1: 2013/11/12(火) 01:36:35 ID:4q/299MQ

※ベルトルトとユミル中心
※ベルユミにはならない
※捏造設定、原作内容と異なる部分多し

2: 2013/11/12(火) 01:37:24 ID:4q/299MQ



「やるんだな!?今…!ここで!」

「あぁ!!勝負は今!!ここで決める!!」


「エレン!!逃げて!!」


僕の意識はここで途切れた。

首にまるでスローモーションのように食い込んでいく冷たいブレード。

斬り進められればられるほど、吹き出る血。

再生能力も間に合わないスピードに―――僕の頭は、胴体から離れた。


必ず故郷に帰ると誓ったのに。

絶対に、絶対に絶対に絶対に絶対絶対絶絶絶―――……



******
進撃の巨人マガジン15周年号 (週刊少年マガジンコミックス)
3: 2013/11/12(火) 01:38:26 ID:4q/299MQ



ライナー「…ルト、…ベルトルト!」

ベルトルト「!」ハッ

ライナー「大丈夫か?大分うなされていたみたいだが…」

ベルトルト「…え…ライナー…?」

ライナー「まぁ寝付けなくても当然だ。…明日から、とうとう訓練兵だからな」

ベルトルト「え!?…訓練、兵…!?」

ベルトルト(何を言っているんだ!?だって僕たちは、今の今まで壁の上にいて)

ベルトルト(エレンを攫おうとして、ミカサのブレードが…!)

4: 2013/11/12(火) 01:38:57 ID:4q/299MQ



ミカサ『―――ッ!!』


ベルトルト「う゛ッ…!!」

ライナー「ベ、ベルトルト!?どうした!」

ベルトルト「はっ…は…!」

ベルトルト(ライナーの右腕が、ある…!?ミカサに斬り落とされたはずなのに…!)

ベルトルト(どういうことだ…確か僕たちは、ウトガルドで巨人に囲まれて、)

ベルトルト(塔が崩壊する寸前で調査兵団の助けが入ったんだ…)

ベルトルト(ライナーと、あと…コニーと、クリスタと…)ズキッ

ベルトルト(っ…頭痛い…あれ?)

ライナー「お、おい…医務室に行くか?」

ベルトルト(ライナーが…少し若く見える…)

5: 2013/11/12(火) 01:39:31 ID:4q/299MQ


ベルトルト(まさか、そんな…いや、でもそれしか…!)

ベルトルト「ライナー!」

ライナー「お!?」

ベルトルト「今は何年!?」

ライナー「はぁ?お前一体どうしたってんだよ」

ベルトルト「いいから!」

ライナー「今は847年だろうが」

ベルトルト「…っ」

ベルトルト(やっぱりだ、僕は過去に戻ってきたのか!?)

ベルトルト(3年後、僕の人生はミカサによって終わらされる)

6: 2013/11/12(火) 01:40:09 ID:4q/299MQ


ベルトルト(故郷に帰るという目的を果たせないまま)

ベルトルト(どうしてこうなったのかは分からない、もしかしたらただの夢だったのかもしれない)

ベルトルト(でももし、これが本当に起こっていたことだったら…!)

ベルトルト(僕たちが故郷に帰れる確率は格段に上がる!)

ベルトルト「ライナー」

ライナー「あ、あぁ」

ベルトルト「絶対に故郷に帰ろう、絶対にだ」

ライナー「…当然だ」

7: 2013/11/12(火) 01:40:54 ID:4q/299MQ


******



キース「貴様は何者だ!?」

アルミン「シガンシナ区出身!アルミン・アルレルトです!!」

キース「そうか!バカみてぇな名前だな!!親がつけたのか!?」

アルミン「祖父がつけてくれました!」


ベルトルト「…」チラ

ベルトルト(アルミン…あっちには、エレンと、ミカサ…)チラッ

ベルトルト(向こうには、ジャンにマルコ、コニー…やっぱりそうだ、間違いない)

ベルトルト(僕はこれを知っている。一度経験している)

ベルトルト(…と、なると…)チラ

8: 2013/11/12(火) 01:41:32 ID:4q/299MQ



サシャ「ウォール・ローゼ南区ダウパー村出身!!サシャ・ブラウスです!」バッ

キース「サシャ・ブラウス…貴様が右手に持っている物は何だ?」


ベルトルト(やっぱりサシャ…相変わらず芋を食べているのか…)

ベルトルト(ここまで一緒となると、これからの行動も大分変わってくる)

ベルトルト(…)チラ

ライナー「……」

ベルトルト(まずは、ライナーが戦士と兵士の間で揺れ動くことがないように、しっかり見ていなきゃ)

ベルトルト(これは結構重要だ。それから…)チラ

ミカサ「……」

ベルトルト(…最大の脅威は君だ、ミカサ。君は本当に恐ろしい)

ベルトルト(ミカサを排除すればかなり楽になるはずだ。でも、どうしたら…)

9: 2013/11/12(火) 01:42:09 ID:4q/299MQ


ベルトルト(……そうだ、いい方法があるじゃないか)

ベルトルト(エレンに開拓地に行ってもらえばいい。そうすれば、自ずとミカサも着いて行くはずだ)

ベルトルト(待てよ?エレンはやっぱり巨人になれるのだろうか…だとしたら厄介だ)

ベルトルト(エレンが仮に座標だった場合、エレンを無視すれば故郷に帰れる確率が下がる)

ベルトルト(最悪開拓地から攫うか…とにかく今はミカs)

キース「…貴様」

ベルトルト「え?」

ライナー(ばっ、馬鹿ベルトルト!)

ベルトルト「あ…!は、ハッ!!」バッ

キース「余所見をする余裕があるとはな…どうやら貴様は図体だけではなく態度まででかいようだ」

ベルトルト「ハッ!!申し訳ありません!!」

10: 2013/11/12(火) 01:42:47 ID:4q/299MQ


ベルトルト(……そうだ、いい方法があるじゃないか)

ベルトルト(エレンに開拓地に行ってもらえばいい。そうすれば、自ずとミカサも着いて行くはずだ)

ベルトルト(待てよ?エレンはやっぱり巨人になれるのだろうか…だとしたら厄介だ)

ベルトルト(エレンが仮に座標だった場合、エレンを無視すれば故郷に帰れる確率が下がる)

ベルトルト(最悪開拓地から攫うか…とにかく今はミカs)

キース「…貴様」

ベルトルト「え?」

ライナー(ばっ、馬鹿ベルトルト!)

ベルトルト「あ…!は、ハッ!!」バッ

キース「余所見をする余裕があるとはな…どうやら貴様は図体だけではなく態度まででかいようだ」

ベルトルト「ハッ!!申し訳ありません!!」

11: 2013/11/12(火) 01:43:52 ID:4q/299MQ

重複してしまいました、すみません

******


キース「そんな貴様には、芋女と同じく氏ぬまで走らせてやろう。光栄に思え」

ベルトルト「ハッ!ありがとうございます!!」

アニ(ベル…アンタ一体何してるんだい…)

ライナー(昨日からおかしいな…何か悪いものでも食ったのか?)

ベルトルト(こんなことで注目されるなんて…!いや、でも方法は思いついた。後で二人に伝えないと…)



******


ベルトルト「ぐっ…ぅ…」ハァハァ

ベルトルト(サシャの目が大分虚ろだ…くそ、多分サシャより走らされるんだろうなぁ…)

サシャ「」フラフラ

ベルトルト(終わりかな?僕もあと少し…)

サシャ「」ガクッ

12: 2013/11/12(火) 01:44:22 ID:4q/299MQ


ベルトルト(あ)

サシャ「」ドサッ

ベルトルト(どうしよう、手を貸した方がいいのかな…)

ベルトルト(……!)


クリスタ「」トトトッ

サシャ「!」ドォッ

クリスタ「きゃあああああ」

サシャ「ハッ… パァン!!」

クリスタ「…それだけしかないけど、取っておいたの…」


ベルトルト(クリスタ… そうか、これがきっかけでサシャとクリスタが仲良くなったのか…)

ベルトルト(前の時ではクリスタはウォール教と関わりがあったはず。どういう関係かは分からないけど)

ベルトルト(…今回は、それが大分重要になるはずだ。注意しておかないと…)

13: 2013/11/12(火) 01:45:10 ID:4q/299MQ


サシャ「神様ですか!?あなたが!?」

クリスタ「し、静かにしないと!」

ユミル「オイ!?」


ベルトルト(!?)


サシャ「神ぃいいいい!!」

ユミル「何やってんだ?」


ベルトルト(え!?誰だ、あの女の子…!)


クリスタ「えっと…この子は今まで走りっぱなしで」

ユミル「芋女じゃない。お前だ、お前何やってんだ」


ベルトルト(あんな子いなかった!どういうことだ?あれは…誰だ?)

ベルトルト(女の子にしては背が高い…あんな子いたら、絶対目についてるはずなのに…)

ベルトルト(この世界は、戻った世界じゃないのか?それともまさか…夢…?)

14: 2013/11/12(火) 01:45:52 ID:4q/299MQ


クリスタ「私が…こうしたかったのは…役に立つ人間だと思われたいから…なのかな…?」

ユミル「は!?知るかよ…」

ユミル「とにかく…芋女をベッドまで運ぶぞ」

クリスタ「え!?」

ユミル「お前じゃこいつを担ぐのはしんどいはずだ」


ベルトルト(いや、夢なわけがない!僕の首は確かに一度…飛んでる…)ゾクッ

ベルトルト(…まさかここは…前の世界じゃ、ない?)

ベルトルト(でも起きていることは前と変わりがない!それに)チラ


ユミル「こいつに貸し作って恩に着せる為だ…こいつの馬鹿さには期待できる」


ベルトルト(この子が今後関わりがあるとは到底思えない、普通の人間みたいだし)

ベルトルト(…エレンみたいに巨人化できる人間がそうそういて堪るか)

15: 2013/11/12(火) 01:47:03 ID:4q/299MQ


クリスタ「あ、待ってよ!」

ユミル「何で待たなきゃいけねぇんだよ… あぁ、そうだ」クル

ベルトルト「!?」

ユミル「そこのアンタ。…今ここで起きたこと、教官方に言おうとか考えるんじゃねぇぞ?」

クリスタ「え?…あ、あなた、入団式で怒られてた…」

ベルトルト「あ…や、やぁ」

クリスタ「あ、あのっ、今のこと黙っててください!」ペコリ

ベルトルト「大丈夫、言わないから」

クリスタ「よかったぁ…」ホッ

ベルトルト(…なるほど。ライナーが絆されたのも分かる。確かにクリスタは可愛い)

ベルトルト(でもライナーがあんなことになった原因の一つは君だ。悪いけど、ライナーには近づけさせないよ)

ユミル「…相手してられっか。先行くぞ」スタスタ

クリスタ「ちょっとぉ!」スタスタ

16: 2013/11/12(火) 01:48:26 ID:4q/299MQ


ベルトルト「……」

ベルトルト(…とりあえず、クリスタは要注意だ。あと、あの女の子も)

ベルトルト(これから起こることがどのくらいズレているのか、しっかり把握しなきゃ…)

ベルトルト(絶対に故郷に帰るんだ)

ベルトルト「…あー…そろそろ部屋戻るかな」

ベルトルト「このくらい走れば、まぁ、人間なら氏ぬ寸前だと思うし」



******


アニ「は?…あの、エレン・イェーガーが?」

17: 2013/11/12(火) 01:49:28 ID:4q/299MQ


ベルトルト(就寝の点呼後、僕はあらかじめ声をかけておいたアニと合流した)

ベルトルト(ライナーにも声をかけようとしていたんだけど…彼は卑怯なことが嫌いだから)

ベルトルト(きっとこの作戦にも反対される、だから、アニにだけ伝えることにした)

ベルトルト(エレンを…ミカサを訓練兵から脱落させる方法を)

アニ「…確かにアイツは、夕食の時に大分大きいことを言ってたよ」

アニ「超大型巨人は皮膚が殆ど無くて口がでかかったとか」

アニ「鎧の巨人は普通の巨人みたいだった…とか」

アニ「アンタはヘマやったせいで見てないだろうけどね」

ベルトルト「う…」

アニ「でもそんなに気にするようなヤツかい?…悪いけど、私には弱い人間にしか見えないよ」

ベルトルト「アニ。憎しみは時にとても強い力になる。…僕たちだって身に染みて分かっているだろ?」

アニ「それはそうだけど…」

18: 2013/11/12(火) 01:50:00 ID:4q/299MQ


ベルトルト「危ない芽は早めに摘んでおこう」

アニ「…ま、ベルがそんなこと言うなんて珍しいからね。分かったよ」

アニ「で?どうするんだい?言うからには何か方法があるんだろう?」

ベルトルト「うん。それなんだけど―――」



******



アニ(チッ…ベルのヤツ、なんたってこんなこと…)ガサガサ

アニ(見つかったら説教どころじゃ済まないだろ…)カチャカチャ

19: 2013/11/12(火) 01:50:33 ID:4q/299MQ



ベルトルト『いい?アニ。明日、立体機動の適正試験があるだろ?』

ベルトルト『装備は各人一つ、すでに振り分けられているはずだ』

ベルトルト『腰の横…ロープを接続する所の内側の部品なんだけど、そこを壊してほしい』

ベルトルト『…大丈夫、ちゃんと調べた情報だから、アニは安心して』


アニ(確かにベルは図体がデカいから、こういう密偵みたいなのは苦手だろうね…)

アニ(…別に好きで背が低いわけじゃないんだけど… あ)ガサ

アニ(“イェーガー”…これか。確か、腰の横の、接続部…)カチャカチャ

アニ「ふっ」ガキィッ

アニ(…ま、こんな所だろ。この程度のヒビなら、気付かれないと思うし…)

アニ(でもここが本当に関係あるの?…いや、明日になれば分かるか…)

アニ「…巨人を駆逐してやる、か」ボソッ

20: 2013/11/12(火) 01:52:28 ID:4q/299MQ

書き溜め以上です
ネタ被ってたらすみません
また明日来ます

23: 2013/11/13(水) 00:33:26 ID:TUY.XfqY

******


キース「全身のベルトで体のバランスを取れ!これが出来ない奴は囮にも使えん!」

キース「開拓地に移ってもらう!」


ベルトルト(これだ…これさえ失敗させてしまえば、エレンは確実に開拓地に行く)

ベルトルト(そしてミカサ、君もだ)

アニ「」チラ

エレン「」プラーン

キース「何をやってるエレン・イェーガー!!上体を起こせ!!」

ベルトルト(よし…あの箇所は整備項目には入っていない)

ベルトルト(そう簡単に気付かれることはないはずだ)

アニ(ベルの言った通りだ…失敗してる…)

アニ(…本当にあんな男が脅威になるの?やっぱり、そうとは思えない…)


クリスタ「…ふぅ…」

24: 2013/11/13(水) 00:34:08 ID:TUY.XfqY


ユミル「よぉいい子ちゃん。クリアしちまったのか」

クリスタ「! あなた、昨日の…」

ユミル「クリスタ・レンズだろ?お前」

クリスタ「えっと…」

ユミル「ユミルだ」

クリスタ「…まるで私にクリアしてほしくなかったみたいな言い方だね」

ユミル「あぁ。お前みたいないい子ちゃんは、すぐに巨人の餌になっちまうからな」

クリスタ「……」

ユミル「そんな怖い顔すんなよ。可愛い顔が台無しだぜ?」

クリスタ「…」プイ

ユミル「……ったく、この甘ちゃんは」


******

25: 2013/11/13(水) 00:35:10 ID:TUY.XfqY


食堂


ライナー「あのエレン…だったか?昨晩巨人を駆逐してやるって言っていたのは」

ベルトルト「うん。そうらしいね」

ライナー「あの程度のことが出来ないようでは到底無理な話だ」

ジャン「よぉ、ここいいか?」カタッ

ライナー「ああ、構わない。お前は確か、キルシュタインとか言ったか?」

ジャン「ジャンでいいぜ。こっちはマルコだ」

マルコ「やぁ、お邪魔するよ」カタッ

ベルトルト「…やぁ」ペコリ

マルコ「えっと確か…ライナー・ブラウンとベルトルト・フーバーだったね?」

ライナー「そうだ、名前で構わない」

マルコ「じゃあお言葉に甘えて。ライナーはあのテスト、簡単にクリアしてたね」

ライナー「昔から体を動かすのは得意だったからな。あのくらい造作でもない」

26: 2013/11/13(水) 00:36:13 ID:TUY.XfqY


ジャン「お前もかなり安定してたよなぁ。手慣れてるって感じだったぜ」

ベルトルト(嫌ってくらい訓練してきたからね。どうやら感覚もある)

ベルトルト(この感覚があるってことは、やっぱり僕は立体機動も経験してるはずだ)

ジャン「それに引き替え…」チラ


アルミン「だから今は悩んでも仕方ないって…」

エレン「情けねぇ…こんなんじゃ奴らを…根絶やしにすることなんか…」


マルコ「でも他にあそこまで…その、ひどい失敗してる人はいなかったよな?」

ジャン「つまりその程度のヤツってことだろ」ムシャムシャ

ライナー(少しは骨のあるヤツだと思っていたんだがな)

ベルトルト「……」


ミカサ「もうそんなこと目指すべきじゃない」


ベルトルト「!!」ピクッ

27: 2013/11/13(水) 00:37:27 ID:TUY.XfqY


ミカサ「向いてないなら仕方ない。ようやくできる程度では無駄に氏ぬだけ。きっと夢も努力も徒労に終わる」


ベルトルト(来た…!まさかミカサから言い出すとは思わなかったけど、これは好都合だ)

ベルトルト(でもエレンの性格を考えると、むしろ逆効果かもしれない…)

ベルトルト(ミカサには何かと反発してたからなぁ、彼)


エレン「俺は…あの日あの光景を見ちまったんだぞ…?」

ミカサ「…でも、その覚悟の程は関係ない」


ジャン「へっ、いい気味だ」

マルコ「こらジャン!」ペシン

ジャン「痛ぇ!」

ライナー「ははは、お前らは大分仲良くなったみたいだな」

ジャン「別に仲良くなんかねぇよ」ムスッ

28: 2013/11/13(水) 00:40:14 ID:TUY.XfqY


ベルトルト(そうだよジャン、例え君がどれだけマルコと仲良くなったって)


コニー『あんなに頑張ったのに…あんなに…やったのに…』

コニー『全部…無駄だったのか…?』


ジャン『俺は…俺は…調査兵団になる』


ベルトルト(マルコは…)ズキッ

カンカンカン

マルコ「あ、点呼の時間だ。早く戻ろうか」ガタッ

ジャン「おーう。じゃあな、ライナーにベルトルト。先に戻ってるぜ」ガタッ

ライナー「あぁ、後でな」

ライナー「…ふぅ。アイツらは確か、憲兵団になりたいとか言っていたな」

ベルトルト「ライナー」

ライナー「ん?」

ベルトルト「…あまり彼らと…いや、同期と関わりを持たない方がいい。僕たちが何の為にここにいるのか分かってるだろう?」

29: 2013/11/13(水) 00:40:59 ID:TUY.XfqY


ライナー「だがなベルトルト。…疑われない為には、多少の関わりというものは確実に必要だと思う」

ベルトルト「関わり過ぎないでって言ってるんだよ」

ライナー「何をそんなに心配することがある?俺がアイツらに絆されるとでも思っているのか?」

ベルトルト(実際そうだったから言っているんだろ…)


ユミル「オイ何やってんだサシャ!」

サシャ「ハ、ハイ!」ガタッ


ベルトルト(あの子は…昨夜の…)


ユミル「私とクリスタ分の水汲みやるって言ったよな?」

サシャ「ハ、ハイ、今すぐやります恩人様…ヘヘヘ…」

ユミル「お前の救われた命は軽くないはずだよな」

クリスタ「だ、駄目だってそんなことしちゃ…」

30: 2013/11/13(水) 00:42:09 ID:TUY.XfqY


ベルトルト(サシャまで手懐けてる…何なんだ一体…)

ベルトルト「…ねぇ、ライナー」

ライナー「」ポー

ベルトルト「!?」

ベルトルト(ライナーの目がクリスタに釘付けになってる…!まさか、こんな早くから!?それともこの世界ではこうなのか!?)

ベルトルト(とにかくライナーの意識を逸らさないと…!)

ベルトルト「ねぇライナー!あの黒髪の子なんだけど!」

ライナー「黒髪?俺には金髪しか見えないが」

ベルトルト「その金髪の隣にいるだろ!?」

31: 2013/11/13(水) 00:42:57 ID:TUY.XfqY


ライナー「お?…あ、あぁ、アイツか」

ベルトルト「彼女、何ていう名前か分かる?」

ライナー「確か…ユミルだったか。ファーストネームは知らん」

ベルトルト「ユミル、か…」

ライナー「…まさかお前…」

ベルトルト「違うって!」

ベルトルト(くそ、最初からこんな状況になるなんて…!まぁいい、今はミカサがここから離れることが重要だ)

ベルトルト(そうすればきっと僕たちの故郷は、グッと近くなる)



******

35: 2013/11/14(木) 02:18:49 ID:rfFc396w

******


コニー「コツだって?悪ぃけど俺…天才だから。“感じろ”といか言えん」

ジャン「俺は逆に教えてほしい。あんな無様な姿晒しておいて正気を保っていられる秘訣とかをよぉ…」



ライナー「うーん…姿勢制御のコツか…」

ベルトルト(まぁ予想はしてたけど)

エレン「頼む!二人もすごく上手いって聞いたぞ」

ベルトルト(やっぱり僕たちにも聞きにきたか…ある意味そこがエレンのいい所と言えばそうなんだけど、)

ベルトルト(…ごめんねエレン。君は、君とミカサは危険すぎるんだ)

ライナー「期待するような助言はできそうにないな…」

エレン「そうか…」

アルミン「明日に懸けるしかない…」

ベルトルト(…待てよ、これはチャンスかもしれない。僕の知っていることとこの世界の食い違っている部分)

ベルトルト(それがあるのならば、今少しでも確認するべきかもしれない)

36: 2013/11/14(木) 02:19:53 ID:rfFc396w


ベルトルト「二人は…あのシガンシナ区出身だよね?」

アルミン「うん…そうだけど…」

ベルトルト「じゃあ巨人の恐ろしさも知ってるはずだ。なのに…どうして兵士を目指すの?」

アルミン「僕は…直接巨人の脅威を目の当たりにしたんじゃないんだ」


ベルトルト(…アルミンは、前と変わらない理由だ。でもこれだけだと判断材料が少なすぎる)

アルミン「聞いてもいいかな?」

ベルトルト「何?」

アルミン「二人はどこ出身なの?」

ベルトルト「…僕とライナーは、ウォール・マリア南東の山奥の村出身なんだ…」

ベルトルト(エレン。君は巨人の…僕たちの恐ろしさを知っているはずだ)

ベルトルト(悪いようにはしない。だから、もう、諦めてくれよ)

ベルトルト(今度こそ僕たちは…故郷に帰りたいんだ)

37: 2013/11/14(木) 02:20:24 ID:rfFc396w


ベルトルト「……僕らは馬に乗ってウォール・シーナまで逃げた」

ベルトルト「後は君たちも同じだろ?」

エレン「二年間開拓地に勤めて今に至る…だよな」

ライナー「まったく…お前は何だって突然そんな話すんだよ」

ベルトルト「ご…ごめん…」

ベルトルト(確認の為、なんて言えるわけないじゃないか)


ベルトルト「体動かすの得意だから…憲兵団の特権階級狙いで兵士を選んだ」

ベルトルト「それが駄目だったら全部放棄するかもしれない…」

ベルトルト(憲兵団になって、内部から人類を全滅させる。当初の計画は見事に壊れたけどね)

ベルトルト(今回は何の問題もなく憲兵団に入るのかそれとも…)

ライナー「……」

ベルトルト(…また、君が壊れていく姿を見るのか、分からない)

エレン「俺なんか壁壊される前から調査兵団になりたいとか言って、頭がおかしい奴としか思われなかったからな…おかしいのはこっちだ」

ライナー「ん…?ってことは…巨人と遭遇した後も、その考えは変わらなかったってことか?」

38: 2013/11/14(木) 02:21:07 ID:rfFc396w

ベルトルト(そうだよライナー。僕たちの最大の脅威で、最大の希望になるんだ)

エレン「殺さなきゃならねぇと思ったよ…奴らを…一匹残らず」

ライナー「……」

ライナー「俺にも…」

ベルトルト「……」

ライナー「俺にもあるぜ、絶対曲がらないものが…」

ベルトルト(…そうだよライナー)

ライナー「帰れなくなった故郷に帰る。俺の中にあるのはこれだけだ…」

ベルトルト(これは最大のチャンスなんだ。きっと、今度こそ帰れる)

ライナー「絶対に…何としてもだ」

ベルトルト(きっとその為に、僕は戻って来たんだ)

ライナー「ベルトの調整から見直してみろ、明日は上手くいく…」

ベルトルト「!!」ギクッ

ベルトルト(何アドバイスしてるんだよ!こんな所で世話焼きスキル発揮しないでよ変に的確だし!!)

ベルトルト(い、いやでもそう簡単に気付かれない…はず、はず…だよね…)ダラダラ

39: 2013/11/14(木) 02:21:40 ID:rfFc396w

******


アニ「……」

ユミル「よぉ」

アニ「…何か用かい?」

ユミル「変なこと聞くんだな。ここは便所だぜ?偶然顔を合わせたって別におかしくはねぇだろ」

アニ「……アンタ、ユミルだっけ?」

ユミル「覚えててもらえてるとは光栄だな」

アニ「……」クルリ

ユミル「なぁ、アニ」

アニ「…何」

ユミル「昼間の立体機動テストのエレン…見てたよな?」

アニ「」ピクッ

アニ「それが何?」

ユミル「見事なひっくり返りっぷりだったよなぁ。あんなの、後にも先にもアイツだけなんじゃねぇか?」

40: 2013/11/14(木) 02:22:13 ID:rfFc396w


アニ「悪いけど、他人を小馬鹿にして笑う趣味はないから」

ユミル「おっと悪い悪い。でもさ」

ユミル「何でアイツだけ、あんな状況になったんだろうな?」ヒソッ

アニ「!」

ユミル「他に出来ない奴も確かにひっくり返ったが…地面に頭が付くなんてなかったからさ」

ユミル「ほら、見た感じお前上手かったからさ…意見を聞きたいなと思ってよ」

アニ「……そんなの知るわけないじゃないか。あの女にでも聞けばいいだろ?」

ユミル「…あの女?」

アニ「その、エレン・イェーガーと一緒にいる女だよ」

ユミル「聞いて答えるタマじゃねぇよ、アイツは」

アニ「残念ながら私もさ。用がないなら私は戻る」

ユミル「あぁ、引き留めて悪かったな。おやすみ」

41: 2013/11/14(木) 02:23:01 ID:rfFc396w


******


立体機動・再試験


ベルトルト(恐らく今日エレンが失敗すれば開拓地行きは決定だ)

ベルトルト(心配なのはライナーの助言通りにベルトを確認していた場合だ)

ベルトルト(でも今のエレンは本当に最初の最初だ。整備項目を見ながら確認するのが精一杯だろう)

ベルトルト(大丈夫、きっと上手く行く)


アニ(昨日のユミルって女…何だったんだ…)

アニ(まるで私を試しているかのようだった。…あんな人間、気持ち悪くて仕方ないよ)

アニ(…ベル、これで本当にいいんだよね?)


キース「エレン・イェーガー。覚悟はいいか?」

キース「出来なければ開拓地に戻ってもらう…いいな?」

エレン「はい!」

42: 2013/11/14(木) 02:23:57 ID:rfFc396w

エレン(大丈夫だ、ライナーに言われた通り、ベルトの調整と確認はした)キリキリ

エレン(やる!俺は絶対にやる!)キリキリ


アルミン「! おぉ!」

ミカサ「……」

ベルトルト「!!」


エレン「やった、でき……」グルン

エレン「ぐあっ!!」グルン ゴン!!

キース「……」

アルミン「あぁっ…」

ライナー「クッ…」

ベルトルト「……」

ベルトルト(…そんな、あの状態の装備で、一瞬でも体勢を保った?)

ベルトルト(根性だけで出来るはずがない…なんでだ…)

ユミル「……」

43: 2013/11/14(木) 02:26:04 ID:rfFc396w

キース「ワグナー。イェーガーとベルトの装備を交換しろ」

ベルトルト「!!」

ライナー「……?」チラ

アニ「……」


キース「装備の欠陥だ。貴様が使用していたベルトの金具が破損していた」

キース「正常なら腰まで浮いた状態から反転しても地面に頭をぶつけられる訳がない」

エレン「で、では…適正判断は…」

キース「……問題ない。修練に励め」


ライナー「…何とかなったようだな」

ベルトルト(何とかなられちゃ困るんだよ…)

アルミン「目でどうだ!って言ってるよ」

ミカサ「いや、違う。これで私と離れずにすんだと思って安心してる…」

ベルトルト(これが駄目ならどうしたらいい…最悪この三年間で、ミカサを何とかしなければ…!)

ライナー「……」

46: 2013/11/15(金) 02:50:29 ID:Lo3GoYME
******



849年・兵舎外れ


ライナー「説明してもらおうか」

ベルトルト(この二年間…僕は、何とかエレンとミカサを訓練兵から脱落させるため行動していた)

ベルトルト(でも結局二人が脱落することはなく、むしろ段々と力を付けているように思える)

ベルトルト(多分前の世界よりも…)

ライナー「お前たち…いや、主にベルトルトが何かをしていたのは気付いていた」

ライナー「二年前の立体機動の試験。…あの時、エレンの金具を壊したのもお前だろ?」

ベルトルト「…気付いていたのか」

ライナー「あの時、お前の様子が何となくおかしかった。何年一緒にいると思っているんだ」

ベルトルト「…あの二人は、今後僕たちの最大の脅威になる。今の内に何とかしようとしたんだ」

アニ「…昔も言ったけど、私にはそう思えない。アイツらはただの人間だよ」

47: 2013/11/15(金) 02:51:36 ID:Lo3GoYME


ベルトルト「……ッ」

ライナー「ベルトルト。何か考えがあってやったことだ。これ以上咎めたりしない」

ライナー「が、今後こんな真似はなしだ。…せめてアイツらをちゃんと見極めてからにしよう」

アニ「どういうことだい?」

ライナー「アイツらがもし本当に危険だとしたら、確かに排除しなきゃいけなくなるだろう」

ライナー「…いくら人類を滅ぼすとはいえ、多少でも関わってしまったヤツを頃すのは、な」

ベルトルト(…僕はもう、一つ失敗してしまった)

ベルトルト(ライナーはもうすでに兵士と戦士の間を行き来している)

ベルトルト(接触を避けろなんて…ライナーの性格を考えたら無茶な話だったんだ)

アニ「ライナー、ベル。私に任せてくれないかい?」

ベルトルト「え!?」

48: 2013/11/15(金) 02:52:12 ID:Lo3GoYME


アニ「エレンの実力を見てやるって言ってるのさ」

ベルトルト「アニ、本気で言ってるの…?」

アニ「当たり前だろう…ライナー。やり方は任せるから、エレンと接触させてくれるかい?」

ライナー「分かった。実行は来週の対人訓練だ」

アニ「あぁ」

ベルトルト(…ここまで僕が経験してきたことに大きな相違はなく、ここまでの結末も何一つ変わらなかった)

ベルトルト(せめて分かっている、この先起こることを変えていければ…!)



******


対人訓練


ライナー「イテテ…ほら、次はお前がならず者をやる番だ。全く、俺の巨体を投げ飛ばすとは…」

エレン「悪い…力の加減が下手でよ」

49: 2013/11/15(金) 02:52:56 ID:Lo3GoYME


ベルトルト「…」チラッ


エレン「実際は…上手く行かずに終わるのがほとんど。ガキの戯れとは違う…」

ライナー「お前の言いたいことは分かった。でもな…それじゃあやっぱり無責任だと思うぞ」

ライナー「俺たちは兵士だろ?」


ベルトルト「!」


ライナー「いくら不利な状況でも逃げてはいけない時がある」

ライナー「守る対象が脅威に晒された時、その間に入って盾にならなければならない」

ライナー「相手が何であろうと、だ。俺たちは大砲でも格闘術でも使いこなして力を付けなきゃならん…」

ライナー「それが…力を持つ兵士としての責任だと思う…俺は…」


ベルトルト(君はそれを本心で言っている。エレンを騙すためじゃなくて、本心から…!)

ベルトルト(…君はライナーであって、ベリックじゃないんだ…)

50: 2013/11/15(金) 02:54:16 ID:Lo3GoYME


ベルトルト(きっとベリックのことを言ってるんだろ、君は…)

ベルトルト(身を挺してあの巨人から僕たちを守ってくれた、ベリックのことを)

ベルトルト(でも君は戦士だ!僕とアニと一緒に故郷に帰ると誓った、ライナーだろう!?)

ベルトルト(くそ、今すぐにでも言いたい…君は戦士だって…)

ベルトルト(でも…)チラ

ユミル「余所見するとはいい度胸じゃねぇか」

ベルトルト「…クリスタはどうしたの?」

ユミル「ミカサと組んでるよ。私相手じゃ手抜きされるから嫌なんだと」

ベルトルト「…あ、っそ」


ライナー(さて、と。どうやってアニとエレンを接触させるか…)

ライナー(何かいい理由があればいいんだが…そうだ)

ライナー「ん?オイ…アイツ…」

エレン「ん?アニか…また教官にバレないようにうまいことサボってるな」

51: 2013/11/15(金) 02:54:49 ID:Lo3GoYME


ライナー「……」

ライナー(サボり…これは使える)

ライナー「よーしエレン。アニにも短刀の対処を教えてやるぞ」

エレン「は?」

ライナー「あの不真面目なヤツにも説教だ。兵士とはどうあるべきか…教えてやろうじゃないか」


******



ライナー「よぉアニ」

アニ(ライナー…エレンも一緒か)

ライナー「教官の頭突きは嫌か?」

アニ「……」

ライナー「それ以上身長を縮めたくなかったら、ここに来た時を思い出して真面目にやるんだな」

52: 2013/11/15(金) 02:55:19 ID:Lo3GoYME


アニ(!? ここに来た時…!?)

アニ(…兵士兵士って言うからおかしいと思ってたら…そういうことか)

アニ(ライナー、アンタは兵士じゃない。ここに来た時を思い出すのは、アンタの方みたいだね)

アニ(ベルの危惧はこういうことか、分かったよ)イラ



ユミル「なぁベルトルさん」

ベルトルト「え?」

ユミル「…アンタは、ライナーやアニと仲が良いみたいだな」

ベルトルト「!?」

ベルトルト(ライナーはまだしも、何でアニまで!?まさか夜話しているのを見られた…!?)

ユミル「っ」ヒュッ

ベルトルト「なっ…!?」パシッ

ユミル「……アンタに、頼みがある」ボソッ

ベルトルト「えっ、頼み…!?」ギリギリ

53: 2013/11/15(金) 02:56:32 ID:Lo3GoYME

エレン「んな…何だ…足…蹴られたのか…?」

アニ「もう行っていいかい?」

ライナー「まだだ!短刀を取り上げるまでが訓練だ!」

エレン「……オイ!ちょっと待てよ!!」


ユミル「いや、頼みじゃねぇ、脅迫だ」

ベルトルト「!?」ビクッ


エレン「」ドサッ

ライナー「……!」

アニ「……次は、アンタが私を襲う番だね」

アニ(平和ボケしたアンタに、思い出させてやるよ)

エレン「やれよライナー。兵士としての責任を…教えてやるんだろ?」

アニ「」イラ

ライナー「……あぁ、兵士には引けない状況がある」

アニ(アンタが戦士だってことをさ)

54: 2013/11/15(金) 02:57:45 ID:Lo3GoYME


ユミル「クリスタに近づくな」ボソッ

ベルトルト「クリスタ…!?」

ベルトルト「何で、クリスタ…!?君はクリスタと一体どういう関係なんだ…!?」

ユミル「声がでけぇよ。それに、テメェには関係ねぇ」

ユミル「ただ近づくな。それだけだ。もし出来ねぇって言うなら…」グルン

ベルトルト(ぐっ…後ろから首を…!!)

ユミル「―――テメェのうなじ、綺麗に削ぎ落としてやるよ」

ベルトルト「―――っ!?」ゾクッ



******

58: 2013/11/16(土) 02:45:50 ID:JhoOR5Hg

******


夜・訓練所外れ


アニ「ごめん、ベル」

ベルトルト「ど、どうしたの?」

アニ「今日の訓練中にライナーと話してみて分かったよ。アイツは大分、兵士に毒されていたんだね」

ベルトルト「…うん」

アニ「…ベルが言っていたことが今なら分かるよ。ベルは、これを心配していたんだろ?」

ベルトルト「…うん」

アニ「…今のままだと、ライナーが憲兵団に入るかさえ怪しくなってきたね」

ベルトルト「そのことなんだけどさ、アニ」

アニ「うん?」

ベルトルト「ライナーは、憲兵団に入るつもりだ」

アニ「は…!?計画と違うじゃないか!三人一緒に憲兵団に入るって…!」

59: 2013/11/16(土) 02:46:27 ID:JhoOR5Hg

ベルトルト「……」

アニ「どうするの…ベル…それは、本当のことなの…?」

ベルトルト「…うん。ライナー本人から聞いたわけじゃないけど、そうなると思う」

アニ「…ねぇ、ベル」

ベルトルト「何…?」

アニ「今日、エレンと話したんだけどさ」

アニ「…何で、壁内のヤツらは、あんなに馬鹿ばかりなんだろうね…」

ベルトルト「……」

アニ「…アイツらを、殺さずに済む方法って、ないのかな…」

ベルトルト「!? アニ、それは…!」

アニ「分かってる。私たちがこんなこと言っちゃいけないって…この世界を壊したのは、私たちなんだから…」

ベルトルト「アニ…」

ベルトルト(エレンのことを伝えれば、多分一時的だけどアニの心は楽になるもしれない)

ベルトルト(でもそれを伝えれば、何故知っているのかと聞かれる)

ベルトルト(…アニは、信じてくれるだろうか…)

60: 2013/11/16(土) 02:46:58 ID:JhoOR5Hg


アニ「…ごめん、こんなこと言って」

ベルトルト(アニ、僕は、君を救いたい)

ベルトルト「…ねぇ、アニ。もしも“座標”を持つ人間が現れたら、どうする・」

アニ「!! そんな馬鹿な…」

ベルトルト「…僕は、もしかしたらエレンがそうなんじゃないかって思ってる」

アニ「待って、ベルが何を言っているのかよく分からない」

ベルトルト「聞いて、アニ。もしもエレンがそうなら、僕たちは人類を滅ぼさなくてもいいんじゃないかと思う」

アニ「…!」

ベルトルト「ライナーは調査兵団に入る。僕もそうするつもりだ。ライナーを一人には出来ないし、エレンの監視もしたい」

アニ「…私は今、アンタの言葉を信じていいのか悩んでる」

ベルトルト「分かってる。信じてくれとは言わない。でも、僕は本気だ」

アニ「……」

ベルトルト「大丈夫。…僕が絶対、何とかするから」

61: 2013/11/16(土) 02:47:30 ID:JhoOR5Hg

アニ「ベル…?」

ベルトルト「あまり遅くなると疑われる。もう戻ろう。…あぁ、そうだアニ」

アニ「…何だい?」

ベルトルト「…クリスタとユミルは、仲が良いの?」

アニ「え?…あぁ、ユミルがべったりクリスタにくっついてるよ」

ベルトルト「そっか」

アニ「どうして?」

ベルトルト「あー…前に、クリスタを見張ってたウォール教の教徒がいただろう?」

アニ「…!」

ベルトルト「クリスタといつも一緒にいるから、もしかして関係あるのかなって…」

アニ「…ベル、伝え忘れていたことがある」

ベルトルト「?」

アニ「一昨日、ウォール教だと思われる男の氏体が見つかったらしい」

ベルトルト「!? そんな話聞いてないよ!?」

アニ「馬鹿、声が大きい。…私だって教官が話しているのを偶然聞いたんだ。立体機動の訓練に使っている森で、氏んでたって」

62: 2013/11/16(土) 02:48:02 ID:JhoOR5Hg


ベルトルト「…犯人は…」

アニ「ウォール教から騒ぎを大きくするなと言われたらしい。犯人探しはしてないってさ」

ベルトルト「……」

アニ「ベル?」

ベルトルト「…いや、何でもない。戻ろう」

アニ「…あぁ」

ベルトルト(この近くにいたってことは、確実にクリスタが関係してる)

ユミル『クリスタに近づくな』

ベルトルト(…まさか…)

ユミル『もし出来ねぇって言うなら…』

ベルトルト(前の世界には存在していなかったはずの君)

ユミル『―――テメェのうなじ、綺麗に削ぎ落としてやるよ』

ベルトルト(エレンやミカサよりも危険な存在になるかもしれない)

ベルトルト(君は一体、何者なんだ)

63: 2013/11/16(土) 02:48:39 ID:JhoOR5Hg

******


サシャ「ひやー、ドキドキひまふね!」モシャモシャ

コニー「お前は口の中のモン飲み込んでから喋れよ」

サシャ「うーっ」ゴクンッ

サシャ「とうとう明日、解散式ですよ!」

クリスタ「何か三年間、あっという間だったね」

コニー「しかも明日は上位十番も発表だ!ま、天才のこの俺様が呼ばれないなんてありえねぇけどなっ」

サシャ「私だって負けてませんよ!」

ユミル「ったくうるせぇヤツらだな」

コニー「誰が入るだろうな?俺は間違いないとして、首席はミカサで決まりだろ?それにライナーとベルトルトも!」

サシャ「アニが来て…うーん、エレンとジャン、あとマルコも入ると思いますけど…」

64: 2013/11/16(土) 02:49:21 ID:JhoOR5Hg


コニー「ま、俺の方が順位は上だろうけどな!」

クリスタ「あはは、あとはユミルもだねっ」

サシャ「うーん…確かにユミルは成績いいですし、かなりあり得ますよね」

ユミル「私は入らねぇよ。入るのはクリスタだ」

クリスタ「えぇ!?そんなわけないじゃない!」

コニー「でもクリスタは馬術がピカイチだからな」

ユミル「そうそう」

クリスタ「でも他は駄目だもん」

ユミル「いいから憲兵団入って内地行け」

クリスタ「もう、ユミルったら!」


******

68: 2013/11/17(日) 01:25:36 ID:2DOGN272

******


キース「十番、クリスタ・レンズ!!」


(どうして?ねぇ、どうして私が)


キース「本日は、これにて第104期訓練兵団解散式を終える…以上!」


(どうして私の名前が呼ばれたの?)


******

69: 2013/11/17(日) 01:26:10 ID:2DOGN272



クリスタ「ユミル!!」

ユミル「んぁ?」

コニー「クリスタ!すげぇじゃねぇか十番なんて!」

ユミル「ハッ、私の言った通りじゃねぇか。良かったなクリスタ」

クリスタ「茶化さないで!」バンッ

サシャ「ク、クリスタ…?」

ユミル「んだよ、女神のご乱心か?」

クリスタ「私が十番以内なんてありえない。…ユミル、あなた一体何をしたの?」

コニー「はぁ?どうしたんだよクリスタ!十番だぜ!?素直に喜んどけって!」

ユミル「お、コニーにしちゃマトモなこと言うじゃねぇか」

クリスタ「っ…」


******

70: 2013/11/17(日) 01:26:52 ID:2DOGN272

食堂・夜


ジャン「やっとこのクッソ息苦しい最前線の街から脱出出来るからだ!!」

ジャン「内地での安全で快適な暮らしが俺達を待ってっからだろうが!!」

マルコ「なっ…お前…は、恥を知れよ、少なくとも僕は―――!」

ジャン「あーすまん俺が悪かった。お前は優等生だったな」


ベルトルト(明日、僕たちはウォール・ローゼのトロスト区を攻撃する)

ベルトルト(前回も行ったことだけど、今回は違う理由だ)

ベルトルト(エレンが巨人化出来るか、どうか。この重要な事柄だけは確認しなければならない)

ベルトルト(もし出来たのなら、―――壁外調査を待つまでもない、エレンを確保する)

ベルトルト(本当はもっと早く確認したかったけど、念の為同じ状況にしておきたかった)

ベルトルト(でも、一つだけ、違う)

71: 2013/11/17(日) 01:27:51 ID:2DOGN272


ジャン「だよなぁ…みんな内地に行きたいよな…で、お前らは」

アニ「…私は憲兵団だ。だけど、アンタと一緒だとは思われたくないわ」

ジャン「ハハハッ!ベルトルトも内地か?」

ライナー「あぁ、俺たちは」

ベルトルト「調査兵団にするよ」

アニ「……」

ライナー「は…!?」

ジャン「調査兵団ん!?おまっ…だって憲兵団に入るって言ってたじゃねぇか!」

ベルトルト「気が変わったんだ」

アニ「…意外だね、アンタが調査兵団に行くなんてさ」

ベルトルト「そうかな?あはは…」

ライナー「……!?」

72: 2013/11/17(日) 01:28:32 ID:2DOGN272


ジャン「いやぁ本当に意外だったぜ!アハハハッ」

エレン「なぁ…内地が快適とか言ったな…この街も五年前まで内地だったんだぞ」

ジャン「!」

エレン「ジャン…内地に行かなくても、お前の脳内は“快適”だと思うぞ?」


ライナー(どういうことだ!?憲兵団に入ると決めていただろう!?)

ライナー(…いや、人類の勝利の為には、やはり調査兵団に…)

ライナー(は?…俺は今、何を考えた?)


コニー「アイツらまたやってるよ…」ズズッ

サシャ「こんな日までやらなきゃいいと思いません?」ヒョイッ

コニー「あっ!お前の分のメシまだあるだろ!?」

クリスタ「あはは…もう、皆気が大きくなっちゃってるのかな?ねぇユミル」

ユミル「……」

73: 2013/11/17(日) 01:30:04 ID:2DOGN272


クリスタ「…ユミル?」

ユミル「……あぁ、そうだな」

コニー「ったく、アイツら…あ、ミカサ」

サシャ「ミカサが出てくればもう大丈夫ですね!」

コニー「やべぇエレン肩に担がれてる!何だあれ!」ギャハハ

サシャ「知ってますかコニー…ミカサの腹筋はすごいんですよ…」

コニー「今腹筋関係なくね?」

クリスタ「あ、何かおひらきみたいだね…寮戻ろっか」

サシャ「そうですね!あぁ、でもまだ食べたかった…」

コニー「もう食い尽くしただろ…どんな胃袋してるんだよ…」

ユミル「」ガタッ

74: 2013/11/17(日) 01:30:53 ID:2DOGN272


サシャ「ユミル、どうしました?」

ユミル「ん?あー、便所」

クリスタ「待ってようか?」

ユミル「いいよ、長くなりそうだし」チラ

ベルトルト(明日の確認もあるし…ライナーに声かけなきゃ)

75: 2013/11/17(日) 01:33:03 ID:2DOGN272

とりあえずここまでです
ペースが早い気がしますが気にしない感じで

77: 2013/11/18(月) 00:46:36 ID:e52x0oPY

******


ユミル(おかしい、絶対におかしい)スタスタ

ユミル(あの野郎どこ行きやがった…様子見なんてする必要なかった)

ユミル(アイツは危険すぎる。誰よりも、危険だ)

ベルトルト「…」

ユミル「! おい、ベル…」

ライナー「ベルトルト!」

ユミル「っ!?」サッ

ベルトルト「ライナー…」

78: 2013/11/18(月) 00:47:11 ID:e52x0oPY


ユミル(ライナー!?チッ、なんつータイミングで来やがる!)

ライナー「お前、どういうつもりだ!何で調査兵団なんだ!一緒に憲兵団に入るって言っていたじゃないか!」グッ

ベルトルト「ライナー。君に黙ってそう決めたことは謝る。でも、これが最善だと僕は思っている」

ライナー「内地に入るんだろう!?何自分から氏に急ぐようなことをしているんだ!」

ベルトルト「声が大きいよ、誰かが聞いてたらどうするんだ」

ライナー「す、すまん…だが、どうしても納得が出来ない。何故調査兵団なんだ…よりにもよって…」

ベルトルト「君は、本当に心の底から憲兵団に入ろうと思っているの?」

ユミル(……)

ライナー「は…?お前、何を言っているんだ…」

ベルトルト「本当に憲兵団に行こうとしてる?少しでも、調査兵団に入ろうと思っていない?」

ライナー「…そんなこと、思っているわけないだろう…」

79: 2013/11/18(月) 00:48:40 ID:e52x0oPY


ベルトルト「君は、戦士なんだよ、ライナー」

ライナー「…っ、分かっている!」

ベルトルト「君が調査兵団に行くなら、僕は止めない。むしろその方がやりすくなる」

ライナー「やりやすくなる…?」

ベルトルト「ライナー。調査兵団に行けば、故郷に帰れる可能性が高くなる…と、思う」

ライナー「はぁ!?いや、お前…何を言っているんだ…」

ベルトルト「ほ、ほら、アニは憲兵団に行って内部からで、僕たちは調査兵団に入って外から攻めよう」

ベルトルト「…明日の計画は覚えているよね?」

ライナー「あ、あぁ…大丈夫だ」

80: 2013/11/18(月) 00:49:12 ID:e52x0oPY


ベルトルト「その時に、もしかしたら想定外のことが起きるかもしれない」

ライナー「どういうことだ」

ベルトルト「今はまだ言えない。でももしそれが起こったら、それはきっと僕たちの希望になる」

ライナー「…ベルトルト、お前…」

ベルトルト「だから僕たちは調査兵団に行こう」

ライナー「…分かった」

ベルトルト「さ、戻ろう。…明日は忙しくなるんだから」

ライナー「なぁベルトルト。…お前、変わったな」

ベルトルト「え?」

81: 2013/11/18(月) 00:50:59 ID:e52x0oPY


ライナー「一人で何も決められなかったお前が…一体何があったんだ?」

ベルトルト「僕は、何も出来なかったから」

ライナー「は…?」

ベルトルト「ほら戻ろうってば。明日一番大変なの僕なんだよ?」

ライナー「…あぁ」


ユミル「……」

ユミル(…へぇ、なるほどね。そういうことか)

ユミル(さてと…どうすっかなぁ)

82: 2013/11/18(月) 00:52:44 ID:e52x0oPY

******


エレン「目標目の前!!超大型巨人!!」

ベルトルト(三年待った。君が巨人化するかもしれない今日を、待っていたよ)

エレン「これはチャンスだ、絶対逃がすな!!」ダッダッ

ベルトルト(エレン…君はこれから人類の希望と呼ばれる)

エレン「壁を壊せるのはこいつだけだ!こいつさえ仕留めれば…!!」

ベルトルト(でも君は僕たちの希望でもあるんだ)


エレン「…よう」

ベルトルト(君が巨人化出来なかったら)

エレン「五年振りだな…」

ベルトルト(君を頃すよ)


******

83: 2013/11/18(月) 00:53:58 ID:e52x0oPY


アニ「こっちだベル!」

ベルトルト「ア、アニ…!」ハァハァ

アニ「予想通り壁内は大パニックだ!この状況なら立体機動を使っても怪しまれない!」

ベルトルト「あ、ありがとう」

アニ「熱ッ…ほら、背中やってやるから、早く装備しな!」カチャカチャ

ベルトルト「っ…」カチャカチャ

アニ「…ベル、本当にこれで分かるのかい?エレンが座標かもしれないって…」

ベルトルト「うん、絶対に、分かる」

アニ「分かった。アンタを信じるよ」

ベルトルト「アニ…」

アニ「出来たなら行くよ。ライナーが誤魔化してはいるけど、いつまで持つか分からないからね」

ベルトルト「う、うん」

ベルトルト(この後補給班が籠城して、巨人化したエレンが現れる…!)

ベルトルト(ここまで上手く行ったんだ、頼むから、頼むから…!!)

84: 2013/11/18(月) 00:54:50 ID:e52x0oPY

******


ジャン「俺達への補給任務を放棄して本部に籠城はねぇだろ…」

ジャン「案の定…巨人が群がってガスを補給しに行けねぇ…」

コニー「だから!イチかバチかあそこにいる巨人を殺るしかねぇだろ!?」


アニ「ライナー…どうする?」

ライナー「まだだ…やるなら集まってからだ」

ベルトルト「……」チラ


アルミン「ッ…ッゥ……!」


ベルトルト(アルミンが一人でいる…ということは…エレンは、巨人に食われた…)

ベルトルト(ここまでも前と同じ、これなら巨人化したエレンが現れるはず…!)

85: 2013/11/18(月) 00:55:37 ID:e52x0oPY


ミカサ「私は…強い…あなた達より強い…すごく強い…」

ミカサ「…ので私は…あそこの巨人共を蹴散らせることが出来る…例えば…一人でも」


ミカサ「出来なければ……氏ぬだけ。でも、勝てば生きる…」

ベルトルト(今ならあの時…いや、今君が言っている言葉の意味が理解できるよ)

ミカサ「戦わなければ、勝てない…」

ベルトルト(勝つために、僕たちは君たちと戦うよ)

ベルトルト(僕は必ずあの運命に打ち勝ってみせる)


******


クリスタ「どうして私たちは行っちゃいけないの!?」

86: 2013/11/18(月) 00:56:47 ID:e52x0oPY


ユミル「ガスの補給は出来た、今は壁内に戻ることに集中しろ!」

クリスタ「そんな!中衛部の皆がまだ…!!」

ユミル「いいからお前は壁を登れ!」

クリスタ「嫌!せめて、ガスの補給支援に…!!」

ユミル「いい加減にしろ!!」

クリスタ「ッ!!」ビクッ

ユミル「お前が行って何が出来る!?お前の自分勝手な行動に、人の生氏を懸けんじゃねぇ!!」

クリスタ「で、でも…!このままじゃ皆…!!」

ユミル「大丈夫だ、あっちは大丈夫だから!!」

クリスタ「何が大丈夫なの!?エレンも、ミカサもアルミンも氏んじゃうかもしれないじゃない!!」

ユミル「大丈夫だから、いいから来い!!」グイッ

クリスタ「―――ッ…!!」

87: 2013/11/18(月) 00:57:24 ID:e52x0oPY

******


ベルトルト(勝った…!!)

ライナー(想定外のこと…ベルトルトが言っていたのはコイツのことか!?)

アニ(ベルは知ってたの…!?こんな巨人がいることを…!)


「アァァアアァァァァ!!!!!!」


コニー「皆!!あの巨人は巨人を頃しまくる奇行種だ!!しかも俺たちには興味がねぇんだってよ!!」

ライナー(何故ベルはコイツの存在を知っていた…!?少なくとも俺はこんなヤツの存在は聞いていない!)

ライナー(まさか壁内の人間は知っているのか…?いや、そんなまさか…)

ライナー「…お前ら、あの巨人についてどこまで知っているんだ?」

コニー「? …助かってからでいいだろ、そんなこと」

ライナー「…そうだな…まずは助かってからだ…」

ライナー(この様子だと少なくともコニーは知らない…だが見たところ、アイツは俺達と同類だ)

ライナー(誰だ?あの巨人の正体は…)

88: 2013/11/18(月) 00:59:02 ID:e52x0oPY

とりあえずここまでです
1レスが長すぎる気がしたので、少なくしてみました
また明日来ます、レスくださった方ありがとうございます

91: 2013/11/20(水) 01:22:09 ID:U4aMZacE

******


ジャン「弾は本当に散弾でいいのか?そもそもこの鉄砲は…巨人相手に役に立つのか…?」

アルミン「…無いよりはずっとマシだと思う…」

ライナー(うだうだ考えてる場合じゃねぇ。今はここを生き延びることが先だ)

アニ(ここを出てから、あの巨人については考える)

ベルトルト「……」

アルミン「この作戦は一回のみの攻撃に全てを…全員の命を懸けることになる」

アルミン「7人が7体の巨人を一撃で同時に仕留める為の作戦なんだ」

ベルトルト(確か…サシャとコニーが失敗したから、アニとミカサが援護した…あの時は上手く行ったけど、今回もそうなるとは限らない)

アルミン「全員の命を背負わせてしまって…その…ごめん…」

92: 2013/11/20(水) 01:22:41 ID:U4aMZacE


ライナー「問題ないね」

アニ「誰がやっても失敗すれば全員氏ぬ。リスクは同じだ」

ベルトルト(…念の為だ)


「リフトの用意が出来たぞ!鉄砲もだ!!全て装填した!!」


ベルトルト「サシャ、コニー」

サシャ「はっ、はいっ?」

コニー「どうしたんだよ、ベルトルト」

ベルトルト「その…サシャはいざって時に左に逸れる癖があるから、少し右を意識した方がいい…と思う」

サシャ「え?」

93: 2013/11/20(水) 01:23:15 ID:U4aMZacE


ベルトルト「コニーは落下スピードが速いから、気持ち速めに切り込んで」

コニー「は!?お、おう…」

ベルトルト(万が一、アニに怪我があっちゃいけない。アニは大事な女の子なんだから)

アニ「……」


******


マルコ「―――用意……撃て!!」


ドドドドドドドド


ベルトルト「―――ッ!!」ザシュッ

ベルトルト(よし…!サシャとコニーは…!?)

コニー「うおりゃぁああ!!」ザシュッ

サシャ「だぁあぁぁ!!」ザシュッ

94: 2013/11/20(水) 01:23:48 ID:U4aMZacE


マルコ「―――作戦成功だ!!」

ベルトルト(やった…!アニッ、ライナー!)クルッ

ライナー「アニ、怪我はねぇか!?」

アニ「あぁ」

ベルトルト(良かった…)ホッ

ジャン「補給作業に移行してくれ!!」


******


ミカサ「!」ヒュンッ

アルミン「ミカサ!?」ヒュンッ

ベルトルト「!」

ベルトルト(まずい!)ヒュンッ

ライナー「お、おいベルトルト!?」

95: 2013/11/20(水) 01:24:21 ID:U4aMZacE



アルミン「共食い…?」

ミカサ「どうにかしてあの巨人の謎を解明できれば…この絶望的な現状を打開するきっかけになるかもしれないと思ったのに…」

ライナー(想定外のことが…希望になる…アイツが本当にそうだとしたら!)

ライナー「同感だ!」

アルミン「!」

ライナー「あの巨人にこびりついてる奴らを俺達で排除して…とりあえずは延命させよう!」

アニ(“エレンが座標か分かる”…って…まさか…!)

ジャン「正気かライナー!やっと…この窮地から脱出出来るんだぞ!」

アニ(あの巨人の正体は…エレン…!?)

アニ「例えばあの巨人が味方になる可能性があったらどう?どんな大砲よりも強力な武器になると思わない?」

ジャン「仲間だと…!?本気で言ってるのか!?」

96: 2013/11/20(水) 01:25:16 ID:U4aMZacE


アルミン「! ア…アイツは…トーマスを食った奇行種…!?」


「!! アアァァァァアアアア!!」ダンッ


ベルトルト(エレンは巨人になれた…)


「アァァァアア!!」ガヴッ


ミカサ「…!!」

ベルトルト(…でも、本当にこれで良かったのか…?)


「ガアアアァァ!!」バキィッ


ベルトルト(巨人を憎むエレンが…本当に味方になるのか…?)

ジャン「…おい」

ベルトルト(僕はどこかで、間違えたんじゃないのか…?)

ジャン「何を助けるって?」

97: 2013/11/20(水) 01:26:07 ID:U4aMZacE



アルミン「あ…!!」
 

ズンッ ズシィィィン


ジャン「さすがに…力尽きたみてぇだな」

ベルトルト(……)

ジャン「もういいだろ…?ずらかるぞ!あんな化け物が味方なわけねぇ」

ジャン「巨人は巨人なんだ」

アニ「……」

ライナー「……」

98: 2013/11/20(水) 01:26:38 ID:U4aMZacE


ジャン「…? …オイ」

ジャン「……? …!!」

アニ(…本当に…エレンが…)

ライナー(俺達の希望が…エレン…?エレンが、巨人?俺たちの仲間?違う、そんなわけ―――)

ベルトルト(結局君を生かしてしまった僕は間違っていなかったと、誰か、言ってくれ)


ミカサ「うわぁぁぁぁん!!」

アルミン「一体…何が……ッ」

ジャン「これをエレンが…やったってことか……?」

99: 2013/11/20(水) 01:27:19 ID:U4aMZacE

******


ライナー「…ベルトルト…」

ベルトルト「…うん」

ライナー「…頼む、落ち着いてからでいい、説明、してくれ…」

ベルトルト「うん…」


コニー「そんで何とかガスが手に入ったんだ…」

クリスタ「…そんなことが…」

クリスタ「ごめんなさい…何度も皆の補給の救援を志願したんだけど…」

ユミル「…コニー、今の話は本当か?」

コニー「何だよこのブス!疑ってんのか!?」

ユミル「別に疑ってなんざいないさ。ただ…コニーその作戦、成功したんだよな?」

100: 2013/11/20(水) 01:28:25 ID:U4aMZacE


コニー「だからそう言ってんだろ…皆一撃で仕留めたんだ。ベルトルトがアドバイスしてくれてな…」

コニー「ま、まぁそんなんなくても余裕だったんだけどな!」

ユミル「へぇ…」

クリスタ「コニー…じゃ、じゃあ今ここにいない人達は全員…」

ユミル「……」

ユミル(…サシャが落ち込んでねぇ…コニーの言ったのは本当ってことか…)

コニー「…あぁ」

ユミル(まさかとは思うが)

ユミル「本当か?あのミカサもか?」

コニー「ん?いや…ミカサはジャン達と一緒に遅れて来たと思ったんだが…ジャン、まさかミカサは負傷でもしたのか?」

101: 2013/11/20(水) 01:29:12 ID:U4aMZacE


ジャン「…俺たちには守秘義務が課せられた…言えない。もっとも、どれ程の効果があるのか分からんが…」

コニー「守秘義務?」

ユミル「……」


ドォォォン


ライナー「砲声!?」

コニー「水門が突破されたのか!?」

マルコ「一番頑丈な箇所だ、ありえない…!榴弾を落としただけだろう!」

コニー「にしても…あの煙の量はなんだ…!?」

マルコ「まさか!?巨人の蒸気!?」

ライナー「……!!」

ライナー(間違いない…エレンが、巨人化した!!)バッ

マルコ「!? ライナー!?」

102: 2013/11/20(水) 01:30:19 ID:U4aMZacE


アニ(人間が巨人になれるっ…その可能性を人類は知ってしまった!)バシュッ

ベルトルト(くそっ、こうなったらいっそ…いっそ今!!)バシュゥッ

コニー「オイ!?お前ら!?」

クリスタ「何…!?何が起こっているの…!?」

ユミル「…クリスタ、コニー、お前らはここにいろ」バシュッ

クリスタ「!? ユミル!」

コニー「お、おい!!」

ユミル(もう間違いない!この世界で一番危険なのはミカサでもエレンでも世界そのものでもねぇ!!)ダンッ

ライナー「……どうなってんだ…これは…!?」

ベルトルト「……!」

ユミル(お前だ、ベルトルト・フーバー…!これ以上メンドくせぇことになる前に…!!)

109: 2013/11/21(木) 01:58:42 ID:7YHyfF2E


ユミル「…ッ」スタッ

ベルトルト(でも…こんなに兵士がいる中からエレンを連れ去れるのか…!?)

ユミル(…予想外だったよベルトルさん)

ベルトルト(ライナーとアニはまだ混乱してるし…“猿”もまだ出てきてない)

ユミル(悪いがアンタに付き合ってる余裕はねぇんだ)グッ

ベルトルト(今エレンを連れ去るのは得策じゃないってことか…)

ユミル(…悪いな)


『誰がッ!!』


ユミル(!!)

110: 2013/11/21(木) 01:59:17 ID:7YHyfF2E


『人なんか頃したいと!!…思うんだ!!』


ユミル(…畜生…)


『頼む…誰か…お願いだ……』


ユミル(何でこんな時に…っ!)


『誰か僕らを見つけてくれ…』


ライナー「! ユミル!?」

ユミル「!!」ハッ

111: 2013/11/21(木) 01:59:54 ID:7YHyfF2E


アニ「…見たの…?」

ユミル「あ…あぁ、バッチリとな」

ジャン「だから守秘義務なんざ意味ねぇんだよ…」

ベルトルト(一度ちゃんと相談してから決めないと…それに…)チラ

アニ「…っ…」

ベルトルト(人類を頃したくない…アニの願いを叶えるには、とりあえずあの穴を塞がなくちゃいけない)

ベルトルト(これ以上巨人に入って来られたら、それはきっとアニを悲しませることになる)

ベルトルト(…穴を開けた張本人がそう思うなんて…皮肉だな…)

112: 2013/11/21(木) 02:00:40 ID:7YHyfF2E

******


アニ「…ごめんなさい…」

ベルトルト(エレンが穴を塞いでから、もう丸二日)

ベルトルト(…僕らが原因だとは言え…二度も同期の氏体を見ることになるなんて…)

アニ「ごめんなさい…」

アニ(私たちの身勝手で、あなた達を頃してしまった)

アニ(私たちは…一体何をしたかったんだ…)

ライナー「謝っても仕方ないぞ。早く弔ってやるんだ…」

ベルトルト「…アニ…」

ベルトルト(お願いだから、そんな顔しないで。アニは何も悪くない)

ベルトルト(壁を壊したのも、こんな計画を立てたのも僕なんだ)

ベルトルト(…アニ)

ライナー「…あんなに訓練したのにな…」


******

113: 2013/11/21(木) 02:01:31 ID:7YHyfF2E


ボォオォオオオ


コニー「あんなに頑張ったのに…あんなに…やったのに…」

コニー「全部…無駄だったのか…?」

ベルトルト(結局、何も変わらなかった)

ベルトルト(エレンが巨人になって、トロスト区を奪還して)

ベルトルト(…そして…)

ジャン「……」ギュッ

ベルトルト(何も変わることなく、マルコは、氏んだ)

ベルトルト(もしも今回…仮に襲撃計画を行わなかったら、マルコは生きていたのだろうか?)

114: 2013/11/21(木) 02:02:57 ID:7YHyfF2E


ベルトルト(そうしたら未来は変わっていたのかもしれない…でも)

ベルトルト(…ウトガルドの後、僕はミカサに殺される。それを阻止できれば…その先に行くことが出来たら…)

ベルトルト(きっと救われるんじゃないかって、思う)

ジャン「おい…お前ら…」

ジャン「所属兵科は何にするか…決めたか?」

ベルトルト「……」

ジャン「俺は決めたぞ。俺は…」

ジャン「俺は……っ……調査兵団になる」

ベルトルト(結局、何も変わらなかった)

115: 2013/11/21(木) 02:04:01 ID:7YHyfF2E

******


クリスタ「ひぐっ…ひっく…」

ユミル「……」

クリスタ「ッ…うぅ…」

ユミル「…もう泣くなよ」

クリスタ「…ユミルは、平気なの…?」

ユミル「あ…?」

クリスタ「ついこの前まで一緒に訓練してたんだよ…?なのに…」

クリスタ「…皆、燃えてしまった…」

ユミル「……」

クリスタ「ねぇ…」

116: 2013/11/21(木) 02:05:19 ID:7YHyfF2E


ユミル「泣いて、悲しんで、後悔すりゃ…そいつらは生き返るのか?」

クリスタ「!?」

ユミル「だったらいつまででもそうしてろ。だがお前の中に少しでも、これ以上泣きたくないって思いがあるなら」

クリスタ「…ッ…」

ユミル「行動しろ。思うだけじゃ、何も変わらねぇんだ」

クリスタ「…ユミルは強いね」

ユミル「…」

クリスタ「とても強いけど…すごく、残酷な人だね…」

ユミル「…あぁ、自覚してるよ」

117: 2013/11/21(木) 02:06:30 ID:7YHyfF2E

******


アニ「いい加減、説明して」

ベルトルト「……」

ライナー「…何故お前は、ああなると分かっていたんだ?誰からそんな情報を得た?」

ベルトルト「…誰からでもない。けど、分かっていたわけでもないんだ」

アニ「どういうことだい?」

ベルトルト「確実にああなるって保障は正直なかった。運が良かったんだ」

アニ「…運だけで片付けられるわけがないだろ?」

ライナー「とりあえずこの件は保留だ。実際起こったことだし、問題はエレンをどうするかだ」

ライナー「それに、噂によると調査兵団が二体の巨人を捕獲したらしい」

アニ「…無知性とはいえ、下手に解剖や研究でもされたら厄介だね」

ライナー「俺達でも知らない弱点でも発見されたら…最悪だ、対処のしようがない」

アニ「だったら処分するしかないだろ?」

ライナー「だが、一体どうする?さすがに立体機動を使わなければ、いくら動けないとはいえ巨人を頃すのに手間がかかる」

118: 2013/11/21(木) 02:08:00 ID:7YHyfF2E


アニ「でも…自分のを使うわけにはいかない。クセが出るからすぐにバレるだろうしね」

ベルトルト「…いや、自分のを使って、検査の時にはマルコのを提出しよう」

アニ「マルコの…!?」

ライナー「マルコの立体機動は見つかってないとは聞いてたが…オイオイ…まさかお前…」

ベルトルト「……」

アニ「…嘘だろう…?」

ベルトルト「……兵舎の裏手にある森に、隠してある」

ライナー「…おいベルトルト…何なんだよ一体、何でお前…こうなるって分かってたみたいなことが出来るんだ…」

ベルトルト「今はまだ言えない。…二人を信用してるから、言えないんだ」

アニ「っ…分かった…」

ライナー「アニ…!?」

アニ「ベルを信じる。…実際、トロスト区でもそうだったんだ…信じる価値はある」

119: 2013/11/21(木) 02:08:49 ID:7YHyfF2E


ベルトルト「アニ…!」

アニ「でも勘違いしないで。信じるけど、ちゃんと話は聞きたいの」

ベルトルト「…うん」

ライナー「っあー…ったく…分かったよ」ガリガリ

アニ「だとしたら早い方がいい。今夜やろう」

アニ「下手に躊躇うと折角隠してあるダミーが見つかっちまう」

ライナー「そうだな。…俺が行こう」

ベルトルト「いや駄目だ、僕がやる」

ライナー「そんな危険な役をお前らにやらせられるか。もし気付かれたら…命の保障はないんだぞ」

アニ「……私がやる」

ベルトルト(…待ってくれ…前の世界でアニは一体どうなったんだ…?)

ベルトルト(壁外調査でエレン確保に失敗して…その後僕たちは隔離された…)

ベルトルト(どうして隔離されたんだ?恐らくは巨人の仲間がいると思われたからだ、つまり)

ベルトルト(アニが女型だとバレて…エレンが…)

120: 2013/11/21(木) 02:13:51 ID:7YHyfF2E


エレン『やった!討伐数1!!』


ベルトルト(…アニが、逆に捕獲された…?いや、気付かれずにこっちに来ていた可能性だってある…)

ベルトルト(そうだ、アニがどうなったのか分からない…!)

ベルトルト「駄目だ、アニはやっちゃ駄目だ!」

アニ「!? は、ハァ…!?」

ベルトルト「そんな危険な役目、駄目だ!僕がやる!」

アニ「前にエレンの立体機動を壊した時だって私がやっただろう!?大体アンタはそういうの無理に決まってるじゃない!」

ライナー「まぁ…ベルトルトはデカいからな…気付かれやすいと言えばそうだろう」

ベルトルト「だ、大丈夫だから!」

アニ「いい加減にしな。私がやる」

ベルトルト「アニ!」

ライナー「ベルトルト。確かに今回はアニが一番適任だと思うぞ」

ベルトルト「ライナーまで何を言ってるんだ!」

121: 2013/11/21(木) 02:14:32 ID:7YHyfF2E


アニ「アンタらは調査兵団に行くんだろ?私よりも立体機動を使う場面は多い」

アニ「人に見られる可能性が高いってわけだ」

ベルトルト「…!」

アニ「その点、…はっきり言って憲兵団はクズの集まりだ。そんな所見る物好きはいないだろうさ」

ベルトルト「っ…」

アニ「分かった?一番リスクが低いのは、私なんだ。だったら私がやるのが一番じゃないか」

ベルトルト「で、でも…」

ライナー「アニを信用できないのか?」

ベルトルト「そんなこと…ない、けど…」

アニ「私がやる。文句は言わせない」

ベルトルト「…分かった…」

ベルトルト(壁外調査でエレン確保を必ず成功させる。そうすれば…アニの安全は保障されるんじゃないか…?)

ベルトルト(そうだ、あの時何故失敗したかを思い出せば、きっと…!)

125: 2013/11/21(木) 15:38:41 ID:G.P76sB.

******




アニ「ッ…」スタッ

ソニー「」

ビーン「」

アニ(……体中に杭が打ち込まれて…雁字搦めだ…)

アニ(もし私たちが巨人だと気付かれたら、同じような扱いを受けるのだろうか?それとも―――)

アニ(―――もっとひどい拷問を受けるに決まっている。人類の仇なんだから)

アニ(でも…)チラッ

ソニー「」

ビーン「」

アニ(…新たな弱点がバレるなんて心配、本当はしていない)

アニ(こいつらだって…本当はただの……)ズキッ

126: 2013/11/21(木) 15:39:13 ID:G.P76sB.


アニ「……っ…めん、なさい…」カチャッ

ベルトルト「アニッ…」スタッ

アニ「!? ベ、ベル!?」ゴシゴシ

アニ「アンタ…何でここに…!?」

ベルトルト「や、やっぱり、その…アニが心配で…」

アニ「…立体機動装置は…」

ベルトルト「この前戦氏した兵士のを拝借するよ…念の為に、もう一台隠しておいたから…」

アニ「…ホント、何でもお見通しって感じだね…昔のアンタとは大違いだ」

ベルトルト「二人同時にやった方が時間もかからないから…」カチャッ

アニ「あぁ…そう。じゃあ…」

ベルトルト「ッ…」グッ

アニ(もうこれ以上、苦しい思いをしないで)ザシュッ

ベルトルト「ッ」ザシュッ

127: 2013/11/21(木) 15:39:49 ID:G.P76sB.

******


憲兵団「最後にシャフトを交換したのはいつだ?」

サシャ「六日前の掃討作戦の後です」

憲兵団「全て登録にある。よし、次!お前だ!」

クリスタ「41班所属、クリスタ・レンズです」


コニー「巨人が憎くてしょうがなかったんだろうな…」

アルミン「…うん。でもこれじゃあ巨人に手を貸したようなもんだよ…」

アルミン「その人の復讐心は満たされたかもしれないけど、人類にとっては大打撃だ」

アニ「……」

コニー「俺は馬鹿だからな…分かる気がする」

アルミン「……!」

コニー「もう何も考えられなくなっちまうよ。俺…巨人を見る前は、本気で調査兵団になるつもりだったんだぜ…」

コニー「けど…今はもう巨人なんか見たくねぇって思ってる。今日兵団を決めなきゃいけねぇのに…」

128: 2013/11/21(木) 15:40:26 ID:G.P76sB.


アルミン「……」

コニー「チキショー…あのジャンが調査兵団になるって言ってんのにな…」

アルミン「え!?ジャンが?」

コニー「なぁ…アニ、お前どう思った?アイツがやるって言ってんだぜ?」

アニ「…別にどうも思わないけど?私の意志は変わらないから」

アニ(帰る為に壁を壊して…たくさん人を頃して…もう、後戻りなんて出来ない)

コニー「……なぁアニ。俺も憲兵団にしたほうがいいかな?」

アニ「…アンタさぁ。人に氏ねって言われたら、氏ぬの?」

コニー「…何だそりゃ。氏なねぇよ」

アニ「なら自分に従ったらいいんじゃないの?…アルミン、アンタはどうなの?」

アルミン「僕は…そうしなきゃいけない理由が理解出来たら、氏ななきゃいけない時もあると思うよ…嫌だけどさ」

アニ「そう…決めたんだ…」スキッ

アルミン「うん」

129: 2013/11/21(木) 15:41:23 ID:G.P76sB.

アニ(駄目だなんて言えない)

アニ「アンタ弱いくせに根性あるからね」

アニ(内地に行ってほしいなんて、言えない)

アルミン「あ…ありがと」

コニー「マジかよ…アルミン、お前まで」

アルミン「アニってさ…実は結構優しいね」

アニ「……は?」

アルミン「だって僕らに調査兵団に入って欲しくないみたいだし。憲兵団に入るのも何か理由があるんじゃないの?」

アニ(…違う。違う、違う、アンタたちが調査兵団に入ってしまったら)

アニ(私はアンタたちを殺さなきゃいけなくなる日がきっと来る)

アニ(怖い、辛い、そんなの…)

アニ「……いいや、私はただ」

アニ(嫌)

アニ「自分が助かりたいだけだよ」

アニ(これ以上、罪を重ねたくないだけ)

130: 2013/11/21(木) 15:42:06 ID:G.P76sB.

仕事前に少し投下
今夜中に兵団所属まで行けそうです

131: 2013/11/22(金) 02:32:10 ID:cUj6z7Os

******


クリスタ「ユミル!」タタッ

サシャ「あ、クリスタ!」

ユミル「おぉ…どした?」

クリスタ「その、二人とも所属兵団はもう決めた?」

サシャ「! わ、私は…まだ…」

ユミル「どこでもいい」

クリスタ「どこでもいいってそんな!」

ユミル「私のことはどうでもいいさ。クリスタ、お前はどうすんだ?」

クリスタ「私は…調査兵団に入ろうと思ってるの」

132: 2013/11/22(金) 02:32:43 ID:cUj6z7Os


サシャ「!?ク、クリスタそれ本気なんですか!?」

クリスタ「うん…」

ユミル「…何で憲兵団に行かない?お前の成績なら、行けるだろ」

クリスタ「何度も言うけど…私の成績で十番以内なんてありえない。それに…」

クリスタ「内地に行っても、ユミルがいないもの…」

ユミル「ッ…そうかよ」スタスタ

サシャ「あ、ユミル!…行っちゃいましたね…いいんですか?クリスタ」

クリスタ「…どうして…」


******

133: 2013/11/22(金) 02:33:29 ID:cUj6z7Os


ベルトルト「……あ」

ユミル「……」チッ

ベルトルト(ユミル…クリスタは一緒じゃないのか…)

ベルトルト(対人訓練組んだ時以来だな、目が合ったの…)

ユミル「…んだよ。ジロジロ見んな」

ベルトルト「ご、ごめん」

ベルトルト(そうだ…彼女はどこの兵団に所属する気なんだろう?)

ベルトルト(情報は多いに越したことはないしね)

ベルトルト「あ、あのさユミル。ユミルは所属兵団ってもう決めた?」

ユミル「…さぁな。クリスタ次第だ」

ベルトルト「え?クリスタ次第…?」

ユミル「アイツが調査兵団に入るなら私もそうだ。駐屯兵団なら当然駐屯兵団」

134: 2013/11/22(金) 02:34:08 ID:cUj6z7Os


ユミル「…憲兵団なら、私は兵士を辞める」

ベルトルト「え…!?何で…」

ユミル「私の成績だと憲兵団には入れねぇ。内地に行くには…兵士を辞めるしかない」

ベルトルト「…どうして君は、そんなにクリスタに関わるの!?」

ユミル「関係ないだろ。それに、お前に話す義務も義理もない」

ベルトルト「……ウォール教が関係してるの?」

ユミル「!!」

ベルトルト「半年前…訓練所の側でウォール教の人が殺されてたらしい」

ユミル「……」

ベルトルト「まさか…君なの…?」

ユミル「……はっ、はは」

ベルトルト「君は一体…何者なんだ…」

135: 2013/11/22(金) 02:34:40 ID:cUj6z7Os


ユミル「何者ねぇ…さぁ、何者なんだと思う?」

ベルトルト「ふざけるな」

ユミル「お前と私は、三年前に初対面だぜ?たった三年で相手のこと分かりたいなんてどんだけせっかちだよ」

ユミル「60年使ったって分からねぇことだってきっとあるぞ?」

ベルトルト「はぁ…!?何だよそれ…!」

ユミル「物の例えってヤツだ。あぁ、ベルトルさん。ライナーはどっちに行くんだ?」

ベルトルト「え?ライナー…?」

ユミル「そう、ライナー」

ベルトルト「…ライナーなら多分、調査兵団に行くと思うけど…」

ユミル「あっそ。じゃ、ベルトルさんも付いて行くのか」

ベルトルト「まぁそうなると思う…」

ユミル「…相変わらずライナーの腰巾着なんだな、お前」

136: 2013/11/22(金) 02:35:32 ID:cUj6z7Os


ベルトルト「相変わらずって…!そこまでライナーの後ろを付いて回ってる覚えは…」

ユミル「そうデカい声出すなよ、耳がいてぇ」

兵士「訓練兵整列!壇上正面に倣え!」

ユミル「ほら…前見ろよベルトルさん。アニばっか見てねぇでよ」ニヤ

ベルトルト「!!」バッ

ユミル「あっはっは。じゃあ…また後でな」ヒラヒラ

ベルトルト「ッ…んだ、一体…!!」



******


エルヴィン「調査兵団は常に人材を求めている。毎回多数の氏者が出ることによって慢性的に人員が不足している」

ベルトルト(そうだ、エレンの地下室…巨人の秘密が…)

ベルトルト(…エレンを攫って地下室にも行けば…僕たちの知らないこともきっと沢山分かるんじゃないか?)

137: 2013/11/22(金) 02:36:24 ID:cUj6z7Os


エルヴィン「新兵が最初の壁外遠征で氏亡する確率は五割といった所か」

ベルトルト(無理矢理ライナーを引っ張って憲兵団に入ることも可能だけど…そっちに行っても帰れる保障はない)

ベルトルト(それならやっぱり、前と同じに調査兵団に入って、壁外調査でエレンを確保する)

エルヴィン「自分に聞いてみてくれ。人類の為に心臓を捧げることが出来るのかを」

ベルトルト(…今度こそ成功出来るのか…?僕たちは…)

エルヴィン「以上だ。他の兵団の志願者は解散したまえ」

ベルトルト(ライナーは…)チラ

ライナー「……」

ベルトルト(動こうとしない。前に調査兵団に入るって決めたからなのか、それとも)

ベルトルト(“兵士”としての君が、違う意志でそう決めてしまったからなのか)

138: 2013/11/22(金) 02:36:54 ID:cUj6z7Os


アニ「」スッ

ベルトルト「! ア…」

ベルトルト(アニ…!!)


エルヴィン「君達は…氏ねと言われたら氏ねるのか?」

「氏にたくありません!!」

エルヴィン「そうか…皆…良い表情だ」

エルヴィン「では今!ここにいる者を新たな調査兵団として迎え入れる!」

エルヴィン「これが本物の敬礼だ!心臓を捧げよ!!」

「「ハッ!!」」


ミカサ「……」

アルミン「…皆…」

ジャン「あぁ…クソが…最悪だチクショウ…調査兵なんて…」

サシャ「…う…嫌だよぉ…こわいぃ…村に帰りたい…」

139: 2013/11/22(金) 02:37:25 ID:cUj6z7Os


コニー「あぁ…もういいや…どうでもいい」

ライナー「……」

クリスタ「ぅっ…」ブルブル

ユミル「……泣くくらいならよしとけってんだよ」

ベルトルト「……」

ベルトルト(アニ、アニ…)

アニ「……」

ベルトルト(…行かないで…)

エルヴィン「第104期調査兵団は、敬礼をしている総勢21名だな」

エルヴィン「よく恐怖に耐えてくれた…君達は勇敢な兵士だ。心より尊敬する」

142: 2013/11/23(土) 02:17:48 ID:AqyxqkZ2

******


ネス班長「お前達新兵には一か月間でこの“長距離索敵陣形”を熟知してもらう」


******


ライナー『俺達調査兵団の最初の壁外調査が狙い目だと思う』

ベルトルト『うん』

ライナー『俺の巨人は足が遅いし、お前のは馬鹿に目立ちすぎる。…アニが適任だと、俺は思う』

ベルトルト『…アニを危険な目に合わせたくないけど、その通りだ』

ライナー『エレンのいる場所を一気に叩いて、連れ去る。強引だが一番確実だ』

ベルトルト(失敗した原因…作戦企画紙には“右翼後方”にエレンがいると、僕たちは知らされていた。けど…)

ベルトルト(本当は“中央後方”にエレンはいた。それに気付くのに時間がかかって、アニは巨大樹の森に誘い込まれて…罠にかかった)

ベルトルト(リヴァイ兵長とミカサを止めるのは正直不可能だ。だったら…)

ベルトルト(巨大樹の森に入る前に、勝負を決める!)

143: 2013/11/23(土) 02:18:56 ID:AqyxqkZ2


ライナー『企画紙にエレンの位置は書いてあるはずだ。それをアニに伝えれば…』

ベルトルト『待ってライナー。…本当にエレンの正確な位置を教えられると思う?』

ライナー『何だと?』

ベルトルト『この調査は多分、兵団の中にいる裏切り者…つまり僕たちを誘い出すためのものだと思う』

ライナー『…!…なるほど。だったら簡単に教えるわけには行かないだろうな』

ライナー『つまり、企画紙に書かれた場所にはエレンは絶対にいないということだ』

ベルトルト『うん。気を付けようライナー。今回失敗してしまったら…アニの命を危険に曝すことになるんだ』

ライナー『あぁ』


******


ベルトルト(やっぱり僕の班は変わらず四列四の伝達…あとは企画紙にエレンの位置が右翼後方と書いてあれば確実だ)

ユミル「…い」

144: 2013/11/23(土) 02:19:35 ID:AqyxqkZ2


ベルトルト(長かった…)

ユミル「おい、ベルトルさん」

ベルトルト「ッ!?…ユッ…ユミル…!?」

ユミル「んだよ、人を化け物でも見るように見やがって」

ベルトルト「え…同じ班…なの?」

ユミル「隣に座ってんだからそうに決まってんだろうが」

ベルトルト「そ、そうなんだ」

ベルトルト(そうだ、彼女の行動だけはどうなるか分からないんだった…でも)

ユミル「…?」

ベルトルト(クリスタが調査兵団に入ったから、彼女もここにいるだけ…うん、大丈夫)

ユミル「ジロジロ見んな。ほら、企画紙」ペラ

ベルトルト「あ、ありがとう」

ベルトルト(…目的は、シガンシナ区までの補給ルートの確認…)

145: 2013/11/23(土) 02:20:10 ID:AqyxqkZ2


ベルトルト(カラネス区出発…うん、変わってない…陣形…うん…エレンの位置…)

ベルトルト(…え…?“五列中央”って…後方のことだよね…!?)

ベルトルト「!?」ガタッ

ネス班長「オイ、どうかしたか」

ベルトルト「あっ…い、いえ!申し訳ありません!」ガタ

ベルトルト(エレンが中央後方…!?どういうことだ!?右翼じゃなくて…いや、実際は中央後方だったけど…)

ベルトルト(どうしてここだけ、前と違うんだ!?待て、つまり…エレンは今回中央後方にはいない…?)

ベルトルト(いや、でも確かにエレンはこの位置だ!でも新兵に正確な情報を教えるわけがない…何で…)

ネス班長「企画紙は極秘事項だ!くれぐれも、他の者に漏らすことのないように!」

146: 2013/11/23(土) 02:20:47 ID:AqyxqkZ2

******


ベルトルト「ユッ、ユミル!!」

ユミル「あ?珍しいな、お前から声かけてくるの」

ベルトルト「あのっ…同じ班、だよね?」

ユミル「あぁ。同班で唯一の同期がベルトルさんとは思わなかったよ」

ベルトルト「その…エレンって…どこにいるって書いてあった?」

ユミル「あー…確か五列中央だったかな?」

ベルトルト「!! 間違いじゃないよね…?」

ユミル「当たり前だろ、班ごとに配布してんだから」

ベルトルト「そ、そうだよね…」

147: 2013/11/23(土) 02:21:22 ID:AqyxqkZ2


ユミル「…なぁベルトルさん。私は気にしねぇけど、他のヤツにそんなこと聞かない方がいいぞ」

ベルトルト「え?」

ユミル「エレンの位置気にしてるみたいだからさ。巨人側の仲間みたいだって疑われちまうぜ?」

ベルトルト「! …そ、そうだね…ありがとう、ユミル」

ユミル「おう。じゃ、私はクリスタんトコ行くから」スタスタ

ベルトルト「……」

ベルトルト(ユミルの企画紙もそうだったってことは…今回は中央後方じゃないのか…?)

ベルトルト(でも確かに人に聞いて回ったら、それだけで目立ってしまう…どうしたらいいんだ…)



******


ライナー「別の場所だと考えるのが自然だろう」

148: 2013/11/23(土) 02:22:09 ID:AqyxqkZ2


ライナー「俺の企画紙には右翼後方で、お前のには中央後方。おまけに極秘事項だから他人に漏らすな…決まりだろ」

ベルトルト「だ、だけどエレンは中央後方にいるはずなんだ!」

ライナー「だがお前の企画紙には中央後方と書いてあったんだろ?」

ライナー「お前の仮説を信じるとしたら、それは嘘ということになる」

ベルトルト「そうだけど…」

ライナー「もしもお前のだけがそうなっていたら、お前に対する罠ってことになるが…同班のユミルのもそうだったんだろ?」

ベルトルト「うん…」

ライナー「つまり、お前らの班には中央後方という情報が渡されている。新兵がいる班に真実は伝えないと考えるのが自然だ」

ベルトルト「じゃあ、エレンは一体どこに…」

ライナー「…幸い俺もお前も右翼側の班だ。アニに右翼側から攻め込んでもらおう」

ベルトルト「!? ライナー、それは…!」

ライナー「何とかしてエレンの正確な位置を手に入れて、それをアニに伝える。伝え方は状況に応じて判断する」

149: 2013/11/23(土) 02:23:21 ID:AqyxqkZ2


ベルトルト「…危険だ…」

ライナー「これ以外に方法があるか?」

ベルトルト「ない、けど…」

ライナー「決まりだ。アニには今夜作戦を伝える手はずになっているから、そう伝えよう」

ライナー「これで俺たちはもう…壁を壊さなくて済むんだ」

ベルトルト「…あのさ、ライナー。アニに伝えてくれないかな?」

ライナー「何だ」

ベルトルト「何があっても、絶対に巨大樹の森には入らないでって」

150: 2013/11/23(土) 02:24:31 ID:AqyxqkZ2

******

ウォール・シーナ側 夜中


アニ「巨大樹の森?」

ライナー「あぁ、何でも…罠が仕掛けられている可能性が高いらしい」

アニ「まぁ立体機動の特性を考えたら、そこに誘い込むのが一番効率がいいだろうしね」

ライナー「すまないアニ。…こんな危険な役目をお前に…」

アニ「適材適所ってヤツさ。こういうのは、私が一番向いてる」

ライナー「だが」

アニ「馬鹿、こっち見るんじゃないよ」

ライナー「…また、人を殺さなきゃいけないんだぞ…」

アニ「…必要なことなら、やらなきゃいけないことだってある。それがどんなことだって」

アニ「私は戦士なんだから」

ライナー「……」


******

153: 2013/11/24(日) 02:24:37 ID:TN/8gzA6

******


エルヴィン「いよいよだ!これより人類はまた一歩前進する!」

エルヴィン「お前達の訓練の成果を見せてくれ!」

エルヴィン「開門始め!第57回壁外調査を開始する!!…前進せよ!!」

ライナー(いよいよだ…!)

ベルトルト(いよいよ、この時が来た…!)

ライナー(必ずエレンの位置を探し出す!そして、)

ベルトルト(今度こそ故郷に…!!)


ドドドドドド
オォォォォォ


******


ウォール・シーナ 壁上


アニ(…今日さえ、乗り切ってしまえば…帰れるんだ…)

154: 2013/11/24(日) 02:25:32 ID:TN/8gzA6


アニ(右翼側から攻め込んで…ライナーかベルに出会って…エレンを連れ去って…)

アニ(…アイツらの中で、一体何人が生き残るのかな…)

アニ(変なことを考えるな、今はエレンのことだけに集中しないと)

アニ(躊躇うな、私は戦士だ。…邪魔するヤツは…頃す!)カッ


******


ドドドド…


ベルトルト(こんな大人数の中からエレンを探し出せるのか…!?)

ベルトルト(でも見た感じ、やっぱり右翼後方にエレンはいない!)

ベルトルト(ライナーは確か三列四だから…僕の少し前か…)

ベルトルト(早く、早くエレンの位置を見つけ出さないと…アニが危ないのにッ…!)

ユミル「チッ、おいベルトルさん!随分余裕じゃねぇか、余所見するなんてよ!」

ベルトルト「ね、ねぇユミル!エレンはどこにいるのかな…!?」

ユミル「あぁ!?だから、企画紙に書いてあっただろうが!そんなことより今は煙弾に注意しろ!」

155: 2013/11/24(日) 02:27:17 ID:TN/8gzA6


ベルトルト「う、うん…!」

調査兵「黒の煙弾だ!!」

ベルトルト「!!」

調査兵「奇行種か…!オイ新兵!!ちゃんと注意しろ!!」

ユミル「ハッ!」

ベルトルト(右翼索敵から…!あれは、アニ…!?)


******



アルミン「違う…奇行種じゃない!ネス班長、教えてください…!」

アルミン「どうすればいいんですかヤツは!?通常種でも…奇行種でもありません…ヤツは!」

アルミン「“知性”がある!“超大型巨人”や“鎧の巨人”とか…エレンと同じです!!」

アルミン「巨人の体を纏った人間です!だっ…誰が!?何で!?何でこんな!!」

156: 2013/11/24(日) 02:28:33 ID:TN/8gzA6


アルミン「まずいよ!!どうしよう!?」

アルミン「僕も氏ぬ!!僕も殺される!!」

アルミン(馬を二頭連れたままじゃ、絶対に逃げ切れない!!)

アルミン「行けっ!」パッ


アニ(この逃げている兵士は誰?…アイツらの中の誰か…?)

アニ(ライナーやベルじゃない…誰…?)


アルミン「!!」

アルミン(こいつは…いや、こいつらは、何が目的なんだ)

アルミン「!」ズドォォン

アルミン「ぐっ…ぅあ…!!」ゴロゴロ バンッ


アニ(エレン…?違う…ダメ…)ソッ

157: 2013/11/24(日) 02:30:29 ID:TN/8gzA6


アルミン「…!? …!?」

アニ(…違う…アルミン…ダメ、頃したく、ない…)

アニ(エレンはここにはいない…早く、早く見つけなきゃ)ゴゴゴゴゴ

ズシンッ

アルミン「……ハァッ、ハァッ…」ドクンドクン

アルミン「殺さない…のか…?何だ今の…?フードをつまんで…」

アルミン「顔…?顔を確認した…?」


ライナー(あれは…アニ!!クソっ、もう来ちまったのか…!)

ライナー(だがもうすぐ巨大樹の森だ!どんな手段でもいい、エレンの位置を…!)

アルミン「」

ライナー(あれは…アルミン!?そうだ、もしかしたらアルミンならエレンの位置が分かるかもしれない!)

ライナー「アルミン!」ドドドッドドドッ

アルミン「ライナー!」

158: 2013/11/24(日) 02:31:46 ID:TN/8gzA6


ライナー「おい立てるか!?イヤ…とにかく馬を走らせねぇと壁外じゃ生きてられねぇぞ!急げ!」

アルミン「うん!」バッ

ライナー「奇行種の煙弾を確認したが…あのいいケツしたヤツがそれか?」

アルミン「奇行種じゃない!巨人の体を纏った人間だ!」

ライナー「何だって!?」

ライナー(やっぱりアルミンは他のヤツらと違う…!この一瞬でアニのこと見破りやがった!)

アミン「ちょっと待って、先に煙弾を撃たないと…!!」ガチャガチャ

ライナー(アルミンなら…正確でなくともおおよその位置は分かる…ん?)

ライナー「待て!ジャンが撃ったみたいだ!」

アルミン「ん!?右翼側から上がったのか!?作戦遂行不能な痛手ってことか!?」

ジャン「右翼索敵が一部壊滅したらしい!!巨人がわんさかと来たんだ!何でか知らねぇけど…」

ライナー(アニか…確かに巨人は多い方が混乱させられるが…リスク高すぎるだろ…)

アルミン「あいつが来た方向からだ!まさか…あいつが巨人を率いて来たのか!?」

ジャン「あいつ? …!! 何であんな所に巨人がいるんだよ…奇行種か?」

159: 2013/11/24(日) 02:32:55 ID:TN/8gzA6


アルミン「いいや…違うんだアイツは…巨人の体を纏った人間…」

アルミン「エレンと同じことが出来る人間だ」

ライナー(……確信を持って言っている…これがしっかりしていれば、やはり)

ライナー「アルミン、どうしてそう思った?」

アルミン「巨人は人を“食う”ことしかしない。その結果として氏なせるのであって、“頃す”行為自体は目的じゃない」

アルミン「しかしあいつは急所を狙われた途端に先輩を“握り潰し”“叩きつけた”」

アルミン「“食う”ためじゃなく“頃す”ために頃したんだよ。他の巨人とはその本質が違う」

ライナー(決まりだ。…アルミンなら…エレンの位置が分かる…)

ライナー(…さすがにそういう理由で殺さなかったわけではないだろうが…)

アルミン「捜しているのはきっと…エレンだ…」

ライナー「エレンだと?エレンのいるリヴァイ班ならアイツが来た右翼側を担当しているはずだが」

アルミン「!」

ジャン「右翼側?俺に配付された作戦企画紙では左翼後方あたりになってたぞ」

ライナー(ジャンも違ったか…!くそ、やはり正確な位置を伝えられている新兵はいなかったか…!)

160: 2013/11/24(日) 02:33:31 ID:TN/8gzA6


アルミン「僕の企画紙には右翼前方あたりにいると記されていたけど…そんな前線に置かれるわけがない」

ライナー「じゃあ…エレンはどこにいるってんだ?」

アルミン「この陣形の一番安全な所にいるはず。だとしたら中央の後方あたり…かな」

ライナー(中央後方…!?それはベルトルトの企画紙に書かれていた位置だ、あり得ない!)

ライナー(が…他に思い当たる位置がないのも確かだ…どうする…)

ライナー(何故だ、何でアイツの企画紙にだけ正確な位置が記されていたんだ!?)

ライナー(いや、チャンスと思え…いきなりアニが中央後方に現れていたら、ベルトルトが真っ先に疑われていた…)

ライナー(くそ…何だか嫌な気分だ…まるで誰かの意志に操られているような…!!)

166: 2013/11/25(月) 02:21:14 ID:UQLFdbyU

******


調査兵1「右翼索敵がほぼ壊滅だと!?」

調査兵2「さっきの煙弾であった奇行種が原因か…!?クソッ、どうなってやがる!」

ユミル「ッ…!」

調査兵2「新兵!煙弾を撃て!」

ベルトルト「ハッ、はい!!」ガチャガチャ

ベルトルト(くそっ、くそっ…もう時間がないのに…!エレンの位置の検討が付かない…!)ガチャガチャ

調査兵2「しかし…前方からでまだ助かったな…」

調査兵1「あぁ、後方からだったら、リヴァイ班に被害があったかもしれないからな」

調査兵2「しかしここからじゃさすがにどこにいるか分からないな…同じ右翼後方とは言え…」

ユミル「……」



******

167: 2013/11/25(月) 02:21:52 ID:UQLFdbyU


ジャン「…つまりだな、この距離ならまだヤツの気を引けるかもしれねぇ」

ジャン「俺達で撤退までの時間を稼いだりできる…かもしれねぇ…」

ライナー(…なるほどな、アニ…お前が巨人を引き連れてきたのはこういうことだったんだな…)

ライナー「お前…本当にジャンなのか?俺の知るジャンは、自分のことしか考えてない男のハズだ」

ジャン「……失礼だな、オイ……」

ライナー(きっと俺でも、ベルトルトでも不可能だろう)

ジャン「……俺はただ」グッ

ジャン「誰の物とも知れねぇ骨の燃えカスに…がっかりされたくないだけだ…」

ライナー(こんな奴ら、自分からは殺せねぇよ)

ジャン「俺は…!俺には今何をすべきかが分かるんだよ!そしてこれが俺達の選んだ仕事だ!力を貸せ!!」

ライナー(…すまない、アニ、ベルトルト)

アルミン「フードを被るんだ!深く!顔がアイツに見えない様に!アイツは僕らが誰か分からない内はヘタに殺せないハズだから!」ズボッ

ジャン「……!」

168: 2013/11/25(月) 02:23:26 ID:UQLFdbyU


ライナー「なるほど…エレンかも知れんヤツは殺せないと踏んでか…」

ライナー「気休めにしては上出来。ついでにヤツの目が悪いことにも期待してみようか」ズボッ

ライナー(今だけ、コイツらの助けになってやりたいんだ)

******

アニ(ライナー…ベル…どこにいるんだ…?)

アニ(もうエレンの位置は分かったの?早くしないと、森に入っちまうよ…)

アニ(早くしないと…もっと人が氏んじゃう…)

アルミン(うなじの弱点を把握してる…他の巨人とは全くの別物…)

ジャン(仕留めろとは言わん…聞くところ、ヤツは…)

ライナー(アニ…!!気付いてくれ!)

アニ(……!! ライナー…!!)ジロッ

アルミン「ん!?」

アニ(見つけた)ドォッ

アルミン「―――うッ!!」グイッ

169: 2013/11/25(月) 02:24:37 ID:UQLFdbyU


アニ(…アルミン…!?ダメ、そっちの方向は巨人が…!!)バチッ

アルミン「―――――ッ!!!」ヒュンッ

ジャン「ッァ…!!」

アルミン「」ドンッ

アルミン「」ズザザザ

アニ(あ…アルミン…!血が、血が、ごめん、ごめんなさい)グググッ

ジャン「アルミン!!」

アニ(この声は…ジャン…!?)

ジャン「うっ!!」

ジャン(コイツ…!!運動精度が…!普通のヤツの比じゃねぇ!!)パシュッ

アニ(頃したくない、氏なせたくないんだ、だからっ!!)ググッ

ジャン(クソッ、認識が甘かった…!!)ギュルルル

アニ(どいて!!)ブンッ

ジャン「ウッ!!」

170: 2013/11/25(月) 02:25:51 ID:UQLFdbyU

アニ(!! マズイ、うなじが…!)サッ

アルミン「ジャン!!仇を取ってくれ!!」

アニ(アルミン!?)

アルミン「右翼側で本当に氏に急いでしまった氏に急ぎ野郎の仇だ!!そいつに殺された!!」

アニ(エレンを…私が…!?そんな、そんな馬鹿な!)

アニ(だってエレンは右翼側にはいないって…!!)

アルミン「僕の親友をコイツが踏み潰したんだ!!足の裏にこびりついているのを見た!!」

ライナー(アニっ、安心しろ違う!!エレンは、エレンは右翼側にはいない!!)タンッ

ジャン(ライナー!?うなじを直接狙うのか!?)

ライナー(アニ!!)

アニ(ライナー…!私、私…!)パシッ

アルミン「……ぁっ……」

ジャン「オ…オイ!?」

ライナー(グッ…アニのヤツ、かなり動揺してやがる…!)ググッ

ライナー「クッ…ウウッ…グッ……!」グググッ

171: 2013/11/25(月) 02:26:22 ID:UQLFdbyU


アニ(エレンを頃してしまったの?どうしようライナー…!)

ライナー(潰れる、本気で潰れる…!ク、ソ…!!)カチャッ

ライナー(五…中央…)ブシュッ

アニ(!!)

ジャン「お…おい…ライナー…お前……」

ライナー(これで…頼んだぞ、アニ…!!)ビュッ

アルミン「え!?」

ライナー「―――!!」ギュルルル パシュッ

アルミン「……!?」

ライナー「グッ!」トンッ

ライナー「もう時間稼ぎは十分だろう!?急いでコイツから離れるぞ!!」ガシッ

ライナー「人食いじゃなきゃ俺達を追いかけたりしないはずだ!!」ダダダッ

172: 2013/11/25(月) 02:27:09 ID:UQLFdbyU


アニ(…五中央…中央後列…?)

アニ(そこにはいないって…でも…そこに行くしかない)

アニ(それに縋るしか、ないんだ)ズシン

アニ(もう少し、あともう少し!)ダッ

アルミン「!? そんな…!!」

アルミン(あっちは中央後方…エレンがいる方向だ…!!)

175: 2013/11/26(火) 01:32:03 ID:Gr.xKC16

******


ジャン「誰か来たみたいだ…しかも!馬を二頭連れて!」

ドドドッドドドッ

ジャン「あれは…クリスタ!」

クリスタ「みんな!」

ライナー(クリスタ…!そうか、確かクリスタも右翼側だ…!怪我はないのか!?)

クリスタ「早く乗って!右翼側が大変なことに!」

ジャン「ん?俺の馬じゃねぇか!」

クリスタ「その子ひどく怯えてこっちに逃げてきたの…巨人と戦ったの!?」

ライナー(アニには何とかエレンの位置を伝えられた…あとは巨大樹の森の手前で攫えれば完璧だ)

ライナー(…そうか、今回の作戦はユミルと違う班なのか…一人でここまで来たのか)

ライナー(ベルトルトは大丈夫だろうか。確かアイツ、ユミルと同じ班だったな)

176: 2013/11/26(火) 01:32:44 ID:Gr.xKC16


クリスタ「よかった…皆…最悪なことにならなくて、本当によかった…」

アルミン(…神様…)

ジャン(女神…)

ライナー(結婚したい…)


******


アニ(クッ…私がやったとはいえ大分陣形が崩れてる…中央、後方…)ズシン ズシン

アニ(!! ここは…!!)


ライナー『アニ…ベルトルトから伝言だ』

ライナー『何があっても、絶対に巨大樹の森だけには入るな…だとよ』

ライナー『俺もその意見には賛成だ。…そこに入っちまったら、俺達の勝利は遠くなる…』

ライナー『…エレンを捕らえることも大事だが、俺達にはお前も大事なんだ。…分かってくれ』

177: 2013/11/26(火) 01:33:37 ID:Gr.xKC16


アニ(巨大樹の森…!!)

アニ(…入るなと言われているけど…でも中央列はこの中に入っていった…)

アニ(出てくるのを待つ…?いや、待ってる間に何が起こるか分からない)

アニ(だったら…行くしかない!)ダッ


******


エレン「兵長っ…リヴァイ兵長!」

リヴァイ「…何だ」

エレン「何だって…ここ森ですよ!?中列だけこんなに森の中に入ってたら巨人の接近に気付けません!右から何か来てるみたいですし…」

エレン「どうやって巨人を回避したり、荷馬車班を守ったりするんですか!?」

リヴァイ「分かりきったことをピーピー喚くな。もうそんなことできるわけねぇだろ」

エレン「な!?なぜそんな…」

リヴァイ「周りをよく見ろ。この無駄にクソデカイ木を…立体機動装置の機能を生かすには絶好の環境だ」

178: 2013/11/26(火) 01:34:22 ID:Gr.xKC16


アニ(エレン、エレン…エレン!!)

アニ(絶対にっ、絶対に捕まえる!)

アニ(でなきゃ私は…どうして人を頃したのか分からなくなってしまう!!)


リヴァイ「お前ら…剣を抜け」シャッ

リヴァイ「それが姿を現すとしたら…一瞬だ」


******


調査兵2「止まれ!」

ユミル「!」ズザッ

調査兵2「…いいかお前ら!馬を降り、抜剣!!」シャッ

ベルトルト「!」

ベルトルト(まずい、この展開は…!!)

調査兵1「巨大樹の上いて、森に入ろうとする巨人共を食い止めろ!」パシュッ

179: 2013/11/26(火) 01:35:02 ID:Gr.xKC16


ユミル「ッ!」パシュッ

ベルトルト(まさかアニは…森に入ってしまったの…?)

ベルトルト(でも森に入ったってことは…エレンは本当に中列にいたのか…!?)

ベルトルト(僕の企画紙に、真実が書かれていた…!?何で、一体どうして…!?)

調査兵2「フーバー、早くしろ!」

ベルトルト「はいっ!」パシュッ

ベルトルト(何で僕のだけ…!?まさか、僕は疑われていた!?何で…そんな素振りを出した覚えはない!)スタッ

ベルトルト(アニ、駄目だ…!森に入っちゃ、駄目だ!!)


******

180: 2013/11/26(火) 01:35:37 ID:Gr.xKC16


アニ(――――――いた!!)ドドドッ

エレン「!!」

アニ(エレン、お願いだ、おとなしく捕まって…!)

アニ(私を、助けて!!)

グンタ「クッ…この森の中じゃ事前に回避しようがない!」

エルド「速い!!追い付かれるぞ!!」

ペトラ「兵長!!立体機動に移りましょう!!」

リヴァイ「……」スッ

調査兵「うぉぉぉ!!」ギュルルル

ペトラ「!! 背後より増援!!」

アニ(!!)

調査兵「グッ!」パシュッ

調査兵「!!」ギュルルルルッ

アニ(…また…人が…)

181: 2013/11/26(火) 01:36:24 ID:Gr.xKC16


アニ(邪魔を…するな!!)ドンッ

調査兵「」ズリィィィ

アニ(ごめん、なさい…!!)バチュッ

調査兵「」ブチッ

オルオ「兵長!指示を!!やりましょう!アイツは危険です!俺達がやるべきです!!」

エルド「ズタボロにしてやる!」ジャキッ

エレン(馬鹿め!自分から地獄に来やがった…!)

エレン(お前が追っかけてんのは巨人頃しの達人集団だ!!)

リヴァイ「……」

エレン「…!? リヴァイ兵長!?」

オルオ「指示をください!!」

リヴァイ「…」チャッ

リヴァイ「全員耳を塞げ」パシュッ

182: 2013/11/26(火) 01:37:57 ID:Gr.xKC16


キィィィィィィィィィィィィンンンン


エレン「……!! 音響弾!?」

アニ(ッ…何!?何の音!?)ビリビリ

リヴァイ「…お前らの仕事は何だ?その時々の感情に身を任せるだけか?そうじゃなかったハズだ……」

リヴァイ「この班の使命は、そこのクソガキに傷一つ付けない様に尽くすことだ」

リヴァイ「命の限り」

アニ(行かないで、行かないでエレン!!)

アニ(これ以上、森の奥に行かないで!!)

エレン「なぜ…リヴァイ班がやらなくて誰がアイツを止められるんですか!」

アニ(無駄にさせないで!!)バチュッ

エレン「!! また氏んだ!助けられたかもしれないのに…!!」

ペトラ「エレン!前を向いて走りなさい!」

エレン「戦いから目を背けろと!?仲間を見頃しにして逃げろってことですか!?」

183: 2013/11/26(火) 01:38:47 ID:Gr.xKC16


ペトラ「えぇそうよ!兵長の指示に従いなさい!」

エレン「見頃しにする理由が分かりません!それを説明しない理由も分からない!何故です!?」

オルオ「兵長が説明すべきではないと判断したからだ!それが分からないのはお前がまだヒヨッコだからだ!」

オルオ「分かったら黙って従え!」

エレン「……ッ」


ペトラ「エレン。…信じて」


******


ユミル(……これで、とりあえずは一安心だ…)

ユミル(氏んじまったヤツらには申し訳ないが…悪いな…)

ユミル(私はもう、失敗するわけにはいかないんだ)グッ


ベルトルト(森の中から悲鳴が聞こえてくる…アニは中に入ってしまったのか…)

184: 2013/11/26(火) 01:39:17 ID:Gr.xKC16


ベルトルト(僕がちゃんと…ちゃんと位置を把握していれば…)

ベルトルト(…僕の企画紙だけ…?)


ユミル『あー…確か五列中央だったかな?』


ベルトルト(…!!違う、僕だけじゃない、ユミルのも…!!)

ベルトルト(ユミルの企画紙も、正確な位置が書いてあった…)

ベルトルト(まさか…まさか…!!)


ユミル『ジロジロ見んな。ほら、企画紙』

ユミル『エレンの位置気にしてるみたいだからさ。巨人側の仲間みたいだって疑われちまうぜ?』


ベルトルト(あの企画紙は…ユミルが…!?)

ユミル「……」

189: 2013/11/28(木) 01:46:29 ID:gfeGb/6w

******


リヴァイ「エレン!!遅い!!さっさと決めろ!!」

エレン「――――進みます!!」

アニ(ごめんなさい)

アニ(ごめんなさい、ごめんなさい)

リヴァイ「走れ!このまま逃げ切る!!」

アニ(エレン!!)

アニ(お願い、私たちを、私を)


エルヴィン「撃て!!」


アニ(―――許して)


ドドドドドドドドッッ

190: 2013/11/28(木) 01:47:19 ID:gfeGb/6w


アニ「!?」ドスッドスッ

アニ(罠!?何で、何で気付かなかったんだ!!)

アニ(本当に、ベルの言った通りになっちまった…!)ギギギ

エレン「まさか…あの巨人を、生け捕りに…!?」

ペトラ「……!」

オルオ「ッ…」

グンタ「…っ、どーだエレン、見たか!!あの巨人を捕らえたんだぞ!?」

オルオ「これが調査兵団の力だ!!舐めてんじゃねぇぞこのバカ!どうだ!?分かったか!?」

エレン「―――…!」

ペトラ「」ニッ

エレン「はい!!」


アニ(どうする!?どうしたらいい…!?)

リヴァイ「動きは止まったようだな」

エルヴィン「まだ油断は出来ない。しかしよくこのポイントまで誘導してくれた」

191: 2013/11/28(木) 01:47:58 ID:gfeGb/6w


アニ(うなじは何とか庇えたけど…このままだと、正体がバレるのも時間の問題…!!)

リヴァイ「後続の班が命を賭して戦ってくれたお蔭で時間が稼げた。あれが無ければ不可能だった」

エルヴィン「そうか…」

リヴァイ「そうだ…」

アニ(油断した…エレンを追いかけることだけに集中して、罠の存在なんてすっかり忘れてた…!)

アニ(まずい!私だけならともかく、ライナーやベルまで危なくなっちまう…っ…)

リヴァイ「彼らのお蔭で、こいつのうなじの中にいるヤツと会える」

アニ(考えるんだ…ここから脱出する方法を!)

リヴァイ「中で小便漏らしてねぇといいんだが…」


******


ドォォォオオオンンン ドォォォン


ベルトルト「!!」

ライナー「!!」

192: 2013/11/28(木) 01:48:41 ID:gfeGb/6w


ベルトルト(あの時と同じ爆発音…!?アニが罠にかかった!?)

ライナー(向こうで何やってんだ…!?大砲を持ってきたようには見えなかったぞ…)

ベルトルト(今すぐにでも助けに行きたい、でも)チラ

ユミル「さっきから後ろがうるせぇな」

ベルトルト(ユミル…)

ユミル「なぁ?ベルトルさん。クリスタがどの辺に行ったか知らない?」

ベルトルト「ごめん…知らない」

ベルトルト(本当に僕の企画紙に細工をしたのがユミルだとしたら…)

ベルトルト(…僕は君を許さない。アニを危険な目に合わせて…!!)



ジャン「あの巨人の存在を知っていたらよ…対応も違ってたはずだ。お前の所の班長達だって…」

アルミン「…! いや、間違ってないよ」

193: 2013/11/28(木) 01:50:04 ID:gfeGb/6w

ジャン「は?何が間違ってないって?兵士がどれだけ余計に氏んだと思ってんだ?」

アルミン「結果を知った後で選択をするのは誰でも出来る。後で“こうすべきだった”って言うことは簡単だ」



ベルトルト(でもどうしてユミルはエレンの正確な位置が分かったんだ?勘…なわけないよな)

ベルトルト(クソッ、もっと強く森に入るなと言えば良かったんだ…!!)

ベルトルト(そうすればアニが罠にかかることもなかった!)

ユミル「ベルトルさん」

ベルトルト「なっ…何?」

ユミル「…いつにも増して…汗、すげぇな?」

ベルトルト「!!」



アルミン「分からないよ!いつだって分からないことだらけだ!」

アルミン「でも時間だって流れてるし、止まったりしてくれない!結果が分からないのに選択の時間は必ず来る!」



194: 2013/11/28(木) 01:50:51 ID:gfeGb/6w


ベルトルト「…下にこんなに巨人がいて、怖くないわけないだろ?」

ユミル「それもそうだ。何だ、私はてっきり仲間の心配でもしてるのかと思ったよ」

ベルトルト「そっ、そんなこと…!!」

ユミル「そんなこと?薄情なヤツだな、同期や兵団の連中が心配じゃねぇのか?」

ベルトルト「ッ…!!」



アルミン「あらゆる展開を想定した結果、仲間の命が危うくなっても…選ばなきゃいけない」

アルミン「100人の仲間の命と、壁の中の人類の命を」

アルミン「団長は選んだ」

アルミン「100人の仲間の命を切り捨てることを選んだ」



ベルトルト(何なんだ一体!?まるで僕が巨人の仲間だって言いたいみたいじゃないか…!?)

ベルトルト(でも知っているはずがない、僕たちが巨人だってことを!)

195: 2013/11/28(木) 01:51:27 ID:gfeGb/6w


ベルトルト(大体ユミルは前の世界にはいなかったのに、どうしていきなり現れたんだ…!?)

ユミル「珍しく随分険しい顔してるじゃねぇか」

ベルトルト「……そう、かな」

ユミル「あぁ」



アルミン「大して長くも生きてないけど、確信してることがあるんだ…」

アルミン「何かを変えることの出来る人間がいるとすれば、」

アルミン「その人はきっと…大事なものを捨てることが出来る人だ」



ユミル「この状況を打破したいとか考えてるなら、下の巨人共を蹴散らすしかねぇけどさ」

ベルトルト「……」

ユミル「そんな氏に急ぎなんて、エレンぐらいなもんだろう?なぁ?」

ベルトルト「……ッ」

ユミル「ベルトルさん」

196: 2013/11/28(木) 01:52:30 ID:gfeGb/6w




アルミン「化け物をも凌ぐ必要に迫られたのなら、人間性をも捨て去ることが出来る人のことだ」

アルミン「何も捨てることが出来ない人には」



ベルトルト(間違いない、ユミルが…コイツが仕組んだんだ!)

ユミル「…ま、もうすぐ終わるだろうさ」

ベルトルト「えっ…」

ユミル「のんびりしてようぜ。…今更足掻いたって、意味ねぇんだからさ」ニィ



アルミン「何も変えることは出来ないだろう」



******

197: 2013/11/28(木) 01:53:16 ID:gfeGb/6w



ハンジ「ふん!!」ドォン

アニ(つぅっ…)ドスドスッ

ハンジ「これでどう?もう痒いとこあっても掻けないよ?身じろぎ一つ出来ないよ、多分一生」

ハンジ「傷を塞げば塞ぐほど、関節はより強固に固まっていく仕組みだ」

アニ(こんな道具があったなんて…コイツが変わり者の分隊長ってヤツか…!?)

アニ(クッ…動けない…!)ギギギッ

ハンジ「…しっかし肝心の中身さんはまだ出せないのか?何やってんだよリヴァイとミケは…」

アニ(また来る!!)ビキビキビキッ

リヴァイ「フッ!」ガキンッ

ミケ「ッ!!」ガキンッ

アニ(今はまだなんとか耐えれてるけど、コイツらがどんな手を使ってくるのか分からない…)

アニ(…どうしたらいい…どうしたら…)

198: 2013/11/28(木) 01:54:11 ID:gfeGb/6w


リヴァイ「オイ」

アニ(!)

リヴァイ「いい加減出てきてくれないか?こっちはそんなに暇じゃないんだが」

アニ(コイツは…確かリヴァイ、だったっけ…人類最強…)

アニ(並の兵士とは全く比べものにならない…さすがにいるに決まってるか…)

リヴァイ「なぁ?お前はこれからどうなると思う?お前はこの状況から抜け出すことが出来ると思うのか?」

リヴァイ「こっちの迷惑も少し考えてほしいもんだ。お前を引きずり出す方法を考えては試しを繰り返すんだぞ」

アニ(…)

リヴァイ「お前は確か…色々なやり方で俺の部下を頃していたが…あれは楽しかったりするのか?」

アニ(!? な、にを)

リヴァイ「俺は今楽しいぞ。なぁ……?お前もそうだろ?」

アニ(一緒にするな)

199: 2013/11/28(木) 01:54:48 ID:gfeGb/6w


リヴァイ「お前なら俺を理解してくれるだろ?」

アニ(誰が)ギギギッ

リヴァイ「……!」

アニ(誰が)

リヴァイ「そうだ…一つ聞きたいことがあった」

リヴァイ「お前の手足は切断しても大丈夫か?また生えてくるんだろ?」

アニ(自分から、好き好んで)スゥゥゥ

リヴァイ「お前自身の本体の方だ。氏なれたら困るからな」

アニ(人なんか頃したいと思うんだ!!)カッ



「ギィヤアアアァァァアアァァァァ!!!!!!」


リヴァイ「!!」

エルヴィン「!」

200: 2013/11/28(木) 01:55:24 ID:gfeGb/6w


エレン「!?」


アルミン「!!」

ジャン「!?」


ミカサ「!?」

ザシャ「!!」


ライナー「!!」

ベルトルト「!!」

ユミル「……」



リヴァイ「……てめぇ…びっくりしたじゃねぇか」

ミケ「」スンスン

ミケ「! エルヴィン!匂うぞ!!」

201: 2013/11/28(木) 01:55:58 ID:gfeGb/6w


エルヴィン「方角は?」

ミケ「全方位から多数!同時に!」

エルヴィン「…!」



******



アルミン「え!?」

ジャン「何だ!?…こいつら、一斉に森の中に!?」


ドドドッ ドドドッ ドドドッ


コニー「……何で急に俺らを無視すんだ!?こいつら全部奇行種だったのかよ!?」

ライナー(間違いない…アニだ!!アイツ、巨人共を呼び寄せてどうする気だ!?)

ライナー(いくら巨人化してるからって危険すぎる!アイツは何を考えてる!?)

ベルトルト(どうしてっ、どうして何も変わらないんだ!!)

202: 2013/11/28(木) 01:56:45 ID:gfeGb/6w

ミカサ「……突然、何?」

サシャ「待って!聞いてくださいミカサ!」

ミカサ「!」

サシャ「さっきの悲鳴、聴いたことがあります!私がいた森の中で…!」

ミカサ「サシャの故郷で?」

サシャ「アレと同じなんです…追い詰められた生き物が全てをなげうつ時の声…!」

サシャ「狩りの最後ほど注意が必要だって教えられたんです!」

ミカサ「…?だから…注意しろと?」

サシャ「いつもより百倍してください!森なめたら氏にますよあなた!!」

ミカサ「私も山育ちなんだけど…」

サシャ「野菜作ってた子には分からないですよ!」グルルル

ミカサ「……そう」

ミカサ(いや…確かにサシャの勘は結構当たる…それも主に悪い予感の時だけ…)

ミカサ「……」ジッ

ミカサ(アルミンは中央後方にエレンがいそうだって言ってたっけ…)

203: 2013/11/28(木) 01:57:28 ID:gfeGb/6w

******


ドドドッ ドドドッ


アニ(ここから脱出出来る方法があって、それが実行できるなら)

エルヴィン「発破用意を急げ!」

ミケ「エルヴィン!先に東から来る、すぐそこだ!」

アニ(躊躇いなんてなく実行するに決まってる)

エルヴィン「荷馬車護衛班!迎え撃て!!」

アニ(それがどれだけ辛いことでも、実行するしかない)

リヴァイ「オイ…てめぇ…さっき何かしやがったな」

アニ(こんな所で終わるわけにはいかない)

エルヴィン(!! 女型の巨人を狙っているのか!!まさか!!)

アニ(私だけの為じゃない、もう引き返せないんだ)

エルヴィン「全員戦闘開始!!女型の巨人を氏守せよ!!」ジャキッ

リヴァイ・ミケ「!?」

204: 2013/11/28(木) 01:57:59 ID:gfeGb/6w


アニ(進むしか道がないなら、進むしかないじゃないか)

アニ(それがどれだけ悲しくても)

アニ(あぁ、でも……)

アニ(痛いな)


エルヴィン「全員一時退避!!」

リヴァイ「オイ…エルヴィン…!」

エルヴィン「やられたよ」

リヴァイ「……何ってツラだてめぇ…そりゃあ」

エルヴィン「敵には全てを捨て去る覚悟があったということだ。まさか…」

エルヴィン「自分ごと巨人に食わせて…情報を抹殺させてしまうとは……」

205: 2013/11/28(木) 01:59:49 ID:gfeGb/6w

二日分進んでたらいいな
レス下さった方ありがとうございます
今回読みにくい個所多い気がします
ようやく三分の一くらいです、どうぞお付き合い下さい

【進撃の巨人】ベルトルト「今度こそ故郷に帰る」【後編】

引用: ベルトルト「今度こそ故郷に帰る」