1: 2013/12/14(土) 12:21:32 ID:xFFzC9JU
ベルトルト「また雪が降る」
のリヴァイsideです。

!今回は12巻のネタバレ含む!
・捏造あり
・リヴァイの壮絶なキャラ崩壊あり、ベルトルト以上の情緒不安定。
 クールでかっこいい兵長はいません。こんなの兵長じゃない!と怒られるレベル

完全なる蛇足の為、長いだけの分かりづらい文章
前作のイメージは崩れるかもしれません。

初ssの続編なので、生温い目でお願いします。
それでも良い方はよろしくお願いします。

2: 2013/12/14(土) 12:37:07 ID:xFFzC9JU


この世界に巨人はいない。


俺がいるのは、あいつらが言っていた『海』に囲まれた島国だ。


ここにはエルヴィンもハンジも居ない。
ハンジみてぇなのはたまにテレビで見かけるが、あそこまで狂っちゃいない。
エルヴィンとは比べものにならない数の人間を束ねている俺たちの代表は、エルヴィンには到底及ばねぇ

...と、思う。
実際会ったら違うかもしれねぇが、今の俺にはそんな権限もない。


ここには俺の部下だった沢山の奴らも居ない。
居るのは、なんにも考えてないような面した奴らか、氏にそうな面しながら生きてる奴らだ。

少なくとも、人類に心臓を捧げる覚悟のやつは誰一人居ない。




ここはあの世界の後なのか、全然違うとこに一人だけ来ちまったのかはわからねぇ。


だが、俺はここでただの人として生きている。
進撃の巨人マガジン15周年号 (週刊少年マガジンコミックス)

3: 2013/12/14(土) 12:45:42 ID:xFFzC9JU
_______
_____
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「おい、リヴァイ。社長の前くらいはもう少し愛想よくしろよ」

「あぁ...悪い。今度から気を付ける」

「いつもそれじゃないか!…ったくよ~…」

「......」

ここじゃ、あの世界のような俺の性格はあまり歓迎されない。
つい出てしまっていた舌打ちの癖はずいぶん前になくなっていた。
人間関係ってのはこんなにも厄介なものだと、ここに来てから知った。



それでも巨人のいる世界よりマシだった。

4: 2013/12/14(土) 12:47:43 ID:xFFzC9JU
「また雪ですねー」
部下の言葉に窓に目をやる。
いつの間にか雨音がしなくなったと思ったら…

この間の大雪は電車がとまって違う電車で帰ることになった。
...めんどくせぇな

5: 2013/12/14(土) 12:49:49 ID:xFFzC9JU



「やっぱりな...」
思った通り、電車はとまっていた。
毎度のことなんだからどうにかしろよと思いつつ、またいつもとは違うホームへ向かった。

6: 2013/12/14(土) 12:53:19 ID:xFFzC9JU
運の良いことに、こっちの電車はちょうどすぐに来るようだ。

俺の前も後ろもずっと下を向いて携帯に夢中だ。
前を向いてるやつなんて居ない。

俺はこの光景をあまり好きになれない。

電車が到着する。
流れに従い、乗り込むその瞬間、混雑するホームに一人だけ顔をあげてる奴が目に入った。

7: 2013/12/14(土) 12:55:55 ID:xFFzC9JU


一瞬だったが、目立ちすぎるんだよ...
俺はこの目立ちすぎる男を知っている。


しかし、ほんの一瞬だった。

まさかな...と、自分の考えをすぐに打ち消した。



__________
_______
____

8: 2013/12/14(土) 13:01:57 ID:xFFzC9JU
あの雪の降った日から、俺の通勤路は30分長くなった。


あいつなのか、確かめなきゃいけねぇと思った。
どうしても気になった。



あいつがこの平和な世界を生きていてくれるのかを......





...

9: 2013/12/14(土) 13:05:09 ID:xFFzC9JU

通勤路を変えてしばらく経つが、結局まだあいつを見ることはない。
そんな都合の良いもんでもねぇだろ



今日も遠くなった通勤路を帰る。

10: 2013/12/14(土) 13:08:59 ID:xFFzC9JU


電車が止まった。
雪が降った。
しかし、今回も別に期待はしていない。
会えねぇのが普通だろ。

そう思う自分とは裏腹に、ホームで乗るはずの電車を見送っていると、頭二つ分とびぬけた男の後ろ姿が目に入る。

11: 2013/12/14(土) 13:20:13 ID:xFFzC9JU

あいつ...!!
急いでいつもより多い人混みに紛れて少し離れたところからじっと見つめる。



俺は人間の時ときのあいつの後ろ姿を知らない。
一目見れればいい。本当にあいつかどうか...
俺は接触するつもりは少しもない。

きっとここに居るなら、何も知らず幸せに生きているんだろう。
もし、記憶があったら余計に俺なんかにあっちゃいけねぇ。

見つかったらダメだ...!!

12: 2013/12/14(土) 13:36:33 ID:xFFzC9JU


誰か探してんのか?

そうか、よかったな。
今のお前はちゃんと人と付き合えてんのか

誰かを探してあいつが横を向いたとき、俺は立ち去った。

横顔だけでもあいつの顔を忘れるはずがねぇ


あぁ、あいつだ......


__....

15: 2013/12/14(土) 22:24:11 ID:B5oBOJQQ

俺の通勤路はまだ変わってなかった。
もう、目的は果たせたはずなのに


俺が人生を終わらせた子どもは、大人になって働いている。
あの頃とは違う人生を歩めている。


のに、なんだあの面は...


俺はあいつの表情が忘れられなかった。
なぁ、お前はここでも下を向いてるのか?


俺は、そんなお前を望んじゃいねぇんだ…

16: 2013/12/14(土) 22:25:21 ID:B5oBOJQQ


また雪が降った。
今年はやけに雪が降る。
いつもは煩わしいだけなのに、今年は有難い。

17: 2013/12/14(土) 22:26:57 ID:B5oBOJQQ


が、電車は止まっていない。
「まぁ、いねぇだろな」
ベンチの横に立ち、電車を待ちながら軽く階段の方を見る。



目が合った

あいつは逃げ出した


…!?

おい...あいつまさか...

18: 2013/12/14(土) 22:28:48 ID:B5oBOJQQ


「おい、待て」

考える前に声をかけてしまっていた。
記憶があるのがわかっているのに...


それでも下を向いて人混みに早足で向かうあいつに、つい...

「待てと言ったんだ。……ベルトルト」

あの頃の俺で呼び止めてしまった。



あいつの足がピタッと止まった。

「…ぁ...お久しぶりです......リヴァイ兵長...」

下を向き、俺の顔も見ずにあいつは言った。

「あぁ...」

19: 2013/12/14(土) 22:30:04 ID:B5oBOJQQ



あれからあいつは下を向いたままだ。
でかい体が今は小さい。

なぁ、お前は何を考えてたんだ?

あの時も、今も…




なぁ俺を…

20: 2013/12/14(土) 22:31:38 ID:B5oBOJQQ


「俺を憎んでいるか?」

あいつはハッとこちらを向いて目を見開いた。


「…いえ、そんなこと...思ったことありません」

「そうか...」


聞いてしまった。
自分の為に聞いてしまった。
俺のあの時の自分の行動が正しかったのかわからない。
――――結果は誰にもわからねぇ―――――
俺が何度も部下に言ってきた言葉だ。
だが、俺は……

21: 2013/12/14(土) 22:32:50 ID:B5oBOJQQ


「あ、ぁの…!」
「その…ライナーとアニは…あの、、、その、、楽に------

あいつが膝の上の拳をギュッと握りしめながら初めて自分から俺に話しかけてきた。
「あぁ。二人とも俺が削いだ」
「…そうですか」

あいつからため息がもれ、肩の力が抜けていた。

22: 2013/12/14(土) 22:34:42 ID:B5oBOJQQ



こいつらは、エレンの奪取に失敗して、巨人に喰われたらしい。
が、女型の…アニを取り返しに来た。

その頃には俺の足も治っていた。
エレンの新しい能力でシガンシナも奪還し、巨人の謎も解明されていた。


…もう、こいつらを生け捕りにする必要はなかった。


俺は真っ先にこいつを削いだ
そして他の二人も…
迷いはなかった。


なのにお前らはなんで、揃いも揃って…あんな顔で氏んでいったんだ?

23: 2013/12/14(土) 22:35:50 ID:B5oBOJQQ


ずっと気になっていたことがある。

なんでお前らは、わざわざ壁のすぐ近くで三人一緒に巨人化したんだ?
あんなに緻密に考え、三年間も耐えてきたにしてはそんな作戦、随分お粗末過ぎやしないか?
なんでお前らは…誰も殺さずにいたんだ…?
いくら壁に近くても、そうすれば逃げ切れただろう

なんでお前らは...

25: 2013/12/14(土) 22:37:01 ID:B5oBOJQQ


だが、こいつの今のため息を見てわかった。
そういうことだったのか...

26: 2013/12/14(土) 22:38:52 ID:B5oBOJQQ



「......お前らが正しかったのかもな」



こいつらを頃しても...

27: 2013/12/14(土) 22:42:27 ID:B5oBOJQQ


「あの世界に先はなかった...」



―――…

28: 2013/12/14(土) 22:44:17 ID:B5oBOJQQ
シーナは破られた。
最期に残った貴族たちを守るため俺たちは戦った。


でも、俺は一瞬考えちまった。

――俺は、なんの為に戦っている?

仲間はどんどん喰われていく。
もう壁はない。
逃げる場所はどこにもない。

守ってきた人類も貴族しか残っていない。
――守ってきた人類はこいつらか?こいつらを助けたその先は?

答えを求めてエルヴィンを見る。
...おい...なんだよ、それじゃあまるで...!!



俺と同じじゃねぇか…!!

29: 2013/12/14(土) 22:45:30 ID:B5oBOJQQ


初めて戦うことに疑問を持った瞬間、俺は喰われた。
奇行種でもなんでもないアホ面の巨人に丸呑みにされた。
俺の最後はこんな汚ねぇところか...皮肉だな―――と思いつつ、意識が緩やかになくなっていった。

――――…

30: 2013/12/14(土) 22:46:43 ID:B5oBOJQQ
「...そうですか...」


…。

31: 2013/12/14(土) 22:48:08 ID:B5oBOJQQ

なぁ...

お前らがエレンを強引に連れて行こうとしてたのは、本当に自分の為だけだったのか?

もう壁を破りたくなかったんじゃないのか?

こんな結末を避けようとしたんじゃないか?

お前らを頃して良かったのか?


…俺は、本当に正しかったのか?

32: 2013/12/14(土) 22:50:50 ID:B5oBOJQQ






―――俺は、いつからこんな弱くなったんだ?


兵士長が聞いて呆れる…

言ってから後悔した






__。。。

33: 2013/12/14(土) 22:52:06 ID:B5oBOJQQ

隣にいるこいつの顔をもう一度見る。

………。

「お前はもう巨人じゃねえんだろ?」


「え...?」
ビクッと小さな背中が動いた。


「...はい。」
「何回やっても巨人化...しないんで、違うと、、思いま...す...」

消え入りそうな声で答えた。
小さくしていた体を更に小さくしようとしていた。

34: 2013/12/14(土) 22:53:17 ID:B5oBOJQQ




…はぁ?
こいつはまだこんなこと言ってんのか?

35: 2013/12/14(土) 22:54:31 ID:B5oBOJQQ
「チッ...
そんな分かりきってること聞いてんじゃねぇ」



「お前は人間だ。
超大型巨人でもなんでもない。
俺たちと同じ、ただの人間だ。」

「…なのにあの頃と同じ顔してやがる」



「俺はお前をもう憎んでいない」



「だから生きろ」
「今度は自分の人生を生きろ」

36: 2013/12/14(土) 22:55:45 ID:B5oBOJQQ



頼む…
今度こそ自分の思うまま生きてくれ
もうあの残酷な世界は終わったんだ
そうだと、俺に思わせてくれ
俺があの世界でしてきたことは、正しかったと…!
せめて、お前をあの世界から救ってやれたと思わせてくれ!

全て終わらせてくれ

今度は俺を救ってくれ


俺の為に幸せに生きてくれ…

37: 2013/12/14(土) 22:56:50 ID:B5oBOJQQ


「もし、巨人になってもまた俺が削いでやるから心配するな」
「ここにも俺がいる。」

俺がまた削いでやる―――言ってやらなきゃいけない気がした。

38: 2013/12/14(土) 22:57:49 ID:B5oBOJQQ


やつは泣き崩れた。
やっと見れたな
人目を気にせず、感情をむき出しにするお前を…

これでやっと、俺も…

39: 2013/12/14(土) 22:58:46 ID:B5oBOJQQ


俺もお前と同じだったんだ
今、お前に救われた

だからこれからは…


「おい...そろそろ行くぞ...」
「立て」

40: 2013/12/14(土) 23:00:22 ID:B5oBOJQQ



チッ…




…やっぱりでけぇじゃねぇか……。






雪が降っていた
電車が止まっていた




引用: リヴァイ「また雪が降る」