375: 2014/05/12(月) 22:23:49.71 ID:TeKG0aOJ0
こんばんは。GW楽しめましたか??
シリーズ
勇者募集してたから王様に会いに行った
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった
勇者と魔王がアイを募集した【1】
勇者と魔王がアイを募集した【2】
勇者と魔王がアイを募集した【3】
勇者と魔王がアイを募集した【4】
勇者と魔王がアイを募集した【5】
勇者と魔王がアイを募集した【6】
勇者と魔王がアイを募集した【7】
勇者と魔王がアイを募集した【8】
勇者と魔王がアイを募集した【9】
勇者と魔王がアイを募集した【10】 それでは最終部始めていきたいと思います。
シリーズ
勇者募集してたから王様に会いに行った
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった
勇者と魔王がアイを募集した【1】
勇者と魔王がアイを募集した【2】
勇者と魔王がアイを募集した【3】
勇者と魔王がアイを募集した【4】
勇者と魔王がアイを募集した【5】
勇者と魔王がアイを募集した【6】
勇者と魔王がアイを募集した【7】
勇者と魔王がアイを募集した【8】
勇者と魔王がアイを募集した【9】
勇者と魔王がアイを募集した【10】 それでは最終部始めていきたいと思います。
376: 2014/05/12(月) 22:24:54.39 ID:TeKG0aOJ0
2
--高校--
護衛姉「でさー」
護衛妹「嘘ー」
朝の教室で女子生徒二人が楽しそうに話をしている。
ガララッ
代表「ん」
竜子「お」
教室にハイが入ると同時に二人の生徒が反応する。
スタスタ
ハイ「おはよーです」
代表「おはよう」
竜子「おう、遅いぞハイ! お前らしくもない。なんかあったのか?」
真面目そうな男子生徒とスケバンっぽい女子生徒がハイと挨拶をかわす。
--高校--
護衛姉「でさー」
護衛妹「嘘ー」
朝の教室で女子生徒二人が楽しそうに話をしている。
ガララッ
代表「ん」
竜子「お」
教室にハイが入ると同時に二人の生徒が反応する。
スタスタ
ハイ「おはよーです」
代表「おはよう」
竜子「おう、遅いぞハイ! お前らしくもない。なんかあったのか?」
真面目そうな男子生徒とスケバンっぽい女子生徒がハイと挨拶をかわす。
377: 2014/05/12(月) 22:26:04.36 ID:TeKG0aOJ0
3
--高校--
ハイ「何にもないですよ。ただ風で電車が遅れちゃっただけなのです」
どさ
ハイは机にカバンを置きながらそう答えた。
竜子「ふーん……確かにあの線弱いもんなー」
すたすた どかっ
竜子はハイの机の前に行って椅子に座った。
竜子「なぁなぁ! 今日終わったらどっかよってこうぜ。陸上部休みなんだよー」
ハイ「今日? まぁ……大丈夫かな?」
竜子「やったぜ! 実はこの前店で見たワンピが超気になっちゃってさー、売れちゃう前に買っちゃいたいなーって」
ハイ「ワンピ……この前もそんなこといって靴買ってたけど、お金大丈夫なんですか? 今月は私も厳しいのでもう貸せませんよ?」
竜子「大丈夫だって。なんとかしたからさ」
ハイ「……まさかいかがわしいバイトを……?」
竜子「古着とか売っただけだから!!」
ハイ「使用済み下着……」
竜子「そっちにもってかないでよ!!」
顔を真っ赤にして怒る竜子だった。
--高校--
ハイ「何にもないですよ。ただ風で電車が遅れちゃっただけなのです」
どさ
ハイは机にカバンを置きながらそう答えた。
竜子「ふーん……確かにあの線弱いもんなー」
すたすた どかっ
竜子はハイの机の前に行って椅子に座った。
竜子「なぁなぁ! 今日終わったらどっかよってこうぜ。陸上部休みなんだよー」
ハイ「今日? まぁ……大丈夫かな?」
竜子「やったぜ! 実はこの前店で見たワンピが超気になっちゃってさー、売れちゃう前に買っちゃいたいなーって」
ハイ「ワンピ……この前もそんなこといって靴買ってたけど、お金大丈夫なんですか? 今月は私も厳しいのでもう貸せませんよ?」
竜子「大丈夫だって。なんとかしたからさ」
ハイ「……まさかいかがわしいバイトを……?」
竜子「古着とか売っただけだから!!」
ハイ「使用済み下着……」
竜子「そっちにもってかないでよ!!」
顔を真っ赤にして怒る竜子だった。
378: 2014/05/12(月) 22:26:46.04 ID:TeKG0aOJ0
4
--高校--
竜子「ってわけよー」
ハイ「あはは」
きゃいきゃい
代表「……ちょっと竜子ちゃん、小テストの勉強しなくていいのかい?」
女子高生同士の会話に、左隣にいる代表が口を挟む。
竜子「……あ!? なんだよ代表! 人が楽しい放課後の話をしてるっつーのに、なんで現実に引き戻すようなこと言うかなー!……てかなんで私だけに言うんだよ!」
代表「だってハイちゃんは勉強してきただろうし」
さも当然とばかりに代表は返す。
竜子「っ……してるのかハイ?」
ハイ「……ちょっとね」
ハイはちょびっと、のポーズ。
竜子「うぐ……大きい点数を取る事がそんなに大事なのかよ……」
竜子は頭を抱えてしまう。
ハイ「点数稼ぎが学生の使命ですから」
--高校--
竜子「ってわけよー」
ハイ「あはは」
きゃいきゃい
代表「……ちょっと竜子ちゃん、小テストの勉強しなくていいのかい?」
女子高生同士の会話に、左隣にいる代表が口を挟む。
竜子「……あ!? なんだよ代表! 人が楽しい放課後の話をしてるっつーのに、なんで現実に引き戻すようなこと言うかなー!……てかなんで私だけに言うんだよ!」
代表「だってハイちゃんは勉強してきただろうし」
さも当然とばかりに代表は返す。
竜子「っ……してるのかハイ?」
ハイ「……ちょっとね」
ハイはちょびっと、のポーズ。
竜子「うぐ……大きい点数を取る事がそんなに大事なのかよ……」
竜子は頭を抱えてしまう。
ハイ「点数稼ぎが学生の使命ですから」
379: 2014/05/12(月) 22:27:30.29 ID:TeKG0aOJ0
5
--高校--
スタ、スタ……
熊亜人「あ、あの、そこ僕の席なんグマ……もうHR始まるしそろそろ退いて欲しいグマ……」
竜子が占領している席の持ち主が現れた。
竜子「あ?」
熊亜人「く、クマ……?」
竜子はメンチを切っている。
ハイ「なんでメンチ?」
竜子「うっせーぞ熊公っ! お前なんか立ってろ! なんかしんねーけど、お前には随分苦労させられた気がして顔見るだけでむかつくんだよ!!」
熊亜人「く、クマーー!? 理不尽クマよーーー!!」
席の持ち主を追い出す暴挙。
ハイ、代表((迷惑な奴だなー……))
--高校--
スタ、スタ……
熊亜人「あ、あの、そこ僕の席なんグマ……もうHR始まるしそろそろ退いて欲しいグマ……」
竜子が占領している席の持ち主が現れた。
竜子「あ?」
熊亜人「く、クマ……?」
竜子はメンチを切っている。
ハイ「なんでメンチ?」
竜子「うっせーぞ熊公っ! お前なんか立ってろ! なんかしんねーけど、お前には随分苦労させられた気がして顔見るだけでむかつくんだよ!!」
熊亜人「く、クマーー!? 理不尽クマよーーー!!」
席の持ち主を追い出す暴挙。
ハイ、代表((迷惑な奴だなー……))
380: 2014/05/12(月) 22:28:17.39 ID:TeKG0aOJ0
6
--高校--
キーンコーンカーンコーン
人形師「――というわけなのでぇ、皆さん気をつけて下校してくださいねぇ」
ざわざわざわ
帰りのHRが終わった。
がたがたっ
坊主「あー、終わった終わったー。よし、じゃあさっそく野球部に行こうーかなーっと」
ガシッ
首根っこを掴まれる坊主。
坊主「……野球部に」
地味子「行くわよ坊主君。……我らがラヴクラフト部に」
ずるずる
坊主「……」
引きずられていく坊主。少なくともグラウンドに行くことはないのだろう……。
--高校--
キーンコーンカーンコーン
人形師「――というわけなのでぇ、皆さん気をつけて下校してくださいねぇ」
ざわざわざわ
帰りのHRが終わった。
がたがたっ
坊主「あー、終わった終わったー。よし、じゃあさっそく野球部に行こうーかなーっと」
ガシッ
首根っこを掴まれる坊主。
坊主「……野球部に」
地味子「行くわよ坊主君。……我らがラヴクラフト部に」
ずるずる
坊主「……」
引きずられていく坊主。少なくともグラウンドに行くことはないのだろう……。
381: 2014/05/12(月) 22:29:08.63 ID:TeKG0aOJ0
7
--高校--
がやがや
竜子「よっしゃー行くぞハイー! さっさと準備しやがれーー」
ハイ「はいはい、ちょっと待ってくださいね」
スッ、スッ
ハイは急いで鞄に教材を詰め込んでいく。
竜子「……うわ、それ全部もって帰る気か? 相変わらずハイは真面目だなー」
ハイ「あれ? これ宿題でてるんだけど……あ、竜子ちゃんには関係無いですよね。朝来て写すだけですもんね」
竜子「うん」
ハイ「うんじゃないが」
胸を張っての、うん、だったそうな。
--高校--
がやがや
竜子「よっしゃー行くぞハイー! さっさと準備しやがれーー」
ハイ「はいはい、ちょっと待ってくださいね」
スッ、スッ
ハイは急いで鞄に教材を詰め込んでいく。
竜子「……うわ、それ全部もって帰る気か? 相変わらずハイは真面目だなー」
ハイ「あれ? これ宿題でてるんだけど……あ、竜子ちゃんには関係無いですよね。朝来て写すだけですもんね」
竜子「うん」
ハイ「うんじゃないが」
胸を張っての、うん、だったそうな。
382: 2014/05/12(月) 22:30:24.16 ID:TeKG0aOJ0
8
--高校--
竜子「そうだ、代表もこいよ。お前どうせ暇だろ?」
代表「へ?」
竜子は同じく帰り支度をしている代表に声をかける。
竜子「私らの遊びに特別に連れてってやるよ、感謝しな!」
代表「いや、暇な日なんて概念は僕には存在しないなぁ……」
竜子「は? 何わけわかんないこと言ってんだ。美少女JK二人とお出かけできんだぞ? 四の五の言わずについてこいや」
ハイ「自分で美少女って言っちゃうスケバンってどうなの」
代表「美少女かどうかはともかく、正直な所、女の子二人とお出かけなんて僕にはハードル高すぎるんだよね」
竜子「? んでだよ」
代表「ハーレムを妄想することはしょっちゅうあっても、実際にハーレムになったら胃が痛くなるほどストレスを感じて喜べない……そんな矛盾した精神を持っているのが僕ら非モテだからさ」
ハイ「ははは……」
代表「それになんかおごらさせられそうだし」
竜子「あ? 電車賃くらい払うわ」
代表「……他のは?」
--高校--
竜子「そうだ、代表もこいよ。お前どうせ暇だろ?」
代表「へ?」
竜子は同じく帰り支度をしている代表に声をかける。
竜子「私らの遊びに特別に連れてってやるよ、感謝しな!」
代表「いや、暇な日なんて概念は僕には存在しないなぁ……」
竜子「は? 何わけわかんないこと言ってんだ。美少女JK二人とお出かけできんだぞ? 四の五の言わずについてこいや」
ハイ「自分で美少女って言っちゃうスケバンってどうなの」
代表「美少女かどうかはともかく、正直な所、女の子二人とお出かけなんて僕にはハードル高すぎるんだよね」
竜子「? んでだよ」
代表「ハーレムを妄想することはしょっちゅうあっても、実際にハーレムになったら胃が痛くなるほどストレスを感じて喜べない……そんな矛盾した精神を持っているのが僕ら非モテだからさ」
ハイ「ははは……」
代表「それになんかおごらさせられそうだし」
竜子「あ? 電車賃くらい払うわ」
代表「……他のは?」
383: 2014/05/12(月) 22:31:39.08 ID:TeKG0aOJ0
9
--廊下--
どかっ
ハイ「きゃっ!?」
スー「アイタタ……OHー、悪いデース! 余所見してましたデース!」
曲がり角でハイと外国人の女の子がぶつかった。
竜子「ちゃんと前見て歩けよあぶねーだろー!」
怒鳴りながらも手を差し伸べる竜子。
スー「ソーリーソーリーデース」
ハイ「別にどこも怪我してないですし、大丈夫ですよ。これからは気をつけてくださいね」
スー「了解デース。シカラバッ!」
ばひゅん!
少女はお辞儀をした後、また全速力で走っていった。
竜子「全然こりてねぇじゃねぇかあいつ……怪我したらどうすんだ!」
ごそ
代表「……ん!? 今ゴギブリがいたような……」
--廊下--
どかっ
ハイ「きゃっ!?」
スー「アイタタ……OHー、悪いデース! 余所見してましたデース!」
曲がり角でハイと外国人の女の子がぶつかった。
竜子「ちゃんと前見て歩けよあぶねーだろー!」
怒鳴りながらも手を差し伸べる竜子。
スー「ソーリーソーリーデース」
ハイ「別にどこも怪我してないですし、大丈夫ですよ。これからは気をつけてくださいね」
スー「了解デース。シカラバッ!」
ばひゅん!
少女はお辞儀をした後、また全速力で走っていった。
竜子「全然こりてねぇじゃねぇかあいつ……怪我したらどうすんだ!」
ごそ
代表「……ん!? 今ゴギブリがいたような……」
384: 2014/05/12(月) 22:33:21.13 ID:TeKG0aOJ0
10
--街--
魔導長「ゆ・び・お・り!」
ワーキャー!!
ビルの大ビジョンには、国民的アイドルがアップで映し出されている。
ハイ「歩いていくとちょっと遠いですねぇ」
ハイは自転車を押して歩いている。
槍兵「おう兄ちゃん、これ買ってかねーか?」
代表「……はい?」
露天のお兄さんに声をかけられる代表。
槍兵「これだよこれ、この槍。いいだろう? いい出来だろう? しびれるだろう?」
きらりん
代表「い、いえ……」
竜子「うお! それまじもん? イカス!!」
槍兵「お! わかるか槍の魅力が! そうだぜこれは本物だ! その気になればこれでなんでもブッさせるんだぜ!?」
東の憲兵「不振人物を発見しました」
--街--
魔導長「ゆ・び・お・り!」
ワーキャー!!
ビルの大ビジョンには、国民的アイドルがアップで映し出されている。
ハイ「歩いていくとちょっと遠いですねぇ」
ハイは自転車を押して歩いている。
槍兵「おう兄ちゃん、これ買ってかねーか?」
代表「……はい?」
露天のお兄さんに声をかけられる代表。
槍兵「これだよこれ、この槍。いいだろう? いい出来だろう? しびれるだろう?」
きらりん
代表「い、いえ……」
竜子「うお! それまじもん? イカス!!」
槍兵「お! わかるか槍の魅力が! そうだぜこれは本物だ! その気になればこれでなんでもブッさせるんだぜ!?」
東の憲兵「不振人物を発見しました」
385: 2014/05/12(月) 22:36:20.29 ID:TeKG0aOJ0
11
--デパート--
ハイ「おまたせ」
竜子「ユニコーン号はちゃんと停めたのか?」
ハイ「ちょ、私の自転車のことユニコーン号って言うのやめてください!」
代表「ユニコーン号?」
竜子「ハイは自転車にユニコーン号って名前つけてんだよ。可愛いだろ?」
ハイ「それは子供の頃の話です……!」
ちん
受付「上へ参りまーす」
代表「っと、エレベーターきちゃってるよ。そんなこと話してないで乗ろう」
すたすたすた
受付「ドアが閉まりまーす」
ちん
竜子「はぁ、でも売れちゃってたらどうしよう。電車賃使ったのに無かったらショックだなー」
ハイ「その気持ちはわかります。でも無かったなら諦めるしかないですよ。そうしたらまた今度古着屋でも巡りましょう」
竜子「? 古着屋?」
受付「五階でーす」
代表「この下が透けてるエレベーターって、高所恐怖症には拷問なんだよなぁ……ん? 下が透けるっていうことは下から見たらスカートは……ひらめいた!!」
受付「通報でーす」
--デパート--
ハイ「おまたせ」
竜子「ユニコーン号はちゃんと停めたのか?」
ハイ「ちょ、私の自転車のことユニコーン号って言うのやめてください!」
代表「ユニコーン号?」
竜子「ハイは自転車にユニコーン号って名前つけてんだよ。可愛いだろ?」
ハイ「それは子供の頃の話です……!」
ちん
受付「上へ参りまーす」
代表「っと、エレベーターきちゃってるよ。そんなこと話してないで乗ろう」
すたすたすた
受付「ドアが閉まりまーす」
ちん
竜子「はぁ、でも売れちゃってたらどうしよう。電車賃使ったのに無かったらショックだなー」
ハイ「その気持ちはわかります。でも無かったなら諦めるしかないですよ。そうしたらまた今度古着屋でも巡りましょう」
竜子「? 古着屋?」
受付「五階でーす」
代表「この下が透けてるエレベーターって、高所恐怖症には拷問なんだよなぁ……ん? 下が透けるっていうことは下から見たらスカートは……ひらめいた!!」
受付「通報でーす」
386: 2014/05/12(月) 22:37:08.23 ID:TeKG0aOJ0
12
--デパート--
竜子「あー、残っててよかった私のワンピー!」
ハイ「ワンピって漫画の方かよ!」
竜子は大きな画集に頬擦りしている。
代表「……」
そして引きずり回された代表は虚ろな瞳でコーヒーをすすっている。
ズズー
--デパート--
竜子「あー、残っててよかった私のワンピー!」
ハイ「ワンピって漫画の方かよ!」
竜子は大きな画集に頬擦りしている。
代表「……」
そして引きずり回された代表は虚ろな瞳でコーヒーをすすっている。
ズズー
387: 2014/05/12(月) 22:38:19.29 ID:TeKG0aOJ0
13
--デパート--
ハイ「っと、結構長居しちゃいましたね」
ハイは時計を確認し、帰り支度を始める。
竜子「ん? なんだ、もう帰っちゃうのか?」
ハイ「一人暮らしですから。竜子ちゃんには関係無い宿題もありますしね」
精一杯の皮肉攻撃。
竜子「なんだよー。飯食ってこーぜー」
ハイ「……」
しかしそんな高度な口撃は竜子には通用しない。
ハイ「言ったでしょ? 今月は厳しいんです。外食してる余裕は私には無いのです」
竜子「ちぇー」
竜子はストローでぶくぶくと泡を立てている。
--デパート--
ハイ「っと、結構長居しちゃいましたね」
ハイは時計を確認し、帰り支度を始める。
竜子「ん? なんだ、もう帰っちゃうのか?」
ハイ「一人暮らしですから。竜子ちゃんには関係無い宿題もありますしね」
精一杯の皮肉攻撃。
竜子「なんだよー。飯食ってこーぜー」
ハイ「……」
しかしそんな高度な口撃は竜子には通用しない。
ハイ「言ったでしょ? 今月は厳しいんです。外食してる余裕は私には無いのです」
竜子「ちぇー」
竜子はストローでぶくぶくと泡を立てている。
388: 2014/05/12(月) 22:39:56.32 ID:TeKG0aOJ0
14
--デパート--
ハイ「じゃあお二人とも、ごゆっくり」
代表「さよならハイちゃん、また明日」
首を傾けるハイと手を振る代表。
竜子「あ」
代表「あ?」
そして驚いた声を上げる竜子。
ハイ「?」
竜子の視線の先には二人の男女がいた。ぱっと見頼り無さそうな男子と背が低い女子。
竜子「うわ、勇者先輩だ。隣にいるのは……彼氏かな?」
ハイ「知り合い?」
竜子「うちの部の副部長。うわー、デート中かなぁ。見つかったらお互い気まずいよなぁ……ちょっとハイ、まだ行かないで盾になっておくれよー」
お願い、と竜子は手を合わせた。
ハイ「えぇ?……もう……」
しぶしぶともう一度席に座るハイ。
勇者「 」
盗賊「 」
ハイ「……」
何を喋っているのかまではわからないが、二人は随分と楽しそうだった。
--デパート--
ハイ「じゃあお二人とも、ごゆっくり」
代表「さよならハイちゃん、また明日」
首を傾けるハイと手を振る代表。
竜子「あ」
代表「あ?」
そして驚いた声を上げる竜子。
ハイ「?」
竜子の視線の先には二人の男女がいた。ぱっと見頼り無さそうな男子と背が低い女子。
竜子「うわ、勇者先輩だ。隣にいるのは……彼氏かな?」
ハイ「知り合い?」
竜子「うちの部の副部長。うわー、デート中かなぁ。見つかったらお互い気まずいよなぁ……ちょっとハイ、まだ行かないで盾になっておくれよー」
お願い、と竜子は手を合わせた。
ハイ「えぇ?……もう……」
しぶしぶともう一度席に座るハイ。
勇者「 」
盗賊「 」
ハイ「……」
何を喋っているのかまではわからないが、二人は随分と楽しそうだった。
389: 2014/05/12(月) 22:41:06.46 ID:TeKG0aOJ0
15
--夜道--
シャーー
夜道を自転車で行くハイ。
ハイ「はぁ、予定より遅くなっちゃった。今日はもう買い置きのグラタンでいいかなぁ」
キィ、スタ、スタ
家の前に着くと、鞄から鍵を取り出す。
カチャカチャ、ガチャ
ギィ
ハイ「ただいまー」
バタン
ぱち
電気を付けて居間に向かう。
ドサッ
ハイ「ふー、重かったぁ。あ、雨戸閉めなきゃ」
がらがらがら
--夜道--
シャーー
夜道を自転車で行くハイ。
ハイ「はぁ、予定より遅くなっちゃった。今日はもう買い置きのグラタンでいいかなぁ」
キィ、スタ、スタ
家の前に着くと、鞄から鍵を取り出す。
カチャカチャ、ガチャ
ギィ
ハイ「ただいまー」
バタン
ぱち
電気を付けて居間に向かう。
ドサッ
ハイ「ふー、重かったぁ。あ、雨戸閉めなきゃ」
がらがらがら
390: 2014/05/12(月) 22:41:57.67 ID:TeKG0aOJ0
16
--自宅--
チン
電子レンジの音が鳴る。
ガチャ
ハイ「あち!……鍋掴み鍋掴み」
電子レンジからグラタンを取り出したハイはそれをテーブルに置き、コップに牛乳を注ぐ。
トクトクトクトク
ハイ「そうだ。宿題で調べなきゃいけないことあるんだった。行儀悪いけどご飯食べながらパソコンしますか」
ぽち
パソコンの電源ボタンを押す。
ハイ「……独り暮らしだと一人言が増えていけないですね……」
ぶぅん
--自宅--
チン
電子レンジの音が鳴る。
ガチャ
ハイ「あち!……鍋掴み鍋掴み」
電子レンジからグラタンを取り出したハイはそれをテーブルに置き、コップに牛乳を注ぐ。
トクトクトクトク
ハイ「そうだ。宿題で調べなきゃいけないことあるんだった。行儀悪いけどご飯食べながらパソコンしますか」
ぽち
パソコンの電源ボタンを押す。
ハイ「……独り暮らしだと一人言が増えていけないですね……」
ぶぅん
391: 2014/05/12(月) 22:42:44.81 ID:TeKG0aOJ0
17
--自宅--
ハイはグラタンを持ってパソコンの前に行く。
ハイ「えっ、と……大宮市の歴史、っと」
カタカタカタカタ
ハイ「しかしこの宿題、パソコン持ってない人はどうやって調べるんでしょう」
カチッカチカチ
ハイ「……もぐもぐ」
検索しながらスプーンでグラタンを口に運ぶお行儀悪いハイちゃん。
カチカチ
ハイ「みんなどうせwikiで調べるだろうし、私は個人サイトでも見てみようかな。なんかそういうの無いかな」
カチカチカチ
ハイ「みんな大好きググル先生ーー」
トップには富士山の絵が描かれていた。
--自宅--
ハイはグラタンを持ってパソコンの前に行く。
ハイ「えっ、と……大宮市の歴史、っと」
カタカタカタカタ
ハイ「しかしこの宿題、パソコン持ってない人はどうやって調べるんでしょう」
カチッカチカチ
ハイ「……もぐもぐ」
検索しながらスプーンでグラタンを口に運ぶお行儀悪いハイちゃん。
カチカチ
ハイ「みんなどうせwikiで調べるだろうし、私は個人サイトでも見てみようかな。なんかそういうの無いかな」
カチカチカチ
ハイ「みんな大好きググル先生ーー」
トップには富士山の絵が描かれていた。
392: 2014/05/12(月) 22:43:22.63 ID:TeKG0aOJ0
18
--自宅--
カチャカチャカチャ……ッターン!
検索ワードをいれてエンター。
ハイ「これよさそうかも……ん……これは……あからさまに変なサイトですね。バナーばっかり」
カチカチ
ハイ「あ、間違って押しちゃった……もぐ」
カチカチ
カチカチ
しかし
ハイ「ん……」
飛ばされたサイトには見覚えがあった。
--自宅--
カチャカチャカチャ……ッターン!
検索ワードをいれてエンター。
ハイ「これよさそうかも……ん……これは……あからさまに変なサイトですね。バナーばっかり」
カチカチ
ハイ「あ、間違って押しちゃった……もぐ」
カチカチ
カチカチ
しかし
ハイ「ん……」
飛ばされたサイトには見覚えがあった。
393: 2014/05/12(月) 22:46:07.80 ID:TeKG0aOJ0
19
--自宅--
全体的に黒色のサイト。若干どころか怪しさ全開である。
ハイ「もぐ……このサイト、最近やたら目につきますね。そんなに色んな所にリンクが貼ってあるわけじゃないのに……なんでだろ」
ここ一週間、ハイはこのサイトに飛ばされてしまうことが何度かあった。
マウスのミス。くしゃみ……理由は様々ではあるが、その度に飛ばされるのは決まってこのサイト……。
ハイ「変なの」
カチカチ
ハイ「……もぐもぐ……小説のサイト? なんだか少し変わった書き方ですね。文の最初に名前が書いてあるなんて」
カチカチ
――本来ならば興味を持つはずがないものだ。
ハイは恋愛系の、しかも決まった作者の作品しか読まない食わず嫌いなのだから――。
--自宅--
全体的に黒色のサイト。若干どころか怪しさ全開である。
ハイ「もぐ……このサイト、最近やたら目につきますね。そんなに色んな所にリンクが貼ってあるわけじゃないのに……なんでだろ」
ここ一週間、ハイはこのサイトに飛ばされてしまうことが何度かあった。
マウスのミス。くしゃみ……理由は様々ではあるが、その度に飛ばされるのは決まってこのサイト……。
ハイ「変なの」
カチカチ
ハイ「……もぐもぐ……小説のサイト? なんだか少し変わった書き方ですね。文の最初に名前が書いてあるなんて」
カチカチ
――本来ならば興味を持つはずがないものだ。
ハイは恋愛系の、しかも決まった作者の作品しか読まない食わず嫌いなのだから――。
394: 2014/05/12(月) 22:47:05.99 ID:TeKG0aOJ0
20
--自宅--
しかし
ハイ「……少しだけ……読んで見るとしましょうか」
カチ
なぜだか懐かしい感じがして、ハイはそれを読むことにした。
ハイ「題名は」
カチ
ハイ「……『勇者募集してたから王様に会いに行った』」
--自宅--
しかし
ハイ「……少しだけ……読んで見るとしましょうか」
カチ
なぜだか懐かしい感じがして、ハイはそれを読むことにした。
ハイ「題名は」
カチ
ハイ「……『勇者募集してたから王様に会いに行った』」
401: 2014/05/19(月) 20:22:38.89 ID:XsU0bmD+0
21
--自宅--
チュンチュン
ハイ「……」
ほんの少しのつもりだったのだが、気づけば夜が明けていた……。
ハイ「……」
なぜだがわからないが涙がハイの頬を伝っている。
カチ
決して感動したとかそういう涙ではない……。
ハイ「なんでだろう……私」
ただ何か不思議な懐かしさを感じていた。
心を震わせ、涙を流させるほどに。
ハイ「と、いけない。もう朝だ……学校行く準備しなきゃ」
ハイはパソコンを消して仕度を始める。
--自宅--
チュンチュン
ハイ「……」
ほんの少しのつもりだったのだが、気づけば夜が明けていた……。
ハイ「……」
なぜだがわからないが涙がハイの頬を伝っている。
カチ
決して感動したとかそういう涙ではない……。
ハイ「なんでだろう……私」
ただ何か不思議な懐かしさを感じていた。
心を震わせ、涙を流させるほどに。
ハイ「と、いけない。もう朝だ……学校行く準備しなきゃ」
ハイはパソコンを消して仕度を始める。
402: 2014/05/19(月) 20:23:47.15 ID:XsU0bmD+0
22
--自宅--
がちゃ、バタン、かちゃ
家の鍵を閉める。
ハイ「……」
そして自転車を押して門をくぐる。
ぎぃ
ハイ「……ユニコーン号……」
ふと、自分の自転車を見る。子供の頃から使っている、古くてぼろい自慢の愛車だ。
ハイ「私……なんでユニコーン号って、名前つけたんだっけ……」
--自宅--
がちゃ、バタン、かちゃ
家の鍵を閉める。
ハイ「……」
そして自転車を押して門をくぐる。
ぎぃ
ハイ「……ユニコーン号……」
ふと、自分の自転車を見る。子供の頃から使っている、古くてぼろい自慢の愛車だ。
ハイ「私……なんでユニコーン号って、名前つけたんだっけ……」
403: 2014/05/19(月) 20:25:27.44 ID:XsU0bmD+0
23
--学校--
がららっ
ハイ「おはよぉ」
竜子「おーす!……って……お前顔ひどいな……隈できてるぞ?」
熊亜人「ぐま?」
竜子「お前じゃねぇ引っ込んでろ!!」
どごす!
熊亜人「ふぁん! ひどいぐま!」
ハイ「ははは……いやぁちょっと徹夜しちゃいまして……」
どさ
ハイは机に荷物を置きながら答える。
代表「夜更かしは美容によくないよ。ハイちゃんらしくないことだけど、宿題が手間取ったのかい?」
ハイ「あ……宿題忘れた」
竜子「おいおい、なにやってんだよハイらしくねぇ。じゃあ私は誰に見せて貰えばいいんだよ」
ハイ「……」
--学校--
がららっ
ハイ「おはよぉ」
竜子「おーす!……って……お前顔ひどいな……隈できてるぞ?」
熊亜人「ぐま?」
竜子「お前じゃねぇ引っ込んでろ!!」
どごす!
熊亜人「ふぁん! ひどいぐま!」
ハイ「ははは……いやぁちょっと徹夜しちゃいまして……」
どさ
ハイは机に荷物を置きながら答える。
代表「夜更かしは美容によくないよ。ハイちゃんらしくないことだけど、宿題が手間取ったのかい?」
ハイ「あ……宿題忘れた」
竜子「おいおい、なにやってんだよハイらしくねぇ。じゃあ私は誰に見せて貰えばいいんだよ」
ハイ「……」
404: 2014/05/19(月) 20:26:15.70 ID:XsU0bmD+0
24
--学校--
人形師「皆さん、おはようぉございまぁす」
ハイ「……」
ハイは教壇に立つ人形師を凝視する。
ハイ(なんでだろう……先生が昨日見たSSの登場人物と被る……なんというか、私が想像した人物像にそっくりで……)
勇者募集してたから王様に会いに行ったに出てくる人形師と、自分の担任が被って見えて仕方のないハイ。
ハイ(……なんでだろう)
人形師「そぉれでは一時間目は私の国語でぇすよぉ」
--学校--
人形師「皆さん、おはようぉございまぁす」
ハイ「……」
ハイは教壇に立つ人形師を凝視する。
ハイ(なんでだろう……先生が昨日見たSSの登場人物と被る……なんというか、私が想像した人物像にそっくりで……)
勇者募集してたから王様に会いに行ったに出てくる人形師と、自分の担任が被って見えて仕方のないハイ。
ハイ(……なんでだろう)
人形師「そぉれでは一時間目は私の国語でぇすよぉ」
405: 2014/05/19(月) 20:27:13.66 ID:XsU0bmD+0
25
--学校--
すたすたすた
竜子「いやー買えた買えたー。購買名物名状しがたきパン。四限目終わってダッシュしたかいあったぜー」
竜子はグロテスクなパンに頬ずりをしている。
聖騎士「ぶるぅあぁあぁ! 花壇を踏むんじゃあ……ぬぇええぇぇえ!!」
ハイ「!」
その時中庭から特徴ある怒声が響いた。
魔法使い「ふひひwwwwwごwめwんwww」
盗賊「ひぃ! ごめんなさいごめんなさい!」
聖騎士「んんまぁてぇええいい!!」
どたどたどた!!
竜子「あのバカ男子ども、事務のおっさんに目つけられてるよ」
ハイ「……」
--学校--
すたすたすた
竜子「いやー買えた買えたー。購買名物名状しがたきパン。四限目終わってダッシュしたかいあったぜー」
竜子はグロテスクなパンに頬ずりをしている。
聖騎士「ぶるぅあぁあぁ! 花壇を踏むんじゃあ……ぬぇええぇぇえ!!」
ハイ「!」
その時中庭から特徴ある怒声が響いた。
魔法使い「ふひひwwwwwごwめwんwww」
盗賊「ひぃ! ごめんなさいごめんなさい!」
聖騎士「んんまぁてぇええいい!!」
どたどたどた!!
竜子「あのバカ男子ども、事務のおっさんに目つけられてるよ」
ハイ「……」
406: 2014/05/19(月) 20:28:23.15 ID:XsU0bmD+0
26
--学校--
すたすたすた
闘士「に、西高にいい筋肉してるやつが、い、いるらしい」
賢者「闘士君……。本当に君は筋肉のことしか頭に無いんですね」
ハイ「……」
廊下ですれ違う上級生。一度も見たことが無いはずなのに、どこか懐かしい気がしている。
ハイ(デジャブ……なのかな?)
さわっ
竜子「……おい、今あのでかいの、眼鏡のケツ触ってたぞ……」
代表「なるほど、HOMOじゃねーの」
ハイ「代表君、いつからいたんですか……?」
なぜか少しだけ頬が紅潮している代表。
--学校--
すたすたすた
闘士「に、西高にいい筋肉してるやつが、い、いるらしい」
賢者「闘士君……。本当に君は筋肉のことしか頭に無いんですね」
ハイ「……」
廊下ですれ違う上級生。一度も見たことが無いはずなのに、どこか懐かしい気がしている。
ハイ(デジャブ……なのかな?)
さわっ
竜子「……おい、今あのでかいの、眼鏡のケツ触ってたぞ……」
代表「なるほど、HOMOじゃねーの」
ハイ「代表君、いつからいたんですか……?」
なぜか少しだけ頬が紅潮している代表。
407: 2014/05/19(月) 20:30:28.68 ID:XsU0bmD+0
27
--学校--
ハイ「……」
あのSSを読んでから、ハイは奇妙な感覚に悩まされていた。
竜子「おいおいどうしたハイー。最近元気無いな」
ハイ「あ、竜子ちゃん……」
気がつかないうちに授業が終わり休み時間になっていた。
終了の挨拶の時にハイが起立しなかったのを竜子は見ていたのだろう、心配して声をかけにきたのだった。
竜子「どうしたよ? なんかあったか? 悩みあんなら私聞くぜ?」
ハイ「……」
竹を割ったような性格の竜子に、ハイはいつも助けられていた。
ハイ「うん、大丈夫だよ。悩みってほどのことじゃないから」
竜子「……本当か?……」
ハイ「本当にそんなんじゃないって……ねぇ竜子ちゃん、一個変な質問するよ?」
竜子「ん?」
ハイ「竜子ちゃんって氷を操れたりする?」
竜子「……は?」
ポカンとしている竜子。
ハイ「あ、ははは……ごめんなんでもない」
ハイは笑って誤魔化した。
竜子「……」
ハイ「それじゃ喋るきわどい服を着て戦ったりしてたことは?」
竜子「お前それちがくねぇか?」
--学校--
ハイ「……」
あのSSを読んでから、ハイは奇妙な感覚に悩まされていた。
竜子「おいおいどうしたハイー。最近元気無いな」
ハイ「あ、竜子ちゃん……」
気がつかないうちに授業が終わり休み時間になっていた。
終了の挨拶の時にハイが起立しなかったのを竜子は見ていたのだろう、心配して声をかけにきたのだった。
竜子「どうしたよ? なんかあったか? 悩みあんなら私聞くぜ?」
ハイ「……」
竹を割ったような性格の竜子に、ハイはいつも助けられていた。
ハイ「うん、大丈夫だよ。悩みってほどのことじゃないから」
竜子「……本当か?……」
ハイ「本当にそんなんじゃないって……ねぇ竜子ちゃん、一個変な質問するよ?」
竜子「ん?」
ハイ「竜子ちゃんって氷を操れたりする?」
竜子「……は?」
ポカンとしている竜子。
ハイ「あ、ははは……ごめんなんでもない」
ハイは笑って誤魔化した。
竜子「……」
ハイ「それじゃ喋るきわどい服を着て戦ったりしてたことは?」
竜子「お前それちがくねぇか?」
408: 2014/05/19(月) 20:32:26.12 ID:XsU0bmD+0
28
--帰り道--
シャララララ
ハイ「……はぁ」
いつの間にか自転車から降りていたハイは、自転車を押して歩いている。
ハイ(待ち行く人も)
王様「そろそろ会社が終わったくらいの時間になるかな」
ハイ(スーパーの店員も)
サキュバス「いらっしゃいませー!」
ハイ(どうしても……どうしても何かと被る)
カー、カー
--帰り道--
シャララララ
ハイ「……はぁ」
いつの間にか自転車から降りていたハイは、自転車を押して歩いている。
ハイ(待ち行く人も)
王様「そろそろ会社が終わったくらいの時間になるかな」
ハイ(スーパーの店員も)
サキュバス「いらっしゃいませー!」
ハイ(どうしても……どうしても何かと被る)
カー、カー
409: 2014/05/19(月) 20:33:35.70 ID:XsU0bmD+0
29
--帰り道--
ハイ「帰ったら……また見よう。確かあれには続きがあったはず」
あのssは三部作だったはずなのだ。
ざっ
がちむち「うほぉ、女子高生だ女子高生!」
ハイ「え」
前方から歩いてくる三人組。
マッスルひげ「こらこらやめなさいよ怯えてるじゃないかぁ」
屈強な男「こんな夜中に一人歩きは危険だよぉ? ひっく」
ハイ「いや、まだ夕方なんですけど……」
夕方から酒臭いおっさん達に絡まれるハイ。
--帰り道--
ハイ「帰ったら……また見よう。確かあれには続きがあったはず」
あのssは三部作だったはずなのだ。
ざっ
がちむち「うほぉ、女子高生だ女子高生!」
ハイ「え」
前方から歩いてくる三人組。
マッスルひげ「こらこらやめなさいよ怯えてるじゃないかぁ」
屈強な男「こんな夜中に一人歩きは危険だよぉ? ひっく」
ハイ「いや、まだ夕方なんですけど……」
夕方から酒臭いおっさん達に絡まれるハイ。
410: 2014/05/19(月) 20:35:00.08 ID:XsU0bmD+0
30
--帰り道--
ずい
がちむち「俺は本当はツインテールが好きなんだけどなぁ。ねぇしてみない? ツインテール」
さわ
ハイ「ちょ、やめてください汚い」
ばしっ
ハイは肩に触れたがちむちの手を払いのける。
屈強な男「……あらあら、いけないなぁお嬢ちゃん。ひっく。暴力はだめだよぉ」
マッスルひげ「こらこら君たち、怯えてるじゃないかぁ」
ず
三人に取り囲まれるハイ。
ハイ「!」
助けを呼ぼうにも、この道は人通りが少ない……。
ハイ「……やば」
--帰り道--
ずい
がちむち「俺は本当はツインテールが好きなんだけどなぁ。ねぇしてみない? ツインテール」
さわ
ハイ「ちょ、やめてください汚い」
ばしっ
ハイは肩に触れたがちむちの手を払いのける。
屈強な男「……あらあら、いけないなぁお嬢ちゃん。ひっく。暴力はだめだよぉ」
マッスルひげ「こらこら君たち、怯えてるじゃないかぁ」
ず
三人に取り囲まれるハイ。
ハイ「!」
助けを呼ぼうにも、この道は人通りが少ない……。
ハイ「……やば」
411: 2014/05/19(月) 20:36:55.51 ID:XsU0bmD+0
31
--帰り道--
ばっ!
ハイは無意識のうちに折り畳み傘を手に取っていた。
マッスルひげ「おやおやなんだいそれはぁ。それで俺たちと戦おうっていうのかい? 怖いなぁ」
がはははと笑う三人。
ハイ(っ! こんなの構えたところで勝てるわけ無い……でも私は……これで戦っていたような気がして)
ぐい
ハイ「あっ!」
傘を持っている手を握り締められるハイ。
男の力に適う筈も無く、自由を奪われる。
がしゃん!
自転車が倒れる。
ハイ「は、離してください!」
体の芯に力を込める。それだけで昔は不思議な力が出せた気がした。こんな人たちなど簡単に吹き飛ばせるような何かを……。
ハイ(昔って、いつ?)
--帰り道--
ばっ!
ハイは無意識のうちに折り畳み傘を手に取っていた。
マッスルひげ「おやおやなんだいそれはぁ。それで俺たちと戦おうっていうのかい? 怖いなぁ」
がはははと笑う三人。
ハイ(っ! こんなの構えたところで勝てるわけ無い……でも私は……これで戦っていたような気がして)
ぐい
ハイ「あっ!」
傘を持っている手を握り締められるハイ。
男の力に適う筈も無く、自由を奪われる。
がしゃん!
自転車が倒れる。
ハイ「は、離してください!」
体の芯に力を込める。それだけで昔は不思議な力が出せた気がした。こんな人たちなど簡単に吹き飛ばせるような何かを……。
ハイ(昔って、いつ?)
412: 2014/05/19(月) 20:40:49.32 ID:XsU0bmD+0
32
--帰り道--
がちむち「まぁ悪いようにはしないからさぁ、ちょっとおじさん達とご飯食べに行こうよぉ」
ハイ「しゅ、宿題があるので、行けないです」
マッスルひげ「いいじゃないのぉ、ちょっとだけだからさぁ。心配しなくてもおごったげるからさぁ」
ハイ「そんな心配なんてしてないです!」
若い女性が拉致られて、山中で氏体で発見された……そんなニュースを唐突に思い出した。
それが今は、もしかすると……自分の身に起きようとしているのではないか……?
ハイ「っ」
もっと強大な敵と戦っていた気がするのに……。
屈強な男「俺達いい店知ってるんだよー」
今のハイは、こんなどこにでもいそうな男達にすら、抵抗できずに殺されてしまうのだ。
トリガー「やめなよ」
時が凍りついた。
--帰り道--
がちむち「まぁ悪いようにはしないからさぁ、ちょっとおじさん達とご飯食べに行こうよぉ」
ハイ「しゅ、宿題があるので、行けないです」
マッスルひげ「いいじゃないのぉ、ちょっとだけだからさぁ。心配しなくてもおごったげるからさぁ」
ハイ「そんな心配なんてしてないです!」
若い女性が拉致られて、山中で氏体で発見された……そんなニュースを唐突に思い出した。
それが今は、もしかすると……自分の身に起きようとしているのではないか……?
ハイ「っ」
もっと強大な敵と戦っていた気がするのに……。
屈強な男「俺達いい店知ってるんだよー」
今のハイは、こんなどこにでもいそうな男達にすら、抵抗できずに殺されてしまうのだ。
トリガー「やめなよ」
時が凍りついた。
413: 2014/05/19(月) 20:41:41.08 ID:XsU0bmD+0
33
--帰り道--
ハイ「」
いつの間にかその少年は立っていた。
トリガー「やめなよ。その子嫌がってるじゃないか」
もう一度その少年は言った。
がちむち「あ……いや」
面食らったのか酔いが冷めたのか、三人は途端に大人しくなる。
屈強な男「俺達はただちょっとご飯に誘おうとしてただけで……」
トリガー「その子、泣いているみたいだけれど?」
ハイ「え?」
ぽろ
自分でも気づかない間にハイは涙を流していた。
--帰り道--
ハイ「」
いつの間にかその少年は立っていた。
トリガー「やめなよ。その子嫌がってるじゃないか」
もう一度その少年は言った。
がちむち「あ……いや」
面食らったのか酔いが冷めたのか、三人は途端に大人しくなる。
屈強な男「俺達はただちょっとご飯に誘おうとしてただけで……」
トリガー「その子、泣いているみたいだけれど?」
ハイ「え?」
ぽろ
自分でも気づかない間にハイは涙を流していた。
414: 2014/05/19(月) 20:43:35.41 ID:XsU0bmD+0
34
--帰り道--
マッスルひげ「ご、ごめんね! 俺達ほんと、ご飯に行きたかっただけなんだけど、怖がらせちゃったね!」
慌てふためく三人組。
ぽろぽろ
がちむち「ほ、ほんとごめん! これ、少ないけど、これで美味しいものでも食べてね! じゃ!」
どひゅーん
ハイに強引に諭吉を握らせて走り去る三人組。
トリガー「やれやれ……彼らの言うことは本当だと思うよ。ただ一緒にご飯が食べたかっただけ……。彼らは駄目な人間だけど、悪い人間じゃあないからね」
まるで知っているかのように話す少年。
ハイ「はぁ……」
トリガーは自転車を起こしてスタンドを立てる。
がちゃん
ハイ「……」
怖かったというのは本当だった。でも涙が流れ出たのは違う理由のような気がする。
それは……
ハイ「あの」
トリガー「?」
ハイ「……私、貴方に会ったこと、ありますか?」
--帰り道--
マッスルひげ「ご、ごめんね! 俺達ほんと、ご飯に行きたかっただけなんだけど、怖がらせちゃったね!」
慌てふためく三人組。
ぽろぽろ
がちむち「ほ、ほんとごめん! これ、少ないけど、これで美味しいものでも食べてね! じゃ!」
どひゅーん
ハイに強引に諭吉を握らせて走り去る三人組。
トリガー「やれやれ……彼らの言うことは本当だと思うよ。ただ一緒にご飯が食べたかっただけ……。彼らは駄目な人間だけど、悪い人間じゃあないからね」
まるで知っているかのように話す少年。
ハイ「はぁ……」
トリガーは自転車を起こしてスタンドを立てる。
がちゃん
ハイ「……」
怖かったというのは本当だった。でも涙が流れ出たのは違う理由のような気がする。
それは……
ハイ「あの」
トリガー「?」
ハイ「……私、貴方に会ったこと、ありますか?」
415: 2014/05/19(月) 20:44:42.77 ID:XsU0bmD+0
35
--帰り道--
トリガー「……」
少年は投げかけられた質問にすぐに返答しようとせず、しばらくの間黙っていた。
ハイ「……」
トリガー「……いや? 初めてだと思うけど」
ハイ「そう……ですか」
少年は後ろを向く。
トリガー「あまり遅くにここを歩かないほうがいいよ。通るなら自転車で時間をかけずにね。それじゃあ僕は行くよ」
ざっ
少年は歩いていく。
ハイ「……」
--帰り道--
トリガー「……」
少年は投げかけられた質問にすぐに返答しようとせず、しばらくの間黙っていた。
ハイ「……」
トリガー「……いや? 初めてだと思うけど」
ハイ「そう……ですか」
少年は後ろを向く。
トリガー「あまり遅くにここを歩かないほうがいいよ。通るなら自転車で時間をかけずにね。それじゃあ僕は行くよ」
ざっ
少年は歩いていく。
ハイ「……」
416: 2014/05/19(月) 20:45:39.75 ID:XsU0bmD+0
36
--自宅--
がちゃ、ばたん
ハイ「ただいま……」
荷物を置いて手を洗いに洗面所へ。
ぽと
ハイ「ん?」
ぎゅっと握り締めていた諭吉が落ちる。今の今まですっかり忘れていたのだ。
ハイ「……あのおっさんズ……お金を払えば許して貰えるとか思ってるんでしょうかねぇ」
しかしそれは別として、金欠気味の今の状況にはありがたい臨時収入だった。
すっ
ハイは拾ってポケットに入れ、手を洗う。
じゃー
ハイ「……あの人……」
トリガーの顔が頭を過ぎった。
--自宅--
がちゃ、ばたん
ハイ「ただいま……」
荷物を置いて手を洗いに洗面所へ。
ぽと
ハイ「ん?」
ぎゅっと握り締めていた諭吉が落ちる。今の今まですっかり忘れていたのだ。
ハイ「……あのおっさんズ……お金を払えば許して貰えるとか思ってるんでしょうかねぇ」
しかしそれは別として、金欠気味の今の状況にはありがたい臨時収入だった。
すっ
ハイは拾ってポケットに入れ、手を洗う。
じゃー
ハイ「……あの人……」
トリガーの顔が頭を過ぎった。
417: 2014/05/19(月) 20:46:37.88 ID:XsU0bmD+0
37
--自宅--
がちゃっ
ハイ「うわ、しまった。今日スーパー行ったのに野菜とか大事なもの全然買ってない」
冷蔵庫を開けたハイが絶望の声をあげる。
ハイ「はぁ……今日もまたグラタンですね」
ばたん
ハイ「ま、いっか。今日もあの長いだけのss読むんだから、料理に時間割いてられない」
ちん
昨日と同じようにグラタンを温めた後、パソコンを立ち上げて例のサイトへ。
ハイ「……今の私、まるで引きこもりみたいですね。もぐ」
--自宅--
がちゃっ
ハイ「うわ、しまった。今日スーパー行ったのに野菜とか大事なもの全然買ってない」
冷蔵庫を開けたハイが絶望の声をあげる。
ハイ「はぁ……今日もまたグラタンですね」
ばたん
ハイ「ま、いっか。今日もあの長いだけのss読むんだから、料理に時間割いてられない」
ちん
昨日と同じようにグラタンを温めた後、パソコンを立ち上げて例のサイトへ。
ハイ「……今の私、まるで引きこもりみたいですね。もぐ」
418: 2014/05/19(月) 20:48:33.16 ID:XsU0bmD+0
38
--自宅--
ハイ「『酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった』……昨日のより短いといいな」
かちかち
ハイ「勇者募集は長かったのに最後は唐突に終わっちゃったからな。今度はそうじゃないといいんだけど」
かち
ハイ「ん、『盗賊だけど今日勇者に解雇された』……? 外伝?……外伝なら読まなくていっか」
かちかち
ハイ「……」
酒場募集を読み始めたハイは、冒頭に出てくる三人組が気になった。なぜだか今日会ったあの三人組のような気がして……。
ハイ「……うつうつします」
--自宅--
ハイ「『酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった』……昨日のより短いといいな」
かちかち
ハイ「勇者募集は長かったのに最後は唐突に終わっちゃったからな。今度はそうじゃないといいんだけど」
かち
ハイ「ん、『盗賊だけど今日勇者に解雇された』……? 外伝?……外伝なら読まなくていっか」
かちかち
ハイ「……」
酒場募集を読み始めたハイは、冒頭に出てくる三人組が気になった。なぜだか今日会ったあの三人組のような気がして……。
ハイ「……うつうつします」
419: 2014/05/19(月) 20:49:14.25 ID:XsU0bmD+0
39
--自宅--
~少女読書中~
ハイ「 」
ハイ「!?」
ハイ「……」
ハイ「////」
ハイ「ッ!!」
ハイ「ーーーーーーーー」
……ちゅんちゅん
--自宅--
~少女読書中~
ハイ「 」
ハイ「!?」
ハイ「……」
ハイ「////」
ハイ「ッ!!」
ハイ「ーーーーーーーー」
……ちゅんちゅん
420: 2014/05/19(月) 20:50:51.96 ID:XsU0bmD+0
40
--自宅--
ハイ「なげぇよ!!!!!!!!」
ガッ!!
朝までに読みきれなかったハイだった。
ハイ「そして二徹かよ!!」
寝てないのでテンションがハイになるハイだった。
--自宅--
ハイ「なげぇよ!!!!!!!!」
ガッ!!
朝までに読みきれなかったハイだった。
ハイ「そして二徹かよ!!」
寝てないのでテンションがハイになるハイだった。
428: 2014/05/27(火) 02:53:01.43 ID:grf6iGxO0
41
--通学路--
しゃー
ハイ「うー、眠いよぉ……でも読みきれなかったし、また今日も徹夜かな……」
ハイは目をこすりながら自転車に乗っている。
ハイ「でもま、今日を乗り切れば明日から休みだし、なんとかなるよね」
しゃー
男子高校生「 」
女子高生「 」
しゃー
仲良く二人乗りしている他校のカップルが、ハイの横を通っていく。
ハイ(いいなぁ……青春っぽい。危ないことだけど、でも、少し憧れちゃいますね)
ハイは楽しそうに笑う二人をうらやましそうに見ている。
ハイ(……はっ! 何言ってるんですか私。私だってまだ青春真っ盛りなのに……でもなぜだろう。なぜか27歳くらいまでずっと一人身な気がする……)
しゃー
ハイ(というか今のカップル、デパートで見た先輩達とどことなく似てますね)
--通学路--
しゃー
ハイ「うー、眠いよぉ……でも読みきれなかったし、また今日も徹夜かな……」
ハイは目をこすりながら自転車に乗っている。
ハイ「でもま、今日を乗り切れば明日から休みだし、なんとかなるよね」
しゃー
男子高校生「 」
女子高生「 」
しゃー
仲良く二人乗りしている他校のカップルが、ハイの横を通っていく。
ハイ(いいなぁ……青春っぽい。危ないことだけど、でも、少し憧れちゃいますね)
ハイは楽しそうに笑う二人をうらやましそうに見ている。
ハイ(……はっ! 何言ってるんですか私。私だってまだ青春真っ盛りなのに……でもなぜだろう。なぜか27歳くらいまでずっと一人身な気がする……)
しゃー
ハイ(というか今のカップル、デパートで見た先輩達とどことなく似てますね)
429: 2014/05/27(火) 02:54:03.45 ID:grf6iGxO0
42
--学校--
がら
ハイ「お、おはようございますー」
竜子「おわっ!? ど、どうしたよハイ! 昨日より疲れた顔してるぞ!?」
ハイ「そんな顔してますー?」
どさり
ハイは荷物を机に置くと倒れるように竜子に抱きついた。
竜子「おいおい本当に大丈夫か?」
代表「あら^~」
--学校--
がら
ハイ「お、おはようございますー」
竜子「おわっ!? ど、どうしたよハイ! 昨日より疲れた顔してるぞ!?」
ハイ「そんな顔してますー?」
どさり
ハイは荷物を机に置くと倒れるように竜子に抱きついた。
竜子「おいおい本当に大丈夫か?」
代表「あら^~」
430: 2014/05/27(火) 02:54:53.41 ID:grf6iGxO0
43
--学校--
きーんこーんかーんこーん
ハイ「お、終わった……」
竜子「……」(あのハイが授業のほとんど寝てたぞ? これはまじでなんかおかしい)
がたたっ!
ハイは急いで荷物をまとめると席を立つ。
竜子「!? お、おいハイ!」
ハイ「ごめん竜子ちゃん! 私用事あるから! また月曜日ね!」
たたたたたたた
竜子「な、なんなんだ……?」
代表「僕今日一度も会話しなかったな」
--学校--
きーんこーんかーんこーん
ハイ「お、終わった……」
竜子「……」(あのハイが授業のほとんど寝てたぞ? これはまじでなんかおかしい)
がたたっ!
ハイは急いで荷物をまとめると席を立つ。
竜子「!? お、おいハイ!」
ハイ「ごめん竜子ちゃん! 私用事あるから! また月曜日ね!」
たたたたたたた
竜子「な、なんなんだ……?」
代表「僕今日一度も会話しなかったな」
431: 2014/05/27(火) 02:55:31.56 ID:grf6iGxO0
44
--通学路--
しゃーーー
ハイ(早くあれが読みたい……何か大切なことがあそこに書かれている気がするんだ……忘れちゃいけない何か……そんななんだかよくわからない感じのものが!)
帰路を急ぐハイ。
トリガー「……」
それを遠くから見つめるトリガー。
--通学路--
しゃーーー
ハイ(早くあれが読みたい……何か大切なことがあそこに書かれている気がするんだ……忘れちゃいけない何か……そんななんだかよくわからない感じのものが!)
帰路を急ぐハイ。
トリガー「……」
それを遠くから見つめるトリガー。
432: 2014/05/27(火) 02:56:03.19 ID:grf6iGxO0
45
--自宅--
ききー、がちゃ、ばたん!!
ハイ「ただいまー!」
どささっ
ハイは鞄や買ってきたものをテーブルに置くと、すぐさま自分の部屋へ。
かち
ぶぅううんん
ハイ「……ちょっと古いパソコンだから立ち上がるまでが長いのよね。今のうちに洗濯物取り込んでおくか」
とんとんとんとん
トリガー「……」
隣の家の木の上から覗いているトリガー。
--自宅--
ききー、がちゃ、ばたん!!
ハイ「ただいまー!」
どささっ
ハイは鞄や買ってきたものをテーブルに置くと、すぐさま自分の部屋へ。
かち
ぶぅううんん
ハイ「……ちょっと古いパソコンだから立ち上がるまでが長いのよね。今のうちに洗濯物取り込んでおくか」
とんとんとんとん
トリガー「……」
隣の家の木の上から覗いているトリガー。
433: 2014/05/27(火) 02:56:44.74 ID:grf6iGxO0
46
--自宅--
ハイ「昨日(今朝)は二部が終わった所までだったよね。ツインテ先輩の腕が無くなっちゃったのにそんな理由があったなんて。さぁ続き続き」
どさ
ハイは椅子に座ってパソコンと向き合った。
ハイ「……ん?」
ハイは少しだけ戸惑った。
ハイ「ツインテ……先輩? いつから私、キャラクターを先輩呼びするようになったんだろ」
トリガー「……」
ベッドの下から覗いているトリガー。
--自宅--
ハイ「昨日(今朝)は二部が終わった所までだったよね。ツインテ先輩の腕が無くなっちゃったのにそんな理由があったなんて。さぁ続き続き」
どさ
ハイは椅子に座ってパソコンと向き合った。
ハイ「……ん?」
ハイは少しだけ戸惑った。
ハイ「ツインテ……先輩? いつから私、キャラクターを先輩呼びするようになったんだろ」
トリガー「……」
ベッドの下から覗いているトリガー。
434: 2014/05/27(火) 02:58:13.07 ID:grf6iGxO0
47
--自宅--
かち、かちかち
ハイ「……もこもこ編、長過ぎじゃない……?」
ハイは買ってきたパンをむしゃこらしながら一気に読み進めていたのだが、酒場募集はあまりに長く、さすがに疲れがごまかせなくなってきた。
ハイ「うん、お風呂はいっちゃいましょうか」
とんとんとんとん
階段を下りていくハイ。
がちゃ
ハイ「本当なら湯船にじっくりつかりたいところですけど……今は時間がもったいないと感じてしまうのでシャワーだけで済ませましょう」
しゅる
トリガー「……」
ドアの隙間から覗いてるトリガー。
ハイ「さっきから視線を感じるんですけどっ!?」
--自宅--
かち、かちかち
ハイ「……もこもこ編、長過ぎじゃない……?」
ハイは買ってきたパンをむしゃこらしながら一気に読み進めていたのだが、酒場募集はあまりに長く、さすがに疲れがごまかせなくなってきた。
ハイ「うん、お風呂はいっちゃいましょうか」
とんとんとんとん
階段を下りていくハイ。
がちゃ
ハイ「本当なら湯船にじっくりつかりたいところですけど……今は時間がもったいないと感じてしまうのでシャワーだけで済ませましょう」
しゅる
トリガー「……」
ドアの隙間から覗いてるトリガー。
ハイ「さっきから視線を感じるんですけどっ!?」
435: 2014/05/27(火) 02:59:01.89 ID:grf6iGxO0
48
--自宅--
ほかほか
ハイ「はー、さっぱりしましたー。これで続きに戻れます」
ハイはタオルを肩にかけたまま再びパソコンに向かった。
ハイ「今日で酒場募集は読みきります!!」
ちゅんちゅん
ハイ「はっ!……寝落ちしちゃった……?」
決意むなしく四部の途中で力尽きたハイ。
トリガー「……はっ!?」
同じくベッドの下で力尽きていたトリガー。
--自宅--
ほかほか
ハイ「はー、さっぱりしましたー。これで続きに戻れます」
ハイはタオルを肩にかけたまま再びパソコンに向かった。
ハイ「今日で酒場募集は読みきります!!」
ちゅんちゅん
ハイ「はっ!……寝落ちしちゃった……?」
決意むなしく四部の途中で力尽きたハイ。
トリガー「……はっ!?」
同じくベッドの下で力尽きていたトリガー。
436: 2014/05/27(火) 02:59:28.43 ID:grf6iGxO0
49
--自宅--
しゃかしゃか
歯を磨いているハイ。
ハイ(……今日中に読み終わるかなー……一度ちゃんと寝ないとなー)
じゃー
ハイ「……よし!」
ハイはメロンパンをオーブントースターで暖めると、牛乳と一緒に自室に持って行った。
--自宅--
しゃかしゃか
歯を磨いているハイ。
ハイ(……今日中に読み終わるかなー……一度ちゃんと寝ないとなー)
じゃー
ハイ「……よし!」
ハイはメロンパンをオーブントースターで暖めると、牛乳と一緒に自室に持って行った。
437: 2014/05/27(火) 03:00:34.36 ID:grf6iGxO0
50
--自宅--
かー、かー
夕方時。
ハイ「や、やっと読み終わった……長いよー。しかもこれ、バッドエンドじゃない?……あ、まだ続きがある……」
ぴんぽーん
ハイ「え、誰か来た。新聞の勧誘、かな? ハーイ!」
どたどたどた
ハイは慌てて玄関に向かう。
ハイ「どちらさまですかー?……ひっ!?」
ドアスコープで外を確認すると、大きな目玉がこちらを覗いていた。
竜子「あはははー、びっくりしたー?」
代表「君はいつまでたっても子供っぽいことが好きだね」
ハイ「え、竜子、ちゃん? それに代表君?」
訪問者は竜子と代表だった。
--自宅--
かー、かー
夕方時。
ハイ「や、やっと読み終わった……長いよー。しかもこれ、バッドエンドじゃない?……あ、まだ続きがある……」
ぴんぽーん
ハイ「え、誰か来た。新聞の勧誘、かな? ハーイ!」
どたどたどた
ハイは慌てて玄関に向かう。
ハイ「どちらさまですかー?……ひっ!?」
ドアスコープで外を確認すると、大きな目玉がこちらを覗いていた。
竜子「あはははー、びっくりしたー?」
代表「君はいつまでたっても子供っぽいことが好きだね」
ハイ「え、竜子、ちゃん? それに代表君?」
訪問者は竜子と代表だった。
438: 2014/05/27(火) 03:01:25.60 ID:grf6iGxO0
51
--自宅--
竜子「やー、昨日様子がおかしかったからさー。心配になって見に来たのよー」
ハイ「そこまで心配させちゃってたんですか私……なんだか申し訳ないで、す……?」
ハイは竜子が後ろに持っているビニール袋に気づいた。それはお菓子でパンパンになっている。
ハイ「……」
代表「まぁ、こういうことだよ」
代表もペットボトルのジュースを何本も持っている。
ハイ「……うちでパーティでも始めるつもりなんでしょうか?」
竜子「イエス」
ハイ「いやイエスじゃないんですけども」
--自宅--
竜子「やー、昨日様子がおかしかったからさー。心配になって見に来たのよー」
ハイ「そこまで心配させちゃってたんですか私……なんだか申し訳ないで、す……?」
ハイは竜子が後ろに持っているビニール袋に気づいた。それはお菓子でパンパンになっている。
ハイ「……」
代表「まぁ、こういうことだよ」
代表もペットボトルのジュースを何本も持っている。
ハイ「……うちでパーティでも始めるつもりなんでしょうか?」
竜子「イエス」
ハイ「いやイエスじゃないんですけども」
439: 2014/05/27(火) 03:02:58.43 ID:grf6iGxO0
52
--自宅--
竜子「かんぱーい!」
ハイ「はうぅ……お菓子に目が眩んで、つい入城を許してしまいました……一生の不覚です」
竜子「いーじゃねーかよ、どうせ一人で寂しくしてたんだろ? ぱーっとやろうぜー」
ハイ「はい……って、別に寂しかったわけじゃないですから!」
竜子「おっと代表、パスだ」
竜子はそういって代表に何かを投げる。
ふわり
代表「ん? なんだこ……れは!?」
ハイ「!?」
投げつけられたものはブラ・ジャー。
竜子「はっはっはっ! 年頃の乙女が下着を脱ぎ散らかしてるんじゃねーぞー」
ハイ「何やってるんですか貴女は!!」
代表「暖かい……」
ブラ「?」
番犬「へっ、へっ、へっ!!」
ハイの家の前を散歩中のブラが通る。
--自宅--
竜子「かんぱーい!」
ハイ「はうぅ……お菓子に目が眩んで、つい入城を許してしまいました……一生の不覚です」
竜子「いーじゃねーかよ、どうせ一人で寂しくしてたんだろ? ぱーっとやろうぜー」
ハイ「はい……って、別に寂しかったわけじゃないですから!」
竜子「おっと代表、パスだ」
竜子はそういって代表に何かを投げる。
ふわり
代表「ん? なんだこ……れは!?」
ハイ「!?」
投げつけられたものはブラ・ジャー。
竜子「はっはっはっ! 年頃の乙女が下着を脱ぎ散らかしてるんじゃねーぞー」
ハイ「何やってるんですか貴女は!!」
代表「暖かい……」
ブラ「?」
番犬「へっ、へっ、へっ!!」
ハイの家の前を散歩中のブラが通る。
440: 2014/05/27(火) 03:03:41.57 ID:grf6iGxO0
53
--自宅--
わいわい
竜子「こんのどーてーがー!」
代表「竜子ちゃん、さすがに飲み過ぎだよ。というかなぜジュースでこんなテンションになれるんだい?」
竜子「ひっく」
代表「……まさか」
竜子「細かいことを気にしてんじゃねーぞー!!」
がぶっ
代表「ぎゃーーー!?」
わいわい
ハイ(はぁ……楽しいは楽しいですけど、今の私はあれが気になってしょうがないのです)
ハイはオレンジジュースに口を付けながらパソコンの方をチラ見する。
竜子「……」
--自宅--
わいわい
竜子「こんのどーてーがー!」
代表「竜子ちゃん、さすがに飲み過ぎだよ。というかなぜジュースでこんなテンションになれるんだい?」
竜子「ひっく」
代表「……まさか」
竜子「細かいことを気にしてんじゃねーぞー!!」
がぶっ
代表「ぎゃーーー!?」
わいわい
ハイ(はぁ……楽しいは楽しいですけど、今の私はあれが気になってしょうがないのです)
ハイはオレンジジュースに口を付けながらパソコンの方をチラ見する。
竜子「……」
441: 2014/05/27(火) 03:04:37.62 ID:grf6iGxO0
54
--自宅--
竜子「なぁハイ」
ハイ「はい?」
竜子「お前、なんか最近悩みあんだろ?」
ハイ「え」
竜子は今までとはうって変わって真剣な表情でハイの目を見つめる。
ハイ「……前も話した通り、何もありませんよ」
ハイはそれとなく目をそらした。
竜子「……私は、親友なのに隠し事なんて水臭いぞ、なんて言う気はねぇ。誰にだって言いたくないことはあるからな」
代表「……」
竜子「でも本当に困ってることがあるなら遠慮しないで言うんだぞ? 私らはいつでもお前の味方なんだからな?」
ハイ「」
ハイは、言葉に詰まってしまう。
--自宅--
竜子「なぁハイ」
ハイ「はい?」
竜子「お前、なんか最近悩みあんだろ?」
ハイ「え」
竜子は今までとはうって変わって真剣な表情でハイの目を見つめる。
ハイ「……前も話した通り、何もありませんよ」
ハイはそれとなく目をそらした。
竜子「……私は、親友なのに隠し事なんて水臭いぞ、なんて言う気はねぇ。誰にだって言いたくないことはあるからな」
代表「……」
竜子「でも本当に困ってることがあるなら遠慮しないで言うんだぞ? 私らはいつでもお前の味方なんだからな?」
ハイ「」
ハイは、言葉に詰まってしまう。
442: 2014/05/27(火) 03:07:14.92 ID:grf6iGxO0
55
--自宅--
竜子「……」
ハイ(……適いませんね、竜子ちゃんには。真正面からどストレートな言葉で来られたら、私……困っちゃいますよ)
ハイは……自然と柔らかい表情になっていく。
ハイ「……大丈夫です竜子ちゃん。本当に大丈夫ですから。本当に困った時には、ちゃんと竜子ちゃんに相談しますから」
代表「宿題以外でね」
代表が一言付け足して竜子が殴る。
竜子「……うし、わかった。それが聞けりゃ今は十分だ」
すっ
竜子は立ち上がると代表も立たせる。
代表「え? え?」
竜子「邪魔したなハイ。そろそろ私らは帰るぜ」
ハイ「え? もう?」
代表「……もういいのかい? 竜子ちゃん」
竜子「あぁ。じゃあなハイ。月曜日学校でな!」
にこっと笑って、竜子は去って行った。
ハイ「……はい」
--自宅--
竜子「……」
ハイ(……適いませんね、竜子ちゃんには。真正面からどストレートな言葉で来られたら、私……困っちゃいますよ)
ハイは……自然と柔らかい表情になっていく。
ハイ「……大丈夫です竜子ちゃん。本当に大丈夫ですから。本当に困った時には、ちゃんと竜子ちゃんに相談しますから」
代表「宿題以外でね」
代表が一言付け足して竜子が殴る。
竜子「……うし、わかった。それが聞けりゃ今は十分だ」
すっ
竜子は立ち上がると代表も立たせる。
代表「え? え?」
竜子「邪魔したなハイ。そろそろ私らは帰るぜ」
ハイ「え? もう?」
代表「……もういいのかい? 竜子ちゃん」
竜子「あぁ。じゃあなハイ。月曜日学校でな!」
にこっと笑って、竜子は去って行った。
ハイ「……はい」
443: 2014/05/27(火) 03:07:43.23 ID:grf6iGxO0
56
--自宅--
ハイ「――さて、もう二人に心配をかけないためにも、この胸のもやもやを一刻も早くなんとかしなくては」
ハイは再びパソコンの前へ。
かち、かちかち
ハイ「……これが最終章……」
かちっ
ハイ「勇者と魔王がアイを募集した」
--自宅--
ハイ「――さて、もう二人に心配をかけないためにも、この胸のもやもやを一刻も早くなんとかしなくては」
ハイは再びパソコンの前へ。
かち、かちかち
ハイ「……これが最終章……」
かちっ
ハイ「勇者と魔王がアイを募集した」
444: 2014/05/27(火) 03:08:23.26 ID:grf6iGxO0
57
--自宅--
かち、かちかち
かちかち
かち……かち
かちっ
かち……
ハイ「これ……私、知ってる……」
--自宅--
かち、かちかち
かちかち
かち……かち
かちっ
かち……
ハイ「これ……私、知ってる……」
445: 2014/05/27(火) 03:09:29.86 ID:grf6iGxO0
58
--自宅--
かち
砂漠の真ん中で古ぼけた地図を見ている少女。
傘を差し、帽子を被った少女は大きなリュックサックを背負ってユニコーンにまたがっている。
配達屋「おっかしいなー。ユニちゃん、ユニちゃんの目なら何か見えます?」
ユニコーン「ぶひるん」
かち
巨大蠍「ぎしゃあああああ!!」
配達屋「さっきの巨大モンスター!? 私を追ってきたんですね……!」
配達屋は荷物を放り出してユニコーンにまたがる。
ユニコーン「ひひーん?」
配達屋「えぇそうですよ。私は犯人より荷物を優先します。ですが荷物より人命なのです」
かち
ユニコーンは巨大蠍の顔目がけて跳躍する。
配達屋「はああぁー!」
魔力で練り固められた氷の槍が、
ズブッ!!
巨大蠍「ッ!!」
巨大蠍の頭部に突き刺さった。
ハイ「これ……そうだ、この後、侍さんが来てくれて……」
--自宅--
かち
砂漠の真ん中で古ぼけた地図を見ている少女。
傘を差し、帽子を被った少女は大きなリュックサックを背負ってユニコーンにまたがっている。
配達屋「おっかしいなー。ユニちゃん、ユニちゃんの目なら何か見えます?」
ユニコーン「ぶひるん」
かち
巨大蠍「ぎしゃあああああ!!」
配達屋「さっきの巨大モンスター!? 私を追ってきたんですね……!」
配達屋は荷物を放り出してユニコーンにまたがる。
ユニコーン「ひひーん?」
配達屋「えぇそうですよ。私は犯人より荷物を優先します。ですが荷物より人命なのです」
かち
ユニコーンは巨大蠍の顔目がけて跳躍する。
配達屋「はああぁー!」
魔力で練り固められた氷の槍が、
ズブッ!!
巨大蠍「ッ!!」
巨大蠍の頭部に突き刺さった。
ハイ「これ……そうだ、この後、侍さんが来てくれて……」
446: 2014/05/27(火) 03:10:35.36 ID:grf6iGxO0
59
--自宅--
かち
?「おやおや。たまには散歩もしてみるもんでござるな。何もない辺鄙な所だと思っていたのに、まさかこんな麗しき女性と出会えるだなんて」
刀を持った男が巨大蠍の氏骸越しに話し掛けてきた。
ハイ「!! ほ、ほら、そうだ、そうだよ。やっぱり私、これを知ってるんだ……」
かちかち!
ハイ「しかも、体験したことがあるかのように、鮮明に映像が思い出される……なんで?」
かちかちかち!!
ハイ「昔見たことあるとか?……違う、これはそんな昔の作品じゃないし、何より全部自分視点で思い出される……」
かちかちっ!
ハイ「……」
ハイは知らない間にぼろぼろと涙を零している。
--自宅--
かち
?「おやおや。たまには散歩もしてみるもんでござるな。何もない辺鄙な所だと思っていたのに、まさかこんな麗しき女性と出会えるだなんて」
刀を持った男が巨大蠍の氏骸越しに話し掛けてきた。
ハイ「!! ほ、ほら、そうだ、そうだよ。やっぱり私、これを知ってるんだ……」
かちかち!
ハイ「しかも、体験したことがあるかのように、鮮明に映像が思い出される……なんで?」
かちかちかち!!
ハイ「昔見たことあるとか?……違う、これはそんな昔の作品じゃないし、何より全部自分視点で思い出される……」
かちかちっ!
ハイ「……」
ハイは知らない間にぼろぼろと涙を零している。
447: 2014/05/27(火) 03:13:37.78 ID:grf6iGxO0
60
--自宅--
かち!
アッシュ、ポニテ、レン「「「じゃあオレ<私、レン>達をツインテ<ちゃん>のところにまで運べ<運んで、運んでにゃ>」」」
いーい笑顔で三人は配達屋を取り囲んだ。
配達屋「……い……いや……いやーーー!!」
いやーー
いやー
いやぁ
森に悲鳴がこだました。
かちかち!!
ハイ「う、ぐぅ」
眼をぐるぐると回しているハイ。
ハイ(な、にこれ……頭がふわふわしちゃって)
ハイは完全に混乱している。
ポニテ「おパンツだよ早く!!」
ハイ「は、はい…」
スッ
アッシュ「は…ハイさん」
かちかちかち!!
ハイ「あの、それより皆さん? その前に気になることあるんじゃないでしょうか?」
ひゅぅううう
アッシュ「……俺も実は気にはなっていた」
ポニテ「はいはいはーい! 私も気になってたよ!」
レン「レンもにゃ」
ハイ「そうですか、よかったです。実は私だけなんじゃないかと思ってました」
ひゅうぅうう
ハイ「これ……世界滅んでますよね?」
……かち
ハイ「……うっ……あぁ……」
ハイの涙は止まらない。
ぽたっ、ぽたぽたぽたっ
ハイ「思い……出した……全部、全部思い出した……」
ハイは号泣している。
ハイ「これは……私なんだ……私の、物語……」
ハイはパソコンの画面に手を当てている。
まるで元の世界に戻ろうとしているかのように……。
--自宅--
かち!
アッシュ、ポニテ、レン「「「じゃあオレ<私、レン>達をツインテ<ちゃん>のところにまで運べ<運んで、運んでにゃ>」」」
いーい笑顔で三人は配達屋を取り囲んだ。
配達屋「……い……いや……いやーーー!!」
いやーー
いやー
いやぁ
森に悲鳴がこだました。
かちかち!!
ハイ「う、ぐぅ」
眼をぐるぐると回しているハイ。
ハイ(な、にこれ……頭がふわふわしちゃって)
ハイは完全に混乱している。
ポニテ「おパンツだよ早く!!」
ハイ「は、はい…」
スッ
アッシュ「は…ハイさん」
かちかちかち!!
ハイ「あの、それより皆さん? その前に気になることあるんじゃないでしょうか?」
ひゅぅううう
アッシュ「……俺も実は気にはなっていた」
ポニテ「はいはいはーい! 私も気になってたよ!」
レン「レンもにゃ」
ハイ「そうですか、よかったです。実は私だけなんじゃないかと思ってました」
ひゅうぅうう
ハイ「これ……世界滅んでますよね?」
……かち
ハイ「……うっ……あぁ……」
ハイの涙は止まらない。
ぽたっ、ぽたぽたぽたっ
ハイ「思い……出した……全部、全部思い出した……」
ハイは号泣している。
ハイ「これは……私なんだ……私の、物語……」
ハイはパソコンの画面に手を当てている。
まるで元の世界に戻ろうとしているかのように……。
456: 2014/06/02(月) 23:30:54.76 ID:LEHhlT9Q0
61
--自宅--
ハイ「……ぐす」
ハイはひとしきり泣いたあと、疲れてそのまま眠ってしまった。
ハイ「……すん」
ハイが寝言を言った。
ハイ「皆さん……」
ハイは気づいたのだ。
親である勇者達があの年齢になっているということは、ツインテ達はまだ、この世界に存在していないことになる。
辛かった時に支えてくれたあの仲間達は、もう。
--学校の屋上--
ひゅううぅう
トリガー「……」
誰もいない真夜中の校舎。トリガーはハイの家の方向に視線をやっていた。
--自宅--
ハイ「……ぐす」
ハイはひとしきり泣いたあと、疲れてそのまま眠ってしまった。
ハイ「……すん」
ハイが寝言を言った。
ハイ「皆さん……」
ハイは気づいたのだ。
親である勇者達があの年齢になっているということは、ツインテ達はまだ、この世界に存在していないことになる。
辛かった時に支えてくれたあの仲間達は、もう。
--学校の屋上--
ひゅううぅう
トリガー「……」
誰もいない真夜中の校舎。トリガーはハイの家の方向に視線をやっていた。
457: 2014/06/02(月) 23:31:53.33 ID:LEHhlT9Q0
62
--自宅--
ちゅんちゅん
じゅー
ハイ「……」
日曜日の朝。
ハイは目玉焼きを作っている。
ハイ「あの話は実際にあったこと……紛れもない私の物語……でも……」
じゅー
ハイ「……」
思い詰めたようなハイ。目玉焼きはとうに黒焦げになっている。
--自宅--
ちゅんちゅん
じゅー
ハイ「……」
日曜日の朝。
ハイは目玉焼きを作っている。
ハイ「あの話は実際にあったこと……紛れもない私の物語……でも……」
じゅー
ハイ「……」
思い詰めたようなハイ。目玉焼きはとうに黒焦げになっている。
458: 2014/06/02(月) 23:32:51.13 ID:LEHhlT9Q0
63
--町--
ぶぉおぉおん
ハイ「……」
ハイは無意識に家の外に出ていた。
自分の知るあの世界と今の世界。どちらが正しいのかを確かめようとしたのか……それはハイにすらわからない。
ぶぉおぉおん
ハイ「……」
ハイは行き交う車に目をやった。
そして唐突に右手の手のひらを車に向ける。
ハイ「氷属性攻撃魔法、レベル2」
ぶぉおぉおん
ハイ「……」
何も起こらない。
詠唱はむなしく、恥ずかしく響いた……。
--町--
ぶぉおぉおん
ハイ「……」
ハイは無意識に家の外に出ていた。
自分の知るあの世界と今の世界。どちらが正しいのかを確かめようとしたのか……それはハイにすらわからない。
ぶぉおぉおん
ハイ「……」
ハイは行き交う車に目をやった。
そして唐突に右手の手のひらを車に向ける。
ハイ「氷属性攻撃魔法、レベル2」
ぶぉおぉおん
ハイ「……」
何も起こらない。
詠唱はむなしく、恥ずかしく響いた……。
459: 2014/06/02(月) 23:33:42.46 ID:LEHhlT9Q0
64
--町--
ハイ(魔力を感じない……)
ハイは自分の手のひらを見つめている。十六年間普通に生きてきたことを証明する、柔らかい少女の手のひらがそこにはあった。
ハイ「……」
ざっ
「まいったね。こんなことは始めてだ」
ハイ「!?」
真後ろから声をかけられた。
聞き覚えのある声に反応して即座に振り向くハイ。そこに立っていたのは……
トリガー「……」
ハイ「トリ……ガー」
--町--
ハイ(魔力を感じない……)
ハイは自分の手のひらを見つめている。十六年間普通に生きてきたことを証明する、柔らかい少女の手のひらがそこにはあった。
ハイ「……」
ざっ
「まいったね。こんなことは始めてだ」
ハイ「!?」
真後ろから声をかけられた。
聞き覚えのある声に反応して即座に振り向くハイ。そこに立っていたのは……
トリガー「……」
ハイ「トリ……ガー」
460: 2014/06/02(月) 23:34:11.30 ID:LEHhlT9Q0
65
--町--
トリガー「……やっぱりか……」
名を呼ばれたトリガーは考えるように顎に手をやる。
ハイ「……!」
トリガー「ふむ、話したいことがあるよ。どうかな、そこのスタバでお茶でも」
ハイ「……はい?」
トリガー「気にしなくていいよ、お金は僕が出すから」
ハイ「……………………はい?」
--町--
トリガー「……やっぱりか……」
名を呼ばれたトリガーは考えるように顎に手をやる。
ハイ「……!」
トリガー「ふむ、話したいことがあるよ。どうかな、そこのスタバでお茶でも」
ハイ「……はい?」
トリガー「気にしなくていいよ、お金は僕が出すから」
ハイ「……………………はい?」
461: 2014/06/02(月) 23:35:24.54 ID:LEHhlT9Q0
66
--スタバ--
しゃがー
符術師「いらっしゃいませー! ご注文はお決まりですかー?」
トリガー「えっと、僕は抹茶がいいな。これ、クリームが乗ってるやつ」
符術師「はーい! サイズはどうされますかー?」
トリガー「このスモールで」
符術師「はーい! トールですねー」
トリガー「ほら君も頼みなさい」
ハイ「……キャラメルマキアート、トールで」
符術師「はーい!」
--スタバ--
しゃがー
符術師「いらっしゃいませー! ご注文はお決まりですかー?」
トリガー「えっと、僕は抹茶がいいな。これ、クリームが乗ってるやつ」
符術師「はーい! サイズはどうされますかー?」
トリガー「このスモールで」
符術師「はーい! トールですねー」
トリガー「ほら君も頼みなさい」
ハイ「……キャラメルマキアート、トールで」
符術師「はーい!」
462: 2014/06/02(月) 23:36:08.57 ID:LEHhlT9Q0
67
--スタバ--
カチャカチャ
ハイ「……」
トリガー「……」
カップルや学生達が回りで話している中、ハイとトリガーは無言でストローに口をつけていた。
ずぞぞー
トリガー「……さて、何から話そうかな」
ハイ「……」
ハイは身構えている。
トリガー「大丈夫、危害を加えたりしないよ。僕は君の敵じゃない」
ハイ「……信じられません」
トリガー「そう、か……まぁでもどのみち今の君には何も出来ないだろう?」
ハイ「っ!……」
確かに今のハイでは戦うことは出来ない。魔力が使えないのでは抗うことすら不可能なのだ。
--スタバ--
カチャカチャ
ハイ「……」
トリガー「……」
カップルや学生達が回りで話している中、ハイとトリガーは無言でストローに口をつけていた。
ずぞぞー
トリガー「……さて、何から話そうかな」
ハイ「……」
ハイは身構えている。
トリガー「大丈夫、危害を加えたりしないよ。僕は君の敵じゃない」
ハイ「……信じられません」
トリガー「そう、か……まぁでもどのみち今の君には何も出来ないだろう?」
ハイ「っ!……」
確かに今のハイでは戦うことは出来ない。魔力が使えないのでは抗うことすら不可能なのだ。
463: 2014/06/02(月) 23:36:37.44 ID:LEHhlT9Q0
68
--スタバ--
トリガー「やれやれ……その反応、完全に記憶があるみたいだね」
トリガーはストローに口をつける。
ハイ「……」
トリガー「じゅるる」
ハイ「……トリガー……この世界は、何?」
耐えられずハイから質問する。
それを聞いたトリガーは驚いたように目を丸くした。
トリガー「この世界は何? だって? 言ってることがわからないな」
ハイ「……」
トリガー「この世界はこの世界だ。まごうことなき現実の世界。夢や幻なんかじゃあない。それは君もわかっているだろう?」
ハイ「……」
そんなことはハイにもわかっている。わかっているからこそ困っているのだ。
--スタバ--
トリガー「やれやれ……その反応、完全に記憶があるみたいだね」
トリガーはストローに口をつける。
ハイ「……」
トリガー「じゅるる」
ハイ「……トリガー……この世界は、何?」
耐えられずハイから質問する。
それを聞いたトリガーは驚いたように目を丸くした。
トリガー「この世界は何? だって? 言ってることがわからないな」
ハイ「……」
トリガー「この世界はこの世界だ。まごうことなき現実の世界。夢や幻なんかじゃあない。それは君もわかっているだろう?」
ハイ「……」
そんなことはハイにもわかっている。わかっているからこそ困っているのだ。
464: 2014/06/02(月) 23:37:03.83 ID:LEHhlT9Q0
69
--スタバ--
ハイ「……すいません、質問を変えます。あれから……この世界に一体何があったんですか?」
ハイは、整理のつかない頭で凡そ完璧に近い質問を紡ぎだした。
トリガー「あれから……あれからというと、あの最終決戦の後からってことでいいのかな?」
ハイ「はい……」
こと
トリガーはカップをテーブルに置く。
トリガー「最終決戦……最終決戦ね……。あぁ、あれは本当に大失敗だった。なにせ勝ち確の状態からひっくり返されて敗北したんだからね。……はぁ……」
思い出してため息をつくトリガー。
トリガー「思い出すだけで胃が痛いよ……。あれからしばらく僕は魔王達に『無能』とか『慢心王』とか『大破進軍』とか色々なことを言われ続けたからね……」
ぽこぽことストローから空気を逆流させるトリガー。
--スタバ--
ハイ「……すいません、質問を変えます。あれから……この世界に一体何があったんですか?」
ハイは、整理のつかない頭で凡そ完璧に近い質問を紡ぎだした。
トリガー「あれから……あれからというと、あの最終決戦の後からってことでいいのかな?」
ハイ「はい……」
こと
トリガーはカップをテーブルに置く。
トリガー「最終決戦……最終決戦ね……。あぁ、あれは本当に大失敗だった。なにせ勝ち確の状態からひっくり返されて敗北したんだからね。……はぁ……」
思い出してため息をつくトリガー。
トリガー「思い出すだけで胃が痛いよ……。あれからしばらく僕は魔王達に『無能』とか『慢心王』とか『大破進軍』とか色々なことを言われ続けたからね……」
ぽこぽことストローから空気を逆流させるトリガー。
465: 2014/06/02(月) 23:38:12.70 ID:LEHhlT9Q0
70
--スタバ--
ハイ(そこは私もちゃんと思い出してました。私達は勇者さんの機転でからくも勝利したんだ)
トリガー「と、ごめんごめん。君が聞きたいのはその後か。そうだね……君らは三十年かけて、魔王に関するもの全てを処分していったね。中々の手際だったよ実際。覚えてる?」
ハイ(そうだ……私達は魔王の骨のかけらを集めて滅却したんだ……)
ハイはあの戦いの後の記憶を取り戻しつつある。
トリガー「ツインテは名も無き治療員団の初代医院長に。アッシュは新王国の王として世界を安定させ、ポニテは妖精や精霊達との駆け足になった。レンは魔法学校を復活させたし、君は新設された騎士団の隊長となって戦った……」
ハイ「……」
どれも全部あの後にあったことだ。私達は再び住みやすい世界を作るために色んなものと戦ったんだ。
トリガー「君のことにスポットを当てて話すと、君は三十才の時にある男性と結婚したね。そして一人の娘と二人の孫に恵まれ、最後は農村に腰をすえ、六十二年間の生涯を終えた。君は幸せそうに息をひきとったよ。やりきった、そんな顔で。……ここまでが君のストーリーだ。わかるね?」
ハイ(……うん、覚えがある……私達の代で何の驚異も無い世界に変えられたって……そう満足して氏ねたことを……)
あれを言葉にするならばハッピーエンドに他ならない。本当に苦しい人生ではあったけど……最終決戦で沢山のものを失ったけれど……最後は全てを乗り越えて幸福を手に入れたのだ。
あの最後に味わった満足は、幸福だった……。
--スタバ--
ハイ(そこは私もちゃんと思い出してました。私達は勇者さんの機転でからくも勝利したんだ)
トリガー「と、ごめんごめん。君が聞きたいのはその後か。そうだね……君らは三十年かけて、魔王に関するもの全てを処分していったね。中々の手際だったよ実際。覚えてる?」
ハイ(そうだ……私達は魔王の骨のかけらを集めて滅却したんだ……)
ハイはあの戦いの後の記憶を取り戻しつつある。
トリガー「ツインテは名も無き治療員団の初代医院長に。アッシュは新王国の王として世界を安定させ、ポニテは妖精や精霊達との駆け足になった。レンは魔法学校を復活させたし、君は新設された騎士団の隊長となって戦った……」
ハイ「……」
どれも全部あの後にあったことだ。私達は再び住みやすい世界を作るために色んなものと戦ったんだ。
トリガー「君のことにスポットを当てて話すと、君は三十才の時にある男性と結婚したね。そして一人の娘と二人の孫に恵まれ、最後は農村に腰をすえ、六十二年間の生涯を終えた。君は幸せそうに息をひきとったよ。やりきった、そんな顔で。……ここまでが君のストーリーだ。わかるね?」
ハイ(……うん、覚えがある……私達の代で何の驚異も無い世界に変えられたって……そう満足して氏ねたことを……)
あれを言葉にするならばハッピーエンドに他ならない。本当に苦しい人生ではあったけど……最終決戦で沢山のものを失ったけれど……最後は全てを乗り越えて幸福を手に入れたのだ。
あの最後に味わった満足は、幸福だった……。
466: 2014/06/02(月) 23:38:52.39 ID:LEHhlT9Q0
71
--スタバ--
トリガー「ここからか、君が前世の記憶を取り戻してもわからないのは。まぁ氏んでるんだから当然だけどさ」
そう前置きして、トリガーはまるでなんでもないかのように言った。
トリガー「そして君たちが全員氏んだ十数年後、僕は力を取り戻したので復活した」
ハイ「!?」
トリガー「で、リセットした。その結果が今というわけさ」
ハイ「!!?? なっ……」
ハイは混乱した。
ハイ(何を、何を言って……)
……無理やりバッドエンドを回避し、その後みんなで幸福な世界を作り上げたはずだった……満足して氏んだはずだった。
でも、
『ハッピーエンドにだって続きはある』
--スタバ--
トリガー「ここからか、君が前世の記憶を取り戻してもわからないのは。まぁ氏んでるんだから当然だけどさ」
そう前置きして、トリガーはまるでなんでもないかのように言った。
トリガー「そして君たちが全員氏んだ十数年後、僕は力を取り戻したので復活した」
ハイ「!?」
トリガー「で、リセットした。その結果が今というわけさ」
ハイ「!!?? なっ……」
ハイは混乱した。
ハイ(何を、何を言って……)
……無理やりバッドエンドを回避し、その後みんなで幸福な世界を作り上げたはずだった……満足して氏んだはずだった。
でも、
『ハッピーエンドにだって続きはある』
467: 2014/06/02(月) 23:39:46.22 ID:LEHhlT9Q0
72
--スタバ--
トリガー「ハッピーエンドっていうのは都合のいい解釈だ、って知ってるかい? 一番見栄えがいい部分で切っているだけなんだよあれは。金太郎飴のように、どこを切っても同じような幸せしかないと勘違いしているんだろうね」
ハイ「」
トリガー「エンドとは連続する世界の一瞬の表情でしかないことをわかっちゃいない。だから君みたいに取り乱す。『幸せに終わったんだからその後も幸せが続くに違いない』って」
ハイ「」
それじゃあ、あのみんなで護った世界は
トリガー「簡単だったよ。侵攻を開始して12秒後にはリセットが完了した」
ハイ「」
あれだけの犠牲を払って手に入れたのに
トリガー「……そんなに愕然とすることかい? あの時の僕は本体じゃない。また準備が出来次第、行動を再開することはわかっていたことだろう?」
ハイ「」
--スタバ--
トリガー「ハッピーエンドっていうのは都合のいい解釈だ、って知ってるかい? 一番見栄えがいい部分で切っているだけなんだよあれは。金太郎飴のように、どこを切っても同じような幸せしかないと勘違いしているんだろうね」
ハイ「」
トリガー「エンドとは連続する世界の一瞬の表情でしかないことをわかっちゃいない。だから君みたいに取り乱す。『幸せに終わったんだからその後も幸せが続くに違いない』って」
ハイ「」
それじゃあ、あのみんなで護った世界は
トリガー「簡単だったよ。侵攻を開始して12秒後にはリセットが完了した」
ハイ「」
あれだけの犠牲を払って手に入れたのに
トリガー「……そんなに愕然とすることかい? あの時の僕は本体じゃない。また準備が出来次第、行動を再開することはわかっていたことだろう?」
ハイ「」
468: 2014/06/02(月) 23:40:20.01 ID:LEHhlT9Q0
73
--スタバ--
そんな……そんな……
トリガー「……どうして君だけ前世の記憶を取り戻してしまったのか……そこのところを詳しく聞きたかったんだけど……今日はもう無理そうだね」
ハイは力なくうなだれている……。
トリガー「また話をしよう。今日のことは周りに話さないでくれると嬉しいな」
ガタッ
トリガー「もっとも、誰も信じないだろうけど」
立ち上がるトリガー。
ハイ「ま、まって」
ハイも立ち上がった。
ハイ「い、今はあの頃より何年経っているんですか……?」
トリガーはハイの目を見つめながら、
トリガー「四千二百七十三年」
と答えた。
--スタバ--
そんな……そんな……
トリガー「……どうして君だけ前世の記憶を取り戻してしまったのか……そこのところを詳しく聞きたかったんだけど……今日はもう無理そうだね」
ハイは力なくうなだれている……。
トリガー「また話をしよう。今日のことは周りに話さないでくれると嬉しいな」
ガタッ
トリガー「もっとも、誰も信じないだろうけど」
立ち上がるトリガー。
ハイ「ま、まって」
ハイも立ち上がった。
ハイ「い、今はあの頃より何年経っているんですか……?」
トリガーはハイの目を見つめながら、
トリガー「四千二百七十三年」
と答えた。
469: 2014/06/02(月) 23:42:07.05 ID:LEHhlT9Q0
74
--町--
ハイ「……」
ハイはふらふらと左右に揺れながら町を歩いている。
ハイ(幻覚でも、なんでもない……だって私はこの世界で十六年間生きてきたのだから)
ふら
ハイ(お父さんとお母さんに大事に育てられた。幼稚園で竜子ちゃんと出会って、小学校にあがって代表君と知り合って。中学校の時にお父さんとお母さんが海外出張ばかりになったけれど、それは寂しいことではあったけれど……でも今の高校でも何不自由なく暮らせている……)
ふら
ハイ(……日常に戻ることは簡単だ。以前と同じように振舞えばいいだけ……でも、もうあの過去を忘れることは、出来ない)
ふらふら
ハイ(けれど……この世界に魔力は無い……私に武器は、何も無い)
ふらふら、ふら
ハイ(仲間もいない……同じ記憶を持つ人もいない……私は……この世界で、一人ぼっちなんだ)
--町--
ハイ「……」
ハイはふらふらと左右に揺れながら町を歩いている。
ハイ(幻覚でも、なんでもない……だって私はこの世界で十六年間生きてきたのだから)
ふら
ハイ(お父さんとお母さんに大事に育てられた。幼稚園で竜子ちゃんと出会って、小学校にあがって代表君と知り合って。中学校の時にお父さんとお母さんが海外出張ばかりになったけれど、それは寂しいことではあったけれど……でも今の高校でも何不自由なく暮らせている……)
ふら
ハイ(……日常に戻ることは簡単だ。以前と同じように振舞えばいいだけ……でも、もうあの過去を忘れることは、出来ない)
ふらふら
ハイ(けれど……この世界に魔力は無い……私に武器は、何も無い)
ふらふら、ふら
ハイ(仲間もいない……同じ記憶を持つ人もいない……私は……この世界で、一人ぼっちなんだ)
470: 2014/06/02(月) 23:42:47.11 ID:LEHhlT9Q0
75
--自宅--
がちゃ
ばたん
ハイは家に帰ってきてドアを閉める。そして少しの間寄りかかった。
ハイ「……」
もう本当に何も無かった。
力も、仲間も。
あの世界も。
ハイ「……」
何の力が無くとも、仲間がいなくとも、それでも戦うことくらいは出来る……。
でも、過去へは戦いに行くことが出来ない。
ハイ「……っ」
表情を変えないハイの頬を静かに涙が伝う。
--自宅--
がちゃ
ばたん
ハイは家に帰ってきてドアを閉める。そして少しの間寄りかかった。
ハイ「……」
もう本当に何も無かった。
力も、仲間も。
あの世界も。
ハイ「……」
何の力が無くとも、仲間がいなくとも、それでも戦うことくらいは出来る……。
でも、過去へは戦いに行くことが出来ない。
ハイ「……っ」
表情を変えないハイの頬を静かに涙が伝う。
471: 2014/06/02(月) 23:43:17.84 ID:LEHhlT9Q0
76
--自宅--
ぐし
ハイ「……あ」
涙をぬぐうハイは、あることに気づいた。
ハイ「……まだ……あった」
もう何も無いはずのハイ。
でも……
ハイ「……あのSSは……誰が一体何のために……?」
--自宅--
ぐし
ハイ「……あ」
涙をぬぐうハイは、あることに気づいた。
ハイ「……まだ……あった」
もう何も無いはずのハイ。
でも……
ハイ「……あのSSは……誰が一体何のために……?」
472: 2014/06/02(月) 23:45:14.06 ID:LEHhlT9Q0
77
--自宅--
だだだだだだだ!!
ハイ「はっ! はっ! はっ!」
ハイは階段を駆け上がりパソコンを起動させる。
ぶぅううん
ハイ「はっ、はっ、はっ……」
かち、かちかち
そしてブックマークしておいた例のSSの最新のスレを開いた。
ハイ「……でも……私、ここからどうしたら……」
一縷の望みでこのスレを開いたハイ。でも何が正しいのか。どうしたらいいのか。
ハイはゆっくりとキーボードに手を置いた……。
--自宅--
だだだだだだだ!!
ハイ「はっ! はっ! はっ!」
ハイは階段を駆け上がりパソコンを起動させる。
ぶぅううん
ハイ「はっ、はっ、はっ……」
かち、かちかち
そしてブックマークしておいた例のSSの最新のスレを開いた。
ハイ「……でも……私、ここからどうしたら……」
一縷の望みでこのスレを開いたハイ。でも何が正しいのか。どうしたらいいのか。
ハイはゆっくりとキーボードに手を置いた……。
475: 2014/06/02(月) 23:46:46.28 ID:LEHhlT9Q0
79
と打ち込んだ。
そして
と打ち込んだ。
そして
484: 2014/06/09(月) 22:00:18.77 ID:CVFS0gOo0
81
--自宅--
ハイ「……これ、って」
自分がスレに書き込んで数秒、スレ主が意味深なレスを書き込んだ。
ハイ「……」
ハイは面食らっている。
確かに書き込んだのは自分なのだが、まさか反応があるとは思っていなかったのだ。
ぽーん
その時メールが一通届く。
ハイ「メール……?」
ハイはそのメールを開いた。
ぽち
ハイ「?」
そのメールには何も文字が書かれていなかった。
--自宅--
ハイ「……これ、って」
自分がスレに書き込んで数秒、スレ主が意味深なレスを書き込んだ。
ハイ「……」
ハイは面食らっている。
確かに書き込んだのは自分なのだが、まさか反応があるとは思っていなかったのだ。
ぽーん
その時メールが一通届く。
ハイ「メール……?」
ハイはそのメールを開いた。
ぽち
ハイ「?」
そのメールには何も文字が書かれていなかった。
485: 2014/06/09(月) 22:01:28.90 ID:CVFS0gOo0
82
--自宅--
ぷぅうぃん
ハイ「え?」
突然、勝手にスカイプが立ち上がった。
ハイ「私起動させてないけど……」
ぷーぷー
そして電話がかかってきた。もちろん知らない相手からである。
ハイ「……」
ハイは一瞬戸惑ったが、
ハイ「……」
ぽち
電話を取ることにした。
--自宅--
ぷぅうぃん
ハイ「え?」
突然、勝手にスカイプが立ち上がった。
ハイ「私起動させてないけど……」
ぷーぷー
そして電話がかかってきた。もちろん知らない相手からである。
ハイ「……」
ハイは一瞬戸惑ったが、
ハイ「……」
ぽち
電話を取ることにした。
486: 2014/06/09(月) 22:02:01.79 ID:CVFS0gOo0
83
--自宅--
ぷっ
ハイ「!?」
あちらはカメラを使っているようで、向こうの顔が画面に映っている。
???「やぁ、初めまして」
ハイ「は、初めまして……」
カメラに映っている顔は、人では無かった。デフォルメされたロボットのような顔。右目は大きく損傷していて痛々しい。
ちょっと連装砲ちゃんに似たフォルム。
???「やっぱり驚いてるようだね」
ハイ「そりゃ、まぁ……」
長い年月を感じさせるボロボロになったロボット。
???改めQ「僕の名前はQ」
そのボロットはQと名乗った。
--自宅--
ぷっ
ハイ「!?」
あちらはカメラを使っているようで、向こうの顔が画面に映っている。
???「やぁ、初めまして」
ハイ「は、初めまして……」
カメラに映っている顔は、人では無かった。デフォルメされたロボットのような顔。右目は大きく損傷していて痛々しい。
ちょっと連装砲ちゃんに似たフォルム。
???「やっぱり驚いてるようだね」
ハイ「そりゃ、まぁ……」
長い年月を感じさせるボロボロになったロボット。
???改めQ「僕の名前はQ」
そのボロットはQと名乗った。
487: 2014/06/09(月) 22:03:05.96 ID:CVFS0gOo0
84
--自宅--
ハイ「貴方は……あのSSの作者、なんですよね?」
タイミングから、そしてなんとなく直感でハイはそう思った。
Q「うん。この次元での、ね。まぁ作者というのも変な話だけれど」
ぎぃぎぃと音を鳴らしながら動くQ。
ハイ「……Q……過去編に出てきたトリガーと一緒にいたロボット……」
ハイはSSを思い出す。トリガーが狂った時に傍にいたロボット。あの最終決戦の時もまだ動いていたらしいが、姿を見るのは初めてだ……。
Q「さて、ハイ。残念だけど時間が無い。もうすぐこれにトリガーが気づいてしまうだろう」
ハイ「え」
Q「……トリガーはリセット後、全ての生物、気候、その他もろもろの行動を操っている。一部の隙も無くスケジュール通りに動くように」
ハイ「!?」
Q「完全なる統治された世界。それが今の世界だ。だからこそ君や僕のこういった行動はトリガーの目につきやすい」
--自宅--
ハイ「貴方は……あのSSの作者、なんですよね?」
タイミングから、そしてなんとなく直感でハイはそう思った。
Q「うん。この次元での、ね。まぁ作者というのも変な話だけれど」
ぎぃぎぃと音を鳴らしながら動くQ。
ハイ「……Q……過去編に出てきたトリガーと一緒にいたロボット……」
ハイはSSを思い出す。トリガーが狂った時に傍にいたロボット。あの最終決戦の時もまだ動いていたらしいが、姿を見るのは初めてだ……。
Q「さて、ハイ。残念だけど時間が無い。もうすぐこれにトリガーが気づいてしまうだろう」
ハイ「え」
Q「……トリガーはリセット後、全ての生物、気候、その他もろもろの行動を操っている。一部の隙も無くスケジュール通りに動くように」
ハイ「!?」
Q「完全なる統治された世界。それが今の世界だ。だからこそ君や僕のこういった行動はトリガーの目につきやすい」
488: 2014/06/09(月) 22:03:59.35 ID:CVFS0gOo0
85
--自宅--
ハイ「え、ちょ、ちょっと待ってください……完全なる、統治?」
ハイは混乱する。
ハイ(じゃあ記憶を取り戻しつつあったあの時にトリガーが私の前に現れたのは、予定通りに動かなくなった私というエラーが現れたから……? いや、それよりも)
今までの人生、学校での会話、竜子ちゃん達との友情……それら全てがプログラムされていたことになる……?
Q「……あれから僕は様々な方法を使って勇者達の復活、捜索をしようとした。でもその全てが悉く失敗した」
Qはガタガタと動いている。
Q「気づけば何千年も、経っていた。あまりに長い戦いだった……」
ハイ「……」
混乱するハイをよそにQは話を続ける。
Q「でも、無駄じゃあなかった。やっと、『君達』を見つけることが出来たのだから」
--自宅--
ハイ「え、ちょ、ちょっと待ってください……完全なる、統治?」
ハイは混乱する。
ハイ(じゃあ記憶を取り戻しつつあったあの時にトリガーが私の前に現れたのは、予定通りに動かなくなった私というエラーが現れたから……? いや、それよりも)
今までの人生、学校での会話、竜子ちゃん達との友情……それら全てがプログラムされていたことになる……?
Q「……あれから僕は様々な方法を使って勇者達の復活、捜索をしようとした。でもその全てが悉く失敗した」
Qはガタガタと動いている。
Q「気づけば何千年も、経っていた。あまりに長い戦いだった……」
ハイ「……」
混乱するハイをよそにQは話を続ける。
Q「でも、無駄じゃあなかった。やっと、『君達』を見つけることが出来たのだから」
489: 2014/06/09(月) 22:05:37.08 ID:CVFS0gOo0
86
--自宅--
ハイ「君、達……?」
ハイははてなまーくを頭に浮かべている。
Q「……これが残された最後の手段。……ハイ、懐中時計は持っているかい?」
ハイ「懐中時計、ですか?」
Q「そうだ。占師から勇者に手渡された最後の希望。最終決戦の時、それは君の手に渡っただろう?」
ハイ「懐中時計……って、それ前世の時の話じゃないですか! 今も持っているわけないじゃないですか!」
Q「そうだね。でも、そうかな?」
ハイ「え……」
Q「魂の結びつきが強いなら、たとえどれだけの時間、距離が離れようとも傍にあるものだ」
--自宅--
ハイ「君、達……?」
ハイははてなまーくを頭に浮かべている。
Q「……これが残された最後の手段。……ハイ、懐中時計は持っているかい?」
ハイ「懐中時計、ですか?」
Q「そうだ。占師から勇者に手渡された最後の希望。最終決戦の時、それは君の手に渡っただろう?」
ハイ「懐中時計……って、それ前世の時の話じゃないですか! 今も持っているわけないじゃないですか!」
Q「そうだね。でも、そうかな?」
ハイ「え……」
Q「魂の結びつきが強いなら、たとえどれだけの時間、距離が離れようとも傍にあるものだ」
490: 2014/06/09(月) 22:06:10.29 ID:CVFS0gOo0
87
--自宅--
ハイ「そんな魔法みたいなことって……ッ! そ、そういえば……」
Q「心当たりがあるかい?」
ハイ「はい。昔縁日で手に入れた懐中時計……今思い返してみると、あれはあの時の懐中時計だったのかも……」
Q「それは今どこに?」
ハイ「探してみます」
がた
ハイは立ち上がり自分の部屋の中を探し回る。
がさごそ
ハイ「……でも、懐中時計があったからって、何か変わるんですか?」
Q「変わるさ」
--自宅--
ハイ「そんな魔法みたいなことって……ッ! そ、そういえば……」
Q「心当たりがあるかい?」
ハイ「はい。昔縁日で手に入れた懐中時計……今思い返してみると、あれはあの時の懐中時計だったのかも……」
Q「それは今どこに?」
ハイ「探してみます」
がた
ハイは立ち上がり自分の部屋の中を探し回る。
がさごそ
ハイ「……でも、懐中時計があったからって、何か変わるんですか?」
Q「変わるさ」
491: 2014/06/09(月) 22:07:25.49 ID:CVFS0gOo0
88
--自宅--
がさごそ
ハイ「どこにしまったっけ……」
Q「……」
ハイが探している間、Qは動かなくなった。スリープモードというやつだろう。
ハイ「……どうせですから、探してる間、色々と質問に答えてくれませんか?」
きゅい
Q「いいよ。時間を有効的に使わないとね」
スリープモードは一瞬だった。
ハイ「Qさんはトリガーの目的って、わかりますか?」
Q「……人類の統治。人類が再び、完全なる破滅に辿り着くことがないように管理する。それがトリガーの目的なんだと僕は考えている」
ハイ「……」
--自宅--
がさごそ
ハイ「どこにしまったっけ……」
Q「……」
ハイが探している間、Qは動かなくなった。スリープモードというやつだろう。
ハイ「……どうせですから、探してる間、色々と質問に答えてくれませんか?」
きゅい
Q「いいよ。時間を有効的に使わないとね」
スリープモードは一瞬だった。
ハイ「Qさんはトリガーの目的って、わかりますか?」
Q「……人類の統治。人類が再び、完全なる破滅に辿り着くことがないように管理する。それがトリガーの目的なんだと僕は考えている」
ハイ「……」
492: 2014/06/09(月) 22:08:29.04 ID:CVFS0gOo0
89
--自宅--
ハイ「人類をゆりかごの中でコントロールすることがトリガーの目的……大事に大事に護るために、リセットすることも構わない……」
Q「一応矛盾はしていない。トリガーが重視しているのは人という種であって個ではないのだから」
ハイ「……そうでしょうか。私はトリガーが矛盾だらけに思うんです」
Q「え」
がさごそ
ハイ「あ、アーッ!! 思い出した!! あの懐中時計竜子ちゃんにあげちゃったんだった!」
Q「え」
ハイ「あれがあれば本当になんとかなるんですよね!?」
Q「……なるよ」
ハイ「そうですか……」
スッ
ハイは静かに立ち上がった。
ハイ「今から返してもらってきます!」
--自宅--
ハイ「人類をゆりかごの中でコントロールすることがトリガーの目的……大事に大事に護るために、リセットすることも構わない……」
Q「一応矛盾はしていない。トリガーが重視しているのは人という種であって個ではないのだから」
ハイ「……そうでしょうか。私はトリガーが矛盾だらけに思うんです」
Q「え」
がさごそ
ハイ「あ、アーッ!! 思い出した!! あの懐中時計竜子ちゃんにあげちゃったんだった!」
Q「え」
ハイ「あれがあれば本当になんとかなるんですよね!?」
Q「……なるよ」
ハイ「そうですか……」
スッ
ハイは静かに立ち上がった。
ハイ「今から返してもらってきます!」
493: 2014/06/09(月) 22:09:33.80 ID:CVFS0gOo0
90
--道路--
たったったったったっ
ハイ「はっ、はっ、はっ……」
何度も通いなれた竜子の家への道。
ハイ「はっ、はっ、はっ……」
普段なら必ず自転車で来るところを、なぜか走って行くことにした。
ハイ(トリガーのプログラムから逸脱したいと思ってこうしたの? それとも、動揺しているの?)
それは自分でもわからない。
ハイ(……私、竜子ちゃんと今まで通りにおしゃべりできるかな?)
真実を知ってしまったハイ。
自分の唯一無二の友達は、ハイの友達であるよう設定された存在なのだ……。
ハイ「……っ!」
自然と涙ぐんでしまう。
--道路--
たったったったったっ
ハイ「はっ、はっ、はっ……」
何度も通いなれた竜子の家への道。
ハイ「はっ、はっ、はっ……」
普段なら必ず自転車で来るところを、なぜか走って行くことにした。
ハイ(トリガーのプログラムから逸脱したいと思ってこうしたの? それとも、動揺しているの?)
それは自分でもわからない。
ハイ(……私、竜子ちゃんと今まで通りにおしゃべりできるかな?)
真実を知ってしまったハイ。
自分の唯一無二の友達は、ハイの友達であるよう設定された存在なのだ……。
ハイ「……っ!」
自然と涙ぐんでしまう。
494: 2014/06/09(月) 22:10:44.80 ID:CVFS0gOo0
91
--竜子家--
竜子「おうなんだよ急に家まできて。なんかあるなら電話してくれりゃいいのに」
ハイ「……あ」
インターホンを鳴らしたことで現れた竜子。竜子はがりがりきゅんを口に咥えて腹をかきながら現れた。
ぼりぼり
ハイ「……ははっ」
拍子抜けした。
いつもと変わらない竜子はいつもと変わらない表情でハイを見ている。
竜子「? どした?」
ハイ「ううん、なんでもない」
多少のエラーにも柔軟に対応できるのか、それとも自分が竜子の家に来ることも予めプログラムされたことなのか。
今のハイにはわからない。
ハイ「竜子ちゃん、昔あげた懐中時計あったでしょ? あれ返して欲しいんです」
--竜子家--
竜子「おうなんだよ急に家まできて。なんかあるなら電話してくれりゃいいのに」
ハイ「……あ」
インターホンを鳴らしたことで現れた竜子。竜子はがりがりきゅんを口に咥えて腹をかきながら現れた。
ぼりぼり
ハイ「……ははっ」
拍子抜けした。
いつもと変わらない竜子はいつもと変わらない表情でハイを見ている。
竜子「? どした?」
ハイ「ううん、なんでもない」
多少のエラーにも柔軟に対応できるのか、それとも自分が竜子の家に来ることも予めプログラムされたことなのか。
今のハイにはわからない。
ハイ「竜子ちゃん、昔あげた懐中時計あったでしょ? あれ返して欲しいんです」
495: 2014/06/09(月) 22:11:50.98 ID:CVFS0gOo0
92
--竜子家--
竜子「うぅん? 懐中時計?」
竜子はよくわからないといった表情でがりがりきゅんをしゃぶる。舐る。舐め回す。
ハイ「……」
竜子「ん、懐中時計ね。そういやあったなそんなん。まぁいいけど、どうしてだ?」
ハイ「え?」
竜子「なんでこんなタイミングで……そんな汗までかいて必氏になってるのかなって」
ハイ「え、えっと……」
竜子「……もしかして鑑定団かなんかですごい値打ちついたとか?」
ハイ「いや、そんなんじゃないけど」
竜子「はは、冗談だよ。ちょっと待っててくれ。今持ってくるわ」
そう言って竜子は家の中に戻る。
--竜子家--
竜子「うぅん? 懐中時計?」
竜子はよくわからないといった表情でがりがりきゅんをしゃぶる。舐る。舐め回す。
ハイ「……」
竜子「ん、懐中時計ね。そういやあったなそんなん。まぁいいけど、どうしてだ?」
ハイ「え?」
竜子「なんでこんなタイミングで……そんな汗までかいて必氏になってるのかなって」
ハイ「え、えっと……」
竜子「……もしかして鑑定団かなんかですごい値打ちついたとか?」
ハイ「いや、そんなんじゃないけど」
竜子「はは、冗談だよ。ちょっと待っててくれ。今持ってくるわ」
そう言って竜子は家の中に戻る。
496: 2014/06/09(月) 22:12:40.79 ID:CVFS0gOo0
93
--竜子家--
ハイ「……」
ハイは竜子の家を見る。何度も遊びに来た事のある第二の我が家。
ハイ「……あ」
玄関の靴入れにハイと竜子の落書きがあるのを発見する。
ハイ「これ……小学校の時か……あの時はおばさんにいっぱい怒られちゃったっけ」
目を瞑れば思い出す懐かしい記憶。
ハイ「……」
どたどたどた
竜子「ハーイ」
ぽいっ
ハイ「うわっ」
竜子はハイに懐中時計を投げてよこした。
がちゃ
ハイ「っと……これだ」
前世の記憶と一致する、あの懐中時計が自分の掌の中にあった。
--竜子家--
ハイ「……」
ハイは竜子の家を見る。何度も遊びに来た事のある第二の我が家。
ハイ「……あ」
玄関の靴入れにハイと竜子の落書きがあるのを発見する。
ハイ「これ……小学校の時か……あの時はおばさんにいっぱい怒られちゃったっけ」
目を瞑れば思い出す懐かしい記憶。
ハイ「……」
どたどたどた
竜子「ハーイ」
ぽいっ
ハイ「うわっ」
竜子はハイに懐中時計を投げてよこした。
がちゃ
ハイ「っと……これだ」
前世の記憶と一致する、あの懐中時計が自分の掌の中にあった。
497: 2014/06/09(月) 22:14:28.56 ID:CVFS0gOo0
94
--竜子家--
竜子「そんなの何に使うんだ?」
棒だけになったがりがりきゅんを見て、何の文字も書かれていないことを確認している竜子。
ハイ「さぁ……何に使うんだろう」
竜子「はぁ? 自分でわからねぇのかよ」
ハイ「うん、ごめんね」
竜子「……」
ハイ「でもありがと。じゃあまた学校で」
ハイは踵を返す。
竜子「――また学校で会えるんだよな?」
ハイ「え……?」
ハイは振り向いた。
竜子「……」
竜子は真顔だった。
竜子「……わり。なんか……もう会えなくなる気がしたんだ」
ハイ「」
ハイはぎゅっと懐中時計を握る。
その胸騒ぎは、ハイにもあった。
ハイ「会えるに……決まってるじゃないですか」
ハイはにっこりと笑った。
--竜子家--
竜子「そんなの何に使うんだ?」
棒だけになったがりがりきゅんを見て、何の文字も書かれていないことを確認している竜子。
ハイ「さぁ……何に使うんだろう」
竜子「はぁ? 自分でわからねぇのかよ」
ハイ「うん、ごめんね」
竜子「……」
ハイ「でもありがと。じゃあまた学校で」
ハイは踵を返す。
竜子「――また学校で会えるんだよな?」
ハイ「え……?」
ハイは振り向いた。
竜子「……」
竜子は真顔だった。
竜子「……わり。なんか……もう会えなくなる気がしたんだ」
ハイ「」
ハイはぎゅっと懐中時計を握る。
その胸騒ぎは、ハイにもあった。
ハイ「会えるに……決まってるじゃないですか」
ハイはにっこりと笑った。
498: 2014/06/09(月) 22:16:42.28 ID:CVFS0gOo0
95
--自宅--
がちゃ、ばたん、どたたたたた、がらっ!!
ハイ「はっ、はっ、はっ! きゅ、Qさん、持ってきましたよ、懐中時計!」
Q「こっちからは見れないから確認できないけれど、君の魂がそうだというのなら間違いないんだろう。よくやった」
ちょっとお前がそう思うんならそうなんだろう、お前ん中ではな的な台詞を言われる。
ハイ「で、これをどうするんですか? これは何が出来る道具なんですか?」
Q「それは時の一族の長、占師が生涯をかけて完成させた時の秘宝……それを使えばセーブポイントに戻ることが出来る」
ハイ「!? え、そ、それって……」
Q「名づけるならば、禁術魔法コンティニュー。僕も正確なことはわからないけれど、それがあれば最終決戦の前に戻ることが出来るらしい」
ハイ「」
ハイは絶句した。
様々な魔法が跳梁跋扈していた前世の時代、チートじみた魔法も多々あったが、それらをはるかに上回るとんでもない効果だったからだ。
ハイ「そんなことって……ほ、本当に可能なんでしょうか?」
Q「おそらく、としか言えないね。その魔法は初めて使われるものだから」
ハイ「……」
でももし過去に戻ることが出来るなら、今度はトリガーとの戦いに終止符を打つことが出来るかもしれない……。
--自宅--
がちゃ、ばたん、どたたたたた、がらっ!!
ハイ「はっ、はっ、はっ! きゅ、Qさん、持ってきましたよ、懐中時計!」
Q「こっちからは見れないから確認できないけれど、君の魂がそうだというのなら間違いないんだろう。よくやった」
ちょっとお前がそう思うんならそうなんだろう、お前ん中ではな的な台詞を言われる。
ハイ「で、これをどうするんですか? これは何が出来る道具なんですか?」
Q「それは時の一族の長、占師が生涯をかけて完成させた時の秘宝……それを使えばセーブポイントに戻ることが出来る」
ハイ「!? え、そ、それって……」
Q「名づけるならば、禁術魔法コンティニュー。僕も正確なことはわからないけれど、それがあれば最終決戦の前に戻ることが出来るらしい」
ハイ「」
ハイは絶句した。
様々な魔法が跳梁跋扈していた前世の時代、チートじみた魔法も多々あったが、それらをはるかに上回るとんでもない効果だったからだ。
ハイ「そんなことって……ほ、本当に可能なんでしょうか?」
Q「おそらく、としか言えないね。その魔法は初めて使われるものだから」
ハイ「……」
でももし過去に戻ることが出来るなら、今度はトリガーとの戦いに終止符を打つことが出来るかもしれない……。
499: 2014/06/09(月) 22:19:06.59 ID:CVFS0gOo0
96
--自宅--
ハイ「それで、これってどうやって使うんですか?」
Q「……」
ハイ「Qさん?」
Q「わからない」
ハイ「え?」
Q「僕はそこまでしか知らないんだ」
ハイ「……え?」
とんでもない宝物のように感じた懐中時計が、一瞬で古びたがらくたになった気がした。
Q「でも使い方なんて些細なことだよ」
ハイ「は、はいーー!? 些細なことじゃないですよ! 使い方もわからないんじゃ、こんなのただの懐中時計ですよ!?」
Q「ぎ……そう取り乱さないで欲しい。大声出されるとガタがきてるボディに響いちゃうからさ」
ハイ「はーっ、はーっ!」
取り乱すハイと、対照的に落ち着いているQ。
Q「……そのアイテムを入手したことで新たなルートが開けた。後はそのルートを選ぶだけなんだ」
--自宅--
ハイ「それで、これってどうやって使うんですか?」
Q「……」
ハイ「Qさん?」
Q「わからない」
ハイ「え?」
Q「僕はそこまでしか知らないんだ」
ハイ「……え?」
とんでもない宝物のように感じた懐中時計が、一瞬で古びたがらくたになった気がした。
Q「でも使い方なんて些細なことだよ」
ハイ「は、はいーー!? 些細なことじゃないですよ! 使い方もわからないんじゃ、こんなのただの懐中時計ですよ!?」
Q「ぎ……そう取り乱さないで欲しい。大声出されるとガタがきてるボディに響いちゃうからさ」
ハイ「はーっ、はーっ!」
取り乱すハイと、対照的に落ち着いているQ。
Q「……そのアイテムを入手したことで新たなルートが開けた。後はそのルートを選ぶだけなんだ」
500: 2014/06/09(月) 22:22:00.70 ID:CVFS0gOo0
97
--自宅--
ハイ「ルートを選ぶ、って……ルートを操ることが出来るのはトリガーだけじゃないですか。トリガーを利用するんですか?」
Q「違う。ルートを選ぶことが出来るのはトリガーだけじゃあない。もう一人、いや他にも無数にいるんだ」
Qはそう断言するのだが、
ハイ(……。あのルートっていう神の如き力を使える存在が他にいるとは思えない……)
ハイはにわかには信じられない。
Q「僕が待っていたのは君だけじゃない。ルートを扱える彼らが集まるのを待っていたんだ」
ハイ「彼……ら? さっきもそうですけど、君たちを待っていた、って言ってましたよね? 私以外の誰を待っていたんですか?」
Q「彼、彼らは初代勇者よりも前に存在していた『原初』、勇者の『起源』とも呼ばれる存在だ」
ハイ「そんな存在が……?」
Q「彼はその昔、最初にトリガーに立ち向かった。少年という名でね」
ハイ「! そういえば、そんな人も過去の話に出てきましたね……」
--自宅--
ハイ「ルートを選ぶ、って……ルートを操ることが出来るのはトリガーだけじゃないですか。トリガーを利用するんですか?」
Q「違う。ルートを選ぶことが出来るのはトリガーだけじゃあない。もう一人、いや他にも無数にいるんだ」
Qはそう断言するのだが、
ハイ(……。あのルートっていう神の如き力を使える存在が他にいるとは思えない……)
ハイはにわかには信じられない。
Q「僕が待っていたのは君だけじゃない。ルートを扱える彼らが集まるのを待っていたんだ」
ハイ「彼……ら? さっきもそうですけど、君たちを待っていた、って言ってましたよね? 私以外の誰を待っていたんですか?」
Q「彼、彼らは初代勇者よりも前に存在していた『原初』、勇者の『起源』とも呼ばれる存在だ」
ハイ「そんな存在が……?」
Q「彼はその昔、最初にトリガーに立ち向かった。少年という名でね」
ハイ「! そういえば、そんな人も過去の話に出てきましたね……」
501: 2014/06/09(月) 22:23:25.83 ID:CVFS0gOo0
98
--自宅--
Q「それはトリガーに最初に戦いを挑んだ勇気あるもの……」
トリガー「囚われの姫を助けるために、剣を手にして敵の城に乗り込んでくる……か。まるで勇者のようだね君は」
少年「はっ。お前は自分で自分のことを魔王だって言いたいのか?」
Q「それはトリガーのコアに接触したがゆえに、ルートを操る力を得たもの……」
少年の赤い剣は、既に刺さっていた青い剣を押し込む形になった。
トリガー「ぎっ」
そして青い剣がトリガーのコアに到達する。
ドクン
少年「俺の力の全てを使って、このままお前を封印する!!」
Q「……だが彼はトリガーが様々な次元にバラバラに吹き飛ばしてしまった……」
トリガー「敬意を表そう勇者よ。君は僕のもっとも危険な、敵だった」
ずずず
少年「ぐ、ぐう!?」
トリガー「ただ頃すだけじゃ生ぬるいからね。このまま色んな次元、空間にばらまかさせてもらう。僕の持てる全ての力を使用して」
--自宅--
Q「それはトリガーに最初に戦いを挑んだ勇気あるもの……」
トリガー「囚われの姫を助けるために、剣を手にして敵の城に乗り込んでくる……か。まるで勇者のようだね君は」
少年「はっ。お前は自分で自分のことを魔王だって言いたいのか?」
Q「それはトリガーのコアに接触したがゆえに、ルートを操る力を得たもの……」
少年の赤い剣は、既に刺さっていた青い剣を押し込む形になった。
トリガー「ぎっ」
そして青い剣がトリガーのコアに到達する。
ドクン
少年「俺の力の全てを使って、このままお前を封印する!!」
Q「……だが彼はトリガーが様々な次元にバラバラに吹き飛ばしてしまった……」
トリガー「敬意を表そう勇者よ。君は僕のもっとも危険な、敵だった」
ずずず
少年「ぐ、ぐう!?」
トリガー「ただ頃すだけじゃ生ぬるいからね。このまま色んな次元、空間にばらまかさせてもらう。僕の持てる全ての力を使用して」
502: 2014/06/09(月) 22:24:39.26 ID:CVFS0gOo0
99
--自宅--
ハイ「そうか――」
ハイは理解した。
ハイ「トリガー以外にルートを操っていた存在……そういう、ことだったのね」
Q「――彼の魂は色んな時代、色んな次元、色んな国に飛ばされてしまった……僕はそんな彼らを一つの場所に集めるために、このSSを書いていたんだ。記憶を取り戻させるために」
ハイ「それって、つまり……」
Q「好むと好まざるとにかかわらず、魂に導かれて開いてしまう……このSSにはそういう細工をしていたんだよ」
ハイ「じゃあ……様々な次元に吹き飛ばされた原初の勇者は……」
Q「そう、このSSを読んでいるもの達だ」
--自宅--
ハイ「そうか――」
ハイは理解した。
ハイ「トリガー以外にルートを操っていた存在……そういう、ことだったのね」
Q「――彼の魂は色んな時代、色んな次元、色んな国に飛ばされてしまった……僕はそんな彼らを一つの場所に集めるために、このSSを書いていたんだ。記憶を取り戻させるために」
ハイ「それって、つまり……」
Q「好むと好まざるとにかかわらず、魂に導かれて開いてしまう……このSSにはそういう細工をしていたんだよ」
ハイ「じゃあ……様々な次元に吹き飛ばされた原初の勇者は……」
Q「そう、このSSを読んでいるもの達だ」
503: 2014/06/09(月) 22:25:05.23 ID:CVFS0gOo0
100
記憶がアンロックされました。
記憶がアンロックされました。
520: 2014/06/17(火) 01:57:09.69 ID:wBV5f0Vv0
101
--自宅--
ゴゴゴゴゴゴゴ
ハイ「あらゆる次元に散らばる勇者達が、ここに集められていた……」
ハイはディスプレイに映る掲示板を見る。
Q「……これで最後のピースが、揃った」
ぱあぁあぁあぁあぁ!
ハイ「っ! この光は!?」
無数の光の粒が世界中から飛来する。
そしてそれは結合し、徐々に人の形になっていく。
ぴかっ
ハイ「うぉっ、まぶし!」
じゅうううう……
??「……」
ハイ「これが……この人が……」
Q「最初の勇者、ユー」
--自宅--
ゴゴゴゴゴゴゴ
ハイ「あらゆる次元に散らばる勇者達が、ここに集められていた……」
ハイはディスプレイに映る掲示板を見る。
Q「……これで最後のピースが、揃った」
ぱあぁあぁあぁあぁ!
ハイ「っ! この光は!?」
無数の光の粒が世界中から飛来する。
そしてそれは結合し、徐々に人の形になっていく。
ぴかっ
ハイ「うぉっ、まぶし!」
じゅうううう……
??「……」
ハイ「これが……この人が……」
Q「最初の勇者、ユー」
521: 2014/06/17(火) 01:57:38.43 ID:wBV5f0Vv0
102
--自宅--
ユーと呼ばれた、細剣を帯刀した若い男性が目を開く。
??改めユー「……」
ハイ「これで……この人がいれば本当になんとかなるん、ですね?」
Q「なる。いや、君たちがするんだ。バッドエンドの無い世界に」
ハイ「……」
ごくりと唾を飲む。
ハイはこの世界でやっと、希望を見つけた気がした。
「やって、くれたね」
--自宅--
ユーと呼ばれた、細剣を帯刀した若い男性が目を開く。
??改めユー「……」
ハイ「これで……この人がいれば本当になんとかなるん、ですね?」
Q「なる。いや、君たちがするんだ。バッドエンドの無い世界に」
ハイ「……」
ごくりと唾を飲む。
ハイはこの世界でやっと、希望を見つけた気がした。
「やって、くれたね」
522: 2014/06/17(火) 01:58:16.71 ID:wBV5f0Vv0
103
--自宅--
ハイ「!?」
Q「!!」
ザッ
ハイの部屋の中に
ハイ「トリガー……」
トリガー「僕に感知されずにこんなことをしていたなんて……さっさと破壊しておくべきだったよ、Q」
トリガーが現れた。
ハイ「く!」
サッ!
ハイはカッターを手にして構える。例えそれが無意味なこととわかっていても。
--自宅--
ハイ「!?」
Q「!!」
ザッ
ハイの部屋の中に
ハイ「トリガー……」
トリガー「僕に感知されずにこんなことをしていたなんて……さっさと破壊しておくべきだったよ、Q」
トリガーが現れた。
ハイ「く!」
サッ!
ハイはカッターを手にして構える。例えそれが無意味なこととわかっていても。
523: 2014/06/17(火) 01:59:07.12 ID:wBV5f0Vv0
104
--自宅--
トリガー「念には念を入れて除去したと言うのに……まさかこんなことが起こるとはね……」
ざっ
ユー「……」
トリガーとユーは見つめあう。
トリガー「……」
ユー「……」
トリガー「……なるほど、一度はバラバラに砕け散った魂。再び一つに集まったとしても同じようにはいかないか」
喋らないユーを見てトリガーは察する。
トリガー(だがこの力は驚異であることに違いない……ここで、始末する)
ゆらっ
--自宅--
トリガー「念には念を入れて除去したと言うのに……まさかこんなことが起こるとはね……」
ざっ
ユー「……」
トリガーとユーは見つめあう。
トリガー「……」
ユー「……」
トリガー「……なるほど、一度はバラバラに砕け散った魂。再び一つに集まったとしても同じようにはいかないか」
喋らないユーを見てトリガーは察する。
トリガー(だがこの力は驚異であることに違いない……ここで、始末する)
ゆらっ
524: 2014/06/17(火) 01:59:43.30 ID:wBV5f0Vv0
105
--自宅--
ガチッ
ハイ「え」
カチコチカチコチ……カチコチカチコチ!!
その時、懐中時計の針が反時計回りで回り出した。
ハイ「! 今まで一度も動かなかった懐中時計が!!」
カチコチカチコチカチコチカチコチ!!
懐中時計から魔力が吹き出して、ハイとユーをドーム状に覆った。
ヴヴヴヴヴヴ……
トリガー「一体これは……把握してないことが多すぎる……」
トリガーはそれに触れようと手を伸ばした。
Q「時間転移魔法だよ」
トリガー「……!!??」
--自宅--
ガチッ
ハイ「え」
カチコチカチコチ……カチコチカチコチ!!
その時、懐中時計の針が反時計回りで回り出した。
ハイ「! 今まで一度も動かなかった懐中時計が!!」
カチコチカチコチカチコチカチコチ!!
懐中時計から魔力が吹き出して、ハイとユーをドーム状に覆った。
ヴヴヴヴヴヴ……
トリガー「一体これは……把握してないことが多すぎる……」
トリガーはそれに触れようと手を伸ばした。
Q「時間転移魔法だよ」
トリガー「……!!??」
525: 2014/06/17(火) 02:00:37.61 ID:wBV5f0Vv0
106
--自宅--
ハイ「え……」
ハイはトリガーが驚いたことに驚く。
ハイの知る限り、トリガーがこんなに驚いたことは無かったはずだから……。
トリガー「……」
トリガーはしばらく呆然とし、それに視線を移した。
Q「――君が欲しかった力だろう?」
トリガー「……」
Q「科学では無理だった。でも魔法なら方法があるかもしれないと、あの時そう考えていたんじゃないのか?」
トリガー「……」
--自宅--
ハイ「え……」
ハイはトリガーが驚いたことに驚く。
ハイの知る限り、トリガーがこんなに驚いたことは無かったはずだから……。
トリガー「……」
トリガーはしばらく呆然とし、それに視線を移した。
Q「――君が欲しかった力だろう?」
トリガー「……」
Q「科学では無理だった。でも魔法なら方法があるかもしれないと、あの時そう考えていたんじゃないのか?」
トリガー「……」
526: 2014/06/17(火) 02:01:13.33 ID:wBV5f0Vv0
107
--自宅--
ヴヴヴヴヴヴヴ
トリガー「これで……過去に戻れるのか?」
Q「恐らく」
トリガー「……」
トリガーは、一瞬だけ表情を変えた。
ハイ「」
――それに気づいたのはハイのみ。
トリガー「ふう……なるほどね。この結末をやり直すために過去へ飛ぶのか。そして僕を倒す、と」
Q「……そうだ」
トリガー「ありえない話だよ」
トリガーはいつもの余裕を取り戻していた。
--自宅--
ヴヴヴヴヴヴヴ
トリガー「これで……過去に戻れるのか?」
Q「恐らく」
トリガー「……」
トリガーは、一瞬だけ表情を変えた。
ハイ「」
――それに気づいたのはハイのみ。
トリガー「ふう……なるほどね。この結末をやり直すために過去へ飛ぶのか。そして僕を倒す、と」
Q「……そうだ」
トリガー「ありえない話だよ」
トリガーはいつもの余裕を取り戻していた。
527: 2014/06/17(火) 02:02:26.89 ID:wBV5f0Vv0
108
--自宅--
トリガー「ハイ。君は本気で過去に戻ろうと言うのかい?」
ハイ「……はい」
トリガー「なぜだい? そんなにこの世界が気に入らないのかい? この世界は争いが無い世界なんだよ?」
トリガーは語る。
トリガー「全ての者に役割を与え、誰も苦痛に苛まれることの無い希望の世界。かつて君たちが魔王を倒し、そして作り上げようとした世界そのものじゃないか」
ハイ「……」
トリガー「……ツインテ達がいないことが不満なのかい? それならこの後生まれる予定になっているよ。彼らの存在を消したわけじゃあない。僕はあの時戦った者達を全て復活させようとしているんだ」
ハイ「……それが気に入らないんですよ」
トリガー「……何?」
ハイ「なんでもかんでも貴方に管理されてることが気に入らないって、私は言っているんです!」
--自宅--
トリガー「ハイ。君は本気で過去に戻ろうと言うのかい?」
ハイ「……はい」
トリガー「なぜだい? そんなにこの世界が気に入らないのかい? この世界は争いが無い世界なんだよ?」
トリガーは語る。
トリガー「全ての者に役割を与え、誰も苦痛に苛まれることの無い希望の世界。かつて君たちが魔王を倒し、そして作り上げようとした世界そのものじゃないか」
ハイ「……」
トリガー「……ツインテ達がいないことが不満なのかい? それならこの後生まれる予定になっているよ。彼らの存在を消したわけじゃあない。僕はあの時戦った者達を全て復活させようとしているんだ」
ハイ「……それが気に入らないんですよ」
トリガー「……何?」
ハイ「なんでもかんでも貴方に管理されてることが気に入らないって、私は言っているんです!」
528: 2014/06/17(火) 02:03:59.35 ID:wBV5f0Vv0
109
--自宅--
トリガー「何を言い出すのかと思えばくだらない。たとえ管理されていようとも、何不自由なく暮らせていけるのであれば、それは幸せじゃないか」
ハイ「トリガープログラム」
ぴくっ
と、トリガーが反応する。
ハイ「人類を抹頃するためのプログラム。栄光ある人類の歴史に蛇足を作らせないために強制的に人類を終わらせる……それが貴方を蝕んでいる行動原理……」
ユー「……」
ハイ「そしてそれを回避するために貴方は……人類を人類じゃない形にしたんだ……完全管理された人類……そんなもの人とは呼べない……家畜だ」
トリガー「……」
ハイ「でもそうすることで、貴方は自身の破壊衝動から逃れることが出来たんだ」
--自宅--
トリガー「何を言い出すのかと思えばくだらない。たとえ管理されていようとも、何不自由なく暮らせていけるのであれば、それは幸せじゃないか」
ハイ「トリガープログラム」
ぴくっ
と、トリガーが反応する。
ハイ「人類を抹頃するためのプログラム。栄光ある人類の歴史に蛇足を作らせないために強制的に人類を終わらせる……それが貴方を蝕んでいる行動原理……」
ユー「……」
ハイ「そしてそれを回避するために貴方は……人類を人類じゃない形にしたんだ……完全管理された人類……そんなもの人とは呼べない……家畜だ」
トリガー「……」
ハイ「でもそうすることで、貴方は自身の破壊衝動から逃れることが出来たんだ」
529: 2014/06/17(火) 02:06:23.09 ID:wBV5f0Vv0
110
--自宅--
トリガー「……」
ハイ「あの時代までは魔王に文明を圧迫させることで管理してきた……でも勇者というイレギュラーが現れてから貴方の計画が狂い始めた。世界に打ち込んだルールが次々とほころびを増やしていって、とても制御できるものじゃなくなってしまった……だから今のこの世界のような、貴方が人類を完全に管理する計画に変更したんですよね?」
トリガー「……まぁ結構当たっているかな。けど何かい? 君はそういう理由があるからこそ、この世界は受け入れられないと?」
ハイ「はい」
トリガー「ふむ……でもいいのかな? この世界には竜子や代表と過ごしてきた君の人生があるはずでは?」
ハイ「」
その言葉はハイの脳裏に竜子と代表の姿を過ぎらせた。
トリガー「……君が過去に飛べば歴史を変えられるかもしれない。でもそうしたら未来であるこの世界は消滅するだろう。バタフライエフェクトというやつだ」
Q「ハイ、トリガーの言葉に耳を貸すな!」
トリガー「どちらにせよ、君は竜子達と永遠に別れることになるんだよ?」
--自宅--
トリガー「……」
ハイ「あの時代までは魔王に文明を圧迫させることで管理してきた……でも勇者というイレギュラーが現れてから貴方の計画が狂い始めた。世界に打ち込んだルールが次々とほころびを増やしていって、とても制御できるものじゃなくなってしまった……だから今のこの世界のような、貴方が人類を完全に管理する計画に変更したんですよね?」
トリガー「……まぁ結構当たっているかな。けど何かい? 君はそういう理由があるからこそ、この世界は受け入れられないと?」
ハイ「はい」
トリガー「ふむ……でもいいのかな? この世界には竜子や代表と過ごしてきた君の人生があるはずでは?」
ハイ「」
その言葉はハイの脳裏に竜子と代表の姿を過ぎらせた。
トリガー「……君が過去に飛べば歴史を変えられるかもしれない。でもそうしたら未来であるこの世界は消滅するだろう。バタフライエフェクトというやつだ」
Q「ハイ、トリガーの言葉に耳を貸すな!」
トリガー「どちらにせよ、君は竜子達と永遠に別れることになるんだよ?」
530: 2014/06/17(火) 02:09:09.11 ID:wBV5f0Vv0
111
--自宅--
ヴヴヴヴヴヴヴヴ
ハイ「……」
ユー「……」
Q「ハイ……! しっかりするんだ!」
トリガー「黙りなよQ。君はハイを駒にしているだけに過ぎない。君は彼女の今の生活を考えたことはあったのかい?」
Q「!!」
トリガー「あのまま何も知らずにいれば、ハイは友達やかつての仲間たちと楽しい人生を送っていけたはずなのに。君はもう一度ハイをあの戦場に送り込もうとしているんだ」
Q「」
ハイ「私……は……」
ハイは震えている。
この世界での出来事は夢や幻なんかじゃあない。
トリガー「君はハイに、一つの世界が消滅する選択をさせようとしているんだ」
ハイ「私は」
--自宅--
ヴヴヴヴヴヴヴヴ
ハイ「……」
ユー「……」
Q「ハイ……! しっかりするんだ!」
トリガー「黙りなよQ。君はハイを駒にしているだけに過ぎない。君は彼女の今の生活を考えたことはあったのかい?」
Q「!!」
トリガー「あのまま何も知らずにいれば、ハイは友達やかつての仲間たちと楽しい人生を送っていけたはずなのに。君はもう一度ハイをあの戦場に送り込もうとしているんだ」
Q「」
ハイ「私……は……」
ハイは震えている。
この世界での出来事は夢や幻なんかじゃあない。
トリガー「君はハイに、一つの世界が消滅する選択をさせようとしているんだ」
ハイ「私は」
531: 2014/06/17(火) 02:10:15.30 ID:wBV5f0Vv0
112
--自宅--
ぱんっ!!
トリガー「」
Q「」
ユー「……」
ハイは自分の頬を両手で叩く。
ハイ「……私は、それでも過去に戻ります」
トリガー「……愚かな……誰も今を変えて欲しいと願うものはいないんだよ? 全ての人が救われた世界なんだよ??」
ハイ「違います。それは違います」
トリガー「管理された世界に幸せは無いと言うのかい? そんなものは君のエゴだ。君は知らないんだ、かつての人類がどれほどの血の連鎖を作り上げてきたか……それ」
ハイ「まだ貴方が救われていません」
--自宅--
ぱんっ!!
トリガー「」
Q「」
ユー「……」
ハイは自分の頬を両手で叩く。
ハイ「……私は、それでも過去に戻ります」
トリガー「……愚かな……誰も今を変えて欲しいと願うものはいないんだよ? 全ての人が救われた世界なんだよ??」
ハイ「違います。それは違います」
トリガー「管理された世界に幸せは無いと言うのかい? そんなものは君のエゴだ。君は知らないんだ、かつての人類がどれほどの血の連鎖を作り上げてきたか……それ」
ハイ「まだ貴方が救われていません」
532: 2014/06/17(火) 02:11:30.94 ID:wBV5f0Vv0
113
--自宅--
トリガー「」
トリガーは、
トリガー「」
あまりに想定外の言葉を聞いたために、しばらくの間停止した。
ハイ「私が考える勇者は、全てを救うんです。それが例え……魔王でも」
トリガー「」
Q「ハイ……」
ハイ「私達は貴方を止めに行きます。でもそれは倒すってことじゃない……あのssを読んでいて、そう考えを変えました」
ユー「……」
ユーは静かに目を瞑る。
ハイ「貴方を倒して、貴方も、世界も、人類の未来も救います!! だから私は過去に戻らなくちゃいけないんだ!!」
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!
--自宅--
トリガー「」
トリガーは、
トリガー「」
あまりに想定外の言葉を聞いたために、しばらくの間停止した。
ハイ「私が考える勇者は、全てを救うんです。それが例え……魔王でも」
トリガー「」
Q「ハイ……」
ハイ「私達は貴方を止めに行きます。でもそれは倒すってことじゃない……あのssを読んでいて、そう考えを変えました」
ユー「……」
ユーは静かに目を瞑る。
ハイ「貴方を倒して、貴方も、世界も、人類の未来も救います!! だから私は過去に戻らなくちゃいけないんだ!!」
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!
533: 2014/06/17(火) 02:12:52.67 ID:wBV5f0Vv0
114
--自宅--
トリガー「は……ははは……こんなことを言ってきたのは、君が初めてだよ……」
トリガーは手で顔を押さえる。
ハイ「――Qさんのおかげで全てを知れたからです」
Q「ハイ……」
トリガー「……本当に愚かだよ。君たちに僕は止められない。そんなことはわかっているだろうに」
ハイ「いえ――それがそんなことないんです。実は私勝機を見つけちゃいました。トリガー、貴方の矛盾をね」
Q「!?」
トリガー「……なん、だと?」
ヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!!
魔力が臨界を迎えようとしている。
ハイ「それに今はユーさんもいます。きっと、きっとなんとかなるはずです!」
トリガー「……」
--自宅--
トリガー「は……ははは……こんなことを言ってきたのは、君が初めてだよ……」
トリガーは手で顔を押さえる。
ハイ「――Qさんのおかげで全てを知れたからです」
Q「ハイ……」
トリガー「……本当に愚かだよ。君たちに僕は止められない。そんなことはわかっているだろうに」
ハイ「いえ――それがそんなことないんです。実は私勝機を見つけちゃいました。トリガー、貴方の矛盾をね」
Q「!?」
トリガー「……なん、だと?」
ヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!!
魔力が臨界を迎えようとしている。
ハイ「それに今はユーさんもいます。きっと、きっとなんとかなるはずです!」
トリガー「……」
534: 2014/06/17(火) 02:17:20.91 ID:wBV5f0Vv0
115
--自宅--
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!!
Q「! ハイ、ユー。そろそろ時間だ!」
ハイ「はい……」
ハイは窓の外の世界に視線を送る。
ハイ「……さよなら」
トリガー「この世界を滅ぼしてでも、過去を変えたいのか。僕を……救いたいというのか」
トリガーは、もう魔力のドームに触れようとしていない。
ハイ「ふふ、トリガー。もうその脅しは私には聞きませんよ」
トリガー「……なんだって?」
ハイ「貴方の力、ルート。それがこの世界がきっと無事に残るっていう証拠ですよ。世界は分岐して独自の世界をなしているんですから」
トリガー「!!」
ヴヴヴヴヴヴ!!
ハイ「まぁ……」
ヴヴ!!
ハイ「駄目だったら氏ぬ気で謝りますけ」
ばしゅん!!!!
--自宅--
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!!
Q「! ハイ、ユー。そろそろ時間だ!」
ハイ「はい……」
ハイは窓の外の世界に視線を送る。
ハイ「……さよなら」
トリガー「この世界を滅ぼしてでも、過去を変えたいのか。僕を……救いたいというのか」
トリガーは、もう魔力のドームに触れようとしていない。
ハイ「ふふ、トリガー。もうその脅しは私には聞きませんよ」
トリガー「……なんだって?」
ハイ「貴方の力、ルート。それがこの世界がきっと無事に残るっていう証拠ですよ。世界は分岐して独自の世界をなしているんですから」
トリガー「!!」
ヴヴヴヴヴヴ!!
ハイ「まぁ……」
ヴヴ!!
ハイ「駄目だったら氏ぬ気で謝りますけ」
ばしゅん!!!!
535: 2014/06/17(火) 02:18:58.56 ID:wBV5f0Vv0
116
--自宅--
んんん……
しゅうぅううう……
トリガー「……」
ハイとユーの姿が完全に無くなった。
Q「……行った……か。何も変わったように思わないところを見ると……ハイの仮説の方が正しいのかな?」
トリガー「さぁね……」
トリガーは窓の外を見つめている。
--自宅--
んんん……
しゅうぅううう……
トリガー「……」
ハイとユーの姿が完全に無くなった。
Q「……行った……か。何も変わったように思わないところを見ると……ハイの仮説の方が正しいのかな?」
トリガー「さぁね……」
トリガーは窓の外を見つめている。
536: 2014/06/17(火) 02:19:43.17 ID:wBV5f0Vv0
117
--謎空間--
ぎゅるるるるるるるるるるるるるるるる!!
ハイ「きゃ、きゃあああああああああああああああ!! 目が回る目が回っちゃいますうううう!!」
ユー「……」
虹色に光る空間の中をきりもみ状態で飛行するハイとユー。
そして……
ばちっ!!
--謎空間--
ぎゅるるるるるるるるるるるるるるるる!!
ハイ「きゃ、きゃあああああああああああああああ!! 目が回る目が回っちゃいますうううう!!」
ユー「……」
虹色に光る空間の中をきりもみ状態で飛行するハイとユー。
そして……
ばちっ!!
537: 2014/06/17(火) 02:20:54.16 ID:wBV5f0Vv0
118
--郵便局--
大カバ亜人「あぁ忙しい忙しいみゃあ。あれも売ってこれも売って……くそっ、競売が近いのに普通に仕事なんてしてられないみゃあ!!」
郵便局員「あ、あの所長。今回は配達物が多過ぎるので人手が足りないのですがどうしたら……」
大カバ亜人「うるさいみゃあ! いちいち上司に話を聞かんで自分で考えろみゃあ!!」
ばんっ!!
郵便局員「ひっ、ひいい!! す、すいません!」
大カバ亜人「まったく!」
どすどすどす
郵便局員「……あの、どちらに?」
大カバ亜人「葉巻!!」
バンッ!!
思い切りドアが叩きつけられる。
--郵便局--
大カバ亜人「あぁ忙しい忙しいみゃあ。あれも売ってこれも売って……くそっ、競売が近いのに普通に仕事なんてしてられないみゃあ!!」
郵便局員「あ、あの所長。今回は配達物が多過ぎるので人手が足りないのですがどうしたら……」
大カバ亜人「うるさいみゃあ! いちいち上司に話を聞かんで自分で考えろみゃあ!!」
ばんっ!!
郵便局員「ひっ、ひいい!! す、すいません!」
大カバ亜人「まったく!」
どすどすどす
郵便局員「……あの、どちらに?」
大カバ亜人「葉巻!!」
バンッ!!
思い切りドアが叩きつけられる。
538: 2014/06/17(火) 02:21:48.06 ID:wBV5f0Vv0
119
--郵便局--
大カバ亜人「全く……無能な部下を持つと上は苦労するみゃあ……」
すぱー
大カバ亜人は雲ひとつ無い晴天に煙を吐く。
……ばちっ
大カバ亜人「ん? 今なんかばちってなったみゃあ?」
ばちばちっ
大カバ亜人「ありゃま……晴れてるのに雷かみゃあ? 珍しいこともあるもんで……」
ばちばちばちばちばちっ!!!!
大カバ亜人「か、かばーーーーーー!?」
バチバチバチバチバチバチバアチィイッィイイイ!!!!
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンン!!
--郵便局--
大カバ亜人「全く……無能な部下を持つと上は苦労するみゃあ……」
すぱー
大カバ亜人は雲ひとつ無い晴天に煙を吐く。
……ばちっ
大カバ亜人「ん? 今なんかばちってなったみゃあ?」
ばちばちっ
大カバ亜人「ありゃま……晴れてるのに雷かみゃあ? 珍しいこともあるもんで……」
ばちばちばちばちばちっ!!!!
大カバ亜人「か、かばーーーーーー!?」
バチバチバチバチバチバチバアチィイッィイイイ!!!!
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンン!!
539: 2014/06/17(火) 02:23:38.27 ID:wBV5f0Vv0
120
--郵便局--
しゅぅう……
ばちっばちばちっ……
大カバ亜人「あ、あがっ……あががが……」
しゅぅううううぅううう
大カバ亜人は突然の出来事にパニックを起こし、おしOこを漏らしていた。
ダダン、ダン、ダダン
ダダン、ダン、ダダン
そして、煙の中心には……
ハイ「……げほっごほっ」
全裸のハイとユーがいた。
ばちばちっ
ハイ「げほっ…………あいるーびーばっく?」
--郵便局--
しゅぅう……
ばちっばちばちっ……
大カバ亜人「あ、あがっ……あががが……」
しゅぅううううぅううう
大カバ亜人は突然の出来事にパニックを起こし、おしOこを漏らしていた。
ダダン、ダン、ダダン
ダダン、ダン、ダダン
そして、煙の中心には……
ハイ「……げほっごほっ」
全裸のハイとユーがいた。
ばちばちっ
ハイ「げほっ…………あいるーびーばっく?」
548: 2014/06/24(火) 02:18:42.49 ID:16vX/aHu0
121
--郵便局--
大カバ亜人「なにが……起きたみゃあ?」
しゅううぅうぅ……
ハイ「魔力の流れを感じる……」
ハイは自分の掌を見つめている。そして体を覆う魔力の存在を懐かしく感じた。
ハイ「私達、戻ってこれたんでしょうか?」
ユー「……」
こくり
ユーは無表情のまま頷いた。
ハイ「! きゃあっ!? わた、わわわ私達裸じゃないですか! ナンデ!?」
まいっちんぐ、とハイは身体を隠す。
ユー「……」
真顔のユーはゆっくりと同じポーズを取った。
--郵便局--
大カバ亜人「なにが……起きたみゃあ?」
しゅううぅうぅ……
ハイ「魔力の流れを感じる……」
ハイは自分の掌を見つめている。そして体を覆う魔力の存在を懐かしく感じた。
ハイ「私達、戻ってこれたんでしょうか?」
ユー「……」
こくり
ユーは無表情のまま頷いた。
ハイ「! きゃあっ!? わた、わわわ私達裸じゃないですか! ナンデ!?」
まいっちんぐ、とハイは身体を隠す。
ユー「……」
真顔のユーはゆっくりと同じポーズを取った。
549: 2014/06/24(火) 02:20:12.51 ID:16vX/aHu0
122
--郵便局--
ハイ「……って、そんなことしてる場合じゃないですね。ここはどこで今はいつなのか調べないと!」
ざり
大カバ亜人「誰かと思えば、ハイじゃないか……」
ハイ「! 所長! あ……ここ郵便局だ」
ハイは見覚えのある場所だと気づく。そう、ここはかつての勤め先なのだ。
大カバ亜人「一体何をしてるんだみゃあ……。今の爆発はお前のせいなのかみゃ? その隣の男はうちの職員じゃないみたいだが、誰なんだみゃ」
ハイ「所長! 今日は何年何月何日ですか!?」
大カバ亜人を遮るハイ。
大カバ亜人「かばっ!?……そ、そんなの1010年2月23日だみゃあ……なんでそんなことを……」
ハイ「1010年2月23日……!!……北の王国が滅ぼされるより前だ!」
--郵便局--
ハイ「……って、そんなことしてる場合じゃないですね。ここはどこで今はいつなのか調べないと!」
ざり
大カバ亜人「誰かと思えば、ハイじゃないか……」
ハイ「! 所長! あ……ここ郵便局だ」
ハイは見覚えのある場所だと気づく。そう、ここはかつての勤め先なのだ。
大カバ亜人「一体何をしてるんだみゃあ……。今の爆発はお前のせいなのかみゃ? その隣の男はうちの職員じゃないみたいだが、誰なんだみゃ」
ハイ「所長! 今日は何年何月何日ですか!?」
大カバ亜人を遮るハイ。
大カバ亜人「かばっ!?……そ、そんなの1010年2月23日だみゃあ……なんでそんなことを……」
ハイ「1010年2月23日……!!……北の王国が滅ぼされるより前だ!」
550: 2014/06/24(火) 02:21:39.43 ID:16vX/aHu0
123
--郵便局--
ハイ「やった……! ちゃんと戻って来れたんですね! しかもあの悲劇の前に!!」
興奮するハイ。
大カバ亜人「き、北の王国が滅ぼされるゥ? 何を言ってるんだみゃあ……さっきの爆発で頭がおかしくなったのかみゃ?」
ハイ「でもその日まで一週間しかない……助けに行かなきゃ!」
だっ!
ハイは全裸で駆け出した。
ユー「……」
それを追うようにユーも駆けていく。
ダダダダダ!
大カバ亜人「……プレイかな?」
--郵便局--
ハイ「やった……! ちゃんと戻って来れたんですね! しかもあの悲劇の前に!!」
興奮するハイ。
大カバ亜人「き、北の王国が滅ぼされるゥ? 何を言ってるんだみゃあ……さっきの爆発で頭がおかしくなったのかみゃ?」
ハイ「でもその日まで一週間しかない……助けに行かなきゃ!」
だっ!
ハイは全裸で駆け出した。
ユー「……」
それを追うようにユーも駆けていく。
ダダダダダ!
大カバ亜人「……プレイかな?」
551: 2014/06/24(火) 02:23:03.20 ID:16vX/aHu0
124
--郵便局--
ダダダダダ!
ユニコーン「……ひひん?」
ハイ「っ! ユニちゃん! 会いたかった……!」
がばっ!
ユニコーン「ひひん!?……ぶるる……」
涙ながらに抱きつくハイと突然のことに驚くユニコーン。
彼にとっては数時間会っていないだけなので、ハイの行動は理解できなかった。
ハイ「……っと、悠長にしている時間は無いんです。ユニちゃん、いきなりですが走ってもらいますよ!」
がちゃがちゃ
ハイは近くに置いてある備品をユニコーンに積んでいく。
--郵便局--
ダダダダダ!
ユニコーン「……ひひん?」
ハイ「っ! ユニちゃん! 会いたかった……!」
がばっ!
ユニコーン「ひひん!?……ぶるる……」
涙ながらに抱きつくハイと突然のことに驚くユニコーン。
彼にとっては数時間会っていないだけなので、ハイの行動は理解できなかった。
ハイ「……っと、悠長にしている時間は無いんです。ユニちゃん、いきなりですが走ってもらいますよ!」
がちゃがちゃ
ハイは近くに置いてある備品をユニコーンに積んでいく。
552: 2014/06/24(火) 02:23:31.21 ID:16vX/aHu0
125
--郵便局--
ひょこ
馬係「おうハイちゃんか? どうしたんじゃそんなに慌てて……どわっ!? 裸!? 裸ナンデッ!?」
ハイ「きゃっ!! そうだ忘れてました……ちょっと更衣室行ってきます」
たたた、ばたん
ユー「……」
更衣室に走るハイを仁王立ちしながら見送るユー。
馬係「……」
ユー「……」
馬係「……プレイ中だったかな?」
--郵便局--
ひょこ
馬係「おうハイちゃんか? どうしたんじゃそんなに慌てて……どわっ!? 裸!? 裸ナンデッ!?」
ハイ「きゃっ!! そうだ忘れてました……ちょっと更衣室行ってきます」
たたた、ばたん
ユー「……」
更衣室に走るハイを仁王立ちしながら見送るユー。
馬係「……」
ユー「……」
馬係「……プレイ中だったかな?」
553: 2014/06/24(火) 02:26:03.04 ID:16vX/aHu0
126
--郵便局--
ハイ「馬係さん! さっそくですけど私出ます!」
馬係「おう? 長距離配達かい? そんな知らせは受けて無いのじゃが……」
馬係はそう言いながらもユニコーンに荷物を積んでいく。
ハイ「訳あっていかねばならないんです……」
馬係「訳?」
ハイ「えぇ、世界を護るために」
馬係「ひょっ?」
馬係は驚いたような声を出す。
ハイ「……」
馬係「……そうか。それなら行くといいさハイちゃん。世界をよろしく頼むよ」
しかし穏やかな表情で大きめの水筒を二つハイに渡した。
ハイ「……疑わないんですか? 意味のわからないこといって早退しようとしてるだけかもしれないですよ?」
自分で言っといてなんですが、とハイ。
馬係「ふふふ。だれが、ハイちゃんのいうことをうたがうものですか」
ハイ「お、おばあちゃん……!!」
馬係「おじいちゃんじゃよ」
--郵便局--
ハイ「馬係さん! さっそくですけど私出ます!」
馬係「おう? 長距離配達かい? そんな知らせは受けて無いのじゃが……」
馬係はそう言いながらもユニコーンに荷物を積んでいく。
ハイ「訳あっていかねばならないんです……」
馬係「訳?」
ハイ「えぇ、世界を護るために」
馬係「ひょっ?」
馬係は驚いたような声を出す。
ハイ「……」
馬係「……そうか。それなら行くといいさハイちゃん。世界をよろしく頼むよ」
しかし穏やかな表情で大きめの水筒を二つハイに渡した。
ハイ「……疑わないんですか? 意味のわからないこといって早退しようとしてるだけかもしれないですよ?」
自分で言っといてなんですが、とハイ。
馬係「ふふふ。だれが、ハイちゃんのいうことをうたがうものですか」
ハイ「お、おばあちゃん……!!」
馬係「おじいちゃんじゃよ」
554: 2014/06/24(火) 02:27:43.98 ID:16vX/aHu0
127
--郵便局--
ガラガラガラ
扉を開ける馬係。
ハイ「……じゃあ、行ってきます!」
馬係「あぁ、行っておいで」
ハイは馬係と握手をし、ユニコーンとともに地平線を見据える。
ハイ「はいよー、ユニちゃん!」
ユニコーン「ひひーん!」
ぱからっぱからっぱからっぱからっぱからっ!
馬係「……」
馬係は旅立つハイを見送った。
ユー「……」
馬係「……そんで、お前さんはいかなくていいのかな?」
ユー「……」
ダッ!
言われて走り出すフルチン。
馬係「ちょっ! せ、せめてこれを持ってきなさい!」
馬係は慌ててユーにマントを渡す。
ユー「……」
ペコ
ユーはお辞儀をすると、颯爽とマントを羽織ってフルチンで走り出した。
馬係「……大丈夫かなぁ」
--郵便局--
ガラガラガラ
扉を開ける馬係。
ハイ「……じゃあ、行ってきます!」
馬係「あぁ、行っておいで」
ハイは馬係と握手をし、ユニコーンとともに地平線を見据える。
ハイ「はいよー、ユニちゃん!」
ユニコーン「ひひーん!」
ぱからっぱからっぱからっぱからっぱからっ!
馬係「……」
馬係は旅立つハイを見送った。
ユー「……」
馬係「……そんで、お前さんはいかなくていいのかな?」
ユー「……」
ダッ!
言われて走り出すフルチン。
馬係「ちょっ! せ、せめてこれを持ってきなさい!」
馬係は慌ててユーにマントを渡す。
ユー「……」
ペコ
ユーはお辞儀をすると、颯爽とマントを羽織ってフルチンで走り出した。
馬係「……大丈夫かなぁ」
555: 2014/06/24(火) 02:29:21.33 ID:16vX/aHu0
128
--草原--
ぱからっぱからっぱからっぱからっ
ダダダダダ!
並走するハイとユー。
ハイ「すいません貴方のこと完全に忘れてて……でもユニちゃんには処Oじゃないと乗れないし」
さりげなく自爆しちゃうハイ。
ユー「……」
ぶんぶん
気にするなとばかりに手を振る裸マント。
ユー「……」
さっ、ささささ
そしてユーが野球のサインを出すような動作を取る。
ハイ「え? どこに向かっているか、ですか? それはもちろん北の王国です。あの悲劇から私達の滅亡は始まったんですから……」
さささささ
ユー「……」
ハイ「どうやって止めるのか、ですか?……そうですね、侵略自体を止めることは出来ないでしょう」
--草原--
ぱからっぱからっぱからっぱからっ
ダダダダダ!
並走するハイとユー。
ハイ「すいません貴方のこと完全に忘れてて……でもユニちゃんには処Oじゃないと乗れないし」
さりげなく自爆しちゃうハイ。
ユー「……」
ぶんぶん
気にするなとばかりに手を振る裸マント。
ユー「……」
さっ、ささささ
そしてユーが野球のサインを出すような動作を取る。
ハイ「え? どこに向かっているか、ですか? それはもちろん北の王国です。あの悲劇から私達の滅亡は始まったんですから……」
さささささ
ユー「……」
ハイ「どうやって止めるのか、ですか?……そうですね、侵略自体を止めることは出来ないでしょう」
556: 2014/06/24(火) 02:30:26.38 ID:16vX/aHu0
129
--草原--
ぱからっぱからっぱからっぱからっ
ダダダダダ!
ハイ「でも、結末を変えることは出来ると思うんです」
ユー「……」
ハイ「北の王様に事情を説明して、魔王が襲撃をかける前に国民全員を避難させようと思ってます」
ユー「……」
ささささ
ハイ「えぇ……簡単には信じてもらえないでしょう。私が未来から来た……時をかける成人女性だということは……」
ぱからっぱからっぱからっぱからっ
ダダダダダ!
ハイ「でもやるしかありません!! ユーさんも力を貸してください!」
ユー「……」
b
--草原--
ぱからっぱからっぱからっぱからっ
ダダダダダ!
ハイ「でも、結末を変えることは出来ると思うんです」
ユー「……」
ハイ「北の王様に事情を説明して、魔王が襲撃をかける前に国民全員を避難させようと思ってます」
ユー「……」
ささささ
ハイ「えぇ……簡単には信じてもらえないでしょう。私が未来から来た……時をかける成人女性だということは……」
ぱからっぱからっぱからっぱからっ
ダダダダダ!
ハイ「でもやるしかありません!! ユーさんも力を貸してください!」
ユー「……」
b
557: 2014/06/24(火) 02:33:21.31 ID:16vX/aHu0
130
--草原--
ぱからっぱからっぱからっぱからっ
ダダダダダ!
ハイ「……え? 未来から来たこともそうだが、そもそも私には説得力が足りない……ですか?」
ユー「……」
ユーはコクコクと頷いている。
ハイ「……そうか。確かにそうですね。私には王の言や独裁者の言のような、説得力をあげるスキルが無い……。未来から来たっていう、ただでさえ突拍子も無い話なのに……こんなんじゃまともに聞いてもらえるわけが無い……」
そもそも王と直接話をすることが出来るのかそれすら怪しい、とハイは続ける。
ハイ「なるほど……まずはそのスキルを持つ人物を探さなくちゃいけないんだ。それでいて私のような一般人とも会ってくれて、私の話を信じてくれるような人を……」
ユー「……」
ユーはコクコクと頷いている。
--草原--
ぱからっぱからっぱからっぱからっ
ダダダダダ!
ハイ「……え? 未来から来たこともそうだが、そもそも私には説得力が足りない……ですか?」
ユー「……」
ユーはコクコクと頷いている。
ハイ「……そうか。確かにそうですね。私には王の言や独裁者の言のような、説得力をあげるスキルが無い……。未来から来たっていう、ただでさえ突拍子も無い話なのに……こんなんじゃまともに聞いてもらえるわけが無い……」
そもそも王と直接話をすることが出来るのかそれすら怪しい、とハイは続ける。
ハイ「なるほど……まずはそのスキルを持つ人物を探さなくちゃいけないんだ。それでいて私のような一般人とも会ってくれて、私の話を信じてくれるような人を……」
ユー「……」
ユーはコクコクと頷いている。
558: 2014/06/24(火) 02:34:47.37 ID:16vX/aHu0
131
--草原--
ぱからっぱからっぱからっぱからっ
ダダダダダ!
ハイ「説得力をあげる言系のスキル持ち……私が知る限りだと、亜人保護団体の代表君。王国の軍師さん。西の王国の西の王様。黄金王国の参謀長さん。それと盗賊さん、か。多分、各国の王様は全員持っているんだろうけど、絶対とは言い切れないし」
ハイは旅の中で起きたことを思い出していく。
ハイ「この中で私が会うことが出来るのは、そして話を信じて貰えるのは……」
ユー「……」
ハイ「……やっぱり盗賊さんしかいない!」
ハイは手綱を握り締める。
ハイ「行こうユーさん! ユニちゃん!! 失われた王国へ!!」
ユニ「ひひーーーーん!!」
--草原--
ぱからっぱからっぱからっぱからっ
ダダダダダ!
ハイ「説得力をあげる言系のスキル持ち……私が知る限りだと、亜人保護団体の代表君。王国の軍師さん。西の王国の西の王様。黄金王国の参謀長さん。それと盗賊さん、か。多分、各国の王様は全員持っているんだろうけど、絶対とは言い切れないし」
ハイは旅の中で起きたことを思い出していく。
ハイ「この中で私が会うことが出来るのは、そして話を信じて貰えるのは……」
ユー「……」
ハイ「……やっぱり盗賊さんしかいない!」
ハイは手綱を握り締める。
ハイ「行こうユーさん! ユニちゃん!! 失われた王国へ!!」
ユニ「ひひーーーーん!!」
559: 2014/06/24(火) 02:35:43.47 ID:16vX/aHu0
132
--氏の砂漠--
びゅおおおおぉおお
砂嵐が二人と一匹を攻め立てる。
ざっ、ざっ
ハイ「はぁ、はぁっ……確か、この辺のはずだったんだけど……」
ハイ達は氏の砂漠の中心をさ迷っている。
ざっ、ざっ
ハイ「はぁ……はぁ……」
氏の砂漠の中心地はあらゆる生命の存在を許さない。
ほとんど一般人である通常状態のハイが耐えられるわけが無かった。
ハイ「おか、しいな。見つかりません……前は、もっと簡単に行けたん、だけ、ど」
ずる
ユニコーン「!? ひひん!!」
どさっ
ハイは砂の上に落ちる。
--氏の砂漠--
びゅおおおおぉおお
砂嵐が二人と一匹を攻め立てる。
ざっ、ざっ
ハイ「はぁ、はぁっ……確か、この辺のはずだったんだけど……」
ハイ達は氏の砂漠の中心をさ迷っている。
ざっ、ざっ
ハイ「はぁ……はぁ……」
氏の砂漠の中心地はあらゆる生命の存在を許さない。
ほとんど一般人である通常状態のハイが耐えられるわけが無かった。
ハイ「おか、しいな。見つかりません……前は、もっと簡単に行けたん、だけ、ど」
ずる
ユニコーン「!? ひひん!!」
どさっ
ハイは砂の上に落ちる。
560: 2014/06/24(火) 02:36:14.48 ID:16vX/aHu0
133
--氏の砂漠--
ユー「……」
そっとハイを担いでユニコーンに乗せるユー。
ハイ「はーっ、はーっ……」
ユー「……」
ハイが強くなれるのは戦闘時のみである。それ以外はただの27歳の女性……。
びゅおおおおおぉおおぉお
力尽きるのは時間の問題だった。
ズシーン
ユー「!……」
ユニコーン「ひひん!?」
その時、
巨大蠍「ぎしゃあぁああ!!」
巨大蠍が姿を現した。
--氏の砂漠--
ユー「……」
そっとハイを担いでユニコーンに乗せるユー。
ハイ「はーっ、はーっ……」
ユー「……」
ハイが強くなれるのは戦闘時のみである。それ以外はただの27歳の女性……。
びゅおおおおおぉおおぉお
力尽きるのは時間の問題だった。
ズシーン
ユー「!……」
ユニコーン「ひひん!?」
その時、
巨大蠍「ぎしゃあぁああ!!」
巨大蠍が姿を現した。
561: 2014/06/24(火) 02:36:46.86 ID:16vX/aHu0
134
--氏の砂漠--
ハイ「こ、このモンスターは……」
配達屋「!? この鳴き声!」
悪役「う、うわぁぁぁ!?」
巨大蠍「ぎしゃあああああ!!」
配達屋「さっきの巨大モンスター!? 私を追ってきたんですね……!」
ハイ「あの時の……そうか、ここらへんを棲家にしていたんですね」
ハイは鞄からパチOコを取り出そうとするのだが、
ぽろ
手に力が入らないため掴み損ねて落としてしまう。
ハイ「う、目も、かすんで……」
巨大蠍「ぎしゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!」
--氏の砂漠--
ハイ「こ、このモンスターは……」
配達屋「!? この鳴き声!」
悪役「う、うわぁぁぁ!?」
巨大蠍「ぎしゃあああああ!!」
配達屋「さっきの巨大モンスター!? 私を追ってきたんですね……!」
ハイ「あの時の……そうか、ここらへんを棲家にしていたんですね」
ハイは鞄からパチOコを取り出そうとするのだが、
ぽろ
手に力が入らないため掴み損ねて落としてしまう。
ハイ「う、目も、かすんで……」
巨大蠍「ぎしゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!」
562: 2014/06/24(火) 02:37:25.37 ID:16vX/aHu0
135
--氏の砂漠--
咆哮とともに巨大蠍は鋏を振り下ろした。
ぶぉん!!
ユニコーン「ひ、ひいひひーーーーん!!」
ユー「」
ばっ
刹那、ユーはマントを翻し、腰に帯刀している二本の細剣、レイピアを抜いた。
しゃん……
ユー「……スキル、二段突き」
ボッ、ボッ!!!!
巨大蠍「」
ハイ「……あ」
薄れゆく意識の中で、ハイは巨大蠍の鋏を吹き飛ばすユーの剣を見た。
--氏の砂漠--
咆哮とともに巨大蠍は鋏を振り下ろした。
ぶぉん!!
ユニコーン「ひ、ひいひひーーーーん!!」
ユー「」
ばっ
刹那、ユーはマントを翻し、腰に帯刀している二本の細剣、レイピアを抜いた。
しゃん……
ユー「……スキル、二段突き」
ボッ、ボッ!!!!
巨大蠍「」
ハイ「……あ」
薄れゆく意識の中で、ハイは巨大蠍の鋏を吹き飛ばすユーの剣を見た。
563: 2014/06/24(火) 02:38:25.48 ID:16vX/aHu0
136
--失われた王国--
ぴちょん
ハイ「ん……ここは」
??「気がついたか?」
ぼんやり
ハイ「あ、はい。ここはどこですか? ユーさん」
??「俺はユーさんじゃぁねぇぜよ」
ハイ「!!」
ガバッ
ハイは飛び起きた。
??「んん。元気があってよろしいぜよ」
髭面長髪のホームレス的存在が立っていた。
ハイ「貴方は……護皇さん」
??「俺か? 俺は護皇……あれ? 俺ら会ったことあったっけぜよ?」
名乗る前に自分の名前を言われて、護皇は不思議そうな顔をする。
--失われた王国--
ぴちょん
ハイ「ん……ここは」
??「気がついたか?」
ぼんやり
ハイ「あ、はい。ここはどこですか? ユーさん」
??「俺はユーさんじゃぁねぇぜよ」
ハイ「!!」
ガバッ
ハイは飛び起きた。
??「んん。元気があってよろしいぜよ」
髭面長髪のホームレス的存在が立っていた。
ハイ「貴方は……護皇さん」
??「俺か? 俺は護皇……あれ? 俺ら会ったことあったっけぜよ?」
名乗る前に自分の名前を言われて、護皇は不思議そうな顔をする。
564: 2014/06/24(火) 02:39:16.12 ID:16vX/aHu0
137
--失われた王国--
ユー「……」
すたすたすたすた
ハイ「あ、ユーさん」
??改め護皇「なんだ、ユーさんてこの男のことかぜよ。無口だからなんにもわからなかったんぜよ」
ユー「……」
もぐもぐ
ユーはジェスチャーで葡萄の美味しさを表現した後、ひと粒ハイの口に入れた。
ハイ「あむ。本当だ、おいしい」
護皇「そらそうだ、ここの果物はなんでもうめぇ。ここは楽園だからな」
ハイ「知ってます。護皇さん、私達盗賊さんに会いに来たんです。今どこにいらっしゃるかわかりますか?」
護皇「……あれ? なんでこの子なんでも知ってるぜよ?」
--失われた王国--
ユー「……」
すたすたすたすた
ハイ「あ、ユーさん」
??改め護皇「なんだ、ユーさんてこの男のことかぜよ。無口だからなんにもわからなかったんぜよ」
ユー「……」
もぐもぐ
ユーはジェスチャーで葡萄の美味しさを表現した後、ひと粒ハイの口に入れた。
ハイ「あむ。本当だ、おいしい」
護皇「そらそうだ、ここの果物はなんでもうめぇ。ここは楽園だからな」
ハイ「知ってます。護皇さん、私達盗賊さんに会いに来たんです。今どこにいらっしゃるかわかりますか?」
護皇「……あれ? なんでこの子なんでも知ってるぜよ?」
565: 2014/06/24(火) 02:40:30.35 ID:16vX/aHu0
138
--失われた王国--
じゃり
占師「ふぇっふぇっ。予言の子でも現れたのかい?」
そこに占師が現れた。
ユー「……」
護皇「予言の子……? まさかこの子がぜよ?」
ハイ「あっ……そういえばこの懐中時計……元はと言えばおばあさんが勇者さんに渡したんですよね?」
ハイは時を越えても身に着けていた懐中時計を占師に渡す。
占師「!……間違いないね。これは私が生涯をかけて作っていたものだよ……昨日いきなり無くなってしまったものだから、もしかしてと思っていたんだが……」
占師はハイの頬に手をあてる。
占師「戻ってきたんだね? 未来から」
ハイ「!!……はい!」
--失われた王国--
じゃり
占師「ふぇっふぇっ。予言の子でも現れたのかい?」
そこに占師が現れた。
ユー「……」
護皇「予言の子……? まさかこの子がぜよ?」
ハイ「あっ……そういえばこの懐中時計……元はと言えばおばあさんが勇者さんに渡したんですよね?」
ハイは時を越えても身に着けていた懐中時計を占師に渡す。
占師「!……間違いないね。これは私が生涯をかけて作っていたものだよ……昨日いきなり無くなってしまったものだから、もしかしてと思っていたんだが……」
占師はハイの頬に手をあてる。
占師「戻ってきたんだね? 未来から」
ハイ「!!……はい!」
566: 2014/06/24(火) 02:42:19.10 ID:16vX/aHu0
139
--失われた王国--
占師「そうかいそうかい……勇者ちゃんに渡すつもりだったのだが、これもめぐり合わせなんだろう。で、ここには何をしに来たんだね?」
ハイ「盗賊さんに会いに来たんです!」
占師「あの青年か。なるほどなるほど……」
占師は窓の外を指差した。
占師「あの子なら先ほどどこかに出発しようとしていたけれど、今ならまだ追いつくかもしれないね」
ハイ「っ! わかりました、ありがとうございます!!」
がばっ!!
ハイは飛び起きて装備を掴んだ。
ハイ「あ……助けてくれてありがとうございます護皇さん。このお礼はいつか返しに来ますから」
護皇「いやぁ、もうそこのあんちゃんからお礼もらっちゃってるから気にしないでぜよ」
護皇の手にはハイのパンツが握られていた。
ハイ「!? いつの間にっ!?」
ユー「……」
b
--失われた王国--
占師「そうかいそうかい……勇者ちゃんに渡すつもりだったのだが、これもめぐり合わせなんだろう。で、ここには何をしに来たんだね?」
ハイ「盗賊さんに会いに来たんです!」
占師「あの青年か。なるほどなるほど……」
占師は窓の外を指差した。
占師「あの子なら先ほどどこかに出発しようとしていたけれど、今ならまだ追いつくかもしれないね」
ハイ「っ! わかりました、ありがとうございます!!」
がばっ!!
ハイは飛び起きて装備を掴んだ。
ハイ「あ……助けてくれてありがとうございます護皇さん。このお礼はいつか返しに来ますから」
護皇「いやぁ、もうそこのあんちゃんからお礼もらっちゃってるから気にしないでぜよ」
護皇の手にはハイのパンツが握られていた。
ハイ「!? いつの間にっ!?」
ユー「……」
b
567: 2014/06/24(火) 02:44:55.56 ID:16vX/aHu0
140
--失われた王国--
だだだだだだだ!!
ハイ「ま、待ってくださあああいい、盗賊さああああん!!」
盗賊「ん?」
旅の格好をし、今まさに出発しようとしている盗賊を呼び止めるハイ。
ハイ「はっ、はっ、はっ……よ、よかった、まだいてくれた……」
ユー「……」
盗賊「誰かな? 見たこと無いけど……」
盗賊は顎に手をあててハイとユーを交互に見た。
ハイ「わ、私……私は……ハイと言います」
ユー「……」
盗賊「ふむ。やっぱり聞いたこと無いな。それでそのハイちゃんが俺になんか用かい?」
息を整えるハイ。
ハイ「ふー……。話を聞いてもらいたいんです……」
盗賊「話?」
ハイ「その……わ、私……未来から来たって言ったら、笑いますか?」
盗賊「笑わないよ。俺、タイプの女の子の言うことだけは絶対に信じることにしてるから」
ハイ「そんな理由で信じちゃうんですかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
ユー「……」
b
--失われた王国--
だだだだだだだ!!
ハイ「ま、待ってくださあああいい、盗賊さああああん!!」
盗賊「ん?」
旅の格好をし、今まさに出発しようとしている盗賊を呼び止めるハイ。
ハイ「はっ、はっ、はっ……よ、よかった、まだいてくれた……」
ユー「……」
盗賊「誰かな? 見たこと無いけど……」
盗賊は顎に手をあててハイとユーを交互に見た。
ハイ「わ、私……私は……ハイと言います」
ユー「……」
盗賊「ふむ。やっぱり聞いたこと無いな。それでそのハイちゃんが俺になんか用かい?」
息を整えるハイ。
ハイ「ふー……。話を聞いてもらいたいんです……」
盗賊「話?」
ハイ「その……わ、私……未来から来たって言ったら、笑いますか?」
盗賊「笑わないよ。俺、タイプの女の子の言うことだけは絶対に信じることにしてるから」
ハイ「そんな理由で信じちゃうんですかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
ユー「……」
b
579: 2014/07/01(火) 02:42:31.35 ID:KOd1hxiD0
141
--失われた王国--
ホーホー
ハイは半日かけて、これからこの世界に起こることと未来での出来事を細かく盗賊に説明した。
パチバチ……
盗賊「……」
ハイ「――という感じなんですが……」
盗賊「……」
ハイ(凄い険しい顔で悩んでる……ことの重大さを理解して、これから何をすべきか考えてるんだろうな……。やっぱりポニテ先輩のお父さんです、頼りになる!)
盗賊(話が複雑かつ難しくてよくわからん。あとうOこしたい)
--失われた王国--
ホーホー
ハイは半日かけて、これからこの世界に起こることと未来での出来事を細かく盗賊に説明した。
パチバチ……
盗賊「……」
ハイ「――という感じなんですが……」
盗賊「……」
ハイ(凄い険しい顔で悩んでる……ことの重大さを理解して、これから何をすべきか考えてるんだろうな……。やっぱりポニテ先輩のお父さんです、頼りになる!)
盗賊(話が複雑かつ難しくてよくわからん。あとうOこしたい)
580: 2014/07/01(火) 02:43:34.40 ID:KOd1hxiD0
142
--失われた王国--
盗賊「つまり、このままいくとよくないことが起きるってことでいいのね?」
ハイ(……私の半日がすぅごい曖昧かつ簡単な一言でまとめられてしまいました……)
少しショックなハイ。
盗賊「……うーん、頼ってきてくれた所悪いんだけど、俺一人で北の王を説き伏せるのは無理だね」
ハイ「えっ!?」
思いがけない一言によりハイは驚いた声を出す。
盗賊「えっていうか。北の王は普通に強敵だよ。道化演じてるけどキレる人だ……。そもそも王に会うことすら難しい」
俺はお尋ね者だからねー、と盗賊。
ハイ「そん、な……」
盗賊「説得力を強化すればまた別だけどな」
ぶっ!
--失われた王国--
盗賊「つまり、このままいくとよくないことが起きるってことでいいのね?」
ハイ(……私の半日がすぅごい曖昧かつ簡単な一言でまとめられてしまいました……)
少しショックなハイ。
盗賊「……うーん、頼ってきてくれた所悪いんだけど、俺一人で北の王を説き伏せるのは無理だね」
ハイ「えっ!?」
思いがけない一言によりハイは驚いた声を出す。
盗賊「えっていうか。北の王は普通に強敵だよ。道化演じてるけどキレる人だ……。そもそも王に会うことすら難しい」
俺はお尋ね者だからねー、と盗賊。
ハイ「そん、な……」
盗賊「説得力を強化すればまた別だけどな」
ぶっ!
581: 2014/07/01(火) 02:45:56.58 ID:KOd1hxiD0
143
--失われた王国--
ハイ(今のおなら、かな……いやでも盗賊さんこんな真剣な表情で話してるんだし、きっと聞き間違いだよね)「説得力を強化、っていうのはどうするんですか?」
盗賊「信じたくさせるような状況に持ってくしかないね。言葉以上の何かで」
ぶっ、ぶぶっ!
ハイ(……完全におならですね、臭いが……でも真剣に話をしてるわけだし、生理現象ですし、ここは平静を装わないと)「な、なるほど。盗賊さんには何か策があるんですか?」
ばぶりっ!
盗賊「一応ね。後は向こうさんがどれだけ手を貸してくれるのかに関わってるんだけどさ」
ぶっ……びちちっ!
ハイ(今の音はまずい!)「あ、はい。……あの、盗賊さん……」
盗賊「どうかした?」
ぶりりりりっ!
ハイ「……盗賊さん……トイレ行ってきたほうがよくないですか?」
盗賊「……あ、いい? じゃあちょっと失礼するよ」
すっ
ひょこひょこ歩きで森の中に消えていった盗賊。
おしりがとてもこんもりしていたという。
--失われた王国--
ハイ(今のおなら、かな……いやでも盗賊さんこんな真剣な表情で話してるんだし、きっと聞き間違いだよね)「説得力を強化、っていうのはどうするんですか?」
盗賊「信じたくさせるような状況に持ってくしかないね。言葉以上の何かで」
ぶっ、ぶぶっ!
ハイ(……完全におならですね、臭いが……でも真剣に話をしてるわけだし、生理現象ですし、ここは平静を装わないと)「な、なるほど。盗賊さんには何か策があるんですか?」
ばぶりっ!
盗賊「一応ね。後は向こうさんがどれだけ手を貸してくれるのかに関わってるんだけどさ」
ぶっ……びちちっ!
ハイ(今の音はまずい!)「あ、はい。……あの、盗賊さん……」
盗賊「どうかした?」
ぶりりりりっ!
ハイ「……盗賊さん……トイレ行ってきたほうがよくないですか?」
盗賊「……あ、いい? じゃあちょっと失礼するよ」
すっ
ひょこひょこ歩きで森の中に消えていった盗賊。
おしりがとてもこんもりしていたという。
582: 2014/07/01(火) 02:46:50.42 ID:KOd1hxiD0
144
--失われた王国--
盗賊「おいおっさん、これに署名してよ」
護皇「ぜよ?」
あれから盗賊は用があると言って護皇の家に寄り、一枚の紙を差し出した。
護皇「これなんぜよ?」
盗賊「なんでもいいから早く書くぜよ」
護皇「そんなこと言ってもよくわからんものにサインなんて出来ないぜよ」
盗賊「いいんだよほれぇ、さっさと書くんだよじじぃ!」
ハイ「無理やり契約させる人みたい!!」
ユー「……」
--失われた王国--
盗賊「おいおっさん、これに署名してよ」
護皇「ぜよ?」
あれから盗賊は用があると言って護皇の家に寄り、一枚の紙を差し出した。
護皇「これなんぜよ?」
盗賊「なんでもいいから早く書くぜよ」
護皇「そんなこと言ってもよくわからんものにサインなんて出来ないぜよ」
盗賊「いいんだよほれぇ、さっさと書くんだよじじぃ!」
ハイ「無理やり契約させる人みたい!!」
ユー「……」
583: 2014/07/01(火) 02:48:07.48 ID:KOd1hxiD0
145
--失われた王国--
盗賊「じゃあちょっと未来から来たハイちゃんと世界救ってきます」
しゅるり
包帯を巻く盗賊。
護皇「いいのかぜよ? お嬢ちゃんのこと待たなくて。計画が狂うぜよ?」
盗賊「勇者には先に行動を起こすって言っといてくれ。どうもこのままじゃ間に合わない気がするんだ」
護皇「……わかったぜよ。気をつけて行ってくるぜよ」
盗賊「おう、ここの守りよろしく頼みますよ。じゃあ行こうぜハイちゃん、ユー君」
ハイ「あ、はい!」
ユー「……」
すたすた
ハイ「ちなみにどこに向かうつもりですか?」
盗賊「あぁ、それはな、黄金王国さ。しばらくよろしくな」
盗賊が仲間になった。
--失われた王国--
盗賊「じゃあちょっと未来から来たハイちゃんと世界救ってきます」
しゅるり
包帯を巻く盗賊。
護皇「いいのかぜよ? お嬢ちゃんのこと待たなくて。計画が狂うぜよ?」
盗賊「勇者には先に行動を起こすって言っといてくれ。どうもこのままじゃ間に合わない気がするんだ」
護皇「……わかったぜよ。気をつけて行ってくるぜよ」
盗賊「おう、ここの守りよろしく頼みますよ。じゃあ行こうぜハイちゃん、ユー君」
ハイ「あ、はい!」
ユー「……」
すたすた
ハイ「ちなみにどこに向かうつもりですか?」
盗賊「あぁ、それはな、黄金王国さ。しばらくよろしくな」
盗賊が仲間になった。
584: 2014/07/01(火) 02:49:37.36 ID:KOd1hxiD0
146
--黄金王国、牢獄--
がしゃーん
黄金兵「まったく、ふざけたことしやがって……。判決が出るまでそこで震えてるんだな」
盗賊「……」
ハイ「……」
ユー「……」
牢獄に入れられているハイ達。
盗賊「ち、あれくらいで牢獄にぶち込むとか。ひどい対応だぜ……」
ハイ「あ、当たり前ですーーー!! だから真正面から行こうって私言ったじゃないですかーーー!!」
--黄金王国、牢獄--
がしゃーん
黄金兵「まったく、ふざけたことしやがって……。判決が出るまでそこで震えてるんだな」
盗賊「……」
ハイ「……」
ユー「……」
牢獄に入れられているハイ達。
盗賊「ち、あれくらいで牢獄にぶち込むとか。ひどい対応だぜ……」
ハイ「あ、当たり前ですーーー!! だから真正面から行こうって私言ったじゃないですかーーー!!」
585: 2014/07/01(火) 02:51:03.48 ID:KOd1hxiD0
147
--黄金王国、過去--
ハイ達が捕まる三時間前……。
がやがや
ハイ「うわぁ。私黄金王国はじめて来ましたけど、活気が凄いですねぇ!」
ハイ達は黄金王国のマーケットの中を歩く。
盗賊「まだまだ成長途中の国だからな。他の国とはハングリーさが違うよ」
黒肌のおばちゃん「お兄さんお嬢ちゃん、フルーツ、とてもおいしい、甘いよ!」
露天のおばちゃんがフルーツを買えと差し出してくる。
ハイ「あ、私達観光に来たわけじゃないので……資金もそんなに無いですし」
盗賊「美味そうだね。おばちゃん三つ下さい」
黒肌のおばちゃん「まいどー!」
ちゃりん
盗賊「はい、ハイちゃんにユー君、おあがりよ。腹が減っては戦はできんよ」
ハイ「は、はぁ……」(こんな簡単にお金使っちゃって大丈夫なのかな)
--黄金王国、過去--
ハイ達が捕まる三時間前……。
がやがや
ハイ「うわぁ。私黄金王国はじめて来ましたけど、活気が凄いですねぇ!」
ハイ達は黄金王国のマーケットの中を歩く。
盗賊「まだまだ成長途中の国だからな。他の国とはハングリーさが違うよ」
黒肌のおばちゃん「お兄さんお嬢ちゃん、フルーツ、とてもおいしい、甘いよ!」
露天のおばちゃんがフルーツを買えと差し出してくる。
ハイ「あ、私達観光に来たわけじゃないので……資金もそんなに無いですし」
盗賊「美味そうだね。おばちゃん三つ下さい」
黒肌のおばちゃん「まいどー!」
ちゃりん
盗賊「はい、ハイちゃんにユー君、おあがりよ。腹が減っては戦はできんよ」
ハイ「は、はぁ……」(こんな簡単にお金使っちゃって大丈夫なのかな)
586: 2014/07/01(火) 02:51:44.07 ID:KOd1hxiD0
148
--黄金王国、過去--
しゃぐしゃぐ
盗賊「甘えぇ! なんだこれ。失われた王国のフルーツばりに美味しいじゃん!」
しゃり
ユー「……」
b
ハイ「あむ……確かに美味しいです。っていうかあそこで食べたのと似てる感じがします」
盗賊達は桃に似た果物を味わっている。
盗賊「あー美味かった。ねぇおばちゃん」
黒肌のおばちゃん「おかわり? もっとあるよ!」
盗賊「いやいやもうお腹いっぱい。それより聞きたいことあるんだけどさ」
盗賊はおばちゃんに近づいて言った。
盗賊「姫様って、どこにいるか知ってる?」
--黄金王国、過去--
しゃぐしゃぐ
盗賊「甘えぇ! なんだこれ。失われた王国のフルーツばりに美味しいじゃん!」
しゃり
ユー「……」
b
ハイ「あむ……確かに美味しいです。っていうかあそこで食べたのと似てる感じがします」
盗賊達は桃に似た果物を味わっている。
盗賊「あー美味かった。ねぇおばちゃん」
黒肌のおばちゃん「おかわり? もっとあるよ!」
盗賊「いやいやもうお腹いっぱい。それより聞きたいことあるんだけどさ」
盗賊はおばちゃんに近づいて言った。
盗賊「姫様って、どこにいるか知ってる?」
587: 2014/07/01(火) 02:52:51.67 ID:KOd1hxiD0
149
--黄金王国、過去--
黒肌のおばちゃん「姫、様?」
盗賊「そうそう」
ハイ(そういえば聞いたことがあります。黄金王国の支配者である姫様は、支配者階級にふさわしくないほどフリーダムな方だと。国民を愛し、一切偉ぶらないその姿に国民からの信頼は厚く、一説にはあの黄金で出来た城も国民のために開放し、今ではお年寄りの集会所になってるまである、と……)
まぁ最終決戦の時に近くにいたんだけど、とハイ。
盗賊「俺達姫様に話があって来たんだ。でも真正面からじゃ会ってくれなそうでさー」
盗賊のマントが揺れ、隙間からナイフがちらりと見えてしまう。
黒肌のおばちゃん「!!」
盗賊「姫様は護衛もつけずに外で遊びまわってるらしいって噂聞くしさ、そんならおばちゃん達が居場所知ってるんじゃないかって思うんだけど、どう?」
じり
ハイ「……あ、あの盗賊さん」
じりじり
ユー「……」
さっきまで活気で賑わう通りだったのだが、一瞬で殺気で埋め尽くされる。
--黄金王国、過去--
黒肌のおばちゃん「姫、様?」
盗賊「そうそう」
ハイ(そういえば聞いたことがあります。黄金王国の支配者である姫様は、支配者階級にふさわしくないほどフリーダムな方だと。国民を愛し、一切偉ぶらないその姿に国民からの信頼は厚く、一説にはあの黄金で出来た城も国民のために開放し、今ではお年寄りの集会所になってるまである、と……)
まぁ最終決戦の時に近くにいたんだけど、とハイ。
盗賊「俺達姫様に話があって来たんだ。でも真正面からじゃ会ってくれなそうでさー」
盗賊のマントが揺れ、隙間からナイフがちらりと見えてしまう。
黒肌のおばちゃん「!!」
盗賊「姫様は護衛もつけずに外で遊びまわってるらしいって噂聞くしさ、そんならおばちゃん達が居場所知ってるんじゃないかって思うんだけど、どう?」
じり
ハイ「……あ、あの盗賊さん」
じりじり
ユー「……」
さっきまで活気で賑わう通りだったのだが、一瞬で殺気で埋め尽くされる。
588: 2014/07/01(火) 02:54:33.81 ID:KOd1hxiD0
150
--黄金王国、過去--
ハイ「盗賊さん……絶対私達怪しまれてますって……」
黄金王国はまだ国民の数が少ない。
それゆえ仲間意識が非常に強く、よそ者が入国すればたちまち知れ渡ってしまう。
ざわざわ
黒肌のおばちゃん「姫様の場所、知らない。買わないなら、行け」
盗賊「そっか。じゃあサンキューなおばちゃん。これ美味かったよ」
盗賊は手を振って歩いていく。
すたすたすた
ハイ「と、盗賊さん、どうするんですかこんなに目立っちゃって……素直に真正面から謁見手続きした方がいいと思います」
盗賊「はっはっはっ。俺らみたいなどこの馬の骨ともしれないやつらに、国家元首がぱっと会ってくれるわけないじゃないの。顔見知りならともかくさー」
ハイ「……。じゃあ……どうするんですか?」
盗賊「どうしようね」
ハイ「は、はい?」
ジロジロ
周囲の視線がハイ達を逃がさない。
--黄金王国、過去--
ハイ「盗賊さん……絶対私達怪しまれてますって……」
黄金王国はまだ国民の数が少ない。
それゆえ仲間意識が非常に強く、よそ者が入国すればたちまち知れ渡ってしまう。
ざわざわ
黒肌のおばちゃん「姫様の場所、知らない。買わないなら、行け」
盗賊「そっか。じゃあサンキューなおばちゃん。これ美味かったよ」
盗賊は手を振って歩いていく。
すたすたすた
ハイ「と、盗賊さん、どうするんですかこんなに目立っちゃって……素直に真正面から謁見手続きした方がいいと思います」
盗賊「はっはっはっ。俺らみたいなどこの馬の骨ともしれないやつらに、国家元首がぱっと会ってくれるわけないじゃないの。顔見知りならともかくさー」
ハイ「……。じゃあ……どうするんですか?」
盗賊「どうしようね」
ハイ「は、はい?」
ジロジロ
周囲の視線がハイ達を逃がさない。
589: 2014/07/01(火) 02:55:32.06 ID:KOd1hxiD0
151
--黄金王国、過去--
すたすたすた
盗賊「……いい国だ」
ハイ「え?」
盗賊「国民全員が姫様の身を案じてるよ。ただ居場所聞いてナイフ見せただけなのに」
ハイ「! やっぱりさっきのわざと見せてたんですか! なんでそんなこと!」
ざわざわ
盗賊「……こっちであってるみたいだな」
ハイ「え?」
盗賊「人が増えてってる。しかも進行方向を塞ぐようにしてね」
--黄金王国、過去--
すたすたすた
盗賊「……いい国だ」
ハイ「え?」
盗賊「国民全員が姫様の身を案じてるよ。ただ居場所聞いてナイフ見せただけなのに」
ハイ「! やっぱりさっきのわざと見せてたんですか! なんでそんなこと!」
ざわざわ
盗賊「……こっちであってるみたいだな」
ハイ「え?」
盗賊「人が増えてってる。しかも進行方向を塞ぐようにしてね」
590: 2014/07/01(火) 02:57:02.12 ID:KOd1hxiD0
152
--黄金王国、過去--
ハイ「それは単純に、私達にこの国の中を歩き回られたく無いだけなんじゃ……」
盗賊「その可能性が無いとは言わない。けどね、さっきおばちゃんに質問した時に観察眼使ったんだ」
ハイ「え……」
盗賊「そしたら一瞬だけ意識をこっち側に向けた。周囲にいた人の中で、一人だけ小走りでこっちに走っていったのもいる」
ハイ「……いつのまに」
盗賊「今は太陽が真上に来ててあっついよな。こんな時は川遊びでもしたいもんだ」
……ザー
盗賊「ここに来る前に地図で確認したんだけど、この近くに川があるみたいなんだよね。どうだろ、丁度今頃そこにいるんじゃないかな? 姫様は」
ハイ「!!」(や、やっぱりこの人……ただのうOこもらし野郎じゃない!!)
--黄金王国、過去--
ハイ「それは単純に、私達にこの国の中を歩き回られたく無いだけなんじゃ……」
盗賊「その可能性が無いとは言わない。けどね、さっきおばちゃんに質問した時に観察眼使ったんだ」
ハイ「え……」
盗賊「そしたら一瞬だけ意識をこっち側に向けた。周囲にいた人の中で、一人だけ小走りでこっちに走っていったのもいる」
ハイ「……いつのまに」
盗賊「今は太陽が真上に来ててあっついよな。こんな時は川遊びでもしたいもんだ」
……ザー
盗賊「ここに来る前に地図で確認したんだけど、この近くに川があるみたいなんだよね。どうだろ、丁度今頃そこにいるんじゃないかな? 姫様は」
ハイ「!!」(や、やっぱりこの人……ただのうOこもらし野郎じゃない!!)
591: 2014/07/01(火) 02:57:50.57 ID:KOd1hxiD0
153
--黄金王国、過去--
ざり
黒肌の男「立ち去れ。これ以上進むことは許さない」
黒肌の髭男「立ち去れ」
屈強な男たちが盗賊の前に立ちはだかる。
盗賊「……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ハイ(! 戦闘になりそうな予感……! でも話し合いに来ただけなのに。しかもこんな)
後ろを見ると、戦闘経験のなさそうな女子供までもがハイ達を睨んでいる。
ハイ(一般人となんて、戦えない……)
盗賊「はっはっはっ、やだなー。こっちは争う気なんてないんだってばー」
盗賊は笑いながらハイとユーの手を握る。
盗賊「スキル、トリプルインビジボォ」
ばしゅん
黒肌の男、黒肌の髭男「「!?」」
盗賊達の姿が見えなくなった。
--黄金王国、過去--
ざり
黒肌の男「立ち去れ。これ以上進むことは許さない」
黒肌の髭男「立ち去れ」
屈強な男たちが盗賊の前に立ちはだかる。
盗賊「……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ハイ(! 戦闘になりそうな予感……! でも話し合いに来ただけなのに。しかもこんな)
後ろを見ると、戦闘経験のなさそうな女子供までもがハイ達を睨んでいる。
ハイ(一般人となんて、戦えない……)
盗賊「はっはっはっ、やだなー。こっちは争う気なんてないんだってばー」
盗賊は笑いながらハイとユーの手を握る。
盗賊「スキル、トリプルインビジボォ」
ばしゅん
黒肌の男、黒肌の髭男「「!?」」
盗賊達の姿が見えなくなった。
592: 2014/07/01(火) 02:58:19.17 ID:KOd1hxiD0
154
--黄金王国、過去--
ざざざざざ!!
ハイ「透明化スキル!? ど、どうするつもりなんですか? 盗賊さん!」
わーわー!!
民衆は盗賊達を見つけようと大騒ぎしている。
盗賊「さー……どうしようね?」
ハイ「無計画!?」
--黄金王国、過去--
参謀長「なに、賊が?」
執務をこなしていた参謀長の耳に盗賊の話が入る。
--黄金王国、過去--
ざざざざざ!!
ハイ「透明化スキル!? ど、どうするつもりなんですか? 盗賊さん!」
わーわー!!
民衆は盗賊達を見つけようと大騒ぎしている。
盗賊「さー……どうしようね?」
ハイ「無計画!?」
--黄金王国、過去--
参謀長「なに、賊が?」
執務をこなしていた参謀長の耳に盗賊の話が入る。
593: 2014/07/01(火) 02:59:41.15 ID:KOd1hxiD0
155
--黄金王国、過去--
ぺらり
部下から渡された入国許可証を見る参謀長。
参謀長「……! 護皇一行……だと?」
ばちっ
参謀長(……魔力筆跡も確かに彼のものだ……だとしたら、賊は何者だ? どうやってこれを入手した……)
参謀長は顎に手をあて考える。
たんぽぽ星人「どうすんだ参謀長。このままじゃ国中ひっかきまわされちまうぜ?」
参謀長(……報告では透明化スキルを使って逃げているという……ならなぜそのスキルを最初から使わなかった? わざわざ騒ぎを大きくしてまで……)
たんぽぽ星人「参謀長?」
すっ
参謀長「――決まっているでしょう。我らが姫を狙うものは、例えなんであろうと打ち倒すのみ」
--黄金王国、過去--
ぺらり
部下から渡された入国許可証を見る参謀長。
参謀長「……! 護皇一行……だと?」
ばちっ
参謀長(……魔力筆跡も確かに彼のものだ……だとしたら、賊は何者だ? どうやってこれを入手した……)
参謀長は顎に手をあて考える。
たんぽぽ星人「どうすんだ参謀長。このままじゃ国中ひっかきまわされちまうぜ?」
参謀長(……報告では透明化スキルを使って逃げているという……ならなぜそのスキルを最初から使わなかった? わざわざ騒ぎを大きくしてまで……)
たんぽぽ星人「参謀長?」
すっ
参謀長「――決まっているでしょう。我らが姫を狙うものは、例えなんであろうと打ち倒すのみ」
594: 2014/07/01(火) 03:00:28.61 ID:KOd1hxiD0
156
--黄金王国、過去--
わーわー!!
盗賊「あー、しんどっ!」
びゅぅん
ジャングルに入った所でインビジボォを解く盗賊。
盗賊「あー……歳は取るもんじゃないねぇ……ただでさえ役立たずの俺がますます弱くなっちまうよ」
盗賊は肩に巻いたタオルで汗を拭く。
ハイ「……」
盗賊「あれ? どうしたのハイちゃんむくれちゃって。可愛い」
ハイ「盗賊さんが何をやろうとしてるのかおっしゃってくれないからです!!」
盗賊「まぁまぁそう怒らないでよ」
ぷにぷに
盗賊「こっちも無い頭振り絞って策を考えてんだからさ」
ハイ(……そのわりには、楽しそうです)
--黄金王国、過去--
わーわー!!
盗賊「あー、しんどっ!」
びゅぅん
ジャングルに入った所でインビジボォを解く盗賊。
盗賊「あー……歳は取るもんじゃないねぇ……ただでさえ役立たずの俺がますます弱くなっちまうよ」
盗賊は肩に巻いたタオルで汗を拭く。
ハイ「……」
盗賊「あれ? どうしたのハイちゃんむくれちゃって。可愛い」
ハイ「盗賊さんが何をやろうとしてるのかおっしゃってくれないからです!!」
盗賊「まぁまぁそう怒らないでよ」
ぷにぷに
盗賊「こっちも無い頭振り絞って策を考えてんだからさ」
ハイ(……そのわりには、楽しそうです)
595: 2014/07/01(火) 03:02:04.95 ID:KOd1hxiD0
157
--黄金王国、過去--
ざー
盗賊「お、やっぱりいたね姫様」
盗賊達は木の上から川にいる姫の姿を確認する。
ハイ「姫様はいましたけど……姫様以外の人もいっぱいいますよ?」
姫のいる川を全方位から守るようにして兵士達が立っていた。
盗賊「見えない相手がどこから襲って来るのかわからないから、うかつに安全な場所に護送することも出来ないのかな?」
ハイ「そうですね。そして三強が来るまでの時間稼ぎだと思います」
盗賊「うん、だろうな」
ざー
姫「? これは一体なんの遊びかな? かな?」
黒肌の英雄「――姫様ご注意ください。敵がお命を狙っているのです」
姫「今バカってゆった!?」
--黄金王国、過去--
ざー
盗賊「お、やっぱりいたね姫様」
盗賊達は木の上から川にいる姫の姿を確認する。
ハイ「姫様はいましたけど……姫様以外の人もいっぱいいますよ?」
姫のいる川を全方位から守るようにして兵士達が立っていた。
盗賊「見えない相手がどこから襲って来るのかわからないから、うかつに安全な場所に護送することも出来ないのかな?」
ハイ「そうですね。そして三強が来るまでの時間稼ぎだと思います」
盗賊「うん、だろうな」
ざー
姫「? これは一体なんの遊びかな? かな?」
黒肌の英雄「――姫様ご注意ください。敵がお命を狙っているのです」
姫「今バカってゆった!?」
596: 2014/07/01(火) 03:03:39.24 ID:KOd1hxiD0
158
--黄金王国、過去--
盗賊「うん、よし」
ぽん
盗賊は手を叩く。
盗賊「ハイちゃん、ユー君。ちょっと囮をしてください」
ハイ「……はい?」
盗賊「あそこから川に向かって大声で走ってってください。そしたら俺が逆側から姫様にアプローチします」
ハイ「……」
平然と作戦を提案する盗賊に対して、
ハイ「……あの、言いたく無かったんですけど」
盗賊「うん」
ハイ「私あんまり強く無いんです」
盗賊「大丈夫、俺のが弱いから」
--黄金王国、過去--
盗賊「うん、よし」
ぽん
盗賊は手を叩く。
盗賊「ハイちゃん、ユー君。ちょっと囮をしてください」
ハイ「……はい?」
盗賊「あそこから川に向かって大声で走ってってください。そしたら俺が逆側から姫様にアプローチします」
ハイ「……」
平然と作戦を提案する盗賊に対して、
ハイ「……あの、言いたく無かったんですけど」
盗賊「うん」
ハイ「私あんまり強く無いんです」
盗賊「大丈夫、俺のが弱いから」
597: 2014/07/01(火) 03:04:58.25 ID:KOd1hxiD0
159
--黄金王国、過去--
ハイ「私の職業、レベルは色々と条件が難しいんです。今の状況ではレベル2、騎士になるがいいのでしょうけど、ユニちゃんがいなくちゃ条件を達成できないんです。でもユニちゃんは入り口に繋いできちゃったから……」
盗賊を無視して話を続けるハイ。
盗賊「あぁそうなの? なんかそういうのあるの? めんどくさいね」
ハイ「うぅ……そうなんですよ」
ぽん
ユー「……」
b
ユーはハイの肩を叩き、サムズアップ。
ハイ「……なんですか? バカにしてるんですか?」
ユー「……」
違う違うとジェスチャーをしてから再びサムズアップ。
盗賊「あ、なるほどそういうことね」
ハイ「? 何がそういうことなんですか?」
盗賊「騎士になるにはユニコーンが必須って言ってたけどさ、ようは騎乗できたらいいんでしょ?」
--黄金王国、過去--
ハイ「私の職業、レベルは色々と条件が難しいんです。今の状況ではレベル2、騎士になるがいいのでしょうけど、ユニちゃんがいなくちゃ条件を達成できないんです。でもユニちゃんは入り口に繋いできちゃったから……」
盗賊を無視して話を続けるハイ。
盗賊「あぁそうなの? なんかそういうのあるの? めんどくさいね」
ハイ「うぅ……そうなんですよ」
ぽん
ユー「……」
b
ユーはハイの肩を叩き、サムズアップ。
ハイ「……なんですか? バカにしてるんですか?」
ユー「……」
違う違うとジェスチャーをしてから再びサムズアップ。
盗賊「あ、なるほどそういうことね」
ハイ「? 何がそういうことなんですか?」
盗賊「騎士になるにはユニコーンが必須って言ってたけどさ、ようは騎乗できたらいいんでしょ?」
598: 2014/07/01(火) 03:06:23.32 ID:KOd1hxiD0
160
--黄金王国、過去--
びしっ
黒肌の敏感「あたっ……小石?」
ハイ「じょ、条件達成っ!! レベル2! き、騎士っ!!」
ばしゅうー!!
ユー「!」
だからっだからっだからっ!!
黒肌の英雄「!? なんだ、なんだあれは!」
ハイ「や、やけくそだーーー!!」
ユーにまたがるハイが川に向かって突進する。
ユーはまるで馬のように疾走する。
黒肌の英雄「と、取り押さえろー!!」
わーー!!
しゅん
黒肌の英雄「!?」
兵士達がハイを取り押さえようと向かったその時、一陣の風が吹き、それは姫の傍に現れた。
姫「ふにゃ?」
ぱんっ
盗賊「ドーモ。ヒメ=サン。トウゾクです」
--黄金王国、過去--
びしっ
黒肌の敏感「あたっ……小石?」
ハイ「じょ、条件達成っ!! レベル2! き、騎士っ!!」
ばしゅうー!!
ユー「!」
だからっだからっだからっ!!
黒肌の英雄「!? なんだ、なんだあれは!」
ハイ「や、やけくそだーーー!!」
ユーにまたがるハイが川に向かって突進する。
ユーはまるで馬のように疾走する。
黒肌の英雄「と、取り押さえろー!!」
わーー!!
しゅん
黒肌の英雄「!?」
兵士達がハイを取り押さえようと向かったその時、一陣の風が吹き、それは姫の傍に現れた。
姫「ふにゃ?」
ぱんっ
盗賊「ドーモ。ヒメ=サン。トウゾクです」
603: 2014/07/08(火) 03:12:11.35 ID:WS0zgOr/0
161
--黄金王国、過去--
姫「とう、ぞく?」
きょとんとした顔の姫。
黒肌の英雄「くっ!! 姫様!!」
しゃきぃん!
黒肌の英雄が剣を抜き盗賊に斬りかかろうとするも、
ドッ!!
黒肌の英雄「ッ!!」
ドサッ
その前に盗賊が黒肌の英雄の首に手刀を放ち、気絶させる方が早かった。
盗賊「やぁ姫さん、乱暴になっちゃって悪いね。これでも話があって来ただけなんだぜ」
姫「話? 姫ちゃんに?」
盗賊「うん、ちょっと重大なことが……あれ?」
しゅぅう
いきなり霧が出現し、盗賊の視界が奪われる。
--黄金王国、過去--
姫「とう、ぞく?」
きょとんとした顔の姫。
黒肌の英雄「くっ!! 姫様!!」
しゃきぃん!
黒肌の英雄が剣を抜き盗賊に斬りかかろうとするも、
ドッ!!
黒肌の英雄「ッ!!」
ドサッ
その前に盗賊が黒肌の英雄の首に手刀を放ち、気絶させる方が早かった。
盗賊「やぁ姫さん、乱暴になっちゃって悪いね。これでも話があって来ただけなんだぜ」
姫「話? 姫ちゃんに?」
盗賊「うん、ちょっと重大なことが……あれ?」
しゅぅう
いきなり霧が出現し、盗賊の視界が奪われる。
604: 2014/07/08(火) 03:13:46.65 ID:WS0zgOr/0
162
--黄金王国、過去--
潜入長(奥義、霧霧巣!! 姫様は渡しません!!)
ザザザザザ!!
その場に潜入長が現れた。
黒肌のふとっちょ「この霧は潜入長様の!! やった! 間に合ったぞ!! これで姫様は無事だ!」
しゅうぅうう
盗賊(なんだこれ……探知が全然出来ない……スキル、透視眼)
きぃいいん
しかし、目の前にいたはずの姫の姿でさえ捕らえることが出来ない。
盗賊(これでも駄目なのか……となると)
ザザザザザ!!
潜入長(姫様に手を伸ばした瞬間、仕留める!!)
潜入長は盗賊達に近づいていく。
--黄金王国、過去--
潜入長(奥義、霧霧巣!! 姫様は渡しません!!)
ザザザザザ!!
その場に潜入長が現れた。
黒肌のふとっちょ「この霧は潜入長様の!! やった! 間に合ったぞ!! これで姫様は無事だ!」
しゅうぅうう
盗賊(なんだこれ……探知が全然出来ない……スキル、透視眼)
きぃいいん
しかし、目の前にいたはずの姫の姿でさえ捕らえることが出来ない。
盗賊(これでも駄目なのか……となると)
ザザザザザ!!
潜入長(姫様に手を伸ばした瞬間、仕留める!!)
潜入長は盗賊達に近づいていく。
605: 2014/07/08(火) 03:15:12.51 ID:WS0zgOr/0
163
--黄金王国、過去--
盗賊「よし」
潜入長(私の姿を確認することなく氏になさい!)
しゅばっ!!
盗賊「逃げよ」
すかっ
潜入長「!?」
盗賊はダッシュで後方に逃げていく。
ばしゃばしゃばしゃばしゃ!
潜入長「そんな……姫様が狙いだったんだろうに……いくら不可解なことが起きたからって、目標を目の前にして逃げるんですか……? 信じられない」
姫「あれ? この霧なにこれー!?」
ハイ「私はいつまで暴れてればいいんですかー?」
--黄金王国、過去--
盗賊「よし」
潜入長(私の姿を確認することなく氏になさい!)
しゅばっ!!
盗賊「逃げよ」
すかっ
潜入長「!?」
盗賊はダッシュで後方に逃げていく。
ばしゃばしゃばしゃばしゃ!
潜入長「そんな……姫様が狙いだったんだろうに……いくら不可解なことが起きたからって、目標を目の前にして逃げるんですか……? 信じられない」
姫「あれ? この霧なにこれー!?」
ハイ「私はいつまで暴れてればいいんですかー?」
606: 2014/07/08(火) 03:17:18.99 ID:WS0zgOr/0
164
--黄金王国、過去--
ほーほー
夜。
ハイ「はぁ、はぁ……」
盗賊「おうハイちゃん。お疲れ」
ハイ「お、お疲れじゃないですよ……あれから、みんなをまくのに、大変、だったんですから、ね」
息を整えるハイと汗一つ見せないユー。
ユー「……」
ハイ「それで――姫様は、無理だったんですか?」
盗賊「無理だったね。後少しだったのになー」
もっちゃくっちゃ
盗賊はジャングルにあった果物を食べている。
ハイ「……なんか軽いですね。本気さが感じられません……」
盗賊「そうだ、聞いておきたいことがあったんだよハイちゃん。ちょっといいかな」
ハイ「え?」
盗賊「パンツの色についてなんだけど」
--黄金王国、過去--
ほーほー
夜。
ハイ「はぁ、はぁ……」
盗賊「おうハイちゃん。お疲れ」
ハイ「お、お疲れじゃないですよ……あれから、みんなをまくのに、大変、だったんですから、ね」
息を整えるハイと汗一つ見せないユー。
ユー「……」
ハイ「それで――姫様は、無理だったんですか?」
盗賊「無理だったね。後少しだったのになー」
もっちゃくっちゃ
盗賊はジャングルにあった果物を食べている。
ハイ「……なんか軽いですね。本気さが感じられません……」
盗賊「そうだ、聞いておきたいことがあったんだよハイちゃん。ちょっといいかな」
ハイ「え?」
盗賊「パンツの色についてなんだけど」
607: 2014/07/08(火) 03:18:34.46 ID:WS0zgOr/0
165
--黄金王国、過去--
参謀長「逃がしたんですか」
潜入長「すいません……まさかあの状況で即座に後退するとは思わなくて……」
おろおろと慌てる潜入長。
参謀長「――いえ、よくやりました。姫を守りきったことだけでも評価に値します。優先順位を間違えなかった貴女の決断は正しい」
潜入長「! あ、ありがとうございます!」
参謀長(……しかし半日かけて捕まらないとは……)「たんぽぽ星人、もこもこ。貴方たちにも動いて貰いますよ」
たんぽぽ星人「! おう。腕がなまってたところだぜ!」
もこいち「もきゅ。進化した我々の情報能力ならきっと一瞬もきゅよ!」
参謀長「あぁ、そうだと思ってる……頼りにしてるよ」
--黄金王国、過去--
参謀長「逃がしたんですか」
潜入長「すいません……まさかあの状況で即座に後退するとは思わなくて……」
おろおろと慌てる潜入長。
参謀長「――いえ、よくやりました。姫を守りきったことだけでも評価に値します。優先順位を間違えなかった貴女の決断は正しい」
潜入長「! あ、ありがとうございます!」
参謀長(……しかし半日かけて捕まらないとは……)「たんぽぽ星人、もこもこ。貴方たちにも動いて貰いますよ」
たんぽぽ星人「! おう。腕がなまってたところだぜ!」
もこいち「もきゅ。進化した我々の情報能力ならきっと一瞬もきゅよ!」
参謀長「あぁ、そうだと思ってる……頼りにしてるよ」
608: 2014/07/08(火) 03:19:11.87 ID:WS0zgOr/0
166
--黄金王国、過去--
ぴくっ
盗賊「……」
ジャングルの中で睡眠を取っていた盗賊は何かの気配を感じ取って起き上がる。
盗賊「……多いね」
ハイ「むにゃむにゃ……どうかしたんですか?」
盗賊「ハイちゃんもユー君も起きて。どうやら向こうも本気を出してきたみたいだぜ」
ザザザザ……
ハイ「! ジャングルの中を何かが移動してます?」
盗賊「そろそろ罠地帯にさしかかるようだが……こいつらはどう反応するかな?」
--黄金王国、過去--
ぴくっ
盗賊「……」
ジャングルの中で睡眠を取っていた盗賊は何かの気配を感じ取って起き上がる。
盗賊「……多いね」
ハイ「むにゃむにゃ……どうかしたんですか?」
盗賊「ハイちゃんもユー君も起きて。どうやら向こうも本気を出してきたみたいだぜ」
ザザザザ……
ハイ「! ジャングルの中を何かが移動してます?」
盗賊「そろそろ罠地帯にさしかかるようだが……こいつらはどう反応するかな?」
609: 2014/07/08(火) 03:21:11.26 ID:WS0zgOr/0
167
--黄金王国、過去--
ばちぃん!!
たんぽぽ星人A「いったっ!? な、なんだこれ痺れれレレレ!!」
たんぽぽ星人B「! おいやっぱり罠があるみたいだぞ、参謀長の言っていた通りだ! 罠がありそうな位置と魔力の固有振動値をもこもこちゃんねるにうpるぞ!」
たんぽぽ星人C「――情報確認した。もこもこ細胞を組み込んだのは正解だったな。俺の分身能力と相性が抜群だぜ!」
たんぽぽ星人B「よし、次のフェーズに移行する。ここからは弓の出番だ」
すっ
弓を持ったたんぽぽ星人たちがジャングルの奥に向かって弓を構える。
盗賊「ありり? 最初のやつ以外綺麗に罠をかわしてくる……モンスターの場所も丁寧に避けてるし……まずいな、移動するぞ」
--黄金王国、過去--
ばちぃん!!
たんぽぽ星人A「いったっ!? な、なんだこれ痺れれレレレ!!」
たんぽぽ星人B「! おいやっぱり罠があるみたいだぞ、参謀長の言っていた通りだ! 罠がありそうな位置と魔力の固有振動値をもこもこちゃんねるにうpるぞ!」
たんぽぽ星人C「――情報確認した。もこもこ細胞を組み込んだのは正解だったな。俺の分身能力と相性が抜群だぜ!」
たんぽぽ星人B「よし、次のフェーズに移行する。ここからは弓の出番だ」
すっ
弓を持ったたんぽぽ星人たちがジャングルの奥に向かって弓を構える。
盗賊「ありり? 最初のやつ以外綺麗に罠をかわしてくる……モンスターの場所も丁寧に避けてるし……まずいな、移動するぞ」
610: 2014/07/08(火) 03:22:02.73 ID:WS0zgOr/0
168
--黄金王国、過去--
ひゅひゅひゅひゅ!!
盗賊「! 矢を撃ってきたか」
ハイ「うわっ! 反撃しなきゃ!」
すっ
ユーはハイを止めた。
ハイ「え? なんで止めるんですか?」
盗賊「向こうは四方八方、弓で攻撃している……ってことはまだうちらの場所がわからないってことだ。大体の場所まで絞れてるんだろうけど」
ハイ「反撃したらばれちゃう、ってことですか」
盗賊「そそ。ここは少しずつ後退していこう。敵がいない場所を通って」
--黄金王国、過去--
ひゅひゅひゅひゅ!!
盗賊「! 矢を撃ってきたか」
ハイ「うわっ! 反撃しなきゃ!」
すっ
ユーはハイを止めた。
ハイ「え? なんで止めるんですか?」
盗賊「向こうは四方八方、弓で攻撃している……ってことはまだうちらの場所がわからないってことだ。大体の場所まで絞れてるんだろうけど」
ハイ「反撃したらばれちゃう、ってことですか」
盗賊「そそ。ここは少しずつ後退していこう。敵がいない場所を通って」
611: 2014/07/08(火) 03:24:10.39 ID:WS0zgOr/0
169
--黄金王国、過去--
すすす
たんぽぽ星人D「いたかー?」
たんぽぽ星人E「いないでー」
がさがさ
盗賊(こんな所にまでいるなんて。向こうさんかなりの兵を俺らの捜索に動員してる……。まぁ、あれだけ騒いだやつがいまだに自分の領土をうろうろしてるんだから当たり前か)
盗賊はにやりと笑う。
ハイ(どうするんですか? 盗賊さん)
盗賊(……このまま姫さんの所に特攻しちゃおうかな)
ハイ(え)
盗賊(こんだけ兵が出てきてるってことは逆に姫の警護は手薄になってるはずだからね)
ハイ(……もしかして兵を引きずりだすために昼間あんなことを……?)
盗賊(偶然偶然。でも思った以上なので包囲網を抜けれるか心配だなぁ)
--黄金王国、過去--
すすす
たんぽぽ星人D「いたかー?」
たんぽぽ星人E「いないでー」
がさがさ
盗賊(こんな所にまでいるなんて。向こうさんかなりの兵を俺らの捜索に動員してる……。まぁ、あれだけ騒いだやつがいまだに自分の領土をうろうろしてるんだから当たり前か)
盗賊はにやりと笑う。
ハイ(どうするんですか? 盗賊さん)
盗賊(……このまま姫さんの所に特攻しちゃおうかな)
ハイ(え)
盗賊(こんだけ兵が出てきてるってことは逆に姫の警護は手薄になってるはずだからね)
ハイ(……もしかして兵を引きずりだすために昼間あんなことを……?)
盗賊(偶然偶然。でも思った以上なので包囲網を抜けれるか心配だなぁ)
612: 2014/07/08(火) 03:24:53.35 ID:WS0zgOr/0
170
--黄金王国、過去--
ぽんぽん
ユーが盗賊の肩を叩く。
ユー「……」
盗賊(え、ユー君が囮になるって?)
こくこく
盗賊(うーん……)
ハイ(さすがにこの数じゃ厳しいんじゃないですか……?)
ユーは任せろとばかりに自分の胸を叩く。
盗賊(……うん、任せたぜユー君。君ならなんとかなるだろうし)
--黄金王国、過去--
ぽんぽん
ユーが盗賊の肩を叩く。
ユー「……」
盗賊(え、ユー君が囮になるって?)
こくこく
盗賊(うーん……)
ハイ(さすがにこの数じゃ厳しいんじゃないですか……?)
ユーは任せろとばかりに自分の胸を叩く。
盗賊(……うん、任せたぜユー君。君ならなんとかなるだろうし)
613: 2014/07/08(火) 03:25:49.70 ID:WS0zgOr/0
171
--黄金王国、過去--
ガサガサ!!
たんぽぽ星人F「!! おいこっちいたぞー!!」
ユー「……」
腕を組んでマントを棚引かせているユー。
たんぽぽ星人G「! 後ろにも二人いるぞ! 全部で三人、情報通りだ。狙いつけて撃てー!!」
ばしゅばしゅばしゅばしゅ!!
ぎぎぎぎっぎいいんん!!
ユー「……」
ユーは二本のレイピアで飛んできた矢の全てを叩き落とす。
たんぽぽ星人H「ちっ、当たらなくてもいい、あの三人をここに足止めするんだ!」
ばしゅばしゅばしゅ!!
--黄金王国、過去--
ガサガサ!!
たんぽぽ星人F「!! おいこっちいたぞー!!」
ユー「……」
腕を組んでマントを棚引かせているユー。
たんぽぽ星人G「! 後ろにも二人いるぞ! 全部で三人、情報通りだ。狙いつけて撃てー!!」
ばしゅばしゅばしゅばしゅ!!
ぎぎぎぎっぎいいんん!!
ユー「……」
ユーは二本のレイピアで飛んできた矢の全てを叩き落とす。
たんぽぽ星人H「ちっ、当たらなくてもいい、あの三人をここに足止めするんだ!」
ばしゅばしゅばしゅ!!
614: 2014/07/08(火) 03:27:51.31 ID:WS0zgOr/0
172
--黄金王国、過去--
たんぽぽ星人I「俺が行く!」
ババッ!!
たんぽぽ星人F「! あれは近接特化個体! みんな、あいつを援護しろ!!」
ばしゅばしゅ!!
ユー「……」
一直線に走ってくるたんぽぽ星人。それをユーは矢を落としながら迎え撃つ。
しゃりん
たんぽぽ星人I「うおりゃああああああああああああ!!」
どぎいいいいいいいいいん!!!!
たんぽぽ星人I「!! こんな細い剣で俺の拳を止めやがった!?」
ユー「――スキル、土属性防御剣」
いつのまにかユーの剣は、鉱石のようなもので覆われていた。
--黄金王国、過去--
たんぽぽ星人I「俺が行く!」
ババッ!!
たんぽぽ星人F「! あれは近接特化個体! みんな、あいつを援護しろ!!」
ばしゅばしゅ!!
ユー「……」
一直線に走ってくるたんぽぽ星人。それをユーは矢を落としながら迎え撃つ。
しゃりん
たんぽぽ星人I「うおりゃああああああああああああ!!」
どぎいいいいいいいいいん!!!!
たんぽぽ星人I「!! こんな細い剣で俺の拳を止めやがった!?」
ユー「――スキル、土属性防御剣」
いつのまにかユーの剣は、鉱石のようなもので覆われていた。
615: 2014/07/08(火) 03:28:51.27 ID:WS0zgOr/0
173
--黄金王国、過去--
ぎぎん、ぎぎぎぎん、どしゅっ!
たんぽぽ星人I「がはっ!」
たんぽぽ星人J「!? 近接特化個体がやられたぞ! しかもあっさり!」
ユー「……」
ザザザザザ!!
たんぽぽ星人K「うお、向かってきやがった!?」
ズバババババババババ!!
木々をかわし矢を落とし、視界にいるたんぽぽ星人全てを一瞬で切り裂いた。
ぶしゅっ!!
たんぽぽ星人L「こ、こいつ……」
たんぽぽ星人M「は、速くて、強い」
どささささ!!
ユー「……」
--黄金王国、過去--
ぎぎん、ぎぎぎぎん、どしゅっ!
たんぽぽ星人I「がはっ!」
たんぽぽ星人J「!? 近接特化個体がやられたぞ! しかもあっさり!」
ユー「……」
ザザザザザ!!
たんぽぽ星人K「うお、向かってきやがった!?」
ズバババババババババ!!
木々をかわし矢を落とし、視界にいるたんぽぽ星人全てを一瞬で切り裂いた。
ぶしゅっ!!
たんぽぽ星人L「こ、こいつ……」
たんぽぽ星人M「は、速くて、強い」
どささささ!!
ユー「……」
616: 2014/07/08(火) 03:30:21.78 ID:WS0zgOr/0
174
--黄金王国、過去--
しゅ
ユー「」
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
突撃長「――ほっ。わしの不意打ちをあっさりと受け止めるとはやりますですじゃ!」
巨大な斧を持った老人がユーに向かって喋りかける。
シャシャシャッ!!
ユー「!」
ふぉんっ!!
潜入長「! 私の攻撃までもかわすなんて……!」
じりじり
ユー「……」
突撃長と潜入長が現れてユーを囲む。
たんぽぽ星人L「へ、へへ。うちの三強レベルの二人だぜ……お前ら三人もここまでだ」
--黄金王国、過去--
しゅ
ユー「」
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
突撃長「――ほっ。わしの不意打ちをあっさりと受け止めるとはやりますですじゃ!」
巨大な斧を持った老人がユーに向かって喋りかける。
シャシャシャッ!!
ユー「!」
ふぉんっ!!
潜入長「! 私の攻撃までもかわすなんて……!」
じりじり
ユー「……」
突撃長と潜入長が現れてユーを囲む。
たんぽぽ星人L「へ、へへ。うちの三強レベルの二人だぜ……お前ら三人もここまでだ」
617: 2014/07/08(火) 03:31:20.96 ID:WS0zgOr/0
175
--黄金王国、過去--
タタタタタ
盗賊「やー。町には兵が少なくて楽ちんだなー。はっはっはっ」
ハイ「土属性魔法、分身改……自分の分身を自分以外の姿に変えて操る魔法。そんな魔法もあるんですね」
盗賊「全く便利な魔法だ。あちらさんはまだ俺らがあのジャングルにいると思ってるんだろうな」
ギギギギィン!!
潜入長(く! この男私達二人を相手に互角にやりあってる!!)
突撃長(残りの二人に手を出させないとは余裕ですじゃな……しかしいつまでそれが続きますかじゃ!)
ユー「……!!」
ギギギギギギン!!
--黄金王国、過去--
タタタタタ
盗賊「やー。町には兵が少なくて楽ちんだなー。はっはっはっ」
ハイ「土属性魔法、分身改……自分の分身を自分以外の姿に変えて操る魔法。そんな魔法もあるんですね」
盗賊「全く便利な魔法だ。あちらさんはまだ俺らがあのジャングルにいると思ってるんだろうな」
ギギギギィン!!
潜入長(く! この男私達二人を相手に互角にやりあってる!!)
突撃長(残りの二人に手を出させないとは余裕ですじゃな……しかしいつまでそれが続きますかじゃ!)
ユー「……!!」
ギギギギギギン!!
618: 2014/07/08(火) 03:33:12.35 ID:WS0zgOr/0
176
--黄金王国、過去--
ササササササ!
黒肌の筋肉「……」
兵たちの真横を透明化してすり抜けていくハイ達。
ハイ(にしてもこのインビジボォもめちゃくちゃ便利ですね……誰にも感知されずに移動できるとか)
盗賊「……」
ハイ(才能が無い人だって聞いてたけれど、こうやって色んな技を駆使して生き抜いてきたんだろうな……一つのスキルや魔法に対する理解が深いように感じる)
盗賊「……」
ぶっ
黒肌の筋肉「? 何だ今の音は? おならみたいなのが聞こえたが……」
ハイ「……」)
--黄金王国、過去--
ササササササ!
黒肌の筋肉「……」
兵たちの真横を透明化してすり抜けていくハイ達。
ハイ(にしてもこのインビジボォもめちゃくちゃ便利ですね……誰にも感知されずに移動できるとか)
盗賊「……」
ハイ(才能が無い人だって聞いてたけれど、こうやって色んな技を駆使して生き抜いてきたんだろうな……一つのスキルや魔法に対する理解が深いように感じる)
盗賊「……」
ぶっ
黒肌の筋肉「? 何だ今の音は? おならみたいなのが聞こえたが……」
ハイ「……」)
619: 2014/07/08(火) 03:34:10.21 ID:WS0zgOr/0
177
--黄金王国、過去--
ざっ
ハイ「ここが姫様のお家……ですか?」
盗賊「何事も無くここまで来れちゃったな。本当に警備が薄いというか」
盗賊は窓に近づいて中を見る。
姫「くー、すー」
盗賊「いるな。よし……」
かちゃかちゃかちゃ、かきん
ハイ「うわ、鍵開けちゃいました」
盗賊「だって俺本職盗賊だし。今はニートだけど」
ハイ「最低な経歴ですね」
--黄金王国、過去--
ざっ
ハイ「ここが姫様のお家……ですか?」
盗賊「何事も無くここまで来れちゃったな。本当に警備が薄いというか」
盗賊は窓に近づいて中を見る。
姫「くー、すー」
盗賊「いるな。よし……」
かちゃかちゃかちゃ、かきん
ハイ「うわ、鍵開けちゃいました」
盗賊「だって俺本職盗賊だし。今はニートだけど」
ハイ「最低な経歴ですね」
620: 2014/07/08(火) 03:35:38.33 ID:WS0zgOr/0
178
--黄金王国、過去--
すた、すた
盗賊は姫のいるベッドにまで近づいていく。
ハイ「と、盗賊さん。さすがにこれは怪しくないですか? 姫様の周りに護衛が一切いないなんて、そんなことありえるんですか?」
盗賊「ん? ありえないんじゃない?」
ハイ「! だったら」
盗賊「まぁいいからいいから。それにここにいる姫様は本物なんだよねー。透視眼で確かめたから間違いない」
すっ
盗賊は手を伸ばした。
参謀長「その手を引っ込めてもらおうか」
ハイ「!?」
ぎぃ
暗闇の中に、壁を背にして参謀長が立っていた。
盗賊「……いたんだ?」
ハイ(そんな、盗賊さんでさえ気配に気がつかなかったなんて!)
--黄金王国、過去--
すた、すた
盗賊は姫のいるベッドにまで近づいていく。
ハイ「と、盗賊さん。さすがにこれは怪しくないですか? 姫様の周りに護衛が一切いないなんて、そんなことありえるんですか?」
盗賊「ん? ありえないんじゃない?」
ハイ「! だったら」
盗賊「まぁいいからいいから。それにここにいる姫様は本物なんだよねー。透視眼で確かめたから間違いない」
すっ
盗賊は手を伸ばした。
参謀長「その手を引っ込めてもらおうか」
ハイ「!?」
ぎぃ
暗闇の中に、壁を背にして参謀長が立っていた。
盗賊「……いたんだ?」
ハイ(そんな、盗賊さんでさえ気配に気がつかなかったなんて!)
621: 2014/07/08(火) 03:39:24.63 ID:WS0zgOr/0
179
--黄金王国、過去--
盗賊「……」
参謀長「……」
にらみ合う二人。
盗賊「君は……参謀長さんでいいのかな?」
参謀長「……」
参謀長は無言で盗賊を見つめている。
参謀長(この国を引っ掻き回せるほどの人物が誰なのか色々と考えてはいたが……こいつは誰だ? この包帯男。私の記憶にこんなやつはいない。一体どこの勢力のものだ?)
盗賊「話があって来たんだが、聞いてもらえたりするかな? 出来れば紅茶とかも出して欲しいんだけど」
参謀長「ふっ、この状況で何を言うかと思えば。話は聞くさ。拷問室でな」
ハイ「っ」
ハイが腰のパチOコに手を出そうとした瞬間、
ばちっ
ハイ「きゃっ!?」
手に電流が流れ、パチOコを落としてしまう。
ハイ「な、何今の?」
参謀長「私が許したこと以外しないほうがいい。ここは私の領土内なのだからな」
--黄金王国、過去--
盗賊「……」
参謀長「……」
にらみ合う二人。
盗賊「君は……参謀長さんでいいのかな?」
参謀長「……」
参謀長は無言で盗賊を見つめている。
参謀長(この国を引っ掻き回せるほどの人物が誰なのか色々と考えてはいたが……こいつは誰だ? この包帯男。私の記憶にこんなやつはいない。一体どこの勢力のものだ?)
盗賊「話があって来たんだが、聞いてもらえたりするかな? 出来れば紅茶とかも出して欲しいんだけど」
参謀長「ふっ、この状況で何を言うかと思えば。話は聞くさ。拷問室でな」
ハイ「っ」
ハイが腰のパチOコに手を出そうとした瞬間、
ばちっ
ハイ「きゃっ!?」
手に電流が流れ、パチOコを落としてしまう。
ハイ「な、何今の?」
参謀長「私が許したこと以外しないほうがいい。ここは私の領土内なのだからな」
622: 2014/07/08(火) 03:44:04.18 ID:WS0zgOr/0
180
--黄金王国、過去--
盗賊(領土に関するスキル……? 中々面白い能力じゃん。噂に聞いてたのよりずっといい)
参謀長「さて、武器を捨てて姫から離れてもらおうか。もし抵抗するというのならこのまま……」
ぎり
盗賊「っ!」
ハイ「んっ!? 心臓が、わしづかみされてるみたいに痛くて苦しい……!」
ぎりぎりぎりぎりぎり
盗賊「うぎっ!……わ、わかった……降参だ」
ハイ「!?」
ごと
盗賊はあっさりとナイフを捨てて手を上げた。
はらり
その時に白い紙が一緒に落ちた。
ハイ(え、えぇ!? 一体この人はなんなんですか!? こんな無謀なことして捕まるだけですか!?)
参謀長「……ひっとらえろ」
がしゃーん
--黄金王国、牢獄--
ということで現在。
ハイ「うぅ……もう日数が無いのにこんな所で無駄にしちゃうなんて……」
ハイはよよよと泣いている。
ユー「……」
ユーは傷一つ無い体をタオルで拭いている。
盗賊「ハイちゃん、無駄じゃないさ。そろそろあれに気づいてくれるだろうから、もうすぐ釈放されるよ」
ハイ「え……」
盗賊「それまでもうちょっと。ここでリラックスして待ってようぜ」
盗賊は鼻歌を歌っている。
--黄金王国、過去--
盗賊(領土に関するスキル……? 中々面白い能力じゃん。噂に聞いてたのよりずっといい)
参謀長「さて、武器を捨てて姫から離れてもらおうか。もし抵抗するというのならこのまま……」
ぎり
盗賊「っ!」
ハイ「んっ!? 心臓が、わしづかみされてるみたいに痛くて苦しい……!」
ぎりぎりぎりぎりぎり
盗賊「うぎっ!……わ、わかった……降参だ」
ハイ「!?」
ごと
盗賊はあっさりとナイフを捨てて手を上げた。
はらり
その時に白い紙が一緒に落ちた。
ハイ(え、えぇ!? 一体この人はなんなんですか!? こんな無謀なことして捕まるだけですか!?)
参謀長「……ひっとらえろ」
がしゃーん
--黄金王国、牢獄--
ということで現在。
ハイ「うぅ……もう日数が無いのにこんな所で無駄にしちゃうなんて……」
ハイはよよよと泣いている。
ユー「……」
ユーは傷一つ無い体をタオルで拭いている。
盗賊「ハイちゃん、無駄じゃないさ。そろそろあれに気づいてくれるだろうから、もうすぐ釈放されるよ」
ハイ「え……」
盗賊「それまでもうちょっと。ここでリラックスして待ってようぜ」
盗賊は鼻歌を歌っている。
630: 2014/07/15(火) 02:18:05.98 ID:T2t+mGrr0
181
--黄金王国--
突撃長「ふひー。久しぶりに暴れさせてもらったですじゃ。しかしあの男、本当に強かった……」
タオルで汗を拭いている突撃長。
潜入長「っ……私達を誰も傷つけないように加減して戦っていた気がします……しかも最後はいきなり投降するし……屈辱の極み!」
親指の爪を噛んでいる潜入長。
たんぽぽ星人「誰も傷つけないようにって、俺の分身めっちゃ斬られてたんだけど?」
残りの自分の数を数えているたんぽぽ星人。
潜入長「それはあなたが人として見なされて無かったからです」
たんぽぽ星人「ひどい!」
突撃長(ひどいっていうか、本当に人じゃないでしょうに)
--黄金王国--
突撃長「ふひー。久しぶりに暴れさせてもらったですじゃ。しかしあの男、本当に強かった……」
タオルで汗を拭いている突撃長。
潜入長「っ……私達を誰も傷つけないように加減して戦っていた気がします……しかも最後はいきなり投降するし……屈辱の極み!」
親指の爪を噛んでいる潜入長。
たんぽぽ星人「誰も傷つけないようにって、俺の分身めっちゃ斬られてたんだけど?」
残りの自分の数を数えているたんぽぽ星人。
潜入長「それはあなたが人として見なされて無かったからです」
たんぽぽ星人「ひどい!」
突撃長(ひどいっていうか、本当に人じゃないでしょうに)
631: 2014/07/15(火) 02:18:32.45 ID:T2t+mGrr0
182
--黄金王国--
がちゃ、ぎぃ
そこに参謀長が現れる。
参謀長「お疲れ様でしたお二方。怪我は無いと聞きましたが大丈夫ですか?」
突撃長「ほっほっ。心配かけてしまいましたな。我らならこの通り大丈夫ですじゃよ」
参謀長「そうですか。それは良かった」
たんぽぽ星人「おい、ナチュラルに俺をはぶくなよ」
潜入長「それより参謀長様。賊はどうしてますか?」
参謀長「……とりあえず牢獄にいれてあります。尋問は日が昇ってから行うつもりです」
--黄金王国--
がちゃ、ぎぃ
そこに参謀長が現れる。
参謀長「お疲れ様でしたお二方。怪我は無いと聞きましたが大丈夫ですか?」
突撃長「ほっほっ。心配かけてしまいましたな。我らならこの通り大丈夫ですじゃよ」
参謀長「そうですか。それは良かった」
たんぽぽ星人「おい、ナチュラルに俺をはぶくなよ」
潜入長「それより参謀長様。賊はどうしてますか?」
参謀長「……とりあえず牢獄にいれてあります。尋問は日が昇ってから行うつもりです」
632: 2014/07/15(火) 02:19:32.79 ID:T2t+mGrr0
183
--黄金王国--
バタバタバタ
部屋の外が慌ただしい。
突撃長「なにやら先ほどから賑やかですな。トラブルでもあったのですじゃ?」
参謀長「いえ、賊があの者達だけとは限らないので警備を強化させてるんですよ。兵には負担をかけてしまいますが」
突撃長「――なるほど、確かに。この老兵、そんなことにすら気づけなかったとは……。日を増すごとに衰えていくこの体……もういっそ氏んでしまいたいですじゃ……」
参謀長「そこまで悲観しないでください突撃長さん。貴方はよくがんばってくださっている」
参謀長は落ち込む突撃長の肩に手をおく。
潜入長「……なおさら早く尋問すべきなんじゃないんですか? 仲間がいるのかどうか、彼らに直接聞けばいいじゃないですか」
参謀長「そうなんだけど、ね」
ぴら
参謀長はある紙を見せる。
--黄金王国--
バタバタバタ
部屋の外が慌ただしい。
突撃長「なにやら先ほどから賑やかですな。トラブルでもあったのですじゃ?」
参謀長「いえ、賊があの者達だけとは限らないので警備を強化させてるんですよ。兵には負担をかけてしまいますが」
突撃長「――なるほど、確かに。この老兵、そんなことにすら気づけなかったとは……。日を増すごとに衰えていくこの体……もういっそ氏んでしまいたいですじゃ……」
参謀長「そこまで悲観しないでください突撃長さん。貴方はよくがんばってくださっている」
参謀長は落ち込む突撃長の肩に手をおく。
潜入長「……なおさら早く尋問すべきなんじゃないんですか? 仲間がいるのかどうか、彼らに直接聞けばいいじゃないですか」
参謀長「そうなんだけど、ね」
ぴら
参謀長はある紙を見せる。
633: 2014/07/15(火) 02:20:21.59 ID:T2t+mGrr0
184
--黄金王国--
突撃長「なんですかな? これは」
参謀長「賊の主犯格とおぼしき男がこれ見よがしに落としていったものです」
その紙にはこう書いている。
かに りんご かぼちゃ しま なし しろ なし
彼女はなんでも知っている
未来からきた姫の友人より
突撃長「……なんですじゃ? これ」
参謀長「わかりません」
--黄金王国--
突撃長「なんですかな? これは」
参謀長「賊の主犯格とおぼしき男がこれ見よがしに落としていったものです」
その紙にはこう書いている。
かに りんご かぼちゃ しま なし しろ なし
彼女はなんでも知っている
未来からきた姫の友人より
突撃長「……なんですじゃ? これ」
参謀長「わかりません」
634: 2014/07/15(火) 02:21:25.40 ID:T2t+mGrr0
185
--黄金王国--
潜入長「それもなんなのか直接聞いちゃえばいいんじゃないんですか?」
参謀長「……」
突撃長「……」
潜入長「な、なんですかその無いわー、っていう目!」
参謀長と突撃長の二人は深いため息をつく。
参謀長「だってクイズを出されたっていうのに、すぐ答えを聞きにいっちゃうのは自分で愚か者だ、って言っているようなもんじゃないですか」
突撃長「そうですじゃそうですじゃ。まったく、ロマンが無い」
潜入長「ロマン……そんなこと言ってる場合じゃないんじゃ……」
--黄金王国--
潜入長「それもなんなのか直接聞いちゃえばいいんじゃないんですか?」
参謀長「……」
突撃長「……」
潜入長「な、なんですかその無いわー、っていう目!」
参謀長と突撃長の二人は深いため息をつく。
参謀長「だってクイズを出されたっていうのに、すぐ答えを聞きにいっちゃうのは自分で愚か者だ、って言っているようなもんじゃないですか」
突撃長「そうですじゃそうですじゃ。まったく、ロマンが無い」
潜入長「ロマン……そんなこと言ってる場合じゃないんじゃ……」
635: 2014/07/15(火) 02:22:38.99 ID:T2t+mGrr0
186
--黄金王国--
参謀長は椅子を引き寄せて座る。
参謀長「まぁ冗談は置いといて……私が思うにですね、この一連の行動は全て、我々を試そうとして行ったものだと思っています」
突撃長「!?」
潜入長「試す……?」
参謀長「えぇ。我々の性能を試しつつ、その上で自分らの有能さをこっちに宣伝している……そんな感じですね。組むに値するのかどうなのか、と」
潜入長「ふ、ふざけてる!」
参謀長「ええ、まったく」
参謀長は顎に手を当てる。
参謀長「……現在我々は後手に回っています。今兵士達に彼らの情報を集めて貰っていますが、どうせ大したことはわからないでしょう。だから私はこの時間を利用して、彼らが何のメッセージを私達によこしたのか読み解くつもりです」
尋問をするにしても、彼らの情報を持っているのと持っていないのでは大きな差がでますから、と参謀長。
--黄金王国--
参謀長は椅子を引き寄せて座る。
参謀長「まぁ冗談は置いといて……私が思うにですね、この一連の行動は全て、我々を試そうとして行ったものだと思っています」
突撃長「!?」
潜入長「試す……?」
参謀長「えぇ。我々の性能を試しつつ、その上で自分らの有能さをこっちに宣伝している……そんな感じですね。組むに値するのかどうなのか、と」
潜入長「ふ、ふざけてる!」
参謀長「ええ、まったく」
参謀長は顎に手を当てる。
参謀長「……現在我々は後手に回っています。今兵士達に彼らの情報を集めて貰っていますが、どうせ大したことはわからないでしょう。だから私はこの時間を利用して、彼らが何のメッセージを私達によこしたのか読み解くつもりです」
尋問をするにしても、彼らの情報を持っているのと持っていないのでは大きな差がでますから、と参謀長。
636: 2014/07/15(火) 02:24:24.78 ID:T2t+mGrr0
187
--黄金王国--
がちゃ
姫「ふぁあぁあ。みんな何の騒ぎなの? 姫ちゃん眠いのにー」
もこもこを引きずりながら下着姿の姫が現れる。
突撃長「姫様……起こしてしまいましたな」
潜入長「ひ、姫様、今は立て込んでますので寝所に行きましょう?」
潜入長が慌てて姫のもとにかけよった。
参謀長「……姫様。これがなんだかわかりますか?」
参謀長は姫に例の紙を見せる。
姫「ふぇ? かに、りんご?」
姫は寝ぼけ眼をこすりながらそれを受け取った。
姫「んぅ? んーん。これは天才の姫ちゃんでもわからないね!」
参謀長「でしょうね」
姫「今バカってゆった!?」
突撃長(遂に被害妄想による幻聴まで……)
--黄金王国--
がちゃ
姫「ふぁあぁあ。みんな何の騒ぎなの? 姫ちゃん眠いのにー」
もこもこを引きずりながら下着姿の姫が現れる。
突撃長「姫様……起こしてしまいましたな」
潜入長「ひ、姫様、今は立て込んでますので寝所に行きましょう?」
潜入長が慌てて姫のもとにかけよった。
参謀長「……姫様。これがなんだかわかりますか?」
参謀長は姫に例の紙を見せる。
姫「ふぇ? かに、りんご?」
姫は寝ぼけ眼をこすりながらそれを受け取った。
姫「んぅ? んーん。これは天才の姫ちゃんでもわからないね!」
参謀長「でしょうね」
姫「今バカってゆった!?」
突撃長(遂に被害妄想による幻聴まで……)
637: 2014/07/15(火) 02:26:01.48 ID:T2t+mGrr0
188
--黄金王国、牢獄--
ハイ「――あの時落とした紙に、そんな理由があったんですか?」
盗賊「そうだよー。ちゃんとした理由があったのさー」
ハイ「……何を書いたのかわからないですけど、それで本当になんとかなるんでしょうか」
盗賊「大丈夫だよきっと。あの参謀長って人、頭よさそうだったし」
ハイ「よさそう、って。そんなの見た目で判断してるだけじゃないですか」
盗賊「見た目で判断してるわけじゃないよ」
盗賊は鼻をほじる。
盗賊「……あの時俺は上手く兵をおびき寄せたつもりだったし、ちゃんと人気の無い所を通って姫さんの所に侵入したつもりだった。でもそれは全部向こうの計算通りだったのさ。あえて被害を出させないために兵と接触させなかったんだ」
ハイ「え」
ユー「……」
ちくちくちく
ユーは自分のマントを材料にして何かを作っている。
--黄金王国、牢獄--
ハイ「――あの時落とした紙に、そんな理由があったんですか?」
盗賊「そうだよー。ちゃんとした理由があったのさー」
ハイ「……何を書いたのかわからないですけど、それで本当になんとかなるんでしょうか」
盗賊「大丈夫だよきっと。あの参謀長って人、頭よさそうだったし」
ハイ「よさそう、って。そんなの見た目で判断してるだけじゃないですか」
盗賊「見た目で判断してるわけじゃないよ」
盗賊は鼻をほじる。
盗賊「……あの時俺は上手く兵をおびき寄せたつもりだったし、ちゃんと人気の無い所を通って姫さんの所に侵入したつもりだった。でもそれは全部向こうの計算通りだったのさ。あえて被害を出させないために兵と接触させなかったんだ」
ハイ「え」
ユー「……」
ちくちくちく
ユーは自分のマントを材料にして何かを作っている。
638: 2014/07/15(火) 02:27:24.49 ID:T2t+mGrr0
189
--黄金王国--
突撃長「!……もしかしてこの文章は我々を混乱させるために意味不明なことを書き連ねただけなのではないですじゃ?」
潜入長「っ! それですよきっと! あの包帯男とか見るからにうさんくさいし……何か深い考えがあって動いてるなんてとても思えません!」
参謀長「……何も考えてない、とは思えないんですよ」
参謀長はぼそりと呟いた。
潜入長「え……」
参謀長「あの賊は途中から私の策に気づいてましたし」
突撃長「!? なんですと!?」
潜入長「そ、そんなのありえないですよ!」
参謀長「ありえるんですよ。でなければ姫様の寝所に入った時にあそこまで落ち着いていられないはず……。つまりやつは罠だと知りつつも飛び込んだ……それがもっとも姫様に近づける手段だったから」
--黄金王国--
突撃長「!……もしかしてこの文章は我々を混乱させるために意味不明なことを書き連ねただけなのではないですじゃ?」
潜入長「っ! それですよきっと! あの包帯男とか見るからにうさんくさいし……何か深い考えがあって動いてるなんてとても思えません!」
参謀長「……何も考えてない、とは思えないんですよ」
参謀長はぼそりと呟いた。
潜入長「え……」
参謀長「あの賊は途中から私の策に気づいてましたし」
突撃長「!? なんですと!?」
潜入長「そ、そんなのありえないですよ!」
参謀長「ありえるんですよ。でなければ姫様の寝所に入った時にあそこまで落ち着いていられないはず……。つまりやつは罠だと知りつつも飛び込んだ……それがもっとも姫様に近づける手段だったから」
639: 2014/07/15(火) 02:29:19.82 ID:T2t+mGrr0
190
--黄金王国--
潜入長「じゃ、じゃあ……あの人たち……」
参謀長「我々に殺される心配が無いという、確信を持っていなきゃ出来ない行動ですね。よほど重要な情報を持っているのか。あるいは……」
潜入長「……ただの狂人、という線は?」
参謀長「無いとは言えません」
姫「ねーねー、姫ちゃんめんどくなっちゃったから寝ていい?」
姫はあくびをしている。
突撃長「おっと、忘れておりましたですじゃ。ささ、行きましょう姫様。寝不足は体に毒ですじゃ」
突撃長が姫を連れて部屋を出て行こうとする。
くるっ
参謀長「……!」
二人の後姿を見た参謀長に電撃が走る。
--黄金王国--
潜入長「じゃ、じゃあ……あの人たち……」
参謀長「我々に殺される心配が無いという、確信を持っていなきゃ出来ない行動ですね。よほど重要な情報を持っているのか。あるいは……」
潜入長「……ただの狂人、という線は?」
参謀長「無いとは言えません」
姫「ねーねー、姫ちゃんめんどくなっちゃったから寝ていい?」
姫はあくびをしている。
突撃長「おっと、忘れておりましたですじゃ。ささ、行きましょう姫様。寝不足は体に毒ですじゃ」
突撃長が姫を連れて部屋を出て行こうとする。
くるっ
参謀長「……!」
二人の後姿を見た参謀長に電撃が走る。
640: 2014/07/15(火) 02:30:15.45 ID:T2t+mGrr0
191
--黄金王国、牢獄--
早朝
ちゅんちゅん
ぎぃ
ハイ「うーん、むにゃむにゃ……? まぶしっ!」
暗い牢獄の中に朝日が差し込んだ。
黄金兵「……出ろ。参謀長様がお前らに話があるとさ」
ハイ「!!」
盗賊「……待ってました。」
ぽんぽん
ユー「……」
ユーはハイの肩を叩く。
ハイ「なんですかユーさん?……え? これ私に、ですか?」
こくり
ユーが手渡したのは自作のパンツだった。
--黄金王国、牢獄--
早朝
ちゅんちゅん
ぎぃ
ハイ「うーん、むにゃむにゃ……? まぶしっ!」
暗い牢獄の中に朝日が差し込んだ。
黄金兵「……出ろ。参謀長様がお前らに話があるとさ」
ハイ「!!」
盗賊「……待ってました。」
ぽんぽん
ユー「……」
ユーはハイの肩を叩く。
ハイ「なんですかユーさん?……え? これ私に、ですか?」
こくり
ユーが手渡したのは自作のパンツだった。
641: 2014/07/15(火) 02:30:46.91 ID:T2t+mGrr0
192
--黄金王国--
こんこん
黄金兵「失礼します。賊を連れてまいりました」
参謀長「ご苦労様。入れ」
黄金兵「はっ」
ぎぃ
潜入長「……」
突撃長「……」
参謀長「……」
部屋の中にいる三人がプレッシャーを放つ。
姫「お? 昨日の包帯男だー」
--黄金王国--
こんこん
黄金兵「失礼します。賊を連れてまいりました」
参謀長「ご苦労様。入れ」
黄金兵「はっ」
ぎぃ
潜入長「……」
突撃長「……」
参謀長「……」
部屋の中にいる三人がプレッシャーを放つ。
姫「お? 昨日の包帯男だー」
642: 2014/07/15(火) 02:31:36.76 ID:T2t+mGrr0
193
--黄金王国--
盗賊「やぁやぁ。昨日はどうもー」
ハイ「ちょっ!? 盗賊さんフレンドリーすぎやしませんか!?」
参謀長「……」
参謀長は一切表情を崩さずに、紙を盗賊のほうに投げ捨てた。
ひら ひら ぱさ
盗賊「どうやら意味はわかったみたいだね?」
参謀長「……なぜこのことを知っている?」
参謀長の表情が険しくなる。
--黄金王国--
盗賊「やぁやぁ。昨日はどうもー」
ハイ「ちょっ!? 盗賊さんフレンドリーすぎやしませんか!?」
参謀長「……」
参謀長は一切表情を崩さずに、紙を盗賊のほうに投げ捨てた。
ひら ひら ぱさ
盗賊「どうやら意味はわかったみたいだね?」
参謀長「……なぜこのことを知っている?」
参謀長の表情が険しくなる。
643: 2014/07/15(火) 02:35:04.61 ID:T2t+mGrr0
194
--黄金王国--
ハイ(!! ここまで険しい表情になるなんて……盗賊さんは一体何を書いたんだろう……)
盗賊「書いてあっただろ? なんでも知ってるって。未来から来たんだって」
潜入長「たわごとを!! そんなわけあるもんか! どうせどっかから盗み見ていたんだろう!?」
参謀長「潜入長さん、少し落ち着いてください」
掴みかからんばかりの潜入長を参謀長が制す。
潜入長「だ、だって!」
参謀長「盗み見られていたにせよ、それはそれで問題なんですよ。我々が知らない間に、この者達は黄金王国最大級の秘密を知っていた……」
潜入長「ッ!!」
盗賊「さすが。これがどういう意味なのかわかったみたいだな」
参謀長「……あぁ」
参謀長は深いため息をつく。
参謀長「……あそこに書かれていたのは」
姫様のパンツの一週間のローテーションだ
--黄金王国--
ハイ(!! ここまで険しい表情になるなんて……盗賊さんは一体何を書いたんだろう……)
盗賊「書いてあっただろ? なんでも知ってるって。未来から来たんだって」
潜入長「たわごとを!! そんなわけあるもんか! どうせどっかから盗み見ていたんだろう!?」
参謀長「潜入長さん、少し落ち着いてください」
掴みかからんばかりの潜入長を参謀長が制す。
潜入長「だ、だって!」
参謀長「盗み見られていたにせよ、それはそれで問題なんですよ。我々が知らない間に、この者達は黄金王国最大級の秘密を知っていた……」
潜入長「ッ!!」
盗賊「さすが。これがどういう意味なのかわかったみたいだな」
参謀長「……あぁ」
参謀長は深いため息をつく。
参謀長「……あそこに書かれていたのは」
姫様のパンツの一週間のローテーションだ
644: 2014/07/15(火) 02:37:15.73 ID:T2t+mGrr0
195
--黄金王国--
ハイ「!? は、はいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」
盗賊「うむ、ご名答!」
盗賊は誇らしげな表情だ。
ハイ「な、何を書いてるんですか何をぉ!!……はっ!? あの時私に聞いてきたのはそういうことだったんですか……」
ぴくっ
参謀長がわずかに反応する。
ハイ「なんでいきなりそんなことをと思ってましたけど……まさかこんな……」
盗賊「……今のでもうわかったと思うけど、未来から来た、っていうのはこの子なんだよ参謀長さん」
そういって盗賊はハイの頭に手を乗せる。
盗賊「この子は今から一年後に姫様と仲良くなって友達になったらしい。それでその時、姫様のおパンツローテーションのことを聞いたんだとさ」
ハイ「……仲良く、っていうほど長い付き合いではありませんでしたけど、まぁ寝食を共にしましたからね」(最終決戦の時に)
姫「姫ちゃんとその子が……友達?」
--黄金王国--
ハイ「!? は、はいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」
盗賊「うむ、ご名答!」
盗賊は誇らしげな表情だ。
ハイ「な、何を書いてるんですか何をぉ!!……はっ!? あの時私に聞いてきたのはそういうことだったんですか……」
ぴくっ
参謀長がわずかに反応する。
ハイ「なんでいきなりそんなことをと思ってましたけど……まさかこんな……」
盗賊「……今のでもうわかったと思うけど、未来から来た、っていうのはこの子なんだよ参謀長さん」
そういって盗賊はハイの頭に手を乗せる。
盗賊「この子は今から一年後に姫様と仲良くなって友達になったらしい。それでその時、姫様のおパンツローテーションのことを聞いたんだとさ」
ハイ「……仲良く、っていうほど長い付き合いではありませんでしたけど、まぁ寝食を共にしましたからね」(最終決戦の時に)
姫「姫ちゃんとその子が……友達?」
645: 2014/07/15(火) 02:39:50.39 ID:T2t+mGrr0
196
--黄金王国--
参謀長「ふむ……目的はなんだ? 我々に早急に近づいて話をしなければならないほどの何かがあるのだろう?」
潜入長「!? 参謀長様! 信じるんですか!? たかがパンツのローテーションがばれたくらいで!!」
突撃長「ですじゃですじゃ!」
参謀長「たかがじゃないんですよ潜入長さん。ある曜日を除けば、姫様のパンツの柄が外部にばれることはありえないんです。それは私が保証します」
突撃長(……パンツの柄の話ですじゃよね?)
参謀長「私だってこの者達が言っていることを完全に信じたわけじゃない。時間移動の魔法は過去の私でさえ作りえなかったもの……そうやすやすと信じられません」
盗賊「……」
参謀長「だが何かしらの強力な情報源をもっていることは確かです。それを我々に見せたということは、その力を我々に買って欲しいということ」
盗賊「……」
参謀長「いや、違うか……それならこんな急で危険な行動をする理由にはならない……何か切羽詰ったものを感じる……なるほど、何か危険が迫っていて我々の力が必要ということだな?」
盗賊「うん」
--黄金王国--
参謀長「ふむ……目的はなんだ? 我々に早急に近づいて話をしなければならないほどの何かがあるのだろう?」
潜入長「!? 参謀長様! 信じるんですか!? たかがパンツのローテーションがばれたくらいで!!」
突撃長「ですじゃですじゃ!」
参謀長「たかがじゃないんですよ潜入長さん。ある曜日を除けば、姫様のパンツの柄が外部にばれることはありえないんです。それは私が保証します」
突撃長(……パンツの柄の話ですじゃよね?)
参謀長「私だってこの者達が言っていることを完全に信じたわけじゃない。時間移動の魔法は過去の私でさえ作りえなかったもの……そうやすやすと信じられません」
盗賊「……」
参謀長「だが何かしらの強力な情報源をもっていることは確かです。それを我々に見せたということは、その力を我々に買って欲しいということ」
盗賊「……」
参謀長「いや、違うか……それならこんな急で危険な行動をする理由にはならない……何か切羽詰ったものを感じる……なるほど、何か危険が迫っていて我々の力が必要ということだな?」
盗賊「うん」
646: 2014/07/15(火) 02:40:26.21 ID:T2t+mGrr0
197
--黄金王国--
参謀長「それはどの程度の規模の危険か?」
盗賊「人類全滅」
潜入長「!?」
突撃長「!? な、なっ!?」
参謀長「……なるほど、了解した。では話をしてもらおうか。そちらの持っている情報の全てを」
潜入長「ちょっ、ちょちょちょ、ちょっと待ってくださいよ参謀長様! 勝手に話を進め過ぎです!」
突撃長「そうですじゃ! 我々理解がおっつきませぬ! ひ、姫様だってそうですじゃ!」
姫「なーなー。お前、未来から来た姫ちゃんの友達なのか?」
姫はハイの服を引っ張りながら聞く。
ハイ「え? あ、は、はい」
--黄金王国--
参謀長「それはどの程度の規模の危険か?」
盗賊「人類全滅」
潜入長「!?」
突撃長「!? な、なっ!?」
参謀長「……なるほど、了解した。では話をしてもらおうか。そちらの持っている情報の全てを」
潜入長「ちょっ、ちょちょちょ、ちょっと待ってくださいよ参謀長様! 勝手に話を進め過ぎです!」
突撃長「そうですじゃ! 我々理解がおっつきませぬ! ひ、姫様だってそうですじゃ!」
姫「なーなー。お前、未来から来た姫ちゃんの友達なのか?」
姫はハイの服を引っ張りながら聞く。
ハイ「え? あ、は、はい」
647: 2014/07/15(火) 02:41:28.14 ID:T2t+mGrr0
198
--黄金王国--
ぱああああ
っと、姫の表情が明るくなる。
姫「そうか! お前は姫ちゃんの友達なのだな! きゃっほー! 友達ー!!」
ばふっ
姫はハイに抱きついた。
姫「姫ちゃん家臣はいても人間の友達はいないからな! 嬉しいぞーー!!」
突撃長「ちょっとーーーーー!! 何で賊に接近してるんですじゃ姫様ーーー!!」
姫「賊じゃないよ、友達だよ!」
頬を膨らませながら姫は怒る。
突撃長「も、もうちょっと疑いを持って欲しいですじゃ! この者達は姫様に危害を加えるつもりかもしれませんのですじゃよ!?」
姫「え? 危害を加えるつもりなのか?」
姫はハイに聞く。
ハイ「いえ、そんなことないです」
姫「ほらみろ!」
突撃長「ですじゃー!!」
--黄金王国--
ぱああああ
っと、姫の表情が明るくなる。
姫「そうか! お前は姫ちゃんの友達なのだな! きゃっほー! 友達ー!!」
ばふっ
姫はハイに抱きついた。
姫「姫ちゃん家臣はいても人間の友達はいないからな! 嬉しいぞーー!!」
突撃長「ちょっとーーーーー!! 何で賊に接近してるんですじゃ姫様ーーー!!」
姫「賊じゃないよ、友達だよ!」
頬を膨らませながら姫は怒る。
突撃長「も、もうちょっと疑いを持って欲しいですじゃ! この者達は姫様に危害を加えるつもりかもしれませんのですじゃよ!?」
姫「え? 危害を加えるつもりなのか?」
姫はハイに聞く。
ハイ「いえ、そんなことないです」
姫「ほらみろ!」
突撃長「ですじゃー!!」
648: 2014/07/15(火) 02:42:59.58 ID:T2t+mGrr0
199
--黄金王国--
潜入長は頭を抱えている。
参謀長「突撃長殿。そこらへんにしておきましょう。話を聞いてみたいと思います」
突撃長「で、ですがこの者達が嘘を言っている可能性も……」
姫「嘘って何? 食べ物?」
突撃長「バカだ!!」
姫「今バカってゆった!?」
ぴょんぴょん!
跳ねる姫。
その時ふわりと姫のスカートがめくれ上がった。
盗賊「あ、なし、って梨じゃ無いのね」
--黄金王国--
潜入長は頭を抱えている。
参謀長「突撃長殿。そこらへんにしておきましょう。話を聞いてみたいと思います」
突撃長「で、ですがこの者達が嘘を言っている可能性も……」
姫「嘘って何? 食べ物?」
突撃長「バカだ!!」
姫「今バカってゆった!?」
ぴょんぴょん!
跳ねる姫。
その時ふわりと姫のスカートがめくれ上がった。
盗賊「あ、なし、って梨じゃ無いのね」
649: 2014/07/15(火) 02:46:55.88 ID:T2t+mGrr0
200
--黄金王国--
盗賊「じゃあほれ、ハイちゃん。説明したげて」
盗賊はハイの背中を押す。
ハイ「は、はい……じゃあ信じて貰えるかわかりませんが、これから起こることを話させてもらいます」
ハイは一歩進んで参謀長の眼を見る。
ハイ「……これから数日後、北で魔王軍が動き始めます。そして北の王国がわずか半日で壊滅します」
参謀長「!」
突撃長「なっ!」
潜入長「ば、バカな!!」
ハイ「――全てはそこから始まったんです。人類の滅びの道が……そしてこのままだとまたバッドエンドに辿り着いてしまう……だから私は歴史を修正したいんです。北の王国の人たちを助けたいんです!」
盗賊「……」
ユー「……」
潜入長「さ、参謀長様……」
参謀長「……半日で一つの王国を滅ぼすような相手だ……我々が力を貸した所でどうにかなるのですか?」
ハイ「……全員が最終決戦に揃っていれば……何とかなると思います! いえ……」
ハイは大きく息を吸い込んだ。
ハイ「――何とかしてみせます」
--黄金王国--
盗賊「じゃあほれ、ハイちゃん。説明したげて」
盗賊はハイの背中を押す。
ハイ「は、はい……じゃあ信じて貰えるかわかりませんが、これから起こることを話させてもらいます」
ハイは一歩進んで参謀長の眼を見る。
ハイ「……これから数日後、北で魔王軍が動き始めます。そして北の王国がわずか半日で壊滅します」
参謀長「!」
突撃長「なっ!」
潜入長「ば、バカな!!」
ハイ「――全てはそこから始まったんです。人類の滅びの道が……そしてこのままだとまたバッドエンドに辿り着いてしまう……だから私は歴史を修正したいんです。北の王国の人たちを助けたいんです!」
盗賊「……」
ユー「……」
潜入長「さ、参謀長様……」
参謀長「……半日で一つの王国を滅ぼすような相手だ……我々が力を貸した所でどうにかなるのですか?」
ハイ「……全員が最終決戦に揃っていれば……何とかなると思います! いえ……」
ハイは大きく息を吸い込んだ。
ハイ「――何とかしてみせます」
655: 2014/07/22(火) 01:30:23.61 ID:zPv1XqvF0
201
--黄金王国--
ざっ
黒肌の兵士「参謀長殿。準備整いました」
参謀長「ご苦労」
ハイ「ふぇぇ……ほ、ほんとに国を動かせちゃった」
ざっ、ざっ
黄金王国の兵の約半数が整列している。
参謀長「ではゆくぞ。北の王国を救いに」
ぽてっ、ぽてっ
姫「あ、ちょっとまって参謀長ー。姫ちゃんまだいつものお菓子持ってきてなくて、ちょっとまって」
参謀長「しゅっぱーつ」
姫「待ってって、言ってるのに!! びえー!!」
--黄金王国--
ざっ
黒肌の兵士「参謀長殿。準備整いました」
参謀長「ご苦労」
ハイ「ふぇぇ……ほ、ほんとに国を動かせちゃった」
ざっ、ざっ
黄金王国の兵の約半数が整列している。
参謀長「ではゆくぞ。北の王国を救いに」
ぽてっ、ぽてっ
姫「あ、ちょっとまって参謀長ー。姫ちゃんまだいつものお菓子持ってきてなくて、ちょっとまって」
参謀長「しゅっぱーつ」
姫「待ってって、言ってるのに!! びえー!!」
656: 2014/07/22(火) 01:31:35.98 ID:zPv1XqvF0
202
--草原--
ざっざっざっ
ユニコーン「……」
ぱかっ、ぱかっ、ぱかっ
ハイ(ユニちゃんのことすっかり忘れてた……)「でも盗賊さん。あんな約束しちゃってよかったんですか?」
盗賊「あんな約束? どれのこと?」
ハイ「ほら、
参謀長『しかし盗賊殿。これだけの数の人間を動かすのです。もしなにも起きなかったら……その時はどう責任を取るおつもりですか?』
盗賊『じゃあその時は失われた王国の半分あげるよ』
ってやつです……」
盗賊「あぁ、あれね」
ハイ「あれね、じゃなくて……」
--草原--
ざっざっざっ
ユニコーン「……」
ぱかっ、ぱかっ、ぱかっ
ハイ(ユニちゃんのことすっかり忘れてた……)「でも盗賊さん。あんな約束しちゃってよかったんですか?」
盗賊「あんな約束? どれのこと?」
ハイ「ほら、
参謀長『しかし盗賊殿。これだけの数の人間を動かすのです。もしなにも起きなかったら……その時はどう責任を取るおつもりですか?』
盗賊『じゃあその時は失われた王国の半分あげるよ』
ってやつです……」
盗賊「あぁ、あれね」
ハイ「あれね、じゃなくて……」
657: 2014/07/22(火) 01:32:58.56 ID:zPv1XqvF0
203
--草原--
盗賊「それはまぁなんとかなるでしょー」
ハイ「……」
盗賊「あれ?……また呆れさせちゃったかな?」
ハイ「いえ、そうじゃないんです!……これは私が言い出したことなんだから、本当なら対価を出すのも責任を取るのも私のはずだったんです。それなのに、盗賊さんや他の方々に迷惑をかけてしまって……未来から戻ってきても助けられてばかりです私……」
ハイはうつむいてしまう。
盗賊「おいおい、気にしないで行こうぜハイちゃん。大体ハイちゃんは私利私欲のためじゃなくて、人々を助けるために動いてるんじゃないか。なんでもかんでも一人で背負うことなんて無いさ、俺だって一緒に担がせてくれよ」
盗賊はそう言ってハイの頭に手を乗せる。
ハイ「……盗賊さん」
盗賊「俺達に借り貸しは無しだ」
b
--草原--
盗賊「それはまぁなんとかなるでしょー」
ハイ「……」
盗賊「あれ?……また呆れさせちゃったかな?」
ハイ「いえ、そうじゃないんです!……これは私が言い出したことなんだから、本当なら対価を出すのも責任を取るのも私のはずだったんです。それなのに、盗賊さんや他の方々に迷惑をかけてしまって……未来から戻ってきても助けられてばかりです私……」
ハイはうつむいてしまう。
盗賊「おいおい、気にしないで行こうぜハイちゃん。大体ハイちゃんは私利私欲のためじゃなくて、人々を助けるために動いてるんじゃないか。なんでもかんでも一人で背負うことなんて無いさ、俺だって一緒に担がせてくれよ」
盗賊はそう言ってハイの頭に手を乗せる。
ハイ「……盗賊さん」
盗賊「俺達に借り貸しは無しだ」
b
658: 2014/07/22(火) 01:34:40.52 ID:zPv1XqvF0
204
--草原--
参謀長「借り貸し無し……ね」
ぱから、ぱから
馬に乗った参謀長がハイ達に横につく。
ハイ「参謀長さん?」
参謀長「少し話をしてもいいですか?」
ハイ「へ?」
断りを入れてから参謀長が話し始める。
参謀長「――二ヶ月ほど前の話になるのですが、遠征していた我が国の兵士達が、氏の砂漠で迷ったことがあるんですよ」
ハイ「遠征、ですか」
参謀長「はい。オリョールに」
ハイ「オリョール!?」
--草原--
参謀長「借り貸し無し……ね」
ぱから、ぱから
馬に乗った参謀長がハイ達に横につく。
ハイ「参謀長さん?」
参謀長「少し話をしてもいいですか?」
ハイ「へ?」
断りを入れてから参謀長が話し始める。
参謀長「――二ヶ月ほど前の話になるのですが、遠征していた我が国の兵士達が、氏の砂漠で迷ったことがあるんですよ」
ハイ「遠征、ですか」
参謀長「はい。オリョールに」
ハイ「オリョール!?」
659: 2014/07/22(火) 01:37:06.39 ID:zPv1XqvF0
205
--草原--
ぱか、ぱか、ぱか
参謀長「方角もわからないまま歩き回ったせいで、体力は限界を向かえ、水は底をつき、後は氏を待つばかりとなった彼らの前に……ふと、一人の包帯男が現れたそうです」
盗賊「……」
ハイ「へー。包帯男ですかー。怪我人かな?」
参謀長「その包帯男はオアシスまで兵士達を導き、兵士達の体力が戻るまで面倒を見ると、丁寧にも黄金王国まで案内してくれたらしいのです」
ハイ「包帯男……ミイラかな? いずれにせよいい人みたいですね」
参謀長「……。黄金王国に着き、何かお礼がしたいと兵士達が包帯男に言うと、『礼ならいい、困った時はお互い様だ。でももし俺が困ったことになったら、その時は力を借りに来る。そんで借り貸しは無しだ』と言って煙のように姿を消したそうです……おならの臭いとともに」
ハイ「オナラ……」
ハイは盗賊の方を見て、盗賊は顔をそらす。
--草原--
ぱか、ぱか、ぱか
参謀長「方角もわからないまま歩き回ったせいで、体力は限界を向かえ、水は底をつき、後は氏を待つばかりとなった彼らの前に……ふと、一人の包帯男が現れたそうです」
盗賊「……」
ハイ「へー。包帯男ですかー。怪我人かな?」
参謀長「その包帯男はオアシスまで兵士達を導き、兵士達の体力が戻るまで面倒を見ると、丁寧にも黄金王国まで案内してくれたらしいのです」
ハイ「包帯男……ミイラかな? いずれにせよいい人みたいですね」
参謀長「……。黄金王国に着き、何かお礼がしたいと兵士達が包帯男に言うと、『礼ならいい、困った時はお互い様だ。でももし俺が困ったことになったら、その時は力を借りに来る。そんで借り貸しは無しだ』と言って煙のように姿を消したそうです……おならの臭いとともに」
ハイ「オナラ……」
ハイは盗賊の方を見て、盗賊は顔をそらす。
660: 2014/07/22(火) 01:39:47.82 ID:zPv1XqvF0
206
--草原--
ぱから、ぱから
参謀長「変な話でしょう。兵士たちの間では怪談の一つになっているんですよ。……そうそう、変な話と言えばあのパンツローテーションも少しおかしかったんですよ」
ハイ「え? おかしかったって、何がですか?」
参謀長「いえね、あの紙に書かれていた順番は、
かに、りんご、かぼちゃ、しま、なし、しろ、なし
でした。でも実際に姫様にローテーションをお聞きしたところ、
かに、りんご、かぼちゃ、なし、しま、しろ、なし
だったんですよ」
ハイ「え、えぇー!……そうだ、確かにそうですよ。え、私そう言いませんでしたっけ盗賊さん! それとも言い間違えちゃいました!?」
盗賊「ど、どうだったかなー」
参謀長「ま、多少順番が違えども、ここまでパンツの柄を言い当てたのだから十分と言えば十分なんですがね。誰だって他人のパンツローテーションの話なんて覚えていないでしょうし。普通なら」
ハイ「まるで私が変Oみたいな言い草!」
--草原--
ぱから、ぱから
参謀長「変な話でしょう。兵士たちの間では怪談の一つになっているんですよ。……そうそう、変な話と言えばあのパンツローテーションも少しおかしかったんですよ」
ハイ「え? おかしかったって、何がですか?」
参謀長「いえね、あの紙に書かれていた順番は、
かに、りんご、かぼちゃ、しま、なし、しろ、なし
でした。でも実際に姫様にローテーションをお聞きしたところ、
かに、りんご、かぼちゃ、なし、しま、しろ、なし
だったんですよ」
ハイ「え、えぇー!……そうだ、確かにそうですよ。え、私そう言いませんでしたっけ盗賊さん! それとも言い間違えちゃいました!?」
盗賊「ど、どうだったかなー」
参謀長「ま、多少順番が違えども、ここまでパンツの柄を言い当てたのだから十分と言えば十分なんですがね。誰だって他人のパンツローテーションの話なんて覚えていないでしょうし。普通なら」
ハイ「まるで私が変Oみたいな言い草!」
661: 2014/07/22(火) 01:42:05.94 ID:zPv1XqvF0
207
--草原--
参謀長「ただなんとなく気になることがあったんで、何かあるんじゃないかと紙を眺めていたら……」
盗賊「……」
参謀長「頭の文字だけを注目したら、
か り か し な し な
と読めたんです」
ハイ「かりかしなしな……借り貸し……無しな?」
盗賊「……」
ぴひゅー、ぴひょー
盗賊は吹けない口笛を吹いている。
参謀長「……随分遠まわしかつ、微妙な効力の暗号ですよね。相手側が気づかないんじゃ意味が無いと思いますが?」
盗賊「う、うるさいな……! パンツローテーションだけじゃパンチ弱いかと思って、咄嗟に考えたやつなんだよ!」
ハイ「……パンツだけに、パンチ」
--草原--
参謀長「ただなんとなく気になることがあったんで、何かあるんじゃないかと紙を眺めていたら……」
盗賊「……」
参謀長「頭の文字だけを注目したら、
か り か し な し な
と読めたんです」
ハイ「かりかしなしな……借り貸し……無しな?」
盗賊「……」
ぴひゅー、ぴひょー
盗賊は吹けない口笛を吹いている。
参謀長「……随分遠まわしかつ、微妙な効力の暗号ですよね。相手側が気づかないんじゃ意味が無いと思いますが?」
盗賊「う、うるさいな……! パンツローテーションだけじゃパンチ弱いかと思って、咄嗟に考えたやつなんだよ!」
ハイ「……パンツだけに、パンチ」
662: 2014/07/22(火) 01:52:59.28 ID:zPv1XqvF0
208
--草原--
ハイ「え、順番変えてまで言いたかったことって、それだけ?」
盗賊「……」
参謀長「……」
盗賊「姫様の秘密と俺が助けた兵士のこと、それとこっちの実力を見せたらなんとか話をいい方向にもっていけるかなーって思ったんだよ……」
ハイ「……回りくど……。やっぱり真正面から堂々とお話をしにいったほうがよかったんじゃないですか?」
盗賊「……。実際に見てみた感想としては活気があっていい国だったよ。統治してるやつもいいやつなんだろうと思ったし。でもハイちゃんは知らないのかもしんないけどさ……黄金王国は結構変な噂があったんだよ。例えばあの研究員を内緒で匿ってるとか」
参謀長「ぎく」
--黄金王国--
研究員「ぶぇっくしょーい!」
ウーノ「? 風邪ですか?」
--草原--
ハイ「え、順番変えてまで言いたかったことって、それだけ?」
盗賊「……」
参謀長「……」
盗賊「姫様の秘密と俺が助けた兵士のこと、それとこっちの実力を見せたらなんとか話をいい方向にもっていけるかなーって思ったんだよ……」
ハイ「……回りくど……。やっぱり真正面から堂々とお話をしにいったほうがよかったんじゃないですか?」
盗賊「……。実際に見てみた感想としては活気があっていい国だったよ。統治してるやつもいいやつなんだろうと思ったし。でもハイちゃんは知らないのかもしんないけどさ……黄金王国は結構変な噂があったんだよ。例えばあの研究員を内緒で匿ってるとか」
参謀長「ぎく」
--黄金王国--
研究員「ぶぇっくしょーい!」
ウーノ「? 風邪ですか?」
663: 2014/07/22(火) 01:54:38.64 ID:zPv1XqvF0
209
--草原--
ハイ「あー……西の王国で騒ぎを起こして行方不明になった人ですか……確か国際指名手配されてましたよね。でもまさか黄金王国にいたりはしませんよ」
参謀長「そうですね」
盗賊「あともこもこを飼いならしてるとか」
参謀長「ぎくぎく」
ハイ「あの東の王国を壊滅寸前にまでおいやった未知のモンスターですか? まさかそんなことあるわけないですよ」
--草原--
もこじ「もきゅんっ」
姫「あれー? どしたの? 寒い?」
ぎゅっ
もこじ「寒くないもきゅ。むしろ暑いもきゅ。離して欲しいもきゅ」
--草原--
ハイ「あー……西の王国で騒ぎを起こして行方不明になった人ですか……確か国際指名手配されてましたよね。でもまさか黄金王国にいたりはしませんよ」
参謀長「そうですね」
盗賊「あともこもこを飼いならしてるとか」
参謀長「ぎくぎく」
ハイ「あの東の王国を壊滅寸前にまでおいやった未知のモンスターですか? まさかそんなことあるわけないですよ」
--草原--
もこじ「もきゅんっ」
姫「あれー? どしたの? 寒い?」
ぎゅっ
もこじ「寒くないもきゅ。むしろ暑いもきゅ。離して欲しいもきゅ」
664: 2014/07/22(火) 01:58:49.13 ID:zPv1XqvF0
210
--草原--
盗賊「というわけで俺も試したかったのさ。もし変な国だったらその時は……」
参謀長「……」
ハイ「……。でもそれを言うなら他の国に力を貸してもらいにいけばよかったのでは? 東の王国とか」
盗賊「うんにゃ、東の王国は駄目だ。王が頭硬すぎる。西の王国も駄目だ。秘書が問答無用で頃しに来る。王国も……新しい大臣のせいでなんだかんだで戦いになって長引いちゃうだろうな」
ハイ「……南の王国は? って、自分で聞いておいてなんですけど、北の王国まで遠過ぎますか」
盗賊「そゆこと。残るは魔法王国と黄金王国。この二つはどっちでもよかったんだけど、黄金王国の方が北の王国まで近かった、っていうのと力を割いてくれそうだった、ってのが選んだ理由かな」
参謀長「随分と正直に話してくれる人だ……で、結局うちは合格だったんですか?」
盗賊「さっきも言った通り、いい国だよ。試して悪かった。あんたも国民から好かれてていい人そうだし、研究員とかを匿うのもきっと何か理由があるんだろう」
ハイ「!? え、やっぱり匿ってたんですか?」
盗賊「なんとなくそんな気がする」
ハイ「なんとなくて」
わいわい
参謀長(……残念。少し私を勘違いしてますよ。世の中には作戦のために兵を犠牲にしても、悪く思われない指揮官というのもいるんです)
--草原--
盗賊「というわけで俺も試したかったのさ。もし変な国だったらその時は……」
参謀長「……」
ハイ「……。でもそれを言うなら他の国に力を貸してもらいにいけばよかったのでは? 東の王国とか」
盗賊「うんにゃ、東の王国は駄目だ。王が頭硬すぎる。西の王国も駄目だ。秘書が問答無用で頃しに来る。王国も……新しい大臣のせいでなんだかんだで戦いになって長引いちゃうだろうな」
ハイ「……南の王国は? って、自分で聞いておいてなんですけど、北の王国まで遠過ぎますか」
盗賊「そゆこと。残るは魔法王国と黄金王国。この二つはどっちでもよかったんだけど、黄金王国の方が北の王国まで近かった、っていうのと力を割いてくれそうだった、ってのが選んだ理由かな」
参謀長「随分と正直に話してくれる人だ……で、結局うちは合格だったんですか?」
盗賊「さっきも言った通り、いい国だよ。試して悪かった。あんたも国民から好かれてていい人そうだし、研究員とかを匿うのもきっと何か理由があるんだろう」
ハイ「!? え、やっぱり匿ってたんですか?」
盗賊「なんとなくそんな気がする」
ハイ「なんとなくて」
わいわい
参謀長(……残念。少し私を勘違いしてますよ。世の中には作戦のために兵を犠牲にしても、悪く思われない指揮官というのもいるんです)
665: 2014/07/22(火) 01:59:49.23 ID:zPv1XqvF0
211
--草原、夜営--
パチパチ……
盗賊「ん」
ばしゅっ
盗賊「ふぅ~……」
ハイ「何をしてるんですか?」
水の入ったコップを持ったハイが盗賊に話しかける。
盗賊「いや、ちょっとね。あ、ありがとう」
盗賊は水を受け取る。
ハイ「共有、でしたっけ。それ」
盗賊「ぶっ!」
盗賊は口に含んだ水を噴出した。
ハイ「えっ!? 大丈夫ですか!?」
ぽたぽたっ
盗賊「……いや、俺これ見せたことないよね? やっぱり未来から来てるからばれてるんやなーって」
--草原、夜営--
パチパチ……
盗賊「ん」
ばしゅっ
盗賊「ふぅ~……」
ハイ「何をしてるんですか?」
水の入ったコップを持ったハイが盗賊に話しかける。
盗賊「いや、ちょっとね。あ、ありがとう」
盗賊は水を受け取る。
ハイ「共有、でしたっけ。それ」
盗賊「ぶっ!」
盗賊は口に含んだ水を噴出した。
ハイ「えっ!? 大丈夫ですか!?」
ぽたぽたっ
盗賊「……いや、俺これ見せたことないよね? やっぱり未来から来てるからばれてるんやなーって」
666: 2014/07/22(火) 02:02:03.06 ID:zPv1XqvF0
212
--草原、夜営--
パチパチ……
盗賊「勇者と情報を共有してたんだよね」
ハイ「!……そうか。技とかを引き継げるってことは、戦いの経験も引き継いでるはず……つまり記憶の一部も共有できるってことですね?」
盗賊「察しいいね。今回は俺らだけじゃ分が悪そうなんで呼んでおいたのさ」
ハイ「勇者さんが参戦……心強いです!」
盗賊「……今まで心細かった?」
パチパチ
姫「これこれーそこのものー」
ユー「?」
ユーは俺? とばかりに自分を指差す。
姫「そうそう貴方貴方ー! マントしか付けてないからかわいそうだなー、さむそうだなーって、ずっと思ってたんだよねー。姫ちゃん優しいから!」
--草原、夜営--
パチパチ……
盗賊「勇者と情報を共有してたんだよね」
ハイ「!……そうか。技とかを引き継げるってことは、戦いの経験も引き継いでるはず……つまり記憶の一部も共有できるってことですね?」
盗賊「察しいいね。今回は俺らだけじゃ分が悪そうなんで呼んでおいたのさ」
ハイ「勇者さんが参戦……心強いです!」
盗賊「……今まで心細かった?」
パチパチ
姫「これこれーそこのものー」
ユー「?」
ユーは俺? とばかりに自分を指差す。
姫「そうそう貴方貴方ー! マントしか付けてないからかわいそうだなー、さむそうだなーって、ずっと思ってたんだよねー。姫ちゃん優しいから!」
667: 2014/07/22(火) 02:02:58.27 ID:zPv1XqvF0
213
--草原、夜営--
ユー「?」
姫「だからー。優しい姫ちゃんはー」
ぽぉう
姫の両手に魔力が集まっていく。
姫「いいものプレゼントしちゃうのだーーー!」
ばちいぃいいいいいん!!
ユー「っ……」
しゅううぅうううぅう……
突然の閃光。そして白煙。
ユー「……!?」
中から現れたのは、
姫「黄金属性生成魔法、黄金鎧!」
まるでどっかのゴールドセイントみたいなユーの姿がそこにあった。
--草原、夜営--
ユー「?」
姫「だからー。優しい姫ちゃんはー」
ぽぉう
姫の両手に魔力が集まっていく。
姫「いいものプレゼントしちゃうのだーーー!」
ばちいぃいいいいいん!!
ユー「っ……」
しゅううぅうううぅう……
突然の閃光。そして白煙。
ユー「……!?」
中から現れたのは、
姫「黄金属性生成魔法、黄金鎧!」
まるでどっかのゴールドセイントみたいなユーの姿がそこにあった。
668: 2014/07/22(火) 02:04:17.44 ID:zPv1XqvF0
214
--草原--
翌日。
ぺかー
ハイ「まぶしっ!」
盗賊「ど、どうしたんだいユー君! なんだか眩し過ぎて君のことが見れないんだけど!」
ユー「……」
ユーは嬉しそうににこにこしているのだが誰もそれに気づけない。
ぱか、ぱか
参謀長(魔力を帯びた黄金製の全身鎧……ち、今からそんなに魔力使ってて大丈夫なのか?)
姫「くー、すぴー」
もこいち「なんだか疲れて眠っちゃってるもきゅ」
ジュッ!
盗賊「ギャー!! 太陽光を虫眼鏡であれするみたいな感じで眼が焼けたー!!」
--草原--
翌日。
ぺかー
ハイ「まぶしっ!」
盗賊「ど、どうしたんだいユー君! なんだか眩し過ぎて君のことが見れないんだけど!」
ユー「……」
ユーは嬉しそうににこにこしているのだが誰もそれに気づけない。
ぱか、ぱか
参謀長(魔力を帯びた黄金製の全身鎧……ち、今からそんなに魔力使ってて大丈夫なのか?)
姫「くー、すぴー」
もこいち「なんだか疲れて眠っちゃってるもきゅ」
ジュッ!
盗賊「ギャー!! 太陽光を虫眼鏡であれするみたいな感じで眼が焼けたー!!」
669: 2014/07/22(火) 02:06:22.26 ID:zPv1XqvF0
215
--北の王国--
盗賊「……」
ユー「……」
ハイ「……すんなり、入れましたね」
盗賊「そりゃあ、いきなりとはいえちゃんとした国家元首が来てるんだ。追い返すなんてことはできないだろうさ」
がちゃ、ぎぃ
北の王「あんらぁ、お久しぶりでんなぁ姫様~。相変わらずおうつくしゅー!」
にこにこと笑いながら部屋に入ってきた北の王。
ざっ
参謀長はすぐに立ち上がり頭を下げる。
参謀長「お久しぶりです北の王様。このような急な訪問で、本当に申し訳ありません」
北の王「いやいやあんさんのことや、何か深い理由があるんやろ~? 聞きましょ。どうかしたんでっか?」
どすんと音を立てて北の王は玉座に座る。
参謀長「はい。実は……」
--北の王国--
盗賊「……」
ユー「……」
ハイ「……すんなり、入れましたね」
盗賊「そりゃあ、いきなりとはいえちゃんとした国家元首が来てるんだ。追い返すなんてことはできないだろうさ」
がちゃ、ぎぃ
北の王「あんらぁ、お久しぶりでんなぁ姫様~。相変わらずおうつくしゅー!」
にこにこと笑いながら部屋に入ってきた北の王。
ざっ
参謀長はすぐに立ち上がり頭を下げる。
参謀長「お久しぶりです北の王様。このような急な訪問で、本当に申し訳ありません」
北の王「いやいやあんさんのことや、何か深い理由があるんやろ~? 聞きましょ。どうかしたんでっか?」
どすんと音を立てて北の王は玉座に座る。
参謀長「はい。実は……」
670: 2014/07/22(火) 02:07:25.80 ID:zPv1XqvF0
216
--北の王国--
北の王「――なんですって? 魔王軍が五日後に攻めてくるから、それまでにこの国から全ての国民を脱出させろ、と?」
参謀長「はい」
北の王「それはまたえらいこっちゃ……いや、疑うわけではないんやけども、それは一体どこの誰が言うてはるんでっか?」
すっ
参謀長はハイに手を向ける。
参謀長「彼女です。彼女は未来からやってきたそうです」
北の王「み、未来から!? それはほんまでっか?」
ハイ「は、はい」
北の王「……」
ハイ「……」
北の王「……ぶ」
ハイ「ぶ?」
北の王「ぶわっはっはっはっはっ!!」
北の王は腹を抱えて笑い出した。
--北の王国--
北の王「――なんですって? 魔王軍が五日後に攻めてくるから、それまでにこの国から全ての国民を脱出させろ、と?」
参謀長「はい」
北の王「それはまたえらいこっちゃ……いや、疑うわけではないんやけども、それは一体どこの誰が言うてはるんでっか?」
すっ
参謀長はハイに手を向ける。
参謀長「彼女です。彼女は未来からやってきたそうです」
北の王「み、未来から!? それはほんまでっか?」
ハイ「は、はい」
北の王「……」
ハイ「……」
北の王「……ぶ」
ハイ「ぶ?」
北の王「ぶわっはっはっはっはっ!!」
北の王は腹を抱えて笑い出した。
671: 2014/07/22(火) 02:09:14.11 ID:zPv1XqvF0
217
--北の王国--
北の王「ひー、ひー……いやぁえろうすんません。でもあまりに突拍子が無くってですなぁ……」
参謀長「北の王様。ですが時に関する魔法があるのは貴方もご存知のはずです。時間転移魔法があったとしても」
北の王「おかしくはない。でも私は見たもんしか信じられんのですわ……。なんなら今ここでそれ見せてくれはりまっか?」
ハイ「い、いえ。あれは私一人でやったものではないので……」
北の王「……となると……どうやらその話、信じられそうにないですわ」
ハイ「え、えぇ!? そんな……」
参謀長「……では、信じて貰うにはどうしたらいいでしょうか?」
北の王「……準備があるんでっか? そんな与太話を『信じてもいい』と、私が私を騙せるほどの何かを……」
北の王の顔つきが商売人の顔になる。
参謀長「はい――。姫様」
姫「おっけーい!」
ぴょーん!
姫は立ち上がって窓を勢いよくあけた。
--北の王国--
北の王「ひー、ひー……いやぁえろうすんません。でもあまりに突拍子が無くってですなぁ……」
参謀長「北の王様。ですが時に関する魔法があるのは貴方もご存知のはずです。時間転移魔法があったとしても」
北の王「おかしくはない。でも私は見たもんしか信じられんのですわ……。なんなら今ここでそれ見せてくれはりまっか?」
ハイ「い、いえ。あれは私一人でやったものではないので……」
北の王「……となると……どうやらその話、信じられそうにないですわ」
ハイ「え、えぇ!? そんな……」
参謀長「……では、信じて貰うにはどうしたらいいでしょうか?」
北の王「……準備があるんでっか? そんな与太話を『信じてもいい』と、私が私を騙せるほどの何かを……」
北の王の顔つきが商売人の顔になる。
参謀長「はい――。姫様」
姫「おっけーい!」
ぴょーん!
姫は立ち上がって窓を勢いよくあけた。
672: 2014/07/22(火) 02:10:53.29 ID:zPv1XqvF0
218
--北の王国--
ばんっ!
びゅおおおぉおお!!
姫「う、うひいー! さぶうー!!」
北の王「な、何をやるのかわかりまへんが、寒いんで早く頼んます! このままじゃ凍え氏んでまう!!」
姫「よぉーし! 黄金属性変換魔法、レベル4!!」
ビイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイム!!!!
ハイ「!?」
ばちばちばちばちばちぃいいいい!! ぴかーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!
ハイ「……なっ」
盗賊「ほぉー……」
参謀長「……これはとりあえずお気持ち、ということで」
ぴか、ぴか、ぴか
北の王「……なんてぇ、こった……」
姫「えへへ! すごいっしょ! はぶしっ!」
姫の放った魔法は、山一つを丸々黄金に変えた。
--北の王国--
ばんっ!
びゅおおおぉおお!!
姫「う、うひいー! さぶうー!!」
北の王「な、何をやるのかわかりまへんが、寒いんで早く頼んます! このままじゃ凍え氏んでまう!!」
姫「よぉーし! 黄金属性変換魔法、レベル4!!」
ビイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイム!!!!
ハイ「!?」
ばちばちばちばちばちぃいいいい!! ぴかーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!
ハイ「……なっ」
盗賊「ほぉー……」
参謀長「……これはとりあえずお気持ち、ということで」
ぴか、ぴか、ぴか
北の王「……なんてぇ、こった……」
姫「えへへ! すごいっしょ! はぶしっ!」
姫の放った魔法は、山一つを丸々黄金に変えた。
673: 2014/07/22(火) 02:13:42.87 ID:zPv1XqvF0
219
--北の王国--
参謀長(あまり他国に黄金を持たれたくは無かった。が、これも仕方あるまい)「いかがでしょう。少しは話を信じたくなってもらえましたか? この国を一時的に放棄してくださるのであれば、更に好きなものを黄金に変えさせていただきます」
北の王「ひゃ、ひゃー! すんごい魔法でんなぁ! 錬金術とはまさにこうあるべき!! すんばらしぃ!!」
北の王は飛び跳ねて喜んでいる。
参謀長(ふりだろ)
北の王「……いやでもいくら黄金を積まれてもねぇ……国民には国民の生活があるんですわ。慣れ親しんだ我が家を放棄するのは簡単じゃおまへん」
盗賊(この感じ、信じたな。いや、信じて無くても話に乗る気になった。後は……)
参謀長「――それはわかっております。国民の生活は我々が責任を持ってサポートするつもりです。衣食住、不自由させる気はありません」
北の王「そうはいってもねぇ……」
盗賊「……」
かつ、かつ
盗賊「はい、これどうーぞ」
北の王に近づいた盗賊は一枚の紙を渡す。
北の王「だれでっかあんた……けったいな格好やなほんま。なんでっかこれ……ん? 護皇!?」
盗賊「もしこの国に魔王軍が攻めてこなかったなら、失われた王国の半分をあんた達にあげるよ。って書いてありますよん」
北の王「!」
--北の王国--
参謀長(あまり他国に黄金を持たれたくは無かった。が、これも仕方あるまい)「いかがでしょう。少しは話を信じたくなってもらえましたか? この国を一時的に放棄してくださるのであれば、更に好きなものを黄金に変えさせていただきます」
北の王「ひゃ、ひゃー! すんごい魔法でんなぁ! 錬金術とはまさにこうあるべき!! すんばらしぃ!!」
北の王は飛び跳ねて喜んでいる。
参謀長(ふりだろ)
北の王「……いやでもいくら黄金を積まれてもねぇ……国民には国民の生活があるんですわ。慣れ親しんだ我が家を放棄するのは簡単じゃおまへん」
盗賊(この感じ、信じたな。いや、信じて無くても話に乗る気になった。後は……)
参謀長「――それはわかっております。国民の生活は我々が責任を持ってサポートするつもりです。衣食住、不自由させる気はありません」
北の王「そうはいってもねぇ……」
盗賊「……」
かつ、かつ
盗賊「はい、これどうーぞ」
北の王に近づいた盗賊は一枚の紙を渡す。
北の王「だれでっかあんた……けったいな格好やなほんま。なんでっかこれ……ん? 護皇!?」
盗賊「もしこの国に魔王軍が攻めてこなかったなら、失われた王国の半分をあんた達にあげるよ。って書いてありますよん」
北の王「!」
674: 2014/07/22(火) 02:17:54.27 ID:zPv1XqvF0
220
--北の王国--
盗賊「そこは寒くないし山も少ないから人が住める場所が多いのよ。北の王国の人たちが楽に全員住めるんじゃないかな」
北の王「……ほんものの護皇はんのサインでんな……。あんさんは誰でっか?」
盗賊「……盗賊だ。元勇者パーティの一人のね」
北の王「!!」
参謀長「!」
ハイ(あれ! 言っちゃうの!?)
しゅるり
盗賊は包帯を少しだけ解く。
北の王「その顔……あの時魔族を連れて逃げ出した勇者の男に似てまんな……本物でっか」
盗賊「ろんのもち」
北の王「……国際指名手配犯でっせ?」
盗賊「知ってるよ」
北の王「……参謀長はん。あんさんはなんてもんと手を組んでるんでっか?」
参謀長「……」
ハイ「はわ、はわわわ!」
盗賊「はぁ……あーもう、めんどくさいなぁ」
北の王「……なんですって?」
盗賊は頭をかきながらめんどくさそうに言い放つ。
盗賊「お前らが氏んだら俺達人類の勝ち目が薄くなるんだよ。つべこべ言わないでさっさとここから非難しなさい」
--北の王国--
盗賊「そこは寒くないし山も少ないから人が住める場所が多いのよ。北の王国の人たちが楽に全員住めるんじゃないかな」
北の王「……ほんものの護皇はんのサインでんな……。あんさんは誰でっか?」
盗賊「……盗賊だ。元勇者パーティの一人のね」
北の王「!!」
参謀長「!」
ハイ(あれ! 言っちゃうの!?)
しゅるり
盗賊は包帯を少しだけ解く。
北の王「その顔……あの時魔族を連れて逃げ出した勇者の男に似てまんな……本物でっか」
盗賊「ろんのもち」
北の王「……国際指名手配犯でっせ?」
盗賊「知ってるよ」
北の王「……参謀長はん。あんさんはなんてもんと手を組んでるんでっか?」
参謀長「……」
ハイ「はわ、はわわわ!」
盗賊「はぁ……あーもう、めんどくさいなぁ」
北の王「……なんですって?」
盗賊は頭をかきながらめんどくさそうに言い放つ。
盗賊「お前らが氏んだら俺達人類の勝ち目が薄くなるんだよ。つべこべ言わないでさっさとここから非難しなさい」
675: 2014/07/22(火) 02:18:42.43 ID:zPv1XqvF0



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