1:◆UeZ8dRl.OE 2014/06/06(金) 18:58:43.29 ID:VG+wscHAO
・超亀更新です

・完結させたスレの設定をそのまま使ってます

・細かい部分は結構適当です



2: 2014/06/06(金) 18:59:22.75 ID:VG+wscHAO





 ――男は、一人の艦娘に恋をした。





3: 2014/06/06(金) 18:59:59.59 ID:VG+wscHAO
 艦娘、それは人類の希望であり、怨念と絶望から生まれた深海棲艦とは対となる存在。軍艦の魂が人々の矛と盾となる為、人であって人でない存在となったモノ。

 終わりの見えぬ戦いに、再び海へと還っていく無数の仲間達。彼女達の心は日々摩耗していき、彼女達を従える提督達もまた、憔悴しきっていた。

 ――だが、そんな日々に遂に終止符が打たれる。




提督「え? 終わったの?」

漣「はい、終わっちゃいやがりました」

4: 2014/06/06(金) 19:01:47.79 ID:VG+wscHAO
提督「そうかぁ……終わったかぁ……って漣君解体されちゃうよ? 寂しくなるなぁ……」

漣「クソご主人様、不本意ながらこの数日間お世話になりました」

提督「うん、三日だけだったけど秘書艦ありがと。そもそもうちの鎮守府、君しか居ないけど」

漣「近日中には私を鎮魂の儀により解体する為に、大本営から解体者が派遣されます。それまで私は部屋に籠るので、一切近付かないでください」

提督「そっか、分かったよ」

漣「では、さようなら」

提督「うん、本当にありがとうね」

提督(提督になって三日で終わり、漣君ともお別れかぁ……何だかなぁ……)




 ――その後、一週間が経過するも、結局解体者が来ることは無かった。

?「……何時まで待たせるにゃ」

?「……お腹減ったクマ」

5: 2014/06/06(金) 19:02:50.43 ID:VG+wscHAO
漣「解体の話が急に消えやがるとか、どうなってんですか大本営」

提督「何かマスコミが騒ぐからしないとかなんとか」

漣「説明も大本営も適当にも程がありやがります」

提督(……んー、何かを忘れているような気がするんだよなぁ……)

漣「それで、私はどうなるんですかクソご主人様」

提督「とりあえず待機だってさ、深海棲艦がまた現れたらよろしくって言われちゃった。ついでに鎮守府の運営資金と支払う給料はほとんどカットするから、維持費は各自で何とかしてくれーだって」

漣「はぁ!? どうしろってんですかそんなの! クソご主人様と二人で畑でも耕せってんですか!?」

提督「あはは、困ったね。たった二人で……二人?」

提督(――――あっ、思い出した)

提督「漣君、二人じゃなくて四人だったよ」

漣「頭でも打ちやがりましたか?」

提督「建造、妖精さんに頼んだんだった」

漣「一週間以上も放置とか何考えてんですか!?」

提督「ごめん、ちょっと迎えに行ってくる」

漣「とっとと行きやがって下さい!」

6: 2014/06/06(金) 19:05:11.61 ID:VG+wscHAO
 ――工廠。

提督「妖精さん、この前頼んだ建造のことなん――」

?「ローリングクマサンダーアタック!」

提督「ぐほぁっ!?」

?「フシャァァァァァ!」

提督「痛い痛い痛い爪痛い噛むと痛いパンチ痛い!」

?「魚釣って焼いて飢えを凌いで意地になって待ってたら一週間も来ないとか何考えてんだクマ!」

?「あり得ないにゃ! マジで何考えてるにゃ!」

提督「ごめん、忘れて――」

?「クマソバット!」

?「タマアッパー!」

提督「へぶっ!?」

?「海に捨てるクマ」

?「そうするにゃ」

提督「待った待った、ちゃんと謝るから許してくれない?」

?「……荒巻鮭」

?「……本マグロ」

提督「いや、その、うちの鎮守府って今財政難――」

?「やっぱり捨てるクマ」

?「海に還るがいいにゃ」

提督「よし、分かった、なけなしの貯金叩いて買うから、ね?」

球磨「交渉成立クマ、球磨だクマ」

多摩「多摩にゃ」

提督「よろしくね。ところで多摩君」

多摩「にゃ?」




提督「僕と付き合ってくれないかな?」

7: 2014/06/06(金) 19:06:09.24 ID:VG+wscHAO
漣「――で、結局海に投げ込まれて、どうにかこうにか戻って来たって訳ですか」

提督「いやはや面目ない。告白したけど断られちゃったよ」

漣「一週間放置からの告白とか、クソご主人様のルックスじゃ万に一つも可能性なんてあるわけないじゃないですか。そもそも私達は軍艦ですよ軍艦、告白するなら普通の人間にしてください、超大迷惑です」

提督「一目惚れしちゃったんだから仕方無いと思わない? それに、こうしてちゃんと会話して意志疎通出来てる訳だし、艦娘がどういう存在かとかは正直どうでもいいかな」

漣「正真正銘のクソご主人様ですね、そもそも形式的には部下である私達に告白するとか、パワハラアンドセクハラです。今すぐに捕まってきて下さい」

提督「やっぱり段階を踏んでいかないとダメなのかなぁ……」

漣「ちょっとは人の話を聞きやがりなさい!」

提督「え? 聞いてるよ? だから多摩君から好かれて、セクハラとパワハラにならなくする為にはどうすればいいか、真剣に考えてるんだ」

漣「そんなこと考える暇があったら私達が餓氏しない為の方法を考えやがりなさい!」

提督「あっ忘れてた」

8: 2014/06/06(金) 19:06:48.06 ID:VG+wscHAO
球磨「物凄く変な奴クマ」

多摩「しかも戦い終わってるらしいにゃ」

球磨「これからどうなっちゃうんだクマー……」

多摩「なるようになるにゃ、海で魚釣ったり捕ったりしながら生きていくにゃ」

球磨「いっそ違う鎮守府行きたいクマ、あんな提督は嫌だクマ」

多摩「荒巻鮭と本マグロ貰うまでの辛抱にゃ」

球磨「貰ったらとっととおさらばクマー」

多摩「提督なのをいいことに多摩にセクハラしてきたら、今度こそ簀巻きにして海に放り込んでやるにゃ」




 ――提督の第一印象は三人共から最低最悪。提督の多摩への恋は実るのか、鎮守府はどうなってしまうのか、漣の口調は普通に戻るのか、球磨は荒巻鮭を食べられるのか、ドタバタ鎮守府物語、始まります。

9: 2014/06/06(金) 19:08:28.25 ID:VG+wscHAO
~キャラ設定~

提督→可もなく不可もなく、ルックスもスペックも中の中。提督になって三日で終戦を迎える。現在多摩に好かれる方法を考える片手間に、鎮守府をどう維持していくか悩んでいる。

漣→姉妹艦である曙以上に口が悪い。提督の事を好きではないが、一応一緒に鎮守府を維持していこうとあれこれ考えている。出撃はしたことないので練度はほぼゼロ。

球磨→建造されて多摩と共に一週間放置された。荒巻鮭を貰ったらさっさと出ていこうと考えている。得意技はローリングクマサンダーアタック。

多摩→建造されて球磨と共に一週間放置された。本マグロを貰ったら球磨と出ていこうと考えている。提督が近付くと威嚇する。得意技は乱れ引っ掻き。

10: 2014/06/06(金) 19:11:25.41 ID:VG+wscHAO
~世界観設定~

・深海棲艦との戦いが終わった後の世界

・艦娘は人の姿を得た軍艦の魂

・建造は艦の魂を呼び起こし、資源で肉体を構成し定着させるというもの

・戦いが終われば艦娘達は全員解体(鎮魂の儀による消滅)されるはずだったが、それを望まない提督達の行動により阻止された

・艦娘は解体されずに済んだが、監視と行動制限という名目付きで、鎮守府での待機と運営維持費の大幅カットが各鎮守府に言い渡された(実際は全鎮守府を監視は出来ない為、街を艦娘がフラフラ出歩いている)

・基本的に街の人々から艦娘達は愛されている

後はその都度必要そうなら説明していきます

書き溜め投下は以上なので、次の更新はまた書き溜めが出来たらになります

15: 2014/06/07(土) 10:44:19.36 ID:a3TTWrCAO
※多摩と球磨は鎮守府の宿舎に住むのを嫌がり、工廠前にテントを張って生活してます

~多摩へのアプローチ~

提督「多摩君、猫じゃらしは好き――」

多摩「フシャァァァァァ!」

提督「うーん……猫じゃらしは嫌いみたいだね」

多摩「多摩は猫じゃないにゃ」

提督「なら、このツナ缶はいらなかったかな」

多摩「ツナ缶食べたい……はっ!? その手には乗らないにゃ!」

提督「警戒されてるみたいだし、ここに置いとくから後で食べてね」

多摩「変な薬が入っている可能性があるにゃ」

提督「流石にそこまで信用されてないと、ちょっと泣きたくなるよ……」

16: 2014/06/07(土) 10:45:25.24 ID:a3TTWrCAO
~多摩へのアプローチ2~

提督「今日はお刺身だよ」

多摩「本マグロはどうしたんだにゃ」

提督「……もう少し待ってもらえないかな?」

多摩「待たないにゃ」

提督「じゃあこのお刺身は無駄になっちゃうね」

多摩「一週間だけ待ってやるからそれを置いて消えるにゃ」

提督「うん、ありがとう。じゃあまた」

多摩「――よし、球磨に毒味してもらうにゃ」

球磨「聞こえてるクマよー」

17: 2014/06/07(土) 10:47:29.45 ID:a3TTWrCAO
~多摩へのアプローチ3~

提督「今日はマタタビの枝で編んだボールを持ってきたよ」

多摩「猫じゃないって言ってるにゃ」

提督「それっ!」

多摩「にゃっ!――はっ!? 思わず飛び付いてしまったにゃ……」

球磨「球磨みたいに自分がクマって認めれば、多少のことには動じない――」

提督「今日は鮭の切り身も持ってきたんだ」

球磨「今すぐにそれを寄越すクマ! しゃーけ! しゃーけ!」

多摩「球磨も人の事言えないにゃ……多摩にもその鮭寄越すにゃ」

提督「人間用だから塩分多いけど、多摩君が食べて大丈夫なのかな……」

多摩「だから猫じゃないって言ってるにゃ!」

球磨「鮭はやっぱり美味いクマー」

18: 2014/06/07(土) 10:50:20.40 ID:a3TTWrCAO
~働きやがりなさい!~

提督「さて今日も多摩君のところに――」

漣「クソご主人様、ちょっとこっちを向きやがりなさい」

提督「何かな漣君、鯛を手に入れたから早く持っていきたいんだけど」

漣「鎮守府、財政難、お金、無い、OK?」

提督「うん、漣君の言いたいことは分かったよ。だからその単装砲を向けるのはやめてもらえない?」

漣「私が鎮守府を維持するにはどうすればいいか考えてる時に、惚れた相手のところに手土産持参で呑気に通うとか、本当に良いご身分ですねぇクソご主人様……さっさと何か打開策考えやがりなさい! っていうか働きやがりなさい!」

提督「そうだねぇ……魚を釣ったり捕ったりして売る?」

漣「早速活動を再開した漁業組合から文句言われますよ」

提督「そっかー……じゃあ案を一つ出した事だし、行ってくるね」

漣「何仕事しました感出してやがんですか、具体案が固まるまでこの部屋から逃がしませんよ」

提督「お手洗いはどうすればいいかな?」

漣「漏らしやがったら撃ちます」

提督「漣君もお手洗い――分かった、冗談だからその握った拳下ろそう、ね?」

漣「ぶっ飛ばす!」

提督「ぐほぁっ!?」

19: 2014/06/07(土) 10:52:01.97 ID:a3TTWrCAO
~来なかった~

多摩(今日は来なかったにゃ……)

球磨「多摩、魚焼けたクマ」

多摩「ちょっと冷ましてから食べる、このままじゃ熱いにゃ」

球磨「本当に猫舌クマねー」

多摩「猫じゃないにゃ」

球磨「マタタビボールで遊んでるのみたクマ」

多摩「……暇だっただけにゃ」

球磨「アイツの事、少し好きになったクマか?」

多摩「それは無いにゃ」

球磨「やっぱりそうクマよなー」

多摩「本マグロ貰ったらおさらばにゃ」

球磨「そろそろ一週間になるクマ、早く用意して欲しいもんだクマ」

多摩「……もういいかにゃ?」

球磨「多分冷めてるクマ」

多摩「はふっ……まだ熱かったにゃ、舌痛いにゃ……」

球磨「猫舌にも程があるクマよ」

20: 2014/06/07(土) 10:53:24.94 ID:a3TTWrCAO
~具体案~

提督「じゃあ当面は最初で最後の大本営から配給された食料と、魚と、近くの山から採れる山菜で食事は何とかする。鎮守府の一角に畑を耕して、出来たら食べる分を確保して販売。……後は街に出てアルバイト、かな」

漣「食べられる山菜なんて見分けられんですか?」

提督「うん、田舎育ちだから」

漣「畑も本当に作れんですか?」

提督「実家が農家だからね」

漣「アルバイトしてる事がバレたら、ヤバいなんてもんじゃないですよ?」

提督「生きる為には仕方無いよ、野菜がちゃんと育たなかったら一巻の終わりだし」

漣「一蓮托生で処罰は御免ですからね」

提督「何かあれば僕が責任を取るから大丈夫、漣君達には何も起きやしないさ」

漣「……一応具体案まとまりましたし、行っていいですよ」

提督「ホント? じゃあ早速行ってくるよ」

漣「はいはい、どうぞ好きにしやがって下さいよクソご主人様」

提督「今日は何を持っていこうかな……貝は耳が落ちるって聞くし、イカは腰が砕けるとかも聞くな……」

漣(抜けてはいるけど悪い人じゃあないんですよね……だから余計に始末に負えないんですが)

21: 2014/06/07(土) 10:54:08.53 ID:a3TTWrCAO
投下終了、今回はここまでです

24: 2014/06/08(日) 12:20:18.23 ID:xJhii1QAO
少し投下します

25: 2014/06/08(日) 12:21:27.19 ID:xJhii1QAO
~意外な才能~

提督「漣君、コレ今日のおかずね。多摩君達にも後で調理して持って行ってあげて」

漣「結構な量の山菜ですね……コレ、本当に全部食べられんですか? 適当に摘んで来てやがりませんか?」

提督「いらないならいいけど、ワラビとかゼンマイとか結構豊富にある山だったから、食べないと勿体無いよ? 山を所有してる人も良い人で、うちで食べる分ぐらいなら好きに取っていいって言ってくれたし」

漣「そういう交渉能力と行動力だけは凄いですね」

提督「出来ないことはやらないし、やれることはやるし、お願いしたいことはお願いする。普通じゃないかな?」

漣「……ちょっと見直しました。ほんのちょっとだけ」

提督「? 僕、見直されるようなこと、何かしたかな?」

漣「気にしやがらないで下さい、マイナス評価が少し減っただけの話ですから」

提督「そもそもの評価がゼロですらないんだね……」

26: 2014/06/08(日) 12:23:35.11 ID:xJhii1QAO
~球磨多摩の夕食と就寝~

球磨「山菜の天ぷらに山菜ご飯、漣が持ってきてくれたクマ」

多摩「美味そうにゃ、たまには魚以外も食べたかったのにゃ」

球磨「冷めない内に食べるクマー」

多摩「冷ましてから食べるにゃ」

球磨「……冷めた天ぷらって美味しいクマか?」

多摩「ヒタヒタに天つゆ付けて食べたらきっと美味しいにゃ」

球磨「球磨は熱々を塩で食べるクマ」

多摩「ご飯はそこまで熱くないからこっちを先に食べるにゃ」

球磨「んー、魚以外も美味しいもんクマねー」

多摩「山菜ご飯も美味しいにゃ、漣は料理上手みたいにゃ」

球磨「あっ言い忘れてたクマ。この山菜はあの提督が採ってきたらしいクマ」

多摩「んにゃ!? 何でそれを先に言わないにゃ!」

球磨「言ったら食べないと思ったクマ」

多摩「変な薬でもかけられてたらどうしてくれるんだにゃ!」

球磨「大丈夫クマよ。あの提督バカだけど、そういう卑怯な方法を考えるようなタイプじゃなさそうクマ」

多摩「……それもそうにゃね」

球磨「ごちそうさまクマー」

多摩「多摩も食べ終わったにゃ」

球磨「さて、食べたらさっさと寝るクマ」

多摩「お休みなさいにゃ」




球磨「クー……マー……

多摩「すー……にゃー……」

」提督(デザート持ってきたけど、寝てるみたいだね。明日の朝にご飯持ってきてあげようかな)

27: 2014/06/08(日) 12:26:11.36 ID:xJhii1QAO
~球磨多摩、起床~

球磨「んー?……朝クマか……多摩ー起きるクマよー」

多摩「多摩はまだ眠いにゃ……昼まで寝かせて欲しいにゃ……」

提督「――寝顔も可愛いんだね、多摩君は」

多摩「寝顔なんて褒められても嬉しく・・・・・・何で居るにゃ!?」

球磨「乙女二人の寝起きを襲うとかやっぱり変Oだったクマか! 海まで蹴り飛ばしてやるクマ!」

提督「その爪と蹴り待った、朝食持ってきただけ、すぐに消えるからテントに顔突っ込んだのは許して。そもそも襲ったら嫌われるし、僕じゃ二人に勝てないよ」

球磨「この匂い……おかかのおにぎりと、魚のアラ汁クマね?」

多摩「良い匂いにゃ……」

提督「多摩君のは冷ましてあるから、すぐに食べられるよ。じゃあまたね」

球磨「――本当にご飯だけ置いて行ったクマ」

多摩「ちゃんと適温に冷ましてあるにゃ……」

球磨「とりあえず、食べるクマ」

多摩「いただきますにゃ」

球磨「おにぎり、美味いクマ」

多摩「アラ汁、美味しいにゃ」

球磨「……ここにいれば、食うには困らなそうだクマ」

多摩「そうにゃね」

球磨「出ていくの、ちょっと惜しい気もしてきたクマ」

多摩「……にゃ」

28: 2014/06/08(日) 12:27:47.60 ID:xJhii1QAO
~荒巻鮭&本マグロ到着~

提督「ようやく届いたね。コレを手に入れる為に、コツコツ貯めてた昔のバイト代が全部無くなっちゃったよ……」

漣「本当にクソご主人様はバカですね。これから生活に困った時、どう切り抜けやがるつもりですか」

提督「なるようにしかならないさ。彼女達との約束の方が大事だしね」

漣「行き当たりばったりに巻き込まれる身にもなってくれませんかねぇ……」

提督「あーそうそう漣君、はいコレあげる」

漣「ちょっ、何なんですか、このバカみたいにデカい段ボール」

提督「好きそうだったから、それあげる。二人だけにあげるの不公平だし」

漣「――ウサギの巨大ぬいぐるみ……?」

提督「もうワンサイズ上があったんだけど、お金足りなくなっちゃってね……。良ければ受け取って、いらないなら捨てていいから。じゃあ僕は多摩君と球磨君にコレを渡してくるよ」

漣「あっ、コレ――行っちやがりました……」

漣(しっかしこのウサギ、ブサイクで可愛いげの欠片も無いですね。……でも、せっかくだから貰っといてあげます)

漣「――ありがとうございます、クソご主人様」

29: 2014/06/08(日) 12:33:11.86 ID:xJhii1QAO
~念願の荒巻鮭と本マグロを手に入れたぞ!~

球磨「早く! 早くそれを寄越すクマ!」

多摩「でなきゃぶん殴ってでも奪い取るにゃ!」

提督「別に取り引きじゃないんだから、心配しなくてもあげるよ。でも、調理器具ないからここじゃ食べれないんじゃない?」

球磨「それなら漣に早速調理して貰うクマ!」

多摩「善は急げにゃ!」

提督「コレで最初に放置しちゃったのは少しでも――って行っちゃったか……まぁ喜んでくれたみたいだし、良かった良かった」




 ――漣、私室。

漣(どこに置くか迷いますね、コレ。ベッドが一番でしょうか)

球磨「漣! 漣!」

多摩「開けるにゃ! 居るのは分かってるにゃ!」

漣「球磨と多摩? ちょっと待ってください、すぐに開けますから――っ!?」

漣(鮭と鮪のドアップって強烈ですね……)

球磨「食べたいクマ!」

多摩「調理して欲しいにゃ!」

漣「コレを丸々ですか!?……仕方ありません、全部捌いて調理しまくりますから、ちゃんとキレイに食べて下さいよ?」

球磨「ノープロブレムクマ」

多摩「大丈夫にゃ、問題にゃい」

漣「じゃあ早速、徹底的にやっちまうのね!」




 ――結局、本当に丸々一匹を平らげた二人のお腹は、はち切れんばかりにパンパンに膨らんでいたそうな……。何はともあれ、約束はこうして果たされ、球磨と多摩が出ていくかどうかを決める瞬間が訪れるのだった。

34: 2014/06/08(日) 22:18:07.38 ID:xJhii1QAO
~球磨&多摩、決断する~

球磨「多摩、どうするクマ?」

多摩「――やっぱり、出ていくにゃ」

球磨「……そうクマか、付き合うクマよ」

多摩「球磨はここを気に入ったなら残ってもいいにゃよ?」

球磨「球磨はコレでも多摩のお姉ちゃんだクマ、一緒に行くに決まってるクマよ」

多摩「うん、ありがとにゃ、球磨」

球磨「じゃあ漣と、一応あの提督にも挨拶して行くクマ」

多摩「……そうするにゃ」




 ――提督執務室。

漣「――そうですか、ここを出ていくんですね。でも、終戦を境に、鎮守府間の艦娘の異動は一切認められなくなっちまってますよ?」

球磨「そんなの初耳クマよ!?」

多摩「良く考えたら、戦いが終わったってことしか聞いてなかったにゃ……」

漣「月に一度、軍司令部から監査役が艦娘の数をチェックしに来ちゃいますし、居ないのバレたら捜索されて、絶対にここへ連れ戻されちまいます。――って訳で、大人しく諦めちまって下さい」

球磨「球磨達の決意は何だったんだクマー……」

多摩「……それなら、仕方にゃいにゃね」

球磨「何か意地張ってたのがバカらしくなるクマよ……」

多摩「――んにゃ? そういえば、アイツはどこ行ったにゃ?」

漣「あぁ、クソご主人様なら今頃は――」

35: 2014/06/08(日) 22:19:51.97 ID:xJhii1QAO
~実は細マッチョ?~

 ――鎮守府のとある一画。

球磨「物凄く意外な光景クマ……」

多摩「タンクトップに短パンって提督としてどうなのにゃ……」

提督「――ん? 二人共どうかしたの? 畑なら今ちゃんと土を用意して耕してるから、心配ないよ」

球磨「コレ、一人で全部耕したクマか?」

提督「ははは、流石に協力してもらわなきゃ1アールも一気に耕せないよ。山菜のお礼に魚届けたら、山の所有者さんが畑耕すのも協力してくれたんだ」

多摩「ちゃっかりしてるにゃ……」

提督「ただお礼して、畑を今から耕すんですって世間話しただけだよ? 協力してくれるって言うなら断る理由もないし」

球磨「――って球磨達も世間話しに来たんじゃないクマ。球磨達はここから出ていけないって漣に聞いたクマ」

多摩「物凄く不本意にゃけど、これからもここで世話になるにゃ」

提督「えぇっ!? 出ていくつもりだったの!? 言ってくれれば旅の資金ぐらいは残しといたのに……」

球磨「何を言ってるクマか?」

多摩「多摩達はこの鎮守府から出られないって聞いたにゃ」




提督「何で? 普通に出られるよ?」

36: 2014/06/08(日) 22:21:07.40 ID:xJhii1QAO
~うっかりの結果~

提督「漣君から何を言われたかは知らないけど、書類提出忘れてて、君達まだ軍の保有艦娘リストに登録されてないからね?」

球磨「……どういう意味クマ?」

提督「艤装外して普通にしてれば人間と変わんないし、何か犯罪を起こすか、艦娘に詳しい軍関係者にでも見付からない限り、どこ行っても大丈夫ってこと」

多摩「……それ、マジにゃ?」

提督「うん、本当なら君達をちゃんと登録しておかないと物資供給が減っちゃうから困るはずだったんだけど、終戦しちゃったからね」

球磨「じゃあ、球磨達は基本的に何しても自由クマか?」

提督「働いたり、部屋を借りたりするのはちょっと無理かな。でも、お金さえあれば野宿しながら旅ぐらいは出来るよ? だからちゃんと前もって言ってくれれば、お金残しといたのに……」

多摩「多摩達、そのまま違う鎮守府に転がり込んで帰って来ないつもりだったにゃよ?」

提督「それはちょっと寂しいから嫌だなぁ……でも、うちよりはよっぽど他の鎮守府の方が多摩君も幸せだろうし……うーん……」




多摩「――にゃふっ」

37: 2014/06/08(日) 22:24:32.98 ID:xJhii1QAO
~スタートライン~

多摩「にゃはっ! にゃはははは!」

球磨「多摩、急に笑いだしてどうしたクマ?」

多摩「コイツ見てる分にはバカで面白いにゃ、ここに居たらきっと退屈はしないにゃ」

球磨「それは同意するクマ」

提督「えっと、これからも一緒に居てくれるって意味でいいのかな?」

多摩「三食昼寝付きが条件にゃ、それは絶対にゃ」

球磨「お金出来たらまた荒巻鮭も寄越すクマ」

提督「うん、分かった。それで君達がここに居てくれるなら、頑張るよ」

多摩「でも、多摩に触れたら簀巻きにして海に放り込むのは変わらないにゃ」

提督「うん、好かれる努力も怠らないから大丈夫」

球磨「諦めるって選択は無いクマか?」

提督「無いよ? だって出会った瞬間一目惚れしちゃったし、今はもっと好きになってるから」

多摩「……フシャァァァァァ!」

提督「痛い痛い痛い!?」

多摩「黙るにゃ! 口閉じるにゃ! さっさと畑耕すにゃ!」

提督「何にもしてないのに引っ掻くのは酷いよ多摩君――でも、爪とはいえ多摩君から触れてくれるのはちょっと嬉しいかも……」

球磨「お前やっぱり変Oの素質もあるクマ」

多摩「変Oは絶対にごめんにゃ! やっぱりこんな鎮守府、いつかは出ていってやるにゃあぁぁぁぁぁっ!」




 ようやく始まった、四人による鎮守府での共同生活。しかし、まだまだ提督と他の三人との関係は良好とは言い難いもの。――全ては、これからの彼次第である。

42: 2014/06/09(月) 23:32:23.45 ID:feEfO0EAO
~球磨&多摩、部屋を宛がわれる~

提督「多摩君、球磨君、部屋の用意が出来たよ」

多摩「猫用グッズが何でこんなに大量にあるにゃ……」

球磨「木彫りのクマ、カッコイイクマー」

提督「近所の人に色々貰ってきたんだ。貰い物ばっかりでごめんね?」

多摩「ゴミ袋はどこにゃ、いらない物は全部捨てるにゃ」

球磨「クリスタルサーモン、キラキラでコレもいいクマねー」

提督「球磨君は気に入ったみたいだよ?」

多摩「優秀だと思ってた姉がちょっとバカにゃのが判明して、多摩は悲しいにゃ……」

球磨「バランスボール楽しいクマー」

43: 2014/06/09(月) 23:34:41.90 ID:feEfO0EAO
~漣、私室でダラダラ中~

漣「最新刊キタコレ!」

漣(続きが気になってたんですよねー、前回は主人公が海から現れたリヴァイアサンに連装砲一本で立ち向かっていくところで終わっちゃいましたし)

漣「このakiって漫画家、私達の艤装とかにもかなり詳しいんですよねー。軍関係者だったりする――」

提督「漣君、ちょっと聞きたいことがあるんだけ……ど?」

漣「はにゃ?」

提督「えっ?」

 ――現在の漣の服装、キャミソール一枚。現在の漣の姿勢、ドアに足を向け片足を立てた状態で床にごろ寝。ここから導き出される答えは一つ。

提督「――漣君、可愛らしい下着で良く似合ってげぶはっ!?」

漣「ノックはどうしやがりましたかクソご主人様ー? メイド口調で冥土に送られたいなら、お望み通りにしてやりますよ?」

提督「あいたたた……ゴム弾でも撃たれたら痛いんだよ、漣君。急いでたとはいえ、ノックせずに開けちゃったのはごめんね?」

漣「全くこれだからクソご主人様はクソご主人様なんですよ……で、急ぎの用事ってのは何なんです?」

提督「うん、実は塩が見付からないんだ」

漣「そうですか。とりあえずぶっ飛ばしますから、歯食いしばりやがりなさい」

提督「えっ、調味料が見当たらないって結構切実じゃない?」

漣「人のパンツを塩ごときで見られた乙女の怒りを受けやがりなさい!」

提督「だからちゃんとごめんって言ってるのにぃぃぃぃぃっ!」

44: 2014/06/09(月) 23:36:04.32 ID:feEfO0EAO
~犯人は身内~

提督「よいしょ、よいしょっと」

多摩(あぁやって畑を弄ってる分には人畜無害にゃね)

提督「多摩君、ちゃんと出来たら食べてくれるかな?」

多摩(……暑そうにゃし、水ぐらいは持ってきてやろうかにゃ)

提督「ジャガイモって丸いし、きっと喜んでくれるよね」

多摩(アイツやっぱり正真正銘のバカにゃ)

提督「猫じゃないって言うけど、丸まって寝てるし、日向ぼっこ大好きだし、ボール転がすと目で追うし、お風呂上がりに身体を震わせて乾かし――」

多摩「そこの変Oストップにゃ。それを何で知ってるのか詳しく聞かせてもらうにゃ。事と次第によっては畑の肥料にしてやるにゃ」

提督「え? 多摩君居たの?」

多摩「居たのじゃないにゃ! とにかく答えるにゃ!」

提督「あぁうん。球磨君に鮭おにぎりあげたらね、お礼にって色々聞かせてくれた」

多摩「フシャー!」

提督「痛い痛い痛いっ!? ちゃんと答えたのに何で!?」

多摩「今日はこれでお前のことは勘弁してやるにゃ! バカ球磨はどこにゃあぁぁぁぁぁっ!」

提督(怒ると髪の毛が逆立つのも可愛いなぁ)

45: 2014/06/09(月) 23:38:14.73 ID:feEfO0EAO
~球磨、捕獲~

球磨「待つクマ! 話せば分かるクマ!」

多摩「鮭おにぎり貰ったぐらいで多摩を売る奴の話なんか聞きたくないにゃ」

球磨「あのときはお腹が空いてたクマ、あんな奴でも救いの天使に見えたクマ」

多摩「だからって何で風呂上がりの多摩の行動なんかしゃべったのにゃ!」

球磨「つ、つい口が滑ったんだクマ……」

多摩「――クマの手って、高級食材らしいにゃよ?」

球磨「球磨の手は食べられないクマよっ!?」

多摩「大丈夫にゃ、きっとあの変Oなら食べてくれるにゃ」

球磨「いくらアイツでもそれは絶対に無いクマー!」

多摩「反省、したかにゃ?」

球磨「したクマ、すっごい反省したクマ。だから縄をほどいて欲しいクマー」

多摩「もう少しそのまま待ってるにゃ。アイツに球磨が全裸でクリスタルサーモン抱きながら寝てるの教えてくるにゃ」

球磨「どうせ言っても無反応クマ、無意味に球磨を辱しめるのはやめるクマ」

多摩「冷静を装ってるけど汗が凄いにゃよ?」

球磨「恥ーずーかーしーいーかーらーやーめーるークーマー!」

多摩「もう遅いにゃ」

球磨「――クマ?」

提督「……ごめん、聞いちゃった」

球磨「いっそこのまま海に沈めて欲しいクマァァァァ!」

54: 2014/06/11(水) 11:50:46.04 ID:uv+DNdGAO
~提督への尋問開始~

提督(へー、監査役って艦娘も来るんだね)

あきつ丸「提督殿、早速聞かせて欲しいであります。艦娘の下着を盗んだのは事実でありますか?」

提督「違います。僕は意中の相手の下着を盗むような行為はしていません」

あきつ丸「本当で、ありますか?」

提督「はい」

あきつ丸(……この目は、嘘を吐いていないでありますね)

あきつ丸「提督殿、その恋、実ると良いでありますな」

提督「ありがとうございます、あきつ丸さん」

あきつ丸「さて、それでは本題に移るであります。――軽巡洋艦球磨、軽巡洋艦多摩。この二名が、この鎮守府の保有艦娘として登録されていない事について、お聞かせ願うでありますよ」

提督「……ぼ、じゃなくて、私が書類の提出を怠っていました。軍に登録されていない艦娘を保有するという行為が、反乱の疑いありと捉えられてもおかしくないのは、重々承知しています」

あきつ丸「それを危惧しての様々な制限なのでありますからな、疑わしきは罰せよという意見も多く聞くであります」

提督「でも、私にそんな意思は無いし、彼女達もここで暮らしていれさえすれば満足なんです。私が処分されるのは構いませんが、彼女達を処分するようなことだけは許して頂けないでしょうか?」

55: 2014/06/11(水) 11:54:06.52 ID:uv+DNdGAO
~それでいいのか憲兵~

あきつ丸「少し勘違いをしているでありますよ、提督殿」

提督「え?」

あきつ丸「まず、二人程度の申告漏れで処罰など、聞いたことがない。次に、練度がほぼ皆無の艦娘に出来ることなど、たかが知れていましょう。――そして最後に、自分は提督殿の恋を、応援しているのであります」

提督「それじゃあ、球磨君と多摩君と一緒に居て、いいの?」

あきつ丸「一応、今から保有艦娘には登録してもらうでありますよ?」

提督「うん、自由にさせてあげられないのはちょっと残念だけど、それで二人と一緒に居られるなら土下座してでも説得するよ」

あきつ丸「彼女達を大事にしてあげるのであります」

提督「ありがとう、あきつ丸さん」

あきつ丸「自分は自分の考えに則って、監査をしたまででありますよ」

提督「後であきつ丸さんが何か言われたり処分されたりとか、しないよね?」

あきつ丸「どうせ報告書なんてまともに読まれないであります」

提督(適当だなぁ)

あきつ丸「第一、これは押し付けられたバイトなのであります。適当で問題ないのであります」

提督「あはは、どんな人が来るかと思ってたけど、貴女みたいな人が来てくれて本当に良かったよ」

あきつ丸「昔はよく真面目過ぎると言われ、今はよくだらけ過ぎだと言われているであります」

提督「次も貴女みたいな人がいいな」

あきつ丸「流石に連続という訳には……でも、また来るであります」

提督「そっか、色々とありがとう、また来てね」

あきつ丸「頑張るでありますよ、恋する提督殿。では、失礼するであります」

提督「――ふぅ、気さくな人だったけど、ただ者じゃ無さそうだったな……。登録書類、書こ」



あきつ丸(良い土産話を仕入れたであります。――きっと、その恋は実るでありますよ、新米提督殿)

56: 2014/06/11(水) 11:56:35.32 ID:uv+DNdGAO
~土下座~

提督「僕の艦娘になって下さい!」

球磨「コイツいきなり何を言ってるんだクマ?」

多摩「きっと頭でも打ったにゃ」

提督「僕の下っていうのは嫌だとは思うけど、二人の為なんだ」

球磨「だから、何を言ってるクマ」

多摩「何でまだ登録してなかったのにゃ、さっさとしてくるにゃ」

提督「……え?」

球磨「球磨達はここに住むって言ったクマ」

多摩「それぐらいの屈辱は甘んじて受けてやるにゃ」

提督「屈辱ってのは酷くないかな」

多摩「いいから、さっさと、してくるにゃ!」

提督「蹴らないで、痛い、触れてくれるのは嬉しいけど痛い!」

球磨「さっさと変Oは行くクマ」

提督「変Oも地味に傷付くからやめてくれない!?」

多摩「多摩は足を消毒してくるにゃ」

提督「日に日に扱いが酷くなってるような気がする……。分かったよ、すぐに登録してくるよ……」

球磨「――いきなり土下座するとか、アイツ何考えてるクマ」

多摩「……どうせ、多摩達と仲良くなることしか考えてないにゃ」

球磨「多摩のことだけじゃないクマか?」

多摩「球磨にも漣にもアイツ優しいにゃ。多摩が好きとか言ってるけど、怪しいもんにゃ」

球磨「ヤキモチ妬いてるクマ?」

多摩「質の悪い冗談はやめるにゃ、あんな奴全然これっぽっちも好きじゃにゃいにゃ」

球磨「ホントにクマかー? 何だかんだ気になってきてるんじゃないクマかー?」

多摩「……そういえば、洗濯に出すの忘れてて下着の替えどうしよう、とか昨日言ってなかったかにゃ?」

球磨「クマッ!? は、話を急に変えるのはいけないって思うクマ」

多摩「球ぅぅぅぅ磨ぁぁぁぁ?」

球磨「サ、サイズが一緒だからちょっと借りただけだクマ。明日ちゃんと洗って返すつもりだったクマ」

多摩「そういう問題じゃないにゃ! 今すぐ脱ぐにゃ!」

球磨「やめるクマ! 球磨に八つ当たりしないで欲しいクマ! 下着無しで1日過ごすのだけは嫌クマ!」

多摩「問答無用にゃ!」

球磨「コラ、どこ触ってるクマか!? 服捲り上げちゃダーメークーマー!」




提督(書類に記入して欲しいけど、今行ったら確実にまた変Oって言われちゃうよなぁ……よし、後にしよ)

球磨「も、もうお嫁にいけないクマ……」

多摩(……後で下着泥棒と疑ったのだけは、謝ってやるとするにゃ)

68: 2014/06/12(木) 14:42:10.89 ID:6PzTFwiAO
~お金がない~

漣「汗で書類が上手く書けない……」

球磨「あーつーいークーマー……」

多摩「服パタパタするのやめるにゃ、変Oが見てるにゃ」

提督(多摩君と一緒の部屋で仕事、やる気出ちゃうね、うん)

漣「クソご主人様、扇風機一台で夏は無理です。氏にます。だからどうにかしやがって下さい」

提督「そう言われても、エアコン買うお金無いよ?」

球磨「何で無いクマ!」

多摩「そうにゃそうにゃ!」

漣「荒巻鮭と本マグロ……」

球磨「扇風機涼しいクマー」

多摩「エアコンなんて贅沢にゃ」

提督「皆が執務室に居てくれるから、僕としてはこれで満足なんだけど、確かに、暑い……か、も……?」

漣「ちょっと、仕事まだまだあるんですから机で寝る暇なんて――クソご主人様?」

提督「はぁ……はぁ……」

漣(っ!? 体温の上昇と脈拍の乱れ、この暑い中でこんな暑そうな格好してるからですよっ!)

漣「球磨! 多摩! 今すぐ冷やすものと塩を少し入れた水を用意して下さい!」

球磨「きゅ、急にどうしたクマ?」

多摩「多摩は暑いから動きたくないにゃー……」

漣「いいから早く! クソご主人様が熱中症になりやがりました!」

多摩「――球磨は水をお願いにゃ、多摩は冷やすもの取ってくるにゃ!」

球磨「わ、分かったクマ」

漣「えっと、確か服を緩めて冷やして、救急車に電話して、涼しい場所……が無いからこんなことになってるんですよねーって言ってる場合じゃないっ!」

多摩「氷あるだけ袋に詰めて持ってきたにゃ!」

漣「服を緩めて冷やしてやって下さい! 私は電話して救急車呼びます!」

多摩「分かったにゃ」

漣「――もしもし、救急車をお願いします。……十一時三十七分? 時報に用は無い! 救急車って何番でしたっけー!?」

提督「はぁ、はぁ……」

多摩「多摩に手間かけさせるにゃんて、絶対に後で文句言ってやるにゃ」

提督「畑……行かなきゃ……多摩君に……ご飯を……」

多摩「……やっぱり、お前バカにゃ」

球磨「バケツに塩と水入れてきたクマ!」

多摩「何でバケツなのにゃ! コップに入れて来るにゃ!」

漣「えっ? 救急車なんて出前はやってない? いいから救急車を出しやがりなさい!」

多摩「漣も一回落ち着くにゃ! 救急車は119番にゃ!」




 ――結局、全部多摩が手配して処置も済ませ、提督は無事に事なきを得たのだった。

69: 2014/06/12(木) 14:45:10.47 ID:6PzTFwiAO
~完治、後、罵倒~

漣「本当に役立たずですね」

提督「ごめん」

球磨「人騒がせにも程があるクマ」

提督「反省してるよ」

多摩「熱中症に栄養失調でぶっ倒れるとか何考えてるにゃ」

提督「多摩君達にちゃんと食べて欲しかったから、ちょっと自分の食べる量を控えてたのがまずかったみたいだね、あはは」

多摩「笑い事じゃないにゃ! お前が働かないとご飯食べられないにゃ!」

提督「……本当に、ごめんね」

漣「何しょぼくれてやがりますか、さっさと仕事して下さい」

提督「そういえば、治療費どうしたの? そんなお金、無かったはずだけど……」

球磨「それは――」

多摩「前に言ってた山の持ち主に借りただけにゃ。後でお金出来たらちゃんと返してくるにゃよ?」

提督「えっ!? あの人に借りたの!? うわぁ……後でちゃんとお礼言いに行かないと……」

球磨「礼なら多摩にも――」

多摩「フシャー!」

球磨「クマッ!? 何するクマかっ!」

多摩「余計な事は言わなくていいにゃ!」

提督「漣君、何か知ってる?」

漣「さぁ? 多摩本人に直接聞いてみやがったらどうです?」

提督「多摩君、何かあったの?」

多摩「お前は黙って畑耕して書類書いてりゃいいにゃ!」

提督「聞いただけなのに冷たい……」

球磨「冷たいといえば献身的に氷を――」

多摩「フシャー!」

球磨「だから爪はやめるクマ! 球磨のスベスベお肌が傷だらけになるクマ!」

提督「何だか良く分からないままだけど、とりあえず仕事しようかな」

漣「じゃあコレ、首に巻いといて下さい」

提督「濡れタオル?」

漣「また暑さで倒れられたら困りますからね。温くなってきたらそこの多摩が取り替えます」

提督「そうなの?」

多摩「――気が向いたらにゃ」

提督「気が向いてくれなそうな返事だなぁ……」

球磨「猫は気紛れだから案外すぐに気が向くかもしれないクマよ?」

多摩「多摩は猫じゃにゃいって何度言えば分かるにゃ」




 その日、水を飲むついでだと言いながら何度もタオルを取り替える多摩の姿に、球磨と漣はニヤニヤしっぱなしだったそうな……。

75: 2014/06/13(金) 00:29:19.28 ID:4Wq2RwOAO
~接近禁止継続中~

「多摩君、一緒に夏蜜柑を――」

「フシャー!」

「待った、これ以上近付かないから威嚇と爪攻撃はやめて」

「……もらうにゃ」

「はい、どうぞ」

「ありがとにゃ」

(受け取って貰えて、お礼を言われるだけで嬉しいってどうなんだろう……)

「はむ――酸っぱいにゃ」

「そういえば猫って柑橘類ダメだって聞いてたけど、平気?」

「何度も言うように多摩は猫じゃないにゃ」

「そっか――うん、ちょっと酸っぱい」

「球磨と漣にも持っていってやったらどうにゃ?」

「あっ、いや、その……貰ったの、二つだけなんだ」

「二人が聞いたら絶対に怒るにゃよ?」

「あはは、内緒にしといてくれない?」

「多摩も食べたし、今回は大目にみてやるにゃ」

「うん、ありがと」

「……」

「……」

「もうどっか行っていいにゃよ?」

「相変わらず然り気無くじゃなくストレートだね」

「さっさと消えるにゃ」

「うん、結構傷付くから更に豪速球で投げてくるのやめて」

「何でまだ居るにゃ」

「僕、今日何にも悪いことしてないのになぁ……じゃあそろそろ行くよ、また後でね」




(……ここは、日射しがちょっとキツいのにゃ)

76: 2014/06/13(金) 00:30:43.58 ID:4Wq2RwOAO
~漣の巨大ウサギ~

「何ていうか思っていた以上に……邪魔ですね」

 ――ぬいぐるみの全長、縦1m50cm×横40cm。胴回り70cm。

(抱き心地はいいんですが、暑いんですよねー抱いてると)

「漣ーそろそろご飯作って欲しいクマー」

「クソご主人様じゃないにしても入る時はノックぐらいして下さい!」

「細かい事を気にしちゃダメクマ。それより、その不細工なぬいぐるみは何だクマ?」

「クソご主人様がくれたんですよ。邪魔で仕方無いんですけどね」

「それなら売ったらどうクマか? その大きさなら、鮭の切り身が数日分買える程度にはなりそうだクマ」

「……コレは、ダメです」

「邪魔なら売ってご飯の足しにすーるークーマー」

「そんなに欲しいなら海で捕ってきて下さいよ。そしたら捌いてあげますから」

「漣はケチだクマ」

「へー今晩の焼き魚はいらないんですね?」

「漣は可愛くてキュートなこの鎮守府の天使クマ。だからそれだけは勘弁して欲しいクマ」

「分かりゃいいです」

「でも、何でアイツから貰った邪魔なぬいぐるみを売るの嫌がるクマ? ひょっとして……」

「変な誤解はやめて下さいよ。クソご主人様に恋愛感情なんて、これっぽっちもありませんから」

「ふっふー、ホントにホントクマかー?」

「人様から貰った物を売るのが嫌なだけです。そんなことより、さっさとご飯作っちゃいますから二人を呼んできて下さいな」

「了解クマー」

(口の悪い私を初期艦に選んで、今まで文句一つ言わずにいてくれたのを感謝してるだけですよ……ほんのちょっと、ね)




「今日の僕のご飯多くない?」

「また倒れられたら迷惑なんで、お腹がはち切れない程度に食いやがって下さい」

80: 2014/06/14(土) 10:12:31.79 ID:iFmc4rKAO
~球磨のクマ~

「何してるにゃ?」

「鎮守府の倉庫に木材があったから、暇潰しに木彫りの熊を彫るクマ」

「指をケガしないように気を付けるにゃよ」

「優秀な球磨ちゃんはそんなヘマしないクマ」

 ――1日後。

「出来たクマ! 力作だクマ!」

「どうせそんなに上手く出来てるわけないにゃ」

「ふっふっふー、コレを見るクマ!」

「にゃっ!? 部屋にあったのとそっくりにゃ!」

「だから優秀って言ったクマ」

(ちゃんと加工とか色付けされてないだけで、形は本当に似てるにゃ……)

「どんどん色々彫ってみるクマ」

「試しに売ってみたらどうにゃ?」

「それもいいかもしれないクマ」




 ――翌日、夕方。

「木彫り五体で樋口になったクマ」

「どんどん彫るにゃ! 貴重な収入源にゃ!」

「飽きたクマ、もう彫らないクマ」

「三日で飽きるとか早すぎるにゃ」

「また違う暇潰し考えるクマー」

81: 2014/06/14(土) 10:14:01.34 ID:iFmc4rKAO
~徐々に育つ畑~

「どうしようかなぁ……」

「どうしたのにゃ?」

「作物が育ってくるとね、山から動物が食べに来たりするんだ」

「罠でも仕掛けりゃいいにゃ」

「あんまり傷付けたりはしたくないんだよ。何か良い手は無いものか……」

「球磨にマーキングでもさせりゃいいにゃ」

「最近、球磨君に対してキツくないかい?」

「そんなことないにゃ、仲良し姉妹にゃ。この前多摩のおかず盗ったのなんて、これっぽっちも恨んでないにゃ」

(相当恨んでるね、コレは)

83: 2014/06/14(土) 10:18:30.48 ID:iFmc4rKAO
~謎の来訪者~

(――アレ? 畑の前に人影? クソご主人様は執務室ですし、球磨と多摩も昼寝してましたし……一体誰なんでしょうかね?)

「――あの、うちの鎮守府に何か御用ですか?」

「あっいえ、そういう訳では……ただ、遠くからこの畑が見えたもので」

「野菜の買い付けか何かですか?」

「いえ、そういうのとは違うんです。畑を耕しているような鎮守府が他にもあるとは思っていなくて、つい気になってしまったものですから。――それでは、収穫時期にでもまた来ます」

「あっはい、こんな何もない所で良ければ……」

(――ん? “他にも”? ひょっとしてあの人も、艦娘だったり?)

「でも、一人でこんなことフラフラしてる艦娘なんて居るわけありませんし……ただの旅行者ですよね、きっと」




(味見ぐらいはさせてもらえそうな雰囲気でした。時期を見計らってまた来ないといけませんね)

87: 2014/06/14(土) 21:05:13.12 ID:iFmc4rKAO
~提督、猫と戯れる~

 ――鎮守府、資材庫横。

「ほーらほらほら、猫じゃらしだよ」

 ――にゃーん。

「魚の切り身、良かったら食べる?」

 ――うにゃあん。

「分かった。残り物だけど、新鮮だからきっと美味しいよ」

 ――にゃー。

「あはは、いい子だね、キミは」

 ――んにゃあ。

「お腹いっぱいになった? じゃあまた魚余ったらあげるね、バイバイ」

 ――にゃーお。

「――よし、そろそろ仕事に戻らない……と?」

「漣から頼まれて探しに来てみたら、猫と遊んでるとはいい御身分にゃね」

「多摩君!? いや、あの、前からたまに見かけててね、ちょっと餌あげてたらなつかれちゃって、それで――」

「フシャー!」

「痛い痛い痛いっ! ごめん、すぐに仕事戻るから許してっ!」

「さっさと、行くにゃ!」

「分かった、分かったから蹴らないでよ多摩君。見付けに来てくれてありがとね、じゃあまた後で」

「全く、手間のかかる奴にゃ」

(……あの様子だと猫好きみたいにゃし、きっと猫に似てたら誰でもいいんだにゃ。――どっちにしても、多摩には関係無いにゃ)

88: 2014/06/14(土) 21:05:52.23 ID:iFmc4rKAO
~着ぐるみ~

「――クソご主人様、こりゃ一体どういうことですかねー?」

「裏山の人が商店街の会長さんでね、頼まれちゃったんだ」

「暑いクマ……」

「ひ、干からびるにゃ」

「ウサギとクマとネコの着ぐるみで福引きの受付やれって、私達を蒸し焼きにして頃す気ですか!?」

「ちゃんと水分は補給してもらうし、終わったらかき氷も振る舞ってもらえるらしいから、頑張って、貰えないかな……?」

「ジュースとアイスとサーモン付けるクマー……」

「冷凍みかんも要求するにゃ……」

「新しい包丁が欲しかったんですよねー」

「交渉はしてみるけど、期待しないでね……?」

「無理だったら」

「その時は」

「簀巻きで海ですね」

(うん、三人とも目が本気だ。何とか交渉材料用意しないとなぁ……)




 結局、地域の子供達や一部の層から人気だった事もあり、謝礼が出て無事に提督は事なきを得るのだった。

「好評だったから次もお願いします、だって」

「幾ら謝礼が出ても、夏場は二度とやんねーって伝えといて下さい」

「冬なら着てもいいクマ、アレ可愛かったクマ」

「多摩は猫じゃないにゃ」

90: 2014/06/15(日) 19:57:44.57 ID:2k2olcOAO
~夏風邪~

「ダルいクマー……」

「全裸であんなもの抱えて寝てるからにゃ」

「薬飲みたいクマー……」

「そんなお金あるわけないじゃないですか」

 ――僕だけど、入っていいかな?

「いいですよー素っ裸じゃないんで」

「じゃあ失礼するね、球磨君の様子はどうだい?」

「しんどいクマー……」

「見ての通りにゃ」

「身体の構造が人間とほぼ一緒とはいえ、クソご主人様が常備してたような薬では効果がほとんど出ませんからねー」

「艦娘用の薬は高いし、我慢してもらうしかないかな」

「氏ぬクマー……」

「その程度で氏なないにゃ」

「黙って寝てりゃ治りますよ」

「皆薄情だクマ……」

91: 2014/06/15(日) 20:01:22.48 ID:2k2olcOAO
~良薬口に苦し~

 ――三十分後。

「球磨君球磨君」

「弱った球磨が一人で居るところを襲いに来るとは卑怯クマ……」

「人聞き悪いこと言わないでよ、せっかく薬持ってきたのに」

「謝るクマ、今なら握手ぐらいはしてやるクマ、だから飲ませて欲しいクマー……」

「無理して起きないでいいよ。寝てていいから、口開けて」

「クマァー」

「じゃあちょっと身体と口抑えるけど、許してね」

「ふがっ!?」

「コレ、艦娘にも効くって話なんだけど、物凄く苦いんだ」

「ふがぁー!」

「弱ってる球磨君の力じゃ振りほどけっこないから大人しくしてて、いくよー」

「ふがっ! んぐっ、んぐっ……ふがあぁぁぁぁぁっ!?」

「はいはい、気持ちは分かるけど暴れないで全部飲んでね」

「ふがぁ……んぐ、んぐ、んぐ」

「――よし、おしまい。お疲れ様、球磨君」

「ク……マァ……」

(あっ気絶してる……)

「――球磨に、何してるにゃ?」

「あぁ多摩君お帰り。ちょうど今、薬を飲ませたところだから」

「へー、馬乗りで、両手を抑えながら、涙目で気絶してる球磨に、薬を飲ませてたんだにゃ?」

「あまりの苦さに暴れちゃうから仕方無かったんだ」

「暴れるような事を、してたんにゃね?」

「た、多摩君? 何か勘違いしてない? 僕は本当に薬を飲ませてただけだからね?」

「いいから、さっさと、球磨から、退くにゃっ!」

「ちょっ、多摩君!? 病人居るから暴れちゃダメだってば!」

「フシャー!」

「僕はただ薬を飲ませただけなのにぃぃぃぃっ!」




 ――提督執務室。

「――で、顔中傷だらけって訳ですね」

「うん……痛っ! 消毒液塗るのも一苦労だよ」

「多摩にその薬を渡して、飲ませてもらえばよかったんじゃないですか?」

「・・・・・・あっ」

(やっぱりどっか抜けてやがりますねこの人は)

92: 2014/06/15(日) 20:04:37.91 ID:2k2olcOAO
~漣の書類作成~

(コレは上層部宛だから硬めの文章で書いて)

(コレは商店街とか街の人向けだから柔らかく)

「――クソご主人様、書類作成面倒なんで、私の報告書を私風に書いて自分でチェックしやがって下さい」

「ごめん、そんな虚しい作業したくないから漣君が自分で書いてくれないかな? この貰い物のよく分からない人形あげるから」

「マジでいりません。気持ち悪いんで早く捨てやがって下さい」

「貰い物だから捨てるに捨てられなくてね……」

「そんな釘刺さってるような人形、貰う方も貰う方なら、あげる方もあげる方ですよ」

93: 2014/06/15(日) 20:05:25.80 ID:2k2olcOAO
~純情球磨ちゃん~

「あっ球磨君、もう風邪は――ってアレ?」

「お前の顔見た瞬間に全速力で逃げたにゃ。やっぱりこの前、何かしたんだにゃ?」

「だからそれは誤解だってば、あの後ちゃんと球磨君から聞いたんでしょ?」

「無理矢理押さえ付けられて、口に苦いものを押し込まれたって聞いたにゃ」

「前半は否定しないけど後半待った。正確には流し込んだ、だから」

「やっぱり変Oにゃ。半径3メートル以内に近付いたら撃つにゃ」

(2メートル距離が延びてるし、爪が触れる事すら拒否されちゃったか……)




「球磨くーん! 焼き鮭あげるから出ておいでー!」

「――焼き鮭、寄越すクマ」

「物陰から手だけ出さないでくれない? 何もしないからこっちおいでよ」

「……分かったクマ」

(良かった。出てき――何で頭にクマの被り物?)

「さっさと寄越すクマ」

「あ、うん、はい。ねぇ球磨君、何で被り物してるの?」

「お前があんなことするから恥ずかしくて顔見れないんだクマ!」

「僕は薬飲ませただけだよ?」

「女の子にしていい飲ませ方じゃなかったクマ!」

「あー……うん、それは反省してる、ごめん」

「思い出す度に顔から火が出そうになるクマ」

「配慮が足りなかったのは本当に申し訳無いと思ってるよ。以後気を付けるし、この焼き鮭がお詫びって事で許してもらえないかな?」

「……分かったクマ」

「許してくれてありがとう、本当にごめんね」

「もういいクマ。風邪引いて薬欲しがった球磨もいけなかったんだクマ」

「皆心配するし、今度からはちゃんと服着て寝るように」

「そうするクマ」

「じゃあ僕は畑行くから、またね」

(……ふぅ、平常心、平常心クマ)

「さて、被り物を……ん? ふーーーんっ!――抜けなくなったクマ……」




「全く、風邪といいコレといい、手間かけさせるんじゃないにゃ!」

「好きで手間かけさせてる訳じゃ無いクマ」

「包丁で叩き割っちまいましょうか?」

「桃太郎の桃じゃないからやめるクマ! 頭かち割られるのは嫌クマ!」

98: 2014/06/16(月) 22:06:48.18 ID:M1vuPZqAO
~女三人寄れば奪い合い~

「そのケーキは球磨が欲しいクマ!」

「フルーツタルトは譲れないにゃ!」

「ザッハトルテキタコレ!」

「モンブラン! モンブランだクマ!」

「フォンダンショコラにゃ!」

「徹底的に食べちまうのね!」




(貰ってきたの、僕なんだけどなぁ……まぁいいか、皆嬉しそうだし)

99: 2014/06/16(月) 22:07:33.04 ID:M1vuPZqAO
~U70・T82~

「多摩、クソご主人様から落とし物預かって来ましたよ」

「何にゃ?」

「洗濯したのが落ちてたみたいです」

(――にゃっ!?)

「何でアイツはコレが多摩のだって分かったのにゃ!?」

「さぁ、顔真っ赤にしながら私に託した後すぐに逃げていったので、詳しいことは聞かなきゃ分かんないですね」

(着替えを覗く様な奴じゃないのはもう分かってるにゃ。でも、それなら何で分かったのにゃ……?)




(漣君ならもっと小さいし、球磨君の好きそうな柄じゃ無かったんだよなぁ……)

100: 2014/06/16(月) 22:08:43.45 ID:M1vuPZqAO
~ゴミ捨て場のニャウリンガル~

「にゃ」

『ご飯』

「にゃー」

『遊びたい』

「にゃっ」

『邪魔』

「多摩君、一人で何してるの?」

「にゃ、にゃんでもにゃいにゃ」




『ご主人様』

101: 2014/06/16(月) 22:09:35.34 ID:M1vuPZqAO
投下終了、また明日


引用: 【艦これ】多摩「こんな鎮守府すぐに出ていくにゃ!」