297: 2014/07/04(金) 00:27:07.40 ID:yf/e0vRAO


前回はこちら

~二度目の~

「ご馳走になりに来ました」

「いらっしゃい、赤城さん」

「ようこそにゃ」

「茄子とじゃがいもで作れる料理ありったけ作りました。召し上がって下さい」

「飲み物もバイト先からいっぱいもらってきたクマ」

「おもてなし、ありがとうございます。あの時の猪も大変美味しかったです」

(本当に食べたんだ、アレ……)

「お味の方はどうです?」

「間宮さん達とはまた違った独特な味付けで、美味しいですよ。コレはご飯が進みますね」

「お代わりよそうクマー」

「はい、ありがとうございます。――ところで、一つお聞きしたいことがあるのですが」

「何にゃ?」




「猪、まだ山に居ますか?」
艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 艦娘型録


298: 2014/07/04(金) 00:27:54.88 ID:yf/e0vRAO
~猫~

「うぅ……今日も外は寒いにゃ――にゃ?」

 ――……みぃ。

「っ!?」




 ――執務室。

「獣医! 獣医ってこの近くだとどこにあるにゃ!?」

「ど、どうしたの多摩君、血相変えて」

「いつものあの猫が怪我で弱ってるのにゃ! すぐに獣医に連れて行くにゃ!」

「いつものって、あの白猫が……? 分かった、僕も準備して一緒に行くよ」

「急ぐにゃっ! 多摩は毛布でアイツくるんで外で待ってるにゃ!」




 ――1週間後。

「全く、世話かけさせるんじゃないにゃ」

 ――にゃーお!

「予防接種とかもついでに済ませたし、コレで大丈夫だと思うよ」

(暫くはまた僕達が貧乏生活になりかねないけど……)

「最初は嫌ってやがったクセに、仲良さそうですね」

「まるで誰かさんと誰かさんみたいクマ」

「それ思いっきりブーメランじゃねーですか?」

「球磨には何の事かさっぱり分からないクマー。……でも、多摩が嬉しそうで良かったクマ」

「ですね。まぁ金欠はいつもの事ですし、もやしと茄子とじゃがいもで何とか今月は食い繋ぎましょうか」

「僕も、畑の手入れしてこようかな」

「多摩も畑行くにゃ。お前も一緒に来て、畑見ながら日向ぼっこするにゃ」

 ――にゃーん。




 多摩に完全になついた猫。鎮守府の仲間に正式に加わることになりました。

 ――にゃー。

「ごっ、ゴキブリをくわえてこっち来るんじゃないにゃー!?」

300: 2014/07/04(金) 00:29:13.97 ID:yf/e0vRAO
~もうその二文字は必要ないから~

「クソご主人様ーちょっと買い物付き合いやがって下さい」

「うん、いい……よ?」

「? どうしやがりました?」

「えっと、いや、うん、行こうか」

(三人ともたまにこうやって雰囲気ガラッと変えた服とか来てくるから、思わずドキッとしちゃうんだよなぁ……)

「早く行きますよークソご主人様ー」

「あっごめんごめん、ちょっと待って、すぐ行くよ」




 ――商店街。

「で、どうして僕は漣君と手を繋いでいるのかな?」

「……慣れない靴履いたんで、歩きにくいんですよ」

「買い物行くのに何でそんな靴履いたのさ」

「私だって女の子なんです。察しやがって下さい」

「商店街にカッコいい店員さんが居る店でも――って痛い!?」

「踵が凶器になってますんで気を付けやがって下さいねー?」

「僕何か気に障るようなこと言った……?」

「的はずれなこと言いやがった罰です」

「うーん……僕と一緒に歩くから、とか?」

「正解したので、これからはずっとご主人様って呼んであげます」

「ははは、そんなはずな――え?」

「ほら、ちゃっちゃと買い物済ませて帰りますよ、ご主人様」

「漣君? どういうことかちゃんと説明してくれない? 後引っ張ったら危ないよ!?」

「手繋いでりゃ平気ですよ」

「質問にも答えてよ漣君!」

「言葉通りの意味ですよー」

305: 2014/07/04(金) 00:51:12.55 ID:yf/e0vRAO
出張→基本的にほぼ無し。書類のやり取りが主で、むしろ鎮守府からは出るな離れるなという感じ

他鎮守府→事前に知らされていたり、知っていたりが多い。ここの提督は新米で全く事前情報が無かったからこんなことに

元帥があきつ丸を派遣している理由の一つが、こういった鎮守府へのフォローだったりする

一応、あきつ丸や赤城を通じて大鳳鎮守府とは若干交流あり

308: 2014/07/04(金) 20:50:25.18 ID:yf/e0vRAO
~賭け~

「チェックメイトだクマ」

「また負けた……」

「次オセロやるクマ」

「そこの二人、いい加減仕事しやがって下さいねー」

「後でやるクマ」

「ちょっと待ってね漣君。晩御飯のオカズ全部賭けちゃったから、このままだと白ご飯だけになっちゃうんだよ……」

(はぁ……何やってんだか……)

「次球磨が勝ったら、提督のシャツ一枚寄越すクマ」

「シャツなら自分のあるでしょ? 何で僕のを?」

「細かいことはいいんだクマ、さっさと始めるクマ」

(私も後でやりましょうかね)

「角もらったクマ」

「うーん……本当にこのままだと晩御飯が……」




(アイツのシャツ着心地良いにゃ。もう一着もらっとくにゃ)

309: 2014/07/04(金) 20:51:16.05 ID:yf/e0vRAO
~一石二鳥~

「冬用の植え付けも終わったし、ちょっと一息つけるかな」

「ほうれん草早く食べたいにゃ」

「多摩君、ほうれん草好きなの?」

「ご飯に鰹節とほうれん草乗せて、醤油かけて食べたら美味しいのにゃ」

「猫まんまのちょっとした改良版だね」

「別に猫まんまが好きな訳じゃないにゃ」

「あはは、でも僕もそれちょっと食べたいな」

「収穫したら作って食べるにゃ、超お手軽にゃ」

「うん、一緒に食べようか」

「……ちょっと、眠くなってきたにゃ」

「寝るなら部屋に戻って寝てね」

「そうするにゃ」

「……あの、多摩君? 何で引っ張ってるのかな?」

「お前もちょっと休むにゃ。多摩も抱き枕が出来て一石二鳥にゃ」

「僕はこれから書類書かなきゃいけないし、離してくれない?」

「来ないなら暫く口聞いてやらないにゃ」

「それだけはやめて」

「じゃあ来るにゃ」

「はぁ……また後で絶対漣君に怒られる……」

「はーやーくーすーるーにゃー」

「分かったから襟首掴んで引っ張るのやめてくれない? 僕は猫じゃないんだけど」

「いつも猫扱いする罰にゃ」




(ご主人様はいつまで多摩と二人で畑弄りがってんですかねー……)

(提督早く戻るクマ……漣がめっちゃ不機嫌で怖いクマ……)

310: 2014/07/05(土) 00:05:38.57 ID:NlR3N4fAO
~奥さんは誰?~

「今日はお一人様二点までの商品が結構ありやがるんで、頼みますよ」

「ご飯の為にゃ」

「球磨に任せるクマ」

「お店の人には悪いけど、経済的に厳しいからなぁ……」

 ――あらあら、仲の良い家族ね。

 ――旦那さんも優しそうだし、奥さんが羨ましいわ。

「……照れるにゃ」

「奥さんですか、いい響きですねー」

「優秀な奥さんクマ」

「ん? アレ、僕達のことなの?」

「多摩とお前にゃ」

「私とご主人様です」

「球磨と提督だクマ」

「家族だから皆でしょ?」

(コイツ、奥さんの部分聞いてないにゃ……)

(難聴属性とかいりませんよご主人様)

(家族って思ってくれてるのが地味に嬉しいクマ)

「手、繋ぐにゃ」

「私も繋ぎます」

「じゃあ球磨は多摩と繋ぐクマ。たまには妹ともいいもんだクマ」

「あはは、何かいいね、こういうの」




 四人で出掛ける時は皆で手を繋ぐようになりました。

318: 2014/07/05(土) 19:37:56.57 ID:NlR3N4fAO
~月見~

「丸いにゃ」

「晴れて良かったですねー」

「団子美味しいクマ」

「球磨君は月よりお団子みたいだね」

「全部食べちゃダメにゃ。多摩のも残しとくにゃ」

「あまり急いで食べやがると喉に――」

「ぐぅっ!?」

「球磨君!?」

「言わんこっちゃないですね全くもう! ほら、お茶飲みやがりなさい!」

「んぐっ、んぐっ、ぷはぁ……助かったクマ」

「食い意地が張ってるからそんなことになるにゃ」

「無事で良かったよ、ちゃんとゆっくり食べようね?」

「そうするクマ。提督、あーんクマ」

「いや、自分で食べれるから大丈――むぐっ」

「いつぞやの仕返しクマ。大人しく食べるクマ」

「ズルいにゃ、多摩も食べさせるにゃ」

「ほいさっさー」

「ちょっ、三人ともやめ――むぐっもがっ!?」

「どんどん食べるクマ」

(一口かじって間接キスするにゃ)

「まだまだありますから召し上がって下さいねー?」

(団子地獄!?)




 その後、わんこ団子状態で百個程食べさせられ続けました。

(し、暫く団子見たくないなぁ……)

319: 2014/07/05(土) 19:38:35.98 ID:NlR3N4fAO
~虫の合唱~

「あっ、虫が鳴いてる」

「本当ですね」

「実家の近くでもよく鳴いててね、田んぼもあったから時期になると蛙なんかも鳴いてたよ」

「結構うるさいんですよねぇ……」

「あはは、慣れれば気にならなくなるよ――ん?」

 ――クマー。

 ――にゃー。

「……何で虫の合唱に混じって、聞き覚えのある声が聞こえてきやがってるんでしょうかね?」

「うーん……そういう気分だったんじゃない?」

 ――クーマー。

 ――にゃー。

320: 2014/07/05(土) 19:53:33.76 ID:NlR3N4fAO
~来客~

「失礼します」

「あの、どちら様でしょうか……?」

「申し遅れました。一航戦、加賀です。こちらに“赤城”という艦娘が立ち寄りませんでしたか?」

「赤城さんなら二日前に来ましたけど、彼女がどうかしたんですか?」

「七桁の飲食代の請求書が鎮守府に届いたので、一度捕まえてお灸を据えようかと」

(な、七桁!?)

「アレ程食べ放題のお店にして下さいとお願いしたのに……。では、また見かけましたら連絡をお願いします」

「はい、分かりました」

「それでは失礼します」

(……凄く厳しそうな人だったなぁ)




「赤城さん、帰りますよ」

「ずんだ餅、加賀も食べますか?」

「艦載機を操りながら物を食べるのはやめて下さい」

326: 2014/07/06(日) 15:09:59.76 ID:NWgQzl/AO
~銭湯~

「……やっぱり、私よりはデカイですね」

「勝手に触らないで欲しいにゃ」

「どっちか髪洗うの手伝って欲しいクマ」

「――大きさは同じぐらいですけど、多摩のは柔らかくて球磨のは弾力がありやがりますねぇ……」

「っ……漣、胸揉まないで欲しいクマ」

「そんなに気にしなくても、そのうち漣も大きくなるにゃ」

「そりゃそうなんですが、やっぱり気になるもんは気になるんですよ」

「話しながら揉むんじゃないクマー!」

「……好きな人に揉まれると、大きくなるってよく言いますよね?」

「アイツには荷が重いにゃ」

「んぅ……もう、揉んじゃダメクマァ……」




(壁が薄いから聞こえてるってこと、分かってるのかなぁ……)

327: 2014/07/06(日) 15:10:35.13 ID:NWgQzl/AO
~湯上がり~

「ホカホカにゃ」

「たまには銭湯ってのもいいもんですねー」

「提督ー牛乳飲みたいクマー」

 ――そこのお兄さん、呼ばれてるよ?

(はぁ……球磨君ってばもう……)

「すいません、コレで彼女達に牛乳をお願いします」

 ――はいよ。

「ありがとだクマー」

「球磨、せめて前隠すにゃ」

「また風邪ひきやがっても知りませんよ?」

(だから、全部筒抜けなんだけどなぁ……)

328: 2014/07/06(日) 15:11:32.80 ID:NWgQzl/AO
~帰り道~

「また来たいにゃ」

「球磨も来たいけど、漣とはもう嫌だクマ」

「もうしませんって、そうむくれないで下さいよ」

「喧嘩しないで仲良くね?」

「仲良く揉み合えばいいにゃ。それかお前が揉むにゃ」

「何の話か分からないし、僕は今回内容的に巻き込まれたくないかなぁ」

「前も触るだけで揉まなかったにゃ、ちょっと女としての自信無くすにゃ……」

「クマ? 何の話だクマ?」

「胸好き工口ご主人様」

「あの、せめて続きは鎮守府に帰ってからにしてくれない? 夜だし人通りは少ないけど、僕への視線が突き刺さるように痛いよ……」

333: 2014/07/07(月) 00:02:54.48 ID:FPCLCHCAO
~星に願いを~

「織姫と彦星、一年に一回しか会えないって辛いね」

「気合いで泳げばいいにゃ」

「溺れちゃうよ?」

「その時はその時にゃ。お前は多摩と一年に一回しか会えなくてもいいのにゃ?」

「うーん……僕も泳ぐかも」

「男見せるにゃ」

「――多摩君。手、握ってもいいかな?」

「お前の男の部分は半分氏んでるみたいにゃ」

「そこまで言われちゃうの!?」

「多摩を好きって言いながら、最近は球磨と漣にも優しいにゃ。ちょっとは多摩を優先しやがるにゃ」

「もう男とか関係無くなってるよ、それ……でも、まぁ、うん。僕は今でも、多摩君が好きだよ」

(今なら、あの時のやり直しが出来そうにゃ)

「多摩も、多摩もお前の事が――」

 ――多摩ー! どこ行きやがりましたー!

 ――提督どこだクマー!

「あっ、二人が探してるみたいだね。行かないと」

「……二人とも、タイミング悪すぎにゃ」

「行こう、多摩君」

「言われなくても分かってるにゃ」

(――もう少し、もう少しだけ今のままで我慢してやるにゃ。どうせ時間はまだまだあるにゃ)




 ――『提督とずっと一緒に居たいにゃ 多摩』

336: 2014/07/07(月) 20:48:32.08 ID:FPCLCHCAO
~招き猫・招き熊~

「買い食い最高だクマ」

「奢りなら何でもいいにゃ」

「お姉ちゃんらしさをたまにはアピールしないといけないクマ」

「あの真鯛買って欲しいにゃ」

「買い食いの範疇越えてるからダメだクマ」

「球磨はケチにゃ」

「そういうのは相応しい相手にねだるクマ」

「最近漣に財布の紐握られてるらしいにゃ。世知辛い世の中にゃ」

(やっぱり主婦力では漣が一番だクマ……球磨も料理勉強するクマ)




 ――あの子達が食べてるコロッケとハムカツ、美味そうだな。

 ――俺ちょっと小腹空いたし買うわ。

 ――すいませーん、コロッケ三つー!

 ――こっちはハムカツ二つちょうだい。

 ――持ち帰りでチキンカツよろしく。

 ――唐揚げ百個お願いします。

 ――いい加減に懲りてください、早く帰りますよ。

337: 2014/07/07(月) 20:52:12.86 ID:FPCLCHCAO
~主婦~

「ご主人様ー」

「何かな、漣君」

「はいコレ、今週のスーパーのチラシです。丸してあるので欲しいのあったら言ってください」

「えっと、因みに丸してある以外のを欲しいって言った場合は?」

「ぶっ飛ばしますよ?」

「あっやっぱり? じゃあ玉葱と薄揚げかな、最近冷えてきたからお味噌汁飲みたいし」

「後は何かあります?」

「特に無いよ、基本的に漣君に任せるのが一番いいしね」

「了解です。お味噌汁……なら後は玉子焼き、しょうが焼き、それに漬物って感じにしましょうかねぇ……」

(本当に漣君が居てくれて助かるなぁ……でも、任せっきりは悪いよね)




 キッチンに四人で立つ機会が徐々に増え始めました。

343: 2014/07/08(火) 03:10:33.14 ID:qfeTAvyAO
~手縫いエプロン~

「多摩は猫じゃないにゃ。この猫っ気満載なエプロンは何なのにゃ」

「その方がきっと提督喜ぶクマ」

「多摩はまだマシですよ。私のコレは何なんですかねぇ? この“漣”ってバカでかい刺繍!」

「漣って漢字覚えにくいクマ。コレを機会に覚えるクマ」

「刺繍したならもう覚えたんじゃねぇですか? っていうか今まで覚えやがってなかった事についてじっくり聞かせてもらえませんかねー……」

「冗談だクマ、ちゃんと覚えてたクマ」

(今まで連って書いてたにゃ……)

「そういう球磨はど真ん中にデフォルメ熊ですか」

「球磨は熊好きだクマ」

「多摩は猫なんて――」

 ――にゃ?

「……まぁ、嫌いじゃないにゃ」

「もう素直に好きって言えばいいじゃねぇですか」




「――で、肝心のご主人様ーいい加減に部屋から出てきてくれませんかー?」

「無理! 裸エプロンとかホントに無理!」

「出てこないとドアぶっ壊すにゃ」

「出ーてーくーるークーマー」

「下に服着たらちゃんと出るよ。だから着てって言ってるじゃない」




 騙して引きずり出したものの、刺激が強すぎて即気絶しました。

350: 2014/07/09(水) 08:05:57.97 ID:3B1H+fKAO
~裏山~

「三人とも大丈夫?」

「大丈夫じゃないにゃ……」

「何で提督はそんなにスイスイ登れるクマ……」

「冗談抜きでキツイです……」

「だから僕一人で大丈夫って言ったのに」

「ひ、一人は危ないにゃ」

「多摩だけに任せられないクマ」

「二人だけじゃ不安です」

(気持ちは有り難いけど、息切れしてる君達の方が危ない気がするなぁ……)

「とりあえず、皆はちょっと休憩してて。僕はその辺で食べられそうなの採ってくるから」

「あんまり遠くに行くんじゃないにゃ」

「何かあったらすぐに呼ぶクマー」

「くれぐれも気を付けやがって下さい」

「うん、じゃあちょっと行ってくるね」

「――アイツ、普段はどんくさそうなのに、何で山だとあんなに速いのにゃ」

「一瞬で視界から消えたクマ」

(こういうのもギャップ萌えっていうんですかねぇ……)




 この後、提督はヘビを使って三人を驚かせようとして、漣のグーパンを鳩尾に喰らいました。

351: 2014/07/09(水) 08:06:47.23 ID:3B1H+fKAO
~スポーツの秋?~

「僕はちょっと執務室で書類を――」

「逃がさないにゃ」

「離して多摩君。この前の裸エプロンもだけど、僕はそういうのに耐性一切無いから勘弁して」

「ちゃんとアレは下に水着を着てたにゃ。それに今回は普通に運動用の服にゃ」

「そうですよご主人様。コレはちゃんとした運動用の服ですって」

(まぁ今はハーフパンツが主流で、陸上部の人以外は滅多に履かないって聞きましたがねー)

「こんなの短パンと変わらないクマ」

「変わるよ、だいぶ変わるよ、主に僕の精神衛生に与える影響とか」

「露出してるの足だけだにゃ」

「男子校だったからそもそも女の子のそういう姿を生で見たことないし、僕には十分刺激が強いんだってば!」

「抱き着いたり舐めたりよりはマシだと思うにゃ」

「舐めるのはやり過ぎですし、今後は禁止ですからねー?」

「抱き着くのは禁止じゃないなら、別に球磨はいいクマ」

「三人とも女の子なんだから、気軽にそういうことし過ぎるのはいけないよ。もう少し、自分を大事にしようね?」

(多摩を庇って氏にかけた奴には言われたくないにゃ)

(何されても笑って許しちゃいやがりますよねぇ……)

(一番大事にしてないのはきっと提督だクマ)

「あの、心底呆れたって視線を感じるのは何で……?」

352: 2014/07/09(水) 08:07:21.44 ID:3B1H+fKAO
~読書の秋~

「漣ー『提督への愛は素手で龍をも頃す』の最新刊、早く読みたいクマ」

「ちょっと待ちやがって下さいよ、まだ読んでる途中なんですから」

(『みかん絵日記』に出てくるこの猫、なかなか可愛いにゃ)

 ――にゃー。

「お前も立って歩いて人語喋れたらきっと面白いのににゃー……」

 ――にゃ?

「うー……球磨も何か読みたいクマ。提督、何か貸して欲しいクマ」

「えっと、『御伽草子』に『罪と罰』、『こころ』、『破戒』に――」

「もういいクマ。提督からは借りないクマ」

「後、『こげぱん』」

「何でそのラインナップからそれが出てくるクマ!?」

「何か好きなんだよね、コレ」

358: 2014/07/09(水) 22:59:45.21 ID:3B1H+fKAO
~続・読書の秋~

「提督、もっと本欲しいクマ」

「うーん……今はちょっと買うのは難しいかなぁ」

「買うのはダメですが、貰う当てならありますよ?」

「そうなの?」

「何でも本を部屋に持ち込みすぎて、同室の子達から怒られた艦娘がいるみたいです。ほら、例の赤城さんの居る鎮守府です」

「あぁ、あそこの……それならちょうどいいかもね」

「何でもいいから欲しいクマー」

「じゃあ引き取るって連絡しときますねー」




「――コレ、どうしたらいいクマ……?」

「あはは、こりゃ参ったね……」

「読めないにゃ」

「こっちに勉強出来そうな本もありますから、この際勉強しちまいやがったらどうです?」

「じゃあ、ちょっとだけ勉強してみるクマ」




 優秀な球磨ちゃんにドイツ語スキルが備わりました。

376: 2014/07/10(木) 20:28:29.45 ID:GPhG0WGAO
~腹~

「よしよし、いい子いい子」

 ――にゃー。

「……にゃ」

「ん? 多摩君、どうかしたの?」

「にゃー」

「おへそが可愛い……ってそうじゃなくて、何してるのかな?」

「見たら分かるはずにゃ。お腹見せてるにゃ」

「うん、それは見たら――っていうか見せないで、見ちゃうから」

「別に見られても恥ずかしくもなんともないにゃ」

「来た頃みたいに完全に拒絶されるのも困るけど、ここまで無警戒なのも困るかなぁ……」

「そいつばっかり構うからにゃ。多摩も構うにゃ」

「僕にはそれとお腹見せるのと、どう繋がるのかが分からないんだけど」

「服従のポーズにゃ」

「服従って基本的に犬じゃない? 猫だと無警戒――って無警戒なんだったね今は……」

「早く撫でるにゃ」

「あの、多摩君? 撫でるってどこをかな?」

「寝ぼけたこと言うんじゃないにゃ、お腹に決まってるにゃ」

 ――にゃーん。

「コラ、お前は多摩のお腹をペチペチするんじゃないにゃ」

(じゃれてる今のうちに――)

「うわっ!?」

「逃がさないにゃ」

「逃げさせて、毎日毎日僕の理性をサンドバッグみたいに殴るのやめて」

「……多摩のこと、嫌いになったのにゃ?」

「好きだから困ってるんだってば!」

「じゃあ撫でれば解決にゃ」

「何が解決するのか僕にはさっぱり分からないよ……」

「理性が吹っ飛べば悩まなくて済むにゃ」

「それは解決どころか悪化してるからね!?」




(ヘソ出しは流石に厳しいですね……)

(また風邪引いちゃうクマ)

377: 2014/07/10(木) 20:30:03.38 ID:GPhG0WGAO
~大事な物~

「おはようございます……」

「うん、おはよう漣君。何だか顔色悪いみたいだけど、大丈夫……?」

「平気ですよ、ちょっと寝不足ってだけですから」

「そっか……今日は早めに寝るんだよ? いいね?」

「はい、そうします」

(……隠してるけど、泣いた跡が見えるクマ)




「漣、ちょっと話があるクマ」

「何ですか球磨。今から夕飯の準備で忙しいんですがねぇ……」

「泣いてた事バラされたくなかったら、大人しく理由を話すクマ」

「っ!?……バラしやがったら、タダじゃおきませんよ?」

「いいから、何で泣いてたか話すクマ。漣が元気無いと、皆も元気出ないクマ」

「……耳」

「耳がどうしたんだクマ?」

「ぬいぐるみの耳が、取れちまったんですよ……」

「ぬいぐるみって、あの提督に貰ったやつクマ?」

「あの不細工なアレです。持って動いてたら、尖った部分に引っ掛けちまったんですよ……」

(耳が取れて泣くほど大事にしてるとは思わなかったクマ……)

「自分で直そうにも裁縫は苦手ですし、せっかく初めて貰ったプレゼントをあんな風にしたと思うと、ちょっと涙が出て来ちゃいましてね……」

「――事情は分かったクマ。球磨に任せるクマ」




 ――二日後。

「直ったクマ。完璧クマ」

(本当に元通りになってる……直した部分が少し分かる程度で、ちゃんと元通り……)

「ありがとうございます、球磨。ほんっっっとうにありがとうございます!」

「お礼はいいから美味しいご飯作って欲しいクマ」

「じゃあ今日の夕飯は焼き鮭にしますかねー」

「夕飯が今から楽しみだクマ! 漣大好きだクマ!」




 二人が前より更に仲良くなりました。

388: 2014/07/11(金) 23:40:32.18 ID:+c/FhqPkO
~首輪~

「首輪が欲しいにゃ」

「首輪が欲しいクマ」

「……二人とも、何か悪い物でも食べた?」

「体調はすこぶる健康にゃ、問題にゃい」

「むしろ元気有り余ってるクマ」

「一応念のために確認するけど、多磨君と球磨君が着けるの?」

「それ以外に無いにゃ」

「確認するまでもないクマ」

「確認するまでもなく倫理的にアウトだよ……」

「ごちゃごちゃ言わずに買うにゃ」

「そんで首に着けるクマ」

「そもそも何で首輪なの? チョーカーとかじゃダメなの?」

「別にチョーカーでもいいにゃ」

「とにかく首輪っぽいのが欲しいクマ」

「うーん……チョーカーなら、買ってあげてもいいよ」

(今月のお小遣いを全部使えば、多分買えるはず……)

「じゃあ今から買いに行くにゃ」

「多磨と色違いがいいクマ」

「じゃあ漣君にも声をかけようね、仲間外れはよくないし」

「置いていったらご飯作ってくれなくなりそうにゃ……」

「呼んでくるクマー」




 三人の首に色違いのチョーカーがつけられました。

390: 2014/07/12(土) 13:02:59.85 ID:S5gMUgkN0
~日頃の行い~

「提督ー、お菓子もらったクマ、一緒に食べるクマ」

「そ、そんなにいっぱいどうしたの?」

「商店街歩いてたら、おっちゃんとかおばちゃんがくれたクマ」

「皆に好かれてるんだね、球磨君は」

「多摩もよく魚屋で鯵とか鰯とか貰ってるクマ」

「ジーって魚見てたらくれたにゃ」

「多摩君可愛いからね」

「球磨も可愛いクマ……」

「あはは、ごめんごめん。三人とも皆可愛いよ――そういえば、漣君はどうなの?」

「私ですか? あまり物は貰ったことないですねー」

「そうなの? 球磨君も多摩君も貰ってるなら、漣君も何か貰いそうなものだけど……」

「私の場合は値引きしてもらってるんで」

「……何かごめん」

393: 2014/07/13(日) 10:36:57.26 ID:g6J1zKilO
~タダより高いモノは~

「――三人とも、今から話すことをよく聞いてね?」

「急に改まってどうしたのにゃ」

「まさか、ご飯が食べられなくなったクマ……?」

「それはねぇです。で、何があったんですか、ご主人様」

「実はね、元帥から演習の申請が、来ちゃったんだ」

「……にゃ?」

「演習って、あの演習クマか?」

「私達、自慢じゃねぇですが出撃回数ゼロですよ?」

「うん、だからどうしよう。断るべきかな?」

「断ったら流石に失礼って気がしますねー」

「多摩達は別にやっても大丈夫にゃ」

「球磨も頑張るクマ」

「……分かった、じゃあ受けるね」




 元帥との演習が決定しました。

396: 2014/07/13(日) 18:38:58.69 ID:Liy28Z/P0
~建前~

「ボロボロにゃ……」

「駆逐艦一隻に負けたクマ……」

「何なんですかあのぴょんぴょん娘、いくら何でも強すぎですよ……」

「ごめんね、指揮も全然ダメダメで……」

「お前は悪くないにゃ」

「そうだクマ、指揮云々以前の問題だったクマ」

「でも何で今更演習なんて申し込まれたんでしょうかねぇ?」

「練度ゼロの艦娘と戦場未経験の提督では、いざとなった時に戦えないから、だってさ」

「……確かに困るにゃ」

「球磨もそう思うクマ」

「まぁ弾や燃料も用意してくれるって事ですし、今後も継続で申し込まれても問題はねーです」

「このままずっと平和なのが一番なんだけどねぇ……」




 定期的に元帥と赤城達が居る鎮守府との演習が行われることになりました。

397: 2014/07/13(日) 19:13:45.64 ID:Liy28Z/P0
~本音~

「元帥、ただいま帰戻りました」

「ご苦労卯月。どうだった、あの新米提督の艦娘達は」

「本当に一度も戦った事が無いのが丸分かりでした」

「うむ、だろうな」

「ですが、連携は一度も戦場に出たことが無いにしては上出来でした」

「もう後三年早く生まれておれば、それなりの成果を挙げていただろうにな、惜しい男だ」

「私もそう思います」

「――さて、もう真面目な話はこれぐらいでいいだろう。楽にしてよいぞ」

「了解っぴょん、あの喋り方は肩が凝るぴょん」

「それはいかんな、揉んでやろう」

「昼間っからセクハラとかあきつ丸に引き渡すぴょん」

「ケッコンカッコカリしておるんだから問題ない!」

「ケッコンカッコカリ制度を権力フル活用で継続させる、その執念が怖いぴょん」

「意中の艦娘の練度が足りず悩む提督達の為にも、ケッコンカッコカリ制度は廃止になどさせんよ」

「逆にあの鎮守府はそれで揉めそうだぴょん」

「それも一興、青春でいいじゃないか」

「……元帥、疲れたからお昼寝したいぴょん」

「じゃあ一緒にベッドに――」

「加齢臭するから近づかないで下さい」

「ファ○リーズをかけられようが一緒に寝るぞ、儂は」

(こんなんでどうやって元帥になれたのか本当に不思議っぴょん……)




 セクハラ発言はするものの、一切触れないので(多分)セーフです。

398: 2014/07/13(日) 19:18:46.16 ID:Liy28Z/P0
続きはまた明日

399: 2014/07/13(日) 21:56:52.61 ID:OsKbqdLuo
乙です


引用: 【艦これ】多摩「こんな鎮守府すぐに出ていくにゃ!」