105: 2014/06/17(火) 20:25:31.65 ID:zzhy2jRAO


前回はこちら


~スイカ割り~

「右にゃ」

「真っ直ぐクマ」

「違うよ、左だよ漣君」

「逃げたにゃ、もっと右にゃ」

「そこで横にフルスイングだクマ」

「うわっ!?」

「――チッ、外しちまいましたね」

「スイカはあっちなのに、何で僕の方に誘導したのさ」

「割ったら散らばって勿体無いクマ」

「そうにゃそうにゃ」

「じゃあ切り分けちまいますね」

「何の為に目隠しして棒持ったの!?」
艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 艦娘型録

106: 2014/06/17(火) 20:26:03.21 ID:zzhy2jRAO
~見た目は子供~

「アレ? 漣君、その風船どうしたの?」

「クソご主人様、下らない事気にしてないで書類さっさと書きやがってください」

「聞いただけなのになぁ……」

「商店街で今、子供に風船配ってるクマ」

「ウサギのがあったから混じって貰って来たみたいにゃ」

「そこの二人! わざわざ言わなくていいです! 一品おかず減らしちまいますよ!」

「照れてるクマ」

「顔赤いにゃ」

「可愛いね」

「クソご主人様は今日ご飯だけです」

「可愛いって言っただけだよ!?」

「セクハラだクマ」

「口リコンにゃ」

「ドン引きです」

(仲良くなれてきたって思ってたのは気のせいだったんだね……ちょっと本気で凹んできた)




 ――この日の提督の夕飯、親子丼の大盛り。

107: 2014/06/17(火) 20:26:57.68 ID:zzhy2jRAO
~緑に染まる畑~

「うん、順調順調」

「本当に普通の畑って感じですね」

「もうそろそろ収穫出来そうクマ」

「楽しみだにゃ」

「来週には収穫だね、商店街とかの人達と今から交渉してくるよ」

「最低限の生活費の足しにはなるよう、値段つり上げて来やがって下さい」

「球磨はとにかく食べたいクマ」

「多摩もにゃ」

「後は山から猪とかが荒らしに来ないように祈るだけだね」

「網かけてるし大丈夫じゃないですか?」

「中には突き破る奴いるから……」

「来たら追い返すクマ」

「貴重なご飯にゃ」

「危ないからやめてね、皆にケガさせるぐらいなら食べられた方がマシ」

「大丈夫クマ、連装砲でイチコロ――」

「弾はとっくにゴム弾以外尽きちまってます」

「い、威嚇ぐらいにはなるにゃ」

「余計に怒って突進してくるからダメ、絶対にダメ」

「うっ……わ、分かったにゃ……」

(多摩が珍しく言うこと聞きましたね)

(あそこまで真剣な目で見つめられたら、嫌とは言えないクマ)

115: 2014/06/18(水) 02:53:13.67 ID:hjkFryDAO
~嫌な予感は当たるもの~

「な、何か畑に居るクマ!」

「うわー本当に来ちゃったのか……とりあえず見てくるから、皆はここに居て」

「クソご主人様一人でどうしやがるつもりですか」

「街に行ったら困るし、山に誘導するよ。任せて、コレでも山育ちだから――ん? そういえば球磨君、多摩君は? 一緒じゃないの?」

「クマ? 一緒に逃げて……居ないクマ!?」

(まさか本当に追い払おうとしてる!?)

「あれ程ダメだって言ったのに、言うこと聞いてくれないなホントにもうっ!」

「あっ、待つクマ!」

「私達も行きますって!」

(お願いだから、無茶はしないで多摩君!)

116: 2014/06/18(水) 02:54:11.43 ID:hjkFryDAO
~大事な畑だから~

(で、デカイにゃ……)

 ――フゴッ! フゴッ!

「っ!? 本当に網が破られそうにゃ……」

(ゴム弾で注意をこっちに引いて、海に逃げ込めばなんとか出来るはずにゃ!)

「こっちにゃ猪!」

 ――フゴッ!? フガァー!

「にゃっ!? 何であの図体でこんなに速いのにゃ!?」

 ――フガァッ!

(ジグザグに逃げればちょっとはスピードが――って全然落ちてにゃい!?)

 ――フゴォォォ!

(ダメにゃ、追い付かれ――)

「多摩君! 触るけど今回は許して!」

「うにゃっ!?」

 ――フゴッ?

「あいたたたた、頬を擦りむいちゃったかな……多摩君、大丈夫?」

「何してるにゃこのバカ! あんなヤツにぶつかられたらお前氏ぬにゃ!」

「バカは多摩君でしょ? 人があれ程ダメだって言ってたのに、こんなことして」

「いいからとっとと逃げるにゃ! またアイツが突っ込んで来るにゃ!」

「あー……うん、さっきので足挫いたから無理かな」

「ホントに何してるにゃこのバカ!」

「大丈夫大丈夫、後一回ぐらいは気合いで避けるから、さっさと多摩君は逃げて」

「いいから立ってこっち来るにゃ!」

 ――多摩、無事クマかっ!?

 ――どこ行きやがりましたかクソご主人様!

「二人ともここにゃ! 助けて欲しいにゃ!」

 ――フガァッ!

「あっ、ちょっとマズイかな。先に謝っとくよ、突き飛ばしてごめんね?」

「――にゃ?」

「じゃがいも、食べてみてね。きっと美味しいから」

(嫌、にゃ。こんな終わり方、嫌にゃ!)

「多摩はお前の艦娘にゃ! 居なくなるのは許さないにゃ!」

「うん、ありがと――バイバイ」

 ――フガァァァァァッ!




「――感動のシーンを邪魔して本当に申し訳無いのですが、この猪頂いてもいいですか?」

117: 2014/06/18(水) 02:56:44.68 ID:hjkFryDAO
~シリアス……?いえ、知らない子ですね~

「収穫時期なので来てみたのですが、思わぬお土産が出来ましたね」

(素手で猪倒しちまうとかこの人何者ですか……)

(猪が震えて怯えてたクマ……)

(にゃー……)

「どこのどなたか知りませんが、本当にありがとうございました。お陰で氏なずに済んじゃいました」

「あまり無理をしてはいけませんよ? そこの艦娘達も貴方を大事に思っているのですから、貴方が傷付けば、彼女達も傷付きます」

「あはは、面目無い。でも、僕は多摩君が無事ならそれで良かったし、彼女達には嫌われてますから」

「……はぁ、あの方みたいに聡過ぎるのもどうかと思いますが、貴方みたいに鈍感なのも罪ですね」

「鈍感?」

「貴方の行動は、ちゃんと彼女達の心に響いているはずです。――ですよね?」

「クソご主人様はクソご主人様です」

「く、球磨は別に嫌いじゃないってだけクマ」

「にゃー……」

「ん? 多摩君、さっきからどうしたの?」

「――にゃ?」

「顔、赤いよ? 熱でもあるの?」

「だ、大丈夫にゃ、問題にゃい。お前こそ怪我はもういいのかにゃ?」

「僕は足挫いただけだから」

「頬、擦りむいてるにゃ」

「コレ? こんなの唾でも付けとけば――」

 ――ペロッ。

「……へ? いや、え? 今、多摩君、舐め、舐めっ!?」

「消毒にゃ」

「……絆創膏、貼っちまいますか」

「足もギプスはめてやるクマ」

「あら、一気に火が付いたみたいですね」

「何? どういうこと? 夢? それとも僕は実は氏んでるとか?」

「勝手に氏んだら許さないにゃ」

「まだアレよりデカイぬいぐるみ買って貰ってねーです」

「荒巻鮭を一生食べさせて貰う約束したはずだクマ」

「優しくされるのってこんなに嬉しいことだったんだなぁ……あっ、涙出てきた」

(まぁ大変なのはこれからでしょうが、この調子なら大丈夫そうですね)

「では、私はこの猪を持って帰らないといけないので失礼しますね」

「あっ、本当にありがとうございました。また立ち寄って下さい、その時は色々ご馳走しますから」

「必ず来ます。それでは」

「――結局あの人、何者だったんですかね?」

「さぁ? まぁ何はともあれ――」

「収穫クマ!」

「食べるにゃ!」

 ――さぁ、本当のラブコメはこれからだ。

123: 2014/06/18(水) 19:33:58.96 ID:hjkFryDAO
~さぁ、ラブコメを始めよう~

「えっと、何してるの?」

「肩、貸すにゃ」

「いや、挫いただけだし固定もしてるから歩けるよ?」

「貸・す・にゃ」

「多摩君に迷惑――」

「いいから黙って肩を借りればいいんだにゃ!」

「ハイ、オカリシマス」

(何か斬新な脅し文句で押しきられちゃったよ……それにしても、多摩君の身体柔らかいなぁ)

「変なとこ触ったら殴るにゃ」

「大丈夫、せっかく好かれたのに嫌われたくないから」

「……もうそんな心配いらないにゃ」

「え? 何か言った?」

「何でもないにゃ、さっさと執務室行くにゃ」

「うん、お願い」

124: 2014/06/18(水) 19:34:34.49 ID:hjkFryDAO
~別に全然これっぽっちも~

「気になるに決まってんでしょうが! イチャイチャしたけりゃ他所でやりやがって下さい!」

「多摩は肩貸して連れて来ただけにゃ」

「肩貸されて連れて来られただけだよ」

「朝っぱらから頬を染めながら入って来る二人を見せ付けられるこっちの身にもなりやがれってんですよ!」

「今日は暑いからにゃ」

「あーもうメシマズ展開過ぎてやる気無くなって来ました。ついでなんで秘書艦も多摩にしてもらったらどうですか?」

「えっ、漣君が秘書艦してくれなきゃ困るからダメだよ?」

「な、何でですか」

「書類は文句言いながらでもきっちり書いてくれるし、今まで一緒にやってきた仕事もあるし、何だかんだ言いながら僕達の事支えてくれてるのは漣君だからね」

「……ホント、クソご主人様はクソご主人様ですね。分かりましたよ、やりゃーいいんでしょやりゃー」

「別に多摩にだって出来るにゃ」

「すっこんでて下さいよ猫モドキ」

「引っ込んでるにゃ暴言メイド」

「ふ、二人とも何で喧嘩腰なの? 皆仲良くしよ、ね?」

「クソご主人様は黙りやがってて下さい」

「コレは女の勝負なのにゃ」

「じゃあ間を取ってこの優秀な球磨ちゃんが秘書艦やるクマ」

「うわっ!? 球磨君、いつから居たの?」

「実は二人の後ろをずっと尾行してたクマ。部屋に入って来たのは今クマ」

「何しに来たにゃ全裸クマ」

「引っ込んでて下さいクマパン」

「さらっと人の下着バラすんじゃないクマ!」

(あーあー僕は何も聞いてない僕は何も聞こえない)

「で、どうするんですか? クソご主人様は私をご指名ですよ」

「球磨だって秘書艦したいクマー」

「――じゃあ、こういうのはどうにゃ?」




 ――三人全員秘書艦になりました。

125: 2014/06/18(水) 19:38:02.00 ID:hjkFryDAO
~机とテーブルと段ボール~

「机キタコレ!」

「書けなくは無いにゃ」

「段ボールって何だクマ!」

「三人分の机無いし、じゃんけんで決めたんだから恨みっこ無し、仲良くしなきゃダメだよ?」

「私が机なのは順当ですね、何の問題もないです」

「せめて椅子が欲しいクマ……」

「もう一つ段ボールあるにゃ、それに座ればいいにゃ」

「そもそもテーブルのスペース余ってるクマ! 何で段ボール使う必要あるんだクマ!」

「――確かに、余ってるにゃ」

「? 多摩君、どうかした?」

「ちょっと横にズレるにゃ」

「横? こうかな」

「にゃ、これでいいにゃ」

「……あの、多摩君? 椅子半分だけって座りにくくない?」

「大丈夫にゃ、問題にゃい」

「問題に決まってんでしょうが! 何さらっと密着しやがってんですか!」

「仕事の効率の為にゃ」

「多摩がそこに居るとクソご主人様が使い物にならなくなるんで退きやがりなさい」

(多摩君近いし良い匂いだし肩に頭が当たってるし動くと色々当たるし……)

「面白い顔になってるにゃ」

「書類書くクマー」

「ほら、さっさと退きやがりなさい」

「じゃあ漣がその机譲るにゃら、ここと代わってやってもいいにゃ」

「根本的な解決になってねーですよ」

「漣ならコイツも意識しないにゃ」

「そ、そんなの座ってみなきゃ分かんねーです。変に発情でもされて襲って来やがったらどうするんですか」

「じゃあこっち来て座ってみればいいにゃ」

「――こ、コレでいいんですか?」

「んっ? 次は漣君座るの? 机あるでしょ?」

(普通の反応……ちょっとムカついちまいました。こうなったらもうやっちまうのね!)

「クソご主人様、こうすれば狭くないですよねー」

「膝に乗るなんて許した覚えないにゃ!」

「効率の為だから問題ねーです」

「あの、この体勢だと、僕が書類書けない……」

「あっ……」

「さっさと退くにゃ、やっぱり多摩が横に座るにゃ」

「それじゃ仕事になんねーってさっきから言ってるんですがー?」

「提督、書類出来たクマー」

「――二人とも、仕事しない?」

 大人しく机に一人、テーブルに二人のローテーションになりました。

129: 2014/06/19(木) 21:10:51.16 ID:U6rJ+FPAO
~猫になってみるにゃ~

「にゃー」

「・・・・・・僕はきっと疲れてるんだね、多摩君に猫耳が生えてるはずがない」

「幻覚じゃないにゃ、猫好きみたいだから着けてみたにゃ」

「ホントに最近どうしたの? 嬉しいんだけど急に変わりすぎて、どう対応していいか分からないんだけど……」

「――可愛く、ないにゃ?」

「可愛いとても可愛い凄く可愛い!」

「なら良かったにゃ。今日1日着けとくにゃ」

(猫耳バンドなら身体の一部じゃないから触れてもいい、かな……?)

130: 2014/06/19(木) 21:11:54.91 ID:U6rJ+FPAO
~マネしてみた~

「――で、二人は何してるの?」

「クマの着ぐるみ着てみたクマ」

「ウサ耳が着けてみたかっただけですよ、何か文句ありやがりますか?」

「いや、うん、良いんだけど……球磨君は脱がなきゃ書類書きにくくない?」

「も、盲点だったクマ!」

(やっぱりうちの姉はバカだったにゃ……)

「っていうか、コレを他の人に見られたら僕がそういう趣味を持っていると誤解――」

「遊びに来たであります」

(今度こそ僕、捕まるかなぁ……)

「楽しそうでありますな、自分も混ぜて欲しいであります」

「えっ?」

「ネズミとかあるにゃ」

「牛の着ぐるみもあるクマ」

「確か商店街の人が、誰も着ないバニーガールの衣装があるとかなんとか言ってましたね」

「とりあえずネズミの耳着けてみるであります」

(この人本当に気楽でノリがいいね)

131: 2014/06/19(木) 21:12:42.73 ID:U6rJ+FPAO
~水着で海水浴~

「漣君」

「何ですか」

「その水着――」

「それ以上口にしたら口リコンご主人様って呼びますよー?」

「スク水、やっぱり恥ずかしかったの?」

「恥ずかしいに決まってんじゃないですか! しかもご丁寧に名前“さざなみ”って入れやがってますし!」

「お金無いからサイズ伝えて街の人にタダで貰ったんだし、好意でしてくれた行為に対して細かい事は言いっこ無しだよ」

「分かっちゃいますが、せめてもう少し可愛いのが良かったですよ……」

「漣は可愛いにゃー」

「可愛いクマー」

「あのー嫌みにしか聞こえねぇんですがー?」

「多摩は白のワンピースで満足にゃ」

「球磨も白のビキニで満足だクマ」

(多摩君の水着姿可愛いなぁ……)

「あ、あまりジロジロ見ないで欲しいにゃ……」

「あっごめん」

「イチャラブしたけりゃ後にしやがって下さいねー」

「今は四人で遊ぶクマー」

「イチャラブなんてしてないにゃ」

「何して遊ぶんだい?」

「ふっふっふー、鬼ごっこクマ!」

「把握」

「やってやるにゃ」

「アレ? 何で三人とも僕を見るの……?」

132: 2014/06/19(木) 21:13:37.99 ID:U6rJ+FPAO
~鬼が三人、追われた一人~

「おーい、生きてるにゃ?」

「艦娘の皆と海で鬼ごっこって勝ち目あるわけないよ……」

「でも結構速かったクマ、見直したクマ」

「クソご主人様にしてはなかなかでしたね」

「あー……もう動けないし、ちょっと休ませて」

「じゃあここ使うといいにゃ」

「えっと、そこって多摩君の――」

「膝にゃ」

「明日一歩も動けないとか言われたら鬱陶しいんで、足マッサージしてやります」

「球磨は腕クマ」

(僕、明日氏んじゃうのかもしれない……)

141: 2014/06/20(金) 11:41:03.39 ID:nm4/dE+AO
~気付けば寝てた~

「――ん? 僕、寝てた……?」

「あっ起きたにゃ」

「やっとですか、一時間は寝やがってましたよ」

「ちょうど出来たクマ」

「ねぇ、何か起き上がれないんだけど、誰か押さえてるの?」

「押さえてないにゃ」

「押さえてるんじゃなくて、上に被さってんですよ」

「力作だクマー」

「あの、何で僕の身体は砂の城に埋まってるのかな?」

「多摩はお前に膝枕してて動けなかったにゃ」

「で、退屈なんで私は砂でクソご主人様を埋めて」

「球磨がお城を作ったんだクマ」

「えと、コレは動いちゃダメってこと?」

「ダメにゃ」

「ダメに決まってます」

「ダメだクマ」

「ダメかー……多摩君、重くなふぃっ?」

「重くないにゃ」

「ひゃまひゅん?」

「お前結構ほっぺた伸びるにゃ」

「多摩、私にも触らせやがりなさい」

「球磨も引っ張るクマ」

「ひゃんにんひょみょ、あひょばにゃいでくれはひ?」

「何言ってるか分からないにゃ」

「確かに結構伸びますね」

「変な顔になって面白いクマー」

(コレって、役得と思っていいのかな……?)

142: 2014/06/20(金) 11:41:30.14 ID:nm4/dE+AO
~帰りの電車~

(今日は楽しんでもらえたみたいだね)

「くー……すー……」

「うーん……何も言えねぇ……」

「サーモン捕ったクマー……」

(見事に全滅しちゃったなぁ……それにしても、視線が痛いね、うん)

 ――膝に小さい女の子乗せてるわあの人。

 ――両肩にもたれかかってる子も居るし、どういう関係なのかしら……。

(あはははは……。でも、こんな皆の幸せな寝顔見れるなら、いいかな)

「にゃー……」

「ご主人……様……」

「クマー……」

「お休み、皆」

143: 2014/06/20(金) 11:42:18.96 ID:nm4/dE+AO
~日焼け~

「いーたーいーにゃー!」

「日焼け止めの事すっかり忘れちまってました……」

「お風呂入りたくないクマ……」

「見事に皆真っ黒だね」

「何でお前一人だけ平気なのにゃ」

「僕、昔から何故か日焼けしにくいんだよ」

「ずりぃですよそんなの、クソご主人様も焼けやがって下さいよ」

「パンダみたいに焼けたら面白そうだクマ」

「無理矢理焼いたりしないでね?」

「こんがり焼けたら食べてやるにゃ」

「僕は魚じゃないからやめて多摩君」

「日焼けオイル貰ってきますねー」

「狙った部分が焼けるように布用意してくるクマ」

「いや、あの、二人とも? 遊んだ分仕事が溜まっててね?」

「多摩も“タマ”って形に布を切り抜いてくるにゃ」

「“漣”も作っといて下さいねー」

「球磨はクマの形で作るクマ」

「多摩君まで参加しちゃってるし……皆仕事しようよー……」




 この後めちゃくちゃこんがり焼かれてかじられた。

149: 2014/06/21(土) 11:00:40.98 ID:4BOiK7rAO
~現状説明~

提督→三人から好かれてきたとは思っているが、猪事件前と後のギャップが凄すぎて、どうにも自信が持てないでいる。最近は瞑想しないと夜寝れない。

多摩→恋愛感情隠す気ゼロ。とりあえず提督から何か行動を起こさせようとしている。しかし、来た時とは逆で提督に近付くと何故か警戒されるようになり、最近ちょっとイライラ気味。

漣→提督への好意はあるが、彼が多摩まっしぐらなので一歩引いて見ている。ただ、無意識の内に邪魔したり牽制していたケースが多々あり、どうしていいか分からず困惑気味。部屋でぬいぐるみ相手にご主人様と呼ぶ練習中。

球磨→多摩みたいに積極的なアプローチは難しく、漣みたいな行動も出来ず、控え目な好意持ってますよアピールをしている。ただ、恥ずかしさから好意に気付かれる寸前に後ずさってしまう毎日。提督から一番警戒されていないからか、多摩から少し羨ましがられている。

つまり、早く爆発しろよお前等が続きます。ハーレム夜戦ルートか純愛多摩ルートか(略奪漣or球磨ルートか、良い船エンドか)は見てのお楽しみということで。

150: 2014/06/21(土) 11:01:53.68 ID:4BOiK7rAO
~次の収入源~

「次は何を作るのにゃ?」

「ナスと、またジャガイモかな」

「くれぐれも失敗だけはしやがらないで下さいよ?」

「ご飯食べれなくなったら頭から食べてやるクマ」

「あはは、食べられたくないから頑張らないと。あーそれと多摩君、次また猪が来ても行っちゃダメだからね?」

「分かってるにゃ、あんなのはもう懲り懲りにゃ」

「デレ過ぎてつまんねーです……」

「漣も猪に襲われてみればいいクマ」

「誰得ですよそれ。危ない目にわざわざ遭ってどうするってんですか」

「提督が助けてくれるかもしれないクマ」

「……そんなのお断りですよ、テメェの身はテメェで守ります」

「今の間は何だクマ?」

「うるせぇクマですねぇ、畑に埋めちまいますよ?」

「漣君、やめてあげて」

「そうにゃ、埋めて生えてきたら困るからやめるにゃ」

「それは一理ありますね」

「球磨を何だと思ってるんだクマ!」




(全く、私の為にクソご主人様を危険に晒すとか、そんな事させられるわけねぇに決まってんじゃねーですか……)

151: 2014/06/21(土) 11:02:36.50 ID:4BOiK7rAO
~優秀な球磨ちゃん、アルバイトをするの巻~

「いらっしゃいクマ」

「780円だクマ」

「ありがとうございましたクマー」

「――球磨君? 何してるの?」

「クマ!? ひ、人違いクマ!」

「ポニーテールにサングラスって、変装でもしてるの?」

「何でこんなあっさりバレたんだクマ……」

「いや、どこからどう見ても球磨君だし」

「やはりお前はただ者じゃないクマ」

「エプロンに“KUMA”って書いてあるし」

「そうだったクマー!?」

「でも、何で魚屋でバイトを?」

「お、お前が買ってくれるのを待ってたら荒巻鮭がいつまで経っても食べれそうに無いからだクマ!」

「……ごめん、次に買えるのは本当にいつになるか分かんないや」

「あっ……ち、違うんだクマ……」

「最悪実家からお金を借りてでも、また食べさせてあげるね」

「罪悪感で氏にたくなるからやめるクマー!」

「えっ? いや、でも――」

 ――おいおい、察してやんなよ。球磨ちゃんはアンタの為に、ここで内緒で働きたいって言って来たんだぜ?

「こんにちは店主さん、それどういう意味ですか?」

「聞かなくていいし言っちゃダメクマ!」

 ――がははははっ! こんな可愛い子に好かれてアンタも幸せもんだな!

「僕の為? 荒巻鮭食べるのが? どういうこと?」

「さっさとお前は鎮守府に帰るクマー!」




 この月からオカズが一品増えるようになりました。

152: 2014/06/21(土) 11:03:29.03 ID:4BOiK7rAO
~中身の確認は大事~

「にゃーにゃー」

「あの、多摩君、腕かじるのやめない? 美味しくないでしょ?」

「爆発しろ! 爆発しろ!」

「漣君はお腹殴らないで、流石に鳩尾は痛い」

「グーアー」

「僕は鮭じゃないし、鮭も頭から丸かじりするものじゃないと思うなぁ……」

「かじれにゃいにゃらにゃめればいいのにゃ!」

「かじるのもダメだけど舐めるのはもっとダメだからね!?」

「うぅ……クソご主人様って言ってごめんなさい……漣は解体された方が良かったんです……」

「さ、漣君? えっと、あの、謝らなくていいから泣かないで、ね?」

「グゥアァ!」

「球磨君そろそろ本当に痛いから頭かじるのやめて!?」




 商店街の人から頂いた洋風菓子の詰め合わせ。中にはウィスキーボンボン、リキュール入りチョコ、ラムレーズンクッキー、洋酒ケーキが入っていたそうな。

153: 2014/06/21(土) 11:05:41.88 ID:4BOiK7rAO
~歯形と涙の跡とボロボロの服~

「あ、頭痛いにゃ……」

「何かダルいです……」

「ク……マァ……」

「あっ、起きてくれた?」

「んにゃー……? 何で多摩はお前の腕を抱き締めて寝てたにゃ……?」

「何で私はクソご主人様に抱き着いて寝てたんですかね……」

「お、重いし頭痛いクマ……」

 提督の現状、提督執務室の床にゴロ寝。右腕は多摩がガッチリロック。お腹の上に漣。球磨を下敷き。

「流石に体勢がそろそろ辛いし、まずは漣君が起きてくれない? 球磨君が辛そうだし」

「今起きますので待ちやがって下さい。身体ダルいんですよ……」

(――球磨の胸に提督の頭、乗ってる、クマ……?)

「さーざーなーみーはーやーくーしーんーじゃーうークーマー」

「分かってますから待ちやがって下さい。――よい、しょっと。水、入れて来ますねー……」

「ふぅ……じゃあ僕も退くよ。ごめんね球磨君、重かったでしょ」

「いいから頭を早く退けるクマ! 今すぐクマ!」

「う、うん。多摩君もそろそろ腕を離してくれないかな? もう片方の腕でずっと身体を支えてたから、こっちの腕の力だけじゃもう立てそうになくて……」

「嫌にゃ」

「いや、あの、色々柔らかかったり当たったりでそろそろ本当に僕も限界かなーなんて」

「じゃあスリスリしてみるにゃ」

「本当にやめて泣きそうな程嬉しいからやめて僕も男だからやめて」

「球磨の上でもぞもぞ動いちゃダメクマー!」

「球磨うるさいにゃ、頭に響くから黙るにゃ」

「む、胸の上に提督の頭があるから早く退いて欲しいんだクマ……」

(頭も何か気持ち良いなと思ったら球磨君の胸かー余計に動きにくくなっちゃったなーあはははは……。早く戻ってきて漣君!)




(お茶漬けでもついでに作って持って行きますかね)

159: 2014/06/21(土) 16:22:27.12 ID:4BOiK7rAO
~とある何処かの鎮守府で~

「商店街で面白い物見つけたクマ」

「“忍者艦娘なりきりセット”? 何ですかコレ」

「艦娘アイドルグッズから派生した、バックダンサーのなりきりセットって表には書いてあるクマ」

「えーっと何々、“鎮守府アイドル那珂ちゃんのバックダンサー川内。衣装替え中のパフォーマンスとして探照灯の明かりの中を縦横無尽に跳び回り、忍者のように夜のステージをアクロバットに駆け回る彼女になりきってみよう!”……どうなってんですかこの鎮守府とここの艦娘……」

「後、神通のバージョンもあるみたいだクマ」

「人気なんですか?」

「それぞれに相当な数のファンが居て、熾烈なチケット獲得戦争が勃発してるらしいクマ」

「マジですか……」

「関係者から直接聞いたから間違いないクマ。たまに手が足りないと警備員として駆り出されてるって言ってたクマ」

「へー……試しに揃えて三人で着てみちゃいますか?」

「じゃあ多摩も呼んで来るクマ。店のオッチャンに頼めばきっとくれるクマ」




 ――この後、商店街の出し物として三人でアイドルをやらされました。暫く恥ずかしさから商店街に三人が寄り付かなかったのは、言うまでもない。

「可愛かったし、またやってくれないかなぁ……」

(コイツ一人に見られるなら問題にゃい)

(まぁ……たまになら着てもいいですかね、勿体無いですし)

(他のも着てみたいし、オッチャンに全サイズあるか聞かなきゃいけないクマ)

165: 2014/06/23(月) 09:34:14.65 ID:ZDrAGx8AO
~来て欲しい時には来ない~

「多摩君」

「何にゃ?」

「漣君から借りた漫画、面白い?」

「面白いにゃ」

「そっか」

「にゃ」

「……多摩君」

「何にゃ、今良いところなのにゃ」

「僕の膝の上で読む必要は無いんじゃないかな?」

「お構い無くにゃ」

「いや、構うよ?」

「構ってくれるなら後で構って欲しいにゃ」

「うーん……えいっ」

「捕まったにゃ」

「ほら、逃げないと何かされちゃうかもよ?」

「今コレ読むのに忙しいにゃ」

「えー……」




(執務室で何イチャラブしやがってんですかあの二人……)

(仕事の邪魔されてるのに、迷惑してるように全く見えないクマ)

166: 2014/06/23(月) 11:49:27.84 ID:ZDrAGx8AO
~とても簡単で、凄く難しい~

「ご主人様、ご主人様、ご主人様!」

(ウサギ相手なら言えるんですがねぇ……)

「クソご主人様! 朴念仁!」

(あー言いやすい)

「多摩も球磨もデレまくってますし、きっと今のままだと私は口の悪いクソガキにしか見えないですよねー」

(別に好かれたいとか思ってませんし、せめて感謝の気持ちを素直に言えるようになれたらいいんですが、こんなに難しいとは……)

「私を初期艦に選んでくれて」

「解体と聞いて“寂しい”と言ってくれて」

「頼りになると言ってくれて」

「こんな私に多摩や球磨と分け隔てなく接してくれて」




(――たった五文字が、何で言えないんですかね……)

167: 2014/06/23(月) 11:49:55.42 ID:ZDrAGx8AO
~裸足で駆けてく必氏な提督~

「待つにゃー!」

「いくら多摩君のお願いでもそれだけは無理、僕は絶対に着ないからね!」

「早めに観念しやがって下さい――球磨、ゴー!」

「対猪用トリモチ爆弾、発射クマ!」

「うわっ!? どこでそんなもの入手したのさ!? ふ、服にピッタリくっついて取れない……」

「とある人に頼んだクマ」

「効果は抜群でしたねー。さぁさぁあっちでコレに着替えちまって下さい」

「楽しみだにゃ」

「多摩君、鮪のお寿司で――」

「早く着て来るにゃ」

「鮪より優先度高いの!?」




「――着たよ、コレで満足してくれる? 見たならもう着替えていいよね?」

「写真撮ってからにゃ」

「後、“お帰りなさいませお嬢様”って言いやがって下さい」

「その格好でお茶持ってきて欲しいクマ」

「何でこんな似合わない服着せて楽しそうなの三人とも……」




 ――1日執事服を着せられて遊ばれましたとさ。

168: 2014/06/23(月) 11:51:12.41 ID:ZDrAGx8AO
~お祭り~

「リンゴ飴美味しいにゃ」

「綿あめって最初はいいんですけど、段々食べるのしんどくなりますよねー……」

「焼きもろこし美味いクマー」

「三人ともはぐれないでね」

「子供じゃないにゃ。でも、どうしてもって言うなら手を繋いでやるにゃ」

「そんなことよりクソご主人様、残り食べやがって下さい」

「フランクフルト美味いクマー」

「両手がたこ焼きとお好み焼きで埋まってる状況で、手を繋いだり綿あめ受け取るのは厳しいかなー……」

「たこ焼きとお好み焼きは球磨に持たせりゃいいにゃ」

「口開けりゃ突っ込んでやりますよ?」

「たこ焼きもお好み焼きも美味いクマー」

「あっそろそろ花火始まっちゃうよ、ちょっと急ごうか」

「待つにゃ、はぐれるなって言いながら離れるんじゃないにゃ」

「さっさと邪魔だから食いやがって下さいませんかねー!」

「提督、手に提げてるベビーカステラ食べたいクマー」

「多摩君も球磨君も引っ張ったら――むぐ?」

「捕まえたにゃ。はぐれないように拘束にゃ」

「財布持ってるの提督クマ。逃げられたら困るクマ」

「ほら、ちゃんと処理しやがって下さい。残すと勿体無いですし」

(両手に花は凄く光栄だけど、違う方向に引っ張られると困っちゃうかなー……あっ、久しぶりに食べたけど綿あめ美味しい)

174: 2014/06/24(火) 10:09:57.36 ID:gCxvKsIAO
~猫vs猫~

「フシャー!」

 ――フシャー!

「ここは多摩のベストスポットにゃ。お前は別の場所に行くにゃ」

 ――フーッ!

「威嚇したってダメにゃ」

 ――……っ! うにゃーお!。

「アレ? 多摩君といつもの猫ちゃんだ。何してるの?」

「そこの猫に昼寝場所を取られそうだったにゃ」

 ――にゃーん……。

「ちゃんとこの子とも仲良くしなきゃダメだよ多摩君。ほら、よしよし」

 ――うにゃー。

(……多摩もあんな風に頭撫でて欲しいにゃ)

「昼寝だったら一緒にすればいいんじゃないかな?」

「そんなヤツと一緒に寝たくないにゃ」

「うーん……じゃあ僕とこの子と一緒ならどうかなーなんて」

「こっちにさっさと来るにゃ、抱き枕にしてやるにゃ。ハリーハリーにゃ」

(冗談のつもりだったんだけどなぁ……)

 ――にゃー。

「お前は別にどうでもいいにゃ、すり寄るんじゃないにゃ」

「仲良くだよ、仲良く、ね?」

「……お前も早くこっち来るにゃ」

「うん、昼寝なんてバレたら怒られそうだけど、たまにはいいかな」

「多摩の前に寝転がるにゃ」

「こういう感じ?」

「それでいいにゃ」

「――ねぇ多摩君、抱き枕って僕のことだったの?」

「当たり前にゃ」

(しっかり抱き締められてるし、背中に柔らかい感触が……)

 ――にゃん。

「君は僕にもたれて寝るの? 猫と猫に挟まれて寝るって、何か凄いね」

「多摩は猫じゃないにゃ。そういうこと言うとこうにゃ」

「やめて、それ以上強く抱き締めないで、昼寝どころじゃなくなるから」

 ――スー……スー……。

「んー……多摩はもう眠いし寝るにゃ。寝てる間は動くんじゃないにゃ」

「うん、お休み、多摩君」

(……今日はいつもより、良い夢が見られそうにゃ)




「鮪いっぱい食べる夢見たにゃ」

「うん、美味しそうにかじってたよ……」

175: 2014/06/24(火) 10:10:23.56 ID:gCxvKsIAO
~言葉以外で~

「ごっ、ごごごごご」

「漣君、どうしたの?」

「ご――ご飯何食べたいか言いやがって下さい。毎日献立考えるの面倒なんですよ」

「そうだねー……かしわとじゃがいもを炒めたヤツが食べたいかな」

「じゃあ夕飯はそれで……ごっ」

「ご?」

「ご――ゴーヤチャンプルーとかもたまには食べやがりませんか?」

「うん、漣君が作ってくれるご飯は美味しいから、作ってくれるなら何だって食べるよ」

「そ、そうですか……」

「いつも美味しいご飯をありがとね、漣君」

「……褒めたって何も出やしませんよ? 買い物と下拵えしてきます」

「買い物、ついて行こうか?」

「仕事しやがってて下さい」

「コレも立派な仕事じゃない?」

「多摩と行きますから大丈夫です」

「そっか、行ってらっしゃい」

「行ってきます」




 その日の提督の夕飯に、大根おろしと焼き椎茸が追加されました。

176: 2014/06/24(火) 10:10:49.06 ID:gCxvKsIAO
~続・優秀な球磨ちゃん、アルバイトをするの巻~

「クマ饅頭美味しいクマー」

「試食もやってるクマー」

「今なら球磨とツーショット撮影出来るクマー」

「――球磨君、またバイトしてるの?」

「人違いクマ、だから今すぐ買うクマ」

「いや、着ぐるみから顔見えてるし間違えないからね?」

「他人の空似クマ、早く買ってツーショットを要求するクマ」

「ごめん、今財布持ってないんだ……」

「店長ー! 給料から天引きで1つ売って欲しいクマー!」

 ――――いいよ、サービスしたげるからあんちゃんにあげな!

「ありがとうだクマー! さぁ撮るからこっち来るクマ」

「いや、僕が買ったわけじゃないし、サービスしちゃダメじゃない?」

「細けぇことはいいんだクマ! どっかの落語家もそう言ってたクマ!」

(何でそこで落語家が出てくるんだろう……)




 後日、ツーショット写真が多摩と漣に見付かり、提督がカメラを持った二人に追いかけられたのは言うまでもない。

182: 2014/06/25(水) 15:24:50.04 ID:sOvYp5mAO
~ザラザラ?~

「多摩は猫じゃないにゃ。舌は普通にゃ」

「うん、傷口舐められた時普通に気持ちよ――ううん、何でもない」

「変Oは嫌いにゃ」

「変Oじゃないから嫌わないでね?」

「じゃあ舐めて変Oかどうか確かめるにゃ」

「そ、それは確認方法としてどうかと思うなー」

 ――ペロッ。

「だから舐めちゃダメだってば!?」

「まだまだ分からないにゃ」

「絶対に違うからもう確認終わり! これ以上は男として色々大変だからダメ! じゃあまたね!」

(……逃げたにゃ。キスぐらいいい加減してくりゃいいにゃ……)

183: 2014/06/25(水) 15:25:17.11 ID:sOvYp5mAO
~日に日に増えるレパートリー~

「酢豚作りました、どうぞ食いやがって下さい」

 ――翌日。

「ポトフってのを作ってみました」

 ――翌々日。

「ロールキャベツ作りました」

 ――三日後。

「サーモンのカルパッチョです」

 ――四日後。

「豆腐ハンバーグです」




(毎日違うの作ってくれるけど、しんどくないのかな?)

(明日は何作ったら喜んでくれますかねー)

184: 2014/06/25(水) 15:27:28.06 ID:sOvYp5mAO
~器用な球磨ちゃん~

「出来たクマー」

「何が出来たのにゃ?」

「皆のぬいぐるみクマ」

「へー上手いもんですね。コレ私ですか?」

「アイツのもあるにゃ」

「提督にあげるクマ」

「――何かアイツに自分そっくりのぬいぐるみ持たれてると思うと、ちょっと恥ずかしいにゃ」

「……クソご主人様に抱き締められたりとかですか?」

「そういうこと言うのやめるクマ、あげにくくなるクマ」

「そもそも、アイツのぬいぐるみはどうするにゃ」

「球磨が抱いて寝るクマ」

「……球磨、夕飯に鮭出しますからそれを寄越しやがりなさい」

「冷蔵庫のアイスやるから多摩に寄越すにゃ」

「嫌だクマ、これは球磨が作ったんだクマ」

「くっ……そっち方面は苦手なんですよねー……」

「――いいにゃ、多摩は本物の布団に潜り込むにゃ」

「絶対に阻止するクマ」

「流石にそれは許す気にゃなりませんよ」

「多摩はもう既に一緒に寝たことあるにゃ」

(アレは昼寝だったけどにゃ……)

「――今のは聞き捨てならないクマ」

「球磨、今日は私が寝ぼけたフリして潜り込みますから、多摩お願いします」

「ダメにゃ! アイツは変Oにゃ! 襲われるにゃ!」

「でも多摩は襲われてないクマ」

「こっちから行くとアイツ逃げやがるのにゃ……」

「なら問題ないですねーちょっと寝ぼけるだけなんで」

「球磨も明日寝ぼけるクマ」

「わざと寝ぼけるってなんにゃ、二人ともやめるにゃ」

「散々最初は嫌いやがってたじゃないですか」

「変O連呼してたのは多摩だクマ」

「うるさいにゃ、今は好きなんだから問題ないにゃ」

「私も嫌いじゃないんで」

「球磨も気に入ってるクマ」

「……地味にハーレム化してるにゃ」

「クソご主人様は全く自覚ありやがりませんがね」

「嫌われたくないが口癖になってるクマ」

「アイツはあげないにゃ」

「漣はしつこいんで諦めませんよ」

「球磨だって譲らないクマ」

 ――争奪戦加速中。

190: 2014/06/26(木) 14:28:16.84 ID:mS8YYX1AO
~乙女提督~

「結局三人で来てどうするんだにゃ」

「いっそ全員で潜り込んだ方がお互い安心だクマ」

「じゃあ開けちまいますよ?――ん?」

「どうしたのにゃ?」

「クソご主人様の部屋……内側からチェーンかかってやがります……」

「何で個室にチェーンがあるクマ!?」

「そういえば、立て付けが悪いからドアを替えたとかなんとか聞いた記憶が……」

「何でアイツが鉄壁のガードしてるんだにゃ!」

「普通こういうのは女の子側の役目クマー!」

「流石クソご主人様はクソご主人様ってことですね……はぁ」




「おはよう皆――ん? どうかした?」

「乙女にゃ」

「乙女だクマ」

「クソ乙女様ですね」

「乙女って何!?」

191: 2014/06/26(木) 14:29:07.34 ID:mS8YYX1AO
~乗られないなら乗ればいいじゃない~

「あっ多摩君、ホタテはダメだよ。耳が落ちちゃう」

「それアワビにゃ。それに猫じゃないって何度言わせりゃ気が済むにゃ。多摩は可愛い女の子にゃ」

「正確には船ですがねー」

「それ言ったら色々台無しだクマ」

「三人とも可愛いからついつい忘れちゃうよね、あまり気にしてないってのもあるけど」

「船だからって乗ったら怒るにゃ」

「女の子に乗るようなマネしないよ」

(肩車……)

(背負われてみたいクマ)

(お姫様抱っこされたいにゃ)

「クソご主人様、後でちょっと棚の整理付き合いやがって下さい」

「うん、分かったよ」

「球磨も後でちょっと用が出来――あるから部屋に来て欲しいクマ」

「いいよ」

「外の壁がちょっと壊れてる(ようにする)にゃ。お前補修しとくにゃ」

「分かった、後でやっとくね」




 壊(さ)れた脚立が使えず、棚の整理の為に漣に肩車。足首を(無理矢理)挫いた球磨を背負い工廠へ移動。壊(さ)れた壁の修理中に、空から降ってきた多摩をキャッチ。提督が大活躍した1日になりましたとさ。

195: 2014/06/26(木) 21:43:39.10 ID:mS8YYX1AO
~猫のフリで気を引いている疑惑~

「多摩は無実にゃ」

「じゃあ何で無駄に猫の生態について詳しいんですか」

「偶々にゃ」

「多摩だけに偶々クマ?」

「とりあえず球磨は黙ってて下さい」

「鮭でもかじって大人しくしてるにゃ」

「球磨を仲間外れにするんじゃないクマー!」

「部屋から猫の飼い方とか猫に関する本が出てきやがりましたが?」

「元からあったのにゃ、多摩は知らないにゃ」

「無視するんじゃないクマー」

「じゃあさっさと多摩の証言が事実かどうか答えやがりなさい」

「そんな前のこと覚えてないクマ」

「……カレーを作った時に玉葱を多くよそってたのは何でですかね?」

「好きだからにゃ」

「聞いといて無視するんじゃないクマ」

「オニオンスープかコーンスープならどっち飲みます?」

「コーンスープにゃ」

「玉葱かさつま芋、味噌汁に入れるなら?」

「さつま芋が良いクマ」

「多摩もさつま芋が良いにゃ」

「――多摩、玉葱そんなに好きじゃねぇですよね?」

「……そんなことはないにゃ」

「わざと玉葱が見えるようによそって、クソご主人様の気を引こうとか考えてやがりませんか?」

「球磨はじゃがいもたっぷりが嬉しいクマ」

「だったら何にゃ、別に悪いことしてないにゃ」

「とりあえず球磨うるせーです。猫扱いが嫌なら猫アピールやめりゃいいでしょうが」

「だってアイツ猫好きにゃ。でも、猫として好かれるのは嫌なのにゃ」

「めんどくせーですねぇ……」

(パンダは猫って漢字入るクマ。白黒に塗れば……流石にちょっと無理があるクマ)

196: 2014/06/27(金) 15:36:36.96 ID:AjAqnLUAO
~屋根~

(少し肌寒い時にはここが一番にゃ)

 ――にゃー。

「また来たにゃ……」

 ――にゃあん。

「こら、上に乗るんじゃないにゃ」

 ――ふみゃー。

「……多摩に潰されないように気を付けるにゃよ?」

 ――にゃーおぅ。

「そこで寝たら多摩が寝転べないにゃ。ちょっと移動するにゃ」

 ――ふみぃ?

「多摩のお腹の上を提供してやるにゃ、不満なら退くにゃ」

 ――にゃうーん。

「じゃあ寝るにゃ」

 ――にゃ。




(居ないから探しに来てみたけど……本当に仲良くなったんだね、良かった良かった)

「鮪……食べたい……にゃ……」

 ――すー……くー……。

197: 2014/06/27(金) 15:37:11.79 ID:AjAqnLUAO
~四人で~

「多摩、錦糸玉子出来ましたか?」

「ちょっと失敗しかけたけど出来たにゃ」

「球磨は椎茸と高野豆腐と人参刻めましたか?」

「優秀な球磨ちゃんにかかればこのぐらいお茶の子さいさいだクマ」

「クソご主人様はもう少しですからうちわ頑張りやがって下さい」

「腕がもうかなりしんどいけど頑張るよ」

「――よし、もう良さそうですね」

「後は混ぜればいいのかにゃ?」

「先に高野豆腐と椎茸、人参を入れやがって下さい。」

「投入クマー」

「クソご主人様ーもう一頑張りしやがって下さい」

「明日腕が筋肉痛になりそうだよ……」

「後は具が混ざったら錦糸玉子を上から散らして、紅しょうがを食べる時に乗せりゃ完成です」




 仲良く四人で作ったちらし寿司。何時もより多めに作ったものの、キレイに完食しましたとさ。

「次は一緒に手捏ねハンバーグでも作りますかねー」

198: 2014/06/27(金) 15:37:46.64 ID:AjAqnLUAO
~続々・優秀な球磨ちゃん、アルバイトをするの巻~

「あっ、提督クマ」

「――え? 球磨君、なの……?」

「酷いクマ、いつもはすぐに分かってくれたクマ……」

「だって、え? その化粧と髪と服どうしたの……?」

「美容院のポスター用にって頼まれたクマ。今撮影のスタンバイ中だクマ」

「そ、そうなんだ」

「クマ? 提督、何で顔赤いクマ? 熱は……無さそうだクマ」

「っ!? いや、あの、その、撮影頑張ってね!」

「――逃げたクマ。変な提督クマ」




(お、女の子ってあそこまで可愛さ増すものなんだ……)

「どうしたのにゃ?」

「ねぇ、多摩君は化粧とか、する?」

「高いからしないにゃ。化粧品買うぐらいなら鮪買うにゃ」

「そ、そっか」

(安心したような、残念なような……)

(化粧……漣にちょっと後で相談してみるにゃ)

199: 2014/06/27(金) 17:35:05.94 ID:ts6xs2buO
ここのSS読んでると他の艦娘にもクソ提督とか呼ばれたくなる、不思議。

200: 2014/06/27(金) 18:20:17.22 ID:2alIPvWDO
曙に毎日クソ提督って言われないと提督業が始まらない

201: 2014/06/27(金) 19:08:47.59 ID:cFq8gm0LO
俺は比叡の気合入れていきます聞かないと一日が始まらない

202: 2014/06/27(金) 19:23:01.37 ID:pIj4ycWIO
俺は初期艦で今までずっと旗艦にしてる吹雪ちゃんからはじめましてって言われないと一日が始まらない


引用: 【艦これ】多摩「こんな鎮守府すぐに出ていくにゃ!」