490: 2015/10/26(月) 23:47:33.32 ID:rIPEDKDN0



シリーズ
勇者募集してたから王様に会いに行った

酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった

勇者と魔王がアイを募集した【1】
勇者と魔王がアイを募集した【2】
勇者と魔王がアイを募集した【3】
勇者と魔王がアイを募集した【4】
勇者と魔王がアイを募集した【5】
勇者と魔王がアイを募集した【6】
勇者と魔王がアイを募集した【7】
勇者と魔王がアイを募集した【8】
勇者と魔王がアイを募集した【9】
勇者と魔王がアイを募集した【10】
勇者と魔王がアイを募集した【11】
勇者と魔王がアイを募集した【12】
勇者と魔王がアイを募集した【13】
勇者と魔王がアイを募集した【14】
勇者と魔王がアイを募集した【15】
勇者と魔王がアイを募集した【16】
勇者と魔王がアイを募集した【17】
勇者と魔王がアイを募集した【18】
勇者と魔王がアイを募集した【完結】





121

--失われた王国--

むしゃむしゃむしゃむしゃ

盗賊「んー。外で食べるおにぎりおいしい……やっぱおにぎりっつったら鮭だよなぁ。そんで海苔もパリパリじゃなくてしなびたっていうの? これ。これがまた優しいんだ」

こぽぽぽ

勇者「はいお茶」

盗賊「あぁ、ありがとう」

ずずずー

盗賊「……はぁ、勇者のいれてくれたお茶も美味しい……幸せ」

勇者「はいはい」

ぴーひょろろろー

盗賊、勇者「「平和だねぇ……」」

489: 2015/10/26(月) 23:45:32.26 ID:rIPEDKDN0
こんばんは。投下しにきました。


種族変換……! なるほど、盲点でした。変換しまくればなんとかなるかもしれませんが、その時は原型とどめてなさそうですねw

それでは投下していきます。

491: 2015/10/26(月) 23:48:20.93 ID:rIPEDKDN0
122

--失われた王国--

トリガー「――――」

盗賊「ん? どこからか今日の仕事をさぼったトリガーの話し声がしますよ?」

勇者「サボったんじゃなくて、今日は用事があるから休ませてくれって言ってたじゃないさ」

盗賊は声のする方角を見る。

盗賊「丘の上の休憩所か……赤姫もいるな」

勇者「あのQとかいう旧式ロボットもいるわね……あれ?」

ユー「――――」

盗賊、勇者「「な、なんか普通にいるーーーー!?」」

492: 2015/10/26(月) 23:51:25.06 ID:rIPEDKDN0
123

--プール--

きーんこーんかーんこーん

鯱隊長「よし授業はここまで! プールから上がれー」

ざばっ、ざばー
ぴちゃぴちゃ

ポニテ「ふう。やー楽しかった! 鯱と一緒に泳げるプールなんて世界中でもここくらいじゃない!? 下を見た時にでっかいのが泳いでるあの衝撃! ドキッとしていいよね!」

ツインテ「駄目ですよポニテさん、先生を鯱呼ばわりは。鯱亜人さんなんですからちゃんと分けないと」

鯱隊長「……」

ポニテ「それにしてもツインテちゃん、やっぱり水着は女性用なんだね?」

ツインテ「ボクは男性用の水着を受け取ろうとしたのですが……手渡されたのはこれでした」

ポニテ「まぁ……当たり前だよね! ツインテちゃんがおっOい丸出しで泳いでたら事件だよね」

ぱしゃっ

キマ「しっかし不思議だよねー。着替えの時にツインテちゃんの股間見ようとしたのに光の帯が隠すようにしてて見れなかったしー。あれも魔法なのー?」

ツインテは、キマとポニテにむりやり女子更衣室に連れ込まれて着替えさせられたのだった。キマは未だにツインテを女の子だと思っているらしい。

ツインテ「うぅ……生徒手帳にも男って書いてあるんですけどね……」

493: 2015/10/26(月) 23:56:00.50 ID:rIPEDKDN0
124

--教室--

ポニテ「体育の後はおっいしいご飯っ!」

ゾンビ娘「ちょっとポニテさん? 大食缶を運んでくるのを忘れてますよ。ポニテさんも今日、給食当番だったでしょう?」

ポニテ「う! 楽しみにしすぎて忘れてた! ごめんね、今取ってくるから!」

がららー

女騎士「その必要は無いぞ、私が持ってきた」

教室のドアを開けて女騎士が入ってきた。

ポニテ「あ! ありがとうー女騎士!」

女騎士「ふ、気にするな。騎士として当然の勤めだ」

ツインテ「女騎士さん、強いだけでなく礼儀正しくて優しくて、本当に凄いお人です……ボクもあんな風になりたいです」

アッシュ「おい入り口で何してる。邪魔だぞ」

ドン

女騎士「んほぉぉおおおおぉぉおぉッ!?」

ツインテ「!?」

アッシュ「な、なんだ? お尻にちょっと当たっただけでなんて声を……?」

メリガー「あ、忘れてた。女騎士はお尻めっちゃ弱いから」

ツインテ(弱点多いな……)

494: 2015/10/26(月) 23:57:38.31 ID:rIPEDKDN0
125

--空--

バッサバッサ

聖騎士「ぶるぁあぁあぁ!!……孫のぉ、墓参りィ……今回は時期が少しずれてしまった、ぬぁあああ……」

灰竜「ぐるぉうう……」

聖騎士「……お前ぇえぇだけだぁあ……我の気持ちを理解してくれるううううのはぁああ……ん?」

その時聖騎士は何かを察知する。

聖騎士「あそこにぃ……強者がおるなぁ……?」

聖騎士はユニオンの学園都市を睨んだ。



--教室--

女人狼「では次を女騎士さん、読んでください」

女騎士「はい、了解です」

女騎士は立ち上がると咳を一つし、美しい声で教科書を読み始めた。

女騎士「イヤぁぁ助けてママー」

ツインテ「!?」

オーク太郎「すみませんブヒ、それ僕の本ブヒ」

495: 2015/10/26(月) 23:58:52.03 ID:rIPEDKDN0
126

--教室--

ポニテ「どんな本学校に持ってきてんだよ……」

ゾンビ娘「軽蔑します」

キマ「軽蔑するしむしろ軽蔑する……」

女騎士「お前がママになるんだよ」

オーク太郎「真顔で続き読むのやめるぶひ」

ぅぅぅうぅぅぅぅうんんどがっしゃあああああああああああああああああああああああん!!

女人狼「きゃあぁ!?」

その時何かが校庭に落下した。

ゴゴゴゴゴ……

キマ「い、隕石……?」

アッシュ「! 違う! あれを見ろ!」

しゅうううううううううう

聖騎士「……」

ツインテ「あ、聖騎士さんですね」

496: 2015/10/27(火) 00:00:00.49 ID:hYoLNHEn0
127

--教室--

ポニテ「なんだ聖騎士のおじちゃんか」

聖騎士「ぶるぁあああ!! そこの教室にいる強者よおぉぉ……素直にぃぃぃ出てくるがぁいい!! そして我と氏合いをしようぞぉおおお!!」

ポニテ「何言ってんだあのおっちゃん。強者? 誰のこと言ってんの?」

キマ「ご、ご、ご……五柱の聖騎士!? 初めて見た!! わーすごいー!!」

ゾンビ娘「人類最強といわれる聖騎士様がなぜここに……? あ、後でサインでもいただけないかしら……」

ポニテ「お、なんだこの温度差」

女騎士「……今しがた殺気を当てられた。どうやら狙いは私らしいな」

ふぁさっ

女騎士は長い髪を靡かせながら窓へ近づいていく。

女騎士「あの御仁は私との戦いを望んでいるらしい」

497: 2015/10/27(火) 00:02:44.84 ID:hYoLNHEn0
128

--教室--

こつこつこつこつ

アッシュ「なぜ呼ばれているのが自分だと思った? テレパシーでも受けたのか?」

女騎士「いや、言うなれば強者同士の直感とでも言おうか」

アッシュ「……あ?」

遠まわしに弱者と言われたと思ったアッシュはぴきりと来る。

ひゅうううう、だんっ!

女騎士は窓から飛び降りた。

女騎士「……」

聖騎士「……くっくっ……」

女騎士を視認した聖騎士は嬉しそうに笑う。

聖騎士「ふはははははは!! ……あの戦い以来ぃぃ、どうも楽しめる相手がいなくてなぁああ……!! お前のような奴を待っていたのだぁあああああああああ!!」

バッ!!

聖騎士はマントを放り捨てる。

女人狼「あ、あの聖騎士様ー!? 今は授業中ですので勝手なことをされては」

聖騎士「ぶるあああああああああああああああああああああああああああああ!!」

ドンッ!!

聖騎士は魔力を放出していく。

女人狼「ひ、ひいいい……私では止められません……」

498: 2015/10/27(火) 00:03:57.68 ID:hYoLNHEn0
129

--教室--

ゴゴゴゴゴ!!

キマ「す、すごい……なんてパワー……この校舎ごと吹っ飛んでっちゃいそうだよ……!!」

オーク太郎「ぶ、ぶひー!? ば、化物ぶひ……! 一人の人間がここまでの魔力を持っているだなんて!!」

イバ「……」

メリガー「ほう」

ツインテ「あぁ……やっぱり聖騎士さんも弱体化は免れなかったんですね」

ポニテ「うん。昔に比べるとちょっと弱くなってるねー」

アッシュ「それが歳による劣化では無さそうだから十分凄いがな」

キマ「なんか凄い冷静に分析してる!?」

499: 2015/10/27(火) 00:05:53.40 ID:hYoLNHEn0
130

--校庭--

ゴゴゴゴゴ!!

女騎士「うむ、素晴らしい魔力だ。妥協の無い鍛錬の積み重ねを感じる……」

ふぉんっ
がしっ!!

女騎士はどこからともなく飛んできた聖剣をキャッチする。

女騎士「私も一人の騎士。決闘の申し入れがあれば受けるのみだ! さぁ、どこからでもいいぞ!!」



--教室--

ポニテ「いや、駄目っしょ……汗臭いガチムチおっさんじゃん相手。ほれーくっころ言う前に戻ってこーい」

メリガー「その必要は無いよ」

ポニテ「え?」



--校庭--

聖騎士「ではいくぞ」

女騎士「あぁ」

ひゅ、

どぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいん!!

聖騎士の一撃を女騎士はあっさり受け止めた。



--教室--

メリガー「汗臭くても気品や誇りがある奴は大丈夫なんだ」



--食堂--

マッスルひげ「ぶえっくし!!……んん……なんか今誇りも気品も無いって悪口言われたような」

505: 2015/10/28(水) 21:58:31.81 ID:ZP3/IIut0
131

--教室--

ガガガッギィイイイン!!

わーーー!!

各クラスの生徒達が窓から顔を出して観戦している。

ビリビリビリ!!

キマ「す……凄い凄い! 聖騎士って本当に凄い強い!! あの聖騎士の戦いを生で見れるなんて超感激だよー!」

ゾンビ娘「えぇ本当に……! でも女騎士さん、その聖騎士様と渡り合ってます、よね?」

オーク太郎「……女騎士ちゃん、まじもんの化けもんぶひ……」



--校庭--

ギ、ドオオオオオオン!!

聖騎士「ぶるぁあああああ!! やるではないかぁ!! それでこそ我が認め」

女騎士「そちらの腕前も素晴らしい」

ズバッ!!

聖騎士「!?」

女騎士の聖剣が聖騎士の体を切り裂いた。

聖騎士(は、速い!? この我が防御しそこなうとは……ぐっ!)

506: 2015/10/28(水) 21:59:18.32 ID:ZP3/IIut0
132

--校庭--

おおおお……

どよめく生徒達。

やみ(あいつはE組の転入生の一人……く、どんだけ厄介な奴があのクラスに揃っているんだ!)



ぽたっぽたっ

聖騎士「ふは……ふはははは!! 面白い……面白いぞぉ娘ぇええ!!」

バッ!!

聖騎士「ならば見せてやる我が最強形態!! 竜人モオオオオオオオオオオド!!」

メキメキメキッ!!

聖騎士の皮膚が鱗のようになり、背中からは翼が生え、爪が伸びて尻尾が生える。

女騎士「なるほど」

ズバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

聖騎士「!?」

507: 2015/10/28(水) 22:00:42.21 ID:ZP3/IIut0
133

--校庭--

聖騎士(こ、いつ……!)

ぶきゅっ!!

聖騎士の肉体が一瞬で再生する。

聖騎士(強い!)

ボボボッ!!

聖騎士の強烈かつ高速の殴打が女騎士を襲うのだが、

ヒュンッ、ズババババッ!!

全て避けられてしまい、逆に聖騎士が切り刻まれた。

ぶしゅああああああああああああああああ!!

聖騎士「お、奥義! r」

ズバアアアアアアアアアアアアン!!

聖騎士「ッッ!!」




ポニテ「渡り合うどころじゃない……」

ツインテ「女騎士さんが聖騎士さんを押してますね」

アッシュ「それも、圧倒的に」

508: 2015/10/28(水) 22:01:50.78 ID:ZP3/IIut0
134

--校庭--

ぎゅるっ!

聖騎士「ッはー! はっー!!」(この、我が、何も、出来ない、だと……?)

聖騎士はもはや再生するのが精一杯だった。

女騎士「スキル、光剣レベル2」

ズォ!

聖騎士「」

至近距離から放たれた光の剣が聖騎士の上半身を吹き飛ばした。

ゴゴゴゴゴ!!

光の剣はそのまま雲を吹き飛ばし、空に穴を空けた。

キマ「!?」

ゾンビ娘「!」

オーク太郎「あー……」

最強と信じていた聖騎士が一方的にやられているのを見て絶句する生徒達。

509: 2015/10/28(水) 22:04:46.94 ID:ZP3/IIut0
135

--校庭--

もぞ、もぞもぞ、ぴくぴく

聖騎士「ぐ……ぐ」

体の大部分を失ったものの、なんとか修復に成功する聖騎士。

しゅぅうううぅうう……

女騎士「やはりな。貴殿ならばこの程度のダメージなど問題無い、と確信していたよ」

不適に笑う女騎士。

聖騎士「……」

女騎士「久しぶりの強敵だ。正直心が疼いてしょうがない! 小手調べはここまで……全力で行かせてもらおううか!」

スチャッ

女騎士「我が奥義は先ほどのスキルの7600万倍の威力になるが、貴殿なら真っ向から渡り合えるだろう!」

聖騎士「いや無理。もうやめる。我の負けでいいです」

510: 2015/10/28(水) 22:07:35.45 ID:ZP3/IIut0
136

--校庭--

女騎士「え」

シーン

女騎士「……と、そうか。このままでは周囲に甚大な被害がでてしまうものな。ここは若人が集う学び舎であった……戦いに夢中になってしまって周りが見えていなかったようだ」

聖騎士「……いや」(なんだこいつ……あの呪い少女レベルの化物じゃないかぁ……く、こんな化物がこの世界にいたなんてぇえ……)



アッシュ「え? ノーダメ? ノーダメで聖騎士倒しちゃうの? そりゃ……俺が勝てないわけだ……」

ツインテ「こうまで戦力差があるとチートスキルの自動蘇生も、ただの罰ゲームみたいなもんですからね」

ポニテ「生き返った瞬間にまた殺される……うぅ、考えたくもない悪夢だよ」

ツインテ「回復が逆に苦しめる道具になるというのは考え物ですね……回復魔法を悪用する人が出ないといいのですが」

アッシュ「え?」

ツインテ「え?」

511: 2015/10/28(水) 22:09:23.08 ID:ZP3/IIut0
137

--校庭--

女騎士「お手を、聖騎士殿」

聖騎士「う、うむぅ……」

女騎士は倒れた聖騎士に手を差し伸べ立たせてやる。

女騎士「いや実にいい経験をすることが出来た。心より感謝する」

聖騎士(まさかこんな小娘に完敗とはなぁ……我も隠居する時が来たのかもしれんなぁ……)

てってってー

オーク太郎「聖騎士様ー!! 是非サインを書いて欲しいぶひーーー!」

聖騎士「ぬ?」

ポニテ「!? うわ、あの豚君いつの間に!?」

聖騎士「小僧、我はサインなどうわついたものは」

女騎士「ひ、ひぃ!?」

がくがくと震えてもらしてしまう女騎士。

んじょー!

聖騎士「!?」(な、なぁんだぁこいつの怯えようは!?)

オーク太郎「そこをなんとかお願いするぶひーーー」

女騎士「ら、らめぇええええええええええ!!」

ばっりーん!!

聖騎士「!?」

512: 2015/10/28(水) 22:11:11.88 ID:ZP3/IIut0
138

--校庭--

ひゅるるるるる、どっしーん

オーク太郎が女騎士の傍を通過しただけで女騎士は鎧をばらばらにしながら吹っ飛んだ。
そして校庭に生えている大木にぶつかって自動で鎖で縛り上げられる。

女騎士「くっ、ころ……」

聖騎士「なぁあああんとおおおおおおおおお!?」

オーク太郎「さぁこれに書いて欲しいぶひ! 聖騎士様のサインとあらば女子達に見せれば人気者に……ぶひぶひん!」

聖騎士(このちっこくてぇぶさいくなオークの少年を見た瞬間、確かにあの小娘は驚愕の表情をしておったぁ……)

聖騎士はごくりと唾を飲む。

聖騎士(特別な力は感じない……どう見ても弱そうだぁ……ぐぅ……だがあの小娘の力も我は見抜けなかったではないか)

聖騎士は自分の親指を噛むと、そこから出てきた血を利用してオークのTシャツにサインを書いた。

オーク太郎「わー……血文字……」

聖騎士(あの小娘より強い者がここにはおるのか……若い世代は腑抜けばかりと思っておったが……これは隠居するしかぁないなぁあああ)

聖騎士は何かに納得し、灰竜にまたがって飛んでいってしまった。

ばさっばさっ

女騎士「しゅ、しゅごいのぉ……」

513: 2015/10/28(水) 22:12:12.05 ID:ZP3/IIut0
139

--教室--

レン「さてアクシデントはあったにゃけど、授業やるにゃよ」

ゾンビ娘「はい先生」

レン「今日はみんなに凄いもの見せてあげるにゃ。にゃにゃーん!」

レンが取り出したのはグローブ。

ポニテ「レンちゃん何それー? なんか中二病の人がよくつけてる穴あき手袋みたい」

レン「ポニテ-200点」

ポニテ「うわあああああ先生先生! レン先生ー! もう点数下げるのやめてー!」

ツインテ「あはは……また勇者さんにテレパシーで怒られちゃいますね……」

キマ「レン先生ーそれなんですー?」

レン「これは魔法発動補助装具にゃ」

キマ「……なんて?」

レン「実際にやってみせるにゃ。まずはここに魔鉱石を入れるにゃ。みんなも知っての通り、魔鉱石は魔力を含んだ鉱石にゃ」

かち

穴の部分に小さい魔鉱石をいれるレン。

ぽう

ツインテ「! 魔力反応が」

514: 2015/10/28(水) 22:14:07.46 ID:ZP3/IIut0
140

--教室--

レン「今いれたのは風の魔鉱石にゃ。本来ならレンは風の属性魔法は使えないにゃ。でもこれを使えば……」

フォウッ

アッシュ「! 今のは風魔法!……そうか、義足のあの義足と似たようなものか」

レン「そうにゃ。あれを軽量化し、コストを抑えたものがこれだと思ってもらって構わないにゃ。そしてこのカードを差し込むと。ほい」

ぽん

レンは風の盾を作った。

レン「っとまぁ、カードに術式が埋め込んであるので、誰でも好きな魔法を使えるのにゃ」

アッシュ「!?」

ツインテ「の、ノーリスクでですか?」

レン「魔鉱石と魔法カードを買うのでお金はかかるにゃ。でもそれさえクリアしちゃえば魔力が足りなくても、属性がちがくても、苦手な魔法でもなーんでもできちゃうのにゃ!」

ポニテ「まじか……」

レン「これからの世代はどんどん魔法が使いづらくなるにゃ。だからこれが必要になると思ってレンは作ったのにゃ。これをまず最初にツイン……みんなに見せようと思って」

521: 2015/11/03(火) 03:35:00.14 ID:7kDRjSEN0
141

--教室--

ツインテ「本当に凄い発明です。これがあれば誰でも気軽に魔法を使える時代が来るんですね……」

レン「ま、全く素養が無いと使えないけどにゃ。自分の魔力で点火するようなものだから」

ポニテ「……でも、なんか実感わいた」

レン「実感? なんのにゃ」

アッシュ「あの戦いの代償だ……本当にこれからは魔法が使いづらくなっていくんだな」

レン「……ここ10年間の統計によると、戦前に生まれた人たちの魔法能力は80%~60%にまで落ちていることがわかったにゃ」

ツインテ「……」

レン「戦後はもっと悲惨にゃ。戦前の平均値を100とすると70前後の魔法能力しかないにゃ。生まれながらにこれにゃ。ゆっくりと衰退していくなんてもんじゃないのにゃ」

アッシュ「生活面で魔法に頼っている部分は多々ある。ここまで急速に使えなくなると今の生活を維持することもできなくなるな」

レン「そうにゃ。だからコレが必要になるのにゃ」

ポニテ「ここ10年で雷属性と氷属性を持つ子供は生まれてないらしいしねー。私達の代でもレアだったけどさー、属性でも衰退が始まってるんだねー」

キマ「ポニテ……私達の代って、私達ほぼ同世代じゃん」

レン「……! アッシュ、ポニテ! 先生にタメ口聞いたからマイナス100点!!」

アッシュ、ポニテ「「自分も忘れてたくせに!!」」

522: 2015/11/03(火) 03:36:19.53 ID:7kDRjSEN0
142

--失われた王国--

魔導長「――っていう話なわけですなの」

盗賊「はぁ……なるほどねぇ……」

勇者「ちょっと、盗賊ちゃんとわかってるの?」

盗賊「んー……」

ガーデンテーブルに煎餅とお茶を置いて三人は話し合っている。

盗賊「話の内容云々より、なんで俺達なんかにその話をしに来たのか。そこがわからないかな」

魔導長「またまたー。私は盗賊さんのこともちゃんと評価してるなの。あの最終決戦を勝てたのはみんなが頑張ってくれたから。でもみんなを頑張らせることが出来たのはハイちゃんや盗賊さん達のおかげなの! 影の功労者なの!」

盗賊「ぐすっ」

魔導長「と、盗賊さん?」

勇者「あー……褒められなれてないからこの子……誰にも評価されない寂しい人生だったから」

盗賊「氏んだみたいな言い方……てか誰にもって」

523: 2015/11/03(火) 03:37:30.86 ID:7kDRjSEN0
143

--失われた王国--

勇者「でも魔導長、質問の答えになってないよ。なんで私達にそんな大事なことを話に来たのか。私達に何を期待しているの?」

魔導長「……」

盗賊「助けを求めるなら手を貸そう。でも邪風を壊滅させるために一緒に来てくれ、っていうんならお断りだぞ。基本的に俺らはリタイアした存在なんだ。積極的に世界のバランスを壊すようなことをしたくない」

魔導長「世界のバランス……」

盗賊「そういう意味じゃ俺はユニオンがあまり好きじゃない」

勇者「ちょっと!」

盗賊「あれはあまりに大きすぎる。世界のパワーバランスが崩れてしまった」

魔導長「……なんとなく気に入って貰えない気はしてましたなの。でも、私にも貫きたい夢と正義がある。そのためにユニオンは必要だったなの」

盗賊「まぁ……個人的に気に入らないだけだ、潰せとは言わないさ。俺らは表の政治には関わらない。リタイアした者を受け入れるだけだ」

魔導長「えぇ、それで構いませんなの」

勇者(……私達が不介入だということを確認しにきたの……?)

524: 2015/11/03(火) 03:38:37.44 ID:7kDRjSEN0
144

--失われた王国--

ぱんぱんっ

魔導長「フォーテ、出ておいで」

オオオオオオオオオオ

盗賊、勇者「「!?」」

ぽんっ

フォーテ「やっほー! おじちゃんにお姉ちゃん、久しぶりっー!」

魔導長の影から現れたのはフォーテ。

盗賊「おぉ! フォーテちゃん! 久しぶりじゃないか! 確か投獄されてるって聞いたけど」

フォーテ「魔導長お姉ちゃんのお手伝いするために、特別にでてきちゃったのー! あ、煎餅だ! ねぇ、食べていいっ!?」

勇者(手伝い!?)「あ、えぇ、いいわよ。今お茶も用意するわ」

フォーテ「わぁい!」

ばりばりっ

盗賊「……フォーテちゃんを、使うのか?」

魔導長「はいなの」

盗賊「さっき言った話とは違うことにか?」

魔導長「はいなの」

525: 2015/11/03(火) 03:39:40.06 ID:7kDRjSEN0
145

--失われた王国--

ぼりぼり

盗賊「ん~……なんだかまた血が流れることになりそうだぞ……」

魔導長「あら、心外ですなの、私はフォーテをそんなふうに使ったことは一度たりとも無いなの。フォーテちゃんに対する侮辱でもあるなのよ?」

盗賊「う……ごめんなフォーテちゃん、そういうつもりじゃなかったんよ……」

盗賊の膝の上に座り煎餅を食べているフォーテの頭をなでながら謝る。

フォーテ「んーん、フォーテ気にしてないよっ。フォーテ、おじちゃんのこと好きだからっ!」

にへー

盗賊「! フォーテちゃん……お小遣い足りてるかい?」

勇者(ほんと丸くなったわねフォーテ)「はいフォーテちゃん、ちょっと甘くしといたから」

フォーテ「わぁいありがとう勇者お姉ちゃんっ大好きっ!」

勇者「……お小遣い欲しい?」

526: 2015/11/03(火) 03:40:49.41 ID:7kDRjSEN0
146

--失われた王国--

勇者「で、なんでこの子を今になって出したわけ?」

魔導長「盗賊さんの共有をこの子に教えて欲しいなの」

勇者「共有、を?」

魔導長「最終決戦以前に、通信師がもこもこちゃんねるの力を借りてパワーアップしたことがあったなの。覚えてるなの?」

盗賊「さぁ……そんなこと書いてあったっけ?」

勇者「おい」

魔導長「……もこもこちゃんねるの情報共有能力は言わばテレパシーの上位互換。これを更にアップグレードするために貴方の力が借りたいなの」

フォーテ「既にもこもこちゃんねるはフォーテの中にはいってるー!」

盗賊「共有っつったって、ほとんど変わらないと思うんだけどなぁ……」

魔導長「もこもこちゃんねるが共有できるのはあくまで情報だけ。貴方の共有はもう一つ上の次元にあるなの」

527: 2015/11/03(火) 03:41:50.32 ID:7kDRjSEN0
147

--東の王国--

東の衛兵「――とまぁ、ここの所妙なんですよ」

賭博師「んー……参ったなぁ」

がちゃ

新東の王「? どうしました兄上」

東の衛兵「これはこれは新東の王様」

敬礼する東の衛兵。

賭博師「いやね、また北東の山で氏者がでた。今度は三人。きのこ狩りに出かけた家族だそうだ」

新東の王「またですか……あそこは北との国境付近……元々善意で取らせてもらっていたわけですが……この前の会議のことが原因でしょうか?」

賭博師「おいおい、決め付けるのは早いぞ。山賊でもいるのかもしれねぇ……一応ちゃんとした警備隊を向かわせるのと、トラブルが起きないように向こうさんに連絡いれとかないとな」

新東の王「わかりました。私が連絡しておきましょう……はぁ」

賭博師「大丈夫か? あまり寝てないんだろ」

新東の王「国内のことでてんやわんやですからね。ほんと兄上がいてくれてよかった」

賭博師「……」

528: 2015/11/03(火) 03:42:42.47 ID:7kDRjSEN0
148

--北の王国--

北の王「……」

がさ

召喚士「で、なんて書いてあったでやんす?」

北の王「また北東の山で氏者が出たんやと。は~」

召喚士「またでやんすか……こっちも前の事件の後調べさせているでやんすが」

こんこん

人形師「人形師でぇす」

北の王「入ってええでー」

がちゃ

人形師「おや、召喚士もいたんですかぁ」

召喚士「やんすでやんす」

人形師「北の王、犯人がわかりましたぁ」

北の王「! 誰やったん? うちの国のもんやったんか?」

人形師「はいー……それも国境警備隊でしたぁ」

529: 2015/11/03(火) 03:43:44.71 ID:7kDRjSEN0
149

--北の王国--

北の王「はぁ……なんでや……」

どさりと椅子に座り込む北の王。

人形師「警備隊は東の民がこちら側に深く入りすぎていたため警告を発したと、しかし抵抗され身の危険を感じたので処理した、と言ってましたぁ……」

北の王「前回もか? 前々回もか?」

人形師「はいぃ……」

北の王「っとに余計なことをしてからに……」

召喚士「例の会議のことが原因でやんすかね。結構国民で反感を持つ者多いでやんすよ」

北の王「むー……なんとか東の王と話してみるわ」

召喚士「……嫌な空気でやんすね。世界中がぴりぴりしてるでやんす。魔王がいた時とはまた違った感じやんす……」

530: 2015/11/03(火) 03:44:10.98 ID:7kDRjSEN0
150

--教室--

ポニテ「えへへーアッシュ君うOこーえへへー」

アッシュ「う、うるさい! トイレでうOこして何が悪いんだ! 何が悪いんだ!」

ポニテ「えーだって学校でトイレとかえへへー」

アッシュ「ぐ、ぐ……そ、早退してやるちくしょーーー!!」

ダダダッバンッ!!

ツインテ「あぁアッシュ君!?」

キマ(平和だなー)

イバ「小学生かよ」

きーんこーんかーんこーん

女人狼「はーい授業を始めますよー」

531: 2015/11/03(火) 03:45:14.04 ID:7kDRjSEN0
151

--教室--

ポニテ「体育祭!?」

女人狼「えぇ、丁度一ヵ月後に体育祭があります。ですので今のうちから体を鍛えておいてくださいね」

女騎士「ほう体育祭。実に楽しそうじゃあないか。なぁメリガー」

メリガー「残念だけどボクはインドアなのよね」

がたっ!

キマ「ポニテ! 絶対優勝するよ!!」

ポニテ「ん? お、おう。そりゃやるからには勝ちにいくよー」

キマ「なんだ? 覇気が足らないな! いい? これは学校中のクラスによる対抗戦なんだよ。つまりまたA組と戦うことになるんだ!! 大勢の目の前でA組をボッコボコにしてやれたら……んー考えただけでも気持ちいい!」

ツインテ(動機が不純です……)

女人狼「ただ……校長が今回は少し趣向が変わるかもしれないとおっしゃっていました」

キマ「ふぇ?」

女人狼「それがどういったものになるのかはわかりません。追って連絡します」

532: 2015/11/03(火) 03:46:24.36 ID:7kDRjSEN0
152

--赤の山、邪風本拠地--

ひゅおおぉおおぉお……

魔導長「ここか、なの」

ざざざざ!

邪風構成員「なんだてめぇは!! ここがどこだかわかってんのか!? おお!?」

ぞろぞろと湧き出てくる構成員。

魔導長「わかっているなの。奴隷王さんとちょっと話がしたいだけなの。案内して欲しいなの」

邪風構成員「あぁん? んなこと言われてほいほい通すと思ってんのかぁ!? 一人で来るなんていい度胸だぜぇい!!」

邪風構成員2「……おい、こいつどっかで見た顔だと思ったら、五柱の魔導長じゃねぇか!?」

ざわざわ!!

魔導長「なの。さぁ案内してくれる?」

ダンッ!!

奴隷王「おもしれぇ……案内してやりな」

邪風構成員「!? 奴隷王様!!」

漆黒の城の最上階のドアが開かれて奴隷王がその姿を現した。

魔導長「……」

533: 2015/11/03(火) 03:46:57.83 ID:7kDRjSEN0
153

--赤の山、邪風本拠地--

カツンカツンカツン、ギィィィイ……

魔導長「お招きありがとうなの」

奴隷王「……こんなカビくせー所にわざわざようこそ。ユニオンの魔導長さんよぉ」

青狼将軍「……」

黄太将軍「……」

赤薔薇将軍「……」

魔導長(幹部三人はご同席か)

奴隷王「で? 話し合いとは一体どんな用件なんだ?」

ぐびっ

テーブルに足を乗っけて酒を呷る奴隷王。

534: 2015/11/03(火) 03:48:55.54 ID:7kDRjSEN0
154

--赤の山、邪風本拠地--

魔導長「……私はね、貴方達のことを必要悪だと思っているなの」

奴隷王「……は?」

魔導長「世の中にはどうしても普通に暮らせない人たちがいるなの。ドロップアウトすることも出来ないどうしようも人たち。そういう人の受け皿になってる邪風は、世界の構成に必要だと思ってるなの」

青狼将軍「!! きさまぁ!!」

奴隷王「言うじゃねぇか五柱様。さすが人の指針となるようなお方は言うことが違う……で? そのどうしようもねぇ俺らに何の話だ?」

魔導長「だからある程度の規模まではしょうがないことと思って見逃していたなの。でも最近の貴方達はちょっと大きすぎるなの」

スッ

将軍三人が静かに戦闘態勢に入った。

奴隷王「……だからなんだ? じゃあ邪魔になったから潰しにきたってか?」

535: 2015/11/03(火) 03:50:31.46 ID:7kDRjSEN0
155

--赤の山、邪風本拠地--

魔導長「規模を縮小してもらいたいなの。出来れば半分くらいに」

黄太将軍「ッ!! 黙って聞いてればこの女ぁあ!!」

魔導長「っと、言った所で出来るわけが無いことくらいこっちにもわかってるなの。これが通れば悪の組織なんてやってないだろうし」

ゴゴゴゴゴ

奴隷王「のらりくらりとはっきりしねぇな」

奴隷王が上体を起こす。

奴隷王「……魔導長、今世界は魔力が枯渇していってんだ。これは魔法を主体に戦う奴らにとっちゃ大打撃だぁな。いくらあんたが最強の魔法使いだからといえ影響はもろにでてるだろ。今の俺達相手じゃ勝機はねぇぞ?」

魔導長「……でしょうね」

魔導長は三人の将軍が手を伸ばしたものを分析する。

魔導長(弓に三節棍に本。どれも魔武器なの)

536: 2015/11/03(火) 03:51:55.51 ID:7kDRjSEN0
156

--赤の山、邪風本拠地--

奴隷王「二度と聞かねぇ。魔導長。あんた何しに来たんだ?」

魔導長「……和平を結びに来たなの」

奴隷王「……はぁ?」

魔導長(盗賊さんの話術が効いてるといいなのだけど)「私は争う気が無いなのだから仲良くなりましょうなの。共に世界のバランスのために」

奴隷王「……俺達は悪の組織だぜ……? わかっていってんのか?」

魔導長「わかっていってんのなの。もし同意してもらえるのなら多少の支援の用意があるなの。まぁこちらにも飲んで貰わなくちゃならない用件があるのだけど」

奴隷王「なんだ」

魔導長「ドラッグの禁止と各国に送り込んでいる構成員の撤去、それと人造魔王を返して欲しいなの」

奴隷王「……」

魔導長「……」

奴隷王「できねぇ相談だ。俺らはてめぇらみてぇなのとはつるまねぇ」

537: 2015/11/03(火) 03:53:05.15 ID:7kDRjSEN0
157

--赤の山、邪風本拠地--

ドシュッ!!

三人の将軍が一斉に魔導長に攻撃をしかける。

奴隷王「氏ね五柱。人を見下してものいってんじゃねぇぞ」

ドギャギャギャアアアアアアアアアアアアアアア!!

赤薔薇将軍「取った……!?」

魔導長「……ありがとうなの。これで正当防衛成立なの」

奴隷王「!?」

三人の将軍の攻撃は、魔導長の影から伸びた無数の氏者の腕によって防がれていた。

魔導長「正義代表としてはこちらから攻撃するわけにはいかないからね」(なんてね)

ぽんっ

フォーテ「フォーテちゃん、さんっじょう!!」

魔導長「フォーテ」

フォーテ「わかってるっ、この三人はもう済ませたよっ」

538: 2015/11/03(火) 03:54:46.04 ID:7kDRjSEN0
158

--赤の山、邪風本拠地--

赤薔薇将軍「ッ、この白い腕に触られたらなんかゾクって……ッ! よくも気持ちわるいまねを! 火属性攻撃魔法レベル4!!」

ボボボッ!!

魔導長「凄いなの。こんな世界になってからは私でも4が限界なのに……さすが魔武器なの」

ドドォォン!!

赤薔薇将軍「魔力障壁をはった? ふふ、でも今の貴女じゃ防ぎきることは……ぐっ!?」

青狼将軍「どうした赤薔薇! !? これは!!」

ぷすぷす……

赤薔薇将軍の左腕がこげていた。

青狼将軍「反撃か!? いつのまに……」

魔導長「あまりなめないで欲しいなの。いくら不意打ちされたからって貴女程度の魔法、完全に防ぐことくらいわけないなの」

しゅうぅうう……

しかし魔導長の左腕はこげている。

魔導長「どう? 身をもって味わった感想は」

赤薔薇将軍「……?」

539: 2015/11/03(火) 03:55:42.23 ID:7kDRjSEN0
159

--赤の山、邪風本拠地--

魔導長「今貴方達三人には、与えたダメージを共有する呪いを打ち込ませてもらったなの」

赤薔薇将軍「なっ!?」

魔導長「これで自分が攻撃したダメージは全て自分も食らうことになっちゃったなの……少しはわかったなの? 人を傷つける痛みというものを……」

赤薔薇将軍「ッ!!」

魔導長「あ、自分が直接手を下さなくてもダメージは跳ね返ってくるから気をつけてなの。ふふふ……残念、もう貴女達は誰も傷つけることが出来ないなの」

奴隷王「てめぇ……!!」

フォーテ「はいっ、おじちゃんもっ」

ぺたぁ

奴隷王「!?」

魔導長「奴隷王、解除は考えない方がいいなの。もっと恐ろしい呪いを受けたくなければね」

魔導長は黒い笑顔を見せる。

540: 2015/11/03(火) 03:57:08.86 ID:7kDRjSEN0
160

--赤の山、邪風本拠地--

奴隷王「……解きやがれ」

魔導長「ふんふーん」

ぺら

魔導長は一枚の紙をテーブルに落とした。

魔導長「……人類は戦い続けねばならないなの。敵でもなんでも、でなくては社会の負の感情が募っていくなの。闘争は人によって必要不可欠。この十数年でそれが身に染みたなの」

奴隷王「……世界大戦……?」

魔導長「そう、各国の代表者達によるガチバトル風ガス抜き。邪風にもこれに参加してもらいたいなの」

奴隷王「……ッこんな誰も攻撃できない体でか!? サンドバッグになれってか!?」

魔導長「安心して。大会中はその呪いを一時的に切ってあげるなの。この呪いは話をちゃんと聞いて貰うために使ってるだけなの」

奴隷王(そうには見えネェな)

こつこつ

魔導長「大会に参加するメリットは君達にもあるなのよ? 勝者には凄い景品を用意してるなの。欲しいものはなんでも手に入るわ」

魔導長は奴隷王に近づいていく。

魔導長「わかったか? ひよっこ」

547: 2015/11/09(月) 23:15:03.13 ID:8YdFTcfC0
161

--赤の山、邪風本拠地--

魔導長「まぁここまでやっといてあれだけど、これはあくまで提案なの。貴方達が自発的に参加してくれることを私は願ってるなのよ」

魔導長は紙をひらひらとさせている。

バッ!!

奴隷王「ッ……受け入れなければこのままなんだろ……? 何が提案だ、これは脅迫だろうが!!」

魔導長「あら、悪の組織のボスともあろう者が、脅迫されてるー、なんて泣き事言うとは思わなかったなの」

奴隷王「ッ!!」

がりがりがり!

魔導長「署名ありがとうなの。詳細は追って伝えるなの」

奴隷王「けっ!! 覚えてやがれよっ!!」

548: 2015/11/09(月) 23:16:00.74 ID:8YdFTcfC0
162

--空--

びゅおおおおおお

フォーテ「ねー、魔導長お姉ちゃんっ」

ぴょこっと影から頭を出すフォーテ。

魔導長「ん? なぁに? 寒いなの?」

フォーテ「ううん、ちがくて。さっきのこと。なんであんなめんどくさいことしたの? 僕ならあの場にいた人達全部やっつけちゃえたよ? あの人達、悪い人達なんでしょっ?」

魔導長「……うん、悪い人なの。確かにフォーテなら全滅させられる。でもそれじゃあだめなの。何事も器が必要なのよ」

フォーテ「器?」

魔導長「ゴミ箱が無ければ、部屋中ゴミだらけになっちゃうでしょ?」

フォーテ「あー」←わかってない

魔導長「……なんとかなるといいなぁなの」

549: 2015/11/09(月) 23:17:30.99 ID:8YdFTcfC0
163

--失われた王国--

勇者「やっぱり血を感じるわ」

盗賊「ん? いきなりどうした?」

勇者「魔導長のことよ。彼女は信頼出来る人物だと思ってるわ。でも、あの魔導元帥と腹黒の血筋……彼女も結果のために過程を選ばないところがある」

盗賊「んー……」

盗賊はぼりぼりと顎髭をかく。

勇者「魔導長は最終決戦の後の世界の影響を受けてかなり弱体化したわ。でもそれは私達も同じ……現に私は勇者の力を失い、今では火属性しか使えない……」

勇者は深刻な顔で言う。

勇者「あの子がもし事を起こしたら、私達じゃ止められないわ」

550: 2015/11/09(月) 23:20:22.20 ID:8YdFTcfC0
164

--失われた王国--

盗賊「……硬く考え過ぎなんだよ勇者はさ」

ぽんぽん

盗賊「大丈夫だろきっと。ユニオンはちっと力をつけ過ぎたとは俺も思うけど、魔導長はうまく動いてくれるさ。道を間違えた時に過ちを正してくれる仲間が傍にいっぱいいるんだからさ」

勇者「……そうね。あの子達がいる限りは、安心かも、ね」

たたた

農家のおじさん「おお勇者さん、ここにいましたか。実はうちの家内が料理を作りすぎてしまいましてな。はははっ。よかったらうちで夕飯食べて行きませんか??」

勇者「え? 本当?……この間もご馳走になったばかりなのに……なんだか悪いわね」

農家のおじさん「いいえー、気にしないで下さいよ! こっちのミスなんですから! ささっどうぞどうぞ! 勇者さんみたいな美人がいてくれたら我が家の食卓も華やかになるというものです!!」

盗賊「……」

盗賊は感慨深そうに勇者を眺めている。
皆を守り、皆に慕われる者、『勇者』。かつて盗賊が思い描いた勇者像が、この地で現実のものになったのだ。
ここに至るまでの道は険しく、辛いものだった。その苦労を共に乗り越えてきたがゆえに、盗賊は自分のことのように嬉しく思のだった。

盗賊(よかったな勇者……やっぱり『勇者』はこうでなくっちゃな)

ザッ

農家のおじさん「あ、お前は呼んでねぇから」

べっ!

歩き出した盗賊につばを吐きかけるおじさん。

盗賊「……俺何かしたっけ」

551: 2015/11/09(月) 23:21:22.10 ID:8YdFTcfC0
165

--教室--

ポニテ「第一次世界大戦inユニオンーーー!?」

ざわざわざわ

女人狼「えぇ、今朝の朝会で校長が……なんでも各国、各団体から三人一組の精鋭を選抜し、大衆の目の前で戦うのだそうです……」

アッシュ「ほう、コロシアムのようだな」

ポニテ「国対抗の武闘会ってことだよね!? わー! 超楽しみだああーーー!!」

ツインテ「各国から精鋭を三人選抜って、出場するのも難しそうですね……」

キマ「はいはいはーい、先生質問ー」

女人狼「はいキマさん」

キマ「それ私達も出られるんですか? 私達学生ですけど」

女人狼「はい。きちんと書類を提出し、代表として認められる実力があるのなら……とルールに書いてありますね」

わー!!

552: 2015/11/09(月) 23:22:55.59 ID:8YdFTcfC0
166

--教室--

ビッ

ゾンビ娘「先生、私達の場合、所属はユニオンということになるのですか?」

女人狼「生徒達は母国、もしくはユニオン代表として出場することを選択出来ます。ですがルールにより、一度出場したら今後はずっとその国の戦士となり、他の国の代表として出場する権利を失うそうです」

キマ「ん? 今後?」

女人狼「今回は第一次、ということです。これは4年ごとに行うようです」

ポニテ「!! うおー! 楽しそうだー!!」

アッシュ「……三人、か」

ツインテ「三人、ですね。それに所属……」

ポニテ「何々? 二人とも真剣な顔しちゃってー!!」

アッシュ「……他の拘束ルールが無い以上、代表争いには三強達も入ってくるということだ。これはかなり枠が少ないぞ」

ポニテ「あ」

女人狼「そうそう、ユニオンに所属している先生方は他の国の代表として出ることが出来ません。所属はユニオンですから。先に言うべきでしたね」

ポニテ「!? じゃああの先生達が全員ライバルになるの!? うち凄い人いっぱいいるのに!?」

553: 2015/11/09(月) 23:23:32.35 ID:8YdFTcfC0
167

--教室--

ぽろろ~ん

吟遊詩人「僕は辞退したよ~」

キマ「あ、音楽の先生」

絵師「ぎゃはは! 今更国の威信にかけた戦いに出る歳じゃないしー」

オーク太郎「芸術の先生もきたひ。自分の授業どうしたぶひ?」

ポニテ「なるほど……一度選んだら他を選べない……あ、でも」

ポニテとツインテとアッシュが見つめあう。

ツインテ「……」

アッシュ「……」

ポニテ「……」

554: 2015/11/09(月) 23:25:40.84 ID:8YdFTcfC0
168

--校長室--

ぺらり

参謀長(なるほど……メリガーから知らされた世界大戦の危機をこうやって回避しようと考えたのか……戦争をスポーツで代用する、か……確かに世界大戦が起こるという予言はなんとかなるかもしれんが、本質の解決になるのか……?)

魔導長「どうなの? 参謀長教頭」

参謀長「……今は、面白い案、だと言っておきましょう。どこまで成功にもっていけるかは今後の頑張り次第ですね」(最近はましになったと思ったがまだまだ甘いな。どれ娘の尻拭いは父親の務め。早速裏で動き出すか)

魔導長「ありがとなの。あ、それと参謀長教頭ー?」

参謀長「どうしました? 魔導長理事長」

魔導長「うん、あのね? 邪風……育てたの貴方でしょ、おとーさん」

参謀長「……………………」

魔導長の瞳からハイライトが消えている。作画ミスではない。

555: 2015/11/09(月) 23:26:17.89 ID:8YdFTcfC0
169

--校長室--

参謀長「な……なんのことやら。それに私は貴方の父では」

魔導長「調べはついてるんだよぉお父さんんんん!!」

ばさばさばさっ!!

大量の資料がテーブルの上に置かれた。

魔導長「……共通の敵を作り上げて人類を一つにまとめようとしてたのかな……魔王と同じように。いや、それだけじゃないよねぇ?」

魔導長はゆっくりと立ち上がり参謀長に向かって歩いていく。

魔導長「悪に対抗するために戦力を増強する……そんな大義名分をユニオンが得るために育ててたのかな? かな……?」

参謀長「……………………」

魔導長「結果、ユニオンはお父さんの思い通りに大きく大きくなったの……でもちょっと、やりすぎかなぁって、私思うなの……」

参謀長「……………………」

魔導長「なんとか言えよ」

556: 2015/11/09(月) 23:27:58.01 ID:8YdFTcfC0
170

--屋上--

ポニテ「もっしゃもっしゃ」

アッシュ「珍しいな。ポニテが三人で屋上で飯を食おうだなんて」

ツインテ「何か思うところがあったんですか?」

ポニテ「ごっきゅ。うん。率直に聞くよ」

ポニテは食事をやめる。

ポニテ「二人はどこの代表を目指すの?」

ツインテは一瞬戸惑ったが、にっこりと笑って答えた。

ツインテ「――ボクはユニオンに所属します。ボクの故郷の王国がユニオンの一部になりましたから」

アッシュ「……俺はもちろん西の王国だ。お前は?」

ポニテ「私は、南の王国だよ!」

アッシュ「ほう……見事に別れたな」

アッシュはにやりと笑った。

557: 2015/11/09(月) 23:30:55.42 ID:8YdFTcfC0
171

--屋上--

ツインテ「しかし、南の王国、ですか? ポニテさんは盗賊さん達が住んでいる失われた王国に所属するものだと思ってました」

ポニテ「んー……あそこはリタイアした人が住む場所だからね。前に進む若者の場所じゃないんだよー」

アッシュ「確かにな。今回もあそこは参加しないだろうし」

ポニテ「うん。あ、嫌いって意味じゃないよ? むしろ大好き! 穏やかでのんびりしたいい所だもん。空気もいいし食べ物おいしいし! ポニテもいつかはパパとママがいるあそこで一緒に住もうと思ってる」

ポニテは立ち上がる。

ポニテ「でも、それは今じゃないの。だって私は、まだ前に進めるから。頑張って頑張って氏ぬ気で人生を楽しむんだ。いつか前に進めなくなる日まで」

ツインテ「……そうですね」

アッシュ「親離れだな」

ポニテ「だから私、南の王国に所属する。みんなと、本気で戦ってみたいから! それが、今私が一番したいこと!」

アッシュ「ふん……それはいいがなぜ南の王国なんだ? 何かあてがあるのか?」

ポニテ「うん。お父さんお母さんの代からのね!」

558: 2015/11/09(月) 23:32:13.82 ID:8YdFTcfC0
172

--屋上--

ツインテ「でも……一時といえどみなさんと別れちゃうんのは寂しいですね」

ポニテ「うん……それと同じくらいわくわくもしてるけどね!」

アッシュ「おいおい余裕だなポニテ。お前そんなんでちゃんと選抜戦勝ちあがってこれるんだろうな?」

ポニテ「もちもちー。ぶっちゃけ南で強いのなんて虎ちゃんくらいしかいないっしょー」


--南の王国--

虎男「へぶちっ!」


--屋上--

アッシュ(魔力が減少した現状、魔法をメインに闘うタイプは弱体化された。だからこそ武術や肉体性能で戦うタイプ、亜人は今回の戦いにおいて最大の敵になるかもしれないな)

ツインテ(まずボク……勝ち抜けるのかな)

ツインテは自分の掌を見つめ、そして握る。

ツインテ(いや勝つんだ。ボクも、皆さんと戦いたいから!)

559: 2015/11/09(月) 23:33:17.36 ID:8YdFTcfC0
173

--寮--

次の日。

ポニテ「じゃあみんな! 次は三ヵ月後、本戦でお会いしようー! さらばじゃ!」

グリフィン「ひょえーーーーー」

ばっさばっさ

ツインテ「慌しくいっちゃいましたね」

アッシュ「本戦が三ヵ月後なら仕方あるまい。普通何年後とかだろうに」

ツインテ「それだけ、早めなくちゃならない理由があるんでしょう」

アッシュ「さて、どうだか」

ザッ、ザッ

女騎士「さてはとは思ったが……もしや今飛んでいったのはポニテか?」

ツインテ「あ、女騎士さんおはようございます。そうですよ、南の王国に向かわれました」

女騎士「むぅ……そうか。もう少し早くツインテ達を見つけられていたら……」

アッシュ「? どういうことだ?」

ひょこっ

ハイ「あ、お久しぶりです先輩方」

ツインテ「!? は、ハイさん!?」

ハイ「はい~ご無沙汰してます」

560: 2015/11/09(月) 23:35:19.01 ID:8YdFTcfC0
174

--寮--

アッシュ「本当に久しぶりだな。もう三年以上会ってないだろ……少し痩せたか?」

ハイ「あはは……仕事が忙しかったもので……。しかし先輩方も大変そうですね。ポニテ先輩ともお会いしたかった」

ツインテ「大丈夫ですよ、三ヵ月後にはきっと会えますから」

ハイ「世界大戦、というやつですね? 一応話は聞いています」

女騎士(旧友との再会か……年齢が少し離れているような気がするが、友情に歳の差は関係ないか)「それでは私は失礼する。ごゆっくり」

くるり、ざっ、ざっ

女騎士はかっこよく踵を返し、目を瞑ったまま歩き出した。

ツインテ「あ、ありがとうございました女騎士さん!……って! 女騎士さん、待って!!」

女騎士「ん? どうした、礼ならいいぞ。人助けは騎士の務めだ!」

ツインテ「前見てください前! 今曲がり角から!」

オーク太郎「……」

ツインテ「オーク……太郎さんが……」

女騎士「んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

ばりいいいいいいいいいいいいいいいん

ハイ「なんだか変わった知り合いが増えたみたいですね……」

561: 2015/11/09(月) 23:36:37.25 ID:8YdFTcfC0
175

--寮--

ハイ「へぇ、世界大戦とはそういったものなんですか。魔導長さんも何か考えがあってのことなんでしょう。あ、お茶ありがとうございます」

ツインテ「はいユニちゃんもにんじんですよ」

ユニコーン「ぶひるん!」

外から窓を開けて顔だけ部屋にいれているユニコーン。

ハイ「でも一応決着がついたんですね、お仕事」

ハイ「……はい。邪風が一気に引いたので……」

がさごそ

アッシュ「さてと、俺も西の王国に帰るとするか。じゃあなツインテ。ハイ、ゆっくりしていけよ」

ハイ「え!? も、もう行っちゃうんですか!?」

アッシュ「話を聞いていなかったのか? 俺は西の王国で選抜戦に出るんだ。ポニテ同様、今出発しなくては遅れる」

ツインテ「いってらっしゃいアッシュ君。この部屋のことは任せてください」

にっこりと笑いながら傍までくるツインテ。

アッシュ「……名残惜しい」

ツインテ「え?」

アッシュ「いや、なんでもない」

ハイ「はぁ……勝てないなほんと。ずずっ」

562: 2015/11/09(月) 23:37:58.71 ID:8YdFTcfC0
176

--食堂--

カチャカチャ

キマ「……私でも、頑張れば代表に選ばれるのかな? ん……さすがにそれは、無理だよねあはは」

きゃーきゃー

A組女子「やみ君代表戦出るんだって!? すごーい!」

A組男子「でもなんで母国の南の王国じゃなくてユニオンで出るんだ?」

キマ「!?」

やみ「僕はユニオンが好きだからね。ここの代表になれるようがんばってみるよ」

きゃーきゃー

イバ「あいつもユニオンの選抜戦に出るのか」

キマ「!? あ、あんたいつのまにそこにいたのよ!?」

目の前に座っていたイバに驚くキマ。

イバ「ずっと前からだぜ? 全く」

イバは食べ終わり空になったトレーを持って立ち上がる。

イバ「ちなみに俺は故郷の東の王国で出るぜ」

キマ「!! あ、あんたも出るの? 選抜戦」

イバ「箔があると就職に便利そうだからな。お前も出るのか出ないのか、さっさと決めろよ」

563: 2015/11/09(月) 23:40:30.88 ID:8YdFTcfC0
177

--教室--

オーク太郎「しっかし凄いぶひねぇ。国の代表を決める狭き門だと言うのに、我がクラスではツインテちゃん、アッシュ君、ポニテちゃん、それにキマちゃんにイバ君まで出るらしいぶひ。いくら新時代育成機関の学生だって言っても、みんなやる気あって凄いぶひ」

ゾンビ娘「……」

オーク太郎「女騎士ちゃんが出ないのは以外だったぶひね。こういう試合みたいなの好きそうだったぶひが。めちゃくちゃ強いし」

女騎士「ふ、私はこの世界の者じゃないからな。さすがにそこまで出張るわけにはいかない」

全裸でかっこつける女騎士。

ゾンビ娘「実は……私も本国から、選抜戦に出場しろという旨の手紙が送られてきました」

オーク太郎「え!? ゾンビ娘ちゃんの母国って確か……」

ゾンビ娘「北の王国です。私なんかが呼ばれるくらい人手に困っているようですね。レン先生も北の王国に戻る気は無いようですから」

オーク太郎「……ってことは6人出るぶひ? 凄いぶひ。A組より多いんじゃないかぶひ?」

564: 2015/11/09(月) 23:41:23.44 ID:8YdFTcfC0
178

--失われし王国--

盗賊「もー……表舞台には関わらないって言ったのにー」

盗賊と勇者は魔導長から送られた手紙を読んでいる。

勇者「参加チームが足りないのでお願いします。お祭りだと思って是非参加してくださいなの……って。あはは。どうする? 盗賊。ポニテも南の王国の代表で出てくるだろう、ってさ」

盗賊「うーん……」

シャーマン「悩むことはない。お祭りなんだろう? 参加したらいい」

にゅっ

カブト「同感だ。祭りはいいものだとおばあちゃんが言っていた」

にゅっ

盗賊「……それだけじゃないんだよなーこれ」

565: 2015/11/09(月) 23:42:26.34 ID:8YdFTcfC0
179

--寮--

真っ暗な部屋の中、ベッドで足を抱えて座っているキマ。

キマ「ポニテは南、アッシュ君は西、ゾンビ娘ちゃんは北、イバは……東か……私も出身で考えるなら東にするべきなんだけど」

ぼふ

キマはベッドに倒れこむ。

キマ「私は、どうしよう……。そもそも学生の私なんかが代表になれる可能性は低いんだ……でも、最初から無理だって、諦めたく無い」

キマの覚悟が決まる。

キマ「……決めた、私、ここで出る!」

566: 2015/11/09(月) 23:42:54.56 ID:8YdFTcfC0
180

--校長室--

魔導長「あ、言い忘れてたけどハイ、貴女にも代表戦にでてもらうから」

ハイ「はいいぃいいいい!?」

567: 2015/11/09(月) 23:45:49.15 ID:8YdFTcfC0
失敗した伏線メモ1

踊子の心臓について。踊子の心臓は鬼の心臓といってました。あれ考えてた時は鬼が回復力高い設定だったんですかね。その力がツインテに受け継がれて自動蘇生能力を手に入れるわけなんですが、鬼なんですよね。竜じゃなくて。
この際鬼にも自動蘇生能力あるということにしましょうか……

それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

572: 2015/11/17(火) 03:59:31.76 ID:Z8QuvOby0
181

--ユニオン、選抜会場--

ざわざわざわ

受付嬢「選抜戦出場の方はこちらで登録を済ませてからご入場下さいー」

キマ「う、うぅ……人がいっぱいいるよ……まさかこれ全部参加者?」

ざわざわ

ツインテ「参加するのは学生のボク達だけじゃないですからね。国中の腕に覚えがある人達が集まって来ているんでしょう」

キマ「うっ……お腹痛くなってきちゃった……」

ツインテ「わかります、緊張しちゃいますよね。回復魔法かけましょうか?」

キマ「ううん、精神的なものだと思うから大丈夫……」

ツインテ「ある程度なら精神も癒せますよ、はい」

ぽう

キマ「……あれ? なんか元気でてきた! ツインテちゃんそんな魔法まで使えるの!?」

ツインテ「こういうことしかボク出来ませんから」

573: 2015/11/17(火) 04:01:37.25 ID:Z8QuvOby0
182

--ユニオン、選抜会場--

ざっざっ

マッスルひげ「よぉツインテちゃん! 出るって聞いたから俺達応援しに来ちゃったぜ!」

ツインテ「あ、皆さん。来ていらしたんですね」

がちむち「昼飯作ってきたんだ。後でみんなで食べような!」

ツインテ「それは楽しみです! ありがとうございますっ」

屈強な男「ほわぁ……ツインテちゃんのその笑顔を見れただけで来たかいがあった……」

キマ「……ツインテちゃんもっと緊張してるかと思ったけど、案外余裕なんだね……」

ツインテ「緊張ですか? してますよ。でも、昔と違って、今はちょっと楽しい緊張なんです」

キマ「楽しい、緊張?」

ツインテ「はい」

ツインテはにこりと笑う。

574: 2015/11/17(火) 04:02:51.03 ID:Z8QuvOby0
183

--ユニオン、選抜会場--

ブラ「あれ? もしかしてツインテちゃん?」

ツインテ「! お久しぶりですブラさん!」

メイド「久しぶりでございます。それにキマも」

番犬「ばうー」

キマ「ブラおばさんに師匠と番犬! ひさし……ってあれ!? そうか、ツインテちゃん知り合い、だったんだっけ??」

ツインテ「! あ、そうなんですよ、昔にちょっと~」(そうだった……ボク達の素性は隠してるんだった。気をつけないと)

ツインテは冷や汗をかいている。

ツインテ「ぶ、ブラさん達はなにしにここに?」

ブラ「私の息子が出場するから見に来たのよ」

575: 2015/11/17(火) 04:04:25.63 ID:Z8QuvOby0
184

--西の王国、選抜会場--

ざわざわ

秘書「準備は出来ていますか? ちゃんとハンカチは持ちましたか?」

アッシュ「大丈夫ですお母様。というか試合にハンカチはいらないのでは?」

わーきゃー

たくさんの観客が今か今かと試合開始の合図を待っている。

秘書「人としてのエチケットです。それは戦いに赴く状況でも、ないがしろにしていいものではありません」

アッシュ「わかりました……。それでは行ってきます。勝利をこの手に」

ザッ!

秘書「やだ何今の台詞うちの子カッコイイ」

576: 2015/11/17(火) 04:05:36.90 ID:Z8QuvOby0
185

--南の王国、選抜会場--

わーきゃー!

実況鳥亜人「勝者、ポニーーーーーテーーーー!!」

ポニテ「いえーーーい! 決め顔ダブルピース!」

わーわー!!

虎男「うぅむ。やはり強いがおあの小娘……これは鍛えがいがあるというものがお」

亜人王「ふふふ、彼女ならきっとこの国を背負って立ついい戦士になるだろう」

鷲男「そうですね。あの二人の子供なら……」

578: 2015/11/17(火) 04:06:45.89 ID:Z8QuvOby0
186

--ユニオン、選抜会場--

キマ「っと、そろそろ私の試合の番だ」

ツインテ「そういえばブロックを聞いていませんでした。ボクはAブロックなんですが、キマさんはどこですか?」

キマ「Cブロック。良かった、ツインテちゃんとは戦う心配なさそうだね」

ツインテ「ですね。お互いブロック優勝して、一緒に代表になりましょうね」

キマ「うん! じゃあ行って来る!」

ツインテ「はい、行ってらっしゃい」

たたたた

ツインテ「うん、緊張はいい感じにほぐれたようですね。本当なら応援しに行きたいのですが、すぐにボクの試合始まっちゃので……」

かぽかぽ

ハイ「ツインテ先輩、おはようございます」

ツインテ「あ、ハイさん、おはようございます。ユニちゃんもおはよう」

ユニコーン「ひひーん」

579: 2015/11/17(火) 04:10:06.08 ID:Z8QuvOby0
187

--ユニオン、選抜会場--

ツインテ「今日はどなたかの応援ですか? それともお仕事とか?」

ハイ「仕事と言えば仕事ですね、実は私もこの度選抜戦に参加することになりまして……」

ツインテ「え? そうなんですか?」

ハイ「はい。ちなみに私はBブロックです。ツインテさんと戦わずに済んだのが、せめてもの幸運といいますか」

ツインテ「? なんでボクのブロックを知っているんですか?」

ハイ「あ、すいません。実はブロックの分け方を知っているんです。運営側の息がかかっているので」

ツインテ「あ(察し)」

ハイ「戦歴やステータスを参考にして、上位三名は潰しあわないように別ブロックに分けてるんです。強い人が同じブロックに固まってしまったら、せっかくの優秀な人材が無駄になってしまいますからね」

ツインテ「なるほど……」

ハイ「なのでツインテ先輩と、自分で言うのもなんですが私は別ブロックということになりました。……あ、この話は他の方には秘密ですよ?」

ツインテ「あ、そうですよね。わかりました。でもついでにもう一つ教えてもらえませんか?」

ハイ「Cブロックに配置されている上位三名のうちのもう一人、ですか?」

ツインテ「はい」

ハイ「それは」

580: 2015/11/17(火) 04:11:08.14 ID:Z8QuvOby0
188

--ユニオン、選抜会場--

実況骨亜人「そぉれではぁあご紹介いたしましょう!! 赤コーナー、ユニオン学園1年E組いいいい、東の国出身のハーフヴァンパイアー、キーーーーマーーーー」

わーーーーー!

キマ「え、えへへ、ど、どうもどうも」

照れながら手を振るキマ。

実況骨亜人「続きましてえぇ、青コーナー、同じくユニオン学園所属ぅ、1年D組ぃぃぃ、ユニオン出身のD組男子ぃいいいいいいいい!」

わーーーーー!

D組男子「おすっ!」

キマ(うわ、学年で一番凄い体格の人やん……いきなりそんなのと当たるのかぁ……)

キマは首を振る。

キマ(いや弱気になってどうする! 全部で7回も勝たなきゃならないんだ……誰が相手だろうと、叩きのめすのみ!)

ばりっ

実況骨亜人「準備はよござんすねぇ? レディイイイイイイイイイイイイイイイファアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアイトォォ!!」

カーン!

581: 2015/11/17(火) 04:13:06.78 ID:Z8QuvOby0
189

--ユニオン、選抜会場--

ドス、ドスッ!!

D組男子「先手必勝ぅぅううう!!」

キマ「!」

D組男子が巨体を揺らしながらキマに接近。

キマ(この人はあまり魔法に通じて無かったから特殊なしかけは無いと思うけど、出来れば長引かせて打ち合いにしたくない。ここは)

ばりばりばり!

キマ「雷属性全身強化魔法、レベル2!」(最初から全力だして一発で終わらす!!)

ぎゅんっ!!

D組男子の攻撃を避けたキマは、

ドガッ!

回り込んで後頭部を肘打ちし、

キマ「スキル、発雷!」

バリバリバリ!!

掌から出る電気を浴びせた。

582: 2015/11/17(火) 04:14:05.60 ID:Z8QuvOby0
190

--ユニオン、選抜会場--

ばちばちっ!

D組男子「」

ふら……

よろけたD組男子は、

D組男子「ふ」

にやりと笑ってキマの右足を掴んだ。

キマ「え!?」

D組男子「よぉいしょおおおお!!」

ぶぉん、どごおおおおん!!

キマ「きゃんっ!」

そしてキマを地面に叩き付ける。

キマ「いたた~……なんであれ食らって余裕なの!? ポニテちゃん達じゃあるまいし!」

D組男子「ははは、対戦相手のことは全部調べてあるのさ。ほれ」

ちらり

キマ「! 魔鉱石・対雷!? そんなもの服の下に仕込んでおくとか、反則じゃん!!」

D組男子「武器を使うのも、道具を使いこなすのも才能の一種でであり問題無い。これは大会規定だよ」

583: 2015/11/17(火) 04:14:56.63 ID:Z8QuvOby0
191

--ユニオン、選抜会場--

D組男子「どれもういっちょう!!」

ぶぉん!

キマ「! させるかおりゃ!」

バリバリバリ!!

D組男子「ふ、効かない、よっ!!」

どごおおおおおおおん!!

キマ「ぎゃんっ!!」

再び地面にたたきつけられたキマは、頭部から血を流す。

キマ「づ……」

ぽたっ

D組男子「A組に勝ったからどれだけ凄いのかと思ったがこの程度か……もう諦めたらどうだい?」

キマ「……やだ、諦めるものか」

バリバリバリ!!

D組男子「……そうか」

どごおおおおおおおおん!!

584: 2015/11/17(火) 04:16:00.38 ID:Z8QuvOby0
192

--ユニオン、選抜会場--

キマ「ッッ!!」

どくどくどく

実況骨亜人「おぉーと、これは決まってしまったかー? キマ選手起き上がってきませんーー」

キマ(ぐ……駄目だ、雷魔法効かないし、単純な肉体じゃ勝てない……そんなの、無理じゃん)

キマは薄れゆく意識の中で敗北を確信する。

メイド「お前は、その程度なのかでございます!」

キマ(……え? この声、師匠?)

キマはうっすらと目を開く。

ちびメイド「そんな弱い子に育てた覚えは無いでございますですー! 立てでございますー!」

キマ(ちび師匠まで……私の応援しに、来てくれたの?)

586: 2015/11/17(火) 04:17:29.84 ID:Z8QuvOby0
193

--ユニオン、選抜会場--

グググ

D組男子「! まだ起き上がるのか? もう終わったとおもったのに」

立ち上がろうとするキマに近づいていくD組男子。

メイド「雷が効かないのなら」

ちびメイド「物理で殴ればいいだけでございますー!」

ばりっ!

キマは再び全身に電気を纏う。

D組男子「……それは、効かないんだよぉ!!」

ひゅっ

接近するD組男子から距離を取ったキマ。

キマ「確かにこれだけならね、でも、雷属性移動速度上昇魔法、レベル2!」

ばりっ!

D組男子「はっ、それが一体なんだと言うんだ?」

キマ「更にスキル、雷動!!」

ドンッ!!

キマは最高速度でD組男子に体当たりした。

587: 2015/11/17(火) 04:19:33.06 ID:Z8QuvOby0
194

--ユニオン、選抜会場--

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

D組男子「!?!?」

めぎめぎめぎ!!

D組男子「ぎっ!?」

ちゃっかり肘打ちで突進していたキマ。その拳はD組男子のみぞおちにしっかりと刺さっている。

D組男子「ごっ、ごはぁあああ!!」

ずずーーーん

キマ「はっ、はっ、はっ……や、やった?」

D組男子は泡をふいて倒れていた。

実況骨亜人「こーーれはキマリでしょうーー! キマちゃんの、勝利ーーーーーーーーーーー!!」

わーーーー!!

メイド「……やれやれ、初戦から躓くようではお先真っ暗でございます」

ちびメイド「まぁ勝ったんだからいいじゃないでございますですかー」

メイド「……ふん」


588: 2015/11/17(火) 04:20:27.21 ID:Z8QuvOby0
195

--ユニオン、選抜会場--

治療スタッフ「はい、これで怪我は大丈夫なはずです」

キマ「ありがとうございましたー」

治療スタッフ「お大事にー」

ザッ

キマ「ふぅ、しんどかった……これが後6回も続くとか、私大丈夫かな?」

ツインテ「お疲れ様ですキマさん」

タオルと飲み物を渡すツインテ。

キマ「あ、ツインテちゃん! ありがとー」

ツインテ「聞きました。キマさん勝ったみたいですね、おめでとうございます」

キマ「ありがとう。ギリギリだったけどね……ツインテちゃんはどうだったの?」

ツインテ「ボクもなんとか勝てました。運が良かったです」

マッスルひげ(なんとか!? 運が良かった!?)

がちむち(ツインテちゃんの対戦相手は一生トラウマ負っただろうな……)

屈強な男(恐ろしい……でもそれ以上に可愛い)

589: 2015/11/17(火) 04:22:00.05 ID:Z8QuvOby0
196

--西の王国、選抜会場--

わーわー!

実況「決まりましたーーー!! Aブロック優勝は、アッーーーーーーーーーーーーーシューーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

わー!!

アッシュ「ふん、当然の結果だったがな。三強レベルもいないんじゃ準備運動にすらならん」

秘書「よくやりましたアッシュ。ご褒美に今日の晩御飯はオムライスにしましょう。今配下の者達にとっておきの食材を取りにいかせていますから、楽しみにしていなさい」

アッシュ「お母様……なんかキャラ違う」



--南の王国、選抜会場--

実況鳥亜人「くぇーーー!! やっぱりAブロック優勝はこの娘! ポニテだーーーーー!」

わーきゃー!!

ポニテ「いぇーい! ぴーすぴーす!!」

虎男「ぐぬぬ。さりげなくAブロックに次期三強候補を入れておいたんだけど、あっさり倒されてしまったがお」

鷲男「彼女はこの世界を救ったあの勇者の一人なのですから。これも当然の結果ですよ、虎男」

590: 2015/11/17(火) 04:22:47.21 ID:Z8QuvOby0
197

--ユニオン、選抜会場--

キマ「あ~~~しんどっ!」

ツインテ「お疲れ様ですキマさん。やりましたね、後一つ勝てば決勝ですよ! ファイトですね!」

キマ「ふえぇ……正直さっきの外部の人に勝てたのは運だったよー。もう凄い技ばっか覚えててさ! 泣きそうになっちゃったよ私!!」

ツインテ「ふふ。でもその凄い人に勝ったんですよキマさんは」

キマ「あ……」

ツインテ「ここまで勝ち上がってこれただけでも十分に凄いことだと思います。もうそろそろ、自分に自信を持っていい頃ですよ?」

キマ「な、何言ってんのよツインテちゃん! 私は元から、自信満々なんだから……」

キマはツインテの眼を見る。

キマ「……ばれてたか」

ツインテ「……少しだけ、自分と同じ感じがしましたので」

592: 2015/11/17(火) 04:25:33.99 ID:Z8QuvOby0
198

--ユニオン、選抜会場--

キマ「うん……そう。私何にも無いからね、本当は自信なんてなかったんだ。だから私、自分がどこまでやれるのか知りたかった。代表戦は自分試しには丁度いい舞台だと思ってね」

ツインテ「それで競争率が一番激しいユニオンの代表戦を選ぶなんて、中々出来ることじゃないと思います」

キマ「まぁ弟と同じところが嫌だっていうのもあったんだけどね……しかし何度も極限の戦いを味わうとさ、今まで出来なかったようなことがいくつも出来るようになった気がする……この短時間で」

ツインテ「濃厚な実戦経験ですからね。それだけ経験を積んだんです」

キマ「ツインテちゃん。私、少し強くなれたかも」

ツインテ「はい。もっと強くなれると思いますよ」

キマ「私、優勝したい」

ツインテ「最初からそれが目的だったのでは?」

キマ「あの時は、嘘。でも今は、嘘じゃないの」

スッ

キマは拳を突き出した。

キマ「本気で優勝したいと思ってる。それで、ツインテちゃんと一緒に世界大戦に出て、アッシュ君やポニテ達と戦いたい!!」

593: 2015/11/17(火) 04:26:15.79 ID:Z8QuvOby0
199

--ユニオン、選抜会場--

ツインテ「……えぇ、是非一緒に行きましょう。きっと楽しいはずです」

キマ「うん! っと、もう時間だ。じゃあ行って来るねツインテちゃん!」

タッ

ツインテ「あ、お気をつけて! 次の相手は」

タッタッタッ

ツインテ「……」

ひょこっ

ハイ「言わなかったんですね、次の相手のこと」

ツインテ「……多分キマさんも薄々わかっているでしょう……」

594: 2015/11/17(火) 04:28:00.42 ID:Z8QuvOby0
200

--ユニオン、選抜会場--

わーわー

キマ「……」

実況骨亜人「さぁさぁ、ついに来たよCブロック準決勝! 次の対決もなんとユニオン学園の生徒同士の対決だぁ! この学園どうなってんだぁ!?」

わーわー

キマ「……」



--過去、ユニオン、選抜会場--

ハイ「Cブロックに配置されている上位三名のうちのもう一人、ですか?」

ツインテ「はい」

ハイ「それは」

ハイは回りに人がいないか確認した後つぶやいた。

ハイ「やみ君です」

ツインテ「……やっぱり、ですか」

ハイ「はい。ブラさんの血を受け継ぎ、メイドさんや番犬さんの能力を会得した新世代のハイブリッド戦士。そのポテンシャルは並ではないです」



--ユニオン、選抜会場--

やみ「やぁキマ。よくここまで勝ち上がってこれたね。幼馴染として嬉しいよ」

キマ「ふん、余裕ぶっていられるのも今だけよ、やみ。今日は私が勝たせてもらうんだから!」


595: 2015/11/17(火) 04:28:27.60 ID:Z8QuvOby0
それでは本日の投下はここまでになります。
疑問、質問等がありましたら気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m

601: 2015/11/24(火) 03:15:05.81 ID:ZrZDJfwx0
201

--ユニオン、選抜会場--

ざわ、ざわ……

ツインテ「……」

群集は固唾を呑んでその試合を観戦している。

ざっ

ハイ「ツインテ先輩、今どうなってますか?」

ツインテ「あ、ハイさん。いい試合……というよりは、一方的な試合になってますね」

キマ「……ぐ」

ぽた、ぽたぽた

キマは全身から血を流している。

やみ「……しぶといね」

602: 2015/11/24(火) 03:16:41.97 ID:ZrZDJfwx0
202

--ユニオン、選抜会場--

実況骨亜人「! おぉーっと、観客席に先ほどブロック優勝を決めた二人が来ているぞーーー!? ツインテ選手とハイ選手だー!」

わー!

ツインテ「あはは……どうもー」

ハイ「う、視線をこっちに誘導しないでくださいよ」

キマ(ツインテちゃんが見に来てくれてるのに変なところは見せられない……)「って、あれ? もしかしてAブロックとBブロックの戦いはもう終わったの?」

やみ「そりゃそうさ、なにせ僕たちは三時間も戦ってるんだから」

キマ「!」

気をそらした瞬簡にやみが接近していた。

ドガッ!

キマ「ぐ!」

咄嗟にガードをするキマだったが、リングアウト寸前にまで追い込まれる。

603: 2015/11/24(火) 03:18:07.58 ID:ZrZDJfwx0
203

--ユニオン、選抜会場--

ビッ、ビビッ!

再び距離を詰めるやみを迎撃しようと拳を突き出すがそれらはかわされてしまう。

やみ「風属性攻撃力上昇魔法歌、レベル2」

やみは歌いだす。すると風がやみの体にまとわりついていく。

キマ(ブラおばさんゆずりの天性の歌声、厄介すぎる!)「雷属性攻撃魔法、レベ」

やみ「あおーーーん!」

ふっ

キマが放とうとした魔法がやみの遠吠えでかき消される。

やみ「スキル、雷動」

ドギャッ!!

そして畳み掛けるようなやみの攻撃、肘鉄がキマの顔面を強打する。

604: 2015/11/24(火) 03:18:56.64 ID:ZrZDJfwx0
204

--ユニオン、選抜会場--

ドザザー!!

やみ(当たる寸前に体を捻ったか。おかげでリングアウトを免れた……でも、そろそろ限界じゃないの?)

キマ「……」

ツインテ「キマさん……」

ハイ「もしかして、あんな攻防が何時間も続いているんですか? こんなの……嬲り頃しです」

ザッ

キマ「へへ……」

ツインテ「でも、キマさんはそれでも立つんです。勝利を得るために。……嬲り頃しじゃないですよハイさん。これはれっきとした戦いです」

605: 2015/11/24(火) 03:21:05.42 ID:ZrZDJfwx0
205

--ユニオン、選抜会場--

やみ「吸血鬼の代名詞とも言われる高い再生能力。君の打たれ強さはまさしくそれだ。僕も超火力の技が無いのが悔やまれるよ、ここまで長引かせて苦しませてしまったからね」

キマ「紳士ぶらないでよやみ。っていうかもう終わったみたいな発言じゃない」

やみ「……終わったも同然だろ? もう限界のはずだ」

キマの足はガクガクと震えている。

キマ(まぁ……実際強がりなんだよね。だましだましやってたけどもう、動かないかも)

キマは血を失い過ぎたせいで意識が朦朧としている。

キマ(A組のエースやみにここまで粘ったんだから、大健闘、かな)

キマはぼーっとした目で空を見ていた。

???「んんwww 勝利以外ありえないですぞwwww」

キマ(ん? なんか聞いたような声が)

くるりと振り返るキマ。

魔法使い「……」

すると後ろの観客席に魔法使いが険しい表情で立っていた。

606: 2015/11/24(火) 03:21:49.20 ID:ZrZDJfwx0
206

--ユニオン、選抜会場--

キマ(? 親父がいる……空耳かな? あの親父があんなこと言う訳無いし、どうせ大会の警備とかで見回りしてるだけだろうし)

キマは視線を戻す。

???「んんwww ファイトですぞファイトですぞwwww キマちゃんの勝利を心より願ってますぞwwwww」

くるっ

魔法使い「……」

振り返るキマ。だがそこには厳格な表情の魔法使いしかいなかった。

キマ(……おい変質者がいるみたいだから仕事しろよ親父)

607: 2015/11/24(火) 03:22:59.71 ID:ZrZDJfwx0
207

--ユニオン、選抜会場--

ツインテ「キマさーん! 頑張ってくださいー! 諦めちゃだめですよー! 一緒に出るって、約束したんですからー!」

キマ「はぁー……ツインテちゃんたら私の気も知らずにしんどいこと言ってくれちゃってさー……でも……約束しちゃったんだよね」

やみ「あーあ……そのまま諦めておけば良かったのに。スキル、雷動」

ギッ

キマ「スキル、雷動!」

ヂッ! ガガァアン!!

超高速で動く二人が激突する。

キマ(歌による強化でパワーもスピードもあっちが上、下手な魔法は吹き飛ばされる……もはや私には、これしかない)

キマは自分の腕を滴る血液を舐めた。

キマ「――吸血鬼化」

608: 2015/11/24(火) 03:24:31.23 ID:ZrZDJfwx0
208

--ユニオン、選抜会場--

ゴゴゴゴ……

やみ「!」

ツインテ「この気配は……吸血鬼」

魔法使い(……使うのか)

ぎちっぎちちっ!

血がキマの肉体を覆っていく。

しゅぅうぅ……

ハイ「表面が、灰になっている? ! そういえば吸血鬼は日光に弱いんですよね? キバさんやヤミさんを見ていた限りじゃその設定を感じさせなかったですけど」

ツインテ「伝承の吸血鬼だと、そうですよね」

ブラ「そのことについてヤミ様に聞いたことがあるんですよ」

ツインテ「! ブラさんいきなり!?」

ブラ「さっきの実況さんがツインテちゃん達の居場所を教えてくれたのできちゃいました。えへ」

609: 2015/11/24(火) 03:28:02.78 ID:ZrZDJfwx0
209

--ユニオン、選抜会場--

ブラ「ヤミ様が言うには、昔の吸血鬼の強さは今の時代の強さとは桁違いなんだと言ってました。例えばキバさんのような時代とともに血が薄れてしまった吸血鬼は、吸血鬼としての強さや特性が薄まったおかげで弱点がほぼ無くなったらしいです。でも逆を言えば弱点の無い吸血鬼は能力が落ちた劣化品。出来損ないみたいなものらしいです」

ツインテ「キバさん泣いちゃうな……でもそれならヤミさんは? 古い吸血鬼で戦闘能力も強かったですけど、日光とか大丈夫でしたよね? にんにくもりもり食べてましたし」

ブラ「ヤミ様は永い眠りから覚めた後めっちゃ弱体化してたので吸血鬼の特性も弱まりそこまで苦にならなかったみたいです」

メイド「私の保存ミスでございます。ちゃんとジップロックしとくべきだったでございます」

ブラ「あとは私の料理をおいしく食べるために適応しようとしたら人間ぽくなっちゃったんだとか。これも愛の力なのかしら……」

ツインテ「えと……た、確かに食べ物で体質は変わりますよね」

ハイ「でもだとしたら」

しゅぅーーーー

キマ「ぐる、るる」

ハイ「日光で苦しむほどの吸血鬼特性を持つキマちゃんは、先祖返りか何かで、とっても強い、ってことですよね?」

610: 2015/11/24(火) 03:29:45.75 ID:ZrZDJfwx0
210

--ユニオン、選抜会場--

じゅぅうううう!!

キマは自分の血で鎧を作り日光を遮断しようとしているのだが、自分の血で作った鎧では結局日光には抗えない。

ヤミ「夕方の日光と言えど、5秒で全身灰にならない奴は吸血鬼の中でも下だ」

ツインテ「今度はいきなりヤミさん!? 来てたんですか!? ってか生きてたんですか!?」

ヤミ「何気にひどいこと言うねツインテは」

しゅぅうう

キマ「ぐ、る」

ざんっ!

キマは闘技場のリングに指を突き刺し、引き剥がす。

がらがらが

ハイ「! なるほど日よけにしたわけですか」

ヤミ「それでも日光を完全に防げたわけではない。今の弱った体では限界も近いぞ」

611: 2015/11/24(火) 03:30:14.20 ID:ZrZDJfwx0
211

--ユニオン、選抜会場--

ドンっ!!

キマが飛ぶ。

やみ「! スキル、雷動!」

キマ「があああああああああああああ!!」

ドガガガァアン!!

突進してきたキマを受け流すやみ。

ぶしゅっ!!

やみ(触れただけでこの有様か!)

キマ「ぐるるるらあああああああああ!!」

やみ「!」

ドガァアアアアン!!

キマの手刀がやみを襲う。

612: 2015/11/24(火) 03:30:59.64 ID:ZrZDJfwx0
212

--ユニオン、選抜会場--

ぽたたたっ

やみはかろうじてそれを受け流した。だが深い傷を胸に作られてしまう。

やみ(このっ、くたばりぞこないがぁ!)

キマ「があああああああああああああ!!」

ガガァアン!

ヤミ「……勝負あったな。あの馬力、やみではどうしようもあるまい」

メイド「でございます」

番犬「そうばうなぁ。残念ばう」

ブラ「ぐすん」

ツインテ「……」

ガガガガガ!!

まだ全力で戦っている二人を見ながら、ツインテ達は同じ結論に至った。

613: 2015/11/24(火) 03:31:27.78 ID:ZrZDJfwx0
213

--ユニオン、選抜会場--

ざわざわざわ

A組男子「嘘だろ……? うちのエースがE組の女子に負けちまうのかよ……」

A組女子「やみ君……化物相手で可哀想」

ガガガガッガァアン!!

やみ「ぐっ」

キマ「私ノ、勝ちだ!」

ドゴォン!!

キマの拳がやみの腹に入る。

やみ「ごっふ……」

どさっ

キマ「……」

614: 2015/11/24(火) 03:33:52.99 ID:ZrZDJfwx0
214

--ユニオン、選抜会場--

実況骨亜人「こ、これは!? ついに、ついに決まったかーーー!? 勝者はーーーーーーー」

キマ「……」

実況骨亜人「キマ選手だああああああああああああああああああああ!!」

わーーーーーーーーーーーーーー!!

ツインテ「……やみ君には悪いですけど、勝利おめでとうございます、キマさん」

ハイ「ナイスファイトでした。キマちゃん」

パチパチパチパチパチ

キマ「うぐ」

しゅうう

キマは吸血鬼を解き、リングに倒れこんだ。

どさっ

ハイ「……しかしなんで最後まであれを使わなかったんでしょうか。三時間も長々と戦うより序盤で使った方が体力的にも余裕があったんじゃないでしょうか」

ヤミ「恐らくあの娘は吸血鬼の力を使いこなせていないのだろう。だから極力使いたく無かったはずだ。ゆえに、もし自分が暴走したとしてもろくに暴れられないように、自分が弱った状態で使う必要があった……そんな計算だったんだろう」

ヤミは倒れたキマを見る。

ヤミ(もっとも最後まで戦い抜いたこの精神力があれば、最初から使っても大丈夫だったろうがな)

615: 2015/11/24(火) 03:34:59.94 ID:ZrZDJfwx0
215

--ユニオン、選抜会場--

ぱん、ぱんぱん

実況骨亜人「それでは、栄えある第一回ユニオンの選抜代表の三人をご紹介したいと思いますー!!」

わーわーわー!!

ツインテ「あははは、なんだか恥ずかしいです」

ハイ「いくつになっても緊張しますね人前に立つのは」

キマ「かちん」

実況骨亜人「左から、Aブロック優勝者、ツインテ選手ーー! Bブロック優勝者、ハイ選手ーー! Cブロック優勝者、キマ選手でーーす! どうぞ皆さん、暖かい拍手を彼女らにー!!」

88888888888888888888888

キマ「はぁ、まさか本当に勝ち残れちゃうとは思わなかったかも……」

ハイ「何言ってるんですか、それでは勝者として敗者に申し訳が立たないですよ? びしっと立ちましょう」

キマ「は、はい!」

616: 2015/11/24(火) 03:36:23.87 ID:ZrZDJfwx0
216

--東の王国、選抜会場--

魔剣使い「中々悪くないメンバーだな」

イバ(まさか本当に勝ち残れるとは思わなかったな……しかし)

??「ごじゃる」

イバ(とんでも無い奴が世の中にはいたもんだ。魔剣使いさんの弟子? 10歳の子供がまさか……)



--北の王国、選抜会場--

召喚士「わかってるでやんすわかってるでやんす。結局おいら達がでるはめになるのでやんす。はぁ」

人形師「この前ひ孫が生まれましたよぉ~」

ゾンビ娘(私なんかが代表になれてしまうなんて、本当に人材不足なんですねこの国……)

617: 2015/11/24(火) 03:37:34.79 ID:ZrZDJfwx0
217

--南の王国、選抜会場--

虎男「選抜チームのリーダーは俺がお。わかったがおね?」

ポニテ「了解ー! 私は戦えればそれでいいよ!」

蜂娘(……こいつの戦い方見てたけど、本当に同じ学生? まるっきり化物じゃない……)



--西の王国、選抜会場--

アッシュ「あ、ツインテ勝ち残った。わかる。だって俺達通じ合ってるもん」

義足「あんまり戦いの場に出たくないけど、発明品を世に知らしめるチャンスではあるからね仕方ないね」

変化師「と、とりあえず今日はおでの家でミーティングするので二人はパンツ洗ってくるように」

618: 2015/11/24(火) 03:39:09.84 ID:ZrZDJfwx0
218

--監獄、選抜会場--

フォーテ「わくわく! 久しぶりにツインテおねーちゃんと戦えるなんて、楽しみっ!」

オオオオ

氏者の腕が拍手をしている。

義賊「俺ら囚人なのになんでわざわざそんな戦いに出なきゃならないのか……」

悪役「色々恩恵があるんだからやらないわけにはいかないでしょ? まぁ、それにしても数合わせでうちらを選ぶかねー」



--赤の山、邪風本拠地--

奴隷王「こうなったらやるしかねぇ……ひっかきまわすぞ」

赤薔薇将軍「はっ!」

青狼将軍「はっ!」

奴隷王「後悔させてやる。魔導長……」

619: 2015/11/24(火) 03:40:00.42 ID:ZrZDJfwx0
219

--失われた王国--

盗賊「俺でたくねーよー」

勇者「うじうじ言わないの! じゃんけんで決めたんだからしょうがないじゃない!」

盗賊「こーゆー時だけ勝っちゃうんだもんなぁ俺……てか負けた奴が出場とかにしたらよかったのに」

カブト「男ならぐだぐだ言うな。そうおばあちゃんが言っていた」

盗賊「むぅ……」

トリガー「全ては必然だよ。君が出るということはそこには何かしらの役割があるんだろう」

ユー「……」



盗賊「んー……そんなもんかねぇ」

トリガー「それに……そろそろ動きそうだ」

盗賊「?」

620: 2015/11/24(火) 03:40:29.24 ID:ZrZDJfwx0
220

--ユニオン--

魔導長「役者は出揃ったの。さぁ、夢の喧嘩祭り開幕なの!!」





そして月日は流れる。

631: 2015/12/07(月) 23:15:03.98 ID:srVOCpv+0
221

--ユニオン、会場--

ザッ

アッシュ「よぉ」

ツインテ「あ、アッシュ君! お久しぶりです。元気そうでなによりです!」

ポニテ「おーヒッサシブリー! 物語の流れ的に全員勝ち残ることはわかってたけど、全員代表になれてよかったねー!」

アッシュ「おい」

会場にて数ヶ月ぶりに顔を合わせる三人だった。

ポニテ「――っと、三人揃ったし、とりあえず宣言しておくよ」

こほんとポニテは咳をする。

ポニテ「私負けないからね。全員倒して優勝しちゃうんだから!」

アッシュ「……それはこっちの台詞だ。俺はお前達のことを過小評価していない。全力であたらせてもらう」

ツインテ「ボクも……今回は勝ちにいきますから!」

フォーテ「お姉ちゃんに勝つ気でいるとかくっそ受けるんですけど身の程知らずにも程があるっていうか」

アッシュ、ポニテ「「!?」」

ツインテ「ふぉ、フォーテちゃん? いつからそこに……」

ズズズ

ツインテの影に潜んでいたフォーテだった

632: 2015/12/07(月) 23:15:48.05 ID:srVOCpv+0
222

--ユニオン、会場--

フォーテ「ツインテお姉ちゃーーん!! 久しぶり過ぎるよー! 会いたかったんだよーーーっ!?」

むぎゅっ! ぐりぐりぐり!

ツインテ「わぶっ! もうフォーテちゃんたら……でもなんで? フォーテちゃんは今お勤め中だったはずでは……?」

フォーテ「あれ? ツインテお姉ちゃん参加者の名前見てないのっ?」

ツインテ「……はい。レンさんから見ないほうが実際会った時に驚けるからと内緒にされていたんですが……こういうことだったんですね」

ザッ、ザッ

レン「そういうことにゃ」

ハイ「お久しぶりです先輩方。この間は挨拶出来じまいだったですから……」

アッシュ「おおハイ、久しぶりだな」

ハイ「はい、久しぶりです先輩……シOタ先輩いい……」

レン「……ハイ、お前もいい歳にゃ。そろそろケッコン相手探せにゃ。誰か紹介してやろうかにゃ?」

633: 2015/12/07(月) 23:16:46.92 ID:srVOCpv+0
223

--ユニオン、会場--

パン、パパーン

アッシュ「そろそろ開会式が始まるか。移動するぞ」

ツインテ「えぇ……続きはリングの上で」

ポニテ「おう!」

がっ!

三人は拳を合わせた。

レン「……うーん。なんだか羨ましいにゃ。こんなことなら選抜の件、パスしなきゃ良かったかもしれないにゃ。今になって後悔にゃ」

ハイ「まぁ、若い人の発掘もこの大会の狙いですからね。……私よりレン先輩が出た方がよかった気もしますが」

レン「何言ってるのにゃ。英雄が出ないでどうするのにゃ」

634: 2015/12/07(月) 23:17:33.05 ID:srVOCpv+0
224

--ユニオン、会場--

魔導長「皆様、遠路はるばるお集まりいただきありがとうございますなの」

わーわー

盗賊「……ねぇ、勇者さん?」

勇者「しっ、静かにしてよ」

盗賊「静かにしたいけど、義兄さん見あたらないんだけど大丈夫なの?」

勇者「なんか昔の友達の結婚式に出席するから少し遅れるそうよ。なんなら時を止めてでも走ってくるでしょう。大丈夫よ」

盗賊「ぬーん……不安だなぁ」

635: 2015/12/07(月) 23:18:02.22 ID:srVOCpv+0
225

--ユニオン、会場--

魔導長「それではさっそく対戦表を発表しましょうなの。八人による魔法を使って公平に決めた組み合わせなの。やらせとかないから安心してなの」

バッ!!

巨大な紙が公開される。

ポニテ「ほー」

召喚士「ふむ……」

ハイ「……やばい」

アッシュ「!」

イバ「おいおい……」

フォーテ「お姉ちゃんと当たるのは準決勝かーっ!」

盗賊「とりあえず最後か……」

奴隷王「けっ……」

636: 2015/12/07(月) 23:19:12.37 ID:srVOCpv+0
226

--ユニオン、会場--

一回戦、北の王国vs南の王国

 虎男、蜂娘、ポニテvs召喚士、人形師、ゾンビ娘


二回戦、ユニオンvs西の王国

 キマ、ハイ、ツインテvs変化師、義足、アッシュ


三回戦、東の王国vs地獄監獄

 魔剣使い、子侍、イバvsフォーテ、義賊、悪役

 
四回戦、失われた王国vs邪風

 勇者、カブト、盗賊vs赤薔薇将軍、青狼将軍、奴隷王



魔導長「対戦方法は勝ち抜き戦。相手を頃したらだめ。それ以外の細かいルールは各自確認してなの。それでは第一回戦を始めるなのー」

637: 2015/12/07(月) 23:20:16.70 ID:srVOCpv+0
227

--ユニオン、会場--

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

魔導長「!?」

その時、会場の観客席が爆発する。

魔導長「! 何事なの!?」

ゴゴゴゴゴ……

???「ア゛ー……」

????「オオ……」

それは虚ろな眼をした集団。

アッシュ「なんだ奴らは……この祭りに乗じてテロか?」

ハイ「! あれは!」

竜子「! やつらと同じ?」

638: 2015/12/07(月) 23:20:43.93 ID:srVOCpv+0
228

--ユニオン、会場--

ゴゴゴゴ

メリガー「来たな」

女騎士「あぁ……」

オーク太郎「ぶひ? メリガーちゃん達あれを知ってるぶひ?」

メリガー「あぁ。知りすぎてるくらいだ」

メリガーは冷めた目で集団を眺めている。

メリガー「負の亡霊と呼ぶべき存在。あれが争いの火種だよ」

オーク太郎「……え?」

メリガー「行き場を失った……負の感情の塊さ」

639: 2015/12/07(月) 23:21:33.41 ID:srVOCpv+0
229

--ユニオン、会場--

ゴゴゴゴ

アッシュ「……ツインテ、あいつらどう思う?」

アッシュの瞳は光っている。

ツインテ「何か……まとわりついてますね……魔王の力に、少し似ているような」

キマ「魔王の力って、二人が何を知ってるのさ」

ゴゴゴゴゴ

???「ア゛ー……!」

群集の一人がこちらに視線を向けた。

ツインテ「服装から見てもただの一般人にしか見えないのに、この魔力量は変ですね……」

ハイ「っ! 危ない!」

きゅいん

ツインテ「え」

亡霊のような男の口が開き、魔力弾が放たれた。

640: 2015/12/07(月) 23:22:44.08 ID:srVOCpv+0
230

--ユニオン、会場--

ドガァアアアアアアアアアアアアン!!

ハイ「ッ!?」

オオオオオオオオオオ

眼を開くツインテ達。
すると目の前にあったのは、氏者の腕が重なりあってできた盾だった。

ツインテ「……フォーテ、ちゃん。防いでくれたの?」

フォーテ「当たり前だよ……お姉ちゃんを傷つけるものは、誰であろうと許さないっ!」

ぎょんっ!

フォーテは呪いの魔力を解放する。

トリガー「頃しちゃうのかい?」

ツインテ「! トリガーさん」

いつの間にかツインテ達の傍にトリガーが立っていた。

トリガー「頃しちゃうのかい? あれらはただの人間なのに」

641: 2015/12/07(月) 23:23:46.42 ID:srVOCpv+0
231

--ユニオン、会場--

ツインテ「!」

アッシュ「トリガー。お前、何か知っているな」

トリガー「もちろん、今回はそれを君達に伝えに来たんだ。あれらはね魔王がいないせいで生まれた現象なんだよ」

アッシュ「……何?」

トリガー「君達はもう知っているだろうけど、魔王は世界中の負の感情を糧にする存在だ。ならその魔王が消えたらどうなると思う?」

アッシュ「……」

ツインテ「……世界中の負の感情が処理されずに、溢れかえってしまう……ってことですか?」

トリガー「ご名答」

ハイ「そ、そんなばかな! それじゃあ人の生活には魔王が必要不可欠だということになってしまう!」

トリガー「そこまでは言わないよ。でも君は見てきたんじゃないのかい? 魔王亡き後のこの世界で戦い続けた君なら」

ハイ「」

トリガー「眼と耳を疑いたくなるような事件ばかりでなかったかい?」

642: 2015/12/07(月) 23:24:56.69 ID:srVOCpv+0
232

--ユニオン、会場--

ドゴオオンドガァアアアン!!

トリガー「人々から生まれた負の感情は、魔力を通じて世界に溶けていく。やがてそれらは集まって、心が弱い者や不健康な心にとりつくのさ」

???「ア゛ー……」

トリガー「彼らに全く非が無いとは言わない。弱者は食われるさだめだし、心の底に黒い物をもっていたんだろうから。でも、一度でも罰せられるようなことをした者が、あそこにいるだろうか」

ツインテ「……」

トリガー「彼らは弱いだけだ。弱い者に負が集まっただけだ」

ドガァアアン!!

トリガー「魔王と勇者がいなくなった世界で平和を手に入れたいのなら、ここからが本当の戦いになるんだ」

ハイ「私が竜子ちゃんと戦ってたのは……」

ストッ

メリガー「……やぁ、こちらのルートの僕」

トリガー「む、別ルートから来た僕か。観戦でもしに来たのかい? この惨状を」

メリガー「うん。この世界はどう対処するのだろうか、とね」

643: 2015/12/07(月) 23:26:04.88 ID:srVOCpv+0
233

--ユニオン、会場--

ドガァアアン!!

魔導長「ッ! なんてこと……全力全開の奥義でさえ、レベル4魔法と同程度の攻撃力しかないなんて……!」

???「ア゛ー……」

キマ「ちょっとみんな話してる場合じゃないよ! 私達も避難しなきゃ! 校長先生ですら苦戦してるよ!!」

アッシュ「お前は早く避難しろ。俺は残って戦う」

シャキィン

アッシュはナイフを引き抜く。

キマ「!? はぁ!? 学生がどうにかできるような相手じゃないって!!」

ツインテ「でも……結局誰かが戦うことになるんです。ボクも残ります」

ハイ「ご協力感謝します先輩方。では行きましょう!」

フォーテ「フォーテも行くー!」

シュバッ!!

飛び出すツインテ達。

キマ「う、嘘……なんでそんなに、勇気があるの?」

644: 2015/12/07(月) 23:27:07.55 ID:srVOCpv+0
234

--ユニオン、会場--

ゴォン、ドガァアン!

キマ「……ッ」

トリガー「無理することはないよ。自分の力量も弁えずに特攻するのは仲間の足を引っ張ることになるからね。恐怖を感じるのなら一刻も早く避難するべきだ、それは彼らのためにもなる」

キマ「……うん」

キマの足はがくがくと震えている。

ドガァアン!

キマ「私、踏み出せない……こんなに、怖いなんて思わなかった……」

ドガァン!!

キマ「これが頃し合いなんだ……こんな雰囲気、私耐えられない」

メリガー「無理も無い。今の世界は、表向きは平和だったからね」

645: 2015/12/07(月) 23:28:25.98 ID:srVOCpv+0
235

--ユニオン、会場--

ズシャッ!

???「ア゛ー……ア゛ー」

キマ「えっ!?」

トリガー「っと、ほら、早く逃げないから向こうから来ちゃったじゃないか」

???「ア゛ー……」

ずる、ずる

メリガー「余裕そうだけど、トリガー。君に何か対抗手段はあるのかい?」

トリガー「いや? 僕に戦闘能力なんてものは無いよ。君は? 護衛かなにかを連れて来たんじゃないのかい?」

メリガー「彼女なら一人で戦いに行ったよとっくに。ってことはこれは……」

ずる、ずる

???「ア゛ー……」

トリガー、メリガー「「中々にピンチって奴だね」」

キマ「冷静に分析してる場合じゃないいいいいいいいいいいいい!!」

646: 2015/12/07(月) 23:29:03.79 ID:srVOCpv+0
236

--ユニオン、会場--

???「ア゛ー……!」

ぎゅるっ

男の掌に魔力球が形成され、キマ達に向けて放たれようとしている。

キマ「ひっ!!」

魔法使い「――伏せろ!」

ビッ!! ドギャアアアアアアアアアアアン!!

魔法使いが後方から放った雷が男を吹き飛ばした。

???「ギィヤアアアアア……!」

キマ「へ……?」

ザッ

魔法使い「もう、大丈夫だ、キマ」

キマ「親父ィ!?」

647: 2015/12/07(月) 23:30:15.27 ID:srVOCpv+0
237

--ユニオン、会場--

キマ「も、もう大丈夫だって、何言ってんのさ駄目親父!」

魔法使い「……」

ひゅるるるる……どがぁあん!!

キマ「きゃぁあ!?」

魔導長「げふんっ!!」

がらがらがら……

二人の横に空から魔導長が落ちてきた。

魔導長「あいたたた……思った以上に手ごわいなの……ぐぬぬ、修行は怠けてなかったんだけどなぁ……」

魔法使い「魔導長校長……」

魔導長「あ、魔法使いさん。丁度良かった、あいつらに見るもの見せてやって欲しいなの。現在まともに渡り合えるのはあなたくらいのものなの」

キマ「……へ?」

魔法使い「しかし……」

魔法使いはキマを見る。

魔導長「この子達は責任を持って私が守るなの。ちょっと疲れたから選手交代ってことでよろしくなの」

648: 2015/12/07(月) 23:30:56.63 ID:srVOCpv+0
238

--ユニオン、会場--

魔法使い「そういうことなら……」

ひゅんっ

そう言って魔法使いは戦場のど真ん中へと向かう。

キマ「! お、親父が最前線に!? ちょっと無理ですよ校長ー! あいつ大して強く無いんだから、駄目親父が氏んじゃうじゃん!!」

魔導長「へ……? 駄目親父って、もしかして魔法使いさんのことを言ってるなの?」

キマ「そうですよ!! あぁあ! あんなのでも氏んだらお母さん絶対悲しむもん……! だからやめさせてください、無駄氏にだよ!!」

魔導長「……キマ? 貴女のお父さんは全然駄目じゃないなのよ?」

キマ「へ……?」

魔導長「何を勘違いしているのかわからないけれど、貴女のお父さんは現ユニオンで最強の人物なのよ?」

キマ「……は?」

649: 2015/12/07(月) 23:31:44.18 ID:srVOCpv+0
239

--ユニオン、会場--

キキキィン! ドガァオオン!!

???「ア゛ー……」

アッシュ「づっ! こいつら結構やりやがる。よくわからん力がまとわりついているせいで人頃しがうまく機能しやがらねぇ!」

ツインテ「でも種族判定はやっぱり普通の人間です。完全に頃しちゃうようなことは出来ないですね……!」

ポニテ「うぐぐ……悔しいけど二人が援護しに来てくれなかったらちょいとやばかったかも。なんか魔力吸収すんだよねこの人たち」

ずる

ツインテ「!? ポニテさん後ろ!」

???「ア゛ー……」

ポニテ「!? しま」

バリバリバリバリ!!

???「ギィヤアアアアア……!」

ポニテ「ッ! 援護射撃!? 助かった……でも、こんな時代にこんな強力な魔法を使えるなんて……誰?」

ザッ!!

魔法使い「疲れたなら下がっていろひよっこ共」

650: 2015/12/07(月) 23:34:15.32 ID:srVOCpv+0
240

--ユニオン、会場--

バリリ、バリバリバリバリイイイイイイイイイイイイ!!

???「ギィヤアアアアア……!」

アッシュ「!? あ、ありえん! これは完全にレベル4魔法の威力だ。それをこんなにも連射できるだと……」

ツインテ「凄い……どうやってこんな魔力を……?」

バリバリバリ!!

魔法使い「……雷属性範囲殲滅攻撃魔法、レベル4」

ドギャギャギャギャギャアアアアアアン!!

???「ギィヤアアアアア……!」

アッシュ「っづ!!」

ポニテ「あ、あの頃から少しも衰えてない気がする……!」

ツインテ「こんなことって、あるんですか!?」

魔法使い「ウェヒヒーーーーーwww」

651: 2015/12/07(月) 23:38:26.04 ID:srVOCpv+0
恐らく、次回で最終回となります。
随分長かったですが、このssシリーズの最終回となるでしょう。

それでは疑問、質問等がありましたら気軽に書きこんでおいてください。
読んでいただきありがとうございました!m(__)m



一口メモ
ちなみにいつだかのコメントを見返していて思ったのですが、自分が好きなキャラは召喚士と人形師だったりします。そのせいで他の三強より活躍させちゃった感がありますね。

660: 2015/12/14(月) 23:24:17.07 ID:zl3ZuK150
241

--ユニオン、会場--

シュウゥウウ……

キマ「……う、嘘……なんで? なんであの親父があんなに強いの……!?」

キマは驚愕しながら無双する魔法使いを見ている。

魔導長「――彼は最終決戦を戦った英雄の一人だもの。今でも強いのは不思議なことじゃないなの」

キマ「……お母さんの付き人とかそういうのだと思ってた……」

魔導長「キマちゃんが見てきた魔法使いさんの姿がどんなものなのか私にはわからないけど、ちょっと魔法使いさんを過小評価しすぎなの。私がユニオンを設立した際に、何が何でも最初に確保しようとしたのは彼なのよ?」

キマ「!? え゛っ!?」

魔導長「誰だって世界で一番強い人間を自分の所に引き入れたいって思うのは当然でしょ?」

キマ「せ、世界で一番!? う、嘘ぉ!?」

魔導長「嘘じゃないなの」(魔力を大量に必要とする竜と鬼亜人とフォーテちゃんは除いてね)

バリバリバリッ!!

魔法使い「雷属性MAP攻撃魔法、レベル4」

ドギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

ハイ「す、ごい……殲滅力もさることながら周囲に被害が及ばないようにしているし、やりすぎないよう手加減もされている……」

661: 2015/12/14(月) 23:25:31.86 ID:zl3ZuK150
242

--ユニオン、会場--

魔導長「魔法使いさんは魔力が失われていくこの世界に唯一対応しているなの。だからこそ彼は最強なの」

キマ「……特異体質、ってこと、ですか?」

魔導長「いいえ、努力の結晶なの。魔力不足を詠唱魔法と紋章魔法の融合によって補っている……そんな芸当が可能なのは、本物の天才の彼だけ」



ゴゴゴゴ

?????「ぎゅるあぁああああああ!!」

魔法使い「!」

人々の負の念が集まって巨大な集合体となっていく。

ゴゴゴゴゴゴ!!

魔法使い「……」

ずたっ!!

女騎士「遅れてすまない、助太刀に来たぞ!……とはいえ、あいつは少々厄介そうだな……」

?????「うううううううううううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

全長50メートルの巨大な靄が出現する。

662: 2015/12/14(月) 23:26:04.98 ID:zl3ZuK150
243

--ユニオン、会場--

アッシュ「っちぃ! あれをやるしかなさそうだなツインテ、ポニテ!」

ツインテ「あれって……あれですか!?」

ポニテ「! そうだ、その手があったー!」

魔法使い「その必要は無い、下がってろ」

アッシュ「……何? いくらあんたでもあれは簡単にはいかんだろ」

バリバリバリバリバリ!!

それに対する答えであるかのように、魔法使いは全身から魔力を放出する。

ツインテ「きゃあぁあ!?」

アッシュ「ッ!! まだこんなに魔力が!?」

ぱりっ……

魔法使い「雷属性対単体攻撃魔法」

魔法使いは自らの右手に全ての魔力を込めていく。

魔法使い「レベル、5」

663: 2015/12/14(月) 23:27:14.24 ID:zl3ZuK150
244

--ユニオン、会場--

ズギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

???「」

ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ

???「ギッ」

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

魔法使いのレベル5魔法が謎の群集を吹き飛ばした。

魔法使い「……」

パリッ、パリパリ

キマ「」

魔導長「あれが彼なのよ、キマ……現在世界で唯一レベル5を使える規格外の魔法使い……」

キマ「ご、五柱の人たちでもレベル4が限界って聞いたのに……レベル5!?」

ぽん

魔導長はキマの頭に手を乗せる。

魔導長「これからはちゃんとお父さんを見てあげるなの」

魔法使い「あばばばばばばばばばばばばばばwwwwwww」

664: 2015/12/14(月) 23:28:13.36 ID:zl3ZuK150
245

--ユニオン、会場--

しゅうう……

????「アー……」

?????「オー……」

ぞろぞろ

魔法使い「む……」

倒しきったと思った魔法使いだったが、その後方から更に靄人が現れた。

ザッ

アッシュ「疲れたなら下がっとけおっさん」

魔法使い「む……」

ポニテ「だね。あんなの見せられたら黙ってらんないでしょー!!」

ツインテ「久々ですけど、やるしかなさそうです」

すっ

三人は右手を合わせた。

ツインテ「――禁術魔法」

ポニテ「改良型ーっ!」

アッシュ「三位、一体!!」

ぼっ!!!!

665: 2015/12/14(月) 23:29:24.07 ID:zl3ZuK150
246

--ユニオン、会場--

ぎゅるるるるるるる、どどおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!!

真勇者「……」

バチッ!!

三人は融合に成功して真勇者となった。が……

勇者「あれ、あの時よりちょっと小さいな」

盗賊「そら合体してる元の三人が子供だからなぁ、っとぉ!?」

ズガッ!

???「アー……」

勇者「気を抜いちゃ駄目よ盗賊」

ズバッ!!

???「アー……!」

盗賊「集中してないつもりはねぇよ。ただ俺も歳なんだよ、50だよもう……」

勇者「心は若いままでしょ? ほらがんばれがんばれ!」

盗賊「くそったれー!」

666: 2015/12/14(月) 23:29:55.93 ID:zl3ZuK150
247

--ユニオン、会場--

どすんっ!!

盗賊「」

勇者「……え?」

盗賊達に接近する靄人を吹き飛ばした存在……それは巨漢の男だった……。

しゅぅううう……

盗賊「……」

その男はズシンズシンと音をたてながら盗賊達に歩み寄っていく。

闘士「……お、おで」

盗賊、勇者「「いっ!?」」

667: 2015/12/14(月) 23:32:52.09 ID:zl3ZuK150
248

--ユニオン、会場--

ザッ

竜子「……はぁっ!? ちょっなんでアンタが!?」

ウェイトレス「いぇーい、加勢しちゃうぞーい」

すたっ

ハイ「……えっ!?」

ビィ「うふふふー☆ ドッペルゲンガー発見ー」

ざわざわ

トリガー「……これは一体……なんで別ルートの氏人が、ここに……?」

トリガーは次々に現れる彼らの姿を見て驚愕する。

メリガー「本当にわからないのかい? 僕には想像がつくけどな。トリガー、君大分無茶しちゃったようだね。色んなルートいじくりまわしたでしょ?」

トリガー「……ちょっとだけだよ」

メリガー「ちょっとだけ、ねぇ……」

トリガー「……」

メリガー「やれやれ。君のせいでこの世界は、色んなルートがこんがらがって混ざり合う特異点になっちゃってるよ」

トリガーは信じられないといった表情で眺めている。

トリガー「こんなことも……起こりうるのか」

メリガー「まぁ、とどめは別ルートから僕達がこの世界に来ちゃったせいなんだろうけど」

668: 2015/12/14(月) 23:36:36.14 ID:zl3ZuK150
249

--ユニオン、会場--

ひゅうぅうう

盗賊「闘……士……?」

闘士「お、おでだ。久しぶりだな。盗賊」

ぼろっ

思わず盗賊の目から涙がこぼれる。

盗賊「……うわ……」

闘士「な、泣くな盗賊。熱い抱擁は後でじっくりしてやる。い、今はそれよりもこいつらを倒すのが先だ!」

勇者「闘士……」

ざっ

賢者「……やれやれ同窓会するなら僕たちも呼んでくれなきゃ困りますよ盗賊君」

踊子「本当本当~。水臭いですよ~?」

賢者と踊子が盗賊達の下に集った。

勇者「……ふふ、今呼ぼうとしてた所だよ。やっぱりこの五人だからね。思い出すね、あの頃を……」

勇者はかつての自分達を思い出している。盗賊達との出会いから共に戦ったあの過去を……。

盗賊「ちっくしょー……やってくれるぜ魔導長ちゃん! 嫌でもテンションあがっちまうじゃねーかよ、こんな仕掛けがあったんじゃあさぁ! こうなりゃ暴れてやる……あの頃みたいに! 行くぞみんな!」

勇者、賢者、闘士、踊子「「「おうっ!!」」」

669: 2015/12/14(月) 23:41:24.47 ID:zl3ZuK150
250

--ユニオン、会場--

どがーんどかかーん

魔導長「あの負の靄は魔力がたくさんあるところに集まるというのは知っていたので、ここで一網打尽にしようという考えではあったけれど……まー、もちろんこんなことまで想定していたはずもなく……」

ザッ

腹黒「……」

魔導長「あー……どうもどうもご先祖様ー。魔力があまり使えない息苦しい世界にようこそー」

腹黒(あー……俺の直系だとすぐわかるぜ……)

ドゴオオオオオオオオオオン!!

聖騎士「ぶるああああああああ!! こんな楽しそうなイベントやってるなんて、何で教えてくれなかったのぉおおおう!!」

何かをかぎつけて空から降ってきた聖騎士。

魔導長「あ、聖騎士……いや、竜騎士さんでしたっけ。だって貴方、一身上の理由から引退するって言ってたから」

聖騎士改め竜騎士「ぶるあああああああああああ!! こんな楽しそうなことは参加するに決まってるぶるああああああああああああああああああああ」

脳筋「お、兄貴じゃん」

竜騎士「」

脳筋「久しぶり! まぁびっくりするよな。俺にもなんだかよくわからなくてさ、なんでかこんなところに出ちまったんだか」

竜騎士は言葉が無い。

脳筋「でもまぁ例えどこだろうと襲われてる人は見過ごせネェ。弱者を助けるのが強者の務めだ。だろ? 兄貴」

脳筋は昔のようにニカッと笑う。

竜騎士「……うんっ!!」

670: 2015/12/14(月) 23:43:36.02 ID:zl3ZuK150
251

--ユニオン、会場--

ひゅおおおおお

ハイ「……貴女、なんで、なんでこんな所にいるんですか……?」

ビィ「さぁなんでだろうねー……ふふふ☆」

???「アー!」

どぉおん!

ビィ「あらあら集まってきちゃったよ? 話してる場合じゃないんじゃないのかなー?」

ハイ「くっ!」(よくわかんないけど、ビィからは嫌な感じがしないし……とにかく、戦わなくちゃ!)

ビィ(ここに来ちゃった理由は正直私にもわからないんだけど……なんだかお祭りみたいだし? 楽しませてもらっちゃおーっと)

きぃいいいいいいいいいいいいん!!

ハイ、ビィ「「条件達成レベルアップ!!」」

ばりぃいいん!!

ハイとビィは同時にカウガールの衣装に変わり、互いの背中を預けて銃を連射する。

ズガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!

???「ギィイヤアアアアアアア」

????「グオアオオオオオオオ」

ハイ達の連射により、取り囲んでいた靄人が片っ端から倒されていく。

キンッ、キキンッ

ビィ「くすっ。バイちゃんのおかげで私の方が一丁多いから、どうやったって私の方がたくさん倒せちゃうねー☆」

ハイ「! まだまだ、ユニちゃんの力はこんなもんじゃ無いんですから! さぁユニちゃん頑張ってください! なんならケツから弾丸出してください!!」

ユニコーン「ひひん!?」

ハイは、楽しそうに笑っていた。

671: 2015/12/14(月) 23:45:33.25 ID:zl3ZuK150
252

--ユニオン、会場--

ドガァアアアアン!!

???????「ぎゃぼおおおおおおおおおおおおおおお!!」

ずずずずうううううううううううううん!!

真勇者「……」

女騎士「ほぉう……これがツインテ達が融合した姿か……! まさかこれほどまでにパワーアップするとはな……私も一人の騎士として、是非手合わせ願いたいものだ」

真勇者「……いいだろう。それは余も望むところ。だがそれは」

女騎士「わかっている。こいつらを全て倒し終わってから、だな!」

ズババババババアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

召喚士「すっごいでやんす……あの二人めちゃくちゃぶっ飛ばしてるでやんす」

人形師「……私達も負けちゃいられないですねぇ」

ウェイトレス「ほいほいー。次はこっちに手を貸してあげよーじゃないの」

銀蜘蛛「ボクモ!」

桃鳥「私も」

召喚士「ちょ、オーバーキル過ぎでやんす!!」

ドガガガァアアアアアアアアアアン!!

672: 2015/12/14(月) 23:54:57.12 ID:zl3ZuK150
253

--ユニオン、会場--

しゅうう……

メリガー「やれやれ……せっかくの試みが失敗に終わっちゃったね、魔導長。こんなに会場がボロボロになっちゃったんじゃあ大会続行は無理だ。靄人を呼び寄せたまではいいけれど、これじゃあねぇ」

メリガーはすっかりボロボロになった会場を見て言う。

魔導長「そうね。すぐには無理なの。でも、またやるなの。会場が直ったら……すぐにでも」

トリガー「……」

メリガー「……目のつけどころはよかったと思うよ。なんでも発散させることこそが健康につながるからね、戦争をスポーツで回避しようという案は確かに面白かった。……でも、それで本当に争いを回避できるかな……この連鎖を、抜けられるかな?」

メリガーの瞳は前髪で隠れている。

魔導長「んー……私には、どうなるかなんてわからないなの」

魔導長は困ったように笑う。

魔導長「私は神様じゃないから何が最善の手かわからないなの。だからいつも自分が正しいと思うことを一生懸命やるだけ。諦めずに最後までやったというこの意思を、未来の誰かが受け継いでくれるかもしれない……そうしていつの日か本当の意味で解決する時が来たらいいなって、私は思うだけなの」

メリガー「……」

魔導長「結局はみんなの頑張り次第。私はいつか私達の思いを叶えてくれるその人が現れるまでの繋ぎなの」

673: 2015/12/14(月) 23:55:54.31 ID:zl3ZuK150
254

--ユニオン、会場--

メリガー「……」

トリガー「……だってさ」

メリガー「うん……」

メリガーは暫く考えるようにして空を眺めていた。

メリガー「やれやれ、ヒントがあるかもと覗きに来た僕が浅ましく思えてきたよ。ろくに努力してなかったという事実を突きつけられてしまった。後世が受け継ごうと思うほどの努力、か……」

トリガー「カンニングもある意味努力かもしれないがね」

メリガー「努力している人からしたら怠惰な方法だよ……うん、人間はやっぱりいい。僕たちロボットには生み出せない何かがある」

魔導長「……参考になったなの?」

メリガー「そうだね。とりあえず、辛い現実から目を背けるのをやめることにするよ」

トリガー「……」

メリガー「元のルートに戻るさ」

674: 2015/12/14(月) 23:57:48.63 ID:zl3ZuK150
255

--ユニオン、会場--

???「う、うぅ? ここは」

ツインテ「気がつかれましたか? もう大丈夫ですよ」

ツインテの触手が全面に展開され、同時に人々を癒していく。

キマ「すご! 駄目親父も凄……かったけど、ツインテちゃんもやっぱり凄い! さっきの合体?もとんでもなかったし!」

マッスルひげ「そらそうだよ。ツインテちゃんは最終決戦で魔王を倒した勇者の一人だかんな」

魔導長「あっ」

マッスルひげ「あっ?……あ」

キマ「え、何それ……」

魔導長「……まぁ……隠し事って言ってもがばがばだったしねぇ……」

キマ「え、え……?……なんてね……あの戦いを見ちゃたんだもん、素直に納得できるけど……そうだったんだ」

675: 2015/12/14(月) 23:58:52.54 ID:zl3ZuK150
256

--ユニオン、会場--

女騎士「見事な手際だなツインテ。この数ヶ月ずっと見ていたが、やはりお前の治療は素晴らしいものだ。見ているこちらまで癒される……誇っていいぞ」

ツインテ「えへへ、ありがとうございます」

すたっ

メリガー「女騎士」

女騎士「ん? どうしたメリガー」

メリガー「帰るよ、元の世界に」

アッシュ「!?」

女騎士「……そうか。手立ては見つかったのか?」

メリガー「見つかった。見つかったというか気付かされたって感じだけど」

女騎士「そうか。それは行幸だ。ふむ。急だが……それもやむなしだな」

ツインテ「え!? 女騎士さん達帰ってしまわれるんですか!?」


676: 2015/12/15(火) 00:00:27.28 ID:+25N9cQc0
257

--ユニオン、会場--

女騎士「あぁ。元よりこっちに来たのは目的があったからだ。それが成されたのであれば帰るのが普通だろう?」

ツインテ「そんな……急過ぎます……」

アッシュ「おい、さっき後で戦うと言ってただろうが。やらずに帰る気か」

ポニテ「そうだよ! 今はちょっと魔力不足で融合解けちゃったけど……もうちょいすればまた融合できるから!」

女騎士「それでもお互い万全の状態ではあるまい?」

ポニテ「っ、まぁ、そうだけど」

女騎士「ふ……そんなに焦る必要は無いのかもしれないぞ」

アッシュ「あ?」

女騎士「――全ての世界は繋がっている。ここは、ルートの特異点なんだからな」

女騎士は会場にいる人々を見て言った。健闘を立てて肩を叩き合っている人たちや、傷ついたもの達に治療を施す人たち……全て女騎士の世界から無くなったものだった。

女騎士「ここはいいルートだ。私達のルートもここのようにしたいと思う。だからこそ一刻も早く帰る」

677: 2015/12/15(火) 00:01:57.12 ID:+25N9cQc0
258

--ユニオン、会場--

ぶぅん

メリガーが何も無い場所で手を振ると、別ルートへの道が生まれた。

メリガー「では。世話になったね」

女騎士「達者でな皆。あちらが平和になったらまた来るぞ」

ツインテ「はい、その時を楽しみにしています!」

アッシュ「ふん。その時は融合無しで戦えるようになっておく」

ポニテ「ぐぬぬ、本当はもっと一緒に遊びたかったのに……ばいばいは言わないから! またねー!」

女騎士「……あぁ!」

びゅわん……

そして、別ルートへの扉が閉じた。

678: 2015/12/15(火) 00:04:22.85 ID:+25N9cQc0
259

--ユニオン、会場--

ざわざわ

レン「やれやれ後片付けが大変になっちゃったにゃ。ここまできたら一度会場をぶっ壊してから新しく作りなおす方が簡単じゃないのかにゃ」

魔導長「いい案なの。その時はレンちゃんに頼むなの」

レン「うげー……言わなきゃよかったのにゃ」

ポニテ「くーっ……大会だけでなく女騎士ちゃんとの戦いも取り上げられちゃった……うぅ、うずうずするよぉ……」

ツインテ「ポニテさん落ち着いてください。皆さん疲れてるんですからしょうがないんですよ。ほら飴ちゃんあげますから」

ポニテ「もごもご……おいちぃ」

アッシュ「……俺はまだ出来るぞ」

勇者「さすが子供なだけあって元気だな」

盗賊「ぜぇぜぇ……俺はもう無理だぜ」

勇者「……ふむふむ。よくよく考えて見れば、お行儀よくリングで戦う必要も無い気がしてきたぞ?」

にやりと不敵に笑う勇者。

盗賊「ゆ、勇者何考えてやがる……もうやだぞ? 俺は休むんだ。もう一生分戦った!」

ざわざわざわ

盗賊「お、おい、ムードがなんか……」

679: 2015/12/15(火) 00:07:49.12 ID:+25N9cQc0
260

--ユニオン、会場--

ざわざわざわざわ

竜騎士「ぶるあああああああああああああああ!! これだけの猛者が集まっておきながら解散だとぉお!? 納得できるかあああああああああああああああああああああああああああ!!」

ハイ「い、いやいやいや、戦ったじゃないですかいっぱい! よくわからない靄とー!」

侍「拙者の刀も久々にうずいてござるよ」

レン「……」

ざわざわざわざわ

魔導長「ふむ……ふむふむ。この流れは、そういう流れなの? まだやりたりないって?」

トリガー「何、結局やるのかい? はぁ、動物みたいだね。いいんじゃないかい? 好きなだけやっちゃえば」

虎男「っていうかなんで出場選手以外もやる気になってるがお。それじゃあ選抜とは何の意味があったがお」

侍「はっはっはっ。まぁいいではないでござるかぁ。無礼講無礼講、これはもはや祭でござる。楽しまなきゃそんそん!」

魔導長「んー……じゃーあー、とりあえず、会場にいる全員でルール無用のバトルロイヤルやろっか、なの」

ざわ

ハイ「……はい?」

魔導長「ただし優勝商品は変えるなの。今回の優勝商品は五柱の聖の資格なの!」

ウオーーーーーー!!

魔剣士「! 確か五柱になると色んな待遇がよくなったり税金とかも免除されるんですよね!?」

賭博師「五柱……五柱になれば俺もモテモテに……はっ!?」

調教師「」

竜騎士「ぶるあああああああああああああああ!! それは! 我の称号だぁあああ!! うかうか引退なぞしてられん、取り戻してやるぅううううううう!!」

脳筋「ははは、元気だな兄貴は」

ハイ「やるんですか!? 本当に今からやるんですか!? みんなぼろぼろなのに!? 信じられない!」

ツインテ「あははは……ずっと、こんなどたばたが続いていくんですかねー」

アッシュ「あぁ。退屈はしなさそうだ。悪くない」

ポニテ「そうこなくっちゃ! 二人とも決着つけちゃうよー!」

勇者「ほらっ、盗賊も早く!」

盗賊「んもー……やれやれ」

魔導長「それでは、試合ー開始ぃ!!」

わああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!

680: 2015/12/15(火) 00:16:42.77 ID:+25N9cQc0
261

--ユニオン、会場--

こつこつこつ

赤姫「……随分にぎやかで楽しそうだことだ」

トリガー「赤姫……ユー」

ユー「……」

赤姫「やれやれ……色んなことがあったが、その集大成がこれか」

トリガー「そうだね……随分時間がかかってしまったよ。こんなどうでもいい光景を見るまでにさ」

赤姫「全部お前のせいだろ」

トリガー「いやそれはそうなんだけど……」

わーわー!!

赤姫「――ふ、冗談だ。それもひっくるめて、まぁ楽しかったぞ、お前との戦いの日々も」

トリガー「……」

ユー「……」



わーわー!!

楽しそうに戦う人たちを見下ろす三人。

赤姫「……これからの物語に私達観測者は必要ない……。行くぞトリガー、付いてこい」

トリガー「……うん、赤姫。どこへでも」

三人は誰にも見られることなく会場を後にした。


681: 2015/12/15(火) 00:17:41.90 ID:+25N9cQc0





                       END

682: 2015/12/15(火) 00:23:47.75 ID:+25N9cQc0
というわけでこれにて終わりにしたいと思います。
最後は色々思い返しながら書いてましたが、やっぱ長くなり過ぎちゃったなと思います。勇者募集でやりたいことの大半は終わってましたしね……。それでも長い間見てくださった方やコメントを下さった方達には本当に感謝しかないです!
もしよかったらまたいつか読み返してやってください。今まで本当にありがとうございました。


あ、疑問質問などあればそれは受け付けますので!

684: 2015/12/15(火) 01:33:39.57 ID:kS5PjTvv0


最後の封神演技感がたまらない

688: 2015/12/15(火) 16:05:28.46 ID:U0S8rpULO
おつんつん!
長年ほんとにありがとーっ

696: 2015/12/22(火) 12:32:31.75 ID:gHrL29cT0
長い間本当にお疲れ様でした!

引用: 勇者と魔王がアイを募集したFINAL幕