285: 2013/12/08(日) 00:13:07 ID:UFz3wRQs

286: 2013/12/08(日) 00:14:47 ID:UFz3wRQs

月日が流れ、入団より一年が経過


848年


――食堂――


エレン「そういえば昨日、成績が発表されてたな」


アルミン「うん…僕は下から数えた方が早かったよ」


エレン「ミカサは相変わらず、断トツのトップだったな まったく凄い奴だよ、お前は」


ミカサ「………どうも」
進撃の巨人マガジン15周年号 (週刊少年マガジンコミックス)
287: 2013/12/08(日) 00:15:57 ID:UFz3wRQs

アルミン「でも、何でエレンは順位が低いんだろ?」


エレン「立体機動とか馬術が足を引っ張ってんだよ…今回も40位ぐらいだったからな」


ミカサ「………」


ジャン「だっせぇな、最初のほうは誰もお前についていくことすら出来なかったのに、今じゃお前が俺達についてこれないんだもんな」ゲラゲラ


エレン「そうだな…これからも頑張って、俺との差を広げてくれよ」ガタッ


スタスタ


ジャン「おい、どこ行くんだよ?」


エレン「自主練だ」スタスタ

288: 2013/12/08(日) 00:17:13 ID:UFz3wRQs

ジャン「またかよ、休日だってのによくやるな…あいつ、人一倍努力するのに実力が追いつかないんだよな つまり、才能がねぇってことだ」ゲラゲラ


ミカサ「…ジャン」


ジャン「な、なんだミカサ?//」


ミカサ「あなたは何もわかってない……私達、104期訓練兵は例年と違って訓練中の氏亡事故が極端に少ない その理由がわからないの?」


ジャン「そ、それは俺達が優秀だからじゃ…」


ミカサ「違う……この間、ダズが立体機動の訓練中に装置が故障して氏にそうになった」


ジャン「あぁ、たまたま近くにいたエレンが助けたおかげで氏なずにすんだってヤツだろ?」

289: 2013/12/08(日) 00:18:16 ID:UFz3wRQs

ミカサ「そう…他にも多くの訓練兵がエレンに助けてもらっている」


ジャン「なっ!?そんな話、聞いたときねぇぞ!」


ミカサ「ええ、事故になる前にアドバイスをして回避させたり、教官に怒られるからと助けたことを口止めしているらしい」


ジャン「じゃ、じゃあどうしてお前はその情報を?」


ミカサ「女子がそんな簡単に口止めできると思うの?」


ライナー「思わないな」


アルミン「説得力が違うね」


ミーナ・クリスタ「それほどでも//」テレ


ユミル「お前ら、そこは照れるとこじゃないぞ」

290: 2013/12/08(日) 00:18:47 ID:UFz3wRQs

ジャン「…あいつは皆をフォローする為にいつも手を抜いてるってわけか……」


アルミン「…それは違うと思う エレンは皆のフォローに全力を捧げているんだよ」


ジャン「…気に食わねぇ野郎だ あいつはそんなに偽善者でいたいのか?皆を助けることであいつにメリットなんかねぇだろ?」


ライナー「…じゃあ聞いてみるか、直接本人に」


ジャン「だが、口止めしてるような奴が本音を言うと思うか?」


ライナー「そこは…アルミンがどうにかしてくれるだろう」


アルミン「僕に丸投げ!?」

291: 2013/12/08(日) 00:19:31 ID:UFz3wRQs

ライナー(ここはエレンとミカサの関係を修復させるチャンスだろ?)コソコソ


アルミン(な、なるほど!確かにそうだね さすがは皆の兄貴分のライナーだよ)コソコソ


ジャン「なにこそこそ話してんだよ」


アルミン「じゃあ、ある人にエレンの本音を聞いてきてもらおう…それはミカサ、君だ」


ミカサ「…私?」


アルミン「あぁ、エレンも家族にはやっぱり嘘はつけないと思うんだ だから、ミカサしかエレンの本音を聞き出すことは出来ないんだよ」


ジャン「べ、別にいいんじゃねぇか エレンの本音を聞かなくても…」


ベルトルト「そもそも君が話題を振ったんでしょ?」


ミカサ「…わかった、やってみよう」

292: 2013/12/08(日) 00:20:10 ID:UFz3wRQs

アルミン(よし!これがきっかけに二人の関係が元に戻ればいいんだけど…)


ユミル「……」


___________________


シュッ シャッ シュシュシュッ


エレン「ふぅ…シャドーもこれぐらいにしておくか」


ザッ


ミカサ「……」


エレン「ミ、ミカサ!?どうした、俺になんか用か?」


ミカサ「………」


エレン(…やっぱり一年たった今でも、二人きりだと口を聞いてくれないか)

293: 2013/12/08(日) 00:20:56 ID:UFz3wRQs

ミカサ「…どうして」


エレン「え?」


ミカサ「どうしてあなたは訓練中に立体機動のスピードをさげてまで、他の人を助けているの?」


エレン「いや別にそんなつもりは……」アセアセ


ミカサ「言い訳はいらない、これは紛れも無い事実」


エレン「……」


ミカサ「…理由を言って」

294: 2013/12/08(日) 00:22:16 ID:UFz3wRQs

エレン「………理由は簡単だ もう、俺の目の前で…人が氏ぬのは見たくないだけだ」


エレン(父さん、おじさん、母さん…それに口減らしで氏んでいった人達のように……)


ミカサ「…それは綺麗ごと 弱い人間は直ぐに氏ぬ、これが現実 あなたが教えてくれたことでしょ?」


エレン「あぁ…」


ミカサ「あなたは私に強くなれと言った、弱い私は守ってくれないと言った……」


エレン「そ、それは…!!」


ミカサ「なのにあなたは弱い赤の他人を守ってる……どうして?私とお母さんは守ってくれなかったのにどうして?」

295: 2013/12/08(日) 00:22:50 ID:UFz3wRQs

エレン「………すまない」


ミカサ「…どうして私達を見捨てたの!?どうして私を一人にしたの!?」



彼女は声を荒げて、感情を爆発させた



エレン「ミカサ……」


ミカサ「どうして今頃になって私の前に現れたの!?それなら…それなら……」



そして、思ってもいない言葉が彼女の口から出てしまった



ミカサ「現れないでくれたほうが良かった!!」


エレン「!!」

296: 2013/12/08(日) 00:24:07 ID:UFz3wRQs

ミカサ「あっ…」ハァ ハァ


エレン「……そうだよな…俺が自分勝手すぎたよ……ごめんな、ミカサ」スタスタ


エレン(………元気でな)


彼はその場から立ち去った



ミカサ(ち…違う……今のは本当の私の気持ちじゃない……)

297: 2013/12/08(日) 00:24:53 ID:UFz3wRQs

――物陰――



ジャン「お、おい…大事になってんぞ」


ライナー「作戦失敗か…いや、一応本音は聞けたが…二人の間の溝をさらに深くしちまったかもな」


サシャ「それより…ミカサがあんなに声を荒げるところ、初めて見ましたよ」


アルミン「良くも悪くも、ミカサにとってエレンは本音を言える唯一の存在なんだよ……」


ユミル「……お前はそれでいいのか?」


アルミン「え?」


ユミル「いや…何でもない」

298: 2013/12/08(日) 00:25:34 ID:UFz3wRQs

クリスタ「そ、それよりどうしよう!?どうすれば仲直りできるのかな!?」アセアセ


ユミル(…しょうがねぇな あいつには借りがあるしな)


ユミル「ミカサは私に任せな…仲直りできるかは知らんが助言ぐらいはしてきてやるよ」


アルミン「本当に!?…でも、何でユミルが?」


ユミル「まぁ、恩返しみたいなもんだ……それより私だけでいいから、あいつらの関係を話せる範囲で教えろ」


アルミン「え!?で、でも……」


ユミル「今は躊躇している時じゃねぇだろ?秘密は絶対に守るから安心しな」


アルミン「…うん、わかった」



アルミンは彼女に何故エレンがミカサに嫌われているか話した

299: 2013/12/08(日) 00:26:35 ID:UFz3wRQs

ユミル「なるほど……親父さんが殺された後にエレンがミカサ達を置いていなくなったのが原因か……思ったよりも根が深そうだな」


アルミン「ミカサはおばさんを亡くしてから一回も笑わなくなった……もし、彼女の笑顔を取り戻せる人がいるのなら、それはエレンしかいないんだよ…」


ユミル「…いいのか?お前はわざわざ敵に塩を送っているんだぞ?」


アルミン「敵って……」


ユミル「違うとは言えないだろ?だって、お前はミカサのことが…」


アルミン「いいんだよ…ミカサが幸せになってくれるのなら、横にいるのが僕じゃなくても…」


ユミル「ふ~ん……まっ、お前が納得してんだったら別にいいが……後悔だけはしないようにしろよ?」


アルミン「う、うん……ユミルって意外と優しいんだね」


ユミル「意外って…失礼だな、お前 じゃあ、私はみんな大好きミカサちゃんをなだめてきてやるか」

300: 2013/12/08(日) 00:27:08 ID:UFz3wRQs

アルミン「ユミル…」


ユミル「ん?」


アルミン「ありがと…」


ユミル「…へっ、まだ何もしてねぇよ」スタスタ



___________________



ミカサ(あぁ…私は何て酷いことを言ってしまったのだろう……)ズーン


ユミル(……見事なまでに落ち込んでいやがるな…ったく、めんどくせぇな)


ユミル「おい、暫定主席さんよ」


ミカサ(エレン……)ズーン

301: 2013/12/08(日) 00:27:52 ID:UFz3wRQs

ユミル「」イラッ


グリグリグリグリ!


ミカサ「……何故、あなたは私にぐりぐり攻撃をしているの?」


ユミル「…痛くねぇのか?」グリグリグリ


ミカサ「痛い…凄く痛い……」


ユミル「それは頭か?それとも……心か?」グリグリグリ


ミカサ「…両方」


ユミル「……とりあえず私の話を聞いてくれるか?」


ミカサ「ええ…」

302: 2013/12/08(日) 00:28:45 ID:UFz3wRQs

ユミル「お前はあいつにさっき現れないほうが良かったって言ったよな?あれは本心じゃないんだろ?」


ミカサ「………」


ユミル「…今は嘘をつくなよ 真剣な話をしてんだから」


ミカサ「…そう、ついカッとなって言ってしまった 本心ではない…」


ユミル「やっぱりか……本当はあいつに会えて嬉しいんだな?」


ミカサ「……」コクッ


ユミル「お前とあいつの関係をある程度アルミンから聞いた」


ミカサ「そう…」


ユミル「…実は私は3年前にあいつに命を助けてもらったことがある」


ミカサ「!!」

303: 2013/12/08(日) 00:30:35 ID:UFz3wRQs

ユミル「その時、あいつは一人で戦っていた…何と戦っていたのかは知らねぇがな 
だからおそらく、お前をおいて出てった時からあいつは戦っていたんだと思う…」


ミカサ「……」


ユミル「それで私はあいつに聞いたんだ、『お前は何の為に戦ってんだ?』ってな そしたらあいつは『俺は俺自身の為に戦っている』って言いやがったんだ」


ミカサ「エレン自身の為……」


ユミル「その後すぐにあいつと別れたんだが、あいつは正直ここにいなくてもいい存在だ……お前もあいつが普通じゃねぇってことぐらい、立体機動とかを見りゃわかってんだろ?」


ミカサ「……」コクッ

304: 2013/12/08(日) 00:31:35 ID:UFz3wRQs

ユミル「そんなあいつがここにいるのが、私は不思議でしょうがなかった…だが私は初日にあいつがここに来た理由がわかった それは…お前に会うためだ」


ミカサ「………」


ユミル「その時、あいつの戦う理由も自分の為って言っていたが…お前と亡くなったお袋さんの為だったんだと気がついた……
あいつにとって家族とは自分の全て…つまり、あいつは家族の為に3年間戦ってきたんだ」


ミカサ「家族の…為」


ユミル「…私は別にお前とあいつの関係を元に戻したいと思っちゃいない…だが、あいつは戦いをやめてまでお前に会いにきたんだ だからせめて、あいつがお前を見捨てたとは思って欲しくねぇんだよ」


ミカサ「………」


ユミル(ダメか…?)

305: 2013/12/08(日) 00:32:27 ID:UFz3wRQs

ミカサ「…そんなエレンに……家族である私は何て酷いことを……」


ユミル「そう思ってんなら素直に謝れ そうすればあいつは直ぐに許してくれるさ」ワシャワシャ


ミカサ「……ありがとう、ユミル」


ユミル「これで貸し一だからな しっかりと見返りを貰うぞ?」


ミカサ「…ええ、私にできることなら何でもする」


ユミル(そうだ、アルミンも貸し一にしておこう…)ニヤリ


タタタタタタッ
      ザッ


コニー「た、大変だ!!エレンが訓練所を出て行きやがった!!」


ミカサ・ユミル「!!」

306: 2013/12/08(日) 00:32:59 ID:UFz3wRQs

ユミル「それは本当か、バカ!?」


コニー「本当だ、ブス!!」


ミカサ「ユ、ユミル…どうしよう」オロオロ


ユミル「とりあえずアルミン達と合流するぞ!」ダッ


――食堂――


ユミル「どうなってんだよ、ただの外出じゃねぇのか!?」


アルミン「違うみたい…僕達がエレンを探している時に教官室に行っていたらしく、僕達が食堂でエレンが来るのを待っていたら、部屋にいたマルコやコニー達に『俺、ここを出て行くわ』って言って荷物を持って出ていったらしいんだ」


マルコ「ごめんね…突然のことで止めることができなかったよ」

307: 2013/12/08(日) 00:34:00 ID:UFz3wRQs

ミカサ「私のせいだ……私がエレンに酷いことを言ったから……」ポロポロ


ジャン「ミ、ミカサのせいじゃねぇよ!全てあいつが……」


アルミン「僕がミカサに頼んだのが発端だけど、間違いなくミカサ…君の発言のせいだよ」


ジャン「アルミン!?テメェ…!!」


アルミン「だからこそ君が連れ戻さないといけないんだ!こんなところで泣いている場合じゃないだろ!!」


ユミル「アルミン…」


ミカサ「…アルミンの言うとおり……私はまた、選択を間違えるとこだった」ゴシゴシ


アルミン「大丈夫…いつでも僕が正しい選択を教えてあげるよ」ニコ

308: 2013/12/08(日) 00:34:49 ID:UFz3wRQs

ミカサ「…本当にありがとう、アルミン」


ジャン(くそっ…俺はミカサにいいとこを見せたいと思ってるだけで、ミカサの為を想って行動や発言をしていなかった……自分が情けねぇ)ギリッ


ベルトルト「だけどエレンがどこに行ったのか、手がかりも無しに探すなんて無茶だよ?」


アルミン「せめてエレンが行きそうなとこがわかればいいんだけど…」


ジャン「あの野郎、休日はいつも訓練場で自主練してるからな…」


ユミル(あいつの行きそうなところ…まさか……調査兵団本部か?)


ガチャ


キース「…お前ら、休日だからといって騒がし過ぎるぞ」


アルミン「き、教官!」

309: 2013/12/08(日) 00:35:56 ID:UFz3wRQs

ミカサ「…教官、エレンが訓練兵をやめるというのは本当ですか?」


キース「やはりもう噂になっているか……あぁ、本当だ…だが、正式な書類はまだ書いていないから、正式な除隊は明日になるだろう」


ミカサ「…では、書類を書くのをやめてください そして、エレンの行き先を教えてください、連れ戻してきます」


キース「…ならん、除隊は本人の意思を尊重する 本人が除隊を取り消すと言わない限り、私は書類を書き、イェーガーを除隊させる」


クリスタ「そ、そんな…」


キース「…お前らは休日にもかかわらず、兵舎を走り回ってうるさくしたな」


ジャン「なっ!?そんなにうるさく走ってはいなかったはず……!!」

310: 2013/12/08(日) 00:37:02 ID:UFz3wRQs

キース「言い訳は聞かん よって今、この場にいる11人には罰を与える!これから調査兵団本部に行ってハンジ・ゾエ分隊長から荷物を預かってこい!!」


ユミル「!!」


ライナー「調査兵団本部にですか!?」


キース「あぁ…遅くなってもかまわんから、今日中に…必ずだ」


アルミン「!!…わかりました、今すぐ行ってきます!」バッ


コニー「何言ってんだよ、アルミン!それじゃあ、エレンを探す時間が無くなっちまうだろ!?」


マルコ「いや、アルミンの言うとおり、すぐに向かおう」


ジャン「…そういうことか」


サシャ「どういうことですか?」

311: 2013/12/08(日) 00:37:33 ID:UFz3wRQs

ミカサ「…ありがとうございます、教官」ペコ


キース「私はただ罰を貴様らに与えただけだ……早く荷物を取りに行ってこい」


ミカサ「ハッ!」バッ



そして、彼らは調査兵団本部へと向かった

319: 2013/12/10(火) 00:45:23 ID:FQEI4aDY

タタタタタタッ


ライナー「でも、何でエレンは調査兵団の本部にいるんだ?」


コニー「え?エレンは調査兵団本部にいるのか!?」


サシャ「どうしてわかるんですか!?」


ジャン「さっきの教官の話を聞いてればわかるだろ、普通は……って、お前らは普通じゃなかったな」


クリスタ(……私も普通じゃなかったんだ)シュン


ユミル(ジャン…あとでシメる)

320: 2013/12/10(火) 00:45:54 ID:FQEI4aDY

ミカサ(エレン…エレン………)ギュ



彼女はマフラーを握り締めながら走っている



アルミン「…大丈夫だよ、ミカサ また昔みたいに戻れるよ…きっと」


ミカサ「……うん」


マルコ「そろそろ着くよ、みんな」


ベルトルト「ん?あそこにいるのは……アニ!?」

321: 2013/12/10(火) 00:46:31 ID:FQEI4aDY

オーイ!アーニ!


アニ(え?あんな大人数で何してんの、あいつら?ていうか恥ずかしいから大声で呼ばないで欲しいんだけど……)


ザッ


ミーナ「アニ!こんなところで会えるなんて…これも運命ってやつだね♪」


アニ「……で、あんたらはこんな大人数でなにしてんのさ?」


ミーナ「スルー!?」


マルコ「実は……」


カクカクシカジカ


アニ「…なるほど、だからあいつはあんなに落ち込んでいたのか」

322: 2013/12/10(火) 00:47:51 ID:FQEI4aDY

ミカサ「エレンを見かけたの!?」


アニ「あぁ…珍しく街で見かけて、かなり落ち込んで歩いていたから跡をつけたんだ そしたら調査兵団の本部に入ってったよ…平然と裏口からね」


ベルトルト(…つまりエレンは調査兵団に関わりを持っている……しかも裏口を知っているということは表立った関係じゃないということだ……エレン、君は一体…)


ライナー「…じゃあ、あいつを連れ戻しに行くか」


ミカサ「ええ、急ぎましょう」


アニ「…じゃあ頑張んなよ」スタスタ


ミーナ「えー、アニも一緒にエレンを連れ戻しに行こうよ」

323: 2013/12/10(火) 00:48:45 ID:FQEI4aDY

アニ「何で私が…」


ユミル「相変わらず冷めてんな」


アニ(しょうがないでしょ……情が移らないように、休日だってできるだけ人と会わないようにしてんだから…)


ライナー「ほら、アニも行くぞ 俺達は仲間だろ?」


アニ「はあ?」ギロッ


ミーナ「ほら、女の子がそんな汚い言葉と眼光を使っちゃダメだよ」グイグイ


アニ「ちょっと引っ張らないでよ!」


「おい、お前ら こんなところで何騒いでんだ?」


アルミン「す、すみません!調査兵団の方ですか?」バッ


オルオ「おう、そうだ お前らは……訓練兵か?」

324: 2013/12/10(火) 00:50:27 ID:FQEI4aDY

アルミン「は、はい、そうです!」


ミカサ「…エレンに会いに来ました、会わせてください」


オルオ「エレン?…いや、そんな奴知らねぇな」


ミカサ「嘘、そんなはずはない」


オルオ「何だてめぇ…訓練兵の分際でこのオルオ・ボz―ガチンッ!


クリスタ「きゃあっ!!だ、大丈夫ですか!?」


ペトラ「あっ!ちょっと、オルオ また舌を噛み切ったの?」


クリスタ「早く手当てをしないと…」アセアセ


ペトラ「大丈夫よ、いつものことだから それより…あなた達は?」

325: 2013/12/10(火) 00:51:51 ID:FQEI4aDY

ミカサ「私達はエレンに会いに来ました」


ペトラ「エレン?……聞いたことない名前ね 少し調べてみるわ」


アルミン「ちょっと待ってください!エレンっていうのは僕達の同期なんです」


ペトラ「…ってことは調査兵じゃなくて訓練兵?そのエレンって子がここにいるの?」


アルミン「はい、そのはずなんですが…そうだ!キース教官から連れ戻すように頼まれているので、ハンジ・ゾエ分隊長に聞けばわかると思います」


ペトラ「ハンジ分隊長か…ちょっと待っててね、部下がそこいるから聞いてみるわ」タタタタッ


ジャン「どういうことだ…?あいつはここに出入りしてたわけじゃねぇのか?」


アルミン「わからない…もしかしたら………」

326: 2013/12/10(火) 00:53:35 ID:FQEI4aDY

タタタタタタッ


モブリット「君達がエレン君の同期かい?」


アルミン「ハ、ハイ!」バッ


モブリット「キース教官から頼まれたって本当かい?」


アルミン「はい、エレンを連れ戻すように言われました」


モブリット(キース元団長は何でこの子達をよこしたんだろうか?…とりあえず、エレン君の正体がバレる危険性もあるからどこかで待たせておくか)


モブリット「じゃあ、僕についてきてくれ」


アルミン「ハッ!」バッ

327: 2013/12/10(火) 00:55:39 ID:FQEI4aDY

――調査兵団本部 食堂――


ライナー「…遅いな」


ミカサ「…やっぱり探しにいく」ガタッ


アルミン「ミカサ、落ち着いて きっと大丈夫だよ」


サシャ「でほ、なんへえへんのことをしはないひとたちがいたんへしょほか?」モグモグ


ジャン「テメェはなにのんきに飯を食ってんだよ!ていうか飲み込んでから話せ!!」


アルミン「それはきっと分隊長クラスの上官しか、エレンの存在を知らないんだと思う…」


ミーナ「そのまま進めるの!?」


ベルトルト(アルミンの言うとおりだと…エレンは調査兵団にとって相当重要な人物ってことになるな…)

328: 2013/12/10(火) 00:56:41 ID:FQEI4aDY

ガチャ


ハンジ「やあ、訓練兵の諸君、こんにちは 私が分隊長のハンジ・ゾエだ」


バッ!


ハンジ「あぁ、直っていいよ」


ミカサ「いきなりで失礼ですが、エレンはどこですか?」


ハンジ「…君がミカサだね」


ミカサ「はい」


ハンジ「ふぅ~ん…思ったよりも綺麗な子だ、エレンも隅に置けないな」ボソッ


ミカサ「はい?」


ハンジ「あぁ、何でもないよ じゃあエレンのとこに連れて行ってあげるからついてきて」

329: 2013/12/10(火) 00:58:43 ID:FQEI4aDY

ゾロゾロ


アルミン「あの~…ハンジ分隊長達とエレンの関係って何なんですか?」


ハンジ「…ごめんね、機密事項だから教えられないんだ」


ベルトルト(ますますエレンの正体が知りたくなってくるよ…)


ハンジ「でも……いつかは全て話すことができると思う だから、それまで待っててね」


アルミン「…はい」


ハンジ「それより…さっきまでエレンと話していたんだけど、ミカサは本当にエレンと会いたくなかったの?」


ミカサ「いえ、違います……本当は…会えて嬉しかったんです」


ハンジ「そう…ならよかった 実は私達が半ば無理矢理に彼を訓練兵にさせたんだよ」

330: 2013/12/10(火) 00:59:29 ID:FQEI4aDY

アルミン「え?どうしてですか?」


ハンジ「詳しくは話せないんだけど、私達は彼に何かしてあげたくてね それで彼に望みを聞いたんだ、そしたら…『家族に会いたい』って言ってね」


ミカサ「………」


ハンジ「彼はそれでも頑なに君に会おうとしなかった…その理由も重々理解できたけど、私達は彼に内緒で訓練兵の志願書を出したんだ」


アルミン(エレンの為にそこまでするなんて……ハンジ分隊長達にとってエレンとはどんな存在なんだろう…?)


ハンジ「……そろそろ彼に気づかれないように、足音を立てないように歩いてね」


マルコ「何故、エレンに気づかれないようにするんですか?」

331: 2013/12/10(火) 01:00:23 ID:FQEI4aDY

ハンジ「君達は…エレンが君達のことをどう思ってるか知りたくないの?」ニヤリ


ジャン「お、俺は別に…」


ミーナ「めちゃめちゃ知りたいです!」


ライナー「…確かに知りたいな」


ハンジ「そうでしょ?と、いうことで皆の名前を教えてね そして私が部屋に入ってエレンに質問するから、それを盗み聞きしちゃうという作戦だよ」ドヤッ


クリスタ「エ、エレンに悪いですよ」


ハンジ「気にすることないさ どうせエレンは皆の前では本音を言おうとしてないでしょ?それにこれは君達にエレンのことを知ってもらう、いい機会なんだよ」

337: 2013/12/11(水) 23:54:58 ID:TlSBnCwY

――団長室――


エルヴィン「本当に訓練兵をやめたいと思っているのか?」


エレン「はい……」


エルヴィン「そうか…」


エレン「これからはまた、薬の開発の手伝いをします 壁外に薬草を取りにいくのは危険ですからね」


エルヴィン「…実は壁外調査で一つだけ、問題が起きた」


エレン「問題?」

338: 2013/12/11(水) 23:55:46 ID:TlSBnCwY

エルヴィン「先日、壁外調査に出た一小隊が全滅した…それ自体は別に珍しいことではないが、一人の兵士が手帳を…戦果を残してくれたんだ その中に奇妙なことが書かれていてね」


エレン「…何ですか、それは?」


エルヴィン「見てもらったほうが早い…」パラ



エルヴィンはイルゼ・ラングナーの戦果を彼に見せた

339: 2013/12/11(水) 23:56:50 ID:TlSBnCwY

___________________


私はイルゼ・ラングナー  第34回壁外調査に参加


第二旅団最左翼を担当  調査中、謎の巨人に遭遇


その17m級巨人  全身が毛で覆われており、まるで獣


所属班の皆もその異形な姿に畏怖  直ぐに撤退


しかし驚くことにその獣の巨人  他の巨人を呼び寄せた 


まるで統率されているように巨人が襲ってきた  そして皆食われた  


私は奇跡的に逃げることが出来た  逃げる際に獣の巨人に驚愕

340: 2013/12/11(水) 23:58:11 ID:TlSBnCwY

喋った  巨人がはっきりと人語を喋ったのだ


『壁が壊れてない』  『あいつら何やってんだろう?』  


『もしかして裏切った?』  『まぁ、あと二年ぐらいは様子見て、ダメだったら…』


『一気に滅ぼしちゃうか』


恐怖で手が震える  明らかに知能を持っており全ての元凶にさえ感じた


この事実を早く壁内に伝えなくては  馬も失い壁内に向かって走る


生き延びる可能性はほぼ不可能  だが私は最後まで戦い抜く


少しでも壁内に近づく  この手帳を見つけてもらう可能性を少しでもあげる為に


私は氏をも恐れぬ人類の翼、調査兵団の一員  私は決して屈しない


私は屈しn

341: 2013/12/11(水) 23:59:47 ID:TlSBnCwY

___________________



エレン「……凄い人ですね」


エルヴィン「あぁ…こんなにも芯の強い兵士を部下に持てて、私は幸せものだ」


エレン「獣の巨人……か」


エルヴィン「巨人の姿で喋る獣の巨人……前に君が言っていた巨人のことなのか?」


エレン「それはありえません だって……あの巨人は俺が頃しましたから…」


エルヴィン「ではこの巨人は別者か……」


エレン「恐らくは戦士に指示をして、壁を破壊させた張本人だと思います
それより……他の巨人を呼び寄せたってとこが気になりますね」

342: 2013/12/12(木) 00:01:01 ID:b3g4wDh6

エルヴィン「もし本当に、無知性の巨人を操ることが出来たら…」


エレン「厄介ですね…」


エルヴィン「それに…壁内に侵入した戦士は、本当に君のお父さんみたいに寝返ったのか?」


エレン「まだわかりません…」


エルヴィン「…とりあえず我々はシガンシナ区の護衛をさらに強化していくつもりだ」


エレン「じゃあ俺は……壁外にあると思われる、奴らの本拠地に向かいます…そして、この争いを止めてきます」


エルヴィン「駄目だ、場所もわからず成功率が低い それに……君の氏ぬリスクが高すぎる」


エレン「でも…」

343: 2013/12/12(木) 00:01:55 ID:b3g4wDh6

エルヴィン「それ以前にこの戦果からもわかるように、あちら側は確実に壁内人類を滅ぼそうとしている 巨人化を解く薬が完成していない状況では、話し合いに応じてくれないだろう」


エレン「じゃあ……時間がありませんから、急いで薬を完成させましょう」


エルヴィン「あぁ、もちろん薬の開発は急がせる だが、それを君に手伝ってもらう気は無い」


エレン「どうしてですか!?」


エルヴィン「君は今、訓練兵だろ?ちゃんと卒業してからここに戻ってきなさい」


エレン「でも、俺はもう……」


カツカツカツ


エルヴィン(やっとハンジが来たか…モブリットからおおよその話は聞いたが、エレンの仲間達が来ているらしいからな…彼の正体をバレないようにしないと…)

344: 2013/12/12(木) 00:02:35 ID:b3g4wDh6

エルヴィン「エレン…モブリットが言うには、これから本部に多くの人が出入りするそうだ だから今から君の正体や獣の巨人の話などの機密事項は伏せるようにしてくれ」


エレン「…わかりました」


コンコン
    ガチャ


ハンジ「いや~ごめんね、エレン ちょうど今、キースさんから早馬で連絡が来たよ」


エレン「キース教官からですか?」


ハンジ「うん、『今日までなら書類の破棄は認める』だってさ」


エレン「……俺は破棄するつもりはありませんよ」


ハンジ「まぁまぁ、まだ時間があるんだからゆっくり考えればいいよ……それより、今期は優秀な人材が多いって聞いているけど、エレンは彼らのことをどう思ってるの?そうだな…例えばライナーって子とか?」


エレン「何でハンジさんがライナーの名前を知っているんですか?」

345: 2013/12/12(木) 00:03:09 ID:b3g4wDh6

ハンジ「ちょくちょくキースさんから情報を頂いててね いい子がいたら調査兵団に勧誘しようと思ってたんだ」


エレン「そうですか……ライナーは頼りになる奴で皆の兄貴分なんです 見た目も同期に見えないんですよ」ハハハ


ガタッ!


エレン「ん?」


ハンジ「モブリットから聞いてないの?人の出入りが多くなるって言ってたでしょ?きっと誰かが壁にぶつかったんじゃないかな」ハハハ…


エレン「そうですか?……でライナーですけど、指揮能力もあり冷静な状況判断も出来るいい兵士ですけど、少し正義感が強すぎて他人の為に無茶をし過ぎることがありますね
それに皆がライナーを頼るから、あいつが壊れてしまいそうな時があります…だからもし、あいつが調査兵団に入ったら助けてやってください」

346: 2013/12/12(木) 00:03:51 ID:b3g4wDh6

ハンジ「…でも、訓練所で壊れてしまうこともあるでしょ?」


エレン「それは大丈夫だと思います あいつの傍にはいつも、ベルトルトがついていますから」


ハンジ「ベルトルトって子も確か成績上位者だよね?」


エレン「はい、あいつも優秀な兵士です 何でもそつなくこなしますが、ライナーと違っていつも皆と距離を置いているんですよ まるで自分の気持ちに嘘をついてるかのように…」


エルヴィン「…つまり本音は距離を置きたくないということか」


エレン「はい…あいつを見てると昔の自分を見てるみたいで、何とか助けてやりたくなるんですけどね……
でも、あいつもきっと大丈夫だと思います ライナーとベルトルトはお互いに足りない部分を補いなっているので、この先にどんな困難があっても二人で前に進むと思います」


ハンジ「ふ~ん…」

347: 2013/12/12(木) 00:04:24 ID:b3g4wDh6

エレン「まさに……お似合いの夫婦です!」ハハハ!


ガタッ!  ガタッ!


エレン「…外が騒がしいですね」


ハンジ「少し注意をしてくるよ……」スタスタ


ガチャ


ハンジ「ちょっと!少しは静かにしてよ!」


ライ・ベル「す、すいません」シュン


ハンジ「もし今度うるさくしたら……人体実験のモルモットになってもらうからね」ニヤリ


一同「」ガクガク


ハンジ(まぁ、嘘だけどね これで少しは静かになるでしょ)

348: 2013/12/12(木) 00:05:18 ID:b3g4wDh6

バタンッ


ハンジ「注意(脅)してきたよ…それよりエレンは最初の方で罰則を受けたんだってね」


エレン「あぁ、ありました ミーナって奴がドジをしましてね」


ハンジ「王子様のように助けたって聞いたけど?」


エレン「そんなの嘘ですよ どちらかと言うと悪さをした子供を懲らしめるように助けました」ハハハ


ハンジ「彼女に恋愛感情とか無いの?」ニヤニヤ


エレン「まったく無いです あいつは明るくてとても気が利く奴ですけど、そういう目で見たときありません」キッパリ


ガタッ!


ハンジ(今のはしょうがないか……エレンのことが好きじゃなくても、ここまで言われたらショックだもんね)

349: 2013/12/12(木) 00:05:50 ID:b3g4wDh6

ハンジ「…じゃあ他の女の子は?例えばアニって子とかユミル、クリスタとか…」


エレン「何でハンジさんがそいつらのことを聞くんですか?」


ハンジ「だ、だから成績がいい子はキースさんから聞いてるんだってば」アセアセ


エレン(怪しい……)


エレン「みんなを恋愛感情で見たときなんてありませんよ」


ハンジ「ちぇっ、つまらないの……じゃあせめてどんな子達なのか教えてよ」


エレン「そうですね ユミルは……性格が捻くれてます」


ガタッ!


ハンジ(あの子達……)イラッ

350: 2013/12/12(木) 00:06:57 ID:b3g4wDh6

エレン「ま、そこがあいつの良いとこでもあるんですけどね 兵士としても冷静な状況判断が出来ますし、仲間を想う優しさも持っています…捻くれているけど」


ハンジ「まずまずの評価ってとこか……アニって子は?」


エレン「アニは兵士としては一流です 訓練はサボりがちなんですが、立体機動の斬撃や高い格闘術も持っています……けど、ベルトルト以上に人と距離を置いています」


ハンジ「へぇ~…エレンは何でだと思う?」


エレン「正直わかりません…ただ、ベルトルトは俺のように自分の本性を隠しながら人と接している感じがするんですが、アニは逆でそういうことが出来ないからこそ他人との接点を無理矢理無くしている感じがします…恐らくアニは純粋なんだと思います」


ハンジ「ふ~ん……じゃあ次はクリスタだね」


エレン「まだやるんですか?」

351: 2013/12/12(木) 00:07:52 ID:b3g4wDh6

ハンジ「いいじゃんいいじゃん!久々に会ったんだからいっぱい話を聞かせてよ!」プンプン!


エルヴィン(アラサーがやると……正直キツイな)


エレン「わ、わかりましたよ…クリスタはとても優しい良い子ですけど……危なっかしいとこがありますね」


ハンジ(そんな感じには見えないけど…)


エレン「クリスタは昔の俺と一緒で、人助けをすることで自分の存在価値を見出しているんですよ……でも、違うところもあります」


ハンジ「違うとこ?」


エレン「あいつは自分で氏にたいと思ってるように感じるんです……どんな過去があったか知らないが、俺はあいつに教えてやりたい……命の重さを…生きるという素晴らしさを…」

352: 2013/12/12(木) 00:08:40 ID:b3g4wDh6

エレン「……そういえば食堂で所属兵科を聞かれたときに調査兵団って答えたんですが、ジャンって馬面の奴が俺のことを『氏に急ぎ野郎』なんて言うんですよ?その時思いましたよ…俺にピッタリな名だなって!」ハハハ


ハンジ「エレン……笑えないよ」


エレン「…そのジャンは利己的な考えを持つ奴ですね そのせいか他人と軋轢を生みやすい性格をしてます」


ハンジ「エレンはジャンとは仲が悪いの?」


エレン「そうですね、かなり悪いほうです……でも、あいつのこと嫌いじゃないですよ?それに俺はあいつが一番調査兵団に必要な人材だと思ってます」


エルヴィン「そんなに優秀な人材なのか?」


エレン「今はまだまだですけどね 状況判断、戦術理解に優れていて、頭の回転も速い…あとは経験さえ積めば良い指揮官になると思いますよ」

353: 2013/12/12(木) 00:09:20 ID:b3g4wDh6

エルヴィン「指揮官は時には仲間を切り捨てることもある…彼にそんなことが出来るのか?」


エレン「時と場合にもよりますが……基本的に出来ないと思います あいつは自己中心的な考えの持ち主ですが、仲間を見捨てるようなことはきっと出来ません でも俺は…これからはそういう指揮官が必要になると思うんです」


エルヴィン「…そうだな 平和な時代なら、私みたいな指揮官は必要ないな」


ハンジ「ええ、必ず実現しよう…私達みたいな者が上に立たない時代を、私達の手で…」


エレン「その為にもあの薬を―ハンジ「そ、それより他の子は!?例えば…マルコって子とか?」アセアセ


ハンジ(あっぶねぇ、完全に油断してたよ……外の子達に聞かれたかな?)

354: 2013/12/12(木) 00:10:08 ID:b3g4wDh6

エレン「マルコですか…あいつも指揮官向きですね 頭も良く、ジャンとは違って仲間からの信頼が厚いですし でもマルコとジャンは憲兵団志望なんです、他の奴らも基本的に……本当は憲兵団なんかには行ってほしくないんですけど…」


エルヴィン「…まだ、憲兵団が憎いか?」


エレン「はい…王政府と憲兵団だけは絶対に許せません」ギリッ


エルヴィン「そうか…」


ハンジ「…他に成績上位者だとコニーとサシャって子がいたね」


エレン「あいつらは本当のバカですよ」ハハハ


エレン「でも、愛すべきバカって奴ですね とってもいい奴らで、二人がいるだけで場が和むんですよ
兵士としても優秀で、二人とも狩猟民族なので身のこなしが軽く、立体機動も型にはまってないんです」


ハンジ(あと聞いてないのは…アルミンって子とミカサだけか)

355: 2013/12/12(木) 00:11:11 ID:b3g4wDh6

ハンジ「エレンはアルミンって子と一番仲がいいって聞いたよ」


エレン「はい、自分で言うのもあれですけど、本当に仲がいいです それにアルミンは凄い奴で、とにかくずば抜けて頭が良いんですよ そして、アルミンは俺に夢を与えてくれました……叶えることは不可能ですけどね」


エルヴィン「…どんな夢なんだ?」


エレン「じゃあ、エルヴィン団長とハンジさんにも教えてあげますよ……外の世界の魅力を!!」


30分後…


エレン「――があるみたいなんです!それから……」キラキラ


エルヴィン(……ハンジ、そろそろ止めてくれ)ヒソヒソ


ハンジ(でも、あんなキラキラした目のエレンなんて見たときないし、それに……まるで普通の子供みたいじゃないか)ヒソヒソ


エルヴィン(確かにな…)

356: 2013/12/12(木) 00:13:07 ID:b3g4wDh6

エレン「あっ……す、すいません!ベラベラと長く話しすぎました!」ペコ


ハンジ「いいって、そんなに楽しそうに語るエレンなんて初めてみたから……いや、前にもあったね」


エレン「え?自分で言うのもあれですけど…そんなことありましたっけ?」


ハンジ「…家族のことを話していたときだよ」


エレン「あぁ…なるほど」


ハンジ「じゃあ、最後に…3年ぶりにあったミカサはどうだった?」


エレン「変わっていました…いえ、俺がミカサを変えてしまったんです……昔は喜怒哀楽が顔を見ればすぐわかるぐらい表情がコロコロ変わる奴でした でも今ではほとんど無表情で、感情を無くしてしまったようにさえ感じます…母さんのように長い黒髪も切っていましたし……それもこれも全部、俺のせいです」


ハンジ「…彼女はそう思ってないんじゃないのかな?」

357: 2013/12/12(木) 00:14:23 ID:b3g4wDh6

エレン「いえ、あいつもそう思ってるはずですし、たとえ思ってなくても俺のせいなのは事実ですから……
でも、この一年間は楽しかったです 初めて友達ができたし、それに…ミカサと一緒にいることができましたから…もうこれで、俺の我侭はお終いです これで悔いなく―ミカサ「それでまた、私の前からいなくなるの?」


エレン「ミ、ミカサ!?何でここに!?」


ハンジ「エレンを連れ戻しに来たんだよ それに彼女だけじゃない…」


ゾロゾロ


エレン「お前ら……」


アルミン「エレン…帰ろうよ」


サシャ「そうですよ!早く帰ってご飯を食べましょうよ!」


コニー「お前はさっき食ってたろ!!」

358: 2013/12/12(木) 00:15:40 ID:b3g4wDh6

ライナー「エレン…もうミカサも怒ってないから帰るぞ」


エレン「……いや、帰らない」


ジャン「なに子供みたいに駄々こねてんだよ…とっとと戻るぞ」


エレン「お前らだけで帰れ…俺は元々、あそこにいちゃいけない存在だったんだ 戻ったとしても、またミカサを、お前らを悲しませることになる……だから、これが正解なんだよ」


ハンジ「エレン…」


ミカサ「………」スタスタ


ギュッ



彼女は彼に近づくと、そのまま抱きついた

359: 2013/12/12(木) 00:16:12 ID:b3g4wDh6

ジャン「¥ky#j$%p?&」


マルコ「ジャン…言葉になってないよ」


エレン「ミ、ミカサ……」


ミカサ「………」ス…


そして彼女は優しく…



ミカサ「ふんっ!」シュッ!


ズドンッ!!


エレン「ごッ……ハッ!!」ガクッ



ボディに拳を突き刺した

360: 2013/12/12(木) 00:17:01 ID:b3g4wDh6

アニ「…ナイスボディ」


ミーナ「見てるだけで痛いよ…」


ベルトルト「あの僅かな隙間から、あそこまで強烈なボディを打つなんて…」


ライナー「エレンの体が綺麗にくの字に曲がったぞ…」


ミカサ「…では、2年後に今度は調査兵として会いにきます 失礼しました」ヨイショ



彼女は彼を担いで部屋を出て行った



エルヴィン「…これは調査兵団に入団希望ってことでいいだよな?」


ハンジ「あぁ…そうだね 頼もしい限りだよ」

361: 2013/12/12(木) 00:17:34 ID:b3g4wDh6

アルミン「ぷっ、ミカサらしいや!」ハハハ


マルコ「そうだね」ハハハ


クリスタ「ほら、ユミル!いつまでも笑ってないで私達も戻るよ」


ユミル「だって!あ、あそこは普通、愛の告白か何かで引き止めるとこだろ?ぶ、物理的って!」ゲラゲラ

362: 2013/12/12(木) 00:18:25 ID:b3g4wDh6

___________________


アルミン「ハンジ分隊長、本当にご迷惑をお掛けしました」ペコ


ハンジ「別に迷惑は掛かってないよ、私も楽しかったしね それより…君達に言っておきたいことがある」


アルミン「何ですか?」


ハンジ「エレンと出会ったことで、これから辛いことがあるかもしれない……でも、彼と出会ったことを後悔することは絶対に無いと思うんだ だからこれからも…最後まで彼のことをよろしくね」


ミカサ「…もちろんです」


アルミン「辛いこともみんなで乗り越えてみせます もちろんエレンも一緒にです」

363: 2013/12/12(木) 00:19:07 ID:b3g4wDh6

ハンジ「そう…エレンはいい仲間を持ったね あっ!あとミカサにだけ一つ良いことを教えてあげるよ、ちょっとこっちに来て」ニヤリ


ミカサ「…わかりました ライナー、エレンを持ってて」ヒョイ


ライナー「お、おう」


ゴニョゴニョ


サシャ「なに話してんでしょう?」


アニ「さぁ?ていうか早く帰りたいんだけど…」


コニー「おっ、終わったみたいだぞ」


ミカサ「///」スタスタ


アルミン「あれ?ちょっと頬が赤くない?」

364: 2013/12/12(木) 00:20:14 ID:b3g4wDh6

ミカサ「そ、そんなことはない ライナー、エレンを返して 私が持つ」


ライナー「お、おう…」ヒョイ


ハンジ「じゃあ皆、卒業したらぜひ調査兵団に入団しなよ 今なら安くしとくからさ」フリフリ


ユミル「最後に勧誘かよ しかも安くって…入団費を取るのかよ」


マルコ「さて、訓練所に戻ってエレンを説得しないと」


ジャン「書類を破棄するまで、柱に縛り付けておけばいいんじゃねぇか?」


ミーナ「酷い!?」


ミカサ「…それもいいかもしれない」


ジャン「だ、だろ!!」パアァ


ミカサ「でも……まずは二人きりで話をさせて欲しい」

365: 2013/12/12(木) 00:21:18 ID:b3g4wDh6

――訓練所――



エレン「ぅ…う~ん……うん?ここは…」


ミカサ「…やっと起きた」


エレン「ミ、ミカサ!?…ってお前!あれはさすがに酷いだろ!!」


ミカサ「あなたがいつまでも駄々をこねてたから ので、私は悪くない」


エレン「理不尽!?」


ミカサ「でも……あなたに酷いことを言ったのは、私が悪い…ごめんなさい」ペコ


エレン「いいって…事実だからな」

366: 2013/12/12(木) 00:21:58 ID:b3g4wDh6

ミカサ「…あなたのことを少しは憎んでいることは事実 どんな理由があろうと私達を捨てたのだから……」


エレン「あぁ…」


ミカサ「…でも、私はそれ以上にあなたに会えて喜んでいた」


エレン「…そんな素振り見せなかったじゃねぇか」


ミカサ「それは……どう接していいか、わからなかったから」


エレン「だから二人きりのときは口を聞いてくれなかったのか……てっきり嫌われてるんだと思ったよ」


ミカサ「嫌うはずない……だってあなたは私にとって唯一の家族だから…ので、もう私をおいていなくならないでほしい」


エレン(あと二年間……俺はここにいていいのか?…ダメだろうな)

367: 2013/12/12(木) 00:22:48 ID:b3g4wDh6

エレン「……ごめんな、ミカサ…それはできないんだ」


ミカサ「…わかった、じゃあどこに行ってもいい 私もそこについて行くから」


エレン「はあ?…いやいや、無理だから」


ミカサ「それはあなたが決めることではない、私が決めること あなたがここを出るのなら、私もここを出よう」


エレン(どうしよう……このままじゃミカサは本当に俺についてくるな)


エレン「………はぁ、わかったよ 残ればいいんだろ?」


エレン(…あと二年間だけ、俺の我侭を続ける……その間にこいつを説得して、俺の後を追うことをやめさせないと…)


ミカサ「ええ、そうすればいい」

368: 2013/12/12(木) 00:23:54 ID:b3g4wDh6

エレン「…ただし、条件がある 俺の後を追うn―ミカサ「不毛」


エレン「………お前、我侭だな」


ミカサ「そう?」


エレン「ったく…じゃあ条件を変更する…俺のことを昔みたいに呼んでくれ お前まだ俺を名前で呼んでないだろ?」


ミカサ「……それだけでいいの?」


エレン「あぁ、俺にとっては重要なことだからな」


ミカサ「……エレン」

369: 2013/12/12(木) 00:24:41 ID:b3g4wDh6

エレン「……ふっ」


ミカサ「何故笑うの?」


エレン「いや、随分あっさりと言うもんだからな 俺、結構気にしてたんだぞ?」


ミカサ「そう……それは悪いことをしていた」


エレン「じゃあ、そろそろ除隊を破棄しに行くか」


ミカサ「…最後に一ついい?」


エレン「何だ?」

370: 2013/12/12(木) 00:25:20 ID:b3g4wDh6

ミカサ「私の髪、似合ってる?」


エレン「な、何だよいきなり!?」


ミカサ「答えて」


エレン「に、似合ってるよ……けど、長いほうがお前には似合ってたと…俺は思うぞ」ポリポリ


ミカサ「……そう…ありがとう」


エレン「い、行くぞ//」スタスタ


ミカサ(ハンジさんの言うとおりだった…)


_
_____
_________
______________
___________________

371: 2013/12/12(木) 00:26:26 ID:b3g4wDh6

ハンジ「エレンはね、よく君のことを話してたんだよ」


ミカサ「私のことを?」


ハンジ「あぁ、君や両親と過ごした時間は短かったけど、彼にとって人生で最高の時間だったみたいなんだ」


ミカサ「…私にとってもあの時が一番幸せでした」


ハンジ「…彼は決して君のことを捨てたりしてない 理由は言えないがそれだけはわかっててくれ」


ミカサ「…はい」


ハンジ「それと…エレンは君の長くて綺麗な黒髪が好きだったみたいだよ」ニヤニヤ


ミカサ「え?」


ハンジ「そのことを言った後、照れて顔を真っ赤にしながら直ぐに訂正してたけどね」ハハハ


ミカサ(エレンが私の髪を……///)

372: 2013/12/12(木) 00:26:58 ID:b3g4wDh6
___________________
______________
_________
____
_


ミカサ(……また、髪を伸ばそう)フフ…


エレン「おっ、珍しく笑ったな」


ミカサ「…笑ってない」


エレン「別に笑うぐらいいいだろ?」


ミカサ「だから笑ってない」


エレン「こいつ……」


エレン(…よし、決めた!意地でも卒業までにミカサを笑わしてやる!)



その後、彼は無事に除隊を破棄した

373: 2013/12/12(木) 00:28:22 ID:b3g4wDh6

___________________


エレン(ほんと皆いい奴らだな…)スタスタ



彼は自分のことを仲間が連れ戻しに来てくれたことで上機嫌になり、皆が寝静まった後に宿舎の外を散歩していた



エレン(そういえば…よくミカサと一緒にこっそりと夜に外に出て、星を眺めてたな……まぁ、あいつは直ぐに寝てたけど)クスッ


オソイゾ…


エレン「ん?どこからか声が聞こえるな 誰かが盛ってんのか?………覗くか」コソコソ



漆黒の闇の中、声だけを頼りに森の中を歩いていく

そして彼は声の主達のもとに辿り着いた



エレン(あれは……ライナーにベルトルト、それに…アニ?こんなとこで何を話してんだ?)

374: 2013/12/12(木) 00:29:09 ID:b3g4wDh6



アニ「それよりあんた、いい加減にしてくれる?私は何の為にぼっちしてると思ってんの?」ギロッ


ライナー「す、すまん…」シュン


ベルトルト「まぁまぁ、後で僕がしっかりと注意しとくから……今はエレンについて話し合おう」


アニ「…あいつと調査兵団の関係は何なの?」


ベルトルト「わからない…宿舎でそれとなくエレンに聞いても、昔ちょっと世話になってたとしか言わなかったよ」


ライナー「だが…あれはおかしい アルミンの言うとおりエレンの存在を、団長や分隊長クラスの上官しか知らないと仮定するのが普通だ…そして……『薬』という単語が会話の中で出ていた…」

375: 2013/12/12(木) 00:30:13 ID:b3g4wDh6

アニ「『薬』って……巨人化の薬のことなの?」


ベルトルト「…その可能性もあるけど、あの話の流れ的には違うと思う」


ライナー「今、答えを出すことは難しい……とりあえず今後はエレンのことも注意して監視するぞ」


アニ「クリスタとウォール教、エレンと調査兵団……調べることが多すぎるね それと……あまり気にしないほうがいいよ」


ライナー「何のことだ?」


アニ「エレンの話だよ あいつは私達のことをよく観察していた…そして、私達の力になろうとしている…」


ベルトルト「…彼じゃ力にはなれないのにね」

376: 2013/12/12(木) 00:31:06 ID:b3g4wDh6

ライナー「あぁ…エレンは確かにいい奴だ こんなクズな俺達も助けようとしてくれている」


アニ「…あんた、大丈夫だよね?」


ライナー「あぁ、わかってる…例えあいつが手を差し伸べてきても、俺はその手を振り払う 俺達は戦士だからな……」


ベルトルト(戦士のライナーは頼もしいんだけど……時々、兵士になるからな…)


アニ「じゃあ、今日はこれで解散ってことで」


ライナー「…お前ももう少し皆と仲良くしろよ それじゃあ壊れちまうぞ?」


アニ「ふん…既に壊れてるあんたに言われたらお終いだよ」スタスタ

377: 2013/12/12(木) 00:32:30 ID:b3g4wDh6

ライナー「…あいつ、相当無理してるよな?」


ベルトルト「エレンも言ってたように、アニは僕達の中で一番純粋で優しいからね 仲良くなった友達を躊躇なく頃すことなんてできないんだよ」


ライナー「ベリックもアニにはあまり直接的な頃しはさせないようにしてたからな」


ベルトルト「あと二年……正直に言うと早く終わってほしい気持ちと、このまま終わってほしくない気持ちがあるんだ」


ライナー「それが普通だ……俺達も巨人であるが、ただの人間でもあるんだから…」





エレン(う…うそ……だろ?ライナー、ベルトルト、アニが…戦士(巨人)だったのか!?)

384: 2013/12/14(土) 19:17:01 ID:mZjKpnE6

――食堂――


ワイワイ  ガヤガヤ


エレン「……」チラ



ライナー「ベルトルト…今日の対人格闘の訓練、俺と組んでくれないか?」


ベルトルト「……無理だよ 僕はマルコと約束してるし、君は…ミカサとだろ?」


ライナー「はぁ…昨日の思い出したらやる気が……」


ベルトルト「ライナー、頑張って…」



エレン(あいつらが巨人……)

385: 2013/12/14(土) 19:18:13 ID:mZjKpnE6

ミカサ「…エレン、余所見をしてないで早く食べなさい」


エレン「はいはい」


ミカサ「『はい』は一回」


エレン「うるさいな、お前は俺の母さんかよ!!」ガタッ


ミカサ「もちろん違う、でも私はエレンの家族 ので、注意する」


エレン「あーもう!昨日まではまったく俺に話しかけなかったくせに、今日は何なんだよ!!」


ミカサ「じゃあ前みたいに無視すればいいの?」


エレン「極端だな!?中間は無いのか!!」


ミカサ「ない」


エレン「」イラッ

386: 2013/12/14(土) 19:18:54 ID:mZjKpnE6

アルミン「アハハハ!まるで関係が変わったね」


ジャン「おい、氏に急ぎ野郎!!お前……羨ましいんだよ!!」ガシッ


エレン「やめろよ!そんなに強く引っ張ったら、服が破れちゃうだろ!!」


アルミン「ツッコむとこそこ!?」


サシャ「ジャンとの関係はさらに悪化したみたいですね……それよりエレン!早く私にパァンをください!!」


エレン「あぁ、そういえばお前はそういう約束だったな」グイッ


ジャン「うおっ!?」


ドサッ


エレン「もっと強くなってからケンカを売れよな」

387: 2013/12/14(土) 19:19:27 ID:mZjKpnE6

ジャン「ぐっ…!くそぉ…今に見てやがれ!!」ダッ


エレン「ザコキャラのような捨て台詞だな…」


サシャ「それよりもパァンを私に!!」プリーズ!


エレン「わかってるよ、ほいっ」ヒョイ


サシャ「わん!」ピョン


パクッ


サシャ「~~~♪」モグモグ


エレン「昨日の一件で迷惑かけたから、何か一つお願いを聞くと言ったが……本当にいいのか?一年間、毎日パンを一個で?」

388: 2013/12/14(土) 19:20:00 ID:mZjKpnE6

サシャ「はい、十分です!」


サシャ(本当は一食全部と言いたいとこなんですが……ミカサが怒りますからね)


エレン「ミカサとアルミンはまだ使わないんだよな?」


ミカサ「ええ…今は必要ないから」


アルミン「僕はもう少しじっくりと考えて、一番いいお願いごとをするつもりだよ」ニヤリ


エレン「もの凄いゲス顔だぞ?……頼むから俺が出来る範囲内にしてくれよな」


アルミン「他の人達はどんなお願いをしたの?」


エレン「クリスタとマルコはそんなのいらないって言ってくれたけど、保留ってことにしといてある コニーは勉強を教えてくれだってさ ユミルもお前と一緒で嫌な笑みを浮かべながら残しておくってさ あとは…ミーナが一番欲に忠実だったな」

389: 2013/12/14(土) 19:20:31 ID:mZjKpnE6

アルミン「どんなお願い?」


エレン「なにか高いものを買ってだとよ」ハハハ


アルミン「さすがミーナだね」ハハハ


エレン「それとジャンは俺に訓練で手を抜くなだってさ」


アルミン「それもジャンらしいや ライナー達やアニは?」


エレン「………まだ保留だ」


アルミン「ふ~ん、そうなんだ」

390: 2013/12/14(土) 19:21:04 ID:mZjKpnE6

スタスタ


アニ「……ちょっといい?」


エレン「アニ……なんだ?」


アニ「今日の対人格闘訓練…私とやってくんない?それで昨日のお願いはチャラにしてあげるから…」


エレン「…わかった、いいぞ」


ミカサ「………」


___________________


アニ「じゃあ、あんたが私を襲う役ね」ヒョイ


エレン「わかった…」パシッ

391: 2013/12/14(土) 19:21:45 ID:mZjKpnE6

アニ(2年前…私達が壊したウォール・マリアの穴が塞がれた 調査兵団が大岩を運んだって言っていたが、あんな大岩を人の手だけで運ぶなんて不可能…あれは恐らく、あの黒髪の巨人の仕業だ
そして、こいつは調査兵団と何かしらの関わりを持っている…もしかしたら、こいつが………ここで私が確かめてやる…)


アニ「…本気できな」ス…


エレン「あぁ………行くぞ!」ダッ



ジャン「…おいおい、あそこ見てみろよ」


コニー「アニとエレンが戦ってる!?しかも二人とも、めちゃくちゃ動きが速ぇ!」


サシャ「す、凄いですね……エレンってあんなに強かったんですか…」


ライナー(アニ……)


ミカサ「………」

392: 2013/12/14(土) 19:22:32 ID:mZjKpnE6

ユミル(エレンの野郎…短刀を使ってないじゃねぇか…それに……)


ベルトルト(まるで二人とも事前に打ち合わせして戦ってるように感じる……)


ジャン「おっ、エレンが仕掛けたぞ!」



エレン(こいつ……)シャッ!



彼は左ストレートを放った



アニ「……」パシッ



彼女はその拳を振り払うと同時に距離を詰める

393: 2013/12/14(土) 19:23:05 ID:mZjKpnE6

エレン「……」ガシッ


グワンッ



しかし、彼は彼女の腕を掴み、体を移動させながら投げ飛ばした



ズザアァァァ


クリスタ「エ、エレン!?」


ミーナ「女の子にそこまですることないでしょ!!」


アニ「いや……私が本気でやってって頼んだんだ それにこれぐらい何ともないよ」

394: 2013/12/14(土) 19:23:37 ID:mZjKpnE6

エレン「……これで気がすんだか?」


アニ「あぁ…これで十分だよ」


アニ(そう…さっきの戦いは、前に黒髪の巨人と戦った時とまったく一緒だった……これでエレンが黒髪の巨人であることは証明できた そして、途中から私の動きに合わせてきたってことは、あいつも私の正体を知っている……おそらく昨日の尾行で不審に思ってたか、夜の密談を聞かれたかもしれないね)


エレン(やはりアニがあの女型の巨人か……そして容姿からベルトルトが超大型巨人、ライナーが鎧の巨人…もう一人いるはずだが、きっとユミルが食べてしまったんだろうな…
これからどうするか……エルヴィン団長達に報告してこいつらを捕まるのがベストだ……だが、大人しく捕まってくれるはずがない また多くの犠牲者を出してしまう……それに俺はあいつらを……)


エレン「………」

395: 2013/12/14(土) 19:24:11 ID:mZjKpnE6

___________________


ザッ


ユミル「何だよ、夜中にこんなとこに呼び出して……夜這いか?」


エレン「違う…真剣な話だ」


ユミル「ほぅ……で、なんだ?」


エレン「もし、ここにいる仲間に巨人がいるとしたら…お前ならどうする?」


ユミル「……いるのか?ここに」


エレン「もしもの話だ…」

396: 2013/12/14(土) 19:24:53 ID:mZjKpnE6

ユミル「…そうだな……私がお前の立場だったら…頃すな」


エレン「…どうしてそう思う?」


ユミル「アルミンからお前とミカサの関係をある程度聞いたんだ…ミカサの母親、つまりお前の母親をあいつらが頃したんだろ?…頃す動機には十分だ」


エレン「…だが、一年間共に過ごしてきた仲間だぞ!?」


ユミル「もしそうだとしても、お前なら……殺意を抑えられないんだろ?だって…今のお前はもの凄い顔をしてるぞ まるで殺人鬼のような…」


エレン「はっ!……す、すまない」


ユミル「お前もそんな顔ができるんだな……クリスタが見たら気絶してたぞ」


エレン「本当にすまない………それより一つ話したいことがある」


ユミル「…何だ?」

397: 2013/12/14(土) 19:25:35 ID:mZjKpnE6


スタスタ


アルミン「倉庫の片付けしてたらもうこんなに暗くなっちゃったね」


ミカサ「あそこまで汚いとは…もっと日頃から整理しておくべき」


アルミン「その通りだね、教官にも一応言っておくよ………ん?こんな夜中にあんなところで誰かが喋ってるみたいだね 暗くてよく見えないけど…」


ミカサ「…!!エレンと……ユミル」


アルミン「え!?……そ、そうなんだ、よく見えるね」


アルミン(どうしてエレンとユミルが……まさか二人はそういう関係なの!?)


ミカサ「……アルミン、行こう」スタスタ


アルミン「あ…う、うん」


タタタタタッ

398: 2013/12/14(土) 19:26:10 ID:mZjKpnE6


エレン「ん?」


ユミル「どうした?」


エレン「いや、誰かの足音が聞こえた……もう遠ざかったがな」


ユミル「マジかよ…こんな夜中にお前と会ってたら勘違いされちまうじゃねぇか」


エレン「すまないな…とりあえず明日、お前がそうしたいのならその場所に来てくれ」


ユミル「あぁ…一晩じっくり考えて、答えを出すよ」

399: 2013/12/14(土) 19:26:51 ID:mZjKpnE6

――女子宿舎――



ガチャ


クリスタ「あっ、おかえりユミル こんな夜中にどこに行ってたの?」


ユミル「……便所だ」


ミカサ「…ユミル」


ユミル「何だ?」


ミカサ「………いえ、何でもない…おやすみなさい」


ユミル「お、おう……」


ユミル(もしかしてミカサに見られちまったか?)

400: 2013/12/14(土) 19:27:21 ID:mZjKpnE6

___________________


早朝、ミカサはいつも通り訓練場で朝練をしていた しかし、そこに彼の姿はなかった


ミカサ(おかしい……エレンが朝練をサボることなんてありえない……)


――食堂――


ミカサ「……アルミン、おはよう」


アルミン「おはよう、ミカサ」


ミカサ「…エレンは?」


アルミン「あれ?一緒じゃないの?」


ミカサ「ええ、今日は朝練に来なかった…宿舎にいないの?」

401: 2013/12/14(土) 19:27:52 ID:mZjKpnE6

アルミン「うん…でも朝に物音がしてたから、いつも通りの時間に起きてたみたいだよ 訓練場にいないとなると…どこに行ったんだろう?」


ミカサ「…とりあえず朝食を食べて、それから探しに行きましょう」


アルミン「うん…」


ユミル「………」



結局その日、訓練にも彼の姿がなかった



ジャン「あいつ…本当に大丈夫なのか?」


アルミン「わからない…教官が街の病院に行っているって言ってたけど…」

402: 2013/12/14(土) 19:28:39 ID:mZjKpnE6

ベルトルト「ライナー……」


ライナー「あぁ、わかってる……」



日が沈み、辺りが漆黒の闇に包まれた頃、彼らはまた密会をしていた 



アニ「どうする?おそらくあいつは調査兵団に私達の正体をバラしに行ったはずだよ」


ライナー「アニの報告が正しければ三人で束になってもあいつに勝てるかわからない…何とか隙を突くしかないな」


ベルトルト「じゃあ…ここを一旦出るんだね?」


ライナー「あぁ……今夜中にも出たほうがいいだろう」


「その必要はない…」


ライ・ベル・アニ「!!」

403: 2013/12/14(土) 19:29:17 ID:mZjKpnE6

彼らはすぐさま声の主の方を向き、臨戦態勢に入った



エレン「よう…3年ぶりだな……鎧の巨人、超大型巨人、女型の巨人…」


ライナー「エレン…」ス…


エレン「ここで巨人化するつもりか?やめておけ…俺はお前達と戦うつもりはない」


ライナー「戦うつもりはない?…じゃあ何の為にここに来たんだ?」


エレン「少し話がしたくてな……」


アニ「……今日はどこに行ってたんだい?黒髪の巨人…」


エレン「やっぱり俺の正体もバレてたか……お前らの予想通り、調査兵団の本部に行ってきた…」

404: 2013/12/14(土) 19:29:47 ID:mZjKpnE6

ライナー「てことは周りに調査兵が待機してるのか…」


エレン「いや……俺一人だ」


ベルトルト「そんなの信じられないよ…」


エレン「どうして呼ぶ必要があるんだ?さっきも言ったろ?俺はお前らと戦うつもりはないって…」


ライナー(どういうことだ?もしかして俺達と手を組むつもりなのか?)


エレン「だが……お前らを頃すつもりはあるがな」ギロッ



彼が睨み付けると場の空気が凍りついた

405: 2013/12/14(土) 19:30:40 ID:mZjKpnE6

ライナー(凄い殺気だ……まるで大量殺人鬼のようだ)ゾクッ


ベルトルト(くっ…冷や汗が止まらない!)


アニ(やっぱりこいつは普通じゃない……)


エレン「…本当ならお前らを捕まえて情報を吐かせたほうがいいんだろうな……だが、お前らは俺にとって……親の仇だ だから……頃す」


ライナー(ど、どうする…!?このまま戦っても俺達が勝てるイメージがまったく湧かない…!!)


エレン「…なんてな!嘘だよ、頃すつもりもねぇよ ただ……それはお前ら次第だけどな」


ライナー「……どういうことだ?」

406: 2013/12/14(土) 19:31:12 ID:mZjKpnE6

エレン「この一年間…お前らと過ごしてきて色々あったが…全部が全部、嘘だとは思えない……お前らは俺達と暮らしていて、本当は楽しかったんじゃないのか?」


ライナー「………」


エレン「もちろん俺はお前らを許せない……母さんやたくさんの人達を頃したんだからな でも……憎しみは何も生まない……それにお前らにも背負ってるもんがあったんだろ?」


アニ「……まどろっこしいね あんたは私達をどうしたいの?」


エレン「助けたい……と思ってる お前らを救ってやりたいと思っているんだ」


ベルトルト「…僕達に協力して人類を滅ぼすってことなのかい?」


エレン「違う…お前らを戦士の使命から解放させたいんだよ」

407: 2013/12/14(土) 19:31:47 ID:mZjKpnE6

ライナー「それは無理だ…俺は…俺達は壁内人類を滅ぼして、絶対に故郷に帰るんだ!これだけは曲げられない…どんなことがあってもな」


エレン「つまり故郷に帰れればいいんだろ?だったら……もし、壁内人類を滅ぼさずに故郷に帰る方法があるとしたら…どうする?」


ライナー「そんな方法あるはずないだろ!!」


ベルトルト「……エレン、どんな方法なんだい?」


アニ「ベルトルト!?何を言ってんの!!」


ベルトルト「だってもしそんな方法があるんだったら、そっちのほうがいいに決まってるじゃないか!!僕はもうこれ以上……人を頃したくないんだよ…」


ライナー「ベルトルト……」


エレン「信憑性がないことを言っているのは自覚している…それでも俺を信じて、その方法を知りたければついてこい ただし、ついてくるならもう後戻りはできない もしその方法を知って逃げるのなら…容赦なく頃すからな」


アニ「ライナー…どうする?」

408: 2013/12/14(土) 19:32:19 ID:mZjKpnE6

ライナー「…ベルトルトはエレンについていきたいんだな?」


ベルトルト「うん…でも、ライナー達が行かないって言うなら僕もそれに従う……三人一緒じゃないと故郷に帰っても意味がないからね」


ライナー「…アニはどうしたい?正直な気持ちを教えてくれ」


アニ「私は………ベルトルトと同じだよ 本当は誰も頃したくなんかない…」


ライナー「…決まりだな」


エレン「…いいのか?そんな簡単に俺を信用して」


ライナー「お前はいい奴だ…それは一年間共に過ごしてきたからわかってる それに…俺が一番、使命から逃げたいと思ってたからな…」


エレン「そうか…じゃあついて来い」



彼らは訓練所の横にある森の奥へと歩み始めた

409: 2013/12/14(土) 19:33:05 ID:mZjKpnE6

スタスタ


ライナー「エレン、そろそろ教えてくれよ 一体どんな方法なんだ?」


エレン「もう少し待て…」


アニ「まさか…私達を騙してないだろうね?調査兵団が待ってるとこに連れて行くとか…」


エレン「そんなことしねぇよ それにこれは調査兵団の意思じゃない…俺の意思だ 俺が無理を言ってこうしてるんだ」


ベルトルト「どういうこと?」


エレン「もし俺が調査兵団にお前らの正体を伝えたならば、直ぐに抹頃しに来てただろう…今日、俺が本部に行ったのはお前らを売る為じゃない、ある物を取りに行っていたんだ」


ライナー「ある物?」


エレン「あぁ…全人類の希望だ……おっ、あいつも来てるみたいだな」

410: 2013/12/14(土) 20:41:39 ID:mZjKpnE6

ライナー「……あれは…ユミル!?」


ザッ


エレン「悪いな、少し遅れちまって」


ユミル「いや、私も今来たとこだ それより……敵はライナー達だったのか」


エレン「あぁ…」


ライナー「どういうことだ、エレン どうしてユミルがここにいるんだ!?」

411: 2013/12/14(土) 20:42:24 ID:mZjKpnE6

エレン「それは…ユミルも巨人だからだ」


ライナー「はあ!?」


ユミル「おう、ほんとだぞ」


ベルトルト「随分と軽いね!?」


ユミル「まぁ…あれだ お前達の仲間を食ったのが私だと思う」


ライナー「ベリックを!?」


ユミル「おう、多分な」


ベルトルト「だから軽いって!!」

412: 2013/12/14(土) 20:43:26 ID:mZjKpnE6

ユミル「なぁ…お前らは仲間を頃した私を恨むか?」


ライナー「……いや、あれはお前のせいじゃない 俺が弱かったからベリックを助けることができなかったんだ…言うなれば俺のせいだ…」


ベルトルト「ライナー…」


アニ「……あんたも女々しいね、いつまで引きずってんの?誰もあんたを攻めてないだろ?あれはあんたのせいじゃない……私達三人のせいだよ…」


エレン「…やっぱりアニって意外と優しいんだな」


アニ「……」ギロッ


エレン「無言で睨みつけんなよ、こえーな」ビクッ

413: 2013/12/14(土) 20:44:15 ID:mZjKpnE6

アニ「それよりさっさと本題に入りな」


エレン「はいはい……じゃあお互いに正体がわかったとこで本題に入るな」ガサガサ



彼は茂みからスコップを取り出した



エレン「ほい、ライナー」ポイッ


ライナー「うおっ!スコップをいきなり投げるなよ」パシッ


エレン「悪りぃ悪りぃ、それじゃあここを掘ってくれ」


ライナー「わかった…」ザクッ


ガキンッ!



地面を掘っていくと、何か硬いものに当たった

414: 2013/12/14(土) 20:44:48 ID:mZjKpnE6

ライナー「何かあったぞ」


エレン「サンキュー、ライナー そのカバンを貸してくれ」


ベルトルト「凄い頑丈そうなアタッシュケースだね」


エレン「立体機動装置のボンベと同じ素材でできてる特注品だ」


アニ「……その南京錠だけ随分ボロボロだね」


エレン「あぁ…これは元々、俺の父さんの地下室についていた物だからな 今はこのカバンにつけているんだ じゃあ…開けるぞ」チャリン



彼はいつも首にしていた鍵を取り出して、カバンの鍵を開けた

415: 2013/12/14(土) 20:45:36 ID:mZjKpnE6

ライナー「これは……薬?」


エレン「あぁ、これは………巨人化を解く薬だ」


ライ・ベル・アニ「!?」


ユミル「私は事前に聞かされていたが……本当にこれで普通の人間に戻れるのか?」


エレン「あぁ…既に実証済みだ」


ライナー「そ…そんなことができるのか!?」


エレン「できる!…しかしこの薬の製造方法がわからないんだ だから今はここにある4本と調査兵団にある1本の計5本しかない」


ベルトルト「じゃあどうやってこれを作ったの?」


エレン「これを作ったのは…俺の父さんなんだ」


アニ「こんなものを作れるってことは…あんたの親父も只者じゃないね」

416: 2013/12/14(土) 20:47:51 ID:mZjKpnE6

エレン「あぁ…俺の父さんはライナー達と同じように壁外から来た戦士…つまり、巨人だった」


ライナー「な、なんだと!?」


エレン「それじゃ薬について、父さんについて、そして……俺の正体について話していく」


ユミル「お前の正体って…巨人以外にもあるのか?」


エレン「じゃあまずは…俺の正体から話すな……」



そして彼は静かに語り始めた



エレン「俺の本当の名前はエレンじゃない…俺はN.3773……父さんの巨人化生体実験によって作られた殺人兵器なんだ」




423: 2013/12/15(日) 18:38:03 ID:6nGjAduo

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424: 2013/12/15(日) 18:38:42 ID:6nGjAduo

俺の父さん、グリシャ・イェーガーはこの壁内人類を滅ぼしにきた戦士だった



グリシャ(壁内の人類は本当に悪魔の末裔なのか…?まるでそんな風には見えない 私達と同じ普通の人間じゃないか…)



父さんは自分で物事の本質を見極めて、己の信念に従う人だった その為、使命に違和感を覚えた父さんはもっとよく壁内人類を知るためにも訓練兵となった
そして、父さんは壁内人類を愛してしまい、滅ぼす事をやめた



キース「ほんとに兵士をやめるのか?」


グリシャ「ああ、私は私にしかできないことをする だから兵士をやめて医者になる」


キース「そうか……さみしくなるな」

425: 2013/12/15(日) 18:39:21 ID:6nGjAduo

グリシャ「キース……私もだ、ここでお前に会えて本当によかったと思ってる」


キース「…元気でな、グリシャ」


グリシャ「ああ、お前もな……それとお前はこれからもっとさみしくなるぞ」


キース「どういうことだ?」


グリシャ「キース、この世には変えられない運命もあるんだ……頭には気をつけろよ」プッ


キース「??」

426: 2013/12/15(日) 18:40:18 ID:6nGjAduo

訓練兵を卒業した父さんは、壁外の医療知識も知っており、医者になって旅をしながら人々を救っていた そして、ある村で一人の女性に出会った 



グリシャ「遺伝子レベルで一目惚れです、結婚してください!」


カルラ「結構です」



二人は直ぐに(?)運命を感じ、そして結婚した



グリシャ「カルラ、そんなとこで何をしてるんだい?」


カルラ「お花を見てたのよ 私はこの花が大好きで、見てると心が安らぐのよ」


グリシャ「…私はお前を見ているだけで心が安らぐよ」ギュッ


カルラ「もう…」ギュッ

427: 2013/12/15(日) 18:40:54 ID:6nGjAduo

幸せな日々を送っていたが、父さんは一つだけ気がかりがあった



グリシャ(このままでは私と同じように壁外から戦士が来て、人類を滅ぼしてしまう……何とかしなくては…)



当時父さんは、ウォール・シーナも行き来できるほどの名医となっていた為、国王に会う機会がめぐってきた



グリシャ「このままでは壁内人類が滅ぼされてしまいます どうか壁外人類と和解してください」


国王「…貴重な情報ありがとう そなたのおかげで多くの民が助かるだろう」


グリシャ「あ、ありがとうございます!」

428: 2013/12/15(日) 18:41:24 ID:6nGjAduo

しかし、国王は腐っていた



国王「…始末しろ」


「ハッ!」



父さんが家に帰ると、そこには既に国王の指示によって父さんを頃しにきていた憲兵団がいた そして……



グリシャ「…カ…カルラ……」


カルラ「あ…あなた……」



父さんはその場にいた憲兵を頃し、血まみれの彼女を抱えて、人気の少ないウォール・マリア北区に向かった

429: 2013/12/15(日) 18:42:12 ID:6nGjAduo

グリシャ「カルラ!氏なないでくれ!!」


カルラ「わ…私はもう助からないわ……あなた…どうか……しあわせ…に……」


グリシャ「カルラあああああぁぁぁ!!」



そして父さんは変わってしまった



グリシャ「…シテヤル……コロシテヤル!!」



父さんはそのまま雪山に研究所を作って、ある研究をし始めた

それが「巨人化生体実験」だった

430: 2013/12/15(日) 18:43:07 ID:6nGjAduo

巨人である父さんであっても、内地の人間を一人で頃すのは不可能と感じたらしく、「殺人兵器」を作り上げようとしたんだ

人間以外の動物に巨人化の薬を打ってみたり、氏刑囚などを裏取引で買って、巨人化の薬を打ち、動物の細胞を入れてみたり……そんなような非人道的な実験をたくさんした しかし、そのほとんどが失敗に終わった



グリシャ「また失敗か……じゃあ次は…」



父さんは「巨人化生体実験」と並行して別の実験もしていた それは…



グリシャ「カルラ……必ず生き返らせてやるからな」



彼女の蘇生実験…いや、「クローン実験」をしていた

431: 2013/12/15(日) 18:44:37 ID:6nGjAduo

彼女が氏んだ所は極寒の地である北区だった為、父さんはすぐさま彼女を冷凍保存した 
もちろんそんなことをしても彼女は氏んでいる 
父さんはそこ(彼女)から細胞を取り出し、培養していた



グリシャ「こっちも駄目か……」



冷凍保存した細胞を溶かせば、その細胞は直ぐに氏滅する 
ましては既に氏んだ人の細胞だ…培養することなどできるはずが無かった 
例えできたとしてもただの細胞のまま…人になることなど不可能だった



グリシャ「はぁ……」



失敗続きで諦めかけていた父さんは、彼女の遺品であった日記を読み始めた

432: 2013/12/15(日) 18:45:26 ID:6nGjAduo

するとそこには驚くべきことが書かれていた



『今日、あの人には内緒で病院にいった そしたらなんと、赤ちゃんができていた!!早くあの人を驚かせたいな~♪女の子かな?それとも男の子かな?どっちにしてもあの人に似て優しい子になるんだろうな』


グリシャ「うぅ……カルラ……」ポロポロ



その日は彼女が襲われた日だった



グリシャ「………」



そして父さんはさらに壊れた

433: 2013/12/15(日) 18:46:57 ID:6nGjAduo

父さんは「巨人化生体実験」と「クローン実験」を組み合わせた 
つまり、巨人の再生能力を用いて、氏んでいる彼女の細胞を再生させる実験だ

しかし、それでも成功することはなかった 
ついに彼女の細胞からクローンを作り出すことはできなかった だが………



グリシャ「せ…成功だ……成功だああああぁぁぁぁ!!」



一つの細胞が奇跡的に増殖し、培養することができた 
その細胞は彼女のものではない……彼女のお腹にいた、まだ人の姿にすらなっていない彼らの赤ちゃんの細胞だった

父さんは氏ぬほど喜んだ だがそれは赤ちゃんのクローンができたからではない



グリシャ「アハハハハ!!殺人兵器の完成だ!!これであいつらを……ミナゴロシニデキル!!」



こうして俺は作られた

434: 2013/12/15(日) 18:48:36 ID:6nGjAduo

グリシャ「マダダ…モットダ……」



さらに父さんは俺の「元」に細胞を注入した 
動物の細胞を加えると制御できなくなることがわかっていたので、父さんは俺に氏刑囚、つまり極悪な殺人鬼達の細胞を加えていった
大量殺戮兵器を作り出すために……

通常、他の人の血や細胞が体内に入ると体の免疫機能が働き、その細胞を攻撃して氏滅させる 
しかし父さんはあらかじめ巨人化させた殺人鬼の細胞を用いることでその問題を解決した

だがそれは……彼らの赤ちゃんのクローンと言えるのか?

……言えないだろう



グリシャ「クックック……ついに殺人兵器が生まれた……」



こうして俺は人の形をした殺人兵器として生み出された

435: 2013/12/15(日) 18:49:31 ID:6nGjAduo


グリシャ「お前は…実験番号3773……これからたっぷりと教えてやるからな…人の頃し方を…」



俺は物心がつく前から父さんから暗殺術を学び、多くの生き物を頃した

虫を頃した

ネズミを頃した

ウサギを頃した

オオカミを頃した

人を頃した

クマを頃した

4歳の頃には巨人化を操って、巨人を頃した

頃す事しかしてこなかった日々を過ごしてきた…だが、俺にもそんな日々の中で楽しみがあった

436: 2013/12/15(日) 18:50:18 ID:6nGjAduo

グリシャ「フハハハハハ!!N.3773は最高の殺戮兵器だあああ!!」


グリシャ「クックック……ん?あいつ…どこに行きやがった?」


スタスタスタ


N.3773「………」ジー


グリシャ「…3773、何を見てるんだ?」


N.3773「……花」


グリシャ(!!…こ…この花は……カルラが好きだった花…)

437: 2013/12/15(日) 18:51:56 ID:6nGjAduo

グリシャ「…な、なぜこの花を見てるんだ!?」


N.3773「……心が…安らぐから…」


グリシャ「!!」



カルラ『お花を見てたのよ 私はこの花が大好きで、見てると心が安らぐのよ』



グリシャ「カ…カルラ………」ポロポロ


N.3773「マスター!?」

438: 2013/12/15(日) 18:52:50 ID:6nGjAduo

グリシャ「ぅぅ……」ポロポロ


N.3773(ど…どうしよう……)アタフタ



『どっちにしてもあの人に似て優しい子になるんだろうな』



グリシャ(私がこいつを…この子を兵器にしてしまった……)ポロポロ


グリシャ「……」ギュッ


N.3773「マ、マスター!?」



その日、初めて俺は父さんのぬくもりを感じた



グリシャ「すまなかった……私が間違っていた…これからもう…何も殺さなくていい…」


N.3773「え!?じゃ、じゃあ私はもう不要ってことですか!?」

439: 2013/12/15(日) 18:54:15 ID:6nGjAduo

グリシャ「違うんだ…これからは私の息子として…二人で生きていこう」



その時の俺には、その言葉が理解できなかった 
頃す以外に俺の存在意義が見当たらなかったから…



グリシャ「まず初めにお前に名前をやらないとな そうだな……グリラ!…違うな
…カルシャ!…これも違うな、う~ん……」


N.3773「…私はこの3773という名を気に入ってます……マスターが付けてくれた名だから…」


グリシャ「……!」ピコーン!


グリシャ「じゃあお前はエレンだ!!」


N.3773「エレ…ン?」


グリシャ「ああ!N.3773を逆さにしてELLENだ!どうだ?」

440: 2013/12/15(日) 18:55:15 ID:6nGjAduo

エレン「エレン……」


グリシャ「…ダメか?」


エレン「…いえ、嬉しいです とても…」


グリシャ「これからよろしくな、エレン」ニコ


エレン「は、はい!」



その日から俺は幸せだった
まず喋り方を変えさせられ、その後に教養や医学知識などを教えてもらった
父さんにたくさん、愛してもらった
5歳の誕生日にはプレゼントも貰った

441: 2013/12/15(日) 18:56:08 ID:6nGjAduo

グリシャ「エレン!誕生日おめでとう!」


エレン「あ、ありがとう、父さん//」


エレン(誕生日なんて初めてだ…)ドキドキ


グリシャ「じゃーん!なんとお前にプレゼントを用意してあるぞ!」


エレン「ほ、本当に!!」パアァ


グリシャ「あぁ、開けてみなさい」


エレン「何かな何かな~♪あっ!大好きな赤い色のマフラーだ!ありがと父さん!」


グリシャ「エレン、巻いてみなさい……」


エレン「どう?似合ってるかな?」

442: 2013/12/15(日) 18:57:07 ID:6nGjAduo

グリシャ「あぁ…とても似合ってるよ……エレン、そのマフラーは実はカルラ…つまりお前の母さんに私がプレゼントした物だ」


エレン「え!?そんな大切な物もらえないよ!」


グリシャ「いいんだ……カルラもお前にもらってほしいと思ってるさ、きっと…」


エレン「…俺、このマフラーを宝物にするよ」


グリシャ「あぁ、大事にしなさい……それかもし今後、好きな人が…お前にとって大切な人ができたら、そのマフラーをあげてやりなさい」


エレン「ヤダよ、俺の宝物だから氏ぬまで俺のだ!」


グリシャ「ハハハ!お前にもいつかわかる時がくるさ」

443: 2013/12/15(日) 18:58:11 ID:6nGjAduo

この頃の父さんはまだ実験をしていた
でもそれは人を頃す為の「巨人化生体実験」ではなく、みんなが幸せになる為の「巨人化を解く薬」の開発だった



グリシャ「エレン…これから壁外に行って薬草を取ってくる だからここを少しだけ空ける」


エレン「壁外って…地下室があるとこ?そこなら近くだから俺も手伝うよ!」


グリシャ「残念ながらそこじゃない 北に生えている薬草では作れそうもないから、比較的暖かい南に行くんだ」


エレン「じゃあ俺も南に一緒に行く!」


グリシャ「エレン……お前はここで留守番をしていてくれ」


エレン「どうして!?俺も行きたいよ!一人じゃさみしいよ…」


グリシャ「南は巨人がいっぱいいて危険なんだ…それにお前にはこれ以上、巨人の力を使わせたくないんだ…わかってくれ」

444: 2013/12/15(日) 18:59:44 ID:6nGjAduo

エレン「…わかったよ でも!早く帰ってきてよね!一日ぐらいで!」


グリシャ「一日はさすがに無理だな…最低でも一週間ぐらいかかと思う」


エレン「長いよ…じゃあ絶対に帰ってきてね 俺を一人にしないでね」


グリシャ「ああ、もちろんだ 私の帰りを待つ者がいるんだから氏ねないさ じゃあいってくる」


エレン「いってらっしゃい、父さん」



そして10日後、父さんは無事に帰ってきた



グリシャ「エレン!!」


エレン「父さん!おかえり!」

445: 2013/12/15(日) 19:00:30 ID:6nGjAduo

グリシャ「聞いてくれエレン!薬が完成しそうなんだ!!」


エレン「ええ!?本当に!!」


グリシャ「ああ!珍しい薬草があって今までの薬の成分と調合してみたらいい感じになったんだ!だから今から研究に没頭して一気に完成させる!悪いが家事を頼めるか?」


エレン「任せて!掃除、洗濯はもちろん、元気の出るように美味しい料理も作ってあげるよ!」ニコ


グリシャ「お前は私にとって最高の息子だな…」ウル



この日から父さんは、ほぼ毎日徹夜で研究に没頭した
そして俺が6歳になった頃に、その薬は完成した

446: 2013/12/15(日) 19:01:37 ID:6nGjAduo

グリシャ「エレン!!ついに完成したぞ!!これで巨人になった人々も人間に戻すことができる!!」


エレン「おめでとう、父さん!!」


グリシャ「薬草が少なかったから今は6本しか作れなかったが、これを量産していけば壁外人類も壁内人類も全員幸せになれる!」


エレン「父さんは英雄だね!!」


グリシャ「おっと…」フラ


エレン「大丈夫!?」


グリシャ「最近ほとんど寝てなかったからな……エレン、私は少し寝かせてもらう」


エレン「うん!じゃあ俺は父さんの為に熊でも狩ってくるよ!」

447: 2013/12/15(日) 19:02:41 ID:6nGjAduo

グリシャ「…ありがとな、エレン だが、絶対に力は使うなよ」


エレン「わかってるよ、父さん……じゃあ行ってくる、楽しみに待っててね」


バタンッ


グリシャ(さて…薬は試験用に1本だけここに置いておいて、残りの5本は安全な地下室に保管しておくか…寝るのはその後だな)



これが…俺が人生で一番後悔した選択だった



ガチャ


グリシャ(ん?エレンはまだ帰ってないのか…鍵は引き出しにしまってと…)

448: 2013/12/15(日) 19:03:32 ID:6nGjAduo

グリシャ「さて……寝るか」


「久しぶりだな……マッドサイエンティスト」


グリシャ「!?」



俺が熊を狩りに出かけている隙に、最悪の訪問者が訪ねていたんだ



グリシャ「お、お前は…!?」


「どうした?大切なモルモットの顔を忘れちまったか?」



その訪問者は俺が作られる前の「巨人化生体実験」の成功者…しかし、凶暴な獣の細胞を元々極悪な殺人鬼に埋め込んだ為、まったく言うことを聞かなかった失敗者でもあった

449: 2013/12/15(日) 19:04:13 ID:6nGjAduo

「力をくれたお前にお礼を言いにきたんだが……なんだこれは?」パラ


グリシャ「それは!?」


「『巨人化を解く薬の製造方法』……何をしてんだ?お前は良い子ちゃんじゃないだろ?このマッドサイエンティストが!」


グリシャ「それを返せ!!」


「…嫌だね~」ビリビリ


グリシャ「貴様!?それがあればお前も元の人間に戻ることができるかもしれないんだぞ!!」


「別に戻る必要ないし 俺はこの力を使って前よりも殺戮を楽しんでたんだよ~♪これも全部、お前のおかげだ!!」

450: 2013/12/15(日) 19:04:58 ID:6nGjAduo

グリシャ「あぁ、知ってるさ…私はあの時、お前を殺せずに逃がしてしまったことを悔いている そして、今からその悔いを……解消する!!」ガリッ


カッ!!


「巨人化したか……じゃあ俺も」ガリッ


カッ!!



そして俺が帰宅した時には研究所はボロボロに壊されていた



エレン「は!?なにがあったんだよ!!父さん!!どこにいるんだ!?返事をしてくれ!!」


エレン「ん?この足跡は…巨人!?」



俺は雪に付けられた足跡を追った

451: 2013/12/15(日) 19:06:15 ID:6nGjAduo

エレン(父さん…父さん…)ハァ ハァ


エレン「!?と、父さん!!」



そして俺は、3m級の獣の巨人に握り締められている父さんを見つけた



グリシャ「エ…エレン……ぐっ…!!」ガハッ


エレン「父さん!!」ダッ


「ん?何だあのガキは?…もしかして俺と同じモルモットか?」


エレン「父さんを放せ!!」



奴は大きく伸びたオオカミのような口、鋭い牙と爪があり、巨人化しても普通に喋ることができた

452: 2013/12/15(日) 19:07:26 ID:6nGjAduo

「…ま、放してやってもいいがもう助からないぞ?こいつに薬を打って巨人化を解いたから、ぐちゃぐちゃになった内臓は再生されない つまり…アウトー♪」


エレン「何!?」


「てか、マジで巨人化を解く薬を作ったんだな そんなしょうもないもん作らずに前みたいに殺人兵器でも作ってりゃよかったのに…お前もそう思うだろ?」


エレン「テメェ……」ギロッ


「うおっ!?……な、なんだこいつは!?スゲー殺気だな…やっぱりお前もこいつによって改造された殺人兵器か…子供にまで手を出すなんて頭イカレてんな、こいつも…」


エレン「違う…俺は父さんによって生み出された殺人兵器だ…」


「マジで!?試験管ベイビー!?……ちょっとお前の強さに興味が湧いたよ」ポイッ

453: 2013/12/15(日) 19:08:03 ID:6nGjAduo

ドサッ


グリシャ「エ…エレン…ダメだ!ち、力を使うな!!お前は兵器なんかじゃない!一人の人間なんだ!!」


エレン「…ごめん…父さん……俺はこいつを…許せない!!」ガリッ


カッ!!


黒髪の巨人「……」シュウゥゥゥ…


「へぇ~…15m級か ま、デカイだけじゃ俺には勝てないけどな!」ダンッ!


ダンッ!  ダンッ!  ダンッ!


「どうだ!!俺のスピードについてこれないだろ!!」



奴は確かに速かった
だが、俺にとって奴の動きは止まって見えていた

454: 2013/12/15(日) 19:08:35 ID:6nGjAduo

黒髪の巨人「……」


(動きすらしねぇ…俺を見失ってんのか?ま、俺が最強ってことがこれで証明されたな)ダンッ!


「これでチェックメイトだああ!!」グワッ



そして項目掛けて飛んできたから俺は……



黒髪の巨人「……」ギロッ


「あ?」


黒髪の巨人「アアアアアッ!!」ブンッ


ベチャ



一発で殴り潰してやった

455: 2013/12/15(日) 19:09:43 ID:6nGjAduo

黒髪の巨人「アアアアアアアアアア!!」ブンッ! ブンッ! ブンッ!



既に氏んでいた奴を何度も殴り、原型を無くしてやった



「」シュウゥゥゥ……



俺はすぐさま巨人体から抜け出し、父さんの元へ駆け出した



エレン「父さん!!」


グリシャ「はぁ…はぁ…す…すまない お前に力を使わせてしまって…」


エレン「俺のことはいいから喋らないで!今、治療するから!」


グリシャ「無駄だ……握り潰されかけたんだぞ…私の内臓はもう、ボロボロだよ…」


エレン「ひどすぎるよ!自分一人で逃げるつもりなの!?」ポロポロ

456: 2013/12/15(日) 19:10:13 ID:6nGjAduo

グリシャ「……すまない」


エレン「父さんなんか嫌いだ!父さんなんか大ッ嫌いだぁ!!父さんなんか…父さんなんか……」


グリシャ「……エレン…私はお前のことを……愛してるよ」


エレン「!!」ブワッ


エレン「父さん!氏なないでよ!!お願いだから、俺を一人にしないでよ!!」ボロボロ


グリシャ「エレン…お前は精一杯生きるんだぞ……人間…として……な………」


エレン「わかったから父さん!だからこれからも俺の成長を見ててくれよ!!その目で見ててくれよ!!」ボロボロ



そして父さんは息を引き取った

457: 2013/12/15(日) 19:11:45 ID:6nGjAduo

エレン「返事をしてくれよ!!お願いだから……」ボロボロ



俺は生きる意味を失った
俺にとって父さんは全てだったから……



エレン「ぅう……うわああああああああああああ!!」



ただ…泣くことしかできなかった………



エレン「父さん……カルラさんと同じとこで眠らしてあげるよ」



俺は父さんを彼女の墓に埋めてあげた

458: 2013/12/15(日) 19:12:19 ID:6nGjAduo

エレン(………)ザッ ザッ ザッ


エレン「……ただいま」



その後俺は一旦研究所に戻った



ガサガサ ゴソゴソ


エレン「おっ、あったあった」チャリン


エレン(…この鍵は俺が肌身離さず持っていないと……)ス…

459: 2013/12/15(日) 19:13:34 ID:6nGjAduo

俺は薬が保管されていた地下室の鍵を持って…



エレン「父さん……俺、精一杯生きるよ」


ザッ  ザッ  ザッ


生まれ育った研究所を後にした

俺は父さんの最後の言葉を胸に刻み、人間として生きる為に…自分の存在価値を証明する為に、父さんと同じように医者になって旅をしていたんだ

父さんが氏んでから2年後、俺はある人達と出会った そして…



ミカサ母「エレン!あなたは今日から私達と一緒にここに住みなさい!」


エレン「ええ!?」


ミカサ「本当に!?やったあー!」



半ば強引に俺はミカサ達の家族となった

460: 2013/12/15(日) 19:14:28 ID:6nGjAduo

俺はそこで父さん以外の人から初めて愛情を…幸せを感じた

しかし…それも長くは続かなかった



ドスッ


ミカサ父「…う……!?…ぅ……」ガクッ


エレン「なっ!?」


「どうも失礼します」



俺は幸せになりすぎて忘れてしまっていた…世界は残酷だということを……

461: 2013/12/15(日) 19:15:26 ID:6nGjAduo

ミカサのお父さんを失った俺は、ある決心をした



ミカサ母「エレン……こんな運命…辛すぎるわ……あなたがかわいそう…」ポロポロ


エレン「…俺は辛くなんかないよ……今まではこの『力』を使わないようにしてきた…人助けをしたいと思っても、やっぱり自分が一番大事だったからね 
でも……もう俺には……自分より大事な人達ができたから…この『力』を……使う」


ミカサ母「エ、エレン!やっぱり、ずっと一緒にいましょう!私があなたを守るから!」


エレン「…もう決めたんだ 俺は行くって…少しでも家族が平和に暮らせるのなら…俺は……」グッ



家族の幸せのために、ミカサ達が生きるこの世界を少しでも平和にするために、父さんが残してくれた巨人化を解く薬を完成させると…

462: 2013/12/15(日) 19:15:57 ID:6nGjAduo

___________________
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_________
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466: 2013/12/15(日) 21:38:53 ID:6nGjAduo

エレン「そして俺はミカサ達と別れてお前らが来る前まで約一年間、壁外で薬に必要な薬草を探していたんだ……ま、だいたいこんな感じだ」



彼が話し終えても、誰も言葉を発そうとしなかった



ライナー(想像以上だ……エレンはこんなにも苦しんできたのか…)


ベルトルト(僕には…耐えられない……)


アニ(エレン……あんたは強いんだね)


ユミル(命の大切さを教えたい……クリスタに対して言ったのはこのためか
……やべっ、がらにもなくウルっときちまったじゃねぇか)ゴシゴシ


エレン「……何か話せよ ちなみにこれを知ってるのは調査兵団のエルヴィン団長とリヴァイ兵士長、ハンジ分隊長、そして元団長のキース教官だけだ」


ライナー「な…なぁエレン……お前は辛くないのか?」


エレン「父さんやおじさん、母さんを失ったことは正直辛い……だからお前達を憎んでないといえば嘘になる…でもわかったろ?憎しみは人を悲しくさせるだけだ…こんな殺人兵器まで作っちまうんだからな」

467: 2013/12/15(日) 21:39:29 ID:6nGjAduo

アニ「……あんたは兵器じゃない……立派な人間だよ」


エレン「…やっぱりアニは優しいんだな」


アニ「あんたほどじゃないよ…」


エレン「それでこの薬の開発を今、調査兵団に頼んでいる おそらくあと5、6年はかかると思う…」


ライナー「そうか……じゃあ俺はこれを使わない」


エレン「はあ!?今更なに言ってんだ!!」


ライナー「落ち着けエレン、そういう意味で言ったんじゃない これは貴重なサンプルなんだろ?一つでも多いほうがいいだろ」


ベルトルト「そうだね……それに今、巨人の力がなくなったら壁外からまた戦士が来たときに対応できなくなるしね だから僕もいらないよ」

468: 2013/12/15(日) 21:40:27 ID:6nGjAduo

アニ「じゃあ…私もいr―ライナー「駄目だ」


アニ「はあ?あんたなに言ってんの?」


ライナー「アニは薬を打て…お前はもう、戦士でいる必要はない」


ベルトルト「僕達二人いれば十分だから…」


ユミル「…だがもし巨人であることがバレた時を考えると、アニを残しておいたほうがいいんじゃねぇのか?鎧と超大型は言うなれば絶対悪みたいなもんだからな」


ライナー「…だからだ アニの正体はまだ世間には広がってない」


エレン「確かに、女型の巨人は調査兵団の一部の人間しか知らないはずだ」


ベルトルト「このまま人間になれば巨人だった証拠もなくなる」


アニ「で、でも……」


ライナー「それに俺達は罪を償わなくちゃいけないからな……」

469: 2013/12/15(日) 21:41:31 ID:6nGjAduo

エレン「……あぁ、それは俺もそう思う だからこそお前達は氏なずに生きて、殺された人々の為にも苦しまないといけないんだ…もちろん俺もな」


ベルトルト「うん……」


エレン「…だからといって幸せになっちゃ駄目だとは、俺は思わない だからお前らも幸せになっていいんだぞ?」


ライナー「あぁ…ありがとな、エレン 全てが片付いたら、苦しみながらも幸せになることにするよ…」


ユミル「…じゃあ私は遠慮なく薬を打たせてもらうぞ?」


アニ「…本当に私もいいの?」


ベルトルト「もちろんだよ…アニはもう普通の女の子になっていいんだよ」ニコ


アニ「なによそれ」フフ

470: 2013/12/15(日) 21:42:37 ID:6nGjAduo

ライナー「これで少しは腕力も女になれば、お前も可愛くなるんだがな!」ハハハ


アニ「」イラッ


バキッ
   グルン
       ドサッ


ライナー「」チーン


エレン「お前はバカか?」


アニ「ったく…私だけ仲間外れにして…」


ベルトルト「僕達は巨人だから仲間じゃないでしょ?アニはいつまでも僕達の仲間だよ」


アニ「…ありがと、ベルトルト…一応、ライナーもね」

471: 2013/12/15(日) 21:43:59 ID:6nGjAduo
ユミル「じゃあ……打つか」


アニ「…」コクリ


ブスッ



そして彼女達は薬を打った



ユミル「……おおっ!注射痕が治らねぇで、血がドバドバ出てる!」


アニ「ほんとにこれで私はもう……戦士じゃないの?」


エレン「あぁ…もうみんなと仲良くしていいんだぞ」ユミル、コノガーゼヲツカエ


アニ「…別に戦士だからあんた達と仲良くしてなかったわけじゃないんだからね」プイッ


エレン(おぉ…これがツンデレってヤツか)


ベルトルト(最高に可愛い…)

472: 2013/12/15(日) 21:44:57 ID:6nGjAduo

ユミル「…じゃあこのお礼は体で払えばいいのか?」


エレン「結構です!お前は何回そのくだりをやるんだよ!!」


アニ「へぇ~…あんた達ってそういう関係だったんだ」


エレン「どこをどう見ればそういう関係になるんだ!?」


ベルトルト「ミカサがいるのに…かわいそうだよ、エレン」


エレン「何でそこでミカサが出てくんだよ!」


アニ・ベル・ユミ「え!?」


エレン「え?」

473: 2013/12/15(日) 21:45:27 ID:6nGjAduo

ベルトルト(どういうこと?僕はてっきり二人ともできてるもんだと思ってたんだけど…)コソコソ


ユミル(これは二人とも自覚してないパターンだな…そうだ!お礼にあいつらに自分の気持ちを気づかせてやるってのはどうだ?)コソコソ


アニ(面白そうだね……乗ったよ)コソコソ


ユミル(お前もこういうの好きだったんだな……)コソコソ


アニ(う、うるさい!)コソコソ


エレン「ライナ~俺だけ除け者にされてるんだけど…」ユサユサ


ライナー「ぅ…ぅ~ん…イテテテ、まったくアニは手加減ってものを知らないな」

474: 2013/12/15(日) 21:46:08 ID:6nGjAduo

エレン「…それよりほんとにいいのか?お前らは薬を打たなくて?」


ライナー「あぁ…壁外は友好的な奴らばっかじゃないからな」


エレン「…そういえばこの間、壁外に人語を喋る獣の巨人がいたみたいなんだが…」


ライナー「それは本当か!?」


ベルトルト「どうしたの?」


ライナー「大変だ!猿の巨人が近くまで来たらしいぞ!!」


アニ「あいつが!?」


エレン「さる?」


ユミル「その猿の巨人ってのは一体何なんだ?」


ライナー「猿の巨人は…俺達に壁内人類を殺せと命じた張本人だ」

475: 2013/12/15(日) 21:46:56 ID:6nGjAduo

エレン「何だって!?それとさるって何だよ?」


ユミル「その猿が来てるとマズイのか?」


ライナー「あぁ…あいつは壁内人類を根絶やしにしないと気がすまないはずだ」


エレン(もうさるが何なのか…聞くのはやめよう)


ベルトルト「あいつは『座標』だからね…敵にしたら一番厄介だよ」


ユミル「座標?」


ライナー「巨人を操ることができる人物のことを『座標』って呼んでんだ…壁内にも『座標』はいるって聞いていたが…エレンじゃないよな?」


エレン「あぁ、俺じゃない…もしかすると父さんかも知れない 父さんは巨人が少ない北区域とはいえ、壁外に地下室を作ったからな 巨人を操って動きを止めてる間に作ったんじゃないか」

476: 2013/12/15(日) 21:47:29 ID:6nGjAduo

ライナー「だとするともう『座標』はいないというわけか…あいつの対抗手段がないな いつ来るかもわからないし、やっぱり訓練兵をやめたほうがいいか……」


エレン「それは大丈夫だ 二年はこっちに来ないらしいぞ…ただし二年後に一気に滅ぼしに来るって言っていたそうだ…」


ライナー「やはりか……」


ユミル「私達も薬打たなきゃよかったな…戦力ダウンじゃねぇか」


エレン「必要ない……俺が壁を…平和を壊させやしないさ」


ライナー「エレン…」


ユミル「…なあ、この薬を持ってくる時に調査兵団の誰かにあったのか?」


エレン「あぁ…リヴァイ兵長にあった そして…黙っててくれたよ」


ユミル「だが、訓練兵に巨人がいるってことはバレちまってんだろ?」

477: 2013/12/15(日) 21:48:48 ID:6nGjAduo

エレン「あぁ、そうだ 俺は全員薬を打つから問題ないと思ってたんだが…」


ライナー「いいんだよ、これで……まぁ、その代わりに俺達の知っている情報を全て話す それで口止めしてくれるよう頼んでくれないか?」


エレン「もちろんいいぞ」


ライナー「じゃあ話すぞ」



彼はライナーから壁内人類の犯した罪、壁の中にいる巨人、今の壁外の状況について話した



エレン「そうか……話してくれてありがとな」


ライナー「いいって…それよりこれからどうする?」


エレン「とりあえず俺はこの情報をエルヴィン団長に伝える その後は二年後に備えて調査兵団と駐屯兵団で壁の護衛を固めるだろう…俺達はいままで通り、ここを無事に卒業するだけだ」

478: 2013/12/15(日) 21:49:37 ID:6nGjAduo

ライナー「そうか……じゃあ最後にもう一つお願いがある」


エレン「なんだ?」


ライナー「俺を殴ってくれ」


エレン「はあ?…俺、Sじゃないぞ?」


ライナー「違う!俺だってドMじゃない!!」


ベルトルト(それはどうだろうか…)


ライナー「俺達がお前の母親を頃したのは紛れもない事実だ…」


エレン「だからそれは…」


ライナー「わかってる!お前は優しいから許してるが、俺の気がすまないんだ!!だからせめて思いっきり殴ってくれ!!」

479: 2013/12/15(日) 21:50:07 ID:6nGjAduo

エレン「…わかった だが、いつか本当のことを言える時が来たら、ミカサにもちゃんと謝ってくれよ?」


ライナー「あぁ、最初からそのつもりだ あいつになら殺されてもいいと思ってる」


エレン「大丈夫…あいつはそんなことしねぇよ………半頃しぐらいにはするかもな」


ライナー「ははは…そうだな」


ベルトルト「エレン…ライナーが終わったら僕もお願い…そもそも僕が頃したんだから……」


エレン「…わかった じゃあ、ライナー…いくぞ!」グッ

480: 2013/12/15(日) 21:51:21 ID:6nGjAduo

___________________


スタスタ


ユミル「こんな時間に戻ったらハゲ教官に怒られちまうじゃねぇか……」


エレン「それは大丈夫、今日は夜の徘徊は無しにしてくれたんだ」


ユミル「そりゃあよかったぜ それにしても…お前ら、傷を治さなくていいのか?」


ライナー「あぁ…寝てる間に治るから、せめてその前まではこの痛みで罪悪感が薄れるんだ…」ヒリヒリ


ユミル「…歯、何本いった?」


ライナー「…3本」

481: 2013/12/15(日) 21:52:10 ID:6nGjAduo

ベルトルト「おくはあごがはずえちゃったよ」プラーン


エレン「ごめんな、ベルトルト 少し強すぎたよ」


アニ「私もしてもらいたいんだけど……」


エレン「俺が営倉行きになっちまうよ…ならアニには対人格闘で俺と組んでもらうかな お前の格闘術は凄いから、技術を盗みたいんだよ」


アニ「…わかった、たっぷりしごいてやるよ」フフ


ユミル(こいつらの会話が卑猥に聞こえるのは私だけか?)

482: 2013/12/15(日) 21:52:59 ID:6nGjAduo

___________________

翌朝


エレン「ミカサ、おはよう!」


ミカサ「おはよう、エレン……昨日は病院に行っていたと聞いてたけど…体は大丈夫だったの?」


エレン「あぁ、おかげさまで体調はバッチリだぜ!」


ミカサ「そう…ならよかった」


エレン「心配してくれてありがとな、ミカサ」


ミカサ「……私達は家族、心配するのは当たり前 早く朝の訓練を始めましょう」


エレン「おう!」

483: 2013/12/15(日) 21:53:57 ID:6nGjAduo

エレン(ライナー達のことも解決したし、後はこいつを笑わせるだけだな……)フラ


エレン「!?」ガクッ


ミカサ「エレン!?」


エレン「大丈夫だ、心配いらねぇよ 少しこけただけだ……」


ミカサ「そう……でも本当に体には気をつけて」


エレン「あぁ…わかってる」


エレン(……あと2年だけでいいから…頼むからもってくれよ、俺の体…)



彼はライナー達に伝えてないことがあった


作られし命は…短命であるということを……

491: 2013/12/21(土) 01:15:25 ID:l.PdM5c6

――食堂――


ワイワイ  ガヤガヤ


ライナー「……何か胸がスー…っとするな」


ベルトルト「うん…僕達はもう、戦士じゃないからね」


ライナー「これからはお前も皆と仲良くしろよ?」


ベルトルト「わかってるよ、ライナーは心配性だな……あっ!アニが来たよ オーイ、こっちこっち!」フリフリ


スタスタ


ミーナ「珍しいね、ベルトルトが大声をあげるなんて」


ベルトルト「そう?それより二人とも一緒に食べようよ」

492: 2013/12/21(土) 01:16:02 ID:l.PdM5c6

アニ「まったく…露骨に変わるんだから」ハァ


ミーナ「どうしたの?アニ」


アニ「何でもないよ、早く食べちゃおう」


カチャカチャ


ミーナ「でも本当に珍しいね 二人が私達と食べたいなんて…」モグモグ


ライナー「そうか?まぁ、これからはよく誘うかもな」ゴクゴク


ミーナ「もしかして……私の魅力に惹かれちゃった?」


ライナー「ハハハハ!そういうことにしといてやるよ」

493: 2013/12/21(土) 01:16:47 ID:l.PdM5c6

ミカサ「…アニ、何かあったの?」


アニ「?…どうしてそんなこと聞くんだい?」


ミカサ「いえ、いつもより表情が柔らかいから、いいことでもあったのかと…」


アニ「まるでいつもは表情が硬いみたいな言い方だね」


ミカサ「ええ、その通り」


アニ「」イラッ


アニ(少しはオブラートに包むぐらいしなよ……なら…)


アニ「もしそう感じるのなら…エレンのおかげだね」


ミカサ「エレンのおかげ?」

494: 2013/12/21(土) 01:17:17 ID:l.PdM5c6

アニ「でしょ?」


エレン「まぁ、そうだな」


ミカサ「………」


アニ「今日の対人格闘も私と組みたいんだよね?昨日、あんたから誘ってきたし…」


エレン「おう、頼むな!」


アニ「ああ、任せな あんたに色々と教えてあげるよ…寝技とか」


ミカサ「…エレン、先に席に着いてる」スタスタ

495: 2013/12/21(土) 01:17:59 ID:l.PdM5c6

エレン「お、おう………何であいつは少し怒ってんだ?」


ミーナ「エレン…それ本気で言ってるの?」ハァ


エレン「??」


ライナー「アニもあまりミカサをからかうんじゃないぞ それに……」チラ


ベルトルト「………」ムスー


ライナー(ベルトルトが妬いちまうしな)クスッ

496: 2013/12/21(土) 01:18:45 ID:l.PdM5c6

――男子浴場――


コニー「今日も訓練が終わったぜー」ピョン


ザバァン!


コニー「はぁ~…癒されるなぁ」ゴクラク ゴクラク


ベルトルト「こら、コニー 体を洗ってから湯船に入らないと駄目でしょ」


コニー「あぁ、悪い悪い」ザバッ


エレン「はぁ…」ドヨーン


ライナー「ん?どうしたんだ、エレン?そんなに落ち込んで…」


エレン「ミカサの奴、今朝から怒ってたろ?結局、今日一日ずっと何かに怒っててあんまり話せなかったんだ」

497: 2013/12/21(土) 01:19:19 ID:l.PdM5c6

ジャン「どうせまた、お前が何かしたんだろ?……怒ってもらえて羨ましいぜ」ドヨーン


マルコ「ジャンまで落ち込むことないでしょ、いつも通りなんだから」


ライナー「意外と毒舌だな、お前」

エレン「俺…何かしたのかなぁ……?」ドヨーン


ベルトルト「……ねぇ、エレンってどんな女性がタイプなの?」


エレン「な、なんだいきなり!?」


ベルトルト「あまりエレンってこういう話に入ってこないでしょ?それで気になってね」


ジャン「お前も入ってこないだろ」

498: 2013/12/21(土) 01:20:06 ID:l.PdM5c6

マルコ「……何かベルトルト、雰囲気変わったよね」


ベルトルト「…そう?」


マルコ「うん、僕達に心を開いてくれたみたいで嬉しいよ」ニコ


ベルトルト「…ありがと、マルコ」


エレン(今のうちに…)ソー


ライナー「なに逃げようとしてんだ」ガシッ

499: 2013/12/21(土) 01:20:40 ID:l.PdM5c6

エレン「ぐっ、ライナー!!」


ライナー「どんな女性が好きか教えあうだけだろ?何が恥ずかしいんだ?」ニヤニヤ


エレン「だから女性の好みなんて無いって!」


ガラガラガラ


アルミン「……」


ライナー「……」←裸エレンを拘束中


エレン「……」←裸ライナーに拘束されながら、女性に無関心発言


アルミン「つまり二人は…ホm―「「違う!!」」

500: 2013/12/21(土) 01:21:11 ID:l.PdM5c6

エレン「――というわけだ」


アルミン「なるほど……で、エレンの好きな女性のタイプはどんなの?」


エレン「な、無いって言ってるだろ!」


アルミン「…じゃあエレンは男が好きってことになるよ」


エレン「なっ!?」


アルミン「だってしょうがないじゃないか エレンは女の子が好きじゃないんだからさ」ニヤニヤ


エレン「誰もそんなこと言ってないだろ!俺だって好きな女性のタイプぐらいあるさ…」


アルミン「ほぅ…」ニヤリ


エレン「はっ!」

501: 2013/12/21(土) 01:21:53 ID:l.PdM5c6

アルミン「さぁ、エレン!男好きのレッテルを貼られたくなかったら、君の好きな女性のタイプを言うんだ!」ニヤニヤ


ライナー(さすがは知将アルミン…顔がゲスイのは触れないでおこう)


エレン「くっ……黒髪長髪の子だよ//」


マルコ(そういえばミカサは髪切ったって言ってたな……やっぱりミカサか)


ベルトルト(ミカサだね)


ライナー(ミカサだな)


コニー(黒髪長髪……はっ!ミーナか!)


アルミン「やっぱりか……」

502: 2013/12/21(土) 01:22:44 ID:l.PdM5c6

ジャン「ぐっ…一人だけ昔のミカサを知ってて羨ましいんだよ!!俺も髪が長いミカサを見たい!!」


エレン「な、何でミカサが出てくるんだよ!!///」


アルミン「ジャン、ごめん…僕も髪が長いミカサを知ってるよ」ドヤッ


ジャン「くそぉぉ!!」


エレン「うるさい奴だな……そうだ!ジャン、少し手伝って欲しいことがあるんだが…」


ジャン「へっ、誰がお前なんかを…」


エレン「ミカサを笑わすことを」


ジャン「手伝うに決まってるだろ」キリッ

503: 2013/12/21(土) 01:23:14 ID:l.PdM5c6

マルコ「相変わらずだね、君も」


エレン「じゃあ三人で作戦を立てようぜ」


アルミン「三人?」


エレン「お前も入ってるに決まってんだろ?」


アルミン「……まぁいいけど」


アルミン(簡単な方法があるんだけど…面白そうだからしばらく見てよ)クスッ


エレン「じゃあまずは俺の案だが――」

504: 2013/12/21(土) 01:24:05 ID:l.PdM5c6

――女子宿舎――


ガチャ


ユミル「いい湯だったなクリスタ」


クリスタ「うん!」


アニ「……」クイクイ


ユミル(ん?アニが呼んでる…何かあったのか?)


ユミル(どうした?)ヒソヒソ


アニ(あれを見てよ…)ヒソヒソ


ユミル(あれ?)チラ


ミカサ「………」ジー

505: 2013/12/21(土) 01:24:42 ID:l.PdM5c6

ユミル(…めっちゃガン見してんな)


アニ(ミカサを嫉妬させる為に、訓練中にエレンにベタベタ触ってたらこうなったんだけど……視線がベットリまとわりついて眠れやしない)ヒソヒソ


ユミル(自業自得じゃねぇか)


アニ(何とかして)ヒソヒソ


ユミル(私は何でも屋じゃないぞ?)ヒソヒソ


ミカサ(そういえば、ユミルもエレンと夜中にこっそり喋ってた…それに3年前には命を救われたって……)ジー


ユミル「」ゾクッ


ユミル(…あれ?私が睨まれてないか、これ?)


アニ「ありがとユミル…じゃ、おやすみ」ゴロン


ユミル「おい」

506: 2013/12/21(土) 01:25:24 ID:l.PdM5c6

ミカサ「………」ジー


ユミル(……ま、気にしなけりゃ大丈夫だろ)


ユミル「クリスタ~一緒に寝ようぜ」


クリスタ「えーやだよ、自分のベッドで寝てよ」


ユミル「そんな冷たいこと言うな……よ」ゾクッ


ミカサ「………」ジー


ユミル(視線のほうが冷たい…)ダラダラ


ユミル「…ったく、しょうがねぇな おい、ミカサ!話がある、お前のベッドに上がらせてもらうぞ?」


ミカサ「…ええ、どうぞ」


ユミル「よっと…で、何で私を睨み付けてんだ?」

507: 2013/12/21(土) 01:25:55 ID:l.PdM5c6

ミカサ「別に睨んではいない ただ…ユミルは私よりも面倒見がよく、魅力的な女性だと思って見ていただけ…」


ユミル「あーもう!ほんとにめんどくせぇな!大丈夫だ、誰もお前からエレンを取らねぇよ」


ミカサ「…別に今、エレンは関係ない」


ユミル「お前はエレンと接触が多い私やアニに嫉妬してんだよ」


ミカサ「嫉妬…してない」


ユミル「」イラッ


ユミル「…じゃあ私がエレンを奪っていいんだな?」


ミカサ「そ…それは……」アセアセ

508: 2013/12/21(土) 01:26:31 ID:l.PdM5c6

ユミル「私がもし奪ったら、あいつをお前に見向きもしないようにしてやるよ」


ミカサ「ダメ!それは絶対にダメ!」


ユミル「ならもっと自分の気持ちに素直になれ!」ワシャワシャ


ミカサ「自分の気持ち?」


ユミル「ああそうだ、お前らはまだ元の家族の関係にすら戻れてないだろ?ちょっとずつでいいから、昔みたいにあいつに甘えてみろよ 例えば…『もう少し私にかまって』とか『私だけを見て』とかでいいからさ」ワシャワシャ


ミカサ「ユミル……そんな可愛らしい声も出せるとは…ビックリ」


ユミル「う、うるせぇ!!//今はマジメな話をしてんだよ!!」ゴツンッ


ミカサ「…何も殴ることないのに」ヒリヒリ


ユミル「とにかくお前から濡れ衣で嫉妬される私達の身にもなれ!!」

509: 2013/12/21(土) 01:27:03 ID:l.PdM5c6

ガチャ


サシャ「ミカサ、起きてますかー?」


ミカサ「ええ」


サシャ「エレンがミカサのこと呼んでましたよ?」


ミカサ「エ、エレンが!?」


サシャ「はい、座学室で待ってるそうです」


ユミル(こんな時間に使われていない部屋か……あいつもやるな)


ミカサ(エ、エレンが待ってる…急がなくては)ダッ


ユミル「あっ、ちょっと待てミカサ!」

510: 2013/12/21(土) 01:27:51 ID:l.PdM5c6

ミカサ「でも、エレンが待ってるのでなるべく急ぎたい」


ユミル「いいからこっち来い」


ミカサ「……」スタスタ


ユミル「ほら、さっき髪をぐしゃぐしゃにしちまったろ?お前も女なんだから身だしなみは整えていかないとな」サッ サッ


ミカサ「あ、ありがとう…」


ユミル「じゃあ頑張ってこいよ」ポンポン


ミカサ「…うん」タタタタタッ

511: 2013/12/21(土) 01:28:22 ID:l.PdM5c6

ユミル「襲われないようにしろよ~……まったく、これだからガキのおもりはイヤなんだよ……ん?」


ミーナ「見た今の?あれが母性ってヤツですよ」ニヤニヤ


アニ「ユミルも意外と女なんだね」ニヤニヤ


サシャ「ユミルはいいお母さんになりますよ、きっと」ニヤニヤ


ユミル「う、うるせぇ!!お前らくっちゃべってねぇで寝ろ!!」


クリスタ「私はユミルが優しい人だってわかってたよ」ニコ


ユミル「クリスタ~私を慰めてくれよ~」ダキッ


クリスタ「ちょっとユミル!慰めてあげるから、さりげなく服の中に手を入れないでよ!」クスグッタイ!アハハハ!


ユミル「いいではないか~いいではないか~」ウヘヘ…


アニ「台無しだよ、あんた」

512: 2013/12/21(土) 01:28:53 ID:l.PdM5c6

___________________


タタタタタタッ


ミカサ(こんな時間に呼んで何だろう……もしかして…)


ミカサ「……///」カァァ


ミカサ(も、もう着いてしまった…一回深呼吸をしよう)スー ハー


ミカサ「…よし」コンコン


ミカサ「エ、エレン、入っていい?」ドキドキ


オウ!イイゾ!

513: 2013/12/21(土) 01:29:26 ID:l.PdM5c6

ガチャ


ミカサ「エレン、こんな時間になん…の…よ………う?」


エレン「さぁ、行け!キルシュタイン号!」


馬頭「ヒヒーン!」



そこには毛布で馬に扮したジャンに跨るエレンの姿があった ちなみに胴体はアルミンである


エレン(どうだ!)


馬頭(笑うか!?)


馬胴体(笑うはずないでしょ…)

514: 2013/12/21(土) 01:29:57 ID:l.PdM5c6

ミカサ「………」バタンッ


ジャン「やっぱり無理じゃねぇか!!」バサッ


エレン「いけると思ったんだが…」シュン


アルミン「どの辺がいけると思ったの?」バサッ


ジャン「じゃあ明日は俺の案でいくからな」


エレン「おう、部屋に戻って作戦会議だ!」

515: 2013/12/21(土) 01:30:52 ID:l.PdM5c6

___________________


ガチャ


ユミル「ん?随分と早い帰りだな……で、どうだった?どこまでいった?」ニヤニヤ


ミカサ「……エレンがジャンに跨ってた」


ユミル「」

ミーナ「」

アニ「」

クリスタ「」

サシャ「??ジャンは本当の馬だったんですか?」


ミカサ「ええ、そうみたい……みんな、おやすみなさい」ゴロン


ミカサ(期待した私がバカだった………そういえば昔、泣いている私をエレンが馬になって乗せてくれたっけ……イェーガー号…)クス

516: 2013/12/21(土) 01:31:23 ID:l.PdM5c6

彼女は懐かしい思い出を思い出しながら眠りについた

彼女の顔を見ればいい夢を見てると直ぐにわかる 何故なら彼女は、微笑みながら寝ているのだから…


___________________


ミカサ「ひっぐ……」ポロポロ


エレン「ご、ごめんって…お前が大事にしてた人形壊しちゃったのは謝るから、泣くなって…」


ミカサ「だってあれは…ひっぐ…お母さんが作ってくれた…ひっぐ…ヤツなのに…」ポロポロ


エレン「しょうがないだろ…ボロボロで縫ってやろうとしたら生地が足んなかったんだから……今度街で生地を買ってきて直してやるから泣き止んでくれよな?」


ミカサ「ぅぅ……」ポロポロ


エレン(マジでどうしよう……)オロオロ

517: 2013/12/21(土) 01:32:21 ID:l.PdM5c6

ミカサ「……」ピタッ


エレン(な、泣き止んだ!?)


ミカサ「…乗っていいの?」ゴシゴシ


エレン「あぁ、もちろんだ!」


ミカサ「お馬さんは喋らない…」プクー


エレン(お前が話しかけてきたんだろ)ヒヒーン…


ミカサ「じゃあ乗るね」ヨイショ


ミカサ「……」ワクワク


エレン(どうやら機嫌が治ったみたいだな)クスッ

518: 2013/12/21(土) 01:33:19 ID:l.PdM5c6

ミカサ「さぁ、イェーガー号!しゅっぱーーつ!!」


エレン「ヒヒーン!」


パカラッ パカラッ


エレン(意外に肉体労働だな だが……)パカラッ  パカラッ


ミカサ「~~~♪」ニコニコ


エレン(こいつが笑顔になってくれるならいいか)フフ


エレン「ヒヒーン!」パカラッ  パカラッ


ミカサ「いけいけー!あっ!お母さん、お父さん!」フリフリ


父「楽しそうで何よりだな」フリフリ


母「ほらミカサ、落ちたら危ないわよ もっとお馬さんにギュッとしがみつかないと」

519: 2013/12/21(土) 01:34:03 ID:l.PdM5c6

ミカサ「うん!」ギュウゥゥゥ


エレン「ちょっ!?ミカサ///」


ミカサ「また喋ってるー!今はイェーガー号でしょ?」


エレン(ったく…しょうがないな)ヒヒーン!


ミカサ(ふふふ、幸せ…いつまでもこうして幸せに暮らしていたいなぁ)


___________________
______________
_________
____
_


ミカサ「………」


ミカサ(懐かしい…とてもいい夢だった でも…出来れば見たくなかった…)ムク

520: 2013/12/21(土) 01:34:41 ID:l.PdM5c6

彼女はいつも通り、朝の自主訓練をする為に訓練場に向かった



ミカサ(…ん?こんなところに置手紙がある)ヒョイ


『ミカサ、今すぐ食堂に来い』


ミカサ(…嫌な予感がする)スタスタ



彼女は嫌がりながらも食堂へと足を運んだ



ミカサ(おそらく昨日の三人だろう……)スタスタ


キタゾ!ジュンビシロ!
ホントニヤルノ?
アタリマエダロ!

521: 2013/12/21(土) 01:35:24 ID:l.PdM5c6

ミカサ「……」ガチャ


アルミン「ミ、ミカサ!お、おはようだ…ピョン☆」ピョン



バニー姿のアルミンが可愛らしいポーズを取りながら挨拶をしてきた



ジャン(どうだ!!)


エレン(いけるか!?)


アルミン(無理だって…)ハズカシイ//


ミカサ「……アルミン、皆が来る前に着替えておくように」バタンッ


アルミン「気をつかわれたじゃないか!!」ブンッ


ジャン「意外といい案だと思ったんだけどな…」ミミヲナゲルナ

522: 2013/12/21(土) 01:36:02 ID:l.PdM5c6

アルミン「ていうかコレ、どっから持ってきたの!?」


ジャン「倉庫にあったぞ、おそらく余興用のグッズだろう」


エレン「これでも駄目か……」シュン


アルミン「まったく…しょうがないな 僕がとっておきの方法を教えてあげるよ」


エレン「本当か!?」


アルミン「それは……」

523: 2013/12/21(土) 01:36:34 ID:l.PdM5c6

___________________


タタタタタタッ


エレン「ミカサ!」


ミカサ「……何?」


エレン「少し昔話でもしないか?」


ミカサ「!!」


エレン(楽しい思い出を話せばミカサも笑ってくれるはずってアルミンが言ってたからな)


ミカサ「……嫌 今はエレンと話をしたくない」スタスタ


エレン「え?お、おい!朝練は?」


ミカサ「……少し体調がすぐれないから早めにあがる」

524: 2013/12/21(土) 01:37:06 ID:l.PdM5c6

エレン「体調が悪いって…大丈夫なのか?」


ミカサ「ええ……時間が経てば治ると思う…」スタスタ


エレン「あいつ……本当に大丈夫なのか?」


――男子宿舎――


ガチャ


アルミン「あれ?随分はやいね、駄目だったの?」


エレン「いや、ミカサが体調が悪いって言って女子宿舎に戻った…」


ジャン「体調が悪い?あのミカサがか?」


アルミン「ミカサは肉体が強い分、精神面で体調の良し悪しが左右されるからね もしかしたら何か悩みでもあるかもしれない…」


エレン「……ミカサ」

525: 2013/12/21(土) 01:37:37 ID:l.PdM5c6

――食堂――


ワイワイ  ガヤガヤ


エレン「…ミカサが見当たらないな」キョロキョロ


サシャ「あっ、エレン!ミカサなら朝食を持って女子宿舎に戻ってしまいましたよ?」モグモグ


エレン「はあ?…そんなに体調が悪いのか、あいつ……?」


ユミル「体調が悪いってよりもお前に会いたくないって顔してたぞ?また何かしたのか、お前は?」


エレン「何かって……何もしてないはずだが」


クリスタ「で、でも、昨日の夜にジャンに跨っていたって…///」


エレン「ああ、あれはあいつを笑わそうとしてだな」

526: 2013/12/21(土) 01:38:11 ID:l.PdM5c6

ユミル「だからって家族にホ〇セクロスを見せつけんなよ…気持ち悪りぃな」


エレン「はあぁ!?何を言ってんだ、お前?ジャンとアルミンが馬の格好をして俺がその上に乗っていただけだぞ?」


クリスタ「え!?じゃ、じゃあエレン達はノーマルってこと?」


エレン「当たり前だろ!!」


ユミル「それはそれでつまらないな…だが、どうしてそんな幼稚な遊びをミカサに見せたんだ?」


エレン「昔、あいつが好きだったんだよ お馬さんごっこが…」


ユミル「意外だな…今のミカサからは想像できねぇな」


エレン(……まさか、あいつ…)

527: 2013/12/21(土) 01:38:43 ID:l.PdM5c6

___________________


スタスタ


ミカサ(結局、今日はずっとエレンを避けてきた……それはそれでとても辛い)トボトボ


サシャ「ミカサ、早く宿舎に戻りましょうよ 湯上りで外を歩くのは寒すぎますし」


ミカサ「ええ…」


ザッ


エレン「…待て、ミカサ」


ミカサ「エレン!?」


エレン「少し話がある…来い」

528: 2013/12/21(土) 01:39:16 ID:l.PdM5c6

ミカサ「…今日はもう遅いし、この格好のままでは風邪を引く ので、明日にしよう」


エレン「……」バサッ


ミカサ「!?」


エレン「これなら寒くないだろ?いいからこっちに来い」スタスタ


ミカサ(上着を羽織らされてしまった…)スタスタ


サシャ(…あれ?私は完全に蚊帳の外ですか?)



二人は暗闇の中、森の奥へと進んだ



ミカサ「エレン、どこまでいくの?」


エレン「もう少しだ……」

529: 2013/12/21(土) 01:39:46 ID:l.PdM5c6

しばらくすると、目の前に大きな湖が現れた



ミカサ(…綺麗)


エレン「この辺に座れ」ドサッ


ミカサ「………」スッ


エレン「今日は星も出てて綺麗だよな」


ミカサ「ええ…」


エレン「覚えてるか?昔、夜中にこっそりと外に出て星を眺めてたのを…」


ミカサ「ええ、覚えてる……でも…」


エレン「…思い出したくないのか?」

530: 2013/12/21(土) 01:40:35 ID:l.PdM5c6

ミカサ「……そう、お母さんとお父さんを思い出して、辛くなるから…」


エレン「やっぱり昨日の馬であの頃の思い出を思い出したから、今日はなるべく思い出さないように俺と会わないようにしてたのか」


ミカサ「ええ……ごめんなさい」


エレン「…なぁ、ミカサ 確かにもう、二人は戻ってこない…お前は二人の氏ぬ姿を直接見ていたから、より辛いのもわかる だが…二人のことをできるだけ思い出してやってあげろよ あの…幸せだった日々をさ」


ミカサ「…辛いとわかってるのに?」


エレン「あぁ…前に話したろ?俺は昔、父さんを目の前で失ったって…」


ミカサ「…ええ」


エレン「それでも俺は父さんと暮らした日々をよく思い出している…何故だがわかるか?そうしないと父さんがかわいそうだからだ…父さんと暮らした6年間を覚えているのは俺しかいないからだ」


ミカサ「……」

531: 2013/12/21(土) 01:41:56 ID:l.PdM5c6

エレン「もちろん俺もおじさん達と過ごした日々を思い出す…だが、俺は一年間しか思い出がない
それに比べてお前はどうなんだ?…生まれたときからずっと一緒だった家族であるお前が思い出してやらないでどうする…一番愛されていたお前が二人との思い出を忘れてどうすんだよ」


エレン(それに………俺が氏んだら…お前にだけは覚えていてほしい 笑いあった日々を、ケンカした日々を…俺が生きた証をお前には覚えていてほしいんだ)


ミカサ「……わかった、私もお母さん達と過ごしてきた日々を忘れないようにする でも…今日みたいに辛くなる時もある……」


エレン「わかってるよ……そんな時は俺が傍にいてやるよ、家族だからな いつまでも……氏んでもな」


ミカサ「…縁起の悪いことを言わないで」


エレン「あぁ、ごめん……それより今日はここで昔のことを話さないか?」


ミカサ「…ええ、そうしましょう」ニコ


エレン「」ドキッ

532: 2013/12/21(土) 01:42:44 ID:l.PdM5c6

エレン(ミカサが笑ってくれた それに月夜に照らされているミカサは、いつもより綺麗だ……やっぱり俺ってミカサのことが……)ドキドキ


ミカサ(エレンは私のことを心配してここに連れてきてくれた…でも、こんな夜中にこんな綺麗な場所に連れてこられたら………期待するのが普通)ドキドキ


ミカサ(でも…エレンは……)チラ


エレン(平常心、平常心)スー ハー


ミカサ「……はぁ、エレンは昔から鈍感」


エレン「ど、鈍感?いつ俺が鈍感なことをしたんだよ」


ミカサ「…前に私に花をくれた時があった」


エレン「あぁ、俺が好きな花があの山にも咲いてたからな……で、それのどこが鈍感なんだ?」

533: 2013/12/21(土) 01:43:22 ID:l.PdM5c6

ミカサ「エレンはあの花が何の花なのか知らないの?」


エレン「そういや知らないな…お前は知ってるのか?」


ミカサ「…品種もその花の名前も知っている けど、教えない」


エレン「はあ?教えろよ」


ミカサ「内緒」フフフ


エレン「なっ!?気になるじゃねぇか!教えてくれよ!」


ドンカンナエレンニハオシエナイ
ダカラドンカンジャネェ!!



その日、真夜中の静かな森に、二人の笑い声が響いていた

534: 2013/12/21(土) 01:43:55 ID:l.PdM5c6

___________________



月日が流れ、訓練生活も残りわずかとなった


850年


アルミン「もう直ぐ卒業だね」


エレン「そうだな、皆ともお別れか……ミカサは調査兵団に入団したいって言ってたよな?」


ミカサ「ええ、その通り…でも、エレンが憲兵団に行くのなら私も憲兵団にしよう」


エレン「…何でだよ」


エレン(俺は卒業したらそのままライナー達の故郷を目指すつもりだ……時間がないからな
そして…出来るならミカサには兵士をやめて幸せになってほしい…どうすればいいだろうか…)

535: 2013/12/21(土) 01:44:27 ID:l.PdM5c6

アルミン(…この二人は前よりも仲良くなった…いや、昔に戻ったって感じか でも、それ以上は進展してない……まだ家族のままだ)


ユミル「………」


クリスタ「明日はウォール・マリア内の巨大樹の森で卒業試験の模擬練習だね……ってユミル?どうかしたの?」


ユミル「いや、何でもねぇよ…」


カンカンカンカンカン!


エレン「アルミン、部屋に戻ろうぜ」ガタッ


アルミン「…ごめん、エレン 一人で少し散歩してから戻るよ」


エレン「そうか?今夜は冷えるらしいから、風邪を引く前に戻れよ じゃあ行くぞ、ミカサ」スタスタ


ミカサ「ええ おやすみ、アルミン」スタスタ


アルミン「うん…おやすみ、ミカサ」

536: 2013/12/21(土) 01:45:05 ID:l.PdM5c6

___________________


アルミン(はぁ…僕はどうしたらいいんだろうか………僕はまだミカサが好きだ でも、ミカサはエレンのことが好きだ…そしてエレンもミカサのことが好きだ
………やっぱり僕が間に入って二人をくっつけたほうが…)


ユミル「おい、座学トップさんよ」


アルミン「…ユミル、こんな時間に僕に何の用かな?」


ユミル「いや、あまりにもお前が苦しそうな顔してたもんでな 笑いにきたんだよ」ケラケラ


アルミン「失礼だな…」


ユミル「……いいのか?お前はこのままで」


アルミン「…君はそうやって直ぐに人の心を読むから嫌いだよ」


ユミル「いいから答えろ」

537: 2013/12/21(土) 01:45:35 ID:l.PdM5c6

アルミン「…だって、二人がこのままくっついたほうが幸せに決まってるからね だから僕は身を引いて二人の仲を取り持つつもりだよ」


ユミル「確かにあいつらは自覚してないが、外から見ててもわかるぐらいに相思相愛だ…だが、それとお前の気持ちを伝えることはまったく関係ないだろ?ちゃんとお前の言葉で、お前の本当の気持ちをミカサに伝えろ じゃないと一生後悔するぞ」


アルミン「…君は僕に振られてこいって言ってるんだよ?」


ユミル「あぁ、その通りだ ミカサに振られてこい」


アルミン「…やっぱり僕は君が嫌いだよ」


ユミル「おう、嫌いで結構だ」


アルミン「でも……ありがとう、ユミル 僕、振られてくるよ」


ユミル「あぁ…頑張って振られてこいよ」


タタタタタタッ

538: 2013/12/21(土) 01:46:06 ID:l.PdM5c6

ユミル「…はぁ、私は何をしてんだろうな」


クリスタ「……ユミルはやっぱり優しいんだね」フフ


ユミル「クリスタ!?…今の見てたのか?」


クリスタ「もちろん!…アルミン、大丈夫かなぁ」


ユミル「大丈夫さ…ミカサはあいつが告白したからといって、拒絶するような奴じゃないそれに、あいつは意外と強いからな」


クリスタ「ふふふ、ユミルは皆のお母さんみたいだね」ニコ


ユミル「う、うるせぇ//早く宿舎に戻るぞ!」スタスタ



ユミル、イマテレテルデショ?
テレテナイ!!

539: 2013/12/21(土) 01:46:38 ID:l.PdM5c6

――男子宿舎――


ガチャ


ライナー「遅かったな、アルミン……ん?何かいいことあったのか?表情が明るいぞ」


アルミン「…うん、ミカサに告白して振られてきちゃった」


ジャン「!?」ガタッ


ライナー「アルミンはミカサが好きだったのか!?」


アルミン「うん…シガンシナにいた時からずっとね……でも、告白してよかったよ これでもう、何の迷いもなくエレン達を応援することができるからね」


ベルトルト「アルミン……」

540: 2013/12/21(土) 01:47:14 ID:l.PdM5c6

ジャン「お、応援なんかする必要ないだろ!?」


アルミン「そうだね、しなくても自然とくっつくはずだし…ミカサもやっぱりエレンが好きだって言ってたからね」


ジャン「」


コニー「マルコ、ジャンが息をしてないぞ?」


マルコ「今はそのまましてあげなよ……」


ジャン「わかってたさ…どうせ俺の恋は叶わぬ恋だったんだ…」イジイジ

541: 2013/12/21(土) 01:47:53 ID:l.PdM5c6

アルミン「それより……エレンは?」キョロキョロ


ベルトルト「教官に何か伝えてくるって言ってたよ」


アルミン「そうか……は…は…ハックション!」


ライナー「大丈夫か!?風邪でも引いたんじゃないのか?」


アルミン「少し外の風にあたり過ぎたかな?この時間じゃ医師はいないと思うけど、一応医務室に行ってみるよ」

542: 2013/12/21(土) 01:48:42 ID:l.PdM5c6

___________________


スタスタ


ドサッ


アルミン(ん?誰か医務室にいるのかな?)


ガチャ


アルミン「え?エレン!?だ、大丈夫!?口から血が出てるよ!」


エレン「ア…アルミン……か」ハァ ハァ


アルミン「今、医師を呼んでくるよ!」


エレン「待て!!」


アルミン「でも…」

543: 2013/12/21(土) 01:49:31 ID:l.PdM5c6

エレン「大丈夫だ…少し横になれば直ぐに治る…」ハァ ハァ


アルミン「…エレン、正直に答えて 君は…何かの病に侵されているんじゃないのかい?」


エレン「……違う」


アルミン「じゃあどうして!?」


エレン「…アルミン、話すから医務室の鍵を掛けてくれ…」


カチャカチャ


アルミン「…掛けたよ」


エレン「…あと一ヶ月で卒業だな」


アルミン「エレン…今は関係ないでしょ」

544: 2013/12/21(土) 01:50:02 ID:l.PdM5c6

エレン「関係なくもないんだ……俺はもう直ぐ…氏ぬんだ」


アルミン「!?」


エレン「病じゃない……寿命で俺は氏ぬんだ」


アルミン「寿命って…そんなに早く寿命がくるはずないだろ!!」


エレン「アルミン……お前にこれから俺の全てを話す…俺にとってお前は…親友だからな」



彼はアルミンに自分が巨人であること、殺人兵器として作られたこと、そして巨人化を解く薬を調査兵団と協力して作っていることを、包み隠さないで全て話した



エレン「これが……俺の全てだ」


アルミン「こんなことって……」ポロポロ

545: 2013/12/21(土) 01:50:39 ID:l.PdM5c6

エレン「ごめんな…お前のおじいちゃんを助けてやることが出来なくて……」


アルミン「それはエレンのせいじゃないよ!君は…君は……ッ!!どうしてこんなにも皆の為に頑張ってるエレンが氏なないといけないんだ!!」


エレン「…アルミン……それは覆せない運命なんだ、作られし命は元々短命なんだよ
それに…生まれたときの年齢は父さん曰く、20前後…でも俺は、かなり無茶をして巨人化をしていた…だから、より自身の体を傷つけていたんだ リミットは…もって一年ってとこだ」


アルミン「な、なら巨人化を解く薬を打てば…」


エレン「…打つと直ぐに氏ぬ可能があるんだ 俺の体は巨人化した他人の細胞が多数含まれている その為薬を打つと、巨人の再生能力によって馴染んでいた細胞が、一気に俺の体を蝕む可能性があるんだよ 俺の体は巨人の力で生かされていて、巨人の力で氏に追いやられているんだ」


アルミン「…もう、どうしようもないの?」ポロポロ


エレン「あぁ……俺はもう…氏ぬ だからお前にお願いがあるんだ…親友のお前にだからこそ頼めるお願いなんだ」


アルミン「…それはなんだい?」

546: 2013/12/21(土) 01:51:37 ID:l.PdM5c6

エレン「…ミカサを頼む 俺が氏ねばあいつは…俺の後を追って氏ぬかもしれない…だからお前があいつをそうさせないように……あいつの傍にいて、幸せにしてやってくれないか?」


アルミン「…君は本当にわかってないね それについさっき僕はミカサに振られたとこだよ」


エレン「……はあ!?」


アルミン「まったく…そんな僕を振った彼女を、僕が幸せにすることなんてできないだろ?」


エレン「じゃあ…どうすれば……」


アルミン「…君が傍にいてあげることが、彼女にとって唯一の幸せなんだよ だから…君の本当の気持ちを彼女に伝えなよ 君は……ミカサが好きなんだろう?」


エレン「……あぁ、そうだ 俺はミカサが好きだ…だが、この気持ちをあいつに伝えることはしない……あいつをもっと悲しませてしまうから…」

547: 2013/12/21(土) 01:52:40 ID:l.PdM5c6

アルミン「君はそうやっていつも逃げているんだよ!彼女を悲しませたくない!?笑わせるな!何も言わずに氏んだ方が彼女は傷つき、悲しむに決まってるだろ!!」


エレン「………」


アルミン「……わかった、もういいよ 今日はとりあえずここで寝てなよ 部屋のみんなには適当に言っておくから…」


エレン「…すまない、アルミン」


アルミン「…でも、必ず氏ぬ前にミカサに好きだって気持ちを伝えてね それが僕からのお願いごとだから…」


エレン「……よく覚えていたな すっかり忘れてたよ」


アルミン「僕が忘れると思う?それに…エレン、僕は夢をまだ諦めてないからね」


エレン「お前の夢?」

548: 2013/12/21(土) 01:53:13 ID:l.PdM5c6

アルミン「僕の夢、それは……君と一緒に外の世界を探検して、海を見ることだよ…絶対に諦めないから…」ガチャ


バタンッ


エレン「……ありがとな、アルミン」


___________________


エレン(アルミンの言うとおり、全部ミカサにバラして俺の寿命が尽きるまであいつの傍に………いや、駄目だ!俺はライナー達の故郷に行って、壁外人類との和解をしなくちゃ駄目なんだ…やっぱり俺は……)


タタタタタタッ
        ガチャ


ミカサ「エレン!!大丈夫!?」ハァ ハァ


エレン「ミ、ミカサ!?どうしてここに…?」


ミカサ「アルミンからエレンが倒れたって聞いたから…」ハァ ハァ


エレン「あいつ……」

549: 2013/12/21(土) 01:53:54 ID:l.PdM5c6

ミカサ「それで…体のほうは大丈夫なの?」


エレン「……あぁ、心配いらない」


ミカサ「よかった…」ホッ


エレン「心配かけてごめんな、ミカサ」


ミカサ「ううん、家族なら心配するのは当然」


ミカサ(家族……)


ミカサ「………エレン、あなたには好きな人がいるの?」


エレン「はあ?…いやいや、唐突すぎるだろ」


ミカサ「さっきアルミンから聞いた…」


エレン(アルミンの奴…ッ!!)

550: 2013/12/21(土) 01:54:25 ID:l.PdM5c6

ミカサ「それは私の知ってる人?」


エレン「そ、そんなのお前には関係ないだろ!」


ミカサ「…関係ある だって、私は…エレンのことが……」


エレン(おいおい…やめてくれ それ以上言ったら俺は……俺は……ッ!!)


ミカサ「……私はエレンのことが好き 家族として…一人の男性として…エレンを愛してる」



彼女が告白し終わると、その場は静まり返った

ドクン、ドクンと二人の心臓の音だけが鳴っている



エレン「……ぉれだって…」ボソッ


ミカサ「え?」

551: 2013/12/21(土) 01:56:01 ID:l.PdM5c6

そして、彼は自分の本音を…願望をさらけ出し始めた



エレン「俺だってお前のことが好きだぁ!!大好きなんだぁッ!!」


ミカサ「…嬉しい」ポロ


ミカサ「!!…ふふふ、お母さんの言っていた通りだ 涙は嬉しい時にも流れるって……」


エレン「ミカサ……まだ話は終わってない」


ミカサ「え?」


エレン「俺はお前が好きだ でも…でも!俺はッ!!お前と一緒にはいられないんだよッ!!」


ミカサ「…ど、どういうこと?」


エレン「……俺はもう直ぐ…お前の前からいなくなる」

552: 2013/12/21(土) 01:56:33 ID:l.PdM5c6

ミカサ「!!…また私をおいて消えるの?また私を捨てるの!?」


エレン「あぁ……」


ミカサ「どうして?…どうしてなの!?」


エレン「俺はもう直ぐ………氏ぬからだ」ポロポロ


ミカサ「え?うそ……でしょ…?」


エレン「本当だ…もう、どうすることもできないんだ……俺が生まれた時から決まってたことなんだ…」


ミカサ「…何で?やっと気持ちを伝えれたのに…こんなにもあなたのことが好きなのに!!」ポロポロ

553: 2013/12/21(土) 01:57:05 ID:l.PdM5c6

エレン「……」グイッ


ギュッ



彼は彼女を抱きしめて、泣きながら、自分のしたいことを…叶えることが出来ないことを叫び始めた



エレン「氏にたくない…氏にたくないんだよ!俺だって皆と一緒に歳を取りたい!お酒も飲みたい!アルミンと一緒に海を見たい!お前と…ミカサといつまでも幸せに暮らしたいんだよ!!」ポロポロ


ミカサ「エレン……」ポロポロ


エレン「うわあああああああああああん!!」



彼は泣き叫んだ まるで、子供の時のように……

554: 2013/12/21(土) 01:57:53 ID:l.PdM5c6
ミカサ「…エレン、落ち着いた?」


エレン「……あぁ、ごめんな」グスン


ミカサ「…ふふふ、やっぱりエレンは泣き虫」


エレン「う、うるさい!お前だって泣いてたろ!」


ミカサ「当たり前…唯一の家族であるあなたが氏ぬってわかれば誰だって泣く…」


エレン「ミカサ…」



タタタタタッ



エレン「!!やべっ、さっきので誰かが来ちまった」


オイ、ココハダイジョウブダ


エレン(この声は…キース教官!?)

555: 2013/12/21(土) 01:58:31 ID:l.PdM5c6

「ですが、尋常じゃない叫び声が聞こえたので…」


キース「医務室で寝ている負傷者の傷が開いてしまったそうだ」


「なら医師である私が…」


キース「同じく医務室で寝ていたイェーガー訓練兵が、素早く的確な応急処置をしてくれたおかげで大事には至らなかった 今は二人とも安静にして寝ている」


「イェーガーですか…確かに彼の医療技術は素晴らしいですからね 兵士よりも医師が向いてますよ」ハハハ


キース「そうだな…」


「では私は戻ります おやすみなさい、キース教官」


キース「あぁ、ごくろう」


キース(さて…見回りをしてから私も寝るとするか)


スタスタ

556: 2013/12/21(土) 02:00:14 ID:l.PdM5c6

エレン「…行ったみたいだな(ありがとうございます、キース教官)」


ミカサ「エレンが大声で泣きすぎるから…」


エレン「悪かったよ……」


ミカサ「…エレン、どうして氏ぬってわかるの?」


エレン「……理由は言いたくない お前にはこのままの俺でいさせてくれ…お前の家族である俺として……」


ミカサ「わかった……でも、それは確定事項なの?」


エレン「あぁ…もって一年だろう」


ミカサ「…じゃあ残りの一年間はどうやって過ごすつもりなの?」

557: 2013/12/21(土) 02:00:44 ID:l.PdM5c6

エレン「……お前らと別れて…また戦いを始めるつもりだ 俺の命が尽きるまで…」


ミカサ「私も一緒に……」


エレン「駄目だ!それだけは絶対に駄目だ!!…なぁミカサ、俺の為にも幸せに生きててくれないか?」


ミカサ「…私にとっての幸せはエレンといること ただそれだけでいい…」


エレン(やっぱりこうなるか………一つ方法があるんだが…それは使いたくない、命をまるで道具のように使ってしまうから…)


ミカサ「……とりあえず今日のところは寝ましょう」

558: 2013/12/21(土) 02:01:27 ID:l.PdM5c6

エレン「そうだな……ん?…お前は宿舎に帰るだろ?」


ミカサ「……」フルフル


エレン「……帰れよ」


ミカサ「イヤだ」


エレン「却下」


ミカサ「不毛」


エレン「……いや、駄目だ ゆずらない」


ミカサ「…わかった、しょうがない」


エレン(よし!)


ミカサ「取っておいたお願いをここで使うとしよう」

559: 2013/12/21(土) 02:01:59 ID:l.PdM5c6

エレン「…はぁ、アルミンといいお前といいほんとよく覚えてんな」


ミカサ「もちろん」ドヤッ


エレン(うぜぇ…)イラッ


ミカサ「それじゃあ私のお願い……」スタスタ


ポフ



彼女は医務室のベッドに横になり、布団で顔を隠しながらこう言った



ミカサ「……一緒に寝て//」カアァ


エレン「なっ!?//」

560: 2013/12/21(土) 02:02:37 ID:l.PdM5c6

ミカサ「こ、これはお願いだからエレンに拒否権はない」


エレン(こいつ…自分だって恥ずかしいくせに…)


エレン「…わかったよ、今日だけだからな」スタスタ


ゴロンッ


エレン「じゃあおやすみ」


ミカサ「…どうしてそっちのベッドで寝るの?」


エレン「こ、これでも一緒に寝てることになるだろ?」


ミカサ(私だって勇気を出して言ったのに……)


ミカサ「……」ソー



彼女は彼に気づかれないように彼の布団の中に忍び込んだ

561: 2013/12/21(土) 02:03:38 ID:l.PdM5c6

ギュッ



そして後ろから抱きしめた



エレン「ちょっ///ミカサ!?」


ミカサ「……エレンがまたいなくなる……私の心は今、寒い…とても寒い……」ギュゥゥ


エレン「…ミカサ……」


ミカサ「だから…エレンに傍にいてほしい…あたためてほしい……」



ギュッ



彼はミカサと向き合い、正面から抱きしめ返した

562: 2013/12/21(土) 02:04:10 ID:l.PdM5c6

エレン「あぁ…あたためてやるさ……氏んでもお前の心をずっとあたため続けてやるよ」


ミカサ「エレン……」


エレン「ミカサ……」



二人は限られた時間を無駄にしないように、悔いを残さないように愛し合った

563: 2013/12/21(土) 02:05:01 ID:l.PdM5c6

___________________



チュン チュン


エレン「………」


ミカサ「zzZ」ギュゥゥ


エレン(昔と変わらず抱きつくクセは治ってないみたいだな)クスッ


エレン(だが……力は変わったみたいだ)ミシミシ


エレン「ミ…ミカサ…そろそろ離してくれないと…また寝ちまう……」クルシイ…

564: 2013/12/21(土) 02:06:12 ID:l.PdM5c6

ミカサ「ぅ…ぅ~ん……」パチ


エレン「よ、よう…おはよう」


ミカサ「!?」バッ


エレン「やっと離してくれたか……それより早く服を着ろ、風邪引くぞ」スルスル


ミカサ「!!///……えOち」スルスル


エレン「なっ//お前からしてきたんだろ!!」


ミカサ「そんなことない、エレンが私を襲った」


エレン「……」


ミカサ「………///」カァァ


エレン「自分で言って恥ずかしがるなよ」

565: 2013/12/21(土) 02:06:59 ID:l.PdM5c6

エレン「ほら早くしろよ 食堂でアルミンが待ってるはずだからな」


ミカサ「もうそんな時間なの!?」


エレン「そりゃあんな時間までやれば起きるのも遅くなるだろ…」


ミカサ「……」


エレン「………///」ポリポリ


ミカサ「自分だって同じことをしてる」クスッ


エレン「い、いいから行くぞ!!」スタスタ


ミカサ「…エレン」


エレン「ん?」


ミカサ「約束、守ってくれてありがとう」ニコ

566: 2013/12/21(土) 02:07:31 ID:l.PdM5c6

エレン「約束?何のことだ?」


ミカサ「教えない」フフフ


エレン「お前!?またそうやって俺に教えないのかよ!気になって眠れないじゃねぇか!」


ミカサ「ほら、早く食堂に行きましょう」スタスタ


アトデチャントオシエロヨ?
……
ムシスンナヨ!!

567: 2013/12/21(土) 02:08:04 ID:l.PdM5c6

――食堂――


アルミン「あっ!二人ともおはよう!」ニコ


ミカサ「おはよう、アルミン」ニコ


アルミン(あっ…久々に見たな ミカサの笑顔…)フフ


エレン「ア~ル~ミ~ン~?」ギロッ


アルミン「…あれ?」オコッテル?


エレン「お前、余計なことしすぎだ!」ゴンッ


アルミン「痛ッ!…もう、二人の為を思ってやったことなのに……」ヒリヒリ

568: 2013/12/21(土) 02:08:42 ID:l.PdM5c6

エレン「それでも、心の準備と言うものがあるんだよ!」


アルミン「…でも、ちゃんと気持ちを伝えられたんでしょ?」


エレン「そ、そりゃあ…そうだけど……」


ミカサ「二人ともケンカしてないで早く食べましょう」


エレン「わかったよ…」


アルミン(…で、どこまで言ったの?)ヒソヒソ


エレン(俺がもう直ぐ氏ぬってことだけだ 過去のことや巨人であることは言ってない…今の俺だけを見ててほしいからな)ヒソヒソ


アルミン(…わかった、じゃあいつか僕が伝えておくよ)ヒソヒソ


エレン(悪いな…)ヒソヒソ

569: 2013/12/21(土) 02:09:14 ID:l.PdM5c6

ミカサ「…二人とも、こそこそと何を話してるの?」


エレン「な、何でもねぇよ!」アセアセ


ジャン「あれ~?泣き虫エレン君じゃないか」ニヤニヤ


エレン「いきなり何ケンカ売ってんだよ…」


ジャン「だって昨日は大泣きしてたろ?男子宿舎まで聞こえていたぞ?」ニヤニヤ


エレン「なっ!?」


ジャン「どうして泣いてたんですか~?」ケラケラ


エレン「うぜぇ…」


サシャ「あっ!ミカサ、おはようございます!」


ミカサ「おはよう、サシャ」

570: 2013/12/21(土) 02:10:14 ID:l.PdM5c6

サシャ「昨日はどこで寝てたんですか?夜中に起きて、部屋にいないから心配しましたよ」


ミカサ「ごめんなさい、昨日は医務室で寝てたの」


ジャン「……は?」


エレン「ちょっ、バカ!」


サシャ「そうでしたか…それにしてもミカサ、今日は肌がツヤツヤしてますね」


ミカサ「そ、そう?//」


ジャン「はああ!?」


アルミン(そこまで進んだんだ//)


エレン「~~~っ///サシャ!今日は俺、パンだけでいいから残りはやるよ!」ガタッ

571: 2013/12/21(土) 02:10:56 ID:l.PdM5c6

サシャ「本当ですか!!ありがとうございます!」パアァ


タタタタタッ


ジャン「」


アルミン「マルコー、ジャンを連れてってくれないかい?」


コレタベテカラネ


アルミン「うん、ありがとね それより……ミカサ、よかったね」ニコ


ミカサ「うん///」

572: 2013/12/21(土) 02:11:34 ID:l.PdM5c6

___________________



この日はいつも使われている森で卒業試験の準備をしているため、ウォール・マリア内にある巨大樹の森で立体機動の訓練が行われる その為、現在馬で移動中である


ダダダダダダッ


エレン「ウォール・マリアもだいぶ復興されてきたな」


アルミン「それもこれも君のおかげだったなんて知らなかったよ」


エレン「俺のおかげじゃねぇよ 皆が頑張ったから今があるんだ」


アルミン「あっ!巨大樹の森が見えてきたね」


エレン「あぁ、そうだな」

573: 2013/12/21(土) 02:12:11 ID:l.PdM5c6

ドオオォォン!!



平和になったはずのシガンシナ区の方向から爆音が鳴り響いた



エレン「この音は!?」


キース「止まれぇぇ!!」



教官の号令と共に訓練兵は全員馬を走らせるのをやめた



キース「貴様らも聞いたと思うが、さっきの音は明らかに異常を示す音だ!!もしかすると…また扉が壊されたかもしれない」



一同「!?」



5年前の悪夢がよみがえる しかし、今回は前回の犯人達はこの場にいる

574: 2013/12/21(土) 02:12:59 ID:l.PdM5c6

ライナー(ま、まさか…戦士達が攻撃してきたのか!?まだ予定よりも期間があったろ!!)


エレン(ここまで……か)


ジャン「くそっ!……あと一ヶ月で卒業だっていうのに…最悪だ…」


エレン「……ジャン、立派な兵士になれよ」


ジャン「はあ?何言ってんだ、お前?この状況で頭がおかしくなっちまったのか!?」


アルミン「エレン!?まさか、君は…ッ!!」


エレン「アルミン、ミカサを頼む……夢、叶えられなくて…ごめんな」


アルミン「行っちゃ駄目だよ!エレン!!」


エレン「みんな!!今までありがとう!!お前らは最高の仲間だったよ!!」ニカッ

575: 2013/12/21(土) 02:13:35 ID:l.PdM5c6

彼は皆に最後の別れを言った後、最愛の彼女の前で向かい合った



エレン「ミカサ…お前に会えて本当によかった 幸せだった……」


ミカサ「な、何を言ってるの、エレン!!」


エレン「ミカサ……」



彼は彼女をそっと抱き寄せて口付けをした



エレン「いつまでも愛してる」


ミカサ「エレン…」


ダッ



彼はシガンシナ区の方角へ走り出し、そして……

576: 2013/12/21(土) 02:14:31 ID:l.PdM5c6

エレン「…俺は幸せ者だ もう…悔いはない」ニコ


ガリッ


カッ!!



ジャン「ぐっ!?何だこの閃光は……」


コニー「!?あれを見ろ!!巨人だ!!」


黒髪の巨人「………」シュウゥゥゥゥ


ユミル「あのバカ!一人で行く気か!?」


ミカサ「あの巨人はあの時の!……エレン…あなたはあの時も私を守ってくれていたのね…」ポロポロ


サシャ「ええ!?あれがエレンなんですか!?」

577: 2013/12/21(土) 02:15:09 ID:l.PdM5c6
黒髪の巨人「……」クルッ


ジャン「こっちに振り向いたぞ!」


黒髪の巨人「……」バッ



彼は皆に向かって心臓を捧げた



黒髪の巨人「……」クルッ



そして彼はシガンシナ区へ走り向かった



ミカサ「…エレン!!」バッ


アルミン「僕も!」バッ



彼女らも馬に乗ってシガンシナ区へと向かった

578: 2013/12/21(土) 02:16:09 ID:l.PdM5c6

――シガンシナ区――


ギュイイィィィィン
       ザシュ


巨人「」シュウゥウゥゥ…


スタ


リヴァイ「チッ…キリがねぇな」



シガンシナ区の扉は壊されて、再び巨人が侵入していた



エルヴィン「あの手足が長い獣の巨人を殺せれば、統率されなくなるんだが…」


ハンジ「だけどあの巨人は壁を壊した後、壁から少し離れた場所から他の巨人を操ってるからね…」

579: 2013/12/21(土) 02:17:27 ID:l.PdM5c6

事前に情報を得ていた調査兵団と駐屯兵団は、多くの固定砲をここに集めていた
そして現在、壁は壊されてしまったが固定砲は絶えず火を噴いており、侵入を最小限に抑えられている



エルヴィン「おそらく向こうは我々が事前に準備していた砲撃の弾が切れるのを待っているんだろう…それに戦士であろう他の巨人達も待機しているしな…」



猿の巨人を含めた獣の巨人達は、壁の近くの木々からこちらの様子を伺っている



リヴァイ「これからどうする?近づこうとしても袋叩きにあうだけだぞ」



アアアアアアアアアア!!



エルヴィン「この声は!?」

580: 2013/12/21(土) 02:17:59 ID:l.PdM5c6

ギュイィィィン
      スタ


モブリット「エルヴィン団長!エレン君が来ました!」


ブシュウゥゥゥ



シガンシナ区まで来た彼は一旦巨人化を解き、エルヴィンの元へ向かった



ギュイイィィィィン
       スタ


エレン「エルヴィン団長!!」ハァ ハァ


エルヴィン「エレン!よく来てくれた 正直に言うと…君には戦ってほしくなかったんだが…」


エレン「いえ…そういうわけにはいきませんよ それに…ちゃんと皆にお別れをして来れましたから……」

581: 2013/12/21(土) 02:18:50 ID:l.PdM5c6

リヴァイ「……俺達は何もしてやれないで…すまないな」


エレン「…いえ、皆さんには感謝してます 絶対に薬を完成させてくださいね」


ハンジ「あぁ、約束するよ…」


エレン「じゃあ…いってきます」タンッ



彼はそのまま壁の上から飛び降りた



エレン「…」スゥゥゥ…


エレン「猿の巨人!!座標であるお前に話がある!!巨人を退かせ!!」


猿の巨人「!!……お前ら、一旦下がれ そいつをこっちに連れて来い」



彼は地面に降り立つと、歩いて猿の巨人のところへ向かった

582: 2013/12/21(土) 02:19:36 ID:l.PdM5c6

猿の巨人「…座標を知ってるってことは王族の者なのか?」


エレン「違う…ライナー達から聞いた」


猿の巨人「ライナー?……ああ、あの鎧の巨人か やっぱり裏切ってたんだな」


エレン「裏切ってなんかいない!俺達は和解したんだ!」


猿の巨人「和解?」


エレン「俺達は今、巨人化を解く薬を開発している 既に完成もさせている」


猿の巨人「!!」


エレン(本当はまだだがここは嘘をついてでも和解に持っていく!)


エレン「だが、壁外にある薬草が必要なため、量産が難しい だからお互いに協力してこの薬を作り、壁外人類も壁内人類もみんな平和に暮らさないか?」


猿の巨人「フフフ……アハッハッハッハッハ!!何を言ってるの、お前?俺達が和解なんてすると思ってるの?」

583: 2013/12/21(土) 02:20:21 ID:l.PdM5c6

エレン「どうしてだ!?もう争う必要がなくなるんだぞ!!」


猿の巨人「いや、争ってないじゃん…一方的な殺戮だろ?」


エレン「くっ……確かに壁内人類も過去に酷いことをしたかもしれない…でも今はお互いに手を取り合うことができるだろ!!なのにどうしてそこまで壁内人類を殺そうとするんだ!!」


猿の巨人「…何を言ってるの?蟻を踏む潰すのに理由がいるのかい?」


エレン「!!……お前は腐ってんだな」


猿の巨人「酷いなぁ…お前達、もう頃してもいいよ」


エレン「黙れ!!」ギロッ


猿の巨人「!!」ゾクッ

584: 2013/12/21(土) 02:20:56 ID:l.PdM5c6

エレン「和解が無理ならお前らは俺が…一匹残らず頃してやるよ」


猿の巨人「殺気で巨人達の動きが止まった……お前、何者だ?」


エレン「俺か?俺は…」





エレン「エレン・イェーガー…人間だ」ガリッ





カッ!!

585: 2013/12/21(土) 02:21:48 ID:l.PdM5c6

___________________



ダダダダダダダッ


アルミン「――ってことなんだ」



アルミンは彼の全てを皆に話した



クリスタ「そ、そんなことって……」ポロポロ


ユミル(あの野郎…寿命のことを隠してやがって……)


ミカサ「………」


アルミン「ミカサ…大丈夫?」


ミカサ「ええ、大丈夫…」

586: 2013/12/21(土) 02:22:49 ID:l.PdM5c6

ジャン「あいつは本当に氏に急いでやがったのか…」


アルミン「ジャン!今の言い方はエレンを侮辱してるよ!!」


ジャン「だってそうだろ!!俺達は仲間じゃねぇのか!?どうしてあいつはいつも一人でやろうとすんだよ!!俺達に助けさせろよ!!それが仲間ってもんだろ!!」


マルコ「ジャン……」


ミカサ(エレン…どうか無事でいて……)



そして彼女らは扉を抜けてシガンシナ区へと入っていった



ライナー「おかしい…巨人が一匹もいないなんて…」


アニ「壁は壊されてなかったってこと?」


ベルトルト「あっ!外に繋がる壁が塞がれているよ」

587: 2013/12/21(土) 02:23:32 ID:l.PdM5c6

ユミル「!!…おい、あれってまさか……」



ダダダダダダダッ



キース「エルヴィン!」


エルヴィン「キースさん……」


コニー「…なぁ、あれが何なのかわからねぇのは俺がバカだからじゃねぇよな」


サシャ「……私にもわかりません だから…まだどこかにいるはずですよ」ポロポロ



彼らの目の先には塞がれた穴があった

そして、それは…硬質化した彼によって塞がれていたのだ

588: 2013/12/21(土) 02:24:43 ID:l.PdM5c6

エルヴィン「全ての巨人を頃した後…エレンは…最後の力を振り絞って、自分から壁となることを選んだんだ」



ミカサ「エレン…エレンッ!!」ダッ



彼女は硬質化した巨人の項から上半身をだしている彼の顔を覗き込んだ



ミカサ「エレン…」ポロポロ



彼は石となっていた……だが彼は…優しく微笑んでいた



ミカサ「ぅぅ…うわああああああああああん」ポロポロ



彼はこの日、15年というあまりにも短い人生に終わりを告げた

589: 2013/12/21(土) 02:25:50 ID:l.PdM5c6

___________________


十数年後



コンコン


アルミン「おはよう、ミカサ」


ミカサ「おはよう、アルミン」



彼女は現在、昔住んでいた旧アッカーマン家で生活している



ミカサ「ちょうどよかった、今朝ごはんができたとこなの 食べていくでしょ?」


アルミン「うん、もちろんだよ その為に早めに来たんだから」


ミカサ「今出すから座ってて」

590: 2013/12/21(土) 02:26:35 ID:l.PdM5c6

アルミン「うん……このテーブルに飾ってある花、とっても綺麗だね」ガタッ


ミカサ「ええ、エレンが子供の頃に好きだって言っていた花なの」


アルミン「へぇ~でもこれ、バラの花だよね?バラは愛の象徴ってイメージなんだけど…エレンがこれを好きだなんて意外だなぁ」


ミカサ「でもこの花の名を聞けば納得するはず」


アルミン「このバラは何て名前なの?」


ミカサ「エレンは知らなかったみたいだけど、このバラの名は…『ELLEN』」


アルミン「え?じゃあエレンは自分の名前と同じ花って知らないのに、その花が好きだったの!?」


ミカサ「ええ、まだお父さんから『ELLEN』という名をもらう前から好きだったみたいよ しかもエレンもお父さんもその花の名が『ELLEN』って知らずにつけたらしいわ」フフフ


アルミン「凄い偶然だね……エレンには驚かされてばかりだよ」

591: 2013/12/21(土) 02:27:39 ID:l.PdM5c6

ミカサ「ええ…」


アルミン「そういえば今度ライナー達がお肉を送るって言ってたよ」


ミカサ「このあいだ送られてきたばかりなのに…」


アルミン「ライナーもベルトルトも君に気をつかってるんだよ」


ミカサ「もう許したのに……」


アルミン「…よく許したよね だっておばさんの仇だよ?」


ミカサ「憎しみは…何も生まないから……」


アルミン「…エレンの言葉だったね」


ミカサ「ええ…それにライナー、ベルトルト、アニの三人はエレンの意志を継いで、壁外人類の説得に貢献してくれたし……思いっきり殴っておいたから」


アルミン「そうだったんだ…それで調査兵団の本部で見かけた時に顎が外れてたんだ」フフ

592: 2013/12/21(土) 02:28:58 ID:l.PdM5c6

ミカサ「他のみんなもエレンの意志を継いでくれて嬉しかった…」


アルミン「そうだね…マルコは腐敗しきった憲兵団を正す為、今もサシャとコニーと共に奮闘中だし、クリスタとユミルは命を狙われる危険性もあったのに壁の秘密を世間に公にしたからね」


ミカサ「でもそれも…アルミンがハンジさんと共に巨人化を解く薬をたった2年で完成させてくれたからじゃない…エレンもきっと喜んでいるはず」


アルミン「違うよ……全部エレンのおかげさ 壁外人類と和解できたのもエレンが過激派の猿の巨人達を倒してくれたからだし…僕達はただ、エレンの意志を継いだだけさ」


ミカサ「でもアルミンが頑張ったのも事実 それに今は調査兵団団長補佐だもの…
そういえば……一つだけ疑問に思ってたことがあるの 何で自由に外の世界に行けるようになったのに、アルミンは行かないの?外の世界を探検するのがアルミンの夢だったでしょ?」


アルミン「ちょっとだけ違うんだ…僕の夢はエレンと一緒に外の世界を探検すること…海を見ることだったんだよ そして今の僕の夢は……」

593: 2013/12/21(土) 02:31:12 ID:l.PdM5c6

ドタドタドタ


「母さん!!どうして起こしてくれないんだよ!?」


ミカサ「まずは朝の挨拶でしょ?」


「おはよう、母さん!アルミン!」


アルミン「おはよう、ちゃんと準備はして寝た?」


「いや…実はあまりしてない 今日のことを考えたらワクワクして眠れなかったんだ…」


ミカサ「まったく…あなたのそういうところはお父さんにそっくりなんだから…」


「う、うるさいよ!」


ミカサ「ほら、ちゃんと私が用意しておいたから朝食を食べちゃいなさい」


「はーい」

594: 2013/12/21(土) 02:32:29 ID:l.PdM5c6

カチャカチャ   モグモグ


「やっとだな、アルミン!今日、俺達は海を見るんだな!」キラキラ


アルミン「こっからだと二日は馬で移動しないと海は見えないらしいから、今日見ることは出来ないよ」クス


「マジかよ…」シュン


ミカサ「ほら、落ち込んでないで早く食べなさい」


アルミン「そうだよ そろそろ行かないと団長に怒られちゃうよ?」


「ジャンは待たせておけばいいんだよ」


ミカサ「こら!ジャン団長でしょ」

595: 2013/12/21(土) 02:34:14 ID:l.PdM5c6

「はいはい」


ミカサ「『はい』は一回」


「もう!うるさいな!今日からしばらく会えなくなるんだから、怒らせないでよ……
でも、母さんはどうして一緒に行かないの?めちゃくちゃ優秀な兵士だったんでしょ?」


ミカサ「私は…いえ、私達はあなたの帰りを待ってるわ あなたもいつかわかる時が来るわ…帰る場所があるという幸せを……」


アルミン「ミカサ………おっと、そろそろ本当にマズイな 街の中心にあるエレンの銅像にも挨拶してかなくちゃいけないし」


「ええー父さんと俺って顔も全部似てるから、自分を見てるみたいで嫌なんだよなぁ」


ミカサ「そんなこと言わないでちゃんと挨拶してから行きなさい」


「はーい」

596: 2013/12/21(土) 02:34:57 ID:l.PdM5c6

アルミン「じゃあミカサ、お土産をたっぷり持ってくるからね」フリフリ


ミカサ「ええ、期待してるわ」フリフリ


「じゃあ母さん、いってきます!」


ミカサ「待ちなさい…」シュルリ


ミカサ「これをあなたにあげるわ」


「でも…これって父さんから貰った大切なマフラーじゃないの?」


ミカサ「ええ…でも父さんもきっとあなたに貰ってほしいはず それにそのマフラーは大切な人にあげるものなの だから私にとって大切なあなたにあげるのよ」


「…ありがと、母さん 俺、一生大切にするよ」

597: 2013/12/21(土) 02:35:40 ID:l.PdM5c6

ミカサ「あなたも大切な人が出来たらそのマフラーをあげなさい」


「やだよ!俺の宝物にするんだ!」


ミカサ「ふふふ…本当にお父さんそっくりなんだから……」


「じゃあいってくるよ、母さん」


ミカサ「ええ……」





ミカサ「いってらっしゃい、エレン」ニコ




Fin

598: 2013/12/21(土) 02:37:34 ID:l.PdM5c6
これで完結です!


見てくださった方々、ありがとうございます!
最後のほうは少し描写が少なかったんですが、勢いで完結させちゃいました


ではまたどこかで

599: 2013/12/21(土) 03:05:51 ID:MVC2IO86
お疲れさまです!

引用: エレン【ELLEN】