801: 2014/09/22(月) 23:18:33.55 ID:KKqQQiU30


前回はこちら

~山菜採り~

「多摩君、そっちはどう?」

「バッチリにゃ」

「そっか、じゃあちょっと休憩してから戻ろ」

「分かったにゃ」

「多摩君もだいぶ慣れてきたね、山菜採り」

「まだまだお前には負けるにゃ」

「こればっかりは多摩君にも負けてられないかな」

「……あの時の山菜、美味しかったにゃ」

「あの時?」

「多摩が来た頃の話にゃ」

「あー、あの時か。とりあえず美味しい物を食べてもらおうと思って、山を走り回ったなぁ」

「ちゃんとお礼言わなくて、ごめんにゃ」

「そんなの謝らないでいいよ、食べてくれたってだけで嬉しかったから」

「……最初の三ヶ月、やり直したいにゃ」

「どうして?」

「いっぱい色々多摩の為にお前はしてくれてたにゃ。なのに、ずっと邪険に扱ってたにゃ……」

「――多摩君、こっち向いて」

「にゃ?」

「えいっ」

「にゃにひゅるにゃ」

「これからいくらでも時間はあるんだから、たった三ヶ月のことで悩む必要無いよ、ね?」

「……はにゃしゅにゃ」

「もうちょっと触ってちゃダメ?」

「はーにゃーしゅーにゃー」

「いひゃい、いひゃいよたみゃきゅん」

「――ずっと、ずっと一緒に居るにゃ」

「うん、ずっと一緒だよ」




 この後帰りが遅いと見に来た球磨と漣にキスシーンを目撃され、一日冷やかされることになりました。
艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 艦娘型録

804: 2014/09/23(火) 21:58:29.82 ID:NWU4jRa40
~お礼~

 ――こんにちは、赤城です。先日のお礼に伺いました。

「赤城さん? どうぞ、入って下さい」

 ――ちょっと荷物が大きくて入れそうにないので、お手数ですが出てきて頂けますか?

(入れないって、何を持ってきてくれたんだろ……)




「ま――鮪にゃー!」

「コレ、どうしたんですか?」

「ちょっと海で捕ってきました。あっ、ちゃんと許可は得ていますからご心配無く」

(何で許可貰えてるんだクマ……)

(もう気にするだけ無駄な気がします……)

「ありがとにゃ、しっかり食べるにゃ」

「喜んでもらえて何よりです。それでは私はコレで」

「もう行っちゃうんですか? 今から夕飯作りますし、一緒にどうです?」

「お誘いは有りがたいのですが、鎮守府の皆にも早く食べさせてあげたいので」

(……アレ、全部持って帰るんだ……)

(十本は軽くあるにゃ……)

「では、また遊びに来ますね。失礼します」

「また来てにゃー」

「いつでも歓迎するクマー」

「あきつ丸さんによろしく伝えといて下さい」

「本当にありがとうございました、それじゃまた」




 夕飯は豪華に鮪尽くしになりました。

811: 2014/09/24(水) 22:20:30.67 ID:z8+ZLjnr0
~全力阻止~

「主人公の名前どうしよっか」

「自分の名前付けときゃいいにゃ」

「龍は……皆の名前にしたら怒られちゃうよね、きっと」

「多分怒らないにゃ、大丈夫にゃ」

「うーん……じゃあ赤城さんを主人公の龍にしちゃおっか、赤いし」

「だったら青いのは加賀さんにゃ」

「ならピンクっぽいのは漣君にしよう」

「次は……お姫様かな?」

「お前が主人公なら多摩に決まって――」

「ストップ! ストップだクマー!」

「そんなに慌ててどうしたのにゃ」

「やめるクマ、姫はデフォルトにしないと恐ろしい事が起きるクマ……」

「恐ろしい事?」

「何だか良く分からにゃいけど、そうするにゃ」

(ふー……最悪の悲劇は回避されたクマ)




 ――アカギよりはやーい!

「……」

「……」

 ――上の部屋がうるさい。

「……」

「……」




 その後、そのカセットが二度と起動されることは無かった。

828: 2014/09/26(金) 11:54:29.09 ID:DTpPSLYw0
~蓋を開けてみれば~

「ご主人様、次はあっちのスーパーです」

「うん、分かったよ」

「――あの話は、本当だったようだな」

「っ!?」

「漣君、知り合い?」

「……私をいらないって言いやがった人ですよ」

「あぁ、漣君が最初に着任した鎮守府の提督さんなんだね」

「未だにご主人様などと呼んでいるのか、懲りない奴だ」

「アンタにゃ関係ねぇですよ、今買い物で忙しいんでお引き取り願えますか?」

「仲良く艦娘と買い物か、物好きな提督も居たものだ」

「――私の事はいいですが、ご主人様の事を悪く言うなら許しませんよ」

「……ふんっ、これで失礼する。精々仲良しごっこをしているといい」

「あっ、ちょっと待ってください」

「……何か用か?」

「貴方のお陰で漣君は僕のところに来てくれました、ありがとうございます」

「わざわざ嫌味を言うために引き留めたのか、貴様は」

「――心配なさらなくても、漣君は元気にやってますよ」

「っ……そうか……ではコレで本当に失礼する」

「はい、お気を付けて」

「ご主人様ー?」

「あっ、すぐ行くよ漣君!」




 後日、元帥を通じて退役した者からの感謝の印として、一年は優に暮らせるお金が送られてきました。

838: 2014/09/28(日) 00:04:06.92 ID:m7kD6NCD0
~呼び方~

「ご主人様」

「漣君、どうかした?」

「その“君”付け、そろそろやめませんか?」

「えっと、嫌だった……?」

「嫌とかじゃねぇですけど、よそよそしい気がします」

「うーん……じゃあ何て呼べばいいのかな」

「呼び捨てとかどうです?」

「無理」

「即答ですか……」

「いきなり呼び捨てはハードルが高過ぎるよ」

「じゃあご主人様的にはどの程度なら大丈夫なんですかね」

「――漣さん?」

「何か更に距離を感じるですが」

「えぇー……やっぱり僕には難しいよ」

「――だ、そうですよ。多摩」

「アレ、多摩君も居たの?」

「良く分かったにゃ。こうなったら最終手段にゃ」

「さ、最終手段って……?」

「呼び捨てするまで無視するにゃ」

「えっ!? ちょ、ちょっと待って、それはあんまりじゃないかな?」

「……」

「多摩君、多摩くーん?」

「……」

「漣君どうしよう、多摩君が口を利いてくれないよ……」

「……」

「ひょっとして漣君もなの!?」

「……」

「……た、た、たっ、たみゃっ!?」




 舌噛んでそれどころじゃなくなりました。

841: 2014/09/28(日) 23:44:19.06 ID:m7kD6NCD0
~やっぱり無理~

「コレは?」

「ビー玉」

「コレは?」

「けん玉」

「コレは?」

「多摩君」

「コレは?」

「三丁目のタマ」

「コレは?」

「三式弾、って何でうちにあるの?」

「コレは?」

「多摩川の写真……?」

「コレは?」

「多摩君」

「コレは?」

「多摩川のタマちゃん」

「コレは?」

「多摩君」

「呼び捨てになりませんね、流石にこの作戦は無理がありましたか……」

「無理がありすぎだクマ」

「フシャー! 何で出来ないのにゃ!」

「そう言われても出来ないものは出来ないってば。今まで一度も女の子を呼び捨てにした経験なんて無いんだから」

「多摩は恋人にゃー!」

「うん、でも無理」

(めんどくさい人ですね全く……)

(もういっそ“君”って呼んだら電流でも流して矯正すりゃいいクマー)

844: 2014/09/29(月) 21:24:02.09 ID:Asdthkfv0
~努力虚しく~

「頑固にも程があるにゃ! いい加減“多摩”って呼ぶにゃ!」

「気長に待ってよ、そのうち呼べるようになるかもしれないから」

「い・ま・す・ぐ・にゃ!」

「多摩を猫だと思って呼べばいいんですよ」

「それだとタマちゃんになるよ?」

「ちゃんはいらないにゃ!」

「もういい加減諦めるクマ、何かの拍子に呼べるようになるのを待つ方が賢明だクマ」

「納得いかないにゃ……」

「ごめんね、多摩君。代わりに何かして欲しいことがあれば聞くよ?」

「――挨拶」

「?」

「お前の両親に改めて挨拶したいにゃ」

「……え?」




 次回、帰省。

848: 2014/09/30(火) 23:36:01.70 ID:+mCClQkD0
~両親~

「うわー……着いちゃった……」

「何で多摩よりお前が緊張してるのにゃ」

「緊張というか、挨拶したら最後どうなるかが分かってるから頭が痛いというか……」

「? ほら、とにかく行くにゃ」

「あっ、引っ張らないで多摩君。まだ心の準備が……」

「珍しいですね、あそこまでご主人様が狼狽えるの」

「誰でも苦手なものはあるってことだクマ」




「改めまして、た、多摩ですにゃ」

「ふーん。アンタ、この子に決めたんだね」

「うん、そうだよ」

「お嬢さんは“かんむす”、だっけ? 結婚は出来るのかい?」

「……戸籍というものが、艦娘には存在しないのにゃ。それに、子供も――」

「母さん、法律としての結婚は出来ないけど、僕は多摩君以外と一緒になる気は無いよ」

「そうでなきゃ振られた私達の立場がありませんよ」

「球磨も姉として、提督には多摩を幸せにしてもらいたいクマ」

「――母さんや、最初からどんな相手でも認める気なのに意地悪するのはやめなさい」

「何よ、ちょっとぐらいいいじゃないのさ。一度はこういうのやってみたかったんだから」

「多摩さん、だったかな?」

「は、はいにゃ」

「頼り無いところもあるが、優しい子です。どうか、よろしくお願いします」

「……ずっと、多摩が支えていきますにゃ」

「――さて、それじゃあ話もまとまったところで、準備を始めるとするかね」

「あー……母さん、やっぱりなの?」

「何がやっぱりなのにゃ?」

「すまんね多摩さん。それに、そっちのお二人さんも」

「へ? 何がです?」

「どういうことだクマ?」




「何って、ここの土地売っぱらって、私達もそっちの鎮守府の近くに住むんだよ」




 Q、提督は何で肝が据わってるの?

 A、親の影響。

854: 2014/10/02(木) 14:57:00.90 ID:bhjYue1u0
~来ちゃった♪~

「あのね、母さん。一応ここ機密情報とかあるから気軽に来られても困るんだけど……」

「何言ってんだい、何処だかに一般開放してる鎮守府もあるって話じゃないか」

「いや、アレは例外というか特例みたいなもので――」

「細かいことをごちゃごちゃとうっさいねぇ、そんなんだからその年まで彼女の一人も出来なかったんだよ」

「……はぁ、もう好きにしてよ」

「お、お茶ですにゃ」

「あら多摩ちゃん、悪いね気を遣わせちゃって」

「そ、そんなことないですにゃ」

「気軽にお母さんって呼んでくれていいんだよ?」

「それはちょっとまだ心の準備が出来てないのにゃ……」

「そっちの子も可愛いねぇ、孫ってことで家に連れて帰っちゃダメかい?」

「わ、私ですか!?」

「ダメに決まってるよ。居るのはいいにしても、あまり皆に迷惑かけないでくれないかな?」

「冗談の通じない子だね全く、じゃあこっちのデッカイぬいぐるみならいいね」

「球磨はぬいぐるみじゃないクマー!」

「最近のぬいぐるみは喋るんだねぇ」

「ちーがーうークーマー!」

「あっはっはっは! この子も本当に可愛いねぇ」

「――あっ、もしもし父さん? 猛獣が鎮守府で暴れてるから迎えに来てくれない?――無茶言うな? そこを何とか……」




 新居は鎮守府から徒歩十分、嵐は毎日のように訪れるようになりました。

860: 2014/10/03(金) 22:52:58.96 ID:ZK4JY1rz0
~嫁(?)姑問題~

「何だいこの味噌汁は! あたしを塩分過多で頃す気かい!」

「えっ? あの、そんなに辛かったですか……?」

「大丈夫だよ漣君、言いたかっただけだから。っていうか、父さんの晩御飯はどうしたのさ母さん」

「何だい、知らなかったのかい? 料理が最近のあの人の趣味なのさね」

「単純に必要に迫られただけなんじゃないかな……」

「それにしても漣ちゃんの料理は美味しいねぇ」

「あ、ありがとうございます」

「多摩ちゃんは料理、しないのかい?」

「修行中ですにゃ」

「修行なんてしなくても、焼きすぎて焦げた魚だろうがこの子は食べるから大丈夫だよ」

「アレはそれしか残ってなかったから、食べざるを得なかっただけなんだけどなぁ……」

(ひょっとしてご主人様が野草とかに詳しかった本当の理由って……)

(絶対、生きる為だクマ)

「た、食べさせるなら美味しい物を作ってあげたいですにゃ」

「多摩君……」

「ベッドにスケスケの下着着て寝てりゃあ喜んで食べてくれるんじゃないかい?」

「にゃ!?」

「母さんお願いだからもう帰って」

864: 2014/10/04(土) 23:12:58.36 ID:zCerf5Lw0
~やりました~

「どうしたのにゃ? お前最近ちょっと元気無いにゃ」

 ――にゃーん……。

「――ん? 多摩君、ちょっといい?」

「病院連れて行った方がいいにゃ?」

「多分大丈夫なんじゃないかなぁ、ちょっと触るよー」

 ――ふーっ!

「うわっと、危ない危ない」

「どうなのにゃ? コイツ大丈夫なのにゃ?」

「うん、大丈夫。一応念のために病院に連れて行った方がいいかもしれないけど、病気とかじゃないから」

「どういう意味にゃ?」

「うん――おめでただよ、この子」




 ――みぃ、みぃ。

 ――みゃー。

「可愛いにゃ、ちっちゃいにゃ」

「産まれたばっかってこんなにちっちゃいんですね」

「ちゃっかり相手見付けてるなんてなかなかやるクマ」

「この辺結構猫多いから、相手も選び放題だったんじゃない?」

 ――にゃーお。

「お前も頑張ったにゃ、偉いにゃ」

 ――にゃん。




 家族が四匹程増えました。

869: 2014/10/06(月) 00:39:41.04 ID:sMSAreIt0
~子供好き~

「全く、アイツどこほっつき歩いてるにゃ……にゃ?」

 ――わーい、ありがとー。

 ――次は人にぶつからないように気を付けてね?

(何で子供にアイス買ってるのにゃ……?)

「あっ、多摩君。どうしたの、買い物?」

「出掛けたっきり帰って来ないから迎えに来たのにゃ」

「わざわざ来てくれたんだ、ごめんね。ちょっとあの子に暫く付き合ってたから」

「知り合いなのにゃ?」

「ううん、知らない子」

「……多摩というものがありながらあんな小さい女の子に……」

「冗談でもやめて多摩君、洒落にならないから」

「じゃあ何で見ず知らずの子と一緒に居たのにゃ?」

「さっきの子、アイスに夢中で人にぶつかっちゃったみたいでね。アイスは食べられなくなるし、怒鳴られるしで泣いちゃってたから、放っておけなくて」

「――子供、好きなのにゃ?」

「うん、大好きだよ。田舎でもよく近所の子の遊び相手とかしてたし」

「……やっぱり、子供は欲しいにゃ?」

「欲しくないって事はないけど、何度も言うように多摩君が一緒に居てくれたら僕は幸せだよ」

「でも、奇跡が起きて多摩にだって子供が出来るかもしれないにゃ。もしかしたら艦娘が子供を産める様な技術が開発されるかもしれないにゃ」

「……多摩君は優しいね、ありがとう。僕もそんな日が来ることを願ってみることにするよ」

「た、多摩だって、その、お前の子供抱いてみたいのにゃ……」

「――よし、今日から頑張ろう」

「……にゃ?」




 翌日、また多摩は部屋から出てこなかったそうな。

875: 2014/10/07(火) 20:40:31.68 ID:Zpso8RJA0
~主婦力(物理)~

 ――さぁさぁ本日の目玉商品だよ! 豚バラ肉百グラム十八円! お一人様二パックまでで五十個限り! 早い者勝ちだ!

(キタコレ!)

「ぶぅぅぅたぁぁぁばぁぁぁらぁぁっ!!」

 ――貴女邪魔よっ!

「ふざけんじゃねぇですよ! こっちは食い扶持が増えててんやわんやなんです!」

 ――それは私の豚バラざます!

「自分の贅肉でも炒めやがってて下さい!」

 ――現れたわね“ピンクリトルデビル”!

「そんな恥ずかしい二つ名付けんじゃねぇですよ!」

 ――誰かその子を止めて!

「止まりません! 買うまでは!」

 ――もうダメよ、おしまいよ……。

「――豚バラ、取ったどー!」



「……漣君、いつもあんな感じなの?」

「スーパーは主婦にとっての戦場なんです。あの瞬間だけは仲の良いおばさん達とも恨みっこ無しのガチです」

「あはは……僕にはとてもじゃないけどあの中に入る勇気は無いや」




 最近、もう一人猛者がタイムセール争奪戦にエントリーした模様。

879: 2014/10/08(水) 21:48:22.86 ID:yifqmWcS0
~逆鱗~

「定期視察、今回もまたあきつ丸さんが来るんですかね?」

「んー、どうだろう? たまには違う人が来るかもしれないよ?」

「多摩はあきつ丸さんがいいにゃ」

「球磨もだクマ」

 ――定期視察を命じられた者だ、入るぞ。

「違うっぽいですね……」

「みたいだね。どうぞ、お入り下さい」

「失礼する。――まずは問おう。本日ヒトヨンマルマルに定期視察の者が訪れることは通達してあったはずだ、何故出迎えが無い」

「これは失礼しました。いつも来られる方が出迎えとか不要だからと仰っていたので……」

「わざわざ来てやっているのだから、断られても毎回出迎えるぐらいの誠意を見せろ」

「以後、気を付けます」

(感じ悪いですね)

(感じ悪いにゃ)

(やっぱりあきつ丸さんがいいクマ)

「あー漣君、お茶を淹れてくれる?」

「ほいさっさー」

「何だそのふざけた態度は! それが上官に対する答え方か!」

「コレが私達の普通なもので、すいませんねー」

「全く、これだから化物は……」

「――誰が、“化物”なんですか?」

「人の形を模した兵器を、“化物”と言わずして何と呼ぶのだ」

「そうですか。御足労頂きありがとうございました。即刻お引き取りください」

「なっ!? 貴様、私がどういう理由でここへ来ているのか分かっているのか?」

「聞こえませんでしたか? じゃあもう少し分かりやすく――帰れ」

(コイツでも怒ることあるんだにゃ……)

(やっちゃったクマ)

(本当にあきつ丸さんところに転がり込む事になるかもしれませんねぇ……)

「――と、こういうのを期待されてたんですか?」

「……にゃ?」

「……ふぅ、いやはや参った。元帥から聞いてはおりましたが、肝がなかなか据わっておられる」

「悪趣味だから止めた方がいいですよ、コレ」

「どういうことクマ?」

「訳がわかんねぇですよ」

「定期視察に派遣されるのは元帥が選んだ人達だよ? あんなこと言う訳無いってば」

「一番提督の艦娘への接し方が分かるのはこういう形だという案が出たもので、実験的に試行してみたという訳です。不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳無かった」

「あっ、いえ、はい」

「本当に怒ったのかと思ったにゃ」

「あはは、驚かせてごめんね。じゃあ改めてお茶にしようか」



 演技か本気かは、本人のみぞ知る。

880: 2014/10/08(水) 23:08:39.25 ID:yifqmWcS0
~アルバム~

「多摩ちゃん、今日は良いモノ持ってきてあげたよ」

「何ですにゃ?」

「コレさね」

「アルバムにゃ?」

「あの子の小さい頃のあんな姿やこんな姿が写ってるよ」

「見るクマ!」

「私も見てぇです!」

「二人ともどっから湧いたにゃ……」

「細かいことは気にしちゃダメクマ、早く見るクマ」

「そう焦んなくてもアルバムは逃げやしないよ」

「コレがご主人様の、子供の頃の写真ですか……」

「――草、食ってるにゃ」

「こっちは川で必氏に魚捕まえてるクマ」

「こっちは焼き芋を宝物みたいに抱えて泣いてますね」

(((……微笑ましい写真は?)))

「勝手にご飯は作って食べてるし、勉強も熱心にやってたから手がかからない子でねぇ」

「もうアルバムはいいですにゃ、見てたら何か悲しくなってきますにゃ……」

「漣、今日はちょっと奮発してあげるクマ」

「そうですね、ハンバーグとオムライスでも作りますか」

「どれ、じゃあ私も今日は手伝ってみるかねぇ」

「「「えっ」」」




 実はまともに料理は出来る人でした。

881: 2014/10/08(水) 23:09:08.55 ID:yifqmWcS0
~ヤキモチ?~

 ――みぃ、みぃ。

「子猫もやっぱり可愛いね、ねぇ多摩君」

「……」

「多摩君? どうかした?」

「……何でもないにゃ」

「何か怒ってる? 僕また何かしちゃった?」

「何でもないって言ってるにゃ」

「うーん……あっ、多摩君もうちょっとこっち来て」

「何にゃ?」

「良い子良い子」

「……多摩は猫じゃないにゃ」

「撫でられるの、嫌?」

「嫌じゃないにゃ」

「うん、じゃあ暫くこうしてても問題ないね」

「……ついでに膝枕もするにゃ」

「いいよ、ほらおいで」

「だから猫扱いするんじゃないにゃ」

「あはは、ごめんごめん」

「――猫耳、また多摩が着けたらお前的には嬉しいのにゃ?」

「暫く抱き締めて離したくなくなるぐらいには」

「……考えとくにゃ」




 翌日、猫尻尾の購入を検討する多摩の姿がありましたとさ。

886: 2014/10/09(木) 02:02:36.04 ID:+w0yOlG40
~はちみつクマさん~

「蜂蜜美味いクマー」

「そうしてると、どっかの森に住んでる黄色いクマみたいですね」

「それだと漣は――」

「その続きを口にしたらぶっ飛ばしますよー?」

「どうして言い切る前に分かったんだクマ……」

「バレバレですよ、どうせウサギの方じゃねぇでしょうし」

「漣も蜂蜜どうだクマ?」

「蜂蜜オンリーは遠慮しときます」

「じゃあホットケーキ焼いてほしいクマ」

「私は球磨の使用人じゃねぇんですが?」

「そう言いながら準備を始める漣が大好きだクマ」

「えーっと、三人分だと粉の量はーっと」

「三人分じゃ提督の分が足りないクマ」

「私、多摩、ご主人様。三人分で問題ない、大丈夫だ」

「問題あるクマ! さらっと球磨を省くんじゃないクマ!」

「居ないものとして扱えってクラスで決められてるから……」

「球磨は氏者じゃないクマー!」

「はいはい分かりましたよ、ちゃんと焼きますからご主人様と多摩呼んできてください」

「了解だクマ」

「さてさて、私はこの前作った木苺のジャム試してみましょうかね」




 何でも了承する近所の奥様から頂いたジャムを塗った提督は、青白い顔をしながら完食しました。

898: 2014/10/11(土) 02:59:36.39 ID:jPsaPNq50
~海、再び~

(また多摩君の水着見れるなんて幸せだなぁ……今年は自分で買ったって言ってたけど、どんなのだろ?)

 ――待つにゃ漣! 今回ばかりは流石にやり過ぎにゃ!

 ――球磨まで巻き込むとは良い度胸だクマー!

 ――私の苦い思い出を共有しやがって下さい!

「三人とも着替え――え?」

「さっさと多摩の買った水着返すにゃ!」

「それで問題ないじゃねぇですか」

「問題だらけだクマー!」

「多摩君多摩君」

「何にゃ! 今はそれどころじゃないのにゃ!」

「そういうのも似合うね、可愛いよ」

「……フシャー!」

「痛い痛い痛い!? 何で僕引っ掻かれたの!?」

「喜んでいいのか恥ずかしがればいいのか怒ればいいのか混乱した結果だと思うクマ」

「良かったですね多摩、ご主人様はスクール水着もお好きだそうですよ?」

「……るにゃ」

「?」

「漣もコレ着るにゃ! 三人で着ればもう何も怖くないにゃ!」

「いやースクール水着って本当に素敵ですよねーだが断る!」

「逃げられないクマ、球磨はしつこいから!」

「ちょっ、人のセリフパクんじゃ――」

「隙ありにゃ!」

「しまった!?」

「更衣室に連行だクマ」

「漣のスクール水着が何故か荷物に入ってて良かったにゃ」

「た、助けてご主人様ー!」

「あー……うん、僕は漣君のスクール水着も好きだよ」

「救いは無いんですか!?」

「無いにゃ」

「無いクマ」

「僕ジュースでも買って来とくね」

「もう名前入りのスクール水着は嫌ぁぁぁぁぁっ!」




 結局、冷静になって三人で普通の水着を着て遊びました。

899: 2014/10/11(土) 10:11:26.64 ID:8HDMlhwYo

正しい「だが断る」を久々に見た希ガス


引用: 【艦これ】多摩「こんな鎮守府すぐに出ていくにゃ!」