたにゃ。だから、レン達が必ず救いださなければいけないのにゃ!」

配達屋「……」

配達屋はじっとレンの顔を見ていた。

404: 2012/12/10(月) 21:52:23.61 ID:OyrEjtPl0
279

--暗黒森林、森--

カチャ

配達屋「……」

配達屋は静かにトリガーに手をかける。

レン(くっ……やられる!)

レンが目をつぶった瞬間、

配達屋「……レベルアップタイム、終了~」

ぱしゅ

配達屋の武装が解除される。

レン「……え?」

配達屋「あー……魔力切れちゃいました~。もう戦えないですねぇ」

レン「え……」

405: 2012/12/10(月) 21:53:46.02 ID:OyrEjtPl0
280

--暗黒森林、森--

配達屋「あーららー。魔力が切れちゃったんじゃぁもう戦えないですねー」

レン「二回言った!」

手をひらひらさせる配達屋。

レン「……いいのかにゃ?」

配達屋「よくよく考えたら配達を終えた段階で私の仕事は完了してるわけですし。私所長のこと好きじゃないですし。あのセクハラカバ……なんか思いだしたら無性に腹がたってきました」

ちゃり

配達屋は回復アイテムを取りだしレンに投げて渡す。

配達屋「仕方ないのでそれあげます。今回は私の負けってことにしておいてあげるので……」

レン「……名も知らぬ人……」

配達屋「さ、仲間と一緒に姫様を助け出しにさっさと行っちゃってください」

アッシュ「……」

ポニテ「……」

配達屋の後方にボロボロになったアッシュとポニテが立っていた。

配達屋(あぶねー。途中で彼らの接近に気付かなかったら二人にふるぼっこにされるとこでした……!)

418: 2012/12/17(月) 23:15:37.90 ID:tsj7xRIh0
281

--暗黒森林、森--

魔剣使い「ち……逃がしたか……」

アッシュと同じくらいボロボロになっている魔剣使いは、剣を地面に突き刺したまま仰向けで倒れている。

魔剣使い「……もし仮に奴が決着をつけるまで戦い続けていたらどっちが勝ったのか……」

むくっ

魔剣使いは起きあがると脚の縫合を開始した。

魔剣使い(……早かった……そしてあの眼……魔剣の上を行くのか……? なら私はどうすれば……)


--暗黒森林、森--

テンテン「機能停止、機能停止ー。ガガーピー」

一方、達磨状態のテンテンは鳥の巣になりかけていた。

419: 2012/12/17(月) 23:16:09.08 ID:tsj7xRIh0
282

--暗黒森林、森--

アッシュ「……」

ポニテ「……」

レン「アッシュ、ポニテ」

配達屋(……なんで無言なんでしょうか……もしかして結局私抹殺?)

配達屋は怖くて後ろを向くことができない。

アッシュ(……こいつ……一時的にだがレンと渡り合ってやがった)

ポニテ(面白い職業だねぇ……それにまだ力隠してるみたいだし)

レン「ぷはっ! アッシュ、ポニテ!! 行こうにゃ、この先にツインテがいるにゃ!」

レンは回復薬を飲み二人を招く。

420: 2012/12/17(月) 23:16:41.68 ID:tsj7xRIh0
283

--暗黒森林、森--

アッシュ「ああ……だがその前に」

アッシュは配達屋に近づくと、

がしっ

配達屋「はいっ!?」

配達屋を抱き抱え肩に担いだ。

配達屋「え、え、何してるんですか?」

アッシュ「……」

配達屋「無言こわっ! 無言で抱きかかえるとかこわっ!!」

アッシュ「……行くぞポニテ、レン。ツインテを奪還する」

ポニテ「おぉー!」

レン「うんにゃ!」

配達屋「!? だからなんで私担がれたんですー!?」

421: 2012/12/17(月) 23:17:12.23 ID:tsj7xRIh0
284

--暗黒森林、森--

ガタゴトガタゴト!

大カバ亜人「はぁ、はぁ……と、とんだオークションだった……」

ツインテ「……」

大カバ亜人「だが幸運にも再びこれが私の所に……ふふふ」

ぴっち『こるぁー! ツインテ様を離すっぴー!』

ぱっち『ツインテ様怒らしたら鬼のように怖いんだっぱよ!?』

大カバ亜人「ふん……うるさいやつらだ。希少な妖精だからと言って丁重に扱われると思ったら大間違いだぞ!」

ガバァ!


ぴっち『!?』

ぱっち『ぱっ!?』

大カバ亜人は大きく口を開けてぴっちとぱっちを食べてしまう。

422: 2012/12/17(月) 23:17:54.46 ID:tsj7xRIh0
285

--暗黒森林、森--

ゴクン

大カバ亜人「ふふぅー。腹を空いていたし一石二鳥だがははは」

大カバ亜人は満足そうに自らの肥えた腹を撫でる。

大カバ亜人「……この触れないバリアも近いうちに必ずどうにかしてみせる……そして」

醜悪に歪む大カバ亜人の顔。

大カバ亜人「ぬっふっふっふっふっ~……」

キキィー!

その時馬車が急停車。

大カバ亜人「むぉっ!? こ、こら気をつけんか!」

馬車は完全に沈黙し、運転手からも返事がない。

423: 2012/12/17(月) 23:18:25.51 ID:tsj7xRIh0
286

--暗黒森林、森--

大カバ亜人「これ何しておる! 急がないか!」

ガチャ

大カバ亜人「はっ!?」

大カバ亜人がドアを開けて直接どなりつけようとすると、

アッシュ「……」

ポニテ「やほー」

レン「返してもらうにゃ」

配達屋「何で私まで……」

そこにはアッシュ達が待ち構えていた。

大カバ亜人「な、き、きさまらオークションを襲撃した族共……と配達屋!」

424: 2012/12/17(月) 23:18:56.94 ID:tsj7xRIh0
287

--暗黒森林、森--

アッシュ「年貢の納め時だぜカバ野郎」

ザっ

大カバ亜人「き、きさまぁ~! 部下のくせにわしを裏切ったのかぁ!?」

配達屋「いやいや必氏に戦いましたよ私。でもこの三人相手じゃどうにもこうにも……」

大カバ亜人「五体満足で何を言ってるか!! まったく使えないやつよ!」

大カバ亜人はつばを飛ばしながら激怒する。

配達屋「うわ、ひどー」

ザリ

アッシュ「……あんたがツインテをずっと可愛がってくれてたんだってな」

大カバ亜人と配達屋の間にアッシュが入る。

大カバ亜人「ごクッ!」

425: 2012/12/17(月) 23:19:45.66 ID:tsj7xRIh0
288

--暗黒森林、森--

大カバ亜人「!?……そ、そうだ! はは、実の娘のように可愛がって育てたのだ! このわしが!」

大カバ亜人は作り笑いを浮かべてアッシュやポニテ達の顔を見た。

ポニテ「そういう意味じゃないことくらいわかってるでしょ……?」

その言葉に大カバ亜人の顔がひきつる。

大カバ亜人「ひ、ひぃ!」

レン「レンタル料金払ってもらうにゃ」

ごごご

アッシュ「じゃあ延滞料金もだな」

ごごごご

ポニテ「こらこらツインテちゃんを物みたいにしないの!……私は医者料を」

ごごごごご

レン「漢字違うにゃ」

426: 2012/12/17(月) 23:20:21.82 ID:tsj7xRIh0
289

--暗黒森林、森--

大カバ亜人「ひ、ひぃー!」


大カバ亜人の絶叫が聞こえる馬車の中、

ぷっち『……今度こそ仲間のお迎えじゃっぷ』

ぷっちが再びその姿を現した。

ツインテ「……」

ぷっち『わしはどうやらここまでのようじゃ。最後にお前さんに出会えてよかったよ』

ぷっちは虚ろな瞳のツインテに笑いかけた。

ツインテ「……」

ぷっち『じゃあ……の』

しゅう

そしてぷっちは光の粒となって消えた。

ツインテ「……」

427: 2012/12/17(月) 23:20:51.88 ID:tsj7xRIh0
290

--暗黒森林、森--

ガチャッ

ポニテ「ツインテちゃん大丈夫?」

馬車のドアからポニテがひょっこり顔を出す。

ツインテ「……」

ツインテはぷっちが消えてしまった場所から目を動かさない。

ポニテ「……ごめん、遅くなっちゃった。でも迎えに来たよ、さぁ行こう!」

ツインテ「……」

ポニテは腕を伸ばし、ツインテはポニテの方に向き直る。

ぎゅっ

ポニテの手がツインテに触れる。

428: 2012/12/17(月) 23:22:01.50 ID:tsj7xRIh0
291

--暗黒森林、森--

ズズ

ポニテ「!?」

バッ!!

触れた瞬間、ポニテは自分の腕が腐り落ちるビジョンを予感して、即座にツインテから手を離した。

ズズズズ

アッシュ「」

ギャーギャー 

突如周辺の木々は枯れ始め、森の動物達は一目散に逃げ出した。

バサバサバサ

レン「」

429: 2012/12/17(月) 23:22:42.45 ID:tsj7xRIh0
292

--暗黒森林、森--

心の中で恐怖と不安が大きくなっていく。

ポニテ「この、感覚」

ぎゃあぁあぁぁあぁあぁあぁぁぁ!!

耳を覆いたくなる断末魔のような絶叫とともに辺りが闇に支配された。

とぷん……

お……おぁあ……おぉお

そして血に濡れた氏者の腕が地面から大量に出現し馬車を取り囲んでいく。

ズズズズズズズズ

配達屋「な、なんですかこれ……!!」

アッシュ「まさか……このタイミングで……!」

430: 2012/12/17(月) 23:24:15.06 ID:tsj7xRIh0
293

--暗黒森林、森--

闇の中でも更に深く暗い部分が渦を巻き、

レン「嘘……にゃ」

ズズズズ

そこから流れ出る地獄の臭いとともに、

ズズズズズズズズズ

?「ずっと……会いたかったよ、お姉ちゃん」

漆黒の闇から禍々しき者が生まれ出でる。

アッシュ「……フォーテ」

?改めフォーテ「ふふふ」

氏と闇を纏い、髪を四つに分けて束に纏めた絶世の美女がそこにいた。
美女じゃないけど。

431: 2012/12/17(月) 23:24:47.13 ID:tsj7xRIh0
294

--暗黒森林、森--

フォーテ「やぁお久しぶりだねっ、お姉ちゃんのお仲間さん達」

アッシュたちを見ているはずなのに全く視線は合わない。
何を見ているのかわからないその瞳は恐怖そのもの。

アッシュ「目的はツインテか」

しかしアッシュは声を発した。

ポニテ「久しぶりだねフォーテちゃん。暫くみないうちに大きくなっちゃって」

レン「やっぱり姉妹だけあって似ているにゃね」

フォーテ「」

フォーテは少し面食らっていた。

フォーテ「ふぅん」

三人が並外れたフォーテの存在感に飲まれていないことに。

432: 2012/12/17(月) 23:25:27.75 ID:tsj7xRIh0
295

--暗黒森林、森--

配達屋(な、なんですかこの人……尋常じゃない……)

配達屋は出現したフォーテを一目見ただけでその異常性に気付く。そして何もできなくなってしまう。

フォーテ「……回答一、愚問だよ灰色のお兄ちゃん。僕は目的も何もかもツインテお姉ちゃん関連以外のことじゃ動かない。頭の中はいつだってツインテお姉ちゃんでいっぱいだもん」

アッシュ「……」

フォーテ「質問されたわけじゃないけどその二、火のお姉ちゃん達だって大きくなったじゃない。大きくなってないのは氏人とツインテお姉ちゃんだけ」

ポニテ「……」

フォーテ「その三、当たり前だよぉ猫のお姉ちゃん。僕とお姉ちゃんは唯一無二の絶対不滅の究極の姉妹なんだから」

フォーテは恍惚とした表情を浮かべている。
姉妹じゃないけど。

433: 2012/12/17(月) 23:26:02.63 ID:tsj7xRIh0
296

--暗黒森林、森--

レン「……」

フォーテ「ねぇ? お姉ちゃん」

バキバキ

血濡れの腕が容赦無しに馬車を破壊する。

アッシュ「!?」

グシャグシャグシャ

ポニテ「……」

そして中からツインテを大事そうに取り出した。

ツインテ「……」

フォーテ「お姉ちゃん……」

434: 2012/12/17(月) 23:26:49.98 ID:tsj7xRIh0
297

--暗黒森林、森--

ツインテを見た瞬間にフォーテの瞳から涙がこぼれ落ちる。

フォーテ「お姉ちゃん久しぶり……本当に会いたかったよ……本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に」

フォーテはツインテを強く抱きしめた。

アッシュ「キマシタワー!」

ポニテ「なぜか私はホ〇ォって思ってしまったんだ」

レン「え、ギャグいれられんの?」

まさかの空気。

フォーテ「すぅはぁすぅはぁ……お姉ちゃんの匂い好きぃ……ふふふふ……お姉ちゃんお人形さんみたいだね……」

涙と鼻水と涎を垂れ流しながら満面の笑顔でツインテの頬に頬を合わせる。

フォーテ「辛いことあったんだね……誰も助けてくれなかったんだね……可哀想に……可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想」

フォーテはツインテの頬をペロペロしちゃう。

436: 2012/12/17(月) 23:27:45.68 ID:tsj7xRIh0
298

--暗黒森林、森--

アッシュ(ちっ……こいつじゃなきゃぶちのめしているところだ……)

ポニテ(恐ろしいね……こんな状況だけど一手間違えた瞬間、即バッドエンドだ)

レン(今は耐えるしかないにゃ……)

フォーテ「ごめんね助けてあげられなくて……でも僕はやることがあったんだ……この三年間してきたことは全てお姉ちゃんのためなんだよ……? 誉めてお姉ちゃん」

フォーテはツインテの腕を掴み自分の頭を撫でる。

がしがしがし

フォーテ「嬉しいなぁ! 嬉しいなぁ!」

アッシュ(ツインテ並に可愛いくせに、なぜか嫌悪感しか抱かんな)

ポニテ(表情、仕草、言動……どれも狂気に満ちているね)

レン(……ツインテ)

配達屋(な、なんなんですかね……この人本当)

フォーテ「でも災い転じてってやつだよ……お姉ちゃん……僕と同じような位置にまで堕ちてきたんダネ……」

アッシュ「!?」

フォーテ「人を……世界を憎み怨み呪う。そんな、力が芽生え始めてる……」

437: 2012/12/17(月) 23:28:56.87 ID:tsj7xRIh0
299

--暗黒森林、森--

ポニテ(そんな……)

フォーテ「ふぅん。もしかして全く姿が変わってないのって……」

レン(……フォーテは何かを知っているにゃ?)

ズズズズズ

フォーテ「まぁいいやっ。これからは姉妹水入らず、ずっとずっとずっと一緒だよ」

がぱっ

闇が口を開け、ツインテを飲み込もうとしている。

アッシュ「!!」

ポニテ「くっ……!」

レン「ツインテ……!」

ズブズブ

フォーテ「……あれ? てっきり抵抗してくるのかと思ったのにっ。以外だねっ。もしかしてお兄さん達……ツインテお姉ちゃんのこと好きじゃないの……?」

闇の眼球が光る。

アッシュ「好きだ」

ポニテ「好きだよ」

レン「大好きにゃ」

配達屋「即答!?」

438: 2012/12/17(月) 23:32:40.47 ID:tsj7xRIh0
300

--暗黒森林、森--

アッシュ「……だがここで無理に取り返すのは得策じゃねぇ……悔しいが強くなった今でもお前には勝てねぇ」

ぽたっぽたっ

アッシュは握りこぶしに力を入れすぎたため地面を血で濡らす。

ポニテ「だから行かせてあげるよ。もっとも見逃してもらうのは私達の方だけど」

レン「勇気と無謀は違うにゃ。この状況でやれば被害はでかい……だから次のチャンスに……必ず助け出すにゃ」

フォーテ「……」

ズズズ

予想外の反応を見せたのでフォーテは一種目を丸くした。

フォーテ「……へぇ……なるほどねっ……」

ずぷん

闇はツインテを飲み込んだ。

フォーテ「成長なのかなっ、これは。でも……なんか好きじゃないな」

ズッ!!!!!

闇が強烈な力を発し始める。

アッシュ(!! なんだこれは!!)




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あろぎおsれいgj0934lzg  りgtじょあいr4 -- 

dg

-


ズズズズズ

1、あッシュが首ヲネジ切られて氏亡。蘇生不可。
2、ポニ手が内蔵を引きずりダされテ氏亡。蘇生不可。
3、れンガ脳をカき回されて氏亡。蘇生不可。
4、パーてィ全滅。蘇生不可。
5、人類全滅。やリ直し不可。


フォーテ「ふふっ、僕だってあの頃とは違うんだよーっ? 僕は新しい力『ルート』を手に入れたんだ……さぁ、どれを選ぶのかなっ?……どちらにせよ……魂ごと破壊してあげるねっ!!」

フォーテは邪悪な笑みを浮かべた。

472: 2012/12/24(月) 15:11:56.33 ID:bp6Irl1V0
301

--暗黒森林、森--







ズズズ

……ミス!
ズズズ選択肢は、
選択肢以外ハえらベナイ!
20面だいスによるダイスろール発生、11。

ズズズ



11、



ズズズ

473: 2012/12/24(月) 15:12:40.36 ID:bp6Irl1V0
302

--暗黒森林、森--

ズズズズズズズズズズズズズズズズズズ!!!!!

大気が震え、世界が冷たくなっていく……。

アッシュ(やばい……! 絶対的にこの能力はやばい!)

ポニテ(どんな力なのかよくわからないけれど、きっと絶望しかない!)

レン(あの魔力の質と量、間違いなく危険にゃ!)

配達屋(あわわ氏ぬこれ絶対氏にます!)

大カバ亜人「あ、あひぃいいいいいいいいいいいい!!」

ズズズ……

フォーテ「僕はねっ?……ずっとお兄さん達が憎かったんだぁっ。ツインテお姉ちゃんの右腕のこともあるしねっ!」

オオォォオオォ……

氏者の腕が稲穂のように揺れる。

474: 2012/12/24(月) 15:13:33.26 ID:bp6Irl1V0
303

--暗黒森林、森--

地面に苦痛にゆがむ人の顔が無数に映し出される。

ズズズ

息をするたびに霧状の血を取りこんでいる気分になる。

ズズズズ

体が重く筋肉が悲鳴をあげている。

ズズズズズ

フォーテ「じゃあね、お姉ちゃんに無理をさせた役立たずの皆さんっ!」

ババババババ!

空間を漆黒に染め上げるフォーテの強大かつネジ曲がった魔力。
フォーテが掌に集めた魔力の珠はまるで黒い太陽のよう……。

475: 2012/12/24(月) 15:14:13.02 ID:bp6Irl1V0
304

--暗黒森林、森--

アッシュ(くっ!)

ポニテ(結局、駄目なの!?)

レン(ツインテーっ!)

配達屋「し、氏にたくねーです!」

黒い太陽に口が出現しにやりと笑ったその時、

ガシッ!

フォーテ「……え?」

フォーテの後ろの闇の渦の中から、綺麗な肌の左腕が出てきてフォーテの右腕を掴んだ。

ぐい

フォーテ「! な、なんで……」

ズズ……

476: 2012/12/24(月) 15:14:54.35 ID:bp6Irl1V0
305

--暗黒森林、森--

アッシュ(あれは……)

ポニテ(氏人の腕じゃない……)

レン(あの見覚えのある腕は……)

配達屋「……」

ズズズズ

フォーテはそのまま闇に吸い込まれていく。

フォーテ「なんで……え……わかったよ、わかった……今、いくからっ」

ずぷん……

フォーテは完全に闇の中に……。

アッシュ「……」

ポニテ「……」

レン「……」

配達屋「いーやーだー」

477: 2012/12/24(月) 15:15:37.20 ID:bp6Irl1V0
306

--暗黒森林、森--

すーっ

辺りから闇の臭いが引いていく……。

アッシュ「ちっ……なんとか助かったか……」

アッシュは汗だくになっていた。

ポニテ「……ツインテちゃん奪われちゃったけどね……くそー……」

ポニテは膝から崩れ落ちる。

レン「ツインテ……」

レンは目を瞑り空を見上げた。

配達屋「あ……おっかない奴消えてます……氏亡フラグ回避ですか……?」

三人は氏ぬほど悔しがり、一人は安堵の息をつく。

大カバ亜人「ぶくぶく……」

478: 2012/12/24(月) 15:16:10.71 ID:bp6Irl1V0
307

--暗黒森林、森--

アッシュ「……仕方ねぇ、次のチャンスにかけるか」

ポニテ「そうだね……はぁ……三年も待ったのに」

レン「ツインテの方が辛いはずにゃ……しかも最後に出てきたあの腕は……」

アッシュ「……」

ポニテ「……」

配達屋(……よくはわかりませんが、今のうちに逃げても大丈夫ですかね?)

ザっ

競売警備長「だーはっはっ! 盗人どもめ! ここにいたのかぃ!」

そんな時にうるさい高笑いが聞こえてくる。

ざっざっ

隊列を組み前進してくる警備の兵達。

479: 2012/12/24(月) 15:16:37.72 ID:bp6Irl1V0
308

--暗黒森林、森--

競売警備長「逃がさねぇよ逃がさねぇよ? 大錬金術師レン! やっぱあんたじゃねえかよぉ!」

ひきつったような笑みを浮かべる競売警備長。

アッシュ「……なんだ知り合いかレン」

ポニテ「もしかしてレンちゃんの彼氏?」

レン「ふざけるなにゃ。知らないにゃあんな変な奴」

競売警備長「なっ!? 酒場で会っただろうがい!?」

配達屋「うわぁ……よくわからないけれどストーカーなんですか?」

480: 2012/12/24(月) 15:17:19.53 ID:bp6Irl1V0
309

--暗黒森林、森--

競売警備長「ふん……随分とまぁ調子こいたこといってくれるぜ。あんたらにはこの兵達が見えねぇのかな!?」

そう言って競売警備長は兵達をアピールする。

アッシュ「いや見えるだろ」

ポニテ「それなんかの隠語?」

レン「見えるに決まってるにゃ。馬鹿かにゃ?」

競売警備長「なっ!?」

配達屋「うわぁ……」

数百人はいる兵達を前にだるそうな表情の三人。

アッシュ「はぁ」

おまけにため息とかついちゃう。


481: 2012/12/24(月) 15:18:02.22 ID:bp6Irl1V0
310

--暗黒森林、森--

競売警備長「あんたら……こけにしやがって……! いけぇぇお前らぶち頃しちまぇ!」

うおぉぉぉ!

兵達が一斉に走り出す。

ザザザザ

アッシュ「やれやれ……ただでさえ今は気が立っているっていうのに」

ポニテ「空気を読むのは大切なスキルだよ?」

レン「ある意味彼らは空気を読んでるかもしれないにゃ」

配達屋「あわわ」

ザザザザ!

482: 2012/12/24(月) 15:18:39.80 ID:bp6Irl1V0
311

--暗黒森林、森--

アッシュ「なるほど、わざわざ俺らの鬱憤を晴らしにきてくれたというわけか」

アッシュは指を鳴らす。

ポニテ「わーどっえむー」

顔は笑ってないポニテ。

レン「じゃあ一人百人ずつくらいで」

眼鏡を拭くレン。

ザザザザ!

配達屋「わー……余裕そー」

483: 2012/12/24(月) 15:19:23.33 ID:bp6Irl1V0
312

--暗黒森林、競売会場--

わーわー

騒ぎはだんだんと収まって来ている。

絵師「……」

びくっびくっ

絵師は原形をとどめないほど痛めつけられていた。

フォーゼ「ちっ……最後まで抵抗しなければ……こるぁ」

フォーゼは折れた右腕を押さえている。

絵師(配達屋は……ツインテをアッシュ達と一緒に逃がせたかな……)

フォーゼ「……」

絵師(後は任せたよ……)


剣豪「ふぅ……」

剣豪は治療を受けながら一服。

剣豪「ふん……小僧、若いのにやるじゃねぇか……俺もそろそろ引退かなぁ」

484: 2012/12/24(月) 15:20:21.18 ID:bp6Irl1V0
313

--暗黒森林、森--

ズバッ

競売警備長「ぐっ……ば、ばけも……の……め」

どさっ

アッシュ「ふん」

アッシュはナイフから血を弾いてナイフケースにしまう。

ポニテ「あーお腹減った」

ぐー

ポニテはのびをしながらお腹を鳴らす。

レン「ちょっと今日は連戦し過ぎたにゃ。そのわりには……ツインテ助けられなかったし……」

レンは残念そうに落ち込んでいる。

配達屋(わー、まじで三人で全部倒しちゃったー)

配達屋は目の前の惨状を前にして笑うしかなかった。

485: 2012/12/24(月) 15:21:17.02 ID:bp6Irl1V0
314

--暗黒森林、森--

アッシュ「まぁ全く収穫がなかったというわけでもないがな」

ポニテ「そうだね。またみんなと集合できたし。それに」

レン「新しい仲間がふえたにゃ」

三人はじっ、と配達屋を見る。

配達屋「……へ?」

アッシュ「ようこそ勇者仮パーティへ。仕方ないから歓迎してやる」

配達屋「へ!?」

ポニテ「まぁツインテちゃんが奪われた原因の一つにこの子が噛んでるのも事実だしね。償いは必要だよね」

配達屋「へ!?」

レン「腕もそこそこたつみたいにゃし」

配達屋「へ!? へ!?」

486: 2012/12/24(月) 15:21:57.40 ID:bp6Irl1V0
315

--暗黒森林、森--

配達屋はあわてふためく。

配達屋「ぱぱぱぱぱ、パンティ!?」

レン「パーティにゃ」

配達屋「パーティ!? な、なにいってるんですか! 私そんな面倒なこと絶対にしませんよ!?」

アッシュ「面倒て」

配達屋「何が悲しくて化け物パーティの中に入ったりしますか! それに私は配達屋という定職についてるんです! そんなことは私が許してもお上が許しません!」

ポニテ「じゃあ仕事ならいいんだね?」

レン「にやり」

配達屋「……へ?」

アッシュ、ポニテ、レン「「「じゃあオレ<私、レン>達をツインテ<ちゃん>のところにまで運べ<運んで、運んでにゃ>」」」

いーい笑顔で三人は配達屋を取り囲んだ。

配達屋「……い……いや……いやーーー!!」

いやーー
いやー
いやぁ

森に悲鳴がこだました。

487: 2012/12/24(月) 15:23:07.10 ID:bp6Irl1V0
316

--暗黒森林、森--

大カバ亜人「……」

ブリュリ

ぴちゃっ

ぴっち『……』

ぱっち『……』

ぐちゃぬちゃ……

ぴっち『……僕たち一体どこからでてきたっぴ?』

ぱっち『聞くな』


アッシュ「そういやサムはどうなったのか」

ポニテ「氏んだんじゃない?」

レン「うん」


    勇者と魔王がアイを募集した
         第一部
        リスタート 完

488: 2012/12/24(月) 15:23:44.02 ID:bp6Irl1V0
317

--ライン10--

十代目勇者「はっ、はっ……」

ゴォォオ

荒廃した雪の降る町に彼らは立っている。

鎧使い「あーもうっ! 一体どーなってんのよー!」

戦士「ふん……想像通りじゃないといいな、うすっ!」

僧侶「きゃははは! わらえなーい!」

忍「僧侶、笑ってる……」

十代目勇者「はぁ……まさかそんなことまで可能なのか」

ゴオオオオオォォ

??「……」

黒煙の中にうっすらとシルエットが浮かび上がる。

??「……やんす」

???「行きなさい、ガーゴイル」

489: 2012/12/24(月) 15:30:58.59 ID:bp6Irl1V0
はい、というわけで第一部が終わりました。

最後の選択肢についてですが、今回のはちょっとドキドキしてもらうためのいじわる選択肢でした。申し訳ないです。
というのも、既に前の選択肢、助けに来た ですでにルートは決定しています。
詳しくはいいませんが、あの時1を選んだ数だけ優しいルートになっていた、と思っていただければと思います。
最後の選択肢まで2だったら……バッドエンドにして謎の第四章がスタートするところでした。
でも今回は伏線張って無かったのでひどい選択肢でしたね。反省します!

それでは健やかなクリスマス、そしてよいお年をお過ごしください。(もしかしたら年内にもう一回くるかもですが)




          次回予告


トリガー「よしぴこー! よしぴこー!」

盗賊「いや……その僕、ヨシヒコじゃないんすけど」

勇者「なんで私が紫ポジションなんだよぉ!! 私は勇者なんだからヨシヒコポジションのはずだろぉ!!」

魔法使い「いやぁwwwだってwwwそのwww胸ないしwwwそんな当たり前のことを言ってしまう私だよwwww」

盗賊、勇者「「きのこ頭はお前かよ!! しかも初期verの喋りでかよ!!」」

闘士「お、おで!!」

盗賊、勇者「「お前はある意味ではオネエだけども!!」」

トリガー「ほっとけ」


  次回、「勇者ゾクヒコと魔王の城」

勇者と魔王がアイを募集した【3】

490: 2012/12/24(月) 15:36:51.75 ID:w/QARVCL0
乙!
いやあ怖かったなぁwww

引用: 勇者と魔王がアイを募集した