322: 2013/10/26(土) 21:00:49 ID:BBm.kHXg


前回:
第6話 淫されていく想い

第7話 幸せはどこにある

~南の都・図書館~
僧侶「魔法使いちゃんは、何を読んでるの?」

魔法使い「宿から持ってきた、魔法医学の本です。予定しているところまで読んだら、精霊魔術の研究論文にも目を通そうと思います」

僧侶「そうなんだ。魔法医学のことは、何でも聞いてね」

魔法使い「はい。僧侶さんは、何を借りてきたんですか?」

僧侶「転移魔法の入門書。これはここで目を通して、研究論文は書店で買う予定かな」

魔法使い「本当に勉強するんですね」

僧侶「まあね。白夜だから夜も明るいし、本を読むには打ってつけだね」

魔法使い「そうですよね~。今日はゆっくり勉強できそうです」
魔法の世界
323: 2013/10/26(土) 21:10:07 ID:BBm.kHXg
・・・
・・・・・・


僧侶「魔法使いちゃん、これを見てみて」

魔法使い「何ですか?」

僧侶「絵のパズル、だまし絵です」

魔法使い「これはエッシャーの滝ですよね。こっちは階段ですか? それくらいなら、私も見たことがありますよ」

僧侶「これを実際に作ってみた研究者がいるんだって」

魔法使い「えっ……、あり得ないでしょ」

僧侶「ほらっ」

魔法使い「うわぁ、すごいです! 一見すると不可能なことでも、視点を変えれば再現することが出来るんですね。無理やり作った感じが、逆に好感を持てます」

324: 2013/10/26(土) 21:13:20 ID:BBm.kHXg
僧侶「今度は逆さ絵だよ」

魔法使い「変わった帽子を被った貴族の絵ですね」

僧侶「その絵を逆さまにすると、馬の絵になるの」

魔法使い「面白いけど、それが転移魔法とどんな関係があるんですか? メビウスの輪やクラインの壷のほうが、ベースになっていそうな気がするんだけど」

僧侶「認識や錯覚の仕組みを考えて、世界を柔軟に捉えるという意図があるみたい。魔法医学の分野でも興味深いテーマですよ」

魔法使い「それで私に見せてくれていたんですね」

僧侶「えっ、もしかして邪魔をしてると思ってたの?」

魔法使い「そんなつもりで言ったんじゃないです」アセアセ

325: 2013/10/26(土) 22:03:31 ID:BBm.kHXg
僧侶「じゃあ、最後に面白い隠し絵を見せてあげるね。何に見える?」

魔法使い「あわわ// 男女が裸でキスをしています」

僧侶「ふふっ。魔法使いちゃんは、昨日からエOチなことばっかり考えているもんね。それにしか見えないよね」

魔法使い「むうっ……、私はエOチじゃないです」

僧侶「拗ねる魔法使いちゃん、すごくかわいい//」

魔法使い「もしかして、昨日の勇者さまと僧侶さんを連想させるために、わざとこれを選んで私に見せたんですか?」

326: 2013/10/26(土) 23:23:00 ID:BBm.kHXg
僧侶「……そうだよ。私は今、魔法使いちゃんに心の準備をしてほしいと考えているから」

魔法使い「やっぱり、そうなんですね……」

僧侶「魔法使いちゃんは、勇者さまのことをどう思っているの?」

魔法使い「そ、それは……」

僧侶「それは、何?」

魔法使い「……ぃぃんです」

僧侶「えっ?」

魔法使い「僧侶さんが勇者さまを好きなら、それで良いんです……」

327: 2013/10/26(土) 23:27:32 ID:BBm.kHXg
僧侶「それで良いの?」

魔法使い「勇者さまは、いつも僧侶さんを見てるから……。私はまだ子供なんです」

僧侶「……」

魔法使い「でも私だって、もうすぐ結婚出来る歳だもん。僧侶さんが早くしないなら、私が誘惑しちゃいますから!」

僧侶「どうするかは勇者さまの態度しだいなんだけど、今言ったことは後悔しないでね」

魔法使い「わ、分かってます。避妊具なら、道具屋さんにありました」

僧侶「うん、分かった……」

328: 2013/10/26(土) 23:39:00 ID:BBm.kHXg
魔法使い「……はぁ」

僧侶「ところで、イルカは見つかった?」

魔法使い「イルカですか? そんなのいませんよ」

僧侶「ほらほら、邪念を払って。イルカは何頭いるかなぁ」

魔法使い「駄目です、見つけられません……」ショボン

329: 2013/10/26(土) 23:44:48 ID:BBm.kHXg

~宿・部屋~
勇者「おかえり」

魔法使い「ただいま」

僧侶「ただいま戻りました。王様の話はいかがでしたか?」

勇者「それはあとで話すよ。いつも頑張ってくれているお礼に、今日は二人にプレゼントがあるんだ」

魔法使い「プレゼントですか? うれしいです」

勇者「これが魔法使いちゃんで、こっちが僧侶さん」

魔法使い「ありがとうございます。開けても良いですか?」

勇者「開けてもいいよ」

330: 2013/10/26(土) 23:59:58 ID:BBm.kHXg
魔法使い「え、エメラルドのネックレスです!」

勇者「エメラルドには魔力を宿す力があるって聞いたから、魔法使いちゃんにちょうど良いかなって。それがあれば、魔力が空っぽになるリスクを減らせるだろ」

魔法使い「はい、ありがとうございます。エメラルドには魔力を増幅する力もあって、ずっと欲しいと思っていたんです」

勇者「それは良かった」

魔法使い「あの……、似合いますか?」

勇者「すごくかわいいよ」

魔法使い「えへへ//」

331: 2013/10/27(日) 00:37:05 ID:N4qM2o.I
僧侶「勇者さま、この指輪はどう解釈したら良いんですか?」

勇者「僧侶さんはパズル好きだし、パズルリングなら喜ぶかなって。ミスリル製だし、装飾品として遜色しないと思うよ」

僧侶「ありがとうございます。これを選ぶとき、何か言われませんでしたか?」

勇者「いや、別に」

僧侶「そうなんですね……」

魔法使い「そ、それじゃあ、夕食の前にお風呂に入りませんか。勇者さまにお礼をしたいです//」

勇者「そっか、一緒に入ることになっていたっけ」

魔法使い「そうですよ。早く入りましょう//」

僧侶「では、勇者さま。一緒に入りましょうか」

332: 2013/10/27(日) 00:45:22 ID:N4qM2o.I
今日はここまでです。

イルカのだまし絵は、
『Message d'amour des dauphins』
を検索すると見られると思います。

336: 2013/10/27(日) 21:51:05 ID:N4qM2o.I

~温泉・混浴~
僧侶「魔法使いちゃん、今日もいい?」ギュッ

魔法使い「……はい。風精霊」ソヨソヨ

勇者「昨日もやってたけど、それって何の研究をしてるの?」

僧侶「天使がしていた封印魔法の研究です」

勇者「そうなんだ。素人考えだけど、魔力を吸収する魔法ってないのかな」

僧侶「ありますが意味がないんです。人の力では魔力を空っぽに出来ないんです」

337: 2013/10/27(日) 22:56:18 ID:N4qM2o.I
勇者「でも魔力を吸収する魔道具があるじゃないか」

僧侶「その昔、人間と魔族の戦争がありましたよね」

勇者「ああ、人間側が勝利した戦争だね」

僧侶「そのときに堕天使が持ち込んだ神の道具があって、そのレプリカが魔力を吸収する魔道具なんです」

勇者「そうなんだ」

僧侶「つまり人間には、その魔道具以上のことが出来ないのです」

勇者「なるほど……」

僧侶「分かっていることは、魔力が心臓から生み出されていること。そして魔法を使うときに、脳の一部で消滅することです」

僧侶「人の力で魔力を空っぽに出来ないのは、別の世界に魔力が貯蔵されているからかもしれません」

勇者「なんだか難しいね……」

338: 2013/10/27(日) 23:08:53 ID:N4qM2o.I
僧侶「そう言えば、勇者さまも魔法を使えましたよね」

勇者「まあ、少しくらいなら」

僧侶「風と土、電撃の魔法でしたっけ。性差があるのか確認したいので、ぜひ見させてほしいです」

勇者「でも剣術に特化させているから、魔法使いちゃんみたいに使いこなせないよ」

僧侶「それでもいいですよ。じゃあ、抱き寄せるので何か見せてください」ムニュッ

勇者「……// じゃあ、水妖斬」パシュッ

魔法使い「手刀で水が二つに割れました!」

勇者「魔法って言うか、これは水中の魔物を斬る体術だね」

僧侶「ありがとうございます。魔法使いちゃんと同じでした」

339: 2013/10/27(日) 23:37:12 ID:N4qM2o.I
勇者「ところで、王様の話だけど……。極南の地が闇に包まれているという話は、どうやら本当みたいなんだ」

僧侶「やっぱり、噂ではなかったのですね」

勇者「ああ。単なる噂なら、天使が現れたりする訳がないからな」

僧侶「そうですね」

勇者「それでだ、闇には結界が張られていて、近付くことが出来ないらしい。だから、この国でも手をこまねいているそうなんだ」

僧侶「結界で近付けないなら、私たちの調査も終わりですね……」

340: 2013/10/27(日) 23:44:42 ID:N4qM2o.I
勇者「いや、そうじゃない。女神の神託があった者とそれが選んだ者だけは、結界の中に入れるみたいなんだ」

僧侶「女神の加護があるのは勇者さまで、選んだ者は私と魔法使いちゃんですね」

魔法使い「天使さんの言葉と符合します」

勇者「ただ、問題が一つあって……。結界に侵入して帰ってきた者は、数人しかいないんだ」

僧侶「えっ?!」

341: 2013/10/28(月) 00:09:31 ID:eb6T1Hg2
魔法使い「それってつまり、生きて帰ることができないということですか?!」

僧侶「だから、情報が集まらないのですね」

勇者「恐らく……」

魔法使い「私たちは、天使さんに期待されていますよね。だから、帰るわけにはいかないですよね」

僧侶「そうだね。魔法使いちゃんも、行くしかないと思う」

勇者「でも転移の羽がある訳だし、魔法使いちゃんだけは守ってあげられるから。何かがあったときは、王様に真実を伝えてくれないかな」

魔法使い「分かりました……」

勇者「じゃあ、結界内では何が起きるか分からないから。二人とも自衛策を講じておいてほしい」

魔法使い「……はい」

僧侶「私は、勇者さまと共に歩みます。回復なら任せてください!」

342: 2013/10/28(月) 00:24:39 ID:eb6T1Hg2
勇者「それで、次は明日の予定なんだけど……」

僧侶「はい」

勇者「この国の王様が、魔法使いちゃんに会いたいそうなんだ」

魔法使い「ええっ! 私にですか?!」

勇者「この国は、魔術の研究が盛んな都でもあるだろ。それで天使と戦闘経験がある魔法使いちゃんに、ぜひ実力を見せてほしいんだって」

343: 2013/10/28(月) 00:31:17 ID:eb6T1Hg2
魔法使い「戦闘経験って、ほとんど一方的に攻撃されただけです」

勇者「そんな事ないよ。この世界に天使と対峙した魔道師は、魔法使いちゃんだけなんだから。それは偉大なことだと思う」

魔法使い「そ、そうですよね」

僧侶「そうですよ、すごいことです! 他国の王様が会いたいとおっしゃるなんて、もう有名人だね」

魔法使い「は、はいっ。明日、頑張ります」

勇者「じゃあ、そういう訳で、しばらくここに滞在することになるから」

魔法使い「わ、分かりました」

344: 2013/10/28(月) 22:26:19 ID:eb6T1Hg2

~宿・深夜~
僧侶「勇者さま、起きていますか?」ガサゴソ

勇者「ん? あぁ、僧侶さん。白夜が眩しくて寝られないんですか?」

僧侶「いえ、どうしても話したいことがあって……」

勇者「話したいこと?」

僧侶「はい。今日くださった、この指輪のことです。本当に装飾品以上の意味はないんですか?」

勇者「そうだけど、寝るときも着けてくれているんだ」

僧侶「あの……、これは浮気防止用のリングなんです。いわゆる、結婚指輪です」

勇者「えっ?!」

僧侶「この指輪は指から外すと、簡単にバラバラになるんです。だから婦人は、指輪を外すことが出来ません」

僧侶「そのため、出兵などで長期間の旅に出る殿方が、妻に贈るのです」

勇者「宝石店では、アクセサリーとして売っていたんだけど……」

345: 2013/10/28(月) 22:33:06 ID:eb6T1Hg2
僧侶「勇者さまに、ずっと聞きたいことがありました」

勇者「聞きたいこと?」

僧侶「エルグの城で仲間を選ぶとき、勇者さまは女僧侶を指名して、戦士や魔法使いの同行を断りましたよね。女性の身体が目当てで、二人旅を選んだのですか?」

勇者「それは……」

僧侶「答えてください。勇者さまは、私と交わりたいだけなのですか?」

勇者「最初はそのつもりだった」

僧侶「……!」

勇者「だけど、すぐに別の気持ちに変わったよ。魔法使いちゃんと姉妹みたいに楽しそうな姿を見ていたら、この二人を守らないといけないなって」

勇者「それに食べることが好きなところが、一緒にいて気が合う女性だなと思ってる」

僧侶「……」

勇者「怒った……かな?」

346: 2013/10/28(月) 22:41:56 ID:eb6T1Hg2
僧侶「いえ……、正直にありがとうございます。おかげで、決意出来ました」

勇者「決意?」


僧侶「私も食べることが好きな勇者さまと気が合うし、一緒にいて楽しいです。この人となら仕事の関係だけじゃなくて、ずっと信頼して一緒にいられそうだなと思っています」

勇者「それって……」

僧侶「はい、私は勇者さまが好きです。それで……、避妊具も用意しました」

勇者「僧侶さん、気持ちはうれしいけど逃げてない?」

347: 2013/10/28(月) 22:46:22 ID:eb6T1Hg2
僧侶「逃げる……ですか?」

勇者「生きて帰れる保証がないから、その前にさせてあげようって」

僧侶「やっぱり、勇者さまは信頼出来る方ですね。でも私が聞きたいのは、そんな言葉じゃないんです。勇者さまが私とどうしたいのか、それを聞かせてほしいんです」

勇者「分かった。これ以上は言わなくていい」

僧侶「……」

勇者「僕は僧侶さんのことが好きだ。好きだから、僧侶さんのことが欲しい」

僧侶「うれしい……。私も勇者さまが好きです」チュッ

348: 2013/10/28(月) 23:05:50 ID:eb6T1Hg2
勇者「ローブの下は、こんな下着を着ているんだ」

僧侶「このランジェリーは、刺繍がかわいいんですよ//」

勇者「ほんとだね。僧侶さん、可愛いよ」さわさわ

僧侶「あんっ……// 触り方がいやらしいです」

勇者「おっOいが大きくて柔らかいから」

僧侶「大きいおっOいが好きなんですか?」

勇者「僧侶さんだから、好きなんだ」モミモミ

僧侶「えへへ// 私のおっOいはぷるぷるですよ」チュッ

勇者「じゃあ、脱がすね」

僧侶「……//」

349: 2013/10/28(月) 23:42:55 ID:eb6T1Hg2
勇者「裸になっちゃったね」

僧侶「なっちゃいました。恥ずかしいです//」

ちゅっ

僧侶「んっ……んんっ」

勇者「僧侶さん……」

僧侶「ふふっ// 勇者さまぁ」

勇者「好きだ」チュッ

僧侶「はい……、んっ……ぅんっ」

359: 2013/10/29(火) 23:30:30 ID:FE2DHKq.
僧侶さんは、この部屋で交わって、私が起きるとは思わなかったのだろうか。

そう考えて、寝ている私を一人に出来ないことに気が付いた。

それに、僧侶さんの背中を押しておきながら、二人きりになれる時間を作ってあげなかった。

私が寝るのを待つのは、当然かもしれない。




魔法使い(……はぁ。僧侶さん、すごく幸せそう)

それなのに、
私は嫉妬している――。

360: 2013/10/31(木) 20:22:22 ID:jv7QuFkY

勇者「ふと思ったんだけど、今日はずっと魔法使いちゃんと一緒だったはずだろ。ということは、このことに気付いてるんじゃないのか?」


僧侶「実は、魔法使いちゃんが背中を押してくれたんです。もしかしたら、寝たふりをしているのかもしれないですね」

魔法使い(……!!)

勇者「それはそれでまずいんじゃない?」アセアセ

僧侶「睡眠魔法も考えたけど、精神感応系の魔法は身体への負担が大きいのです。そんなこと、大切な魔法使いちゃんに出来るわけないじゃないですか」

勇者「そうだよな……」

僧侶「それに私たちは、後ろめたいことは何もしていません。受け入れてくれると信じています」

361: 2013/10/31(木) 20:37:07 ID:jv7QuFkY
勇者「まあ寝てるみたいだし、次から気をつけようか」

僧侶「そうですね」

勇者「僧侶さん……。僕たちが結ばれたのは魔法使いちゃんのおかげだし、彼女との絆はもっと大切にしないといけないと思うんだ」

僧侶「もちろんです」

勇者「だから、何があっても、僕たちも生きて帰ろう。今まで魔法使いちゃんを逃がす方法を考えていたけど、それだけじゃ駄目なんだよ。彼女の未来のためにも、三人で一緒に帰ろうな」

僧侶「はいっ。魔法使いちゃんと話したいことが、これからいっぱい増えそうですしね。さくっと目的を済まして、みんなで楽しく帰りましょう」

魔法使い(やっぱり二人は、私のことを想ってくれているんだ……)

362: 2013/10/31(木) 21:55:55 ID:jv7QuFkY
僧侶「あっ! でも三人で帰ると、一緒に出来ないですね」

勇者「そっか、まあ一人で我慢するから良いよ……」

僧侶「いえっ、落ち着いたら魔法使いちゃんと話し合って、私たちが出来るように工夫しましょう。それまで、浮気だけはしないでくださいね」

勇者「分かってるよ」

僧侶「いっその事、勇者さまがこの指輪を嵌めますか?」

勇者「いやいや、サイズが合わないよ。絶対に二人を裏切らないから」

僧侶「その言葉、信じています。魔法使いちゃん、こんな私だけど応援してくれますか?」

魔法使い(ば、バレてる……)

僧侶「なんて、起きてるわけないよね。魔法使いちゃん、本当にありがとう。またちゃんと話すから、これからも一緒に旅をしようね。おやすみなさい」

363: 2013/10/31(木) 21:59:50 ID:jv7QuFkY

~翌日・お城~
魔法使い「あ、あの、お城で、ど、どのようなことをするのでしょうか」

僧侶「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。私たちも一緒だから」ニコッ

勇者「そうだよ。栄誉あることだから、もっと堂々としないと」

魔法使い「は、はいっ」

魔法使い(何だか、昨夜のことを意識しているのは私だけみたいです……)

王様「待たせたな。で、どなたが魔法使いなのじゃ」

魔法使い「わ、私です」

364: 2013/10/31(木) 22:07:05 ID:jv7QuFkY
王様「おぉ、まだ少女ではないか。その歳で勇者一行として旅に出るとは、よほど優秀と見える。天使と戦ったと聞いたが、それは真か?」

魔法使い「は、はい。海の都の支援施設で訓練をすることになって、そこに現れた天使さんに指導してもらいました」

王様「なるほど。魔法使いよ、実はわが国の魔法兵団の兵長が、手合わせを願いたいと申しておるのだ。よもや少女だとは思っていなかったので、断っても良いがどうかな」

魔法使い「が、頑張ります」

王様「おお、そうか。この男が兵長だ。良い試合を楽しみにしておるぞ」

兵長「俺が兵長だ、よろしく頼む。では、魔法使い殿。訓練施設に参ろうか」

魔法使い「お願いします」

僧侶「魔法使いちゃん、頑張ってね」

魔法使い「はいっ」

365: 2013/11/01(金) 21:33:09 ID:hqFMTWH2

~屋外訓練所~
兵長「ルールはどちらかが気絶するか、降参するまでの一本勝負」

兵長「この闘技場は占星術の術式により守られていて、致命傷となる攻撃は魔法陣の媒体となった魔道具により封じられる。その場合は、魔法を行使した者の勝ちとする」

魔法使い「じゃあ、思いっきりしてもいいんですね」

兵長「言うではないか。そちらの僧侶殿にはやや及ばぬが、医療班も多数控えているので安心してくれ」

王様「では、試合始め!」

兵長「今回の趣旨は、魔法使い殿の実力を見せてもらうことだ。全力で来てほしい」

魔法使い「は、はい。火精霊、風精霊、火炎魔法行きます!」

366: 2013/11/01(金) 21:38:11 ID:hqFMTWH2
兵長「あ、青い炎!?」


たかが火炎魔法なのに、火精霊を丁寧に制御しているようだ。
それが彼女の実力というわけか。


兵長「水魔法!」


多量の水を生成し、猛烈な炎の消火を試みる。
しかしその桁外れな熱量で、水が瞬時に蒸発してしまった。


兵長「な……、まるで効かない。風精霊!」


風精霊の力を借りて右に飛び、炎を回避した。
すると行き場を失った炎は、ブロック壁に直撃して鉄扉を変形させてしまった。
こんなものを食らったら、一瞬で消し炭にされてしまいそうだ。


兵長「おいおい、冗談だろ。しかし、その熱量は諸刃の剣だ!」

367: 2013/11/01(金) 21:44:43 ID:hqFMTWH2
魔法使い「きゃっ! な、何なの?」


右腕が高温の何かに触れ、慌てて手を引いた。
しかし、そこには何もない。


魔法使い「まさか見えない炎?!」

兵長「火炎魔法ではない。魔法使い殿が使役した鉄扉を溶かすほどの火炎魔法で作られた、高温の水蒸気だ」


魔法使い「水蒸気?」

兵長「なぜ、水魔法で消そうとしたか。直線的な攻撃だけが、精霊魔法ではない!」


言われてみれば、周囲が陽炎のように揺らめいていた。

水精霊で防御しつつ、それを攻撃に転化する。
炎の魔法を火精霊で分解することに慣れていたので、まったく思いつかなかった。

沸点を遥かに超えた水蒸気が、勢いよく迫ってくる。
そして、腕や脚を焼いた。

368: 2013/11/01(金) 21:47:22 ID:hqFMTWH2
魔法使い「いやあぁぁっ……」

兵長「我慢するな。負けを認めろ」

魔法使い「ま、負けない……。凍結魔法、回復魔法!」


高温の水蒸気を凍結させ、手足の熱傷を回復させた。
軽いものなら、容易に治すことが出来る。


兵長「魔法使い殿、その歳で賢者なのか?!」

魔法使い「まだまだ見習いです」

兵長「なるほど、向上心があって素晴らしい。うちの新兵にも見習ってほしいものだ」

魔法使い「ありがとうございます。では、勝たせてもらいます」

369: 2013/11/01(金) 21:50:43 ID:hqFMTWH2
魔法使い「土精霊、水精霊召喚!」


土精霊で床を変形させて、兵長さんが動けないように足を固定する。
そして凍結させた氷を融解し、兵長さんの顔を包み込んだ。

兵長さんは人間だから、息が出来なければ氏んでしまう。
天使さんならば、きっとこんな攻撃をしてくるだろう。


兵長「?! ゴボボボ、ゲホッ……」

魔法使い「どうですか? 自分が生成した水で窒息する気分は」


もちろん殺めるつもりはない。
だけど、これは試合だ。
どんなにもがいても、絶対に息はさせない。
気を失うか降参してくれれば、私の勝ちだ。

370: 2013/11/01(金) 21:59:28 ID:hqFMTWH2
兵長(この水をどうにかしないと……)


まさか彼女が、こんな魔法の使い方をするとは思わなかった。

一般的な魔道師は、威力のある派手な精霊魔法を好む。
それは過程と結果が分かりやすく、威嚇にもなるからだ。

しかし彼女は、純粋に人を頃す方法を追求している。
水が多量にあったから窒息を選んだだけで、もっと効果的な頃し方も出来るはずだ。
並みの魔道師では、この少女に勝つことは出来ないだろう。

371: 2013/11/01(金) 22:02:09 ID:hqFMTWH2
兵長(転移魔法!)


顔を包んでいた水を、別の場所に転移させた。
その直後、大きく息を吸う。


魔法使い「ええっ、転移魔法なんてずるいです!」

兵長「油断するな! 土精霊!」


足の拘束を解くついでに、石のこん棒を作り出す。
そして、殴りかかった。

372: 2013/11/01(金) 22:05:12 ID:hqFMTWH2
魔法使い「爆発魔法!」


ドオォォンッ!
猛烈な爆風が、兵長さんを吹き飛ばした。


兵長「風精霊召喚、加速魔法!」


まさか爆風に乗っている?!
兵長さんは、私の魔法を何らかの形で攻撃に利用してくる。
魔法は威力だけではなく、その使い方が重要なんだなと、改めて実感させられる。

兵長さんは左手側を風に乗って舞い、攻撃の機会を窺っているようだ。
そして、猛スピードで向かってきた。


兵長「障壁魔法!!」

373: 2013/11/01(金) 22:07:45 ID:hqFMTWH2
魔法使い「うぅっ……」


目の前に光のカーテンが現れ、視界を塞がれた。
さらに近距離で展開されたせいで、目がくらんで前が見えない。

風精霊と土精霊の魔力を感じる。
そこに兵長さんがいるはずだ。
だけど、速すぎて捉えられない。

だったら、全体に攻撃すれば良い。
予測が困難な方法で――。


兵長「もらった!」

魔法使い「土精霊さん、頑張って!」

374: 2013/11/01(金) 22:13:37 ID:hqFMTWH2
どんなに速く動けても、地面は絶対に踏む。
ならば、その地面をすべて刃にしてしまえば良い。

尖った槍の先端をイメージする。
そして魔力を振り絞り、一面に石槍を敷き詰めた。


兵長「ぐあぁぁっ!!」


石槍を踏んだのか、絶叫が聞こえた。
兵長さんは加速魔法を使っている。
だから、踏みとどまることは出来ない。


ズザァァッ
兵長「――!!」

375: 2013/11/01(金) 22:22:14 ID:hqFMTWH2

視力が回復して、声が聞こえた方向を見た。
目の前で、全身が血塗れの兵長さんが倒れていた。


魔法使い「兵長さん! 回復魔法!」


出血は弱まったが、たくさん石槍が刺さっていて傷が塞がらない。


兵長「ぐっ……」

魔法使い「魔法解除。回復魔法!」


ようやく傷が塞がり、出血が止まった。
しかし、動くと傷口が開いた。

376: 2013/11/01(金) 22:22:53 ID:hqFMTWH2
魔法使い「私では未熟で、まだ治せないです」

兵長「ゼェゼェ……。良いよ、応急処置で楽になった。ありがとう」

魔法使い「そうだ、試合!」

兵長「俺の負けだ。『綺麗な娘には棘がある』とは、よく言ったものだな。触ると痛かったよ」

魔法使い「ふふっ、兵長さんって面白いです。それを言うなら、『綺麗なバラ』ですよ」

兵長「そうだったな、今日はありがとう。また来てくれたら、君を歓迎するよ」

魔法使い「はい♪ 今日は勉強になりました。ありがとうございました」

377: 2013/11/02(土) 21:23:24 ID:Q.W57bqY

~お城~
魔法使い「勇者さま、勝ちましたよ~!」

勇者「魔法使いちゃん、頑張ったね」

魔法使い「はいっ」

僧侶「私は回復魔法を使えたことに驚いたかな。すごく心配したんだからね」

魔法使い「えへへ// だけど、兵長さんは治せなかったです……」

僧侶「まだまだ、これからだよ」

王様「魔法使いよ、見事であった。兵長がとても高く評価しておったぞ。火炎魔法だが、あれは天使の技術なのか? あの鉄扉を溶かすとは、恐ろしい魔力だ」

魔法使い「ありがとうございます。火炎魔法は、風精霊と併せて使うものだと教えてもらいました。壊してしまってすみません」

王様「よいよい。それ以上のものを見せてもらった。そなたに相応しい褒美を用意しよう」

魔法使い「ありがとうございます」

378: 2013/11/02(土) 21:26:08 ID:Q.W57bqY
王様「しかし他国民ながら、この才能を失うのは惜しいな。大臣よ、占星術師を呼んで参れ」

大臣「かしこまりました」


・・・
・・・・・・


王様「占星術師よ、優秀な魔法使いに希望の未来を」

占星術師「かしこまりました。それでは、彼女への褒美をわたくしにお預けください」

王様「うむっ」

379: 2013/11/02(土) 21:28:42 ID:Q.W57bqY
占星術師「この台は、わたくしが占うときに用意するものです。魔法使い殿、あなたは海の都で一度未来を見てもらっていますね」

魔法使い「はい」

占星術師「あなたには陰が見える。そんなことを二度言われても、面白くはないでしょう。そこで一つ、余興をしようではありませんか」

魔法使い「余興ですか?」

占星術師「お仲間である勇者殿と僧侶殿は、席を外していただけませんか。これは占いですからね」

勇者・僧侶「分かりました」

大臣「それでは、お二人は別室に案内いたします」

380: 2013/11/02(土) 21:34:37 ID:Q.W57bqY
占星術師「魔法使い殿、始めましょうか。障壁魔法!」


用意された台の上に、半球状の障壁魔法が三つ並べて展開された。
ちょうどお茶碗を反したくらいの大きさだ。


魔法使い「これは……?」

占星術師「障壁魔法を展開するときに、あなたへの褒美を中に入れておきました。三つの半球は、ちょうど勇者殿ご一行と同じ数ですね」

魔法使い「……はい」

占星術師「さしずめ、あなたから見て左から順番に、勇者殿と僧侶殿、魔法使い殿といったところでしょうか」

魔法使い「は、はい」

占星術師「では、どこに褒美が入っているのか、言ってみてください」

381: 2013/11/02(土) 21:39:25 ID:Q.W57bqY
魔法使い「勇者さまがリーダーなので、一番左を……」

占星術師「なるほど。実は、魔法使い殿を表す半球には、褒美が入っていません」


そう言うと、一番右の障壁魔法が解除された。
台の上には、勇者さまと僧侶さんを表す半球が残されている。

占星術師「さて、あなたはもう一度選ぶチャンスがあります。今なら、違う半球を選んでも構いませんよ。どちらにしますか?」

魔法使い「!!」

382: 2013/11/02(土) 21:41:59 ID:Q.W57bqY
これはモンティ・ホール問題だ。
それならば、この確率は二分の一ではない。
僧侶さんの半球に変えたほうが、褒美を三分の二の確率で貰えることになる。
確率に従うならば、変えるべきだ。

だけど、これは占星術でもある。
私への褒美は、私の未来を表している。
それを手にすることが出来るのは、勇者さまか僧侶さんか……。

二人が交わる姿を見た後で、僧侶さんを選べるわけがない。
私も勇者さまが好きだから。
だけど――。

383: 2013/11/02(土) 21:44:42 ID:Q.W57bqY
占星術師「あなたは勇者殿を選ぶのですね? それなら……」

魔法使い「いえ、私は……僧侶さんを選びます」


勇者さまと僧侶さんは、私のことを大切に想ってくれている。
ならば、私はそれに応えたい。
僧侶さんの背中を押した私が嫉妬するなんて、とても身勝手だと思う。


占星術師「分かりました。では、開放します」


その言葉と同時に、僧侶さんを表す半球の障壁魔法が解除された。
するとそこには、賢者の石で作ったブレスレットが置かれていた。

384: 2013/11/02(土) 21:46:33 ID:Q.W57bqY
占星術師「正解です。あなたへの褒美は、賢者の石です」

魔法使い「ううっ……、やっぱりつらいです」

占星術師「先ほども言いましたが、あなたには陰が見える。もうすぐ、それと向き合うことになるでしょう。今の選択はより絆を深め、あなた方に希望をもたらしてくれるはずです」

魔法使い「ありがとう……ございます…………」

占星術師「あなたには華がある。わたくしも、それを楽しみにしていますよ」

385: 2013/11/03(日) 10:23:19 ID:Iv5.g6BY
10
~宿~
魔法使い(僧侶さん、私に言うことがあるんじゃないですか?)

魔法使い(……、やっぱり言い出せない)


お城から戻り、僧侶さんはずっと転移魔法の書物を読んでいる。
ときどき気晴らしに、ペントミノや知恵の輪で遊んでいるようだ。
しかし一向に、昨夜のことは話してくれない。
勇者さまもずっと、知恵の輪と格闘しているようだ。


僧侶「魔法使いちゃん、さっきからどうかしたの?」

魔法使い「いえ、何でもありません」

僧侶「占星術師さんに何を言われたのか知らないけど、悩んでいることがあったら何でも言ってね。私も気持ちの整理が出来たら、魔法使いちゃんに話すから」

魔法使い「あっ……」

386: 2013/11/03(日) 10:30:39 ID:Iv5.g6BY
僧侶「やっぱり、悩みはそのことなんだね」

魔法使い「……はい」

僧侶「昨日、私は勇者さまと好きあうようになりました」

魔法使い「知っています……」

僧侶「魔法使いちゃんに背中を押してもらって、そのおかげ告白――って、あれ?」

魔法使い「んっ……?」

僧侶「知ってるって……えっ、なんで!? も、もしかして起きてたの?」

魔法使い「えっ、気付いてなかったの?」

387: 2013/11/03(日) 10:45:34 ID:Iv5.g6BY
僧侶「あわわ// い、いつから……」

魔法使い「恥ずかしくて言えないです//」

僧侶「ひえぇっ……。も、もしかして見てた?」

魔法使い「少しだけ……」

僧侶「ま……まあ、私は勇者さまとそういう関係になったのです」

魔法使い「あの……、私も勇者さまが……す、好きなんです。だからその、心の準備をさせてほしいです」

僧侶「うん。私も落ち着いたらちゃんと話すから、そのときは……」

魔法使い「……はい」

388: 2013/11/03(日) 10:48:01 ID:Iv5.g6BY
勇者「キターーーーーッ!!」

魔法使い「!!」ビクッ

僧侶「勇者さま、少しは空気を読んでください!」

勇者「えっ? これ見てよ、ついに外れたんだ!」キリッ

僧侶「ああっ、すごいじゃないですか! チリ人の輪が解けたんですね」

勇者「ふふん。勇者として、これくらいは解けないと示しが付かないじゃないか」

僧侶「戻せますか?」

勇者「ああ、それは簡単。このなが――」カチャカチャ

僧侶「わあぁぁっ! 見せないでください、言わないでください。私が解く楽しみがなくなるじゃないですか!」

389: 2013/11/03(日) 10:52:19 ID:Iv5.g6BY
勇者「――はい、もう戻ったよ」カチャカチャ

僧侶「あっ、ほんとだ。勇者さまに解けるなら、私も負けてられないですよね」

魔法使い「あはは、なんだか少し吹っ切れた気がします」

僧侶「魔法使いちゃん?」

魔法使い「その知恵の輪は、やっぱり私たちの関係を表していたんですね」

僧侶「どういうこと?」

魔法使い「二人が愛し合って、私は嫉妬しました。でも二人の愛を受け入れられたら、私はまた一緒にいられるんです」

僧侶「後悔してない?」

魔法使い「それは……」

390: 2013/11/03(日) 10:56:28 ID:Iv5.g6BY
僧侶「怒ってもいいよ。私は魔法使いちゃんの気持ちも知りつつ、勇者さまを奪ったんだから」

魔法使い「ううん、それで良いんです」

僧侶「勇者さま、少し早いけど一緒にお風呂に入りませんか? もちろん、魔法使いちゃんも一緒に」

勇者「そうだね……」

僧侶「私たちにとって大切な社交の場ですし、みんなで話せることから話し合いましょう。ねっ、魔法使いちゃん」

魔法使い「はい」


僧侶「……あれ? さっきのって、チリ人の輪のヒントになってるじゃないっ!」

魔法使い「~♪」フフッ

391: 2013/11/03(日) 11:04:46 ID:Iv5.g6BY
11
~北の街・エルグの城~
大臣「王様、ただいま極北の地より第一調査団が戻りました」

王様「うむ、通せ」

大臣「承知しました」

団長「ただいま帰還いたしました!」

王様「ご苦労であった。して、極北の地はどうであったか報告せよ」

392: 2013/11/03(日) 11:06:04 ID:Iv5.g6BY
団長「極北の地は、ただいま極夜でございます。しかしながら極地には結界が張られ、内部は光に満たされているようでした」

王様「なるほど。極南の地が闇ならば、極北の地は光というわけか」

団長「それで結界内に入ることを試みたのですが、入ることが出来ませんでした。そのため、内側がどうなっているのか未確認です」

王様「極南は今、白夜であったな。もしかすると、そこの光が集められているのかもしれん。バロックの国王に協力を要請し、強力な魔道師を含む部隊を編成して向かわせよう。下がってよいぞ」

団長「はっ!」

393: 2013/11/03(日) 11:13:01 ID:Iv5.g6BY
大臣「王様、結界が張られているとあれば、女神の加護がある者でなければ入ることは叶わないのではないでしょうか」

王様「分かっておる。第二調査団と並行して、神託を賜わる術式の準備も進めよ」

大臣「かしこまりました」

王様「ところで大臣、何のために白夜の光を集めるのだろうか」

大臣「私には分かりかねます」

王様「以前、勇者が神の遺産を持ってきたであろう。世界をドーナツ状にするという話、本当に計画している者がいるのかもしれんな」

394: 2013/11/03(日) 11:22:49 ID:Iv5.g6BY
第7話 おわり

・だまし絵
"Message d'amour des dauphins"

・メビウスの輪
・クラインの壷

・確率
モンティ・ホール問題


次回:第8話 悲しい再会



引用: 勇者「ドーナツの世界?!」